中期目標 |
中期計画 |
(前文)研究機構の基本的な目標
国立大学法人法第30条の規定により、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構が達成すべき業務運営の目標を定める。
大学共同利用機関法人である高エネルギー加速器研究機構(以下「機構」という。)は、我が国の加速器科学(以下では、高エネルギー加速器を用いた素粒子・原子核に関する実験的研究及び理論的研究並びに生命体を含む物質の構造・機能に関する実験的研究及び理論的研究も包含した、広義の加速器科学を指す。)の総合的発展の拠点として、国内外の関連分野の研究者に対して研究の場を提供する大学共同利用機関法人である。世界に開かれた国際的な研究機関であるという理念の下で、以下の事項を長期的な視野に立った基本的な目標とする。
○ |
高エネルギー加速器を用いた素粒子・原子核に関する実験的研究及び理論的研究並びに生命体を含む物質の構造・機能に関する実験的研究及び理論的研究を行い、自然界に働く法則や物質の基本構造を探求することにより、人類の知的資産の拡大に貢献する。
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○ |
大学共同利用機関法人として、国内外の研究者に上記の研究分野に関する共同利用の場を提供し、加速器科学の最先端の研究及び関連分野の研究を発展させる。
|
○ |
研究領域及び研究の方向性については、関連分野のコミュニティからのボトムアップ的な提案を基に、機構全体としての位置付けを行い、それに機構が一体として取組む。
|
○ |
共同利用の基盤施設である加速器の性能向上に関する研究及び加速器に関連する基盤的技術の向上に関する研究を推進する。
|
○ |
開かれた研究組織として、国内外の大学・研究機関及び民間企業と加速器科学の諸課題について、共同研究を積極的に行い、加速器科学の発展に貢献する。
|
○ |
国際的な研究組織として加速器科学関連分野において国際的な活動に積極的に取組む。アジア・オセアニア地域に位置する研究組織として、特にアジア地域の諸機関との連携協力を重視し、アジア・オセアニア地域における加速器科学研究の中心的役割を果たす。
|
○ |
上記の目標を達成するために、機構長のリーダーシップの下に、教員、技術職員、事務職員が一体となった運営を行う。
|
○ |
研究成果を積極的に社会に公開し、加速器科学に対する社会の要請に応えるとともに、研究者間の交流、市民の理解の促進に努める。
|
○ |
国民と社会から委託された資産を有効に活用し、世界水準の研究を行っていくために、共同利用、研究及び業務等に関する自己評価及び外部委員による評価(外部評価)を実施し、評価結果を公開する。 |
これらの基本的な役割を果たすため、機構の中期目標は以下のとおりとする。 |
|
 |
中期目標の期間及び教育研究上の基本組織
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1 |
中期目標の期間 |
|
中期目標の期間は、平成16年4月1日から、平成22年3月31日までの6年間とする。 |
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|
2 |
教育研究上の基本組織 |
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本中期目標を達成するために、大学共同利用機関である素粒子原子核研究所、物質構造科学研究所とともに、これら研究所と同等な機構長直属の重要組織として加速器研究施設及び共通基盤研究施設を置く。 |
|
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 |
研究機構の教育研究等の質の向上に関する目標
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1 |
研究に関する目標
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(1) |
研究水準及び研究の成果に関する目標
○ |
研究領域及び方向性に関する目標
加速器を用いた基礎及び応用にわたる学問分野である加速器科学全般の課題に積極的に取り組むとともに、萌芽的研究開発を含む将来的な課題にも積極的に取り組む。 |
|
|
 |
研究機構の教育研究等の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置
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1 |
研究に関する目標を達成するための措置
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(1) |
研究水準及び研究の成果に関する目標を達成するための措置
○ |
研究領域及び方向性に関する目標を達成するための措置
機構は、我が国の加速器科学の総合的発展の拠点として、また国内外の関連分野の研究者に対して研究の場を提供する大学共同利用機関法人としての役割を果たすために、高エネルギー加速器という共通の基盤の下に、素粒子原子核研究所、物質構造科学研究所、加速器研究施設、共通基盤研究施設及び大強度陽子加速器計画推進部が一体となった組織として運営している法人である。
機構の研究領域及び研究の方向性については、これまでも関連分野のコミュニティからのボトムアップ的な提案を基に、機構全体としての位置付けを行い、それに一体的に取組み、大きな成果を上げてきた。各研究所等の自主性と、機構としての一体性は、機構に課せられた役割を果たす上で不可欠の要因であり、今後ともこの姿勢を継続して世界的水準の研究を追求する。下記に示す各研究所等の研究領域は、将来のプロジェクトのための開発研究を含んだものである。
素粒子原子核研究所
|
我が国における素粒子・原子核に関する研究のセンターとして、素粒子・原子核に関する実験的研究及び理論的研究並びに粒子検出技術、実験設備やソフトウェアに関する研究を推進するとともに、第一線の素粒子・原子核実験装置等を全国の研究者に提供して共同利用・共同研究を広く展開する。また、国際的には世界の研究拠点の一つ、特にアジア・オセアニア地域における研究拠点としての役割を果たす。 |
物質構造科学研究所
|
高エネルギー加速器で得られる放射光、中性子、ミュオン及び陽電子を利用し、生命体を含む物質の構造と機能に関する実験的研究を行うとともに、それらに関連する理論的研究を行う。また、これらを広く共同利用に提供するとともに、放射光や粒子を作る技術・利用の方法並びに測定機器の開発研究を行う。 |
加速器研究施設
|
我が国における加速器研究の中核的研究施設として、共同利用・共同研究を支えるために、現存の加速器の運転・維持・改善を行う。また、加速器に関連する広範な分野において最先端の研究を行うことにより、日本の加速器技術の推進を図るとともに、世界におけるこの分野のセンターとしての役割を果たす。 |
共通基盤研究施設
|
共同利用を含む機構の研究活動に共通する放射線及び化学安全、データ及び情報処理システム、低温・超伝導及び精密加工・計測等の基盤技術に関する支援を行うことにより、共同利用を含む機構の研究活動に貢献するとともに、関連する分野の基盤的研究を推進する。 |
大強度陽子加速器計画推進部
|
各研究所、研究施設の協力の下に、日本原子力研究所と共同で同研究所東海研究所内にJ-PARC計画として大強度陽子加速器施設及び関連実験施設(原子核・素粒子、ニュートリノ、物質・生命)を建設する。同時に、J-PARCにおける共同利用支援体制の整備を推進する。 |
|
|
|
○ |
研究の推進方針に関する目標
大学共同利用機関法人としての役割を踏まえ、共同利用の研究を通して、各大学等からの人材を受け入れて研究推進の効率を上げ最先端の研究に取り組むとともに、国内外の大学、研究機関等との様々な共同研究を積極的に推進する。 |
|
○ |
研究の推進方針に関する目標を達成するための措置
国内外の大学、研究機関等に所属する研究者を受け入れて行う共同利用研究、及び国内外の大学、研究機関等との共同研究は、機構の研究所等が取り組む研究課題の先駆性、国際性という性質ゆえに、機構の研究レベルを維持していく上で不可欠なものである。
様々な共同利用研究、機関間の協定に基づく共同研究、国際協定に基づく共同研究、その他各種制度に基づく共同研究等を、研究の内容に沿って多様な形で推進する。海外協力実験プログラム遂行においては、国内グループのコーディネーターの役割を果たす。
機構では研究活動に関連する様々な分野での国際組織・国際機関の活動への協力も研究活動を推進する上で重要であるとの認識のもとに積極的に取り組む。
また、世界に開かれた加速器科学の研究機関として、国内外における他の加速器関連施設の建設に協力及び支援する。
機構における研究活動を進めていくためには、常に最先端の科学技術が必要であるが、これを発展させていく上では、我が国では民間企業の技術力に期待しなければならない割合が大きい。このため、関連分野の民間企業における研究の発展・人材の育成を含めた民間等との共同研究、受託研究等の研究連携は、機構の研究を進めていく上で必要不可欠なものであり、今後とも積極的に推進する。 |
|
○ |
研究成果の社会還元に関する目標
加速器科学の諸分野における研究成果を積極的に社会に還元する。 |
|
○ |
研究成果の社会還元に関する目標を達成するための措置
従来から、機構の個々の構成員が加速器科学の各分野の専門家として、政府、地方公共団体、学協会、国際機関の活動に貢献してきたが、この活動を継続・促進する。
外部機関との連携及び民間等との共同研究、受託研究等を促進する。民間企業との様々な連携活動を通じて、関連研究分野の民間企業の技術力向上に積極的に貢献する。
機構の活動に関する広報体制を強化し、一般公開や公開講座、ホームページ等により研究成果を公開し、成果の社会的活用を図る。研究成果の発信に当たっては、次の世代の育成や社会における理解を促進するという観点も重視して取り組む。 |
|
○ |
研究の水準・成果の検証に関する目標
加速器科学の各分野で、世界最高水準の研究を追求する。
大型プロジェクトを含む研究活動を、自ら点検するとともに、適切な期間毎に外部委員による評価(外部評価)を受ける。 |
|
○ |
研究の水準・成果の検証に関する具体的措置
各研究所等毎に、定期的に研究活動の自己点検を実施する。機構に、外部委員(関連研究分野の外部の研究者)を含む自己評価委員会を設置し、定期的に機構としての自己評価を実施する。
大学評価・学位授与機構、国立大学法人評価委員会の評価とは別に、研究活動に関する外部評価を実施する。
大型プロジェクトについては、従来から行っている外部委員による事前・中間・事後の評価(外部評価)を引き続き実施する。
自己点検・評価及び外部評価の結果は、ホームページ等に公表する。 |
|
(2) |
研究実施体制等の整備に関する目標
○ |
機構及び各研究所等のプロジェクトの進展に対応した組織体制とし、教職員の配置を適正化するとともに、研究資金を有効に配分するシステムを構築する。 |
|
|
(2) |
研究実施体制等の整備に関する目標を達成するための措置
○ |
適切な教職員の配置に関する方策
各研究所等における研究プログラムやプロジェクトの進展に有効に対応するため、必要な研究組織の改編を含めた柔軟で効率的な組織運営を行う。
外部経費の活用を含めた若手研究者を育成するための制度の充実を検討し、期間中の採用者数の増加を目指す。
人事の公平性、教員の流動性を高めるため、教員の人事は原則公募とする。公募に当たっては、従来同様に、メールやホームページ等を活用し、広く国内外に呼びかける。研究所等の教員人事は、教育研究評議会の方針に基づき、当該研究所等に設置される運営会議(関連研究分野の外部の研究者を含む。)において行う。
新たな発見等による研究の集中化、大規模プロジェクトの構想・推進や新研究領域の開拓などに、機構として柔軟に対応するため、機構長のリーダーシップの下に、一定割合のポストを全機構的な観点で配置する。
招聘研究員制度を見直し、国外の若手研究員を含む研究員を受け入れられるように整備するとともに、大学、研究機関、民間研究機関との人事交流を促進するシステムを検討する。
経費配分においては、各研究所等の運営に必要となる基盤的経費を確保するとともに、新たな発見等による研究の集中化、大規模プロジェクトの構想・推進や新研究領域の開拓などに対応が必要なときは、機構長のリーダーシップの下に、全機構的な観点から必要な経費を適切に配分する。
|
○ |
J-PARC計画への対応
中期計画期間中に共同利用実験の開始が予定されているJ-PARCの運営組織については、柔軟性に富む最適化されたものになるよう努めるとともに、必要に応じて大強度陽子加速器計画推進部を含めた既存組織を再編する。 |
|
|
○ |
知的財産の創出、取得、管理、活用に関する組織作りと運用を行う。 |
|
○ |
知的財産の創出、取得、管理及び活用に関する方策
知的財産共有センター(他の大学共同利用機関法人との連合組織)と連携して、知的財産に関連する取組を行う。 |
|
2 |
共同利用等に関する目標
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(1) |
共同利用等の内容・水準に関する目標
○ |
共同利用の研究課題、領域に関する目標
高エネルギー加速器を用いた素粒子・原子核に関する研究及び生命体を含む物質の構造・機能に関する研究について、国内外の大学をはじめとして、研究機関、民間企業を含む研究者による共同利用を推進する。共同利用に用いられる加速器施設等の運転・維持、性能向上及び共同利用実験遂行に必要な技術支援を行う。 |
|
|
2 |
共同利用等に関する目標を達成するための措置
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(1) |
共同利用等の内容・水準に関する目標を達成するための措置
○ |
共同利用の研究課題、領域に関する目標を達成するための方策
大学共同利用機関法人として、物質の究極の構造と基本的な相互作用の法則の解明や物質の新しい様相の研究を推進し、自然界の基本的法則を明らかにするための高エネルギー加速器を用いた素粒子・原子核に関する実験的・理論的研究及び高エネルギー加速器を用いて作られる放射光、中性子、ミュオン、陽電子の4種の量子ビームを用いて、物質の最も基礎的情報を得るための生命体を含む物質の構造・機能に関する実験的・理論的研究を行う共同利用の場を国内外の大学をはじめとして、研究機関、民間企業を含む研究者に広く提供する。そのために、既存施設・設備の運転・維持及び共同利用実験遂行に必要な技術支援を行うとともに、加速器施設等の性能向上に取り組む。主な共同利用として、
・ |
|
Bファクトリーでの共同利用実験 |
・ |
陽子加速器によるニュートリノ振動実験及びK中間子希崩壊実験等の共同利用実験 |
・ |
放射光、中性子、ミュオン、陽電子を用いた生命体を含む物質の構造、ダイナミクス、機能に関する共同利用実験 |
・ |
スーパーコンピューターを用いた加速器科学に関連する大型シミュレーション研究を |
行う。
J-PARC施設の建設を進め、完成した施設から順次原子核物理、中性子・ミュオンによる物質・生命科学、ニュートリノ実験等の素粒子物理等の共同利用実験を開始する。 |
|
|
○ |
新たな研究プロジェクト計画に関する目標
新たな研究プロジェクトの実現に向けて開発研究等の取組を進める。 |
|
○ |
新たな研究プロジェクト計画に関する措置
新たな研究プロジェクト計画に関して学術研究の動向と国際情勢等を考慮してそれらの可能性を検討し、優先順位の高いものから実現に向けた取り組みを進める。
・ |
|
J-PARCにおける中性子実験施設・ミュオン実験施設及び原子核・素粒子実験施設等の拡充 |
・ |
世界の高エネルギー物理学関連研究者が次期計画として実現を希望しているリニアコライダー計画に関する開発研究の推進 |
・ |
Bファクトリーの大強度化のために必要な各種の開発研究 |
・ |
次世代放射光源とその利用研究に必要な各種の開発研究 |
・ |
加速器科学データグリッド網の構築のための開発研究 |
|
|
(2) |
共同利用等の実施体制に関する目標 |
|
各共同利用の推進に適した体制を整備する。
共同利用実験における課題採択体制を整備する。
共同利用の実施体制について、定期的に評価を行う。 |
|
(2) |
共同利用等の実施体制等に関する目標を達成するための措置 |
|
各共同利用実験の課題採択は、研究所の運営会議の下に設置される課題採択委員会において審査する。
一定期間毎に、各共同利用実験の実施体制を含めた共同利用実験に関する外部委員による評価(外部評価)を実施し、評価結果を公表する。
中期計画期間中に共同利用実験の開始が予定されているJ-PARCの共同利用を含む運営体制については、関連コミュニティの意見を踏まえ、日本原子力研究所と協議の上、整備する。 |
|
(3) |
共同利用に関するその他の目標 |
|
共同利用に関する各種情報を含む受け入れ体制を整備する。 |
|
(3) |
共同利用に関するその他の目標を達成するための措置 |
|
共同利用研究者に対する受入体制を整備し、共同利用宿泊施設や福利厚生施設の利用などの支援、便宜供与等を充実する。
共同利用研究者を含む外国人研究員への支援体制を整備・強化する。
共同利用の公募に関する情報、共同利用に関する技術資料等を機構の重要な公開情報として位置づけ、広く国内外の大学や研究機関の研究者に提供する。 |
|
3 |
教育に関する目標
|
(1) |
大学院等への教育協力に関する目標 |
|
総合研究大学院大学との緊密な連携・協力により、大学院教育を行う。
大学における加速器科学関連分野の教育に協力する。 |
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3 |
教育に関する目標を達成するための措置
|
(1) |
大学院等への教育協力に関する目標を達成するための措置 |
|
総合研究大学院大学の基盤機関として、総合研究大学院大学と緊密に連携・協力し、機構に設置された高エネルギー加速器科学研究科において大学共同利用機関としての特長を生かした特色ある大学院博士課程教育を行う。
特別共同利用研究員等の制度に基づき諸大学の要請に応じ、大学における教育に協力する。
大学と共同で、学生等の実習制度について検討を行う。 |
|
(2) |
人材養成に関する目標 |
|
加速器科学の諸分野における若手研究者の育成に努める。 |
|
(2) |
人材養成に関する目標を達成するための措置 |
|
国内外の研究機関、大学等と人材の交流、研究の交流を活発に行い、加速器科学の諸分野における教育の拠点として研究者を育成する。特に、先端加速器技術に関する分野の人材養成を推進する。
また、国内の研究機関、大学、産業界と連携し、セミナーやスクールの実施などを通して広く加速器科学の諸分野における人材を育成する。
加速器科学に関連する分野の発展を図るため大学等の活動を支援する。 |
|
4 |
その他の目標
|
(1) |
社会との連携、国際交流等に関する目標 |
|
研究を推進するための諸事業及び成果の公開を行い、広く社会に機構の活動を知らせるとともに、社会的要請に積極的に応ずるなど社会との連携に努める。
諸外国の関係研究機関と人材の交流、研究の交流を推進し、人材の育成、教育、国際的研究活動を推進する。 |
|
4 |
その他の目標を達成するための措置
|
(1) |
社会との連携、国際交流等に関する目標を達成するための措置 |
|
一般公開・公開講座やホームページ上での機構の研究活動の判りやすい紹介等の活動を通じて、機構の活動を広く社会に公表する。ホームページ上での啓蒙的な記事、様々な研修(大学生、中高校生、教師その他)の受入れを通じて、機構の研究活動だけでなく、科学一般の理解を広める活動を行う。
政府・大学・各種研究機関との連携を重視し、各種審議会や委員会の委員要請に積極的に応える。
研究成果を関連分野の研究者に伝える様々な研究会や技術に関する講習会を開催するとともに、研究会報告集を機構の出版物として発行する。
機構が関連する技術に関する技術相談、あるいは機構が中心となって作成したデータベースや、ソフトウエア等の研究成果の提供並びに使用方法に関する技術相談等を行う。
機構の施設、設備を利用し研究・試料解析を行う機会を産業界へ提供することに努める。
加速器科学分野で生まれた新しい技術を機構の出版物等の形で広く公表し、積極的に社会に還元する。また、技術移転や産業界との共同研究の体制の整備に努める。
国際的に開かれた機関として、国際的な共同利用、共同研究を活発に行うことを通じて、世界における加速器科学の諸分野における中核的センターとしての役割を果たす。特に、アジア・オセアニア地域の加速器科学諸分野のセンター的役割を担う。
国際的な共同利用、共同研究の支援体制を整備する。
国際交流の企画と推進を担う組織、共同利用研究者を含む外国人研究員に対する支援を行う体制を整備する。
国際会議・国際シンポジウム・国際研究会等を積極的に開催する。また、国際的な研究組織として、関連研究分野の国際的な学術関連団体・組織・機関への活動に積極的に貢献する。 |
|
 |
業務運営の改善及び効率化に関する目標
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1 |
運営体制の改善に関する目標 |
|
機構長の適切なリーダーシップの下、一体となった機構運営と、各研究所等における所長等を中心とした適正かつ効果的運営体制を整備する。 |
|
 |
業務運営の改善及び効率化に関する目標を達成するための措置
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1 |
運営体制の改善に関する目標を達成するための措置 |
|
機構長が責任持って中期計画を策定・施行できるように、任期の始期及び期間を適切なものに設定する。
機構長の適切なリーダーシップの下で機構の一体的な運営が可能になるようにするために、機構長の諮問委員会として、機構長、所長、施設長、推進部長、管理局長等で構成する所長会議を設置し、機構全体の運営等の重要事項について検討を行う。
業務運営方針等が的確・効果的に遂行されるよう機構として必要な会議を設け、教員、技術職員及び事務職員が一体となった協力・連携体制を整備する。
各研究所等において、所長・施設長を中心とした運営を適正かつ効果的にするために、関連分野の外部の研究者を含めた運営会議(素粒子原子核研究所運営会議、物質構造科学研究所運営会議及び加速器・共通基盤研究施設運営会議)を設置し、教育研究評議会の方針に基づき、研究所等の運営、共同利用の実験課題、教員の人事などを審議する。
経費配分においては、機構長のリーダーシップの下に、各研究所等の運営に必要となる基盤的経費を確保するとともに、新たな発見等による研究の集中化、大規模プロジェクトの構想・推進や新研究領域の開拓などに対応するため、全機構的な観点で経費を適切に配分する仕組みを作る。
運営費交付金等の適正な執行を図るための定期及び随時の内部監査を実施する。 |
|
2 |
研究組織の見直しに関する目標 |
|
共同利用を含むプロジェクトの進展に合わせて研究実施体制の整備・再編を行う。 |
|
2 |
研究組織の見直しに関する目標を達成するための措置 |
|
各研究所等における研究プログラムやプロジェクトの進展に有効に対応するため、各研究所等において、必要な研究組織の改編を行う。
中期計画期間中に共同利用実験の開始が予定されているJ-PARCの運営体制に対応して、必要な場合には、各研究所、研究施設及びそれらにまたがる組織について再編を行う。
教員と一体となって研究活動の上で重要な役割を担っている研究系技術職員の実態に即した組織形態、評価方法及び採用形態を検討し、適切な技術職員組織を構築する。 |
|
3 |
人事の適正化に関する目標 |
|
世界最高水準の研究施設を維持発展させ、世界最高水準の研究活動を推進していくために、従来の基本的な枠組みを活用するとともに、教職員の流動性を向上させ、多様な人材を確保できるような様々な雇用形態と勤務形態を可能とする人事制度を構築する。
「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)において示された総人件費改革の実行計画を踏まえ、人件費削減の取組を行う。 |
|
3 |
人事の適正化に関する目標を達成するための措置 |
|
○ |
柔軟で多様な教員人事の構築に関する具体的方策
人事の公平性、教員の流動性を高めるため教員の人事は、公募制を原則とし、公募に当たっては、従来同様に、メールやホームページ等を活用し、広く国内外に呼びかける。研究所等の教員人事は、教育研究評議会の方針に基づき、当該研究所等の運営会議において行う。
機構としての観点から採用する教員の人事は、教育研究評議会において行う。
|
○ |
全機構的な観点からの人事に関する具体的方策
新たな発見等による研究の集中化、大規模プロジェクトの構想・推進や新研究領域の開拓など、機構として必要な体制整備に柔軟に対応するために、機構長のリーダーシップの下に、一定割合のポストを全機構的な観点で配置する。
|
○ |
任期付き教員制度に関する具体的方策
任期付き教員制度の活用に向けて努力する。
|
○ |
柔軟で多様な研究系技術職員の人事の構築と専門性の向上に関する具体的方策
研究系技術職員にふさわしい採用方式と技術職員の技術レベルの適切な評価方法の導入に向けて努力する。技術職員の専門性向上のため、必要な知識、技術向上を目的とする研修機会の充実に努める。
|
○ |
柔軟で多様な事務職員等の専門性向上に関する具体的方策
事務職員等に求められる知識・技能向上のため、必要な知識、技能向上を目的とした専門研修をはじめとする研修機会を充実する。
事務職員等の国際化への対応や国際的視野を広げるため、語学力の向上に努めるとともに、適切な研修制度を導入する。
|
○ |
多様な人材の活用に関する具体的方策
定年退職者を含め、豊富な知識・経験や高い技術力を持つ人材を採用し、機構の研究・教育活動等に活用する。
|
○ |
教職員の人材交流促進に関する具体的方策
機構外との人事交流促進などのため、兼職・兼業規程の整備、国内外研究組織との交流を推進するための研修制度、出向制度の整備を進める。
教職員の適切な服務管理を行うとともに、能力、適性、実績等の総合評価に基づく適正な人事に努め、国立大学法人、大学共同利用機関法人、独立行政法人の研究機関等との積極的な人事交流を推進する。
|
○ |
人事評価システムの整備・活用に関する具体的方策
各研究所等における多様な教育研究活動、業務活動に応じた多面的で公正な評価体制と評価基準の導入に向けて努力する。
優秀な教職員にインセンティブを与える仕組みを検討する。
|
○ |
人件費の削減に関する具体的方策
総人件費改革の実行計画を踏まえ、平成21年度までに概ね4パーセントの人件費の削減を図る。 |
|
|
4 |
事務等の効率化・合理化に関する目標 |
|
業務内容の見直しと業務のシステム化により各種事務処理の簡素化・迅速化を図るとともに、事務組織の再編と適切な人員配置に努め事務の合理化を図る。
総合的なコスト評価を踏まえた外部委託の導入を図る。 |
|
4 |
事務等の効率化・合理化に関する目標を達成するための措置 |
|
機構内LANを用いたネットワークを効果的に活用することにより、事務情報化、ペーパーレス化を推進し、事務の簡素化・迅速化に努める。
法人運営に適合した事務組織等の構築と事務職員の適切な配置に努め、事務の合理化を図る。
総合的なコスト評価に基づき、外部委託が有効な業務については、積極的に導入を図る。 |
|
 |
財務内容の改善に関する目標
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1 |
外部研究資金その他の自己収入の増加に関する目標 |
|
積極的に科学研究費補助金などの外部研究資金を確保し、自己収入の増加に努める。 |
|
 |
財務内容の改善に関する目標を達成するための措置
|
1 |
外部研究資金その他の自己収入の増加に関する目標を達成するための措置
○ |
外部研究資金その他の自己収入の増加を図るための具体的方策
科学研究費補助金などの競争的研究資金の申請件数の拡大を図り、積極的な競争的研究資金の増加を目指す。
機構の広報に努め、受託研究、民間等との共同研究を推進する。 |
|
|
2 |
経費の抑制に関する目標 |
|
管理業務等の合理化を図るとともに、効率的な施設運営等により、固定的経費の割合の節減に努める。 |
|
2 |
経費の抑制に関する目標を達成するための措置 |
|
大型研究施設の中・長期的な運転計画を機構全体として策定し、経済効果を考慮した施設運営に努める。
情報ネットワークを活用し、事務の効率化や経費の抑制に努める。 |
|
3 |
資産の運用管理の改善に関する目標 |
|
資産の活用状況を的確に把握するとともに、効率的な運用を図る。 |
|
3 |
資産の運用管理の改善に関する目標を達成するための措置 |
|
資産の効率的・効果的運用を行うための資産管理体制について検討する。
資産の耐用年数、用途、使用頻度、使用環境等を勘案し、計画的な更新、整備を進める。 |
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 |
自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標
|
1 |
評価の充実に関する目標 |
|
法令に基づく国立大学法人評価委員会の評価に加えて、各共同利用、研究及び業務等に関する自己評価並びに外部委員による評価(外部評価)を実施する。併せて、評価結果を研究・組織の改善に反映させるシステムを検討する。 |
|
 |
自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標を達成するための措置
|
1 |
評価の充実に関する目標を達成するための措置 |
|
各研究所等毎に自己評価を行う体制を整備し、定期的に実施する。機構に、外部委員(関連研究分野の外部の研究者)を含む自己評価委員会を設置し、機構として各組織の自己評価結果を把握するとともに、機構としての組織運営に関する自己点検・評価を行う。
大学評価・学位授与機構、国立大学法人評価委員会の評価とは別に、各共同利用実験、研究所等の活動及び機構全体の活動に対する外部委員による評価(外部評価)を実施する。
大型プロジェクトにおいては、事前・中間・事後に外部評価を行う。
実施した自己点検・評価及び外部評価の結果は、ホームページ等に公表する。 |
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2 |
情報公開等の推進に関する目標 |
|
機構の諸活動に関する情報の積極的な公開と発信を、社会への説明責任と社会への貢献という観点から位置付け、推進する。また、公正で民主的な法人運営を実現し、法人に対する国民の信頼を確保するという観点からも、情報の公開に適正に対応する。 |
|
2 |
情報公開等の推進に関する目標を達成するための措置 |
|
機構としての広報体制を整備し、日本語・英語のホームページ、広報誌、広報ビデオ等を活用した広報活動を充実する。
一般公開を含む施設の公開も、機構の活動に対する理解を促す機会として積極的に行う。
国民に対し、機構の諸活動の状況を明らかにし、説明責任を全うするため、適正な行政文書の管理体制、開示体制を維持し、開示請求に迅速かつ適正に対処する。 |
|
 |
その他業務運営に関する重要目標
|
1 |
施設・設備の整備・活用に関する目標 |
|
施設・設備の整備・利用状況などを点検し、研究スペースの有効利用を図るとともに、施設整備に関する長期的な構想を策定し、業務の実施に必要な施設・設備の更新・整備を重点的・計画的に実施する。 |
|
 |
その他業務運営に関する重要目標を達成するための措置
|
1 |
施設・設備の整備・活用に関する目標を達成するための措置 |
|
施設マネジメントを行うために必要な体制の整備に努める。
施設整備の中・長期構想を策定し、その実現に努める。
既存施設・設備の整備・利用状況を的確に把握するとともに、施設・設備の計画的・効率的な改修・保全・維持管理計画を策定し、その実現に努める。
段階的な取得を行っているつくばキャンパス用地について、長期借入金を活用して一括して取得する。 |
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2 |
安全管理に関する目標 |
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機構が関係する危険物に対する安全確保は、機構教職員等の安全確保のためだけでなく、周辺地域に対する責任の観点からも不可欠なものであることから、放射線や高圧ガスなどに関する安全管理体制を整備するとともに、災害や事故時の危機管理体制を含む機構全体の安全管理体制を整備する。 |
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2 |
安全管理に関する目標を達成するための措置 |
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労働安全衛生法等を踏まえた安全管理組織と健康及び快適な職場環境を整備する。
安全衛生の総括責任者を中心とする安全衛生管理体制及び防災管理体制を整備し、機構で作業する教職員等の安全と健康を確保する。
「RIや放射線発生装置」、「毒物劇物を含む化学物質」、「高圧ガス」及び「電気・機械」等に関する安全管理体制を整備する。
事故・災害に対応するために、緊急時の連絡システムを確立し、危機管理体制を整備する。 |
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予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画
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別紙参照 |
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短期借入金の限度額
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1 |
短期借入金の限度額 |
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72億円 |
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2 |
想定される理由 |
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運営費交付金の受入れ遅延及び事故の発生等により緊急に必要となる場合である。 |
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重要な財産を譲渡し、又は担保に供する計画 |
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重要な財産を譲渡し、又は担保に供する計画はない。 |
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剰余金の使途 |
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決算において剰余金が発生した場合は、教育研究の質の向上及び組織運営の改善に充てる。 |
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その他
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1 |
施設・設備に関する計画
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施設・設備に関する計画
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施設・設備の内容 |
予定額(百万円) |
財源 |
・東海団地 大強度陽子加速器施設
・アトラス測定器
・小規模改修
・大穂団地 土地購入 |
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(注1) |
金額については見込みであり、中期目標を達成するために必要な業務の実施状況等を勘案した施設・設備の整備や老朽度合等を勘案した施設・設備の改修等が追加されることもある。 |
(注2) |
小規模改修について17年度以降は16年度同額として試算している。
なお、各事業年度の施設整備費補助金については、事業の進展等により所要額の変動が予想されるため、具体的な額については、各事業年度の予算編成過程等において決定される。 |
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2 |
人事に関する計画 |
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人事の適正化に関する目標を達成するため、以下の措置を行う。
○ |
教員の流動性の確保
教員の人事は、公平性、流動性を高めるため国内外を対象とする公募制を原則とする。
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○ |
人事交流の促進
国立大学法人、大学共同利用機関法人、独立行政法人の研究機関等との積極的な人事交流を推進する。
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○ |
教員の任期制導入
任期付き教員制度の活用に向けて努力する。
(参考) 中期目標期間中の人件費総額見込み 40,582百万円(退職手当を除く) |
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3 |
中期目標期間を超える債務負担 |
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(長期借入金)
つくばキャンパス用地一括購入事業
・償還期間:平成18~32年度(15年間) |
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(単位:百万円) |
財源 |
年度 |
平成16年 |
平成17年 |
平成18年 |
平成19年 |
平成20年 |
平成21年 |
中期目標期間小計 |
次期以降償還額 |
総債務償還額 |
運営費交付金 |
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2,692 |
3,330 |
3,281 |
3,228 |
12,531 |
32,121 |
44,652 |
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ただし、金額は金銭消費貸借契約による償還計画に基づき計算されたものであり、具体的な措置については、毎年度の予算編成過程において決定される。 |