令和3年度行政事業レビュー「公開プロセス」 2日目 議事録(6月29日(火曜日))

【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、お時間となりましたので、ただいまより文部科学省公開プロセスを開会させていただきます。
 私、進行役を務めます、文部科学省サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官の行松です。よろしくお願いいたします。
 外部有識者の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席をいただき、誠にありがとうございます。本日は6名の委員に御参加をいただいております。時間の関係もありますので、大変恐縮ですが、ホームページにてお名前を公表しておりますので、それをもって御紹介に代えさせていただきます。
 オンライン会議の開催に当たってお願いがございます。御発言のとき以外はマイクをミュートにしてください。本日は長時間にわたる議論になります。よろしくお願いいたします。
 また、インターネットで視聴される皆様におかれましても、よろしくお願いをいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。これからの時間は、学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業について、御議論をお願いしたいと存じます。この時間の取りまとめ役は、有川博委員に務めていただきますので、よろしくお願いいたします。
 初めに、事業担当部局より事業概要の説明をさせていただきます。説明者は、5分以内、時間厳守で簡潔に説明をお願いいたします。
それではお願いします。
【説明者】   文部科学省総合教育政策局の石塚でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 まず、資料の2ページでございます。こちらは、学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業でございますが、上部のほうにあります事業の目的の御説明ですけれども、平成26年の障害者権利条約の批准等を踏まえまして、学校を卒業した後の障害者が社会で自立して生きるために必要となる力を開発していくと。それによって、共生社会の実現に向けた取組を推進するということを目的としております。
 その下の事業の概要でございます。学校卒業後の障害者につきまして、学校から社会への移行期ですとか、各ステージにおける効果的な学習についての生涯学習プログラム、実施体制等に関する研究開発を平成30年から令和2年度まで行っております。また、都道府県を中心とする地域における持続可能な学びの支援に関する実践研究、こちらも令和2年度から3年間の予定で実施中というところでございます。また、障害者に関する調査研究の取組や、これらの成果を普及するためのフォーラム等の事業を行っているものでございます。
 続きまして、少し先に行きまして、8ページです。こちらのロジックモデルの御説明になります。
 まず、現状分析と課題の整理というところでございます。現状分析につきまして、左上のほうからございますが、障害者本人等に行ったアンケート調査を見ますと、エビデンス①にありますとおり、生涯学習の機会がある、学ぼうとする障害者への社会の理解がある、そういった回答が3割程度というふうに低い状況でございます。また、2ポツ目にありますけれども、特別支援学校高等部を卒業した後の進学率というのはやはり2%と非常に低いということ、あと、約9割の卒業生が就職ですとか障害福祉サービスの利用となっているという現状がございます。
 これを踏まえた課題の整理と課題解決に向けた対応策というところでございますが、3つ挙げております。まず、やはり大学入学選抜等によって進学が困難な障害者が多い、そういった方が学び続けることができる学習機会が不足しているというところ。あと、2番目が、社会教育施設の典型であります公民館などを調査しますと、右上グラフになりますけれども、障害者の生涯学習についての経験が14.5%と非常に低いということがございます。地方公共団体のノウハウですとか実施体制の不足があると。あと、3ポツ目ですけれども、平成30年度から委託事業で事業を行っていますけれども、民間団体の取組を見ますと、やはり予算等の不足などの持続性等の課題があるというものでございます。
 ですので、対応として、地方公共団体や民間団体と連携して、学習プログラム等のモデル開発を行って、横に展開していく、そういう取組が必要と考えております。
 次の9ページ、ロジックモデルの具体的な施策のところです。
 インプットにおきましては、多様な主体の取組ですとか、学習プログラムの開発をモデル事業として推進していくという予算を約1億円強入れております。
 アクティビティのところですけれども、平成30年からはNPO等の学習プログラムの開発の支援、そして令和2年度からは都道府県における体制整備のモデルですとか、今年度からは市町村単位としたモデルの開発というところも掲げております。
アウトプット、右上のところですけれども、具体的な数字としましては、民間団体への支援が直近ですと16か所、都道府県単位の体制整備としては令和2年度が4か所、市町村単位では、今年度予定しておりますけど、25か所程度予定しています。あと、ブロック別の啓発ということで、コンファレンス開催を8か所予定しているというところでございます。
 また、令和5年度のアウトカムとしては、市町村の取組を行っているところを50か所ですとか、都道府県単位を8か所、あと、障害者の生涯学習に関する目標を計画等に定めている自治体を増やす、そういったものを掲げております。また、右のほうには、公民館等で実施している割合を高める、あるいはICTを活用したプログラムの増加というところを掲げております。
 また、令和7年度も引き続きまして記載しておりますけれども、特に障害者本人の生涯学習の機会があると感じる割合を高めるですとか、大学での取組、コーディネーターをする人材が重要と考えておりますので、その増加ということを考えております。
 長期アウトカムとしては、最終的には、まだ委託事業で行ってモデル事業として行っていますけれども、自治体の自主的な事業として、それを国が支援するような補助事業の仕組みということを目指しているところでございます。
 私からの御説明は以上でございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、私から、論点について説明をさせていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
 1点目といたしましては、生涯学習の場を一層拡充させていくための現行の資源を有効に活用するなど取組を加速させる方策や出口戦略を含めた今後の取組という点、2点目としまして、成果を持続的に定着・拡大させていくための今後の取組という点、3点目として、適切なアウトカム・アウトプット指標の設定という点が論点等となるのではないかと考えます。
 外部有識者の皆様におかれましては、事業担当課への質問を通じて、無駄の削減のみならず、より効果の高い事業に見直すとの観点から御議論をお願いいたします。また、質疑等と並行して、適宜、コメントシートへの記入をお願いいたします。
 それでは、発言を御希望される方は直接手を挙げていただき、私から順に指名をさせていただきます。指名を待ってから、その都度ミュートを解除して御発言をいただければと思います。御発言の際は、初めにお名前をおっしゃっていただき、いつも以上にはっきり、ゆっくり御発言いただければと思います。また、説明者は、外部有識者からの御質問に対して、簡潔、明瞭に回答願います。
 それでは、御質問をお願いいたします。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】   御説明ありがとうございました。また、この間、いろいろと丁寧に資料を出していただいて、ありがとうございます。
 まず、そもそもとして、後ろのほうの資料も含めて、それぞれ個別に行われている事例はとても充実したものになっていて、かつ、政策としても、ようやくこういったものに取り組むようになったのかなというようなところもあって、大きな流れとしては、これはこれでいいんだと思うんですが、今日の論点で大事なところは、じゃあ、これをいかに加速し、広げていくのかというところじゃないかなというふうに感じています。その中で一つ、何か一番のボトルネックになっているのは、今、民間事業主体で、民間の様々なやる気のある方々が出てきてくださって、そこのモデル事業化をしているというのはよく分かったんですけれども、本来担うべき、各地域にある種公平にある公民館だとか、いわゆる社会教育施設が機能していないんじゃないかというところが仮説としてあるのかなというふうに思います。
 その中で、ロジックモデル①の資料の中に、「公民館等が障害者の学習活動の支援に関わった経験の有無」という形で、15%弱、14%しか「ある」がないというのはよく分かったんですが、そもそもなんですけれども、この人たちが障害を伴った人に対して生涯教育を提供しなければならないという意識があるかどうかということについては聞かれていますでしょうか。この点について教えてください。
【説明者】   亀井委員、御質問どうもありがとうございます。公民館が障害者の学習活動の支援に関わった経験の有無と併せて、意識について聞いているかという御質問でございますが、この点について、アンケートでは聞けていないという状況でございます。ただ、公民館の職員の方にいろいろヒアリングなどをしてきたところ、障害のある方への支援として、どんなことをやっていいか分からないというようなお声をたくさん頂戴しております。あるいは、障害のある方の支援というのは障害福祉が担うものであって、社会教育や生涯学習は今まで支援を考えたことがなかったというような率直なお声もいただいております。それぐらい障害のある方と地域で出会うような場がつくれていないというのが今の現状なのかなと認識をしておりまして、その取組をやはり広げていく必要性が今まさに求められているというふうに考えております。
【亀井委員】   ありがとうございます。1つちょっと分からないのは、通知を出されたわけですよね、これからこういうことを文部科学省としてしっかりやっていくよという形の。この通知は、それぞれ基礎自治体のどういった部局向けに出されたものなんでしょうか。あるいは、市町村はどういうふうな部局の話として受け止めたんですか。
【説明者】   ありがとうございます。文部科学省では、この障害者の生涯学習の施策を始めた平成29年度に、障害者学習支援窓口を各地方公共団体に定めてくださいというようなお願いをさせていただいております。その窓口が、既存の教育委員会の社会教育・生涯学習の部局である自治体もあれば、あるいは特別支援教育を担当する自治体もあれば、あるいは障害福祉を担当する自治体もあるという形で、実は少しばらけてしまっている状態です。そこに対して、文部科学省としては、障害者の生涯学習の推進に向けた通知ですとか連絡等を今も行っているという状況でして、それはなるべく役所の庁内で共有をしてくださいというようなお願いはしているところでございます。
【亀井委員】   ばらけているのは、自治体の判断、まさに自治ですから、それはそれでやむを得ないんだと思うんですが、中で共有してくださいという指示も多分正しいんだと思うんですが、例えば、事務局がどういうふうなところに設置されたところがより進んでいて、どういうところは進んでいないみたいな分析というのは、皆さんされているんでしょうか。
【説明者】   具体的な分析というのはまだこれからという状況ではございます。私の事業を担当する実感レベルで申し上げますと、やはり障害福祉がきちんとこのテーマに取り組むんだというふうに認識していらっしゃるところは、既存のリソースをお持ちだったり、ネットワークがあったりしますので、そうしたところは具体的な取組というのがやや進んでいるというふうに見ております。逆に、社会教育・生涯学習の部署はまだこれからなのかなというふうに認識をしております。
【亀井委員】   ちょっとそういった分析も含めて、どうもモデル事業で事業が初めにありきで、今回の分析を通じてかなり実際に具体的な課題とかについても見えてきたところについてもお示しはいただいているんですけれども、自治体に下りたときに、それはうまくいくところはうまくいくでしょうという話なんですけれども、何かうまくいかない原因だとかがまだしっかり分析できていないのかなというような感じがしています。特に、経験の有無のところは、これはこれで把握は必要なんですけれども、そもそもそういったことをしなければならないという。そういうのがある種、例えば障害を伴っていたとしても、生涯学習を受ける権利というのは現にあるわけですから、あるいは様々な社会との接点という意味でより重要になってくるわけでありますので、そもそもそういう認識にあるんだということについて、しっかり把握していくことも大事ですし、逆に言えば、それをしっかり繰り返していくことがまず大事なのかなというふうに思いました。
 というのは、まず国がそういう方向になっているんだということを自治体が承知していないで、単に通知として受け止めて、窓口を設置しました、以上で終わっている可能性はあって、うちは補助金ももらう状況じゃないなと言って、後を追えばいいやというような状況になっている可能性はあって、そもそもこういうものが均質に必要であるということの認識が足りない可能性は多々あって、そこをしっかり分析し、そこをロジックモデルにしっかり書き込まれるような形で、かつ、戦略として取り組まれていくのも大切なことなんじゃないかなというふうに思います。
 そもそも、これが何か5年、7年、10年という形であるんですけれども、初期アウトカムって、もうちょっと手前で出てきてもいいもののような気がしますし、やや時間軸に置いてはみたものの、因果関係も見えない中で、皆さんがどういうふうな戦略があるのかというのがまだちょっと見えにくいのかなというふうに感じているところです。これはコメントですので、もし何かあればお返しいただければと思います。
 私からは取りあえず以上です。
【説明者】   亀井委員、御指摘どうもありがとうございます。この間、委員の皆様と今回いろいろやり取りを事前にもさせていただいて、我々もどうしたらこの事業が加速化できるのかということについてはいろいろと議論をしてまいりました。おっしゃるとおり、やはり一番重要な施策というのは、地方公共団体にこの取組を御理解いただくこと、そして、その取組を実行に移していただくことだというふうに思っておりますが、これはやはり少し時間がかかってしまいそうだというような認識を持っております。それでもやらなきゃいけないとは思うんですが、時間はかかると。加速をさせるためにどうしたらいいかということを考えたときに、より広い主体を育成して推進していく必要があるんじゃないかというふうに考えてまいりました。
 その意味では、大学、専門学校といった機関に、いわゆる正規の教育課程の学生としての受入れではなくて、生涯学習のプログラムを場として提供していただくというようなことも併せて推進していくことがあり得るのではないかというふうに考えております。現に、全国の大学の中でも、公開講座ですとか、オープンカレッジという形で、知的障害者に学びの場を提供しているような事例も出てきているということが私たちの調査では把握できておりますので、例えば、幅広い、こうした地方公共団体以外の主体に対しても働きかけを行っていきたいというふうに考えております。
【亀井委員】   すみません、追加で。ごめんなさい、やっぱりそれは違っていて、何か、やってくれそうだからやっていくという感じじゃなくて、きちんと戦略を練り直したほうがいいと思います。そもそも、これは地方公共団体における生涯教育がやらなきゃいけないことなんですから、やらなきゃいけないんだということをまず認識させることが大事なんだと思うんですけれども、そこができないまま、これはやってくれそうと。公開講座を年1回やったって、生涯教育って何の意味もないので。何かそこは、公開講座が開かれていますって、それはいいですよ。だけど、生涯教育って何が大事かといったら、多くの方々にとって大事なことは、自分にとって行く場所が確かに定期的にあるということなので、そこは、たまに講座が開かれる程度で生涯教育をやりましたみたいな感じになっては絶対いけないので、これはもう一回、地方公共団体を拠点にして何ができるか。そこに民間団体ときちんと連携させてと、コンソーシアムの方向性は間違っていないと思うので、下手に何か文科省ができそうなところというふうに広げていくよりは、もう一度きちんと戦略を立て直すことが必要なんじゃないかなというふうに僕は思います。そこはくれぐれも間違えないようによろしくお願いします。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】   今の亀井委員のお話を受ける形にもなりますが、この事業は現時点では委託になっていて、モデル事業でやっていく、実績でいくと16か所程度でやっている、最終的には令和10年度に補助金という形に持っていきたいというのがこれまでお話を伺っていたかなと思うんです。先ほども話が出たように、これはそれぞれの地方自治体の中で障害者政策としてやらなきゃいけない部分であり、国として、一体何をもって、じゃあ、全国で補助金にできるんだということになるのかというのが非常に分かりにくいのかなと思いまして、この16か所を見ていても、必ずしも何か負担ができるというよりも、それぞれのやり方の中でやると。これはある意味、当たり前のことではないのかなと思うんです。加えて、じゃあ、この委託の中に入っていないものは、そもそもこういった学校を卒業した後の障害者に学びの場をつくっていないのかというと、必ずしもそうではなくて、私が知っているところでいくと、例えば、作業所の中で雇用と教育をうまく結びつけながらやられていたりですとか、そういった事例もあるなと思っているんです。
 そうしたときに、私は、最初、文科省としては、委託事業でやるというよりも、やはりこれは地方自治体が主体となって、これをどうサポートするかという趣旨で、初めから補助金という選択肢もあるのではないかなというふうに思っているんですが、そこについてはいかが思われますでしょうか。
【説明者】   御質問ありがとうございます。いきなり補助金というやり方があるのではないかというような御指摘でございますが、確かにそのようなやり方もあり得たかなというふうにも思いますが、他方で、現段階では、先ほどの亀井委員との議論もさせていただきましたが、まだまだ手を挙げてくださる自治体が少ないと。ほとんど出てこないのではないかというような危惧もございます。それほど地方公共団体の、特に社会教育・生涯学習の施設等々では、こうした取組のノウハウや知見が蓄積していないという現状なのかなというふうに認識しております。その意味では、民間団体をはじめとした、この取組に御知見がある取組をモデル化して、そのモデルをきちんと知らせていくということが、地道ではありますが、一番啓発に向けた近道ではないかというのが現状の認識でございます。
【伊藤委員】   ありがとうございます。意見になってしまうかもしれないんですが、この土俵の中に入らないから地方自治体がやっていないとは私は思っていなくて、やっているところ、やろうとしているけれども課題を感じているところというのは、1,741の中で多くあると実感をしていて、何となく、文科省がやれるところからやっていくんだ、そこから広げていくんだという進め方よりも、地方自治体の中でまずは認識してもらう。認識をしている中で、できている事例、やろうとしているけどできていない事例というものを把握することのほうが文科省の役割としては重要なのかなというふうに感じます。これは委託というよりは補助金という性質になじむのかなと。
 すみません、もうここから先は同じ話になって、意見になってしまうので、いいです。
【説明者】   伊藤委員、ありがとうございます。御指摘のとおりかなとも思っていまして、我々、先ほど14.5%しか公民館が障害者の学習支援をやっていないというふうに御紹介はしましたけど、逆に14.5%はやっているというわけでして、この14.5%は内実として何をやっているのかということは、実は並行して調査をしております。実際には、例えばですけど、東京都内の多摩地域の公民館などでは、障害者青年学級という事業が長く続けられていて、学校卒業後の障害者の居場所であり、学びの場を提供しているというような事例もあるというふうに認識をしておりまして、この取組をいかに広げていくのか。逆に、それが広がらないとすれば、それがなぜなのかということは同時に検証していく必要があるというふうに考えております。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかにございますか。
 有川委員、お願いします。
【有川委員】  今いただきました亀井委員及び伊藤委員の意見については、私は大賛成で、そのほかに私の意見も若干付け加えていただいて今後の検討をしていただければありがたいと思いまして、私のほうから3点ほど追加して意見を述べたいと思います。
 1点目は、この事業の実施体制、実施方法についての改善をお願いしたいということ。これがひいては事業の加速化につながるのではないかと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。まず1点目なんですけど、学校教育との連続性や一体性をもっと確保してほしいという点です。障害者の生涯にわたる学習については、学校教育の段階で卒業後の連続性や一体性を念頭に置いた指導や情報提供が行われていることは承知しておりますけれども、これをさらに強化するだけではなくて、学校教育の場や人材を、卒業後も障害者の就業や日常生活での課題検討も含めた生涯学習の場として一定の役割を果たせるよう活用していただけるとありがたいと思っております。恐らく、その際は人員、予算の制約ということが課題になるんだろうと思いますけれども、この後、議論をしていただく特別支援教育充実事業のほうが毎年多額の不用額を出して、予算額がどんどん減額しているという状況でありますので、特別支援教育充実事業の効果的な事業実施の工夫と併せて、今の連続性、一体性の確保を検討していただきたい。その際には、特別支援学校等の教員のOBやOGの効果的な活用、これも恐らくいろいろ議論されているところだろうと思いますけれども、それの活発な活用をぜひ今のような予算、人員の制約のところを解除しながら検討していただければありがたいと思います。
 2点目はこの点に関連するんですけれども、障害者の生涯にわたる学習について、卒業後の勉強という面に重点を置いた学習活動として捉えられている嫌いがあるなという感じかあるので、その点についての検討をしていただきたい。まず、学校教育との連続性、一体性を確保するとともに、文科省の他の局が実施されております卒業後のスポーツの推進や文化芸術活動の推進等も包含した総合的な事業を実施する工夫が必要だと思います。ぜひ障害者の生涯学習のための縦割りからの脱却の工夫をしていただきたいというのが2点目であります。
 3点目は、これも加速化に関連するんだろうと思いますが、現状把握のエビデンスとして示されている障害者自身の意向調査の結果が十分分析されていないのではないかと思います。確かに学習機会の確保は難しいとするものが多いというデータは出ていますけれども、一方で、先ほどお話がありましたように、3分の1の方が学習機会があるとしておりますので、こういった肯定的な回答がどのような教育環境の下で出されているのか、十分分析することによって、実践研究等の事業のスピードが増し、早い問題解決ができるのではないかと思いますので、ぜひ、せっかく調査した結果、データについての効果的な活用、分析をしていただければありがたいと思います。
 この3点です。以上です。
【説明者】   有川委員、御指摘ありがとうございます。3つ御指摘をいただいた点について、少しだけこちらも補足の説明をさせていただきたいと思います。
 皆様にお配りしている資料の12ページ目に、補足資料という形で、学校教育との連続性、一体性に関わる資料をつけさせていただいております。特別支援学校が全国には1,200あるわけでして、こちらの在校生が卒業していった後の生涯学習の機会について我々は検討しておりますので、こことの関係が非常に重要だということは私どもも認識をしているところでございます。特別支援学校においても、いわゆる同窓会的な、卒業生に向けたプログラムといったようなこともやっている学校が約半数ほどあるということは、我々の調査でも把握しているところでございます。ただ、学校は当然、教育課程の整備充実ということが一義的な目的でございますので、卒業生の支援というのはなかなか体制や財政が整っていないというような課題があるというふうに調査では聞いているところです。そもそも、卒業後の生涯学習まで学校で検討するということは、今、教員の働き方改革というのも別途進展しているところでございますが、やはり本来は社会教育・生涯学習の部門が障害者の社会教育を担っていくべきであろうということは、学校教育の関係者とも確認をしていく必要があるというふうに思っております。
 ただ、障害者の卒業生のことを一番理解しているのは学校の教員であるということもまた事実かなというふうに思います。その意味では、有川委員が御指摘いただきました、教員のOBOGに生涯学習の分野で御活躍いただくこと、これが重要な観点になってくるというふうに考えております。我々の委託事業のモデル研究の中でも、5団体が、教員OBOGがコーディネーターとして活躍をしている事例がございます。やはりこうした方々が、直接指導するというよりも、どうやってその場を構成していったらいいのか、どんなことに留意しながら支援をしていったらいいのかということに助言をしていただくような形でこの取組を推進していくということは非常に重要な観点だと思っておりますので、ぜひ今の御意見はより取り入れながら推進策を検討してまいりたいというふうに考えています。
 それから、2点目に御指摘いただきました、いわゆる勉強というイメージが中心になっているのではないかという御指摘についても、我々としてはしっかり受け止めなきゃいけないというふうに思っております。この後も議論があるかと思いますが、障害者のスポーツですとか、あるいは文化芸術活動の推進ということも非常に密接に関わったテーマでございます。特に生涯学習という概念が一番広いスポーツや文化芸術活動も含めた概念だというふうに思いますので、いわゆるデマケも踏まえつつ、障害者の生涯学習は総合的に推進していくという観点で連携をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから、3点目に御指摘いただきました、本人調査の分析がまだまだ不足しているのではないかという点については、おっしゃるとおりの部分があろうかと思いますので、この御指摘はしっかり受け止めて、改めて調査結果の再分析を行ってまいりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
【有川委員】   どうもありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   よろしいですか。ほかにございますでしょうか。
 それでは、石井委員、お願いします。
【石井委員】   改めての質問なんですが、ロジックモデル①の資料で、ここで現状把握・分析から始まって、課題の整理と解決に向けた対応策ということで、課題があって、これを解決するために、本事業は実践研究事業であって、そこで様々なプログラムが開発され、それが展開されていくと。そういう形なのかなという理解はしております。その中で、課題の③のところで、平成30年度からの事業実施により云々かんぬん、「一定の成果が得られた」という表現があるんですけれども、まずここでこの成果というものをどういうふうに捉えていらっしゃいますか。
【説明者】   御質問ありがとうございます。平成30年度からの実践研究事業の一定の成果の部分でございますが、この成果として我々が捉えておりますのは、1つは、障害者の生涯学習だというふうに一口で言いましても、当然、障害者も多様であるということでございます。例えば、知的障害、精神障害、あるいは身体障害、もちろん身体障害の中にも視覚、聴覚等々、様々な障害種がありまして、それぞれニーズも違えば、学習プログラムの構成内容も変わってくるというふうに思っております。そのプログラム内容をそれぞれに検討していくということは、やはり先端的な取組を進めていらっしゃる民間団体、NPOの皆さんと一緒に実践研究を進めることによって、一定程度、明らかにすることができた。いわゆる学習プログラムモデルの構築というところについては、一定の成果を上げることができたというふうに考えております。
 ただ、ここでも記載しているとおりでございますが、民間団体等には、持続性の観点から、専門性は高くても、継続性の部分では課題があるというふうに認識をしておりまして、先ほど御説明したような地方公共団体との連携モデルの構築ということが、今、課題になっているというふうに認識しております。
 回答は以上でございます。
【石井委員】   分かりました。恐らく、一つ一つの取組というか、この事業自体は、一つ一つを捉えればとても有意義なものがあると思うんですけれども、先ほど来出ております、そもそも課題というか、ボトルになっているところはどこなんだろうとなったときに、一つ一ついいものができたとしても、それはそれで価値、意義はありますけれども、根っこの解決にはならないのかなという気がどうしてもしてしまっていて。
 すみません、何か揚げ足を取るというつもりは全くないんでけれども、先ほどアンケートの結果の中で、例えば、公民館の話が数字として挙げられて、肯定的なのは14.5%にとどまるという表現もありましたけれども、逆から読めば、15%はできていると。じゃあ、この15%ができていて、85%が何でできていないんだというふうにアプローチしていったときに、この事業が刺さるのかなというのが、何か15と85のそこの差分を詰めていって、どうやったらというような話と、先端的なみたいな話のところがつながるのかなというところがちょっと見えにくいんですけれども。現にできていらっしゃる、取り組んでいらっしゃる自治体もあって、取り組みたいんだけど取り組めていない自治体もあって、それをやらなきゃいけないのと言うとちょっと言葉が汚いかもしれないですけれども、まだちょっとそういうのがあって、そこの差分を埋めていくという話なのかなと思っているんですけど、そこと、この事業がというところをちょっと教えてもらえますか。
【説明者】   ありがとうございます。非常に重要な部分を御指摘いただいていると思っております。実は、先ほど申し上げた14.5%やっているというふうに答えた公民館がなぜ始められたのかということを一部にヒアリングしたんです。そうすると、昔の経緯として、やっぱり障害者本人ですとか保護者がその場を求めた。こういう場をつくってほしい、学校卒業後の学びの機会、仲間と一緒に活動する場をつくってほしいというようなお声がやはり行政に届いて、その事業が始まった。あるいは、隣の自治体が始まったから、うちの自治体でもやらなきゃいけないと思って始めたというふうな経緯が非常に多いんですよね。こうした当事者の声を顕在化させるというのはとても重要なポイントなのかなというふうには考えています。
そのときに、じゃあ、どうやったらいいんだろうか、どのように始めたらいいんだろうかという、そのHOWのところで我々の実践研究のモデルの成果というのは生かすことができるんじゃないかなと思っております。要はその方法論の部分だけでは85%は変わっていかないというふうにも思っておりまして、別の方策が必要という御指摘は我々も認識をしておりますので。先ほど亀井委員に御指摘いただいた部分もその部分なのかなと思っておりますので、ぜひ取り組む方策は検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
【石井委員】   ちょっともう同じような話になっちゃうんですけど、つまり、そうですよね。そういうツールだけあったってというか、プログラムだけあったってという感じで、まずそこを埋めるほうが先なんじゃないかなみたいに思ってしまって、それは同時並行にやっていますということかなと思うんですけれども。
 ありがとうございます。以上でございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   そろそろ予定の時間が来ていますので、コメントシートの記入をされていない外部有識者の先生方におかれましては、シートに記入をしていただき、事務局に御提出をお願いいたします。
 それでは、引き続き、御議論をお願いいたします。川澤委員、お願いします。
【川澤委員】   御説明ありがとうございました。今、石井委員からもございましたとおり、中身、プログラムがあるだけではなくて、それをどうやって加速化させるかというお話があったかと思います。私もやはり、具体的な事例を14ページ、15ページで拝見していますと、場を設定しているだけではなくて、その場所にどういう人がいるのかというのが非常に大きいというふうに思います。恐らく、単に人がいるというだけではなくて、その方が本当にコーディネート、その場所をどういうふうにつくり上げていくかというところが非常に大きいと思いますので、9ページのところの中期アウトカムで、先ほども御議論がありましたとおり、教員OBOGの活躍ということで、「コーディネーター人材の増加」というふうにあるんですけれども、やはりコーディネーター、人材の部分はもうちょっと前の段階で重点を置いて取り組んでいかないと、プログラムはつくったけれども、なかなか機能しないというふうになってしまうのではないかというふうに思いました。
 そのときに、恐らく、コーディネーターの方は本当に複数の場をコーディネートしていく、一方で、やはり地域地域で保護者の方や地域の方を含めてボランティアのような形で広く関わってくださる方が増えていくというのも非常に重要なんだと思っています。恐らくコーディネーターの方だけ増やすのは難しいんだと思うんですね。その方だけに全部やっていただくというのは。ですので、実際、核となる方たちというのがいて、さらにそれ以外にどうやって薄く広く関わってくださる方を増やしていくかというところは、もちろんそれを本当に個別具体的に、多分、あの人がどういうふうにしてというところは地方自治体の、まさにノウハウの部分だと思うんですけれども、全体として、そういう人材が育成されているか、そのときに何が重要なのかといったところは、まさに文科省として全体をチェックして、取組を推進していくところなのかなと思いますので、個人的には、中期アウトカム、人材の部分の着目というのはもう少し初期の段階から取り組んで、さらにコーディネーターだけではない人材層というのも増やしていくことが重要だと思いますが、その辺り、いかがでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。人材の部分が重要ではないかという御指摘は、我々も非常に重要な観点をいただいたと思っております。16ページにうちの実践研究事業のスライドがございますが、右下の枠の中に少しだけ今の人材の取組について書かせていただいております。「社会教育と特別支援教育、障害者福祉の各分野における障害者の生涯学習推進の人材育成に関する有識者検討会を設置」というふうに今年度の事業として明記をさせていただいておりますが、実はこの取組は昨年の9月から既にこの会議を回し始めておりまして、具体的に、じゃあ、人材をどのように育成していくのか、あるいは配置していくのかという議論を始めているところでございます。現段階は、この取組の啓発のために映像を制作したりとか、あるいは事例集、ハンドブックのようなものを作成して、先ほど来御指摘いただいているような、いわゆる方法論だけじゃなくて、もう少しニーズの見える化ですとか、あるいは手始めになるような導入の部分の道具をつくっていくというようなことを文部科学省としても検討をしているところでございます。
ただ、まだ中核的な人材と、あるいは先ほど御指摘いただいたようなボランティアのような、伴走するような学習支援者の支援ということの具体化までは至っておりませんので、今年度も引き続き、この人材育成については集中的に議論を進めてまいりたいというふうに思います。これを可能な限り予算事業に生かしていくということが今後の課題かなと思いますので、御指摘の部分はしっかり取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございました。
【川澤委員】   ありがとうございます。その際に、人材を育成するといったときに、先ほど有川委員からも総合事業というような御指摘がありましたけれども、やはりいろいろな事業の効果と非常に密接に関わってくるんだと思うんですね。いろんな事業の目指すべき姿というのは恐らく似ている部分というのはあると思いますので、そのときに、8ページでも関連事業というところで書いていただいていますけれども、恐らくそういったほかの事業による効果というのもこの事業の効果の中に一部入ってくる部分はあると思うんです。そこはきちんと、この事業でこういうことをやっているというところも整理していただいた上で、別に効果を分離するという話ではなくて、複数の事業がどういうふうに連携して相乗効果を生んでいるかというところはきちんと分析していただければいいのかなというふうに思いました。
 以上です。
【説明者】   重要な御指摘ありがとうございました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   コメントシートがまだの方々、すみませんが、御送付をお願いいたします。
 水田委員、よろしくお願いします。
【水田委員】   論点の中の適切なアウトカム・アウトプット指標の設定に関係して御質問させていただきます。
 まず、アウトカム指標についてなんですが、私の質問については、行政事業レビューシートに基づいたものになります。それで、この中でアウトカムについては1つ設定されていて、地方公共団体のほうで目標や事業を位置付けているかどうかということで市町村数を取り上げているんですけれども、こちら、補足資料1のほうで、そういった体制整備が地方公共団体の成果として上がるとともに、その成果が障害者本人に還元されて、意識調査の結果が上がっていくというストーリーを描いていらっしゃいますよね。ですので、私としては、アウトカム指標に自治体がどう取組を積極化させたかということとともに、それがどういうふうに障害者に還元されたかということも含めて取り上げるべきではないかなと思った次第です。この辺り、どのようにお考えかということをお聞きできればと思います。よろしくお願いします。
【説明者】   御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおりかなと考えておりまして、まず、我々の直接的なアウトカムというのは、地方公共団体の計画にきちんと取組が書き込まれるということが1つの目標だろうと思います。本質的な目標は、ただ計画が書き込まれただけでは意味がないということでして、その成果を享受するというか、機会がきちんと提供されるようになって、障害者自身の意識がポジティブになっていくというところまで成果が還元されていく、それが中期、長期のアウトカムになろうかと思っておりまして、その部分を行政事業レビューのほうにきちんと位置づけていくということは必要なことだと思いますし、その点しっかり明記をして検討してまいりたいと思っております。
 御指摘ありがとうございます。
【水田委員】   ありがとうございました。これに関して、もう一点よろしいでしょうか。
 今度はアウトプットのほうなんですが、実は委託箇所数をアウトプットとして取り上げていらっしゃるということでお見受けをしまして、個人的には違和感を感じた次第です。具体的には、結局アウトプットというのは恐らく、文科省さんの代わりに委託を受けて、受託者が何を提供したかというのがアウトプットになるかと思いますので、委託の段階でアウトプットをカウントしてしまうというのは、アウトプットが出る前の、アウトプットを出すものが幾つあるかというカウントになってしまっているのではないかなと思った次第です。
かといって何をすればいいのか、私のほうでいいアイデアが今あるわけではないんですけど、その辺り、委託箇所できちんと図れているんだということでしたら、ちょっと御理由をお聞かせいただきたいと思います。
 なお、先ほどまだまだ手を挙げる自治体が少ないとおっしゃっていたので、確かに手を挙げる自治体を確保するというのは、一つのアウトプットになっているのかなと思いましたけど、ちょっと違和感がありましたので質問させていただきました。よろしくお願いします。
【説明者】   御指摘ありがとうございます。アウトプットのところに、確かに委託事業の箇所数を書くというだけでは不十分という委員の御指摘と受け止めさせていただきました。委託先がどのような学習機会を提供して、どういったコーディネーターを配置し、あるいは参加者がどれだけいたのかというところまで書き込むことがアウトプットだと言えるのかなというようなことも含め検討させていただきたいと思います。
 ロジックモデルを、この機会に私どもも作成させていただきまして、我々の目標というのが明確化されたというところがございました。その意味でも、このロジックモデル、きちんと精緻化して、今後に引き継いでいくような資料にしてまいりたいと思いますので、委員の御指摘、しっかりと検討させていただきます。ありがとうございました。
【水田委員】   ありがとうございました。
 あと、すいません、論点にはないところだったんですけれども、先ほどよそがやっているからやらなきゃというようなことが出てきているというお話があったような気がするんですね。これはもう意見に過ぎないんですが、結局、政策過程論とかでいう政策波及モデルというやつで、面的に、隣がやっているとどんどん広がっていくというのがあるんですよね。ですから、それをうまく使って広げていくという手もあるのではないかなという気がしました。これは単純な意見ですので、別に御回答はいただかなくて結構です。どうもありがとうございました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】   このロジックモデルなんですけれども、もしかしたら、僕、難点があるなと思うのは、これはすいません、前回よりもむしろ取りまとめのほうに、取りまとめでこれでつくってくださいって言ったほうに実は問題があるかもしれなくてというのは、事前のプロセスでお話ししてきたと思うんですが、率直に言って、KPIを並べ過ぎだと思います。KPIではなくて、どういうありたい状態にするのかというところを、すいません、初めに、事業の予算ありきからではなくて、やっぱり逆算して考えるというのがロジックモデルの一番の肝だと思います。
今回そういう意味では、通しで言うと10ページのところに、大変優れた御検討をされていて、本来障害をお持ちの方々とか、あるいは、その御家族からすると、どういうありたい状態があるんだろうかというところを御検討されたというのはとってもよく分かるので、逆にそういうところから遡っていったときに、さっき川澤さんからお話があったような、例えばコーディネーターって、文科省はコーディネーターをたくさんつくっているから、コーディネーターという人材だけでパンクしてしまいそうな気もするんですけれども、何かそういうのも含めて、多分いろいろとやらなきゃいけないこと、人材もあるし、あるいは今の、水田先生からお話があったような、波及させるためには例えば都道府県にまず1つ置くことだよねと。今のモデル事業が、地区ごとに配分されているというのは多分そういう意図なんだと思うんですが、その先には多分、都道府県にまず1つつくるみたいなところがあるような気がしていて、そういうのを具体的に記載していく、状態を記載していくのがロジックモデルなので、ちょっとこれ、今、KPIに引っ張られ過ぎだと思います。
 数ではかれなくてもいいから、どういう状態にしていくのかというところをきちんと考えていくことによって戦略が生まれてくると思いますし、逆に言えば、数字で把握できなくてもいいので、今日口頭でいろんなお話があって、それはそれで大変、私、すごく充実した政策対話だったなと思うんですけれども、何て言うのかな、実態がどうなのかということをきちんと把握しておく必要があると。
 冒頭、私、経験ではなくて、どういうふうに理解しているかという話を伺ったんですが、そこの理解が一番肝腎なわけですよね。そこの理解を超えていかないと、じゃあ、それをどういうふうに理解を変えさせていくのか、あるいは理解はしているんだけどもできないのか、それはリソースが足りないからなのか、あるいはそもそも担う人材がいないからなのかによって、多分、やる打ち手が文科省さんによって違ってくるんだと思うんですよ。それによって必要な予算、これはもともと新しく始まったので、なかなか予算拡充は、局内、省内的には簡単じゃないんだとは思うんですけれども、やっぱりそういったことをしっかり積み上げるということが大事なんじゃないかなと思いました。
そういう意味では、大変申し訳ないんですが、最初の調査がもしかしたらしょぼい可能性があって、やっぱりそこの実態把握というものをとにかく速やかに進める必要があるし、そこがしっかりできれば、場合によっては予算拡充も含めてしっかり対応していかなきゃいけない部類の事業なんじゃないかなと私は思っているところです。もし何か御意見あればいただければと思いますが、いかがでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。ちょうどこの障害者学習支援推進室が……、聞こえますでしょうか、大丈夫でしょうか。
【亀井委員】   今、映像のところがまだミュートになっていると思います。
【説明者】   いかがでしょうか。大丈夫ですか。ありがとうございます。
 我々の組織が立ち上がってちょうど5年目になるんです。今回このような公開プロセスの機会をいただいたことで、我々も初めてこれまでやってきたことが何だったのかという棚卸しをして、再整理をするというような機会を頂戴したのかなと考えております。その意味では、ロジックモデル、まだまだつたない部分がありまして、今、亀井委員御指摘のとおり、不十分な点が多々あったかなと思っております。
 ただ、御指摘いただいたような10ページのスライドを作成させていただいて、改めて我々が、一体どの指標によってこの事業を評価すべきなのか、あるいはその先にどんな社会のイメージを豊かにしていくべきなのかということについて深く検討する機会をいただけたことは本当に有意義なことだったかと思います。
 特に先生方には、外部の視点から、この政策を評価していただいて、そこで我々が再検討していくというプロセスそのものの価値を体感できて、感謝を申し上げたいと思います。我々としてはまだ事業道半ばだと思っておりますし、より多くの予算投入が必要だと考えておりますので、引き続き、御支援をよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   今、最終的に取りまとめ中ですが、まだいましばらく時間があるようですので、伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】   今のお話のように、まだ過渡期だという中で、ぜひきれいにまとめようとしないでいただきたいなと思っていて、何かというと、何となく、今、実践研究とか、モデル事業がきれいに進んでいるようなふうがあるんですが、現場ではそういうことでもないのかなという気がしているんです。
 例えばですけれども、9ページに関連する他の施策事業の中で、厚労省の障害福祉サービスがもろもろあるんですが、先ほどお話があったのは、この実態把握のときには、文科省のこの事業としての実態把握だけじゃなくて、ほかでやっているものの中で学びの場というのはやっぱりつくれないんだろうか、もしくはつくれているんだろうかという実態把握をぜひしていただきたいんです。
 1個だけなんですけれども、私、市町村がやっている障害者事業の中で、公園の掃除をやっている事業があるんです。公園のごみ拾いやっていて、これは随契でやっているんですが、その中で、何でこれをやったら対価としてお金がもらえるのかというのを別な時間を使ってミーティングをするような場、これってまさに学びの場の気がするんです。決してこれは文科省のスキームに入っているわけではないんですけれども、まさにこれが実態把握で、そういうものを、じゃあ、どうやってやっているのかということを共有するとか、こういうことがあるよということを紹介するということも、この事業としての意味になるんじゃないかなと思います。
 以上です。
【説明者】   御指摘、ありがとうございます。実態についてより詳細に把握して、学びをあまり狭く捉え過ぎないように考えていきたいと、それが自治体の理解などにもつながったりしていくのかなと考えておりますので、貴重な御意見ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、コメントシートの集計結果について、取りまとめ役の有川委員より御説明お願いします。
【有川委員】   私のほうから、取りまとめ結果と、それから、それを支える意見についての主な事例を紹介したいと思います。
 まず、評価結果の分布なんですが、事業全体の抜本的改善を求める票が4票、事業内容の一部改善を求める票が2票という結果になりました。
 主な事例、コメントを紹介したいと思います。本事業の重要性にもかかわらず、事業が達成すべき目標に向け、具体的な道筋、戦略がまだあいまいだ。地方自治体が自らの責務として取り組むよう事業を再設計すべきだ。学校教育との連続性、あるいは福祉や雇用とのつながる場のような他府省の領域と思われる事業との連携が必要。現状は予算規模に応じた事業を行っている状況で、むしろ事業を踏まえた戦略が立案された後は、予算規模の拡充も積極的に検討すべきである。それから、今のまま委託を続けても、何をもって全国展開につながるのか、評価の物差しが見えてこない。文科省の役割は長く委託事業を続けるよりも、事例の把握ややりたくてもできない事例など、様々なケースを把握し、分析することではないか。
改善の方策としては、モデルで一つ一つの事例をつくるよりも、自治体が行うことへの補助や、自治体や広く国民全体が必要性の認知に向けた補助に今から転換するほうがよいのではないかという意見。
 また、本事業の効果を波及させていく際、人材育成は重要なポイントである。人材育成に関する初期アウトカムの設定等、成果指標の見直しが必要ではないという意見。それから、プログラムの開発や体制の構築について蓄積ができつつあるため、それを基にした成果の定着普及を図り、実績の確認を行うべきものと考える。
 また、アウトプット指標につきましては、成果物の公表や周知度合いのほうが適しているのではないか。また、障害者本人等の意識に関する指標も検討する必要があるという意見があります。
 本事業は、開発されたプログラムが普及することにより、認識された課題を解決していくことが目的であるが、課題の解消に本事業が効いているのか評価できない。アンケートによる肯定的な回答は少ないものの、できている自治体はある。自治体の差のところを分析するところから事業を見直す必要があるのではないかという意見などがあります。
これらを踏まえまして、最終的な委員会での結論として、評価結果としましては、4票になりました事業全体の抜本的改善という結論にしたいと思いまして、その取りまとめコメントとしましては、今、代表事例として選ばせていただきましたものの中から4点に絞らせていただきまして、1点は実施体制に関して、地方自治体が自らの責務として取り組むよう事業を再設計することを検討されたい。
 2点目は、実施方法の問題でありますけれども、学校教育との連続性や他府省の領域と思われる事業との連携を検討する。また、自治体や、広く国民全体が必要性の認知に向けた補助に今から転換することを検討されたいというのを2点目の実施方法の取りまとめコメントとしたいと思います。
 3点目は、成果指標に関わるものでありまして、重要なポイントである人材育成についても、成果指標として取り入れる工夫をされたいというのと、成果物の公表や周知度合い、障害者本人の意識についても、成果指標、アウトカム指標に入れることを検討されたいというのが3点目であります。
 4点目は、これまでの事業で、獲得された調査結果のデータの効果的な活用、工夫をされたいということであります。
 以上で、結論と4点の取りまとめコメントとしたいと思いますが、各委員、よろしいでしょうか。よろしければ、手を挙げていただけるとありがたいです。
 ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、今、委員に取りまとめていただいたコメントということに決しましたので、ありがとうございました。
 以上をもちまして、学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業の公開プロセスを終了いたします。
 次の特別支援教育充実事業につきましては、5分休憩の後、14時55分開始といたします。よろしくお願いをいたします。
( 休憩 )
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、2こま目を始めさせていただきます。これからの時間は、特別支援教育充実事業について御議論をお願いしたいと思います。
 なお、このこまにつきましては、藤井比早之行政改革担当副大臣が御参加されておりますので御紹介いたします。
 副大臣、一言御挨拶をお願いいたします。
【藤井内閣府副大臣】   内閣府副大臣の藤井比早之と申します。今日は特別支援教育充実事業ということでよろしくお願いいたします。現場からはやはり、特別支援教育の必要性というのは非常に痛感するところですけれども、それとこの充実事業の執行とはまた別ということだと思いますので、言わば、本当に現場の特別支援教育の充実のために、事業として何がどうあるべきかというところを、よく前向きに議論していただければと思いますのでよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。
 この時間の取りまとめ役は有川博委員に務めていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、初めに、事業担当部局より事業概要の説明をしていただきます。説明者は5分以内、時間厳守で簡潔に説明をお願いいたします。
 それではお願いいたします。
【説明者】   特別支援教育課でございます。私から、特別支援教育充実事業につきまして御説明させていただきたいと存じます。お手元の資料の2ページをお開きいただきたいと存じます。
 まず事業の目的でございますけれども、特別支援教育の充実に資する体制の整備の推進や教員の専門性向上、指導内容・方法の改善を図ることを目的としております。
事業の概要でございますけれども、本事業は複数の具体的な事業から構成されております。具体的には、発達障害の可能性のある児童生徒に対する支援、学校における医療的ケア実施体制の充実、聴覚障害のある乳幼児に対する教育相談の充実、ICTを活用した障害のある児童生徒等に対する指導の充実等に関する調査研究を行うものでございます。
 続きまして、12ページをお開きいただきたいと存じます。ロジックモデルに基づきまして御説明させていただきます。
 まず、現状と問題点でございますけれども、発達障害をはじめとして、特別支援学校等の児童生徒数が年々増加している中、障害のある子供一人一人の教育的ニーズを把握し、それに応じた適切な指導及び必要な支援が必要であること、その際、GIGAスクール構想による1人1台端末の活用が求められているという現状がございます。
 この現状を踏まえまして、4つの課題を設定しているところでございます。
 まず1点目、特に増加しております発達障害の可能性のある児童生徒等に対する指導につきまして、教員の専門性の向上が必要であること、2番目といたしまして、医療的ケア児は特別支援学校のみならず、地域の小・中学校でも増加傾向にあり、受入れ体制の整備等が必要であること、3点目といたしまして、また聴覚障害児には早期からの支援が必要でありますが、身近な地域での就学前の療育の場が少なく、地域格差があること、4点目といたしまして、GIGAスクール構想の実現による1人1台端末環境下での障害に応じた効果的な指導方法の確立が必要であることでございます。
 この4つの課題を踏まえまして、インプット、アクティビティのところでございますけれども、特別支援教育充実事業を実施しているところでございまして、これらによりアウトプットに記載の成果を出すこととしているところでございます。
 これによるアウトカムでございます。まず初期アウトカムでございますけれども、4つの課題に従いまして、4つに分けて整理しているところでございます。
 まず1点目は、各学校に特別支援教育を推進するための基盤をつくることであり、大きく2つ。まず学校における推進体制の整備、それから2つ目、教育を担う教職員の専門性向上に分け、それぞれ記載のような取組が実施されることを掲げているところでございます。
 その上で、この基盤を基に、さらに3つのアウトカムを掲げております。
 まず医療的ケアについて、学校における医療的ケアの対応に関するガイドライン等が策定され、医療的ケア児の受入れ体制の整備が進展すること、次に、特別支援教育における早期からの対応に関しまして、在籍幼児児童生徒のみならず、在籍幼児児童生徒以外の子供、保護者に対する教育相談が、各特別支援学校において実施されること、4つ目といたしまして、ICT技術の進展、1人1台端末を効果的に活用して、教育の質の向上に努めるもので、教員の授業にICTを活用して指導する能力が向上し、各学校におきまして、ICTを活用した障害に応じた指導が実施されるということでございます。
 これをさらに進展した姿といたしまして、中期アウトカムといたしまして、初期アウトカムで設定した4つの事項が進展いたしまして、各学校におきまして特別支援教育推進の取組、専門性向上の取組が継続的に行われ、各学校で実践経験や専門的知見が蓄積されること。また学校における医療的ケア児の受入れが進む。身近な地域で早期からの教育相談体制が整い、地域格差が解消される。4つ目、1人1台端末環境下で障害に応じた指導実践事例が蓄積され、効果的な指導方法が確立されるようなことをしているところでございます。
 以上、ロジックモデルを御紹介させていただきましたけれども、あと御説明は省略させていただきますが、19ページのところに委託事業のこれまでの推移につきまして、また20ページに執行状況につきまして、また、その後、22ページに成果例につきまして、資料として提出させていただいているところでございます。
 冒頭の御説明は以上でございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、私から論点について説明をさせていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
 1点目としまして、目的を達成する上で実施方法が効果的かという点、2点目として、成果の普及及びその活用方法が適切かという点、3点目として、事業成果検証のために必要なアウトカムが設定されているかという点が論点等と考えられます。
 それでは、質疑等と並行して、コメントシートへの記入、それから御提出をお願いいたします。説明者は、外部有識者からの御質問に対して、簡潔、明瞭に回答願います。それでは、外部有識者の先生方からの御質問お願いいたします。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】   御説明ありがとうございました。亀井です。よろしくお願いします。
 すみません、この事業は特別支援教育という、まず一つはそもそもニーズも拡大してきている。それから、一方でGIGAスクールのような形で新しい学校環境というものが生まれてきている。さらにはいろんな課題が見えてきている中で、その見えてきた課題を、モデル事業を通じて一つ一つボトルネックを解消していこうという事業だというふうに認識しているんですけれども、だとすると、後で多分先生方どなたかからお話があると思うんですが、じゃ、全体の問題にこれは波及しているのかというところが、多分一番大きな論点のような気が。先ほどいただいた論点の中でも、特に大きいのは多分そこなんだと思っていて、その手前のところで言うと、では、今課題が大きいところについてモデル事業が選定できているのかというのが、多分一番最初の素朴なところなんじゃないかなと思うんです。
 例えばなんですけれども、13ページにあります、この事業の中で、ちょっとここで予算は比較的小さくなっていますけれども、比較的規模が多いところで言うと、先生方のまだ経験が浅い人がいます、この人をしっかりサポートするために、支援体制等を構築していきましょうということなんだと思うんですけれども、ここはどういう都道府県、あるいは指定都市が選ばれていると認識したらよろしいんですか。あるいはどういうふうに選んでいるか教えていただけますでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。まず、この支援事業のスキームでございますけれども、発達障害のある児童生徒というのは小・中学校が中心になりますので、基本的には区市町村が実施主体になるわけでございますけれども、なかなか各区市町村だけですと、十分な専門性を図るための指導、助言を行うことが難しいだろうという問題意識に立ちまして、ここは都道府県レベルや指定都市のレベルをターゲットにいたしまして、その域内の専門性を高めるための体制をつくっていただくというようなことを考えているところでございます。
 具体的にどこで実施していただくということにつきましては、この事業全体がそうでございますけれども、公募に応募していただきまして、その実施計画、実施内容を外部の審査員に審査していただいた上で採択をするというような仕組みでやらせていただいているところでございますので、こちらのほうであらかじめどちらということを決めているわけではなくて、上がってきた内容に従いまして、審査の結果、採択する地域を決定させていただいているということでございます。
【亀井委員】   ということは、こういうふうに理解したらいいですか。ここで何か行われたことが先進的な取組として評価されて、横展開していくということなんでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。当然今までと同じような取組を単にやるということでは、この事業の本来の目的ではないというふうに考えているところでございまして、例えばこの事業の中に、今お手元の13ページですと、(1)、(2)、(3)というような大きなテーマを掲げておるところでございますけれども、この3つ全てをやっていただくということを前提にした事業でございまして、この3つをトータルとしてやっていただく中で、新しい機軸というものをしっかり出していただきまして、全国に普及するような新しいモデル的な成果を出していただくということを、事業としては考えているところでございます。
【亀井委員】   そうすると、例えばこの事業については、今年度7か所やっていますけれども、これまで何か所指定していて、こういった新しい知見というのは、どういう形で世の中全体に広めていらっしゃると考えたらいいんでしょうか。そこのプロセスを教えてください。
【説明者】   ありがとうございます。実はこの新規事業自身は、令和2年度から新たに開始するというような形だったわけでございますけれども、この後も関連する話が出てくると思うんですが、令和2年度は新型コロナ感染症対策ということで、委託事業のかなりの部分を中止させていただきました。ということで、令和2年度からの事業ではございますけれども、実質的には今年度から新たに開始したような事業になっているところでございます。
【亀井委員】   だとすると、別にこの事業じゃなくていいんですが、19ページにあるような形で、これまでこの特別支援の教育に関する様々なモデル事業を行って、様々な知見がたまったんだと思うんですが、この知見をどのように各都道府県や市町村や現場に広げていらっしゃるのかということをお伺いしたいということなんです。今の事情は分かりました。
【説明者】   失礼いたしました。この成果の普及でございますけれども、実際に実施していただいたものにつきましては、各実施団体のほうから成果報告書というものを出していただきます。まず、この成果報告書につきましては、文部科学省のホームページに掲載しているところでございます。この掲載の仕方につきましても、単に概要を掲載するということのみならず、その成果で出された成果物、例えばリーフレットなどを作成するようなこともあると思うんですけれども、そういうものをホームページ上に工夫して掲載しているというのが、まず1点目でございます。
 それから、我々は地方自治体の特別支援の担当者向けの会議というものを、年に何回か開催するわけでございますけれども、その全部の事業ということではなくて、その中で他の地域への波及効果が見込まれるような事例につきましてまとめた資料をつくりまして、それをその場で発表するなどの取組をやっているところでございます。
 また、今申し上げたのは、我々文部科学省のほうで成果として普及しているものでございますけれども、最も多いのは、これをどこの自治体でやったのかということはホームページ上から分かるところがございますので、各都道府県が、あっ、これはなかなか面白く、うちの自治体でもできるんじゃないかというようなことがあれば、各自治体に直接問い合わせて様々な点を質問したり、また具体的にその学校現場なりを視察いただく中で、各自治体における普及としてどういうものができるのかということをやっていただいている現状でございます。
【亀井委員】   そういう意味で多分文科省さんが、この初期アウトカムとして、これが上がっていることを、多分一つの指標として御覧になっていらっしゃるんだと思うんですが、一方でこれが波及していることをきちんと確認しているかどうかというところがいま一つ、ページビューの話だとかユニークユーザーの話だとかは書いてあるものも、これは何か、今言われたから取れるものを取ったという感じがあって、ちょっとこのモデル事業の波及という意味では、実際のところどういうふうに波及しているのかというところは、もう少し丁寧に見てもいいのかなと。
 そうでないと、どうしてもやっぱり供給者ロジックに陥ってしまうところがあって、ここは、予算が限られているんだけれども、もっと拡充したほうがいいのか、あるいはこれはこれで十分なのかというところが、何かいま一つ判断しづらいような感じがしていて、そこはぜひ、何年か置きにで結構だと思うんです、場合によったら今後デジタルになれば、よりモニタリングは早くなるんだと思うんです。
 それこそ藤井副大臣もやっていらっしゃるところですけれども、規制緩和でそういうものが進めば、それは賢くなるわけですので、もっと、現場にどういうふうに伝わっていて、使えているのか、使えていないのかというところのフィードバックをかけて、この事業の……。今のところ専門家の中で皆さんお話があるんだと思うんですが、私も研究者ですが、研究者ってどうしても1周遅れになってしまうので、そこはぜひ、現場のニーズに応じた形で御対応いただけるような制度設計をしていただければいいんじゃないかなと思いました。
 取りあえず以上です。ありがとうございます。
【説明者】   ありがとうございます。今、委員から御指摘いただいたとおり、この事業の成果がどのように各自治体における取組に具体的に普及されているのかというところは、我々ももう少ししっかり見ていく必要があるのではないかなと認識しているところでございますので、今の委員の御意見も踏まえまして、今後の改善方策につきましても引き続き検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかにございますでしょうか。
 川澤委員、お願いします。
【川澤委員】   御説明ありがとうございました。今の議論で、どういうふうにどこに成果が波及していくかという話があったかと思います。私も12ページのロジックモデルを見ていて、初期アウトカムのところを拝見した際に、どういう学校をターゲットにして、どこまでこの事業で効果が出ているのかがかよく分からないなと思いました。
というのも、恐らくこの初期アウトカムのところで、各学校において特別支援教育を推進するための体制整備や専門性向上の取組が実施されるというところで、複数の指標が設定されているんですけれども、この各学校というのは、分母がどの学校なんだろうというところがまずちょっと分からなくて、つまり全ての小・中学校なのか、特別支援学校なのか、もしくは先ほど13ページの事業で御説明があったように、この事業の発達障害の可能性のある児童生徒に対する指導という意味では、小・中が主なターゲットだけれども、手前の区市町村ではない都道府県についてモデル事業をやっている。
 恐らく最終的なターゲットは区市町村だけど、モデル事業のターゲットは都道府県って、事業を実施されていらっしゃる各御担当の方にはターゲットが明確にあって、その中でモデル事業は実施されているんだと思うんですけれども、このロジックモデルだけを見ていると、各事業のターゲットが何で、分母が何で、そのモデル事業のターゲットと中期、成果を波及させていく際のターゲット、真のターゲットというところが何なんだろうというのが、ちょっとよく分からなかったんです。
 恐らくそういったモデル事業でのターゲットと、真のターゲットは何なのかということの御説明と、それの分母について今どのぐらい事業が進んでいるのか。割合としては、これは8割、9割という高い割合ですけれども、本当にこのぐらい全ての学校において進んでいるのかなというところを少し疑問に思ったものですから、その辺りは少し見直す必要があるんではないかと思ったんです。その説明の仕方としてです。いかがでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。特別支援教育を推進する場でございますけれども、特別支援学校をはじめといたしまして、例えば小・中学校におきましては特別支援学級もございますし、通級による指導ということで、通常の学級に在籍しつつ、週に何時間か別の教室で個別の指導を行う場合もございますし、さらに通常の学級でずっと学んでいるんだけれども、その中で様々な配慮が必要な子供ということでございますので、基本的に我々は、各学校と書いておりますけれども、特別支援教育が行われる、あまねく全ての学校におきまして、このような体制をつくることを目指すことを考えているところでございまして、その意味でここの八十何%とかの数字がございますけれども、これは幼・小・中・高校学校の学校を含めて記載しているところでございます。
【川澤委員】   そうしますと、もうその7割、8割、9割ぐらいが達成されている中で、もちろん残りのところをどうするかという問題と、その体制が整備された後に、次はどうするかという段階にもう来ているんだと思うんです。
 その辺りの次のというところは、恐らく実際の専門性の向上であるとか、中身の話になっていくんだと思うんですけれども、そこがいわゆる体制が整備されていないところで、専門性だけが向上されている状況になってしまっているのか、その辺りのターゲットとして、今それぞれがどういう状況になっているのかというところが少し見えにくいなと思いましたので、いわゆる指標をたくさん設定するというよりは、本当に進んでいない地域というのがどういうところで、そういうところについて次の段階としての専門性向上、もしくはほかの施策がどういう状況になっているのかというところを、段階的に分かりやすく説明できるようなものが必要なんではないかと思いました。
 以上です。
【説明者】   ありがとうございます。初期アウトカムのところにいろいろ記載させていただいておりますけれども、ここに書いているのは、まず基本的な体制整備として、これは最低限やっていただくことが必要であろうというものを書いているところでございますので、基本的にこれにつきましては、早い段階で100%の姿に持っていきたいというふうに思っているところでございます。
 その上で、指摘いただいたとおり、単に物ができていればいいということではありませんので、次の中期に向かう中では、その内容がきちんと個に応じたしっかりしたものになっているのかというところ、あとは特に地域によって、その作成割合が低いようなところがございましたら、そこは個別に確認していくような作業が必要なのかなというふうに考えているところでございますので、まずはしっかりとしたものをつくる、その後はその質の内容をどう担保するのかというところを、段階的に進めてまいりたいと思っているところでございます。ありがとうございます。
【川澤委員】   ありがとうございます。一旦は結構です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   そのほかいかがでしょうか。
 石井委員、お願いいたします。
【石井委員】   ありがとうございます。すみません、今のところの続きみたいなんですけど、前提としてというか、本事業はやっぱりモデル事業なんですよね。それが普及していくということだと思うんですが、そのモデル事業というのは、亀井先生からもありましたけど、ロジックモデルのところで要因分析、課題の設定がされていて、その分析された課題を解決するために、刺さるというか、有効なモデル事業が出て、そのモデル事業が広がっていくことが、課題が解決され、インパクトにつながっていくという理解をしているんですけれども、一方で、今お話にあった、まず初期のアウトカムで体制を整えるんだという話となると、ストレートに言ってしまうと、ストレートに体制を整備するにはどうしたらよいのかというようなことのほうが、より大事。
どっちも大事なんですけど、何か体制をつくりに行くということをもっと直接的にと。ちょっとうまく表現できないんですけど、そこの体制をつくることが大事なんですという話と、モデル事業で研究しているんですという話が、何かちょっとつながってこないんです。私の理解が追いつけなくてすみません。ちょっと解説をしていただけますか。
【説明者】   ありがとうございます。一つには、特別支援教育充実事業という事業で、今回このプロセスをやらせていただいているわけでございますけれども、当然特別支援教育は、この充実事業だけをもって推進しているということではございませんで、今、石井委員から御指摘がありましたように、基盤を支えるための様々な予算措置は別途やっているところでございます。
その上で今回の充実事業は、そのベースの上で、さらに特別支援教育の質的向上を図るとか、あとは日々状況が変わる中で、新しい課題への対応が求められておりますので、それの対応をどう切り開いていくのかという観点で委託事業としてモデル事業をつくって、今までない事例をつくっていくというようなことを、この事業は目的としているところでございます。
 その意味で、ちょっとこの充実事業というところだけを切ってしまって若干分かりにくくなっているところが、少し当方の説明が足りないところだと思いますけれども、そういうすみ分けの中でこの事業を進めさせていただいているところでございます。
【石井委員】   一旦分かりました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、有川委員、お願いします。
【有川委員】   私は、もう今の話を聞いて、今までの疑問がある程度解けたなという感じがしたんですけど、やっぱりこの誤解のもとは、アウトカム指標に出されている支援計画と指導計画のような気がするので、これはいずれも今お話にあったベースの話じゃないかなと思うので、本事業とこの支援計画と指導計画の指標はどうリンクするのかが、これまでなかなか分からなかったんです。
 一方でもしこれが、ベースに乗っかった個別の問題に対する対策の事業というのがこの事業のメインだとすれば、それぞれの個別の事業についての成果指標がないんです。だからそれぞれの個別の事業について目標が何で、それをどのように評価しているかというのが一方でないし、支援計画や指導計画という指標は、何をやることによってこういう指標が出てくるのかがよく見えてこないので、そこのところの整理が必要なんじゃないかと思うんです。
【説明者】   ありがとうございます。ロジックモデルの課題設定として、大きく4つを記載させていただいているところでございますけれども、1つ目の発達障害の可能性のある児童生徒に対する指導につきましては、発達障害の可能性のあるお子さんというのはあらゆる教育の場にいらっしゃることを前提に、どう、そのニーズに応じた指導をやっていくのかというところをしっかり考えていくことが必要になっているわけでございます。
 それをアウトカムとして表現した場合に、各学校、これは小学校、中学校のあらゆる教育の場におきまして、それを推進するための体制の整備というような表現ぶりをさせていただいているところでございます。その上で個々の子供に適切な指導を行うに当たって、やはりその基本となります個別の教育支援計画、それから個別の指導計画というものきちっとつくった上で、それに基づきまして個に応じた指導をしていただくというようなことが必要となりますので、その意味で初期アウトカムといたしまして、この個別の支援計画、個別の指導計画等を指標として記載させていただいている、そういう問題意識で記載させていただいたところでございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   よろしいでしょうか。
【有川委員】   まだ話がちょっとつながっていないような気がするんです。だからクロスしているような気がするんです。つまり特別支援教育のベースに対するいろんな事業が展開されている。恐らくその成果指標の一つが、支援計画や指導計画がきちんとつくられ――つくられるだけじゃ駄目なので、これは実施体制の話なので、つくられたその計画が、どのように実行されて、その成果をどのように評価してくるか。それによってベースの全体の成果指標ができて、その成果がきちんと行われるということになるんだろうと思います。
 そして本事業はその上に乗っかった上での、ベースの上での当面の緊急の課題のものについて幾つか取り出して、それに対応する事業を実施しているというわけですから、それぞれの個別の事業についてどういう事業が実施されて、その成果目標をどういうふうに立てて、それをどういうふうに評価しているかということをやらないと、その成果を横展開するも何も、事業をきちっと個別ごとに評価しないと駄目なんですが、いかんせん、このシートを見せていただくと、ロジックモデルは徐々に見直していただきましたけれども、通常我々が目にするのはこのレビューシートのほうで、レビューシートのほうのこの個別の事業に対する成果目標が、特別支援教育全体のベース事業の成果である支援計画や指導計画の、それも作成の段階までの指標にとどまっているということが、恐らくこの事業の成果を今のままだと測定しようがないんじゃないかという気がするんですが、それにちょっと答えていただきたい。
【説明者】   ありがとうございます。今回この行政事業レビューの対象となることに伴いまして、事前に委員の先生から様々な御指摘をいただきました。その中で、2ページのレビューシートの中で、個別の教育支援計画と個別の指導計画のみを記載しているところでございますけれども、やはりそれでは足りないだろうということを我々も認識いたしましたので、ロジックモデルにおきましてはもう少し広い観点でしっかりアウトカムの指標をつくらないと、この事業全体の効果の検証が難しいだろうということで改めさせていただいたところでございますので、また、今、委員からいただいた意見も踏まえまして、このアウトカムの指標につきましては、しっかり検討してまいりたいと考えているところです。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   お願いします。
【有川委員】   すみません、私ばかり続けて申し訳ないんですけど、せっかく発言したので、もう一点意見を述べさせていただきますと、先ほど令和2年度の事業を取り上げて、コロナへの対応とか、あるいはそれ以外の理由も述べていただいているんですけれども、レビューシートを見ると、平成30年度以降の事業の執行率で、毎年多くの執行残といいますか、不用額を出しておりまして、それに合わせるかのように、毎年予算額が大幅に減額してきているという状況です。
 この事業といいますか、この分野での課題が全くないのかというと、恐らく特別支援教育のベースの上に乗っかる個々の事業としても、課題は山積なんだろうと思いますので、もっとこの政策展開の負のスパイラルに陥ることのないように、課題をしっかり見つけて、毎年必要な予算を獲得して、それに基づく適切な執行をしていただきたいと思いますが、その点どうでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。まず、執行の状況について御質問いただきましたけれども、本日の資料20ページのところに、執行状況につきまして資料を掲載させていただいております。令和2年度は、今申し上げましたようにコロナの関係ということでございますけれども、令和元年度、平成30年度におきましても、執行率が高くない状況が見られるところでございます。この状況につきまして、さらに細かく見てみたところでございますけれども、まず年度当初の委託先との契約額の時点で、大体予算額の8割から9割になっているというような状況が見られるところでございます。
 応募の状況を21ページに記載しているところでございますけれども、全体的に見ると委託予定数にほぼ近い応募数が出てきているところでございますが、一部委託予定数に応募数が足りないというようなところ、乖離が多くなっているところもございますので、まず各自治体から多く出していただけるような取組を、我々としてもしっかりやっていかないと駄目かなと思っているところでございます。
 また、契約後に委託先におけます年度末の執行の状況でございますけれども、大体契約額の7割から8割程度というふうになっているところでございます。これはやはり新規性のあるモデル事業ということでございますので、前例となったものを右へ倣えでやっているものではなくて、新しい事業ですので、実施過程におきまして、やはり当初と少し計画が違うような内容になってしまうというようなこともあって、若干その契約額と執行額との間で乖離が出ているということでございます。
ですから、当初の契約が8から9、それから契約額後の執行が7から8ということで、大体掛け算すると6割という数字にとどまってしまっているところでございますので、まず応募がしっかりなされるように、各自治体のニーズをよく酌み取るなどして、この事業改善につきましてはしっかりやっていく必要があるかなと思っているところでございます。
それから後半の予算の話につきましては、今のような状況でございますので、執行額が至っていないというのは我々の至らないところでございますけれども、応募数から見ますと、この事業は非常にニーズが高いものではないかなというふうに考えているところでございます。
ただ、いかんせん、特別支援にかかる予算自身が実は減っているということではなくて、子供たちの増という中で全体の予算の総額を考えた場合に、この特別支援教育充実事業につきましては、伸ばすことができていないというところが現状だと思いますので、担当課といたしましては、現下、様々な特別支援教育をめぐる課題がある中でございますので、この課題にしっかり対応できるように、事業予算の充実に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   よろしいですか。
 それでは、そろそろコメントシートへの記入、それから御提出の御準備をお願いいたします。
 それでは引き続き、伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  今の有川先生の話、また川澤さんからの質問への回答を含めてになるんですが、この応募状況を見ていると、特別支援とかへのニーズはあったとしても、この事業へのニーズはやっぱり感じられないというふうに、どうしてもなってしまうんじゃないかなと思うんです。多分この事業自体は平成22年から長くやっていって、毎年毎年多分いろんなメニューを変えながらやられているものだと思うんですが、この状況を考えたとき、ちょっと川澤さんからあったかと思うんですけど、フェーズが変わっていて、この実践研究をやるという段階から、いかに増えている特別支援ニーズの子供たちをサポートするかというほうに変わっていっているというふうに、私はこの今までの資料を見ていて言えるんじゃないかなと。
ですので、この事業をやるか、やらないということが、一方で特別支援の充実につながらないわけではないんじゃないかなといつも思うんです。その点、もし違う意見があったら教えていただけますでしょうか。いかがでしょう。
【説明者】   ありがとうございます。特別支援教育を現場で支えるための必要な費用をしっかりつけていくということが重要なところは事実でございますし、そのニーズが高いということを我々は認識しているところでございますけれども……。
【伊藤委員】   音が聞こえていないです。
【説明者】   失礼いたしました。冒頭に少しお話がありました特別支援教育を推進するための基盤的な事業と、今回の充実事業のような、モデル的に新規のものを開拓していく事業の、双方のバランスということではないかと思いますけれども、基盤を支えていくという事業は非常に重要でございまして、それに関して、自治体からのニーズも高いところでございますので、それはそれでしっかりやっていく必要があるかなというふうに考えているところでございます。
 ただ、ここのロジックモデルに掲げさせていただいているように、新たな課題がたくさん出てきているところでございます。例えば医療的ケアの問題などにつきましても、これまでは特別支援学校が受け入れることが前提だったような状況もあるわけでございますけれども、これを小・中学校におきましてもしっかりと受け入れていくというような体制についても考えていかなければならないということでございまして、これまで自治体が行ってきた取組の延長線上だけで考えていくということではなくて、現下の様々な状況の変化に応じて、どう課題を解決していくのかということにつきましても、国が主導する形でしっかり検討していく必要があるのではないかなと考えているところでございます。
 その意味で、この充実事業の重要性というものは、我々としてはあるのではないかなというふうに考えているところでございます。
【伊藤委員】   ちょっと論点が先ほどの事業と一緒になってしまって申し訳ないんですが、もちろん多分個々の学校ごとに様々なニーズが年を経るごとに出てくる。きっとその課題というのは、もうなくなることはないんだろうなとは私も思うんですが、1つ出たから1つ新しいメニューの委託事業をするというやり方よりは、個々の中で解決していく、これは基盤的事業ももちろんそうですし、加配もそうですし、その中で対応していくほうがきめ細やかとも言えるのではないか。つまりこれは意見になってしまうかもしれないんですが。
こういうふうに細かく細かくやっていくと、どうしても結果的に、今見えているのは応募状況が必ずしも芳しくない状況が見えているということを考えたときに、でも特別支援教育という全体のニーズは当然あるわけですので、もう少し枠を広げた中で、弾力的な運用というのも考えられるのかなと感じました。
あわせて申し上げると、特に今年度については、2億1,000万のうち3分の1の7,000万、これは多分GIGAスクール構想に伴うICT予算になってくると思いますので、これは新しいことをやるんですが、従来やってきた支援の教育充実という観点だと、さらに金額が落ちてというふうに見えてしまうんだと。その意味でも、他の事業であったりとか、人件費部分との統合ということも考えられるかなと感じました。
 以上です。
【説明者】   ありがとうございます。ちょっと1点補足させていただきますと、最後にICTを活用した事業の関係でお話があったと思います。7,000万円の事業でございます。これはいわゆるGIGAスクール構想基づきます1人1台端末とは、予算的には別のものでございまして、このICTを活用した効果的な教育をどう進めていくのかという中身の話でございまして、メニューが幾つかあるわけでございますけれども、例えば16ページのところに資料を掲載させていただいておりますが、1つ目におきましては、ICTを活用した指導の中で、特に特別支援教育の分野につきましては、いわゆる国語、算数、理科とか教科の指導ではなくて、障害による学習上、生活上の困難を改善するための活動として、自立活動というものがございます。
この活動自身は、基本的には教員と児童生徒が1対1の中で、個別きめ細かにやるというような指導なわけでございますけれども、今回のコロナのような状況がある中で、どうしても子供たちが自宅にいざるを得ないというような状況があった中で、この自立活動の指導が、指導としては止まってしまったという学校も多かったわけでございますので、このICTを使った、特に遠隔による教育と、この自立活動という教科の困難性をどう両立させることを考えていくのかということで、先進的な事業モデルをつくるような事業でございます。ちょっと補足させていただきました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   よろしいでしょうか。そろそろ時間が参っておりますので、コメントシートがまだの方は御提出をお願いいたします。
 それでは、亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】   今の関連なんですけれども、やっぱり僕は正直、すみません、どっちか分からないと思うんです。率直に申し上げて、新しいものが必要なのか、それとも、今お話があったようなサチュレートしているのか。なぜ分からないかというと、やっぱり実態の把握ができていないからだと思います。
それは使われていますか、使われていませんかというよりも、特別支援教育を実際に現場でやっていらっしゃる先生方だとか、現場に関わる方々だとか、あるいはまさにその当人、あるいは御家族から見て、何が課題なのか、この事業が効果があったのか、それによって克服できたのかどうかということがやっぱり見えてこないからでありまして、そこが見えてくれば、じゃ、今の話のような形で、いや、この研究はやめて、違う形でサポートしようねともなるし、あるいは、いやいや、引き続き新しいものとしてはこうだねという話で、それこそ皆さんダウンロードしているんであれば、そのダウンロードして実際に役に立ったかとか、あるいはそもそもそれが一覧性として見やすいのかどうかだとか、そういったようなことも。
 例えば、今日お示しいただいた23ページから25ページまでの一覧を見ていて、特別支援教育をしている教員の先生方が、自分が抱えている、直面している課題に、どれが役に立つのかすぐに分かるのかといったら、このタイトルを見ていても、僕は分からない気がするんです。いや、すみません、専門家なら分かるのかもしれないんですけど、少なくとも僕は分かりませんでした。
 というようなことも含めて、実際にどういうふうに現場で役立てられているのかというところまで責任を持って把握するのが、皆さんのお仕事なんだと思いますので、とにかくそこをしっかり。これはもう今デジタルですぐできるはずなので、そこの体制を構築し、今御指摘のあったようなところをもう一回再構築していくということが、何か大事なんじゃ。
 決して大枠としての予算を減らしましょうとかいうことを言っているんじゃなくて、必要があれば、これは足りませんからもっと下さい、今の10倍必要なんですという話が出てくるのかもしれないし、そこはぜひその根拠としていただければいいんじゃないかなというふうに思います。正直申し上げて、今だと全くそういう根拠がない状態なのが、我々評価する人間からすると、あるいはその立案を支援する人間からすると、すごく困るなというのが率直なところです。
【説明者】   ありがとうございます。やはり御指摘いただいているように、モデル事業としてやった以上、その成果が確実に学校現場や実際の子供たちにどのように普及しているのかというところを、しっかり見ていくことが重要だというふうにしているところでございます。
 今回のレビューをきっかけに、成果の現状の姿につきまして当課でも見ましたけれども、まだやはり正直言って至らないところがあると考えておりますので、今日様々な貴重な御意見をいただきましたので、この御意見もいただきながら、この成果の改善につきまして、どういうふうに我々として確認できるのかということは、しっかり検討してまいりたいと考えているところでございます。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   よろしいでしょうか。
 水田委員、お願いいたします。
【水田委員】   水田です。よろしくお願いします。この議論がずっと続いているので申し訳ないんですけど、1点だけお願いします。今回委託事業という形でモデル的に充実事業をやられているわけですね。ですので、特別支援教育はもう全ての自治体でやられているわけで、充実事業をやっているところだけはモデルになっている。普通でしたら、やっていないところとやっているところと比較をして効果をはかるという方法があるんです。これは、何かやってみようと思われたことはありますでしょうか。
 確かにやる前とやる後を比較するという方法もあるんですけど、類似したところでやっていないところとやっているところと比較をするという方法もあるので、効果をはかる場合に、そういったことをお考えになったことがあるかどうかということだけお願いします。
【説明者】   ありがとうございます。やっているところとやっていないところの比較という御指摘がございましたけれども、すみません、まだそういうことを検討したことはないのが正直な状況でございます。現場といたしましては、常に子供たちに最適の教育支援をやるということが前提となっている中でございますので、そういう状況の中で、そういう比較をするようなことができるのかどうかというところは、少し議論が必要かなというふうに思っておりますので、今日いただいた御意見は受け止めさせていただきたいと存じます。ありがとうございます。
【水田委員】   なかなか比較するというのは難しいと思いますし、困難な点は分かるのですけど、ただ、充実事業をやったためによくなった部分というのは、多分比較しないと分からないんではないかと思いますので、よろしくお願いします。
あと、もう一点瑣末な点なんですけど、行政事業レビューシートのアウトプットのほうなんですが、充実事業の委託件数というのがアウトプットに載っていまして、委託件数というのは、結局文科省さんが直接やるのではなくて、委託先に幾つ出したかということになりますよね。ではなくて、アウトプットというのは恐らく、委託先で何をアウトプットを出したかということを入れなきゃいけないような気がするんです。その辺り、御意見いかがでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。御指摘のとおりアウトプットにつきましては、少し機械的に入れているところがあると思いますので、どういうアウトプットとしての記載が適切かは検討させていただきたいと存じます。ありがとうございます。
【水田委員】   ありがとうございました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   もう少し時間があるようですが、何かございますでしょうか。いかがでしょうか。
 川澤委員、お願いします。
【川澤委員】   資料の23ページから25ページにかけまして、作成している通級による資料に関する資料ということでお示しいただいているかと思います。具体的なこういうものが作成されているんだということは承知いたしました。ただ一方でこれはやはり、恐らく地域にかかわらず必要とされる共通的なエッセンスと、地域ごとに見ていかなければならないものと、2つあるんではないかと、すみません、ちょっと全部を眺めて分析したわけじゃないんですけれども、感覚的にそういうふうに感じたんですが、やっぱりそういったところというのは少し整理していってもいいんではないかなと思いました。
 つまり各自分が所属するところだけのものを見るというよりは、全体として、本当に普遍的に必要なものというところはきちんと文科省のほうで整理をした上で、やっぱり、じゃ、地域ごとに見ていかなければならないものは何だろうと、そういった形でこれが質を担保するというやり方もあるのかなと思ったんですが、その辺りというのはいかがでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。委員御指摘のとおり、全国的に共通する部分と、あとは各地域ごとに機関の数とか学校の数とかは違いますので、それに応じて地域ごとのものというのは分けられるんじゃないかなと考えているところでございます。本日資料としては掲載しておりませんけれども、文部科学省におきましても、通級による指導に関する整理的な解説のものをつくっておりますし、あとは令和2年3月でございますけれども、初めて通級による指導の担当者となった方向けのガイドブックを作成したところでございます。
 そういう意味で、共通的な部分の重要性にいたしましても我々として認識しているところでございますので、今、委員から御指摘いただいた点もございますので、共通してできる部分につきましては文部科学省としても作成する中で、全国共通的な教育の機会均等が図られるように、そこは努めてまいりたいというふうに思います。ありがとうございます。
【川澤委員】   まさにそういった形で整理されていらっしゃるということは理解いたしました。恐らくそうであるならば、やはり共通的なものとその地域というところの全体の量も、恐らく読み手として、本当に全部一言一句読んでいくとどのぐらいかかるんだろうというところも踏まえて、少し提供されていらっしゃるコンテンツというのも見直してもいいのかなと思う。やっぱり忙しい中でなかなか結局読めないというところは、本当にもったいないことですので、その辺りの全体の質を高めつつ、分量ですとか、実際読まれる資料にするというところもぜひ御検討いただければと思いました。
 以上です。
【説明者】   ありがとうございます。非常にバランスが難しいところでございまして、膨大な資料ですと、今、委員の御指摘があったように、なかなか読まないということでございますけれども、逆に概要化してしまうと、エッセンスだけになってしまって、実は細部のところが伝わらないというようなこともあると思いますので、いずれにしましても、今日いろいろ御指摘いただきましたので、この成果の普及というものを今後充実させるために、引き続き検討してまいりたいと思っております。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございます。それではコメントシートの集計がまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員より、評価結果及び取りまとめコメント案の御提示をお願いいたします。
【有川委員】   私のほうから、それではまず、全体の評価結果の分布について御報告します。事業全体の抜本的改善という意見が4票、事業内容の一部改善という意見が2票という結果になりました。
 それに付された主なコメントについて、まず紹介したいと思います。
 特別支援教育全体のニーズは年々高まっているにもかかわらず、本事業の応募状況がこれまで芳しくないことを考えると、ニーズへの対応として適切とは言えない。毎年度細かく委託のメニューを変えるのではなく、現場が個別の課題に対応できるためのサポートができるよう、ほかの基盤事業や加配等の人件費の中で弾力運用するほうが、課題の解決につながるのではないかという意見であります。
 また、本事業が課題解決に資しているかが評価できない。少ない予算、かつ執行率が低迷している状況下、本事業が現状問題の解決に貢献しているとは評価ができないという意見であります。
 また次の意見は、個々のモデル事業の成果である知見が、全国の現場の課題解決にどのような効果を発揮しているのか、また、その波及の経路について具体的に把握すべきだ。その際、精緻に把握できるモニタリング体制の構築を進める必要がある。このモニタリング体制の構築に合わせて、本事業独自のアウトカムを見直し、再設定する必要があるという意見もあります。
 また、モデル事業に関わる成果指標と真の事業ターゲットがどのように変化したのかという、両方の成果指標を整理して設定することが必要ではないかという意見があります。
 また、この事業は性質の異なる4つのサブ事業で構成されており、少数のアウトプット、アウトカムで統合的に成果を評価することは非常に難しいと感じられる。その上で、ロジックモデルにある初期アウトカム指標のように、4つの事業の成果をカバーできる指標群の設定が必要と思われるという意見。
 同様に指標の関係の意見なんですが、アウトカム指標とされている支援計画と指導計画と本事業との関係が不明瞭であり、作成されたこれらの計画がどのように実践され、その成果がどのように評価検証されているのかが不明確だ。
 また、課題山積と思われる中で本事業の負のスパイラルの状況が見て取れる。本当に必要な政策課題を置き去りにしていないか十分検討されたいという個々の意見が出されまして、これらを踏まえまして、評価結果は、4票になりました、事業全体の抜本的な改善を求めるという評価結果にさせていただきたいと思います。
 これを支える取りまとめコメントは、4つのポイントで整理したいと思います。
 1番目は、本事業の実施方法に関するものであります。毎年度細かく委託のメニューを変えるのではなくて、現場が個別の課題に対応できるためのサポートができるような他の基盤事業や加配等の人件費の中で、弾力化するような問題解決の仕方を検討されたいという、実施方法についての取りまとめコメント。
 2点目は、本事業の効果についてのコメントであります。本事業が問題解決に資しているかが評価できない。少ない予算かつ執行率が低迷している状況下で、本事業が現状問題の解決に貢献しているとは評価しにくいので、そこのところを検討されたいというのが2点目であります。
 3点目が、本事業の効果の把握体制の問題であります。事業の成果である知見が、全国の現場の課題解決にどのような効果を発揮しているか。その波及の経路について具体的に把握する体制を構築すべきだという意見であります。これを取りまとめ意見の3つ目にしたいと思います。
 4番目が、成果指標に対する再構築といいますか、検討していただきたいという意見であります。モデル事業に係る成果指標と真の事業ターゲットがどのように変化したのか、両方の成果指標を整理して設定すべきだということと、細かい4つの事業の成果をカバーできる指標群の設定が必要と認められるというのを、4番目の取りまとめコメントとしたいと思います。
 以上の結論評価結果と4つの取りまとめコメントでいかがでしょうか。よろしければ、すみません、挙手をお願いします。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。そのように決しました。
 以上をもちまして、この特別支援教育充実事業の公開プロセスは終了させていただきますが、ここで御出席いただきました藤井行政改革担当副大臣、ぜひコメント、御感想を賜れればと思います。お願いいたします。
【藤井内閣府副大臣】   今日は本当に充実した意見をいただきましてありがとうございます。皆さん本当に共通しておられるのは、特別支援教育自体は非常に大切だということなんだと思います。この事業の在り方というのをしっかりと文科省さんには検討していただいて、現場はもっと進んでいて、本当に個別の非常に大切な様々な、言わば課題が山積していますし、実際に出てきているところでございますから、その現場のニーズをしっかりと的確に把握していただいて、アウトカム、そういったところをしっかり見られるような事業の再構築をお願い申し上げたいと思います。今日はどうもありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。
 それでは、次の障害者スポーツ推進プロジェクトにつきましては、5分間休憩の後、16時スタートといたしますのでよろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは最後、3こま目を始めさせていただきます。これからの時間は、障害者スポーツ推進プロジェクトにつきまして、御議論をお願いしたいと思います。
 この時間の取りまとめ役も、引き続き有川委員に務めていただきます。よろしくお願いをいたします。
 初めに、事業担当部局より事業概要の説明をしていただきます。説明者は5分以内、時間厳守で簡潔に説明をお願いいたします。それではお願いします。
【説明者】   スポーツ庁健康スポーツ課長の小沼でございます。本日はよろしくお願いいたします。レビューをいただく事業の名称は、「障害者スポーツ推進プロジェクト」になります。
 2ページのレビューシートを御覧ください。事業の目的、概要について説明いたします。
 本事業はスポーツ基本法や第2期スポーツ基本計画などの政策文書を踏まえ、障害者に対するスポーツの振興を担う事業として、平成30年度から実施いたしております。
 事業の目的といたしましては、障害者スポーツの推進体制の強化、身近な場所でスポーツを実施できる環境の整備などを図るなどにより、障害者が健常者と同様にスポーツを楽しめる土壌をつくり、もってスポーツを通じた共生社会の実現を目指す、こういうものになります。
 障害のある方へのスポーツの普及は、障害のない方に比べて遅れております。障害者スポーツ特有の障壁の解消などを図り、障害のある方が生涯にわたってスポーツを実施するための基盤を整備していく必要がございます。
 そのような観点から、本事業では、モデル創出事業として、各地域の実情に応じて障害者スポーツ推進上の課題の解消を図ること。団体の体制整備に係る支援。スポーツ用具活用拠点の整備といった障害者スポーツの振興に当たり、課題を洗い出すための調査研究事業を行っているところです。
 事業規模は、中ほどの予算額・執行額のところにございますように、当初は4,800万円程度でございましたけれども、その後、事業の内容などを拡充することによりまして、令和3年度におきましては、予算額として1億2,000万円程度となってございます。
 事業実施内容でございます。アウトカムにつきましては後ほど説明をさせていただきますので、1ページおめくりいただきまして3ページでございますけれども、直接的な本事業のアウトプットに関しまして、申し上げます。
 先ほど申しましたように、本事業は主に障害者スポーツを振興するためのモデルを創出するものですので、モデル構築を実施した地域・団体数や施設数を挙げているところでございます。
 それから、アウトカムでございます。最後、アウトカムに関してございますが、障害者へのスポーツ振興と一言に申し上げましても、その背景には様々な要素があります。
 資料の、少し飛びますけれども16ページ、17ページに主なエビデンスを掲載いたしておりますので、かいつまんで申し上げます。
 16ページの左上のグラフでございますけれども、成人の障害者の週1回以上のスポーツ実施率は、増加傾向にありますけれども、依然として半数以上はスポーツを実施いたしておりません。
 その右のグラフでございますが、7から19歳の実施率、こちらにつきましては、成人に比べますと高めとなっておりますけれども、特に無実施層の増加傾向に懸念があるところでございます。
 17ページ右上のグラフでございますけれども、地方公共団体における障害者スポーツの担当部署につきましては、半数以上を福祉担当部署が担っておりまして、その下の表でございますけれども、地方公共団体が策定している振興計画においては、大半が障害者スポーツについて言及されているものの、何らかの数値目標が策定されているものは4割弱にとどまっております。
 これらのことから、11ページに戻っていただきまして、「ロジックモデル」と書かれている資料を御覧いただければと思いますけれども、本事業のアウトカム目標としまして、対象を成人一般、若年層、推進主体である地方公共団体の3つに分けまして、それぞれについて指標を設定いたしました。
 初期アウトカムではモデル事業の実績を評価いたしまして、これらの成果の横展開を進めつつ、これを踏まえまして中期アウトカムでは、十分活動できていると回答する者の割合や、地方公共団体における体制整備の状況を成果目標といたしております。長期アウトカムにつきましては、次期スポーツ基本計画の最終年である令和8年度末を目標の年度といたしまして、その指標はスポーツ実施率の増加といたしておりますけれども、具体的な目標値は、次期スポーツ基本計画の策定に向けた作業の中で、このロジックモデルを踏まえまして決定していきたいと考えております。また、地方公共団体においては、自らPDCAサイクルを回す仕組みになるよう、自らが策定する地方スポーツ推進計画において、障害者スポーツに係る記述が充実し、具体的な数値目標を盛り込むことといたしました。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは私から、論点について説明させていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
 1点目として、今後の障害者スポーツの推進に必要な実施体制・条件、取り組むべき順番などの課題の設定という点。2点目として、適切なアウトカム・アウトプット指標の設定という点。3点目として、全体の戦略についてのロードマップという点。4点目として、採択された自治体とそれ以外の自治体での差異という点が論点になります。
質疑等と並行して、適宜コメントシートへの記入をお願いいたします。説明者は、外部有識者からの御質問に対して簡潔明瞭に回答願います。
 それでは、有識者の先生方、御質問をお願いいたします。
 亀井委員、お願いします。
【亀井委員】   ありがとうございました。御説明と、また、これまでの御検討、いろいろとありがとうございました。
 12ページに書いていただいたロジックモデルから浮かび上がった課題というのが、これは実は、多分、すみません、今日の前2つの事業のやつを聞いていらっしゃったか聞いていらっしゃっていないか分からないですけれど、ただ、政立審はじめ皆さんは聞いていらっしゃると思うので、ほぼ同じ構造なのかなというふうに思います。
 そういう中で、具体的にアウトプットから初期アウトカムのボトルネック、本当に、まずそもそも障害者の皆さん、当事者の皆さんにとってモデル事業そのものが価値が出ているのかというような整理をまずしていただいて、ここに書いてあったとおり、実は事業者さんは、参加者数だとかそういった形でインプットレベルの把握だったから、むしろ障害者さんにとってどうだったか、みたいなところがちゃんと分かるようにしましょうというところにしましょうという話が1つ。
 それから、初期アウトカムから中期アウトカム、長期アウトカム、これがまさに前2つの事業の主な今日の論点だったんですけれども、これについては、もしかしたらほかにもあるのかもしれないなということで、ちょっとコメントさせていただきたいと思います。ただ、まずはここまで御検討いただいたことは大変大きな前進だと思いますので、まず感謝申し上げます。ありがとうございます。
 まず、前段のアウトカムから初期アウトカムのところなのですが、これは、まずやってくださいという話だと思います。書いてあることは。その上でなんですけれども、一つあるのは、これを通じてより見えてきた、スポーツ庁さんとしての知見というのがあるのだと思うんです。つまり、ロジックモデルのところにも書いてあるとおり、障害者の皆さんがスポーツを実施しづらい状況というのが様々あります。もともと、そもそもアクセスができないと。この辺は厚労省さんがやっていらっしゃるところかもしれないですけど、それ以外の、そもそもスポーツをやって、身体的な不自由があった場合には笑われるんじゃないかというような心のハードルがあるとか、多分いろいろなことが考えられるのだと思うんですけれども、私なんかはもともと生まれつき運動音痴なので、運動会とか本当に嫌で嫌でしようがなかった人間なのですが、それとは多分、全然レベルが違うと思うのですが、多分そういうようないろいろなハードルがあるのだと思うんです。
 そういう中で、スポーツ庁さんとして、このアウトプットから初期アウトカムのボトルネックをどう変えていくかということについては、何が課題なのか分かるというのも、皆さんにとっては大きなアウトカムなのだと思いますので、むしろ、そこがきちんと分かった上で、全体的な事業展開だとか、あるいは次のモデル事業へのフィードバックをしていくみたいなところも、ある種のループとして入れていただくと、とてもいいんじゃないかなというふうに思いました。これが1点目。
 それから2点目なんですけれども、これも同じで、もちろん障害者スポーツ協会の補助のさらなる活用はしてくださったらいいし、都道府県や政令市がPDCAサイクルを回せることも必要なのですが、要はスポーツ庁さんとしてはどうするんだというところが、ちょっと今ひとつ見えてこないなというふうに思っています。
 ここら辺は多分、いろいろとやるべきことがあって、それは初期アウトカムレベルでの課題の把握もそうだけれども、広げるレベルでの課題を把握できることによって、本来皆さんが取り組むべき事業というものを、具体的にどんなことをしなきゃいけないのかとか、あるいは法規制を何か変えなきゃいけないのか、あるいは通知しなきゃいけないのかは分からないですが、そういったところの具体的なアクションが伴うボトルネックをどう考えるのかというところについて、ぜひお話しいただければなというふうに思っていまして、それぞれ、アウトプットから初期、それから初期から中期のところについて、スポーツ庁さん自身がどんなことをされようと思っているのか、そこの仮説をぜひお聞かせいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
【説明者】   亀井委員、ありがとうございました。障害者スポーツ振興室長でございます。過分なお言葉ありがとうございます。
まず、アウトプットから初期アウトカムに関して、あるいはこれまで分かってきたことについてですけれども、まだ実は分かっていないところもございまして、ただ、分かってきたことの例といたしましては、ページで申しますと16ページのところ、これは私どもがこの事業でやっているもののうち、モデル創出の事業と、あと調査研究、両輪のうちの調査研究のほうの成果でございます。右下でございます。
 これは、もともと障害のある方がスポーツをやっていないという事情があった場合に、それはきっと何らかの障壁があるのだろうという前提の下で、だったら障害のある方々のアンケートで聞きましょうということで問うたものでございます。
 その結果、体力がない、あるいは金銭的な余裕がない、あとやりたいと思うものがないというものがあるということは当然分かってきました。ただ、さらに分かってきたこととして、「特にない」、やらない理由、障壁は特にないという方々がそれなりにおられて、それでもスポーツの実施率が上がっていないということが分かってまいりました。
 この、特に障壁はないのだけれどもスポーツをやってないという方々が、じゃあどうすればスポーツをやっていただけるのかということを、さらに明らかにしていかなければならないということが、スポーツ実施率の向上に必要だと考えておりまして、それで今年度は、その調査研究の中でも、無実施層、実施していない方々に対するヒアリングだとか、そういう方々にスポーツに取り組んでいただく、週1回とは言わなくても、全くやってないという状況から脱却していただくにはどうすればいいかというのを研究していきたいというのが一つでございます。
 また、初期アウトカムから中期アウトカムに関してですけれども、委員さんがおっしゃったこと、横展開の話かと思いますけれども、横展開がうまく進むためには、そのモデルというものが他の地方公共団体にきちんと周知されるということが1点と、あとモデルを取り込もうという地方公共団体に対して必要な支援をするということの2点が必要かと思っていたんですけど、それだけではなくて、このロジックモデルをつくるに当たって、それだけでなく、多分もっと重要なこととして、モデルを取り込む地方公共団体が自ら検証しながらしっかりやっていただく、PDCAを回していただくということが必要であることに気づきました。そうでないと、事業をやりましたという成果だけ残ってしまうのかなと。
 それで、ここに書いてあることと、あと今朝方からの他局の御指摘も含めて考えたことを申しますと、実はこの3つについて、それぞれ、私どもがやらなければならないことが山積みだということが分かりました。
 まず、ここに書いてあるのが、今申し上げたうちの3点目の、モデルを取り込む地方公共団体が自ら検証しながら取り組むということなんですけれども、地方公共団体の方々は地方スポーツ推進計画というのをつくっておられるんですけれども、その中で、障害者スポーツの部局というのが一般のスポーツとは違っていたとしても、障害者スポーツに関する記述を置かれているので、それなりに取り組んでおられるのだろうというふうに考えていたんですけれども、それをよく見てみたところ、障害者スポーツに関して数値目標を掲げているものが、手元の集計で4割弱だったということがございまして、まず、都道府県政令市がPDCAを回せるように指標を設定することを促すということが必要なのかなと考えてございます。
 それを長期アウトカムのところに入れているんですけども、具体的には、まず私どもがやりたいと思っておりますのが、既に4割弱のところが指標を設定されておられます。その、どういう指標をまとめているかという例をまとめて、各都道府県政令市に対して周知して、参考にしていただくということを図ってまいりたいと思います。
 1つ戻りまして、モデルを取り込もうという地方公共団体に対する必要な支援という2点目についてでございますけれども、亀井委員の御指摘もありました日本障害者スポーツ協会経由の支援のさらなる活用を促していきたいということがございます。
 また1点目の、モデルを他の地方公共団体に周知することという点についてですけれども、令和2年度に行われた事業、取組とかを改めて見返してみたところ、他の分野との、スポーツはスポーツとしてやっておられるところもあるんですけれども、ほかとの連携というのを現場でなされているところがありました。例えば障害の理解というものと一緒になってスポーツの実施をやっている、あるいは公民館を活用して実施しているというのがありましたので、例えば障害者の生涯学習には強い関心があるというところには、公民館だとかも活用して、総合局のルートも通じて、あるいは逆に、総合局のなさっていることを私どものルートも使って周知していく。スポーツはスポーツとしてというだけではなくて、生涯学習だとかそういう他の分野も含めて、セットで周知していくということをやってまいりたいと考えております。
 長くなりましたが、以上でございます。
【亀井委員】   ありがとうございます。僕は必ずしも、すみません、EBPMを推進している立場でこういうことを言うのもあれですし、レビューでこういうことを言っちゃあれなんですが、数値目標を設定しているからやっているということではないんだと思うんですよね。
 これは大きな誤解を招く可能性があるので、ただでさえ数値化できないことというのはたくさんあるので、そこはぜひ丁寧に見ていただいたらいいんじゃないかなというふうに思いました。そこはあまり、数字のとりこにならないでくださいという、これはお願いです。
 もう1つは、むしろありたい状態を考えたほうが良くて、今のお話にもあったのですが、障害者がスポーツを、障害はないんだけれどしないんだという理由、障害を伴っていらっしゃる皆さんがというところについては、「特にない」というのが本当にそうなのかというのは、ぜひ、もうちょっとしっかりアンケート設計していただいたらいいんじゃないかなと。
 私は学生に指導しているのですが、「その他」が一番多くなるアンケートってたまにあるんですけど、それは選択肢が何か間違っている状態で、これは「特にない」というふうに答えているのは、ここに書いてあることがないからなのか、もしかしたら本当にないなのか、ただやりたくないなのか、あるいはもともとスポーツに対するメリットを聞いていないなのか、嫌いなのか、これは多分いろいろなことが考えられるような気がしていて、そこはぜひ、しっかり分析していただいたらいいんじゃないかなと思いました。
 それから最後に、これはコメントなんですけど――これは全てコメントなんですけれども、先ほど初期アウトカムに至るところで、アンケート調査等をされるというふうに書いてあったのですが、アンケート調査も実はいい面と悪い面があると思っていて、特にこういう障害を伴っていらっしゃる方のスポーツ参加の場合には、当人に聞くよりも、観察調査をしたほうがより客観的である場合というのがあるんです。これは、すみません、障害を伴っていらっしゃる方に限らずなんですけれども、アンケート調査に決め打ちすると、変な満足度を、事業者の皆さんがやると聞く場合があって、「この研修は満足でしたか」とか「このプログラムは満足でしたか」みたいなことを聞いて、これは大分バイアスがかかった形になって、みんな取りあえず丸をつけるみたいな感じになりがちなので、この辺の設計というのは、何よりこの政策を進める上で、障害を伴っていらっしゃる方々が自分の選択でやりたいというふうにできるというような状態にしていくということが、多分あるべき状態なのだというふうに思いますので、そこから逆算して、ぜひ調査設計をしていただいたらいいんじゃないかなというふうに思います。ぜひ、御検討をよろしくお願いいたします。
 以上です。
【説明者】   ありがとうございます。そのような形で進めてまいりたいと思います。御指導ありがとうございました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかにいかがでしょうか。
 有川委員、お願いいたします。
【有川委員】   これまでの説明や意見と重複して大変恐縮なんですけども、アウトカム指標とされています、スポーツを実施する上での障壁はなくて、十分に活動できているものの割合をアウトカム指標として掲げられていて、当面の目標を15%としていますけれども、やっぱり考慮すべきは、今まで議論に出てきました、障壁は特にないけれども活動していないと答えている40%以上の方々について、この点について、今、亀井委員から御指摘があったような、いろいろな要素を含んだ回答だとは思うんですけども、これについての十分な分析がないまま、本事業の課題を認識した上での対策というのは取れないはずなのですが、その分析を今年度やるというのは何と遅いんだろうと思いましたけども、まあ、遅きに失したかもしれませんが、とにかく早急に、適切な調査と分析をお願いしたいというのが1番目のお願いと意見なのでありますが、その際に注意してほしいことは、今やはり亀井委員からも指摘がありましたけれども、アウトカム指標とされているスポーツ実施率というのは、やっぱり最終的な事業の目標とは考えにくいので、スポーツ実施率を上げることによって障害者の何を目指すのか。障害者の生きがいなのか、楽しみなのか、健康や福祉の増進なのか、障害者自身の自己実現なのか、あるいはそれらの複合的なものなのか、とにかく障害者のスポーツ実施に対する意識や求めるものを十分に把握して、それは言ってみれば、本事業の目的をもっと明確化するということになるのだろうと思いますけども、それらを十分明確化した上でそれらを分析すると、適切な分析が行われるんじゃないかと思いますので、今後のアンケート調査の質問設定も、恐らくそこのところが曖昧だと、なかなかちゃんとした分析ができるようなアンケート調査や分析はできないんじゃないかと思いますので、そこのところを検討していただきたいと思います。
 最後にもう1点、同じようにデータの関係なんですけれども、障害者の、先ほど御説明がありましたように、若い世代のスポーツに対する取組が落ちてきている。
それはちょうど同じ、前後のページに書いてありますけれども、学校教育でのスポーツへの参加、体育への参加の落ち込みに傾向が対応しているような感じがありますので、学校教育におけるスポーツ活動への取組の課題と連続性を持って、原因を分析して対策を講じる必要があるのではないかと思いますので、この点も検討していただければありがたいと思います。
 以上です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   いかがですか。
【説明者】   ありがとうございました。無実施層の分析について、これまで十分できていなかったということについては反省でございますけれども、しっかりやってまいりたいと思います。
 その中で、今3点目におっしゃったような学校教育の課題というのがございまして、グラフでも入れてございましたけれども、体育の授業にそもそも参加がなかなかできていなかったという割合が、一定の方々がおられます。そこは、まず小中学校あるいは高等学校という集団の中で、どういう指導をしていけばいいかということがちゃんと伝わっていない、あるいはきちんとしたモデルができていないのか、ちゃんと伝わっていないのか、それをきちんとつくって伝えていくということをしてまいりたいと思います。
この、学校体育に参加できなかった層というのは、将来的には無実施層の岩盤になってしまいますので、そこのところはしっかりと、時間がかかることですけれど、やってまいりたいと考えています。
 また、スポーツの実施率というのが最終的に何を目指しているのかということでございますけれども、個々の方々のスポーツの目的というのは様々かと思っております。それはリハビリ目的でなさる方もおられるし、健康のためにという方もおられるかと思います。
 スポーツ庁として、スポーツの価値というのはどこに中心を置いているかということにつきましては、ページだと31ページになるんですけれども、ちょっと、ばくっとなってしまって恐縮なんですけれども、スポーツの範囲についてのペーパーの箱の2つ目のところでございますけども、スポーツの価値として、楽しさ・喜びを得られるということを重視しているところでございます。
 実はアンケートの中でも、スポーツをやった人に対して、その楽しさに関して聞いてはいるんですけれども、亀井委員も先ほどおっしゃった、アンケートの調査というのと、実際に本人がどう思われているというか、行動されるかということは若干ずれる可能性がありまして、そこのところは、アンケートの設計も含めて、あるいは政策も含めて検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   よろしいですか。
【有川委員】   大丈夫です。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   失礼しました。では伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】   今、有川さんの御質問の最後の部分は、私も全く同じところでして、この追加資料で頂いたやつ、スポーツの定義の話を事前にもお話を伺って、その中で、このペーパーにある楽しみとか、ある意味楽しむ要素、遊びの要素も含めたものが、ここでいうスポーツなのだという、まずこの整理でよろしいですか。
【説明者】   はい、委員さんがおっしゃったように広い意味で取っております。レクリエーションのようなものも含めて、また身体運動を伴うリハビリテーションのようなものも含めて、スポーツというふうに広く取ってございます。
【伊藤委員】   まず1つは、これもすみません、事前にもお話をしたことの繰り返しになってしまうのですが、多分、その意識が必ずしも全国的に周知・共有されているようには私は感じていなくて、私が関わっている自治体の中でも、スポーツ実施率の捉え方を、いわゆる健常者、一般の人と同じスポーツというふうに捉えていて、そこには遊びの要素というものを、これは基本にスポーツ実施率はアンケートで意識調査で聞いていることが多くありますので、その中に遊びが入らないというふうにしている自治体が実際にあったりしますので、そこはまず、文科省が考える障害者スポーツ、スポーツはこういうものなんだということで、これは実はとても大切じゃないかなと思っていまして、先ほど有川さんからお話があったように、これによって、最終的に目指すものが何なのかということが変わってくる部分があるんだと思うんです。
ですので、今お話があったように、ここで言うスポーツというのは必ずしも身体的なものだけではなくて、生きがいであったり楽しみにつながる、多分これが最終的なインパクトになってくるのだと思うので、そこをいかに共有していくかということが大切なのかなということを感じました。
 これが1つと、もう1つ、これをやる時に、このロジックモデルを見ていると、やはり先ほどから出ているように、この地方自治体の計画に入るか入らないかというところも、かなりウエートを置かれているなと思うのですが、ここも、スポーツ部局であったり教育部局が持っていなかったとしても、福祉部局が障害者対策の中で、例えばですけれど健康教室をやりますというのも、多分、先ほどの定義からするとこれはスポーツなんだというふうに読める部分もあるんじゃないかなと思うんです。
こういったものを具体的に現場で、何をもって障害を持っている人たちが生きがいとか楽しみを持つために対策を取っているのかという実態把握、これがまず何よりも大切なんじゃないかなというふうに感じています。
 聞こえにくいですか。どうでしょう。
【説明者】   最後の部分だけちょっと聞き取れなかったのですが。申し訳ございません。各自治体からの。すみません、最後の部分の「各自治体が」以降の部分だけ、ちょっと聞き取れなかったんですけれども。
【伊藤委員】   それぞれの自治体の中で、この障害者スポーツの基本計画とかに入っていなかったとしても、福祉部局が例えば健康教室をやっていたり、そういったものも案外あって、今必要なのは多分、先ほど亀井さんのお話にもあった、目指す姿に向かって何をしなきゃいけないか、そこの実態の把握と分析が必要なんじゃないかなと思っていまして、そういったところを、この文科省がやっているものの中だけではなくて、ほかの部局がやっている、例えば福祉部局でやっていることとか、違う部局でやっていることも含めた実態把握が必要じゃないかなというふうに私は感じているのですが、その辺はいかが思われますでしょうか。
【説明者】   大変失礼いたしました。1点目のスポーツの意義の部分については、私どももこれまでの反省といたしまして、自治体との対話の中で、スポーツの実施率だとかそういうデータを伝えるということに汲々としておりまして、そのスポーツの範囲というのは広いんだということは、実は私どもは当然の前提になっていると思い込んでいたところがございまして、そこのところからしっかりとお伝えしていきたいと思っております。恥ずかしながらでございますけれども。
それから、部局が分かれていたとした場合ということに関してですけれども、まず、実施率調査上は、これはスポーツをやっている人に対する調査なので、そのサービスを提供している主体が健康福祉部局なのか、スポーツ部局なのか、多分あまり影響していないのだろうというふうに、正直思い込んでいるという部分が実はございます。
 ただ、ちょっと私どももまだ分析をしなければならないかなと気づいたことがございまして、障害者のスポーツ実施率を県ごとに分けると、データが少なくてサンプルの数が小さ過ぎてしまうんですけれども、自治体が独自に取っておられるデータと大分乖離しているものもございます。ほとんど同じというのもありまして、そこは自治体さんとも、どういうふうに取っているのかということも含めて聞いてみて、それで、もしも私どもの何らかのPRが足りていないのだとしたら、そこはPRをするとか、あるいは健康福祉部局、あるいはスポーツ部局へのアプローチの不足だとしたら、そこはしっかりやってまいりたいと考えております。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   いかがでしょうか。お願いします。
【伊藤委員】   すみません、1点だけ。前半のスポーツの定義の部分については、これはぜひしっかりと、これはたしか2年ぐらい前のレビューでも同じ議論があったと思うんですが、これは意外に民間団体の中でも、学者の数ほどスポーツの定義はあるんだ、みたいなふうになっているからこそ、文科省としてスポーツとはこういうものなんですという、一歩大切なプロジェクトかと思いますので、よろしくお願いいたします。
【説明者】   申し訳ございません、基本的なことなので、しっかりやりたいと思います。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかに御発言、いかがでしょうか。
 川澤委員、お願いします。
【川澤委員】   御説明ありがとうございました。先ほど議論の対象になっていました、障壁が特にないという層の分析ということで、これは早急に実施されるということで承知いたしました。
 ここで、「特にない」というところで少し気になりますのは、やはり経験がないから評価できないというところも背景にあるのではないかなと、すみません、ちょっと個人的な印象なんですけれども、やはり、何が障壁になっているのかということを評価するためには経験が必要なのだと思うんです。特に、やっぱり一度やってみて、でもそういうことが障壁になるんだという、次の段階での質問なのかなというような気がしますので、その辺りはアンケートの設計の中で、本当に経験がない人がこういうところが多いのかとか、きちっと分析できるような形での設定をお願いできればと思いました。
 その意味で、11ページの部分で、学校体育の参加というところで御説明があったかと思います。ここの、学校体育の参加状況という部分につきまして、今、学校体育でどういうところに配慮しなければいけないであるとか、どういうスポーツであれば全員が参加できるといったような、何かそういうガイドラインであるとか、そういった例というところの、スポーツ庁さんとしてお示しされているものというのはあるのでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。1点目の、経験のない人というのもおられるということはおっしゃるとおりかと思っております。経験がないから障壁がなくて参加していないという方はおられるかと思いますので、アンケートだとかもしっかり設計するとともに、あと施策のレベルでも、一回もやったことがない人に対してスポーツの場というのを提供して、それでやってくださる方がどれだけいるかというのもありますので、先ほど申しましたような、ある事例だと公民館を活用してというのもありまして、そういう、私は「間違ってスポーツが目に触れてしまう」という言い方をするんですけども、そういうような場もつくれるような形でやっていきたいと思います。
 あと、学校体育の参加に関してですけれども、たしか先生方への指導の配慮のようなものは、今、事例をつくって共有されていたような気がしますが、すみません、ちょっと曖昧ですけれども。
 ただ、やめてしまう子供、関心がなくなってしまう子のうち、例えば障害や何らの原因で走るのが遅い、なので自動的に評定が悪くなってしまう、それで関心がなくなってしまうという方はおられます。
 学習指導要領が改正されまして、例えば速さだけで評定が決まるわけではないということもございまして、そういう評価の仕方だとか、そういうものはしっかりと自治体あるいは学校現場に周知を図っているところですけれど、まだそれがうまくいってない面もございまして、そこをどう現場に伝えていくかというのも含めて検討していく必要があると考えております。
 以上でございます。
【川澤委員】   ありがとうございます。恐らく、参加状況をここで指標として設定されていらっしゃるのは重要だと思うのですが、やはりその前段階として、どういうふうにやればいいのかというところを現場も分かっていなければ、やりたくてもできないという状況があると思いますので、その辺りはぜひ、ノウハウとしてきちんと各学校に伝わるように、恐らく先ほどの議論でもありましたとおり、特別支援学校だけではなくて通常の学校も含めて、幅広く生徒が参加できるような状況をどうつくれるのかといったところは、ぜひ御検討いただければと思いました。
 以上です。
【説明者】   ありがとうございます。まさに通常の学校のほうがネックになっている面もございますので、そこもしっかりやってまいりたいと思います。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。そろそろ委員の先生方、コメントシートへの記入と御提出をお願いいたします。
 それでは引き続き、水田委員、お願いいたします。
【水田委員】   どうもありがとうございます。今までに議論になっていなかったところなんですけど、21ページ、よろしいでしょうか。
 この事業については、一応丸1から丸4の事業から成っているということで、私のほうでは把握させていただいていたところなのですが、スポーツの定義について、かなり広く取っていらっしゃって、恐らく21ページについてはちょっと毛色が違うような気がするんです。
 具体的には、障害者スポーツ団体を連携させて、民間からの支援も得て体制を強化するというようなことを考えていらっしゃるところですので、恐らく、ここで対象になるのは、ウォーキングとかそういうものは入っていなくて、競技スポーツの団体になってくるかと思います。
 そこでお伺いしたかったのが、シートの中で、ヤマハの財団の調査結果を御紹介いただいていて、こういった団体が大変資金不足で悩んでいると。あるいは専従の職員がいないということで、脆弱な体制基盤しかないんです。結局、連携させても弱者同士の連携になってしまって、専従でやっている人間もおらず、空いた時間にボランティア的にやっていらっしゃるというところばかりが集まっても、なかなか、何か実質的な効果を上げるということは難しいような気がするんです。
 そこで2点質問があるんですけど、これに対して検討会が開かれているので、検討結果として、こういうものが必要だということはもう出ているのかどうかということ、これが1つです。もう1つは、やはり資金面が一番大切になってくると思うので、民間企業からのフィランソロピーか、もしくは公的な資金を入れるかということで支えてあげないと、とても、この連携をさせても何も出てこないという感じになってしまうのではないかと思うんですけど、その辺り、何か今、御検討されていることがあるのか。この辺りをお聞かせいただけますでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。事業の成果という面もございますけれども、例えば、この事業をお受けくださったサッカーとかの例で申しますと、障害者のサッカーの団体は7つございまして、そこを、傘になるような団体を作られておられます。
 ただ、7団体で連携しておしまいという話ではなくて、その傘となる団体がJFL、日本サッカー協会に加盟しておられまして、そこでしっかりと連携しておられます。
 それはサッカー協会にとっても、サッカーの価値をいろいろな人に届けるという意味で価値があるというふうに聞いておりまして、そういう障害者の団体だけを救うというような関係ではなくて、お互いにプラスになるような形で進められておられます。このモデルをバスケットボールも、この事業なのか、サッカーのなさっていることを参考にされて、似たような枠組みをつくっておられるというふうには聞いております。
 そういう形で、いろいろな団体、それは一般のスポーツ団体も含めて連携するということも含めて、進めていきたいと思っております。
 資金面の話でございますけれども、現在、まず民間の大きな団体で、今度パラリンピックの東京大会が日本で開かれるということを前提として、パラリンピックの競技団体のバックオフィスの支援をしてくださっている団体があります。
 そちらが当面活動は続けてくださるということではありますけれども、そういう民間の資金も呼び込みながら、また各団体の連携だとか、あるいは一般の競技団体との連携とかも進めながら、必要な体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
【水田委員】   ありがとうございました。そうすると傘になるような、障害者だけを対象にしているようなスポーツ団体ではなくて、傘のトップになっている部分について、財政的に、しっかりしたプロシステムを抱えているようなところの下にぶら下げるという形でしか、もう成り立たないということですよね。サッカーとかバスケットとかということでおっしゃっているということは。
 ここでおっしゃっているのは、もうそういうスポーツだけを考えていらっしゃるということでよろしいでしょうか。
【説明者】   失礼しました。今は一例を申し上げたところでございます。サッカーだとサッカーの中で、バスケだとバスケの中でという例を申しましたけれども、ほか、同じ障害種の中で連携されているという例も、この事業を受けておられるところがありまして、そういうのも含めてやってまいりたいと考えております。
【水田委員】   最初の質問に移りますけど、そういうところは、どうもヤマハさんの調査によると、財政基盤もかなり厳しいし、ボランティアベースだと。そういったところが連携して、何か生み出せている形ですか。
【説明者】   パラリンピックの競技団体に関して申しますと、実はこの東京大会に向けてスポンサーさんとかも参画してくださっておられて、今ここに書かれているのは、大会以降に活動が縮小するという想定というふうに、財団の調査というふうにありますけれども、このパラリンピックに向けて、普及なのか、あるいは民間の資金の呼び込みに組み取り組まれているところなどは、引き続きスポンサーさんとしても支援を続けていかれるというふうには聞いております。その辺の分析もしてまいりたいと考えております。
【水田委員】 ですので、今回のこの事業で行っているのは結びつけの部分だけで、その後の持続可能性を担保するための仕組みなり財政支援とかというのは、この事業の対象ではないということでよろしゅうございますか。
【説明者】  大変失礼いたしました。この事業は、今申しました連携の支援でございますけれども、国費というよりtoto、スポーツ振興くじにおいては団体の支援というのもしておりまして、そういうものの活用も促してまいりたいというふうに考えております。
【水田委員】   ありがとうございます。この辺りにしておきたいと思います。
【説明者】   失礼いたしました。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   そろそろ時間も参っております。コメントシートを未提出の方につきましては、送付をお願いいたします。
 引き続き、石井委員、お願いします。
【石井委員】   ちょっと違う切り口でお願いします。本事業はモデル事業であって、そのモデルが横展開というか、広がっていくことだと思うんですけども、ロジックモデルのところで、アクティビティのところにすごくモデル創出事業ということできっちり整理してあって、これ、すみません、何年度かあれかもしれないけれど、1)ボランティアの育成、2)コーディネーターの育成等々がモデル事業として選ばれて実施されたという。まず、すみません、そういう理解でいいですか。令和3年度か。
【説明者】   おっしゃるとおりでございます。
【石井委員】   それで、今度このモデル事業がどういうふうに広がっていくかというところだと思うんですけれども、その辺りの仕掛けとその広がりをどういうふうに見ていくのかというところを、初期アウトカムはモデル創出事業がよかったかどうかという感じになってしまっているので、それは直接的にそのモデル、もちろんモデル創出事業はいいに越したことはないんですけども、それがどう広がっていくのか、展開していくのかというのは、どういうふうに捉えていこうというか。もちろん、お尻のところのアウトカムというのはあるんですけども、ちょっと見えにくい感じがしたのですが。
【説明者】   まず、それぞれの取り組まれている事業の成果、横展開、取組の成果の周知といたしまして、特に令和2年度から事業の報告会を開催するに当たって、これまでと違ってYouTubeの配信をしておりまして、そこで広く自治体の方々にも見ていただけるような形にしてございます。
 当然、事業報告書の公開だとか、あるいは主管課長会議のような形での説明等はしておりますけれども、そのような形でしております。
【石井委員】   分かりました。YouTubeだと再生回数とか、そんな話になっちゃうのかなと思うんですけど、そこを広げていくときに、もう一歩、せっかくいいモデル事業ができました、やりましたといったときに、もうちょっと広げていくというか、周知していくというか。もちろん、実際のいろいろなニーズがあるという中だと思うんですけど、何かその辺りの仕掛けが。ごめんなさい、同じ質問をしています。何かないのかなというのが。
 どうしても、モデル一つ一つがいいですという感じに聞こえちゃって、その先のところなんですけど。
【説明者】   関連する他の施策・事業等を活用して、そのモデルを取り込まれる、幾ばくかの費用が必要だということであれば、関連する施策等で支援しているところなんですけれども、それを取り込んだところがどうなっているかというのは、また見ていきたいと思いますし、ちょっと、数字的なものというよりもエピソード的な話になってしまうかもしれません。その事業を受けられたところがどうなったか、あるいはその事業の成果を取り込まれるということで、この補助とかを使われる方々がどうなっていたかというのを、エピソード的には見てまいりたいと考えております。
【石井委員】   分かりました。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】   先ほどスポーツの定義があったのですが、実はやっぱりこれ、ずっと伺っていて思ったのは、今回のプロセスでいろいろなことは考えてくださったんですけれども、この事業って戦略がよく分からんなというのが率直なところです。
 というのは、今の石井先生とのやり取りもそうなんですけれども、率を増やす、上げるというところばかりに行っているような気がしています。
 ただ、これはすみません、お釈迦様に説法だと思うんですけれども、障害の場合って、例えば重い人もいるし、比較的軽めな人もいらっしゃる。そもそも身体だけではなくて、様々な障害があります。さらに言えば、生まれたときから障害を伴っていらっしゃる方もいれば、どこかで事故に遭われて障害を伴うことになる方、何かのきっかけでなる方もいらっしゃるということで、障害者って一くくりにするのは、非常に僕は危ないことなのだと思うんです。それに対してスポーツというものはどういう存在であるのかというのは、これもなかなか一言でくくり切れないんだと思うんです。
 事前のプロセスで、どちらの方と、私が研究指導に関わらせていただいたことをちょっとお話ししたことがあると思うんですけれども、大変重度な方で、御子息は既にお亡くなりなっていますけれども、でもボッチャがあったことで、御子息と御家族の関係が随分変わったというようなお話を御本人がされていて、私は大変感銘を受けました、率直に申し上げて。
それは大変重度だったし、全体からしたら割合は低いのかもしれないけれども、多分そういうところこそ支援しなきゃいけない。例えば、先ほど水田先生がおっしゃったように、要は事業団体としてなかなか成り立たないわけですよね。だとすると、率を上げるというのが本当に戦略として正しいのかどうかということは、これはすみません、もうコメントシートを出してしまったんですけれども、何かよく分からんなと率直に思っています。
 という意味でいうと、スポーツ庁が私たちの税金を使って、どういうお金の使い方をするのかということについて、しっかりとやっぱり戦略を立て直していただく必要があるんじゃないかなと思っていて、それは率一本ではなくて、どういった障害の方々に、どういう生きていく上での価値あるスポーツとして送り届ける、それが何か障害があるのだったら、そこを取り除くというのはこれは合理的配慮として当然必要なことなので、そこについて、もう一度その原点に帰ったところで戦略を立て直していただくと、今日の議論も、率を目指すものもあれば、いやそうじゃないんです、もうちょっと分解して、こういう人たちにはきちんと下支えの支援をしていくんです、みたいなところのお話が、具体論として出てくるような気がするんですけども、この辺いかがですか。
【説明者】   ありがとうございます。まず、1つの私どものやってしまったことは、最初に亀井委員がおっしゃったように、数字に偏り過ぎているというのがございまして、私も数字ありきだと思い込んでいた節も実はあって、それで、一番右の長期アウトカムのところで、スポーツ実施率であったり、あるいは、これまで週1回のスポーツ実施率というのを旗印にしていたんですけれども、それに限らず、やらないという人たちを減らすというようなことで、そこはスポーツの「楽しい」というのをちゃんと伝えたいということではございました。
 ただ、それも数字ありきだったもので、指標としては全てをひっくるめてしまっております。ただ、今ここは成人と若年層に分けてございますけれども、若年層は若年層なりに学校で体育に参加し、あるいはここで言う実施率は学校の体育の外なんですけれども、学校の外で友達と一緒に遊ぶというのもあるし、そこは、より抽象的な表現で申し訳ございません、共生社会に向かって取組をしているつもりでございます。
 そこでは例えば、先ほど川澤先生から、どうすればいいかということをおっしゃった面もあると思うんですけれども、事例としては、障害がある子供とない子供と一緒にするときに、子供たちに考えさせる。どうすればみんな一緒に楽しめるかを考えさせるということをされて、それで自分たちでルールをつくろうと。それで参加しましょう、ということをなさっているところもあります。
 若年層と、あとは成人かつ競技性の高いところというのはまたちょっとずれるとは思うんですけれども、そういうのも含めて、若年層あるいは成人、あるいはどんな障害を抱えているか、どんな時期なのかというのも含めて、目指すものというのはきちっと整理してまいりたいと考えております。ありがとうございました。
【亀井委員】   ぜひ、率一本で行かないようにくれぐれもお願いしたいと思います。そんな冷たい社会は、僕はそんな社会で生きていきたくないので。それをスポーツ庁さんがしなくなったら終わりだと思いますので、くれぐれもそこはよろしくお願いしたいと思います。
 EBPMってそういうためにあるものではなくて、むしろ皆さん自身がどういう社会をつくりたいかということを他人に伝えるためにあるものだというふうに思いますので、くれぐれもそこは誤解のなきよう、よろしくお願いします。
【説明者】   どうもありがとうございました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   まだしばらく時間があるようです。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】   今の亀井さんの話は全部につながるところになると思うのですが、例えば今回、これをモデル事業でやられていて、論点にも設定されていますけど、これをやっている自治体とやっていない自治体でどんな差異があるのかということを考えるに当たっても、今のこのゴールの設定が数字だけだったら、スポーツ実施率は高いんですよ、みたいになってしまうかもしれないんですけど、きっとそうじゃない変化があるといいんじゃないかと思うんですけど、もし今、何か分かることがあれば教えていただければと思います。
【説明者】   この事業を受けておられるとか、あるいは事業を受けておられなくても、スポーツの行政を一元化されているところ、あるいは一元化したところというのも、ちょっとヒアリングをしてみました。
 結果は、まず体制としてしっかりやるようになりましたというのがあるんですけれども、それが例えば一般のスポーツの施策、スポーツ推進委員という制度が例えばございまして、そういう方々との連携というのが進んだとか、あと、一部の県は、障害者スポーツというものに積極的になかなか取り組めていなかったところで、大会への派遣程度しかやってなかったとおっしゃっていた県がございます。それが、この事業を受けてみたとか、あるいは行政を一元化したということによって、一般のスポーツの施策と並べてみて、ここが足りなかった、ここが足りなかったからここをてこ入れしようだとか、あるいは一緒にやっていこうというふうになったというようなエピソード的なことは聞いてございます。
 ごめんなさい、ちょっと体制というか行政の話中心で申し上げましたけども、こういう事例は聞いてございます。
【伊藤委員】   ありがとうございます。一言だけ。今のは多分、やったことによる変化になってくると思うのですが、効果を見るときには、やっている自治体とやっていない自治体でどんな変化があるか。これはこの後の話かなと思うのですが、そこもぜひ見ていただければいいかなと思います。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   そろそろコメントが取りまとまったようですが、もし、何か最後に。
 亀井委員、お願いします。
【亀井委員】   だからアンケート調査に限界があるということなんです。それこそ調査を委託されているのであれば、委託している人が目利きかどうかというのは結構疑わしいところがあるんですけれども、きちんと分かっている人、ありたい姿を、まさにですからそういう意味では共有した調査機関が、ありたい状態に近いのかどうかということを観察調査として行うみたいなことが、多分、委託調査としてはとても重要になってきていて、それを見て、皆さんがきちんと立案するということが大事なのだと思います。
とにかく、だから数字とか、本人の意識を聞くのがアンケートの目的なので、かなりそういう意味では狭い目的なわけですよね。その目的に沿った形での調査方法を、きちんと皆さんが政策立案のプロとして選択していただくということがとても重要になってくると思いますので、そこはくれぐれも、既に調査をやっていらっしゃいますが、どうもあまり役に立っている感じがしないので、そこは調査設計も含めてしっかり進めていただくことが重要じゃないかなと思います。そこはくれぐれもよろしくお願いします。
【説明者】   そのようにしてまいりたいと思います。ありがとうございました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。
 それでは、コメントシートの集計がまとまりましたので、有川委員より評価結果及び取りまとめコメント案の御提示をお願いいたします。
【有川委員】   私のほうから報告させていただきます。いただきました評価結果は、事業全体の抜本的改善を求めるという票が2票。事業内容の一部改善を求めるというのが4票になりました。
 それに付されました主なコメントを紹介させていただきたいと思います。
 障害者スポーツの定義は、体を動かすことに限らず、楽しみや生きがいづくりにつながることであることの周知が足りていない。この点の捉え方が違うと、ロジックモデルが完結しないことになる。
 スポーツ推進計画に記載されているかどうかよりも、いかに障害を持っている人が楽しみや生きがいを持った生活を、スポーツの観点から送ることができるかの視点での実態把握を行うことが必要だという意見。
  それから、障壁は特にないけれどもスポーツをやっていないと答えている40%以上の障害者について、十分な分析がないまま本事業の課題対策を取ることはできなかったはずだ。早急な対応を、という意見。
それから、スポーツ実施率を上げることによって、障害者の何を目指すのか。その点を明確にして、事業の課題分析と対策を講じていく必要があるという意見。
 また、障害者の若い世代のスポーツ意欲の減退と、特別支援教育課程での減退等が対になっている感じがある。学校教育におけるスポーツ活動への取組の課題と連続性を持って原因分析し、対策を講じていく必要があるのではないかという意見。
事業の大前提であるスポーツ庁としての定義が必要だ。結果、自治体との目線がずれてしまうことで、事業の有効性が損なわれてしまうリスクがある。
 アンケートの実施方法・分析方法について、さらなる改善が必要だ。また、本事業はモデル事業であるが、どのように横展開されていくのかが見えない。有益なモデル事業であることで一定の評価はできるが、中期アウトカムへのつなぎはこれからの課題ではないかという意見。
 また、体制整備については団体間の連携を主にしているけれども、脆弱な組織同士が連携しても成果を期待することが難しいため、資金不足の解消や、専従人材を雇用できる持続可能な基盤整備に何が必要かを考える必要があるのではないか。例えば民間企業からの支援を呼び込むインセンティブや、公的資金を使った下支えなど、いろいろ考えられるのではないかという意見。
 また、事業者の意識に関わる実態調査が十分実施されていないのではないか。また、学校教育での参加を促進するための取組が不足している。成果指標にも設定されている、学校体育での参加を促すためのモデル事業や、成果の普及が必要ではないかという意見。
 それから亀井委員からは、ペーパーの後に口頭で、本事業の戦略が見えてこない。戦略についての立て直しが必要ではないかというような意見も出されております。
これらを踏まえまして、5つの点で取りまとめコメントをまとめたいと思います。結論につきましては、順番が逆で申し訳ありません、評価結果については、4票を得ました事業内容の一部改善という結論にさせていただきまして、取りまとめコメントは、今紹介させていただいたコメントを5つのポイントにまとめさせていただいて、提案させていただきたいと思います。
 1点目は、本事業の目的とする障害者スポーツの目的と定義を明確にして、それに基づいて事業展開と課題分析を行う必要があるというのが1点目の取りまとめポイントであります。
 2点目のポイントは、本事業の実施方法に係るものでありますけれども、モデル事業の横展開と、全体の今後の事業展開が見えにくい。本事業全体の戦略の立て直しが必要であるという意見を、2番目の取りまとめコメントにしたいと思います。
 3番目の取りまとめコメントは、実施体制に関わるものであります。持続可能な基盤整備に何が必要かということを十分検討して、民間企業からの支援を呼び込むインセンティブや公的資金を使うなどの方法の工夫を検討されたいというのが3点目であります。
 4点目は、同じく実施体制の問題でありますけれども、学校教育との連続性を持った原因の分析と対策を構築する必要があるのではないかというのを、4番目の取りまとめポイントとしたいと思います。
 5番目の取りまとめポイントは、せっかく獲得したデータの活用分析が十分ではない。ですから、先ほどの障害者の40%の方が、障壁は特にないけれどもスポーツ活動をしていないと答えていることについての分析が一つの例なんですけれども、せっかく得られたそういった情報についての適切な分析・活用に努めることを5番目の取りまとめポイントにしたいと思います。
 以上の取りまとめ結果と、取りまとめコメントでよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。
 以上、取りまとめが終わりましたので、これをもちまして、障害者スポーツ推進プロジェクトの公開プロセスを終了いたします。
 これにて文部科学省の公開プロセスは全て終了いたしました。外部有識者の先生方におかれましては、2日間にわたる検証作業の中、また、それ以前の御参加も含めて貴重な御意見を賜り、心より御礼を申し上げます。
 また、インターネットで視聴された皆様にも、検証作業に御参加いただきましたことを厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
 どうも長時間ありがとうございました。


 

―― 了 ――

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