国立大学法人・大学共同利用機関法人の令和2年度に係る業務の実績に関する評価について(所見)

令和3年12月1日
国立大学法人評価委員会

 



 この度、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の令和2年度に係る業務の実績に関する評価結果を公表しました。
 令和2年度評価結果においては、一部の法人において、入試判定における不正行為や附属病院における不正事案が確認されたほか、これまでと同様、研究活動における不正行為や入学者選抜における業務上のミスも確認されています。該当する法人において、対策と再発防止に向けて必要な措置を講ずることは勿論ですが、それ以外の法人においても、業務運営上生じ得るリスクを的確に把握し、事前防止と事後対策を講ずること及びそのための環境整備など、自律的な組織として求められる体制が適切に構築されているかどうか今一度確認していただくことを求めたいと思います。

 また、評価結果においては、国立大学法人について、「芸術の新しい場所」として、大学の様々な活動や教育研究成果をデジタル空間上で実践・発信するプラットフォームを構築した事例や、設置主体を越えた大学間連携に向けて、全国初となる「大学等連携推進法人」の認定を受け、教学上の特例措置を活用し多くの連携開設科目を整備した事例等、それぞれの法人が求められる社会的役割を認識しつつ、経営力の強化に取り組む姿勢が伺えます。指定国立大学法人についても、指定国立大学法人として備えるべき要素において国際ベンチマークを参考とした取組が着実に進められており、指定国立大学法人構想の達成に向けた進捗が伺えます。
 さらに、大学共同利用機関法人については、機構長のリーダーシップの下、共同利用・共同研究の質的向上、異分野融合や新分野創成に向けた機能強化を着実に進めることと併せて、その成果等の多様な手段を活用した情報発信に取り組むことでステークホルダーからの理解や支持の獲得に積極的に取り組む姿勢が伺えます。

 令和2年度においては、新型コロナウイルスが社会のあらゆる分野に影響を及ぼし、国立大学法人等の活動も大きく制約を受ける事態となりました。その中にあっても、各法人においては、学生に対する支援や学びの継続のための取組、新型コロナウイルス感染症の克服に向けた研究開発の推進や地域医療機関等と連携した患者の受入れなど、感染拡大の防止と教育研究活動の両立に向けて主体的に取り組んでおり、社会からの負託に存立基盤を有する国立大学法人等として、その期待に応えるための取組を進めていることに敬意を表します。

 国立大学法人等に対しては、学長等のリーダーシップの下で構築した将来ビジョンに基づいて、確かなコスト意識と戦略的な資源配分を前提とした経営的視点に立ち、法人としての経営力を強化していくことが強く求められています。
 来年度から第4期の中期目標期間が始まりますが、各国立大学法人等においては、今回の評価結果における他法人の事例も参考としながら、持続的な競争力を持ち、高い付加価値を生み出す組織への転換を更に進めていくため、引き続き尽力していただくことを期待します。
 

 

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(高等教育局国立大学法人支援課国立大学戦略室)