国立大学法人鳴門教育大学の平成21年度に係る業務の実績に関する評価結果

1 全体評価

 鳴門教育大学は、21世紀に生きる人間として豊かな教養を培い、地球的視野に立って総合的に判断できる力量の形成に努め、教育者として子どもに対する愛情と教育に対する使命感を醸成し、教育に関する専門的知識を深めるとともに、教育の今日的課題に応えることのできる教員養成を目的とする「教員のための大学」として、学長のリーダーシップの下、常に大学運営の責任と権限を明確化し、マネジメントサイクル(PDCA)により各年度の取組課題を明確にし、その計画を実行してきている。
 業務運営については、経営協議会の学外委員の意見を基に、事務組織を法人経営に着目した経営企画本部、大学運営をサポートする教務部及び総合事務センターを新たに設置している。また、平成20年度の評価委員会の評価結果を踏まえ、外国人教員の増員を図るため、平成21年7月公募分から原則として英文による公募を併せて行っている。
 財務内容については、省エネルギー機器への切替、郵送物発送先の見直し等により、一般管理費は1億8,332万円(対前年度比1,854万円減)、一般管理費比率は4.2%(対前年度費比0.7%減)となっている。
 自己点検・評価及び情報提供については、「広報サポートワーキング」からの提言等を受けて、ウェブサイトのトップページに「学部・大学院受験生応援サイト」を設置し、学生の生の声を発信し、大学情報をより身近に感じ取れるよう工夫している。
 教育研究等の質の向上については、教養基礎科目「阿波学(地域文化研究)」を、講座による基礎理解と実際にフィールドに出て歩き遍路を体験することを組み合わせた授業構成とし、理論と実践体験の融合を図っている。

2 項目別評価

1.業務運営・財務内容等の状況

(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標

1.運営体制の改善、2.教育研究組織の見直し、3.人事の適正化、4.事務等の効率化・合理化

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 学長直属の監査室を新たに設置し、監事をサポートするため、専任の事務職員を2名配置することで、監査実施体制を充実させている。

○ 経営協議会の学外委員の意見を基に、事務組織を法人経営に着目した経営企画本部、大学運営をサポートする教務部及び総合事務センターを新たに設置している。

○ 経営協議会の審議内容は、大学のウェブサイトに議事録を掲載することにより社会に広く公表している。

○ 平成20年度評価結果で評価委員会が課題として指摘した、外国人教員の増員を図るための英文公募については、平成21年7月公募分から原則として英文による公募を併せて行うこととし、3件の公募について英文による公募を行っており、指摘に対する取組が行われている。

平成21年度の実績のうち、下記の事項に課題がある。

○ 平成20年度評価において評価委員会が課題として指摘した、大学院専門職学位課程(教職大学院)について、学生収容定員の充足率が平成20年度から平成21年度において90 %を満たさなかったことから、今後、速やかに、定員の充足に向け、入学定員の適正化に努めることや、入学者の学力水準に留意しつつ充足に努めることが求められる。(なお、平成22年度は90%を満たしている。)

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けておおむね順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載16事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められるが、大学院専門職学位課程(教職大学院)において学生収容定員の充足率が90%を満たさなかったこと等を総合的に勘案したことによる。

(2)財務内容の改善に関する目標

1.外部研究資金その他の自己収入の増加、2.経費の抑制、3.資産の運用管理の改善

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 省エネルギー機器への切替、郵送物発送先の見直し等により、一般管理費は1億8,332万円(対前年度比1,854万円減)、一般管理費比率は4.2%(対前年度比0.7%減)となっている。

○ 学長裁量経費を活用して、重点事業経費の一部として外部資金を獲得するためのインセンティブ経費(科学研究費補助金の新規申請者に対し、研究費として10万円(78件)、さらに採択された場合に5万円(12件))を配分する制度を設けるなど、効果的に予算配分を行っている。

○ 中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載8事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標

1.評価の充実、2.情報公開等の推進

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 学生を含めた全学的な組織「広報サポートワーキング」の報告書の提言等を受けて、ウェブサイトのトップページに「学部・大学院受験生応援サイト」を設置し、学生の生の声を発信し、大学情報をより身近に感じ取れるよう工夫している。

○ 広報の対象を教職大学院及び長期履修学生(学校教員養成プログラム)の受験生に絞り込こんだウェブサイト広告を作成した結果、大学院説明会参加者総数が平成20年度の1.5 倍、大学院合格者のうち学校教員養成プログラムの適格者が1.8倍となっている。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載8事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(4)その他業務運営に関する重要目標

1.施設設備の整備・活用等、2.安全管理

平成21年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

○ 施設の有効活用として、人文棟の空調設備改修に伴い、不要となった設備棟ボイラー室を、蔵書の増加に対応するため図書館書庫に改修(248m2)し、また、施設の現状及び利用状況を点検し、地域連携センター及び芸術棟に「予防教育科学教育研究センター」の諸室(129m2)を確保している。

【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)年度計画の記載11事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したとによる。

2.教育研究等の質の向上の状況

 評価委員会が平成21年度の外形的進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される。

○ 教養基礎科目「阿波学(地域文化研究)」を、講座による基礎理解と実際にフィールドに出て歩き遍路を体験することを組み合わせた授業構成とし、理論と実践体験の融合を図っている。

○ 全学組織としてFD・SD委員会を設置し、全学で協同してファカルティ・ディベロップメント(FD)事業を推進する体制を強化し、従来の取組の他、学生による授業評価項目等の見直しを行っている。

○ 学生のニーズ柔軟に対応し、かつ、学部教育と大学院教育の一体化を確立するために講座制を廃止し、学問領域に応じた4つの教育部(基礎・臨床系、人文・社会系、自然・生活系、芸術・健康系)に改組し、あらゆる教育研究活動を柔軟かつ弾力的に実施できる体制を整備している。

○ 「戦略的大学連携支援事業」の「『四国の知』の集積を基盤とした四国の地域づくりを担う人材育成」において、参加大学間(四国内8国公私立大学)で共同事業を実施し、e-ラーニング環境を整備し、また、参加大学間でe-ラーニングによる授業の提供を行うための単位互換協定を締結している。

○ 情報環境管理者として位置付けている高度情報研究教育センター教職員の指導と援助を得て、セキュリティや情報環境の向上を図っている。

○ 「大村はま学習記録閲覧室」を新設し、閲覧資料「学習の記録」(全2,060冊)について、経年劣化が認められる原本から、耐久性に優れるカラー複写版に復刻し、閲覧・コピーに供するなど、利用者への利便性の確保と貴重な教育実践記録の保護管理に努め、図書館の研究支援体制の充実を図っている。

○ 教員及び大学院学生に数多くの臨床経験を体験させ、心理臨床技能の質的向上を図るため、心理・教育相談室を平日に加え、土曜日にも開設し、多様な臨床事例に触れることで大学院学生の臨床心理士資格取得のための技能の獲得や指導上の質的向上に供している。

○ 附属幼稚園・附属小学校の教員が幼小合同保育・授業を実施し、接続期のスタートカリキュラムの在り方や、幼稚園の「協同的な学び」についての議論が深まり、指導計画の改善につなげている。また、幼稚園と大学が連携し、保育者のためのデータベースのシステムを立ち上げ、保育者の実践力向上の研究を推進している。

(教員就職状況)

○ 平成21年3月卒業者(教員養成課程)の就職状況は卒業者数113名に対し、正規採用が46名、臨時的任用が28名で、平成21年教員就職率は65.5%、進学者を除くと81.3%となっている。

お問合せ先

高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室)

-- 登録:平成23年12月 --