国立大学法人福岡教育大学の平成20年度に係る業務の実績に関する評価結果

1 全体評価

 福岡教育大学は、教育に関する教育研究を総合的に行う九州地区の拠点大学として、これからの学校教育を率先して導くことができる有為な教員の養成と現職教員の継続学習の充実に加えて、多様な生涯学習機会を創出できる人材の養成に取り組むことを目的とし教育研究を行っている。
 業務運営については、平成21年度の教職大学院設置、既設大学院及び教育学部の改組等に向け、教員組織「生活総合教育講座」の新設、学校教育講座の改編、教職大学院専任教員が所属する「教職実践講座」の新設、既設大学院の改組に伴う責任体制の明確化(専攻主任・コース主任の配置)等、大学全体として教員養成機能を強化することを目的とした教育研究組織の改編を行っている。平成19年度評価結果で評価委員会が課題として指摘した経営協議会の審議の適正化については、指摘に対する取組が行われている。
 財務内容については、平成21年1月に「競争的外部資金を獲得する方策について」を策定し、科学研究費補助金の申請率向上のために、研究費のインセンティブ配分を平成21年度申請者から適用することとした結果、新規申請件数が平成19年度比で約33%増の65件となっている。また、外部資金比率は1.6%(対前年度比0.5%減)となっていることから、今後、外部資金獲得に向けた積極的な取組が期待される。
 自己点検・評価については、学内電子掲示版に評価専用のページを開設し、評価に関する文書を適時に掲示して教職員に通知し、さらに評価シートを保存する場所をサーバー上に設け、担当職員が随時更新できるようにするなど、評価の効率化が図られている。
 教育研究の質の向上については、平成21年度からの学部再編に伴い初等教育教員養成課程に新設される「英語」、「技術ものづくり」及び「生活・総合」の3選修における選修専門科目の開設準備を行っているほか、「宗像市元気な島づくり事業」として、留学生を含む学生が地島(じのしま)の行事に参加し、島に国際交流等の機会を提供するとともに、学生を派遣して子どもに学習指導を行う「出前塾」を行うなど地域貢献活動に取り組んでいる。

2 項目別評価

1.業務運営・財務内容等の状況

(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標

1.運営体制の改善、2.教育研究組織の見直し、3.人事の適正化、4.事務等の効率化・合理化

 平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  平成21年度の教職大学院設置、既設大学院及び教育学部の改組等に向け、教員組織「生活総合教育講座」の新設、学校教育講座の改編、教職大学院専任教員が所属する「教職実践講座」の新設、既設大学院の改組に伴う責任体制の明確化(専攻主任・コース主任の配置)等、大学全体として教員養成機能を強化することを目的とした教育研究組織の改編を行っている。
  •  学長裁量経費を活用し、職員宿舎の一室を外国人専用としてリフォームし、外国人教職員採用の促進に向けた環境・条件面を整備している。
  •  「男女共同参画基本方針」を策定し、1.ワークライフバランスに関する積極的啓発活動、2.ノー残業デー(毎週水曜日)の実行、3.効率的な会議運営の3項目を重点取組として掲げている。
  •  共済関係の各種手続き及び事務処理を人事課に集中させたほか、最新の人事給与統合システムを導入し、より精度の高い人件費シミュレーションを実施可能にするとともに、財務会計システム等と連携したシステムを構築し、業務の効率化を図っている。
  •  平成19年度評価結果で評価委員会が課題として指摘した教職員の給与改定について経営協議会において適切な審議が行われていないことについては、適切に審議しており、計画に対する取組が行われている。
【評定】 中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載6事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(2)財務内容の改善に関する目標

1.外部研究資金その他の自己収入の増加、2.経費の抑制、3.資産の運用管理の改善

平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  平成21年1月に「競争的外部資金を獲得する方策について」を策定し、科学研究費補助金の申請率向上のために、研究費のインセンティブ配分を適用することとした結果、新規申請件数が65件(対前年度比33%増)となっている。また、外部資金比率は1.6%(対前年度比0.5%減)となっていることから、今後、外部資金獲得に向けた積極的な取組が期待される。
  •  「知的財産ポリシー」をウェブサイトに掲載し、学内外への周知を行っているほか、「職務発明規程」を「発明規程」に全面改正し、大学が有する知的財産の活用を推進している。
  •  大学及び附属学校の電話回線にひかり電話回線を導入し、大学、附属学校間の通話料を無料にしたほか、情報処理センターにおいて学内リサイクル事業を行うなど、経費の節減に努めている。
  •  平成19年度評価結果で評価委員会に課題として指摘された事項については、財務分析担当の専門員を配置し、分析結果を踏まえ、「競争的外部資金を獲得する具体的方策について」の策定、「平成21年度学長裁量経費による研究プロジェクトの公募について」の決定等の取組を行っており、指摘に対する取組が行われている。
  •  中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。
【評定】 中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載5事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標

1.評価の充実,2.情報公開等の推進

 平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  学内電子掲示版に評価専用のページを開設し、評価に関する文書を適時に掲示して教職員に通知し、さらに評価シートを保存する場所をサーバー上に設け、担当職員が随時更新できるようにするなど、評価の効率化が図られている。
  •  「教員総覧」を抜本的に見直し、公開項目を精選し閲覧機能を向上させた「新教員総覧」を作成し、公開している。
  •  平成19年度評価結果で評価委員会が指摘した評価結果を基に教職員の意欲向上を図るための多面的な支援方策の策定については、「サバティカル研究者派遣規程」を策定するなど、指摘に対する取組が行われている。
【評定】 中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載2事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(4)その他業務運営に関する重要目標

1.施設設備の整備・活用等、2.安全管理

 平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  施設の有効活用を図るため、全講義室を対象とした使用率調査の結果を基にスペース配分を見直し、共通講義棟の全面改修に際して講義室を共用スペースに転用している。この結果、学生の課外活動用のスペースを新たに322㎡確保している。
  •  共通講義棟の全面改修に伴い、身障者対応のエレベータ、スロープ及びトイレ等を設置したほか、学生用のコモンスペースを設ける等により、バリアフリー及びキャンパスアメニティを向上させている。
  •  新型インフルエンザ対策行動計画の策定や防災及び防犯等の各種対策マニュアルの更新・改善等、危機管理体制の強化に努めている。
【評定】 中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載3事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

2.教育研究等の質の向上の状況

 評価委員会が平成20年度の外形的・客観的進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される。

  •  平成21年度からの学部再編に伴い初等教育教員養成課程に新設される「英語」、「技術ものづくり」及び「生活・総合」の3選修における選修専門科目の開設準備を行っている。
  •  平成21年度に向けて、教職大学院の設置準備を行うとともに、既設修士課程についても教育課程を改革することとし、新設予定の「発展科目」、「教育科学基礎科目」及び「広域発展科目」の科目区分について具体的な授業科目の開設準備を進めている。
  •  ウェブサイト上で学生がボランティア情報のメール配信希望登録、ボランティア募集情報の閲覧等ができる「ボランティアサポートシステム(VSS)」を導入し、平成21年度より運用することとしている。
  •  全教員を対象に「教材作成支援講習会に関するニーズ調査」を行い、動画編集方法についての支援講習会を行うなど、教育研究活動を円滑に進める工夫がなされている。
  •  「宗像市元気な島づくり事業」として、留学生を含む学生が地島(じのしま)の行事に参加し、島に国際交流等の機会を提供するとともに、学生を派遣して子どもに学習指導を行う「出前塾」を行うなど地域貢献活動に取り組んでいる。
  •  教員養成GP等推進プロジェクトの取組により、大学‐附属学校間を双方向で音声及び映像を同時にやり取りできる「IPビデオPhone移動セット」を整備し、大学院の授業を配信し、附属学校において受講する取組を試行的に実施している。
  •  平成20年3月卒業者(教員養成課程)の就職状況は卒業者数477名に対し、正規採用が93名、臨時的任用が153名で、平成20年教員就職率は51.6%、進学者を除くと58.0%となっている。

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高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室)

-- 登録:平成22年02月 --