令和4年度行政事業レビュー「公開プロセス」 2日目 議事録(6月17日(金曜日))


【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、皆様、お待たせいたしました。お時間となりましたので、ただいまから文部科学省行政事業レビュー公開プロセスを開会いたします。
 私は、本日の進行役を務めます文部科学省サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官の渡辺でございます。よろしくお願いいたします。
 外部有識者の皆様、本日6名、御参加いただいておりますが、皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございます。時間の関係もございますので、大変恐縮ですが、ホームページにてお名前を公表しておりますことをもって御紹介と代えさせていただきます。なお、本日の取りまとめ役は、堀川義一委員にお務めいただきますので、よろしくお願いいたします。
 オンライン会議の開催に当たってお願いがあります。御発言のとき以外はマイクをミュートにしてください。本日は、前回に引き続きまして、長時間にわたる議論となりますが、よろしくお願いいたします。
 なお、本会合は、インターネット中継により全て公開というプロセスを経ることになっておりますので、申し添えさせていただきます。
 それでは、議事に入ります。まず、最初のテーマでございますが、「博物館文化拠点機能化強化プラン」でございます。御議論をお願いいたします。
 まず初めに、担当部局から事業概要を御説明いたします。説明者は、事業名、事業開始年度・終了年度、事業の規模、予算額等を簡単に述べていただいた上で、5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。
 それでは、説明者、よろしくお願いします。
【説明者】  文化庁の参事官の飛田と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、2ページ目になりますけれども、レビューシートを御覧ください。事業名ですけれども、博物館文化拠点機能強化プラン、事業開始年度につきましては令和2年度でございます。事業の目的でございますけれども、令和2年度、令和2年5月に施行されました文化観光推進法の認定計画に基づきまして実施される事業を支援することで、文化振興・観光振興・地域活性化の好循環を図ることになっております。
 8ページのロジックモデルを御覧ください。事前に御指摘をいただきまして、現状、課題、目的、さらにインプットからアウトカムまでのロジックの部分を見直してまいっております。現状、課題、目的のところでございます。我が国の博物館・美術館など文化拠点に存在いたします文化資源は、世界的に見ても魅力的で大きなポテンシャルがあると考えております。このような魅力的な文化資源、これを生かしていくために、その文化の価値を分かりやすく紹介・解説していくことが必要であると考えております。また、併せて、旅客の訪問者の受入れ環境とか利便の確保をしていくということも大切であると思っています。令和2年5月に施行されました文化観光推進法では、文化の理解を深める観光、これを文化観光と位置づけまして、文化観光の推進を図るというふうにされております。
 その下のロジック部分でございます。右側のアウトカムのところから御覧いただければと思います。この事業は、博物館などの文化観光拠点・地域により多くの来訪者が訪れ、魅力ある文化について理解を深めていただくということを目的としております。そのために、各館での理解を促す展示の改善とか、解説の充実、コンテンツの造成、戦略的な発信が必要であると考えています。こうした取組の進捗を測る指標といたしまして、来訪者の満足度を設定しております。事前に委員から御指摘をいただきましたとおり、アンケート調査の場合、回答していただけない方がどうしても出てまいりますし、そうしたところからこそ、ネガティブな意見とかなかなか鋭い御意見が収集できると思っておりますので、双方向でのコミュニケーションが取れるようなグループインタビューも補完的に実施することなどでコンテンツの改善を促進していきたいと考えております。
 左のほうのインプットにつきましては、法認定計画を推進するために予算事業として文化観光推進事業を執行しておりまして、その右になりますが、博物館や美術館などの文化拠点の機能強化、地域における文化観光推進を支援しております。
 その右、具体的なアウトプットといたしましては、文化資源の魅力を増進する、理解を深めるのに資する解説充実、多言語化、ガイドの充実、また、利便の増進、そういったものを図っていくような活動になっております。このような活動を通じまして、コンテンツの改善、充実したコンテンツによりまして来訪者の満足度の向上、リピーターの拡大、来訪者の増加を図りまして、より多くの来訪者が魅力ある文化資源について理解を深めていただくというところを目指してまいりたいと思っております。
 説明のほうは以上でございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 御質問、御意見の御指摘に入る前に、1ページに戻っていただきまして、論点、簡単に、アウトカム・アウトプットは事業の目的と成果検証にできるように設定されているか、それから、事業の方法についてといったような論点が例示されておりますが、もともと委員の皆様からの御指摘によりまして、例えばそもそも本来、博物館自らが目指していくような事業を国が国費で補助していくことの意味合いとか、その効果、それが十分に果たし得ているのかといったような御指摘、御質問、御疑問も示されているところでございました。
 ということで、有識者の委員の皆様におかれましては、事業担当課への御質問を通じて、無駄の削減のみならず、本質的な博物館支援事業の在り方等についても御議論をいただければと思います。また、前回に引き続き、大変恐縮でございますが、質疑の議論と並行してコメントシートへの記入をお願いいたします。そして、一旦コメントシートを回収させていただきながら、さらに議論を続けるということになりますので、そちらのほうのお手順をお願いいたします。
 発言を希望される方は挙手、実際に手を挙げていただいても、ウェブ上でやっていただいても結構ですが、そちらをお願いいたします。それで、指名をいたしますので、御発言、それから、説明者は都度もしくはまとめて御回答をするということでお願いいたします。特に説明者は、外部有識者からの御質問に対して簡潔かつ明瞭に御回答ください。
 それでは、亀井委員、堀川委員ですね。伊藤委員は手をまだ挙げられておられないですね。それではまず、亀井委員、御発言をお願いいたします。
【亀井委員】  御説明ありがとうございました。また、この間いろいろと御検討いただき本当にありがとうございます。そういう意味では、今日に至るまでの間に、事前等々のいろいろなプロセスの中で意見交換をする中で、具体的な方向性が見えてきたのかなというふうには思います。
 そういう中で、今日は公開プロセスでもありますので、改めてきちんとお伺いしたいんですけれども、今回の場合、先ほど審議官からお話があった国費の導入の必要性等々についてはまた別の方が御指摘されると思いますので、これは法に定められたところに基づいて事業を行っているというところを考えると、では、法に基づいた事業として最大限の効果が発揮できるのかという観点でいろいろとお伺いをさせていただきたいと思います。
 恐らくこの事業については、ある種のファシリティーの改善、施設の改善みたいなことと、あと、そもそもコンテンツの魅力化みたいなところが、大きく分けて2つあるんだと思うんですけれども、そういったようなことが、特に来場者視点とか、あるいは文化庁さんですから、文化をしっかり守り、あるいは文化を広く伝えていくという観点から、どういう観点で具体的にアウトプット・アウトカムを測ろうとされているのか、その点について教えていただけますでしょうか。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ではまず、説明者、御回答お願いします。
【説明者】  ありがとうございます。まさに先生御指摘のように、文化観光推進法の目的を果たすために、ファシリティーの改善とかコンテンツの改善、また、御指摘いただいた、文化を伝えていく、文化の価値をしっかりと来訪者に伝えていくというようなところが重要だと思っております。そういった点から、例えば外国人の方が来られたときに、文化のすばらしさをしっかりと伝えるために、日本人であれば当たり前のような情報ではあるとは思うんですが、外国人の方にはしっかりと伝わるように、英語の解説の部分につきましては、単に日本語から翻訳をするということではなく、来訪者の方が満足をしていただけるような、この物はすばらしいんだな、日本独自の精神性とか文化的な歴史的な背景があるんだなというようなものをしっかりと御理解いただけるように、解説の充実とかガイドの充実、そういったことで文化の価値をしっかりとお伝えをしていきたいと思っております。
 そういったところで、アウトプット・アウトカムにどのように反映されているのかというところでございますけれども、まずアウトプットという観点で申しますと、丸2の理解を深めるのに資するような取組、解説、多言語、ガイド、そういったものもございますし、また、その上の文化資源の魅力増進というようなところも活動として取り組んでいただいているところでございます。
 アウトカムでございますけれども、来訪者の方の満足度の向上という形にしておりますが、ここはアンケートのほうで捉えていくような形になっておりますので、そういったもので捉え切れないニーズとか声をつかんでいくためにも、グループインタビューなどの実施、あとはガイドさんがいらっしゃるのであれば、そのガイドさんからお客様の声を聞くとか、そういったようなことで、コンテンツあるいはその解説、そういったものの充実を図っていきたいと考えております。
【亀井委員】  方向性は分かるんですけれども、具体的にそれがきちんと回るのかなという感じがしていて。今の話でいうと、英語の解説は当然日本語をそのまま翻訳じゃないよねというのはある意味当然のところで、それはきちんとやってくださいねと。これは多分アウトプットレベルなんだと思うんですね。実際そういったようなものが例えばどういったような人たちに伝わって、どういう人たちに伝わらなかったのかみたいなところとか、どういうふうにそれぞれの館がアンケートを実施するという、ある種の調査設計がどういうふうにされているのかというところについてもう少し詳しく知りたいんですけれども。
【説明者】  ありがとうございます。今回こちらの政策レビューの前に、少し幾つか事例を確認のほうを、悉皆調査ができなかったものですから、少し幾つか確認をしております。例えばある館では、展示物があるわけですけれども、展示物ではどうしても見られないような視点からの観覧というのがありますので、そういったところをカバーするために、デジタルコンテンツを制作いたしまして、そこについての解説を入れることでその展示物についての理解を深めることにつながったというようなものもございます。
 そういった意味で、先生がおっしゃるようにアンケートの設計をどうしていくのかとかそういったところは、この事業を最後のアウトカムにつなげていくためにどういうふうにやっていくのかという点でしっかりと検討していかなければいけないというふうに思っております。
【亀井委員】  やっぱり今の話を伺っていて非常に心配してしまうのは、サプライヤーロジックなんですね。○○を改善したから、あるいは○○をデジタル化したから何とかであるというところの大事なところは、今回の場合は多分、最終的には文化を理解してもらって観光等々につなげていくという話でいうと、より来場者視点、要は、受け手視点に立つということがとても大事で、今の御説明もややもするとやっぱり供給者視点がとても強い形になっていて、こういう改善をしたからこうなるはずであるという。でも、実際にはそうならないかもしれない。そちらのそうならないかもしれないというところを、それぞれの施設に対して文化庁さんがやっぱり、しっかり来場者視点でこれを見るようにしてくださいということを仕向けていかないと、○○をしました、○○をしました、それで来場者は満足度が高かったです、ザッツオールというような形の非常に粗い事業設計になりかねない。
 これですと、おいおい、次の論点になるのかもしれませんけれども、横展開ということを考えていったときに、何の知恵も文化庁に残らない形になってしまうので、くれぐれもそこは文化庁が、来場者視点になるようにそれぞれの施設に仕向けていくということがとても大事だと思いますので、そこは肝に銘じてしっかり進めていただければと思います。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  では、次の御質問に移ります。説明者は質問者の意図をよく理解して、今は調査設計について例えば問われていましたので、何をしたというお答えにはおのずとならないと思いますが、そこの御理解は後で補足でも結構ですけれど、よろしくお願いします。
 では、堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  堀川です。よろしくお願いします。
 本事業は、先ほど亀井委員からおっしゃったとおり、運用が適切に機能しているかが重要となると考えます。そこで、事業効果と、事業設計と、さらに気をつける点の3点です。
 1つ目は、本件補助金の対象となっている内容は、先ほど説明者からありましたとおり、例えば新たなコンテンツの作成など、本来博物館等が自己資金で実施している事業と変わらないものが含まれています。さらに、アウトプット指標も、来訪者の満足度といった、博物館が一般にアンケート調査している内容の指標にとどまっています。これでは、博物館等が自ら自己資金で実施した成果と国がやった成果が全くダブってくることになりますので、この補助金による成果の検証には論理的になり得ず、国民への説明責任も十分果たしていないと考えます。
 一方、先ほど説明者からあったように、本来この文化観光振興法にのっとると、文化振興、観光振興、地域活性化までを視野に入れた文化観光拠点施設として機能強化を図る、寄与する事業とするということでありますので、やはりそれに沿った指標を工夫して考えるべきだと。例えばこれは私の考えついた話ですけれども、開館時間の延長など来訪者の利便性に直結する事業について、来訪者の動向を調査するなどして、それが地域にどういうふうに、また、観光資源にどういうふうに寄与しているかなど、そういった工夫もいろいろできるのではないかと考えますので、御検討ください。
 2点目は事業設計に関することですが、アウトプットの中に、文化観光推進事業者と連携して補助対象事業を実施する事業者数が令和3年で54。ところが、博物館総数だけでも全国2,300以上あるということを考えますと、この事業の全国展開への出口戦略が見えません。ロジックモデルの長期アウトカム指標についても、具体性がある道筋が設定されてない。
 本件補助金は、自治体の負担分についても特別交付税措置がなされていて、自治体等においては実質的な負担が生じないということで、補助を受け入れる博物館と補助を受け入れない博物館の格差が非常に大きくなる。なおかつ、今言いましたように、54ということで、博物館等が補助対象となっているのが非常に狭い範囲、限定された世界になっていることから、このままだと、一部の博物館の優遇施策になりかねない状況になっていると。このことからも、やはり全国展開への出口戦略は非常に重要であって、本件事業については不公平感が生じないような運用が求められると考えます。そういう意味で、ロジックモデルや成果指標の設定において、限られた予算の中でどのように工夫して展開していくか、やはり抜本的な見直しが必要であり、しっかりと国民への説明責任を果たしていただきたいというのが2点目です。
 3点目は、先ほども触れましたが、気をつける点ということです。補助対象事業には博物館等の自前の事業と重なる内容があるということは繰り返し言っていますが、こういったケースでは不正の温床になりかねないケースがありますので、特に同じ事業の延長にあると、自前の事業と補助対象事業が同じ世界の中にダブってくるので、過去の補助金の事例では、そういうのが本来対象でないところも入ってきたというケースも見受けられますので、しっかり補助対象事業と博物館の自前の事業というのは、経理とかいろいろな面で区分していかれることが重要だと考えます。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  御指摘の部分もありましたが、例えば御質問の、補助対象事業と自主事業の区別ができるようになっているか等について、回答が可能であれば、手短にお願いします。
【説明者】  ありがとうございます。こちらの事業、3点御質問いただきまして、ありがとうございます。
 まず、本来の博物館の事業とどう違うのかということだと思うんですが、博物館は社会教育施設というのが本来のものでございまして、資料の収集保管をしまして、調査研究をしていく、そういうようなところだと思っております。今回の文化観光推進法につきましては、博物館を文化観光の拠点にしていくというようなところでございまして、そういう意味で、博物館法、博物館の本来の役割に加えて、文化観光の推進、文化についての理解を深める観光への取組、そういったところをこうやっていただくというところで、法に基づきまして計画を認定しまして、それに対して支援をするというような形になっております。
 2番目の、狭い範囲の対象になっているというところかと思いますけれども、文化観光推進法におきましては、文化観光を推進するという目的の下、計画の認定を御申請していただくというようなスキームにしております。計画の申請につきましては、意欲ある地域、あるいは意欲ある拠点、そういったところが申請をすることができるスキームになっております。私どもは、そういった申請が出てまいりましたときに、有識者の審査を経まして、認定をしているというところでございます。その認定を受けた計画に基づいて実施する事業を支援しているというところでございます。
 最後の3点目の、気をつけるべきだというところかと思いますが、博物館の自前の事業とこの支援の事業とをどう切り分けているのかというところかと思います。私どもの補助の、まず計画自体で認定の審査をしておりますし、また、補助金の審査におきましても、有識者の審査をしていただいております。ただ御指摘……。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  すみません、質問に対して明確に答えてください。
【説明者】  御指摘いただいたところは、非常に気をつけなければいけない点だと思いますので、さらに一層気をつけてやっていきたいと思っております。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  いやいや、だから、できていないということですね。
【説明者】  いえ、有識者の審査をしっかりと補助金の申請の中にかませておりますし、私どもの……。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  いや、かませているかどうかではなくて、区別できているかという御質問だったかと思います。
【説明者】  そこは補助の対象となるところにつきまして、明確に文化観光に資するようなところにしておりますので、そういった点では、紛れていくことはないと。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  いや、事業目的と合っているかではなく、区別できているかということについては、できていない、あるいは把握できていないというお答えになるかと思いますが、違いますか。
【説明者】  事業目的上違っておりますので、そこはちゃんと区別できているというふうに思っておりますが、ただ、御指摘を踏まえまして、しっかりとそういったところもちゃんと留意して引き続きやっていきたいと思っております。さらに留意してやっていきたいと思っております。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  続きまして、御質問の順が、川澤委員、伊藤委員、水田委員になりますので、川澤委員、お願いいたします。
【川澤委員】  御説明ありがとうございました。今のは、補助金で区分経理を求めるのが通常ではないかなと思うのですが、そこは恐らく実施要項を確認いただいて、もしできれば後ほど共有いただければと思いました。
 質問が2点ございます。1点目が、先ほど来場者視点が重要だというようなお話があったかと思います。ロジックモデルを見ていましても、やはり初期アウトカムの中で、2つ目の来訪者の文化資源の理解と地域住民の支援意識の向上とか、周辺地域への回遊の促進、この辺りを何らかの形で捕捉することが非常に重要ではないかと思います。満足度というのは、ある意味個別博物館への助成で実現できる部分はあると思いますので、その辺り、ある意味、初期アウトカムの2つ目と3つ目、そういった点を補助金の事業報告書の中で各認定機関から報告いただいて、文化庁として情報収集するような仕組みにしてはと思うのですが、その辺りは報告書の中で情報収集がきちんとできるような設計になっているんでしょうか。いかがでしょうか。
【説明者】  失礼いたします。初めの亀井委員からの御指摘にも通ずるところがあるのですけれども、このスキームですけれども、もともと法計画の認定をするに当たりまして、満足度以外にも各種指標を設定してございます。それは来訪者数とか、それこそリピーター率とか、観光消費額とか、まさに来館者目線ということで、満足度においても、それは展示の満足度であるのか、ツアーの満足度であるのか、様々な指標を取っているところでございます。
 今回ロジックモデルの中で、我々、この観光という分野の中でも、文化庁としてより多くの来訪者の方に文化の理解を深めていただく、ここに重点を持って資料を作成しましたことから満足度ということを記載させていただきましたけれども、計画の中では、類似の施設との比較なんかもしながら、どういった指標が適正なのかということで各館によって目標設定をしております。
 我々文化庁といたしましても、有識者会議、先ほど申し上げましたけれども、その中でフォローアップ調査を毎年しております。まだ事業2年目ですので、1回目しかできておりませんけれども、現在調査中なんですが、毎年度そういう形で進捗を測りつつ、かつ、まさに亀井委員おっしゃられましたけれども、アンケートに答えられない方がどうなのかということで、我々、ロジックモデルに今回グループインタビューということを追記させていただきましたし、また、あと一つ考えておりますのは、外からの目線ということで、観光協会であったり、DMOだったり、文化観光事業者と言われる方々がおりますけれども、そういったところの意見なんかも反映しながら、アンケート調査で測り切れない部分、そこを補完していきたいなと考えてございます。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。そういった形で既に報告書の中での報告を求めて情報収集されていらっしゃるということでしたら、初期アウトカムは、やはり個人的には満足度以外の指標を設定するのが適切ではないかなと思いましたので、ぜひ御検討いただければと思いました。
 あと、今、少し、いわゆる計画のフォローアップとかその辺りの御説明があったかと思うんですが、今、令和3年11月時点では資料13ページで41計画が認定されて進められていらっしゃるんだと思います。今後なんですが、先ほど出口戦略というお話もありましたけれども、例えば認定計画は複数回認定されることもあり得るんでしょうか。というか、博物館全体、今2,000何件というのも、これは協会に加盟している館数だけだと思いますので、ある意味もっと数はあるんだと思うんですが、それを全部ということはもちろん考えられないわけですから、どうやって全体に波及させていくかというように持っていかれるのか。もしくは、本当に優れた光る事例を生み出して、そこのエッセンスをという、その辺のアプローチとか考え方というのはいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。おっしゃるとおりでございまして、全ての館をというのはなかなか難しいところでございまして、まさに今2,000館という数字が出ましたけれども、日本博物館協会の登録者数だと思いますが、例えばその中で、入館者数だけで測ることはできませんけれども、年間入館者数十万人以上の館であれば、全体の約2割を切っているぐらいですし、30万人以上であればまさに5%ぐらいになってくるわけでございます。全てを全て文化観光拠点にということではないと思いますけれども、計画を進めていく中で、各館に共通するような、文化観光を推進する上で共通するような事項は当然あると思います。例えば展示解説の多言語化とか、Wi-Fiがあるのか、そういった基本的なところということはある意味でテンプレート化していく。そこは予算がかからない部分でもあると思いますし、我々国として発信していくべきところだと思いますので、そういった部分については取り組んでいきたいと。
 あと、計画を二重に認定することが可能なのかということでございますが、基本的にこの法に基づく計画は5年計画ということになってございます。ですので、5年で展示の磨き上げとか、館としての魅力をアップしていくということでございますので、同一館が再度認定されるということは基本的にないと考えております。スキームといたしまして、3年目に中間評価を行うということを法に基づく基本方針の中で記載してございまして、最初に認定を受けた館、25計画ございますけれども、そこがまさに今年が3年目になりますので、そういったところで中間評価も行いながら、毎年度その補助事業をどうしていくのかというところでも有識者委員会の御意見も伺いながら進めておりますけれども、毎年度のフォローアップ、さらには3年目の中間評価、こういうことをかませていきながら、文化観光拠点として磨き上げていけるように我々文化庁としても努力していきたいと思っております。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。今のいわゆる計画をどう運営していくかという点については、ホームページを見ても、どういうふうに認定するかというところはよく説明されているんですけれども、それをどう運営して、どういうふうに成果を説明していくかというところの情報が薄い気がしています。そこは非常に重要な点だと思いますので、まだ走り始めたばかりだというのもあると思うんですけれども、ぜひその辺りもきちんと公開情報として掲載していただければと思います。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、伊藤委員、続いて、水田委員にお願いいたします。説明者は、質問書の内容をよく聞いて、的確に手短に答えてください。
 伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  伊藤です。よろしくお願いいたします。今、後半で御説明、御回答いただいたところこそが重要なところかなと思っています。今出ているロジックモデルの成果指標である来訪者満足度になると、どうもこれ、都道府県のレビューシートを見ているように思えてしまいます。要は、運営をする中で、点である博物館がどうかという観点だと思うんですが、今回これでやりたかったことは、博物館を拠点として面的に魅力ある地域をつくるということだと思いますので、そうなると、やっぱり、もちろんまだ2年しかたっていないので見えてこない部分はあるとはいえども、この認定計画を受けて補助を受けている博物館とそうじゃない博物館の違いが出てきているかどうかとか、その地域、この認定計画を受けている地域と、そうではない、博物館を持っている地域にどういう違いがあるのかということを把握することが文化庁の役割ではないのかなと思います。そこはもちろん、繰り返しになりますけれども、2年なのでまだ見えてこないというところはあるかもしれませんが、先ほどの中間検証をするときに入ってくるような計画があれば教えていただきたいんですが。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  回答お願いします。
【説明者】  博物館と一言に言っても、博物館、美術館、さらには歴史資料館とか、今回、お城なんかもございますし、お寺の宝物館というケースもございます。様々ありますので、有識者委員会の中でもまさに議論をしておるのですが、現代アートのような一流の作品というものをアピールしていくアプローチとか、まさに伊藤委員がおっしゃるような、地域の中で愛着を持っていただいて、地域と共に磨き上げていくというアプローチとか様々あるというふうに考えてございます。
 実際に計画の認定においても、博物館、美術館に応じて、例えば地域的に実はここには動線があまりないんだけれども、そこにはすごく魅力的な、まさにストーリーの核となるような文化資源があって、そこへの動線を引くために、指標という面においても、その館の入館者数だけでなくて、その区域の来訪者数とか、そこでの消費額とか、そういった指標を取るケースもございます。個々の計画に応じて、立地状況とか館の展示物は様々でございますので、目標設定も様々なのでございますけれども、今回、満足度とか訪問者数はある意味各館共通で取っている指標でございましたので、このようなロジックモデルとさせていただきましたけれども、個々の館の状況に応じながら、きちんとフォローアップをしながら進めていきたいと我々も考えております。
【伊藤委員】  これ、事前にどなたかお聞きになっていたかもしれないんですが、今回この認定計画を受けて補助対象になっている博物館等は何館ぐらいあるか把握されているものなんでしょうか。要は、先ほど、博物館、会員になっているのは2,134ありますけれども、それ以外の当然あまたある博物館のうち、どれだけが対象になっているのかというのは、もし分かればなんですが。
【説明者】  すみません、本事業で支援をしている拠点としては83館になります。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  よろしいでしょうか。
【伊藤委員】  83館ですね。であれば、まさにこの83を持っているエリアがどのように変化をしていくのかということこそがこの事業のとても大きな役割になってくるだろうと思いますので、そこの把握はぜひともしていくほうがいいだろうと思いました。
 併せて、これ、最後、コメントになりますが、一つ、今回でいくと博物館等を一つの拠点としながらエリアのまちづくりをしていくというのは、決してこの事業だけじゃなくて、いろいろなものがあって、同じ文科省の中でも、歴史を切り口にしている、スポーツを切り口にしている、国交省だったら景観を切り口にしている。それによって拠点形成をしていきましょうというものがある。
 私、実際この認定計画を受けている自治体の中で一緒に仕事をした自治体があるんですが、やっぱり現場の立場からすると、言葉を選ばずに言えば、新しい補助金、補助メニューが来たというイメージになりかねないのかなと。それは、つまりは、もともと自治体としてやりたかったことの中に、そっちで取れなかったから、じゃ、こっちが新しく来たから取れるかもしれないなというふうになると、結果的には、それだったら統合して手続1個のほうがいいんじゃないかという話にもなりかねないので、やっぱりこの事業としては、ほかよりも違う、こういう特徴があるんだというものをもっと見せていかなければいけないんじゃないかなと。しかも現場で聞いていた話の中でいくと、必ずしもそこまでの差別化とか特殊性があるとまで言えないのではないかなと、すみません、これはエピソードベースになってしまいますけれども、感じました。もしそこに御意見があればお願いします。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ちょっと待ってください、御回答の前に。委員の皆様におかれては、コメントシートへの御記入を並行してお願いいたします。
 それでは、回答を手短にお願いします。
【説明者】  ありがとうございます。まさに伊藤委員おっしゃられた、我々としては、例えば観光庁とかそういった他省庁も含めてきちんと連携をしていかなければいけないし、しているというつもりでおります。例えば同じWi-Fiの整備でありましても、我々文化庁といたしましては、博物館を整備していきますけれども、観光庁さんであれば、例えば道の駅とか観光案内所とか、そうやってその地域全体として、観光の拠点・地域として磨き上げていくという。我々文化庁ですので、文化を理解していただくために、そこに文化を理解するための展示の充実とか、深く理解してもらうために体験コンテンツを充実させるとか、そういった支援をしていきまして、地域全体として盛り上げていければなとは考えてございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、水田委員、御発言をお願いいたします。続いて小林委員、お願いいたします。
【水田委員】  どうもありがとうございます。私の質問はちょっと細かい点になるんですけれども、申し訳ありません。41計画のうち15計画に対してコーチング支援を行われているということで資料のほうを頂いております。それで、行政事業レビューシート、こちらのほうの資金の流れでいうと、BとCの部分になるかと思うんですけれども、この計画を認定していただく際に、博物館あるいは自治体が大変いい計画を持っていて、それを実現するために補助をしていると思うんですが、それに対してコーチング支援を行う意味がどういうところにあるのか。具体的に言います。支援先というのはどういうふうに決定されているんでしょうか。それから、どういう効果が上がっているんでしょうか。これをお教えいただければと思います。よろしくお願いします。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  回答お願いします。
【説明者】  ありがとうございます。昨年度からこのコーチング支援を行ってございます。文化観光はまだまだ新しい分野でございますので、我々文化庁としてもまだノウハウが十分にない部分もございます。そういったことから、観光であったり、まちづくりであったり、マネタイズであったり、コンテンツの開発設計であったり、そういったところの専門家の方を伴走支援ということで、現地とつながりながら、我々文化庁も同行しますけれども、支援をしているということでございます。
 実際に、初年度ですので、15計画に対して支援をしておったわけですけれども、そこについては館のほうからの申請という形になります。支援をしてもらいたいと。館の外とのつながりとか知見がまだまだ足りないというようなことで申請が上がってきたところに対して支援をしているという形でございます。
【水田委員】  1点だけ。認定を受ける際に計画を提示されていますよね。そこでやろうとしていることは分かっているわけで、それが認定されてから、やはりノウハウが足りないということでまた申請するという、そういう形になるんでしょうか。
【説明者】  計画認定とはまた別に、計画に書かれた事業を進めていく上で、例えばコンテンツ造成をしようとした際に、それをどう外にアピールしていくのか、どうつながっていくのかということについてアドバイスが欲しいとか、そういった観点から、補助事業とはまた別に事業として申請をしていただいているという形でございます。
【水田委員】  あともう1点だけなんですけれども、資金の流れのBで検査補助というのがあったんですけれども、これはどういう業務を指しているんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。補助事業41計画の実績報告の提出の後、額の確定まで期間が限られておりますことから、中間検査という形で各種経理関係書類の確認等の依頼をしているということでございます。
【水田委員】  それを外注されているということですね。
【説明者】  はい。
【水田委員】  分かりました。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、適宜、記入の終わりました方から御提出のほうをお願いいたします。
 小林委員、お願いいたします。その後、亀井委員、お願いいたします。
【小林委員】  小林です。ありがとうございます。終盤に来てそもそも論的なことを聞くのもあれかとは思うんですが、やっぱり確認したいなと思って。先ほど、柵物館の本来の役割があって、それに加えて文化観光の拠点にするための取組をやっていただくんだというような御説明があったかと思います。そこがちょっと引っかかって気になっているんですが、博物館の側にそうやってお客さんに対して来てもらって、来訪者数を増やして、顧客満足度を高めていくというようなインセンティブはそもそも博物館にはないということなんですか。あるいは、ないことはないけれども、十分じゃないということであれば、その理由は何なのかというのをまず教えていただきたい。
 それに関連したところで、今回のロジックモデルのところで、KPIの4番に国際交流が増えていくといいなというところで、国際交流を実施している館が今6%で、これを12%、倍増させたいというような目標が書かれているわけですけれども、これ、直感的にはすごい少ないなという、いや、直感的にというかぱっと見の印象ですけれども、すごく少ないなと。そんなに国際交流をするインセンティブがないものなのかなというところがちょっと気になるんですが、博物館の側にはそもそも自発的に国際交流をやろうとするインセンティブはないものなのかというところをちょっと教えてください。
【説明者】  すみません、2点いただきまして、ありがとうございます。
 まず、1点目の博物館の関係でございます。今回のこの文化観光推進法につきましては、博物館単館というよりは、博物館を核として面的に文化観光の振興を図っていくというような形でございますので、やはり当然キーとなる文化資源につきましては博物館のほうにあるわけですけれども、それに関連して周辺エリアが文化観光を進めていくというような形での計画になっております。
 それから2番目の、国際交流の6%というところでございますけれども、こちらは博物館協会さんのアンケート調査になっております。2,300館余りの回答でして、協定をつくって国際交流をしている、あるいは協定なく実質的に国際交流をしている、そういったところにチェックをしていただいている館が6%ぐらいあるというようなところでございます。多いのか少ないのかというところでございますけれども、例えば博物館の中では、海外とうまく共同研究をするような形で新たな価値を発見したり、あとは相互の研究に基づいて次の研究が深化していくというような効果もあると思っております。そういった意味でこれを少し12%に引き上げたいということで考えております。
 以上でございます。
【小林委員】  分かりました。そうすると、なかなか少ないと言えるかどうかというところはそもそもあるのかと思いますけれども、何でそうなのかというところまでちょっと把握は難しいのかなというところでしょうかね。
 それと、1つ目のところですけれども、でも、ここでの来訪者数とか顧客満足度というのは、博物館に来た人の満足度を聞いているんですよね。
【説明者】  そのとおりです。
【小林委員】  そうだとすると、文化観光拠点としてその地域に来た人の満足度を高めることが目的であるというような説明とはちょっとそぐわないような形になってくるかと思うので、そうすると、さっき伊藤委員がまさにおっしゃったような、来たことによってその地域がどう展開していくのかみたいなところの影響、波及効果を見るような指標もやっぱり入れておかないといけないのではないかなと思いましたので、今後御検討ください。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、コメントシートはほぼお送りいただきつつあるところでございますが、亀井委員、御発言をお願いいたします。
【亀井委員】  これは質問というよりはこれまでのお話を伺っていてのコメントなんですけれども、先ほど水田先生おっしゃったコーチングというのは、私、それはそれで必要なんだと思うんですけれども、単に外部の有識者を派遣するのではなくて、これって、要は調査・評価設計と一体なんだと思うんですね。もっと言えば事業設計と一体なんだと思っています。
 先ほど、すみません、今の画面でいうと説明者2のほうの方から、満足度以外にもいろいろ調査しておりまして、それぞれ事業者の方々からというお話があるんですが、やっぱり出てきているその項目はいずれもスタティックな調査になっていて、来場者数がどうだ、あるいは満足度はどうだと。では、どうしたらいいのだ、次はどうしたらいいんだということを博物館等の皆さんに仕向けるようなことを、やっぱり文化庁さんは事業設計としてしなければいけないんだと思うんですね。
 どういうふうにしていくと、来場者の満足度が上がり、さらに言えば、来場する前のポテンシャルの人たちはもっと多いわけですよね。結局、来てくれない人のほうが多いわけだから。来てくれなかった人たちに向けてもどういうような発信ができるかとか、そういったようなターゲットを広げていくとか、さらには伊藤さんや、今、小林先生がおっしゃったような、地域全体の魅力度みたいなところまで含めた、そういった意味での、スタティックな評価ではなくて、ダイナミックな評価、つまり、次なる改善、具体的な改善で文化庁として、あるいはこの法が定めた方向性に乗っかってくるようにみんなを仕向けていくような、単にお金を出すのではなくて仕向けていくような事業設計が求められていると思うんですけれども、こういったところは、具体的にここはできていて、ここはできてないなみたいなところの自己評価はありますか。
【説明者】  ありがとうございます。まさにコーチングの件ですけれども、そこで得られた課題、見えてきたものとか、先ほど私、テンプレートを展開していくということも申し上げましたけれども、そういった議論が、実際にコーチングで派遣した人間、我々文化庁も一緒ですけれども、有識者委員会の中で報告をして、まさに議論を進めておるところでございます。
 実際に今回グループインタビューという、まさに亀井委員からの御指摘も踏まえまして、そうだなと思ってやろうとしているところですけれども、館に負担をかけないという観点もございますが、実際に今コーチングの中でも、そもそもその館が持っている文化的な資源、これをどう、コンセプトとしてつくっていくのか、そういった議論も例えばグループの中で話し合ったりとか、そういうこともしておって、まさにそういう場を使いながら、もう少しグループの枠を広げるということはあるのだと思うんですけれども、そういう場も活用しながらコンテンツの改善ということにつなげていけないかなということを我々もちょっと考えておるところでございます。
 ぜひそういった仕組みも設けながら、片やスタティスティックスな指標も全体を見渡す上では重要になってくると思いますので、そういったものと個別具体のものと組み合わせながらぜひ事業を前に進めていきたいと考えてございます。ありがとうございます。
【亀井委員】  ありがとうございます。とても大事なことで、このレビューは何かスタティックなものに見えるかもしれませんけれども、私はダイナミックなものでなければならないと思っていて、やっぱり次なる改善に皆さんが気づいていただいて、具体的に前に進むという話だと思います。今お話があったように、いろいろな関係者の方々と開かれた議論が行われることによってダイナミックな方向が見えてくることもあると思います。
 端的に言えば、私、「ブラタモリ」という番組は、まさに博物館の魅力、普通だったら絶対行かないようなところを、番組の企画もあり、あるいはタモリさんの魅力もありということで、とてもうまく引き出している大変優れた番組なんだと私は思うんですけれども、ああいったような多分ポテンシャルがそれぞれに日本各地にあるんだと思うんです。そういったことを、まさにタモリさんの役割になるのが皆さんの役割なんだと思います。単にお金を配るのではなくて、ここに相談すると自分たちの魅力が上がるというような求心力を文化庁が持てるようにしていくというところはぜひ目指していただきたいなと思いますので、そこはしっかりぜひよろしくお願いいたします。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。あと1名御提出いただくと集計がまとまります。すみません、小林先生ですね。お待ちしています。
 説明者のほうから、今、十分に御説明できなかった点について、待っている間でも、どうしても説明したいということでしたらお話しいただくことも可能ですが、希望があれば。あと、委員も、加えて御指摘があれば、待っている間、少し集計とコメントの取りまとめがございますので、お話しすることは可能ですから、適宜挙手をお願いします。
 川澤委員、どうぞ。
【川澤委員】  説明ありがとうございます。せっかくですので。先ほど国際交流の話がありましたけれども、私も小林先生と同じように6%というのは少ないなというのを印象としてはぱっと思いました。もちろん国立と名のつく博物館は既に実施をされていたりとか、そういう展示がなされているのでそうだとは思うんですけれども、ただ一方で、それを今2倍にするという目標があるのが、2倍というのがどういう根拠で2倍なのかなというのも気になりました。つまり、現状としてどういう機関、どういう館で国際交流が進んでいて、どういう館で足りないかという現状分析があった上での2倍という数値目標が設定されているのか、もしくは大体2倍という形で設定されているのか、その辺りの現状の分析というのはいかがでしょうか。例えば、先ほど申し上げたような、国立はあるけれども中小規模はないとか、一部の地域に国際交流の館が偏っているとか、その辺りの現状の分析とかもしあれば教えてください。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  お願いします。
【説明者】  今、その辺の分析まではできていないような状況でございます。ただ、おっしゃいますように、6%という数字は、今の博物館の2,300館のうち、例えば入館者数が年間10万人以上の館というのは全体で17%ぐらいあるわけでございますし、30万人以上の館となりますと5%ぐらいがそうなっております。そういった意味で委員御指摘のように6%というのはちょっと少ないというようなことになるのかなとは思っております。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  すみません、進行なので意見は差し控えますが、入館者数と国際交流の関連というのは、あまりそんな説明に困ることを言わなくてもよろしいので、手元になければないとおっしゃってください。具体に補足はありますか。
【説明者】  この調査なんですけれども、調査のアンケートの中身が、館同士が協定を結んでいるとか、もしくは友好都市関係を所在地が結んでいるとか、実質的に館と館が交流しているものということで問い合わせているものでございます。ですので、個別学芸員の方が交流しているものは入ってございません。ですので、実質はもう少し多いのかなと思いますが、あくまでも館と館が交流しているという資料になっておりまして、平成16年度以降の調査であれば、若干ながら増えてはきているという形ではあります。これでも増えてきているという形でございますので、コロナ禍でまた多分実質的には下がっているんですが、このままやっぱり捨て置けないというところもございますので、文化庁といたしましてはやはり、倍というのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、それぐらいを目標に立ててやっていかないと、倍でもちょっと少ないのではないかとぱっと見考えてしまうところもありますので、頑張って事業を実施していければと考えております。
 以上です。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございました。恐らく今おっしゃっていただいたように、何を現状として把握しているのかというのは多分調査設計をする上で非常に重要だと思いますし、国際交流必ずしもというところはあると思うんですけれども、海外の方と一緒にやることでそこの地域の人たちにも文化を発信することにもつながると当然思いますので、ぜひ前向きに進めていただければと思いました。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。ただいま、評価結果の集計表のほうは取りまとまりまして、手元にあるところでございます。あと、コメントを今、取りまとめをいたしているところでございますので、それが出来次第、最終的な意見、それから、事業の評価の御発表のほうに移らせていただきます。少々お待ちください。
 よろしいですか。それでは、堀川委員から、票の取りまとめとコメントをお願いいたします。
【堀川委員】  まず初めに、各委員の評価の分布状況です。事業全体の抜本的改善が3票、事業内容の一部改善が3票、同数となっています。
 その主なコメントを紹介します。
 コンテンツや設備の改善の方向性や今後の全国展開を見いだすために不可欠な、来場者視点のアウトカムの具体化・詳細化が不十分である。
 本事業の認定プロセスだけでなく、本事業のPDCAサイクルを対外的に分かりやすく公表すべきではないか。
 初期アウトカム指標を設定する指標として、来館者の満足度というよりは、文化への理解やエリア内での周遊状況等を指標として設定し、取組改善に向けたメルクマールとすべき。来訪者の満足度や訪問者数のみが成果指標になると、点での評価にしかならない。
 他省庁や他部署でも拠点形成に対する補助事業は点在しており、現場である自治体からすると同じ内容を複数の補助事業に申請するケースなどがある。
 文化観光推進事業及び博物館等の国際交流の促進の両事業について、その目的と事業内容に関する問題点は特にない。
 今後着実な進展を確認するための情報収集と成果指標の設定が重要になる。
 博物館に来場者の満足度を高める努力を促す仕組みが必要ではないか。
 以上を踏まえまして、最終的な評価ですが、事業全体の抜本的改善が3票、事業内容の一部改善が3票ということで同数になってしまったのですが、一応座長としての意見ですが、事業内容の一部改善とされた者のコメントを見ますと、やはり事業の有効性等の今後のさらなる検証ということで、有効性に対する疑問も投げかけておられるということを考慮して、最終的な評価案としては事業全体の抜本的な改善とし、その取りまとめコメントとしては、2つの柱から取りまとめたいと存じます。
 一つは、事業の効果及び成果指標に関するものです。博物館等の供給者視点に陥りかねない。来場者視点に基づくアウトカムの設定、さらにはそれに基づく調査・評価設計を事業設計とともに進めることが求められる。具体的には、アンケートの具体的な実施手法も含めた調査・評価設計を改めて行うことが必須。調査・評価設計においては、満足度以外の指標も次の改善につなげる意図を持った指標を採用して、次なる改善に直結できる評価の視点で設計すべき。さらにはこれに伴って、事業者向けの要領も抜本的に見直す必要がある。
 アウトカム指標についてはまた同種の意見が他の委員からも出ていまして、初期アウトカムを測定する指標として、来館者の満足度というよりは、文化への理解やエリア内での周遊状況を指標として設定し、取組改善に向けたメルクマールとすべき。
 また、エリアという話についても同種の意見が出ております。本事業は、博物館を拠点として面として魅力向上を目指す事業なので、エリアとしての変化を指標化したほうがよい。さらに別の角度から、文化観光推進事業については、文化・観光・経済の好循環の形成に寄与しているかどうか、また、日本文化の国際的なプレゼンテーションに寄与しているかなどの成果指標の確認も必要。さらには15計画で採用しているコーチング支援の成果の確認も必要と。一応1つ目の柱は以上です。
 次に、2つ目の柱としては、事業の執行及びその方向性に関するものとして、本事業の認定プロセスだけでなく本事業のPDCAサイクルを対外的に分かりやすく公表すべき。他省庁や他部署でも、拠点形成に対する補助事業は点在しており、現場である自治体からすると同じ内容を複数の補助事業に申請するケースがある。類似であるなら統合するほうが申請手続の効率化につながるので、本事業の特殊性が不明確と考える。全国展開への出口戦略を構築して国民への説明責任を果たしてほしい。最後に、博物館に来場者の満足を高める努力を促す仕組みも必要であろう。
 以上、大きく2つの柱で取りまとめたいと存じますが、いかがでしょうか。よろしければ、挙手をお願いいたします。
 ありがとうございます。大丈夫ですよね。以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。それでは、もともと法に基づいて実施をしているものですので、その趣旨に照らしてコメントをどのように反映していくかをしっかり御検討の上、事業の見直しを行ってください。
 それでは、1つ目についてはここまでと致します。それで、5分時間が過ぎておりますので、次は、5分間休憩を取って、40分からの開始と致します。40分になりましたら再入場をお願いいたします。ありがとうございました。
( 休憩 )
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  皆様おそろいになりましたので、2テーマ目に移ります。ただいまからは、「スポーツ・フォー・トゥモロー等推進プログラム」について御議論をお願いいたします。
 初めに、事業担当部局より事業概要を説明いたします。説明者は事業名、事業開始年度・終了年度、予算規模を述べた上で簡潔に御説明をお願いいたします。
 それでは、お願いいたします。
【説明者】 それでは、ポストスポーツ・フォー・トゥモロー推進事業について御説明をさせていただきます。
 11ページを御覧ください。レビューシートでございますが、本事業は今年度の令和4年度から開始されました。ただ、経緯を申し上げますと、2014年度から開始されましたスポーツ・フォー・トゥモロー等推進プログラムを受け継いだものとなっております。また、事業終了年度でございますが、申し訳ございません、レビューシートでは空欄となっておりますが、5年間実施することとしておりまして、令和8年度を終了年度としております。
 次に、事業の目的・概要でございますが、この後継事業の実施に当たりましては、スポーツ庁のみならず外務省、JICA等の13団体から構成される運営委員会で今後の方向性について検討してまいりました。また、スポーツ審議会の審議を経て策定されましたスポーツ基本計画や国会等の提言で重要性が指摘されていること、そして、各国からも評価されていることから、前身のスポーツ・フォー・トゥモローによるレガシーを発展させ、国際的に日本のスポーツの存在感を示していくために、将来の自走化を視野に事業内容を精査しまして、関係者間のネットワーク継続・発展と、運営委員会でも今後の課題として重要視され、また、諸外国や関係者から支援の要望を受けているジェンダー平等推進や共生社会推進等の4つの課題に関わる国際協力事業の2つに絞りまして、予算額としましては、前身の事業の6億2,200万円から削減しまして1億7,800万円を計上しております。
 17ページのロジックモデルを御覧ください。本事業の目指す最終目標としましては、長期アウトカムにありますように、本事業の終了後に継続的な国際協力事業が自発的に実施される環境が整備されることだと思っております。これまで実施してきましたスポーツ・フォー・トゥモロー等推進プログラムでも、例えばスポーツ人材の育成事業につきましては、本事業を契機に筑波大学でスポーツオリンピック学学位プログラムを創設しまして、令和2年度に終了いたしましたが、その後も筑波大学が恒久プログラムとして継続しているところでございます。残された事業として、国際協力に向けたネットワーク継続及び各種の国際協力事業の展開ということになりますけれども、政府機関、スポーツ関係団体、NGO等の関係者が多数かつ多岐にわたることもございまして、JSCがコンソーシアム事務局として取りまとめを行っておりますが、まだ自走化に至っておりません。この課題というのは、本事業の報告書におきましても、コンソーシアムの自立運営に向けた準備・支援等を指摘されているところでございます。東京大会後のレガシーとしまして、国の事業として残り5年間取り組み、継承して形にする責務を果たしてまいりたいと思っております。
 また、アウトカムをこれまで裨益国・裨益者数としてきたところでございますが、むしろアウトプットではないかという御指摘があったことも踏まえまして、本事業からはアウトプットの一つとして設定し、事業や課題ごとに別々にアウトカムを設定したところでございます。その詳細につきましては補足資料4でお示ししたところでございますが、どのような指標をアウトカムすべきかについてもぜひ御助言を賜れればと思っております。
 18ページにおきましては本事業の委託の在り方をお示しし、右上にありますように、本事業の公募要領で最長5年間を想定した上で、委託契約については毎年度契約していくこととしております。
 最後に21ページを御覧ください。リーディング事業の4つの取組についてそれぞれ内容、対象国、KPI等を整理してみました。(2)のジェンダーの平等推進事業を例に挙げますと、日ASEANスポーツ大臣会合の枠組みで優先協力4分野が示されまして、その一つとしてジェンダー平等推進が挙げられているところから、ASEAN各国の中央政府高官やその国のNOCの女性委員などを招聘して研修を行い、その成果として参加国におけるフォローアッププログラムの実施件数や実施国数、その国のスポーツ業務に関わる人材の認識の変化をKPIの例として考えております。
 また、4つ目のオリパラレガシー還元事業は、自走化のキーになると考えておりまして、5年間で全会員を対象に研修を実施して資質向上を図りまして全体の底上げをして、各会員間における自走化の体制整備を促すとともに、これまで人材育成の事業に参加した海外からの研修生、彼らが自国に戻って中央政府やNOC、スポーツ団体等様々な職場で活躍しておりまして、ルワンダでは例えばスポーツ庁次官になった人物がいるということで聞いておりますが、そういった人物を招聘して新たに日本とのスポーツ団体や自治体とのネットワークを構築していくことも目指していきたいと思っております。
 簡単でございますが、以上でございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。それではまず、1ページ目に戻っていただきまして、論点について、そちらに書いてございますが、2点ございます。こちら、まずレビューの対象は、新しく始めたほうのポストスポーツ・フォー・トゥモロー推進事業でございますが、これまでの事業成果・効果の検証結果を踏まえた後継事業としての諸点、それから、これを自立化、自走化するということでございましたが、そういったところについて、それを目指すというところの事業成果指標に関してどういったことがあり得るのかといったような御指摘かと思います。各委員の御指摘、御質問をよろしくお願いいたします。
 それでは、亀井委員、堀川委員の順でお願いいたします。
【亀井委員】  先にすみません、座長より先に申し訳ないんですが。すみません、正直、この資料を見て驚いたんですけれども、やや後退してしまったなという感じがしています。これ、もともとの枠組みとしては、オリンピックを日本で、東京で開催しましたと。開催するに当たっては、いろいろな形で社会課題、特に今だと国際社会で共有されているSDGsに基づいた形で、スポーツでSDGsにできることは何かということを考えながら、諸外国と連携しながら日本ならではの強みでできることを貢献していきましょうという形の枠組みだという、こういう理解でよろしいですよね。その上で、ポストについても、オリンピック終わっちゃったらもう知らないということではなくて、そういう中で、特にジェンダーとか、幾つか社会課題としてまだまだ特にスポーツ界で残っているものに着目しながら、日本が貢献できるものとしてそれを選択しながらやっていこうという、こういう理解でよろしいですよね。
 となると、やっぱりアウトプットとアウトカムのところがもうぐちゃぐちゃに今なってしまっていて。やっぱり今申し上げたとおり、それぞれに社会課題があるわけじゃないですか。例えばジェンダーでいけば、女性の活躍が十分でないとか、あるいは本来女性が活躍すべきところに対して何かボトルネックがあるとか、多分それぞれの課題があるんだと思うので、あるいはそもそも障害、パラリンピックも含めてですから、いわゆるインクルーシブネスな社会についてまだまだ課題があるよねと。それは日本の課題もあるんだけれども、それをASEANや戦略的な外交を進めていく上での国家と一緒にやっていこうという話なんだと思うんです。であるならば、当事国における、今申し上げたジェンダーだとかインクルーシブネスだとか、そういったような課題がどのぐらい改善したのかというのがまずアウトカムなんだと思うんですね。
 アウトカムというのは、これ、すみません、何か講義みたいになってしまって恐縮ですけれども、これは各省でもお話しさせていただいていますが、当事者に起こる最初の望ましい変化がアウトカムですから、どんなものをもたらしますかというところについて、まさかではないですけれども、これは考えていきたいということで、今は何となく認知度向上みたいなことが入っているのかもしれませんが、さすがに、でも、公開プロセスでこのペーパーが出てきてしまうとひっくり返ってしまう状態で、はっきり申し上げて、これはちょっとあり得ません。
 となると、そもそもこれ、補足資料4にありますがとあるのは、ちょっと候補は見えないんですけれども、大枠で4つの事業があって、それぞれについて何かしら社会課題、SDGs的なものがあって、それが今現状こういう形で深刻だから、これがどう改善されますかということで、この事業はその事業に何が貢献できるんですかということを明らかにしないと、ロジックモデルは全く書けないんだろうなという形に今なっているんじゃないかなと思います。
 なので、そういう意味でも、初期アウトカムはまずは課題別にやっぱり整理をされるべきだし、裨益者というのは、関わっている人たちの数という意味で多分書かれているんだと思うんですが、やっぱり最終的には当事者、ジェンダーであれば、特に女性の場合になるんだとは思いますけれども、それから、あるいはインクルーシブネスであれば、何かしらの障害を抱えていらっしゃる方になるのかもしれませんし、そういう理解が改善された障害を伴っていない人の割合も入ってくるのかもしれませんけれども、そういったような形のものを初期アウトカムとして当事国と一緒にやっていくということが、今のODAは全部そういう枠組みになっているはずで、そこのODAの枠組みと同じように考えればいいんじゃないかなと思うんですが、ここら辺、スポーツ庁さん、どういうふうにお考えなんでしょうか。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。まさに今、委員がおっしゃったように、我々もKPIをいろいろ考えてみたんですけれども、なかなかまだ十分でないところがあると思います。これで必ずしもいいという形で考えているわけではございませんので、おっしゃったように、実際に来る、対象となる国の方々からも意見を聞いて、では、彼らの国には何が課題かということなどを参考に、もう少し丁寧にアウトカムについて考えてまいりたいと思っております。いずれにしても、ここで示した例というのは適切でないということは、御指摘を踏まえて認識いたしましたので、もう少し考えたいと思います。ありがとうございます。
【亀井委員】  当事国もそうなんですが、これ、ODAのときもそうですけれども、そもそもやはり支援する側の国として、いや、やっぱり外形的にここが問題だよねということをしっかり申し上げていくということはとても重要で、単に聞くだけではなくて、やっぱり外形的に見て分かることというのはたくさんあるはずで、あるいは今まで少なくともポストに入る前のこのスポーツ・フォー・トゥモロー事業で見えてきたこともあるはずで、そこの知見が全く生かされてないのは大変残念だなと思います。それも含めてロジックモデルと、それから、補足資料の4のところを行ったり来たりするんだと思いますけれども、かなりの部分、具体化していただかないとこれは厳しいのかなと率直に思います。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございました。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、堀川委員、お願いいたします。
【堀川委員】  堀川です。よろしくお願いいたします。事業の特徴と事業設計と事業の特殊性の3点です。当初のSFTでは、概要を見ますと、学校体育カリキュラム等の策定支援などや、途上国のスポーツ環境の整備に協力するなど、各国の協力要請に迅速かつ的確に対応するためにコンソーシアムを構築することとしていて、コンソーシアムというのはある意味、各国との連携のための目的を達成するための手段であったんですが、11ページの事業概要を見ますと、そもそもコンソーシアムは、ネットワークを維持、発展させることが一つの目的化しているようにも読めるので、この点については、やはり手段が目的化したように変容しているようにもこのレビューシートからは見えますので、その点についてはしっかりと国民に説明責任を果たすようにすることが肝要かと考えます。
 さらに言うと、このコンソーシアムの事業に、リーディング事業というのが、15ページ見ると、当初にはなかったんですが、SFTCネットワークを継続し、かつそこに同一事業としてレガシーリーディング事業というのが共生社会とかジェンダーとかということでついてくるわけですけれども、そもそもジェンダー平等推進事業とか共生社会推進事業という趣旨の事業は、文部科学省のこれまでの事業で様々に実施してきている内容だと思うんですね。新たに今回アプローチ事業としてスポーツに限定したとするのであれば、そもそもスポーツ全体の事業として展開していたほうが効率がよいので、ここの枠組みの中に入れるということは、私の理解だとすると、このコンソーシアムを使ってという限定条件をつけて、こういうジェンダーとか共生社会をその枠組みの中でコンソーシアムを活用してやるという、実施していきたいということだと理解するんですけれども、やはりスポーツ全体としての事業に展開したほうが効率がよいのではないかと。
 また、ちょっと危惧する点としては、ジェンダーとか共生社会を事業展開する際に、例えばコンソーシアムの会員でいけないなどの条件を付するとしたら、やっぱり契約の競争性において問題が生じかねないのではないかとちょっと危惧する点でもあります。したがって、リーディング事業は、ポストSFTとは別の事業として事業設計を分けて考え、アウトカム等の指標設定も、亀井委員もおっしゃいましたけれども、僕の場合は、コンソーシアムに限定されない広い事業として、さらにリーディング事業の効果を測るような指標の再設計も考える必要があるのではないかという意見です。
 次に、3点目ですけれども、新たに組織を構築するというのは、国の事業では非常に限定的だと理解しています。国の支援がなくなれば、組織が解体されるようなケースでは、雇用の継続性を棄損しかねない事態が生ずる可能性があるとして、やはり慎重だというふうに理解しています。当初SFTでは、オリンピックまでの期間限定であることが明確になっていたから事業化したというふうにも見えるんですね。したがって、本件事業であるポストSFTにおいては、コンソーシアムを国が丸抱えのまま、特にサンセットを、終期を決めずに継続するということはある意味大変重い話だと理解します。5年後に見直すとのことではありますが、そもそも自立に向けた収益構造を明確にしないまま継続事業としているため、事業運営の透明性をさらに高め、やっぱり国民への説明責任を十分果たしていただきたいと思います。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、説明者、回答お願いします。
【説明者】  1点目の、コンソーシアムが手段であり、目的ではないのではないかという御指摘でございますが、これは、すみません、私の説明、また、資料が適切でなかったのかもしれませんが、おっしゃるとおりございます。あくまで最終的には、いろいろなステークホルダーが国際事業をネットワークを使って自走化してやっていくということでございますので、ここについては、コンソーシアム自体を残すというよりは、それが結果として自発的に残っていけばいいんですけれども、手段であるということは改めて認識して事業に取り組んでまいりたいと思っております。
 また、2つ目、今回、コンソーシアムのネットワーク事業とレガシーリーディング事業の二本立てにしまして、今回JSCがどちらも受託した形になっておりますけれども、今回、4つの事業、何でこんなのやるんだ、全体としてのほうがいいんじゃないかというような御指摘もございました。今年度はこの形という形になっておりますけれども、御指摘を踏まえて改めて、来年度以降どういう形がいいのかというのは、スポーツ全体でもう少し考えていきたいと思っております。
 また、今回なぜまた続けるのかという話でございますが、5年後に見直すというよりは、5年間で必ず自走化するというのを考えておりまして、今JSCのほうも当初関わっていた職員が大分内製化されてきまして、少しずつ吸収された形になっております。それをもう少し時間をかけて、何とか5年後にはもう国費を充てない形で整理したいと思っております。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  1点追加があるそうなので、堀川委員、続けてお願いします。
【堀川委員】  すみません、続けて。1点だけ。今の最後の御説明なんですけれども、それも実は想定していたんですが、結局この事業をJSCの業務の中に溶け込ませるという、その方法しかきっと将来的にはないんだろうなと想定したんですが、それはJSCにとっても非常に大きな負担にもなりかねないし、さらに言うと、その結果、運営費交付金がそれとなく増えるという状況も可能性としてあるので、そこは十分慎重な対応を検討していただいた上で進めていただければと思います。
 以上です。
【説明者】  分かりました。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、次の御質問は小林委員、小林委員に続いて川澤委員、伊藤委員の順です。小林委員、御質問お願いします。
【小林委員】  ありがとうございます。今の堀川座長の最後の論点をそのままというか、引き継ぐ形になるんですけれども、これはやっぱり最終目標が自走だということだとしたときに、どういう状態になれば自発的に国際貢献事業が継続されるという状態が自走できるのかというのを、今の、だから、JSCが全部抱える形になるというのがゴールなのかというようなところを一つ教えてください。
 自走がゴールだとすると、この5年間で自走できる状況が整いつつあるということが評価できるような仕組みになっているのかどうかというところも併せてお聞きしたいと思いますし、あと、逆にどうですかね、自走できなければこの事業はやめてしまうのか、あるいは自走できなければこの事業を続けるのか、どういう判断を考えていらっしゃるのかというところを教えてください。お願いします。
【説明者】  ありがとうございます。まず1点目、どういう状態がゴールなのかということで、全てJSCのほうで自走化に向けてやるというわけにも当然いきませんので、やはり各会員間のボトムアップ、スキルアップが重要だと思っております。先ほど説明した中で、各会員間を対象とした研修事業、こうしたものでそれぞれ何年間やってきた中で、ネットワークは、何となくここに話をすれば話がつながるというのも見えてきたと思いますので、各団体がそれぞれの相手、カウンターパートを見つける状態が大分出来てきたと思いますので、各団体でも独自にコネクションができるような状態に持っていくのも一つのゴールだと思っております。
 また、仕組みがどんな形でやっていくのかということでございますが、そこの各団体の自走化に向けた体制整備というのは一つ一つ見ていくというのもあると思いますし、一年一年、ここのまさにKPIというのはこれから慎重に考えないといけませんが、自走化に向けてどういうKPIが適切で、それがどのように改善しているのかというのをしっかりと考えてまいりたいと思っています。
 また、自走化ができなかった場合はどうなるのかということでございますが、基本的にずっと国費を投入して続けるのも適切ではないというのは私も重々認識しておりますので、100%の自走化というのはなかなか言いづらい部分はございますが、徐々に団体間が直接連絡が取れるような状況にはなっておりますので、とにかくその状況を少しでも上げていくという形で取り組んでいきたいと思います。
 以上でございます。
【小林委員】  ありがとうございます。そうすると、では、スキルアップであったり、ネットワークが出来たことによって自走できるという意味で、そうじゃないところの支援はやってはいないということになりますか、逆に。
【説明者】  そうですね、今はJSCがいろいろコンタクトポイントとか分析とかもやっておりますけれども、そうしたものは少し各団体間でやっていただくということになっていくのかなと思っています。
【小林委員】  それはある程度、スキルアップ、ネットワークが出来てくれば、自分たちでできるようになるだろうという見込みだというわけですね。
【説明者】  はい、そういうイメージで考えております。
【小林委員】  分かりました。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、川澤委員、お願いいたします。
【川澤委員】  ありがとうございました。今の点に続いてなんですけれども、ホームページも拝見したんですが、いろいろな団体で本当にいろいろな国と様々な活動されていらっしゃって、それがきちんと丁寧に御説明されているサイトだなという印象を持ったんです。ただ、今のお話を伺いますと、補足資料4では、国内連携団体って、日本スポーツ協会とか大きい協会もあるんですが、いわゆる会員となっている団体というのは本当に個別のスポーツのそれほど規模の大きくない団体とかもありまして、そういったそれほど体力のない団体が自主財源で国際交流を継続していくのはかなり難しいのではないかという印象を持ったんです。その辺りは、このSFTの会員になっているつながりというか、それを本当に維持しつつ国際交流を継続していくということが現実的なのかなというのを思ったんですが、その辺りはいかがでしょう。ちょっと繰り返しになるかもしれないですけれども。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。まさにそこも一つの課題だと思っております。今、450以上の団体が会員となっておりますが、大きい政府系の団体もあれば、小さいまさに数人しかいないNGOもあるかと思っております。この会員が全部そうした体力を持てるかというのはまた難しいところがあるかと思いますが、例えばサッカーの何か物を供与するということのプログラムであれば、サッカー協会等もハブになっていただいて、そうした小さいところとネットワークを取って話をつなげていただくというのもあると思いますので、全ての団体がなかなかそういうような体制整備というのは、財政的にも厳しい部分があるかと思います。ただ、コアになるところはしっかり育てて、そうした団体から要請があったら、そういうことがつなげるような形にしていきたいと一つは考えております。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  すみません、ちょっとお待ちください。亀井委員から、音が聞こえなくなったという御指摘なんですけれども、ちょっと確認していただけますか。
【川澤委員】  今聞こえました。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  大丈夫ですか。
【川澤委員】  すみません、こちらの問題かと思います。
【亀井委員】  いや、今の審議官の声は聞こえましたが、今の説明が途中から聞こえなくなっています。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  すみません、再度、説明、最後のところを繰り返してください。
【説明者】  すみません。まさに小さいNGOみたいな団体もあるというのは認識しておりまして、そうした団体が大きい団体、政府系の団体みたいに自走化とか体制整備が十分できるということも確かに難しい課題だとは思っております。ただ、サッカーの関係であればまたサッカーで関係する団体、それぞれ競技団体等でハブとなる団体があると思いますので、そういうところとのネットワークをつくっていただき、また、そこについては、我々も今やっている間にいろいろ橋渡しをして、少しでもネットワークが出来るような形でサポートしてまいりたいと思っております。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。今、会員としては450ぐらいということで、会員の登録料も無料になっているので、ある意味、この数しかないこと自体が少し少ないのではないかなという思いも抱きました。ですので、認知度向上というようなところも設定されていらっしゃるんだと思うんですが、御認識として、やはりもう少しネットワークに参加して、もしくは関心持ってもらう団体、国際交流に関心を持つスポーツ団体ということかもしれませんけれども、それが裾野が広がっている、もう少し広げる必要がある、そういった御認識はいかがでしょうか。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。それは我々もJSCとかとも認識を共有しているところでございます。今まではホームページを作ったり、パンフレットを作ったりやってきたところですが、どうもやはり認知度向上に至っていないというところがございまして、今回特に力点として挙げているのが、インフルエンサーなどにお願いしてもう少しSNS等でPRをしていただくとか、そういうことも一つ重要だと思っております。
 また、無料の割に会員が少ないんじゃないのかと、御指摘のとおりでございまして、例えば自治体の数でいうと、まだ全国の自治体の二、三%にとどまっているところもございますので、やはり自治体が今後例えばホストタウンみたいな関係でもっと増えていただくということは非常に、自治体自体もハブとなり得る団体だと思いますので、そうしたところで自治体へのアプローチも欠かせないのかなと思っているところでございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。よろしいですか。
【川澤委員】  はい、結構です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。それでは、伊藤委員、水田委員の順で御発言をお願いいたしますが、そろそろコメントシートの御提出の準備のほうも委員におかれましては並行してお願いいたします。
 伊藤委員、どうぞお願いいたします。
【伊藤委員】  よろしくお願いします。論点がどうしてもかぶってしまうところがあるんですが、先ほどから出ている、最終的には自走を目指していく、自走とは何かというと、こういうSFTの考え方をしっかりと行政が関与せずに自立的に進めていくと。最初、亀井さんからもお話があったように、多分それって何するかといったら、単にネットワークをつくるということだけじゃなくて、ジェンダーの問題、障害の問題というものをスポーツを通して広げていくんだ、それは東京オリンピックを契機にした日本の一つの役割なんだというふうに認識をしているんですが、今まで聞いている中で、これで5年後にみんなが自立して自分たちでやるとはどうにも思えないところがあって、仮にそういう考え方があるんだったら、最初の5年間は当然、これは東京オリンピックをやる日本としての使命だというところがあります。あったから、委託事業でやっていましたけれども、であれば、このタイミングで補助というふうに切り替えて、あくまでも主体は民間側なんだ、そこを文科省がサポートするんだという考え方にならない限りは、5年間同じように委託でやって、じゃ、令和8年度にお願いしますと言って、きっとならないというふうにしか思えないんです。
 となったら、この事業で目指していることが何となく、これ、もちろん将来が見えるわけじゃないですけれども、現時点においては、目指す姿に向かおうとできていないのではないかというふうに感じてしまうんですが、それは何か違う考え方があったりするんでしょうか。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。そういう御意見ももっともだと思っております。一つはSFTが7年間続いて、そして、大会延期があって8年間続けてまいりました。様々なプログラムを実施してきて、例えば、先ほど申し上げましたが、人材育成につきましては、筑波大学のほうがそのまま恒久プログラムとして自分でやるということで、大多数のスポーツプログラムについては自走化が今進んでいるような形になっております。
 ただ、残されたのが、この国際交流ネットワークづくりでございまして、確かに何でもっと早くできないんだという御指摘もあるかと思いますが、ここについては、これをこのまま国費をやめてしまうと、せっかくこれまでつくってきたものがなかなか雲散霧消してしまうような危惧も抱いておりますので、ここはもう覚悟を決めて、5年であればその中で必ず自立化をしていきたいと、そういう形で考えておりますが、もちろんそこについて一年一年と区切って定点観測して、御指摘のような方法も場合によっては考えざるを得ないのかなと思っております。
【伊藤委員】  今のスタイルのままでなぜ早くできないのかということを伝えたいわけではなく、この今の進め方で、別にこれ、5年が10年であろうと、15年だろうと、それはうまくいかないのではないかという視点になるんです。それを考えるに当たっては、この事業の特徴は、国がネットワークをつくって束ねて、国際的に交流をしていこう。だけれども、当然、例えばホストタウンになったところは、個別にやっているケースというのは実際ありますよね。それは自治体が絡むケースもあれば、場合によっては、NPO団体がたまたま来た選手団と、そこのボランティアチームと一緒になっているケースもあったり、ほかの国の事例を少し調べてみたんですけれども、そういうところの盛り上がりがある。
 そうではなくて、この事業は、国が取りまとめをしてネットワークをつくって、交流をしていくんだということの必要性も含めて考えたときに、今のこのスキームで、最初にお話があったような、SFTで国際的ネットワークをつくってスポーツを通していろいろなことを発信していくということが必要なのかどうかが正直言ってまだ分からなんです。今のままだったら、ある意味ではもう草の根でやっていることを別の形でサポートするという考え方だって出てくるのではないかというのはいかがでしょうか。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。まさにもともとこういう国際協力事業というのは草の根の中で始まってきて、それが一番あるべき姿だと思っているところもございます。他方で、このSFTをやることによって、今までなかなかつなげていなかった例えばNPOの団体と外務省のコネクションが出来ることによってなかなか進まなかった事業が新たに生み出されたというような事例もございますので、少しグッドプラクティスを掘り起こしして、それをほかの団体等にも教示する形でネットワークの強化を進めていきたいというのが我々の一つの狙いでもございます。いずれにしましても、御指摘を踏まえて、しっかりと事業については見直しを常に頭に置きながら考えていきたいと思っております。
【伊藤委員】  そういう考え方だからこそ、補助事業という形があるんじゃないかなと思います。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、水田委員、お願いいたします。
【水田委員】  かなりいろいろ御意見が出ているので、ちょっと重なっておりましたら申し訳ありません。
 リーディング事業についてなんですけれども、これはもう本当に基礎的な質問で大変恐縮なんですけれども、レガシーがあることは承知をしています。それを生かして何か将来的につなげていきたいという志も理解しているところなんですが、このリーディング事業にいろいろな政策的なバズワードが並んでいて、SDGsとか、インクルーシブとか、共生社会とか、それから、ジェンダー、それから、今回はKPIのところに関係人口まで出てきて地方創生のところまで踏み込んでいるような感じなんですけれども、そういった形で何か独立してやっていく事業であるべきなのか、それとも、もし今申し上げたようなバズワード、これに関連した事業がほかでもうあるのであれば、レガシーをほかの類似事業の中に溶け込ませて、独立事業ではなくてそちらのほうで恒常的に進められるように持っていくということも可能なのではないかなと思ったんですが、その辺り、例えば類似事業の中に溶け込ませるということは難しかったというようなそういうことがあるのでしたら、経緯をお聞かせいただければと思います。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。まず類似事業への溶け込みでございますが、今回の4つの課題ではございませんが、昨年度までやっていたものとして、アンチドーピング、これは東京大会に向けて特に弱かったアジアとかオセアニアの地域の人材育成を図ってまいりましたが、ここにつきましては、もともと別にドーピング推進事業がございますので、この中で今後は溶け込んだ形で実施していくことを考えております。
 この4つの事業につきましても、確かに女性という切り口であれば、またこの後にもあります女性の事業等もございますけれども、特にいろいろ関係団体や各国から、こういうのを引き続きやってほしいという要望があったので、こうしたものを4つ取り上げていたところですが、先ほど冒頭のほうでも、こういう切り口じゃなくてスポーツ全体でやっていくのではないかという御指摘もありましたので、あまり確かにバズワードを並べて見栄えだけがいいというのも、事業の中身がなければ、またそれはそれで問題かと思っておりますので、もう少し御指摘も踏まえた形でスポーツ全体で取り組めるような形も考えていきたいと思っております。
【水田委員】  ありがとうございます。何か整理が考えられるようなところがあるようでしたら、少しお考えいただければと思いまして発言いたしました。どうもありがとうございました。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  委員の各位におかれては評価シートの御提出をそろそろお願いいたします。
 亀井委員、どうぞ御発言ください。
【亀井委員】  ありがとうございます。改めて確認なんですが、今までのやり取りを聞いててすごく、何かちょっと違うのかなと。さっきの伊藤さんとのやり取りもそうなんですけれども、どのやり取りもそうなんですがが、スポーツ庁さんはずっと事業必要性と、それから、事業の効率性の話ばかりされるんです。このレビューでみんなここのレビュアーたちが多分一番気にしているのは、効果はどうなのかという話を一番気にしていて、政策というのはインパクトをもたらすものなので、どういう社会的インパクトをもたらそうとしているのかというところになかなか今、議論がつながっていないなというのは率直に残念だなと思っています。
 もう必要性の話は分かりましたと。だって、オリンピックやったんだし、やるんだよねと。それもいいです。レガシーもあるよねと。それから、効率性の話は、自走、自走とおっしゃるんだけれども、相手国がある中で勝手に自走と言うのも、あるいは民間団体が本当にできるのかという中で、勝手に自走というのを文科省が何か、文科省得意のエコシステムみたいな感じになっていて、とにかく早くやめますからこれはやるんですという御説明にしか聞こえません。
 むしろどういう状態になったら自走できるようになるのかとかというようなところも含めて考えなければいけないし、何よりこれはスポーツを通じた諸外国へのある種ODAのわけで、その国々でジェンダーだとか幾つかのことについてのインパクトをもたらさないと何の意味もないわけですよね。そこら辺についてどういうふうにお考えなのか。この事業のそもそもの効果は何だというふうにお考えなのか、その点についてまず確認したいんですが、いかがでしょう。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。すみません、私の説明が至らずに。確かにおっしゃるように、自立してできるような仕組みが最終目標ですというのは申し上げましたが、他方で確かに、やった事業が各国にとって非常に還元があるものでなければ意味がないというのもごもっともだと思っております。そういう形で考えるのであれば、まさに、先ほど亀井先生もおっしゃったように、SDGsへの貢献、そういうのも貢献度合いを見ていくというのもあると思っておりますので、その辺り、すみません、なかなか不勉強で申し訳ございませんが、どういう形でODAが評価しているのかとかその辺りも参考にしながらよく考えていきたいと思っています。
【亀井委員】  そこら辺は外務省とかJICAはきちんと知見を持っていますし、もともと政策評価の枠組みは、御存じかもしれませんが、こういう開発援助の分野から発達したという経緯もありますから、まずそこら辺はしっかり取り組んでいただけたらいいのかなと思います。そうなると、ここにあるような、長期はともかく、初期・中期のアウトカムというのはこういう形では全くなくなるんだろうなと思います。
 さらに言うと、今までも自走という言葉が独り歩きしているんですけれども、私自身も民間のNPO・NGOでアジアの山岳少数民族の教育支援をやっていますけれども、現地の子供たちと一番簡単に仲よくなる方法は、サッカーをやることなんです。あるいは、綱引きを一緒にやることなんです。もうあっと言う間に子供たちと仲よくなれます。だから、そこにスポーツの力は間違いなくある。それは私自身が実感しています。そういう中でいったら、スポーツの力は実感できるし、そういう意味では、貧困だ、何だという問題はあるかもしれないけれども、一緒にサッカーをするという意味では同じなんですね。
 あるいは、その地域においていろいろな問題があるけれども、女の子も男の子もみんな参加できるみたいな形のスポーツの在り方もあります。そういうことを男の子だけしかしないんだ、いやいや、女の子もやろうよみたいな感じのことを言うことで例えば変わるみたいなことはたくさんあって、まさにスポーツの力が様々なところでよい循環をもたらすということはあるんだと思っていて、それは物すごく実感をしています。
 一方で、そういうものとこの話が全くつながっているような感じが今まで、すみません、御説明がうまいとか下手だとかという問題じゃなくて、皆さん自身がスポーツ庁として考えていらっしゃるのかなというところが正直よく分からないものですから、そこの何をこの事業が目指すのか、場合によったらこれは得意な人たちに任せたほうがいいんじゃないかとか、あるいはだとしたらスポーツ庁は何をするのかというところはしっかりよく考えていただけたらいいんじゃないかなと思います。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。当然このメンバーにも外務省、JICA等も入っておりますので、よく今日の議論も踏まえて、それを運営委員会でフィードバックして今後の在り方につなげたいと思っております。御指摘ありがとうございます。
【亀井委員】  ぜひよろしくお願いします。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。ほかに御意見などございますでしょうか。
 今コメントを集計いたしておりますので、間もなく評価の結果は取りまとまるところでございます。
 少し時間がありますので、説明者ももし言い足りないところがあれば御説明いただく機会にすることも可能ですので、適宜挙手をお願いします。
 それでは、しばらくお待ちください。すみません。
 ただいま評価結果の取りまとめ表がまとまりました。コメントが取りまとまり次第、堀川委員からの御発表をお願いいたしますので、いましばらくお待ちください。
 それでは、堀川委員から、評価結果の御発表とコメントの取りまとめをお願いいたします。
【堀川委員】  まず初めに、各委員の評価の分布状況です。事業全体の抜本的改善が3票、事業内容の一部改善が3票、同数となりました。
 その主なコメントを紹介します。
 最終的な自走化までの道筋が不明確であり、改めて事業設計を見直すことが必要ではないか。自走を目指していきたいという方針であれば、その目的に近づいていることが判断できる評価指標の構築が必要。
 リーディング事業の目的であるジェンダー平等や共生社会推進事業等については、文科省で様々な事業を実施してきており、スポーツに限定した新たなアプローチ事業であれば、事業効率の上からもあえてコンソーシアムに限定する必要はない。
 ポストスポーツ・フォー・トゥモローに関するロジックモデルに示されたアウトカムはいずれも不適切であり、抜本的な改善を求めたい。アウトカムを設定する上では、本事業が対象とする社会課題の実態把握が不可欠。
 SDGsと関連したリーディング事業の計画など他の事業と目的が重複する領域への拡張が危惧され、メニューの整理が必要。
 今のやり方では目指す姿であるSFTコンソーシアムが自立した組織になると思えない。委託でなく補助金というスキームに変更する必要がある。
 スポーツを通した国際的な課題解決について国がネットワークをつくって行うことの意義が不明確。自治体やNPOが草の根で交流していることのサポートをすることも考えられるということです。
 以上を踏まえ、最終的な評価ですが、これも事業全体の抜本的改善が3票、事業内容の一部改善が3票と同数となったのではありますが、事業内容の一部改善とされた委員のコメントの中には、改めて事業設計を見直すことが必要ではないかといった根本的な指摘もされていますので、一応私の案としては、事業全体の抜本的な改善とし、その取りまとめコメントとしては、大きく3つにまとめたいと存じます。
 今回は内容で分けてみたいんですが、1つ目は自走化の道筋が不明確ということで、これに対して複数の委員から意見が出ておりまして、改めて事業設計を見直すことが必要。自走化の目的に近づいているか判断できる成果指標の構築が必要というのが1つ目の柱です。
 次にリーディング事業についてですが、2つ目の柱、リーディング事業についても複数の委員から出ておりまして、ポストSFTとは別の事業として事業設計を考え、アウトカム等の成果指標の設定は、より広い事業であるとの視点から再設計する必要があるのではないか。相手国の社会問題・課題に関する実態調査や、これを踏まえたアウトカムの再設定、スポーツ庁に十分知見がないようであれば、ODAに知見を有する外務省やJICA等に知見を求めるべきではないか。ポストSFTとして行う必要があるのかいま一度検証が必要。文部科学省はもとより、他省庁も含めて目的の重複する事業が並存していないかの確認も不可欠である。現在4本の柱でリーディング事業を行うことが一番効率的・効果的なのか再度見直していただきたいというのが2つ目の柱。
 それと、3つ目の柱は、委託事業ではなく補助金というスキームも検討する必要があるのではないか。さらに、自治体やNPOが草の根で交流していることのサポートをすることも必要と考えるという、一応3つの柱で取りまとめたいと存じますが、いかがでしょうか。よろしければ挙手を。ありがとうございます。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。委員の指摘を踏まえて事業の適切な方向性への改善を行ってください。
 以上をもちまして、「スポーツ・フォー・トゥモロー等推進プログラム」の公開プロセスを終了いたします。
 次の「女性アスリートの育成・支援プロジェクト」につきましては、15時40分開始、7分間ですかね、少し休憩が長くなりますが、40分開始とさせていただきますので、開始になりましたら、また皆様、チェックインをよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
( 休憩 )
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、時間になりましたので、3テーマ目を開始いたします。ただいまから、「女性アスリートの育成・支援プロジェクト」について御議論をお願いしたいと思います。
 初めに、事業担当部局から事業概要の御説明をいたします。説明者は、事業名、事業開始年度・終了年、事業予算を述べた上で、5分以内に簡潔に説明をお願いします。
【説明者】  スポーツ庁競技スポーツ課ございます。「女性アスリートの育成・支援プロジェクト」につきまして、御説明をさせていただきます。
 資料の2ページを御覧いただければと思います。本事業は、平成25年度より開始いたしまして、当初は女性アスリートの健康課題に関する調査研究などを中心に実施してまいりましたけれども、事業内容の見直しを行いながら現在取組を続けているところでございます。令和4年度の事業規模につきましては、対前年度微増の2億円となっております。なお、事業の終了につきましては、幾つかの事業で構成されていることもありまして、具体的に終了年度について設定はできておりませんけれども、例えば今回、調査研究を踏まえたマニュアルの策定といった事業を行いますので、後に示しております一定の類型の競技ごとのマニュアルが出来れば、それにおいて役目を終了することもあると思っておるところでございます。
 次に、事業の必要性についてでございますけれども、恐縮ですが、10ページを御覧ください。政策的に取り組むべき女性のアスリートを巡る課題といたしましては、女性の健康課題や出産育児などにより競技の継続が困難となる要因を取り除き、安心して競技に打ち込める環境を整備すること。また、男性に比して活躍の場が乏しいナショナルレベルのコーチの育成の場におきまして積極的な対応を行うことで、スポーツを通じた女性の活躍促進を図ることだと考えております。このような観点から、女性の健康課題に対応する取組としまして、トップアスリートへの支援と中高生を含むジュニア層への支援の2つの観点から事業を実施し、また、女性の活躍促進のための取組として、女性エリートコーチ育成の支援に関する事業を実施することとしております。
 次に、具体的な事業内容ですけれども、健康課題等への対応におけるトップアスリートへの支援といたしましては、産前産後の競技復帰に向けたトレーニング指導等の医・科学サポートや、育児と競技を両立するための託児等の支援、また、相談窓口の設置運営に取り組むこととしています。また、中高生を含むジュニアアスリートへの支援としまして、今年度新たに、より詳細な学校部活動における指導の実態を把握するとともに、女性の健康課題に対応した年代別・競技別のマニュアルの策定や、ウェブ上で様々な女性アスリート支援情報を提供するプラットフォームの構築などに取り組むこととしております。さらに、女性エリートコーチ育成支援の取組としましては、理論と実践を交えた教育プログラムを提供することで、ナショナルレベルのアスリートを指導できるコーチを育成する取組を実施します。特にこれまで実施できていなかったパラ競技についても新たにコーチ育成プログラムを実施することとしております。
 次に、より本事業の効果を高めるための取組についてでございます。11ページを御覧ください。ただいま申し上げました事業を進めていく上で留意すべきこととしまして、例えば本事業のプログラムによりスキルを身につけた女性コーチを育成したとしても、実際競技団体のコーチとして採用されないといった状況も生じ得ることから、本事業が目標とする成果につながっていかない要因も併せて分析をし、必要な手だてを検討し講じていきたいと考えております。例えば本事業受講者がプログラムを修了してもなお、競技団体におけるナショナルコーチとして登用されない状況が強く生じる場合には、その要因を分析し、競技団体の意識向上に向けた働きかけを広く行っていくことや、ナショナルコーチの登用基準の明確化などの取組を求める措置を講じていきたいと考えております。
 さらに、15ページを御覧いただければと思います。先ほど申し上げた中高生の学校部活動における実態把握につきましては、これまで様々な有識者の方々の指摘や、私どもの学校や地方自治体を対象としたヒアリングを通じての把握にとどまっておりましたけれども、女性生徒や保護者の意識や、指導者の指導上必要となる女性の健康課題に関する知見の保有状況、また、関係機関との連携状況などについて調査を実施することにより、指導現場の実態を把握していきたいと考えております。他方、学校部活動については、学校によってその活動量にも大きな差があることから、より実態を把握するべく、抽出調査に加え、各競技のいわゆる強豪校と言われる学校への別途の調査についても併せて行うことを考えていきたいと思います。こうした取組によりまして、実施する事業の効果を高めていきたいと思っているところでございます。
 私の説明は以上でございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 質疑に入ります前に調査票の1ページに戻っていただきまして、論点を2点ほど記載させていただいてございます。
 1点目は、今後より女性アスリートの支援を充実させていくための取組について、それから、2点目は、事業成果検証のためのアウトカム・アウトプットについては、事業の目的と成果検証できるように適切に設定されているか。事前の御指摘では、特定の取組に対して目標値が低いのではないかといったような御指摘もありましたので、そういった論点を含めまして御議論をお願いしたいと思います。
 それでは、各委員から御発言をどうぞ。亀井委員、まず御発言、それから、堀川委員、続いてお願いいたします。
【亀井委員】  先に失礼します。御説明ありがとうございました。今日3つやっている中では格段にロジックモデルの出来がよかったので、こういう感じで出てくるとうれしいなというのが率直なところです。本当にありがとうございます。これまでの検討を通じていろいろと具体的に、皆さんのお考えとか、何をされようとしているのかというところが、いろいろな資料を通じて具体的に示されるようになったかなと思っています。この間の御努力に本当に敬意を表したいと思います。ありがとうございました。
 その上でなんですけれども、結構今一番大事な話が最後に出てきたんですけれども、15ページの実態調査って、逆に言うと、これはまだあまりできてなかったということなんですか。
【説明者】  国におきます状況の把握については、これまでかちっとした形での調査というのは実施されていないというのが現実でございます。
【亀井委員】  なるほど。これでいつやるんですか。
【説明者】  今年度中なるべく早く調査の設計をし、委託をすることになっておりますので、実施していきたいと思っています。
【亀井委員】  ぜひよろしくお願いします。こういった問題を私が言うのも何なんですが、審議官もいらっしゃるし、川澤さんもいらっしゃる中であれなんですが、大体、周りの男が分かっていないというのが非常に大きな問題のはずなので、この前、農水省でも、実は女性の農業者が経営者になっていくために何が必要なのかみたいなことをちょうどついこの前御議論させていただいたんですけれども、そこでもやっぱり問題になるのは周囲の男性なんですね。この場合だと恐らく指導者のはずで、ややもすると、最近、科学的なスポーツのコーチングみたいなのは多分広がってはきているんだと思うんですけれども、やっぱり自分自身の経験で教えてしまうということは、これ、人間誰しも行ってしまいがちで、多分一番やってはいけない、そもそも身体的なものが違うのに、そういう無理解が多分、女性自身の理解不足もあるかもしれないけれども、いろいろな厳しい状況に置かせているということはあると思いますので、そこに向けた準備というのはしっかりしていただくといいのかなと思いました。
 そう考えますと、ロジックモデルでは、周囲の男性とかそういう指導者向けのところというのはこれ多分マニュアルが重要になるのかもしれませんけれども、ある意味マニュアルってそういうのをちゃんと読んでくれなさそうな気もするし、と考えると周囲の無理解をどういうふうに防御していくのかみたいなところについては、もう一段多分、このロジックモデルに沿った形で、スポーツ庁さんとして何か、調査が出てくる前でもいいんだけれども、結局これ、調査が出てきて、来年の概算要求はこれからもう今から用意しなければいけないわけですよね。
 というふうに考えていくと、率直に言うと、マニュアルで何かできる気がしなくて、そういう無理解な男性が指導者である場合というのは、今どきやっぱり、今、学校周囲、学校の周りがいろいろ変わってきているから随分状況はいいのかもしれないけれども、やっぱりそういう問題があるような気がしていて、そういう仮説に基づいて来年度に向けた事業設計はあらかじめしていく必要があるんじゃないかなとは率直に思ったところですが、こんなところは何か今企画立案をされていますか。
【説明者】  ありがとうございます。現状を申しますと、日本スポーツ協会がスポーツ指導者の公認の資格を有しておりまして、その調査によりますと、例えば中学校であればその資格を有しているのが10%、また、高校レベルだと20%ということになっています。やっぱり資格を取るためには女性の指導に対する課題なんかもプログラムとして入っているんですが、やっぱりそういった資格を有している指導者が少ないということはまさに実態としてあるのかなと思っています。
 こういったマニュアルを策定していく中で、我々がこのマニュアルを提供していって、指導者がおのずとそういったことを理解してくれればいいんですけれども、確かにおっしゃったとおり、やはりもうちょっと違ったアプローチも必要だと思っております。そういったときにやっぱり重要になってくるのは、設置者である都道府県教育委員会とか、例えば学校法人、そういったところへのアプローチも今後しっかりしていく必要があるというふうに思っています。
 今具体的に来年度どういった事業でそこを担保していく仕組みをつくっていくかというのはありませんけれども、今、一つスポーツ庁のほうでは、女性の問題だけではありませんけれども、地域におけるスポーツ医・科学をいかに使った支援をしていくスキームづくりを検討しております。アスリートの育成部分も含めてですけれども、そういったモデル事業なんかも今後検討していきたいと思っているところでございます。
【亀井委員】  当事者である女性にとってはやっぱりそこの、高校1年とか中学校3年とかその1年って、皆さんにとっては1年先送りとかでも変わらないのかもしれませんが、とても大事なことなので、ぜひ。アウトプットからアウトカムに越えていく具体的な策を、やっている風ではなくて、具体的に女子生徒たち、特に中高生を含むジュニアアスリートという、ピラミッドでいくと底辺がしっかり支えられないとトップは生まれてこないわけで、そこはおろそかにせずしっかり進めていただけるようにぜひよろしくお願いします。今のだと申し訳ないけれども、あまり考えているように率直に感じられなかったので、そこはぜひしっかりお願いします。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  調査はこれからするにしても、調査の仮説的なものはあるはずなので、そういった視点で次年度以降のアクションについて御検討いただくという、そんなようなコメントでしょうかね。
【亀井委員】  そのとおりです。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、堀川委員、お願いいたします。
【堀川委員】  堀川です。よろしくお願いします。私も今説明聞いていて、よく考えておられるなというのは感心しました。
 そこで、より効果を高めるという意味での観点から2点。そもそもスポーツ庁の事業を見ると、広く対象を取る事業と、トップアスリートに限定した事業というのが、大きく極端にあるのかなと。それはどうしてだろうと考えたのが、もともとスポーツ団体との関係が強くて、やっぱりスポーツ団体との関係を重視する歴史から始まって、そのときは当然限定されていたと。でも、今は社会のニーズはそれだけではなく、今スポーツ庁に求められているのは、より広い社会への貢献という流れに変わりつつあるのかなと。そういう意味でちょうど意識の変革期なのかなと。
 そういうことでよりスポーツ庁は大きく存在意義が高められるのではないかなという観点で見ますと、やはり女性アスリートの育成・支援プロジェクトも、例えばもともとはトップアスリートに限定していたのを、過去の行政事業レビューで、そうではないだろうと。やっぱり普遍的に女性全体に貢献すべきだと、女性アスリート全体にという話から今回そういう方向に転換され、さらには、その趣旨から一般のジュニアアスリートにも広げた展開をしているんだなと、そこは評価しております。そこをさらに、もう手は打っているかもしれないけれども、どうしても狭くする意識が働く場合もあるかと思って、徹底してジュニアアスリート全体の、中学校も高校も含めて進められるのであれば、やはり初中局とか私学部との連携を深めることでより広く効果的に実施できるのではないかということで御検討いただきたいのが1点です。
 次に、女性エリートコーチ育成プログラムのほうなんですけれども、この内容を見ると、事業レビューの資料を見ますと、海外遠征等に帯同して実際の試合等でコーチングを学ぶこと等、主なものですけれども、大学でいろいろなノウハウを座学で受けるというのが主なものかなと。その経費の内訳を見ると、海外遠征費用というのはこの年度ではあまり大きくはなくて、特別研究員や事務補助員の人件費、また、それに係る管理費等も含めると、それが約半分と。人件費等の固定経費に毎年これだけの国費を投入しているのであれば、これ、長期に実施されていますので、やはり女性コーチ育成の進捗状況や長期的な視点からの知見の蓄積等の成果が求められてもいいのではないかと。
 すなわち、女性エリートコーチ育成に特化した教育機関としての拠点形成事業、ある意味登竜門みたいな組織対応を考えたような事業設計に格上げしてもいいのではないか。長期的な視点でですね。そうすることで、ある意味、女性コーチ育成に国民の税金を投入するのであれば、さらに公平性の観点から、やはりここでもトップアスリートに限定されているという意識から、門戸を大きく広げてよりよい人材が集まりやすいような形にすべきじゃないかと。やっぱり公募するなり、本当にコーチングとして能力の高い人が、仮にトップアスリートでなくてもオリンピックのコーチになれるんだという、これはある意味女性に限定された話ではないのかもしれませんけれども、そういう先駆的な拠点形成事業も取り組んでいただければというのが2点。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  お願いします。
【説明者】  ありがとうございます。座長御指摘いただきました点、1点目につきましては、資料でも11ページの一番下のところで書かせていただいておりますけれども、特にジュニア層、部活動レベルにおける指導をしっかり取り組んでいくためには、やはり設置者である、教育委員会とか学校法人は非常に重要な役割を担いますので、それを所管しております文科省でいえば初中局であり、あと、高等局、そういった部分ともしっかり連携して、設置者からのアプローチも併せてやっていきたいと思っています。
 あと、コーチの育成の部分については、ありがとうございます。非常に重要な御指摘かと思います。現在、トップアスリートを指導するコーチの育成ということで、確かに今、条件として、どうしても人数的に絞らなければいけない部分もありますので、やはりそういったコーチになる見込みがありそうな者ということで、かなりこれまでの競技経験なんかも要件にしているところもありますけれども、他方で必ずしも競技経験だけではなくて、様々な機関での学びとか、様々な経験も考慮した上での選定となっているところでございますので、その辺についてはさらに改善の余地があるのかなと思っております。
 コーチ育成の拠点をどうしていくかということについては、我々できれば、こういったマニュアルが策定できれば、例えばJOCとかJPCとかスポーツ団体の統括団体もコーチ育成といった取組をされていますので、そういったところに移管をしていくといったこともあり得るのかなと思っておりますが、まずはこのプログラムをある程度確定させて、そういったものが汎用的に使えるような形を目指して取組を進めていきたいと思っております。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  よろしいでしょうか。それでは、水田委員、川澤委員、そして、伊藤委員の順で御発言をお願いします。水田委員、どうぞ。
【水田委員】  水田です。御説明どうもありがとうございました。私からは簡単な質問を幾つかさせていただきたいと思います。
 まず御説明の中で、終了年次について、マニュアルの完成とともに終了というふうに先ほどおっしゃられたんですが、これはジュニアアスリートに対する競技別・年代別のマニュアルが出来た段階で終了して、ほかのエリートコーチの養成とか、あるいはサポートの部分、これも同時にマニュアルが出来た段階で終了してしまうと、そういうことなのかどうなのか確認だけさせていただきたいというのが1点目です。
 2点目なんですけれども、エリートコーチの育成プログラムで、17ページから18ページの資料を拝見したんですけれども、確かに女性の割合が高い国もあることはあるんですが、現状、オリンピックのコーチに占める女性の割合が、日本がほかの国に比べてすごく劣っているという感じがちょっと見えないんですね。目標値が低いという御意見もあったようなんですけれども、世界的に見てみると標準的な水準にはあるのかなとは思ったんですが、そこのコーチの女性の割合が足りないというふうに判断されたー理由についてもう一度お話をいただければと思います。
 それから、それに関連してなんですけれども、グラフの中でAccredited Coachesと書いてありますよね。オリンピックのコーチは何か認証制度があるんですか。この女性のエリートコーチというのは、認証コーチを育てるということを目指されているのか、これをちょっと確認させていただきたいと思いました。
 すみません、最後にあと1点だけ。12ページなんですけれども、支援人数を御報告いただいているんですが、外から見ただけで判断してはいけないとは思うんですけれども、もしこれが支援した女性アスリートの人数ということでしたら、ちょっと少ないように感じたんですけれども、そういうわけではないという何か根拠がありましたら教えていただきたいと思います。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  では、説明者、お願いします。
【説明者】  ありがとうございました。終了年度につきましては、私、冒頭申し上げましたけれども、この事業はまさに幾つかの事業で構成されているものですので、必ずしも先ほど私が申し上げた、マニュアルが出来たから全てが終了するということではありません。例えばマニュアルの策定については、マニュアルの策定がある程度、示しています6類型ぐらいの競技で策定されれば、それについてはもう事業は終了ということになると思いますし、先ほど申し上げた女性エリートコーチ育成プログラムも、プログラムが完成して、それを例えばどこかの団体において実施できるような流れになれば、それについてプログラムを終了するということなので、マニュアルが出来たからといって全ての事業が終了するということではございません。
 もう一つ、エリートコーチの割合ですけれども、確かにIOCとか、また、先進のイギリスなどの数字を見てみますと、日本とそう大して変わりがございませんけれども、決して各国もこれで満足しているということではなく、各国の取組事例なんかも書かせていただきましたけれども、オーストラリアやイギリスでもさらなる女性コーチの増加に向けて取り組んでいるということもございます。我々が30%等を設定させていただきましたのは、これは必ずしも女性エリートコーチの割合として正しいかどうかというのは分かりませんけれども、我が国全体で指導者層における女性の割合を30%にするという政府全体の目標がございますので、それに合わせた形での目標ということにさせていただいているところでございます。
 オリンピックコーチのアクレディテーションにつきましては、これは恐らく何かかちっとした資格というよりは、日本代表のコーチということになれば、それぞれの競技団体が採用されれば、そのままオリンピックに出るコーチということになるかと思っております。
 続いて、12ページの支援人数ですけれども、これはどうしても直接的にトップアスリートを個別に支援する、様々なトレーニングの場所に行って指導したり、通常やり取りしたりということでございますので、これは実際、日本スポーツ振興センターがこの事業を実施しておりますけれども、どうしてもマンパワー的な限界もございますので、こういった人数になっているところでございます。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  よろしいでしょうか。
【水田委員】  ありがとうございました。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、川澤委員、お願いいたします。
【川澤委員】  ありがとうございました。資料の11ページの部分でボトルネックになり得る要因への対処ということで、先ほどマニュアルだけで足りるかといったようなお話もあったかと思います。私も、マニュアルを読んで自ら指導者が行動変容をしてくれるのであればそれが望ましいんだけど、なかなかそれは期待できないのではないかな、一部期待できないのではないかなというような気もしております。
 その場合に、教育委員会などの設置者からのアプローチに加えて、やはりマニュアルの存在自体を生徒や保護者や地域に広く周知をして、やはり配慮のない指導がいかに指導者側の認識不足かという雰囲気を醸成することも一つ重要かなと思っています。その辺りのアプローチは、恐らく設置者からだけではなくて、もう本当に広く周知するということも必要だと思うんですが、その辺りいかがでしょうか。
【説明者】  今回の事業の中に入れております女性アスリートの支援情報プラットフォームを今年度作ろうと思っています。そこにはあらゆる女性アスリート支援に関する情報を、様々なこれまでの成果をプラットフォームに掲載していくということになろうかと思います。先ほど私が申し上げた例えばマニュアルとか様々な実態も含めてこういったところで情報発信をしながら、そういったことをやっぱり生徒、保護者に直接届くような形で情報提供、また、発信をしていきたいと思っています。
【川澤委員】  ありがとうございます。少しウェブで検索しますと、トップアスリートについてどういう指導があったかとかそういうことはインタビュー形式で載っているところもあるんですけれども、やはりいわゆるジュニア層全般について、部活動の指導者がどうだったかというところはなかなか情報として出てこないなという印象を持ちまして、その辺りはぜひ事例の蓄積とプラットフォームでの発表という形でお願いできればと思いました。
 もう1点が、中高生を含むジュニアアスリートへの支援のボトルネックのところに、ここも情報提供に関する認知度を把握して、その結果を設置者に周知するというふうにあるかと思います。今回の調査には、生徒側への調査、保護者への調査も含まれていると思います。
 やはり生徒が競技の際に困難に感じている点と指導者側の認識ギャップみたいなところの比較分析が重要ではないかと思っています。恐らく指導者側としてはきちんと認知をして対処したと思っても、それを受け取った女子生徒側から見ると、いや、実は全然配慮とは違う方向に行っていたとか、配慮したというふうに感じなかったということは往々にしてあるんだと思うんです。
 それはいわゆる職場の産前産後の女性社員の上司からの声がけみたいなところでもいろいろな事例があると思っていまして、やはりマニュアルを読んだということだけではなくて、どういうふうに声がけをしたのかとかもう一歩踏み込んで実際に把握をして、そのギャップについての分析みたいのを進めていただきたいなと思いました。その辺りいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。まさにそのとおりだと思っています。今回の調査で生徒・保護者の声、認識も聞きたいと思いますし、指導者の認識もしっかり聞いて、さらにそれが指導に反映されているかということについても調査項目の中に入れて把握をしていきたい。また、そこのギャップについても、設置者を通じて、これは抽出になりますけれども、こういった状況が生じているので、再度チェックをしてもらうといったようなことも含めてお願いをしていきたいと思っています。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 各委員の皆様におかれましては、調査票への記入と、それから、コメントの記入が終わりましたコメント票の提出のほうを並行してお願いいたします。
 それでは、伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  よろしくお願いします。この事業のロジックモデルの現状があって、この課題を解決するために今ずっと議論されているようなトップアスリートへの支援、エリートコーチの育成というのがあると理解しているんですが、女性アスリートの中での、エネルギー不足、無月経、骨粗しょう症というような、こういった状態が起きている要因として、例えばいろいろしゃべっている中で、やっぱり健康面を少し優先順位を落として、競技に勝つという意味で、そこを超えて頑張ってしまうという状況がこれまであったというふうに認識をしています。
 何を言っているかというと、例えばトップアスリートであっても健康面をしっかり考えた上で競技をすることが結果的に競技生活の中での成功があるんだというようなエビデンスがより明確になると、これはトップアスリートのことに限らず、その下にあるジュニアアスリートに対しても子供のときからこういうことはしっかりと気に留めておいたほうが、実は自分が活躍をしたい競技ができるんだというふうに思ってもらえるんだろうなと。その論文がないかなと思ってずっと探していたんですが、なかなか見当たらなくてですね。そこが明確になると、よりこの事業でやらなければいけないということの説得力が増すのかなと思ったんですが、この辺は何か出ているものなんでしょうか。
【説明者】  今、伊藤委員がおっしゃっていたものにぴたっとくる論文があるかというと、すみません、正直、私もあれですけれども、これまで様々な研究を我々もお金をつけてやってきましたし、例えば東大病院の婦人科の先生がしっかりそういった部分のことをJSCと連携をしながらこれまで調査をしていただいて、それなりのトレーニングの効果と女性アスリートの健康の課題との関連なんかも分析しているものがあると思いますが、すみません、これを見ていただければ、伊藤先生に十分御納得いただけるって、今すぐにはお示できませんけれども、我々も調べてみて、もしあれでしたら御提供させていただきたいと思います。
【伊藤委員】  トップアスリートの中でいけば、そういう認識が世界的にもあるというふうにも感じるんですが、子供たちの世界でやっぱりここで言うと都大会を目指す、全国大会を目指すタイミングでちょっと体調の変化、生理が来そうだとかいったときに、やっぱり頑張ってしまうという傾向があるなと思います。すみません、私は自分の子供を含めて実感があって、そこがまさに、いやいや、そこで今頑張らないほうが、実は競技において、スポーツ生活においてもいいんだというようなエビデンスがすごい分かりやすく出てくると変わってくるし、それが多分この事業で目指すところにもつながるのかなと思いました。最後はコメントです。コメントとして申し上げます。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 小林委員が挙手されておられませんが、よろしいですか。どうぞ。
【小林委員】  すみません、成長期の女性の調査の件なんですけれども、調査をやるときの一つ留意すべき点として中立性という問題があって、ここでこのように答えたことが後々自分にどう降りかかってくるかみたいなことを意識させないような設計が本来求められるところではあるんですね。そうしたときに、さっきの実態をあぶり出してというか、何か問題がないかということを調査の上で明らかにして、実際何か問題が出てくれば、それを今度フィードバックしてもっと注意してもらうみたいなことというのが、ある程度のレベルまではいいかと思うんですけれども、本当に問題になるようなことをそれで抽出できるのかというところが少し気になるところがあるんですけれども、その点いかがでしょうか。
【説明者】  調査については抽出でやりますので、フィードバックの仕方としてどういう、個人名とか個別の学校をどこまで、基本的には伏せた形でフィードバックをしていくことになるんだろうと思っておりますけれども、調査によって実態がなるべくあぶり出されるような仕組みづくりというのは、この調査を設計していく上で十分留意して取り組みたいと思っています。
【小林委員】  では、この学校でこういう問題が起きているみたいなことを明らかにするようなことはもともと考えていないということでしょうか。
【説明者】  はい。全数調査とまでは考えておりませんで、抽出調査でやって、我が国の中学校・高校、公立・私立を含めて、そういった形で傾向を把握して、それをフィードバックすることで、各設置者で点検をしていただくと、そういう仕組みにつながるような調査を考えているところです。
【小林委員】  全数調査かどうかじゃなくて、抽出するわけですけれども、抽出したときに、個別の学校でどういう問題が起きているかということが一応分かるわけですよね。分かるというか、本当に正しく回答してくれればですけれども、分かるわけですが、そこで問題になっているようなことが分かったとしても、その学校に直接フィードバックはしないということになりますでしょうか。
【説明者】  今そこまで厳密に考えているわけではありませんけれども、今の考えている中では、そこまでやるかどうかというのはまだ検討をこれからしなければいけないところかもしれません。
【小林委員】  分かりました。先ほどの亀井委員の話でも、今まさにやっている例えば中学生・高校生のことを考えると、本来急がれるべき話ではあるわけですけれども、それを直接、今問題になっていることを明らかにしていくためには踏み込んだ調査が必要ではないかと思う反面、それがそのような調査でうまくいくかどうかなというところで少し疑問があったので、ちょっとお話しさせていただいたんですけれども、その一歩手前というか、そういうような調査にとどまらざるを得ないだろうということでしょうかね。
【説明者】  そうですね。これまでの文科省も含めて教育の部分での調査のやり方も参考にしながらだと思いますけれども、今現状で考えているのは、やはり全体、県ぐらいであればある程度明らかになるかもしれませんけれども、こういう実態にあるということで、個別の学校、個別の指導者、個別の生徒の個別の問題までここで解明して、それをフィードバックするというよりは、実態、状況をまず把握してそれをフィードバックすることで、各設置者なり各学校が、その状況を含めて、自分の学校はどうなんだろうかという点検をしていただくと。そこの具体的な取組については、まさにそこは設置者であり、また、学校の先生だったり生徒も含めた形での取組になるかと思っています。
【小林委員】  分かりました。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それで、各委員から一通り御質問は終わってございますけれども、コメントシートのほうの御提出をそろそろお願いをいたします。取りまとめる時間もありますので、御提出のほうをお願いいたします。
 それでは、亀井委員、どうぞ御発言ください。
【亀井委員】  ありがとうございます。私はもうコメントシートを出してしまっているのであれですけれども、今の小林先生の話は結構大事なところで、大枠は個別のところのフィードバックまで突っ込んでやらないということだと思うんですが、これ、先ほど審議官がおっしゃってくださったとおり、要は、仮説を持って臨むというのは結構大事で、これはさっきは事業に対して仮説を持って臨むと申し上げたんですが、調査についても仮説を持って臨んだほうがよくて、別に、ごめんなさい、だから、特定の悪者を想定して何か仮説をつくってくださいというよりは、やっぱり当事者が知らないということは何となく分かりそうな気はするんだけれども、さらには、さっき伊藤さんがおっしゃったような、例えば女子生徒自身が無理してしまうところに実は止めてくれる人がいないとか、そういう周囲との関係性において問題が生じている可能性は私は結構あるような気がしていて、これは、すみません、私自身はこの問題は多分ど素人なんですけれども、ただ、幾つか考えていけば、ロジカルにどういう状況が起きているのかということが、やっぱり仮説があってきちんと設問設計がされるということがとても大事だと思うので。
 今の15ページのところの実態調査の調査項目例を見ていると、そこがやや踏み込み不足になるような気がする。別に、ごめんなさい、先ほど小林先生がおっしゃったような、個別のところの問題を発見するということよりは、傾向を見たいというディレクションでいいんだと思うんですけれども、やっぱり何が問題で、どこにどんなアプローチをしなければいけないのか、今までマニュアルでとどまったけれども、もう一段、先ほど川澤さんがおっしゃったような取組をする必要があるのかとか、例えばそういったようなことも含めて、そういった根拠になるような調査をしっかりやっていただきたいなと思っているんですが、ここら辺の調査の設計のところで今考えているところ、大体今私が申し上げたような理解でいいのか、それともそこら辺はまだまだ調査設計が出来てないのか、そこはいかがでしょうかね。
【説明者】  ありがとうございます。これは民間の調査だったりしますけれども、まさに女子生徒が指導者に相談できない理由、まさに今、亀井委員おっしゃっていただいたとおりかもしれませんけれども、例えばサボっていると思われたくないとか、言っても理解してくれない、また、監督が男性で言いにくい、また、レギュラーから外されるかもしれない、個人的な問題で自分で解決しなければいけないというふうに思ったみたいなことも個別の調査では出てきている部分もございます。やはり我々としては、指導において、まず生徒と保護者にまず部活動に入った瞬間にこういったことを理解していただいて、しっかり連携をしていくということは重要であると思っています。そういった幾つかの実態の想定をしながら、質問項目も含めて調査設計をしていくということでやっていければと思っています。
【亀井委員】  問題を抱えがちな当事者が孤立してしまいがちだというのが多分この問題の特徴のような気はしていて、そういった意味ではそこに今のお話ですとそれなりに配慮はされているのかなとは思うんですけれども、ぜひそういった観点で。
 となると、やっぱり最初の質問とコメントのところに戻るんですけれども、具体的な事業は今のまんまじゃないですよねという話には多分なるはずで、それも含めて、その先のところまで準備をする、調査もきちんとそういったところを裏づけることができるというような形で準備されていくと、来年度の事業をつくっていくに当たってもとても価値あるものになると思いますので、そこはしっかりお願いできればなと思います。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  調査票は今もう最終的に届こうとしているところですので、評価の取りまとめ等が出来次第、評価のほうに移りたいと思いますが、それまでの間、どうぞ。伊藤委員、御発言ください。
【伊藤委員】  1点は、今、亀井さんがおっしゃられたところで、それは先ほど申し上げたこととつながるんですが、やっぱり特に子供のタイミングって隠すというほうに行きがちで、これ、例えばですけれども、やっぱり大会がある数日前に生理が来たときに、実は当然そのとき体調が悪いんだけれども、言わずに、大丈夫だ、大丈夫だというふうにして、それは先ほど申し上げたように、目先の競技を優先するということが往々にしてあるんだなと思っていて、そのときに何か、いや、そこは実は休んだほうがパフォーマンスが上がるというエビデンスがあったら、子供たちもそこを納得して、あ、休んだほうがいいんだと。まさにそれは先生も、教える側も一緒だと思うんですが、というようなものが見えてくると、まさに健康面と競技面の両立というのはできるのかなということを、すみません、実体験も含めて感じました。
 すみません、もう一つ、これ、確認なんですけれども、エリートコーチの育成と……。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  落ちてしまった。伊藤委員、聞こえますか。
【伊藤委員】  今、こちら聞こえているんですけれども、つながってないですか。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  エリートコーチの辺りからちょっと落ちていました。
【伊藤委員】  すみません。エリートコーチの育成プログラムは、これはトップアスリートだった女性のキャリア形成というほうが強いんですかね。それとも、要は、トップアスリートになっていなかったとしても、女性のコーチ育成をするという視点のほうが強いんですか。
【説明者】  結論から申し上げると、代表レベルのトップアスリートを指導するレベルのコーチにまず女性が少ないということがあり、そこには阻害要因がありますので、その阻害要因を取り除いていくと。それで、女性が活躍できるような場をしっかりと確保していくという趣旨で考えているところでございます。ですので、当然ながら競技経験も重要な要素になってまいりますけれども、様々な海外での経験とか、これまでの知見の蓄積とか、そういったことも十分考慮しながら、いかにナショナルレベルのコーチとして活躍ができるかということで事業を進めていきたいと思います。
【伊藤委員】  私もその認識だったんですが、17ページがどちらかというと、トップアスリートの競技引退後のキャリアプランのことが現状と課題のところに書かれていたので、それは幾つかある中の一つの視点だというふうに捉えてよろしいですか。分かりました。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、川澤委員、どうぞ御発言ください。
【川澤委員】  すみません、今、亀井さんと伊藤さんからそれぞれ、隠すとか、やっぱり孤立した問題になりがちだというお話があったかと思うんです。私もそういうふうに、やっぱり言いにくい雰囲気というのが、少なくとも自分自身が中高の運動部にいた頃はそうだったと思うんです。ただ、今、やはり学校全体として性教育とかを含めてどういうふうにするかとか、オープンに話ができるかという、そういう雰囲気の学校とそうでない学校でまた多分違ってくるんだと思うんです。ですので、この調査の際に、やはり学校全体として、運動部におけるということだけではなくて、教育においてそういったことをきちんと伝えているかとかその辺りも背景にやっぱり効いてくるんじゃないかなという気がするんです。
 ですので、調査の際には、ちょっと聞き方は難しいと思うんですけれども、うまくその辺もあぶり出せると、結果の分析がしやすいのではないかなと思いました。ただ、結果が出たときに、じゃ、それにどう対応するのかというのは、恐らくスポーツ庁さんだけの話ではなくて、文科省全体として考えることではあると思うんですけれども、恐らくその辺りにも要因が潜んでいるんじゃないかなと、すみません、単に仮説なんですけれども、思いましたので、御参考までに。
 以上です。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  よろしいですか。調査の設計をするときに、どうするとそういうことが浮かび出てくるかということの一つの指標に対する御意見だと思いますので、御検討ください。
 評価結果は、今取りまとまっておりまして、あとはコメントの取りまとめが出来次第、委員長からの御発表をお願いいたしますので、あと少しお待ちください。時間的には少し余裕がございますので、少しお待ちください。
 それでは、評価コメントが取りまとまりましたので、委員長の堀川委員から御説明をお願いいたします。
【堀川委員】  まず初めに、各委員の評価の分布状況です。事業内容の一部改善が5票、現状どおりが1票となりました。
 その主なコメントを紹介します。国民の税金を投入するものであれば、公平性の観点から、対象については限定するのではなく、門戸を大きく広げて人材発掘をする必要がある。
 今回の一連のプロセスを通じてロジックモデル等が改善され、事業が目指す目的達成のための経路や担当課の考えをよく理解することができた。今後も引き続きこういった形で、効果を発揮することができる精度の高い政策立案、評価を進められたい。
 また、当事者である女性だけでなく、男性を含む指導者や周囲へのアプローチはマニュアルのみであり、施策としては不十分。
 ジュニアスポーツにおいては健康面よりも目先の競技を優先させる傾向があると考えるが、健康面の配慮が技術面にもプラスになるようエビデンスがあると、この事業の有効性がさらに見えてくる。
 29年度の公開プロセス後、女性アスリート強化プログラムを別事業に移管したことにより、事業範囲が整理され、目的が明確になった。
 調査の際に、何らかの仮説の検証につながるような設計を考えていくべき。
 中高生を含むジュニアアスリート等への支援について、仮にマニュアルが整備されたとしても、指導者の行動変容まで担保されるかは不透明である。女性アスリート支援情報プラットフォームには、トップアスリートから中高生を含むジュニアアスリートまで幅広い取組事例を紹介してほしいということです。
 これで最終的な評価としては、5票となりました事業内容の一部改善とし、その取りまとめコメントとしては大きく4つの柱でまとめたいと存じます。
 まず、事業の設計に関するもので、女性コーチに特化した事業については、公募をするなどして様々な経歴を持った人材の発掘も可能なシステムを兼ねることが1つ目。
 2つ目は、非常にこの事業を評価する意見が出ていまして、基本的に評価する前提で、さらに有効に事業が執行できるという観点から複数の委員から出ています。そういう意味では評価する意見としては、引き続きこうした形でより効果を発揮できる、精度の高い政策立案、評価を進められたい。その上でさらにということで、調査を速やかに実施し、実態把握を進めるとともに、特に指導者へのアプローチを含む次年度の事業については、現時点の仮説を構築し、アウトプットからアウトカムに至るボトルネックを突破できる具体的な追加施策を遅滞なく展開できるよう周到に準備されたい。
 また、ジュニアスポーツにおいては、どうしても目先の競技を優先される傾向があることから、健康面への配慮が競技面にもプラスになるようなエビデンスがあるとこの事業の有効性がさらに見えてくる。さらに、課題解決型実践プログラムにおいて確実な実態把握を行い、ジュニアアスリートの課題解決に向けたマニュアル作成と有効活用、プログラムの策定と効果的な実施が必要と、これが2つ目の柱。
 3つ目の柱は、調査に関するものです。これも多岐に御意見が出たと承知しておりますが、調査の際には何らかの仮説の検証につながるような設計を考えていくべきと。
 最後に、4つ目の柱は、事業の執行及びその方向性に関するものとして、指導者と生徒、保護者といった多方面からの認識を把握し、ギャップを分析する必要がある。また、女性アスリート支援情報プラットフォームには、トップアスリートから中高生を含むジュニアアスリートまで幅広い取組事例を紹介する必要があると。
 以上、4つの柱で取りまとめたいと存じますが、いかがでしょうか。よろしければ挙手をお願いいたします。いいでしょうか。ありがとうございます。
【渡辺サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。以上をもちまして、「女性アスリートの育成・支援プロジェクト」の公開プロセスを終了いたします。
 事務局のほうでコメントを取りまとめるときに、今のコメントのところだけ書いてしまうと、ポジティブなのか、ネガティブなのか、ほかのところで分かりにくくなるので、少し御配慮いただきながら分かるように記載をお願いします。
 それでは、ほかに御発言はよろしゅうございますか。
 それでは、これにて文部科学省の公開プロセスを終了いたします。外部有識者の皆様におかれましては、2日間にわたる検証作業の中、長時間にわたりまして、非常に熱心に貴重な御意見を賜りまして、心より感謝申し上げます。
 また、インターネットで視聴された皆様にも、検証作業に御参加いただきましたことをお礼申し上げます。
 これにて、公開プロセスを終了いたします。本日はどうもありがとうございました。
 

―― 了 ――

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