(議事録)障がいのある学生の修学支援に関する検討会(第9回)

 【竹田座長】  ただ今から障がいのある学生の修学支援に関する検討会第9回を開催いたします。
 皆様には,御多忙中にもかかわらずお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。本日は,前回に引き続き報告書第一次まとめ案の検討を行っていただき,最終的に報告書をまとめたいと考えております。
 委員の皆様におかれましては,よろしくお願いいたします。
 なお,本検討会においては,御発言される場合には必ず挙手をした上でお名前を述べてから御発言いただきますようお願いいたします。
 まず配付資料について,事務局より確認をお願いいたします。

【事務局】  それでは,事務局から,配付資料の確認をさせていただきます。
 配付資料でございますが,議事次第に記載のとおりでございますが,議事次第,資料1,資料2でございます。資料1と資料2は,御覧いただきますと,四角で囲った資料1と資料2でございますけれども,資料1については前回からの修正を反映したバージョンでございます。資料2はその見え消し版になってございます。御確認いただければと思います。
 それから,お手元に四角で囲っていない資料1と書いてあるのがございますが,これは報告書にまとめるに当たっての添付資料でございますので,載せております。また,もう一つ「各委員の皆様」というのがございますが,これは先般,各委員から頂いたコメントに対しての対応状況について付したものをお手元に配付させていただいております。
 過不足等ございましたら言っていただければと思いますので,よろしくお願いいたします。

【竹田座長】  それでは議事に入りたいと思います。
 本日は前回の会議後,委員の皆様方から頂いた御意見を反映させた形で,報告書第一次まとめ案を用意しています。
 まず,委員の皆様方から頂いた御意見の対応状況について,事務局より御説明をお願いします。

【事務局】  では,説明させていただきます。
 対応状況についての資料を添付してございますけれども,まずは,皆様方にお配りしております,四角で資料2と書いてあるものにつきまして,説明したいと思います。
  各先生におかれましては,取りまとめに御協力いただきまして,本当にありがとうございます。先生方から,前回第8回目以降頂いたコメントにつきましては極力この中に反映させたつもりでございます。ただ,一部反映していない部分がございます。これは,これまで8回にわたり種々議論を尽くしていただいておりますけれども,まだ議論を尽くせていない部分,他省庁に関している部分,それから若干ここでの議論を超えている部分,他部署との更なる調整が必要な部分などがございますので,それについては引き続きの検討課題とさせていただいてまとめております。
 今回まとめに当たりまして,大学にこういった状況について早めに御通知して,まずは大学の中でアクションを起こしてもらうということを第一義として,大きくまとめた部位についてを取りまとめとしたいというふうに思ってございます。その上でこの資料2に基づきまして説明させていただきたいと思います。
 開いていただきますと,見え消しバージョンでございますので,黒と赤と青というような形でのコメントになってございます。青字につきましては,前回8回目の議論を踏まえて事務局で修正したものでございます。さらに,赤字は,それを先生方に開放し展開させていただいて,その上で各先生方から意見をもらったものについて,更に事務局で青字で修正させていただきました。その対応については先ほど申し上げましたように,「各委員の皆様方へ」と付した資料として配付させていただいております。既に先生方にはこれらを配付させていただいておりますので,細かな説明は省略させていただきますが,数点だけポイントを説明させていただければと思います。
 まず,資料2を開いていただきまして,「はじめに」とございますが,これは先生方から頂いたコメントをなるべく付してございます。
 その上で4ページを御覧いただければと思いますが,学生の現状ということで,担当部署であるとかそういったものについて,若干細かく記載させていただいております。
 また,めくっていただきまして6ページでございますが,これは5.の「大学等における合理的配慮」,その中での機会の確保のところでございます。これは,基本的な考え方を明記するということで,まずはしっかりと大学のポリシーといいますか,ここでのポリシーを記載し,高等教育の質を維持しながら合理的配慮を行うべき旨,それを明確化させていただきました。その上で,障害学生の障害の状態それから特性,いわゆる困難度に応じた配慮をすべき旨を明記させていただいております。
 まためくっていただきまして7ページでございます。ここは赤と青といろいろございますけれども,「情報発信」の部分を「情報公開」と修正させていただきました。また,7ページ,8ページの「決定過程」のところでございますが,これにつきましては学生の要望を中心とし,かつ学生の意思表明に当たっての支援,それも阻害のないように支援を行うべき旨記載させていただいております。また,8ページの組織体制の在り方についても,学内でしっかりと組織体制を構築すべき旨うたっているところでございます。8,9で,これは教育の方法のところでございますが,前回議論がありましたように「情報保障とコミュニケーション」については配慮すべき旨を分けて記載してございます。また,試験の配慮と成績の配慮,評価の配慮についても分けて記載させていただきました。
 更にめくっていただきまして10ページ,11ページでございますが,これは「支援体制」のところでございます。ここについても前回の議論を反映させていただいておりますが,特に大きく変えたのは「学生ボランティアの活用」でございますが,これは質の保障とともに,やはり手話については学生ボランティアでない形での支援が主ということで一応下げさせていただきました。
 続いて13ページのところでございますが,これは「中・長期的な課題」の大学入試のところでございますが,配慮内容の公開,配慮決定のプロセス,改善等々を付記してございます。
 あと,14ページ「教材の確保」,ここについては,視覚障害,聴覚障害を個別に記載させていただいております。
 また,15ページの人材育成についても修正させていただいております。最後でございますが,17ページ,一番後ろでございますが,先ほども申し上げましたように,まだまだ議論が尽くされていないところであるとか,他部署との調整あるいは他機関が深く関わるようなところについては引き続きの検討ということで,特に「通学支援」のところ,それから,食事,トイレ,生活面に関するものについては,一部既に大学でやっておられるところもあるわけでございますけれども,それを均てん化するに当たって引き続き検討が必要ということでここに付記してございます。
 また,医療的ケア,それから障害のある教職員に対する配慮,それからいわゆる第三者機関でございますが,学生と大学との間での決定プロセスにおける解決手段についても引き続き検討が必要ということで,次回までの課題とさせていただいております。
 以上が,一次まとめに当たっての各先生から頂いたコメントに対する修正でございます。そのほかに各委員の皆様方へということでもう一つ資料がございます。これについては,先生方から頂いた部分について,反映していない部分,反映している部分を記載してございますので御参考にしていただければと思います。また,前回,先生方にお配りしたその中で一つだけ,8ページ,中野先生の方から「教材の確保」ということで,これは今の著作権法によれば図書館だけしか複製ができないということがあったわけですけれども,これは文化庁の方に確認させていただきましたけれども,8ページを見ていただければと思います。文化庁長官の指定を受けることで,図書館以外の主体であっても大学の学内で同様の行為ができるということでありますので,これについては今の現行の文書でいかがかということで,そういう対応にさせていただいております。
 ということで,御議論いただければと思いますが,今回は第一次まとめとしておりますので,まずはある程度議論を尽くしたところでまとめにしていただいて,そして質疑をして,また時期をみて追加の議論を重ねたいと思っておりますのでよろしくお願いします。
 あと1点だけ,皆様方に御報告でございますけれども,本報告を受けましての予算であるとか,これの反映の仕方でございますけれども,予算といたしましては今週の日曜日に選挙が行われて,これから政権がどうなるかといろいろあるわけでございますが,短期的課題として取り上げた窓口の整備それからネットワーク形成についてですが,窓口の整備につきましては今25年度の予算で大学等の基盤的な経費の中に要求してございます。それから,ネットワーク形成については,新規の予算が認められるかどうか全然分からないところでございますが,既に既存の予算の中でも各種,大学で広報ができるような枠組みもございますので,そういったものも使いながら25年度の予算に反映していきたいというふうに思ってございます。
 また,一方で,政府におきまして障害者基本計画の次期の計画の策定がなされております。それにつきましては,例えば大学の部分の在り方に,今回頂きます報告書の内容をできるだけ盛り込むべく政府の中で調整していきたいというふうに思っていますので,そういった意味からも,ある程度のまとめをお願いしたいと思っております。各委員におかれましては,まだまだこれから議論を尽くさねばならないところとか,追加したい部分,それから追加すべき部分があると思いますけれども,ある一定のまとめを是非よろしくお願いしたいというふうに思っておりますので,御議論いただければ有り難いと思います。ありがとうございました。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 それでは,本日で最終的に本報告書をまとめたいというふうに考えておりますが,修正する必要があるというところがあれば御発言をお願いいたします。なお,御発言される場合には,恐れ入りますが対案や修正文案を御提示いただければ幸いです。
 それでは,よろしくお願いいたします。
 高橋委員。

【高橋委員】  信州大学の高橋です。修正をお願いしたい点ということで,資料がいろいろあるので,「各委員の皆様へ」のコメントの資料におきまして5ページ目,事務局からの回答に関する資料の5ページ目をお開きください。最後のところの六つ目の丸「高橋委員」と書いているところに関するものです。なお,関連の資料2,この見え消し版における関連のページは9ページになります。「実習とインターンシップ」の提案に関する回答というところへの意見です。「委員の皆様へ」の部分の六つ目の丸,高橋委員というところにある,続く青い部分に,この文言だと実習受入れ機関利用者の利益を損なう可能性があるため,実習を行わないという対応ができるようにも読めてしまいますというふうにあるんですけれども,これは実はそういう意図をもって書いたということです。
 つまり,なぜこういうふうなところが必要かといいますと,実習受入れ機関の職員等には合理的配慮を行うように依頼するということが可能だと思いますが,その利用者に合理的配慮をお願いするということはできないということです。具体的に言いますと,教育実習において,小学生や子供に,この実習生はちょっとこういうところがあるから話すときには気をつけてねとか,医療機関で病棟実習等を行うときに,患者さんに合理的配慮をお願いするとかいうことはできないということです。それによって,結果としてその実習生の障害の特性とも関連しつつ,その利用者の方が何らかの不利益をこうむる事態があり得る。医療機関であれば医療事故等ということも考えられるわけですが,こういったリスクが考えられるときに,その実習を行わせないという選択ができないと,実際にどうなるかといいますと,要するに利用者に迷惑がかからないようにこの実習生は表に出さないようにしておこうと,それで一応実習が終わったことにしようと,そういうふうな対応が現実にあり得るわけですね。実際,こういった実習等における対応が難しい学生に関しては,今各大学が非常に困っていて,講演や研修棟で教育実習や病棟実習に関しての質問が大変多くなっております。
 そこで,私としては,何が何でも十分な実習をさせるのではなく,状況に応じてはそれを行わせないという判断を大学ができるような選択肢を残したいという意図をもってこの文章を作ったということです。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 いかがでしょうか。
 最初の意図と修正が少し違う解釈ということになりますが,元の御意見についてはいかがでしょうか。

【事務局】  そこはちょっとよく御議論いただけると有り難いと思うんですけれども,頭の中の整理させていただきたいのですが,もしそうだとすると,例えば障害があるような方については,これはやはりいろいろ考えなければいけないと思うんですけれども,大学に入る前に,例えば教育実習のある教育課程というか,そこに入れてはいけないということになるわけですか。入れたからには,卒業して資格を取ってもらうということが求められると思うんですけれども,もし教育実習に行かせないという選択ができるということであれば,それは入れてはいけない。あるいは医療行為をするに当たって,それをしなければ資格が取れないようなことを,所与の条件として大学に入っているのであれば,それは入試のときに抑えなければいけないということと同義だと思えばいいんでしょうか。

【竹田座長】  高橋委員,お願いします。

【高橋委員】  信州大学の高橋です。それに関してなんですけれども,恐らくその辺りは,アドミッションポリシー等において,コミュニケーション能力をといったような形で求めてはいるはずです。ただ,入試の段階で全ての大学においてその適性を判断することは困難な現実の中で,実際には合格しているということもある。ただ,入学後どういったことをやるかということに関しては,それは受験生が様々な情報を得る機会もあるわけで,自分が果たしてこういった進路に進むことが適正かという判断をするという部分は,受験生の側にも求められることなのではないか。もっと言えば,高校の進路指導の先生にも考えていただきたいというところではあるんですけれども,結果として入ってしまってから実は実習に行けないというようなことは十分あり得ることだというふうに私は考えていますし,場合によっては入ってからの段階で初めてそれが自分には合っていないんだと気付くということは,その学生さんにとってはむしろ社会に出る前に気付いて良かったという部分もあるのではないかと思います。
 逆に言うと,それで無理やり実習をさせて,無理やり例えば資格を取れるような形で卒業させることによって,実際職場に出て大変な思いをする。若しくは,利用者といいますか,子供であったり患者さんであったりが大変な思いをするという状況を避けるというのは,これはむしろ教育機関の責任なのではないかなというふうに思います。

【竹田座長】  ある程度,この取りまとめの根幹に関わる非常に大事なところが最初から出てまいりましたけれども,他の委員どうぞ。
 では,最初から手を挙げておられる殿岡委員,お願いします。

【殿岡委員】  殿岡です。今の高橋委員の御発言,心配されていることに関しては十分理解ができるのですが,二つの点から疑問があります。
 一つは,まず,これは障害者欠格条項の撤廃並びにその関連の法整備と,大学入学資格との関連において,大学で有効な資格が取れることと,大学における入学試験選抜とを絡めて,資格が取れないから入学させないとかいうふうに,この二つを絡めることは基本的にあってはならないということで確か確認が取れているはずです。
 ですから,国として障害者の社会参加を不当に阻害しないという見解がある以上,ここが確認された上で,欠格条項の撤廃と,追加情報の見直しなどといった,法解釈を変えるのであればまた別ですが,これを確認した上でと個人的には思っています。
 もう一つは,ここで疑問として出たのですが十分議論できなかったんですけれども,合理的配慮と評価という問題であります。つまり,合理的配慮をうまく使えるとかね,うまく使いこなせないとか,合理的配慮を受けることを評価の対象とするような形は,やはり本質的に違う部分で,合理的配慮を受けた結果,使えるか使えないかをはっきり分けていかないと,合理的配慮という性格がどこかぼやけてしまう。今回,こういうふうに分離できなかったのか。この二つの点において少し疑問があるかなと思って提起いたしました。
 以上です。

【竹田座長】  あと何人かの委員の先生から御意見を。では福永委員,お願いします。

【福永委員】  私もちょっと入試のことが気になります。ですから,今課長がおっしゃったように,逆に言えば大学としてそれを理由に入学させないという,そういう論理の展開になると最初に考えていたことと違うのではないのかと思います。
 入学した後のことは,高橋先生のおっしゃるとおりで,不完全なものを無理して広く御迷惑をお掛けしながら出ても,実はそういう能力に満足していないというのを形式だけ整えて出すというのは,大学の使命があると思うのですが,もし書き換えるならばきちんとここで議論して,それが,例えば教員免許も取れませんから入学させませんとか,看護師免許を取れませんので入学させませんとか,そういうふうに結び付かないような構図あるいは合意の形成というものが非常に大切なのではないかというふうに思います。

【竹田座長】  その他にいかがでしょうか。白澤委員。

【白澤委員】  白澤です。同じ部分ですけれども,利用者の利益を損なわないというのはもちろんそうだと思うんですが,利用者の利益を損なうからと過剰に周りが反応して実習させないということがよく起こるわけですよね。発達障害の例については非常によく分かるのですが,例えば聴覚障害の学生が病院等で臨床実習に行く場合に,やはり患者さんに迷惑を掛けるからということで断られたりするわけです。別の障害も恐らく同じだと思います。なので,やはり書き方については慎重になるべきかなというふうに思います。

【竹田座長】  その他,いかがでしょうか。吉永委員。

【吉永委員】  富山大学の吉永でございます。私はどちらかというと,高橋委員の最初に書かれた医療機関であっても十分に合理的配慮ができるんじゃないかなと思っています。
  実際にその現場のことを考えると,やはり実習受入れ機関利用者の利益を損なわないということが大前提として議論されることになるんじゃないかなというふうに思っています。ただ,それが直ちに実習に行かせないということにつながらないような気もします。例えば,こういう条件が発生した場合は実習を直ちに中止しますとか,そのような場合,中止条件みたいなものを設定して,それに対して合意形成をとっていくということは現実にはできると思います。
 現実的に考えると,やはり本人が実習を希望していて,でも大学として実習は行かせませんということは,ちょっと合意形成を図ること自体難しいかなと思うので,そこの辺りを白黒をはっきりさせていく必要があるときに,そこの大前提として,利用者の利益を損なわないようにするという目標をお互いに設定していくことはすごく重要な点なのではないかなというふうに思いました。
 なので,私自身は高橋委員の書いた文面については賛成なんですが,ただし実習に行かせないということにならないような工夫はしていかなくてはならないというふうに思います。
 余りまとまっていなくて申し訳ありません。

【竹田座長】  近藤委員,お願いします。

【近藤委員】  東京大学の近藤です。私が思うには,これは実際には実習だけに限ったことではなくて,例えば第2回目で御報告しましたけれども,例えばアメリカでの事例ですが,公衆演説という授業があって,その授業に,不安障害があって人前でしゃべれないという学生が参加の登録をしたいということを言ってきた。この授業は公衆演説なので,必ず人前でしゃべることで評価されなければならないという基本要件がありますよね。ですので,人前でしゃべれなくても授業をとっていいですよということを認めてしまうと,これは公衆演説の本質的な要件というのを低めてしまうことになるので,その障害学生の履修を認めることができないということで,ある大学でその学生の履修を断ったという事例がありました。
 このように,実習だけではなくて,やはり本質的な要件を低めてしまうものに関しては,履修若しくは参加を認めないということは,各大学の判断基準としてあっていいと思うんです。ところが,今回十分に議論を尽くせなかったところが正にそこでして,基本的に合理的配慮とは,参加の機会保障のためにルールを作っているわけなんですけれども,その機会制限や本質的な要件を低める場合はそれを拒絶してよいといったような明確なルールというところまで,実際今回の議論で踏み込めたとは言い難いです。
 そこに踏み込むとすると,やはりその本人の明確な権利擁護のシステムというものを作らないといけない。例えば,今回入れられなかった第三者機関であるとか,明確な調整機関というものを入れないと,それは学生の主張とその施設側の主張がきっこうできないですし,合意形成に至れないので,その段階で権利制限をするような文言を先に入れてしまうと,これはかなり先走った対応,いわゆる大学の予期不安で学生を入れないということにつながる可能性というのは十分にあると思うんですね。なので,本質的に構造を作れていない状態で文言だけを入れてしまうということになってしまうので,私としてはちょっと時期が早いのではないかと思います。
 もう一つ権利制限について議論を尽くせなかったということとしては,今回のこの委員会では本人の障害の開示の範囲ということも決められていないことがあります。ここと併せて,恐らく今後議論しなければいけない重要なテーマだと思うので,私としては今回の取りまとめに入れることは少し難しいのではないかと思いますが,いかがでしょうか。

【竹田座長】  いかがでしょうか。
 私も何人かの先生方の御意見を聞いて,恐らくこの入り口の部分にこれを連動させると,今回の一番検討会の目玉というか骨子が根底から覆ってしまうので,それはちょっと難しいのかなというふうに思うんですね。
 一方で,例えば実習とかインターンシップでも相手方に合理的配慮をお願いする,そういう情報交換を密にして,それを保障する責務は大学には当然あると思うんですね。実習が円滑に行われるよう合理的な配慮をお願いするという,そういう責務が大学にあると思うんですけれども,その結果どういう評価がなされる,どういう経過をたどるかというのは,これは大学の責任で,つまり健常の学生でも単位が取れない,大学を卒業できない学生というのがいるわけですね。それは大学が厳格に評価しなければいけないですので,今,近藤先生がおっしゃったように,その本質に関わるようなカリキュラム上の実習がクリアできない場合には,それは大学の判断で対応するという責務が出てくるので,近藤先生がおっしゃったように,いろいろ間接差別というものを先取りされないような,そういう配慮は当然今後非常に必要になってくると思いますけれども,根本的には実習先にも合理的配慮を保障してもらうような情報公開の責任が大学にはあるんだというような辺りで,多分高橋先生のおっしゃっていることとこの原案というのはそんなに矛盾しないで第一次案としては取りまとめられるのかなというふうには思いますが,文言については少し慎重に記載する必要があるかなと思いますがいかがでしょうか。

【近藤委員】  問題点に関しては,基本的には恐らく共有されている中での表現の問題というところかなというふうには思っております。
 一つ誤解がないようにということで言うと,障害があるから行かせないということではないということだと思うんですね。つまり,利用者にとって不利益が生じるような状況が予測されるときに,それは障害のある学生であってもない学生であっても,大学としてはその学生の実習参加を制限せざるを得ないと思うんです。そういったときに,ここの部分は障害のない学生はそういう制限が場合によってはあり得るんだけれども,障害のある学生は合理的配慮だから,とにかく何が何でも十分な実習を保障してくれというふうになってはまずいという,そういったニュアンスの方が私としては伝えたいというところです。

【竹田座長】  ありがとうございます。利用者の利益というふうに書いてありますけれども,先ほど医療機関の話も出ていましたけれども,当然患者の方にはその方たちの権利もありますので,やはりこれは全て権利と権利の話になってきますので,そんなに矛盾することではなくて,合理的配慮というのは飽くまでも合理的な配慮ですので,その実習生の権利を守るために患者さんの権利を侵害してもいいということは,それは絶対あり得ないことですので,そんなに矛盾しないで,文言をある程度客観的に選べば可能な部分ではないかなというふうに思います。
 よろしいでしょうか。いかがでしょうか。
 では一応,ちょっとこの辺は検討というか少し文言等を考えたいと思います。
 その他いかがでしょうか。中野委員,お願いします。

【中野委員】  慶應の中野です。今,議論があったインターンシップの次にある「公平な試験の配慮」のところです。「各委員の皆様」の資料でいうと6ページのところです。例示の中に「点字や拡大文字による受験を追加」というのをお願いしたんですが,「等」で読み取ってくださいということなんですが,これにはちょっと承服ができません。理由は,試験時間の延長,別室受験,支援技術の利用等があれば試験ができるかと言うとそうはいきませんで,視覚障害者にとってそもそも紙に書いてある試験そのものが見えないというのは非常に重要な問題で,ここはどうしても書いていただく必要があると思っています。例えば点字等の情報保障とかいう書き方でもいいんですが,ここには点字だとか拡大だとかいうような情報保障を試験の際に行うべきであるということが全く記載されていないので,何らかの御配慮を頂きたいというふうに思います。

【竹田座長】  この点に関して,どうでしょうか。広瀬委員。

【広瀬委員】  放送大学の広瀬です。ここの試験のところは,大学の入試センターによる試験に倣ったらいかがでしょうか。多分,そういう意味では情報保障が点字なり朗読なりなっているわけですから,それが一番適正ではないかというふうに思います。
 それからあと,先ほどの高橋委員のところの議論でちょっと考えたんですけれども,皆さんがイメージしている障害の学生さんがインターンシップに出ていくというところで,例えば,発達障害の学生さんがインターンシップに行った場合のいろいろな問題と,それからまた,身体や聴覚障害,視覚障害を含む学生さんが行った場合の問題というのはかなり違うと思うんですね。ですから,方向性としてはもちろんさっきの議論でいいと思うんですけれども,ちょっとどのように表現していいか分からないけれども,そこで起こり得る子供たちの反応,あるいは患者さんの反応というのを,本当にイメージしてみると随分違ってくるんですね。ですから,障害のあるといったときに,コミュニケーションのギャップだとか意思の疎通というところというのがどのような形で問題となってくるのかということが,ひとくくりに「障害のある」といってもかなり違う現場になるのではないかなという気がいたしました。
 そこで,殿岡委員が言ったことも,白澤委員,近藤委員がおっしゃったことも本当に正論だと思うんですけれども,現場ということを考えると,逆に,高橋委員,吉永委員が発達障害の専門家でいらっしゃると,こういうところで見ているものが,イメージするものが違うんだなというのが今更ながらに考えられるので,その辺は全体にわたって目配りをしていく必要があるなと思いました。それだけです。

【竹田座長】  ありがとうございました。石川委員,どうでしょうか。

【石川委員】  石川です。2回ばかり欠席しまして失礼しました。
 先ほどの中野委員の御提案に全面的に賛成です。この入試のところに,点字での受験が入っていないのは非常に奇異に感じます。どういう議論のプロセスでこれが入っていないのかというのがちょっと分からないのですが,現在,各大学において視覚障害の学生が受験する場合はほとんどのケースは点字での入試を実施していると思います。もし私がとんちんかんなことを言っていたらすみません。入試と学内での試験と両方について,下記段落で議論されているので入試も含んでいると理解したんです。間違っていたらちょっと御指摘ください。

【事務局】  事務局の方から1点だけ追加させていただきます。一応,試験のところで書いておりますのは,別に僕たちが書きたくないとかいうことではなくて,障害のある学生の能力,適性,それから学習成果ということで書いていますが,それで今視覚障害の方のための点字,拡大文字による受験,これを書いたとすると,あとほかの障害の方々,例えば聴覚の障害のある方々への配慮,それからその他の配慮とずっと網羅的に書かないと,何となく視覚障害の方だけ特化しているみたいなことになりますので,もうちょっと冗長になってもいいということであれば,例えば,視覚障害の方のためには点字,拡大文字,聴覚障害の方のためにはこうこうというようなことを逆に列挙するのかということもありまして,それであれば各障害種別ごとに書くことはやめて,「等」で読むというような文脈で「等」にさせてもらいました。
 あとその他に,そうでなくてやはり代表的なものについては書いて,それであと,ふえんさせた方がいいことであればそういう書き方もあるんですけれども,そこは先生方に御議論を頂ければと思います。

【竹田座長】  石川委員。

【石川委員】  石川です。今日は教授会を欠席してきました。来て良かったなと。来なかった方が良かったのか。ここは承服できない。大体,現状やっていることさえ書かないというのでは後退ですし,大体そもそも大学入試センターでやっていることについては少なくとも押さえるということはベースじゃないかと思いますけれども,いかがでしょうか。

【事務局】  それであればもうばーっと書くような形でしょうか。

【竹田座長】  渡辺委員。

【渡辺委員】  日本福祉大学の渡辺です。改めて読んだら,確かに情報の保障という項目はないので,これは間違いなく入れなくてはいけないと思いました。
 もう一つは,支援技術の利用というところは,これは自分で支援技術をやりながらまた改めて思ったんですけれども,支援技術とはという定義はすごく曖昧なので,ぱっとイメージするのは多分,例えばパソコンの利用とかその程度ぐらいかなと思うので,もしこれをあえて書くならば,非常に時間の延長とか別室受験と具体的なので,もう具体的に書いてしまった方がよくて,「等」の例えば支援技術とか配慮をするぐらいにした方がいいと思います。
 それから,情報保障に関しての視覚障害の学生だけに限っているような感じにはなるんだけれども,試験問題の情報保障だけではなくて,例えば,誤字脱字があってテストのプリントの修正があるとか,それから時間を学生に知らせるときに紙に書いて知らせるだとか,幾つかいろいろな試験のときって配慮というか段取りがあったりするので,必要な情報の保障というものもやはり入れていただくことと,今石川委員がおっしゃられたように,幾つか具体的な例を挙げた上で総括して言葉を書いた方がより分かりやすいと思いました。

【竹田座長】  事務局,お願いします。

【事務局】  では,事務局の方ではそういう方向で修正させていただきます。

【竹田座長】  当初議論があったように,例えば日本学生支援機構のガイドブック等がありますので,これは余り冗長にならないというものも文書の性格上必要ですので,必ず「等」が入ると思いますね。情報保障は,もちろん今御意見が出たようなものが代表的なものですけれども,例えば代筆受験というのも,例えば上肢に障害がある方とか,いろいろ細かな配慮が必要なものというのも多々あると思うんです。それはケース・バイ・ケースですね。ですので,それを羅列するというのはこの取りまとめ案に余りそぐわない感じがします。代表的なものを書いて「等」という形で,今後のいろいろな発展とか技術も変わってくると思いますので,その辺はちょっと文言を考えさせていただければと思います。
 その他,いかがでしょうか。中野委員。

【中野委員】  今のところに関連してですが,是非代表的なものとして点字は必ず入れていただければと思います。これは確認です。
 なぜかというと,能力を判断するというときに,点字は入った後に十分に情報提供できないから,入試等でもう既に拒否しますというケースが今でもあるわけです。そういうケースが起こらないようにするためには,ここに明確に書いていただきたいということで,冗長になるかもしれませんが,是非ともお願いしたいと思います。
 それから,支援技術のところですが,先ほどパソコンが出てきたんですが,伝統的な支援技術としては,入試のときには拡大読書器とか,ルーペだとかそういう類いのものの方が伝統的なもので,パソコンになるとちょっと話が違ってきて,不正等がないようにするための配慮が入試でのパソコンの利用の場合には難しくなってきますので,それを一緒にしていいかどうかというのはもう少し慎重な議論が必要かなと思います。最低限,少なくとも今までの試験の中で使われていた支援技術に関しては例として是非出していただきたいなと思いますが,そこは例示の際にちょっと御留意いただければと思います。
 以上です。

【竹田座長】  配慮というのも各大学の裁量というのもあると思うんですね。ですので,具体的に書くのもいいんですけれども,例えばパソコンは書かれていないから,パソコンはやはり今先生がおっしゃったように,これは不正の余地があるからとか,ルーペだったら大丈夫とかいうような先入観を余り与えないような書きぶりにした方がいいのかなというふうに思います。ちょっと参考にさせていただければと思います。
 その他いかがでしょうか。巖淵委員,お願いします。

【巖淵委員】  巖淵です。先ほどの話に関連して。あと広瀬委員の方からも,センター入試の基準というお話があったんですけれども,我々はDO-ITで活動させていただく中で,現在のセンター入試の配慮では不十分だということを非常に感じております。松尾課長がおっしゃったように,何々障害だからというのはやめましょうというのはこれまで議論になったと思うので,代表的な事例の中にある中で欠けているもので,今パソコンの議論もありましたけれども技術の利用というのは非常に大切だと思っています。国内ではそれほど例はありませんが,海外の例でパソコンも当たり前のように評価に使われています。不正をしないようにというような工夫も既にいろいろ行われていますので,センター入試における基本的な支援技術としてもパソコンの利用はかなり少ないんですけれども,そういったところは必ず入れていただきたい。支援技術は,広く一般で入っていてもいいかなと思いますけれども,そういうところは例示の中にも是非入れていただきたいと思います。これは確認です。

【事務局】  すみません。森山ですけれども,先ほどのパソコンの話で入試センター試験の文言の中にそういうのを入れた方がよろしいでしょうか?

【巖淵委員】  巖淵です。パソコンは支援技術の利用等のこの書き方で私はいいと思っております。

【竹田座長】  これはやはり危惧するように,いろいろ各論が出だすと多分議論がたくさん出てくるので,代表的なものを書いてあとは「等」ということで示すと,これは技術も変わりますし,今巖淵委員がおっしゃったように,例えばパソコンを使っても不正をやらないでできるようなルールや方法みたいなものを確立してくると思いますし,余りこれとこれというふうな誤解を受けないような形で書ければいいかなと思います。点字についてはちょっと記憶しておくようにしたいと思います。
 この件に関して,他の委員いかがでしょうか。殿岡委員,お願いします。

【殿岡委員】  今私どもの大学における障害学生の受入れ状況に関する調査の方を進行しており,多くの大学が回答を始めているんですけれども,点字受験を実施している学校は70校を切る。つまり全国の1割を切る現状が続いております。点字入試は実質的な機会均等において大変な問題なので,それについて書くということは意義が非常に高いと思います。ですから,最低でもセンター試験の基準を下回らないようなという意味で,センター試験の特別措置という注を付けていただいて,それを全部この文言に含むんだというような通知をしていただくことでいいんじゃないか。
 私自身もセンター試験は完全ではないという立場をとっていますが,それに関しては恐らくここの表現には入っていないと思うので,センター試験より下回らないように注をしておくという表記をお願いします。関連では以上です。

【竹田座長】  ありがとうございました。センター試験での配慮はミニマムとして,代表的なものを記載して,今後,各大学との裁量もある程度可能なような文言にするということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それではその他のことについて,白澤委員,どうでしょうか。

【白澤委員】  2点あります。1点目はこれに絡む内容で,試験の配慮の下の成績評価についてです。これについてですが,ここの丸のところだけ,これこれが合理的配慮ではない,これこれは合理的配慮であるという言葉で書かれ説明がなされているんですよね。ただ,この報告書の中では合理的配慮とはこれであるということを言わない立場で恐らく書かれてきているもので,合理的配慮にまつわる考え方を示すというものだと思うので,ちょっと表現を検討した方がいいのではないかと思います。
 同じところで,この評価基準の変更というところについて,例えば「安易に評価基準を変更したり,合格基準を下げるなどの対応をとらないよう留意する必要がある」というふうにしたらどうかということを指摘をさせていただいたのに対して,では安易じゃなければいいのかという御指摘を頂いたんですが,実際問題として評価の方法を変えることで,評価基準を変えざるを得ない状況というのは起こるのではないかと思うんですね。根本的な目標とするレベルは変えないのかもしれませんけれども,評価の基準そのものは変わることはありますよね。例えば,聴覚障害学生に対して,音楽の授業をとるといったときに,他の学生は歌を歌うスキルというものを測っているのに対して,聴覚障害学生の場合は音楽というものに対する理解度を測るというような形で読み換えることが起こります。そういう部分を考えると,もちろん安易に基準を変えてしまうことは行われてはいけないことだとは思うのですが,少しこれをやってはいけないと言い切って大丈夫なのかどうかという不安がありますので御検討いただければと思います。
 あともう1点はちょっと全然違う話になってしまうので,ちょっと混乱しますので,第三者機関のことを他に言いたいと思います。

【竹田座長】  評価基準については多分おっしゃることは,変更ということと下げるということが同時に読めるような形じゃない方がいいという御意見だと思います。それは何となく分かるかなと思います。書き方の問題だと思います。よろしいでしょうか。
 広瀬委員,お願いします。

【広瀬委員】  この評価基準というのはよく,海外,アメリカとかヨーロッパの障害者支援局で出しているいろいろな文書を見ると「アカデミックスタンダードをキープする」という書き方をするんです。ですから,エバリュエーションスタンダードみたいな言葉というのは余り聞いたことがないですね。だからどうなんでしょうか。評価というと,やはりその評価方法とか,何かすごく具体的な測り方みたいな,そういうことになるんですけれども,アカデミックスタンダードは絶対変えないというのは,最初に書いてあって,それ以外は余り見たことがないですけれども,ありますか。近藤委員辺りはいかがですか。

【近藤委員】  近藤ですけれども,私もこの文言を冷静に読み直してみると,白澤委員がおっしゃったように実際には変えることってあるんです。レポートに代えるとか。おっしゃるように,キープしたいのは本質的なアカデミックな水準なので,今どうしたらいいかなと考えております。

【事務局】  そうであれば,例えば今の先生方の御意見を参酌すると,例えばアカデミックスタンダードを変えないような形で,評価基準や合格基準について合理的配慮を行う必要があるとか,そういう書き方にした方がよいでしょうか。

【広瀬委員】  そこで合理的配慮は使わない。

【事務局】  これでいいんですかね。

【広瀬委員】  ここではね。そこでスタンダードを提示しながら。

【事務局】  では,アカデミックスタンダードを変えないような形での成績評価を行うという形にすればいいですか。

【広瀬委員】  アカデミックスタンダードを堅持しながら,成績の評価に努めるというような形でどうでしょうか。ここで合理的配慮という言葉は使わなくていいかと思うんですけれども。

【近藤委員】  近藤ですけれども,一つは実際にはそのような変更は一般的にはやると,先生方大変なので,一般的にはやらないんだけれども,そうしないと参加の機会が失われてしまうので,合理的配慮としてそのような調整を提供するということは実際に行われて,その場合は合理的配慮の範囲に入ると思います。ですので,どうしましょうか。

【竹田座長】  よろしいですか。現場では恐らく,時間延長とか,現場では別室受験とかいうことが一人でも学生がいると,教員には対応の難しさがあって,結果として君はレポートでいいよというような,そういう扱いが起こり得ることであって,それは必ずしも機会均等という観点から望ましいことではないという,そういう経緯があってのことなんですね。ですので,あえてこういうふうに,これは合理的配慮でないということが入っている意味というのはそういう経緯もあってのことで,ちょっと文章的に全体の流れから合理的配慮でないというのが,合理的配慮でないことの議論というのは,実は非常に大変だということ,近藤委員や広瀬委員は詳しいと思いますけれども,アメリカなんかでこれは合理的配慮でないということの議論はいっぱいあるんだと思うんですけれども,そういうこととちょっと違って,やはり理念的な部分もかなり含まれているという情報かなというふうに思うんですけれども,いかがでしょうか。書き方の問題とかで。
 吉永委員。

【吉永委員】  書き方の問題で一つ提案をさせていただきたいと思うんですが,実際に評価基準を変えていく,変えていかないみたいな話をするときに,多分現実的にはシラバスに書いてある教育目標に,そぐうのか,そぐわないかというところが落としどころかなというふうに思っています。それがちょっと現実的に正しいかどうか分からないんですけれども,それを引用した場合には,例えば評価基準の変更という前に,教育目標の達成を損なう評価基準の変更あるいは評価基準を下げるというふうにするというのは一つの方法かなというふうに思いましたが,いかがでございましょうか。

【竹田座長】  石川委員,いかがでしょうか。

【石川委員】  よろしいでしょうか。例えば留学生の場合にどうしているかと振り返ってみると,例えば,日本語の表現がつたなくてもそれは仕方がないだろうというふうに明らかに配慮しています。つまり,内容をちゃんと理解しているかどうかということを重視して評価することにしていて,要するに授業の内容を理解したかどうかだけを見るようにして,日本語のいろいろな表現の不十分さについて日本人の学生と全く同じように比較していたのでは単位が出せないという感じになるので,個人的にはそのような配慮をしています。
 例えば,聴覚障害の学生の場合あるいは盲の学生の場合は特にそうですが,やはり日本語の表現力ということだけでいうと,同じような基準で判断するのが本当に公平といえるかどうかということについて私としては疑問を持っていて,きちんと理解したかどうかだけをみたいというふうには思います。
 だから,合理的配慮でないとわざわざここで書く意図がどの辺りにあるのかがいま一つちょっと分からないんですけれども,なぜここをこう書く必要があるのかというところがよく分からない印象は持ちました。

【竹田座長】  最初の白澤委員の御発言にあった「安易な」というのは,先ほどの例で言ったような,試験での配慮が非常に大変なのでレポートにした方が多分評価する側は簡単だという,そういう意味の「安易な」ということだと思います。
 ですので,多分ここで言いたいのは,広瀬委員がおっしゃったようなアカデミックスタンダードを担保しつつ,教員は試験に関しても公平かつ試験に関しての合理的配慮をしなければいけないというのが骨子かなというふうに思います。つまり,自分が面倒だから時間延長でやるのをやめてレポートというと,視覚障害の方は全部レポートだというようなことが起こり得るわけですね。そうすると,本人も非常にそれは不本意ですし,大学のカリキュラム上の評価が,本当にその学生が他の学生と全く均等に評価されているのかという辺りに疑問が出てくることになりかねません。なので,多分ポイントとしてはアカデミックスタンダードを担保するということと,例えば定期試験に関する合理的配慮をきちんとする。そこは手を抜かないんだというようなことの内容,文言を考えて記載するということではないかなと思いますがいかがでしょうか。
 福永委員。

【福永委員】  長崎大学の福永です。今委員長の言われた趣旨に賛成ですが,ちょっと気になるのは,アカデミックスタンダートという言葉が非常に浸透している言葉で,皆さん思い浮かべることは同じかなという点ですね。そういう意味では,普通はシラバスで教育目標がありますので,教育目標という言葉の方が,現場としてはしっくりするのではないかなという気がちょっといたしました。

【竹田座長】  ありがとうございました。その他,いかがでしょうか。
 事務局,いかがでしょうか。

【事務局】  できましたら,修正の関係もございますので,少し案文みたいなものを言っていただければ非常に助かります。皆様のニュアンスがちょっと違っていたりとかするようなことがないようにしたいので。

【竹田座長】  石川委員。

【石川委員】  シラバスの3番,削除を提案します。「なお」以下です。「成績評価においては,障害のある学生の能力を適正に評価することが必要であり,例えば評価基準の変更や合格基準を下げる等は合理的配慮でないことに留意する必要である」。この文を削除した方がいい。

【事務局】  上に持ってきていて今どうなっているかといいますと,「成績評価においては,障害のある学生の学習の成果等を適切に評価することが必要であり,例えば評価基準の変更や合格基準を下げる等は合理的配慮ではないことに留意する必要がある」となっておりまして,ここが今,みんな議論になっていまして。

【石川委員】  私が持っている資料は一体何でしょうか。

【事務局】  すみませんでした。それで,案文といたしまして,例えばこういうことでどうでしょうか。「成績評価においては,障害のある学生の学習の成果等を適切に評価することが必要であり,教育目標を損なわないような形での評価等に留意する必要がある」とか,そういった趣旨の,マイナスのイメージじゃなくて前向きなイメージにするとか,そういったことで修文をするのはいかがでしょうか。

【竹田座長】  近藤委員,続いて殿岡委員。

【近藤委員】  すみません。すぐ案文が出せないんですが,ここには本質的に書かなくてはいけないことというのが二つ含まれていて,一つはその学生が教育目標を本質的に達成できているということが分かるような柔軟な評価方法を取り入れる必要があるということと,プラスして,その方法を変更することを常に選ぶことでその教育目標が損なわれるようなことがあってはならないという,その二つの観点を含める必要があると思うんですが,私の言っていることはうまく通じているでしょうか。
  評価の柔軟な調整が必要ですが,かといって最初から変更ばかりするのは駄目で,それはなぜかというと,両者においては基本的に本質的な教育目標が達成されていることというのが基本ということなんです。それをこの二つの丸の中に説明いただくということです。

【事務局】  後者の意味がちょっとよくとれていないので教えていただきたいのですが。

【近藤委員】  後者の意味というのは,例えば先ほど座長の方から例に挙がりましたように,視覚障害の学生はとにかく全部レポートにするとか,若しくは他の学生はみんなある評価方法で,例えば入試でいうと,障害のある学生は全員AO入試に行きなさいとかいう。一般入試を受けては駄目とかというようなことにもなり得る。本人の主体的な選択ができなくなるということです。なので,その両方が含まれる必要があるんじゃないか。
 それが多分,今各委員の先生方で,それぞれの見解が交じり合いながら出ているかと思うんですけれども,これは案文を考えるのにちょっと時間が要りますね。今すぐだとちょっと回答が出ないです。

【事務局】  コンセプトがもしそういうことで合致するのであれば,あとは案文だけなので。

【竹田座長】  よろしいでしょうか。コンセプトはよろしいでしょうか。殿岡委員,どうぞ。

【殿岡委員】  殿岡です。基本的には,最初に白澤先生が提案されたことが重要な点かなと思っております。合理的配慮ではないという言葉は少なくとも使わない方がいい。その理由としては,現段階で配慮が難しいとかできない配慮があるのは事実ですけれども,やはり今どんどん障害が多様化して重複化して,それぞれの障害がある学生のニーズの多様化が進んでいる前提において,合理的配慮になり得る部分はどんどん広がっていくわけですね。それが可能になれば合理的配慮になっていくわけですから,やはりこれではないという決め付けをすると進歩を止めることになってしまう。それに,合理的配慮を受ける学生の評価において,たとえ評価方法を変えないという決定をしたとしても,先ほど石川委員がおっしゃったように,日本語と異なる言語環境を持った者の配慮ということで起こってくるでしょうし,それは学生全体を考えた場合に,新たな可能性が起こってくると。そのときに教育内容を変えないということが大事であって,新たな発展の可能性も否定してはいけないというふうに考えております。
 以上です。

【竹田座長】  ありがとうございました。
 確認ですけれども,コンセプトに関してはよろしいでしょうか。教育目標は損なわない。それから,評価の方法等についてはフレキシブルにかつ公平性を損なうような形での安易な変更,「安易な」という言葉はちょっと気を付けないといけませんが,安易な変更にはならないような形にするということで,最初の文言のところ,「成績評価においては,障害のある学生の学習成果等を公平かつ柔軟に評価する」というような,そういうスタンスじゃないかなというふうに思いますけれども。それでコンセプトがよろしければ案文の問題かと思います。
 近藤委員,お願いします。

【近藤委員】  今も案文を書いています。「成績評価においては,障害のある学生の学習の成果等を適切に評価することが必要である。例えば,学生が教育目標を達成できていることを柔軟な方法で評価しつつも,教育目標や公平性を損なうような評価基準の変更や合格基準を下げる等は行わないよう留意する必要がある。」というのはいかがでしょうか。

【竹田座長】  どうでしょうか。ではこれをベースにしてそういう形で検討します。ありがとうございました。

【広瀬委員】  ちょっと意見なんですけれども,その「障害のある学生が教育目標を」というところは前に持ってきたらどうかなと思うんですよね。成績評価においては,教育目標を担保するというようなことを先にも持ってきた方が分かりやすいんじゃないかなと思うんです。それで,近藤先生のおっしゃった案文を続けたらいかがかなと思います。何か教育目標が下の方にいっちゃうよりは前にはっきりと示した方が良いように思います。

【竹田座長】  よろしいでしょうか。おっしゃるとおりかなと思います。では,そういうふうな形でこの箇所は修正したいと思います。
 その他の箇所でいかがでしょうか。白澤委員が先ほど第三者機関のことでおっしゃいました。あと吉永委員,お願いします。

【白澤委員】  何度も申し訳ありません。提案のところで却下されてしまった第三者機関のところですが,合理的配慮の内容自体を大学に任せる形になって,何を合理的配慮とするかというのを各大学が選択する形になる以上,やはりそれを調整する機関が必要になってくると思うんですね。できれば長期的目標の中に入れていただきたいところではあるんですけれども,もしそれが難しいということでありましたら,この合理的配慮の決定過程の中に,例えば「相談の過程では学外の第三者による意見を参照することも重要である。」とか,これだけで足りないということであれば,「ただしこの場合も飽くまで大学の責任において配慮内容を決定するものとする」といったような形で,第三者という言葉をどこかに入れられないものかと思うんですね。
 というのも,やはり合理的配慮の実施を各大学に任せたときに,やる大学,やらない大学というのがどうしても出てくると思うんです。そして,やらない大学に在籍している聞こえない学生が何らかの形で主張したいときに,ここに第三者の意見を参照することも重要であるということが記載されていることによって救われる学生がすごくたくさん出てくると思うんですよね。なので,何かしらもう一歩踏み込めませんか。是非,第三者に関する記述の追加について検討していただきたいと思います。

【竹田座長】  白澤委員,各委員の皆様へのページ数と資料2のページ数をちょっと言っていただけますか。

【白澤委員】  「各委員の皆様へ」の中では4ページの一番下。例えば,この七つ目の丸と八つ目の丸の間と書いてあるところです。また相談の過程では,学外の第三者による意見を参照することも重要であると,こういったところを入れられないかというところです。これが実際に該当するのは,見え消しのものでいうと,「決定過程」のところですから,8ページの中ほどです。8ページの組織体制の構築の後ぐらいじゃないですか。

【竹田座長】  ありがとうございました。これに関して御意見いかがでしょうか。
 こちら側のメモの方では,第三者機関の定義というのがちょっと曖昧ということで,第三者機関というのはいろいろなものを指す可能性が出てきてしまうので,ここに「第三者機関」という書き方で書くのはどうなのかなという印象はあります。これは合理的配慮の決定過程ではありますけれども,議論の中でもありましたけれども,いろいろ苦情対応というかクレーム対応という,そういう枠組みが現在では多分ないわけですけれども,そういったときにこの第三者機関という言葉が割とよく使われる言葉なんですが,曖昧な文言をここに入れるのは望ましくないんじゃないかなという,そういう判断はあります。
 何かご意見。高橋委員。

【高橋委員】  第三者機関に関して,二つの意味合いが入っているので分かりにくくなっているかなと思うのは,多分決定過程での第三者機関というのは,第三者機関というより,どっちかというと専門家に相談するという対応,専門家の判断とか所見とか意見とか,そういった意味合いかなと思うんですね。最後の方でもう一つある,長期的な課題の方の第三者機関は,その異議申立てに対する仲裁といったような意味合いだと思うんですね。なので,その二つが多分この書き方だと区別ができないので,曖昧になったり誤解を生んだりという可能性もあるのかなと。
 なので,決定過程の方は,例えば専門家の意見も聴取し,何か専門家に相談するようなことを入れて,長期的課題の方にはそういった大学と学生の間でうまくいかないときには,それをどう解決していくかについて今後の検討が必要だといった内容を入れていくという辺りが必要かなというふうに思います。

【竹田座長】  これは,白澤委員の趣旨を踏まえると,大学等は合理的配慮を決定する過程で,専門家等の意見も十分聞きその情報を集めて合理的配慮を決定するというような,そういう文言というか内容をこの中に盛り込めばいいということになると思うんですけれども,それでよろしいでしょうか。

【白澤委員】  そうですね。ここでは提案の中では,相談機関というものと調停機関というのは分けて,あえて提案したんですけれども,相談の部分については今でも実施は可能だろうし,相談機関になり得る機関はたくさんあるので,何らかの形で入れられないかというところです。意図としては竹田先生がおっしゃったとおりです。

【竹田座長】  確認ですけれども,機関ではなく第三者,専門家ですか。

【白澤委員】  どっちでも構いません。

【竹田座長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。では吉永委員。

【吉永委員】  全く別のところになりますが,見え消し版の9ページになります。こちらの上のところの「コミュニケーション上の配慮」というところに関して,できましたら皆様の御意見を伺いながら考えていきたいと思うんですが,こちらでは,実は発達障害,とりわけ自閉症スペクトラムの学生さんを想定して,その方の配慮が明記されるような文言が入れられないかというふうに思っています。
 具体的には,自閉症スペクトラムの学生さんは,いわゆる一般的社会コミュニケーションに困難があるというふうに言われています。もっと具体的なことを言ってしまえば,文脈だとか状況に依存したようなコミュニケーションを図るのは難しいということがあります。それから,いわゆる対人関係とか立場を踏まえた適切な表現が難しくて,それでトラブルに発展してしまうということもあったりもします。そんなことを避けるという意味合いでのコミュニケーション上の配慮が必要だというふうに思っていますし,現実的にはかなり発達障害の方の支援も本質的な部分になっています。
 なので,そのニュアンスを是非この文言に取り込みたいなと思っているんですが,取りあえず非常にシンプルに考えると,一つ追加していただきたいなと思うのが,ことばの聞き取りや理解・発声・発語という三つ並列しているんですが,その発語の後に中ポツで「意思疎通」という言葉を入れていただけると,多分今私が申し上げたことがうまく理解できるのかなというふうに思っているのですが,ちょっと実はまだ余り自信がないので高橋委員や鈴木委員にちょっと御意見を聞いてみたいところなんですがいかがでございましょうか。

【竹田座長】  高橋委員,いかがでしょうか。

【高橋委員】  信州大学の高橋です。意思疎通というのは一ついいかなというふうに思いました。ただ,ことばの理解というところに入っていると言えば入っているんですが,確かにこのつながりだとそういった意味での意思疎通というような感じでの理解とはちょっと読み取りにくいかなというのは確かにあるので,意思疎通に困難を示すという文言については,もうちょっと考えさせてください。

【竹田座長】  文言に書くのはたやすいんですけれども,教育方法等のところですので,委員の中でも大学で教育に携わっている方も多いと思いますけれども,教育上,意思疎通の困難な人への配慮というのは高等教育ではそんなたやすいことではないかなと思うんです。書くのは割と簡単ですけれども,これは我々の中だけのことではないので,その辺ちょっと慎重に考えるのと場を選ぶ必要があるかとは思うんですが,鈴木委員,いかがでしょうか。

【鈴木委員】  鈴木です。もし発達障害のことに関してかなり踏み込むのであれば,実は読んでいて,確か就職のところだけ発達障害と出てきていて,他の障害について多分書いていないので,ここは若干いびつな感じをもともと持っていたんですけれども,他のところでもこういうのが出てきていいのなら,コミュニケーションのところでもそういうことをきちんと書いてあげないと,私がさらっと読んだときにこれは余り発達障害のところの意思疎通のずれというふうには読めなかったので,また違う丸をつけて書くとか,同じ丸で,というのはこの見え消し版の9の一つ目の丸ですけれども,この中に含めるというのは有りだとは思います。しかし,書いたところで,おっしゃったとおり,支援の方法に関しても当然定量化も難しいですし,定性的にもなかなか説明しづらいところなので,かなり難しいかなという印象だけはあります。

【竹田座長】  最初に事務局の中の話でも,多分必要となる対象の方たちという存在があって,それに対することは考えることは必要なんですけれども,一方で具体的に何をどうということも考える必要は多少あるのかなと思うんですね。つまり,コミュニケーション,意思疎通が難しい場合に,日常の大学の講義等で具体的にどういう形で,この「配慮を行う」と書いてあることを行っていくのかという点について,具体的なイメージとしてもし何かあれば教えていただきたいのですが。

【吉永委員】  例えば,言葉の聞き取りや理解のところと配慮ということになると,やはり自分の聞いたことをもう一度返して,「あなたの言いたいことはこういうことですね」と聞き返すということがあると思うんですね。それと同じように考えますと,要するに比喩は使わないとかそういったことですよね。例えば私がよく冗談で言っているのは,遅刻してきたことをたしなめるために,あなたは社長出勤ですというふうに言わないということですね。直接的な言葉を使うということです。そのようないわゆるダイレクトなコミュニケーションというものが,発達障害の方には必要だというふうにされているのでそのようなことについて意思疎通についてはあります。あとは文脈ですよね。その場の空気を読みなさいというような,そういったようなことですよね。そういうような言葉を使わないということはありますが,そこも含めてダイレクトなコミュニケーションをとるということに集約されるかなというふうに思っております。そのような配慮していただきたいということがちょっと回答としてありました。

【竹田座長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。理解の中にも含まれるような気もしますけれども,二つ下がってきてしまう気もしないでもないんですけれども,鈴木委員。

【鈴木委員】  鈴木です。確かに教育方法というよりも,こういう学生がそもそもいますということが,理解とか,その支援体制のところできちんとうたわれることがまず重要かなという気がします。

【竹田座長】  高橋委員。

【高橋委員】  ちょっと私も考えてみたんですけれども,自閉症スペクトラムの方の問題を考えたときに,言葉の理解はでき,理解できないのは発言者の意図というふうにすると,それはかなり具体的に自閉症スペクトラムの方をイメージしたということになるんですけれども,結局,そういった方へのコミュニケーション上の配慮が,本当に具体的な指示であったり,直接的な表現であったりというのがコミュニケーション上の配慮として必要になるのですが,確かにそういう具体的,直接的コミュニケーションを行うという配慮が,こういう困難を示す学生という例に対しては出しにくいというところはあるので,入れるとしたら意思疎通というよりは,意図の理解のような感じであればどうかなとは思いますけれどもいかがですか。今コミュニケーション上の配慮が,ことばの聞き取り,理解,発声のところに,話者の意図の理解を加えるという形ではいかがでしょうか。

【竹田座長】  学生支援機構のガイドライン等にもかなり具体的には書かれているので,そういうようなことは多分問題点としてあって,それにはこういうことが望ましいというようなことは実際分かってはきていると思うんですね。ですので,ちょっとここは預からせていただいて,この「理解と意思疎通」というふうに今表現されているようなことが重ならないかどうか,文言を考えて整理させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。一任させていただくということで。ありがとうございました。
 それではその他,いかがでしょうか。大島委員,お願いします。

【大島委員】  日本マイクロソフトの大島でございます。私からは学生ボランティアの活用のところを言わせていただきたいと思います。見え消し版ですと,11ページの上の方なんですけれども,ここの一つ目の文章を変更いただけないかなと思っています。文案としては,金曜日かな,私がお送りしたメールの文でお願いできればなと思っているんですけれども,ちょっと今の文章で気になっているのが,「学生ボランティアを募集し,協力を得ることも支援人材を確保するための手段である」という,「募集し,確保するための手段」ということで,いわゆるボランティアさんを募集して人材確保に努めましょうというような形の,安易なボランティアさんの活用というのにつながってしまうというか,イメージできてしまうような気がしまして,ここでは支援体制の一つとしてそういう学生の支援者を活用する手段もあるよということが言えればいいと思っていますので,私の提案させていただいた文章は,「障害のある学生の日常的な支援には,多くの人材が必要となる場合も多いことから,学生を支援者として活用することも一つの方法である」というすごくシンプルな文章を提案させていただいたんですけれども,よろしければそういう形にしていただければなと思いました。
 有償のボランティアさんに支援してもらっている大学もありますし,質を高めるシステムを構築している学校さんもありますので,いわゆるボランティアだけじゃないよということで,それが伝わらないかもしれないんですけれども,是非そういう言葉にしていただけたらなと思いました。
 殿岡委員から補助者という言葉も頂いて補助者もいいなとは思ったんですが,学生支援者だとそれで伝わるかなと思ったんですけれども,補助者だとそれだけでは伝わらなくて,障害の学生を補助する人みたいな言い方が必要になってしまうかなと思ったので,今までの文案ではボランティアだったんですけれども,ボランティアじゃなく,できたら支援者がいいかと思います。本当は補助者でもいいのかもしれないですけれども,分かりやすさからいって支援者ということで,文案と併せて御意見いただければと思います。細かいことですみません。

【竹田座長】  ありがとうございました。これも支援の質の担保ということと関連してきますので,大事な御指摘かなというふうに思います。委員の方の方で御意見ございますでしょうか。石川委員,お願いします。

【石川委員】  私は大島委員の修正提案に賛成です。大分前にこの辺りの議論で,私はボランティア活動の意味を大学が決め打ちして,こういうふうに書くということは違和感があるというふうに申し上げた記憶があるんですけれども,この部分でそういうこともあるかもしれないけれども,大学として学生に協力してほしいということが主たることであって,教育的な意義はあるんだからみたいなことを書いて推進するというのは余り美しくないような気がいたしまして,大島委員の御意見に賛成です。

【竹田座長】  いかがでしょうか。確かにモデルとして,そういう仕組みは結果として成功しているというのはいい事例になると思うんですけれども,お金のある大学は,ばりばり専門家を使ってというのもそれは可能なわけですね。可能性としてはあるわけですので,そういう意味では大島委員の文案は割とシンプルでいいだろうと思います。
 事務局。

【事務局】  事務局の方から。では,それで修正させていただいた後,表題も「学生ボランティアの活用」ということじゃなくて,「学生の支援者の活用」というふうに修正した上で,全体をそういうトーンで書きます。

【竹田座長】  広瀬委員,お願いします。

【広瀬委員】  放送大学の広瀬です。今,大島委員がおっしゃったことは賛成なんですけれども,ここで私のこれから言うことがそぐうかそぐわないかは,ちょっとまた議論していただきたいんですけれども,大学は一般学生に対して,障害者や多様な学生への理解を深め,様々な局面で援助的な行動というか,とることはやはり大学の教育の使命である。だから,ここだとちょっとボランティアを活用して少し得しちゃおうみたいな,何かお安い支援者を増やそうみたいな感じなんだけれども,そうではなくて多様な学生に対する理解や日常的に彼らと過ごす生活そのものが,日本の大学教育にとって教育目標の一つであるというふうにすごく大きなビジョンみたいなものが,障害学生を受け入れる際の核になるんじゃないかと思うんですね。
 だから,さっきの議論ではボランティアの活用というといかにもだけれども,どこかで何かなぜ障害学生を受け入れるかというのは,社会を変え,大学を変え,価値観をやはりみんなで変えて,共生の社会に向かっていくんだというのをどこかに入れていただきたいなという気がします。それが本当に大きな目標なのではないかなと思うんです。それをどこに入れるかはちょっとあれですけれども。

【竹田座長】  ありがとうございました。事務局,お願いします。

【事務局】  もしそういういった面でいうとすれば,全体で入れるのか。あるいはここで支援体制の中に入れるのかどうかと思うんですけれども,「学生や教職員の理解啓発を深めるための配慮」という部分が,10ページにあるわけで,そこに例えばどういう趣旨で啓発をするかとか,そういったところに入れるかですね。ここに入れて啓発の理屈付けを,やはり多様な学生と一緒に共生することがというようなことにするという感じで修正させていただきたいと思います。

【竹田座長】  よろしいですか。それがちょうどいい。確かだということで。ありがとうございました。
 関連して,白澤委員,お願いします。

【白澤委員】  白澤です。今のところなんですけれども,そういう文面を入れていただくのはすばらしいことだと思うんですが,書くときの文章表現として,障害のある人を教材化するような形で取り上げるような文にならないように配慮していただければと思います。障害のある人を受け入れるのは,理解啓発のための道具としてというわけではないと思いますので,その点少し文面だけ気をつけていただきたい。

【竹田座長】  その他,いかがでしょうか。おおむね出そろいましたでしょうか。
 どうぞ,殿岡委員。

【殿岡委員】  殿岡です。通学支援について意見します。見え消し版ですと,5ページ。一番上のところですけれども,現行の法ですと,学内にいようが自宅にいようが,引き続き慎重に検討を行うということにとどまっているんですが,どういう観点で検討するのかあるいは検討するとき何を基準に検討するのかということで,検討に関してきちんとした情報提供が必要であるということがあります。
 それと2番目には,昨日,障害者政策委員会でも通学についての支援が必要であるとされ,意見書にも「政府において引き続き検討を行う必要がある」とありますし,さらには,通学における安全管理も学校保健安全法の対象で学校安全計画の策定等についてリンクされていることや,常時介護を要する人たち等に対する支援等に留意する必要があるというふうに,前半は中教審答申で,後半は福祉法附則の検討規定にあります。そこにきちんと価値を置くことで,こういった観点から検討するということを書き込む。情報提供して書き込むことができると,やはり先の見通しがみえる形になるのかなというふうに思います。
 それで,中教審答申だけでも書き込んでいただくのはいかがでしょうか。
 以上です。

【竹田座長】  いかがでしょうか。通学支援の議論は当初からあったかと思いますけれども,事務局の方,お願いします。

【事務局】  通学支援は本当に重要な課題だと思うんですけれども,なかなか今,結論が出し切れない部分というのがございます。
 それで今,殿岡先生から言われたように,学校保健安全法の中の法律上のことを申し上げれば,安全管理をするということは確かに書かれていますけれども,それに当たって速やかに通学の支援をするかどうかとはまた別のものなので,ここでそこを入れたとしても,これについての方向性を示したということには多分文脈上ならないと思います。
 それから,障害者政策委員会の方の部分も意見としての記載で,これから引き続き検討するということなので,まだ実はなかなか難しいところがあって,特に企業へ行く場合それから大学の場合は越境で行きますので,そこまでどうするかということはやはりまだ相当慎重な検討が必要かと思いますので,それでこういう書き方になっております。
  確かに殿岡先生が言われたことはよく分かって,そこは我々も念頭に置かなければいけないんですけれども,そこの部分を入れたからといって,多分方向性を記載したということにはならないと思いますので,それでこの表現にとどめているというのが現状でございます。

【竹田座長】  よろしいでしょうか。殿岡委員。

【殿岡委員】  2点あります。1点目は,確かに法の解釈はそうなんですけれども,今私が入れようと思っているのは法の解釈ではなくて,3月に中教審できちんと出した答申の文言をそのまま入れたいわけなんですね。これは,答申として全国に流れたものですから,それを確認するということが重要だと思います。それと政策委員会に関しては,直接はここには書いておりません。
  障害者総合支援法の検討規定として,これはさきの通常国会で成立したものです。だから,この中でいろいろな事例を検討するということは書かれている。それを中教審と総合支援法を紹介するということですね。だから,そこで決められているわけだから,これを紹介するということは重要じゃないかなと思います。
  それから,政策委員会の意見だからというふうに言っていましたけれども,この意見をもとに内閣総理大臣が障害者基本計画を作れということが法に記載された上での意見ですから,それに一定程度の重きがあると考えますが,これには直接私は書いていません。ということで,どうでしょうか。他の委員の方があれば,是非。

【竹田座長】  事務局に頂いてから,石川委員,お願いします。

【事務局】  森山ですけれども,学校保健法の中では,大学に課せられているのは,安全管理計画を作るということで,それと支援するということは別問題かということがまず一つあります。
 それと,今後3年後にはまた,通学支援とか,通勤の支援もそうだったと思いますが,3年後にどうするかというのはまた改めて検討するというような形になっていたと思いますので,今の段階でこの報告書の中に学校側の責務としてやるというような書き方をするというのはなかなか難しいのではないかと思って,今後検討することは大事だというふうに,今のところは書き留めているということにさせていただいています。
 なので,実際の話,大学側の責務だと自分たちで発言しておいて,その後にどうなるかということにもなるような気はするんですけれども。

【竹田座長】  石川委員,先にコメントを頂ければと思います。

【石川委員】  溶け込み版を見ているつもりなんですけれども,必ずしも溶け込んでいない可能性もあると思うんですけれども,「重要な検討課題であるが」の後に,「現状支援の谷間の問題もあり」というふうに入れて,「慎重に」というのを「真剣に」と,この1点の追加と1点修正でいかがでしょうか。政策委員会では,支援の谷間問題として,通学支援とそれから通勤支援が,やはりどうしても縦割りになっていて,ここがカバーされていないということは指摘しているんですね。だからこれをどのようにやっていくのかということを,今後真剣に検討していく。ここではいかがでしょうか。

【竹田座長】  政策委員会の考え方を実施するということでよろしいんじゃないでしょうか。ではそういう方向でよろしいでしょうか。

【殿岡委員】 私が出した意見では,大学の責務であるとは書いていません。ですから,答申や学校安全法を障害者政策委員会意見を紹介して通知したことだけにとどめているんですが,これでも厳しいですか。

【事務局】  いや,厳しいというか。まず1点,石川先生の案で我々はオーケーだと思います。
 あと,殿岡先生が言われた学校保健安全法のところの記載なんですけれども,あってもいいかもしれないですけれども,ここに入れる意味というか,記載している意図が不明確になってしまう恐れがあるように思います。大きくは似たようなことなんですけれども,例えばAということを言っているのに,全く事実だからといってBのことを入れているような感じがするのが,ちょっと違和感があるということで,もしそれが必要であるということであれば,例えば注意書きに入れるなどの方法もあります。何か全く内容的に合わないのではないかというようなふうにも捉えられかねないので。例えば支援の方向性ということであれば,その方向性を示すようなものが必要でありますが,全く違うことを入れているような印象があって,少々おかしいなということなんですが。

【殿岡委員】  そうしたら,石川委員の意見を入れていただいて,最後に総合福祉法の検討規定だけ入れていただくというのはどうでしょうか。

【竹田座長】  他の委員,いかがでしょうか。私としては,先ほどの石川委員の修正案に十分反映されていると思いますし,通学支援が非常に重要だということは委員の皆さん誰しも御承知だし,多分社会的にも認知されることだと思います。むしろそれこそ「真剣に検討する」というその文言が入るだけで非常に重要なことだということで,今回,一次まとめですので,今後のいろいろな関連法法制の整備等に合わせて,二次に向けて検討ということが一番いいんじゃないかなと思います。事務局から言ったように,他にいろいろな情報が入るのはいいんですけれども,それによってかえって薄まってしまうということを恐れますので,石川委員の案ということで,皆様御了解いただければそれでいきたいと思います。よろしいでしょうか。

【殿岡委員】  では石川委員の意見でお願いいたします。

【竹田座長】  ありがとうございます。
 別件で何かございますか。では松尾委員,中野委員の順でお願いします。

【松尾委員】  佐世保高専の松尾です。前回,見落としてしまい,繰り返すようで申し訳ないのですけれども,見え消し版の4ページの下の方に,「「課外活動等」の教育とは直接に関与しない学生の生活面への配慮」と書いてあって,高専にいる立場としてはちょっと引っ掛かっています。「課外活動等」といったときにイメージされるものが大学の関係の先生方と,ここにいる高校の立場とは違って,高校ではクラブ活動は自由な教育活動なので,このように書かれると高専にいる者としてはちょっと抵抗感があるので,「課外活動等」を消していただいて,「教育とは直接に関与しない学生の生活面の配慮」というふうにしてもらった方がいいかなと感じました。多分,高専にいる立場からすると,こう書かれると,クラブ活動は教育と関係ないのかというような印象を受けるので,前回議論すべきだったかと思いますけれども,今回見てあれっと思ったのでちょっとここを御配慮いただければと思います。

【竹田座長】  「課外活動等」を削除。これはどういたしましょうか。それは,今回の場合は「課外活動」で例えば別の教科と連動しているとか,そういうことはないんでしょうか。飽くまでも「課外活動」という位置付けなんでしょうか。

【松尾委員】  高専では課外活動イコールクラブ活動を大体意味しますし,クラブ活動は教育の一環という位置付けをしていますので,それが教育活動ではないというふうにされると,これは法的に出る文書としては,そこはどうかなというのが少しあったので,「課外活動」は外してもらった方がよいかと思いました。放課後の活動,教育とは関係ない活動も確かにあるので,例えば学生がボランティアでやっている活動とかがそういうことに当たるかと思うので,長くなりますけれども「教育とは直接に関与しない活動に関する学生の生活面」というふうにして,具体的には書いてもらわない方がいいかなと思います。

【事務局】  ちょっと解釈だけ確認ですけれども,「教育とは直接関与しない学生の生活面への配慮について」ということになると,大学からみれば「課外活動」はその教育とは直接に関与しないものだと解し,高専からすればクラブ活動は教育の一環だと解するというふうに両方読めるような形で「課外活動等の」というのを抜くと,そういう理解でよろしいでしょうか。要するに「課外活動等の」というのを抜いた場合には,大学側から見れば,教育とは直接関与しない配慮,教育に関与しないものは課外活動を含み,高専からすれば,それは含まないというようなことを概念できるような形で事例を抜くという整理でよろしければ,支援する対象がどういうものかという問題かと思います。要は教育と読むのか,教育でないということかというのはそちらに任せてということでよろしければこれで検討したいと思います。

【竹田座長】  この「生活面」の前に,ポツで「活動や」というのが多分入ると思うんですけれども,「活動や」が生活面での教育として直接関わりのない活動や,生活面での配慮ということでよろしいかと思います。ありがとうございました。
 だんだん時間も迫ってまいりましたが,では中野委員。

【中野委員】  慶應大学の中野です。「施設・設備」に関するところです。「委員の皆様へ」のページでいうと7ページになりますし,それから見え消し版では11ページです。
 提案させていただいたのは,「施設・設備」のところに,「人的支援体制の整備」というのを入れてほしいというお願いをしたんですが,ここは削除ということになったんですけれども,視覚障害の立場で言うと,大学には施設・設備で利用できないものがすごくたくさんあります。例えば,だだっ広くて点字ブロックも引かれていないところで移動しないといけないという問題があって,本来,点字ブロックがきちんと敷かれていれば問題ないのですが,それが敷かれていない大学が余りにも多いんですね。その際に人的な支援がないと視覚障害者が授業間に移動することができなくなってしまいますので,それでこの「施設・設備」のところに是非入れていただきたいというふうにお願いしました。
 国土交通省の委員等もやっていますが,国交省でも,今「施設・設備」のことについてはハード面,そして人的な支援に関してはソフト面というふうに整理して,これはやはり「施設・設備」の中で議論するというやり方になっていますので,もしもここに並列するのが駄目だとするならば,なお書きで「施設・設備が十分に配慮できない場合には,人的な支援等で対応を行うように」というような一言を加えていただけると有り難いなと思います。御検討をお願いします。

【竹田座長】  いかがでしょうか。見え消し版の11ページ,「施設・設備」の上から3番目の丸の辺りからですけれども。ハード面での対応がすごく困難なので,人的な支援でそれをカバーする。これは多分ハード面が充実していく過程では多く行われることではないかなということなので,特に問題はないかと思います。よろしいでしょうか。
 ではそういうふうな形でいきたいと思います。追加,修正というふうにしたいと思います。
 事務局の方,何かありますでしょうか。

【事務局】  少し戻っていただくんですけれども,「課外活動」の話で1点だけ。課外活動のところで,先ほど松尾先生からの御指摘で例示を抜くといったときに,その部分と連動してくるのが,6ページに「大学等における合理的配慮」のところの丸の3番目なんですけれども,「本検討会においては,学内学生団体・サークルの下で行う文化・体育活動等課外活動などについては,合理的配慮の対象ではないものの,以下の整理を踏まえて,各大学等において判断することが望ましい。」と書いていますので,ここも併せて修正して,例えば「本検討会においては,教育とは直接に関係しない学生の活動等については,大学等において提供すべき合理的配慮の対象でないものとしたが,以下の整理を踏まえて,各大学等において判断する」,そういった書き方にさせていただいて,あと施設につきましては,今中野先生から言われた形で,ハードが駄目であれば人的な支援でというようなことで修正させていただくということでよろしいでしょうか。

【竹田座長】  よろしいでしょうか。課外活動は確かに難しくて,大学でも大学側が先導して学生が地域でのいろいろな活動を募集してやっていたりとか,そういう活動は非常に積極的に推進してやっているような取組がございますので,どこまでが大学のあれでどこからが大学と関係ない活動かというのは,線引きが難しいものも多分出てくる。それはちょっと今後の様子を見て,この辺の線引きを考えていく必要があるのかなと思います。取りあえずはそういう修正をさせていただきたいと思います。
 最後になりますが,白澤委員,よろしくお願いします。

【白澤委員】  細かい文言のところなんですけれども,実際の表現については,後ほどちょっと事務局と相談させていただくということで,相談させていただいても大丈夫かという了解をこの場で頂ければと思います。それは,提案していただいて表現を事務局の方で考えていただいたところの中で,幾つか文章表現自体が気になるというところがあります。
 1点目は,見え消し版の7ページの下です。「合理的配慮の合意形成過程」,これについては「本人のイニシアティブを」という文言を入れたらどうかということについて,それについては上の丸のところに入れていただいたので非常によくなったと思いますが。ただ,この丸の文章自体が,ちょっと何か理解しづらいので気になるなという気がしています。「学生本人の教育的ニーズと意思を適切に把握するため,配慮を希望する学生の意思表明が妨げられることのないよう」という,この理由が二つ重なっている辺りが,意味がよくとりづらい。プラス,意思表明のプロセスを支援するということの具体的事例として,学内外のリソースや支援に関する情報を整理して学生に示すということ,これが一つだけ挙げられているんですけれども,それだけで十分に伝わるのかなという気がいたしますので何か検討が必要なのではないかと感じます。
 あと三つありますが,言ってもよろしいでしょうか。

【竹田座長】  続けてお願いします。

【白澤委員】  もう一つ,9ページの「教材の配慮」,上から三つ目の丸ですけれども,「授業のために教員が作成する電子資料」というところですね。これも提案させていただいたところすけれども,文章が非常に中途半端じゃないかなと思うんですね。教員が作成する自作の資料だけが問題になるのかというところと,電子資料だけが問題になるのかというところと二つあります。事前に提供するということが重要なのであれば,もう少し幅広い資料について事前に提供するということを規定した方が良いかと思いますので,ちょっと表現を検討した方が良いのではないかと思います。
 あと1ページ戻っていただいて,「情報保障」のページです。これは私自身が提案したものですが,改めてこれに関してちょっとどうかなと思うのでここは相談させてください。
 この中で情報保障の説明がありますが,情報保障は非常に幅広い定義なんですね。その幅広い定義をそのまま載せると余りに分からないなと思って,説明を加えてこういう形にしたのですが,分からない人に対して伝えることが情報保障だというような印象を持ってしまうので,もう少し幅広く,その場の情報が共有できない状態に対して代替手段等を用いてこれを伝え場の参加を保障することという場合の,参加の保障という考え方が非常に重要な概念ですので,ここをちょっと入れさせていただきたいなというふうに思います。
 最後なのですが,たくさんですみません。これは長期的目標の教材の確保のところ,見え消し版の14ページと15ページです。
 「これらの学生の学習機会の参加を保障するため」というので,14ページの下には,点字教材や字幕教材等のライブラリー化ということが書かれているんですね。それと併せて15ページのところに,電子化された教材について,大学や図書館,出版社との連携を促し活用できる体制を作ることが望ましいということが書かれているんですが,これって同じことを指しているんじゃないですか。ライブラリー化というのはそういうことですよね。この中で点字教材だけじゃなくて,「電子教材なども」というのを含めることができないのかなと。また,違うものであれば違うことがはっきり分かるような形の方が良いなと思うんですが,この点については御提案いただいた先生に説明いただければと思います。
 以上です。たくさん,どうも失礼しました。

【竹田座長】  第3点目までに関しては事務局の方で一任して,内容は特に同じ内容で読みやすい形にしたいと思います。第4点目は確か広瀬委員の放送大学の教材の活用辺りの議論から出てきた。最初の方の丸はそのような記憶にございますが,いかがでしょうか。

【広瀬委員】  このライブラリー化というのは,各大学がライブラリー化するというように読めてしまうのかなという気がするんですけれども,その辺りはどうなんでしょうか。例えばアーカイブ化するとか,その辺りがちょっと気になります。

【近藤委員】  近藤です。今の御意見についてははっきりそれは書いた方がいいと思いますが,一つは学内で共通リソースとしてライブラリーを作る。それでいろいろな学部が利用できるようにするという学内のいわゆるインハウスでの教材作成ということが1点と,もう一つはそれができる大学とできない大学がありますので,様々な著作権法のいわゆる例外事項などのバックアップを受けながら,大学間でそれが共有できるようにするということの二つの目的があるのでこのように分けて書かれていると思います。

【白澤委員】  これで分かれていますか。

【近藤委員】  それをはっきり分かるように明示するように置きかえをするといいのではないかと思いますがいかがでしょうか。

【竹田座長】  分かりました。この場合,2番目と3番目を整理して,学内のリソースの利用に関するライブラリー化等,それと大学間,あるいは学外図書館等のリソースとの連携の在り方を検討する。そういう整理かなと思います。そのように修正したいと思います。
 石川委員,最後になりますが,よろしくお願いします。

【石川委員】  最後になって言うなよという感じなんですけれども,情報アクセシビリティという言葉が2か所使われていまして,いずれもウェブアクセシビリティについてのみその言葉が使われているんですけれども,特に高等教育機関でもありますのでアクセシビリティというのをもっと重要な概念として使うべきだったのではないかと。
該当箇所は2か所あります。インターネット等での大学の取組を公開することや,情報アクセシビリティに配慮したものという,そういう表現が同じものについてですね。

【竹田座長】  7ページの方は修正して,「障害のある者が利用できるようにアクセシブルにする必要がある。」というふうにしてあります。

【事務局】  12ページの「短期的課題」の4行目のところに「情報アクセシビリティに配慮しつつ」というところがあります。

【広瀬委員】  放送大学の広瀬ですけれども,これからはイーブックとかいろいろなものが出てくると思うんですよね。そういったときに,教科書も含めてそういったところでアクセシブルな教育教材というふうにできますし,ホームページと限定するといかにもちょっとという気がします。

【竹田座長】  この理論は,情報公開のことに限定して,ホームページで各大学がどのようなことをしているのかと,そのホームページさえ読めないんだという議論があったので,これはこれでいいと思うんですね。ウェブアクセシビリティの話です。そういう話だったと思うんですけれども。

【中野委員】  慶應の中野です。教育方法の情報保障のところに,今の石川先生の話というのを入れていただいてまとめていただけないでしょうか。現在,情報保障のところは聴覚障害に限定して狭義の意味で用いていただいているんですが,ここを広い意味にしていただいて,その中にアクセシビリティのことを含めて情報保障を定義していただければ,全部包括できるのではないかなと思うんですが,そういう御検討はいかがでしょうか。

【竹田座長】  いかかでしょうか。現況で書かれているのは,これはアクセシブルという言葉にほとんど同じ,日本語的には同じかなと思いますけれども,白澤委員が先ほどおっしゃったと思うんですが,今の教育方法等の丸1ですが,障害のある学生が障害のない学生と平等に参加できるようにし,かつ適切な情報保障を行う。

【中野委員】  でもその下のところに,注の10で情報保障の定義がしてあるんですが,そこが狭義の定義になっているんですね。ですので,このまま読むと,ここのところの一番最初の丸が聴覚障害者のことだけをいっているというふうにとられてしまうので,この情報保障の定義をもっと広義にしていただければ,石川先生の御提案もこの中に含めることができるのではないかという提案です。

【竹田座長】  じゃ,そのように。石川委員の御提案の意図を反映していますので。
 では一言ずつ。ちょっと余り時間が長くなるようでしたら,またよろしくお願いしたいと思います。白澤委員,お願いします。

【白澤委員】  短くまとめることはできませんが,もともとの石川委員の提案が,情報アクセシビリティというものについて,どういうことだったかはちょっとはっきりと理解しづらいのと,ここに当てはめるといったときにどういうものになるかちょっとイメージがわかないんですが,少なくとも私は通訳やノートテイク,パソコンノートテイクといった言葉が,この報告書の中では一言も出ていないので,それをどこかしらに入れ込みたいというのが,この注釈を入れさせていただいた意図でもあるんですね。そのことで,聴覚障害の例自体は省かれると痛いかなというふうに思います。

【中野委員】  そこは省く必要はなくて,そこに追加してほしいというふうに思います。

【白澤委員】  具体的にどんな構成がいいんですかね。

【中野委員】  ちょっとよく分からないんですが,少なくともこのままを読んでいくと,情報保障の対象となるのは聴覚障害だけだというふうに読まれてしまうので,これをどう定義するかというふうに思います。ここで定義をするのか,別のところに書くのかは別として,聴覚の配慮は是非書いていただきたいんですが,情報保障という観点だと視覚障害は板書が見えない等々の問題や,それから先生の表情が分からないとか,そういう問題がありますので,本来ならば広義の情報保障についてはそれはそれできちんと書いていただいた上で,聴覚障害についてのことはそれとして書いていただくというふうにしていただけると包括できないかなと思っただけなんですけれども,詳細のところは石川先生を含めてちょっとお任せしいたします。

【竹田座長】  これは先ほどの議論にまた戻りますけれども,要するに細かい各論を書き出すと,結局こういう議論になってしまうんですね。だからこの注釈をなくしてしまった方がよほどいいというふうに私は思いますので,その辺は事務局へ一任させていただいて,これはおっしゃることはすごく良く分かるんです。つまりアクセシブルに情報保障するというのが一番の合理的配慮の中心ですので,これは誰も疑問の余地がないですので,それをどこまで書くかということで議論し出すとこれはもう収拾がつかなくなる。じゃ,発達障害の場合はどうするんだ。それから,重度の障害の方の場合はどうするんだ等々が出てきますので。

【石川委員】  私の発言の趣旨を簡単に。特に視覚障害のことを書き込んでほしいという意味で申し上げているわけではなくて,アクセシビリティという概念の使い方として,このウェブにだけ限定して使うのはもったいないと。アクセシビリティという概念,多分情報保障よりも上位概念のより広範な意味を本当は伝えられる概念なので,それをなぜこの報告書の中でキーワードとして重視しなかったのかなということで申し上げたんです。
 ですから,アクセシビリティの中に情報保障,いわゆる狭義の情報保障もあれば,その狭義の情報保障には収まらないものもアクセシビリティの中にあるだろうということで,そういう意味で,中野委員の趣旨はほぼアクセシビリティという定義の中に,また情報保障について入れるというのはいいと思うんですけれども,せっかく高等教育なので何かアクセシビリティという概念を重要な概念として使えないかと。
 政策委員会の基本提言でもアクセシビリティというのは重要な概念として総論の中でがーんと出しています。そういうこともありまして申し上げた次第です。

【竹田座長】  ありがとうございました。ウェブのアクセシビリティはそもそも情報公開ということがされていないので,本委員会を契機に各大学が理念等々を公開して,それを当事者の障害の方がアクセスできないようなものであったらいけないというので,かなり優先順位が高くなった経緯があったなと記憶しております。
 それでは。

【殿岡委員】  殿岡です。課外活動の有無について,大学か高専という区分の中で話が出てきましたけれども,ただ,高橋先生の実習に関する御意見でもあったとおり,それらに対する配慮も大学での重要な責務である考え方というのはあるので,解釈としては大学がこういうので高専がこういうのということではなくて,それぞれが判断すればということでしょうか,1点確認させてください。

【事務局】  全くそのとおりです。

【竹田座長】  各大学で教育的な効果等々,非常に重要視しているものについては,それは制限するものではないのは間違いありません。たくさんの御意見,ありがとうございました。
 それでは本日頂いた御議論を反映させて,本検討会の第一次取りまとめとしたいというふうに思います。なお,修正につきましては,事務局と私の相談の上決めさせていただきたいと思いますが,御一任いただけますでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは事務局の方より,今後の流れについて,よろしくお願いいたします。

【事務局】  今後の流れでございますけれども,今竹田先生の方からございましたように一任いただきまして,可及的速やかに最終版としたいと思います。そして,それをできましたら今年中に大学の方に通知し,そして何回か中教審の方にも,こういったことを報告してございますけれども,しかるべきタイミングで御報告したいというふうに思っております。また,プレスであるとかそういったところにはホームページに掲載するとか,そういったことで公表したいと思っていますのでどうぞよろしくお願いいたします。
 また,先ほども申し上げましたように,予算につきましては年内完成ではなくて,恐らく年を越えてしまいますけれども,例えば大学の基盤的公費でありますとか,そういったものに今盛り込みをさせていただいておりますので,また決まりましたら先生方にも御報告したいと思っております。
 さらに,この報告につきましては一次まとめということでございますので,必要に応じて,まだ残されているいろいろな課題等々ございますので,それについてはバージョンアップさせたいと思っております。また,殿岡先生からもありましたように,政府の中でもいろいろと動いてございますので,そこへの連結であるとかそういったことに取り組んでいきたいと思っておりますので,是非引き続きよろしくお願いいたします。
 本日は第9回目ということで,3時間を超える議論をしていただきまして,本当に私どもも勉強させていただきました。私どもには本当に分からないところが多々ありまして,目からうろこのところもございまして,不勉強を恥じ入るところでございますけれども,引き続き御協力,御支援賜れば有り難いと思っています。
 本当に長時間,ありがとうございました。またどうぞよろしくお願いいたします。

【竹田座長】  それでは,各委員におかれましては半年間,ワーキングにおきまして,御専門の立場からの御意見,御議論を活発に行っていただきまして,どうもありがとうございました。この障害のある学生支援については今回で終わりということではなくて,スタートラインにようやく着いたということだと思いますので,今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 以上で障がいのある学生の修学支援に関する検討会第9回を終了いたします。どうもありがとうございました。

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高等教育局学生・留学生課

-- 登録:平成26年02月 --