国立大学法人滋賀大学の平成20年度に係る業務の実績に関する評価結果

1 全体評価

 滋賀大学は、「環境創造県」滋賀に立地する大学として、これまで蓄積された先進的研究をさらに推し進め、地域にかかわる諸研究に総力で取り組むとともに、グローバルな広がりをもった個性あるプロジェクトを推進している。また、こうした研究活動を活かしながら、「実学の重視」を基調にした人材養成と、教育や学術交流の拠点として、社会へのさらなる貢献に努めている。
 業務運営については、「教育研究力の向上と魅力ある大学づくり」を目標として掲げ、学長による7項目の重点課題と方針に基づき、各種取組を実施している。この他、将来構想と理念・憲章を検討するワーキンググループを設置し、「西暦2025年の滋賀大学」の目標と姿について検討を開始している。
 財務内容については、科学研究費補助金の申請者に対する研究費支援の実施、研究支援のための事務補佐員の配置等、外部資金の獲得支援体制・研究環境を充実させている。
 その他業務運営については、大学専用バスにバイオ燃料で走る「BDF(Bio Diesel Fuel)」バスを導入し、学生食堂の廃食油を回収・精製したBDFを燃料として利用するなど、環境対策に取り組んでいる。
 教育研究の質の向上については、全学共通教養教育の在り方について、教養教育の理念、全学共通教養教育科目の体系化、科目の実施体制等について、現行制度における課題の検証や教養教育の充実・教育の質向上に向けた改革について検討し、「滋賀大学全学共通教養教育の改革の提案」として取りまとめるなど、全学的な改革作業に取り組んでいる。

2 項目別評価

1.業務運営・財務内容等の状況

(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標

1.運営体制の改善、2.教育研究組織の見直し、3.人事の適正化、4.事務等の効率化・合理化

 平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  「教育研究力の向上と魅力ある大学づくり」を目標として掲げ、教育力・研究力の適正化と再設計等7項目の重点課題と方針に基づき、各種取組を実施している。
  •  学長を委員長とした将来構想検討委員会を整備し、「西暦2025年の滋賀大学」の目標と姿について検討を開始している。外部アドバイザー会議を設置し、各分野の専門家等から広く意見を取り入れている。
  •  特任教員制度を3種類に区分し、より柔軟な特任教員制度を導入している。
  •  学生が生活困難や授業料未納を理由として学業を断念することのないよう学生支援パッケージを策定し、学長裁量経費による授業料免除枠の拡大を図るなど、機動的な資源配分を行っている。
  •  再雇用職員等の効果的な配置・活用やスキルアップを図りつつ、新規事業や通常業務等を機動的に行うとともに、附属特別支援学校の卒業生に対する就労支援を併せて実施するため、事務支援センター準備室を設置している。
  •  教育研究にかかわる企画立案能力を持った事務職員を育成するために、多彩な研修事業を実施し、若手職員に対しては、集中的に研修を実施するとともに、幹部職員への昇任も学内公募制度をとっており、職員の資質向上に取り組んでいる。
【評定】 中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載12事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(2)財務内容の改善に関する目標

1.外部研究資金その他の自己収入の増加、2.経費の抑制、3.資産の運用管理の改善

 平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  「科学研究費補助金申請マニュアル(2009年度版)」、「科研費ハンドブック」等の配付、科研費の申請者に対する研究費支援、研究支援のための事務補佐員の配置等、外部資金の獲得支援体制・研究環境の充実に取り組んでいる。
  •  財政計画に基づき、複写機の再リース契約等の実施による調達コスト削減や、近郊旅費支給要項の見直しを行うなど、経費削減を図っている。
  •  学生のニーズや寄宿舎の利用状況を検討し、教育学部寄宿舎の個室化及び男女居住スペースの見直しを実施し、入居率の向上と増収に努めている。
  •  中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。
【評定】 中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載8事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標

1.評価の充実、2.情報公開等の推進

 平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  学生、同窓会、後援会関係者等の参加を得ながら、点検・評価報告会を開催し、課題や評価結果の対応状況について報告を行うなど、評価の充実に取り組んでいる。
  •  教育研究活動に関連する状況や成果、在学生や卒業生の活躍の記事等を充実させ、利用者に直接伝えることを目的として、広報誌「しがだい」のリニューアルを行っている。
【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載5事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(4)その他業務運営に関する重要目標

1.施設設備の整備等、2.安全管理・環境保全、3.人権

 平成20年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  環境総合研究センター本館の居室を研究室へ改修し利用率を高めるとともに、附属史料館においては、補修室を収蔵室に改修することにより収蔵スペースを拡大し、利用率の低い講義室を研究拠点として整備するなど、施設の有効活用を図っている。
  •  学生の提案を受け、滋賀大学と彦根駅間を走行する滋賀大学専用バスに、バイオ燃料で走る「BDF」バスを導入し、学生食堂の廃食油を回収・精製したBDFを燃料として利用するなど、環境対策に取り組んでいる。
【評定】 中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由) 年度計画の記載9事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

2.教育研究等の質の向上の状況

 評価委員会が平成20年度の外形的・客観的進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される。

  •  全学共通教養教育の在り方について、教養教育の理念、全学共通教養教育科目の体系化、科目の実施体制等について、現行制度における課題の検証や教養教育の充実・教育の質向上に向けた改革を「滋賀大学全学共通教養教育の改革の提案」として取りまとめるなど、全学的な改革作業に取り組んでいる。
  •  ハノイ国民経済大学経済発展研究所(ベトナム)との学術研究交流協定締結や中国大連の東北財経大学との「5周年大連プロジェクト」の共同研究報告会が行われている。
  •  企業・留学生就職懇談会を実施し、大学院修了生を雇用している企業から講師を招き、留学生に求められる資質、それを培う教育への期待等についての講演を行うなど、留学生の就職支援に努めている。
  •  滋賀大学教育研究支援基金による支援事業として、学生の海外研修を奨励し、異文化体験と独立心の向上を目的とする「海外研修助成」、大学院生の国内における学会発表を奨励することを目的とする「国内学会発表助成」及び若手教員の研究支援を目的とする「国際会議発表助成制度」等を実施している。
  •  特色ある教育研究活動を支援するため、滋賀大学教育研究プロジェクトセンターとして、「重点教育」、「重点研究」、「萌芽的教育」、「萌芽的研究」のプロジェクトを採択し、研究活動の一層推進を図っている。
  •  創立60周年記念事業として「国際交流:二校間交流から多校間連携に向けて」と題した国際会議及び「滋賀大学・ディーキン大学交流20周年記念式典」を開催し、具体的な交流・連携プログラムについて協議するなど、国際交流・連携が進められている。
  •  附属特別支援学校では、「学習・発達支援室」を中心とした巡回相談や地域のニーズに応える特別支援教育研修等の指導・助言等が155件にのぼり、滋賀県における特別支援教育のセンター的機能が発揮されている。

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高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室

(高等教育局国立大学法人支援課国立大学法人評価委員会室)

-- 登録:平成22年02月 --