大学における教育を充実させていくためには、学生に対して直接教育活動を行う大学の教員が、自らの教授能力を向上させるために不断の努力を重ねることにより、学生の学修意欲を喚起するような授業を展開していくことが重要です。
また、個々の教員の努力はもとより、大学が、大学あるいは学部、学科としての教育目標を明確に示し、その目標を実現するための視点から、教育課程の編成や個々の授業科目の開設を行った上で、各教員がその趣旨に添った授業を行うという一連のプロセスとしての取組も求められます。
このような組織的な教育体制を構築する一環として、個々の教員の授業内容・方法を不断に改善するため、全学あるいは学部・学科全体で、それぞれの大学の教育理念・教育目標や教育内容・方法について組織的な研究・研修を実施することが重要となっています。大学のこうした取組は「ファカルティ・ディベロップメント」(FD)と言われています。
このような背景の中、文部科学省においても、平成19年に大学設置基準を改正して、大学はFDを実施するものとするなど、大学の積極的な取組を促す方策を講じています。
こうしたFDについては、各大学において様々な取組が行われています。講演会やシンポジウムといった形式のものは多くの大学で行われていますが、これ以外にも、教育方法の改善のためのワークショップ、授業検討会教員相互の授業参観、教員相互の授業評価といった取組も行われています。各大学においては、更なる授業の内容及び方法の改善に向けて、特に学生の「能動的学修(アクティブ・ラーニング)」を推進する観点から、ワークショップ形式等のFDを積極的に実施していくことが求められます。
第25条の3 大学は、当該大学の授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究を実施するものとする。
教育の改善のための取組として、現在、多くの大学では、授業の改善点を見いだしたり、FDにより改善を図った授業の効果を検証したりすることなどを目的として、学生による授業評価も実施されてきています。平成23年度において学生による授業評価を実施している大学の状況は、以下のグラフのとおりとなっています。また、学生による授業評価に関連した特徴的な取組として、学生による授業評価と先述のFDとが組み合わせられたような取組も見られます。その例としては、大学の授業に関し、学生自治会から意見を聞く機会を設ける、FD活動に学生が参加しているといったものが挙げられます。
各大学が授業を効果的に展開していくためには、FDの実施と併せて、学生による授業評価等により学生の意見を集め、その意見を参考にしながら授業の改善を進めていくことも重要といえます。
高等教育局大学振興課大学改革推進室
-- 登録:平成21年以前 --