大学における教育内容等の改革状況について(平成25年度)

 文部科学省では、平成25年度の大学における教育内容等の改革状況について調査を行い、この度、その結果を取りまとめました。

1.調査目的

 大学における教育内容・方法 の改善等の実施状況について調査を実施し、国民への情報提供に努めるとともに、各大学のより積極的な教育内容等の改善に関する取組を促すことを目的としています。

2.調査方法等

・調査対象:国公私立771大学(短期大学、平成25年度に学生の募集を停止した大学を除く。)
・調査方法:文部科学省ホームページに調査票・回答票等を掲載し、全大学に回答依頼の文書を発出。各大学の記入後に回答票を回収、集計。
・実施時期:平成26年12月-平成27年2月
・回答率:99%(762大学が回答)

3.調査結果の概要

1 概要

<特に進展が見られた事項の例>

○ ほとんどの調査項目について前年度よりも数値が上昇しており、各大学における教育内容等の改革が前進していることが伺える。今回の調査において、特に進展が見られた事項として、以下のようなものがある。

・学部段階において、能動的学修(アクティブ・ラーニング)(※1)を効果的にカリキュラムに組み込むための検討を行っている大学数・・・平成24年度:407大学(55%)→平成25年度:454大学(62%)
・学部段階において、大学全体で定める人材養成目的や学位授与方針等とカリキュラムの整合性を考慮している大学数・・・平成24年度:478大学(64%)→平成25年度:545大学(74%)
・ラーニング・コモンズ(※2)の整備・活用を行っている大学数・・・平成24年度:321大学(42%)→平成25年度:389大学(51%)
・学部段階において、GPA制度(※3)を導入している大学数・・・平成24年度:497大学(67%)→平成25年度:528大学(72%)
・学部段階において、学生の学修時間や学修行動の把握の取組を行っている大学数・・・平成24年度:299大学(40%)→平成25年度:441大学(60%)
・学部段階において、課程を通じた学生の学修成果の把握の取組を行っている大学数・・・平成24年度:265大学(36%)→平成25年度:345大学(47%)

<今後の課題と考えられる事項の例>

1 大学教育の質的転換
 大学において育成すべき力を学生が確実に身に付けるためには、個々の授業科目等を越えた大学教育全体としてのカリキュラム・マネジメントを確立し、教育課程の体系化・構造化を行うことが求められる。この点について、学部段階において、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)は約94%、教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)は約94%、入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)は約97%と、ほとんどの大学で定められているが、例えば、大学全体で定める人材養成目的や学位授与の方針等とカリキュラムの整合性を考慮する大学は約74%であるなど、ポリシーと実際の大学教育との整合性については依然として課題があると考えられる。

2 教職員の資質向上
 大学教育の質的転換のためには、教員の職能開発(FD(※4))が重要であり、大学設置基準において、各大学における実施が定められている。この点について、「教員相互の授業参観」は約52%、「アクティブ・ラーニングを推進するためのワークショップまたは授業検討会」は約27%の大学で実施されているが、教員のFDへの参加率は依然として低い状況(教員全員が参加した大学は約13%、4分の3以上の教員が参加した大学は約37%)となっている。
 また、学長のリーダーシップの下で戦略的に大学を運営できるガバナンス体制を構築するために、大学経営の感覚を身に付けた教職員の育成が求められるが、この点について、教職員を対象に、マネジメント能力の向上を目的とするSD(※5)を実施する大学は約31%、戦略的な企画能力の向上を目的としたSDを実施する大学は約23%となっている。

(※1)能動的学修(アクティブ・ラーニング)
 教員の一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法を指す。発見学修、問題解決学修、体験学修、調査学修等が含まれ、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループワーク等も有効な方法とされている。
(※2)ラーニング・コモンズ
 大学図書館における、学生が学習のために集うことのできる共有スペース。グループ活動エリア、プレゼンテーションエリア、PC利用可能エリア等、個人の自習環境に加え、グループワークにも適した学習環境を指す。
(※3)GPA制度
 授業科目ごとの成績評価を、例えば5段階(A、B、C、D、E)で評価し、それぞれに対して、4、3、2、1、0のように数値(グレード・ポイント:GP)を付与し、この単位あたりの平均(グレード・ポイント・アベレージ:GPA)を出して、その一定水準を卒業等の要件とする制度。
(※4)FD
 ファカルティ・ディベロップメント(大学の教育の内容及び方法の改善を図るための教員の組織的な研修等)の略。
(※5)SD
 スタッフ・ディベロップメントの略。管理運営や教育・研究支援までを含めた、教職員の資質向上のための組織的な取組を指す。

2 調査結果の資料

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室学務係

電話番号:03-5253-4111(内線:3334)

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(高等教育局大学振興課大学改革推進室)

-- 登録:平成27年09月 --