平成23年度「専門的看護師・薬剤師等医療人材養成事業選定委員会」所見

 この度、専門的看護師・薬剤師等医療人材養成事業選定委員会は、チーム医療の推進に資する高度な看護師・薬剤師等の養成を図るために実施する「専門的看護師・薬剤師等医療人材養成事業」について、本年8月に申請のあった看護系38件、薬学系33件の取組のうち、特に優れた10件(看護系6件、薬学系4件)の取組を選定した。

 我が国の医療現場は、医療技術の高度化の進展、高度先進医療の拡大とともに、在院日数の短縮や、医師の過重労働等の問題が山積している。これらの問題に対応するため、医療の効果的、効率的な提供を目的とするチーム医療の推進が喫緊の課題とされており、厚生労働省で開催中の「チーム医療推進会議」における議論の動向等も踏まえた上で、今回申請のあった取組について、全体の理念や概要、人材養成に対するこれまでの取組実績、実施体制、評価体制等について審査を行った。

 今回の審査について概観する。看護系大学院においては、専門看護師養成の実績を基盤とし、専門領域を横断して応用可能なチーム医療に資するための高度な実践能力強化を目指す取組、新たな専門領域を開発する取組等があった。一方、多発する震災に関連し、多様化する社会のニーズを踏まえた災害看護等の新たな看護専門職の役割を追求する取組等もあった。
 また、薬学系大学では、大学が拠点となって医学部、看護学部や医療施設等と連携しながら、地域医療に貢献する高い臨床能力を持つ実務実習指導薬剤師の育成や、適正な薬物療法実施のための臨床判断能力とコーチング能力を持つ実務実習指導薬剤師の養成の取組等があり、看護系・薬学系のいずれにおいても魅力的な取組が多数見受けられた。

 選定された大学におかれては、今後、看護系大学院では、高度実践能力を備えた看護師の養成がより一層推進され、また、薬学系大学では、大学と地域医療との更なる充実した連携取組が行われるとともに、これらの内容や得られた成果等について、積極的に社会に情報発信することを期待したい。
 また、残念ながら今回事業として選定はされなかったが、チーム医療の推進に資する高度な看護師・薬剤師等の養成等を踏まえた創意工夫のある取組等が数多く提案されていたことを申し添えておく。今後、それぞれの大学において検討された取組を積極的に推進されることが望まれる。

 国民が安心・安全な医療を享受できる環境を確保し、医療の高度化等に対応していくためには、我が国全体を通じた、大学・大学病院における高度な専門医療人材養成は喫緊の課題である。
 今後とも、各大学・大学院においては、社会からの高いニーズに応えるべく、特色ある人材育成の機能強化に努めていくことを期待したい。

平成23年10月17日
専門的看護師・薬剤師等医療人材養成事業選定委員会
委員長 飯島 正文

お問合せ先

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電話番号:03-5253-4111(代表)(内線)2508、3326

-- 登録:平成23年10月 --