国立大学法人・大学共同利用機関法人の令和元年度に係る業務の実績に関する評価について(所見)

令和2年12月23日
国立大学法人評価委員会

 



 この度、国立大学法人評価委員会は国立大学法人及び大学共同利用機関法人の令和元年度に係る業務の実績に関する評価を行いました。現在、国立大学法人等に対しては、確かなコスト意識と戦略的な資源配分を前提とした経営的視点を持ち、各学長等がリーダーシップを発揮して構築した将来ビジョンに基づき、法人としての経営力を強化していくことが強く求められており、各法人もこの認識に立って様々な創意工夫を展開しています。

 令和元年度においては、文部科学大臣への学長解任の申出に至った法人や前理事・副学長による特許出願手続きに係る不正行為が確認された法人など、国立大学法人の役員に起因する課題が見受けられるとともに、研究費の不適切な経理等も発生しました。各法人においては、改めて、財務や会計に関する監査を行うことを徹底するとともに、監事が、役員を含めて、大学内部の意思決定システムをはじめとした大学ガバナンス体制についても監査するなど監事機能の強化を一層進めるほか、業務運営上生じ得るリスクを的確に把握し、組織として求められる事前防止と事後対策の取組を遺漏なく実施していただくよう、改めて強く求めます。

 国立大学法人の令和元年度評価結果においては、学長のリーダーシップの下、大学の強みや特色を生かし、大学間連携による教育研究組織の改組による共同学部の設置に取り組んだ事例や、一法人複数大学制度により、複数の大学の教育研究資源を各大学のミッションを踏まえ効果的・効率的に利活用するとともに、社会に対する存在感・発信を強化した事例等、それぞれの法人が求められる社会的役割を認識しつつ、経営力の強化に取り組む姿勢が伺えます。
 指定国立大学法人については、国内の競争環境の枠組みから出て、国際的な競争環境の中で世界の有力大学と伍していくことを求められ、社会や経済の発展に貢献する取組の具体的成果を積極的に発信し、国立大学改革の推進役としての役割を果たすことが期待されています。そのことから、評価の観点として、各指定国立大学法人の構想を達成するに当たり、各法人が国際ベンチマークとしている指標や海外有力大学の目標・取組との比較がなされているかを確認しつつ、特に優れた取組については、更なる水準の向上に向けた改善を促すため、全体評価において積極的に評価しています。令和元年度評価結果においては、一法人複数大学制度を積極的に活用し、国立大学改革のモデルとなる取組を行うなど、構想の達成に向けた進捗が伺えます。

 また、大学共同利用機関法人については、機構長のリーダーシップの下、共同利用・共同研究の質的向上、異分野融合・新分野創成を目指す機能強化に着実に取り組む姿勢が伺えます。

 各法人におかれては、国民に支えられる国立大学法人等として、今回の評価結果における他法人の事例も参考としながら、持続的な競争力を持ち、さらに高い付加価値を生み出す組織への転換に向けて、引き続き御尽力いただくようお願いします。
 

 

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(高等教育局国立大学法人支援課国立大学戦略室)