平成19年度 「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」選定プログラムの概要及び選定理由(発達障害を持つ学生のための特別支援室)

大学・短大・高専名 仙台電波工業高等専門学校
プログラムの名称 発達障害を持つ学生のための特別支援室
プログラム担当者 野田 泰久
(プログラムの概要)  近年、本校に於いても発達障害の学生が増えており、今後も高専では入学試験合格者に占める発達障害の学生の割合は増加することが予想される。そこで、2年前に始めた特別支援教育推進室の経験を活かし、主に発達障害のある学生向けの学生支援を充実させる為に、本プログラムによって特別支援室を立ち上げる。入学時に得た情報を基に、クラス担任、学科長、教務担当副校長、学生相談室長、一般科目担当教員、専門科目担当教員らで支援グループを構成し、当該学生の支援を行う。特別支援室には、教職員の目の届く部屋を指導室として準備し、当該学生のパニック時に備えた緊急時居場所として使用すると共に、学習支援や高学年での進路指導の為の訓練に利用する。発達障害関係の学習や講習を行い、教職員の知識を広めながら連携を図る。全ての記録をまとめ、事例報告やノウハウの蓄積を図る。これらの設備やノウハウは学生相談及び一般学生の学生支援にも役立つ。
(選定理由)  仙台電波工業高等専門学校においては、学生支援に関する理念・目標に基づき、日常的業務を通じた支援・制度や担当による支援・専門的支援の3レベルからの取組が着実に実施されております。特に、平成17年からの「特別支援推進室」における学生支援は、他に先駆けて発達障害を持つ学生の支援として取り組んだもので、対応数は5件と多くないものの、確実に重大な成果を上げていると言えます。
 今回申請のあった「発達障害を持つ学生のための特別支援室」の取組は、この「特別支援推進室」の専門的支援を、今後の対象学生の増加や受け入れ学校として的確に対応するために、体系的な取組として全学的に発展させ、機能拡大を図るためのもので、現代社会が抱える問題「発達障害を持つ児童・生徒・学生」への対処と、当該学生への支援のニーズに応えるためのものとなっています。
 この取組は、「発達障害者支援法」の制定・文部科学省「発達障害児支援教育」の実施に見られるように、新たな社会的ニーズでもあるニート・フリーターの問題への対処にもつながるものであり、高等専門学校・大学での教育上も不登校・留年等の原因にこうした発達障害が存在するケースも見られる中で、重要かつ先駆的な取組として評価できるものです。
 発達障害を持つ対象学生ごとに「支援グループ」を組織して、綿密な情報交換の下に適切に対処すると同時に、「特別支援室」の設備を充実させることで、パニック時の緊急避難場所に留まらず学習支援・進路指導の場として活用し、関係資料を備え教員の資質向上を図り、事例報告を蓄積して将来に資するなど、実施体制・計画ともに現実的で堅実であると言えます。
 この取組によって発達障害を持つ学生の支援の基盤が形成され、将来の発展・深化につながることが期待できる非常に優れた取組として、大いに評価できるものであり、他の高等専門学校・大学等にとって参考となり得る社会的・教育的に意義深い取組であると言えます。

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高等教育局学生支援課

-- 登録:平成21年以前 --