地方独立行政法人法の概要


1  定義・目的
 住民の生活、地域社会及び地域経済の安定等の公共上の見地からその地域において確実に実施される必要のある事務・事業のうち、地方公共団体自身が直接実施する必要はないものの、民間の主体に委ねては確実な実施が確保できないおそれがあるものを効率的・効果的に行わせるため、地方公共団体が設立する法人。
 目標による管理と適正な実績評価、業績主義に基づく人事管理と財務運営の弾力化、徹底した情報公開等が制度の柱。

2  対象業務
いずれも、既存組織の移行だけでなく新設も想定
1 試験研究
2 大学の設置・管理
3 公営企業に相当する事業の経営(水道、工業用水道、軌道、自動車運送、鉄道、電気、ガス、病院)
4 社会福祉事業の経営(特別養護老人ホーム、保育所、ホームヘルプサービス事業 等)
5 その他の公共的な施設で政令で定めるものの設置・管理

3  設立手続
 設立団体が議会の議決を経て定款を定め、総務大臣又は都道府県知事が認可。

4  財産的基礎等
出資者は地方公共団体に限る。
設立される法人の業務に関する設立団体の一定の権利・義務は当該法人が承継。

5  役職員の身分等
業務停滞が住民の生活、地域社会又は地域経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼす法人又は中立性・公正性を特に確保する必要がある法人の役職員には地方公務員の身分を付与。(定款事項=総務大臣又は都道府県知事が認可)
設立団体から法人への職員の引継、退手の通算等について、適切に手当て。
理事長及び監事は設立団体の長が任命・解任。
その他の役員及び職員は理事長が任命・解任。

6  目標による管理と評価の仕組み
 国の独立行政法人制度と同様、「目標⇒計画⇒評価⇒業務運営への反映」という流れを義務づけ。
いずれも公表
中期目標(3~5年)は、設立団体の長が議会の議決を経て定める。
中期計画(3~5年)は、法人が作成し、設立団体の長が認可。
年度計画は、法人が作成し、設立団体の長に届出。
法人は、中期目標に係る事業報告書を設立団体の長に提出。
評価委員会は、各年度及び中期目標期間の事業実績を評価。結果を法人・設立団体の長に通知し、公表。
設立団体の長は、各年度の評価結果及び中期目標に係る事業報告書・評価結果を議会に報告。
中期目標期間終了時に、設立団体の長が法人の組織・業務全般にわたり見直し。

7  財務及び会計
原則として企業会計原則による。
法人は、毎事業年度、財務諸表等を作成、公表。設立団体の長が承認。
毎事業年度の利益は、中期計画で定めた剰余金の使途に充てることが可能。

8  財源措置等
法人の業務運営に必要な金額を設立団体から交付できる。
設立団体からの長期借入金を除き、長期借入金及び債券発行をすることはできない。
法人が料金を徴収する場合、その上限について設立団体の長が議会の議決を経て行う認可が必要。
重要な財産の処分等には設立団体の長が議会の議決を経て行う認可が必要。

9  特例規定
1 大学
役職員の身分は、非公務員とする。
理事長は、原則学長を兼ねる(定款で定めるところにより、学長を理事長と別に任命することが可能。)。
学長や教員の任免及び学長の任期については、大学の意向を尊重する手続とする。
経営に関する重要事項を審議する機関及び教育研究に関する重要事項を審議する機関を設置。
設立団体の長は、中期目標の設定に当たって、あらかじめ法人の意見を聴取し、当該意見に配慮する。
評価委員会は、評価を行うに当たって認証評価機関の評価を踏まえる。
2 公営企業に相当する事業
中期計画項目として料金を追加。中期計画の認可には議会の議決が必要。
事業の経費は当該事業の経営に伴う収入により賄うことが原則。

10  その他
設立団体の長及び認可権者(総務大臣等)に対し、法人に対する報告徴収権、立入検査権、違法行為等の是正命令権を付与。
法人は、設立団体が議会の議決を経た上で、総務大臣又は都道府県知事の認可を受け解散し清算手続を行う。

11  施行期日
 平成16年4月1日

(高等教育局大学教育・入試課)

 

-- 登録:平成21年以前 --