令和7年度行政事業レビュー公開プロセス 議事録(6月27日(金曜日))

第1コマ目:国宝重要文化財等の買上げ

【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、お時間となりましたので、ただいまより文部科学省公開プロセスを開会させていただきます。
 私は、進行役を務めます文部科学省サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官の坂本と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 外部有識者の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、各事業ごとに4名の委員に御参加いただきますけれども、時間の関係もありますので、恐縮ですが、ホームページでの公表をもって御紹介とさせていただきます。
 この公開プロセスは、ユーチューブによるライブ配信を行い、対面とオンラインとのハイブリッドでの開催になります。
 御発言を希望される際は、机上に発言のプレートを用意しておりますので、そちらのプレートを立てていただければと思います。私から順に指名をさせていただきますので、指名を待ってから御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、プレートを倒していただければと思います。
 また、限られた時間の中でコメントを取りまとめる必要がございますので、事業担当部局からの説明の後、質疑等に入りましたら、並行してコメントの記入を進めていただくようお願いいたします。
 本日の取りまとめ役は、堀川義一委員に務めていただきます。よろしくお願いいたします。
 最後に、本会議は、外部有識者の皆様からの事業担当課に対する質疑等を通じまして、無駄の削減はもとより、さらに効果の高い事業に見直していく観点から御議論をいただきます。我が省の施策に反映させていく貴重な機会でございますので、長時間にわたる会議で恐縮ではございますが、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お時間となりましたので、ただいまより文部科学省公開プロセスを開会させていただきます。
 私は、進行役を務めます文部科学省サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官の坂本と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 外部有識者の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、各事業ごとに4名の委員に御参加いただきますけれども、時間の関係もありますので、恐縮ですが、ホームページでの公表をもって御紹介とさせていただきます。
 この公開プロセスは、ユーチューブによるライブ配信を行い、対面とオンラインとのハイブリッドでの開催になります。
 御発言を希望される際は、机上に発言のプレートを用意しておりますので、そちらのプレートを立てていただければと思います。私から順に指名をさせていただきますので、指名を待ってから御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、プレートを倒していただければと思います。
 また、限られた時間の中でコメントを取りまとめる必要がございますので、事業担当部局からの説明の後、質疑等に入りましたら、並行してコメントの記入を進めていただくようお願いいたします。
 本日の取りまとめ役は、堀川義一委員に務めていただきます。よろしくお願いいたします。
 最後に、本会議は、外部有識者の皆様からの事業担当課に対する質疑等を通じまして、無駄の削減はもとより、さらに効果の高い事業に見直していく観点から御議論をいただきます。我が省の施策に反映させていく貴重な機会でございますので、長時間にわたる会議で恐縮ではございますが、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 1番目の事業は、国宝重要文化財等の買上げです。オンラインでの説明となります。
 初めに、事業担当部局より、事業概要の説明をさせていただきます。説明者は5分以内で簡潔に説明をお願いします。また、資料での説明は、ページを示した上でお願いします。それでは説明開始をしていただきます。お願いします。
 まず、私から論点を説明させていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
 1点目としては、「目的を達成する上で、事業の成果検証のためにアウトプット、アウトカムは適切に設定されているか」という点。
 2点目としては、「これまでの事業成果を踏まえた今後の事業展開の在り方について」という点が論点となります。
 それでは、担当部局の方から説明をお願いいたします。
【説明者】  京都の文化庁でございます。どうぞよろしくお願いします。
 資料8ページをお願いします。国宝・重要文化財等の買上げ事業ということで、このロジックモデルが多分一番分かりやすいので、これに沿って御説明させていただきます。
 冒頭からちょっと先回りをして申し上げますと、恐らく今日御説明する文科省の事業の中で、ある意味一番特殊というか、何かを盛り上げるとか応援するという予算ではなくて、起こってはならない事態が起こることを阻止するための最後の手段として計上している予算でございます。
 まず、上の現状の部分でございますが、令和7年5月1日現在、我が国では約1万件の美術工芸品が国宝・重要文化財に指定されております。いわゆる仏像であるとか、掛け軸であるとか、古文書といったものでございますが、実はその約80%が民間の方による所有となっております。
 課題ですが、実は、基本的にはこの80%の民間所有の美術工芸品は適切に管理されておるんですが、やはり近年の少子高齢化の進行等の中で、主に相続の場合などを通じて、放っておくと、この国宝・重要文化財の所有者による管理が困難となる、さらに放っておくと、どこかに行ってしまう可能性があるといった事態が少なからず生じております。
 基本的にそういった場合は、より適切な管理が行える篤志家の方に買っていただくとか、美術館・博物館等で預かるといった対応で何とかなっておるんですが、やはり最後の手段として、これは国が買い上げないと下手するとどこかに行ってしまうかもしれない、あるいは、とんでもないところに行って傷ついてしまうかもしれないといったリスクが生じる場面が年に何回かございまして、こういった場合に、もう本当に国が買わないとこれは駄目だというものを買い上げるために、約10億円の予算を計上させていただいているというのが、こちらの予算のポイントでございます。
 なので、アウトカムの表記が非常に難しいんですが、短期アウトカムとしましては、とにかく最終的に所在不明になるものがあってはいけないので、毎年度、重要文化財でありながら所在不明になったものがないですという状態をキープする。そのためには、常時全国の状況についてアンテナを張って、危ないことにならないかという情報をキャッチするという体制を常に確保しております。
 この予算の特徴ですが、正直、この中期アウトカムがこの予算の本質でありますが、制度的に、色んな手段を尽くしてもやはり毎年度一定件数、これは国が買わないとちょっと駄目だ、どうしようもないというものが数件上がってまいりまして、これをしっかり買うということになります。
 ただ、KPIに書いておりますように、現状としましては、毎年度、これは買いたい、買わないといけないなといったものをリストアップするんですが、実はそれを全部買うことができない状態が続いております。直近で言いますと、買おうと思っていたものが幾つか買えませんでしたので、買上げ実施率が、達成率は約7割となっております。
 ここで本来この予算の目的は達しておるんですが、やはり当然買い上げただけで安心していては非常にもったいないですし、意味がありませんので、長期アウトカムとして、やや付け足しのアウトカムにはなってしまうんですが、実際買上げをしたものを全国の博物館等でしっかりと公開していくと。それによって、広く国民に文化財保護の重要性であるとか、日本の文化のすばらしさというものを認知向上させていくということも併せて取り組んでいくということで位置づけております。
 参考までに、買ったものが翌年度にぱっと公開できるわけではなくて、買った状態で結構傷んでいるみたいなこともありますので、数年前に買ったものが数年経ってようやく公開できるというのがこの世界の一般的な流れとなります。
 最後の今後の計画でございますが、現状として1万件の8割が民間所有の中、やはり今後も買上げ候補となる美術工芸品は一定数出てまいります。これはもう確実でございます。そして、やはりその値段等は残念ながら増加傾向にあります。そういった中で、この限られた予算をいかにうまく活用してしっかり買上げを確保し、所在不明をゼロでキープし続けるかということを、アウトカムを工夫しながら取り組んでいきたいと考えております。
 説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いします。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、外部有識者の皆様からの御質問をお願いいたします。
 まず、堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  どうもありがとうございます。
 大変説明が分かりやすくて、事前勉強会でも本当に説明の通り、普通の事業であれば、限られた予算ではありますけど、その予算を使ってより効果的にということで、数量的に増やすとか、質を上げるとかという話になるんですけれども、このパターンはそれではないという説明、最終手段であって、そこに行き着く数というか、金額的な価値が予算では網羅できない状況が続いているという現状を見ると、いかに最終に行き着く数量というか、金額というのが少なければ少ないほど良いという、通常のロジックモデルとは逆のパターンにきっとなるんだろうなという理解をしました。
 まず、そういうことで良いですか、確認です。
【説明者】  おっしゃる通りでございます。
 まさに、生々しい話をすると、10億では買えないみたいなものが出てきていまして、こういったところを一体どうしていくのかというところは非常に悩ましい問題だと思っております。
【堀川委員】  もう文化庁さんよく分かってはいるんですけど、あえてこのロジックから言うと、結局、最終に至る数とか金額を減らすためのロジックを立てておられるんだけれども、減らす方向にきっと論理展開していかないといけない。すなわち、そういう方向に行政を持っていかないといけないというのを徹底してほしいという意見にきっとなるんだと思うんですよね。
 その上で、先ほども説明がありました、10億円を超える、海外だと円安ですし、ちょっと円高になったけれど、それでもすごい円安ですので、非常に高値で売れるという状況がきっとあると思うんですけれども。そうすると、1件でも年間予算10億円を超えてしまうという現状を考えると、特に海外流出でそういう高価なもの、人気のあるものが行ってしまうというのは、非常に国としては痛いわけですよね。それをどうしないといけないのか。
 ただ、やはり予算というのは必要だからってつくものではないので、色んなバランスの中であるので、やはり予算というのは限界があるんで、ただ単に予算を増やせという議論をしても、これは現実的ではないんですよね。
 そこで、1つ提案です。基金という方法がありますよね。私が過去に見た基金では、ちょっと変わったパターンなんですけれども、毎年度予算を計上するんですよ。一般的な基金というイメージだと、まとまった額を一気に短期間に計上し、それから数年間、場合によっては10年ぐらいそれを使っていきましょうというパターンが現在多いんだけれども、その基金のパターンは、毎年度積んでいくというやり方をしているんですよね。なぜ基金をしているかというと、その後、複数年度で執行していくという、その受皿にしているんですよね。
 だから、この事例で言うと、毎年度10億円、今現在10億円、仮にこれが20億円になっても良いです。20億円積んでいったとしても足らないという現象があり続けると駄目なんですけれども、ある金額以上になったときに余剰が発生したときに、基金として受皿にしていると、これはバッファができて、翌年度以降に回すことができるんですよね。これ、変わった基金の運用の仕方ができるという事例が現にありますので、結局、それを参考にできるのではないか。
 ただ、その大前提は、やはり今のように毎年度足らない状況を何とか打破しないといけないです。毎年度足らないんだったら、そういう意味合いがなくなってくるので、いかに、予算との兼ね合いにはなりますけれども、毎年度あったものを全部使い切るのではなくて、何とか工夫して最終手段を少なくすることで、余剰を発生するような状況になったときにこのシステムが機能するということで、決して通常の基金のように一気に積んでしまうと、結局、モラルハザード的に予算執行を行われる可能性がありますので、そこはやはりやめてほしいな。あくまでも余剰が発生するような状況をつくった段階で、そういうやり方も一つの参考にしていただければなというのが私の提案です。
 一応以上です。引き続き、戦略的な事業執行をよろしくお願いします。
【説明者】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  どうぞ。
【説明者】  どこまで踏み込んで発言して良いかが悩ましいところなんですが、おっしゃるように、私個人として申し上げれば、基金という手法に実はなじむ施策分野であるというふうに、実は個人的には捉えております。
 一方で、いわゆる基金というやり方は、別の観点から、運用のやり方とかに、そもそも基金を新しくつくることに厳しい指摘があることもありますので、そういったことも踏まえながら、どういったやり方がベストかというのを、基金という選択肢も決して排除せずに、個人としては、検討してまいりたいと思っております。
 その前提として、毎年使い切っていては意味がないというのはおっしゃる通りでして、いかに最後の手段まで回ってくる案件を減らすかという、事前のところの取組をやっぱりしっかりやっていきたいと思っております。
 ありがとうございました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、川澤委員、その後、伊藤委員、お願いします。まず、川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  御説明ありがとうございました。
 今のやり取りの中でも、買入れという最終手段に至る前の取組は非常に重要だというお話ございましたので、その買入れに至る前の取組って、もう少し具体的にお話を伺えればと思います。
 まず、所在不明が発生しないようにどういう取組を行っているかということと、発生した場合に、発見するためにどういう取組を行っているかいう、その2つがあると思うんですけれども、1つ目の発生しないようにするために、先ほど全国にアンテナを張っているというような御説明もありましたけれども、もう少しそこを具体的に教えていただけますでしょうか。
【説明者】  文化財、特に美術工芸品系の文化財が所在不明になるケースというのは、実は結構複数ありまして、個々のケース・バイ・ケースでなかなか一般化が難しいんですが、個人的な感覚として、やっぱり非常によくあるのが、相続の過程でどこに行っているか分からなくなったと。それから、お寺なんかで、誰もいないところに残念ながら置いていて、監視していなかったら盗まれたというのがしばしば起こるように思っております。
 こういう世界ですので、どこそこにある文化財の管理状況がちょっと危ないようだとかいう情報とか、誰それさんが持っているあの美術工芸品が、もしかすると次の相続の方が管理に不安になっているといった情報は、人的ネットワークを通じて結構正直様々に入ってまいりますので、そういったものを踏まえながら、当課には一定数の専門の調査官がおりますので、そういった調査官が全国を動いて、そういった情報を把握して、必要があれば話を聞きに行って、アドバイスをしていくというのが基本的なやり方になります。
 起こってはいけないんですけど、所在不明になった場合は、まず文化庁のホームページで所在不明文化財に関して情報を公開しまして、情報を呼びかけます。あとは、本当にもう色々な機会を通じて、それに関するものが、極端な話、ネットオークションに出ていないかとか、といったものを常時チェックするという形になります。
 意外にといったらあれなんですけれども、所在不明の後、出てくるケースもありまして、そういったものを繰り返しているのが現状でございます。
 以上です。
【川澤委員】  ありがとうございます。
 まさに文化庁様の方から御覧になって、相続の過程であるとか、お寺で盗まれるという、色んなケースを御覧になっているんだと思うんです。ただ、所有者からしてみれば、自分の持っているもののケースしか分からないわけなので、そこは、事が起こってから人的なネットワークで情報収集するというよりは、所有者に対しては、事前に何か、その文化財が指定された段階で、こういうことには気をつけてくださいだったり、そういう注意喚起のようなものはされているんでしょうか。
【説明者】  これは、いわゆる重要文化財の所有者向けの十数ページに及ぶ手引きがございまして、これは必ずお渡ししております。そこに、重要文化財の管理者として、結構法的な規制が幾つかかかりますので、それについては、全部説明をさせていただいております。
 ただ、率直に申し上げて、それが、例えば、所有者が変更するときには必ず連絡が必要ですし、そもそも場所を移すことだけでも連絡が必要なのが重要文化財なんですが、100%それが徹底されない世界ではありますので、そこを一個一個丁寧にフォローしていくというのが現状でございます。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
 所在不明にならないようにするための前後の活動として、様々な取組があるということは今理解いたしましたので、その意味では、この短期アウトカムで発生件数って、なかなかその発生すること自体を抑制するのが難しい、けれども、そういった取組があるのであれば、これを指標と設定することは、個人的には妥当なのではないかなと思いました。
 次に、長期アウトカムなんですけれども、先ほど、副次的に公開も意図しているので、この指標が設定されているというお話ありましたけれども、この42件という水準がどのくらいの意味合いなのかというところがなかなか分かりにくいなというところは思っていまして。ただ、一方で、これ、大体文化財のうち国が買い取っているのが900件ぐらいというようなお話も伺いましたので、先ほど買い上げてから翌年に公開することも難しいというのもありましたので、全数のうちどのぐらいを公開しているかみたいな割合の方が、この努力が分かりやすいのではないかと思ったので、その辺りいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。おっしゃる通りかと思います。
 確かに、ここの設定の仕方は難しくて。一般論で申し上げれば、買い上げたのに一回も公開していないものがあるというのはやっぱりおかしな話ですので、そこは当然、買い上げたからには一回は公開するということを目指していくのがまず基本にあります。
 逆に、一回公開したら、もう未来永劫公開しなくて良いんだというのもやっぱり変ですので、一定の周期で、買い上げたものは必ず公開の機会が確保されるように回していくと。それをどういうKPIとして表現するのがよいか。確かに、42件というのは、単純に昨年度公開した件数を言っているだけですので、そこのところは分かりにくい数字になっているというのは、おっしゃる通りだと思います。これまで累計で買い上げたものが何件というのは確かにございますので、そのうち過去10年以内で公開に至っているものの割合というふうにやれば、より分かりやすいというか、求めているものに近い手法になるかなと、今お話を伺っていて思いました。
 以上です。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
 まさに1回以上、それも複数回であることが望ましいと思いますが、そこをどう工夫するのかというのは、ちょっと私も考えたいと思います。
 一旦以上です。ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  伊藤です。よろしくお願いいたします。
 まず1つ、さっき堀川さんとの話の中の基金の話なんですが、私、一昨年のこの行政事業レビューでかなり中心的に基金のことを取り上げたときに、ずっと担当していたので、御担当の言っている御趣旨はすごいよく分かっているつもりで、新しい基金は本当につくりにくいなと思います。
 ただ、それは駄目だということを決めているわけではなくて、あくまでも基金としてつくるときには、しっかりと3年程度の予算で見直しをしていこうというところなので、私は、正直言って、これは基金になじむところはあるのではないかなと思うので、これ、じゃ来年度という話ではないかもしれないですが、そこのチャレンジというのは十分考えられるのかなと思います。これ、1つはコメントです。
 もう一つが、今川澤さんからも話のあった長期アウトカムと目的の部分なんですが、目的を読むと、買上げを実施するとともに、国民の財産として広く公開・鑑賞の機会を確保するという、買上げ、つまり、ちゃんと保存をするということと公開、2つが目的として入っているなと思うんですが、この2つの目的って、実はそんなにつながっているわけではないなと私は感じていて、まず、そこを御担当としてどう思われているかということと、特にどちらにウエイトが置かれているのかというのがもしあれば、教えていただきたいと思います。
【説明者】  ありがとうございます。
 おっしゃる通りでして、あえて申し上げれば、実は、本事業の目的は、「有償譲渡が検討されている重要文化財等について、必要なものに限り、本事業による買上げを実施する。」で終わるものです。併せて、「買上げを実施したものについて、確保する。」というふうにやって、ウエイトをつけるなら、やはり前者が主眼であるというふうに説明せざるを得ない事業であると認識しております。
 以上です。
【伊藤委員】  このロジックモデルをそのまま読んでしまうと、公開のために買上げ・保存をするというふうにどうしても読めちゃうところがあるなと思っていて、多分そこは、今の御担当というか、この事業の進め方の実態と若干違っているのかなと思っていて、公開のところは、多分これって、もちろん文化財保護法で、保護だけではなくて活用するんだということを書いてあるから、もちろんそうではあるんだけれど、副次的な効果なのかなというふうには認識をしていて。であると、やっぱりいかに流出だったり逸失をなくすために、しっかりと計画的に買上げをするんだというところをもう長期アウトカムに書いていく方が良いんじゃないかなという気がするんですけど、その辺、いかがでしょう。
【説明者】  おっしゃる通りです。ちょっと情けない話、まさに公開は正直副次的な部分なんですが、ここを書かないと、短期・中期・長期のアウトカムを埋め切らなかったので、すみません、あえて長期アウトカムとして書いておりますが、本来であれば、より精緻に、この買上げの部分を短期・中期・長期に分けて設定する方が、よりシュッとした施策説明になるとは思っております。
 買上げのものを公開しないというのは、逆に、確かにないので、あくまで副次的であるということを前提にしつつ、長期アウトカムとして書かせてもらう方が、トータルとしてのイメージがつかみやすいかなとは思ったんですが、あくまで公開は副次的効果であるということが分かりにくいのではないかというのは、おっしゃる通りだと思います。
 以上です。
【伊藤委員】  ありがとうございます。
 変な話、埋まらなかったら、時間軸のこの短期・中期・長期、どこかで合わせちゃっても良いなと。ロジックモデル上は、中期はなくて、短期と長期だけでも良いかもしれないですし。ただ、もし私がここを埋めようとすると、やっぱり民間側で持っている8割、役8,000点のうち、30年後、40年後まで、もちろん、これ、母数が増えてくるところもあるとは思うんですが、文科省として管理しなければいけない全体数が幾らあって、これを最終的に、もちろん買上げという方策だけではないかもしれませんけど、これくらいは文科省としてしっかりケアしていくんだというところは、長期アウトカムに十分入り得るのかなと思いました。
 ごめんなさい、もう1点だけ。そのときに、やっぱり目利きというか、価値と保存状態を加味した上で買上げをするかどうかを決められているという、この間の勉強会でもお話を伺っていたんですが。この価値の見方というのか、これは基本的には、専門の方が見ながら、これは今の状態だったら買上げをした方がい良いというような流れで決めていくものなんでしょうか。
【説明者】  おっしゃる通りです。細かく言うと2段階ありまして、私はいわゆる事務官の課長ですが、先ほど申し上げたように、調査官という専門の、まさに美術品を専門とする公務員の職員が一定数おりまして、まずそこが一次的なチェックをします。併せて、その中で本当に候補に挙がってきたものは、うちの課の外の有識者会議にかけまして、これは買い取る必要があるねという結論を出すと。さらに、今度は別の会議にかけて、値段を、鑑定額をつけるといった仕組みを取っております。
【伊藤委員】  ありがとうございます。
 もし既にされていたら、また言っていただければと思いますけど、デジタル技術が大分進展していて、文化財に限らずですけど、劣化度であったりとか老朽度、あと、何かのものの中身を赤外線で見た上で、どれだけこの後現状をとどめられるかというところまで今測れる技術があるなと思っていまして、私が知っている中でも、実際に文化財が地中に出てきたときに、その地中をどのくらい掘れば良いかというのを全部AIが解析をしてくれるというような技術を見たこともあるんですが。というようなデジタル技術の活用というのは、既にされているんだったら、それを教えていただきたいと思いますし、もしまだだったら、そういうのもあり得るのではないかなと思うんですが、そこはいかがでしょう。
【説明者】  私の知る限り、残念ながら、いわゆる鑑定とかチェック状態は、まさに現地で現物を見てというアナログのやり方が主流でして、デジタル的な手法をメインで使っているという状態ではないと思います。
 ただ、使わない理由はありませんので、敷居が低くて、ぱっと一定程度料金とか払えばちゃんと簡単に使えるという技術であれば、それを導入していくことは全くやぶさかではないと思っております。
 以上です。
【伊藤委員】  ありがとうございます。
 そういうところを新しい技術を使うことにより、必要なものを買い上げていくということは十分考えられるかなと思います。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、石田委員、お願いします。
【石田委員】  一遍に言うと混乱するかもしれないんですけど、4つ、もう先に聞いてしまいますので、お答えしやすいものからお願いいたします。
 1つ目は、申入れが今あるものに対して、買い上げたいと思っていても応じられていないものがどのぐらいあるのかという、アウトカムの買上げ実施率というものとの関連かと思うんですけれども、実際にどのぐらいできていないなと認識されているのかというのが1つ目。
 2つ目は、相続のときの散逸のお話が結構あったんですけれども、税務上の、税制上の優遇策等は十分であるというふうに御担当部局の方では考えていらっしゃるか、課題はないかということが2つ目。
 3つ目は、買上げ後の公開・鑑賞ということなんですけれども、これはリアルのどこか場所での公開のみを対象としているのか、あるいは、デジタルその他活用して、色んな形での公開ということをされている、もしくは、そこを目標に置いていらっしゃるのかというのが3点目。
 それから、最後、4つ目ですけれども、所有と管理をどうも一致して考えていらっしゃるようなんですけれども、買い上げるということは、置く場所も確保して、国の方がそこに移動させるということなんでしょうか。あるいは、維持管理権限ないしは、そこに対する何らかの権利、独占的な権利を国が確保することによって、そこに対してお金を多少、買い上げるよりは権利設定の場合の方が安くなると思うんですけど、そういうような所有以外の方法での自分たちの管理下に置くという方法も何かされていらっしゃるのか。
 以上4点、教えてください。
【説明者】  ありがとうございます。順番に回答させていただきます。
 まず、どのくらい買えていないかということですが、まさにこの中期アウトカムのKPIに書いた買上げ率、令和6年の71.4が分かりやすいんですが、これは、要するに、9分の7ですよね。要は、7件買いたかったんだけど、令和6年度は結局5件しか買えなかった。つまり、2件買えないものがあったというのが、令和6年度の状況でございます。
 正直申し上げると、もうこれは予算的に言って買えないのが確実だから、今回はもう鑑定、つまり、値段をつけるのに回すのは一回やめておこうみたいなことも正直ありますので、生々しい話ですが、今本当に順番待ちをしているものをばばっと粗々値段をつけたら、感覚的には、約1年分の予算が足りないぐらいの感覚かと思います。要するに、現状では買えていないものが年間数件以上出てくるのが常態化しているというのが現状でございます。
 それから、相続でございますが、ちょっと今日は説明割愛しましたが、重要文化財に指定されておりますと、相続に関する結構様々な優遇措置がございますので、それは前提として、結構確保しているというふうに思っております。
 それを受けてなお、相続した後も当然維持管理費とか修理費がかかってくるので、それはもう自分では責任が取れないというふうに思われる相続人の方が一定数いらっしゃるのが現状かなと思っております。
 それから、公開ですが、このKPIの42件としておりましたのは、基本的に美術館・博物館等で実際に観客の方に来ていただいて、オンサイトで見ていただくというものの件数でございます。それとは別に、おっしゃるように、最近デジタル上の公開みたいなことも別途取り組んでおりまして、変な言い方ですが、高精細画像ですと肉眼では見れないものも見れたりするので、そういった面白さもあるんですが、確かに、それをここでいう公開件数にカウントするかどうかというのはちょっと悩ましい論点なんですが、美術館・博物館とかでの現地での対面での公開は当然やりつつ、併せて、そこに来れない人のためにデジタルデータ等の公開も取り組んでいくというのは、当然やってしかるべき方向性かなと思っております。
 最後、所有と管理の部分ですが、まず、これ、端的には、一番厳密に言いますと、国が買い上げた場合、国が保管することになります。うちの課には、庁舎の中にそれ専用の保管庫が実はありまして、そこに実は現状でも一定数、重要文化財とかを実際に置いて、温湿度管理等を徹底しております。
 一方で、それは非常にもったいないので、まさに全国の博物館に管理だけ渡すという、寄託という仕組みがございまして、買った後で国立博物館とかに寄託することによって、公開・管理等は一旦ほぼ全面的に委ねるといったこともやっておりまして、先ほどのKPIで公開に至っているもののほとんどは、こういったものでございます。
 説明は以上です。
【石田委員】  ありがとうございました。
 ちょっとばたばたお伺いしてしまったので申し訳なかったんですけれども、1つは、やはり自分たちが買い上げたいという7分の5というのも、本当はもっとあるはずなのにというところだとか、あるいは、ニーズとしてはもっと買ってほしいですというような御要望があるのに応じられているのかどうかということも考えると、実際の割合の分母というのはもっと大きいのではないかなというふうに、お伺いしながら思ったところです。
 先程来、出ておりますけれども、こういうものは、取得と、それから、その後の活用というところが本来違う話を今一緒くたにされていると思うんですけれども、ここのところは、このロジックモデルですけれども、国宝の滅失などの未然防止の話というのと、広く知ってもらうというブランディングを向上させるというのは、ここを2つ分けて、それぞれのところをそれぞれ整理していただくと、より分かりやすくなるのではないかと思っておりました。
 その中で、買い上げていくこと自体が、基金は大変かも分からないんですけれども、若干ファンドみたいな形で買い上げて、十分に買い上げたものをちゃんと活用していって、そこで収入も得られるみたいな仕組みは、少し新しい基金の使い方としても検討されても良いのではないかなと思いながら聞いておりました。
 また、所有権の買取りとなると、やっぱりおのずと高くなるので、そこのところに独占的な権利設定ということですとか、限られた予算でも実質的に所有権を主張している、あるいは、管理下に置けるというのと同じぐらいの効果のできるような新しい手法についても検討されてはどうなのかなと思って聞いておりました。
 相続時のことも、今十分ですというのはおっしゃっていただいたんですけど、恐らく相続人の方からすると、納税猶予を受けられても、最終的にはどこかの段階でこれ払わなければいけない、猶予だけでしょうとなると、結構負担感があると。また、今、相続人がいない方もいらっしゃいますので、そういった意味の相続時の散逸防止ということについて、もう少し他の対策も必要ではないかということについては、文化庁さんからも声を上げていただけた方が良いのかなと思いました。
 私から以上です。
【説明者】  ありがとうございました。
 相続時のところは、ちょっと中でも検討しまして、どういったことができるかは考えてまいりたいと思います。
 ありがとうございました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、各委員の方でもうコメント記入を進めていただいているかと思いますけれども、できましたら事務局の方にお知らせいただきたいと思います。回収をさせていただきます。
 その間に、もし何か追加で御意見、御質問がございましたら。
 川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  御説明ありがとうございました。
 先ほどのやり取りの中で、そもそも買上げ対象としたいものというのは7件以上ある中で、実際のプロセスに載せるものというのを絞り込んでいるというお話ございました。
 1件当たりでももう既に予算額を超えるほどの規模のものもあるというところで、1ページの資料で、事業内で計画的な買上げというところも書いてくださっているかと思います。この計画的なところは、330冊という本なので、分割して4年かけて計画的に買上げを行いやすい文化財であるのかなとは想像するんですが、1件当たりの規模が大きい場合に、なかなか持ち主の方との合意が得られにくいとは思うのですが、分割してお支払いをして買上げをするですとか、そういった少し計画的な買上げというところの領域を増やすですとか、そういった取組というのはされていらっしゃるのでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。
 まず実態としては、おっしゃるように、分割で買うことが可能な、正直ケースとしてはレアなんですが、分割して買うことも不可能でない場合に、所有者様と調整をして、そういったレアな購入手法を検討するといったことはあります。
 一般論として、国宝・重要文化財は、やっぱり持っている方はそれだけで、それに価値がありますので、売りたいというケースはどちらかというと本当にレアなんですが、それでもやっぱり一定数発生すると。そういった場合に、どうやってそれをちゃんと受け止めるかというところで、分割するという手法は排除されてはいません。
 一方で、これも生々しい話ですが、やはり現状の予算では買い切れないのが実態ですので、その場合に、この所有者さんはあと数年は待ってくれるだろうとか、ここはちょっと買わないと本当に無くなるかもしれないみたいなのはやっぱり順序としてありまして、そういったものも勘案しながら、かつ、正直、一個鑑定額をつけるのでも、やはり外部有識者に現地で見てもらわないといけませんので、それもそれでコストがかかるといった中で、どれをリストの上に回して、どれから買っていくかというのは、もう日々、色んな調整をしながら、限られた予算の中で進めていっているという、そういう状況でございます。
 以上です。
【川澤委員】  分かりました。どうもありがとうございます。
 おっしゃってくださった、資料の13ページだと思うんですが、買取りの手続という流れを拝見しまして、非常に慎重な手続になっているのは、買取りの要否をまず報告をした上で、評価額を別の会議体で決定した上で審議会に諮ると。
 その意味では、事前に、ここのプロセスに載せるものをどう選定するかというのは非常に重要なんだと。そこはまさに内部での取組で、特にそのプロセスを公開しているというか、公になっているわけではないという、そういう理解でよろしいですか。
【説明者】  基本的には、おっしゃる通りです。
【川澤委員】  分かりました。どうもありがとうございます。
 一旦、私から以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 今もうコメントをそれぞれいただきましたけれども、取りまとめに若干お時間をいただければと思います。
 その他、何か御質問、御意見などありますでしょうか。
 石田委員、お願いします。
【石田委員】  ちょっとお時間があるということなので、相続のときの現場の方の実態を、もし差し障りのない範囲であればお伺いしたいんですけれど。
 これから2040年に向けて、さらに85歳人口が増えていってみたいな中で、今管理している人の認知能力とかも下がっている。でも、一方において、それを今度見ている人も高齢化しているとか、あるいは、先ほど申し上げたように、相続人そのものがもういらっしゃらないという方も非常に増えている中で、この辺りで、相続ということでの散逸に対して、何らかこの後改善していく余地があるのがたくさんないのかなと思っているんですが、何か現場の方でお感じになっていらっしゃる大きな課題とかがあれば、この機会ですので、教えていただけますでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。
 ややすれ違った回答になるかもしれないのですが、おっしゃるように、特に民間の場合、民間企業が持っている場合もありますけれども、一個人の方が持っていらっしゃる場合は、その安定的な管理がやっぱり一番リスクがあるというのは実態だと思います。
 正直、文化庁の感覚からしますと、一番安全なのは、この持っていらっしゃる方がしっかりしている間に、できればもう何でしたら最寄りの博物館とかにもういわゆる寄託、預けてしまって、その管理を委ねるというのが実は文化財にとっては一番安全ですので、もしそれをやっても構わないということであれば、是非それは推奨するというのが基本的なスタンスになります。
 ただ、寄託をしても、あくまで所有者という立場がなくなるわけではないので、最終的にその管理の責任を負い続けるということが嫌だということで、できれば売りたいと言われる方も一定数いらっしゃるので、そこは所有者の判断になりますので、そういった場合に対応するようにもしなければならないということで、あえて申し上げれば、一人の個人が永続的にその貴重な重要文化財の管理責任を個人で負い続けるというのが別にベストなわけではないと個人的には思っておりまして、外部の専門家の力が借りられる場合は、是非そこはまずは使っていただきたいというのが基本的なアプローチかなと思っております。
 以上です。
【石田委員】  ありがとうございます。
 恐らくその外部というのも、国の関連施設ですとか、そういった博物館とかもありましたけれども、そうだとすると、そちらの方に移したとて、そこのところの管理コスト、担い手不足みたいなところとか、場所不足とか、恐らくそこの課題がまた出てくるんだろうなと。そうすると、どこに置いてどうするのかというもの、あと、散逸防止どうするのか、あるいは、日本の国の宝を逃さないようにどうするのかとか、これをみんなに知ってもらうのかという、色んな目的がここにごちゃっと混ざった中で、限られた予算で非常に御苦労されながらやっているんだなと思ったところですが。
 やはり、これ、長期の流れで、先ほどみたいに、今はこうして欲しいと言っている方が、長期的に見て、このくらいの年が経ったらばこうして欲しいんだみたいなお話もどうも出るようですので、やはり長い目で見て、これはちゃんと国として確保できるのかという財政の確保の仕方というのは、このプロジェクトというか、これに関しては必要なのかなと思ったところです。
 ありがとうございました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  これはもうさっきからずっとお話も出ていますし、じゃ、今10億円の予算が来年度20億、30億になるかというと、きっとならないし、今はまだ何とか防げているけれども、10年後も同じように0件で防げているかという保証がないというのは、この事業の一番辛いところだなと思っていて、これは基金の見直しをやっていた自分が基金の話をするなんて本当に変なんですけど、基金のことで本当に考えなければいけないかもしれなくて。
 ただ、そのときに、全部国費というのはやっぱりしんどいところがある中で、民間の資金をどうやって持ってこれるかというのも結構重要ではないかなと思うんです。
 特に、地方レベルでいくと、文化財まではいかなくても、文化に対して民間企業からマッチングファンドを取るというのは結構増えてきているところがあると思うので、何かそういう基金的なものをつくるときに、民間からも持ってくるというようなことは考えられるというか、考えないといけなくなってくるのではないかなと思うんですけど、もしお考えあればお聞かせいただきたいんですが。
【説明者】  ありがとうございます。
 ちょっと回答が難しいお尋ねではあるんですが、おっしゃったように、最近では、文化財の世界で、いわゆるクラウドファンディングとかというのは、一昔前まではちょっと考えられなかった世界なんですけれども、最近大分市民権を得てきたなというのは率直に思います。
 仮定の話として、おっしゃるように基金という手法を使う場合は、外部からの資金の受入れというのも、いわゆる政府予算でやるよりはやりやすいとは個人的にも思いますので、個人的には十分検討に値する御提案だと思いつつ、やりますと言いにくい場ではあるので、御指摘も踏まえながら、様々に検討してまいりたいと思います。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、コメントの取りまとめ、よろしいでしょうか。堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  では、取りまとめさせていただきます。
 本件事業、所有者による維持管理が困難となった国宝・重要文化財等について、真に国による買上げが必要なものを対象に適切な保管管理を図ることを目指していますが、今回、各委員から様々な意見が出まして、それを総合すると、幾つかの重要な課題も見えてくるかなと。
 最初に、全体的なイメージで言うと、文化財の保全と公開という二面性をどう位置づけるのかということと、買上げはあくまでも最終手段、使用の設定や資金確保とか保存技術の進展等を踏まえ、制度の柔軟化と、相当考えて文化庁さんは進めているというのは十分伝わってきたんですけれど、さらにという意味なんですが、効果的な執行が鍵になると。そのためには、公開件数とか、デジタル化の技術とか、基金スキームとか、ファンドとか、はたまた相続時喪失するという点などをやはりさらに検討していただきたいという全体的な話なんですけれども。
 そこで、取りまとめコメント案としては、各委員から出た話をそれぞれカテゴリーごとにまとめてみたいと思います。
 まず、事業の指標及び効果、さらにはロジックモデルという観点から言うと、まず短期アウトカム指標を、新たな所在不明文化財の発生件数とすることは非常に重要なポイントであると。
 次に、長期アウトカムという点では、文化財の公開にわたる実績を公表することは必要という意見と、その一方で、この事業としては副次的な効果だから、あくまでも保存に特化した方が良いという意見と、さらに、この2つの考え方を分けて分析するのも一つの手ではないかという3通りの見方が今回提案されています。
 次に、KPIとして、買上げ対象となる件数がありますけど、これは少ないほど良いという通常のロジックとは逆構造になっている点が認識された、重要であるという意見が、まず指標効果についてです。
 次に、もう一つですけれども、今後の事業の執行のあるべき姿はどうなのかという点です。これも幾つか、様々意見が出ております。先ほど言いましたが、ファンドによる発想で基金の活用もあっても良いのではないかと。これは民間企業の導入も含めてという、受皿、そういう発想が複数の委員からも出ていますし、限られた予算というのが当然ネックになっておるわけですけれども、買取りの仕方も、所有権の買取りのみではなくて、権利設定によって、より効果的に買い取る方法もあっても良いのではないのか、予算を抑制しつつ、取得と同等の効果を生む手法を検討されてはいかがかと。
 また、収入の確保の在り方として、デジタルを活用して効果的に上げる方法はないのかという検討をされてはどうかと。
 また、先ほど言いました相続時における税制優遇他、散逸防止・維持などの施策をさらに検討を深めていただきたい。
 また、買上げに必要な文化財の判断、価格の決定等について、当然専門の方々はおられるけれども、さらにデジタル技術の活用も今後検討をさらに進めていただきたい。
 また、芸術的・学術的な重要性、劣化度の保存についても、AI等のデジタル技術を活用することを検討していただきたい。
 先ほど基金については、そういう方向を賛同する委員複数ありますけれども、ただ、基金の前提にするのは、今みたいに使い切った形で基金化すると、やはりモラルハザード的になってしまうので、毎年度余剰が発生するような状況になって初めて成立するという意見がありましたので、それも検討していただきたいと。
 以上、事業の質と効果を高めるために、これらの課題を克服し、戦略的な事業の実施を目指していただきたいというのが、ちょっと長いんですが、以上、取りまとめコメントです。いかがでしょうか。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、今コメントを取りまとめていただきましたので、これをもとに今後のプロセス、そして、施策の反映を進めさせていただきます。
 それでは、このセッションを以上で終了いたします。
 次の2つ目の項目、幼保小架け橋プログラム促進事業については、11時開始ですので、それまで休憩とさせていただきます。ありがとうございました。
 文化庁の方も、御対応ありがとうございました。

 

第2コマ目:幼児教育推進体制等を活用した幼保小の架け橋プログラム促進事業

【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、議事に入らせていただきます。
 2番目の事業は、幼児教育推進体制等を活用した幼保小の架け橋プログラム促進事業です。
 初めに、事業担当部局より事業概要の説明をさせていただきます。説明者の方は、5分以内で簡潔に説明をお願いします。また、資料での説明は、ページを示した上でお願いします。
 それでは、説明お願いします。
【説明者】  初等中等教育幼児教育課でございます。資料31ページを御覧いただければと思います。
 幼保小の架け橋プログラム、幼保小の架け橋という言葉でございますけれども、5歳児から小学校1年生まで、これを架け橋期と称しまして、小学校以降の学びへの円滑な接続を目指すものでございます。
 事業の経緯を御覧いただきますと、①として、過去に、令和元年度から6年度まで幼児教育推進体制を活用した地域の幼児教育の質向上強化事業、これを補助事業としてやってまいりました。自治体の幼児教育センターの設置、あるいは、幼児教育アドバイザーの配置ということを進めてまいったわけでございます。
 また、同時に、令和4年度から架け橋プログラム事業を委託としてやってまいりましたけれども、この架け橋プログラム、令和4年度から令和6年度で、主体的に学ぶ児童の増加でございますとか、登校渋りの児童の減少、こういった効果も見られるところでございます。
 この事業を、①の推進体制をベースに、③として、令和7年度から幼保小の架け橋プログラム促進事業というものを補助事業として開始しているところでございます。
 資料の32ページを御覧いただければと思います。
 事業内容といたしまして、自治体における幼児教育センター等の幼児教育推進体制を活用した、5歳児から小学校1年生までの架け橋期のカリキュラム策定・実施・改善を行うというのが事業内容でございます。
 右の図の下の図でございますけども、3つの要素で構成されておりまして、1つが架け橋期のカリキュラムを実施、それから、2として、幼児教育に関する指導・助言を行う幼児教育アドバイザーの活動、それから、3つ目として、幼児教育アドバイザー等の人材の育成を行うというのを柱として掲げているところでございます。
 続きまして、資料の36ページを御覧いただければと思います。
 ロジックモデル、現状のところでございます。架け橋プログラム、令和4年度から令和6年度にやってまいりました実証・成果検証によりまして、小学校入学当初の教師の指導方法が変わり、子供を主体的な姿がより見られるようなってきているなどの成果が上がっている。
 課題としまして、カリキュラム策定を行っている自治体が4分の1程度、また、アドバイザー、架け橋コーディネーターの候補者の育成が進んでいないという課題がございます。
 これを受けまして、アクティビティ3つでございますけれども、1つ目が、架け橋期のカリキュラムの策定等、アウトプットとしまして、そのプログラムに取り組む自治体の増加、短期アウトカムといたしまして、幼保小の連携・接続状況の向上、長期アウトカムとしまして、幼保小接続期の教育の質の向上が図られるとしております。
 この接続の教育の質の向上でございますけれども、具体的には、KPI3でございますが、子供の姿に変化があった、すなわち、主体的に学ぶ姿等の子供が増加したようなことが一つ考えられますけれども、そういった質の向上は図られているというふうに整理しております。
 また、アクティビティ2番目でございますけれども、幼児教育アドバイザー活動の実施ということで、そういったアドバイザー派遣に取り組む自治体の増加、指導・助言を受けた幼児教育施設が短期アウトカムとして増加しまして、長期として、保育者の質の向上が図られると。
 これもKPI6でございますけれども、保育者による子供への関わり方や指導方法に変化があったと回答した割合というのを示しております。
 最後に3つ目、持続可能な実施体制の構築に向けた人材育成でございますけども、人材育成に取り組む自治体が増加し、短期アウトカムとして、人材育成が継続的に行われ、行われた人材が配置されているというのが長期アウトカムに位置づけております。
 インパクトとしまして、この事業モデルを展開することによりまして、全ての子供が小学校以降の学びへと接続できる環境を構築すると、こういった整理をさせていただいております。
 以上でございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、論点の説明をさせていただきます。論点等説明シートを御覧いただければと思いますけれども、2つございます。
 全国の実態やニーズを踏まえた効果的な事業設計になっているか、そして、事業成果検証のための適切なアウトカム、アウトプットは設定されているかというところでございます。
 それでは、委員の皆様からの御質問をお願いいたします。
 堀川委員、お願いいたします。
【堀川委員】  ありがとうございます。
 本件事業の方向性、すなわち、幼保小の架け橋時期において、子供たちの連続的な育ちを支える体制を構築するという趣旨については、恐らく誰も異論はない、極めて納得性の高い事業だと私は考えます。
 ただ、これだけ共感性がある事業でも、実施の事業展開が留まっている、進んでいない部分があるという。当然広がって良いじゃないのかというところにも関わらず、行っていない。変な話、国の補助金がなくても、地公体が自らやってもおかしくない事業だと僕は思うんだけれども、やはりそこが進まない何か理由があるから、国はやはり支援せざるを得ないということなんでしょうね。
 この資料を見させていただいて、様々なネックはきっとあるんだと思います。特に担当の方々はきっと十分承知されていると、説明を聞いていて感じるんですが、私が思ったのは、1つは、人材ですかね。人材育成ということも打ち出しておられますけど、確かに、この幼保小をコーディネートするって、これは難しいだろうなって。様々な経歴の方は、どちらかというと、教職されていた方が退職された後されるとか、やはり熟練した人でないとできないんだろうなという、そういう人材の確保がきっと、人的資源が、地公体の大小、規模の大きさにも関わると思うんですけれども、そこがしっかり人というか、小学校とか幼稚園とか保育所に一定程度の影響力があるというか、この人ならついて行っても良いよなという人をどう見つけるのか、はたまた育てるのかということがきっと一番重要に、私は資料的にはそういう認識をしたんですけれども、その点いかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。
 今堀川委員御指摘の通り、まさに人材の育成というのが大変重要な課題と思っております。
 まず人材というのは、今御紹介ありましたコーディネーターですけれども、資料の33ページを御覧いただきますと、幼児教育アドバイザーと架け橋期のコーディネーターということで、どういった実績のある、勤務経験のある方かというのを書かせていただいておりまして、アドバイザーにつきましては、幼稚園の園長・副園長経験者の方、架け橋につきましては、小学校側のことも御存じである必要がございますので、小学校の校長等というふうにさせていただいております。
 確かに、こういった方々を退職された方の中で見つけていくということもございますけれども、現職のときから、幼児教育センターなどを活用しまして、保育者、それから、幼稚園教諭の合同の研修なども自治体の方で取り組んでおります。そこを通じて、都道府県の方で人材育成を日頃から行っていただくということを、私どもとしては想定してございます。
 資料の37ページを御覧いただきますと、先ほど委員から御指摘もございましたけれども、まず都道府県の役割としまして、そもそも域内の幼児教育施設への指導・助言、研修の実施というのを役割として位置づけさせていただいております。また、3つ目の丸でございますけれども、市町村幼児教育アドバイザー等の支援というところ。
 ただ、全国展開に向けた課題としまして、人材が不足しているということ、また、域内の施設数が多く、カバーしきれないというのが、事業実施にためらいがあるというような課題として私ども認識しておりますので、全国展開に向けて必要な方策としては、都道府県が域内の市町村を対象に、幼児教育アドバイザー等の育成の研修を行っていただき、それを将来的には自治体の方でも自走しながら配置をしていただくというようなことが、これから求められていくことではないかと考えております。
【堀川委員】  全く同意見で、結局、そこを現役の経歴のある方をお願いするとかも一つですけれども、やはり育成するという視点で言えば、今おっしゃったように、現役の方とかも含めて、または、プロの養成という観点もあるのかもしれませんけれども、それに向いている方等を見つけるのか、育成するのか、そういう観点からやはり引き続き重点的に進めていただきたいなということです。
 ロジックモデルとしては、これで良いと思うんですけれども、その辺の人材育成におけるネックも承知されているようですし、まだ、カリキュラムとか幼児教育センターも、資料を見ると、設置していない都道府県がありますよね。文科省として、設置していただきたいという立場で間違いないんですよね。
【説明者】  ありがとうございます。
 今、資料、画面上アップされておりますけれども、幼児教育センターの設置で、都道府県につきましては、39の道府県でございまして、まだ白いところが空白地域でございますけれども、私どもとしては、47都道府県において、この幼児教育センターの設置を目指すという考えでございます。
【堀川委員】  私も、過去に地方自治体の補助金とか、委託とか、色んな制度を見させていただく経験があるんですけれども、大体地公体にはそれぞれやはり色んな立場があって、色々な事情があるケースがあって、一概になかなか国の方から、平等主義ですから均等に政策を国はせざるを得ないんだけれども、ただ、地公体にはやはりそれぞれ色んなマッチングしにくい事情があるケースがあるんですよね。それは聞いてみないと分からないんですけれども、きっとこれだけ、繰り返しになるんですが、当然良いことにも関わらず、それができていない場合、大体ちゃんとした理由があると思うので、それもきっと承知していると思うんですけれども、その辺の自治体側に立った分析をして、やはり文科省としては設置していただきたいんだったら、そこをフォローするという政策を、歩み寄るという政策をやらざるを得ないと思うんですけど、その辺はいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。
 今堀川委員から御指摘ございましたけれども、1つが、特に保育所も幼稚園も同じでございますけれども、私立が大変多い状況、幼稚園で申し上げますと、7割が私立でございます。
 そうしますと、なかなか日頃から、自治体の方で、公立とはやはり違って、やや接触について色々調整に時間がかかるというのが1つございます。
 もう一つが、自治体としまして、やはり義務教育以上というところにどうしても資源を優先的に投入するという傾向がございまして、幼児教育につきましては、大事ではあるとは分かっているんだけれども、なかなかそこまで手が回らないというような自治体も多いと認識しております。
 私も、今回のこの事業ではないんですけれども、幼児教育、これは保育所も認定こども園も幼稚園も受けた全ての施設を対象にしておりますけれども、5年間の追跡調査を昨年度から始めております。つまり、幼児教育を受けた方々、どの幼児教育施設で受けたらどのような子供の成長が見られるかといったところを、エビデンスをもってお示ししたいと思っておりまして、そこで幼児教育の重要性というのをまた訴えていきたいと考えております。
【堀川委員】  委託事業から補助事業に展開していくという、このタイミングであるからこそ、ここは踏ん張りどころと思いますので、是非積極的に進めていただきたい。
 最後に、私の個人的な経験ですけれども、私自身、小学生になったときに、最も幼児っぽい人間で、非常に先生の言うことを聞かなかった人間ですけれども、たまたま非常に優秀な小学校の先生と出くわして、非常に学校が好きになったという経験がありますので、是非そういった良いスタートが全国でもできるように、この事業を積極的に進めていただきたいと期待しております。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  御説明どうもありがとうございました。4点お伺いさせていただければと思います。
 まず1点目が、今議論の中にございました人材育成についてなんですけれども、33ページのところで、2つ、アドバイザーとコーディネーターについて分かりやすい表をつくってくださって、どうもありがとうございます。
 いずれも勤務経験(実績)というところで、過去に幼稚園の園長であったり、小学校の校長であったりという方たちを主な対象として想定されているということは理解をするんですが。先ほどもありましたように、やはりプロを養成するという視点も、経験がある方だけではなくて、そもそもプロの方をどう養成するかという視点も重要だと思っていまして。
 というのも、やはり経験があるからこそ見えにくくなっている視点であるとか、そういったことも当然あると思いますので、そこは、例えば、大学を出てすぐにこういった職に、だから、そこはある意味で報酬とセットになってくるんだと思うんですけれども、これが本当に職業として成り立つかというところもあると思うんですが。幅広い人がこういうアドバイザー、コーディネーターとして活躍いただくということも非常に重要だと思うんですが、人材育成の対象を狭め過ぎていない、もしくは、きちんと広げるような活動をされているかどうか、その辺りというのはいかがでしょうか。
【説明者】  川澤委員、ありがとうございます。
 今33ページのこの表でございますけれども、メインとしては、経験ということを重視はしておるんですけれども、おっしゃるように、客観的に、経験があるからこそなかなか気づかなくなってしまっているという側面もあろうかと思います。
 この「等」の中には、教育大学附属の先生でございますとか、あと、幼児教育に造詣の深い研究者の方、こういった方々もアドバイザーあるいはコーディネーターとして配置をしている自治体もございますので、私ども、もう少し視野を広げながら、対象については確保してまいりたいと思います。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。是非お願いできればと思いました。
 続いて、36ページなんですけれども、ロジックモデルのところで、現状で書いてくださっていて、これは言葉の問題だと思うんですけれども、現状で、「小学校入学当初の教師の指導方法が変わり」というところがありまして、これまでのお話を含めて、恐らく小学校の先生方の指導方法とともに、幼稚園・保育園側での関わり方が変わるという、その両者が変わるというところがまさに架け橋なんだと思うんです。そこは両方が変わるという理解でよろしいでしょうか。
【説明者】  川澤委員、ありがとうございます。
 資料をお示ししたいと思いますけれども、41ページを御覧いただければと思います。
 今委員おっしゃったように、これは架け橋でございますので、小学校側だけが何か指導方法の変化を求めるというだけではなくて、もちろん園の方にも変化を求めるものでございます。
 このオレンジ色の取組による変化(効果)の例のところでございますが、先生の指導の変化ということで、園においても、これまでも取り組んできたところでございますけれども、「待つ」「促す」「問う」「見守る」といった視点を大切にしながら保育を行うことにした。これはある自治体の事例でございますけれども、私どもの認識としては、架け橋でございますので、両方の指導の方法というのはスコープに入れているところでございます。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
 架け橋期のカリキュラムについて、36ページで、KPIで2のところで、ステップアップした自治体の割合というところで、このステップアップというのは、恐らく42ページで整理してくださっている、「連携の予定・計画がまだ無い」がステップ0のところから、ステップ4に、「接続を見通して、更によりよいものとなるよう検討」という、このステップのところを指していらっしゃるんだというふうに理解いたしました。
 その意味で、実際にそういう架け橋期の幼保側と小学校側の先生方が、検討してカリキュラムに落とし込む、つまり、日々の活動の中でどう取り込んでいくかというのを自ら考えてくださるという意味で、カリキュラムというのは大切なんだなというふうに理解をしたんですが。
 どういう先生方が関わるかというところが気になっていまして、例えば、39ページの資料を拝見しますと、これは幼稚園側と小学校側というところで、どういう形でカリキュラムが架け橋期でつくられているかというところをお示しくださっているんですが、小学校だと生活科という形になっていて、ある意味、幼稚園側としては、一つの計画というカリキュラムに落とし込めると思うんですけど、小学校だと科目もたくさんありますし、担任の先生はいらっしゃると思うのですが、毎年度変わると。
 その意味で、小学校側として、どういう先生が関わり、どういうカリキュラムに落とし込んでいるかによって、子供たちの生活の時間であるとか、架け橋期のカリキュラムの効果みたいなものが変わってくると思うんですけれども、その辺りは、小学校の先生方が、実態としてどういう方が対応されているケースが多いとか、文科省としては、どういうふうに小学校の中で取り組んでいただくのが良いかとか、その辺りをお考えを教えていただけますでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。
 実態としましては、小学校1年生を担任される先生方が取り組まれているんですけれども、ただ、これは私、ある自治体にお邪魔したときに、そこでは小学校の4年生・5年生、つまり、そこでは1年生だけではなくて、全小学校教員を対象に、この架け橋期のカリキュラムについてきちんと共有して学びましょうというところを校内研修でやっておられるところがございました。
 そこでは、小学校1年生だけではなくて、小学校4年生とか5年生の子供たちも、この架け橋期のカリキュラムに取り組むことによって、学校が楽しくなったとか、授業が分かりやすくなったということで、そういう波及効果も出ている事例もございますので、大事なことは、小学校1年生の先生だけがこれを知っているわけではなくて、小学校であれば、より多くの先生にきちんと校内研修などで共有するなどして、広めて共通の認識を持っていただくということが大事かなと思っております。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
 そういった校内研修ですとか、いわゆる小学校側で非常に広い先生方がそれを知っているというのは非常に重要だと思っていまして、長期アウトカムで、今、教育の質の向上が図られているということで、その質というのが、子供の姿に変化があった割合というふうに書いてくださっているんですが、これも非常に重要だと思うんですが、やはり小学校の先生方、例えば、そういった全部の先生が関われるようにした取組を実施しているかですとか、何らか、いわゆる主観的な変化だけではなくて、そういったもう少し小学校側の、もしくは幼稚園側の先生方の関わりの度合いであるとか、そういったところも捉えていった方が、より実態が分かりやすいのではないかなと思いました。これはコメントです。
 あともう1点なんですけれども、最後、長期アウトカムのところで、これは3つのカリキュラムとアドバイザー、人材というのはそれぞれなんですが、補助金自治体の施設においてどうかという形が長期アウトカムになっていまして、今年度からまさに補助金が始まっている段階なので、そこを捉えるというのは非常に重要なんですが、長期的には、この補助金を受ける自治体だけではなくて、全ての自治体でどういう変化があったかというのを見るのがまさに目的だと思いますので、そこは補助金実施主体に限る必要はないのではないかなと思って。これは逆に中期アウトカムに持っていって、長期アウトカムは、全ての自治体の幼児期の質の向上みたいな、その辺りまで視野に入れるのかなと思ったので、その辺りのお考えはいかがですか。
【説明者】  川澤委員、ありがとうございます。
 おっしゃるように、この事業についてのロジックモデルという観点から申し上げますと、本事業実施主体という表現になるんですけれども、私どもとしては、やはり全ての自治体において幼保小の接続ということをきちんとやっていただきたいと思っております。そのためには、幼児教育アドバイザーというのも、市町村にもきちんと人材育成が行われてることも大事でございますし、あるいは、幼児教育センターというのも、都道府県では、全ての都道府県で設置されているということも大事だと思っておりますので、長期的なスパンで考えますと、今、委員がおっしゃったような視点は、私どもも持って進めていきたいと思っております。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  よろしくお願いいたします。
 まず、先に1点確認になるんですが、この幼児教育アドバイザーとか架け橋期コーディネーターという名称を使わなくても補助金の対象になると思っているんですけど、それは良いですよね。
【説明者】  伊藤委員、ありがとうございます。
 おっしゃる通りでございます。
【伊藤委員】  僕、色んな自治体と仕事で付き合いがあって、この事業というか、小一の壁というのは、もうずっと前からそれぞれ課題を持っているなと思っていて。今回色々聞いてきた中で、名称を使っていないで類似の取組をしている事例ってたくさんあって、その中で、この過去の委託補助金を使っていない、要は、一般財源のみでやっている事例というのは、もう間違いなくあるなと思っているんです。
 としたときに、さっき川澤さんからも話がありましたが、長期アウトカムが、この事業を使って効果が出る、インパクトも、モデルが全国展開することによって幼小の壁を取っていこうということになっているんですが、この事業じゃなくても既にやっている自治体があるものを、どう文科省として把握ができるかということも大切なのではないかなと思っていて。何を言っているかというと、この事業が全てというふうに見えない方が良いんじゃないかなと持っているんですが、その点いかが思われますか。
【説明者】  伊藤委員、ありがとうございます。
 自治体の方では、こういった名称を使わずにやっているところも確かにございますし、もう既に自走されてやっているところもございます。幼児教育センターにつきましても、幼児教育センターと言わずに、乳幼児教育センターとか、色んな名称を使われてやっておるところはございます。
 我々、この事業だけで展開するというのは、正直なかなか難しいだろうと思っております。ですので、今取り組まれている自治体の好事例というのも、全国の都道府県の教育委員会の方々と、定期報告というか、検証する機会というのを私ども設けてございますので、そういったところも通じて、きちんと取り組まれて好事例、補助事業によらずに既に展開されているところについては、こういうやり方もありますよということは、横展開をきちんと図っていきたいと考えております。
【伊藤委員】  そのときに、私が知っている自治体の事例でいけば、この補助事業のことは知っていたんです。ただ、もう20年ぐらい前から独自事業でやっていて、やっぱり補助申請するための手続の煩雑さを考えたときに、スキームが変わることの怖さがあって、やっぱりちょっとこのままやっています。子育てコンシェルジュという名前を使っていたんですけど。というような話があって、それは変にこっちに持ってこなくても良いんじゃないかなと思うんですよ。補助事業の方に持ってこなくても、まさに独自でやっていて、それがうまく回っていて、ここで目指しているところが実現できているので、それは一番良いパターンじゃないかなと思っていて。
 もちろん、この後全国展開していくんだという中の一つに、最終的には、この補助事業を使わなかったとしても、とにかく小一の壁が無くなっていくということが、きっと目指されているところだなと思うので、そこの把握ができたら一番良いのかなと思うんですけど、なかなかそういうことって難しいものですかね。
【説明者】  私ども、学び強化事業、色んな調査研究事業もやるスキームを持っておりますので、今、伊藤先生がおっしゃったように、この事業で目指すべきものというのは、やはり全ての子供たちが小学校に就学するということになってございますので、どの幼児教育施設に通われていようとも、小学校のときにきちんと段差がないように、今、先生がおっしゃったような小一の壁、あるいは、小一プロブレムというものが無いようにすることが最大の目的でございますので、この事業を採択しているいないに関わらず、そこは進め方をきっちりしていきたいと思っております。
【説明者】  すみません、補足させていただきます。
 補助事業の中で、意見交換会というものを実施しておりまして、その意見交換会は、この補助事業に参加している自治体に加えて、参加していない自治体の方にも広く全市町村の幼児教育担当の方にお伝えしておりますので、もちろん、御参加いただけるかどうかというのは各自治体さんの御事情によるんですけれども、ただ、そういった場面を通じて、この事業に参加していらっしゃらない自治体さんの状況も把握できるように努めておるところでございます。
【伊藤委員】  ありがとうございます。
 これは、今回の補助金って、単年度ですかね。貰う側からすると。複数年度補助金申請は可能ですか。
【説明者】  基本的に申請は単年度で行っていただくんですけれども、事業としては3年間という形で考えております。
【伊藤委員】  そういう意味では、継続して3年間補助金を取ることをある程度想定しながらということですよね。まさにお金が切れたときに無くならないようにしなければいけないなと思っていて、それがさっき言った一般財源でやっている自治体がこっちへ来ちゃって、3年経ったら無くなるというのは、一番怖い話だなと思うので、そこは気をつけなければいけないなと思いました。
 最後、もう1点だけ。さっき川澤さんからも指摘ありましたが、長期アウトカムのところで、この補助金を貰ってこの事業をやって変化があるというのは、もちろんこれは重要なことではあるけれども、ある意味では当然とも言えて、補助金を貰ってこれをやっているから、やっぱり補助金を貰っている、この取組をやっている自治体と、そうじゃない自治体にどういう差があるのかという差異が見えることが、この事業のアウトカムというか、効果がより説明できるのではないか、説得力を持つのではないかなと思っていまして。
 そこは本当は過去の、特にモデルでやった方、委託のモデルでやったところでやっている自治体とやっていない自治体はこんな変化の違いがありましたというのが、定量化できなくても、定性的にでも伝えられると、よりこの事業の周知がしやすくなるような気がしていて、もしあれば今教えていただきたいと思うんですけど、どうでしょう。
【説明者】  伊藤委員、ありがとうございます。
 この事業をやっているところとやっていないところで効果の違いということでございますけれども、過去に架け橋プログラムの令和4年度から令和6年度に委託をさせていただいたものがございます。今日資料としておつけしておりますけれども、43ページでございますけれども、幼保小の架け橋プログラムの成果というところで、それぞれ左の項目ございますけれども、本事業の採択自治体とそれ以外ということをしております。
 こういった形で、今回、数もだんだん増えてまいりますので、どこまで定性的なものでもお示しできるかというのはあるんですけれども、御指摘のように、やった効果というのはやっぱりきちんと示していくということは大事なことだと思っておりますので、それについては、私ども、きちんと考えさせていただければと思っています。
【伊藤委員】  ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、石田委員、お願いします。
【石田委員】  すみません、非常に初歩的な質問からになってしまって恐縮なんですけれども。今回、全ての子供が対象であると、資料で言うと、49ページのところのこどもの育ちの保障の前段部分も受けてのこの事業だというふうに受け止めてよろしければ、幼稚園・保育園に行っていない子供も対象になっているという理解でよろしいんでしょうか。
【説明者】  この架け橋プログラムで幼児教育アドバイザーの方はいらっしゃいますけれども、これはいわゆる認可外の保育所にももちろんアドバイザーとしてやりますけれども、家庭におられる方については、この事業の対象にはなっていないという認識でございます。
【石田委員】  ありがとうございます。
 なので、全ての子供と言っても、誤解があるといけないんですけれども、一定の集団の中にいらっしゃるお子様ではなくて、個別に御家庭で見ていらっしゃるお子様というのは、ここには対象にはなっていなくて、やはりあくまでも幼稚園・保育園という一定の大人が関わって、教育なのか保育なのかというのはあるけれども、そういうものを担われている方たちにアプローチをして、小学校との接続を意識しながら運営をしていただきたいという、そういうようなプロジェクトだということでよろしいんでしょうか。
【説明者】  そういう理解でおります。
【石田委員】  ありがとうございます。
 先ほど教育の段差があるというお話があったんですけれども、その段差というものの一番クリティカルなものというのは、どういうものと認識されているのか。また、それが、例えば、5年前、10年前と違って、今だからそういうような問題が非常にシビアなものになってきているがゆえに、ここのところについてあえてお金を入れてやらざるを得ない状況に今なっているんだという危機感みたいなものが、もしコンパクトにあれば教えてください。
【説明者】  段差で申し上げますと、1つは、小学校に入りますと、教科もございますし、時間割というものもございます。45分間の授業時間というのもございます。
 ただ、幼稚園は総合的な指導でございますので、子供たちにとって、まず興味・関心を引くような環境を意図的に構成して、それに関わりたくなるような、そういった主体性を育むようなことを中心にやっておるわけで、小学校もそういう方法でやっているんですけれども、どうしても小学校の先生方からすると、幼稚園での学びというのをどういうふうに受け止めて良いか分からないという先生方もいらっしゃいますので、その辺りが一つの段差の課題かなと思っております。
 また、不登校につきまして、小学校1年生の不登校の増加率が、他の学年に比べまして、2年間分を比較したところ、最も小学校1年生の不登校の増加率が多いというのが直近のデータでございます。これはまさに色んな要因があるかと思いますけれども、1つ、先ほど幼保小の架け橋プログラムの中で登校渋りの児童が減少したといった自治体もありますので、そういったところも解消する1つの要素としての、このプログラムというふうに認識しております。
【石田委員】  ありがとうございます。
 まさにそこをお伺いしたかったんですけれども、不登校児の増加・減少のところに、今回のプログラム、既に令和6年までモデル地域でやっていらっしゃっているところについては、何かそこの数字面でも効果は出ているのがあれば、教えてください。
【説明者】  今画面でアップされておりますけれども、本事業の採択自治体、19自治体でございます。その他の自治体と比較しまして、登校渋り児童の減少、19自治体にアンケートしたところ、19自治体のうち、この登校渋り児童の減少がありましたよというようなことを選んでいるのが41.4%。それ以外の自治体、それ以外の自治体と申しますのは、この架け橋プログラムの委託ということではなくて、ふだんから授業とか、行事とか、自治体の関係部局の連携とか、そういった色んな取組をされておりますけれども、その自治体と比較したところの差として、41.4%と7.9%というような開きが出ているというのがデータとして示されているところでございます。
【石田委員】  そうだとすると、そういうものがアウトカムとかKPIのところで出てきても、多様な要素が入るのでそれが全てだとは思えないんですけれども、とはいえ、やはり今おっしゃっていただいたような不登校の方が非常に増えてしまっているということと、先ほどおっしゃられた段差のところの多様性というのが、もちろん発達上の特性もあるんでしょうし、御家庭の状況もあるんですけれども、逆に言うと、英語教育だとか、もうどんどん進んじゃっている子たちみたいなのもあったりとか、それと、公立ではなくて私立に行ってしまうので、エリアで見ていく、地域で見ていくということではないところに行ったときにどうするのかとか、多分、多様な各地域ごとの問題だと思うんですけれども。
 その中でも、不登校、取りあえず小学校に入って、みんなで学んでいくというところの段差というのを見るための1つの指標としては、不登校児の増減というところも見ていただいても良いのかなとは思ったところです。すみません、これはコメントで。
 あと、もう1点、これはもうコメントみたいなものになってしまうんですけれども。今こちらの補助金を見ていても、補助率2分の1で、各自治体さんの方にこういう人材を置くのにとか、研修をやるのにとかというところで人件費を出しますみたいなところの金額も、よくよく見れば、多分これ少ないんだろうとは思うんですよね。
 恐らくこういうようなものをこれからやっていこうと思っても、担い手がそもそもいるのか、回り切れるのかというと、とてもではないけれども、これでは足りない、間に合わないということの問題意識は現場にあるのではないかなと思います。
 そうすると、ここ、人を張るとか人を育てるということ以外に、デジタル的なものとかAIではないんですけど、そういうものも、子供は手で触れたいってそうなんですけれども、そういうものにもちゃんとデジタルみたいなものとか、あるいは、アプリでもオンラインのものでも良いんですけれども、人では担い切れない部分についてをちゃんと活用することによって、人が活きるべきところに人をちゃんと張れるというような体制にしていらっしゃるのか。
 また、保育士さんたちだけではなくて、NPOとか、まちの人とか、高齢者の方でもアクティブな方だとか、色んな意味で地域全体で人を育てていこうというところは恐らく各自治体さんが取り組まれていると思うんですけれども、そういうことのコーディネートもできるようなタイプの、そういう担い手さんをつくるのかとか、何かそういうことについても、もう一つ、もう一段上がっても良いのかなと思うんですけど。コメントと言いながら、何かもう既にされていることがありましたらば、コメントいただければと思います。
【説明者】  石田委員、ありがとうございます。
 デジタルの活用につきましては、私ども、そこは承知はしていないんですけれども、地域でこの架け橋プログラムを進めるというのが、一つの目標と申しますか、理念でございます。
 それで、そういった地域で保護者の方とか、子育て支援の方、こういった方々も、この架け橋プログラムに関わりながらやってもらっていただける自治体もございますし、あるいは、今この画面上にございますような、福祉保健部局の担当部局というのも、これも入っていただくような取組もしていただいておりますので、幼児教育アドバイザー、あるいは、架け橋コーディネーターの知見以外の知見というのも、地域の協力を得ながら進めていくというのが、この架け橋プログラムの理念でもございますし、目的でもございますので、そこは促進を進めていきたいと思ってございます。
【石田委員】  ありがとうございます。
【説明者】  1点補足させていただきます。
 デジタルというところで、先生の求めていらっしゃるレベルまで到達しているかどうかというところはあるんですけれども、幼児教育センターの方で、オンラインで使えるような研修動画の作成みたいな部分はしております。
 なかなか研修に対面で集まるとか、アドバイザーが各園に全て出向くというのが時間的に困難な場合もありますので、そういった場合は、オンラインで御覧いただけるような研修動画を御覧いただいて、園内での研修に役立てていただくとか、そういった取組をするための費用も計上しているところでございます。
【石田委員】  ありがとうございます。
 そういうふうにお伺いすればするほど、多分、他の施策とかと同じようなことをやっているというか、同じことを目指しながらやっているものはたくさんあると思うんですけれども、そういったものをある意味ちゃんと棚卸しをして、自治体さんなり地域の方がちゃんと使いやすいような建て付けにブラッシュアップしていくということはより一層必要かなと思いましたので、引き続きよろしくお願いしたいと思いました。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 コメントの記入の方を進めていただければなと思います。
 その間、まだ質問、御意見などありましたら、川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  色々と御説明ありがとうございました。
 44ページのところで、先ほどもアドバイザーの方の配置状況というところで、都道府県、市町村で現在配置されていらっしゃる方、配置がやはり常勤・非常勤というところで、市町村の場合は常勤の方が多くいらっしゃるんだなというところを思ったんですが、実際にどのくらい、これ、フルタイムでやられていらっしゃって、これが一つの職業となっているのかという。
 恐らくやはり非常に難しいお仕事をされて、かつ、忙しいんだと思うんですね。都道府県で何名かで、学校もしくは幼稚園・保育園、こども園の数も非常に多いですし、その中で、きちんと活動に見合った報酬が得られるような状況になっているのかというところも一つ重要ではあると思うんですが、その点というのはいかがでしょうか。
【説明者】  川澤委員、ありがとうございます。
 今画面上にアップされております市町村でございますけれども、常勤が60.7%ということでございますが、この常勤は、市町村の指導主事の方が多く含まれているというふうに認識してございます。
 非常勤の方は、まさにもう退職された先生方で、週に1回あるいは2回とかを複数園回るといったような取組をされておりますので、常勤はあくまでも指導主事さんを中心なのかなと。
 ただ、私どもとしては、非常勤でございますとか嘱託という方、これをもう少し人材育成としてきちんと確保して、研修などを通じて育成していきたいという考えで進めているところでございます。
【川澤委員】  その進め方として全く異論はなく、人材育成で先ほどもオンライン研修と、色々なオンライン研修の動画が多分作成されている中で、それを何らか統合するようなことも必要なんだと思うんですが、そういう取組の方向性については異論がないんですが、やはり難しい仕事をして、スキルアップが必要な職に就いて、やはりきちんとした手当てをする必要があるんだというふうに思います。
 ちょうど前日に消費者庁の公開プロセスで、消費生活相談員というのが非常にスキルが求められている一方で、自治体は年度限りの会計任用職員になっている、なかなかその報酬がという話があったように、やはり善意に頼るだけではなくて、きちんとそこは仕事の中身とそこの対価というところは把握した上で、働き方を柔軟にするとか、その全体として、この職業が成り立つような、是非アイデアだったり工夫だったりというところも見ていただきたいなと思います。その点はいかがでしょう。
【説明者】  川澤委員、ありがとうございます。
 おっしゃるように、職の改善というか、きちんとした手当が支払われることは大事だと思っておりますので、目配せもしていきたいと思っておりますし、そもそもアドバイザーだけではなくて、幼稚園の教諭、あるいは、保育士さんの処遇の改善も、政府としてもしっかり進めておりますけれども、こういったその方々を支えるような人材の方々についても、目配せをしてまいりたいと思います。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 その他。伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  さっき石田さんがお話しされていたデジタルの活用のところで、ちょっと私もうろ覚えなんですけれども、デジタル庁からこども家庭庁に、子供のデータ連携のプロジェクトが移管されたなと思っていて、何かというと、今までは健診の記録、学習記録、家庭の記録って、それぞれバラバラになっているものを、それを連携することによって、子供の変化を読み取りやすいという取組が、大阪・箕面市が有名かもしれませんけれども、やっていたなと思っていて。さっき石田さんがおっしゃっていたところって、そこと繋がるかなと思っていて、僕の記憶では、幼保小の小一の壁のときに、幼稚園とか保育園と学校で、これは公立学校だったと思うんですけど、学校でポータブルでデータを共有して、3月までの子供たちの保育記録と、4月になったときにどういう違いがあるかというのをデータで繋げていた自治体があった記憶があって。
 というようなことは、まさにさっきの話に繋がってくるなと思っていて、そういうところも、例えば、幼児教育アドバイザーが、データ連携のところはもちろんシステム構築しなければいけないんですけど、アドバイザーがそこを分析して、子供たちに寄り添ったことを伝えられるとかということができたら良いなと思うんですけど、難しいですかね。
【説明者】  伊藤委員、ありがとうございます。
 いえいえ、難しいかもしれませんけれども、今おっしゃっているのは大変大事なことだと思います。もうそういった利便性があるものができているのであれば、それを活用して、幼児教育アドバイザーがそこにも分析をするような手段として活用できるのであれば、私ども、それはしていただきたいと思っております。
 どういうふうにやっていくかというのは、まだ今この場でなかなかお答えしにくいんですけれども、御指摘は大変重要なところだと受け止めてございます。
【伊藤委員】  ちょっと私が関わっていたのは数年前なので、もう既にクリアされているかもしれないんですが、あのときデータ連携、2つの課題があって、データの標準化と個人情報の2つの課題があったなと思っていて。今既に保育園レベルとか幼稚園レベルで、アプリとかを活用して、今までの保育記録が全てデータベース化されているというのは、もう多くの自治体でやっているなと思うんですけれど、あくまでもそれって一園だけとか、もしくは、一市町村、そこがなかなか標準化されていないから、活用しにくい。やっぱりこれはある程度、全然部署は違うと思いますけれども、文科省の中で標準化した方が良いなという議論があったなと思っているんです。
 もう一個は、さっきの健康の話と学習の話をもらうという、要は、個人情報目的外活用になるのではないかという個人情報の壁があったなと思っていて。ただ、これって間違いなく、それをすることによって、本来子供たちのため、今日ここに目的で掲げられている接続というところには必ずプラスになると私も思っているので、そういうところも、こっち側、こっち側というのは、皆さんの担当の中からもそっちの方に言っていくということはあり得るのではないかなと思いました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 もう少し取りまとめにお時間いただければと思います。
 その他、御質問、御意見など、よろしいですか。
 それでは、少しお待ちください。
 川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  今のお話で、データで連携というところで、それは非常に難しさがあるなというのを何となく感想として持っていましたが、やはり子供たちというのは日々変わっているわけで、過去の実績だけにとらわれて、例えば、幼稚園・保育園から小学校側に行くとき、もしくは、先生が替わるときに、やはり先生方の主観で見た子供たちの姿というのは、子供たちも変わっていくし、組合せによっても変わると思うので、そこは、それは本当に一次材料であって、目の前の子供たちにどう接するかというところがまずは重要であるんだと思うんです。だから、アドバイザーの方も、それだけにとらわれてしまうと、本当の姿が見えなくなってしまう気もするので、そこはデータの重要性と現場とのうまく組合せというのが非常に重要なんだろうなという気はしました。感想だけで、ごめんなさい。
【伊藤委員】  こっち側のやり取りになって申し訳ないんですけど。まず、全く僕はそこは同じだと思っていて、要は、相互補完な気はするんですね。今までって、それがなかったから、急に子供が来なくなった、園を休むようになったとか、小学校でいくと、プリントの提出が悪くなったというところと健康のところが意外に相関関係を持っていたというケースが実際にデータ連携してみて分かるというところがあるので、そういう客観的な事実ときっとまさに向き合って、先生たちが、この子大丈夫かなというところとセットなのではないかなと思います。
【川澤委員】  さらにこっちのやり取りになってすみません。
 いや、本当に何か分からないことがあったときに、過去を振り返る、もしくは、誰かにアクセスして、それのヒントを貰うというのは非常に重要だなと思っていまして、今までそれがない中で、本当に手探りでいきなり誰かとコミュニケーションを取るって物すごく大変だと思うので、そういった意味でのデータというのは非常に重要なんだろうなと思いました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 石田委員、お願いします。
【石田委員】  こっち側だけになっていますけれども。
 正直、予算規模と、これ、令和6年のなので、モデルなのだろうとは思うんですけれども、一つ一つの県単位で見ると、少ないなというように、すみません、正直思いました。一番多いところの秋田県でも、この数十万とかやっても100万単位みたいな話で、一体これで何人の方が何か所のところにどう回れたんだろうかというところを考えると、スケールしていくというところに、このマンパワーを使って、お金を使って広げていくという予算の使い方をやる以上は、多分限界が早く見えてしまうのではないかなと。
 そうだとすると、さっきのデジタルの話、個人情報の話、色々あるわけですけれど、場合によっては、エリアの方がそこだけで悩んでいることが、国がやることだから、むしろちゃんと横展開なり、横でのコミュニケーションなりということ、あるいは、仲間は自分たちの周りだけではなくて、全国飛び地でもあるんだということから、こういう接続している担い手さんも、多分若い方から御高齢のというか、ベテランさんまでいらっしゃると思うんですけれど、そういう担い手さんを支えていくというような、国がやってあげられる仕事というのはもっともっとあるのではないかなと思ったりしながら見ていました。
 恐らく目的そのものは物凄く重要な話なんだろうと思いますので、何か今現場のところで、色々走っている施策と言いながらも、ここの中でもうちょっとこういうところが工夫できてくると、あるいは、こういうところにもう少し予算を貰えていくと、現場のニーズに本当は応えられるんだというようにお感じになっていることがあれば、差し障りのない範囲ででもコメントいただければと思います。
【説明者】  石田委員、ありがとうございます。
 おっしゃるように、なかなか広域の自治体ですと、まさに人海戦術的に回っていくようなことになってしまうんですけれども、私ども、この予算事業をする中で、色々説明会とかもさせていただいております。その中で、やはり広域ということになると、なかなか使い勝手がというお話も聞こえてまいりますので、今委員がおっしゃったような、まさに横展開できるような、デジタルというお話もございましたし、それが持続可能であるような形を模索してまいりたいと思っております。
【説明者】  すみません。あと、自治体さんの中では、やはり自治体の中で予算確保をするのになかなか難しいというようなお声もあります。
 そもそも幼児教育の重要性ですとか、その効果というところを示すようなデータはありませんかというようなお問合せをいただくこともございますので、先ほど課長からもお話ありましたけれども、その追跡調査の結果、幼児教育の重要性を定量的に示していくとか、そういった取組を今後も続けていきたいとは思っております。
【石田委員】  ありがとうございます。
 是非お願いしたいのと、やはり2分の1の補助なので、どうしても2分の1を自分で負担しなければいけないというと、恐らくそれは自治体さんによっては、色んなプロセスの中で壁がいっぱいあるだろうと推察します。
 そうすると、もう同じような話で恐縮なんですけど、民間の活力というか、民間の力もある意味広域で、明日の日本を担う子たちをどうするんだというところでは、問題意識なり、あるいは、そこに対してちゃんと支援をしていきたいというような企業さんとかもいっぱいあると思いますので、そういうところの水も呼び込むというか、そういうところに対してもちゃんとインセンティブを与えるとか、オールジャパンでいけるところの何らかここの施策も役に立てていただけるような事業設計をしてもらうと良いのかなというふうに、物凄く抽象的で恐縮ですけれども、思いました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、取りまとめを堀川委員の方でお願いします。
【堀川委員】  どうもお疲れさまです。
 本件事業は、幼児教育アドバイザーや架け橋期のコーディネーター等を活用し、幼保小接続期の教育の充実を図るとともに、全国規模で幼保小の架け橋プログラムの促進を目指すものですが、各委員からの意見を総合すると、幾つかの重要な課題が浮き彫りになります。
 そこで、取りまとめコメントですけれども、まず、事業の設計に関するということで、類似の取組を既に自治体等で行っているものが多くあると認識しており、この補助金を使っている自治体しかうまくいっていないというのではなく、やはり補助金以外でも実施している自治体の取組状況をしっかり把握していただきたい。
 次に、事業の効果及び指標の設定及びロジックモデルに関してですが、長期アウトカム指標、補助金を貰っている自治体を、貰っていない自治体との差異、差分を測ることで、よりアウトカム指標としては明確になるのではないか。
 不登校児支援が必要となる、この増減率もKPIに入れても良いのではないか。
 アウトカムがやや抽象的で、他の施策の効果が入ってくると思われるため、本事業そのものから具体的なアウトカム指標が設定できるよう検討されてはいかがかということと、長期アウトカムについては、補助事業実施自治体に限った変化を捉えるのではなく、もっと幅広、全国的な位置づけで捉えていただきたいということと、現在の長期アウトカムは、そういう意味では中期アウトカム指標で良いのではないか。
 さらに、幼保小の連携・接続状況を示す際、幼保側、小学校側の先生方の関わりの人数や範囲の広さ等も設定するのがよりよいのではないかというのが、事業の効果及び指標の設定。
 次に、3つ目として、事業の執行についてですけれども、これはやはりAIとかデジタルツールの活用を促進することで、人材、担い手というか、コーディネーター等の方々の人材不足とかいったものにも対応できるので、積極的に検討していただきたい。
 他の類似の取組によって既に各自治体、各地域で工夫されているところであり、他の接続分析をして、効率的になれるような事業設計も検討していただきたい。
 また、自治体の方で色んな事情が、委員から色んな質問にお答えいただいて見えてきましたけれども、色んな事情でなかなか進んでいない自治体があるというのも承知されているようですが、その進まない実態を十分に把握して、今後さらに積極的に進めていきたいという点、以上、3項目にわたって様々な意見が出てまいりました。
 以上の各コメントから見えてきた課題を克服して、より事業の質と効果を高めるために、積極的な事業の展開を目指していただきたいというのが私の以上のコメント案です。
 いかがでしょうか。よろしければ挙手をお願いいたします。どうもありがとうございました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、今コメントを取りまとめていただきましたので、本件については議論を終了させていただきます。ありがとうございました。
 担当課の方も、ありがとうございました。
 それでは、次の3つ目の項目については、午後1時からのスタートになりますので、それまで休憩とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 

第3コマ目:未来社会創造事業大規模プロジェクト型

【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、議事に入らせていただきます。3番目の項目は、未来社会創造事業大規模プロジェクト型です。この事業のみ、外部有識者の川澤委員に代わり、水田委員に担当していただきます。水田委員、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず初めに、事業担当部局より事業概要の説明をさせていただきます。説明者は5分以内で簡潔に説明をお願いします。また、資料での説明は、ページを示した上でお願いします。
 それでは、説明の方お願いします。
【説明者】  科学技術・学術政策局研究開発戦略課戦略研究推進室でございます。未来社会創造事業大規模プロジェクト型について担当しております。
 まずは、冒頭の83ページ、84ページを御覧いただければと思います。こちらで事業の概要を御説明いたします。本事業は、国立研究開発法人の科学技術振興機構法を根拠法令として、文部科学大臣が定める中期目標に位置付けられていることを理由に、科学技術振興機構、通称JSTの運営費交付金で実施している事業でございます。
 戦略的創造研究推進事業や科研費の基礎研究で創出された研究成果の活用を通じ、実用化が可能かどうか見極められる段階(POC)を目指した研究開発を実施し、我が国の科学技術の振興を図ることを目的としております。
 本事業は事業開始から9年目を迎えており、当初に採択した課題については終了を迎える時期に差しかかっていますが、その他の課題については、企業への橋渡しに向けた技術開発等を加速していく必要がございます。このような状況において、これまでの取組を検証し、今後のマネジメントなどに生かしていくことが求められております。
 85ページを御覧ください。本事業の位置付けとなります。本事業の位置付けは、主に基礎研究から応用研究の範囲にございまして、国が決めた技術テーマに対し戦略的に研究を進め、基礎から開発までつなげていく支援を行っております。
 86ページを御覧ください。こちら運営費交付金の中の位置付けとなります。運営費交付金において、「新たな価値創造の源泉となる研究開発の推進」の中の事業として位置付けられ、このセグメントシートとして評価が実施されております。
 87ページを御覧ください。このセグメントシートにおいて、基礎研究の有望な成果を開発研究までつなげる役割を担っているのが本事業です。本事業では、社会・産業のニーズを踏まえたバックキャスト型の研究開発を行っており、文部科学省が定めた技術テーマに係る研究課題を公募し、最大10年間の支援を行っています。この事業により、目指すべき未来ビジョンを描き、その実現に必要なアプローチを設計し、今までに無い革新的な技術で社会・経済に変革を起こすよう取り組んでいます。
 88ページを御覧ください。実際の例示として、レーザー課題を説明します。量子加速器は学術、産業、医療など幅広い分野で利用されていますが、装置の巨大さと高額な建設費が普及を妨げています。ゆえに、これまで主流であった磁場による加速方式ではなく、全く新しいレーザープラズマの方式を実現し、加速器の大幅な小型化や低価格化による幅広い病院への導入や新薬開発への加速器の利用を拡大する未来ビジョンを描き、研究を進めてまいりました。
 まずは、最初の4年間で要素技術を磨き、橋渡し像を描きながら研究を進めて、7年経過した頃には、電子ビームの創薬医療への応用まで研究が進みました。今後は、創薬に係る審査を進め、小型加速器として様々な場所で実装を目指していきます。
 本課題を含め、どのような評価体制で取り組んでいるか、ロジックモデルを基に説明します。89ページを御覧ください。本事業はステージゲート評価を4年度末、7年度末に設けていますが、それぞれの段階で必要な要素技術を創出しているか、社会実装に向けて企業の参画が進んでいるか、本格的に実用化に向けた研究開発が進んでいるかなどを評価しております。
 短期的なアウトカムでは、要素技術の開発成果を着実に創出することが求められており、その結果、企業との共同研究の体制が整備されたのかといった観点で進捗を図ることとしています。KPIの5の通り、企業参画数は事業開始から継続して増加傾向にあります。
 中期アウトカムでは、実用化につながる技術開発成果を着実に創出することが求められており、実用化に向けて実際に参画した企業の資金導入が進み、KPI7の通り、令和7年度末を超えた全ての課題において、民間資金導入が2倍以上を超えております。
 最終的には、全ての課題において、企業主体の研究開発に成果が橋渡しされることを目指しています。このように、本事業ではバックキャストのアプローチにより基礎研究から実用化まで迅速につなげることで、いち早く社会のニーズに応えることができることを目指している事業でございます。
 以上、説明となりますが、冒頭に申しました通り、今後の活用に是非御指摘を生かしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上となります。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、論点の説明に移らせていただきます。委員の皆様のお手元の説明シートにございます通り、3点論点が挙げられてございます。
 まず1つ目が、これまでの成果について、POCを達成し社会実装につなげていくために、より効果的に事業を運営するための今後の方針とその在り方、特に効果的なステージゲート評価や個別研究課題に応じた適切な研究開発マネジメントの実施という点でございます。
 2つ目が、事業成果検証のために、適切なアウトプット、アウトカム、特に社会実装に関連する指標については設定されているか。
 3点目は、なぜ国立研究開発法人科学技術振興機構の運営費交付金で実施するのか。他の研究事業との違いとなる特徴は何か。この3点でございます。
 それでは、外部有識者の方々からの御質問、御意見などをお願いします。堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  最初にいつもすみません。堀川です。
 8年目のステージゲートを通過する際に、当然あともう2年ということになるわけですけれども、POCの達成が重要な要件とされているようですが、達成をどのような状態として定義されているのか、どのような根拠で判断されているのかについて、制度上基準があるのかどうか確認したいと思います。どうぞ。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。
 通し番号88ページのレーザー加速を具体的な事例として御説明させていただければと思います。レーザー加速におきましては、この技術をまず創薬や医療の現場に活用していくことを出口として見定めております。その出口として見定めておいた上で、最終的に10年度を迎えた時点で、どのような技術を達成すればこの企業が主体的に研究開発を実施できるのかといったことをまず考えております。
 その際に、今、医療用として電子ビームの利用などを考えているんですが、これを実際使っていくときにPMDAの審査を受ける必要がございます。その審査を突破するにはどういった技術水準が必要かといったことを具体的に考えた上で、8年目にその目標を設定しております。最終的に2年を経過したときには、この技術の目標を達成できるかどうかといったことを判断する。そういった考え方で基準を設定しているところでございます。
【堀川委員】  どうも。この目的が社会実装だという説明を聞いているんですけれども、社会実装のイメージだと、私は商品化されることとイコールだという認識なんですが、その認識で間違いないでしょうか。
【説明者】  もう少し正確に申し上げさせていただきますと、おっしゃる通り、社会実装は実際に製品化・サービス化するというところなんですが、これは実際、社会実装につなげていくところというのがメインの目的となっております。
 それで、まず、文部科学省としての目的としましては、革新的な技術というものをどうやって社会にサービス化・製品化していくのかといったことを考える際に、まずは、企業が主体的にそういった開発をできるかどうか、そういう判断をするための根拠を示すことが重要だと考えております。その企業が主体的に研究開発を取り組めるかどうか判断の根拠となるのがPOCというふうに考えております。そのPOCをまずこの事業の中では達成する。そうすることによって、企業の主体の研究開発に橋渡しをする、つなげること、その先に製品化・サービス化といった実際の社会実装につながっていく、そういったストーリーで考えているところでございます。
【堀川委員】  どうもありがとうございます。
 釈迦に説法になってしまうんですけれども、研究から実装に行くというのは、死の谷を超えると言われるんですよね。それが一番大変だということなので、POCが研究段階で、さらにその先も、企業も研究段階だとすると、問題になる死の谷を越えることをこの事業の中では組み込んでいないのかという感覚になってくるんだけれども。
 とはいえ、後でちょっとその話もしますけれども、少なくとも8年目のステージゲート、私、ステージゲートの考え方は非常に賛同しています。文科省としてこれを積極的に取り上げていることは賛同するんですが、10年にも及ぶ事業で、最後のあと2年というステージゲートの段階で、皆様が目的としてまだ引き続き研究というのには非常に違和感を感じるんですよね。8年の段階で、中には実装化されて、上がりましたねというような成果も出ても良いと思うんだけれども、なかなか、10年でも難しい案件をやっているということなので、そうでもないものが揃っているのかもしれませんが。
 少なくとも、10年の間に何が起こるんだろうと考えたら、皆さんの方の担当者もそうだし、民間企業だって、担当者もどんどん替わっていくんですよね。人が。更に言うと、社会がもっと変わっていっているんですよね。最近、AIというかChatGPTを使うようになりましたけれども、去年から使って急激にこんな時代になったのというぐらい。たった2年も経たないうちに。その中で10年のスパンで、10年目も終わってもPOCという段階かもしれないですが、引き続き研究をやっていきますというのが本当に社会実装に馴染むんだろうか。担当者が非常に替わっていく中で、それを忘れ去られないのかなと考えると、やはり8年目のステージゲートが本当に社会実装になりますよというぐらいの、感情的になってはいけないですが、気合を入れた指標の設定が私的には求められると考えるんですよね。是非それは検討していきたいんですけれども、どうでしょうか。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。委員がおっしゃる通り、社会の流れが、今、様々な技術が生まれて、技術の変革が非常に激しいというふうに言われている時代の中で、そういったものにどう対応していくのか、そのための、対応するための制度設計というのは、求められているのはおっしゃる通りのことかと思います。
 実際、この事業の中でもそういった議論は非常に重要だと思っておりまして、技術的なベンチマーク、国内の研究開発はもちろんそうですし、海外の技術開発がどうなっているのか、そういったベンチマークをしっかりしながら、次どういうふうな技術を目指していくのかといったことで進めております。
 特にこの10年というのが、おっしゃる通り長いという御指摘があるのは重々承知しております。一方で、ここに書いてあります通り、例えば、これは全く今までない技術を社会に生み出そうという、そういったある意味ハイインパクトでハイリスクな研究開発となっております。そういったものには、なかなか正直、企業も参画するハードルが高いといった事情がございます。
 そのためには、その技術がしっかり使えるかどうかといったところをしっかり示すことというのがまず重要になってきます。その示すことをもっと早くやるべきだと。おっしゃる通り、そこはできる限り我々も早くやりたいと思っているんですが、これまでにない革新的な技術を生み出していくといったことを実際やっていくと、我々も実際、この8年目ぐらいでやっとPMDAの審査に耐えられるような技術のめどが立ってきたというのが正直なところでございまして。
 御指摘を踏まえて、どのようにすれば社会実装につながる研究をもっと加速できるかといったことは是非考えていきたいと思っておりますが、実際になかなか、時間がかかるといったことも正直あるというのが実態としてはございます。
【堀川委員】  本当に革新的な技術であれば、日本だけじゃなくて世界で競争し合っているわけですよね。象徴的なのが量子コンピューター。時間との戦いを各国やっているわけですけれども。確かに革新的かもしれないけれども、外国で同じものをつくっていないのかという感覚にもなるんだけれども、その点は大丈夫?
【説明者】  はい。このレーザープラズマ加速も、まさに海外でも研究開発を進めていて、そういった競争の中で我々もやっているものでございまして、海外とのベンチマークもしっかりこの事業の中ではしております。
【堀川委員】  JSTさんは10年で終わるわけですよね、基本的に。この10年で、世界各国と競争しているのであれば、どうあるべきかというのは、8年目のステージゲートをどれだけ有効に使うかということに、マラソンで最終コーナーみたいなところになってきて、そこで勝負が決まるわけだから、やはりそこはしっかりとやっていきたいというのと同時に、私が運営費交付金、何でだろうというのを実は引っかかってはいたんだけれども、運営交付金でこれをやる意味はきっとあるんだろうなと思い直しました。基礎研究だったら科研費でやっているし、最終的に社会実装まで組み込むということであれば、そういう野心的な事業であれば、運営交付金は自由度があるので、それはそれで1つの考え方かなと。
 ただ、だからこそ、今後も運営交付金でこういう事業を、中期計画ですか、しっかり入れて進めているということなので、ステージゲートのありようというのを、この事業に限らず、JSTさんとしてのステージゲート、特に最後を見据えたステージゲート、社会実装を見据えた事業については、ステージゲートのありようというのは、やはり一度徹底的に検討していただければなというのがまず1つの提案です。それいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。委員の御指摘、おっしゃる通りだと思います。今までの我々のやり方は、ある程度これまでの常識というか、踏襲したやり方となっておりますが、世界の情勢を踏まえながら、どういった形で今後ステージゲートをやっていったら良いのかというところは、是非我々も考えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【堀川委員】  ありがとうございます。
 それともう一つ、ちょっと野心的な提案なんですけれども。運営費交付金であればできるなと考えたのが、本当に社会実装になったのかというのを、10年終わった後に、普通の委託費とか事業費だと予算が無くなってしまうんだけれども、JSTさんの考えでフォローアップできますよね。そのフォローアップの結果が100%実装になっていれば、というか、実装という定義もなかなか難しいとは思うんだけれども、皆さんが求める実装になっているのか、なっていないのか、それとも、そもそもなっていないケースがあったとしたら、それこそがきっと8年目のステージゲートに良い意味で反省材料として使えると思うんですよね。そこで、こういう楔を入れていった方が良いのかなという検討ができると思うので。
 これはあくまでも提案なんだけれども、10年終わった後に、皆さんの運営交付金、JSTさんの運営交付金で、自由に使える部分ですから、是非3年目とか5年目に、皆さんが思う、このぐらい期間が経てば、世界との勝負だから3年も待てるかどうか分からないけれども、このぐらい期間が経てば、当然、社会実装になっていても良いよねという期間後に、本当にそうなったのかをフォローアップするということを是非検討していただければなというのは私の提案です。どうでしょうか。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。今の御指摘をお聞きしながら、ステージゲートのどうあるべきかというところも含めて、その後フォローすることによって、ステージゲートのやり方が適切だったのかどうかということにも恐らくつながると思いますので、是非、そういった観点での事業を、事後も含めて、しっかり検証できるようにしていきたいと思います。ありがとうございます。
【堀川委員】  ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、伊藤委員、御発言をお願いできますでしょうか。
【伊藤委員】  伊藤です。よろしくお願いいたします。
 今、堀川さんがお話しされたところともつながってくるところで、この研究10年かけてハイリスク・ハイリターンというところが、これまで事前の勉強会でも教えていただいていたし、それが特徴だというところかと思っています。としたときに、かぶるんですけれども、このハイリターンはどれだけリターンがあるのかというのはやっぱり示せる方が、この後、このプロジェクトが重要だということにつながってくるだろうなと思っていて。
 今のロジックモデルの長期アウトカムは課題の件数ですよね。橋渡しした件数になっているんですが、ここが更に深掘りをしなければいけないんじゃないか。深掘りの仕方というのは多分幾つかあって、どれだけこれが生産性の向上に結びついているのか。実装されたその先ですよね。民間でどの程度使われているのかとか、そこはもしかしたらもう既に把握されているけれども、たまたま今出ていないのかもしれない。その辺をまず教えていただいて良いですか。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。
 おっしゃる通り、中期アウトカムのステージゲート2をやる段階では、具体的にどういった企業にお渡しするかということとともに、社会にどういう形で、どういう市場に実装されていくのかとか、その市場でのインパクトはどのぐらいあるのかとか、そういった算段は一応しながら、次のこの狙っているターゲットが正しいのかどうかといったことは、議論はしているところでございます。
【伊藤委員】  その上で、何か数字が見えているわけではないんですかね。
【説明者】  ケース・バイ・ケースにはなってしまうんですが。具体的に市場規模がこのぐらい見込めるとか、そういうものがある程度具体的に出せるものもあれば、これから開拓していくような新しい市場になってくると、なかなかそういった具体的な数字が難しいケースとかもあったりして、ケース・バイ・ケースでなっているというのは実態としてはございます。
【伊藤委員】  そこが示せるかどうかが、この事業の効果を見せられるかどうかかなと思っていまして。全部パッケージで言えなければ、プロジェクトごとでも良いような気がするんです。プロジェクトをずっと見ていると、例えば、この技術を基盤としてどれぐらい新規事業が出ているかというのは、今、例示されたプロジェクトなんかでも言えるなと思いますし、雇用創出が1個の目標になり得るなというプロジェクトもあったりとか、あと、逆に、環境配慮のプロジェクトがあったかと思うんですが、それだったらCO2排出量の削減量だったりとか、多分プロジェクトごとにそれが見えてくるところがあって、そこまで実現しているから実装することの意味があって、10年間のプロジェクトでやっている意味というふうにロジックがつながってくるような気がするんです。
 さっき堀川さんがおっしゃっていたみたいに、この瞬間、今ここで見えているだけだと、10年間、他の事業と圧倒的に違いますからね。しかも運営費交付金でやっている事業として、結局これ、課題が実装されたのは分かるけれども、どうなっているのかなというふうに見えなくなってしまうところがあるなと思うので、そこはまさに、運営費交付金だからこそ、JSTの本来の業務の1つとしてのフォローアップというのはあり得るかなと思うんですけれども。もし何か違いがあれば。
【説明者】  ありがとうございます。おっしゃる通り、そこのどういうふうに最終的にインパクトがあったのかといったところをちゃんとフォローしていくということもそうですし、インパクトとしてどういうところを狙っているのかというのをお示しするといったことも重要かと思います。
 例えば、評価書とかも、ステージゲートの評価とかも、簡素版ではありますが公開させていただいておりますが、そういったところに、どういったところをターゲットとして今狙っているのかとか、インパクトとしてはどういうところを狙っているのかとか、具体の実装先とか医療系を狙うとかそういうことは書いてはいるんですが、インパクト的なことはあまり記載はできていないような状況なので、そういったところに目指しているインパクトというのはどういうのがあるのかというのをお示しする、国民の皆様にも見えるようにするというのが方法としてはあり得る、1つの方法としてはあるかというふうには思います。
【伊藤委員】  今のに関連してのもう一つになるんですけれども、じゃあ、他の研究事業と何が違うのかというのかというのは、少なくともまだ今日の資料の中だけでは明確化されていないと感じていて。ハイリスク・ハイリターンのもの、それは他の研究事業にも当然あるし、かつ、中長期のタームでやっているものもある中で、これは他と違うからこうやってJSTの運営費交付金でやっているんですというロジックが必要かなと思うんです。
 僕は、今までの話の中でいくと、やっぱりフォローアップが明確に、ちょっとまだ分からないけれども、できることがJSTの中でやっていることの意義だというふうに言えるんじゃないかと思ったんですけれども、そこでいかがですか。
【説明者】  ありがとうございます。おっしゃられる通り、役所関係ですと、体制の面もありますし、なかなかフォローアップの難しさというのはございますが、そういった意味ですと、おっしゃる通り、運営費交付金だからこそ、より中長期的に事業を終わった後も見ていけるというのはあると思いますので、是非そういった観点でこの事業の特徴、意義を見いだせるように考えてみたいと思います。ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、水田委員、音声聞こえますでしょうか。それでは、水田委員、お願いします。
【水田委員】  
 それで、私からは論点の1番目について、まず3つ質問差し上げたいというふうに思います。
 まず1点目がステージゲートについてなんですけれども、4年度末、それから7年度末ということで、全てのプロジェクトについてこのタイミングでステージゲート評価の方をされています。私自身は、ステージゲート評価、それから研究開発運営会議の開催、こういったことで緻密な研究開発マネジメントをされているというのは高く評価させていただいています。
 ただ、全ての事業について4年度末、7年度末ということで、研究課題によってどのくらい成果が出るかというタイミングが違ってくるかと思うんですが、この2回、4年度末、7年度末という固定のタイミングでステージゲート評価をするということで、大体節目になるということで大丈夫でしょうか。それとも、研究課題の個別の事情とかを考えた場合に、ステージゲート評価をするタイミングを柔軟に変えていくということも考えられるんでしょうか。これが1点目の質問です。お願いいたします。
【説明者】  ありがとうございます。まず、実態上のお話としまして、ある程度このタイミングで評価するということが見えているということが、ある意味、現場の研究開発を進めていく立場としては、計画的に研究開発を進めていくという観点でいうと、固定的に、固定してこのタイミングでやるというふうなマネジメントをさせていただくのが分かりやすく進めやすいといった事情がございます。
 変えるマネジメントができるのかどうかといったところに関しましては、まだ詳細な検討はしていないのですが、進捗状況が計画よりどのぐらい進んでいるのかといったところを、毎年、年度毎にも進捗は一応確認している状況でございますので、そういった年度毎の進捗確認等を踏まえて、例えば、事業の研究総括の判断でステージゲートを前倒しするといったことがもしかするとできるかもしれません。ちょっとそこはまだ検討が必要かなというふうに思っております。
【水田委員】  分かりました。特に個別の研究課題について、このタイミングだと節目にならないなというようなものがあるようでしたら、少し柔軟に対応しなきゃいけないのかなというふうに感じた次第です。そういう問題が起きていなければ、特に大丈夫かなというふうに思います。
 それで、2点目ですが、研究開発運営会議についてなんですけれども、ページ数で言うと101ページになりますが、大体開催時期というのが年度末に開催されているようです。恐らく、先ほどおっしゃられたプロジェクトごとの年度ごとの進捗についても、この運営会議の方で進捗を確認して、会議の出席者でいらっしゃいます専門家の方々から御助言をいただいているのではないかなというふうに思います。
 ただ、この開発会議が例えば2回行われていたりとか、あるいは年度末ではない時期に行われている場合がありますけれども。例えば①とか③とか、②もそうですかね。これは、2回行われていたり、年度末ではない時期に行われていたりというのは、どういう理由になりますでしょうか。これが2点目です。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。研究開発会議は、御指摘の通り、年度末に、最終的に今後どうしていくのかということを、年度の進捗を踏まえて考えていくということで、年度末に設定する場合が多くございます。
 一方で、課題に応じて、重要な開発が今進んでいて、このタイミングで議論をしたいというふうな現場の進捗に応じたニーズとかもございまして、それに応じて臨機応変に運営会議は設定させていただいているところでございます。
 恐らく、①のレーザープラズマ加速は、8月にこれをやらせていただいたので、進捗という観点でいうと、またちょっと間を置いて、年度末というか、年度初めぐらいにやるといった、そういった柔軟な運用を①の場合はしたといった結果と思われます。
【水田委員】  ありがとうございます。そうすると、プロジェクトの方で、これぐらい進捗があったので、今のうちに運営会議の方で進捗を見てもらいたいということで、プロジェクト側からこの運営会議を開催したいということで要望が来るんでしょうか。
【説明者】  プロジェクト側からのそういった相談もございますし、研究総括の方でこのタイミングでやった方が良いんじゃないのかと、進捗を、総括の方はより詳細に日頃から各課題の代表者とコンタクトを取っておりますので、そういった意味で、総括から御提案する、そういった場合もあると思います。
【水田委員】  ありがとうございます。
 実態に即してフレキシブルに開かれているということで、逆に、セレモニー化していないというのは大変良いことだなというふうに私は思います。
 3点目なんですけれども、これはちょっとお答えいただくのは難しいかもしれないんですが、今回のこの事業については、例えば、レビューシートやセグメントシートの方については、業務実績の評価、業務の実績に関する評価、これをアウトカムに指定していらっしゃるというところがあります。
 私の方で業務実績評価も見させていただいたんですが、大臣コメントとしてどういうものが載っているのかということでちょっと拝見をしたんですけれども、例えば、昨年の7月に令和5年度の業務実績評価が出ているんですが、そちらの中でこの研究開発マネジメントに関連して、「社会情勢・技術動向等の変化に考慮しつつ、適切な助言・評価・支援を行うことができる体制の改善を図ることを期待する」ということでコメントがあったんです。「体制の改善を図ることを期待する」というのは毎年出てきているみたいなんですけれども、このコメントを受けて、体制の改善というのは図られた部分というのはあるんでしょうか。これが3点目です。
【説明者】  ありがとうございます。体制の改善、おっしゃる通り大臣からのコメントとしてさせていただいているところでございますが、実際、事業の進捗に応じて、例えば、社会実装をある程度、ステージ1からステージ2に行く途中においては、具体の企業とのつながりというところがより重要になってくるので、そういった意味で、研究、技術開発が分かるような方だけではなくて、企業とどうつないでいったら良いかとか、あと、先ほどの御質問にもありましたが、どういった社会インパクトを目指していくのかといったことを検討する、そういった人材を研究チームの中に加えていく、例えばこういったこともやっておりますし。
 もしくは、スタートアップの可能性はないかどうかといったことも例えば検討の材料に上がってくるということであれば、そういったスタートアップの検討ができるような、そういった人材も入れるといったことも、例えば、体制の見直しということでは、進めている事例としてはございます。
【水田委員】  ありがとうございます。そうすると、大臣の、かなり広いコメントなので、色々なものが含まれてくると思いますが、それに基づいて、今おっしゃっていただいたような形で改善をしているということで理解をいたしました。
 では、私からは最後の質問ですが、論点の2番目になりますが、指標についてになるかと思います。アウトプット・アウトカム指標についてです。それで、特に社会実装に関連する指標についてということでございます。
 先ほども申し上げた通り、この事業については、レビューシート、セグメントシートというのが大くくりのシートになっていて、その中のアウトカム指標というのが、大臣の業務実績評価の結果をアウトカムにしていらっしゃるんです。ですので、恐らくこの事業についても、そのアウトカムにどれだけ貢献しているかということを見ていかなきゃいけないのではないかなというふうに私の方で拝察させていただきました。
 ですので、一応、今回の資料の89ページにもちゃんとロジックモデルを設定していただいて、KPIの設定の方もしていただいておりますが、恐らく、大臣の業務実績評価に影響を及ぼすようなエビデンスとなる指標、こういったものが入っている必要があるのかなというふうに思った次第です。
 具体的には、業務実績評価の中にはモニタリング指標をJSTの方で入れていただいていますが、1つ例を申し上げると、モニタリング指標の1つに、社会還元や実用化に向けた研究の発展につながった課題の件数というような、そういった指標もございます。何となくそれがこの事業の最終目的にもつながってきますし、かつ、大臣評価の中でも参考にされる指標になっているので、良いのではないかなというふうに思った次第なんですけれども。
 その辺り、業務実績評価で勘案されるような指標をアウトカムとして入れていくという、そういったことはここで挙げられているKPIの中でどれくらいお考えになられているかということをお聞きできればと思います。これが最後の質問です。
【説明者】  ありがとうございます。この89ページに挙げさせていただいているロジックモデルの中のアウトカム、短期アウトカム、中期アウトカムもそうですが、アウトカムの指標というものの中で、例えば、企業への共同研究の体制がどうなっているのかといったところを入れている指標がございます。こういったところは、ある意味、定量的に企業との連携が進んでいるということを大臣が判断するということに使えるデータとして入れているところでございますし。
 あと、例えば、中期アウトカムのKPI7の中に、社会実装の具体的なシナリオといったところもございまして、こういったシナリオがしっかり確立されているのかどうかといった、定性的にはなりますが、こういったことも評価の対象、考える上での重要な1つの指標になるというふうに考えて、今、このKPIの中には入れているところではございます。
【水田委員】  大ぐくりの方のレビューシートとの関連できちんと考えていただいているということで理解いたしましたが、この事業がどれだけ大ぐくりな方の事業に貢献しているかということを見せられるような形で、今後も評価指標を考えていただければと思います。
 私からは以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、石田委員、お願いします。
【石田委員】  ありがとうございます。すみません。初歩的な御確認からで恐縮なんですけれども。資料の86ページのところにあります全体像からの御確認なんですが、JSTさんの方へのまず運営費交付金が1,010億円というのがあって、そのうちの赤囲いの中の550億の中の未来社会創造事業は77億ですという、こういう位置付けでよろしかったでしょうか。
【説明者】  はい。その御理解の通りでございます。
【石田委員】  ありがとうございます。
 今回取り上げていただいている未来社会創造事業そのものは、平成29年ぐらいからやっていらっしゃるということだと思うんですけれども、今までのところ、令和6年までですかね、トータルで幾らぐらい使っている事業となっているのか教えていただけますでしょうか。
【説明者】  先ほどの御質問にもう少し正確にお答えしますと、未来社会創造事業の中の大規模プロジェクトというのが今回対象になっておりまして、未来社会創造事業全体で言うと77億円なんですが、この大規模プロジェクトというものですと大体35億円になっております。
 すみません。どのぐらい使ったのかというのが今すぐ出てこないんですが、大体、年間予算で言いますと、同じぐらいの規模でずっと続いておりますので、35を例えば8掛けとかさせていただきますと、250億以上というふうな数字になると思います。
【石田委員】  ありがとうございます。時間のかかる研究もあるんだとは思うんですけれども、POCというところに向けてということでございますので、もう8年目だということなので、今までの経済効果としてはどのぐらい生まれているのかというのは、何か計数的に把握されていることがありましたらば教えてください。もちろん見込みも含んでも構いません。
【説明者】  具体的な経済効果がこれまでの開発でどのぐらい生まれたのかというのを出している数字は、申し訳ございません、私、今、手元にはございません。
 ただ、先ほどの話と少し重複しますが、将来的にどういったインパクトがあるのかといったところは、可能な範囲でシナリオや試算をしているといった状況でございます。
【石田委員】  ありがとうございます。資料の106ページのところの事後評価(最終年度)というところを見ますと、そこの2のところの3つ目のポツのところで、社会・経済への波及効果が見込める成果が創出されたかということがチェック項目になっているんですけれども、これは数字でどのぐらい経済効果があるんだとかというのを出させる、あるいは、ここに向けて、最後の年だけではなくて、恐らくステージゲートごとというか、年度ごとにそれがどのぐらいまで今進捗しているんだというのをモニタリングしていく話だと思うんですけれども、この辺りの社会・経済への波及効果を計数的に出させているかどうかというのを御教示いただけますでしょうか。
【説明者】  御指摘の通り、例えば、途中のステージゲートでも、どのぐらいインパクトがあるのかというのを試算するといったこともステージゲートの評価項目に入れておりまして、そういったどれだけ経済的な効果が出るのかといったところを、まだ、それが実装されたときではありますが、実施されたときにこういったインパクトがあるといったことは計数的に可能な範囲になりますが、出させているところではございます。
【石田委員】  ありがとうございます。
 社会実装のところのTRLの話を今回出して、技術的なところのレベルを出していただいているんですけれども、結局、POCのところまでとなると、TRLの3までがこの10年なんですかね。ただ、社会実装のところのスケールするところまで行くと、TRLの9までは行かなきゃいけないんだろうと思うんですけれども。
 少なくとも、開発が進んでTRLの6まで行かないと上市されないんだろうなと思うんですが、その辺りの3まで行った後の6までというところを見越したものを今回のこのプロジェクトの中ではさせているのか、それとも、とにかく3まで行けば良いというようなやり方になっているのか、すみません、仕組みを教えていただけますでしょうか。
【説明者】  考え方でいいますと、その後のTRL3以降、この事業では3までを目指していますが、それ以降にどうつながっていくのかといったそういったシナリオも一応考えながら、今回はここまで技術的には達成しようということを、この事業ではそういう考え方で目標を設定しています。
 そういう意味ですと、3以降にどういうふうなシナリオで進んでいくのかということも、ある程度は想定はしているんですが、そこの精度がどこまで高いかと言われますと、ちょっと難しさもあるというのが正直なところでございます。
【石田委員】  ありがとうございます。何のことやらという方にも言っておくと、TRL1は基礎研究で、2が仮説、コンセプト化のところ、3が概念検証。ここまでだという、POCのところまでなんだと思うんですけれども。4が研究室レベルでの初期テストで、5が想定使用環境でのテスト、中間テストで、6が実証でシステム、実用の環境下でやって、7が生産計画で、8がスケールで、9が安定供給とかそういう流れの中の3までですという話だと思うんですが。
 もし、3というか、この予算が本当に実用化まで行くというんだとすると、3がゴールじゃないし、先ほど堀川委員からもありましたけれども、そこからが大変というところに対して、どこまでそれを前倒しで組み込ませた研究をさせるのかという目線を持たないと難しいでしょうし。
 皆さん御承知の通り、社会実装でいくと、技術だけではなくて、ビジネスのBRLだったりとか、人材育成のHRLだったりとか、社会的にはそういうものが必要か、あるいは受容されるのかはSRLだったりとか、制度的なJRLだったりとか、それ全部上がっていかないと社会実装まで行かない。どこの省庁でもやっていると思うんですけれども。
 その辺りについても意識的にこのプロジェクトというのは運用するように御担当のところでは今動かしていらっしゃるのか教えてください。
【説明者】  ありがとうございました。私の説明が不足したという点もあるので、補足させていただきますと、目指すところは確かにPOC、概念実証なんですが、実際に企業が受けるかどうかということを判断するには、実際に物が動いているところを見ないとなかなか判断できないという声が多数聞こえてきまして。
 POCというところを当初事業の設計ではしているんですが、実際の話は、プロトタイプみたいなものまである程度つくって実証するような、実証といっても非常に小さいレベルの実証なんですが、動くようなところを見せる、そういったところまでやらないといけないだろうというのは、この事業を進めていく中である程度分かってきたところでして。そういったところまで踏み込んで成果を出そうといった、そういったマネジメントはしているところです。
 他のBRLとかJRLとか、TRL以外、技術以外のレベルについても、ある程度、ステージゲートの中でシナリオを考えていくところで見ているというふうには我々としては考えているところではございます。
【石田委員】  ありがとうございます。その辺りのモニタリングというか推進というのはJSTさんが担うんですか。それとも、皆さんの方の部局というか、文部科学省でまた別途の仕組みで、更にそこをモニタリングしていくような仕組みで進めているんでしょうか。
【説明者】  そこは基本的にはJSTのマネジメントの中で、有識者の先生方にも御参画いただきながら、どういうふうにシナリオを考えていったら良いのかといったことを検討しております。
【石田委員】  ありがとうございます。
 95ページの、すみません、聞き漏らしたかもしれないんですけれども、教えていただきたいんですが。研究開発マネジメントの取組状況、まさにJSTさんのマネジメントなんだろうとは思うんですけれども、社会還元・実用化に向けたマネジメントというところで、先ほどおっしゃっていただいたようなビジネスサイドの方、どのぐらい出てくるのかというところで、一番下のところ、参画件数が年々上がっていることは喜ばしいことだと思うんですが、これ自体はどのぐらいまで上げていくのがビジネスとして成立するのかみたいな、企業件数なのか、何で見るのかというのは難しいところだと思うんですけれども、これは十分な目標値であるというふうに見ていらっしゃるというか、どう判断すれば良いんでしょうか。
【説明者】  非常に難しい御指摘だと思います。まず、企業参画数が増えていくということ自体は、それだけ関心を持っていただいているし、最終的に実装されていくときの広がりが増えていくということにつながるので、まず、この数が増えていくということは非常に重要な1つの数値だろうというふうに思っております。
 一方で、マネジメントの中で、他にどこまで進んでいるのか、どうやったらもっと進むのかといったことを、ある意味、1つ基準を設けてやるということは、今、正直、あまりできていないようなところでして。それぞれの中で定性的に議論をし、このぐらいのことを目指していくべきじゃないのかといったことを考えて、そういったマネジメントが実情かというふうに思います。
【石田委員】  ありがとうございます。何となく、あるがままというか、なったままみたいなやつだと、どう推進するのかという目線が見えてこないので、その辺りは意識的に組み立てていく必要があるんだろう、難しさはあると思うんですけれども、というふうには思ったところです。
 最後、御質問なんですけれども、JSTさんの運営費交付金でやっていてということと、レビューシートだとJSTの独法評価がB以上、Bが100%という評価なので、それ以上取れるようにということなんですが、JSTさんは、さっきの冒頭で言った通り、色々な事業をやっていらっしゃると思うんですけれども、この事業に係る、色々なもの全てに対してをひっくるめてJSTさんがB以上を目指すという、そういうアウトカムだということなんでしょうか。
【説明者】  このBを目指すということに関しましては、ステージゲートごとに各課題の評価をさせていただいておりまして、その各課題の評価が最終的に……。
【説明者】  レビューシートとセグメントシートの書きぶりだと認識しております。セグメントシートの単位ですと、この未来事業の他にも幾つか事業がありまして、総体として大臣評価でS、A、B、Cと決めておりまして、そこがB以上であるというところをレビューシートの中ではまとめられております。
 なので、個別ではなくて総体としてという形で、もちろん、その中で未来事業も一定の貢献をしていると、そういうところでございます。
【石田委員】  ありがとうございます。そういう意味では、JSTの方のちゃんと効率的な経費とか人件費も含めて運用してもらわなきゃいけないというところで、ガバナンスを含めての評価をしなきゃいけないということは大事だし、最低でもB以上というのはすごく大事だと思うんですが、アウトカムと言われてしまうと、アウトカムは、それをやったことでどうやって社会的な効果が生まれたかという話なので、ちょっと指標としてはそこじゃないんだろうな。目指さなきゃいけないのはB以上だとしても、アウトカムというのはちょっと違うかなと思ったので、もう少しそこは整理いただけると良いかなと思いました。
 すみません。長くなりました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
【説明者】  すみません。補足をさせていただくと。おっしゃる通りだと思っておりまして、そのために、未来事業でもそのような形で、特化した形で評価しているところでございます。
 あと、先ほど神部から申した、どういった企業が参加したら良いのかというところは、先ほどの95ページに書かせていただいている通り、まず、民間、資金を入れるというところで本気度をまず見ているというところもありますし、あとは、そこは定性的ではありますけれども、サプライサイドだけではなくてユーザーサイドも加えて、バリューチェーンの中できちっと企業をある程度ビジネスとして成り立つように持っていくというところを、それは個別の課題によって形は違いますが、そういった形を意識してやっているところでございます。
【石田委員】  ありがとうございます。そこをもうちょっと、すごく厳しいあれをすると、マッチングファンドをちゃんとこれだけ持ってこいみたいなところまで求めているこういう社会実装ものの他の施策もあると思うんですけれども、今おっしゃられた企業も巻き込んで本当に実装までやるというようなのだとするならば、恐らく、そういう民間からお金をどのぐらい出してもらっているのかというのも少しKPIとかに入れても良いのかなというふうに思いました。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 時間も大分過ぎておりますので、コメントの方記入を進めていただければと思います。
 伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  今までの話を聞いている中で、ステージゲート評価がどこまでその後に結びついているのかというのが一番重要なんだろうなと思っていまして。109ページでしたっけ。例えば、レーザー駆動のプロジェクトでいくと、2次ゲート評価でAになっているけれども、指摘事項はあるんですよね。社会実装に向けプロジェクト全体を推進する主体、インテグレーターの明確化みたいな。
 これは多分、今日ずっと話が出ている、社会実装に向けてちゃんと体制構築しましょうねという趣旨からこういう指摘が出ているのかなと。としたときに、まず質問なんですけれども、A、B、Cと明確に評価区分があるというのはこれまで教えていただいていて、そこと、例えば今みたいな、Aだけれどもこういう指摘がある、要は指摘事項ですね。この重みはどれくらいの重みというふうに捉えられるんですか。
 どちらかというと、独法評価とかはA、B、Cがすごく強調されるがゆえに、Aだと、色々たくさん文章を書いているんだけれども、取りあえず今のままで良いよというふうになりがちだなと正直思っていて。ただ、今みたいに、Aだけれども結構明確な指摘をされているなとも思うんですよ。そこってどうなんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。まず、客観的にこの事業がどうだったか、良いのか悪いのかというのを示す上ではA、B、Cというのは重要で、実際目標をちゃんと達成しているかどうか、計画上に目標を設定していますので、それがちゃんと達成できるのかどうかというのがA、B、Cの判断基準になります。
 一方で、中身として、本当に計画どおり行っているだけではなくて、ちゃんと使えるものになるのかどうかということを見た上でのコメントというのがついてくるものなので、コメントの重みというのは非常に大きいものだというふうに理解して、それをしっかり達成しなければ、結局、計画どおり行ったとしても、良いものになるかどうか分からないので。中身の面でいうと、このコメントというのは非常に重いものだというふうに認識して取り組んでいます。
【伊藤委員】  最終的にぐるっと最初の質問に戻ってきてしまうんですが、それも最後のゴールが何かが重要かなと思っていて。橋渡しするというだけじゃなくて、橋渡しした後に、どれくらいずっと経済効果とかインパクトを残しているかということがゴールで置かれていれば、きっと、例えばですけれども、さっきのレーザーの話でいくと、体制構築は必要。それがなければ、研究としてはうまくいくかもしれないけれども、その先が無いよねというのがこの指摘事項なんだろうなと思うので、そこをどうつなげていくか、ここでの評価をどうつなげていくかというのはとても重要なんだろうな。
 この大規模な方で単年度35億円ですよね。決して研究の中では低い方でないと思うので、だからこそ、その効果検証というのは重要なのかなと思いました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。もう少しお時間をいただければと思いますけれども。よろしいですか。石田委員、お願いします。
【石田委員】  公開の場で聞き方を間違えると間違えてしまうんですけれども。この手の研究というのは、100%成功するべきものというふうな捉え方なのか、それとも、TRLで言うと1のレベル、何だったらゼロからもあると思うので、ムーンショットとは言わないまでも、チャレンジングなものがあり、それに対してのいわゆる社会実装を成功だと言うのであれば、そうじゃないものというのもあっても、もちろん、そういうものも含んだものではないかというふうに思うんですけれども、その辺りについての捉え方というのはどういうふうに考えておけばよろしいものなんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。全てのプロジェクトが成功するかどうかというところは、例えば、今回のロジックモデルで書かせていただいておりますKPIの例えば6とか、KPI4、6、8あたりを御覧いただくと、A以上のものが80%以上あるというのがこの全体としては成功かなと思っておりまして。Bというのは、当初狙っていたところよりも、そこにたどり着かなければBになってしまうので、そういったものも出てくることは許容するものかというふうに考えております。
 一方で、さらに、アウトカムのところでは、科学技術の観点から、どれだけ優位性とか独自性を生み出すことができたのかとか、科学技術の発展にどうつながっていったのかというところも見ていきたいと思っております。
 そういったところでは、Bだったとしても、こういったサイエンスとして新しい観点を切り開いたとか、若手の育成に貢献したとか、そういった観点でもアウトカムのところでは是非見ていきたいというふうには思っています。
【石田委員】  ありがとうございます。大変重要なお話だと思いまして。我が国の科学技術のところの国際的優位性みたいなことまで書いていらっしゃるので、そうだとすると、どれだけ意を決して金を突っ込めるかみたいなところがあると思うんです。
 そうすると、スタートアップだったりとか、スタートアップじゃなくても、色々な超大手さんではなくて次を担うような若手研究者あるいは企業さんみたいなところを巻き込んだりとか、あるいは、次世代のこの分野の天才的な研究者の目みたいなのも含めて、失敗も含めた色々な効果が、こういうことがあったというところを是非各プロジェクトの中からもちゃんと御報告をいただいて、成功したものだけが良いんだということではなくて、色々な副次的な効果も含めて、我が国の科学技術に対してどういう貢献があったのかということも是非モニタリングできる、あるいは評価できるような仕組みになると良いなというふうには個人的に思いました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 その他いかがでしょうか。石田委員、お願いします。
【石田委員】  時間がない中で、全く、非常に、こんなこと聞いていいのかしらというやつなんですけれども。
 ステージゲート、とてもこのモニタリングは大事だと思うんですけれども、どうしても、評価、評価になるとペーパーワークが多くなってしまって、あるいは会議がやたらに増えてしまって、ための会議みたいなのがないように、ちゃんと研究に対しての必要なミーティングとかペーパーワークみたいなのになるように、何かお気を付けていらっしゃることはありますか。
【説明者】  ありがとうございます。そういう意味ですと、できる限り資料を、使える資料は、また他の会議とかでも使えるようにするという意味で、全く新しい資料を作るというのではなくて、更新部分だけ、前回の会議から変わった部分だけを資料としては作るようにするなどで、できる限り資料の作業を減らすようなことなどはやるようにしています。
【石田委員】  ありがとうございます。皆さんの方では当たり前のように、AIじゃないですけれども、DXじゃないですけれども、そういうのをやりながら、効率的にちゃんとやるべきところに時間が使えるようにと思うんですけれども、末端に行くと、紙を用意したりとか、あるいは、ポンチ絵を作るために、上手に表現するために人を雇って、そのための作業をする人がいたりとか、そういうこともひっくるめて、どういうふうに使うべきところに人と時間を使っているかということもうまく評価してあげて、誘導してあげていただけると良いかなと思いました。よろしくお願いします。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、堀川委員、取りまとめをお願いします。
【堀川委員】  どうもお疲れさまでした。
 本事業は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が新技術の創出と社会課題の解決を目指して研究開発を挑戦的に推進するものであり、基礎研究から実用化に至るまでの幅広い研究活動において中核的役割を果たすことを目指していますが、各委員からの意見を総合すると、幾つかの重要な課題が浮き彫りになってまいります。
 そこで、取りまとめコメント案としては、まず、設計に関するものとして、他の研究事業との違いが明確になっていない。運営費交付金を活用しているが、これだけのリターンが見えてくるという理屈ができるのではないか。逆に言うと、その特徴がなければ運営交付金で事業を実施していく意義が伝えられないのではないか。
 もう一点ですけれども、これは評価にもなるかもしれませんが、設計に近いと私は判断したんですが、社会実装を目指すのであれば、TRL3以上につなげることを、当然、設計段階でも意識すべきではないかというふうに意見をいただいています。
 次に、効果ですけれども、ハイリターン・ハイリスクを特徴としているからこそ、長期アウトカム指標は、橋渡しした課題の件数ではなく、深掘りすることが必要。全体で示すことが難しければ、プロジェクトごとで良いのではないか。社会実装された上でどのぐらい効果があったかを示さなければ、この事業の効果の説得力が弱い。
 具体的には、新規事業の創出数や雇用創出数、関連する市場規模の拡大率、社会課題解決への貢献度合い、CO2排出量削減とか医療費削減効果などが考えられるのではないか。
 同じく指標の設定についてですけれども、アウトカムはアウトプットの効果としての社会等に生ずる変化・効果として捉える前提ですので、レビューシート上のJSTの年度評価結果は、アウトカムというよりも、アウトカムを生むためのKPIではないか。
 次に、実用化とか実装化の話なんですが、中期・長期アウトカムにおいて実用化につなげる要素技術開発としつつ、長期でどのように実用化されているのかというところが抽象的に思われる。より的確なアウトカムが必要ではないか。
 業務実績評価における定性的評価やモニタリング指標など、リンクしたKPI等を継続的に採用することが望ましいという2つ目です。効果・指標について。
 次に、事業の執行ですね。また、その方向性についてですけれども、ステージ評価をどのようにその後の研究に結びつけているのかが明確になっていない。評価区分とともに、指摘事項はどのようにその後の研究につなげているのか、より明示する必要がある。
 また、プロジェクトの評価コメントによると、各ステージでの目標未達と次期ステージでの早期の達成を求めています。4年度目、7年度目というタイミングが個別研究課題の研究の節目になっているのかを継続的に確認してほしい。
 さらに、これは発想に近いんでしょうけれども、本件事業は単なる支援にとどまらず、POC後の進展も含めて、追跡可能な運営交付金による柔軟な制度設計を生かし、社会実装までの支援スキームのモデル事業として、制度全体の検証に資するべきと考える。
 しっかりフォローしていただきたいという事業の在り方も、指標の在り方も、そういうのが複数の委員から出てまいりました。
 以上、これらの課題を克服していただいて、戦略的な事業の実施を目指していただきたい。というのが、以上、私からとりまとめ案でございますが、いかがでしょうか。ありがとうございます。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、今の取りまとめをもってこのセッションは終了したいと思います。ありがとうございました。研究開発戦略課の皆様、ありがとうございました。水田委員もありがとうございました。
【水田委員】  ありがとうございました。退出させていただきます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、次のセッション、5分休憩でということで、2時15分から開始をさせていただこうと思います。よろしくお願いいたします。

 

第4コマ目:国際原子力人材育成イニシアティブ

【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、4つ目の議事に入らせていただきます。4つ目の項目ですが、国際原子力人材育成イニシアティブです。初めに、事業担当部局より事業概要の説明をさせていただきます。説明者は5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。また、資料での説明は、ページを示した上でお願いします。
 それでは、事業説明お願いします。
【説明者】  よろしくお願いいたします。原子力課長の有林です。よろしくお願いします。私からは原子力分野の人材育成事業について説明させていただきます。
 まず、原子力人材を取り巻く現状と課題についてです。ページの149ページを御覧ください。今年2月に策定されました第7次エネルギー基本計画においては、(1)にありますように、原子力を脱炭素電源として最大限活用していくことが明記されました。一方で、原子力人材を取り巻く環境は、近年、厳しい環境に置かれております。
 次の150ページ目を御覧ください。これは「原子力」という名を冠する学科・専攻数の推移です。赤が大学、青が大学院で、濃い色が「原子力」という名称を冠したものです。平成に入ったあたりから、自然エネルギーが注目され始めたこと、また、量子技術の発展等を背景にしまして、「原子力」という名前は「量子」「環境」「エネルギー」などの名称に変更され、濃い色で示す「原子力」の名を冠する大学が減少していることが分かります。
 次に、151ページ目を御覧ください。これは原子力関連学科・専攻への入学者数を示しております。「原子力」という名前を冠する大学の減少により、平成の初期以降、捕捉可能な入学者数も減少しているところでございます。
 次に、152ページ目を御覧ください。こちらは原子力関連の教員数を示しております。こちらもこれまで同様に減少しておりまして、特に40歳以下の若い世代の教員の減少が顕著な状況となっております。
 一方で、産業界の状況です。次の153ページ目を御覧ください。これは原子力産業協会という団体が実施しましたアンケートですが、約7割の企業において十分な人材が確保してできていないという状況が示されております。
 また、次に、154ページ目を御覧ください。こちらも原子力産業協会の就職セミナーへの専攻別の参加者を示したものです。御覧いただきますように、東電福島第一原発事故以降、各分野、減少が見られます。特に青、オレンジで示しております電気・電子系、機械系の落ち込みが顕著な状況となっております。
 次に、155ページ目を御覧ください。これまで説明させていただきましたように、原子力関連大学の減少により、教員、施設が減少し、その結果、個別の大学で一貫した原子力人材育成を行うことが困難な状況に直面しました。このため、全国大の教育基盤、施設・装置などの資源を結集し、共通基盤的な教育機能を補い合うことで、拠点として一体的に人材育成できる体制を構築すべく、令和3年にANECと呼ばれるコンソーシアムを立ち上げました。ANECには現在70機関が参画しております。
 ANECでは、155ページ目の資料の「Value」に書いてございますけれども、相互補完による体系的な教育、専門教育カリキュラムの教養、大型実験施設等における実験・実習機会の提供、組織的連携による国際研さんの場の創出、そして、最後ですが、産学の垣根を越えた競争の場の創造という4つの取組を実施してございます。なお、これらの事業の予算額ですけれども、令和6年度は2.5億円を措置して実施しているところでございます。
 次に、各取組について主要な事例を紹介させていただきます。157ページ目を御覧ください。こちらは先ほど御紹介させていただいた4つの取組のうちの1つ目でございますけれども、各大学が連携することで体系的な講義を収録し、北海道大学のホームページにおいて公表しております。左下に示しますように、毎年1.6万件のアクセスがあります。また、右下に示しますように、登録制の大規模公開オンライン講座も実施しておりまして、こちらにつきましては、10代から70代の幅広い年齢層から約4,400名の登録がありました。放射線に対する理解度向上やリスキリングに役立っていると分析しております。
 また、次の158ページ目を御覧ください。こちらは高校生を対象にしました原子力関連の大学、研究機関、企業と意見交換するイベントを昨年東工大で実施いたしました。約170名の参加があり、3分の1は女性です。また、3分の1の参加者が遠方から自費で参加しております。このような原子力に関心を持つ高校生をしっかりと支援していきたいと考えております。
 次に、159ページ目を御覧ください。2つ目の取組になりますけれども、大型の実験装置を持つ近畿大学、京都大学が連携しまして、全国の様々な大学に実習・実験の機会を提供しております。
 次に、160ページ目を御覧ください。3つ目の取組になりますけれども、科学大が中心となり国際機関や海外の大学と連携しまして、全国の様々な大学・高専に対しまして国際研さんの場を提供しております。
 次に、161ページ目を御覧ください。こちら4つ目の取組になりますけれども、三菱重工が現場で実践的に学ぶプログラムを提供しております。全国20校から学生が参加し、参加者の満足度も100%と高い評価を得ております。
 次に、147ページ目に戻っていただきまして、ロジックモデルでございますけれども、これまで説明させていただきました内容を、上段の「現状」から下段の中ほどにございます「短期アウトカム」というところにかけて示させていただいております。
 次に、このロジックモデルの中期アウトカムを御覧ください。これまでの行政事業レビューシートでは、中長期のアウトカムとしまして、終了した事業の評価結果S、A、B、CのうちA以上の割合ということとしておりました。しかし、今回のレビューシートの作成に当たり、より適当なKPIを設定する観点から、4つの取組に参加した学生が原子力関連分野へ進学した割合と就職した割合へと修正させていただいております。なお、進学者総数、就職者総数は、短期アウトカムの表で示しております参加者数の内数となっております。
 この図を見ていただきますと分かりますように、進学率では5割以上、就職率でも4割から8割と高く、原子力関連の学部や、専攻中心とした人材育成に大いに貢献していると考えております。
 一方で、154ページ目を御覧いただきたいんですけれども、先ほど示した図でございますが、原子力専攻以外の学生が、東電福島第一原発事故以降、原子力関連の産業に戻ってきておりません。このことは原子力関連企業において7割が十分な採用を行えないという1つの要因になっていると考えております。
 このため、ANEC、この事業の次の目標としましては、令和9年度以降になりますけれども、機械、電気・電子、情報分野などの学生も含めた裾野の拡大を目指すべく、産業界とより密接な連携を行い、他分野の学生が原子力を学ぶ機会の提供に努めていきたいと考えております。
 以上で説明を終わります。よろしくお願いいたします。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、論点の説明に移らせていただきます。お手元の説明シートに2つ論点が書かれてございます。
 1つ目は、令和9年度以降も含めた本事業をより効果的に展開するための今後の方針と在り方、それから、事業成果検証のために適切なアウトカム、アウトプットは設定されているかという論点でございます。
 それでは、有識者の皆様から御質問等をお願いいたします。まず、堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  堀川です。色々公開レビュー前に事前勉強会等でお話を伺っていたんですけれども、原子力関係の人材が減っているというのが、そもそも学部・学科の看板の書換えと組織改編に影響されているということが背景にあるのではないかというお話があったかと思うんですが、その辺りはそれで良いんでしょうか。まず確認したいんですが。
【説明者】  コメントありがとうございます。151ページ目に示している図でございますけれども、こちらの方は国の統計であります学校基本統計に基づいて、その中でも下の方に書いてございますが、あるキーワードに基づきまして、こういった分野に該当する方を大学側の方から申請させていただいておりますけれども、先ほど委員が御指摘いただきましたように、学部の名称が変わったことによって、例えば、これまでは原子力工学科だったところが工学科の原子力コースというように名称が変わってしまうと、なかなか正確な数字が捕捉できないような状況になっていると考えております。
 このため、今現状、国の方としまして公表している資料はこちらの151ページ目に示しているものでございますけれども、我々、今、担当課としましては、学会などと連携をしながら、先ほど申し上げたような、学部とか専攻よりももっと下の方に入り込んでしまったところに原子力を教えられる先生方がいらっしゃるはずですので、そういった方をより正確に捕捉できないかという検討を今しているところでございます。よろしくお願いします。
【堀川委員】  ということで、すみません、この今回資料は現状のデータできっと説明せざるを得なかったということだと思うんですけれども、EBPMというか、本当に重要だと思うんですが。例えば、よく3.11の後、原子力関係が厳しくなったみたいな見方を言われるケースも多々あると思うんですが、実際はその前から減っているんじゃないかと、データもあるし、また、今、課長の説明があったように、そもそも本当に減少しているのかという根底的な話もあって。
 本当に現状を把握するということがどの行政においても非常に難しいんですよね。実際は。現状のデータでしか政策は判断できないのは当たり前なんですけれども、当たり前のことをもう一度確認することでまた違った見方ができるというか。EBPMでいうと、何が減って何が増えているのか分からないと、そもそもアウトカムの前のアウトプットが設定できないわけですよね。
 それを今回、諸機関、色々な産業界とか学校の、大学等の協力を得て、協力を得ることも大変だと思うんですが、しっかり今後これを見直していくということは非常に重要なことだと思います。もしかしたら今回の行政事業レビューがその一端を担ったのであれば、僕は行政事業レビューとしては非常に効果があったことだと思うんですよね。
 こういうスタンスというのを是非他かの事業でも、風説にとらわれず、まずは何が現実なのかということを、私ももともといたところでは、本当にそれが事実なのかというのを何度も突き詰めて検討するような組織にいたものですから、そこはものすごく重要だと思うので、是非、それを積極的に進めたいという説明があったので、それをもう一度しっかりやっていただいた上で、もう一度再構築する必要があればEBPM再構築していただきたい。僕は非常にそれは評価しておりますので、よろしくお願いしたいというのが1点目です。どうでしょうか。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。我々の方も、まさに今行っているこの事業は令和8年度で終了する予定でございますけれども、ポスト事業を考えるに当たって、今、委員御指摘のような現状をしっかりと把握することが大切だというふうに思っておりますので、その観点で、先ほど申し上げましたように、今ここに示している図自体は、委員御指摘のように、3.11よりも前に、恐らくこれは、1990年代に様々な自然エネルギーが注目を浴び始めたことであったり、また、量子技術などの発展だとかそういったことによって、ゼロカーボンだとか環境エネルギーだとかそういった名称にどんどん大学の名前が変わっていったことによる要因というのもあると思います。
 ただ、一方で、本当に原子力の人数がどのような形なのかというところにつきましては、より深く入り込んで、国の統計では無くなってしまうんですけれども、様々な団体と連携することによって、そういった数値の捕捉というところにしっかりと努めていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
【堀川委員】  どうもありがとうございます。
 それで、それを調べないと次のステップ、議論にならないんですけれども。これについては。もし仮にという前提で立ちますが、組織が、大学、原子力関係の組織的に、例えば、ポストが減っているとか教員が本当に減っているのであれば、私は拠点形成事業を積極的に推進すべきだという意見がありますので、その際は御参考によろしくお願いいたします。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。是非参考にさせていただきます。
【堀川委員】  次に、もう一点ですけれども、産業界のニーズに立って、原子力に限らず、必要とする人材を幅広く検討していきたいというスタンス、これは非常に発想として良いなと。供給側じゃなくて受ける側のニーズに立つということは非常に重要だと思うんです。
 私も昔ですけれども、「もんじゅ」の横に新型転換炉の「ふげん」がありまして、両方視察に行かせていただいたときに、「ふげん」というのは廃炉したんですね。当然、行く前は廃炉したんだから暗いのかなというイメージで行ったんですけれども、これが明るい。現場が活気に満ちていた。何でだろうと聞いたら、廃炉する技術というのは世界的に見てもすごくニーズが高い。それを日本が確立できて、海外に商売に打って出られますよ、お金が取れます、稼げますという話で、あ、そういうことかと。若い人もいっぱい取り組んでいるんですよね。
 その状況を見ると、廃炉のケースになってしまうかもしれませんけれども、非常にマーケティングが大きくて、そこのニーズというのは原子力に限っていないですよね。当然分かるように、ロボット技術とかそういう多岐にわたっている技術、遠隔技術とかになりますので、是非こういう原子力に関係のない、必要とされる人材を掘り起こすというお考えがあるので、それを積極的に進めていただきたいし、本当にその分野で一流になれば、非常に汎用性もあるので、いっそのこと、そこに拠点形成事業も持っていっても良いんじゃないかというぐらい進めていただきたいというのが2点目の私の意見です。いかがでしょうか。
【説明者】  御指摘ありがとうございました。今まさに我々が取り組んでおります課題の中でも、産業界との連携というのが柱の1つに立ってございますけれども、そちらにおいては、今、委員御指摘がありました「ふげん」がございます福井県を拠点に、地元の福井大学や福井工業大学が地元の企業と連携をする場を活用して学生を取り込むというような活動をさせていただいております。
 まさに委員に御指摘いただきましたように、より原子力の中でも現場に近いサイドの状況になっておりますので、そういった環境も今この事業の中においては最大限活用させていただいているというところでございますけれども、今またいただきました御指摘も、今後の事業を考える上で是非参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【堀川委員】  最後に、原子力関係は、文科省に限らず様々な省庁で実は予算化して事業をやっているんですが、できれば政府全体で、文科省だけの話じゃないんですけれども、政府全体で原子力人材育成体制というんですか、本当に産業界のニーズも含めた再構築は進めていただきたいなという気持ちはあります。
 以上です、私の意見は。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  御説明どうもありがとうございました。今、151ページのところのデータについての見直しというお話がありまして、私も非常に大切なことだというふうに考えております。なかなか、それを学会も全てカバーできるのかですとか、難しさは当然あると思うんですけれども、色々な方法でアプローチすることで全体を捉えていくというのが重要だと思いますので、是非積極的にお願いできればと思いました。
 それを前提として、156ページなんですけれども、今後、まさにこのANEC、様々な機関が参加している中で、機械ですとか電子ですとか、他学部の学生の方も関心を持っていただいて取り込んでいく場合に、参画する研究機関ですとか民間企業の幅というのも広がっていくんだと思うんですが、それをどういうふうに広げていく取組、広げ方もまた難しいと思うんですけれども、その辺りのお考えとか方針とかというのが何かございましたら、お願いできますでしょうか。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。こちらについてなんですけれども、ロジックモデルの方の147ページを御覧ください。他学科への展開というところは一番右側の長期アウトカムの方に記載しておりますけれども、我々は幾つかのアプローチの仕方があるかと思っていますが、今、先ほどの70機関に登録している大学の中にも、電気・電子であったり機械工学であったりそういった学部は当然存在しているわけなんですが、我々としては、まさにそういった他分野で学んでいる学生が学ぶカリキュラムの1つに、最低限、原子力について、例えば原理であったりだとか、原子力ってこうやって世の中に役に立っているんですよというようなことを学ぶ機会というのを提供できるような環境を整えたいというふうに考えております。
 そういう意味で参考になりますのが、右下にグラフが書いてあるんですけれども、これ実は原子力産業協会、先ほど申し上げた団体なんですが、こちらが大学生とか高校生を対象に出前授業を行って、直接対面で原子力について説明をしているんですけれども、これの優れた点というのが、ビフォー・アフターで原子力に対する理解度がすごく高まったというようなところが出ております。ですので、こういったデータも参考に、我々、こういった産業界の現場を知っている方々の協力も得ながら、そういった現場のノウハウを、大学の他分野の人たちが興味を持つきっかけとなるような制度というところを、経済産業省などとも連携をしながら取り組んでいきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
【川澤委員】  分かりました。どうもありがとうございます。大学の中で産業界からの現場の声ということで、非常に面白い取組だなと思いますので、理解度というよりは関心とかを含めて、理解はできても関心があるかというところが重要だと思いますので、その辺りもフォローしていただくのが良いのかなというふうに思いました。
 今のはアクティビティのところの御質問だったんですけれども、短期アウトカムに関して、資料の157ページで、オンライン講座を整備して、開講期間で修了者・登録者数も増えているというお話がございました。コンテンツについては色々と見直しが図られているんだと思うんですけれども、レベル別といいますか、恐らく、一度登録して受講された方のもっと難易度の高いものであるとか、何かレベル別のものを設けて、単に参加者が増えたということだけではなくて、受講している内容が高度化しているですとかそういった中身の向上みたいなところも表現できると、より規模が広がっているというだけではない示し方もできるかなと思ったんですが、その辺りというのはいかがでしょうか。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。こちらの方については、まさに今取組を始めたばかりで、我々としても、先ほど申し上げたリスキリングだとか、また、世代にまたがる理解度の向上に役立っているのではないかと思いますけれども、この次のステップとしてどのようにしていくかということで、委員御指摘のように、例えばレベル別に分けたりだとか、または、世の中が今関心が高いところのテーマを扱っていくであったりだとか、そういった工夫というのは様々していきたいというふうに思っております。
 また、これは大規模の公開オンラインの話だけではないんですけれども、今、その上に北海道大学に共通のカリキュラム自体を公表しておりますが、こちらにつきましても、今はどちらかというと原子力の学部とか学科・専攻を対象にした内容になっておりますけれども、今後、裾野を拡大して他学科の人たちが触れていく機会というふうになりますと、もう少しレベルを初歩的というか導入に近いような、より関心を引きやすいような内容に改める必要があるかというふうに思っておりますので、そこも今、このANECに参加している大学などとの間で、どのように取り組んでいくのかというところを議論しているところでございます。よろしくお願いいたします。
【川澤委員】  分かりました。どうもありがとうございます。見直しが図られているんだなというところは理解いたしました。ありがとうございます。
 最後の質問なんですけれども、159ページのこれも短期アウトカムの実験・実習参加者数の確保というところで、大学2大学が連携して共同利用のような形でというところは非常に大切だと思います。一方で、大学の施設を、企業も企業内に施設があると思うので、なかなか難しさはあるかもしれないですけれども、企業の方が大学の施設を利用する、もしくは、大学の学生が企業の、これは161ページに関係するかもしれないですが、学生が企業の施設を利用するといったような形で、企業や学生の人的な交流が生まれるといったことも、参加者が増えているというだけではなくて、交流が生まれていることも1つの成果になると思うんですけれども、その辺りの状況というのはいかがでしょうか。
【説明者】  それはおっしゃる通り、我々の方も、この今投影しています161ページ目の試みというのは、我々が今まで大学でやっていた取組に企業に入っていただいて、大学の現場の学生と企業の人との交流も図るというような形で進めるためのまず第1ステップとして導入をしているところでございまして、これからセカンドステップとしましてポストANECを考えていく上で、先ほど他分野というところを申し上げましたけれども、他分野の学生の興味を引くためには、こういった産業界の現場の状況というのはかなり有効なツールになるかというふうに思っておりますので、その意味で、満足度100%とかありましたけれども、こういった関心の高いツールというものを、当然、大学のリソースもそうですけれども、企業のリソースも最大限使っていくような仕組みを考えていきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
 そうすると、やはり参加者が確保できたということだけではなくて、それぞれの参加者がお互いを高め合うような、難しいですけれども、そういうようなインタラクションが表現できるとより良いのかなと思います。これはコメントです。どうもありがとうございました。
【説明者】  ありがとうございました。実は今のところすごく大切かと思っておりまして、我々がこのANECで行っていますのは、1つの拠点となる大学が全国の色々な大学から人を集めて色々なプログラムを実施しているんですけれども、それをやることによって、自分の大学だけではなくて他の大学から学生が集まって同じ活動を一緒にやっていくということによって、自分の大学という狭い環境ではなくて、こんなに同じ原子力を目指している人が他の大学にもたくさんいるんだということで、それが一人一人のモチベーションの向上につながっていくというような報告もこの実験コースの結果からも出ておりますので。
 そういったところも、今後、何かしら測定できるのであれば、検討していきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
【川澤委員】  分かりました。どうもありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  よろしくお願いいたします。今ずっとお話を聞いていて若干分からなくなってきたところがあったんですが。
 この後、原子力に関連する研究者や民間事業者、どのくらい必要かというのは、たしか、これまでお聞きしていた中でいくと、そこの母数の把握はなかなか難しいところがあって、なので、今日出されている入学者数、研修受講者数、あと企業側のどれだけ不足しているかというアンケート結果という、この3つの情報を掛け合わせる中で、どれくらいとは言えないけれども、まだまだ足りないというのが現状だというふうに私は認識して、そこはまず間違いないでしょうか。
【説明者】  そこはおっしゃる通りだと思っておりまして、実は今、経済産業省の方において、これからのエネルギー基本計画の方で、これから原子力がこうなっていきますというような将来像が示されましたけれども、それに実際に必要となる人員というのがどれだけ変わっていくのかというような需給調査というものを実施しております。ですから、それが1つの我々としてのゴール、目標の考慮要素となるかというふうに思っておりますので、その点は、今、経済産業省とも連携をして取り組んでいるところでございます。
【伊藤委員】  今のすごく重要ですね。のべつ幕なしに取りあえず増やせば良いんだということよりも、一体どれだけ足りなくて、どこを目指すのかというのは、きっとこの事業としては一番重要なところだと思うので、それはきっと重要な数字になりますよね。
【説明者】  ありがとうございます。おっしゃる通りだと思っております。
 他方、今、原子力の人材をしっかりと育てております。原子力専攻だとか学部とかを育てておりますけれども、一方で、企業に様々聞いてみますと、企業の方で採用する人員の中で、原子力をバックグラウンドにする学生の割合というのは大体2割ぐらいだというふうに聞いております。残りはどちらかといいますと、電気・電子であったり機械工学であったり情報であったり、そういった他分野からの学生が必要だというような状況も、これも先ほど申し上げました原子力産業協会などの調査の結果として出ておりますので。
 当然、原子力としての必要性というのもそうですけれども、産業界という立場に立ったときには、原子力学科だけではなくて、そういった他分野からも原子力の業界の方に入っていただくような動きというのを支援していく体制、スキームというのも必要かと思っておりまして、それを今後のポストANECの事業の1つの目標として立てていきたいというふうに考えているところでございます。よろしくお願いいたします。
【伊藤委員】  その意味では、今の研究している学科とその後に相関関係があるかないかということもすごく大切だなと思っていて。例えば、原子力関連企業に就職するということだけじゃなくて、定着率も本来アウトカムに入ってくるだろうなと思ったときに、その定着している人たちと、「原子力」と冠がついている学科と違う学科によって違うのかどうかとかというのは、すごい今お話を聞いて知りたいなと思うんですね。
 明確に、原子力工学科の人だったらその後原子力関連企業に定着しているというエビデンスが出来上がると、やっぱりそれは重要だというふうに言えるなと思っていて。多分取れないわけではないような気がするので、それが取れると、まさに出口戦略として取れると良いんじゃないかなと思いました。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。まさにそこのところにつきましては、我々も経済産業省と並んで電力やメーカーの各社様ともやり取りをさせていただいております。
 実際に今、先ほどの原子力産業協会のデータでは、電力会社であったりまたは主要なメーカーに対して、どの学部・学科から入ってきていますかというようなデータを取っているところでありますので。
 なので、我々もポストANECを考えるに当たっては、そういった排出、供給する側ではなくて、採用した側に対してフォローアップをするような協力というものをどのような形で実現できていくのかというところを、まさに産業界との連携というところを強調させていただきましたけれども、それは単にプログラムに入って協力していただくというだけではなく、そういったフォローアップも含めて、より事業をどういった方向に進めていけば良いかというところを分析するための様々なデータについても協力をいただきたいというふうに考えているところでございます。
 その点については、実現できるように我々としてもしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
【伊藤委員】  関連してもう一つだけなんですけれども、このアクティビティから短期アウトカムと中期アウトカムに行くロジックがギュッとなっているんですよね。研修でどうなったかとか講座でどうなったかというだけじゃなく、全体を通して中期アウトカムである就職率、入学率につなげるんだというのがこのロジックなんだけれども、本当は、理想的には、より細分化できていて、このアクティビティの中のこれをやったらこっちに結びつくなというのが見えてくると、この2.5億円の投資の仕方も変わってくるなという気がしているんです。と言うのは簡単なんですけれども。やっぱりそれは全部を通してこういうものを目指すという感じですかね。
【説明者】  ありがとうございます。こちらの表の短期、中期、長期というところは、スペースの関係もあるので、我々の方もできるだけここに様々なKPIという形で示させていただいていますけれども、そこに書けないところ、できるだけ我々はこんな数字も拾いながら事業を検討していますということで、ここにも本当は示し切れていないデータもありはするんですけれども、そういった形で我々の意思ということを示させていただきました。
 一方で、今、御指摘がありましたように、どのようにしていくのかというところについては、我々自身も今まさにポストANECを検討しておりますけれども、単に公募をして採択をするというのではなくて、公募をする前に、これまでの経験を踏まえて、どういった形であれば良いのかという、実施する我々省庁側として実施すべき体制というものをある程度整えた上で、それに対して協力をしてもらうプレーヤーを例えば募集をするだとか、人材育成というものを本当に戦略的に進めていくためには、単なる公募をするだけではやはりうまくいかないかというふうに思っていますので。
 今回、様々な分析をさせていただいておりますけれども、次期のプログラムを立ち上げるに当たりましては、そういった検討から得られた成果というものをしっかりと次期プログラムの企画に反映させていきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
【伊藤委員】  そこはまさに、この後、エネルギー需要が増えるから原子力関連の比率を上げていく、先ほどのエネルギー基本計画の改定の話があったかと思うんですけれども、それによって、そもそものこの講座の中身も変わってくるところがきっとあると思うんですよね。3.11以降は、まさに再生可能エネルギーだったりとか、あと廃炉の研究だったりとかが出てきているけれども、もう一回もしかしたら少し戻ってやらなきゃいけないという、そこの判断はこの事業の中でやるものなのか、それはちょっと別で各大学の中で考えるものなのかというのは、どちらになるんでしょう。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。今この事業で行っておりますのは、どちらかというと大学共通の、全員で連携をしていくというような形で行っておりますけれども、ただ、そこについては、そういった問題意識を、例えば、1つの大学ではなくて幾つかの大学が共通な認識を持つというところになったときに、全員ではなくても、そういった共通認識を持つグループの活動として、こういったコンソーシアムの枠組みを最大限活用して、効率的に運用していくというようなやり方はあるのではないかというふうに考えております。
【伊藤委員】  ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、石田委員、お願いします。
【石田委員】  ありがとうございます。すみません。聞き漏らしていたら申し訳ないですけれども。入り口として、これ自体は「原子」とか「原子力」というものを冠して教えてくれる大学というのを確保しましょうということで、同じことをやっていても、「原子」「原子力」という名前が入っていないと、それはカウントされないという理解で良いんでしょうか。
【説明者】  正確に申し上げますと、「原子」とか「原子核」だけではなく、例えば「量子」であったりそういった言葉も入りはしています。ただ、いわゆる原子核とかを教えるだけではなくて、今、例えば、原子力自体も様々、放射線としての医療だとか農業への利用であったり、または、原子力自体がエネルギーとして、核融合も含めて様々なエネルギーとして分岐をしておりますので、そういったものを含めた原子力に関する知識を持っている学生を育てていくということを考えております。
【石田委員】  ありがとうございます。「原子」とか「原子力」というのだと学生さんが集まらないとか、それから、人材の確保が、産業界の方でも必要な人数よりもまだちょっと足りないですとおっしゃっておられる原因は何かというふうにどう捉えていらっしゃるか教えてください。
【説明者】  すみません。先ほど後半部分の産業界で足りないと……。
【石田委員】  学校でも、「原子」「原子力」というふうに言っても学生が来てくれない、あと、産業界の方でも、原子力人材がまだ必要な人数よりも二、三割足りないと言っているのが半数であるという結果が出ているので、どうしてこういう事態が生じているのかというふうにどう分析しているのか教えてください。
【説明者】  御指摘ありがとうございました。まず、入学者数の減少の方ですけれども、こちらの方が本当に人が来ていないのかどうかというようなところについては、これは分析が必要かと思っておりまして。今、151ページ目でグラフで示しておりますけれども、このグラフが、人数が減少しているところというのが、必ずしも原子力というところに人が来ていないというよりも、原子力を教えている学部とか学科自体が名前をどんどん変えていってしまって、我々が捕捉できなくなっている可能性があるかというふうにも思っておりますので、そこは、実態がどのようになっているかというところについては、正確に分析をしていきたいと思っております。
 後段の方の産業界が人が7割足りないというところに関しましては、当然、我々として今、原子力の方の人材を提供しておりますけれども、通常、原子力の学部を卒業した人というのは、大体3割ぐらいが原子力関連業界に就職をするというふうにある原子力産業協会の調査で言われておりますけれども、我々はそれを更に大きく超えるような業界への貢献というのはしていると思います。
 ただ、一方で、先ほども申し上げましたように、企業側が本当に必要とする原子力関連の人材の中で、本当に原子力のバックグラウンドを持っている方というのは、大体1割とか2割というような方々で、残りは機械だとか電気・電子だとか情報だとか、そういった方々が実は今すごく足りていないというような状況にありますので。
 なので、こういった方々を原子力の業界に来ていただくために、ここで得た知見というものを更にこちらの分野に展開をしていって、よりこういった方々に原子力について関心を持っていただくようなプログラムを今後目指していきたいということを考えているところでございます。
【石田委員】  ありがとうございます。まさに原子力の現場の方なんかからお伺いすると、研究者は足りているんだと。なんだけれども、結局、そこのところを動かす人間、そこがものすごく足りないというふうにお話なんかも聞いていますと、どのレベルの知識がある人をどういうふうに原子力の産業界の方に呼び込むのかというところの何を社会に対して我が国として確保したいのかというところは、日進月歩、変わってきているというのは皆さん痛感されていらっしゃると思うので。
 その中で、今立てているアウトカムとかアウトプットというのは、どうしても大学目線、何校やっている、何人やっているところから離れ切れていないので、そこはもう少し本音のKPIというか、本音のアウトカム、アウトプットをやった方が良いんだろうなというふうにお見受けはしておりました。
 レビューシートの方に戻るんですけれども。K例えば、138ページ辺りでしょうか。一番上から見ていくと、真ん中辺の専門教育カリキュラムの実施というのが真ん中にありますけれども、当初見込み468が473でしたと、ずっと2022年から見ていきますと、毎年、目標よりも活動実績の方が多いですが、目標はどういうふうに立てていらっしゃるのでしょうか。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。こちらの方につきましては、毎年、各実施機関の方から何人規模で実施しますかというところが計画書として上がってきているところでございます。それを全て集計した数字というものを目標値として設定させていただいているところでございます。
【石田委員】  ありがとうございます。例えば、ここの141ページのところなどの真ん中辺で見ると、国際リーダー育成研修というのは11人目標にしていて、10人だったとか9人だったみたいな話なんですけれども、これも今のお話と共通だと思うんですが、我が国として11人作ってくれれば良いという話なんでしょうか。
【説明者】  それはおっしゃる通りで。ですから、我々としては、そこは中核になる人材が必要かというふうに思っておりまして。今、委員御指摘のように、学生の国際化というところは、原子力に限らず様々な分野で共通した課題になっておりますけれども、そういう中でコアとなるような人材をしっかりと育てていくということが大切かというふうに思っております。
 ですから、こういった、少数ではあるんですけれども、少数による影響というのを、どれほどこの広がりを結果として広げていくかというところは、我々は今後の課題として取り組んでいきたいというふうに考えております。
【石田委員】  ありがとうございます。
 ちょっと話は飛びますけれども、144ページ以下のところに支出先のところのリストが出ているんですが、この中で北海道大学さん以下、入札者数がほぼ1者というところが多いようにはお見受けするんですけれども、これは毎年公募か何かでやっているのか、それとも随契か、複数年度契約ですか。
【説明者】  こちらは7年間の事業なんですけれども、一番最初に公募で採択したところは、翌年度以降全て随意契約で、要は、採択期間は全て、一定期間、全て随契で行っておりますので、その意味では、すみません、入札と書いてあるんですけれども、随意契約で行っているということでございます。
【石田委員】  ありがとうございます。
 2点ほどコメントになってしまうんですけれども、ずっとレビューシートを見てくると、当初見込みないし目標に対しての活動実績が100%超えているのがずっと続いているというところがお見受けする。要するに、もう目標じゃない。最低限できるところの組合せじゃないかとどうも見えてしまいます。
 もうちょっと頑張らせるという目標になっていないと、特に採択された後は毎年随契ですと、見てみると、ほとんど補助金といっても人件費やら何やらというところで、この中でどうやって工夫して広報していくのかとか、そういう努力に対しての目標設定プラス達成したところ、あるいは他校と比較してよりよくできていたところに対するインセンティブが働くような仕組みになっているように見えないような気がしまして。
 アウトプットのところがそういう目標にしていると、どうしてもアウトカムが低めになってしまうので、そこはもう少し工夫して、競争してちゃんと良いものができるようにした方が良いんじゃないかなというのが1点目でございます。
 もう一点は、すみません、ちょっと話が飛ぶかもしれないですけれども、恐らく産業界から言ってみると、そんな高校を卒業したぐらいの子で原子力に興味と思っても、そもそも原子力というよりも量子とかもっともっとかっこいいものの方がみんな行くんだろうとは思いますけれども、実際に社会に出てみて、仕事に携わってみて、色々な人事異動とかがあったら、そこに回ってみたら面白いとか、そうすると、社会に出た人のリスキリングよりももっと下の年代ぐらいですかね、社会人の教育とか、せっかく原子力関連のところとかで大企業さんがいっぱい入っているとは思うんですけれども、そういうところと組んでの協働大学院方式とかコンソーシアムじゃないですが、もっと民間も巻き込んで、社会に出てしまった人たちもこのカリキュラムに入れることによって、本当に原子力のできる人、しかも、1回社会に出て、今この課題があると思って入ってくる人の力を伸ばしていくこととか、もう少し、この枠組みとこの予算を使うのであるならば、その辺りについてもブラッシュアップしていただいても良いのかなというのは個人的には思いました。
 以上です。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。まず、1つ目の短期アウトプットの目標につきましては、我々の方も、御指摘のところにつきましては、引き続き検討はさせていただきたいと思います。
 委員御指摘のありました経費の方ですけれども、人件費というのは、実際には学生を呼ぶための旅費等が中心になっておりまして、この活動自体は大学が多少ボランタリーベース中心にやっていただいているところがございまして、そういったところをしっかりと我々としても後押しするような、特に若い方、今はシニアの方が中心にやっていただいているんですが、そこが世代が替わったとしても、こういった体制が引き続き整えていけるようなインセンティブを持たせる、先ほど頑張らせる目標と御指摘がございましたけれども、しっかりとしたインセンティブを持たせるような仕組みというのは引き続き検討していきたいと思います。ありがとうございます。
 後半の方につきましては、今日、高校生のイベントを紹介させていただきましたけれども、大学とかに聞いても、これまで原子力のコースに集まる学生が、どちらかというと第2希望とか第3希望の人しか集まらなかったというようなところが、近年は逆に、第1志望だけで原子力のコースは人が埋まりましたというようなこともあります。よくよく聞いてみると、高校のイベントに参加をしてすごく原子力に興味を持ちましたというような話もフィードバックとして返ってきております。そういった意味で、そういった興味を持ってくれた学生がしっかりとそのまま入ってきてくれるような仕組みというのは整えたいと思います。
 ただ、一方で、委員御指摘のリスキリングについてはおっしゃる通りで、特に大学の中の大学院の方の仕組みというのは、社会人の学び直し、リスキリングというようなところと密接に関連してくると思っておりますので、まさにこれからのポストANECで企業との連携という中において、そういった企業のニーズもしっかりと取り組みながら、大学の教育の場を、いかにそれに応えていくかというところを引き続き検討していきたいと思います。どうもありがとうございます。
【石田委員】  ありがとうございます。
 申し訳ないですけれども、18やそこらの子が「それやりたい」って入ってきて、本当にそれで行くのかというのは、本音の話、分かるじゃないですか。原子力のところに関しては、何学部とかというところよりも、日本の国のものすごいところを担っていかなきゃいけないし、イメージがものすごく悪くなってしまっているところというのを、どういうふうにそこの人材をちゃんと確保していくのかという意味では、恐らく喫緊の課題なんだろうと。
 原子力だけではなくて量子とかもっと細かい、どんどんやっている中で、本当に原子力の枠のところだけを育てるのかというのもあると思うんですけれども。そこのところについては、本当に現場の方で皆さんが思っていらっしゃることを政策に生きるように、たかがこの規模かもしれないですが、きちんとそういうふうに生きるような形での目標設定としていただけると良いんじゃないかなと思っています。
【説明者】  御指摘ありがとうございました。しっかりと御指摘を踏まえて検討していきたいと思います。ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、シートの方記入を進めていただければと思います。
 堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  今ずっとお話を聞いて、そもそも産業界のニーズに立った視点というのは文科省っぽくないというか。ただ、画期的だなと思ったんですけれども。
 その前提で、それは評価しているんですが、産業界のニーズから見ると2割ぐらいとおっしゃいましたっけ。2割ぐらいが原子力で、それ以外の総合技術力、私も「ふげん」を見ていて、原子炉をつくるわけじゃないんですよ。それを解体する世界なんですよ。全く違う世界で。さっきも活気にあふれていたと言うんですが、すごく面白い仕事だなと思いました。それをアピールできたら、きっと多くの人が来ると思うんですけれども。学生さんも。
 ただ、それは原子力以外のところで、なおかつリクルート的だとすると、供給側である文科省ができることって何なんだろう。特に原子力以外の分野で、機械工学とかそういうところをどう担当課の方で推進する、例えば、リクルート的だと経産省っぽいですよね。その辺は何かあります?これは特に、深掘りする意味で議論させていただいただけです。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。まず前提としまして、我々、経済産業省との間で、ポストANECをどうししますかというところは、この事業が文科省の事業ということではなくて、国全体の原子力の人材を育成していくという観点で、この事業をどのように経済産業省も含めて活用していくかという観点で、今、検討させていただいています。
 今、委員御指摘ありました、どのように他分野へということなんですけれども、1つのアイデアとしてなんですが、先ほど御説明させていただいたように、例えば、他学部の機械だとか電気・電子だとかというところで学ぶときに、当然、十何コマとか20コマとあるんですけれども、そういったところで例えば1コマとか2コマ、原子力ってこういうものですよとか、例えば原理だとか、放射線ってこういうものですよということを学ぶ機会、そして、今ある技術が、どんな技術が最新の技術なのか、先ほど廃止措置でこんな技術があるんですということは御紹介いただきましたけれども、そういった話題的なものを提供する機会というのを提供できないかと思っているんですが。
 ただ、それを実際にやろうとした場合に、今ある原子力の先生方というのは、まさに自分たちの学生を教えるだけでも結構大変な状況ですので、それをどのような仕組みでやっていくかは考えないといけない。そのときに、例えば、産業界の方々の中で、先ほど出前授業を紹介させていただきましたけれども、高校生とか大学生を対象に、すごく印象的な講義をすることによってビフォー・アフターでの意識が変わる。そういったことを大学の授業とかにうまく組み込んでいくことによって、そういった分野から原子力の方に、そして場合によっては、ここでありましたような実験だとか実習に参画していただいて、本当の実機に触れていただくだとか、そういった機会は我々の今の仕組みの中で提供できるのではないかというふうに思っておりまして。
 ですので、委員御指摘のリクルートだとかインターンだとかというのは当然あると思うのですが、ただ、インターンも来てもらうまでがすごく大変なことですので、インターンに来るまでのところというのは、我々の方としてもサポートできるかというふうに思っております。
【堀川委員】  どうもありがとうございます。引き続き、政府全体で考えないといけないことなので、今のように経産省とか、他にもあると思うんですけれども、連携して進めていただければと思います。よろしくお願いします。
【説明者】  ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 少しお時間をいただければと思いますが。伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  先ほどちょっと私がお聞きしていた、この後どれくらい不足しているのかという母数が見えてくることと、今で言うANECを使って人材育成をしているのがどのくらいのボリュームになるのか、何となく雰囲気は既に分かるんですか。これがメインの原子力関連人材育成になるのか。
【説明者】  そこのところについてなんですけれども、先ほど申し上げたように、これから実態の実数はこれから出てくると思うんですが、我々の方で調べられる範囲で仮に概算をした場合なんですけれども、例えば、今、この147ページ目の方に、毎年どれだけ就職をしましたかという人数を示させていただいておりますが、これは①から④の分野、多少重複はあるかもしれませんけれども、令和3年から令和6年の4年間の人数ですので、単年度にしますと大体80人から90人ぐらいだというふうにざっとした計算ではなるかと思っております。
 一方で、原子力関連企業、先ほど日本原子力産業協会が大体80社ぐらいを対象に色々なアンケートを行っているんですけれども、その中でもトップの電力会社11社であったり、または主要なメーカーさんの例えば2024年度にどれぐらい原子力をバックグラウンドにする人たちが入りましたかという数字も、これも調べてみたんですが、その数字が大体100前後なんです。
 当然、まだ人数的には100社近いもののほんの一部しか取っていないので、かつ、サプライチェーンの下に行けば行くほど原子力の割合が増えてくるので、一概に比較はできないんですけれども、ただ、そういう主要なところだけ取ったとしても、ここの事業で生み出す人数のインパクトというのは、それなりに業界の中ではあるのかなというふうに考えておりまして。
 ただ、それをしっかりと、アンケートなり、どういう手法ができるかあれですけれども、実態として把握していく仕組みというのは、引き続き検討をしていきたいというふうに考えております。すみません。以上は概算なので、あくまでも何となくのイメージということで御理解いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【伊藤委員】  ありがとうございます。今のはとても重要だなと思うんですよね。理想論だけで分析ができるとすれば、ANECに入っている大学と入っていない大学の原子力関係学科を比較したときに、原子力関連企業に行く比率は、ANECに加盟していて、こうやって補助金をもらって、そういう講座をやっているとか研修をやっているところの方が行っていますよというのが見えると理想的ですかね。
【説明者】  おっしゃる通りですね。その意味では、こちらの日本原子力産業協会が幾つかの大学に学会と連携して色々な取組を行っているんですけれども、その中に出てくる割合ですと、大体3割ぐらいだというふうに言われておりますので、それと比較すると、それがアベレージかどうかというのは議論もあるかもしれませんが、それを仮に参考とした場合に、それに比べますと、我々が出している数字というのはそれなりのインパクトがある数字かというふうに考えております。
【伊藤委員】  ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 そうしましたら、堀川委員、取りまとめをお願いします。
【堀川委員】  どうもお疲れ様でした。
 本事業は、第7次エネルギー基本計画において、原子力を脱炭素電源として最大限活用することが明記されている一方、近年の原子力利用を取り巻く環境変化を受け、原子力関係学科・専攻の減少や若手教員数の著しい減少などにより、大学における人材育成機能が弱体化しているという深刻な課題に対応するものとして事業を実施しているということなんですが。
 各委員から意見を総合すると幾つかの重要な課題も浮き彫りになっていますので、そこで、取りまとめコメント案としては、まず、事業の指標の設定・効果ということで、もともと目標値がすぐ達成できるような指標の設定になっているのではないか。インセンティブが働くような目標値にまずレビューシートもロジックモデルもアウトカム指標等を検討していただきたいというのが1点目。
 さらに、進学率、就職率というのは分かるんですけれども、より効果が分かるような指標の設定を求めたい。特に教育プログラムに参加してどういう進路選択やキャリア形成に結びついたのか、さらには、就職後の定着率にはどういうふうな影響が出ているのかといったことも検討すべきではないのか。
 今の質の話ですけれども、レベル別の参加者数として、数とレベル向上の両方を示した方が良い。また、参加した学生の意識変化なども捉えることができるのではないかということですね。
 それと、今後の事業の執行のありようとしては、民間原子力関連企業等も巻き込んだコンソーシアムによる協働大学院設置などによって、これは産業界のニーズに合わせるというスタンスだと思うんですが、即戦力の人材の育成という、そういう仕組み、仕掛けをつくるのはどうかという意見も出てまいりました。
 以上、指標の設定、今後の事業の執行の大きく2つの柱で取りまとめたいと思いますが、いかがでしょうか。良いでしょうか。ありがとうございます。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、今の取りまとめをもちまして、このセッションは終了させていただきます。ありがとうございました。原子力課の皆さんも、ありがとうございました。
 それでは、次の5項目め、教員養成大学・学部の機能強化事業については、3時25分から開始ということにさせていただこうと思います。それまで休憩に入らせていただきます。

 

第5コマ目:地域教員希望枠を活用した教員養成大学・学部の機能強化事業

【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、議事に入らせていただきます。5番目の事業は、「地域教員希望枠を活用した教員養成大学・学部の機能強化事業」です。
 初めに、事業担当部局より事業概要の説明をさせていただきます。説明者は5分以内で簡潔に説明をお願いします。また、資料での説明はページを示した上でお願いします。
 それでは、事業の説明、お願いします。
【説明者】  文部科学省教育人材政策課長の後藤でございます。よろしくお願いします。
 「地域教員希望枠を活用した教員養成大学・学部等の機能強化事業」について御説明をいたします。
 この172ページに概要がありますけれども、本事業は人口減少社会の中でも、採用倍率の高低に関わらず、質の高い教員を養成、確保するための新しい仕組みを創出していくための支援事業でございます。
 教員の養成を大学任せにするのではなくて、大学と教育委員会が協働して、地域や現場ニーズに対応した質の高い教師を継続的・安定的に養成、確保していくために、教員養成大学や学部に地域枠を設けまして、まず高校生に対する教職セミナーなどのPR活動、また大学入試のときに地域枠入試を行う、また入学後も地元教育委員会と協働した実践的なプログラム、また出口では教員採用選考における一部試験免除などの措置といった形で、入口から出口まで一貫した仕組みをつくることを支援する事業でありまして、将来的には、この取組を地域枠だけでなく学内全体に波及させるということを念頭に置いているところでございます。
 174ページと、それから175ページにデータを載せておりますけれども、近年、教員の採用倍率は低下傾向にありますけれども、その大きな要因は、教員の大量退職に伴う大量採用が続いたことにあると見ております。
 今後は、179ページの方でございますが、大量退職はピークアウトが見込まれますのと、それから181ページに今後の少子化の進展というのがありますが、こういったことを踏まえると、全体としては、今後は採用者数は減少に向かっていくだろうというふうに捉えております。
 しかし、一方で、180ページにデータ載せておりますが、今後の少子化や生産年齢人口の減少ということを踏まえますと、景気動向にもよりますけれども、教員採用の受験者を今まで以上に増加をさせたり、あるいは一定に保っていったりということも簡単なことではないと。つまり、かつてのような高倍率に自然に戻っていくということも考えにくいというふうに認識をしております。
 そうした情勢を踏まえまして、質の高い教師人材の獲得を、採用倍率の高さに頼らない新しい戦略として、採用倍率がどうあれ、採用側の教育委員会からすれば、4年前から特別のプログラムで育成してきた人材を採用するという枠組みを全国各地で構築することを狙いとして、本事業を進めているところでございます。
 本事業は令和6年度の新規事業で、初年度には採択予定数を大幅に超える41件の応募がございまして、21件採択をいたしました。
 地域枠の中で実施する育成プログラムの内容は、各地の教育課題に即した内容として編成をいただく形にしております。185ページに具体の取組名を掲載しております。
 本事業では令和8年度実施の入試までに地域枠入試を実施することを要件としておりますけれども、実は既に実施をしている大学が13、このうちありまして、この13大学について確認しましたところ、今年度、195名がこの地域枠で入学をしているという状況でございます。
 選抜の方法は、学校推薦型選抜が大半で、一部が総合型選抜というような形で、一概に比較はできませんが、全体として、一般入試の場合と比較して、実は倍率は大きく変わっておりませんで、出願の要件に一定以上の成績を求めている例も多くて、一般的に地域枠入学者が一般入試入学者より学力が劣っている状態で入ってくるという状況にはなっていないというふうに考えております。
 なお、本事業の事業費でございますけれども、教授級で大学に入るコーディネーターの人件費や広報、またプログラム実施に必要な機器、学校実習や見学に要する経費などに使用をされております。
 173ページにロジックモデルがありますけれども、こうした取組の初期アウトカムとして、地域枠入学希望者の増加やモチベーションの向上、長期アウトカムとして、地域枠で養成された教師による地域の教育課題の解決、地域枠で養成された教師が今度は次世代の教師養成に関わることによる人材育成の好循環の創出などを想定しております。
 KPIとして、教員志望、採用率や地域定着率、採用側のアンケートなどを考えているところでございます。
 本事業は令和10年度までの中途段階にあるものでございますけれども、承った御指摘を踏まえまして、事業の改善に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
 冒頭の説明は以上でございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、論点の説明に移ります。お手元の説明シートに2つの論点が挙げられております。1つは事業成果検証のための適切なアウトカム、アウトプットの設定ということ、もう1つは、事業を効果的に発展させていくためには今後どのようにすべきかというところでございます。
 それでは、有識者の皆様から御質問、コメントをお願いします。
 まず、堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  ありがとうございます。KPI②ですけれども、採用率を維持ということで、ありがとうございます。これまで私が言った件を反映していただきました。
 それで、まず確認したいことは、今の御説明、基本的には質の確保と地域枠で入学していただいた方々の質、なかなか難しいですが、質の確保ということをまず目標に掲げて、レビューシートでもありますが、一方で、レビューシートの中に、背景としている内容を拝見すると、教員の採用倍率の極端な低下や教員志願者数の減少など、いわゆるその数の問題も触れられていることから、この事業の位置づけというのは、質と数の両方を課題として認識しているとも読み取れますけれども、この点はどう判断すれば良いのか、その確認させてください。
【説明者】  ありがとうございます。この事業自体は、直接、量的な確保をこの事業によってやるというよりは、むしろ質の確保の方に軸足を置いた取組でございまして、量が課題というのは御指摘の通りなんですけれども、採用倍率が今後の社会情勢を見たときに自然と上がっていくという局面に入らないだろうということを認識に置いた上で、その中でも質の高い教師をどう育成して確保できるかという問題意識で進めさせていただいている事業ということでございます。
【堀川委員】  ありがとうございます。きっとそうだろうなって、私も同じ認識です。
 なおかつ、この事業は、先ほどありましたけど、全国展開図りたいというのが最終的目標としてあるということで説明あったと思うので、それは確認はしませんので、そういう前提で私のコメントをさせていただきますけれども、実際の事業の手法というのが、カリキュラムをつくって学生の質を高めるというそのアプローチ自体は、文科省で様々な事業で行われているオーソドックスな方法で有効な方法であるとは考えるんですけれども、このカリキュラム手法だと、どうしても先ほどの質というよりも量に近いのかな、数に近いのかなと。同じ広くカリキュラムを設定してやるのであれば、より学部より学科、大学全体に巻き込んで、地域に貢献する教員をリクルートする方が、どうしても有効になるんじゃないかなと。この手法だと、そっちの方がより有効な方法だと私は考えるんですけれども。
 逆に言えば、特別な入試枠まで設けて、限定された地域枠の学生さんの質を問うのであれば、やはりそれに合った手法があっても良いんじゃないかと。
 さらに言うと、EBPM、事業レビューなので、教員地域定着率の向上とあるんですけれども、向上ではなくて、100%を目指すんじゃないのかなと。100%を目指すとなると、さっき言いました、広く薄く使えるようなカリキュラム方式じゃなくて、1人もあなた逃げないでねという事業になるわけですから、これこそが地域枠の事業に僕は当然求められるものだと思うので、そうすると、まるっきり方法が変わってくるという認識が、EBPMで100という設定すると、見えてくると思うんですよね。
 具体的に言うと、5人とか10人とか入ってきた人たちを、個別指導するみたいな世界ですね。伴走支援て、よく最近言うらしいですけど。絶対、地域に残ってね。1人でも出たらこの事業失敗ですよというぐらいの覚悟でやるというのが本来、この事業になじむ事業方式ではないかと考えるんですけれども。意見も含めてですけど、そちらの意見としては、どうですか。
【説明者】  大変鋭い御指摘をいただいたと思っておりまして、非常に気持ちは全く同じような気持ちでありまして、採用する側の教育委員会が大学の養成の場にまで乗り込んでいって特別プログラムまで編成させて、かなり実践的な特別プログラムで育成するわけですから、今御指摘いただいたように、1人残らず、この地域に教員として入っていただくのを目指すべきだというのは御指摘の通りだと思っております。
 本当に100%にならないと駄目よと言うかどうかはあれなんですけれども、そのぐらいの気持ちでやるべき事業だというところは御指摘の通りだと思っております。
【堀川委員】  ありがとうございます。EBPM100にして欲しいという、外形的にね。そうすると、この地域枠って、私、地域定着と言ってしまったんですけど、事業目的見ると、地域それぞれの課題に即してということで、けど様々な課題がおありなようなので、そのスペシャリストになる教員が欲しいということですよね。
 だから、個別指導、さらにそれはなじむわけだし、それが成功すれば、皆さんが今後展開していきたい全国展開にも、きっと役立つと思うんですよ。すごく役立つなという、有効な方法だなというのが分かれば。やはり当然、色々な反対意見はあるだろうなというのは想定できるんだけれども、それを凌駕するぐらいの有効性を示すことが、やっぱりこの事業の最終目標、全国展開に最も近道だと私は思いますので。
 以上、私の意見ですけれども、何か最後ありましたら、どうぞ。
【説明者】  ありがとうございます。しっかり地域に定着させていくためにやっていますので、いただいた御指摘はその通りだというふうに思っております。
 どうして定着できるかといったら、それはニーズに合った教員養成をするから定着するということで、そのことを全国の、特に国立大学が多いですけれども、教員養成学部の関係者が、やっぱりそういうカリキュラムに変えないと駄目なんだというところに気づいて、こういう取組が全国にしっかり広がっていくということになっていくように、しっかりこれ頑張って進めていきたいというふうに思います。ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  色々とやり取りをお伺いしていまして、今173ページのKPIの3の教員の地域定着率についてのお話あったかと思います。
 この点については、先ほどお話ありましたように、きちんとニーズに合ったカリキュラムが構築され、そのカリキュラムを通じて、教職への志望が明確な地域に定着すると。それが恐らくお互い、学生にとっても、受け入れる学校にとっても、より望ましい在り方なんだというふうには思います。
 ただ、そういった定着率を見ることも重要だと思うんですが、一方で大学側の意識といいますか、これ補助金ですので、一応、終了年度というのが決まっている中で、やはり教育委員会と連携して、そういった地域の課題に即したカリキュラムを恒常的につくり出していくという、その循環をどうつくるかというのも非常に重要だと思っていまして、その辺りも、この教員が地域に定着するということと大学側がそういう体制を継続的に構築するというのをセットで見ないといけないのではないかなというような気がするので、その辺り、KPIは別に指標が2つぐらいであると言っても良いと思うんですけど、そういうところを複合的に見ていくということについては、いかがでしょう。
【説明者】  ありがとうございます。結論から言うと、全くおっしゃる通りというのが結論なんですけれど、大学の教員養成学部、各地にありますが、ミッションは、その地域の教育課題に応じた教員を養成することはそもそものミッションだと思いますので、その意味では、ある意味、厳しい言い方をすると、こんな補助事業がなくてもやって欲しいというものだと、それは我々も思います。
 言わば、だからこそ時限的に背中を一押しするということで、この事業を全国展開、この一時期にやろうということなんですけれども、その意味で、今般、教育委員会のこの事業を通じて、側からニーズをよく知った人間を大学に送り込むという形で体制を一つ設けさせるというところをこの事業のポイントにしているのも、事業が終わった後も、その体制、教育委員会との関係が維持されるということを一応狙っておりまして、今後とも、この事業が終わった後も、終わったら何か教育委員会との関係が離れちゃったというんじゃ意味がないと思いますので、そういったものを引き続きウオッチしていくということについては、ちょっとこれは引き続き課題意識持って見ていきたいと思っております。
【川澤委員】  ありがとうございます。教育委員会の方が実際に大学の中のポストを得てカリキュラムをつくっていくという非常にアグレッシブな事業であると同時に、やはり個人とのつながりで終わってしまうと、おっしゃっていただいた面的なつながりになっていかないと思いますので、そこは多分、事業の設計をうまく進めていかないと、その組織対組織の連携という形になっていかないんだろうなというような気はいたしました。
 もう1点、185ページに41大学、41件の申請から21件採択されたというところで、きちんとした採択の倍率がある中で選ばれたプログラム事業実施大学なんだなというところを理解いたしました。
 ただ、やはり地域の課題といっても、多面的である一方で類似性もあるというふうに思いますので、この大学間でつくられたカリキュラムを、またそのカリキュラムをどう伝えていくかというところの知見の共有ですとか、その辺りも非常に重要だと思いますし、ある意味、この採択されていないけれども関心を持っていた20大学も、じゃあどういうものをつくったのかということを伝えていくことが非常に重要だと思うんですけれども、その辺りの採択大学内、もしくは採択されなかった大学含めた全体としての底上げのようなことというのは何かお取組あるんでしょうか。
【説明者】  この事業の中では、この予算の中では、そういった仕組みというのが埋め込まれていないですけれども、今おっしゃっていただいた点、非常に重要で、この21件のテーマの中には結構、実は重複しているテーマもあったりするわけでありますが、この教育委員会と、それから地元の教員養成系の大学の結びつきの改革は、我々同時多発的に起こしていきたいという狙いで進めております。
 なので、こういう形になっているんですが、他の地域にも、それから採択されなかった大学にも知らせていくというのは非常に重要だと思っておりますので、まだカリキュラムで生徒が、学生が学んでいる途上ではありますけれども、この成果の発信の在り方については、引き続いて検討させていただきたいと思います。
【川澤委員】  分かりました。だから、今、別事業でやっているというわけではなくて、この事業の枠組みの中にその取組は無いけれども、やっていきたいという、何かそういうお考えですか。
【説明者】  はい。令和6年度が初年度ですけれども、3年目で中間的に評価をするということにしておりますので、その中間評価の際なども活用して、その他の大学に対しての周知ということをやっていきたいと思います。
【川澤委員】  分かりました。そうであれば、初期アウトカムですとか長期アウトカムの中で、そういった他大学への波及ですとか、そういったところまで含める必要ないと思うんですが、実際取り組んでいただけるというところで理解いたしましたので、承知いたしました。
 あと、もう最後なんですけど、KPIの2の初期アウトカムのところで、これ言葉尻の問題だけかもしれないんですけれども、入学後の教職志望のモチベーションが向上されるというところで、これは教員志望という、その全般についての意識向上なのか、やはりその地域の教員ということについての意識の向上を求めるのか、その辺りというのはいかがなんでしょう。
【説明者】  ありがとうございます。まずはこの事業の中での成果ということを見たいので、この地域枠で受けた、この特別なプログラムの中で、この地域に定着するというところで、この中では見ていきたいというふうに思います。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  ありがとうございます。1個は、川澤さんからもお話がありましたけど、これ大学の本来業務じゃないかという論点はどうしても出るところがあって、とはいえ、例えば今、採択されている大学の中で、大学が目指すものというのを見ていると、地域の核となり地域人材を育成するということを掲げられているというところと多分この事業って、ほぼ一緒だと思うんですよね。てなれば、まさにそれは大学の目指しているものだからこそ、本当にこの補助金が必要なのかというのは、どうしても出てくると思うんです。
 ただ、そうやって言っていても、受験者数が減ってきて、今、冒頭にお話があった、この人材難というところが解決できないから、僕の認識では、これはアメを与えることによってエンジンなんだと。でも、これ5年だからねという、まず、そこの認識ってどうですかね。
【説明者】  本来のミッションではないかという御指摘は本当にその通りだと思いますし、アメというか、この一押しですね。これ永久に支援し続けるという類いの話じゃないと思っていますので、期間を区切って、きっかけを与えて、その成果というのをしっかり体感してもらって、あとは自走できるようにという、そのつもりでやっております。
【伊藤委員】  これ、ごめんなさい、急にちょっと別な質問なってしまいますが、入る学生にとっては、学費とか支援という意味では、他学部に入る学生と違いはあるんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。この地域枠に採択されて取り組んでいる大学の中で、県の方から例えば奨学金出しますよというふうな話になってきている事例が出てきているのは承知しているんですが、この本件事業の予算の中で、学生の経済的負担というか、奨学金とかといったものは、含んでおらないものでございます。
【伊藤委員】  各都道府県教委の一つ判断でやっているところがあるということですね。これが、先ほど来話があった、今100を目指すというのか、一番ハードな実質義務にするというところ、するかしないかの判断の一つが今のところになってくるかなと思っていて、もしかしたら、もちろん学生の判断で、ならないという自由だってあるけれども、支援をしているのであれば、よくある返金をするということをセットにしながら、この実質義務にするという考え方、やっぱりあり得るんじゃないかなと思うんです。
 というぐらいに、やっぱり、今申し上げたような、この本来のミッションをあえて文科省がサポートするということの意味ってしっかりつくらなきゃいけないのかなと思うんですけど、どうでしょうか。
【説明者】  今御指摘いただいたようなことは考えられないことじゃないというふうに思います。十分あり得ることだと思います。
 正直に申し上げれば、現実的には、色んな選択肢、今、先生から御指摘いただいたのもあり得ると思っていまして、我々も考えないことは実はなかったんですが、現実的な予算規模と、それから全国展開をしっかりさせていく必要があるだろうということで、ある程度の件数を5年間の中でやっていく必要があるだろうということの中で、現在のこの制度設計と、むしろこのカリキュラム改革というところに軸足を置いた形で、この事業を今、進行させていただいておりますが、そこは今後の成果の状況を見ながら、御指摘いただいた点についても考えなきゃいけないときはあり得るんじゃないかと思います。
【伊藤委員】  ありがとうございます。他方でという言い方もあれなんですけど、例えばですが、レビューシートの171ページに、実際補助をもらった大学、何やっているかという、この島根大学の内訳が出ていますが、実際にはプログラム講師の謝金、高校生のバス借り上げ、あとICT環境の整備、これハード整備だと思うんですが、ここと、まだ入学したばかりだから実際先生なるかどうかって、この因果関係がどこまであるかというのは今からしっかり見ておく必要があるなとは思っていて、僕の印象は、結構単発になっちゃいないか。高校生向けのセミナー、バスを借り上げるとか。そこが、違ったら違うというふうに言っていただければ良いし、こういうふうにやっていることで、この地域枠で入った学生が魅力を感じて先生になろうと、しかも、仮に島根大学とすると、この島根や鳥取で先生になろうという、こういうストーリーが多分、一番求めている、目指しているところだと思うんです。それが、今この内訳で見ているところで、なり得るかどうかというのは、若干不安だなと正直僕は思ったので、お聞きします。そこはいかがでしょうか。
【説明者】  171ページは、これ島根大学の例ということでございますけれども、高校生に、教員養成学部に入ったらば、どういうことを実際やるのかというところ、地域枠の取組としてこういうことやるんだって体感させるということであったりとか、あるいは地域枠の学生を学校現場に連れていくプログラムをやらせますので、そのときの実際上のタブレット端末の整備とかに係る経費ということで使われているということでありまして、先生御指摘の点は非常に重要だと我々思っていまして、要は、打ち上げ花火というか、一発ドカンと、今お金があるから、補助金もらったのでやっていますと、補助金が終わったら、もうやりませんということになったら、何の意味もないと思っておりまして、我々大学に対して、最初から事業は5年間ということで決めていますので、5年間たったら無くなりますので、この後は大学で自走していただかなきゃいけない。むしろ大学だけじゃなくて、地元の県、島根県、鳥取県との関係で、必要な財源をちゃんと確保して、引き続き取組の、成果をしっかり見極めて、やり方は見直してもらっても良いですけれども、こういった関係性というのを継続してもらうということを我々は求めておりまして、そこをチェックしていきたいなというふうに思っています。
【伊藤委員】  先ほどもお話あったように、やっぱり重要なのは結構、質のところだと思うので、字面とは違うということも前提ですけど、バス借り上げとか、タブレットとかって、やっぱりこれインフラ整備なので、本当は多分目指しているのって、そこじゃなくて、魅力を持って高校生が大学に入ってもらって先生になるという、そのカリキュラムのところこそ、この補助でやってもらったら良いんじゃないかなと思いました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、石田委員、お願いします。
【石田委員】  ありがとうございました。今、取組ということで、41者申込みがあって、採択されたのが21もしくは31とかって読めば良いんですかね。すみません。レビューシートのところ、入札者数が41って全部書いてあったので、そういうことかなと思って見たんですけど、そういう理解でよろしいでしょうか。
【説明者】  はい。昨年度、初年度でしたが、複数大学が一緒になって1件の申請とかもあるんですけれども、41件の申請があって、そのうちの21件を採択したということです。
【石田委員】  ありがとうございます。その採択の基準というのは、どういう特殊性というか、特徴というか、恐らくこれは価格ではなくて企画競争だったと思うんですけれども、どういう特徴を持ったところが採択されたというふうに考えれば良いでしょうか。
【説明者】  採択に当たりまして、外部の有識者の方に審査をお願いをしています。10名ぐらいですかね。すみません、ちょっと正確でなくて。お願いして、大事なのは、地元の教育委員会との連携、そして入り口から出口まで見通した約束というのが教育委員会との関係でどのぐらい実際上できているかということと、それからその取組の内容が、しっかりとそのカリキュラムの構築というところが実質的にきちっと計画されているかというようなところを申請書、出していただきますので、その中で、そういった進捗がしっかり見込めそうなものを上から順番に採択させていただいたというところでございます。
【石田委員】  ありがとうございます。特徴的なものというと、恐らく今おっしゃっていただいたのだと、金額もそれが反映されたものだということだそうですので、レビューシートの169ページを見ますと、全体21先に対して4億2,000万のうちの1割弱ですかね、島根大学さん3,600万何がしと書いてありますけれども、こちらの内容が、171ページを見ますと、事業推進費で、先ほどバスというのもありましたけれど、プログラムの講師の謝金とか、そう書いてありますが、これは他校に比べてどういう特徴を持っていた島根大学さんでいらっしゃるというふうに理解すればよろしいんでしょうか。
【説明者】  すみません。ちょっと確認が必要ですが、審査の観点、幾つかありまして、それぞれの観点ごとの点数の合計で、最終的には高いものを採っていくというものになります。
 具体的に、ごめんなさい、今の段階で、それぞれの観点で島根大学が何点だとかということはちょっとお答えは難しいんですけど、審査の観点といたしましては、補助事業の必要性や事業計画、次に事業の実施体制、次に事業の実施計画、事業科目の構想、大きくはこの4点について、それぞれ有識者が何段階かの評価をして、他の大学も含めて、トータルで見たときに、評点の高いものから基本的には採っていくというような考え方で、島根大学がそのような評価の結果、採択をされたということでございます。
【石田委員】  ありがとうございます。別に島根大学さんを矢面に立たせるつもりじゃないんですけど、書いてあるのがここだけだったのでということで御容赦ください。
 ちょっとこれ見てしまうと、ここの171ページの中に、控室とかICT設備の部分でも700万とか、他の本体事業でもやっているところの予算に、ここの名前のものからもちょっと幾らか回そうかというふうにも見えなくもない。レビューシート上の記載はそうで、中身のところはもう少し色んな工夫があるんですということなんだろうかもしれないんですけれども、ちょっとそういうところの御説明がちゃんとつくような形でないと、先ほど来ありますような教職課程の名を借りて予算獲得の一環じゃないのみたいなところのそしりを受けないとも限らないなとなると、やはりその地域課題の解決には、どうしても地域のことをよく知っている子供を、他から呼び寄せるのではなくて、地域の中から育て上げて、しかも、ずっといて欲しいという、ある意味、このグローバル人材が叫ばれている中で、むしろ地域密着型でいくというところの、何故必要なのかというところに対して、何故どういうふうに取り組むのかというところが相当ここ説明が効かないと、なかなか事業として効いているのか効いていないのかということが不安定になりそうだなというふうに少し心配しております。
 そういう意味において、なかなかレビューシートの書き方も難しかったんだろうなとは思うんですけれども、166ページのところで、一番最初のところは活動アウトプットとして21件選ぶといって21件選べましたなんですけど、その後のところが、やっぱり全部KPIが細かく設定し切れていないところが今回ポンチ絵の方で、また御説明いただいたところなんだろうというふうには理解しましたが、このポンチ絵のところでも、結局どういうふうにこの後モニタリング効果を図っていくんだろうかというのが、ちょっとまたつかみ切れなくて、新規事業ではあるので、どういうふうに各校が立てたプログラムというものが、名ばかりではなくて、ちゃんと実行されていくのかというのを評価していくのか、その仕組み、もしありましたら教えてください。
【説明者】  もっと良いものがあれば是非というところが正直なところなんですけれども、まずはプログラムが必ず実施されるということで出口で、採用試験のところで、きちっと特別選考という形で、実際採用に移行していくかというところは確実にしっかりチェックしていく。それが地域定着というところにも結びついていくということだと思いますが、それはある意味アウトプットであり、アウトカムが非常に大事だろうと思っておりますが、それはやっぱり、もともと地域の教育課題を踏まえて改良した特別プログラム、それは地域課題、地域の教育課題の解決のためにやったはずなので、その地域教育課題そのものが、その結果、解消していったのかどうかというところが大事だと思っております。
 それをどう見るかというところは、我々、すみません、今のところの知恵では、やはり教育委員会というか、採用者側に、学校を設置している側に、主観的になるかもしれませんけど、アンケートなりヒアリングなりして、そこの成果を確認していくということをやっていくという手法かなというふうに考えております。
【石田委員】  ありがとうございます。1教育委員会は1大学と組んでいるって、その教育委員会は他の大学さんとも組んでやっているということになるんですか。
【説明者】  すみません。基本的にはそういう1対1の関係ですが、場合によっては課題によって、大学によって教員養成の強みが違ったりするので、こっちとこっちという形で、1つの教育委員会が複数の大学と組むというパターンもあり得るというふうに思います。
【石田委員】  ありがとうございます。1対1だと、やっぱり自分がやっていること評価するみたいなところも出てくるので、もし、その立てた計画に対して本当に課題が解決できる方向行っているのかって多分、短期的に測ることものすごい難しいと思うので、ややもすると満足度評価みたいなところにならざるを得ないかなと思うんですけれど、これに関しては、一番最初の採択のところで外部の方を入れたんだとするならば、モニタリングのときにも外部の方の目を入れるとか、少しこの計画で腰折れしないのかというのは見ていただいた方が良いのかなとは思いました。
 あと、すみません、もう一つ、コーディネーターの方というのが一つキーなのかなと思うんですけども、このコーディネーターの方のバックボーンというのは、どういう方を想定されているのか教えてください。
【説明者】  そこは我々から実は要件設定まではしておりませんけれども、一般的、実際やって入っておられる方のイメージとしては、例えば教育委員会で幹部クラスの人材の方が現職のまま大学に出向するパターンもあれば、あるいは県立の高校の例えば校長職を3つぐらいやられた方が退職と同時に入られるというパターンがあったりというようなことで、どちらかというと、その自治体の教育行政についての経験を全体的に見られた方というのが大学の方に送られるコーディネーターとなるパターンが多いと思っております。
【石田委員】  ありがとうございます。身内の固まりみたいにならないかなというところだけが何となく気にはなってしまうところですけど。
 これ高校生の方に広げていくというのは、広報活動をすごく頑張ろうというところと、実際入ってもらってからのカリキュラムをしっかりやろうというところの2つなのかなと思ったんですけど、高校への広報というのは、県内あるいは域外も含めて、どのぐらいのエリアで広報活動するという前提なんでしょうか。
【説明者】  すみません。こちらも高校生向けのセミナーなんか当然、大学によって様々なんですけど、ちょうど先ほど島根大学の件がありましたので、島根大学の予定というか、申請段階のもので言わせていただきますと、島根大学、実は鳥取大学に今、教育学部ありませんで、島根大学は鳥取県と島根県の教員を養成するというようなミッションを一応持っておりまして、島根大学の予定を見ると、鳥取県内の高校も含めて十数校の高校で、それぞれ参加見込者は、少ないところでは各校10名だとか、多いところだと80名というような規模まで含めて、入学前のプログラムを実施したり、つまり、教育学部に入るとこういう学習ができるんだということを、高校在学中の生徒に対して説明をすると。
 こちら島根大学は島根県立大学とも連携をしながら申請をしておりますので、そういった意味で、両大学で鳥取県まで含めて多くの高校で、そのようなセミナープログラムを開催しておるというようなことです。
 大学によって事情は少し違うかなと思います。
【石田委員】  ありがとうございます。そうすると、これ、何か受けた人からどのぐらい入ったのかとかって、受けた人からみたいな分母が出てきてしまうんですけれども、別に受けていない人からでも入ったらカウントしてあげないんですか。
 例えば、すみません、高校のところでの受けた人が入った方というよりも、むしろ中に入ってから教職を受けた人がちゃんと教員になったかとかって多分、分母にいつも対象になった事業に、対象になった人がどのぐらいになったのかというふうな計算方法を取られているのかなと思ったんですけど、そういうことだけではなくて、別に島根大学さんがこういうことを取り組んでいるということを見て、やりたいなって思った方が入ってくれてもオーケーと見るのか。だから、地域でそういうような、地域でちゃんと就職する子たちが出たということでよしとするのかというのがちょっと見えなくて、どういう選定になるのか教えてください。
【説明者】  セミナーは一つのやり方でありまして、大学によっては、地元の地方紙に新聞広告を大きく出してというふうな取組で地域枠の学生募集したりということもありますので、その意味でいうと、先ほど御指摘いただいた話でいえば、後者の側の形で良いかなというふうに捉えております。
【石田委員】  ありがとうございました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 シートの記入をお願いいたします。その間、少しお時間。
 川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  今のお話をお伺いしていまして、中間評価もされる中で、どうモニタリングするかというお話もあったかと思います。
 石田委員おっしゃったように、モニタリングのときに、やはりその提案時に示された提案というのがきちんとまずは履行されているかということと、実際に取り組んでみて新たな課題が出てきたときに、それがきちんと対応されているかであったり、その辺りを外部の方も含めて検証するというのは非常に重要なんだろうなというふうに思います。
 もう一つの地域の課題を解決するためにこのプログラムというところが当然あるとは思うんですけれども、やはりこの新卒で教職に就かれる方が全てその地域の課題を背負うわけでは当然ないと思いますので、そこはその地域の課題が解決されたかどうかというところまでは、やはりその評価の対象にはなり得ないんだろうなと個人的には思います。
 逆に、組織として大学と教育委員会がその地域の課題というのを定常的にフォローアップの拾えるような体制が構築されているかであったり、そういった地域の教職に就くという学生がきちんと働きやすい環境で働けて地域の課題を、カリキュラムで得たその地域の課題への対応策であったり取り組み方というのを、やはりブラッシュアップして意欲的に働いているとか、そういったところの組織と組織と、そこで働いている方たちの評価みたいなところが範囲なのかなというふうには個人的には思いますけども、その辺りっていかがでしょうか。
【説明者】  おっしゃる通りだと思います。自分たちでつけた事業名なんですけど、地域枠ということで始めながら、実はこれ教員養成大学・学部の機能強化事業ということでございまして、今日の御指摘の中でも本来のミッションという話がありましたけれども、今御指摘いただいたのも、本来のミッションを十全に果たせている状態というのが今御指摘いただいたような状態だと思いますので、この事業を通じて、まさにそういう望ましい状態が、体制が再構築されているかどうかというところをしっかりチェックしていくことが非常に重要だと今思いましたので、今後の中間評価でありますとか、この事業全体の評価のときに、そういった視点持ってやっていきたいと思います。ありがとうございます。
【川澤委員】  ありがとうございます。恐らく本来的にはそうであるべきだけど、やられてこなくて、多分色んな課題であったり難しさというのも当然出てくるんだろうと思いますので、そこは仮に、逆に機能がそれほど強化しなくても課題だけあぶり出されたみたいなのも、ある意味一つの成果だというふうに捉えて、この5年間の中で本当に変わっていく芽をどうつくっていくかみたいな、何かそんな形で捉えていくのが良いのかなと思います。
 ですので、逆に中間評価のときの評価結果が結構、非常にばらつきがあるものになる可能性はあるんじゃないのかなと思いますけれども、それも含めてきちんと対外的に公表もして、この事業の成果を説明していくことが非常に重要なんだろうなと思いました。これはコメントです。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  これ、さっきお話ししたこととかぶっちゃうんですけど、188ページ見ると、事業において必須とされている事項の進捗状況で、カリキュラム改革に係る進捗状況、つまりは、このカリキュラムを変えるということが必須になっているというふうにも読めるなと思っているんです。というところと、実際にこの補助を使っている使途のところは結構チェックした方が良いなという気がしていて、これ正直、カリキュラムを変えましょうと言うのは簡単だけど、実際すごい難しいことだと思うんです。だから、補助金もらったときに、タブレットを買うとか、ハードの方に使うというのは、やっぱりやりやすいところだと思うんですよ。あえてそこをソフトの方に。もちろんハード使っちゃいけんというわけじゃないけれども、ソフトをメインにその補助を使うという、それやろうとすると、きっとハードルすごい上がると思うんです。でも、そのハードルを乗り越えるぐらいのカリキュラムの変更だったり、つくってくるというところにしっかりとお金をつけてあげるというような考え方って、やっぱりあるのかなって。
 これ繰り返しになりますけど、本来業務であろうところに補助金をつけることの意義というのを、やっぱりつくらなきゃいけないなというふうに思いました。これ、ちょっとコメントになっちゃいましたけど。
 あと、これ御承知の上での話だと思うんですけど、様々抱える課題って183ページに書かれていますが、多分これ全部が教員が課題を解決しなきゃいけんわけではなくて、これは色んな民間人材も活用した上でだと思うので、この教員がパーフェクトだとか神様だという雰囲気は、やっぱり早く変えた方が良いだろうなと思うんです。
 そうしたときに、もしかしたら、これちょっと、これをそのまま読むと、やっぱりこういう課題解決するために地域枠の教員が必要なんですというロジックにあまりなり過ぎない方が良いんじゃないかなと思うんです。もし違っていたら教えていただきたいんですけど。
【説明者】  いや、御指摘というか、御認識の通りだと思いますので、教育課題が現場に多様に存在しているのは事実ですが、その解決は、我々チーム学校と言ったりしますけれども、御指摘いただいたような外部の人材とか、そういった専門家との組合せで、チームで解決していくべきだと思います。
 その意味では、ちょっと誤解を招く資料かもしれませんけれども、特にその地域課題の中で、これは我が県の教員の主要課題というか、エリアで見たときに、これを解決したいというところに応じて地域枠を設定して、カリキュラム改革をしていただきたいというつもりでございます。
 前半にいただいた御指摘は全くその通りで、一応我々も審査するときに、単なるこの事業に名を借りたハード整備をしているようなところは採択しないということでやっておりまして、どんなカリキュラムにするのかというところも出させてチェックをさせていただいております。それがちゃんと進んでいるかというのをチェックする必要は当然あると思いますので、それはしっかりさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 もう少しお時間いただければと思いますが、その間に御質問、コメントなど。
 石田委員、お願いします。
【石田委員】  ありがとうございます。あまりこれ言い過ぎちゃうといけないんだと思うんですけれど、地域のことを何とかしたかったら地域外の人の話とかもちゃんと入れていくというのも、よくある他所者若者何とか者という話もありますが、ややもすると、その地域で育った人をその地域に留め置くための施策というふうに思われてしまうと、それはやはり地域が育たなくなることもあるよねというのは皆さん分かっていらっしゃると思うので、今、高校生でそのまま残ってくれる子を育てたい、それはそれで良いと思うんですけれども、確保するみたいな思考回路にならないように。なんだったらば1回色んな世界も見てきた上で、その後に、地元に愛着を持っていて、戻って地域のためになりたいんだというような人たちって、やっぱり30代とか20代後半ぐらいからいるかなとかというふうに思うと、ちょっと高校出て、そのまま純粋培養でいくというところだけを教育委員会とともに手を携えてやるというよりは、幅広に、何のために地域に地域を分かる人、あるいは地域のことが分からないから色んな目線で物を言って地域のためになってくれる人を確保するのかというところまで広げられると良いのかなというふうに素人ながらに思うんですけど、でも、何かきっとやっていらっしゃると思うので、そういうことで色んな取組があったりすれば教えてください。
【説明者】  今御指摘いただいたところは、これ地域課題と言いながら、地域課題として、もっとグローバルな視点を持った人材を育てるとか、教員自身がもっと海外を見てくるということ自体が、その地域課題ということもあり得ると思っておりまして、例ですけれども、この事業の課題設定として、教師になってもらう、そのプロセスの中で、例えば留学経験させるとか、そういったことを教員養成、この地域枠の特別プログラムの中で含めて取り組むというふうなことも実は推奨させていただいておりまして、すみません、今日用意させていただいている資料の中にそれが入っていなくて申し訳ないんですけれども、ちょっとそういった趣旨も含めて、今御指摘いただいた点は、その通りだと思っております。
【石田委員】  ありがとうございます。ちょっと某大学のことを思い出したんですけども、ある大学が、インドネシアに学校をつくって、そこに今、現地で採用するけれども、結局日本から来る人も半分ぐらいいるというところが、課題解決型というよりも、課題をまず見つける。社会の課題の中で何がそれが根本的なところなんだろうというところをまず見つけて、それをディスカッションして、仮説取って、それで解決していくという人材育成なんかをやっている。多分これ日本の中の優秀な方というのの今までの教育システムとは違うんだろうなと思うんですけれど、そういうおっしゃっていただいたような他流試合というか、小さい規模だからこそできるフットワークの良さとかネットワークの良さみたいなのを生かしていただけるようなものになると、すごくこれ生きてくるなというふうに思いましたし、また地元の高校生も、いながらにして宇宙のことも分かるみたいなところは、また含めて非常に魅力的になるかなと思いますので、始めたばかりということではあるんですけど、魂入れていただけると良いなと、より一層思いました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 もう少しお時間いただければと思いますが、いかがでしょうか。御質問、コメントあれば。
 川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  今の石田委員のお話で、187ページの「グローバル教育課題探究」とかってプログラムの中に含まれていて、本当にそれはすごく重要で、地域の課題を解決するために、やはり地域の中にいるだけではなくて、外を見て、じゃ、どういうソリューションがあるのかということを考えて、恐らく、この地域枠の取組が何年も積み重なってくると、一度その地域枠で卒業して違うところで就職をしたけれども戻ってくるみたいな、そういう人材のプールができてくると、より、この教育委員会と大学側も、すぐに就職しないと困るみたいな、何かそういうマインドにならないと思いますので、やはりその就職については少し、おっしゃったように、学生が実際に最後に、最後というか、そういった選択を自分の中からきちんと、本当に課題を解決したり、地域の教育どうしようという、どうにか自分たちがしたいというふうな思いが持てるように、少し猶予があっても良いんだろうなという気はします。卒業したら必ずっていったようなレールができているようなものを周りからプレッシャーかけてしまうと、やはり本人のためにも、また地域のためにも、子供たちのためにもならないような気がしますので、その辺りは中間評価もしくは最終的な評価が難しいと思うんですけれども、仮にすぐに就職しなかったとしたら、じゃあ、どういうような選択肢を取って、最終的にどう考えているのかといった、その辺りも含めて評価するのが必要かなと思いました。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、堀川委員、取りまとめお願いします。
【堀川委員】  どうもお疲れさまでした。
 本事業は、地域課題に対応する質の高い教師を安定的に育成、確保するため、大学と教育委員会が一体となって、入試、教育、採用のプロセスを見直し、地域教員希望枠や地域密着型カリキュラム等を整備する取組ですが、各委員からの意見を総合すると、幾つかの重要な課題が浮き彫りになりました。
 そこで、取りまとめコメント案ですけれども、まず事業の設計について、地域というキーワードがついているから、地域に限定する、例えば地域、地元の人ということでは必ずしもなくて、やはりその問題を解決できるという点を重視した設計があっても良いのではないか。また、そもそもそういう地域の問題を解決するのが、必ずしも、民間人材も含めて行われるトータル的な考えでも良いのではないかという提案が一つなされております。当然、地域の問題解決に向けた、それに連動した中期アウトカム指標の設定が必要だろうというのが1つ目の意見です。
 次に、事業の効果及び指標の設定という意味では、今のようにプログラムを構築した数とか、そういう数量ではなくて、やはり実施したプログラムの実態評価とか、その実効性あるモニタリングができるようなKPIの設置とかがきっと必要だろうと。さらには、地域に根差した教員が必要であれば、その定着率なども検討する必要があるということですね。
 この定着率というのは、ある意味、事業の継続性にもつながっていくんですけれども、これについても、この支援が時限的な支援ではあるんですが、引き続き教育委員会と大学が継続的に取り組んでいるかというのを、やはり事後的な検証が非常に重要な事業ではないかという、一つの流れの委員の意見がありました。
 次に、事業の執行ですね。事業の進め方、方向性ですけれども、これ設計にも関わるんですが、本来業務、こういう地域のニーズに即した教員の育成というのは、当然、教育学部をお持ちの大学が本来やるべき業務にも関わらず、国が支援する以上は、実質的な、その地域に定着する義務化の一定の縛りがやはり必要ではないかと。永遠ではなくて、例えば3年程度とか、必要ではないのか。これは事後評価とも関係するんですが、そういう一定的なハードルを高めた設定がきっと必要なんだろうな。
 そして、地域枠のその有効性を、全国展開するのであれば、やはりしっかり有効だということを示さないといけない以上は、指標の設定についても、地域に残るというのを100%。それは、ある意味、学生さんに課するんじゃなくて、組織ですよね。大学に対してそのぐらいの、支援を受けているんだから、100%の指標設定、定着率として、そのための方策をやっぱり考えていただきたいということを大学に示して、方策を考えていただかないといけないのではないか。
 最後に、じゃ、それに合うような支払いの状況なのかというのは、もう一度、支出の項目がそれに見合ったものなのかというのは再度、見直していただければというのが、以上、今回、各委員から出てきた内容です。
 事業の質と効果を高めるために、これらの課題を克服し、戦略的な事業の執行を望みます。
 以上です。良いでしょうか。ありがとうございました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、以上の取りまとめをもって、このセッションは終了させていただきます。ありがとうございました。教育人材政策課の皆さんもありがとうございました。
 それでは、次の項目、最後の項目ですけれども、開始時間は16時半から、させていただければと思います。7分ほど休憩をさせていただきます。

 

第6コマ目:感動する大学スポーツ総合支援事業

【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは議事に入らせていただきます。6つ目の事業は、感動する大学スポーツ総合支援事業です。
 初めに、事業担当部局より事業概要の説明をさせていただきます。説明者は5分以内で簡潔に説明をお願いします。また、資料での説明はページを示した上でお願いします。
 それでは事業の説明をお願いします。
【説明者】  スポーツ庁地域振興担当参事官です。どうぞよろしくお願いします。
 感動する大学スポーツ総合支援事業ということで、ロジックモデルに入る前に少し事業の趣旨を御説明させていただければと思いますが、大学スポーツ、この場合、我々、運動部を主に想定しております。
 そして、大学スポーツを行う学生アスリートにとって、大学スポーツが重要ということはもちろんのことながら、大学スポーツを通じて、その他の多くの学生にとっても、社会的人材の育成ということで貴重な効果があると考えております。
 このため、我々としては、大学スポーツを「する」「みる」「ささえる」学生を増やし、そして大学スポーツの振興を図ってまいりたいと考えております。
 それでは、ロジックモデルの説明に入らせていただきます。
 206ページを御覧ください。真ん中に波線がございますけれど、大きく分けて2つに分かれると考えております。波線の上が委託事業、そして波線の下が補助事業となっております。上半分、下半分をそれぞれ1ページで拡大したページを用意しておりますので、まず委託事業について207ページを御覧ください。
 委託事業、大きく分けて3つございますが、いずれも大学が行うモデル実証事業と考えていただければと思います。
 アクティビティのところを御覧いただければと思いますが、まず1つ目は、学生が企画・運営するホームゲームの支援を行うモデル事業でございます。
 そして2段目でございますが、大学生が中学生年代への指導の仕方を研修して、大学生指導員として養成・確保されていく。そういったことを支援する事業でございます。
 そして3つ目、大学にはスポーツ資源、様々ございます。選手、指導者、スポーツ施設、研究成果というふうに様々ございますが、こういった大学スポーツ資源を活用して地域の課題解決を行っていく。そういった取組をモデル的に支援するものでございます。
 3つともモデル事業でございますので、流れとしては似通ってございます。アウトプットといたしましては、そういった取組を実施する。そして短期アウトカムといたしましては、そうした取組に関わる学生が増加していく。そして、中期アウトカムといたしましては、国による支援なく大学が自発的・継続的にそうした取組を行っていく。そして長期アウトカムといたしましては、支援された大学だけではなく、その他の大学にも取組が広がっていき、最終的には「する」「みる」「ささえる」学生が増加していくといったことを想定してございます。
 次に、208ページを御覧ください。こちらは補助事業となっておりますが、大学スポーツの統括団体といたしまして、一般社団法人大学スポーツ協会、我々、通称UNIVASと呼んでおりますが、そうした団体がございまして、この団体が大学スポーツの振興事業を行う一部に対して補助を行っております。
 大きく分けて2つございまして、中期アウトカムのところを御覧いただければと思います。1つは、安全安心なスポーツ環境の整備、もう一つは、大学スポーツの認知拡大でございます。
 上2つのロジックモデルの流れを御覧ください。一番上でございますが、スポーツ統括団体UNIVASが学生に対して、安全安心にスポーツに取り組める環境を構築するため、安全安心認証制度というものを持っておりまして、これを普及啓発し、そして認証を受ける大学が増えていくということを想定しております。
 また、UNIVASにおいて専門家がハラスメント等の相談窓口を設置しておりますので、その窓口の利用が拡大していくということを想定しております。
 また、UNIVASにおいてコンプライアンス研修会も行っております。この研修会が行われることによって、研修を受ける学生が増加し、コンプライアンス意識が向上する。こうしたことを踏まえて、安全安心なスポーツ環境が整備され、事故や不祥事などが減ることによって、「する」「みる」「ささえる」学生が増加していくといったことを想定しております。
 上から3番目、4番目のロジックモデルの流れを御覧ください。UNIVASにおいて、大学スポーツに関する情報発信の取組をしておりまして、SNSを投稿し、これに関するエンゲージメント数が増えることによって大学スポーツの認知が拡大していくということを想定しております。
 また一番下のロジックモデルの流れですが、UNIVASにおいてUNIVAS AWARDSという表彰制度を持っておりまして、これを行うことによって、大学や学生による優れた取組が増え、そして大学スポーツに対するプラスの評価での認知が拡大すると考えており、これらを通じて、最終的には「する」「みる」「ささえる」学生が増加していくということを想定しております。
 私からの説明は以上となります。どうぞよろしくお願いします。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、論点の説明に移らせていただきますけれども、お手元の説明シートには2つの論点が書かれております。1つは、目的を達成する上で事業の実施方法が効果的なものとなっているか、そして事業成果検証のための適切なアウトカム、アウトプットが設定されているかというところでございます。
 それでは、有識者の皆様からの御質問、コメントをお願いいたします。堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  どうもありがとうございます。今回、ロジックモデル、大幅に刷新していただいた。これまで事前勉強会等で色んな意見を言わせていただきましたけれども、それをこの短期間に即座に修正し、なおかつスポーツ庁さんの中でもオーソライズされたということについては非常にすごいなと思っています。
 やっぱり公開レビューというのは、擦れ違いのまま終わると結局何の効果も上がらないというのが過去にあったかと私は認識しているんですけれども、今回は、同じ方向に向いて、レビューシートを直していただいて、同じ土俵で議論できるような状況を短期間でつくっていただいたというのは、非常にこれこそレビューの意義だと私は認識しておりまして、本当に感謝いたします。
 次に、レビューシート、非常に分かりやすくなったんです、私的には。だから、逆に、ここからがきっとこの事業ですよね。過去に色んな経緯があるのは承知していますけれども、現状を踏まえると、やはりこうなるのかなあという意味で、やはりなかなか苦労されてつくられたんだなと。普通は、208ページの補助金の方なんですけれども、UNIVASが関わっている流れですが、普通は、左、アウトプットがあって、アウトカムがあって、長期アウトカムになっていくと。苦労されてこの長期アウトカムを再設定されたんだと思います。
 普通はこの流れで考えるんですけれども、当然、国がやる行政ですから、この長期アウトカムがもちろんデータとしてもオーソライズされているので、これを持ってくるのがきっとパターンだな、私もそう思うんですけれども、じゃあ、この長期アウトカム、国の仕事ですから、多くの学生にということになってくるんだと思うんですが、この長期アウトカムというのは全国の学生の全体で間違いないですよね。
【説明者】  18歳から22歳で学生という属性の数字を拾っております。
【堀川委員】  そうなんですよね。私もネットで見たらそうなのかな。そうすると、全体の18歳から22歳、これをずーっと逆に右から左に見ていくと、先ほどUNIVASの対象が、運動部ですか、の大学、なおかつ加盟している大学になってくると思うんですけれども、に対しての相談窓口であり、コンプライアンス研修であり、SNSは別かもしれませんけど、UNIVAS AWARDSでありと。そこでぐっと絞り込まれているんですよね、事業の対象が。私も学生やっていましたけど、ほとんど運動してなかったと思うんですけど、普通の学生から見たら体育会系の人ってほとんど雲の上の人みたいな感じですよね。
 ただ、きっと「する」「みる」「ささえる」の一般学生を対象としている率というのは、我々みたいな普通の、我々が昔やった大学生がプール行ってよとか、ジョギングしてよとか、そういう世界がきっと入ってきているデータだと考えると、このロジック、UNIVASの事業に限定する必要があるのかという非常に素朴な疑問が見えてくるんですよね。過去の経緯を考えるとなかなか厳しい話になるんですけど。この辺、どう今後、スキームとしてどう展開していくのか、どうあるべきなのかというのはやはり慎重に検討していただくことになるのかなと考えますが、いかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。確かにおっしゃる通り、最後の長期アウトカムのところは、UNIVASに加盟している大学でない学生も含まれておりますので、UNIVASが行っている事業の成果として少し乖離しているのかなというのは思うところではございます。
 ただ、一方で、我々、大学スポーツについて、例えば不祥事対応や、コンプライアンス研修であったり、不祥事対応であったり、UNIVASがなくても大学自体で取り組むことができるのであれば、それでも良いかとも思っております。
 一方で、不祥事というのは引き続き断続的に起こっておりますので、国としてもUNIVASの活用というのを進めていきたいと思っておりますので、最終的には大学自体が対応していただくか、UNIVASを御活用いただくかして、全体的な長期アウトカムにつなげていきたいと考えています。
【堀川委員】  最終的にはやっぱり広く大学スポーツ全体に波及するスキームを、やはりこの先、十分良いロジックモデルになってきているんですけど、さらに検討していただければなという、まず1点目の意見です。これは意見です。同じ立場、特にこれをつくり変えた課長は一番よく分かっていると思うので、承知しました。
次に、UNIVASがやってる安全安心認証制度はやはり良いことだと私も思いますので、是非、今、34校でしたっけ、やっぱり広げていく、さらに広げていくような何か促進策を御検討いただければと思いますが、いかがでしょうか。
【説明者】  この34校、UNIVASに今加盟している大学数が225ある中で、少ないと見えるかもしれないんですけれど、この認証制度始まったのが2020年、ちょうどコロナの時でございまして、大学スポーツは、大学スポーツどころか、大学の授業をどうするかといったような状況でございました。そういった少しは停滞したような時期があって、近年、これの広報活動といいますか、宣伝といいますか、を行って、順調に伸びているところでございますので、引き続き、必要性、UNIVASの安全安心認証制度の必要性を各大学に周知して認証を受けていただくということを進めてまいりたいと考えております。
【堀川委員】  では、最後に、ちょっと経理的な話なんですけど、地味な、定額補助ですよね。この定額補助の資料等を見たんですけれども、補助事業の具体的な対象範囲というのが、情報発信、研修、認証制度、SNS運用等とは書いていると思うんですけれども、具体的にこれですというのは何かありますかね。
【説明者】  対象経費ということですか。
【堀川委員】  対象経費。
【説明者】  204ページを御覧いただければと思いますが、これのAのところに民間スポーツ振興費等補助金とございまして、委託費、雑役務費等々と掲載されておりますけれど、この費目で……。
【堀川委員】  どちらかというと、これ実際に使った使途ということですよね。補助を要綱等でこれというのは?
【説明者】  いえ、補助要綱では書いてございません。失礼しました。
【堀川委員】  ですよね。なおかつ資料でつけていただいたUNIVASがやっているのと補助でやっている、231ページを見ると、前回頂いた資料にもこれについていてびっくりしたんですけど、UNIVASが相当自主財源で一応様々な事業もやっておられると。だからUNIVASを使いたいということにもこれ説得力ある根拠なんですけれども、ただ、こういったケースだと、悪意があってじゃなくて、実際自分でやってる事業と補助事業との経理上の混在化する可能性があって、特別会計でも別ポケットにしてくれれば良いけど、案外そういうことはやらないケースが多いので、結果として、意図しているわけじゃないんだけど、特に定額補助は、事業費が補助額より上回れば良いという話なので、何となくこういう色々やってる事業をそのまま入れ込んでしまって、よくよく見るとそれ違うじゃないかという話にもなりかねないし、逆に言うと、補助要綱でしっかり縛っていないとそこがいい加減になるので、意外に対象を変えられてしまうんですよね。そこはスポーツ庁さんがやっぱり政策当局で管理責任とかガバナンスを働かせていただきたいのと、やはりその確認も現場でやっていった方が、結果としてお金の面がいい加減になると事業自体の存立にも関わるので、過去にそういう事例が多々ありますので、文科省がという話じゃないんですけど、他の省庁等でも、政府全体。やっぱりそこはしっかりちょっと、もう一度確認していただければというのが最後の意見です。何かありますでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。おっしゃる通りかと思いますので、交付申請、事業計画書等々、我々、しっかりと確認をして、今回、このレビューで有効な予算の活用というのをかなり御指摘いただきましたので、その点を踏まえてしっかりと確認してまいりたいと思っています。
【堀川委員】  どうもありがとうございました。以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。それでは、川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  御説明どうもありがとうございました。まず207ページの委託事業の方なんですけれども、長期アウトカムのところで、「する」「みる」「ささえる」学生の増加というところで、委託事業と補助事業でこれを目指していくというところは理解いたしました。整理してくださっていると思います。
 ただ、KPIの9を拝見しますと、運動、スポーツの実施率で、「する」学生の増加のところだけになってしまっていて、難しいだろうなというところは分かるんですけど、「みる」「ささえる」をどう表現するかというところは一つ課題なのかなと思っていました。
 これは既にKPIの9には、取得済みのデータなので、これは活かしていくのは当然だと思うんですけれども、やはりモデル事業で、実際「みる」学生というのが、どういう形で「みる」学生を増やしていったり、「ささえる」学生がどういうふうに広がっていったかというようなところがモデル事業で恐らく具体的に分かっていると思いますので、そこは逆に運動部以外の学生の中でそういったところがどういうふうに取り組まれ、どう把握すれば良いのかとか、その辺りのアイデアをモデル事業を通じて全体としてどう把握するかというKPIの設定も含めて考えていった方が良いのかなと思いますが、その辺りというのはいかがでしょうか。
【説明者】  そうですね。ありがとうございます。おっしゃる通りかと思います。KPI、4、5、6なんかについても、事業を実施する際にあらかじめ組み込んでおけば把握できる数字かと思いますので、今後、予算が取れればの話ではございますけれど、同様の事業を行う場合には考慮してまいりたいと考えております。
【川澤委員】  ありがとうございます。厳密な数字というよりは、どういう形で取っていくとか、どういうふうに増やしていくかというときに恐らく考えていらっしゃると思うので、その辺りは是非アイデアを積み上げていっていただきたいなと思いました。
 もう1点が221ページで、今回、冒頭でも御説明いただきましたように、運動部活動というのが、やはり学生を中心とする課外活動とされてきて、大学の関与は限定的な場合が多いというところが補助事業の出発点になっているんだと理解しました。225ページに書いてくださってるように、個々の大学では対応が難しかったり、個々の競技別の学生競技連盟では対応が難しいものをUNIVASとして受けると。やはりここは、個々の大学とか個々の学生競技連盟では対応が難しい課題というのが何なのかというところがUNIVASのまさに設立のところにつながってくるんだと思うんですけども、そこはコンプライアンスであるとかという、まさに今UNIVASが取り組んでいるところ以外に、まだ何らかの課題があるとして捉えられていらっしゃるのか。この辺りの課題というのが具体的にどういうものなのかということをちょっと御説明いただけますでしょうか。
【説明者】  例えばなんですけど、226ページを御覧いただければと思います。この資料はUNIVASの設立の際に検討した資料でございますけれど、最初、第1フェーズということで、UNIVASを設立する際には、安全性の確保や学業との両立といった基本的なことをUNIVASが担っていくと。一方で、創設期からどんどん活動が進んでいくと第2フェーズと進んで、人気の上昇と書いてありますけれど、大学スポーツを盛り上げていくような認知度を拡大させて、人気も上昇させていくようなことであったりとか、あと、「ホーム&アウェー」と書いてありますけれど、大会を主催するようなことも当初は想定しておりましたので、時代を取り巻く環境は変わっておりますので、この通りというわけにはいかないかもしれないですけれど、こうしたことを想定して進めてまいりたいと考えております。
【川澤委員】  分かりました。その意味ではまだ今、第1フェーズの段階にいて、安全性の確保のところに取り組んでいらっしゃると。学業の確保というところも大きな課題だとなっているんだと思います。ただ、今回、UNIVASの正会員のリストを拝見していると、大学も入っていれば、競技団体も入って、いわゆる学生競技連盟も含まれていて、ある意味、学業の確保と考えたときに、大学側としては学業を確保して欲しいけども、競技連盟としては、ある意味、競技の日程であったりとか、競技に向けての強化みたいなところを優先して学業が確保できないみたいな対立する場面というのが当然出てくるのかなと思います。それを、どういう主体がどういうふうに解決していくことをこの団体として推進していくのかといったときに難しさがあるんだろうなという気はしているんですけれども、スポーツ庁さんとして、これはUNIVASの課題というか取組になってくるのかもしれないですけど、スポーツ庁さんとしては、やっぱりUNIVASを設立をして、大学側がメインで、学生競技連盟と手を携えながら、学生の学業の確保とか、学生の安全みたいなところをまずはきちんとグリップするような、そういうアプローチというところを優先しているのか、もしくは、学生競技連盟というところがまずは主体となってやってもらうとか、その辺りの戦略みたいなところというのはいかがでしょう。
【説明者】  そうですね。大学、UNIVASというのは大学も加盟しておりますし、競技団体も加盟しているので、どちらかの意思を代表しているという団体にはなっておりません。
 一方で、両方入っておりますので、それらの意見を調整するといいますか、話をする等、両方を繋ぐようなことは可能なのではないかと思っております。どちらがというよりは、どちらの意見も聞きながら、競技によって状況も変わるかもしれませんし、そうした繋ぎ役というのをUNIVASが役割を果たしていただければと考えております。
【川澤委員】  分かりました。だから、そこが今、208ページのKPIで安全安心認証を受けた大学数であるとか、審査する大学数とか、やっぱり大学がメインのアクターとなって取組を推進していくのか、これには例えば競技連盟数って入ってないと思うんですけども、競技連盟数も含めた形で両者が両輪となってやってもらうと考えるのか、何かその辺りは多分戦略とKPIで取る数字ってリンクしてくるんだと思いますので、そこはもし両方ということであれば、両方含めた形で取っていった方が良いのかなというのは思いました。
 一旦以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。それでは、伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  まずは今の川澤さんのお話の続きで長期アウトカムのところなんですが、「する」「みる」「ささえる」の学生の増加で、先ほどもあったように、「する」のと、今出ているKPIを「する」になっているというところで、「みる」「ささえる」も実際にはKPIをつくりやすいのかなとは思っていて、今回、ちょっと色んな大学でやっている取組を調べてみたんですけど、ただ「みる」だったら大学の観戦者数を、福岡だったか、チケットを、学生割引作っていて、そこから大学の主要な観戦者数の内の学生の割合というのを出していて、これをいかに高めるかって、福岡の、ちょっと大学名忘れましたけど、やってるんですよね。
 というふうに、「する」は一番分かりやすいんだけれども、「みる」「ささえる」、これ何で言ってるかというと、今回、この事業はそこが特徴だということをこの間から教えていただいてるからこそ、やっぱりKPIが、スポーツ実施率だけだったらちょっと寂しいなと思うんですよね。それをやってこそ初めて大学スポーツ振興というインパクトに繋がるんじゃないかと思うので、これはやっぱり出した方が良いと思うんです、「みる」も「ささえる」も。「ささえる」の方も、大学スポーツのボランティアの数って、調べていると、結構スポーツ協会が出していたりするので、そういうものも1つの指標になり得るんじゃないかなと思うんですよね。たしか6大学の野球の運営のボランティア募集とかあって、倍率結構高くてみたいなものも、そういう倍率だって1つの指標になり得るんじゃないかと。「ささえる」という人たちが多いんだということが見せられるんじゃないかと思うので、それは是非一度検討していただけると良いんじゃないかなと思いました。ちょっとここまでで何かありますか。
【説明者】  ありがとうございます。我々もちょっと行政事業レビューの対象になってからロジックモデルを考えて変更した部分もありますので、「する」という今のKPIだけでは確かに不十分だと思っておりまして、今、先生からアイデアを頂きましたので、全体を把握できるものでなくても、例えば一部から推測するとか、そういった方法もあるのだなと今思いましたので、今後は少しちょっと勉強させていただければと思います。ありがとうございます。
【伊藤委員】  それで、委託の方なんですけど、これ、僕が未だにしっかり、もしかしたら単に考え方の違いということかもしれないんですが、アクティビティ、アウトプットの中に大学スポーツ資源を活用して地域の課題解決をするという、モデル事業でやっていて、これを全国展開するというのはこの事業の中に入っていると思うんですけど、アウトプットとしては、地域との連携の増加になっている。
 要は、大学スポーツというもので地域貢献をするというのが目的ではなくて、これが1個の手段というのか、通過点になって、最終的には大学スポーツの認知度向上であり、振興になっていく。多分こういうロジックに今なっているんですよね。これ、スポーツ庁の視点でいくとそうなるのかもしれないんですけど、自治体視点で考えたときには、これもしそういう考えがあるとしたら教えていただきたいんですけど、少なくとも僕が付き合ってきている自治体の中で、大学スポーツの振興ということがゴールの中で地域との貢献をやりましょう、要は、大学と連携をしましょうというふうに捉えている自治体って無いんじゃないかと思っていて、もちろんそれは立場によって違っていて良いという考え方もあるんですけど、大学のスポーツの振興というのは、やっぱりそこは1つの手段であって、目指すのは、例えばどこどこの大学でこういうことをやって、こういうスポーツが盛んだ。そこで、地域ぐるみで何か応援をするというのが、まさにこれで地域貢献とか地域活性化ということに繋がるのかなと思うんですけど、そこは考え方ってやっぱり違うものですかね。
【説明者】  ちょっと難しいなと思っておりますけれど、もちろん地域振興が目指すところというのは思うところではありますけれど、我々、スポーツ庁がなぜ大学スポーツにこだわって地域振興をやるのかというところを考えた際に、地域振興が手段というふうにちょっと先日は言い切ってしまいましたけれど、そういった手段になるということで、大学スポーツの効果とか、価値とか、そういったものを地域の人に分かっていただいて地域振興を進めていただくというふうに考えております。
【伊藤委員】  そこは今回つけていただいてる212ページのスポーツ基本法の今回改正したところを見ていて思ったんです。まさに、前回、少しこのお話をさせてもらったときに、今、黄色でマークつけてもらっているところ、「大学におけるスポーツの推進等」のところで、1行目の途中です。「スポーツへの国民の参加の促進及び地域振興を図る上で重要な役割を果たすものであることに鑑み、大学におけるスポーツの推進」なんですね。
 と考えると、大学のスポーツの振興というものが先にあってそのために地域振興があるんだという書きぶりでは実際にはなくて、やっぱり地域振興というのが大きいところにあるんじゃないかな。それを鑑みた上で、大学におけるスポーツ振興なんじゃないかなと思うんですよね。
 それ考えたら、このロジックモデルの中で、「する」「みる」「ささえる」の学生数の増加だってもちろんこれ長期アウトカムだと思うんですけど、これをそのまま読むと、地域振興だってそっち側に入ってくるんじゃないかな、長期アウトカムの方に、というふうにも思うんですよね。今回の改正だから、まだこれからのところがあるかもしれないですけど。どうですかね。
【説明者】  そうですね。地域振興が目的というところは否定はできないと思います。その上で大学スポーツを活用していただきたいというのが我々スポーツ庁の考えになります。
【伊藤委員】  ありがとうございます。ごめんなさい、もう1個だけ。補助金の方なんですが、これは先ほど堀川さんからお話があったように、補助要綱はしっかりつくった方が良いと思うんです。今のところ、この間からお聞きしているように、何かこの事業の何分の1とかという意味での補助要綱があるわけではなくて定額になっているというところは、やっぱりこれは、今、この瞬間はUNIVASに補助をするとなっているけれども、多分、中長期的にはUNIVASということではなくて、今スポーツ庁が考えていることができる組織であれば、当然ながらその補助はあって良いはずだし、それを説明するためには、やっぱりこういう事業をやってるところに対して何分の1を補助しますという事業費補助の考え方の方が私はなじむんじゃないかなと思います。これ今、運営費補助にもなっているんだけれども、さらに運営費補助で、補助の算定根拠がないということになってしまってるんじゃないかな。これは補助金の見直しに割合長く関わってきた立場からすると、結構昔の補助のつくり方だなと正直思ってしまうので、ここは是非補助要綱をつくって、どういう考え方で補助金出すのかというのはもう1回見直しをしていただける方が良いかなと思いました。
 それに付随してなんですけど、じゃあ、何でUNIVASにしかできないのかという説明はやっぱり必要だなと思っています。1つの理屈というか、考え方の中で、今、補助の一番上にある安全安心認証の普及啓発、この制度を今、UNIVASがつくっていて、それがかなり重要だというお話、これまでお聞きしてきたんですが、絶対にそれがUNIVASにしかできないかどうかというところは、やっぱりもう1回検討が必要なんじゃないかなと思っていて、これは大学単位という規模が大きいから他ではなかなかやりにくいというお話、事前にお伺いしました。JSCというところがやっているのは、これは小中学校の個人に対しての保険事業をやっている。もちろんちょっと違いはあるんだけれども、絶対にできないかというところは、別にこれ、繰り返しますけど、UNIVASでやっちゃいかんということを言いたいんじゃなくて、UNIVASにしかできないという理屈はしっかりと団体特定補助だからこそ持たなきゃいけないんじゃないかなと思うので、やっぱそこの検討が必要かなと思いました。もし御意見あればお願いしたいんですけど。
【説明者】  ありがとうございます。UNIVASに対して、今補助する理由といたしましては、もともとの設立経緯をこれまでも御説明させていただいたところでございますし、あと、実際、認証制度に入る大学が増えておりますので、ニーズもあると考えております。
 また一方で、その補償制度が他の民間会社とかにあるかというと、それも今のところ我々承知しておりませんので、今のところはUNIVASにしかできないですし、それに対するニーズがあると考えております。
 また周辺状況とか大学側のニーズが変わりましたら、その辺もよく踏まえながら見ていきたいと思います。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。それでは、石田委員、お願いします。
【石田委員】  ありがとうございます。なかなか難しい話なんだろうとは思うんですけれども、今、御担当の皆さんから見て、UNIVASに加入する大学あるいは部活動が増えない理由というのはどこにあるんだと今分析されてらっしゃいますでしょうか。
【説明者】  数は増えてはいるので、メリットをもう少し周知する必要があるかと考えております。増えている大学は、UNIVAS安全安心認証制度を目的に入っている大学もございますので、先ほど安全安心認証制度の大学が急激に増えているということも申し上げましたけれど、もう少し広報活動といいますか、メリット、必要性をきちんと説明していく必要があるのかなと考えております。
【石田委員】  ありがとうございます。増えているということなんですけれども、発射台低いところからどのぐらい増やすかという話と、そうではなくて本来UNIVASを日本版NCAAでやろうとしたということは、どこまで巻き込むのか。特にファン層を持っているスポーツとか、あるいはその大学さんには本来入って欲しかったとか、恐らく当初に設定されていた想定される欲しい加入数というのがあったと思うんですけれども、そちらとの比較においては、今、どのぐらいまで、何%ぐらいまで来ているというような分析でいらっしゃいますでしょうか。
【説明者】  当初の目標では、大学の中で運動部のない大学もございますので、運動部のある大学、約400大学を目標にしております。今、225ということですので、まだ半分強というところでございます。
【石田委員】  ありがとうございます。運動部でも、全部入ってるところと、全部入っているというか、運動部でもどこが入ってるのかということだと思うんですけれども、恐らく大学数にしてしまうと、ともかく1つでも、マイナーがいけないとは言いませんけど、マイナーなところで、何だったら他の大学と競技会を組めるかというレベルでの運動部数、国内にあるのかとかというようなことも含めたときに、恐らく最初のUNIVASを考えたときには、この部活動のこの大学には入って欲しいなと、これだけの部活動のバラエティーみたいなのは欲しいなとか、恐らくそれなりの構想はあったんじゃないかと思うんですけれども、そうすると、ただ大学数ってやってしまうと、当初やりたかったこととの乖離というのが何かちょっと心配になるんですが、その辺りの当初のUNIVASが計画していたこと、あるいはこれからUNIVASがありたい姿ということから考えたときに、大学数というふうにただ見ていくことで十分なのか、それともそうではないもう少し細かな目標設定が必要なのかということについては現場ではどのようにお考えでしょうか。
【説明者】  そうですね。確かにUNIVASに加盟する際に、どういった運動部を対象にするかということは大まかには把握はしているんですけれど、もっとこれだけとか、そういったイメージは、大学ごとに、イメージといいますか、大学ごとにその範囲というのは決めておりますので、もう少し精緻にといいますか、詳細に関与する必要はあるのかなと思います。
【石田委員】  ありがとうございます。立場が分からないと何言ってるのか分からないと思うのであれですけど、私、UNIVASを否定してるわけではなくて、やると、あれだけすごい長い期間、揉めに揉めてと言っては何ですが、結構色んな立場からの御意見がある中で、これやると。それの中で文科省さんの方からの補助も入れてやるというふうにやったのだとするならば、漫然と何となくやり続けてるということだとするとやっぱり賛同を得られない。今、やはりここのUNIVASに見えている課題についてをきちんと解決をして加速させるんだという見直し時期がちょうど来てるときに中途半端なことをやるとやっぱりうまくいかないだろうと思っている、ある意味応援団の立場から色々御質問しているつもりなんですけれども。
 そうすると、なぜ大学が増えないのかというところについての課題というのが、先ほど増えてはきているんですということではあるんですけれども、共済事業みたいなのとかコンプライアンスということが魅力で入るのかというのは、すみません、正直言ってちょっとよく分からないんですけれども、何がもう少し見えてくると。今の共共済とかコンプライアンスのことが要らないとは言いませんけれども、もうちょっと何が出てくると、他の大学、運動部の方からも自分も加入したいと言われるのではないかと、皆さん現場で思っていらっしゃる仮説があれば教えてください。
【説明者】  繰り返しにはなりますけれど、最近加盟した大学に加盟理由を聞いたところ、UNIVASの安全安心認証制度が魅力で入ったというところや、今検討を考えている大学については、やはり自分の大学でコンプライアンス研修をやるのはなかなか難しいので、UNIVASのコンプライアンス研修を受けたいので検討しているというような声は聞いております。
【石田委員】  ありがとうございます。そうすると、大体今、ガバナンスコードとかの関係もあってコンプライアンスのこと非常にやっぱり皆さん、あと暴力とか、そういうことに関しても、選手ファーストのところに変えていかなきゃいけないというところに、自分たちのリソースでは足りないから加入するというのはありなんでしょうけれども、本来多分日本版NCAAの話というのは、かなりファン層とか地域とかも巻き込んで、高校とか中学とかと違って大学になってくると、プロとか、あるいはそこからの代表選手とか、色んな意味で世界とも繋がるようなスポーツ、あるいはマイナースポーツでも実はすごく盛り上がってるな、世界ではとか、恐らくそういうところに対しての国民の理解、あるいはそこに参加することによるウエルビーイングの向上とか、多分大きな目標があったと思うんですが、そうすると、やはりいかに見てもらうのか、いかに大会、冠大会を増やすのかとか、そこのところで広報していくのかとか、あるいはそこでの動画とか、写真とか、グッズとか、そういうものに対して権利化していくのかとか、そういうことについて恐らく委託先の大学スポーツ協会さんの活動がどこまでできるのかということに関わっているのかなと。一部の補助でしかないと思いますので。その辺りについてはどのようにモニタリングされているのか教えてください。
【説明者】  そうですね。我々の予算が無限にあるわけではありませんので、それを有効に活用していただきたいとUNIVASには思っております。我々の補助によって行われているのはUNIVASの事業の一部でございますので、UNIVASの活動に対して共感を得てスポンサーを得るなどして、動画とかの活動を行うとか、そういったことも検討できるかと思っております。
【石田委員】  ありがとうございます。是非そういう、文科省さんの方が色々と見てくださっているということが彼らの活動を多分支えているんだろうと思いますが、今年のUNIVASの事業計画なんかを見ますと、やっぱりスポンサーさん、企業さんとかからのスポンサー料が減っているというようなことも書いてあって、そうするとやっぱり世の中からの賛同を得られてないという、今、景気が必ずしも下がっているからスポンサーが得られないというよりも、恐らく魅力とか、色んな面で課題があるのではないかなというふうに外から見ていると見えます。
 恐らく日本版NCAAを目指すんだとするならば、国内のファンを増やすだけだととても足りなくて、海外のファン、特に日本のスポーツに関しては、今アジアの方にも色々と進出されているところもあると思いますけれども、アジア圏も含めて、海外からもファン層を増やすためにどうしなきゃいけないのかとか、「する」「みる」もそうなんですけど、「ささえる」のところの、是非文科省さんの目線から彼らが何をしようとしているのかといういうところについては今後も真摯にモニタリングを継続いただけるとありがたいかなと思います。
 これもコメントだけになっちゃうんですけれども、レビューシートを見ていても、一つ一つの大学に分散されている金額を見ると、他の予算もあるのかもしれないですけど、規模小さいって見えてしまいました。この金額だけでこれやるのかというと、申し訳ないけれども、ちょっと小さくまとまったものしかできないんじゃないかなという、選択と集中とは言いませんけれど、やっぱりUNIVASのものをドンと皆さんに知ってもらうというような目線から、思い切ったお金の入れ方とか、国費を入れられるかというとそうでもない部分ももちろんあると思いますので、その辺りはUNIVASの運営の側がどういうふうな計画でちゃんと推進していけるのかというところですね。またあるいは文科省さんをはじめ、SNSとか、色んな媒体あると思うんですけれども、既存のもので多くの費用をかけなくともみんなで応援していくという取組も含めて、このところについては、よりKPIの設定はいいんですけれども、それの実効性を確保するためには御検討いただけると良いのかなと思いました。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。もう少しお時間をいただければと思います。伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  補助事業の、ちょっと細かい話になっちゃうかもしれないですけど、補助事業の中期アウトカムのところ、安全安心なスポーツ環境の整備という記載があって、ここのKPIとしては重篤な事故の件数になっていると思うんですが、多分その左側を見ていくと、アクティビティ、コンプライアンスに関する意識の醸成であったり研修会をやってるということを考えると、やっぱり事故ということだけじゃなくて不祥事というのも明確に入れなきゃいけないんじゃないかな。特に大学スポーツでこの間言われているのは、事故というよりは不祥事の方だと思うので、そここそが何となくここで求められることな気がするんですけど、どうですかね。
【説明者】  そうですね。おっしゃる通りかと思います。不祥事、把握の仕方としては、例えば報道ベースとか、そういった形になるかもしれませんけれど、把握の仕方は考えられるかと思いますので、検討してまいりたいと考えます。
【伊藤委員】  今回、この数年間でニュースになってるものって、もちろん報道にもなっているんですけど、あれってスポーツ庁への報告義務ってあるんですかね。
【説明者】  義務ではないです。
【伊藤委員】  義務はないんですか。そうなんですね。
【説明者】  はい。連携は取っています。
【伊藤委員】  ないんですね。所管官庁としての監督義務ってどこまでになるんですか、それでいくと。大学だから残しているんですか。
【事務局】  それぞれの色んな法人がありますけれども、特に、昔は小中学校とかでも、こういう事故が起きましたみたいなことを報告するようなことが、30年前とか、私がいた頃はあったと思うんですけれども、そういうのもだんだん何でもかんでも国が報告しろというのはいかがなものかという流れの中で、あまりそういうものを詳細に毎回毎回求めないというような流れはあったかと思いますので、公立ですらそうなので、特に大学とか、私立大学校とか、そういうところから毎回何かある度にというわけでは、もちろん本当に大きなニュースになってるような事案については、私立学校の監督という意味で、うちの文科省の私学部の方に報告が来て、それに対して指導するということはあるかと思いますけれども、事案の大きさによってということになると思います。
【伊藤委員】  なるほど。ありがとうございます。今、おっしゃったように、何でもかんでも報告せよというのは、これまた大変だなとは思うので、この把握の仕方ってなかなか難しいかなとは思うんですけど、ただ、少なくとも不祥事というものを事故だけじゃなくて入れていくという考え方を持つというのはやっぱり大切かなと思いました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。もう少しお時間をいただきたいと思います。川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  先ほど石田委員とのやり取りの中で、226ページの、先ほどUNIVASのフェーズを見ていたんですけれども、やはりスピード感がもっとあった方が良いんだろうなというところを思います。先ほど安全性の確保のところ、今まさにコンプライアンス取り組んでいて、次は学業の確保なんだなというところで思ってしまっていたんですが、やはり第2フェーズの人気上昇だったり、そういうところにどんどんどんどん取組を進めていけるように加速化していかないとなかなかこの取組に対する理解が得られにくくなってくるんだろうと思いますし、先ほどから定額補助についての在り方というお話もありましたけれども、やはりここまで定額補助で進めてきているならば、やはりもっと加速化した取組というのを期待すべきだと思いますので、そこは次の、一応フェーズごとには学業の確保という形で恐らく、スポーツを実施している運動部の学生たちがどういうふうに学業とスポーツの強化を両立するかというところを大学側と連盟側でどう折り合いをつけていくかという、協力関係をつくっていくかというところだと思うので、その辺りの政策というか、考え方みたいなのは今具体的に進んでいるんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。今回、国が補助している対象の事業だけに絞って御説明させていただきましたが、すみません、231ページを御覧いただけますでしょうか。学業の充実については、UNIVASの自己財源の方で取り組んでおりまして、上のところに学業充実、キャリア形成施策の推進とございますけれど、現在も取り組んでいるところではございます。
【川澤委員】  デュアルキャリア形成支援プログラムというのがそれに当たってくるということですか。
【説明者】  はい。
【川澤委員】  なるほど。分かりました。内容がちょっとよく理解できてないところではあるんですけど、仮にそういった取組を推進しているのであれば、第2フェーズのところの成果というのがどんどん出てきているのかというところも、ロジックモデルの中で、今、安全安心のところだけがフォーカスされていますけれども、その辺りまでも含めて、短期アウトカムを見直していくという。恐らく長期アウトカムはこういったところにつながっていく全ての取組なんだとは思うんですけれども、そこは取組の進捗度合いというところをスポーツ庁さんとして期待する高めの目標というのが必要なんだと思いますので、そこは積極的に指標として設定して、かつ目標値もつくっていった方が良いんだろうなというところを思いました。その点いかがでしょう。
【説明者】  ありがとうございます。UNIVASの事業も全体として見る必要があるかと思いますので、御意見を踏まえてまた今後進めてまいりたいと思います。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。それでは、堀川委員、取りまとめをお願いします。
【堀川委員】  どうもお疲れさまでした。本件事業は、大学が有するスポーツ資源を活用し、大学スポーツを「する」「みる」「ささえる」学生を増やすとともに、UNIVASと連携した体制整備やガバナンス強化を通じて大学スポーツの振興を図るものですが、各委員からの意見を総合すると幾つかの重要な課題が浮き彫りとなります。
 そこで、取りまとめコメント案ですけれども、1つは、まず指標の設定という点で複数の委員から、長期アウトカム指標の「する」のみならず、やはり「みる」「ささえる」の指標化が必要だろうと。
 例えば「みる」について言えば、大学スポーツの学生観戦者数とか、様々なチケット販売数とか、色々考えられるでしょうと。
 「ささえる」ということであれば、学生のスタッフのボランティアの人数とか、学生団体数、支える、支援する学生団体数とかも考えられるでしょうと。
 こういった指標を設定することで、モデル事業を通した指標の検討や既存データの活用が必要だろうという、やはり長期アウトカム指標についてさらに検討していただきたいという点ですね。
 これについては、事前勉強会等を通じて一気にロジックモデルを検討していただいたので、分かりやすくなった。ある意味でロジックモデルが分かりやすくなって、非常にさらに工夫していただきたいという展開だと思いますので、修正していただいたということについては非常に評価する意見もありました。
 さらに、短期アウトカム指標についても工夫していただければなという意見がありました。
 そして、次に大きな話ですけれども、補助事業の在り方という点で言えば、この事業とUNIVASに対する補助事業というのとやはり分けて検討すべきというか、この補助事業を対象とする事業が何であるのかというのを補助要綱でしっかりと規定することで、事業費補助として位置づけるべきだと。そうすることで、ある意味、平等にUNIVASとの関係を構築することもできるし、当然ロジックモデル的にもUNIVASをどういう位置づけで引き続きこの事業の中で展開していくかというのも明確化に進めていただきたいという点が2つ目の柱としてありました。
 最後に、そもそもUNIVASをどうしていくのか。UNIVASの安全安心認証については引き続き積極的に進めていただきたいということですけれども、それがUNIVASに限定する必要があるのかという意見もある中で、一方でUNIVASというのをそもそも国が補助するということは、日本版NCAAとしての当初目的があったということを前提に、それを目指すのであれば、こういう事業の中で組み込むだけで良いのかという疑問もありまして、積極的にUNIVASというのを真の意味で日本の大学スポーツのブランディングや、権利化の実装について、国内のみならずアジアその他の海外向けに向けて具体的な検討をする段階に入ってるのではないかと。本当にUNIVASを日本として推進するのであれば、参加大学数や部活数が増えない真の理由や地域ファン層の巻き込みが不足している原因や課題を、ここで徹底して検討し直す必要もあるのではないかという非常に重要な提言もありましたので、是非こういった点を検討していただき、戦略的な事業実施をお願いしたいと思います。
 以上ですけど、いかがでしょうか。大丈夫ですか。
 ありがとうございました。お疲れさまです。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 以上の取りまとめを持ちましてこのセッションの議論は終了させていただきます。
 ありがとうございました。
 スポーツ庁の皆さんもありがとうございました。
 以上で令和7年度文部科学省公開プロセスを終了させていただきます。
 有識者の皆様におかれましては、長時間にわたり御議論いただきまして、また貴重な御意見をいただきましたことを心より感謝申し上げます。今後の文部科学省の事業の改善に、今いただきましたコメント等をしっかりと受け止めて、改善に努めていきたいと考えております。
 また、インターネットで本会議を御視聴くださいました皆様におかれましても、行政事業レビューへの取組を通じて文部科学省の事業への御理解を深めていただければありがたく思います。
 それでは、本日の公開プロセス、終了させていただきます。ありがとうございました。

 

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