国立大学法人・大学共同利用機関法人の平成30年度に係る業務の実績に関する評価について(所見)

令和元年11月25日
国立大学法人評価委員会




  この度、国立大学法人評価委員会は国立大学法人及び大学共同利用機関法人の平成30年度に係る業務の実績に関する評価を行いました。現在、国立大学法人等に対しては、確かなコスト意識と戦略的な資源配分を前提とした経営的視点を持ち、各学長等がリーダーシップを発揮して構築した将来ビジョンに基づき、法人としての経営力を強化していくことが強く求められており、各法人等もこの認識に立って様々な創意工夫を展開しています。

  平成30年度においては、昨今の課題となっていた情報セキュリティインシデントについて、セキュリティ対策の強化や体制の整備、構成員に対する情報セキュリティ教育の徹底など、全体としては着実な改善がみられましたが、複数の法人において入学者選抜における出題・採点等業務上のミスの発生や研究活動における不正行為など、課題が見受けられたところです。各法人においては、業務運営上生じ得るリスクを的確に把握し、組織として求められる事前防止と事後対策の取組を遺漏なく実施していただくよう、改めて強く求めます。

  平成30年度評価結果においては、地方公共団体からの補助金を活用して新築の教育施設を整備するとともに、大学の資源も集中投資して、地域事業の高度化と活性化に取り組む事例や、年齢や勤続年数によらない大学独自の給与制度を構築した人事給与マネジメント改革による優秀な研究者確保のための取組事例等、それぞれの法人が求められる社会的役割を認識しつつ、経営力の強化に取り組む姿勢が伺えるとともに、税制改正により規制緩和された「評価性資産による寄附」を積極的に活用し、財務基盤の一層の強化に向けて取組を開始した法人も見られます。

  また、平成29年度に指定された指定国立大学法人については、今回初めて指定国立大学法人としての評価を行いました。指定国立大学法人には、国内の競争環境の枠組みから出て、国際的な競争環境の中で世界の有力大学と伍していくことを求められ、社会や経済の発展に貢献する取組の具体的成果を積極的に発信し、国立大学改革の推進役としての役割を果たすことが期待されています。そのことから、評価の観点として、各指定国立大学法人の構想を達成するに当たり、各法人が国際ベンチマークとしている指標や海外有力大学の目標・取組との比較がなされているかを確認しつつ、特に優れた取組については、更なる水準の向上に向けた改善を促すため、全体評価において積極的に評価しています。

  各法人におかれては、国民に支えられる国立大学法人等として、今回の評価結果における他法人の事例も参考としながら、持続的な競争力を持ち、さらに高い付加価値を生み出す組織への転換に向けて、引き続き御尽力いただくようお願いします。


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高等教育局国立大学法人支援課国立大学戦略室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学戦略室)