東北地方における医学部設置に係る構想審査会(第6回)議事録

1. 日時

平成27年3月13日(金曜日)16時00分~19時00分

2. 場所

文部科学省 旧文部省庁舎6階 第2講堂(東京都千代田区霞が関3ー2ー2)

3. 議事

1. 東北医科薬科大学構想の選定に当たっての条件に対する東北薬科大学の対応状況について

2. その他 

4. 出席者

<委員>

 遠藤座長、永井副座長、木場委員、小山委員、伴委員、山口委員

 

<文部科学省>

 吉田高等教育局長、佐野高等教育局審議官、寺門医学教育課長、平子医学教育課企画官、佐藤医学教育課大学改革官

<東北薬科大学>

 高柳東北薬科大学理事長・学長、里見東北医科薬科大学医学部教育運営協議会委員長、福田東北薬科大学医学部設置準備委員会委員長、大野東北薬科大学医学部設置準備委員会委員、掘田東北薬科大学医学部設置準備委員会委員・事務局長

 

<オブザーバー>

 北澤厚生労働省医政局医事課長

5. 議事録

【遠藤座長】  それでは,まだ委員でお見えになっていない方もいらっしゃいますけれども,定刻でございますので,ただいまから東北地方における医学部設置に係る構想審査会(第6回)を開催したいと思います。

 委員の皆様におかれましては,お忙しいところ,お集まりいただきましてありがとうございます。

 本日は,泉委員,岸委員,桐野委員,津田委員,濵口委員,邉見委員から御欠席の御連絡を頂いております。

 まず会議の公表について,本日の議事は公開とさせていただき,撮影は冒頭のみお認めしたいと思いますけれども,御了承いただければと思います。よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【遠藤座長】  ありがとうございます。本構想審査会では,昨年8月に東北薬科大学を条件付きで選定し,条件に適切に対応ができていると認められるまでは設置認可は行わないようにするということを求める構想審査結果をまとめました。これを踏まえまして,文部科学省が東北薬科大学を選定することを正式に決定し,これまで東北薬科大学で準備が行われてきたものと承知しております。また,東北薬科大学としては,3月中に設置認可申請を行いたい意向であることを伺っております。

 したがいまして,本日は,本構想審査会が東北医科薬科大学構想の選定に当たって付した7つの条件への対応状況について御議論いただき,設置認可申請を認めることができるかどうかについて判断をしてまいりたいと考えております。

 このため,本日は,最初に7つの条件への対応状況等について,東北薬科大学からヒアリングを行います。あわせて,選定条件への対応に当たり重要な役割を果たされた東北医科薬科大学医学部教育運営協議会からも,これまでの協議状況について伺い,構想審査会としての判断の参考とするために,東北医科薬科大学医学部教育運営協議会の里見委員長にお越しをいただいております。

 ヒアリング終了後は,7つの条件への対応状況等について意見交換,検証を行って,東北医科薬科大学医学部の設置認可申請を認めるかどうかといった観点から審議を行うことを予定しております。

 それでは,議事に入ります。撮影につきましてはここまでとさせていただきたいと思います。カメラ等の撮影機器をお持ちの方は御退出をいただきたいと思います。

(報道陣退室)

【遠藤座長】  それでは,まず事務局から配付資料の確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【佐藤医学教育課大学改革官】  それでは,配付資料について確認をさせていただきます。お手元の方を御確認いただきたいと思います。

 まず,本日の会議の座席表と議事次第を配付させていただいております。その次に,資料1といたしまして,東北薬科大学の提出資料が三つございます。まず横書きで1-1というものです。「構想審査会から示された7つの条件への対応状況」という資料。そして次に,1-2といたしまして,「東北地方における医学部設置に係る構想応募書<修正版>」でございます。次に,資料1-3といたしまして,「構想審査会委員からの質問とその回答」という資料となってございます。

 その次,資料2といたしまして,「東北医科薬科大学医学部教育運営協議会の協議概要報告について」という資料がございます。その次に,1枚ものですけれども,資料3として,「主な論点」という資料を配付させていただいてございます。

 このほか,委員の皆様には,机上資料ということで,「東北地方における医学部設置に関する基本方針」,あるいは,「東北地方における医学部設置に係る構想審査会構想審査結果」のほか,以前に東北薬科大学の方から出された構想応募書,また,今回東北薬科大学の方から新たに提出されました参考資料等をとじたファイルを配付させていただいているところでございます。

 御確認いただきまして,不足等ございましたら,事務局の方までお申し付けいただければと思います。

 以上です。

【遠藤座長】  ありがとうございます。よろしゅうございますか。

 本日はヒアリングを行った上で議論を行う予定としておりますけれども,委員の皆様には事前に教育運営協議会の報告書をお送りしまして,御意見を頂いております。この委員の御意見を踏まえ,事務局にて本日の議論を行うに当たっての主な論点をまとめてもらいました。まずこの論点について事務局より御説明をいただきたいと思います。

【佐藤医学教育課大学改革官】  それでは,資料3について説明をさせていただきます。今座長からも御紹介いただきましたけれども,本日欠席をされました委員も含めまして,構想審査会の委員の皆様に東北薬科大学の説明資料及び教育運営協議会からの報告書等を送付させていただいた上で,事前に御意見を頂いているものをまとめたものでございます。委員の皆様から非常に様々な意見を頂きまして,中には重複しているものとか,関連性が高い事項もございましたので,事務局の方で,以下,五つに分けて整理をさせていただいております。

 順番に申し上げます。まず一つ目でございます。東北6県全体の医師偏在の解消のため,教育運営協議会の活用等により,既存の医学部や県当局と密接に連携し,各県の実情を踏まえた医師偏在の解消方策を講ずることができているか。

 2点目,既存の医学部や県当局等と連携し,早期に各県に地域サテライトを整備し,ネットワーク病院を活用することなどにより,地域医療への理解を深める教育を実施する体制が整っているか。また,初年次から十分な時間をかけて継続的に地域で教育を受けるようなカリキュラムを構築できているか。

 3点目,教員や医師,看護師等の確保について,採用地域や採用機関等のバランスに十分配慮しつつ,地域医療に支障を来さないよう適切に対応することができているか。問題があると懸念される事例が生じた場合の対処が考えられているか。

 4点目,修学資金制度について,宮城県をはじめとする東北各県と十分な調整を行い,奨学金を受ける学生にとっても魅力がある制度としつつ,持続可能かつ地域偏在の解消に資する制度とできているか。また,奨学金を受けない学生も含め,卒業生が東北地方に定着し,医師偏在の解消に寄与するための適切な方策が講じられているか。

 5点目,教育運営協議会において議論が十分に尽くされていない点がないか。

 以上5点にまとめさせていただいているところでございます。以上です。

【遠藤座長】  ありがとうございます。こうした論点も踏まえまして,また参考としまして,教育運営協議会のヒアリングも行っていただければと存じます。

 それでは,これよりヒアリングに入りたいと思います。まず,東北薬科大学より7つの条件への対応状況について,10分程度で恐縮でございますけれども,御説明いただきたいと思います。続いて,教育運営協議会の里見委員長より教育運営協議会における協議状況について5分程度で御説明をいただければと思います。説明に対する質疑応答は両者の説明後にまとめて行いたいと考えております。

 では,東北薬科大学から御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【高柳東北薬科大学理事長・学長】  初めに,昨年の構想審査会におきまして,本学の構想を選定していただきまして,大変ありがとうございます。以来,今日までこの選定条件への対応について本学として最大限の努力をしてまいりました。今日はその報告をさせていただきます。

 資料1-1ですけれども,条件1です。運営協議会の設置につきまして,宮城県をはじめとする東北各県,各大学,各医師会,関連教育病院等の協力の下,昨年の10月22日に里見先生を委員長とする東北医科薬科大学医学部教育運営協議会を立ち上げ,以降6回にわたり地域医療に支障を来さない形での教員等の確保や修学資金制度の創設を含む学生の地域定着策など,構想の実現・充実のために必要な協議を重ねてまいりました。

 協議会においては様々な意見が出され,現時点は必ずしも十分な合意が得られていない点もありますが,このような形で東北地方の関係者が一堂に会して議論を行う機会を設けられたことは極めて意義あることと考えております。今後も継続して協議を重ねながら,課題に対応してまいります。

 条件2,医師偏在解消の枠組み等,条件3,総合診療医養成等について。各県当局,地元医学部等の連携・協議の下,県ごとに地域医療ネットワーク病院を決定し,地域滞在型の地域医療教育を行う予定としております。ネットワーク病院に対しては,非常勤医師の派遣などの支援を行います。また宮城県に2か所設置が決まっている地域医療教育サテライトセンターについては,開学の早い時期までを目途に,各県に設置し,滞在型教育の場を充実させるとともに,常勤医師の派遣を検討しております。

 総合診療医育成については,同じネットワーク病院に同じ学生を継続して訪問・見学・滞在させる教育を通じ,訪問地域を「新しいふるさと」と実感できる教育を実施するとともに,各県当局,地元医学部等と連携しながら,卒後研修やキャリア形成支援を行い,卒後に地域を支える総合診療医を育成してまいります。

 また,地域医療学教室や卒後研修センターを設置し,地域医療教育に実績があり,卓越した指導力を有する教員・指導医を配置してまいります。

 条件4です。地域医療に支障を来さない形での教員等の確保について。1,教員について。教員公募につきましては,教育運営協議会における議論を経て,公募指針や公募選考基準を定めて,地域医療に影響を及ぼさないよう十分配慮いたしました。具体的には,所属長の意見書の内容を精査し,必要があれば所属長に直接連絡を取るなどし,地域医療に影響を与えないことを確認いたしました。

 また,東北地方の採用予定者については,個別にその県の各委員,県,大学,医師会に地域医療に影響を与えないと判断した理由を直接説明し,了解を得ております。

 教育運営協議会においては,東北大学からの採用予定者が多く,特定の機関から極端に多く採用しないとした公募指針に抵触するのではないかという御意見もありましたが,個別の状況を慎重に精査するとともに,東北大学への照会も随時行い,後任補充や玉突き等により地域医療に影響を与えないことを確認し,採用予定者を決定しております。

 また,開学後の早い時期に教員採用に伴う地域医療への影響について検証を行い,必要に応じて関係機関と調整を行うことにしております。

 看護師等について。看護師等の採用計画は,地域医療への支障を来さないようにする観点から,基本的に現状維持で対応する計画であります。特に看護師については,地域医療への影響が大きく,また仙台への集中が懸念されるとの意見,あるいは要望が多く出たことから,当初計画を見直し,潜在看護師の掘り起こしや退職者の圧縮に努めることで,新規採用者を現状並みに圧縮しております。

 条件5,修学資金及び地域定着策の充実,条件6,定員の見直しについて。構想審査会からの御指摘を踏まえ,入学定員については,臨時定員20名を設定せず,100名とすることとし,うち半数を超える55名について,学費全額相当の修学資金を貸与することといたしました。

 修学資金制度に関しては,宮城県をはじめとする各県と調整を行った結果,宮城県から最大80億円の資金拠出を受けることになっており,また,他の5県からも既存の各県の修学資金制度の活用を含め,協力・理解を得ております。引き続き各県との調整を続け,修学資金に係る具体的な制度設計の詳細について早期に詰めることにいたします。

 教育運営協議会においては,修学資金制度に関して,宮城県と東北各県との対象人数のバランスが取れていないのではないかという指摘があり,これを受けて,本学の出資により,宮城県以外の東北5県を対象として追加で5名の枠を設定することといたしました。あわせて,各県への修学資金制度の充実のための資金拠出の働きかけも継続して行っていきたいと考えております。

 修学資金以外の地域定着策の充実については,条件2,条件3の対応でも述べましたが,東北地方の各地域の医療機関と連携し,入学者選抜から学部教育,卒後教育までトータルで「地域全体で医師を育てる」という観点から,総合診療医育成に積極的に取り組み,地域への定着を促していきます。

 条件7,参酌すべき意見について。構想の実施に当たり参酌すべき意見として示された各意見についても,できる限り積極的に採り入れ,東北地方における医学部新設の趣旨によりふさわしい大学となるよう努めてまいります。

 以上が現時点における7つの条件への対応状況でありますけれども,これらについては今後も継続した対応が必要であると認識しております。震災からの復興に資する医学部を新設するという使命を十分に踏まえ,引き続き教育運営協議会等も活用しながら,東北各県,各大学,医師会等の関係者と協議・調整を行い,適切に対応してまいります。

 以上で資料1についての説明を終わります。

【遠藤座長】  ありがとうございます。続きまして,教育運営協議会の里見委員長に御説明いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【里見東北医科薬科大学医学部教育運営協議会委員長】  東北大学の里見であります。東北医科薬科大学医学部の教育運営協議会の委員長を務めておりました。このたび,協議の概要の報告書がまとまりましたので,御報告をさせていただきます。既に委員の皆様方には事前に配付をされていると思いますので,簡単に概略のみを説明させていただきたいと思っております。

 まず初めに,1ページ目に「はじめに」という項目がありますように,本協議会は,昨年の10月の初会合以来,今月の2日までの間に計6回開催されております。そして,構想審査会から示されました7つの条件を中心に協議を重ねまして,このたびこの報告書を出すことができたと考えております。

 協議の経過等につきましては,1ページ目の中段ごろから,協議経過概要として6ページの上段までまとめてございます。各回の説明や協議事項,それから,議論のポイント,課題,懸念点,それから,それぞれの会議における合意事項等,それらのことをまとめてございます。

 また,協議の結果につきましては,次に6ページから10ページにわたりまして,7つの条件について協議された事項を協議結果とし記載してございます。御覧のとおり,6回の協議会を通じて,東北薬科大学の7つの条件の対応に関して様々な意見が出されました。非常にたくさんの意見が出されました。その中でも,一定の理解が得られた事項もありましたが,合意までには至らなくて,今後議論を更に深めていく必要がある事項もたくさんありました。

 したがって,本報告においては,可能な限りそれらの意見を網羅して,いわば両論併記の体裁になっております。なお,寄せられた意見に対するその時々の東北薬科大学の対応に関しましては,今,先ほど構想審査会から示された7つの条件への対応状況として高柳理事長から提示されたとおりでございます。

 ただ,この提示の後にも異論や懸念が寄せられたことは間違いないことであります。特に二つの条件,教員等の確保,条件の4ですね,教員や医師,看護師等の確保に当たって地域医療へ支障がないようにするための担保の措置とか,条件の5,6,地域定着策,特に修学資金の仕組みに関わる課題に関しては,会議終了後も意見や懸念が寄せられましたので,これをまとめて4として,「極めて重要で特に斟酌すべき事項」として10ページから14ページまでに記述をしてございます。

 また,この報告書の中に組み込まれなかった意見等につきましては,添付資料といたしまして16ページに載せてございます。

 また,そのほか,有志の委員の方から要望書として,第6回の協議会の運営に問題があるんじゃないかという御指摘を受けておりますけれども,これにつきましては,公開の場で構想審査会へ提出する報告内容に関しては,十分に時間を取って各委員からの意見を聞いた上で提出する旨を委員長である私から提案をして,異議なく了承されたものと認識していることを申し上げます。その結果として多くの意見が寄せられたと考えてございます。

 この協議会の委員長を引き受けるに当たって,会議が混乱するだろうなということを思いましたけれども,予想どおりなかなか大変な会議でございました。とは言っても,このような協議会というのは,本当に,東北6県全県の行政や医学部を有する大学,また医師会をはじめとする医療機関の代表者が一緒になって協議を行っているという大変貴重な協議会だったんだと私自身は思っております。今般は,医師養成や地域定着など,7つの条件を中心に地域医療全般について協議が行われて,なかなか合意に至らなくて更なる協議が必要であることもたくさんありましたけれども,協議会委員各位の精力的な審議によって大変意義のある協議ができたと私は考えています。

 ですから,今後も引き続きこの協議会の枠組みを活用して,東北の地域医療の課題について共通認識を形成することは,多分同じような問題に悩んでいる他の地域へのすばらしい情報発信になるんじゃないかと考えております。構想審査会の皆様におかれましては,本協議会の協議概要書報告についてよろしく御審議のほどお願いいたします。

 以上です。

【遠藤座長】  里見委員長ありがとうございました。これから質疑応答に入るのですけれども,その前に,構想審査会の委員から質問を東北薬科大学に対してお送りしております。そちらへの回答からまずお伺いしたいと思います。東北薬科大学からお願いしたいと思いますが,よろしゅうございますか。

【高柳東北薬科大学理事長・学長】  これは資料1-3ですね。審査会委員から事前に寄せられている質問に対する回答でございます。左の方の質問のところは省略いたしますけれども,1番目の回答,ミッションの問題ですけれども,なかなか微妙な質問で,目標は主たる目標なのか,あるいは付随的な目標なのかという質問を受けておりますけれども,本学医学部の主なミッションは,構想応募書に示したとおり,東北地方の医師不足による医療崩壊の現状を踏まえて,被災地の復旧・復興の核となり,東北地方の全域の医療を将来にわたって担い,超高齢化社会における地域医療提供体制に資することと理解しております。その目標達成に要する期間は,阪神・淡路大震災等の復興状況を勘案すれば,少なくとも15年から20年程度は必要ではないかとの認識を持っております。

 2番目ですが,修学資金制度に関して,宮城県に偏り過ぎではないかとの指摘は,教育運営協議会の議論の中でもございました。これを受けて,本学の出資により,宮城県以外の東北5県の対象人数の拡大を図ることとしております。あわせて,各県への修学資金の充実のための資金拠出の働きかけを継続して行っていきたいと考えております。

 また,東北6県全体の医師偏在の解消のためには,修学資金以外の地域定着策も充実させる必要があると認識しております。このため,本学としては,東北地方の各県当局,地元医学部等との連携の下,県ごとに地域医療ネットワーク病院を決定し,地域滞在型の地域医療教育を行うとともに,卒後研修やキャリア形成支援についても,連携しながら対応することにより,既存の医学部との取組と相まって,東北6県全体の医師偏在解消につなげていきたいと考えております。

 3番目の医師定着策について,修学資金を受けていない一般枠の学生も含め,全ての学生に対して同じカリキュラムを提供することとしております。特に地域医療教育では,自治医科大学が行っている出身県での地域滞在型臨床実習の内容を参考として,入学時に一般枠の学生に対しても,東北地域のいずれかの県を選定させ,その地域を繰り返し訪問滞在し,地域医療教育の実践を積み重ねることにより,その地域への愛着を醸成し,将来的にその地域での初期研修,後期研修につながるような教育を行ってまいります。

 またその際,自治医科大学等の先行事例も参考として,教職員全体の組織,学生の先輩が後輩を世話する仕組みなど,生活面,学習面において手厚く学生の支援・フォローを行う体制も併せて整えたいと考えております。このほか,修学資金制度の構築においても,勤務年限や契約方式等について,自治医科大学の方式を参考にしております。

 4番目,教員の確保でございますけれども,教員の確保に関しては,教育運営協議会における議論を経て,「公募指針」や「公募及び選考基準」を定め,広く全国から公募を行った上で,地域医療への影響や職位に見合った教育・研究業績を有するか等を総合的に勘案して採用予定者を決定いたしました。結果的に東北大学からの採用が多くなっておりますが,東北大学からの採用予定者につきましては,地域医療への影響について個別の状況を慎重に精査するとともに,東北大学への照会も随時行い,後任補充や玉突き人事等により地域医療に影響を与えないことを確認しております。

 5番目ですが,地域医療教育の問題ですが,カリキュラム編成に当たっては,北オンタリオ大学の教育プログラムの考え方を参考として,全ての年次でネットワーク病院や地域医療教育サテライトセンター等を活用し,切れ目なく地域滞在型の地域医療教育を行うこととしております。これは今のところ,地域医療教育サテライト,これが4週間,ネットワーク病院が2週間ということであります。なお,地域医療教育サテライトセンターには本学の教員が常駐する予定でありまして,東北6県のネットワーク病院には本学の教員が出向いて学生教育に当たることとしております。

 6番目,医学生が地域に根づいて更に診療する3条件としてとありますが,入学者選抜については,アドミッション・ポリシーとして,面接を重視し,地域医療に強いモチベーションを持つ学生を選抜するとともに,修学資金制度を通じて東北地方の出身者の志願を促し,東北地方への定着を図ることとしております。

 卒前教育については,1年次から地域医療の早期体験と地域住民との対話を行わせ,地域医療を担う技量と使命感を醸成するとともに,6年次まで同一地域に繰り返し訪問・滞在し,地域医療教育の実践を積み重ねることにより,その地域への愛着を醸成し,将来的にその地域での初期研修,後期研修につながるような教育を実施することとしております。

 卒後教育につきましては,6年間繰り返し訪問・滞在し,地域医療教育を実践してきた東北6県のネットワーク病院を中心に,各県の研修システムとも連携しながら,循環型の卒後研修を実施いたします。また,東北地方の各県当局・地元医学部等と連携して,総合診療医,ほかの専門医の取得など,医師のキャリア形成を支援して,地元定着を図ることとしております。

 7番目ですが,地域滞在型医学教育の要となる地域医療学教室に,これまで自らの所属する地域の大学病院で地域医療の再生や教育に注力し,卒業生のマッチング比率を飛躍的に改善させた実績を持つ教授,これまで地域医療に実績を持つ教授や,高齢者を中心とした地域医療・総合診療の経験が豊富な准教授など,高い見識と実績を有する教員5名を配置して,教授2名,准教授2名,助教1名という割合ですが,これを配置し,今後のカリキュラムの充実を図っていくこととしております。

 8番目,医学教育の質の問題ですけれども,本学は薬学部がございますが,本学薬学部には既に御指摘と同趣旨で薬学教育センターというものを置いてございます。薬学部の経験,このノウハウを生かして,医学部にも学生の教育支援,カリキュラムの改善,あるいは効果的な教育のための企画及びFD活動を行う医学教育推進センター,各地域の医療機関等を活用した教育プログラムの作成及び実施や当該機関との教育内容の調整を行う地域医療センターを設置し,教育水準の向上を図ってまいります。

 9番目ですが,2番目と回答が同じでございます。

 10番目でございますが,修学資金の件ですね。義務年限期間中は一つの指定病院に継続して勤務するのではなく,本学,若しくは各県のキャリア形成プランに従い,十分な専門教育が行われるようローテーションを行っていきます。その点は懸念がないと考えております。なお,卒後教育は,本学のネットワーク病院,若しくは各県の指定病院を中心として実施することを想定しており,地域医療教育サテライトセンターについては,主に学部教育の場として活用することを予定しております。

 11番目ですが,自治医科大学を含む10年後の義務年限を設定している他大学の事例も参考にしつつ,各県当局と緊密に連携しながら,東北地方を中心に事前のリクルートや広報活動を徹底することなどなどにより,優秀な学生を確実に確保できるように努めたいと考えております。また,義務年限の間のキャリア形成を含めた卒後の教育プログラムを充実させ,これを周知させることにより学生の確保を図ってまいります。

 さらに,入試方法についても,修学資金枠と一般枠の併願を認めるなどにより,修学資金枠を希望する学生が躊躇(ちゅうちょ)することなく本学医学部を受験できるようにしたいと考えております。

12番目は3番目と同じ回答でございます。

 13番目も,同じ質問で,4番目と同じ回答でございます。

 14番目,資金循環型の修学支援制度に関して,宮城県枠30名について,毎年一定の質を備えた学生を集めるのは困難ではないかとの御指摘ですが,宮城県枠30名については,宮城県の医師需給見込みに基づき設定されております。本学としても,宮城県と連携して,事前のリクルートや広報活動を徹底することにより,一定の質を備えた学生の確保に努めていきたいと考えております。

 15番目,教員の意識の問題ですが,教員採用に関しましては,募集要項において本学のミッション及び求められる教員像を明確にしており,実際の選考に当たってもこの点に十分に配慮し,採用予定者を決定しております。また,開設後も様々な研修の機会等を活用して,全教員が本学の使命を適切に理解し,共有できるよう徹底していきたいと考えております。

 16番目,東北の地域医療に貢献する意欲の高い学生を確保するという問題でありますが,11の答えとも同じであります。加えて,開学後も継続的に教育内容や施設・設備の改善を図るとともに,被災地域の復旧・復興の核となり,東北地方全域の地域医療を将来にわたって担い,超高齢化社会における地域医療提供体制に資するという本学のミッションを十分に果たし,東北各地で総合診療医として活躍する優秀な卒業生を輩出していくことにより,将来にわたって東北地方の地域医療に貢献する意欲の高い学生を確保したいと考えております。

 以上でございます。

【遠藤座長】  どうもありがとうございました。それでは,これまで御説明をいただきましたことを踏まえまして,御質問等あればお願いしたいと思います。どなたでも結構でございます。それでは,山口委員,お願いします。

【山口委員】  山口でございます。まずはこの短い期間に6回,協議会開催されたということで,全て議事録を読ませていただきましたけれども,非常に短い間に皆さんが忌憚のない御意見を交わされたこと,県を越えた貴重な話し合いの場だったのではないかなと思っております。

 今日の結果でどうなるか分かりませんけれども,もしこれが進む方向に行くのであれば,是非、教育運営協議会は継続していただいて,モデルケースに発展させていただきたいということと,今後はワーキンググループなどを作って,医療の受け手の人たちも中に入って意見交換できるような,そういうことに発展していければ理想的ではないかなと思ったところでございます。

 それを踏まえて,二つ質問させていただきます。特に今日の報告書の中にもございますように,東北に定着するということの実効性であるとか,修学資金についてなどなど,まだまだ懸念がたくさん残っているということですけれども,特にその中の教員の確保ということで,これは最後の最後まで協議会の委員の方々の懸念が払拭できなかったのではないかと感じております。私も資料を拝見しまして,東北大学からの応募が集中したということで,それに対して,大丈夫なのかなと思いましたが,先ほどの御説明にもあったように,そこは確認ができているということがございましたので,そこはそれといたしまして,結果的に採用予定者の78.2%が東北地方からの応募者になっているようでございます。当初,てっきり私は東北からの応募者が多かったことが理由でそういう結果になったのかと思っておりましたが,頂いた資料を拝見しますと,実際には東北以外から157名の応募があって,応募者全体から見ますと46%という多くの割合を占めておられるということが分かりました。ということは,東北からの応募者を多く採用する結果になったのではないかと思うんですけれども,そうなった理由として明確にお答えいただける点がございましたら,教えていただきたいということがまず1点でございます。

 もう一つは,私は医療の受け手の立場でこの中の委員に入らせていただいておりますけれども,活動を通して,医学部の講義であったり,模擬患者の活動であったり,あるいは共用試験実施評価機構などにも関わらせていただいている中で,教育をする教員の方たちの姿勢が非常に学生たちを作る大きな影響力になっているということを常々感じています。先ほど15番の質問の中で御回答いただきましたけれども,特に今回いろんなところから教員が集まってこられて,よーいドンで始まるということになりますと,教員の方たちの意識の統一をしておかないと、教育ということでは学生に及ぼす影響が大きいんじゃないかということを感じています。これまでの協議会の議事録にしましても,応募のときの資料を拝見しましても,教員に対しての働きかけというところが余り見えてこなかったように思いまして,この15番のところの質問をさせていただきました。実際に開学後も,とここの回答にございますけれども,開学後であれば遅いのではないかと思うんですけれども,その前から具体的に何か今準備されていることがございましたら,教えていただきたいと思います。その2点です。

【遠藤座長】  ありがとうございます。それでは,東北薬科大学のどなたが。お願いいたします。

【福田東北薬科大学医学部設置準備室長】  それじゃあ,福田がお答えいたします。最初の質問でございますが,東北大学の採用率が非常に高い,あるいは宮城県の採用率が非常に高いということの御質問かと理解いたしましたが,まず教員採用の手順といいますか,それを御説明したいと思いますが,公募要項に本学のミッション,東北地方の医療を支えるということをまず明記をいたしました。それから,教員として求められる要件といいますか,教員像も明記しております。臨床系につきましては,臨床中心の教育を行う。臨床の現場に直結するような臨床教育を行う。こういう教員を求めておりました。それから,基礎系の教員につきましては,臨床につながるような基礎教育をしていただきたい,こういうことを明記して公募いたしました。

 したがいまして,選考に当たりましては,これらの要件を満たしているかどうかというのが当然要件になるわけでございます。それに加えまして,もちろんこれまでの診療,教育,研究の実績,それから,地域医療に対する抱負ということ,あるいは具体的計画ということを書いていただいておりまして,その内容を十分に吟味いたしました。こういう選考過程を経て私どもが選んだのがこの結果であるということでございます。その結果,結果的には東北大学が非常に多くなったということがございます。

 それから,もう一つは,本学の応募者は,結局全員採用という,100%になっておりますので,それももちろん宮城県の割合が大きくなった一つの要因であろうかと思います。

 それから,これは繰り返しになりますが,選考の最終段階におきましては,臨床系教員にあっては,地域医療に与える影響がないということを担保するということを検証すると。それから,基礎系教員におきましては,医学教育に影響を与える,例えば法医学とか,非常に教員が少ないところでは影響が大きいので,それがないかどうかという検証,これをきちっとやりまして,そういうことをやった結果がこういうことということで,特に意図があってこうしたわけではないということでございます。

 それから,二つ目の御質問ですが,当然これは全国からいろんな方が集まって,東北は多いけれども,やっぱりいろんな方が集まっておりますので,公募要項に明記してあるとはいえ,そのミッションをしっかりと理解しているかどうかということは,これは当然問題になりますので,御指摘ありましたように,これは開学以前からやらなければ,明記しておりませんが,当然何らかの時点で何回か教員予定者を集めまして,説明会,あるいは意思統一のためのいろんな試みをやりたいと思います。しかも開学後もこれは継続して行わなければいけないと認識してございますので,そういうことをしっかりやりたいと考えております。

【遠藤座長】  ありがとうございます。山口委員,いかがでしょうか。

【山口委員】  ミッションを理解していた方が結果的に東北の応募者に多かったという理解でよろしいでしょうか。

【福田東北薬科大学医学部設置準備室長】  はい。

【山口委員】  教員の養成については是非力を入れていただきたいと思っておりますので,重ねて要望したいと思います。

【遠藤座長】  ありがとうございました。ほかに御意見,御質問ございますか。伴委員,どうぞ。

【伴委員】  医学教育学会の伴でございます。いろいろこれから少し突っ込んだ議論になるかと思いますけれども,少し総論的な御意見をお伺いしたいと思いますが,里見委員長が協議会をされていて,そして今後も継続をされるというふうな理解でよろしいんでしょうか。

【遠藤座長】  里見委員長お願いします。

【里見東北医科薬科大学医学部教育運営協議会委員長】  協議委員会の委員長を務めるかということですか。

【伴委員】  いや,この協議会が引き続き東北6県が参加した形で続けられるというようなディスカッション,あるいは続けるべきだというディスカッションが出ていたと思うんですけれども。

【里見東北医科薬科大学医学部教育運営協議会委員長】  多分開学後もいろんな問題が出てくると思いますので,この7つの条件が十分にクリアされているかということの検証をしながら協議する場は引き続きあるべきだと思っております。

【遠藤座長】  ありがとうございます。伴委員,どうぞ。

【伴委員】  もう一つは,私自身が注目していた点は別にあるんですけれども,結果的に非常に大きな問題になっているのは,4番の幅広く全国から公募をするという点と,それから,地域の医療に支障を及ぼさないというふうな点が大きく引っかかってくる結果になっていると思うんですね。それで,一つは,全国から広く公募するということに関しまして,公募の仕方ですね。どういうふうな公募の仕方をされたのかというのを高柳先生の方からお伺いしたいと思います。

【遠藤座長】  お願いいたします。

【高柳東北薬科大学理事長・学長】  これは,最初はまずホームページにアップいたしましたけれども,公募基準が決まりましたのが,正式な公募を開始できるという基準が教育運営協議会で決まりまして,これが11月11日頃だろうと思うんですね。そこで初めて正式にホームページにアップして,そして各大学等に公募の用紙を送ったと。本学の薬学部でも毎回教授とか教員は,教授以上は公募で必ずやっていますけれども,そういう各大学,あるいは関連教育機関,そういったものに公募用紙を送るということでやっています。その二つですね。ホームページと全国に送るということであります。

【遠藤座長】  伴委員,どうぞ。

【伴委員】  公募されて,もしそれぞれの大学,あるいは教育病院とかで関心のある方があれば,当然準備をする必要があると思うんですけれども,締切りまでの期間というのはどれぐらいなんでしょうか。

【高柳東北薬科大学理事長・学長】  これは,先ほど言いましたように,11月11日以降ですから,実質的には11月末なんですね,公募を開始したというのが。それで12月に入りまして,1月という,非常に正直言いますと,いわゆる公募期間が短かった。それはかなり影響はあったんじゃないかと思います。1年ぐらいかけて,あるいは半年以上かけてゆっくり公募してやる時間があれば,また多少違った可能性もあったかもしれません。

【遠藤座長】  伴委員,どうぞ。

【伴委員】  余り私ばかり質問していてもいけませんので,これで1回目の質問の最後にさせていただきたいと思いますけれども,やはり私たちの地域の名古屋大学が置かれる立場と東北地域で東北大学が置かれている立場というのは非常に歴史的にも似ているところがあると思います。それで,東北大学でたくさんの教員が資格を有しているというのは多分事実だろうと思うんですね。だけど,教員の方が全部東北大学から採用されちゃいますと,基礎系はそんなに影響ないのかもしれませんけれども,臨床系は,あちこちの病院,あるいは大学に東北大学は今まで歴史的に貢献されてきていますので,そこにいろいろな役割を期待されている部分があると思うんですけれども,どうしてもある一定数,そちらの教員の方が抜けると,玉突きというふうな表現をされていますけれども,順番にそこの穴埋めはこの方がする,その穴埋めで抜けたところは次の方がするというふうなことになると,どうしても足りなくなるということになると思います。特に今までの新設医科大学,昭和40年代から50年代の初めにかけて新設医科大学が続々とできたときに,例えば一つの所属機関からは3分の1以上は採らないようにするとか,これはまた違う理由で,数値の目標みたいなものを掲げていたのは,成文化されているかどうかは別にして,あったと思うんですけれども,今回は何かそういうふうな1機関に偏って採用しないようにということを東北医科薬科の方ではある程度念頭に置いてされたんでしょうか。

【遠藤座長】  お願いします。

【福田東北薬科大学医学部設置準備室長】  福田の方からお答えいたしますが,最初の質問は,名古屋大学と東北大学との比較ということで申し上げますと,確かにほぼ同じような状況かと思います。臨床系の教員採用,実は東北大学から46名でございまして,この数であれば,地域医療に関する影響はないと,軽微であるということを研究科長及び担当の教授からそれぞれ確認を取っておりますので,この範囲であれば大丈夫というふうに本学は判断いたしました。

 それから,二つ目の質問は,特に何%以下にするということは決めてございませんでしたが,協議会で決めたことは,地域医療に影響を与えるような,要するに一つの機関からたくさん採ったことによって結果的に地域医療に影響を及ぼさないようにということを基準として決めていただきまして,それには抵触しないようにということを心がけて慎重にやってまいりました。

 そういう意味では,検証しつつ,東北大学の46名の採用を決めておりますので,大きな影響はないかなと考えております。

【伴委員】  最後にコメントだけ。

【遠藤座長】  どうぞ。

【伴委員】   実際に臨床のいろいろ人事とかをやる立場からすると,やっぱり末端でどういうことが起こっているのかというのは分からないですよね。ですから,学部長さんとか教授がオーケーと言っても,本当にオーケーかということは極めて疑問であるということだけ,僕の感想として申し上げておきます。

【福田東北薬科大学医学部設置準備室長】  御懸念はもっともかと思いますので。実は協議会を今後も引き続き開催するということを決めておりますが,その一つの議題といいますのは,玉突きってすぐ影響がでないので,少し経ってから何か問題事例がないかどうかということも含めて検証するということを今後の議題としておりますので,それについてもきちっと後々まで見るということにしております。

【遠藤座長】  ありがとうございます。永井副座長,どうぞ。

【永井副座長】  私が懸念いたしますのは,定着のところです。本当にきちっと地域の病院に勤務してくれるのかということです。それは大学だけではなくて,県がかなり指導力を発揮する必要があります。地域医療支援センターができつつあります。既に地域枠の学生が何十人も各県で出ていますし,自治医科大学の卒業生もいます。それらの卒業生と今回の先生方の大学の卒業生を一体化してうまく定着を図る,あるいはローテーションをしていくということが必要だと思いますが、県によって対応は大きな違いがあります。東北はどちらかというと余り動いていないと思います。西日本の県は,既に自治医科大学の卒業生と地域枠の学生を学生時代から一体化して,県が音頭を取って地域に定着させるようにしています。そのあたりの話合いについて、各県,東北6県の知事さんの下で担当される方が今どういう体制を取っていて,今後どのようにしてしっかりと動かしていくのか,そういう協議をされたかどうか,そこは非常にこれから重要だと思います。

【遠藤座長】  お願いいたします。

【福田東北薬科大学医学部設置準備室長】  福田がお答えいたしますが,これは実は私ども,各県のいわゆる保健福祉部に相当する部署を各県全部回っておりますが,その交渉の中で,今先生おっしゃいましたように,いろんな制度による修学資金を受けている方が必ずしも一体化していないとか,別々に運用している県とか,それを今一体化しようと努力している県,あるいはかなり完成形に近い県と,いろいろございました。そういう意味では,その県,それぞれの県に対応した私どもの卒業生の研修体制は,もうちょっと時間をかけて調整しないと,いい体制が作れないと申しますか,そういうことを認識しておりまして,少しずつ今話合いを始めていると,そういう状況でございます。なかなか厄介でございます,正直申し上げまして。各県相当違います。

【永井副座長】  そこは是非積極的に県と話合いをして動かしてもらわないといけないと思います。大学だけでは限界がありますし,また大学が囲い込みをしてもいけないわけです。非常に広い視野に立った運営が大事だと思います。

【福田東北薬科大学医学部設置準備室長】  はい。御指摘のとおりで,県によっては医学部がかなり主体的に動く県もございまして,相当事情が違います。

【遠藤座長】  ありがとうございました。よろしくお願いします。ほかにございますか。それでは,小山委員,お願いいたします。

【小山委員】  小山です。今の質問に続くような話なんですけれども,基本的に東北6県の修学資金による募集人員の不均衡さというんですが,宮城が30人であと五人というところは,どうしてもやっぱり本当にいいのかなという感じがします。それが一つ。

 それからもう一つは,残りの45人はどういう形になるのかが,今のお話ですと,いろんな囲い込みをやってどうのこうのということですけれども,あとの45人がもしかすると手放し状態になっちゃうんじゃないかというような懸念さえするんですけれども,そこら辺は重点的に何かやる予定ではいらっしゃるんでしょうか。

【遠藤座長】  お願いします。

【堀田東北薬科大学医学部設置準備室委員・事務局長】  それでは,修学資金の部分,お答えいたしますけれども,御指摘のとおりでございまして,この不均衡については私どもも早い段階から改善を図っていく必要があると認識してございます。ただ,現時点ではいろいろ各県の事情がございまして,直接的な解決策というのはなかなか難しいんですけれども,とりあえず本学が拠出いたしまして,宮城県と同じような資金拠出型の枠を東北5県向けに採用したところでございます。今後,その運用状況を各県に見ていただきながら,各県に資金循環型の拠出について働きかけをしてまいりまして,順次拡大を図って,数のバランス,アンバランスを改善していきたいと考えてございます。

【遠藤座長】  小山委員,どうぞ。

【小山委員】  それから,もう一つが,先ほどの11番目のお答えの中で,修学資金の枠と一般枠のところの取扱いなんですけれども,これは併願を認めるというようなお話でしたけれども,優先順位はどういう形になるんですか。受験者の方の希望なんですか,それともそちら側なんですか。

【堀田東北薬科大学医学部設置準備室委員・事務局長】  受験者の希望を優先いたします。

【遠藤座長】  小山委員,よろしいですか。

【小山委員】  心配なのは,逆に言うと,せっかくお金を用意しても,そこに人が来ない可能性という懸念はないですかね。

【堀田東北薬科大学医学部設置準備室委員・事務局長】  全く懸念がないとこの場で断言はいたしかねますけれども,自治医科大の実績等,あるいは,本学の義務年限の間のキャリア形成プラン等,これを十分に御説明,入試の段階で,高校なり予備校なりに説明をして,周知を図り,御理解をいただいて,何とか確保できるようにしたいと考えております。

【遠藤座長】  ありがとうございます。よろしいですか,小山委員。

【小山委員】  はい。

【遠藤座長】  それでは,ほかにございますか。では,木場委員,どうぞ。

【木場委員】  どうも御説明ありがとうございました。その中で,少し感想めいてしまうかもしれませんが,教員の募集について先ほど御説明ありまして,実質的に募集期間というのが11月末から12月でしたが,1月まで延長したというところで,やはり印象としては,せっかく久しぶりに医学部を皆さんの期待を込めて開くのに,ばたばたと1か月少々の募集期間だったのかと。しかも募集を受ける方にしてみると,そんな短期間に年末年始も入ったり,いろいろ所属長との折り合い等々があるので余りに短くて残念で,もう少し周知が徹底されていたら,東北以外の先生にももう少し御興味を持っていただけたのかなと。締切りが決まっていたら,もう少し早いスタートというのが切れなかったのかというのが一つあるのと,あともう一つは数字の確認なのですが,採用予定者,3月1日付になっておりますが,もうこれは今後動かない,確定した数と思っていいのでしょうか。この2点です。すみません。

【遠藤座長】  お答えお願いします。

【福田東北薬科大学医学部設置準備室長】  福田がお答えいたします。まず公募の期間の開始時期でございますが,これは地域医療に支障を来さない教員公募の基準というのを教育運営協議会で認めていただかないと公募をスタートできないという事情がございました。したがって,11月11日までずれ込んだということがございます。

 それから,締切りを実は12月22日と設定しておりましたが,さすがに短過ぎて,もう半分も集まらないということで,実はさっきちょっと言い方がまずかったんですが,まだ実は締めておりません。いろんな協議会での御理解を得ないと,採用予定者も確定できないという状況でしたので,うっかり締めると不足するということがございますので,実はまだ締めておりません。そういう意味で,本来であればもっと時間をかけてやりたいということはございましたが,そういう外的な状況によってそうせざるを得なかったということでございます。

【木場委員】  ありがとうございます。

【高柳東北薬科大学理事長・学長】  期間がやっぱり短かったんですね。我々,想定していたのは,教育運営協議会1回ぐらいやって,すぐ教員公募をスタートできるかなと思ったんですが,非常に細かいいろいろな条件をやっぱり付けざるを得ないと。それで開始が非常に遅くなったと。特に実際やってみますと,一人について応募があっても,その意見書を付けてもらうわけですけれども,その意見書について,全員の当該の県の出身の,当該の県の医師会長,県,医学部と,そういうところに意見書がこうだったですよと,全部説明してもらわないといけないんですよ。了解をもらわないと。そのためにものすごく時間がかかりましたね。なかなか正直言って進まなかったというのがあります。

【木場委員】  ありがとうございます。

【遠藤座長】  ありがとうございます。一通りお聞きしましたけれども,更にお聞きしたい方,いらっしゃいますでしょうか。伴委員,どうぞ。

【伴委員】  ということは,今も公募はまだ締め切っていないということでよろしいんですか。

【遠藤座長】  そういうことですね。

【福田東北薬科大学医学部設置準備室長】  そういう意味では,この構想審査会が終わった時点で締める。それは結論にもよりますが,もちろんです。

【遠藤座長】  伴委員,どうぞ。

【伴委員】  協議会の中でもディスカッションされていましたけれども,かなり協議会がクローズドで行われているので,なかなか情報が外には広がっていかないということがあって,例えばこれは全く私の個人的なことで聞いてみても,そんな公募あるんですかというふうなことを言っている方が多いんですよね。先ほど一旦12月22日で締め切ったけれども,半分も集まらなかったので,もう一遍公募を延長したと言われました。それはよくありますよね,公募を延長してというのは。だけど,その公募を延長していることがどれぐらい広く全国に周知されていたのかということが問題だと思います。先ほどもありましたけれども,三十数年ぶりに新しい医学部が作られて,新しく医学部を作るということだと,初めて新しい試みができるというようなことも多々ありますので,皆,期待をしているところで,もし今日,この構想審査会で結果こういうふうな形で東北大学が,あるいは全国からのアプリケーションがこうだったというふうなことになると,極めて強い失望が広がるのが目に見えるようなんですよね。81番目の医科大学が,あるいは医学部がこれですかというふうなことになっちゃうと,これは極めて残念です。

【福田東北薬科大学医学部設置準備室長】  最初の協議会の委員からの御意見で,クローズドという表現がございましたが,実はあれ,人事関係のところだけクローズドにしておりました。その理由は,かなり実は詳細な,個人名は出さないものの,講座ごとの職員ごとのかなり詳しい一覧表をその場で出しておりまして,見る人が見れば,人物,名前が出ていない者を特定できるという資料でございました。したがいまして,これは人事を決めるという原則から考えると,公開できないということで,そこの部分だけ非公開にいたしました。

 それから,公募延長につきまして周知したかということでございますが,もちろんホームページで掲示しておりますし,それから,例えば関西など,なかなか知らない人がいるということも確かにおっしゃるとおりでして,ある意味では口コミといいますか,いろんなところに声をかけて,という活動をいたしまして,それでだんだんと集まったという経緯がございます。そういう意味では,そういう努力をいたしました。

【遠藤座長】  伴委員,よろしいですか。

【伴委員】  はい。

【遠藤座長】  では,永井副座長,お願いします。

【永井副座長】  将来的に問題になってくるのは,一つは学力の問題です。ここをしっかり見極める方策を考えていらっしゃるか。もう一つは,今地域枠の卒業生たちの中で奨学金を返還してしまうという人たちがかなりいるということを聞いています。私も細かい数字は知らないのですけれども,それは先生方にとっても,将来非常に重要な問題になりますので,その実態や背景を研究されていらっしゃるかどうか,その2点を教えてください。

【遠藤座長】  お願いします。

【福田東北薬科大学医学部設置準備室長】  御質問二つあるかと思いますが,学生の学力の件につきましては,現在実は私ども,薬学部を持っておりまして,これ,国家試験ございますので,学力を向上させるという意味で,薬学教育センターという組織を持っておりまして,学生のいわゆる学習支援ということを非常に丁寧に積極的にやっております。これと同じシステムを医学部においても作り上げようということで,医学教育センターの設置を予定しております。そういうことで,低学年からそういう学力をしっかりとサポートをしつつ,いわゆるその人の地域医療に対する熱意を失わせないような,そういう部分も含めて学生指導を行うということで考えております。

 それから,二つ目の御質問は,すみません。

【永井副座長】  奨学金を返還してしまう学生が地域枠学生の中でかなりいると,その実態と背景の調査,研究ですね。

【堀田東北薬科大学医学部設置準備室委員・事務局長】  その辺は自治医科大の例等を参考に大体一定比率。

【永井副座長】  自治医科大学は余りないですが。

【堀田東北薬科大学医学部設置準備室委員・事務局長】  すみません。それで,基本的には,まず修学資金制度の返還については,罰則規定という,そういう制度的なものはもちろん用意いたしますけれども,これは恐らくそういう制度だけで防げるものではないということで,やっぱりふだんの教育といいますか,地域医療にかける熱意であるとか思いというものをしっかりと形にして行っていく教育とタイアップしながら進めていくことで何とかそういったものを。

【永井副座長】  私がお聞きしているのは,今の実態です。いろいろな大学でそういうことが起こっているということを小耳に挟むので,その実態の把握とその背景について,あるいは対応策について研究が必要だということです。

【堀田東北薬科大学医学部設置準備室委員・事務局長】  すみません。その辺につきましては,今後もう少し詳細に検討,研究を進めてまいりたいと思います。

【遠藤座長】  永井副座長,いかがでしょうか。よろしいですか。

【永井副座長】  はい。

【遠藤座長】  ほかにございますか。小山委員,どうぞ。

【小山委員】  もう一つ,これは里見先生にお聞きした方がいいかと思うんですけれども,私,被災地支援をやっておりまして,東北地方に全国の大学から医師派遣のことをいろいろやっているときに,非常に医師が足らなくて困るということでもって動いていたんですけれども,被災があってから4年たちまして,大分事情が変わってきたと思うんですけれども,本当にこれだけの人数の方々が一挙に移動して,地域の医療に対して全く影響ないと言い切っていいのかどうか,そこら辺のところのお考えを聞かせていただけますでしょうか。

【遠藤座長】  里見委員長,お願いします。

【里見東北医科薬科大学医学部教育運営協議会委員長】  医療の現場から離れて3年程度経過したので,詳細に答えられるかどうか分かりません。これまで全国からいろいろ御支援をいただいて,被災地の医療をこれまでやってきたことは事実でございます。現在も九つの地域にいろんな医師を大学から直接派遣するようなことをやっております。それ以外にもたくさんの地域に医師は行っていると思います。今回40人以上出て大丈夫かという話だと思いますけれども,これは医学系研究科長にも,本当に大丈夫なのか,各診療科長等にしっかりと確認を取ってくれということを話してあって,今のところ大丈夫ですとの返事をもらっています。ただ,地域医療への影響というのは数年たって出てくる可能性がありますので,そういう懸念が出たときには,速やかに対処できるような体制だけは取りたいと思っているところです。本当に大丈夫かと言われても,今のところ大丈夫だというふうな意見を頂いていますということしか申し上げられません。【高柳東北薬科大学理事長・学長】  今40人とか50人いる10ぐらいの病院にいる人たちは,教育研究を本務としてやりながら,当然いわゆる地域医療貢献ということで地方の病院にも行っていると思うんですね。その方たちが本学に移った場合,教員として移った場合に,その地域医療貢献ができなくなってしまうと地域医療に影響を与えるだろうと思うんですけれども,東北大学からうちの大学,そう離れていないものですから,恐らくその人たちの教員がうちに来ても,今まで従来やっていた地域医療貢献は引き続き同じような形態でできるだろうと思って,40人が全く別なところに行ってしまって,地域医療貢献ができないということになるとあれですけれども,そういう意味では,地域医療への影響が少ないだろうと思っています。

【小山委員】  確かにそうかもしれませんけれども,怖いのは玉突きですよね。それがやっぱり一番怖いので,大丈夫だというお話ですけれども,これはやっぱり継続的にずっと見ていく必要があると思いますので,是非そのような考え方で見ていただきたいと思います。

【遠藤座長】  ありがとうございます。ほかにございますか。伴委員,どうぞ。

【伴委員】  もう一つの懸念は,東北6県が一体になってどういうふうな形で新しい新設大学にいろいろな知恵を注ぎ込めるかということだろうと思うんですね。とにかく,今まで三十数年新しい医学部ができていなくて,その間にいろいろ卒前教育の環境なんかもかなり変わってきて,そして,高齢化をはじめとして社会環境も大きく変わってきて,厚生労働省が打ち出す施策も地域包括ケアというふうな言葉が出てくるような時代になっていますので,そもそも今までの医学部の中では対応できないような部分が結構あって,でも,今までの医学部は,伝統的にカリキュラムも出来上がっていますし,教員もある程度それぞれの専門領域の教員がそろっていますので,なかなか変えようと思ったって変わらない部分が多いわけです。ですから,今度新しい医学部ができるというときに,思い切った地域医療,あるいは東北6県が一体になって地域を支えるような,ヘルスケアを支えると言った方がいいかもしれないと思うんですが,どういうふうな地域をベースにしたカリキュラムできるのか。これは学長でなくても結構ですけれども,お答えいただきたい。地域に学生が行くとかいうのは,今どこでもやっているんですよね。1年生のときに1週間ほど行って,そして4年生の後半から5年生のときの臨床実習のときには,地域に,関連病院に1か月行ってとか,あるいは,選択実習ではまた2,3か月地域に行ってとかいうふうなのは,普通の大学でもやります。そうではない,とにかく東北で新しく三十数年ぶりにできる新しい医学部で,地域医療というふうなものを最初のミッションに掲げて取り組むカリキュラムの斬新さみたいなものを御説明いただければ。

【遠藤座長】  お願いします。

【大野東北薬科大学医学部設置準備室委員】  大野がお答えします。先生の御質問に十分に答えられるかどうかちょっとあれですけれども,一つは,先ほど地域枠,あるいは修学資金の話が出ましたけれども,自分がその地域で将来生きていくんだ,その地域で仕事をしていくんだ,その地域で貢献していくんだという意識を持つためには,やっぱり一番いいのはそこの出身の学生だと思うんですけれども,一方で,一般枠なり,全国で集まってくる学生たちに地域医療を教育するときに,卒業した時点で,はい行きなさいと言っても,確かにそれは難しいと思いますし,そういう意味で,皆さん工夫されて,1年のときとか,今お話ありましたけれども,私たちが考えたのは,そこの出身の学生はもちろん,将来そこに行きたいという,ある程度選定はさせますけれども,1年のときにあなたが将来行く県というのをまず決めてしまう。これは学生の希望も聞きながらになりますけれども。で,1年だけではなくて,1年からまず4年,臨床実習に行くまでの間にいろんな社会学の教育等ございますので,そのときに決まったところに決まった学生はいつも毎年行かせると。そういうことによって,自分が将来貢献するであろう社会の地域の文化なり必要性,ニーズを知ってもらう。その上で,臨床実習のときには,先ほどネットワーク病院とございましたけれども,2週間,これは飽くまで病院での総合診療中心の臨床実習になりますが,同時に,更にプラスアルファで4週間の地域包括医療実習ということで,これは病院にもちろん泊まり込みになりますけれども,ここに関連する在宅とか,あとは介護施設とか,そういうところと行政も含めて,地域がどうやって包括医療を支えているのかということも含めて学んでもらう。そういう意味で,1年から6年まで切れ目なく訪問させて学ばせたいという,そういう形は考えておりますけれども。以上です。

【遠藤座長】  伴委員,どうぞ。

【伴委員】  これは,普通の今までの医学部でちょっと地域医療に力を入れていますというような感じのニュアンスに僕は聞こえるんですね。例えば今大学によっては,臨床ではなくて基礎医学に6か月配属とか,結構しているところが幾つかございますよね。だから,例えば新しいミッションを持った新しい医学部なら,地域に6か月行って,そこで実習するとか,そういうぐらいのものがないと。1か月行って,やっぱりお客さんで,おいしいもの食べていい空気吸って帰ってきましたではなくて,やっぱり地域の住民といろいろと生活するような思い切ったカリキュラムというふうなものが欲しい。だから,例えば東北大学も,僕,詳しいことは知りませんけれども,研究大学と言われているところは結構基礎配属というふうな期間を取っていますし,それならやっぱり医科薬科の新しい医学部は,地域配属だと,6か月だというふうなぐらいの何か新しさが欲しいなというふうには思いますね。

【福田東北薬科大学医学部設置準備室長】  御指摘のことは十分理解しておりますが,いわゆる医学教育の国際化に対応するという意味で,72週の臨床実習ということをまず前提といたしますと,要するに,カリキュラムが一定単位内にとどめるということを前提にしますと,なかなか組むのが難しくて,それでいろんなところが若干不十分になるという結果になっております。

 それから,基礎医学でございますけれども,東北大学は3か月なんですが,これも本当は取りたいんですが,残念ながらしばらく研究ということは優先順位はちょっと下げざるを得ないと。臨床中心に総合診療医を養成するということにある程度重点を絞るという観点からカリキュラムを置いて,しかも,トータル260単位ぐらいに収めるという観点からしますと,なかなか先生おっしゃったことが結果としては実現できなかったということでございます。

【伴委員】  最後に一言。またお譲りしますので。僕が基礎配属になぞらえて,地域実習6か月と言ったのは,それは実習ですよ。ですから,別に地域に行って研究するわけではありません。しかも,ちょっと全然話題が違いますけれども,分野別認証,別に72時間というふうなものがマジックナンバーとしてあるわけでもないので,しっかり新しい理念を持って,地域立脚型のカリキュラムで,6か月この地域に行って実習していますというのは全然抵触しないです,分野別認証には。

【遠藤座長】  ありがとうございます。木場委員,どうぞ。

【木場委員】  ありがとうございます。伴委員の意見にかぶせてで失礼いたしますが,今回の医学部ができてよかったなと,後で検証する際,55人に関しては一応10年間東北にいるという縛りがあって,途中でお金を返すという話もありましたけれども,それは置いておいて,残りの45人が自ら東北にどれだけ残ったかという,その数字が恐らく10年後以降に評価の一つの指標になると思います。伴委員がおっしゃったように,今までの既存のカリキュラムとか,意識付けではなかなか難しいところがあると思いますので,そこは、ほかがやっていないこと,あるいは逆に,ほかが成功している事例,海外事例も含めて,そこは工夫していただきたいという希望がございます。

 あと,もう1点,入り口のところの面接ですけれども,そこもやはり皆さん入りたければ,私は東北に残ります、と言うと思うので,面接の工夫というのも,もう一段何か必要だという気もいたします。

 最後に,素人ながら恐縮ですけれども,カリキュラムの中で私はコミュニケーション能力をもっと高めていただきたい。つまり,伴委員がおっしゃったように,6か月,もしかしたら縁もゆかりもないどこかの県に行ったときに,言葉がちょっとなじめないとか,戸惑いがあるかもしれませんけれども,何かコミュニケーション能力を高めて,そこでの成功体験を積み重ねることが自信につながると思います。通常のカリキュラムの中にそういったものを入れていただくことを希望致します。よろしくお願いいたします。

【福田東北薬科大学医学部設置準備室長】  ありがとうございます。

【遠藤座長】  ありがとうございました。お待たせしました。永井副座長,お願いします。

【永井副座長】  総合医の養成を大きな目標にしていますが,現実には地域では総合医だけではなく,専門性もないと駄目だと言います。また,若い人たちも何らかの専門性を求めますから,総合医プラス専門医,何らかの専門医を持てるようなカリキュラム,あるいは卒後の指導体制,ローテーションが必要だと思いますけれども,何か案をお持ちでしょうか。

【福田東北薬科大学医学部設置準備室長】  先生がおっしゃるとおりでございまして,やはりある種の専門性が地域にも必要であるということは,これは事実でございます。それから,学生がやはりある種の専門性というものを望むといいますか,仮に地域医療をやるとしても,やっぱりかなりの人数が専門性を求めているということも事実でございます。そういうことを勘案いたしまして,私どもも10年間の勤務期間の中に,循環型のキャリア形成プランというのを用意しておりまして,一定の期間はある先端病院に行って専門性を,あるいは大学でもいいんですけれども,そういうことを循環しながらやると。その循環するためには,その人が移動したときにそこを補充しなければいけないので,それを大学として工夫しようということで考えております。

【永井副座長】  それは大学だけではできないのです,地域が広いですから。そういう意味で,県がイニシアティブをとって,自治医大の卒業生と地域枠の卒業生,そして,東北医科薬科大学の卒業生,これを一体にして動かさないと,大きなアンバランスが起こってくると思います。

【福田東北薬科大学医学部設置準備室長】  はい。おっしゃるとおりだと思います。十分にそこは詰めたいと思います。

【遠藤座長】  ありがとうございます。それでは,山口委員,お願いします。

【山口委員】  私は東北6県に定着ということの実現性に非常に難しい面があるんじゃないかと最初からずっと思っているんですけれども,先ほどのお話の中で,1年生の段階で,どの県にというようなことを決めるというお話がございましたけれども,高校を出て1年生の段階で,例えばいろんな地域から学生が来て,東北6県の特徴も何も分からなくて,どこかを選びなさいと言われたときに,果たしてきちんと自分の思っていることと一致するところを選べるんだろうかと疑問を感じました。例えば行ってみたら,自分の思い描いていた県と違う。でも,それは6年間,そこでずっと,一つ決めたところでやり続けないといけないのか。学生が選べるだけの手段をどのように御提示される予定なのか,そのあたりが今の御説明の中で気になったので,何か御予定があれば教えていただけますか。

【遠藤座長】  お願いします。

【大野東北薬科大学医学部設置準備室委員】  二つございまして,一つは入学前の大学紹介のときに,これは各県を回って,いろんな仕組みを議論しているときに,大学の説明の中で当然奨学金が入ってきますから,奨学金の説明の中で各県の特徴を各県の代表者の事務方の方も来ていただいて,県庁の方とか,そういうことで話をする機会を設けたらどうだろうかという議論はございました。それも一つ大事なことかなと思います。

 あともう一つは,入学してすぐどこの県と,これ,確かに難しい話で,教養科目の中に大学総論というのを作りまして,その中で教育系の先生たちから各県の文化の話とか,実際に,奨学金の学生はもう決まっていますけれども,一般枠の学生で決まっていない学生に関して,各県に日帰り,できれば1泊2日ぐらいで文化を見てもらうと。そういうことで県を見た上で決めてもらうということを考えています。

 それとあと,教育が始まってからそうじゃなかったということもあるかもしれませんけれども,そこはなぜそうなのかと,その辺の理由を聞きながら,話し合っていきたいと思っています。

【山口委員】  教育運営協議会の議事録を拝見していても,6県の温度差というか,この大学に寄せる期待とか,そういったものの違いのようなものも行間から相当感じることがございましたので,そのあたり,一律にしていくのが非常に難しいんじゃないかなということを感じています。話に聞いているといい形になるかもしれないと思っても,現実とのギャップをどう埋めていくのかというのが非常に課題かなと私は思っております。

【遠藤座長】  ありがとうございます。ほかにございますか。よろしゅうございますか。伴委員,よろしいですか。

【伴委員】  質問しないとこれで終わりなんですか。

【遠藤座長】  はい。

【伴委員】  いろいろ質問したいことございます。

【遠藤座長】  どうぞ。

【伴委員】  この後また協議はあるんですか。

【遠藤座長】  もちろん我々の議論はありますけれども。

【伴委員】  やっぱり里見先生の報告にもありますように,こういうふうな形で6県が集まっていろいろ地域医療のことをディスカッションするというのは初めてで,非常に有意義な面もあったけれども,難しい面もいっぱいあったということなんですけれども,各県が,里見先生の御感想でも結構なんですけれども,これからも6県,いろいろ知恵を出し合って,新しい三十数年ぶりにできる医学部が,地域をまず念頭に置いたちょっと今までの伝統的な80大学の医学部とは違うものにしていけそうでしょうか。

【遠藤座長】  里見委員長,お願いします。

【里見東北医科薬科大学医学部教育運営協議会委員長】  それを判断してもらうのがこの会かなと私自身は思っておりますけれども。今回の議論の進め方として私の取った手法といいますか,まず薬科大さんの方に,この7つの条件に対して,それぞれ対応案というものを出していただいて,それに対する意見や懸念というものをたくさん述べていただいて,また次回にはそれに答える形ということを繰り返し,できるだけ合意点を多くしていこうとは努めてまいりましたけれども,報告書にありますように,やっぱりそれでもかなり意見の相違とか懸念事項があったように思います。なかなかそれをすぐには解決はできないと思いますけれども,結構お互いに本音の部分をぶつけ合っていますので,これらが本当に解決できればすごく大きな進歩になると思います。ただ,地域への定着策などというのは,多くの関係者がいろんなことを考えても,これまでなかなかうまくいかなかったからこういうような状況になっているということを考えると,すぐに解決策が見つかるものではないだろうなと思いながら,両論併記的な形になってしまったように思います。

 ただ,いろんな提案されたことの実効性とか,そういうものも含めて,各県とはかなり密にこれから連絡を取り合わないと,述べられている構想自体の実現も大変じゃないかなという気はいたします。私の感想でございます。

【遠藤座長】  どうもありがとうございます。じゃあ,永井副座長,どうぞ。

【永井副座長】  いろいろうまくいっていないからこういう事態になったということですが,多分そういう感じだと,増やしても全然解決にならないと思います。医師不足は全く同じだということになります。それで,今いろいろな医療制度改革が行われていて,地域医療ビジョン,あるいは協議会だとか,都道府県知事のリーダーシップなど,いろんな手が今打ち出されています。ですからこのシステムをうまく使うよい機会だと思います。そうすれば,五十何人かの枠であっても,相当機能してくるし,そうした対応をしないと,恐らく100人,200人増やしても全く焼け石に水だろうと思います。是非これは東北全体で考えないといけない問題だろうと思います。

【里見東北医科薬科大学医学部教育運営協議会委員長】  私が答えるべきかどうか分かりませんけれども,いろんな案が出てきて,多分それを酌み取った形で,薬科大の方でいろんな対応策を講じていると思います。それが十分に対応になっているのかどうかという判断をこの会で受けなければならないのかなと思っております。

【遠藤座長】  ありがとうございます。お願いします。

【高柳東北薬科大学理事長・学長】  当事者としてあれですけれども,6回協議会やってきましたけれども,なかなか正直言ってかみ合わないところが多くて,それが報告書に反映されているのかなと思いますけれども,既存の自治体,医学部,関係者がみんな果たして本当に連携がうまくいっているのかという,既存の6県のですね,そういう印象を受けましたけれども,それを解決していかないと,先ほど言われましたけれども,卒業生をちょっと出してもどこへ行ったんだか分からないような形になってしまう可能性はあるだろうなと思います。ただ,そういう意味で,今度の新しい教育運営協議会のシステムをいいような形に発展できればいいんじゃないかなと思っているんですけれども。

【遠藤座長】  ありがとうございます。どうですか。よろしゅうございますか。

【伴委員】  もう1問だけ。

【遠藤座長】  どうぞ,伴委員。

【伴委員】  先ほどの公募のことに関してなんですけれども,こういうふうな形で今公開されてディスカッションしていますよね。それで,まだ公募は締め切っていないということですし,東北医科薬科の方でもう一度全国的にある程度,まだ締め切っていません,こういうふうなミッションを持った新しい医学部の設置に意欲を持っている教員求むというふうなことを出されるお気持ちございますか。

【高柳東北薬科大学理事長・学長】  先ほど言ったように,今回の教員公募というのは,普通の公募と違ってものすごく手間がかかっちゃうんですね,時間が。地域医療に支障がないかということで,意見書を求められると。上司の方は,学長とか部長とか,大変忙しい方ですので,それを上の方に求めても,返ってくるまでにものすごい時間がかかっちゃうんですね。ですから,うまく人数的に調整できなかったというのもあるだろうと思うんですね。

【伴委員】  多分今学長がおっしゃっているのは,東北地方から教員が応募があったときには,かなり緻密な,普通の公募ではない形での書類を整えないといけなかったんだということをおっしゃっていると思うんですけれども,東北地方以外の全国から公募なさるのなら,普通の教授公募という形で書類を求めるだけでいいんですというふうな形ならいかがでしょうか。

【高柳東北薬科大学理事長・学長】  教育運営協議会では,東北以外も全部意見書を出せと,こういうふうなことを言われていまして,現在東京にいる人が,例えば東北から行って,採用する場合に,少なくとも東北から出て2年以内の場合は,意見書もきちっと取らないといけないと。玉突きのことを説明しなくちゃいけないという,非常に教員公募の点で制約を,制約と言うと怒られるかもしれないですけれども,教育運営協議会で厳密な公募基準を作られましたので,それにのっとってやるという形になっていますが。

【伴委員】  どうしても全国から広く人材を登用するということに対する取組の姿勢が,縛られちゃっているからしょうがないしと言うと,そうすると,地元で情報が,こういうふうな形で進行しているということに詳しい人の方がキャッチしやすいですし,応募に対する準備もしやすくなっちゃうと思うんですね。ですから,そういう意味では,そういうふうなことを一考されることを僕は求めたいと思いますけど。

【遠藤座長】  ありがとうございます。ほかには。小山委員,どうぞ。

【小山委員】  今日報告書という形でもって資料の2を頂いているんですけれども,この中でちょっと気になるのは,後半の方の添付の方の15ページ以降ですね。これを我々構想審査会とすれば,どのように考えたらよろしいんでしょうか。特に15ページに書いてあるのは,下段の方を見ると,最低限の条件として二つ言っていますよね。こういうことがこれから動きながら解決できるというふうに考えてよろしいのか。あと,それから医師会からも出ていますけれども,この辺のところは,進めながら解決していくという考え方でよろしいんでしょうか。

【里見東北医科薬科大学医学部教育運営協議会委員長】  先ほどもお話しいたしましたように,今回は議論の進め方として,7つの条件についての対応をまず出してもらって,いろんな意見を頂いて,修正をかけるということを繰り返していくような形でやってまいりました。最終的な案を提示しても,たくさんの議論があったことは事実でありますので,それはそのとおりここに報告をいたしました。これについては,なお協議をしながら解決しなきゃならないと思いますけれども,それがすぐにできるとは,なかなか難しい面もたくさんあるとは思います。でも,いずれは解決しなきゃならない問題ですから,この協議会というものが続くのであれば,続けた方がいいと思いますし,是非そういうことを解決できるように努力はしたいと思います。ちょっとお答えになっているかどうか分かりませんけれども。

【小山委員】  いえ,十分お答えいただいたと思うんですけれども,結局これを我々,この会として受けるかどうかの非常に大きな要素になってくるので,委員長として,これは引き続きやりながら解決していくと,いけそうだというようなお話を聞ければ,それで十分だと思います。

【里見東北医科薬科大学医学部教育運営協議会委員長】  それは本当にやっていかなければならないと思います。

【遠藤座長】  ありがとうございます。ほかによろしゅうございますか。それでは,山口委員,どうぞ。

【山口委員】  私も,要望書にしても,意見書にしても,拝読しますとかなり厳しい御意見かなと思っています。先ほど高柳理事長が,なかなか各県の中でも三つのステークホルダーの一致していない面があるとか,制約がいろいろあってとおっしゃいました。確かに今回の6回の協議会の議事録を拝読しますと,東北薬科大学の皆さんが被害的になってしまうぐらい,いろいろ責められたという感覚をお持ちではないかと思うんですけれども,ただ,やっぱりこれを進めていく,一つにまとめていくとしたら,東北薬科大学の皆さんがどう協議会に前向きに関わっていって,まだ十分コミュニケーションが取れていないというところも,話を進めていく中で一つにまとめていく,とても重要なお立場にあるんじゃないかなと私は感じます。

 ですので,是非,もしこの先医学部設置へと進めることになるとしたら,東北6県の皆さんに協力していただききたいという思いを伝えて、6県の間に入ってつなぐ役割を果たされるかが問われるのではないかと思います。この後、結論を考えるに当たって、そのあたりのご覚悟というか,お気持ちというか,その辺りをお聞かせいただきたい。構想審査会の委員は、本当にこれでやっていけるんですかという思いを多分みんな持っているんじゃないかと思いますので,そのあたりの今のお気持ちを,ちょっと難しい質問ですけれども,聞かせていただければと思います。

【遠藤座長】  高柳理事長,お願いいたします。

【高柳東北薬科大学理事長・学長】  重要な案件と二つ書いてありますけれども,2番目の地域医療に影響しない教員採用問題,看護師採用問題。これは教育運営協議会で厳しく公募基準というものを決められまして,そのとおりにしておりますので,これはもうクリアできているんじゃないかと私は思っております。その公募基準に沿って採用したものの教員については,全部意見書を取って,それぞれの担当の上司に意見を伺ってやっているということですので,正直言うとそれ以上やりようがないんじゃないかなと。

 で,1番目の地域定着策。これについては,確かに奨学金の問題がいろいろ金額,資金の問題がいろいろあって,制度がいろいろ変遷していますので,余計誤解を与えたような気持ちがするんですけれども,現在,宮城県の方がトータルで80億ぐらいは出すと言っていますので,30人分の方の制度はそれなりに解決できるだろうと。

 あとは,我々,東北5県の方の学生をどうするかという。それについては,各県の,これから東北5県の各県の関係自治体,そういうところに協力を働きかけながら,少しずつ増やしていくと。例えば奨学金とか何かを我々の制度の上に乗せていくことができないのかどうかと。基本的には奨学金の問題は資金の問題ですから,それがクリアしないとなかなか幾ら考えても難しいと思うんですよね。それをどういうふうに各県に訴えていくかだろうと思いますけれども。

【遠藤座長】  ありがとうございます。山口委員,よろしゅうございますか。

【山口委員】  今は多分具体的なことに対してここを改善すべきとか,ここは対策を立ててくださいとか,いろんなことを要求されて,対応されている状況だと思います。しかし,今後を考えると,東北薬科大学の皆さんの本気度で各6県の協議会の委員の方たちの気持ちをいかにつなぐのかにかかっているのではないかと思います。多分今も御尽力されていることは重々分かっていますけれども,更なる姿勢というものがほかの6県の皆さんに伝わるかどうかというところが私は正念場なのかなと思っておりまして,そのことを一言お伝えしました。

【遠藤座長】  ありがとうございます。ほかによろしゅうございますか。じゃあ,伴委員,お願いします。

【伴委員】  先ほどの地域医療実習ということに絡めてのお話なんですけれども,奨学金を返したがる人がいるというふうなことは,やっぱりほかのいろいろな地域枠を持っているところを見ると,地域診療義務みたいな感じで考えちゃうというふうな場合が多いんですよね。私も昔,臨床研修に自治医大の学生さんと一緒に仕事していたことありますけれども,本当は地域に行った方がすごく勉強になっていろいろな経験ができるのに,行かされるというふうな感じになると,これはもうそんなんだったら奨学金は要らないというふうなことになりがちになるんですけれども,例えばオーストラリアでは,地域に行って実習する方がはるかに今の高度最先端の医療をやっている大学病院でやるよりは基本的な臨床能力の勉強にはなるし,地域のいろいろな文脈に応じた医療以外の保健とか福祉とか,そういうふうなものの勉強にもなるというふうな形で,むしろそういうカリキュラムの方が人気があるのです。そうなると、伝統的な医学部もそのような斬新な地域立脚型のカリキュラムの影響を受けて変ってくるといった状況がオーストラリアではあるんですね,現実に。ですから,東北医科薬科がせっかく新しい三十数年ぶりにできる医学部ですので,そういうふうな斬新な地域立脚的な教育設計をされて,東北医科薬科の学生は地域に行ってすごい実習をやってというふうなことで,伝統校ももっと地域でやるような教育設計も入れていくみたいな影響を出すというぐらいの新たなチャレンジャーの気持ちで設計をしていただきたいと思います。

【遠藤座長】  ありがとうございます。よろしゅうございますか。

 それでは,大分時間をオーバーしておりますので,これにてヒアリングは終了したいと思いますけれども,非常に貴重な有意義な意見交換ができたと思っております。里見委員長をはじめ,東北薬科大学の皆様,本当にどうもありがとうございました。

 それでは,これでヒアリング終了いたしますので,東北薬科大学の皆様と里見委員長には御退席をお願いしたいと思います。どうも長時間ありがとうございました。

(東北薬科大学、東北医科薬科大学医学部教育運営協議会委員長退室)

【遠藤座長】  それでは,引き続き審議を行いたいと思いますけれども,ただいまのヒアリングを踏まえまして,7つの条件への対応状況等について,また委員の間で意見交換,あるいは達成度に対する検証,こういったことを行っていきたいと考えます。先ほど説明の中にもありましたけれども,事務局で整理をしていただいた主な論点というものも参考にしながら,東北薬科大学の選定条件への対応状況について御意見を承れればと思いますけれども,これまでの議論の引き続きということになりますが,どなたでも結構でございますけれども,いかがでしょうか。主な論点というところ,それから,ただいまのヒアリングした内容,あるいは,構想審査委員からの質問とその回答及び協議会から出されている報告書,こういったものが議論の参考になるかと思いますけれども,ある意味主な論点というのが,まさに論点を集約しているというところでありますので,このあたりを中心に議論をするとかみ合いやすいかなと思いますけれども。

【伴委員】  よろしいですか。

【遠藤座長】  伴委員,どうぞ。

【伴委員】  教育運営協議会からの報告書にありますように,どうもやっぱり余りカリキュラムとかのことについては,そんなには議論の俎上(そじょう)には上がっていなかったみたいですね。

【遠藤座長】  そうですね。

【伴委員】  議論できませんでしたと書いてありますので。ですから,主にここでもいろいろ質疑が出たような問題に関してどういうふうに考えるのかなという。カリキュラムは,今日,先ほど福田先生がお答えになったのも,全然僕の質問とかみ合っていないようなお答えでしたし,ですから,現実にはこれから具体的に立てられていくんだろうと思うので,そこでしっかり反映させていただきたいと思います。

【伴委員】  はい。

【遠藤座長】  ありがとうございます。山口委員,どうぞ。

【山口委員】  主な論点の五つを一つ一つ,イエス,ノーで答えを出すとすれば,もう全部できていますという答えにはならないのかなというのが正直なところだと思います。

 ただ,かなり協議の場で紛糾したということから考えると,まだ今道半ばではないかというのが正直感じているところでもございまして,今の時点で完成形で動き出すということはまずあり得ないのかなと議論の展開を見ていて思いました。今なお強く懸念も残ってはいるんですけれども,教育運営協議会の議事録を1回目から順番に読んでいくと,反対意見は出つつも,貴重な意見がいっぱい出てきていて,一つにまとまり始めているように感じます。さらには反対している,懸念をいっぱい出している方がこの協議の場を継続しなきゃいけないという発言もされているということからしますと,教育運営協議会,文科省,そしてこの構想審査会という三重のチェックが入っているということもありますので,どういう形に作っていくのかを考えることが大事なのかなと思います。今できていますかというと,できていないけれども,これから先どうするのかと。恐らく現段階で認めたとしても,今後新たにいろいろと,今出てきていない問題も更に出てくるんじゃないかなという気がしますので,それも含めて,6県で共有しながら,三つのチェック機能というか,それを発揮していくしかないのかなと私自身は感じております。

【遠藤座長】  なるほど。ありがとうございます。フリーディスカッションですので,ただいまのご発言に関連する話でも結構ですし。永井副座長,どうぞ。

【永井副座長】  在学中のカリキュラムだけではなくて,卒後カリキュラムをどう組むかということが非常に重要です。先ほどお話しした何らかの専門性を持った総合医をどう育成するか,またローテーションをどうしていくのか。これは東北薬科大学だけがやったら,これまた大学の抱え込みになりますので,他大学,各県,そして地域の病院,診療所,そこに東北薬科大学が加わって,全体で考えるシステムを責任持って作ってもらわないといけないと思います。それがない状態では,取った,取られたみたいな話になります。これを契機として,新しい地域医療ビジョンを,住民,行政,医療関係者,大学関係者が一緒になってやるべきであるということを強く書き込むべきではないかと思います。

 それから,奨学金返還者というのはこれからだんだん大きな問題になります。よくそこは研究して,なぜ奨学金を返還する人がいるのかということを調べてください。これは先ほど伴先生がおっしゃったように,どこに魅力を置いて教育すべきなのかという問題でもあります。卒後のカリキュラムの問題というのは非常に大きいのではないかと思います。そこまでスコープを広げた対策,準備が必要だということだと思います。

【遠藤座長】  ありがとうございます。ほかに何か御意見ございますか。主な論点というところがベースになるかなと思いますけれども。

【伴委員】  よろしいでしょうか。

【遠藤座長】  伴委員,どうぞ。

【伴委員】  3番目の教員や医師の問題なんですけれども,先ほどちょっと質問での御回答でもありましたように,非常に応募しにくいような状況が設定になっていたんですね。それはしょうがない面もあると思いますけれども,情報が十分ある地元の方の方が応募しやすいということに当然なると思います。協議会でも大きな問題になっていますし,それから,先ほどから出ています,一定の医師の人数が限られた中で,何人かが抜けていくと,それを補充する,それを補充する,それを補充する,それで,今まで四人行っていたところが三人しか送れませんというふうな話に当然なりますので,そういう意味では,もう一段,先ほどまだ公募中というふうに,これもどういうふうなスタンスでおっしゃったのかはちょっとよく理解できませんでしたけれども,本当に公募中なら,もうちょっと徹底して周知をして,余り東北の人が動き過ぎにならないように,全国からも有為な人材を確保するという手立ては取っていただきたいと思います。

【山口委員】  今のことに併せていいですか。

【遠藤座長】  山口委員,どうぞ。

【山口委員】  今の伴委員のお話に関連して,私は先ほど質問の御回答の中で,たしか構想審査会が終わったら公募は終わりますとおっしゃったように聞き取っていたんですけれども,事務局にお聞きしたいんですが,流れとして,公募の継続ということは可能なんでしょうか。

【遠藤座長】  完成年度までの教員は,初めに確定しておかなきゃいけないんですか。そこの確認だと思いますけれども。新設の大学のときの設置審査のとき,完成年度に必要な教員の確定が必要になるかどうかという,そういうことだと思いますが。

【新木大学設置室長】  大学設置室長でございますけれども,基本的に設置審査の中では,完成年度までに教員をしっかり確保しておくということですので,そこまでには確保しておかなきゃいけないという形になります。

【遠藤座長】  今段階で決めなければいけないのですか。

【新木大学設置室長】  ええ,そういう形になります。

【遠藤座長】  ということで,一応全員分は,完成年度に必要な教員は今の段階で決めておく,もし設置審に申請するならということになりますが。

【山口委員】  公募は継続できないということですね。

【佐藤医学教育課大学改革官】  多分薬科大さんの説明に不十分な点があったんだと思いますけれども,形としては確かに今,公募継続はされているんですけれども,薬科大さんとしては,採用予定者としては、3月1日時点で示しているもので認可申請に臨みたいということで,それをもって進めていきたいと。ただ,一応構想審査会の御了解を得た上で設置認可申請をするということになっておりますので,形としては一応あけているというふうなことで聞いております。

【遠藤座長】  山口委員,よろしいですか。

【山口委員】  はい。

【小山委員】  形としては,とは。

【佐藤医学教育課大学改革官】  正確に申し上げますと,薬科大さんの方で一度公募について12月22日までということにはしておるんですけれども,その時点で十分に集まらなかったので,形としては,後ろの期限を決めずに引き続き応募はしていますと。ただ,必要な教員が集まり次第締め切りますという形で,ホームページ上はずっとそのままにしていると。ただ,当然設置認可申請の準備がありますので,3月1日現在までのところで,薬科大さんとして必要だと考えられる教員については既に集めているということだと思います。

【木場委員】  今公募しているという言葉にはあまり意味がなかったということですか。今からでは間に合わないということですね。

【小山委員】  もういるわけだからね。

【遠藤座長】  ほかには,1から5,どれも全て完璧にということではなくて,全て課題は残っているわけですが。

【小山委員】  やっぱり一番問題は5番目なのかなと。議論が十分尽くされているかというんですけれども,これで尽くしているのを待っているといつまでたっても終わらないと思うんですけれども,それを結局この委員会の中で,ここまで議論が進んでいればいいだろうという結論を出さなきゃならないかなと思うんですけれども,そんな考えでよろしいんでしょうか。

【遠藤座長】  どうでしょうか,ただ今の小山委員のご発言について。

【山口委員】  先ほどのヒアリングのときに最後に申し上げたのですが,今はまだ十分に力を尽くされていないと思うんですけれども,今後の東北薬科大学の姿勢がとても大事になってくるんじゃないかなと思っています。議事録を拝見していても,協議会の最初のころは,なかなかうまく交渉できていないような印象を持ちました。今後,うまく交渉していかないと,あれだけの大人数の教育運営協議会の委員の了解を得ることはとても難しいと思います。例えば今日,もしこの場に教育運営協議会の方たちがいらっしゃったら反感を買うのではないかと思うような発言をされたように私は受け止めました。やはり教育運営協議会の委員の方々が,協力しようという気持ちになれるかどうかによって,この協議会がいいものになるかどうかが変わってくるように思いますので,そこをうまく継続できるようにしていただくことがとても大事かなと思います。何か反発を感じるようなことになると,協力も得られず,東北6県の医学部にはならないと思いますので,そこが,結構感情的な部分かもしれませんけれども,大きいのかなというのは感じました。

【遠藤座長】  ありがとうございます。木場委員,どうぞ。

【木場委員】  今の協議会の話のテーマとは違うかもしれませんが,一例というか,今日お話を聞いていて感じたのが,積極的な姿勢というのをもっと打ち出してほしいと。伴委員が先ほどからおっしゃっているように,要は12月23日から1月以降ももっと公募していますというところをどのぐらい積極的にもう再度情報を流したか。つまり,先ほどホームページには現在も継続中で出していますと言いますけれども,それは受け身であって,そこに興味を持ってアクセスする人がいなければ,今も継続募集中ということに気づいてもらえない。だから自分から仕掛けていって,大学に,病院に,呼びかけることが必要だったように思います。説明を聞いていて手続が大変だったのも分かるのですが,そういうところを一生懸命積極的にアピールする姿勢が,一例ですけれども,大事だと思います。そういう姿勢をほかの県の皆さんも見て,本気だなとか,やる気だなと感じて頂くことで,理解を得ていくことも必要だと,山口委員のお話を聞いていて思いました。

【遠藤座長】  ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。よろしゅうございますか,大体ご意見は出ましたでしょうか。

 ありがとうございました。先ほどの意見交換のときの御意見,あるいは御退出いただいた後の御意見等々踏まえまして,まだいろいろと今後進めていかなければいけない課題,特に主な論点で示された課題については,今後ますます進めていただきたいということ,そういう点ではほぼ皆さん一致された御意見ではないかなと思います。実は,これは今日御欠席の先生方に対しましても,これらの資料を事務局が示しまして,御説明をすると同時に,今後の進め方についての御意見も伺っております。皆様方の御意見及び欠席委員の御意見等々を踏まえまして,我々が決めなければいけないのは,設置認可申請に進めていいかどうかというところです。皆様方の御意見,あるいは欠席委員からの御意見等々を踏まえまして,私は次のようにしてはどうかと考えます。設置認可申請に進めてもかまわない。ただし,引き続き今後検討しなければいけない課題,これを明確に示して,また教育運営協議会,構想審査会,これは継続をして,その課題への取組状況について,今後,チェック,確認をしていくという条件を付けるという考え方で進めてみたらどうか。座長提案というふうに思っていただいても結構ですけれども,それでいかないとなかなか先に進まないのかなと思うわけです。いかがでございましょうか。

 伴委員,どうぞ。

【伴委員】  よろしいでしょうか。先ほど里見委員長も言われていましたけれども,いろいろ議論がかみ合わないところはあると。それを協議委員会で落としどころを見つけるまでには至っていないので,といって構想審査会に判断を委ねるというふうにおっしゃっていました。

【遠藤座長】  そもそも構想審査会の機能はそういうことですからね。

【伴委員】  そうですね。そうすると,構想審査会がもしオーケーなんだと言ったら,例えば設置審査はどれぐらいの内容の検討ができるのかというと,多分できないんですよね。外形基準みたいなところをある程度満たしている,ちゃんと教員もそろっているというふうなことになって,実質的な内容の検討は,構想審査会がやってということになると,かなり構想審査会の見識が問われているというふうなことになると思うんですね。ですから,もうこれだけ準備されているからしょうがないじゃないかというふうなことで本当にいいのかと疑問に思います。だから,今の座長提案の中でいうと,座長提案が駄目だと言っているわけではなくて,相当注文を更に付けるということが大事かなと思います。

【遠藤座長】  そうだと思います。相当な注文が必要でありますし,しかも,ある程度進めてみなければ検証ができないような事項もあるわけですので,新しい大学がどういう展開をするのかということを継続的に厳しくチェックしていくということです。このような枠組み。普通はそんなものはないわけですが,そういう枠組みを付けるという条件付きで一歩進めていくということでよろしいのではないかと。したがって,検討すべき課題というものについては,厳しくまた検討していくということが必要だと思うわけです。

 そういたしますと,とりあえずは設置認可申請を行うことは認めるということで,課題としましては,それに対する条件をどうするかというところだと思います。いずれにしましても,これは文章化しなければいけませんので,どうしましょうかね。ただいまの御意見を反映した形,あるいは主な論点を踏まえまして,少し事務局と相談して草案を作ってまいりますので,しばらくお時間をちょうだいして,それをまた皆様でたたいていただくという形にしたいと思いますけれども,そういう対応でよろしゅうございますか。

【小山委員】  それでいいと思うんですね。特にここで今日,今結論を出しちゃうと,実は委員半分しかいないんですよね。ですので,これも後に禍根を残すことになり得るので,もう一度素案を見ながら話をお聞きする機会を作る必要があるのかなという感じは持ちますけどね。書類だけでもって回して終わる予定ですか,先生は。

【遠藤座長】  先ほどちょっと申し上げましたけれども,今回御欠席の先生につきましては,本日お配りしたものと同じものを,御説明に事務局が上がって,その中で,今後の展開の仕方についての御意見等もお聞きしておりますので,その意見はある程度これから草案を作ろうという中には反映できると私は理解しております。そういう意味で,皆様で一応チェックいただければなと思いますけれども,どうでしょうか。

【伴委員】  僕は基本的には小山先生の意見に賛成なんですね。というのは,もちろん書面である程度のことは分かりますけれども,ニュアンスとか,例えばあのときにはこういう質疑応答があって。今日御欠席の方は質疑応答とか聞いておられませんので,とかいうふうなことを踏まえて,構想審査会のメンバーがしっかりディスカッションをして,それで設置審査に回すというふうなことは,かなり大きな,さっきも言いましたように,見識を問われている判断だと思うんですね。ですから,その辺のところは書面で終わらすというのは,僕も余り賛成できない。

【遠藤座長】  なるほど。そうすると,こういうことでしょうか。二人の御意見は,ここで草案を作りまして,ここで御意見をちょうだいすると同時にもう一度会議を開くということですかね。

【伴委員】  今回のメンバーだけでもですね。

【遠藤座長】  あるいは,次回も欠席委員がそろうかどうか分かりませんので,欠席委員への対応をどのようにするかはちょっと分かりませんが,この場では,検討課題については検討していただく。ただ,設置審査に進めるということについてはいかがですか。よろしゅうございますか。それはよろしいけど,検討課題については,もう少し欠席委員の意見を再度確認すると,こういう対応でよろしゅうございますか。どうぞ山口委員。

【山口委員】  今座長が提案されたのは,今日この場で時間をおいて草案を出してくださるということですか。

【遠藤座長】  そういうことですね。はい。

【山口委員】  それに当たっては,今の議論は踏まえていませんけれども,欠席されている委員の方々のご意見も入れた上で草案ができるという理解でよろしいですか。

【遠藤座長】  そういうことですね。はい。

【山口委員】  例えばそれを拝見して,まだこれは議論の余地があるかどうかを再度ここで確認するということでもいいんじゃないでしょうか。

【遠藤座長】  はい。基本的にそういうスタンスを考えております。本日欠席委員に最終的な課題がこれでよいかどうかの確認をどういう手段で取るかというところが一つのポイントになりますね。その点は了解しました。

整理をいたしますと,設置審査に進めるということについては,御同意は得たということで,ただしそれに伴う検討課題については,この中だけで議論するには必ずしも適切ではないということなので,まずはただいまの話を反映した形の草案をここで作らせていただいて,そして,ここでまず議論をいただいて,その後どういうふうにして欠席委員と対応するかについては,事務局とも相談をしてみたいと思います。皆様の御意見はよく分かりましたので,それでは,とりあえずよろしいでしょうか。

【伴委員】  ちょっとよろしいですか。ちょっとした誤解があったらいけませんので,今遠藤先生がおっしゃっているのは,ここで草案を作って,その草案を,例えばそれぞれの委員に一人一人,座長はお忙しいかもしれませんけれども,座長,副座長がお会いになって,説明してって,そういう意味ですか。僕はやっぱりディスカッションしてというふうなイメージで,先ほど小山先生のお話をお聞きしたんですけど。

【遠藤座長】  そのやり方についてどうするかということは,先ほど保留させていただき,事務局と相談してみたいということだったわけですけれども,検討すべき課題を最終的に集約する段階でもう1回開きたいというのが伴委員の御意見だと,そういうことですよね。

【伴委員】  はい。

【遠藤座長】  了解しました。それも含めて検討させていただければと思います。

 何か事務局コメントありますか。特段ございませんか。

 それでは,今後検討すべき課題について素案を作らせていただきますので,作成の時間が必要なので,休憩をさせていただきたいと思います。6時半まで休憩ということでよろしくお願いいたします。今,文章作成をしてまいります。

( 休憩 )

【遠藤座長】  お待たせいたしました。皆様のお手元に作成したペーパーがあるかと思いますけれども,短い文章ですので,事務局にお読みいただきます。基本的には「検証結果(案)」ということで,今回どう考えるかということがあって,その中で,今後対応が必要だと思われる事柄について,これまでの御意見を反映した形でここに書かせていただいたということで,主に御議論は,「対応が必要な事項(案)」になるかと思いますけれども,まず黙読してチェックしていただければと思います。

(資料黙読)

【遠藤座長】  それでは,再開したいと思います。では,事務局より,朗読をお願いしたいと思います。

【佐藤医学教育課大学改革官】  それでは読ませていただきます。

 対応が必要な事項(案)。

 東北薬科大学においては,東日本大震災からの復興に資する医学部を新設するという使命を十分に踏まえ,東北の復興に目途が立つまで,以下の事項に適切に取り組むことが必要である。

 (1)東北6県全体の医師偏在の解消のため,教育運営協議会の活用等により,既存の医学部や県当局と密接に連携し,各県の実状を踏まえた医師偏在の解消方策を講ずること。

 (2)既存の医学部や県当局等と連携し,開学後早い時期までに各県に地域サテライトを整備し,ネットワーク病院を活用することなどにより,地域医療への理解を深める教育を充実し続けること。また,初年次から十分な時間をかけて,継続的に地域で教育を受けるようなカリキュラムを構築するとともに,教員に新設医学部の目的,特徴を共有し,目指す教育の方向性を統一する努力を行うことにより,卒業生の地域定着を促すこと。

 (3)教員や医師,看護師等の確保について,採用地域や採用機関等のバランスに十分配慮しつつ,地域医療に支障を来さないよう,引き続き適切に対応すること。その際,問題があると懸念される事例が生じた場合には,速やかに関係機関と連携を図り,広く全国に積極的に人材を求め対応を行うこと。

 (4)修学資金制度について,他の事例の研究を行い,宮城県をはじめとする東北各県と十分な調整を行い,奨学金を受ける学生にとっても魅力のある制度としつつ,持続可能かつ地域偏在の解消に資する制度とすること。また,奨学金を受けない学生も含め,卒後研修について各県との連携を深め,卒業生が東北地方に定着し,医師偏在の解消に寄与するための適切な方策を講ずること。

(5)将来の医師需給等に対応して定員調整の要請があった場合には適切に対応すること。

(6)教育運営協議会を開学までの間も継続して開催し,議論が十分に尽くされていない点について検討を行うこと。開学後も東北医科薬科大学が使命を十分に果たしているかについて確認しつつ,新たに生じる課題も共有して議論を行えるよう,協議を行う場として毎年開催すること。

 以上でございます。

【遠藤座長】  ありがとうございます。検証結果のところも。

【佐藤医学教育課大学改革官】  検証結果(案)。

 本審査会としては,確認の結果,東北医科薬科大学医学部教育運営協議会からの報告も踏まえ,東北薬科大学が本審査会から示した7つの条件について,一定の取組がなされたものと判断する。

 ただし,以下の事項については,基本方針に掲げる留意点を踏まえ,適切に対応されることが必要であり,本審査会において引き続き対応を確認しつつ,並行して設置認可申請を行って差し支えないものとする。

 以上でございます。

【遠藤座長】  ありがとうございます。まず,「検証結果(案)」については,皆様方と合意が得られたと思ってこういう文章にしましたけれども,これはよろしゅうございますか。

 そうしますと,次の「対応が必要な事項」でございます。これまでの議論の中でなかったものを少し私の方で入れさせていただきました。まず頭のところに,東北薬科大学と東日本大震災の復興に資するうんぬんという,何もないところから1と出てくるのもあれでありますので,これは医学部新設が復興のための特例であるということを踏まえて、この文章を頭に入れさせていただきました。あと,(5)医師需給に対して定員調整の要請があった場合には適切に対応すること。これも当然の話ということで,入れさせていただきました。それ以外については,皆様方の御意見をできるだけ反映させていただいたということですけれども,御発言のあった先生など,いかがでございましょうか。

【伴委員】  よろしいでしょうか。

【遠藤座長】  どうぞ,伴委員。

【伴委員】  2番なんですけれども,下から4行目の地域で教育を受けるようなカリキュラムというのは,必ずしも今までの教育との違いがはっきりしません。地域をベースにした教育というふうなのが,ある程度テクニカルタームとして地域立脚型の教育カリキュラムというふうに言われるようになっています。ですから,そういうふうに書いていただくと,ただ地域に実習に行きましたという従来型のカリキュラムとは違う,斬新なカリキュラムを目指していますという働きかけのニュアンスが強くなると思います。

【遠藤座長】  なるほど。ほかに御意見ございますか。山口委員,どうぞ。

【山口委員】  1番のところですけれども,2行目のところに「教育運営協議会の活用等により」の後に,できれば「前向きな姿勢で」というのを入れていただけたらと。ここは強調したいと今日のヒアリングでとても強く感じました。議事録を読んでいて危惧していたことが今日の御発言にも聞こえてきたように思いますので,できれば「前向きな姿勢で」という,もう一歩踏み込みたいところですけれども,それ以上は書けないかなと思いますので,せめて一言入れていただければと思います。それから,(2)の下から3行目の「教員に新設医学部の目的,特徴を」というのは,入れていただいてありがとうございました。ただ,開学後という回答ございましたので,できれば「教員に」の前に「開学前から」ということを一言,後では遅いんだよというところを入れていただければというのが意見でございます。

【遠藤座長】  ありがとうございます。ほかに。

 よろしゅうございますか。それでは,一応ただ今御意見を承りましたので,本日御出席の先生方の御意見を反映した形で修文をさせていただきたいと思います。今後、欠席委員の御意見の反映という問題も含めまして,このように段取りたいと思います。まずは,ただいまの御意見を踏まえてこの文章を修文させていただきます。それを皆様にメールでお送りいたしますので,御確認,あるいは更なる修文の必要性があれば,そこに御意見いただきたいと思います。同様に御欠席の委員の方々にもこれをお送りします。ただ,御欠席の委員の方々は,本日のヒアリングをお聞きになっておりませんので,今日の議事概要も,一緒に添付する形で,御意見を聴取するという形にさせていただいて,それを踏まえて,新たに修文したものを御用意させていただきます。このようにメールでの合意形成を行いたいと思いますのは,もう一度集まってというお話もありましたけれども,ここまで文章が固まっておりますし,日程調整を行っても,結局一番出席者が多いときで本日の人数しか集まらないという状態でしたので,なかなか難しいということで,そのような対応をさせていただければと思うわけです。よろしゅうございますか。

 最終的にはそこで,検証結果の特に「対応が必要な事項」というものが固まりましたらば,これだけではとても報告書になりませんので,その前後,いろいろと一般的なことを書き加えなければ報告書になりませんので,そこは全体としての体裁の問題になりますけれども,この内容については特段皆様にお諮りしなくてもよろしいかなと私は勝手に判断させていただいております。よって、その部分は座長預かりで,報告書として見られるような形にさせていただく。一番重要なところは検証結果と対応が必要な事項だと思いますので,そこについてはもう一度皆様方にメール審議をするという形で対応させていただきます。最終的には,それで確定したものをベースにしながら,報告書という形にさせていただきたいというのが提案でございますけれども,そういう対応でよろしゅうございますか。

 ありがとうございました。ということですので,御意見を踏まえた文章を皆様にお送りさせていただきますので,御意見等があればまた頂きたいということでございます。

 事務局はそういう対応でひとつよろしくお願いしたいと思いますけど。

 以上で,こちらで用意した議題は終了いたしましたけれども,何かございますでしょうか。

【伴委員】  よろしいでしょうか。本日の構想審査会の結果は,文書作りのメールのやりとりでとお話になりましたけれども,それ以外のいわゆる東北医科薬科の今後の対応に対する関与というのは,どういうふうなことになりそうなんでしょうか。

【遠藤座長】  これは,基本的にこれまでと同じような形ではないでしょうか。協議会で議論をした内容がまたここに来るということだと思いますけれども,これは事務局からお願いします。

【寺門医学教育課長】  従前から御説明申し上げしておりますとおり,今後も引き続き教育運営協議会と併せて,この構想審査会の方にも御意見を頂戴するようなことを求めてまいりたいと思いますので,引き続き御協力のほどをお願いしたいと存じております。

【遠藤座長】  教育運営協議会において,頻度は分かりませんけれども,課題について進捗とか,それに向けての努力についてご議論いただき,あるタイミングでまた本構想審査会で,チェックをするという形になると,こういう理解です。重要な御指摘だと思います。

 ほかに何かございますか。

【小山委員】  確認ですけれども,1枚目のところの「設置認可申請を行って差し支えないものとする」というのは,どの日付で出すんですか。今日の日付になるのか,あるいは持ち回り審議をやった結果になるのか。

【遠藤座長】  これは先ほどの話ですと,検討課題として「対応が必要な事項」を残すことで,設置審査に進めることについては御同意を得ておりますので,本日付けでこれはよいと思います。設置審査に進める話は本日付けでよろしいと思いますけれども,そういう理解でよろしゅうございますか。

 じゃあ,事務局,そういう対応でお願いいたします。これも重要な御指摘ですね。

 ほかにございますか。木場委員。

【木場委員】  非常に細かいことで恐縮ですが,今日の資料,様々な中で,東北薬科大学という呼び方と東北薬科医科大学というのが混在しています。つまり,これも公表して一般の方が見たときに,ちょっと分かりにくいと思ったのですけど。

【遠藤座長】  事務局から。

【寺門医学教育課長】  御趣旨を踏まえて,まぎれがないように精査して今後発表したいと思います。

【木場委員】  よろしくお願いします。

【伴委員】  まだ医科薬科にはなっていないということでいいんですか。

【寺門医学教育課長】  御指摘のとおりでございます。

【遠藤座長】  ほかにございますか。

 よろしゅうございますか。

 それでは,事務局にお尋ねしますが,何か連絡事項はございますか。

 特段ないということですね。分かりました。それでは,先ほど私の方から御説明しましたような段取りで,皆様方にもう少しチェックをお願いしたいと思いますので,ひとつよろしくお願いいたします。

 それでは,特段御意見がないようであれば,本日はこれまでとさせていただきたいと思います。どうも長時間ありがとうございました。

 

―― 了 ――

 

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-- 登録:平成27年05月 --