令和6年度行政事業レビュー公開プロセス 議事録(6月27日(木曜日))

【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、お時間となりましたので、ただいまより、文部科学省公開プロセスを開会させていただきます。
 私、進行役を務めます文部科学省サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官の坂本と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 外部有識者の先生方におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、4名の委員に御参加いただいておりますが、時間の関係もありますので、大変恐縮ですが、ホームページでの公表をもって、御紹介とさせていただきます。
 この公開プロセスはインターネット中継されておりまして、対面とオンラインとのハイブリッドでの開催になります。御発言を希望される場合は、机上に発言のプレートを用意しておりますので、そちらのプレートを立てていただければと思います。オンラインで御参加いただいています河村委員におかれましては、挙手ボタンでお願いできればと思います。また、河村委員におかれましては、御不便をおかけして恐縮ですが、御発言のとき以外はマイクをミュートにしていただきますように、御協力をお願いいたします。
 発言の順番については、私から指名させていただきますので、指名をさせていただいてから御発言いただければと思います。
 限られた時間の中でコメントを取りまとめる必要がございますので、事業担当部局からの説明の後、質疑等に入りましたら、並行して、適時、コメントの記入を進めていただきますよう、お願いいたします。本日のコメントの取りまとめ役は、堀川義一委員に努めていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 最後に、本会議は、外部有識者の先生方からの事業担当課に対する質疑等を通じまして、無駄の削減のみならず、より効果の高い事業に見直していく、改善を進めていく観点から、御議論をいただきまして、当省の施策にしっかりと反映させていただく機会でございます。長時間にわたる会議で大変恐縮でございますけれども、様々な貴重なインプットをいただく機会でございますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 1番目の事業は、地域文化共創基盤の構築です。
 初めに、事業担当部局より、事業概要の説明をさせていただきます。説明者は5分以内で簡潔に説明をお願いします。また、資料での説明は、ページを示した上でお願いします。それでは説明者、お願いします。
【説明者】  それでは、京都から失礼いたします。文化庁の生活文化創造担当でございます。よろしくお願いします。
 地域文化共創基盤の構築ということで、お手元の論点等説明シートでいきますと、12ページにロジックモデル、13ページにポンチ絵がございますので、そちらを御覧いただきながら、お聞きいただければと思います。よろしくお願いします。
 まず12ページ、ロジックモデルに沿って御説明申し上げます。この事業につきましては、目的を大きく3つに整理しています。1点目は、各地域における特色ある主体的な取組を推進し、文化芸術による豊かな社会の実現を目指すこと。2点目は、文化芸術活動の地域偏在の解消を図ること。3点目は、文化芸術による地域課題の解決を促し、ひいては地域の活性化を目指すことであります。
 このため文化庁では、文化芸術創造拠点形成事業とアーティスト・イン・レジデンス型地域協働支援事業の2つを行っております。
 まず、文化芸術創造拠点形成事業につきまして、12ページ上側のロジックモデルのラインを御覧ください。長期アウトカムといたしましては、採択事業の自己収入率の向上による地域における自律的な文化芸術活動の実施ということを掲げてございます。ここでいう自己収入率と申しますのは、大まかに言いますと、収入のうち国費や公費に由来しないものの割合という御理解をいただければと思っています。この自己収入率を向上させるということは、文化芸術に関する取組の持続性の鍵となるものと考えてございます。ですので、KPIといたしましては、自己収入率が前の年度よりも向上した取組の割合と設定しています。これは基本的には毎年着実に自己収入率を上げるということが各地における取組の継続、ひいては文化芸術活動の定着につながると考えているからでございます。
 その前の段階となる中期アウトカムにつきましては、自主企画の事業数の増加ということを掲げました。自己収入率が上がる、つまり、外部のお金を獲得するということには、地域として文化芸術を盛り立てようという機運、また、文化を軸に人が集い、新たな価値が創造される状況をつくる、そういったことがお金を出してくださる方の魅力になる。そういったことで、この中期アウトカムを掲げています。
 そして、初期アウトカムといたしましては、文化芸術活動への参加者数の増加というものを掲げています。まずは、より多くの方にこの取組に参加いただくことが文化芸術事業の認知度を高めることにつながる。そして、この事業に連携する作り手、単に見るだけではなくて、自ら作り手になろうとする方を掘り起こすことにつながるのではないかと考えています。
 こういったロジックモデルを前提といたしまして、文化芸術創造拠点形成事業におきましては、地方公共団体が主体となって、文化芸術分野の専門的人材を活用して、地域のアーツカウンシル機能の強化等に取り組みながら行う、文化芸術創造拠点形成に向けた総合的な取組の支援というアクティビティを展開するということになってございます。
 もう一つの軸でありますアーティスト・イン・レジデンス型地域協働支援事業につきましてです。12ページの下のラインを御覧ください。こちらの長期アウトカムといたしましては、アーティストの活動・交流による地域課題の解決というものを掲げました。各地において抱える課題は様々ではありますが、文化芸術の側面からのアプローチを通じてこれを解決し、ひいては地域の活性化につなげることを目指すものです。そして、その前提といたしましては、各地域それぞれの課題に正対でき、また、作品やその制作過程において、解決の種を包含するアーティストと出会う必要があります。そのためには、国内外問わず、より多くのアーティストがその地域のことを知り、そこに滞在して芸術活動をしたいという状況をつくる必要があります。
 そこで、中期アウトカムといたしましては、アーティスト・イン・レジデンスの受入希望者の増ということを掲げました。さらに、アーティスト・イン・レジデンスの参加希望者を増やすためには、当該取組の魅力を磨き上げることで、その地域で先行して活動しているアーティスト本人、また、そのアーティストを核とした芸術活動に参加した地域住民が、この活動に対して好意的な印象を持つことが必要だと思っています。
 ですので、初期アウトカムといたしましては、国内外のアーティストやイベント参加者の参加満足度の上昇ということを掲げました。アーティスト・イン・レジデンス型地域協働支援事業という枠組みにつきましては、国内外のアーティストを招聘し、地域住民との連携や協働を行いながら実施する滞在型の芸術創造支援プログラムや、これに付随して実施される文化芸術に触れる機会の提供、広報・発信を支援するというアクティビティを通じて、各種の取組のブラッシュアップを図るものでございます。
 以上、御説明申し上げました。委員の皆様方からの御指摘、また、意見交換、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、私から、論点について説明させていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
 1点目としては、事業の実施方法や執行方法等、見直しの余地がないか。2点目としては、事業が目指すところを踏まえた上で、事業成果検証のための適切なアウトカム、アウトプットは設定されているかが論点になります。
 それでは、外部有識者の先生方から御質問等をお願いいたします。説明者の方は、外部有識者からの御質問に対して、簡潔、明瞭に回答をお願いします。それでは、御質問をお願いいたします。
 堀川委員、お願いいたします。
【堀川委員】  分かりやすい説明をいただきました。ありがとうございます。
 地域固有の文化を生かした事業の方向性と専門人材育成、補助金の適切な配分、そして、長期アウトカム指標としての自己収入の向上に関して、意見を述べたいと存じます。
 本件事業は、地域のアーティストや地域住民のステークホルダーとの連携、協働を目指していることを評価しますが、その実効性を高めるためには、さらなる取組が必要ではないかと。例えば、地域ごとに異なる文化資源を生かすためには、専門人材、ここではそこがキーワードになっていますが、KPIになっていますが、育成がきっと鍵を握るのではないかと。現状、多くの専門人材が、これまでの説明によると、地公体の公務員の方々がその役割を担っていますが、文化専門の知識や経験をより深く持つ人材を地域内から発掘して育成することが求められるのではないかと。彼らが地域文化に精通した専門家として機能できるよう支援することにより、地域固有の文化プログラム企画実行能力を向上させ、地域住民との連携を強化できると。分かりやすく言うと、博物館の学芸員の方々は、非常に専門性も高いし、ステータスもある、逆に言うと、やはり、そういう方が地域の中でおられると思うんですよね。また、さらにそういう素養がある方がおられて、そういう人を地域文化に精通した学芸員のように育成するということが僕は重要かと考えていますが、いかがでしょうか、まず1点目。
【説明者】  ここでいう地域の専門人材といったときに、当然そういった方は含まれると思います。一方で、各地域における芸術活動といったときに、例えば舞台芸術のようなもの、そういったことも含まれると思います。残念ながら、そういったものについては、まだまだ地域偏在、特に東京エリアと大阪エリアとかで偏在があると思いますので、その知見というのを、この事業を通じてうまく地方に移植することが大事だと思っています。そこにつきましては、募集要項の中で、中央の人材の持っている知識をどうやって各地域に移しますかということについては、しっかり調書に書いてください、それを見て選考しますということにさせていただいています。
 以上です。
【堀川委員】  すみません、ここなんですよね。地域偏在というところに、私は大変違和感を感じます。日本はもともと、神様が各地域におられるという一神教じゃない文化だと私は認識しているんですけど、地域ごとに、やっぱり文化はあるんじゃないのと。なぜ、中央というか、人口が集中している東京とか大阪の文化を地方に持っていくことが偏在解消になるのかという、その根本的な文化庁の考え方に非常に違和感を感じて、なぜ、地域の多様な文化、まさに地域の多様性ですよね――を見出すという方向にも、それだけではないかもしれませんけど、そういう方向が私的にはやっぱりもうちょっとバランスを取って考えるべきだというのが1点目です。何かあります? 意見。
【説明者】  もちろん、そういった視点を欠いているわけではないということは申し上げておきます。各地で行われる地域独自の取組というのを真ん中に置いたようなイベントだったり、取組であったり、それを地域の方とやり取りする中で再評価する、そういったことも専門人材の役割だと思っていますので、当然、そういった人たちを各地において、きちんと育てる。ただ、例えば、ものの見せ方ということについては、やはり、いろいろな専門家と言われる方の知見も借りながら、それをブラッシュアップしていくということも大事かと思っています。ですので、必ずしも東京なり大阪なりであるような文化をあまねく地方に持ってくることだけがこの事業の正解ではないとは思っています。その点は、委員と目線は一致していると思います。
【堀川委員】  よろしくお願いします。
 それで、その延長上になるのかもしれませんけど、自己収入率の向上というのは、長期アウトカム指標とされています。それで参加者数や企画事業数の規模の拡大を通じて、先ほども説明があった様々な収入を上げて自己収入率を上げる。そうすることで、地域の文化活動を経済的に自律させるということを目標にされていると理解しています。確かに、経済的基盤の確立は文化活動の長年の目標なんですよね。重要だということは理解していますが、しかし、自己収入率を向上させるために、大規模なイベント、外部からの有名なアーティストを頼りにすることが増えれば、やはり、先ほどの地域固有の文化がおろそかになる可能性がありますし、例えば大規模をやった場合、自己収入率が高まっても、そもそも事業収入が、事業を拡大するということは、その見合いの収入が入ってこないといけないけれども、本当に事業収入が上がっているのかということがないと、例えば地公体がその分補助金を上乗せしたとか、そういうことであれば継続性にはならないので、やっぱり、その点はしっかり中身を見ていく必要が、投下した投資に対して、見返りの事業としての収入があるのかという点をしっかり見ていく必要があるのではないかという意見です。2点目、どうぞ。
【説明者】  ありがとうございます。まさに自己収入率というのは、自治体、国や公的じゃないところにしっかり支えていただく、そうすることがサステナブルではないかということを考えているわけであります。
 一方で、もちろん、単に規模を拡大すればいいということでもありません。それぞれに応じた規模感となると思いますし、やはり、単にウケる、人が集まる、お金が稼げればいいということでは決してないと思っています。まさにそこのコントロールをするために、専門人材と呼ばれる方が、この地域において活用できる資源は何だろうか、今この地域に暮らす人たちに体験してほしい文化って何だろうか、そういったことを考えながらやるというのが一方にあると思っています。一方で、まさに自己収入ということが継続性の鍵であることは間違いないと思っていますので、そういった観点で、長期アウトカムということで掲げさせていただいているところであります。
【堀川委員】  最後にもう1点、大規模に方向をシフトされているんですけれども、例えば大規模なイベントに対する補助率の割合が薄い場合、そもそも補助金は必要なのかという観点になるわけですね。当然、補助対象率というのが出ているから、皆さんは補助対象事業費、それに対する補助対象費、率を掛ける前の事業費は当然押さえておられるけれども、私の経験で言うと、補助対象事業費と事業費というのは一致しないケースが多々あるんですよ。事業費のほうがもっと大きいケースがあるんです。たまたま、その一部を補助対象にしているという、その点をもう一度見直していただいて、結果的には薄い補助金しか出していない、補助率しか出していないのであれば、やはりそこは選択と集中で、効果的な政策を踏むという意味では、その辺、本当に必要なのかを見直していただきたいというのが最後の私の考えです。いかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。まさに国がお金を投じることの効率性という観点から、大変重要な御指摘だと思います。
 一方で、私どもからすると、どういう全体像の中にこれがあるのかというところを必ずしもしっかり各自が書き切れていない、書いてくださいと言っていないところもあるんですけれども、確かに、その辺りの全体像は見られるようにしたほうがいいかなと思います。
 一方で、大きな全体像の中で、この部分をしっかり経済的に自立させたい、自走させたいという願いがあるところもあるかと思いますので、その辺り、少し先行事例、今まで採択させていただいたところとも意見交換させていただきながら、どれぐらい本当の事業の全体像というのを書いていただくことが現実的かということについては、関係の皆様の御意見を伺いたいと思っています。ありがとうございます。
【堀川委員】  私からは以上です。長くなってすみません。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 では、川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  御説明どうもありがとうございました。
 今、最後の御質問で、大きな全体像の中で、この事業の位置づけ等を明確にすることも考えられるのではないかというお話がございました。私も1つ目の文化創造拠点形成事業の募集案内等を拝見していまして、実施計画を複数年度にわたって策定して、ある程度、当該年度の事業ということではなくて、恐らく自己収入も上げていくための当面の取組を計画するということだと思いますが、御指摘のあった全体像の地域の文化事業をどう盛り上げていくかという全体像の中で、この事業がどう位置づけられて、それが複数年度にわたるとどうインパクトがあるのか、その辺りの全体を恐らく企画提案の際に提示していただいて、その上で長期のアウトカムにつながっていく、この事業がどうつながっていくのかというところを評価するのが重要なのではないかなと思います。そのような形で今後は募集案内のところも変えていく必要があるのかなと思ったんですが、その点についてはいかがでしょうか。
【説明者】  まさに実施計画の策定ということについては、これまでも募集要項で書いてくださいということを言っています。ただ、まさに実施計画というのが、当該事業に係る実施計画にとどまっているのか、さらに大きな絵が、例えば市なり町なりの全体の像があって、その上でこの部分があるということになっているのかというと、この解釈は若干委ねられていた部分があるかと思います。まさに先ほどの堀川先生の御指摘も踏まえながら、より大きな絵を描いていただくことというのはどれぐらい可能なのか。実は、この複数年計画の提示というところにつきましては、例えばこの事業で、いわゆる隔年とか3年おきには、いろいろな美術展みたいなものもたくさん採択させていただいていまして、当然、当該年度、開催年度の間に何でもない年度がある。でも、そこでもしっかり地域住民に向けて、広報であったり、働きかけをすることが大事、そういったものも含めて評価するようにという観点から書いたものではあるんですけれども、より大きな全体像が、事業の効率性であったり、資源の配分の効率性を考える上で重要という御指摘だと思いますので、同じ答えになって申し訳ございませんけれども、より大きな図というものをどれだけ的確に描くことができるかということについては、少しヒアリングをしたいと思っています。
 以上です。
【川澤委員】  ありがとうございます。
 その大きな図がありますと、恐らく2015年度から事業が開始されていて、一定年度の蓄積があると思うんですが、各地域によって、専門人材が一定程度、蓄積されていると思います。過年度に申請で採択された事業についても、その地域において、専門人材が継続的に活動しているという点のフォローアップですね、採択事業だけではなくて、過去に採択した事業のフォローアップも含めて、専門人材の動向ですとか、冒頭にお話があった地域偏在みたいなところが、専門人材が例えばこの地域からこの地域に移転しているといったような形でカバーされているとか、そういったフォローアップの取組というのはされていらっしゃるんでしょうか。
【説明者】  基本的に継続のものにつきましては、では、過年度はどう動いてきました、過年度はこういうことがありました、これは必要に応じて視察なんかにも行かせていただくんですけれども、その状況を踏まえて、では、今年度上がってきたものと実際見たものに齟齬がないかという観点から審査していただくようにはしています。ですので、その中でフォローアップのことはしているんですけれども、例えば、より進んで、過去の事業の中で養成に関わった専門人材が今どうなっているかということをよりシャープに書いていただくとか、そういったことは改善の余地があるかと思っていますし、逆に言うと、やはり一定年度経ったのであれば、それはまさに自走化という目標を立てていますので、そこに向けていけるような資源の配分の在り方ということも含めて考えられればと思っています。
【川澤委員】  ありがとうございます。
 やはり専門人材が育成されて、継続的に活動が行われるということが非常に重要だと思いますので、その辺り、実際にこの事業でどのくらいが育成されているのかといったようなところは、難しいとは思うんですけれども、何らかの形で表現していったほうがいいのかなと思いました。
 もう1点、アーティスト・イン・レジデンスの事業につきまして、この事業も大変重要だと思うんですが、この2つですね、拠点形成とレジデンス型の事業を並行して行うことによる意味合いというか、効果の発現の違いというんですかね、そういったところはどう考えればよろしいでしょうか。つまり、一定期間滞在して、そのアーティストの方が、ある意味、この地域にもう1回来ようと、そういうインセンティブもこの事業で期待しているんだと思うんですけれども、この2つを同時に行うことの意味合い、その辺りを御説明いただけますでしょうか。
【説明者】  率直に申し上げまして、アーティスト・イン・レジデンスで、より市町よりももっと小さいレベル、より局地的なものを念頭に置いているところはあります。ですので、必ずしも両者、大きな絵に基づく拠点形成、専門人材の育成というものと、アーティスト・イン・レジデンスというものが直接に連関するものではないんですけれども、一方で、地域における資源の磨き上げであったり、各地において芸術文化の創作活動の種を育てていくという観点では、多分、呼応するものだと思います。そういった観点で、文化庁の行う地域文化の振興シリーズということで2つを束ねているという側面はあるかと思います。
 ただ一方で、どちらの事業にしても、ステークホルダー、地域住民の方の理解がないと進まないということは同じだと思いますので、いろいろな形で、それぞれの町の課題感であったり、規模感であったり、専門人材の育ち方に応じて、この2つを使い分けていただくような感じになるのかなと思っています。実際、多分、両者を関連させながらやっているところってないと思いますので、そこは、おのおのの課題感に応じて選んでいただいているというのが現状かと思います。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
 私からは以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 先に河村委員から挙手がありましたので、河村委員に御発言いただいて、その後、中空委員、お願いしたいと思います。
 河村委員、お願いします。
【河村委員】  御説明くださって、ありがとうございます。
 やはり、地域の文化芸術創造拠点を、草の根のような活動も含めて、しっかりと支えていく大事な事業であると理解いたします。
 私からは、主として、限られた財政のお金の中で、いかにうまく効果が得られるように、地域に文化芸術活動が広がるように、根づくように、裾野が広がるようにやっていくときにどうすればいいかという観点から、補助金の使い方とかのことで御質問させていただければと思います。
 まず、今回、資料の後ろのところ、具体的に採択一覧とかもつけてくださって、ありがとうございます。30ページから令和5年度の採択一覧、32ページから令和6年度の採択一覧となっているんですけれども、まとめて最初に御質問しますが、こういった事業、全国からたくさん応募があって、採択されるときに、いろいろ会議を開いて検討されていると思うんですが、採択を決めるルール、考え方、目安みたいなものがあれば教えていただきたいということと、それから、大体何倍ぐらいの競争率で採択されているんでしょうか。選に漏れているところがどのぐらいあるのかというところと、それから、5年度、6年度のところをざっと私が見る限りでも、2年連続で取っていらっしゃるところがあると思うんですよね。例えば、令和6年度の採択一覧の中の6番、さいたま市の「アーツカウンシルさいたま」とか、その2つ下、8番、松戸市の文化の香りのする街構築事業とか、次のページに行くと、例えば19番の金沢市の事業であるとか、22番の岐阜県、清流の国ぎふ芸術祭とか、24番の名古屋市、「文化芸術が活きるまち・芸どころなごや」の推進とか、その下の豊田市とか、2年連続で取っていらっしゃるところがあるんですけれども、2年連続で取られているというのはどういう理由なのか。それから、こちらの問題意識は、補助金がないとやっていけないとなってしまうとまずいんじゃないかなという気もするので、何でそこで2年連続なんでしょうかということですね、まず、そこを教えていただけたらと思います。
【説明者】  まず、採択率のお話から、よろしいでしょうか。採択率ですけれども、6年度でいきますと、大体5割ぐらい、半分ぐらいですね。大体、手を挙げていただいたところの半分ぐらいを採択させていただいたような感じです。
 具体的な審査の視点といたしましては、資料の21ページ以降に、審査手続、審査の視点というのをつけさせていただきましたので、そちらに大体書いてはいるんですけれども、調書を見ていただき、なおかつ一部のものについては、視察の結果も踏まえて、やはり専門人材の育成ということが大事になりますので、これまでどれだけきちんと関わってきたのか、そして、専門人材を育てるというプロセスについて、どれだけ意を用いているか。単に目の前のイベントをきちんとしますよというところじゃなくて、それ以上に、それを通じて、いかに専門人材を育てますかということをしっかりプレゼンしていただけているか、そういったことが基準になるかなと思っています。
 先ほどもありましたように、3年から5年程度の計画ということを基にして採択をしていますので、基本的には、やはり、それ相応の年数は支援するということになるんだろうと思っています。ですので、決して、2年続けてということが不思議ではないと思います。
 ただ一方で、まさに年度ごとのやることの大きさ、分量感によっては、やはり見劣りする年次があれば、こういう計画ものであっても一旦お休みということはあると思いますし、そういったことで、2年続けて取られるものもあれば、そうじゃないものもあるということになっているんじゃないかなと思います。
 前年度に採択を受けているものについてはということで、同じく21ページなんですけども、当該年度の取組内容が前年度の取組の成果をしっかり反映しているのか、これは実地の視察であったり、ヒアリングを通じて確認するんですけれども、やはりそこが去年支援したのに、今年、何か同じようなことを言っていないというのであるならば、それは当然、評価は低くなるということになろうかと思っています。
 おっしゃるとおり、この補助金がないと立っていけないというのでは駄目ということは、まさにおっしゃるとおり、ゆえに自己収入というところに、要するに、外からしっかり応援団を連れてくるということだと思いますし、そのためには、やはり、その地域でやろうとしている文化的な取組というものがいかに意味があることかということを、地域住民の方はもちろん、経済界も含めて、いろいろな方にプレゼンしていただく、その役目というのをまさに専門人材が担うということだと思いますので、そういった流れの中で、専門人材の方の役割感といいますか、存在感といいますか、より地元に根差して、地元の方とのコミュニケーションツールを持っている人というのを育ててくださいという事業の目的に帰っていくんじゃないかなと思っているところであります。
 ちょっと散漫な感じで申し訳ないですが、以上です。
【河村委員】  ありがとうございます。よく理解できました。
 ただ、やはり、こういう補助金の支給の仕方として、だから、2年連続で受けることは妨げない。ただし、やっぱり前年度に計画していたことがきちんとできていることが条件だということで、そういう考え方もありかなとは思うんですけれども、私が思いますには、この手の事業、1年やって終わりじゃ、ちょっと駄目ですよねというか、寂しいですよねというか、できれば、やっぱり同じ事業も長く続いてほしいし、そこから派生的に、また別の事業とかが、いろいろ裾野が広がっていくのが本当は望ましいわけですよね。であれば、事業の設計として、補助金の出し方として、私は別に文科省さんの高等教育の補助金とかに関わったりもしていますけれども、1回採択を決めたら複数年で支給するというような形の補助金のつくり方もできると思うんですね。例えば、1年こっきりじゃなくて、3年ぐらいなら3年を上限にいたしますと、それできちんと3年間フォローもさせていただきますということで、ただし、補助金の出し方は、毎年同じ額じゃなくて、だんだん減っていくというような形でやって、自立も促していきながら、チェックも促していきながら、補助金を出していく、そういうやり方もあり得るんじゃないかなと思いますけど、それについてはどう思われますか。
【説明者】  もちろん、あり得ると。特に回数を重ねるごとに、例えばその率が低減していくというのは、まさに自走化というか、自立を目指すという点では大事だと思います。
 一方で、やはり新規の参入が常に欲しいところでもありますので、そのバランスを考えると、1回取って3年、この事業でリザーブという形になると、必ず新しい人向けの枠というのをつくらなきゃいけなくなって、それが本当に既存のものに比べてよいかどうかということは、ある程度フラットに比べたいなと思いますので、その辺りは少しまた、この事業の専門家の方の意見も伺いながら相談はしてみたいと思いますけれども、基本的には、やはり毎年リセット、ガラポンで、ただし、おっしゃるように、2回目、3回目の場合にはもう少し、例えば計画が3年だったら、1年目は確かにフルに差し上げるのかもしれませんけど、それを徐々に下げていくということは設計としてはいいのかなと思います。ちょっと研究してみたいと思います。
【河村委員】  ありがとうございます。御検討をお願いいたします。恐らく、この補助金を受けていらっしゃる事業主体の方からすれば、今年取れたけど、来年取れるかどうか分からないという、その不透明性というのもやっぱり、なかなか、おつらいところがおありじゃないかなという気もしますので、そういったところも併せて御検討いただければと思います。これはコメントです。
 続けてもう少し申し上げますが、補助金の出し方についても、今日の資料の16ページのところで、きちんと計算式とかもお示しくださって、とてもよく分かります。ただ、やっぱり、こうした事業、どれだけ出すかというときに、別にこの分野、文化芸術分野に限らず、文化庁さん、文部科学省さんの政策範囲に限らず、政府がやるどの事業でもそうなんですが、やっぱり政府がどこまで手を出すかという問題はあって、あまり出し過ぎると、やっぱり、普通、それに乗っかっちゃうんですよ。それに乗っかること、依存することが前提条件みたいになってしまうので、やっぱり、出してもマックス半分ですよね。一応、上限は2分の1ということになっていますけど、マックスは半分で、例えば初年度とか一番最初だけは半分だとしても、下げていく形にしないと、やっぱり、どうしても政府に寄りかかるような形になってしまうので、普通に経済学で考えればそうだと思うんですけど、この国、なかなかそういう考え方が徹底できていないところがあって、別に文化庁さんだけとか申し上げるつもりは全然なくて、ほかの役所でもいっぱいそういう例があって、私、実際にこういうレビューでも申し上げるんですけど、やはり、そこはちょっと御検討いただきたいなと思います。これは意見です。
 あともう一つ、アウトカムのところでお話を伺いたいと思います。文化芸術創造拠点形成事業とアーティスト・イン・レジデンスと2つ事業があって、やっぱり、長期アウトカムの設定って難しいですよね。今、ほかのメンバーの方からも御意見が出ていましたけれども、実際に取り組まれた事業が自律する形でやれているかどうかを確認するということも大事なんですけど、本当であれば、地域に音楽とか、美術とか、いろいろな分野があると思うんですけれども、芸術活動の裾野がどう広がっていったかが何らかの形で確認できれば、そここそが長期アウトカムにふさわしいんじゃないのかなと思います。アーティスト・イン・レジデンスの事業は、そういう感じの長期アウトカムを設定してくださっていて、でも、レビューシートを拝見すると、やっぱりここも、なかなかエビデンスを集めるのは大変ではいらっしゃるなと、そういう御苦労もよく分かるんですけれども、今議論しています地域文化共創基盤の構築も、何らかの形で、それに伴ってこの事業をやって、その分野の活動がその地域でさらに活発になっていったというようなことを例えばうまくつかまえるような調査とかをやっていただくとか、そういうことをお願いすること、御検討いただくことはできないでしょうか、すみません。
【説明者】  分かりました。すみません、少し戻ります。今年取れたけど来年はという期待値のところなんですけれども、実はこれに出してきているものの中には、まさに先ほど申し上げた周年ものの芸術祭で、通常の何もない端境のときであれば、自前でいろいろできる、自前の専門人材で回すことができるので、手を挙げないということもあったりしますので、そういったことも踏まえて、毎年リセットさせていただいていることがあることは追加させてください。
【河村委員】  はい、分かりました。そうですね、隔年とかありますね、数年のやつ、ありますよね、分かりました。
【説明者】  アウトカムの話で、どこまでそういうエリアに特化した調査ができるかということはあるんですけれども、まず、我々の手元にある文化に関する世論調査みたいな中で、それに類するものがないかということは検討してみたいと思います。必ずしも、そのエリアに限ったデータということじゃないかもしれませんけれども、こういった事業が呼び水となって、全国的にそういった雰囲気が醸成されていると言っているのであれば、恐らくそういったものは今の長期アウトカムに代わる長期アウトカムになり、そして、今の自己収入率は、それの前提となる、中期なのか、中期と長期の間なのか分かりませんけれども、そういったものとして位置づけることが、より、この国の文化的、特に地域における文化的取組の活動量というか、分量というか、活性化の度合いというか、そういったものを見ることの一つの参考にはなるかもしれないと思います。どれぐらい精緻な値として提示できるかということについては研究が必要ですけれども、方向性としては非常におっしゃるとおりだと思いますので、実現可能性については、検討、検証してみたいと思います。ありがとうございます。
【河村委員】  よろしくお願いします。不確かな情報かもしれませんけど、例えばSNSでの発信とかはきちんとチェックをしておいて、例えば、こういうイベントをやったと。そうすると、その地域で見たときに、すごくそういうところのツイートとかがすごく増えて、やっぱり盛り上がっているというのは、多分、ネット空間とかで確認できる部分とかもあると思うんですね。絶対的なデータにはならないかもしれませんけど、やっぱり十分な参考情報にはなると思いますし、それってすごく、その地域に住む皆さんにそういう情報が届いて、みんながそれに興味を持って、参加したいな、いいなと思っているというのが取れれば、やっぱり一つの参考資料、長期アウトカムというと、すごくがっちりした公式の統計を持ってこなきゃという感じに私たちもなってしまいがちなんですが、そういう統計を取るのも、なかなか難しいですよね。調査も難しいと思いますし、そういったアイデアもありかなと思って、これは意見、私の言いっぱなしで結構ですので、もしよかったら御検討ください。すみません、長々とありがとうございました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、中空委員にお願いしたいと思いますが、議論の終了時間が近づいておりまして、委員の皆様には、コメントの記入も併せてお願いできればと思います。記入が終わりましたら、オンライン参加の方は、メールにて事務局への御提出をお願いします。会場の方は、挙手いただければ事務局が回収いたします。
 それでは中空委員、お願いします。
【中空委員】  そう言われてしまうと、急に何か声が出なくなっちゃうんですけど、気を取り直して質問したいと思います。
 御説明ありがとうございました。前回より、とてもよく分かるようになりました。
 ただ、私が一番漠として分からないのは、地域文化共創基盤というのは、何のこと、どれを言っているのかという点なんです。つまり、何が言いたいかというと、採択した事業を見ますと、これはやっぱり補助金が出たほうがいいよなと、ふと感じるのは、例えば和紙とか、歴史の継承とか、そう言われると収入になり難いように見えちゃう事業なんですね。
 一方、例えば、別にそれがどうのというわけじゃないんですけど、セイジ・オザワ松本フェスティバルとか、ジャズとか、こういうのは、もしかしたら民間で普通にやれることなんじゃないかとも思うわけです。その分け方、文化芸術というのがあまりにも漠としていて、それが地域と結びついていれば何でも採択事業となってくると、これは正直言って、書き方によって何でも採択されちゃうんじゃないかという気もするんです。なので、日本として守るべき、あと、収入にはならないかもしれないけれども、残したい文化というのは、ここに事業として入っていいんじゃないかと。逆に言うと、収入になりやすいものというのは、本当に当該事業として正しいのかという疑問を持ちながらお聞きしていました。
 だけど、今の状態だと、アウトカムとして自己収入が増えることになってしまうので、それをアウトカムにしてしまうと、本当に残してほしいような事業というのにお金が入らなくなるんじゃないかと懸念としては思ったわけです。なので、ここの辺り、つまり、どうしてこういうことが起きちゃうかというと、地域文化というところに定義が曖昧だからではないかと思いました。その点について、お考えを教えていただきたいなと思います。明らかに利益が出そうなものと、そうでないものが混ざっていませんかということでもあります。
 それから、ついでに言うと、漫画というのがあって、私は、漫画は日本がこれから世界に発信していくべきコンテンツだと思っているんですが、それがここに入っていいのかなとか、収入になりそうなものと、そうでないものが混ざり過ぎていることについての心配、収入がアウトカムになることによって、収入ベースで乗っているものしか採択されなくなることの問題点、あと、アウトカムも、先ほど河村委員もおっしゃいましたが、これでいいんでしょうかというのがあって、よく読むと、去年の自己収入より増えていればいいとなっちゃうので、そうではなくて、最終的には、やっぱり独り立ちしてもらいたいという願いがあるんじゃないでしょうか。そうすると、去年対比でプラスだったらいいというアウトカムは、ちょっと甘いかなと思いました。なぜかというと、何度も申し上げておりますが収入になりそうなものが混ざっていると考えたからです。そうでないものと、そうであるものが混ざって同じアウトカムとなると、漏れてしまうものがあるということがむしろ問題意識です。
 最後にもう一つ申し上げたいのは、アウトカムのところです。これが達成できたら、この事業としては支えなくなるということだと思うんですが、どうやったらこの事業から手を引くか、そういうルールというのは持っておられますかというのを最後の質問にしたいと思います。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。
 まさに、端的な言い方をすると、収入になりそうなものと、そうじゃないものが混在しているというのは、おっしゃるとおりかもしれません。一方で、ここでいうこの事業の目的が、専門人材を育てていただくということ、専門人材を育てていただくための材料として、様々なイベント、もの、例えば、漫画であったり、音楽であったり、伝統文化だったりを使っていただくということかなと思っています。なので、確かに単品で見ると、自分たちの収入で回るものもあるかもしれないですけれども、それを基に専門人材まで育てるとなると、やはり、どこからか連れてきた人が、どこからか連れてきたコンテンツでやるとなってくると、それはその土地に根差さなくなってしまうんじゃないかという問題意識の下で、むしろ各地において、うちのエリアでは、例えば高知であれば漫画ということだと思いますし、松本であれば小沢征爾さんとのつながりということだと思うんですけれども、我が町、我が県ではこれを軸にして専門人材を育てたいんだというものをお出しいただいているというのが現状です。結局、それが結果として、収入になりそうなものと、そうじゃないものが混在している状況をつくってしまっているのではないかと思っています。なので、まさにそういったところでアウトカムの話が出てくると思うんですけれども、一方で、1つ我々も悩ましいなと思っているのが、例えば、ある年度だけ大きな寄附がドーンと来てしまったときの捌き方なんかは、確かに前年より伸びているというアウトカムを設定してしまうと、当然、ガーンといった次の年に、その寄附がなくなったり、やっぱりそこまで支えられませんと地元がなったときに、どうしても下がってしまうということが起こってしまうのは、確かに、問題点としては、はらんでいるなと思ってはいました。
 一方で、どれぐらいまで自己収入率が伸びるかというのは、まさにそれぞれの基になるネタによって支えられ方は様々だと思いますので、必ずこのラインを突破してくださいというよりは、前年よりは伸びていますという状況、確実に自走化に向けて動いていますという動きを捉えたほうがいいのかなというのでこういうアウトカムにしてはいるんですけれども、まさに先ほど御指摘があったように、それが最終目標としてしまうことによるミスリード、特にお手を挙げていただく自治体の皆さんへの発信の誤りみたいなことになってはいけないのかなということを今議論を通じて思っていますので、この場の意見を踏まえまして、アウトカムの位置づけみたいなことについては見直していければと思っているところであります。
 すみません、以上です。
【中空委員】  今のお答えから1つだけお願いしたいのは、そうすると、やっぱりアウトカムに、専門人材がどれぐらいいるかということを入れなきゃいけないんじゃないでしょうかね。どういう事業であっても、私が混ざっているよねと申し上げたののお答えとして、それは専門人材をつくるためですとお答えになったので、やっぱり、専門人材がその地域にどれぐらい残っているかというのが究極的なアウトカムになるべきだと思います。収入は独り立ちするということと、あと、どこで手を引くかということについてお答えがなかったと思うんですけど、それについても教えてください。
【説明者】  どこで手を引くかについて、やはり、あまりにも長くして、まさに計画が5年程度となっていますので、1つはそれが目安になると思っています。ただ、現状そこまで厳密に見えていないところがあるかもしれませんので、これについては、しっかり、これまでの採択履歴を見られるような形で、次年度以降、回していければと思っています。ということで、お答えになっていますでしょうか。
 以上です。
【中空委員】  専門人材をアウトカムにするということについても、ぜひお考えください。
【説明者】  はい、分かりました。どういう形でアウトカムにすればいいのか、残っているという言い方なのか、育っているという言い方なのか、どういう取り方をすればということは研究させていただきたいと思いますけれども、まさに、この事業が専門人材を育てるためのものでありますので、この事業を通じて、どれだけそういった資源が各地に育っているかということを何らか情報収集するすべを考えたいと思います。ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 重要な論点について御議論いただいているところ、誠に恐縮ですが、今コメントをお願いしております。まとめをしている時間もございますので、その間、御議論を続けていただくこともできますので、もし、御質問、御意見等があれば、挙手をお願いできればと思います。コメントをお書きの委員の方は、それを進めていただければと思います。
 川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  ありがとうございます。今の議論の中で、委員から専門人材を育成するため、専門人材に関わるアウトカムというところは私も同意見でして、この事業のタイトルが「拠点形成事業」となっているんですけれども、狙いとしては、専門人材の育成事業ということなのかなと思いますので、やはり、ちょっと難しくなるかもしれないけど、名称を含めて、各地域の文化を育成というよりは、人材を育成するということに主眼があるんだと。両輪なんだとは思うんですけれども、そこのコンテンツについては、各地域で自己収入が上がるかどうかではなくて選んでいる、その辺りは、事業名というか、重きが何にあるかということを明確にする必要があるのかなと思いますが、その辺りはいかがでしょうか。
【説明者】  そうですね、名前に関しては、ずっとこれでやってきているんで、急に変えるというのは、正直、受けていただいているところとの間でもあるかなと思っていますし、募集要項の中で一番にやってほしいこととして、専門人材を活用した文化芸術施策と言っていますので、その点では、箱物的なものをつくればいいんじゃないかという誤解は、恐らく、これに関わってくださっている自治体、関心を持ってくださっている自治体などにはないとは思ってはいるんですけれども、やはり、この事業はそういうものだということを引き続きしっかり広報するということで、よもや、箱であったりとか場所であったりとかに流れないような、あるいはそういったものにお金を投じられるものだという提案が出てこないよう、もちろん、出てきたら、それはお門違いですよということで通らないとは思うんですけれども、未然にそういうミスマッチを防ぐような工夫は、いろいろしていきたいと思います。
【川澤委員】  分かりました、ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  今回、専門人材のことがキーワードになったようなので、確認も含めてなんですが、先ほどの説明の揚げ足を取るわけじゃないんですけど、「活用」という表現をされたんですが、各委員は「育成」だという、私は「育成」だという意味合いなんです。現状、今までも勉強会等を含めると、自治体の公務員の方がやっているという、ある意味、フェスティバルを企画して運営する、その手足になっているというのが現状じゃないんでしょうか。そうすると、我々が求めている本当の専門人材の育成ということと非常にかけ離れた現状になっているように私は認識するんですけど、その点いかがでしょうか。
【説明者】  もちろん、異動のある自治体職員の方が関わる例もあると思うんですけれども、一方で、その自治体の外側に、例えば芸術文化を所管するような団体をつくって、そこには一定程度のプロパーの職員がおられて、その方というのは継続してその事業を見ていく、あるいは任期付のこともあるかもしれませんけれども、そこに専門性を持った人材を入れていって、その人たちの新陳代謝の中でやっていく例もあると思っています。なので、もちろん手足となる部分、自治体の本庁に芸術文化の施策に関する専門人材でやり取りした人が蓄積していくというのも、これも一つの蓄積でもあろうと思いますし、必ずしも、次々入れ替わっていく自治体職員の手足をやるためのお金というよりは、自前で各地に根差して、いわばアーツカウンシル的なものをしっかりつくっていただいて、そこを拠点にして、各地の文化的なもの、もちろん各地のものに限らず、よその土地にあるもので、今このエリアにお住まいの方々に提示したいものということとつながっておられる方を育てる、そういうことになっていくんじゃないかなと思っています。もちろん、そこまでかっちりしたものができているところってまだまだ少ないとは思うんですけれども、例えば、長野県さんしかり、ここに近いことやっているさいたま市さんしかりというところで、そういった取組を一つの形として、想定というか、考えているところではあります。もちろん、全てのところがそこまで行っているわけじゃないというのは十分承知していますので、少しでもそれに近いものができるような御支援ができればと思いますし、やはり、ノウハウがある人からそれを移植するというのをこの取組の中で一番鍵として思っていますので、引き続き、どういうことが行われているかということは、しっかりウオッチしていきたいと思っています。
【堀川委員】  ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 コメントの集計まで、もう少しお時間をいただければと思いますので、その間、もし、御議論があれば、お願いいたします。
 川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  ありがとうございます。今、長野県やさいたま市で、かなり取組が進んでいるというようなお話がございましたけれども、それは、やっぱりこの事業を起点にというか、自主的な取組も当然あると思うんですけれども、この事業が呼び水になってというようなことがあったのかどうか。また、具体的にどういった形で取組がなされているのか、もしよろしければ簡単に御紹介いただければと思うんですが、いかがでしょうか。
【説明者】  例えば長野県の例をとらせていただきますと、本来、アーツカウンシルというのは、地域の芸術資源を、例えば強化したり、助成したりというところまで含むものが世の中的には一番完成形とされていて、典型的にはイギリスの例などが挙がると思うんですけれども、そこまでいかなくても、例えば、自らプログラムをつくって、そのプログラムを実行するのに必要な芸術団体、アーティストとつながる、それはもちろん県内から探すだけじゃなくて、県内外から連れてこられる、それだけの人脈がある、あるいはプロモートするような知見もある、そういった人を育てていくような形でやっていると伺っています。そのバックに、例えば、地元の産業界、経済界であったり、大学の知見なんかも入れながら、そのバックアップの下で専門的な、これは信州アーツカウンシルの職員の方が、様々な広報も含めて、プロモートも含めてやるような、そういった取組が始まっていると聞いています。また、県内を全体見ていますので、当然、長野の中でも、長野市、松本市みたいな大きなところだけじゃなくて、その周辺部の町村にも、長野に住んでいるからこそ体験できるような文化というのを持っていくための取組、そういったことに対しても支援しているような団体がありますので、例えば、そういったことが長野県全体の芸術文化を盛り上げていくということに役に立っている。1つの典型例というか、理想の形というのができつつあるのかなと思っているところであります。
【川澤委員】  ありがとうございます。よく分かりました。
 具体的に、専門人材、どういう流れの中で県内全体を見渡して、どういう知見を持って、どういうネットワークを有しているということが望ましいというようなお考えがあるので、やはり、募集案内の専門人材に求められる役割というのをもう少し具体化していったり、例示かもしれないですけど、各地域の独自性というのは当然あると思いますので、抽象的に専門人材というお話も伺っていたんですが、もっと具体的に、こういう役割で、こういうネットワークを有すると、そういうところを期待値として持たれているということも示していってもいいのではないかなと思いました。これはコメントです。ありがとうございました。
【説明者】  ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 堀川委員から、コメントをお願いいたします。
【堀川委員】  ありがとうございます。
 本件事業は、文化活動の振興と地域活性化を図ることを目指していますが、今回、各委員からの意見を総合すると、重要な課題が浮き彫りになります。そこで、取りまとめコメント案ですけれども、各委員のまずキーワードになるという点でいえば、専門人材という位置づけですね、それが1点目。
 もう1点目は、そもそも、この事業の長期アウトカム、何を求めるのかという、この2つが大くくりできるのかなと。それで、具体的に、取りまとめコメント案としては、まず、事業の立てつけといいますか、設計という意味では、各地域の文化芸術活動の推進という全体像の中で、本件事業の位置づけを明確にし、取組全体の中での本事業の効果を把握できるようという提案内容等の再検討が考えられないか、これはある意味、立てつけもそうなんですけど、こういう意見がありまして、長期アウトカム指標にきっとつながっていくんだろうなと。長期アウトカム指標という意味では、やはり同じく、文化芸術、何を支えたいのかという考え方をもう一段考えるべきではないかというような同じ意見が出てきております。
 そして、さらに言うと、長期アウトカムに関しては、とりわけ地域文化共創基盤で再考の余地があるのではないか、採択された事業の取組を通じて、各地域の当該分野の文化芸術活動がどれほど広がり、関心を持たれるようになったのかという点を長期アウトカムに設定できれば一番望ましく、地域でのアンケート調査やモニター調査、SNSでの情報発信状況等をチェックして、長期アウトカムの参考資料としてモニタリングしてもよいのではないかという、今回、さらに具体的な提案もいただいております。これがまず、大きな1点目。
 続いて、先ほどキーワードを言いました専門人材というところですね。アウトプットとして専門人材をどう育てるのか、どう育てられたのか、何人育ったのかという具体的な指標が必要ではないのか。
 さらに言うと、同じ意見ですね、各地域でどの程度専門人材が育成されているのか、地域ごとを見てもいいのではないか、地域の文化に精通した文芸員のような存在が確立できれば望ましいのではないかといった点が、専門人材について、複数の委員から意見が出ております。
 最後に、事業の執行ということで、収入のありそうな事業にばかり支出をするのはちょっと心配であるという意見。さらに、補助金の交付において、受給者が受給が事業継続の前提になってしまうのもよくない。一方、複数年続けて継続する事業において、毎年度、補助金を受給できるかどうか不透明になっているのも問題がある。
 そこで、具体的には、単年度募集、2つ目には複数年度募集、例えば3年募集といった区分を設けて、複数年度募集については、年度を追うごとに、前年度の取組の実績を確認した上で補助率を低減させる設計にするなど、事業の執行についてもやはり工夫が必要だという、大きく3つの観点から、今回、意見をいただいたと理解しております。
 以上の点を踏まえて、事業の質と効果を高めるために、これらの課題を克服し、戦略的な事業の実施を目指していただきたいという以上のコメント案ですが、いかがでしょうか、よろしければ挙手をお願いいたします。
 大丈夫ですか、河村先生、ありがとうございます。ちょっと長くなって失礼します。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、取りまとめということで確定させていただきたいと思います。貴重な御議論をいただきまして、本当にありがとうございました。
 児玉参事官も、御説明ありがとうございました。
 それでは、ほぼ時間どおりですので、次の項目を予定どおり11時からの開始とさせていただきます。
 それでは、1件目の案件は終了させていただきます。ありがとうございました。
( 休憩 )
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、次の2項目めに入らせていただきます。2項目めの事業は、「光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)」です。
 初めに、事業担当部局より、事業の概要の説明をさせていただきます。説明者は5分以内で、簡潔明瞭に説明をお願いいたします。また、資料での説明は、ページを示した上でお願いします。
 それでは、説明お願いします。
【説明者】  量子研究推進室でございます。光・量子飛躍フラッグシッププログラム、通称Q-LEAP事業について、まず事業の概要、そしてロジックモデル、事業の推進体制や評価の方法、最後に成果について御説明いたします。よろしくお願いします。
 まず、15ページを御覧ください。本事業の概要でございます。
 現状・課題として、量子技術は将来の経済・社会に大きな変革をもたらすと言われておりまして、諸外国においても研究開発が活発になってきています。
 本事業の目的は、量子技術によって経済的・社会的な重要課題の解決を目指して、2018年に開始をしております。右下にあるように、本年度予算は45億円となっております。
 右側の研究開発の対象技術領域について、次の16ページで拡大して御説明いたします。次のページをお願いします。
 本事業は、3つの技術領域と人材育成領域を定めています。各技術領域はフラッグシップ、基礎基盤課題で構成され、フラッグシッププロジェクトでは量子技術を活用した試作機の開発・実証を行い、企業への橋渡しを目指すとともに、基礎基盤研究ではフラッグシッププロジェクトと連携し、相補的かつ挑戦的な課題に取り組んでいます。
 具体的には、左上の量子情報処理領域で、国産量子コンピュータの実用化を目指していて、フラッグシップでは超伝導方式の量子コンピュータの実機の開発、基礎基盤では超伝導方式以外の方式の課題に取り組んでいます。
 右上、量子計測センシングでは、量子技術を使った高い感度を持つセンサの開発を目指しています。左下の次世代レーザーでは、量子力学を応用した高精度なレーザー加工の実現などを目指しています。右下の人材領域では、量子分野の研究者・技術者を増やすための教材の開発や提供などを行っています。
 次のページお願いします。本事業のロジックモデルです。
 アウトプット及びアウトカム指標を、それぞれ基礎研究、産学連携、人材育成の3つの柱に分けて構成しました。
 まず基礎研究、産学連携ですが、まず、本事業のアウトプットとして論文数を置いております。事業初期段階では、論文数が増えるに従い、外部からも注目される質の高い論文数や産学連携の増加が見込まれると考え、これを初期アウトカムと設定しております。また、事業終了時までに、本事業の研究成果を企業等に橋渡しできたかどうかを長期のアウトカムとしています。
 下の人材育成のアウトプットですが、開発した量子技術分野の教育プログラムの数としています。また、そのプログラムの大学等への普及を通じて受講者数も増えると考えましたので、教育プログラムを採用した大学の数を初期アウトカム、教育プログラムを受講した人数を長期のアウトカムとしています。
 本事業の目的を達成するための推進の体制について、次の18ページで御説明いたします。18ページをお願いします。
 まず、全体のマネジメントは、文科省に外部有識者から成るガバニングボードを置きまして、それが担っておりまして、大所高所からプログラムの運営の方向性を定めています。
 ガバニングボードの下には、4つの領域ごとにプログラムディレクターを任命して、それぞれの領域について実施方針の策定等、きめ細やかな進捗管理を行っていただいています。
 JSTは右側、調査分析やウェブサイトの運営、シンポジウム開催などの運営管理業務を行っています。
 各課題の進捗管理と評価について、次の19ページで御説明いたします。
 各課題の進捗管理を行うために、年2回の領域会議の開催と、研究室の訪問を行っています。また、5年目と8年目の冒頭には評価を実施しまして、目標の達成状況などを踏まえて、研究開発の継続や変更・中止についても評価を実施します。令和4年度の評価では、基礎基盤研究1件が、設定した目標の達成が不十分だったとして中止されました。
 次に、20ページをお願いします。冒頭にお示しいただいた論点を踏まえまして、世界の研究開発動向を踏まえて、本事業はどういう設計をしていて、どういう成果があったかについて御説明いたします。
 本事業は、一番上のところですけれども、量子技術に対する企業の参入の障壁を下げるために、基礎研究のみならず、量子コンピュータ等の試作機の開発や実証までを一貫して行うということです。
 2つ目は、将来の技術がまだ不透明で、企業単独による開発は難しいということですので、各技術領域に司令塔となる専門人材を配置して、大学や国研から企業等へのスムーズな技術移転を図っています。
 3つ目は、産学で量子の人材が必要であるということですので、量子技術を体系的に学習できるコンテンツ等を普及・展開するといった工夫をしております。
 スライドの下、これまで本事業の橋渡しの成果として、左下、民間企業と国研・大学の連携センターが立ち上がった事例ですとか、右下には大学発スタートアップの設立など、目標達成に向けてプラスとなる動きも出てきていることの御紹介です。
 最後の21ページは、本事業のこれまでの成果として、国産量子コンピュータの初号機を昨年3月に公開したということと、企業と大学が外部から利用可能となって、活用事例の創出を加速することを期待しているといったスライドでございます。
 御説明は以上です。よろしくお願いします。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、1ページ目の論点等説明シートを御覧いただければと思います。
 まず1点目としましては、量子コンピュータ開発が他国と比較して遅れているのか。遅れているのであれば、その主な要因は何で、その分析はどのように本事業の推進体制に生かされているのかという点。2点目は、世界の量子コンピュータの開発動向と比較して、本事業の成果はどのような関係にあるか。3点目、量子技術イノベーション創出に向けて、産学が連携した研究開発が実施されているかという点。4点目、量子未来産業創出戦略などの政府戦略を踏まえ、事業をより効果的に展開するための今後の方針とその在り方はどうか。5点目として、事業成果検証のための適切なアウトカム・アウトプットが設定されているかという点になります。
 それでは、外部有識者の皆様から御質問等をお願いいたします。
 河村委員、お願いします。
【河村委員】  御説明くださってありがとうございます。非常に重要な事業で、我が国としても本当に頑張らなきゃいけない、国としても促さなきゃいけない大事な分野であるというふうに認識いたしております。
 最初にお尋ねしておきたいんですけれども、どうも何かこの分野、ちょっとこの国、遅れちゃったんですかね。今日いろいろ、御説明されていませんけど、最後のほうに参考資料とかたくさん御用意くださっていて、その36ページのところを見ると、海外と国内のロードマップ比較というのが出てきますよね。
 それで、これで見る限り――私なんて本当にこの分野、文系の人間ですから素人ですけれども、見る限り、大分、理研さんにしろ富士通さんにしろ、海外より後れを取っちゃっているのかなというようなところがあるんですけれども、どうでしょう、この事業、2018年からやってくださっていて、今日御説明を伺っている限りでは、いろいろステージゲートの評価であるとか、それから文科省としてどうやってガバナンスを効かせてこの事業をやっていくのかといったところ、いろいろ工夫してやってくださっているような感じではあるんですが、それはこれからやろうとなさっていることで、実は2018年からそういうふうに走っていたわけではなかったのか、何かやはりこれまでのこの国の量子のところの技術開発の遅れの原因がどういうところにあったのかということと、そして本事業、既にもう5年とかやってきているわけですよね。どういう関係にあったのか、どういうところで取組が足りなくて、それ今、今日御説明くださった内容も含めてどういうところに生かそうとお考えなのか、ちょっとその辺りを御説明いただけるとありがたいです。
【説明者】  御指摘ありがとうございました。本事業ですけれども、委員のおっしゃるとおり、海外も精力的に量子のコンピュータについては開発を進めています。
 日本の状況としては、客観的に見ますと、まず、米中が50量子ビット以上の量子コンピュータの開発をしまして、我が国は3番目に実機の開発に到達したといったところで、先頭集団は走っていると、我々は考えています。先頭集団走る下支えになったのが、このQ-LEAP事業ではないかと考えております。
 まずそういうことですけれども、先頭集団と言いましたが、ゴールというのは、ちゃんと実用化が可能な、社会に実装できる量子コンピュータを実現するというのはまだ先が長くて、専門的な話は避けますけれども、量子のビット数というのを100万程度まで増やさないと、実用的には至らないんじゃないかという議論がございます。
 今、世界を見ますと……すみません、個社の名前は避けますが、海外では1,000量子ビットに到達している国もありますけれども、我が国の64というのは決して、100万という最終ゴールに向けて比較するとまだ先頭集団を走っていて、64と1,000を単純に比較すれば海外のほうが大きいですけれども、ここから先どうやって……。
【河村委員】  すみません、36ページの投影をお願いいたします。見てくださっている方が分かるように、36ページの投影をお願いします。すみません、お話を続けてください。すみません。
【説明者】  はい。思っております。はい。
 まず50量子ビット以上の実機を作って、それでどういう物理的なデータが取れるかというところを今、一生懸命、理研もやっておりますし、企業も参画して共同研究をしております。
 これから先、質の高い量子ビットを作って、さらにその数を増やしていくというところは、まだ世界的にどこの方式が有利かということは実証されておりませんので、それは各国とも手探りでやっている状況でございます。そして、それに向けて、我々文科省も国を挙げて、この理研の量子コンピュータの開発を後押ししていきたいと思っています。
 そして、私が先ほど説明した中で申し上げますと、資料の最後のページだったと思います……すみません、一個前ですね。20ページを用いて、先生の問題意識に応えようと試みています。世界の研究開発動向を踏まえて、Q-LEAPはどうやって事業設計をしたのかというスライドでございます。
 企業から見ると、まだ量子技術はどういうところに使えるか、実用化のユースケースと言っていますけども、実用の例がまだそれほどたくさんできてきているわけではありませんので、そういったところをまず下げなきゃいけないと思っていますので、研究所に基礎研究だけお願いするんじゃなくて、企業が実証可能な試作機までを、このQ-LEAP事業で作ろうというふうな取組をしています。
 企業と研究機関の間の橋渡しをするために、そういった専門的な人材も、このQ-LEAP事業では採用して、産学連携がスムーズに行くように立てつけを試みています。
 お答えになっているでしょうか。
【河村委員】  ありがとうございます。大体の状況は私たちにも分かったというか、3番手ですけれど、一応トップグループに入っているけど3番手ですので。100万ビットというのは、先ほどの36ページ見ると分かりますけど、やっぱりすごい差がついちゃっているのかなという感じで私たちには見えます。
 それで、今投影されているページのところで御説明くださいましたけど、いろいろやってくださっているということではあるとは思うんですが、遅れちゃった原因は何なんですかね。やっぱり産学連携がうまくいかなかったということですか。
 それとも、こういう話ってあれですかね、国で、例えば国研である理研さんとかでがんがん取り組んでいくような話なのか、それとも産学連携というのがやっぱりマストで、民間企業にも一緒に頑張っていただかなきゃいけないという話なのか、その辺はどういうふうにお考えになりますか。
【説明者】  御質問ありがとうございます。研究機関ももちろん頑張るんですけれども、我々は、この量子コンピュータといった量子技術の実装には、民間企業の参画が不可欠だと思っております。
 理研は研究機関ですので、量子コンピュータの中に使われる量子ビットの質を高めたりといった基礎研究は得意です。ただ、それが社会に出ていって皆様のお手元に届くためには、産業界が実用化して導入していただくことが必要ですし、量子コンピュータを作るという企業も現れてほしいということと、それを実際に導入する企業さんも出ていただきたいということで、我々はそういった産業団体との会話も、産業団体を立ち上げて、そういった会話も進めています。
【河村委員】  ありがとうございます。じゃあ、取りあえず今回、私はこれぐらいで。ほかの委員からもいろいろあると思いますので。ありがとうございます、御説明。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  ありがとうございます。すみません、今の議論、ちょっと確認なんですけど、そちらの説明だったら遅れていないという立場なのか。
【説明者】  たとえで申しますと、マラソンが42.195キロ走るというゴールがあるとすれば、量子コンピュータは100万量子ビットがゴールになるとすれば、まだ我々はマラソンでいうとスタート地点から競技場を出るか出ないの辺りだと思っています。競技場を出るときの先頭集団には入っていると思います。
 その先頭集団で見ると数メートルの差はついているかもしれませんが、全体の42.195キロの中で見ると、まだそれは挽回可能な差であると我々は考えています。
 ここから先、単純に64ビットと1,000ビットがそのままずっと並行で行くわけではなくて、どこかで技術のブレークスルーが必要で、64ビットですら、制御装置というものをたくさんつけないと、今、超伝導方式では実用化できませんが、それを100万に増やすためには、もっと配線ですとかそういった部分もちゃんと実装することが必要になってきますので、それは先ほどの御説明でも申し上げましたが、産業界の力も借りてやっていきたいというふうに考えているところです。
【堀川委員】  資料の確認なんですけど、今、ビットのページ数と、最後のページに世界各国の投資額、日本は単年度で368億、6年度で368億だけど、各国は複数年度で2,000億前後を出していたとして、複数だから、国的に見ると日本の投資額はそれほど遜色はないという判断でいいんですよね。
 ただ、ビットの話でいうと、国じゃないよね、競争相手は。ここで必要なのはきっと巨大企業体――固有名詞は避けられたので、結局そことの競争ということになるんですよね、ビットで言うとね。
 だから本来、そこの投資額はどのぐらいなんだろうなと思ってチェックしたら、何か、今の円に換算すると3,000億、みたいのが出てきたりするんだけど、そういうことでいいのかな。それに比べると見劣りするということになる。
【説明者】  ありがとうございます。我々国費の額が適当かどうかは、我々は財政当局と真摯に議論して毎年の予算を……。
【堀川委員】  いやいや、日本の話じゃなくて、競争相手の巨大企業体の投資額と比べると、国的には遜色ないけど、競争相手になりそうな大企業体にはちょっと劣るというふうに考えていいの?
【説明者】  他国の他企業の評価は差し控えますけれども、おっしゃるように額としては、事実関係として大きな額を投資しているというふうに考えています。
【堀川委員】  僕、基本的には、公務員をやっていたので、予算を増やせという議論は、河村先生と一緒で、するつもりは全くないので。どの事業も、限られた予算の中でどうやるというのが、逆に我々官僚の知恵だと思いますので、それを前提にちょっと話しますけど、事業の効果及び指標、さらにロジックモデルに関してなんですが、現在の指標が、実用化を目指した研究開発における一般的なもの。
 よく、こういう橋渡しということで言えば、トップ10%論文数というのをよく使うわけですけれども、指標設定があるものの、大きな予算をかけてですよ、これだけ手厚く、ほかの事業に比べてやって、皆さんが知恵を出して選んだ研究課題なら、トップ10%論文というのは難しいけど、当然出るのは当たり前じゃない?
 しかも、この事業で重要なことは、前回の会議でもありましたけれども、1番手にならなければ、2番手以降に甘んじると、特許料などの莫大な支出が日本に必要になってきてくるわけですよね。そうすると、やっぱり1番手になる戦略を、限られた予算の中で、各国的には見劣りないけど、大企業を相手にすると限られた予算でやっていかないといけない。
 その時に、たとえでまた申し訳ないんだけど、スポーツでいうと、ゴルフって優勝者しか皆さん記憶に残らないよね。でもオリンピックって、金メダルでなくても、銀でも銅でも記憶に残るよね。
 そうすると、私はほとんどゴルフやらないけど、最終ラウンドになったときに、2番手3番手4番手は、もう10番手に落ちてもいいぐらいのリスクを背負って1番手を狙っていくけど、やっぱりオリンピックだったら銅メダルに入ろうという、戦略が全く違うよね。
 そうすると、皆さんが今求められているのは、ゴルフの最終ラウンドで1位になる、リスクを背負ってでもそれを狙いに行くという立場だと思うんですよね。
 そうすると、そういう戦略に今、このロジックモデルを見て、なっているのかというのはちょっと疑問だよね。普通の一般的な指標設定をしていないので。
 先ほど、その狙いが見えるようにしないといけないし、することでEBPM上、それを狙うような事業をやってほしいということです。ただ形だけ作れというんじゃなくて。入れれば、形を作れば逆に魂が入るという。
 ここからは私の個人的な意見なんですけど、長くこうやって文科省の方々をレビューしていて、特にこういう大規模開発されている皆さんの話を聞いていると、一概に官僚ってリスクを取るのは苦手なんだけど、ただ、皆さんと話していると、案外皆さんってリスクを取るのに慣れているというか、取りに行くようなタイプの方がそろっているような気がしているので、そこは期待を込めて、どんどん進めてほしいな。これは個人的な印象です。
 だから、総花的な戦略はちょっと考えてよねということですよね。これ、何か意見ある?
【説明者】  ありがとうございます。まず、厳しくも励ましの言葉をいただいたと思っております。我々もリスクを取って頑張っていきたいと思います。
 そして、ロジックモデルが不完全ではないかという御指摘があったかと思いますが、もともと、すみません、この事業レビューのプロセスを通じまして、我々がかつてお示ししていたアウトカムは論文数の指標だったんですが、中でも一度議論をし直しまして、きちんとこれは産業界まで成果を橋渡ししていきたいというふうに考えました。
 委員のさっきのゴルフの例でいうと、18ラウンド目というのはリスクを取る、それはそうだなと思って伺っていましたが、まだ量子コンピュータが18ラウンド目に来ているかというと、そこまでは到達していないんじゃないか。先ほどのマラソンの例で――また違うスポーツですけど、マラソンの例でいうと、まだ競技場を出るか出ないかのところですので、1ラウンド、2ラウンド目かなというふうに思っていますので、まだ最終ラウンドではないと思っていますが、いずれにしろリスクを取るという意味でいうと、研究機関ができるところまではちゃんと研究機関がやると。それは、ただ論文を書いたりすることだけではなくて、ちゃんと研究機関から産業界に渡せるような成果を生み出すところまで、ちゃんとこの10年でやってくださいということを、改めてこの長期アウトカムに書かせてもらいました。
 その長期アウトカムの橋渡しというのが、人によって定義が違うかもしれませんが、我々は文科省事業の中でかなり厳しい――具体的には19ページの下に書いているんですけれども、橋渡しはどういうことかという定義を今回し直しまして、これは、本事業によって研究開発された技術を、企業が実用化を前提に移転する契約を締結するといったところ。また、個別の製品開発に応用する研究開発段階に移行する共同研究契約を提携するといった、企業主導の開発まで移すという状態を「橋渡し」と呼ぶことにして、これを事業終了時に求めていこうと考えています。
 Q-LEAP事業は、我々がまず予算を投じているのが研究機関ですので、企業の活動まで直接指示はできないんですけれども、研究機関にはかなり厳しい目標を今回改めて示して、これから我々もプログラムディレクターと一緒に、領域会議ですとか研究室訪問の機会がありますので、文科省からも今回の機会をいただいたので、そういった御指摘があったということをきちんと伝えていきたいと思っています。
【堀川委員】  私もステージゲートの制度を聞いたとき、生き残りをかけて研究開発を進めていくという、すばらしいシステムだなと。セクションによってはステージゲートを設けるのは大変だからという意見もある中、皆さんしっかり入れておられるというように評価するんだけど、例えば巨大海外企業というのは我々日本の予算を上回る額を投資しているという情報の中で、さらにテーマ自体も、お金をいっぱい投資しているにもかかわらず絞っていこうとする意識があって、結果的に彼らは、その分野で1位を目指すというのを明確に示すことで投資家を募っているんだよね。
 そうすると、ステージゲートの開発課題ごとに、複数あるけれども、いっそのこと課題自体もステージゲートをかけるぐらいの意気込みでないと、もうこの分野では1位は取れないというイメージだったら、その分野への橋渡しは幾ら出ようが1位を取らないといけなくなる。そういうぐらいのリスクをやっぱり取ってほしいというのが私の本意です。
 最後に、先ほど言いました巨大企業を上回る――仮に、情報どおり巨大企業に勝たないといけないのであれば、やはり資金調達というのは、国からはもう限定されているわけだから、民間から産学官連携を強めて――当然されているのは分かっていますけど、参入障壁を下げて、本当にそこを真剣に投資を受け入れる仕組みを作っていかないと、巨大企業には勝てないだろうなということで、以上、私の意見です。何か御意見あれば。
【説明者】  御指摘ありがとうございました。おっしゃることはよく我々も受け止めました。
 我々ができることは、まずQ-LEAPをきちんとやっていって、委員が御指摘のあったように、場合によってはテーマごと見直すということもあり得るかもしれません。それは、先ほど御説明したガバニングボードの先生方が、大所高所、世界の研究動向を見据えて御判断いただくんですけども、我々文科省もそこの議論に加わっていきたいと思っています。
 そして、民間の巻き込みですけども、これはQ-LEAP事業だけではありませんが、我々内閣府、経産省、総務省といった量子関係の関係府省と、週に必ず一度以上、1時間以上は必ず議論をする場を設けていますので、そういった内閣府の会議体をこれから、もともと存在している量子技術イノベーション会議という会議があるんですけども、これでこの夏秋に、そういった産業のエコシステムについても議論を進めていこうと、昨日ちょうど内閣府と話し合ったところですし、そういったことは政府の戦略とか推進方策といったところに、この3年間、年に一度出しているところにきちんと書き込んでいきますので、これを産業界の皆様にもPRをして、こういうふうに進めていこう、官民で一緒にやっていこうといった活動をしています。
【堀川委員】  ありがとうございました。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、中空委員と川澤委員、お願いします。
 まず中空委員、お願いします。
【中空委員】  御説明ありがとうございました。私は、財政再建はしなきゃいけないと思いますけど、重要なものにはお金を使うべきだというふうに思っているので、こういった競争力に資するようなものというのはお金を使うべきだと思っているんです。そういう観点で行くと、45億円というのはいささか少ないんじゃないかというふうに、まず思います。
 加えて、10年間というタームがいささか長過ぎないかというふうに思います。堀川委員もおっしゃっていましたけど、勝つには先駆けなきゃいけないと思うのに、何か漫然と45億円を――その45億円だって決して無駄にはできない金額だと思うんですけど、それを10年間置いたところで、何ができるんだろうという感じがしてしまいます。
 そういう、勝ってほしい、年限ももっと短く、どかっとお金を入れたらいいのにという気持ちがあるので、そういう意味でアウトカムを見ると、ちょっとアウトカム、ピンぼけかなという気がするんです。
 例えば、橋渡しするという件数とか言われても、本当に欲しいのは競争力で、言うなれば実質GDPが上がることに貢献するというところまで行ってほしいのに、橋渡し件数とか人材の拡大とか言われても、何かすごいピンぼけちゃうんじゃないかというふうに思います。
 なので、競争力を磨きたいということでいうのだったら、金額も年限ももっと求めていいと思うし、でもその代わり、そうなるときには、今のままのアウトカムではちょっと違うというふうに思いました。
 その割には、競争力だからもっとお金を使いましょうよと言った後で、違うことをいきなり言うんですけど、もし私がこういう量子力学とかを研究している研究者だったら、幾つ今、お金をもらえる場所、予算ってあるんでしょうか。
 これは質問で、これも一つ、さっき総務省とか含め、いろんなところと話をしているということは、それぞれにプログラムがあるのではないかと思うと、結局国が出しているんだけど、どこの省の何のプログラムで、結局計幾らもらえるかという話をやるだけだったら、やっぱり、もうむしろ量子技術イノベーション会議でどかっとお金をつけるというスキームを考えたほうが、申請する側にも面倒がないんじゃないかとも思うし、たくさんのプログラムがあって、一個一個KPIを見て、リダンダンシーがないかというのを考えなきゃいけないということ自体がおかしい気がするんです。
 なので、量子技術をやっている人たちが申請できる、今の段階のお金、プログラムというのは、どこに散在していて、どれをやれば一番、本当の技術に、あるいは本当に日本の競争力に資するものになるかということを少し考えないと、これだけを見て、いいですね、悪いですねというのだと、ちょっともったいない気がしました。
 なので、もし私が大学の研究者だったら幾つのプログラムに申し込めるんですかという、そういう素朴なところから、少しひもといて答えていただけるとうれしいなと思います。
 以上です。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。まず、2つあった御質問の後者のほうですけれども、確かに委員のおっしゃるとおり、量子のプログラムが我々の今御説明したQ-LEAP以外にもあるのではないかといった御指摘だと思います。
 それが、量子というのはかなり幅が広くて、今から100年前にできた理論ですので、それを理論から研究していくといったところも当然研究者の皆様はしたいという動機はあるでしょうし、このQ-LEAPが目指しているような、社会実装もやるんだという野心的なプログラムもございます。
 省庁別で申しますと、総務省さんと文科省はまず分野を分けていまして、量子でも先ほど御説明したコンピュータとセンサ、レーザーといったところは文科省で、このQ-LEAP事業でやっております。
 総務省さんは通信を所管していますので、量子通信といった暗号通信が使えるんですけども、その量子暗号、量子通信といったところを総務省さんがやっております。
 そして、経産省さんは何をしているかということ、他省庁の話をするのは恐縮ですけども、経産省さんは実用化をさらに進めるといったところで、今、経産省さんと我々で話しているのは、我々はまず量子コンピュータの実機を作るといったところをこのQ-LEAPで目指していますが、実は量子コンピュータを分解していくと、もちろん組み上げるのはかなり難しいハードルがあるんですが、それぞれの部品、部素材といったところで、日本の中小企業さんの知見というか、そういった成果があるところはかなり多いですので、もし――我々はもちろん日本製を最後まで押していきたいんですけども、仮にほかの国の量子コンピュータを作るとしても、そういった日本の中小企業が持っている技術が海外の量子コンピュータにも入っていけるといった意味で、経産省さんは部素材といったところをきちんとやっていこうとしていますので、これから経産省さんはそういった政策を立てるというふうに聞いています。
 そういったすみ分けを、我々、週に一度以上は必ずしていますし、それが現場に分かりにくいんじゃないかという御指摘であればそれはおっしゃるとおりですので、我々、内閣府の会議体とも相談しながら、内閣府の会議体で、国のどういう事業があるかといったところですとか、どういった国と付き合いがあるかといった情報はちゃんと出していこうと思いますので、会議の場でもそうですし、ホームページを充実させて、そういった情報をちゃんと発信していきたいと思っています。
 もう1つの、予算が小さ過ぎないかというところですが、おっしゃるとおりかもしれません。ただ、我々も毎年必要な予算はきちんと要求していきたいですし、そのためには成果を出していかなきゃいけないと思っています。
 この分野が面白いところといいますか、量子ですので、予算の差も影響するかもしれませんが、研究者の自由な発想によって、もしかしたらブレークスルーが起きるかもしれないというところです。
 なので、そういったところを狙った事業というのも、Q-LEAPもそうですけれども、科研費ですとかそういったほかの事業で、自由な発想で豊穣な量子のアイデアを集めるといったことも、文科省では別途やっております。
 最後、KPIがぼやけているんじゃないかという御指摘だったのですが、我々も最初、長期アウトカムを、量子による日本のGDP増大といったことも考えたんですけども、ちょっと中で議論して、それはアウトカムの1個先のインパクトですか、インパクトといった指標が別途この欄外にあって、そこに盛り込まれるべきことじゃないかと。アウトカムは、この事業でどこまで目指すかといった、この10年間の終了時点で目指すべきところを書いたほうがいいということだったので、今回はそういうふうに書きましたが、我々の気持ちとしては、量子によって国富というか、GDPを増やしたいというのは常に思っています。
【中空委員】  ありがとうございます。ついでに、この研究って、全部プログラムとして足し上げるとどれぐらいの金額なんですか、日本で。ほかの省庁のを足し合わせていくと。
【説明者】  今、令和6年度予算は40ページにございますが、日本の量子関係予算は368億円というふうに。
【中空委員】  368億円。それはじゃあ、結構十分だということなんですよね。
【説明者】  必要な額は頂いていると思っています。
【中空委員】  なるほど。その368億円に、先ほど出ている、企業は自分で払うか払わないかは別で、これは国の予算で368億円出ているということですよね。
【説明者】  はい、そうです。
【中空委員】  だったら競争力は出るような気がするんですけど。
 あとはリダンダンシーをどうするか、できれば1つのプロジェクトにあって、きみはこれだねと分けたほうが、私はスムーズだし効率的だなというふうには思いました。
 でも、今の御説明で納得できました。ありがとうございます。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  御説明どうもありがとうございました。17ページのロジックモデルについて、産学連携の観点から見直しをしてくださって、今までのお話も聞いて、このQ-LEAP事業が社会実装を目指していると。そこに焦点を当てた事業であるということで、このロジックモデル、個人的には納得をいたしましたが、一方で、この基礎研究のアウトプットで論文掲載数というのが出ていて、社会実装で長期アウトカムのところで橋渡しというふうになっています。
 研究者としては当然、論文ということで自分たちの成果を発信していくわけですけども、企業としてはある意味、論文として掲載しないで、知的財産の形で共同研究の成果を保有するということを狙っている可能性もあると思うんです。そこは当然、技術分野によって、その情報であればあんまり論文にしないと。そこは価値になるとか、いろんな技術分野によって違いはあると思うんですが、このQ-LEAPに関しては、論文として初期の段階で掲載することを増加するという基礎研究の研究者としての成果の発現と、企業の橋渡しを実現するというところが両立すると考えてよろしいのでしょうか。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。大変重要な御指摘だと思っておりまして、論文のほかに知財といったことも、当然、我々は重視していかなければなりません。
 ただ、知財をどこまでオープンにできるかといったところが今回難しいと思ったので、知財をここに載せるという議論も最初したんですけれども、皆様にお示しするようなところには知財を載せるべきではないのではないかと、企業の方ともお話ししたりしまして、ここでは落としていますが、当然、Q-LEAP事業は知財を獲得して、論文もそうですし、どこを論文としてオープンにして、どこをクローズで知財にするかというところは非常に重要ですので、そういったところは文科省もそうですし、各フラッグシッププログラムに置いた専門の人材、知財にも明るい人材を置いておりますので、あとJSTさんも協力してくれていますので、そういったところと知財については議論をして、オープンにできるところはオープンにし、クローズにするところはクローズにしといったところを進めていきたいというふうに考えています。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
 20ページで、事業設計とこれまでの成果で、今のお話にも関連するんですけど、そういった知財の戦略ですとか論文にどういった内容を掲載してインセンティブを高めるか、そこの辺りのハンドリングというか、そこがまさに2つ目のポツであるような、企画立案ですとか調整ですとか、そういったところを恐らくプログラムディレクターの方が担われているんだろうと思うのですが、その辺りの、大変難しくて重要な役割だというふうに思うんですが、今現状として、このプログラムディレクターの方々のお取組の中での課題というんでしょうか、事業の中での課題とか、もしくはその成果みたいなもの、その辺りはどのようにお考えでしょう。
【説明者】  ありがとうございます。プログラムディレクターには、大変精力的に各領域へのきめ細かいアドバイスをいただいております。具体的には年2回、各技術領域ごとに領域会議というのを開催しております。フラッグシッププロジェクトの研究者もそこに当然来ますし、基礎基盤課題の研究者も当然集まりまして、一堂に会した上で進捗を報告します。それをPDが聞いて、アドバイザリーの方々も入っていただいて、こういった展開をしたらいいんじゃないかというアドバイスをまずいただきます。
 最後といいますか、5年目と8年目にはステージゲート評価がありますので、そこではプログラムディレクターが、研究代表者からこれまでの成果を聞いて厳正な評価を行います。最後、プログラムディレクターの方々にはガバニングボードにその評価の結果を御説明するといった役目が与えられますので、そこで甘い評価をしては最後に説明できないので、きちんとそれは厳正にしていると我々は思っております。
 その評価をするには、単に30分ぐらいのヒアリング、本番をしただけでは当然できませんので、先ほど申しましたように領域会議を年2回するとか、研究室訪問を随時、これもコロナが明けたからできるようになったんですけども、昨年もかなり年度末にかけて精力的に全国を回っていただきましたので、PDの皆様方には我々も大変感謝をしているところです。
 先ほど委員がおっしゃった、成果の知財への移転の話ですけども、PDは基本的にアカデミアの方になっていただいていますので、そういったところはPDももちろん助言いただくんですけども、アドバイザリーですとかJSTの知財を専門している部門ですとか、各フラッグシッププロジェクトに置いたURAといった知財を専門にやっている人材の方々からアドバイスをもらって進めていますし、これ、最後は文科省の事業ですので、我々も最後、その議論に加わるといったふうにしたいと思っています。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。PDの方がかなりハンドリングをしながら、いろいろな形でアドバイザリーボードですとかJSTとかを活用されて、これまでも取り組んでいらっしゃると思いました。理解いたしました。
 21ページのところで、当面は、既存の共同研究先やコンソーシアムに参画するユーザーに限定して公開するという記載がございました。一方で、今後は幅広いユーザーを公募というところで、それがユースケース創出の加速に期待というところにつながってくるんだと思うんです。
 この段階になったときも非常に重要だというふうに思っていまして、その辺りは、このロジックモデルの中のどの段階――この「橋渡し」というようなところに、こういった状況も含まれてくるというような、そういうイメージでしょうか。それとも、この中期アウトカムの辺りをイメージしている形でしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。今、委員がおっしゃった産学連携の部分ですけれども、まず、17ページでお示ししたロジックモデルでは、産学連携の部分は初期アウトカムで、単にここでは産学連携の件数というふうにしておりますが、下のKPIをもう少し御覧いただきますと、左下のKPIの丸4番ですけども、本事業の開始後に締結した共同研究契約の件数を見ていきたいと思っています。
 これ、企業名は明かせないところもあるので、ここでは述べませんけれども、各領域ともコンソーシアムを立ち上げるといった動きが出てきておりまして、もちろんコンソーシアムに限らず、もっと深い共同研究をしているところもありますし、まずコンソーシアムでオープンに議論をしようといった領域もございます。それは領域ごとの特性に応じて進められていると思っておりますし、実際に100社以上が参画するコンソーシアムもございますし、どこの分野とは言いませんが、研究機関と大企業が1対1で連携センターというのを立ち上げて、知財のことも含めて共同研究を進めているような領域もございます。
 中期アウトカムになると、それがきちんと、産学連携の成果が最後、試作機の開発まで見込まれるかといったところで、中期アウトカムとしてステージゲートの評価の結果を、全てのフラッグシッププロジェクトにA以上を取って通過することを求めていきたいと思っています。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。初期から中期、この辺りでユースケースの創出だったりも含まれてくるんだということも思いましたので、ある意味、共同研究の契約件数に限らず、そういったところも成果として示して、把握していくことが重要ではないかなと思いました。ありがとうございます。
 私のほうからは以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 重要な論点の議論が続いておりますけども、コメントの記入もぜひお進めいただきまして、記入を済ませていただいた委員の皆様には御提出をお願いできればと思います。
 御記入あるいはまとめにもう少し時間がかかるかと思いますので、その時間、もし、さらに御質問等ございましたらお願いできればと思います。
【中空委員】  1ついいですか。すみません。質問なんですけど、産学連携をするときに、皆さんは具体的に何をするんですか。
【説明者】  この前、私も研究現場に行って聞いてまいりましたが、産学連携の在り方というのは多様でございます。企業が、どんなものだろうといった興味・関心で来るような場合もあるでしょうし、企業が本当にこれを事業化したいということで、ほかの社には知財を渡してほしくないといった深いものまであると思います。
 まず、このQ-LEAPで、アカデミア側が論文もちゃんと書けるし、企業側も知財を持てるだろうかといった話合いをして、文科省も含めて議論した結果、あるケースでは、結局連携センターということになるんですけども、企業と研究機関が共同で連携研究センターというのを立ち上げて、場所は研究機関、大学に置きまして、企業がそこに人をちゃんと出向というか置いて、まず研究機関で成果をつくるんですけども、それを次にその連携センターに渡して、そこでよりコストを下げられないかとか、もっと大型化できないかといったところを、企業側の意見も取り入れて連携センターでやって、最後にそれを事業部といった本社のほうに渡していくといったものが有効じゃないかといったことでございましたので、連携センターをつくっている例が数件あると。
【中空委員】  今のだったら、私がもし学者だったら結構嫌ですけどね。自分の知財が取られちゃう気がして。なので、そういうのを考えると、何のためにどうするべきなのかなと。
 だから、連携センターが誰のためにやっているかということで多分違うんだと思うんです。学者の知財を維持してあげようという気持ちでやるのと、それから、日本で得た技術は全部日本で、どこかで吸収して実用化したいと思う気持ちと、結構違ってくると思うんです。
 なので、その役割をお聞きしたんですけど、結局、両者がその連携センターというところに持っていくということを決断しなければ、話はまとまらないということですか。
【説明者】  まとまるケースもあるかもしれませんが、連携センターをつくることが一つ有効じゃないかというのが、そのケースでは言われていまして、委員がおっしゃったような、大学側が全ての研究成果を企業に渡すといったことではなくて、大学が持っておきたい研究成果は大学に残すといった仕組みを取り入れると聞いています。
【中空委員】  じゃあ、もっと高く買ってくれる、たとえばアメリカの企業が高く買ってくれるなら、そっちに持っていこうと考えるのが普通ですよね。なので、皆さんの役割というのはどうなるのかなって、ちょっと疑問だったんです。
 だけどアウトカムが、提携した、結びつけた件数だったじゃないですか。ということは、結構難しいことをやるのに、今言った、私がちょっと考えるだけでたくさんの疑問が生じちゃうんですけど、どうやってうまくその件数を達成するのかなとか、素朴な疑問としてはあります。
【説明者】  我々が今設定しているアウトカムでは、各フラッグシッププロジェクトがそれぞれ1件以上は企業に橋渡しをするということで、書いておりませんが、国内の企業に橋渡しをすることを我々は想定しておりました。
【中空委員】  やり方は? やり方はどうするんですか。
【説明者】  やり方はですね、繰り返しになってしまうかもしれませんけれども、最後は――最後というか、各領域のプログラムディレクターが……。
【中空委員】  それはディレクターがうまくやってくれるということなんですね。
【説明者】  そこはそういうふうに。はい。
【中空委員】  そうしたら、超大変ですね。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  今のお話、すごく興味深くお伺いして、確かに、研究者の側の研究のインセンティブというか、知財も含めて研究者側にもきちんと、例えばそれが特許なのか商標なのかあれですけども、その権利が帰属して、収入が増えて、それが次の研究に研究費として循環していくということも非常に重要だというふうに思いますので、確かにそういった、これは橋渡しをメインにはしているんですけれども、その橋渡しがさらに高度化していくためには研究の高度化も必要なわけで、そこの辺りのバランスを、まさにこのプログラムディレクターの方が担ってやられているんだとは思うんですが、そういった、論文件数がこの事業で増えたということじゃなくて、知財の在り方とかその辺りも、少しアウトカムのところで表現していってもいいのかなというのは思いました。ありがとうございます。
【説明者】  ありがとうございます。知財の取扱い、どこまで書けるかといったことは、検討していきたいと思います。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
【中空委員】  時間が余っているんですか。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  お願いします。
【中空委員】  じゃあ1個だけ。今走っているプログラムというか、どれぐらいあるんですか。何件ぐらいの関わりを持っているんですか。文科省として。この大学とこの大学、この研究室とこの研究室みたいな。
【説明者】  Q-LEAP事業で関わっている大学等の数ですか。
【中空委員】  等というか、具体的にどれぐらいのプロジェクトを持っているものなんですか。
【説明者】  我々の室では、このQ-LEAP事業を唯一の事業として持っています。そのQ-LEAP事業の中で、3つの技術領域を先ほど御説明したように定めて、その技術領域の中でフラッグシップ課題を2つずつ取っており、その下にはたくさんの基礎基盤課題が……。
【中空委員】  つまり、全部で何個ぐらいやっているんですか。大学の、何とか研究室等、いっぱい関わっているわけですよね。
【説明者】  研究室の数……。
【説明者】  研究室の数は、今、プロジェクトだと24件を。
【中空委員】  20ちょっと。単純にいうと、45を20で割っていいということですか。
【説明者】  単純に割るとそうなりますが、中では濃淡が。
【中空委員】  差があるということですね。分かりました。ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。もう少し、まとめに時間が。
 どうぞ、川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  ありがとうございます。お話の中で、人材育成プログラムについて話がなかったので少しお伺いしたいんですが、この技術領域をより高度化していくためには、両輪としての人材育成プログラムというのが非常に重要だと思うんですが、今、博士課程に進学する方たちが減っているであるとか、いろんな形で専門人材をどう育成していくかというのはどの技術領域でも課題になっているんだと思うんです。
 で、特にこの分野では、世界各国で競争が激しいとなると、いわゆる高度人材というのはいろんな国でも非常にニーズが高いわけで、この人材育成プログラムというのを国内で作って、国内外の優秀な方たちにこのプログラムを受けてもらって、それが国内にどう定着していっていただけるかというところも重要だと思うのですが、その辺りは、このプログラムでどういった形で考えられているのでしょう。
【説明者】  ありがとうございます。人材は大変重要でございまして、Q-LEAP事業でも人材領域といったことを定めて、基盤的にそれを育成しようというふうに考えております。
 今の御質問ですと、国内にどうやって定着させていくかということで、量子技術は大変、先端の分野では変化が激しいですので、そういったところもキャッチアップしながら、各大学等でどういったカリキュラムをつくれば、学生が体系的に学べるかということだと思います。
 なので、この人材育成プログラムでは、学部生から修士2年生まで学べるようなカリキュラムを開発いたします。それを、まずは5機関で大学の授業等に活用することを始めておりまして、最終的には全国の大学、各地域1つと考えて10機関までは増やしていきたいというふうに、人材育成プログラムでは考えております。そこで学生さんの受講数が増えていくといったことを狙っております。
 委員がおっしゃった高度人材というのは2つあると思います。1つは研究が高度にできる方々、もう1つは産業界で技術者といいますか、全体をシステムインテグレートできるような方々が必要だと思っています。
 なので、こういったQ-LEAPの取組でそのカリキュラムを作るのですが、Q-LEAP関係の事業で、産業界にどういった道筋があるかといった、ジョブフェスタといった取組もしていまして、大学発のスタートアップ企業ですとか、量子の企業をそこにお招きして、こういう道筋もあるということを、学生の皆さんに就職先としてお示しするような場も設けております。
【川澤委員】  ありがとうございます。今、スタートアップというお話があったのですが、この分野、スタートアップと大企業、いろんな形で関わっていただくことが期待される分野と、なかなかスタートアップの参加が難しい分野ってあると思うんです。
 この分野は、いろいろな規模の企業が関わって、技術がかなり促進されるという分野であると理解しますと、やはり、スタートアップ向けの支援策、今、別に分野に限らずいろんな形で取り組まれていますが、この事業もそういった形で、かなり参画が積極的に行われているような、支援策であるとか実際の実績というのはどのような形なのでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。Q-LEAP事業でスタートアップ支援に直接の予算を出しているわけではないのですけれども、Q-LEAPの成果としては、20ページの右下にありますが、大阪大学発の量子ベンチャー、量子スタートアップというのが2件立ち上がっていまして、ここではそのうちの1件である制御装置のスタートアップ企業の例をお示ししております。
 これが大阪大学の研究室の中から生まれた成果で、量子コンピュータの中にあるチップを、外からマイクロ波を当てて制御するんですけども、その制御装置といったものは実は量子コンピュータ本体と同じぐらいかそれ以上の大きさですとか重要性を持っておりますので、この制御装置といったところをどうやって高度化して、どうやって安く作っていくかといったところが必要になってきます。これのスタートアップ企業を立ち上げた方がおりまして、その社長、CEOの方ともこの前お話ししてまいりましたけれども、こういった成果のスピンアウトも出てきております。
 もう1つの大阪大学発のベンチャーとしては、量子のソフトウエアを作る会社で、量子は化学反応といったところに、これまでのコンピュータですと近似をして計算するので、正確な値が出ないこともあるんですけれども、量子は正確に化学の分子とか原子の形を再現できますので、量子コンピュータによって化学計算がより正確にできるだろうということが期待されていますので、そういった量子のソフトウエアを開発するような大阪大学発のベンチャーも生まれてきています。
【川澤委員】  ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、取りまとめコメント、堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  ありがとうございます。本件事業は、世界における量子技術分野で成果を出すことを目指していますが、各委員の意見を総合すると、幾つか重要な課題が浮き彫りになります。
 そこで取りまとめコメントですが、そもそも、やはり競争力はアップすべきだという方向での御意見が数多く出されたと認識しております。
 具体的には、まず事業の設計、立てつけという意味でいうと、グループトップにいるという説明はあるが、本当にそうなら日本の競争力に資するものになることが必要だろう、期待すると。これは後の指標にも関わってきますけれども、やっぱり日本全体に寄与するということですから、そういう期待をしたい。
 そして、さらに量子力学に関するプロジェクトが、このQ-LEAPに限らず様々にあるということになると、うまく連携しないと無駄になるんじゃないのと。さらに言うと、研究する側の人間からすると、研究者からすると、過去のレビューでもありましたけれども、それごとに申請書を出すだけで、毎日それに明け暮れているという状況になりかねないので、そこは事業設計自体に工夫の余地があるだろうと。
 次に効果という面でいうと、事業の効果及び指標、またはロジックモデルという視点から見ると、成果を出さないといけないんだけれども――私も興味深い御意見だなと思ったのですが、時間という軸で見たときに、同じ金を入れるのに、結局勝たないといけない。確かに時間との競争になるんだろうなと。そういう視点でのEBPMの設定があるでしょうと。
 先ほどの立てつけなんですけど、日本全体に寄与するという意味では、やはり日本の実質的なGDP成長率に寄与するという視点もあっていいのではないか。結局、大きな立てつけを見ることで、ある意味Q-LEAPに限定されず、本当に量子全体で考えていかないといけないんだなというのが見えてきました。
 さらに、産学連携というところも御意見が幾つかある中で、やはり重要なのはユースケースの創出件数ではないのかという点ですね。
 それと、KPIについて、やはりもうちょっと工夫する点があるでしょうと。KPI-5の大学教育面ではさらに深掘りして、大学数ではなく教育プログラムを実行した、ないしは本分野で学位を取得した学生とすべきではないか。KPI-8は、5の中に取り込んだほうがいいでしょうと。
 KPI-7の目標件数、橋渡しレベルが全て大きな成果につながるわけではなく、その裾野を意味することに過ぎないため、5件よりももっと引き上げる方向で検討すべきだという、指標の設定の在り方についても御意見をいただいています。
 次に、事業の執行、進め方、今後の方針ということで様々御意見いただいていまして、量子コンピュータ開発においては、先頭3か国に入っているが遅れているとの説明で、そのとおりではないか。マラソンでいえばスタート競技場をまだ出ていないというたとえの説明があったが、既にトップ2の米中の背中は視野に入らなくなってきているのではないかとの懸念があると。
 その要因が、先ほどの産学連携での遅れということであれば、同じ規模の予算を投入するにも、もっとめり張りをつけるべきだと。さらに言うと、ステージゲート評価を厳格化し、橋渡しを再定義したとのことなので、今後は、本事業の効果の把握が一層厳格に行われ、事業継続の可否が一層厳格に判断されることを期待すると。
 なおかつ、こういう事業を発揮することで、世界のトップを走る米中両国の開発動向にキャッチアップすることもできるのではないか。やはり産学連携が不十分であったことが、ある意味後れを取っているのではないか。今後この点については、やはり改革が必要だと。
 予算投入規模は現状でも十分であるが、やはりめり張りをつけることは重要だと。具体的には、各プログラムを推進するプログラムディレクターが、基礎研究が得意な、国の研究機関の研究者に偏っていないか。もっと民間の研究者に活躍していただき、実装化に向けての知見を取り入れるべきだという具体的な提案もいただいております。
 以上、事業の質と効果を高めるために、これらの課題を克服し、戦略的な事業実施を目指していただきたいという意見にしたいのですが、いかがでしょう。
 大丈夫ですか。ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、これで2件目の取りまとめコメントとさせていただこうと思います。ありがとうございました。
 貴重な御議論をいただきまして、本当にありがとうございます。説明者の澤田室長もありがとうございました。
 それでは、本件についての議論を終了させていただきます。ありがとうございました。
( 休憩 )
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、議事に入らせていただきます。
 3番目の事業は「スポーツ産業の成長促進事業」です。初めに、事業担当部局より事業概要の説明をしていただきます。説明者は、5分以内に簡潔、明瞭に説明をお願いします。また、資料での説明はページを示した上でお願いします。
 それでは、御説明お願いします。
【説明者】  スポーツ庁でございます。スポーツ産業の成長促進事業について御説明させていただきます。
 概要資料、パワーポイントの1ページ目を御覧いただけますでしょうか。49ページですね、お願いします。
 この事業、大きく4つに分かれております。1つはスタジアム・アリーナ改革推進事業というものでございます。プロスポーツが発展していくためには、従来の体育館のような、そういったスポーツをするための施設から、見て楽しめるような、そういったアリーナ、またスタジアムというのをきちんと整備していくことが重要ということで考えております。そういったことがスポーツクラブの収益拡大につながり、また、プロスポーツだけではなくて、地域の発展にも資するということで進めている事業でございます。
 2つ目がスポーツホスピタリティ推進事業でございます。これは、スポーツクラブが収益を高めていくためには、より高級感のあるようなVIPルームやVIPラウンジとか、あるいはレストランとか、あるいはサービスで言えば選手との交流など、そういった付加価値の高いサービスを提供するということが欧米などでは行われているところでございますけれども、日本ではまだ普及していないということで、こういったスポーツホスピタリティの取組を進めていくために先進事例の調査などを行っている事業でございます。
 3番目が、スポーツ×テクノロジー活用推進事業でございます。昨今プロスポーツもデジタル化やデータの活用などが進んでいるところでございまして、ただスタジアム、アリーナに足を運んでプレーを見るというだけじゃなくて、映像配信とかデータの活用とか、いろんなそういったようなテクノロジーを活用してスポーツビジネスを変革していくための取組を推進する事業でございます。
 4つ目がスポーツオープンイノベーションプラットフォーム推進事業でございます。スポーツビジネスが発展していくためには、単なるスポーツクラブの取組だけではなく、いかに他産業が持っているようなリソースや知見を活用していくかということが重要であり、そういったスポーツと他業界との価値共創を促すための事業でございます。
 めくっていただきまして、スタジアム・アリーナ改革推進事業の取組について、もう少し御説明させていただきます。
 大きく事業は3つに分かれておりまして、1つはスタジアム・アリーナ改革選定事業。これは改革のモデルとなるような優良な事例となるスタジアム・アリーナを選定して、そういったものの評価ポイントなどを示していく事業でございます。
 2つ目が先進事例形成支援事業、これはスタジアム・アリーナの建設を考えている地域において、構想・計画段階をブラッシュアップして、官民連携協議会などを開催し、専門家がアドバイスなどを行いながら、より効果的なスタジアム・アリーナの構想計画を考えていただくための事業でございます。
 それから、調査事業ということで、日本のスタジアム・アリーナの欧米に比べて遅れているところなど、そういったようなところを内外の先進事例を参考にしたり、あるいは資金調達方法、あるいは地域に与える効果などを調査しながら、スタジアム・アリーナ改革の在り方について具体的に示していくための事業でございます。
 次のページをお願いいたします。スタジアム・アリーナ改革をどういう考え方で進めているかということでございますけれども、先ほど申し上げたように、従来のスポーツ施設というのは、ただ住民がスポーツをするための施設であると。あるいはアスリートなどがスポーツをするための施設であると、選手にとってはいいけれども、観客にとっては、お金を払って何度も足を運びたいというような環境になかなかなっていなかったということで、コストセンターであったスタジアム・アリーナをプロフィットセンターに変えるという考え方。しかも、このプロフィットセンターというのは、スポーツの試合だけでなく、地域全体で稼ぐというような考え方で進めているというところでございます。こういった取組を推進するために、上のほうにございますけれども、ただスポーツをするための施設であるという単機能型から多機能型にするとか、行政主導ではなく民間活力を導入するとか、郊外にある運動公園のようなところではなくて、町なかになるべく立地するとか、そういったような取組をしながら収益性を改善するといった考え方で進めております。
 次のページ御覧いただくと、スタジアム・アリーナ改革の目指すイメージを示したものでございます。スポーツ観戦だと、プロ野球であれば年間70試合ぐらい本拠地であれば使うことが可能なわけでございますけれども、サッカーやバスケットのホームグラウンドでも年間20試合ぐらいとかというのがその後ございます。1年365日有効活用していくためには、それ以外にもエンタメやビジネス、あるいは住民のスポーツ教室、健康づくりなどに使っていただくというようなことが重要であり、そういったことを進めていきながら、地域において年間を通じてにぎわいのあるまちづくりを実現していくという考え方で取り組んでおります。
 その他の事業については、詳細省かせていただきます。
 56ページに飛んでいただきまして、私どもスポーツ庁がスポーツの成長産業化に取り組んでいる背景といたしましては、スポーツ基本法に基づいて、スポーツ庁がスポーツ行政を総合的に推進するという観点から、様々な省庁と連携してスポーツ政策に取り組んでいるというところで、スポーツを地域社会の活性化に生かすとか、国民経済の発展に生かすといったような観点から、他省庁と連携しながら成長産業化に取り組んでいるところでございます。
 次のページ、スポーツ基本計画にも、スポーツの成長産業化というものが位置づけられております。具体的には、上の6番目にスポーツの成長産業化と書いてありますけど、考え方としては、スポーツ市場を拡大することで、その収益をスポーツ環境の改善に還元し、スポーツ参画人口の拡大につなげるということで、他の政策と相まってスポーツ振興に取り組んでいるというところで、この基本計画の下のほうにもございますけど、スポーツ市場規模の目標が掲げられているところでございます。
 最後にロジックモデル、60ページになりますけれども、スポーツの成長産業化の長期的な目標として市場規模15兆円というものもあるところでございますけれども、この事業に対して大き過ぎるのではないかという考え方もあり、長期アウトカムとしては、スポーツを核としたまちづくりによる地域経済の活性化と、スポーツ団体の規模拡大というところに置きながら、初期アウトカムとしては、それぞれの事業の効果をはかるのにふさわしいと考えられるような事業を置きつつ、初期アウトカム、中期アウトカム、長期アウトカムを設計しているところでございます。
 私からの説明は以上になります。ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、1ページ目の論点等説明シートにお戻りいただければと思います。論点1つ目は、これまでの事業成果を踏まえた今後の事業展開の在り方について、2点目は、事業成果検証のために適切なアウトカム、アウトプットは設定されているかというところが論点になります。
 それでは、外部有識者の皆様から御質問等をお願いいたします。
 河村委員、お願いします。
【河村委員】  御説明ありがとうございます。スポーツ庁おできになって、本当に力を入れてやっていただくこと、すごく大事だと思います。大部分の予算はやっぱりアマチュアのスポーツのほうに向けられているとお話伺っておりますし、数少ないプロスポーツも対象に含むような本事業についてということですが、正直やっぱり問題を感じるところがなくはないんですね。
 冒頭に4つ事業がありますというふうに御説明くださって、その中の、特に1番、あと3番なんですけども、3番について先に申し上げると、テクノロジーの活用とかというのは、国がどうのこうのということじゃなくて、もう民間でおできになるところはがんがんやっているし、そういう流れに世界的にもなっているしということで、あまり国が手を出すような分野でも逆にないんじゃないかなという気がいたします。これは意見です。
 それで、1番目のスタジアム・アリーナ改革推進事業もやはり、対象にプロ野球であるとか、そういうプロスポーツ団体の競技場を含むような構想で、考え方でということで御説明くださって、そういうふうにお見受けするんです。それを実際に、じゃあどうやっていくのかというときに、52ページのところで御説明くださいましたけども、1つの施設で、何か想定しているメインのスポーツだけじゃなくて、ほかのエンタメだとか、いろんなビジネスでも使えるようにというのが、国が税金投じてやるんだったら望ましい姿なんですけど、でも実際に、じゃあそのプロスポーツやっているような競技団体のところとかチームからすれば、それが望ましいかというと、どうもそうじゃないんじゃないかなというような気もしますし、やはりちょっとこの部分については、国が予算を結構投入してまで支援するようなことなのかなというような問題意識があります。それについてお考えをお伺いしたいと思います。
 その際、御参考までに申し上げたいのが、もう今回のレビューの参考にするのにちょうどいいような記事が今月、6月8日のジ・エコノミスト、ロンドン・エコノミストに出ていました。ボールパークエコノミクス、フィールド・オブ・ドリームスということで、アメリカのカンザスシティ・ロイヤルズの本拠地球場をどうするかということを地元自治体が非常に悩んでいると。政治家はやっぱりファンを自分の票につなげたいからということで、こういうところにお金を投じることをやりたいんだけれども、また雇用の創出であるとか、消費の拡大であるとか、それから地元意識の醸成ということで期待できるんじゃないかって、本当に今日の事業で御説明されていたのと同じようなことをアメリカでも考えていたんだけれども、50年たってやってみると、自治体の側からすれば、それだけ公共の、政府のお金を投じて、それだけの効果があったかというと、もうすごくそこは大分裏切られるような、かなりシャビーな効果しか出ていなかったということが、今回多分アメリカでの取組とかを参考にされているところあると思うんですが、そういう反省がはっきりアメリカでも出てきているということがあることを申し添えたいと思います。
 こういったことも踏まえて、本事業、特にやっぱりこの1番目の事業について、どういうふうにこれからやっていくおつもりなのか、これだけの予算規模を引き続き投入していらっしゃるのか、いくおつもりなのか、お考えをお聞かせいただけたらと思います。
【説明者】  貴重な御指摘ありがとうございます。スポーツ×テクノロジー活用推進事業につきましては、民間企業に任せればいいのではないかという御意見もあろうかと思います。一方で、日本のプロスポーツクラブというのは、競技力向上には一生懸命取り組んでいるところでございますけども、ビジネス変革になかなか目が向いていなかったり、取り組んでいなかったり、あるいはデジタル化が今後のスポーツビジネスをどう変えるのかということが、なかなか目が向いていないところもあります。そういった意味においては、私どもが、スポーツ競技団体と、スポーツビジネスのテクノロジー活用に関心があるような、そういった企業をつなぎながら成功事例をつくっていくことで、そういったスポーツビジネスの変革を横展開していく取組が重要なのではないかというふうに考えているところでございます。
 1番目のスタジアム・アリーナ改革推進事業につきましては、おっしゃる面もあるかと思いますけれども、先ほど申し上げたように、野球とかであれば試合数もかなり多いわけでございますけれども、サッカーやバスケといったようなスポーツとかだと、なかなか年間で、スポーツだけで稼ぐのは難しいといったような状況もあり、いろんなスポーツ以外の用途も含めて活用を促しながら、こういったスタジアム、アリーナの整備を進めていくところが重要と考えております。
 もちろん民間企業だけでできれば、それはそれでいいところでございますけれども、民間企業だけにしても、スポーツスタジアムやアリーナが整備されることによって、地域に大きな雇用、効果が及ぶという中においては、官民がきっちり連携しながら取り組んでいくことがその効果を高めることとして重要と考えており、こういったスタジアム・アリーナ改革につきましてもしっかりと、自治体主導だけではなく、官民が連携して、PFIとかコンセッションとかそういったような手法も活用しながら、なるべく民間の自立性や創意工夫を生かした取組を進めてもらいたいというふうに考えているところであり、また、こういったスタジアムやアリーナができることによる地域への経済効果とか、その他の社会的な効果などについても、私ども、なるべくそういったことを地方自治体が示していきながら、関係者が連携して、こういった取組を進めるように促しているところでございます。
 スポーツクラブやリーグなどにおきましても、自治体だけではなかなかこういったスタジアム・アリーナ改革というのを、単なるスポーツ施設と捉えてしまって、町全体で効果を図るといったようなこととか、なかなか多様な関係者を巻き込むことが難しいということであり、国においてもこういった取組を、好事例やガイドラインなど示しながら、地方自治体によりよく働きかけることが求められているところであります。
 以上であります。
【河村委員】  ありがとうございます。国の考えはそういう考え方ということで分かりましたけれども、先ほどアメリカの話をしましたけど、日本国内でもうまくいかなかった事例ってあると思うんですね、自治体が主導でやっていて。具体例で申し上げますけど、札幌ドームの例があると思います。日本ハム出ていっちゃった、どうするのということになっている、お金、本当に負債が残って大変だということになっていますよね。やっぱりそこら辺を何か期待先行でやってしまうということが、かなりリスクになって、結局は納税者の負担になってしまうということもありますので、そこはよくよくお考えになって、予算規模はもう本当に限定的にするとか、なるべく民間にお金を出してもらって、国が出すのはごく一部にとどめるとか、いろいろ工夫をしてやっていただければと思います。
 以上は意見ですので、これで結構です。すみません、ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  どうもありがとうございます。私も官僚をやっていて、長く国の事業をいろいろ見てきました。きっと皆さんの相当前から見てきていますけれども、スポーツを核とした地域活性化、このフレーズを、もう何十年前から見てきましたし、経済的価値のみならず社会的価値、これってお金と関係のない指標になるわけですけれども、そういう議論、アリーナに関わらず、もう非常に過去からありますよね。例えば、もう古いのでシーガイアって御存じないかもしれないけど、巨額の国費出されて、今はシェラトンとして、何とか生き延びていますけど、巨大なプールを造ったけど、それはみんな廃棄したんですよね。
 こういうことで、取りあえず長く見てきた人間ですから、一応くさびのようなことを言っておきますけれども、アリーナ建設など箱物と言われる施設の建設支援事業について様々な失敗が、本当に長い歴史で見ていただきたいんですけど、過去に繰り返されてきたと。だからこそ慎重な判断をしていきたい。特にこれまでの勉強会も、また今の説明ですけれども、成功前提に皆さん話されるんです。こんなにやったら、こんなに金を投資したら必ずこうなるんだと、ばら色なんだという、これも繰り返されている。特に、小さい投資ならいいですよ、今回スポーツ庁さんが先導して、きっと国交省とか各省庁巻き込んで巨額の投資を誘引する話だと理解していますけれども、こういう長年かかる事業については、結局公務員側というか、自治体も巻き込んで、自治体のトップも含めて、造るときはいいんだけど、駄目になったときって、もうみんな担当者いないので、失敗の責任が不明確に。これ、民間が投資するとなると、その会社が、実はシーガイアも民間だったと思うんですけど、潰れていると思うんですが、民間が責任は必ず取らされるんだけども、なぜか公務員がこういうことをやると、ほぼ取らされることがない。
 だから現在の長期アウトカム指標って、スポーツ団体の規模拡大、地域経済の活性化としているけれども、アリーナ数の増加と入場者数の増加と収入の増加というのが、ばら色を前提につながるように書いているんだけれども、本当につながるのかというところを、やっぱり一旦立ち止まって見直していただきたいんですよね。数年後か数十年後かもしれない方々が、何でこんな事業したんだって言われないように、そしてその失敗のリスク評価をEBPM上――これは僕、事前に言ったんですけど、もしかすると、これ、入れるところないのかもしれないですけど、非常に課題かもしれませんが、失敗のリスク評価というのをEBPM上入れてもいいんじゃないかなと。これはこちらの話ですけど、という意見なんですが、まずここまでで一言お願いいたします。
【説明者】  御指摘の面ももっともなところあると思います。一方で、日本のスポーツ施設というのは、このスタジアム・アリーナ改革を始める前は、それこそ本当に、する人の側に立ったスタジアムやアリーナというのが建設されてきたところで、これではなかなかプロスポーツも伸びないというような課題がございました。そういった中で、例えばJリーグの試合なんかも、そんなに来る人伸びていなかったり、バスケットボールなんかも始まったところでございますけれども、全国にいいアリーナができることによって、Bリーグの入場者数というのもかなり今大きく伸びているところであります。
 そういったような効果も出ている一方で、私ども、ただ観戦入場者数を増やすということだけでなくて、スポーツを見ることというのが地域住民の、また見ようとか、住民同士の一体感を高めるとか、そういったような効果、研究成果なんかもあるということで、こういったプロスポーツを見ること。また、スポーツで活躍している選手の姿を見ることによって、自分たちが、あるいは子供たちがスポーツをすることの普及にもつながるですとか、自分も頑張ろうというような活力がもたらされるとか、そういったようなスポーツ自体の持つ力というのを高めるといったようなことも考えているところでございます。
 一方で、成果がいろいろ出るのかというようなことにつきましては、各自治体でそれぞれ取り組んでいるところでございますけれども、きちんと何年間で採算を取るといったような計画なんかも出しているところでございまして、それぞれの地域でスタジアムやアリーナの建設を進めながら、またそれの成果検証なども行われていくところではあるかと思いますけれども、私どもも、ただ無謀な計画を推進したいわけではなく、それぞれの地域においてなるべく有効な計画となるように、自治体など関係者を支援しながら、事業をよりよく進めていただきたいと思って事業を行っているところでございます。
【堀川委員】  念のため言っておきますけれども、過去の事業も、必ず採算が取れるという計画書の下、全て実行されています。それも繰り返しになりますけど、社会的価値のような抽象的な価値も足してなるという点を、念のために言っておきます。
 次の話ですけど、もうまさに河村先生が今おっしゃっていただいて、私もさすがだなと思ったんですけど、結局今回、事前勉強会も含めて、海外の成功例、この前、バルサの話も出ていましたと思うんですけれども、大リーガーの話とか。やはり海外の成功例も、いいものしか見ていないんじゃないか、今、河村先生おっしゃったとおり、やっぱりそうじゃない、影の部分って必ずあるんですよね、日本にあるように。ただ、日本の調査機関にお願いしても、どちらかというと、私も経験ありますけど、発注側の皆さんの意思に合うような答えしか出してこない、足引っ張るようなデータは出してこないケースが多いんですよ。だから本当にニュートラルに、本当にそれ成功したのと、また優秀な調査機関に、本当の成功例って何なのというのを見ていくのも、ある意味リスクヘッジになると思うので、それはお願いしたいんですが、どうでしょうか。
【説明者】  御指摘のような、失敗するところというのも出てくるところはあるかもしれません。そういった御指摘もごもっともかと思います。一方で、アメリカのプロスポーツ産業というのは、そういった失敗事例もありながらも、日本と違って大きく全体としては成長しているというところでございます。その背景には、やはり観戦環境が日本より充実しているというようなところもあるかと思っており、そういった失敗事例なんかも起こさないようにといったことは気を配りながらも、スポーツ産業全体の成長を目指して取り組んでいくことというのは重要かなと考えております。
 そういった失敗するところもあるとは思いますけれども、スポーツクラブがきちんと稼ぎながら成長していくためには、いろいろ競技力の面とか、それぞれの各地域でのファンとのエンゲージメントを高める取組とか、いろんな要因もあるかと思いますので、そういったことも踏まえながら、このスタジアム・アリーナ改革だけにとどまらず、プロスポーツがいかに成長するかということを私どもしっかり考えて取り組んでいきたいなと思っております。
【堀川委員】  念のため言っておきますけど、失敗事例のみならず、成功したとされている事業も、しっかり裏の事情を把握してほしいという意見ですので、それはよろしくお願いします。
 最後に、今後スポーツ庁さんがスポーツ基本計画等にのっとってというか、スポーツ庁ができたことによることだと思うんですが、スポーツを通して、これまで各省庁がやっていた政策に関わっていくということですよね。基本計画にあるから関わるんだというような説明が大体多いんだけど、ほかの事業も、基本計画をつくっているのはきっと皆さんだと思うので、自ら自分で関わっていこうとする。その場合に、皆さんあんまり経験、これから新しい分野に入っていくわけだから、各省庁、やっぱり痛い目にいっぱい遭っているんですよ。それをしっかり押さえていかないといけないことを、繰り返しになりますけど、今後スポーツに関連する政策の司令塔として適切に機能するのであれば、その教訓をしっかり把握していただきたいというのが最後の意見です。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。次に、中空委員、それで川澤委員、お願いしたいと思います。
 中空委員、お願いします。
【中空委員】  ありがとうございます。
 御説明ありがとうございました。スポーツをフックに日本を元気にしようというコンセプトはよく分かりました。分かったんですが、私、ちょっと、どっちなのかなと決めかねるところがあって、つまりスポーツって、とてもよいことだと思うんですね。例えば、ほかの国、メジャーリーグにしたって何にしたって、巨額のお金が動くわけです。ああいうのもスポーツだし、市民がやるような、誰もスポンサーにならないようなスポーツもスポーツといえばスポーツで、御説明を聞いていると、前者のような説明も所々で入る割には、後者の話もあって、だから折衷案になっていて、それが分かりにくくなっちゃうんじゃないかと思っているんです。
 なので、ここでは1,000億円を1人がもらえるようなスポーツを推進しているわけではないと思うので、もう少し、例えば地方自治体がもっと活性化するとか、国民一人一人がもっと健康づくりにいそしめるような仕組みをつくるとか、そちらにフォーカスしたほうが、この事業として理解度が高まるんじゃないかなというふうに思ったんです。そこについて、つまり、すごくお金がもうかる憧れの世界というものと、それから、みんなが元気になって、みんなが参加しようということとのギャップのはざまを両方とも言っているので、ちょっと分かりにくくなっているのではないかと思ったんですね。なので、私はむしろ後者のほう、地方自治体を絡めてそこを強くしていこうということが大事なのではないかなというふうに思いました。これについて何か御意見があったら教えてくださいが1点目。
 2点目は、もしこれが正しい見方だとすると、例えば、今はやり始めたバスケットボールとかだって、地域との連携をもっと強くすると、国があまり介在する必要はないのではないかという気がしてしまいますが、どうでしょうかという点です。やっぱり、スポーツが盛り上がるというのもそうですが、その地域にアリーナがあることで人って呼べるんですよねということになると思うんです。バスケットボールの最初で、那覇にすごいたくさんの人が行ったというのを見ても、成功する事例であればそうなるということは分かっているわけですよね。なので、もっと地方自治体のほうにウエートを持っていっていいんじゃないかと思うんです。むしろ皆さんは、とてもじゃないけど人が集まらないんじゃないかと思うところにバックアップしてあげる必要があるんじゃないですかというふうに思いました。これが2点目です。
 3点目は、これは本当に意見なんですけど、ちょっと調査にお金を使い過ぎていませんかというのが3つ目です。大分いろんなことが分かってきているんじゃないかと私は思うし、去年もお金を使っているので、調査自体に蓄積ってかなりできてきているんじゃないかと期待するんですが、その割には調査項目で4,000億、6,000億ぐらい立っているかなと思うんですけど……、6,000万ですね。そんな6,000億もかからないですね、ごめんなさい。6,000万ぐらいですけど、でもそれはちょっと惜しいかなというふうに思いました。それは思いましたので、意見です。
 最初の2つにもし御見解があれば教えてください。以上です。
【説明者】  私どもの考え方を御説明させていただきます。おっしゃるような、地域におけるスポーツ振興とか、市民のスポーツ振興みたいな施策というのは、私どもスポーツ庁も別の施策を講じてやっているところでございます。スポーツまちづくりの推進とか、あるいは部活動の地域移行・地域連携支援とか、そういったような施策なんかもやっているところでございます。一方で、こちらの施策については、プロスポーツが発展することによって、産業として成長していくというところもあると思うんですけど、一方では、アスリートが活躍してスポーツで食べていき、それを基にまた次の世代がスポーツの分野に関わり、スポーツが産業として自立的に発展しながらスポーツ自体が発展していくという意義もあると考えているところでございます。そういったスポーツ振興としての意義も捉えるために、私ども長期アウトカムのところにスポーツ団体の規模拡大というふうに入れましたけれども、もっと地域とか市民とかそういったような方々のスポーツ振興については、それはそれで別に施策を講じているところでございます。
 2点目として、人が集まらないところにもっと支援すべきではないかというところにつきましては、実態としてもスタジアム・アリーナ改革の取組は、東京とか大都市では、民間企業が自分でプロジェクト、不動産開発なども含めて取り組んでいるところが多いわけでございますけれども、一方で、地方都市に行けば行くほど、民間の球団やクラブだけではなかなか難しく、県や市などの支援もあってスタジアム、アリーナの整備がされることによって環境が整うというようなところもありますので、実際私どもが手をかけて支援しているところは地方都市のほうが多くなっているといったような面もございます。
 3番目の調査につきましては、その時々の課題に応じながら、適切なテーマに取り組んでまいりたいと思っております。
【中空委員】  なるほど、その説明をお聞きするとなおのこと、それは別でやっているんだったら、これは何のためにあるんだろうという気が若干しちゃうんですけど、そうするとつまり、自分でほっといてもできそうなもの、サッカーとかバスケという例を出されましたので、それは民間で十分回り得るんじゃないかという意見に関してはどうでしょうか。
【説明者】  そこは民間のバスケットボールクラブとかも、個別の自治体などに当たりながら、アリーナ整備というのを一緒に考えましょうという話をしているところもございますけれども、まずいずれにしてもクラブだけでは難しくて、自治体の協力も頼んでいるということ。ただし、スポーツクラブが自治体の人たちに当たっても、なかなかスポーツ担当部局の人としか話ができなくて、こういった一方で、スタジアムやアリーナの整備においては、町全体で、まちづくりという観点を考えながら、ほかのコンサートだのエンタメとか、あるいはビジネス活用とか、あるいはスタジアム、アリーナを造る際の道路の整備とか交通機関との連携とか、あるいは最近ではデジタル化なんかも進んでいますので、Wi-Fi環境とか、様々な調整が必要になってくるところでございますけれども、プロスポーツクラブが自治体に当たるだけだと、スポーツ担当部局だけでは解決できない課題なんかもありますので、私どものスタジアム・アリーナ改革ガイドラインとかでは、そういった多様な問題を考えて自治体全体で取組を考えていく必要があるというような考え方を示したり、私ども国のスポーツ施策としても総合的に考えていただく必要があるということを示すことによって、民間のクラブも地域の関係者と話がしやすくなっているという面もございます。
【中空委員】  取りあえず私からは以上です。ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  説明ありがとうございました。今のお話の続きになるんですが、そうしますと、資料の58ページにある、今のスタジアム・アリーナ選定先一覧というのでお示しくださっていますけれども、ここに挙がっているスタジアム・アリーナの選定先は、御説明があったような、スポーツ団体だけではアリーナの整備が難しかったと、まずそれが前提条件としてあって、かつ自治体への働きかけという中で、スポーツ担当部局だけではなくて、全体として取組が難しいので、この事業に手を挙げて選定されたと、そういう状況でこの選定先一覧があるということでよろしいでしょうか。
【説明者】  こちらの選定先につきましては、例えば私どもの先進事例形成事業とか、そういったような支援は受けずに、自ら、国の支援は得ていないけれども、優良事例としてスポーツ庁から発信してほしいということで手を挙げていただいたところもあります。そういったところについては、スポーツ庁は支援していなくても、自治体が支援していたりとか、そういったような案件はあります。また、民設民営のプロジェクトにおいても、北海道のエスコンフィールドとか、あるいは川崎の新アリーナとかTOKYO A-ARENAとか、いろんなそういう民設民営プロジェクトもございますけれども、地元の自治体が一方で固定資産税を減免するとか、あるいはまちづくりで道路整備とか、そういったように協力するとか、何がしかの官民の連携は取り組まれておりますので、スポーツ庁の予算による支援がないものであっても、官民連携で取り組まれている、何らかの形で取り組まれているものがほとんどということは申し上げておきます。
【川澤委員】  分かりました。そうしますと、50ページに戻りますと、このスポーツ庁の事業の支援を得たスタジアムとしては、25年までに20拠点のモデル拠点を選定しようとされているということでよろしいですよね。
【説明者】  いや、スポーツ庁の支援はなくても、優良事例という選定で、予算は出していないけど、スポーツ庁からもいい事例として認定してもらえたということによって話題になって、お客さんがまた来るとか、いろんなそういったような、予算の支援でなくても、私どもの評価が得たくて応募されて、認定されている案件もございます。
【川澤委員】  なぜそういうことを伺いたいかといいますと、この事業が始まって、これ、基本的にはレビューシートで終了予定なしというふうになっているんですが、ある程度もう、このスタジアム・アリーナ改革については年数で、かつ拠点数というところの想定があって、それに向けて一定程度、さっきおっしゃっていただいたように、民間だけ、もしくは民間と自治体だけで運営がされている、整備がされているような取組もあって、全国のスタジアム、アリーナの状況を把握されていると。そういう状況で、つまりスタジアム、アリーナについてはある程度、もう整備のめどが立てば終了していくような、そういう流れであるというふうな理解でよろしいんでしょうか。
【説明者】  まず、こちらのスタジアム・アリーナ改革の目標は、2025年までに新たに20拠点実現という目標がございます。ただ、全国に20あればニーズを満たせるかということは別でございますので、2026年度以降のことについてはまた別途考えていく予定でございます。ただし、私ども、スタジアム・アリーナ単体の施設だけに注目されるということはあまりよくないのではないかと、むしろ最初のほうに御説明申し上げたように、いろいろ複合化とか多目的利用を通じながら、地域全体で効果を出していくことが重要というふうに考えておりますので、2026年以降のスポーツ庁によるこういった選定表彰事業みたいなものについては、やり方をまた適切に見直しながら考えてまいりたいと思います。
【川澤委員】  分かりました。選定表彰事業という形で優良な取組を表彰して、その情報を収集して全国に周知するという、そういう役割を2026年以降も担っていくかもしれないというお話は理解いたしました。ただ、先ほどもお話あったように、選定表彰、情報収集というだけではなくて、スポーツアリーナについても、調査事業で海外の動向であるとか、過年度、管理運営段階にあるものについての評価を追加的に行っていくというのは分かるんですが、やっぱり毎年度実施しなければいけないものなんだろうかというのは非常に疑問でして、このスポーツアリーナ改革推進事業以外にも、先ほどのスポーツ×テクノロジー活用というのも、基本的には調査をして蓄積をして、ビジネス変革に取り組んでいないスポーツ団体に情報を周知するというお話だったんですけれども、毎年度その周知が必要なほどの情報量がスポーツ団体のほうで蓄積がなくて、スポーツ庁自らやらなきゃいけないものがあるんだろうかというところがかなり疑問でして、そういった意味で、もう少し削減できるものは削減し、経年で実施しているから実施するということはしないほうがいいのではないかと思うんですが、その辺りいかがですか。
【説明者】  そうですね、調査事業については、テーマをそのときそのときの課題に応じて適切に見直していくということも重要と考えております。スタジアム・アリーナ改革などにつきましても、ずっと進めているところでございますけれども、最近、有識者の方からも言われたりしていますのは、スタジアム・アリーナ改革というのは、どうしても施設単体に目が行きがちなんだけれども、まちづくりとか、あるいは稼働率を上げていくためには、スポーツ競技同士の連携、例えばバスケだけじゃなくて、バレーボールとか卓球とか、そういったようなものの連携を図ることが重要じゃないかとか、あるいは交通機関とか通信環境とか、あるいは公園整備とか、そういったような他の施策との連携とか、あるいは包摂社会の実現とか、いろんな政策目標を考えていくべきじゃないかみたいな、そんなことも言われておりますので、内容に応じてしっかり、これまで達成できたこと、まだ必要なことなどいろいろ考えながら適切に実施していくことを考えてまいりたいと思います。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
 最後に、ちょっと規模は小さくなるのかもしれないですけど、スポーツオープンイノベーションプラットフォーム推進事業というのもあるかと思います。これもいわゆる情報共有であるとか、優良事例の表彰とかといったようなことだと思うんです。施策の在り方として、スポーツ庁自ら事業を実施するということではなくて、各自治体の取組を表彰するであるとか、情報収集して提供するという役割は理解するんですが、これも継続的に実施する意味が果たしてどのぐらいあるんだろうかというところが疑問なので、その辺りいかがですか。
【説明者】  私どもこの事業、続けてきているところでございますけれども、スポーツの種類も様々あったりとか、連携いただいたほうがいい企業というのもいろんな分野がございます。例えばスポーツといっても、柔道のような個人スポーツもあれば、バレーボールとかいったような団体スポーツもあったり、あるいはモータースポーツみたいな、そういった世界的にかなり普及してきているんだけれども、一方で日本では環境がまだ整っていないようなものとか、あるいはスキーのようなスポーツ、様々な分野があるので、そういったようなところをいろいろ取り組んでいただきながら、一方で組んでいただくようなところについても、デジタルとかサステナビリティーとか、いろんな分野にまたがりますので、そういった多様な取組事例などを創出していきながら、具体的な成果の創出、横展開につなげていけるように取り組んでいきたく考えているところでございます。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。ネガティブな意見とか申し上げましたけれども、基本的には、もう少し事業の中身を整理して、改廃をしつつも、やるべきことというのはまだ多分あるんだというふうに思いますので、そこは前向きに検討いただければと思いました。
 一旦、以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、コメントの記入をお進めいただいて、記入がお済みでありましたら、事務局のほうへの御提出をお願いいたします。取りまとめにもう少し、時間ございますので、御意見。
 堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  ありがとうございます。今の川澤委員のお話、質疑聞いて、これ、もしかして、ロジックモデルでは箱物を造ろうみたいな話なんですが、調査研究だけでスポーツ庁の事業であって、直接建設には関わらない、場合によってはそこに判断する立場にはないという事業なのかしら。
【説明者】  何ていうんですかね、スタジアム・アリーナとか、そういった事業については、しっかり計画をつくってもらったりとか、あるいはそういった計画づくりのための好事例の紹介とか、そういった事業のやり方を行っているところでございますけれども、スポーツ×テクノロジー事業とか、スポーツオープンイノベーション事業については、実際にスポーツ団体と、テクノロジーのリソースを持っている企業ですとか、あるいは他産業の人たちとマッチングしながら事業を考えるみたいなところに支援を行っておりますので、そんなに大きな額ではございませんけれども、事業の取組の支援なども行っているところではあります。
【堀川委員】  事業の取組の支援に限定されているんじゃないかという質問なんですけど。
【説明者】  いや、それだけではなくて、スポーツオープンイノベーション事業については、私ども支援を行っている事業以外でも、公募して、優良事例を表彰したりとか、あるいはそもそも支援を行う前段の、スポーツ団体とそれ以外の企業それぞれに、連携することの可能性や価値などに目を向けてもらうためのカンファレンスとかネットワーキングイベントとか、そんなようなことを組み合わせながら事業を進めているところでございます。
【堀川委員】  だから調査機関みたいな情報提供しているだけであって、最終的にこのスポーツ庁さんが、表彰とかするのはいいんだけれども、じゃあ具体的にどのアリーナ造りましょうなんていう話には、ほとんど関わる権限は持っていないということじゃないの。司令塔になりたいって、これはあくまでもなりたいであって、なれるのか、なれる前提で議論できるのか、調査研究に限定されているのかという点なんですけど。
【説明者】  私どもスタジアム・アリーナ改革事業については、私どもから個別に場所を指定して、ここでいつまでにスタジアム・アリーナを造ってくださいといったような事業のやり方をしているわけではございません。一方で、スポーツ庁が、見ることを重視したスタジアムやアリーナの整備、あるいはスポーツだけじゃなくて多目的利用とか、あるいは商業施設、宿泊施設などと連携して進めることが重要だという方針を示すことによって、各地で優れたスタジアム、アリーナ、それをさらにまちづくりと連携して進めていくというような具体的な動き、機運というのが盛り上がっているところでございますので、私ども直接建設を支援しているわけではございませんけど、そういう機運づくりには大いに取り組んでいるところでございます。
【堀川委員】  だから機運づくりなのに、これ、相当年数かけて調査を、それも中空委員からも川澤委員からも質問あったように多額の調査費をずっと出しているのに、そもそも必要なのかと。そもそもこういう長期にわたって、機運づくりのためだけにこれだけの国費をかけることの必要あるのかという、やっぱり疑問は、最終的に私の意見として残りました。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。重要な論点の議論が続いておりますけれども、取りまとめにもう少し時間が必要ですので、この時間に、何かまださらに御質問などございましたらお願いします。
 河村委員、お願いします。
【河村委員】  ちょうど今投影されていますロジックモデルのアウトカム指標のところでお尋ねしますけれども、成長産業化という立てつけからこうなっちゃうのかなと思いますけど、中期アウトカムとかが、主要スポーツ団体における観戦入場者数の増加とか、主要スポーツ団体の収入の増加って出てきちゃうんですよね。
 今回のこの事業って、やっぱり一定のプロスポーツの団体とかが入りますよね。国全体で見れば、特定の分野の産業界です。産業界の企業の売上げ増が目的だと、これなんかは、もう完全に産業支援策に、この指標だとなってしまうので、国がこの分野で国費を投入するとしても、中期アウトカムとか、それから長期アウトカムも再考する必要が私はあると思いますけども、これはやっぱり最終的には、国全体としての当該分野のスポーツ人口の裾野の広がりとか、実際にそれに参加している人数とか人口とか、そういったところをきちんと把握して設定するように持っていくべきなんじゃないでしょうか。
 それで、長期アウトカムのところでも地域活性化というのがありますけど、これって何とも捉えどころないというか、具体的な指標とかではなかなかはかり難いですし、貢献度をはじき出すのも難しいですよね。いわゆるお話ベース、ナラティブベースだったら幾らでも書けちゃうんじゃないかなと思いますけど、それが書けて、取りあえずこうやって作文ができたから長期アウトカム達成されましたというのは、正直申し上げて、これだけ厳しい財政事情の中で国費を使うときに、全く正当化されないというか、EBPMの観点からも最終的な政策目標の達成というところにはなかなかならないんじゃないかなというふうに私は思いますが、いかがお考えになりますか。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。もっともな御指摘もあるかと思いますけど、一方で私ども、主要スポーツ団体における観戦入場者数の増加というのは、ただスポーツ団体がもうけるということだけじゃなくて、スポーツの国民への広がりも表す指標かと考えております。一方で、おっしゃるように、いろいろスポーツが国民にどれだけ普及しているかみたいなことの成果目標の設定も考えてみたんですけれども、一方でこれまでこの事業のリーチできる範囲に比して、目標をどこまで大きく設定すべきかというような議論もあり、スポーツの普及ということも考えてみましたけれども、この事業の成果としてどこまで説明できるかなという考え方もありましたので、今このようにしております。
 一方で、目標の、単なる定性的なことでいいのかというような御指摘につきましては、私ども、地域経済の活性化とかそういったようなところについても、定量目標をどのように設定するかは検討しているところでございますけど、例えばそれぞれの地域の税収増ですとか、そういったような定量的な目標なんかも検討しているところでございまして、御指摘も踏まえながら、こういった目標というのがどういうふうに適切に設定できるかということはさらに考えていきたいと考えております。
【河村委員】  そういうお考えもあるかなと思うんですけど、やっぱりスポーツ人口とかのところ、国全体というよりも、やっぱりこれ、箱物造るなら、その地域のところでぐっと広がっていかなければいけない。そこが確認できなかったら、もう全然この事業のレゾンデートルがもう根底から崩れちゃうんじゃないかというぐらいに思いますので、そこはやっぱり、ただ箱物を整備するだけじゃなくて、観戦にも行かれるし、例えばサッカーならサッカー、バスケならバスケとかでそれに取り組むような子供とか、大人も含めて裾野が広がっていってというところが確認できて初めて、これだけ、一部プロスポーツも含むような分野だけども、そこに国費を投入した意味があったねということになると思いますので、やっぱり具体的な件数の捕捉を御検討いただきたいと思います。以上は意見ですので、これで結構です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。それでは、コメントの取りまとめについて、堀川委員からお願いいたします。
【堀川委員】  ありがとうございます。
 本件事業は、スポーツ産業の成長を通じて、経済効果の拡大、それによる地域活性化などを目指していますが、各委員からの意見を総合すると、幾つかの重要な課題が浮き彫りになってまいります。そこで、取りまとめコメント案ですけれども、主要なコメントは、事業の設計段階にやはり問題があるんじゃないかという意見が多数、ほぼ全員から出ています。御紹介いたします。
 スポーツ庁の役割として、各地域の取組を支援すること、情報提供することに特化している状況は理解するが、漫然と継続的な調査事業をするのではなく、改廃が必要。そもそも長期にわたって調査研究を続ける必要があったのかという意見がありました。さらに、プロ野球のように巨大な規模の市場が既に確立している分野では、厳しい財政事情の中、あえて国費を投入することが正当化される理由は見いだし難い。国費による産業支援は不要である。スポーツ×テクノロジーの活用推進事業についても、民間で積極的な取組を進めている例は多くあり、あえて国が補助金を投じる必要はそもそもないのではないか。さらには、ちょっと重複すると思いますが、あまり必要な事業とは思えないと、目的が中途半端で不明瞭であるという、非常に厳しい御意見が、まず設計段階でありました。
 次に、主要な効果及び指標、ロジックモデル等についてですけれども、アウトプット、アウトカムとしては、スポーツ団体の規模拡大というより、地域経済の活性化にウエートをつけるべき。うまくいき始めたらやはり、アウトカムからですが、先ほどの設計と同じ、国としての関与はやめるべきではないか。そして、同じくアウトカム、アウトプットですが、主要スポーツ団体における観戦入場者数の増加や同団体における収入の増加は、特定産業に属する企業の売上げ増を目標に掲げていることを意味し、国費を投入する政策のアウトカム指標としては不適切である、見直していただきたいと。
 次に、事業の執行段階に関することですけれども、自治体や国という政府部門が支援したスタジアム、アリーナといった箱物の整備に関しては、国内外で失敗事例も数多く存在することを鑑み、プロスポーツを対象とする競技施設の整備向けの国費の支出に関しては、もっと対象の件数を絞り込み、予算規模も縮小すべき。また、事業の終了年度もなしとせず、終了年度を明示すべき。また、今後スポーツ庁が他省庁と協力して多様な政策に関わる際には、これまでの行政の失敗を繰り返さないよう、徹底した調査とリスク管理を行い、その上でスポーツに関連する管理を行っていただきたい。
 以上、大きく3つの柱から取りまとめたいと存じます。いかがでしょうか。いいでしょうか。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。それでは、今の取りまとめコメントでセットさせていただきたいと思います。
 以上をもちまして、「スポーツ産業の成長促進事業」の公開プロセスを終了いたします。ありがとうございました。説明していただいた桃井参事官もありがとうございました。
 それでは、次の4番目の項目につきましては、14時5分再開とさせていただきますので、その間、少し休憩をお取りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、議事に入らせていただきます。
 4番目の事業は、「ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業」です。
 初めに事業担当部局より事業概要の説明させていただきます。説明者は5分以内で簡潔明瞭に説明をお願いいたします。また、資料での説明はページを示した上で御説明をお願いします。それでは、御説明お願いします。
【説明者】  ありがとうございます。文部科学省医学教育課の俵です。今日は、医療人材の養成に関する事業ということで、これまでの会議の中で、医師の数だったり、背景については説明させていただいたので、今回、ここの最後のページ、ページ数で言うと、最後のページを見ていただいていいですか。30ページですね。これはいわゆるロジックモデルということで、これをベースに事業の概要とアウトプット、アウトカム、それと、これまでの議論を踏まえた変更点について、これらを中心に説明させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 これは現状と課題ということで、医師に関して言うと、総数についてはおおむね需要と供給が見合うような形になってきていますが、地域での医師不足、あるいは診療科の偏在というものがありますので、これを解消すると。そういった目的でこの事業を行っているという状況があります。特に文部科学省としてということになるので、学部段階での教育プログラムを構築することで、それに貢献したいということで、大学の協力を得ながら進めているということになります。
 事業の内容のところにありますが、左上の2番目ですかね。主には3つありまして、一つは、地域のニーズの高い分野、例えば総合診療、救急医療、感染症、こういった分野の人材を養成できるような教育カリキュラムをつくること。2番目としては、地域医療機関での実習というものを行いながら、その地域でのニーズだったり、医療の認識を高めていく。3番目としては、オンデマンド教材、こういった教育コンテンツの開発といったものを中心に進めているという内容になります。
 右側に、事業の概要、目的、方法、対象、それぞれ書いていますが、対象としては、主に地域枠ということで、将来、地域で働くという志を持った学生さんを中心にしていますが、地域医療教育について、それ以外の学生さんにも広げていきたいと。それ以外の学生さんも念頭に置いています。拠点ということで、これは拠点校を中心に、大学間の連携・展開をしていくとしています。
 主な支援内容は、人件費、設備費、その他教育コンテンツの作成費というのが右上に書いてございます。ロジックモデルのインプット、アウトプット。アウトプットを見ていただいて、アウトプットは教育プログラムの開発ということで、大体70を超えるプログラムを開発してもらおうというのがまずあります。その隣、アウトカムですが、これは先生方からの意見も踏まえて、地域枠の学生さんとそれ以外の学生さんで分けた上で、どれぐらいのプログラムに学生さんが参加しているか。それを指標として設定しています。その下にアウトカムの3番目のところに書いている、これは自治体と連携した取組についても一定の目標を掲げたほうがいいのではないかという指摘をいただきましたので、自治体と連携した地域の実習期間の確保ということで、こういった施設の数、実習施設の数についても目標値として設定しています。
 最後、一番右側に長期アウトカムということで書いていますが、一番右、アウトカムの上のところは、これは地域に必要な医師の確保ということで、具体的な指標に関して2つ示しています。これも厚生労働省の、いわゆる臨床研修であったり、専門研修との連携した設定が指標として設定するのがいいのではないか、そんな御意見をいただいたので、2つ。1つは、臨床研修、専門研修あるいは勤務地としてその地域に従事する、それらの志す学生の数。もう1つは、その地域で必要とされる診療科。これは厚生労働省のプログラムで専門研修というのがありますので、その研修にどれぐらい受講を希望するかどうか。これを指標として設定しています。
 最後は、これも前回の先生方の御議論の中で、地域枠以外の学生さんに関してのコメントをいただきました。特に、関心をどれぐらい持っているか、それをきちんと測る。それがどれだけ増加したかというのを測るべきではないかということもありましたので、学生の増加を目標にし、指標自体は、実際にこのプログラムを受講した方の関心がどれぐらい高まったかというものを指標として設定しているということになります。
 以上です。よろしくお願いします。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、1ページ目の論点等説明シートに戻らせていただきます。論点は、1点目としましては、目的を達成する上で、事業の実施方法が効果的なものとなっているか。2点目は、他省との連携も踏まえた、課題解決や事業成果検証のために適切なアウトカム、アウトプットは設定されているかという点が論点になります。
 それでは、外部有識者の皆様から御質問をお願いいたします。河村委員には、恐縮ですが、今、画像の伝送がちょっとトラブルがあるようですので、御発声で御発言を始めていただければと思います。
 それでは、御質問等ございましたらお願いいたします。堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  医学教育課ですから、教育に事業を支出するというのは分かるんですが、この事業が本当に地域偏在に影響できるのかというのはちょっと根本的に疑問がありまして。というのは、地域枠の支援をするということですけど、そもそも地域枠自体が、制度上、義務的と言えるのかどうかは微妙ですけど、一定程度、もうその地域に従事する、数年ということがシステムとしてもう既に入っていますよね。ビルトインされている。だからそこに、このプログラムで勉強したら、その結果、地域枠、地域に従事してくれたという関係性、これによってそうなったのかと言われると、そもそも地域枠だからそうなるんだよという前提があるわけだから、これによる影響要因というのは評価しがたいですよね。こっちが主な要因にはなり得ない。
 もしこれを純粋に評価するのであれば、そもそも地域枠とは関係のない方々、今回、ロジックモデルで、EBPMを入れていただいていますが、地域枠外、地域枠の影響を受けていない、すなわち地域枠外の方々が関心のみならず、この偏在まで言うんだったら、1人でも2人でもいいんですけど、本当に地域医療に従事していただけたのかというのがきっとこの事業の効果を純粋に測定できる点だと思うんですけど、それについて、課長、いかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。地域枠の仕組み自体だけでも一定の効果はあると思います。ただ、やはり地域枠の学生さん、高校の段階で入学するときに決めていくことになるので、やはりその後の教育プログラムの中で、地域医療教育についても併せて取り組むことで、その学生さんが当初の志を継続して持っていただいて、医療に、その地域に従事してもらう。そういったことが必要だったかなということで、こういったプログラムを併せて取り組むと。もう一つは、診療科に関しても、一定の地域の必要性ということで、それも特定の診療科に限定してしまうと、18歳辺りで、特定、例えば外科とか産婦人科とか決めてしまうのはさすがに酷なので、ある程度のグループとして地域に必要な診療科を設定しながら、そのプログラムに参加するというのが一つ、地域枠の学生さんへの教育の必要性かなと。
 もう一つ言っていただいたように、地域枠以外の学生さんに関しても、今回、この教育プログラムに合わせて参加してもらうことで、裾野というか、地域枠は一定、限界があります。その地域枠以外の学生さんにもそういったプログラムに参加してもらって、今言っていただいたような形での関心とともに、1人でも2人でも多くの地域医療従事者を増やしていく。それが大事なのかなと思っていました。
【堀川委員】  そういう前提で、オンライン教材、それなりの国費を投入してつくったわけですので、では、それがどうなのかという点ですが、当然、前々回の会議でも、医師の方々の病院とか医学部において、非常に大変忙しい中にあるという議論があったと思うんですね。そうすると、オンライン教材だからいつでも聞けるという意味では、逆にメリットがあるものの、私の経験で言うと、忙しい方々がいつでも使えるんだけどというものに限って、だからこそ使われなくなる例が多々あるんですよね。きっと、必要もないのに使えというわけにはならないんだけど、一応前提としては、これは必要だろうという前提で、事業レビューをするとしたら、やはり継続的に使われるEBPM上の出口戦略というのはやっておかないと、遊休化という問題を発生するだろうなと。さらに、その資金、今回の支援の中のお金の使い方の中に、人件費として、コーディネーター教員の部分が非常に大きな部分を占めていて、これもやはり出口戦略的にその負担を、この支援がなくなった後どうするのかというのは非常に大きな問題ですので、その出口戦略もきっと重要になると思うんですが、これについて御意見。
【説明者】  ありがとうございます。最後の人件費に関して説明しようと思っていて、忘れてしまったんですけど、前回も御意見いただきました。改めて確認すると、たしか全体がコーディネーターと、これは25ページに全体のものが出ていると思います。25ページですかね。ありがとうございます。ここに人件費として約4億円ぐらいの予算があり、コーディネーター教員39名、事業担当職員47名と。これだけの人数、あるいは人件費をこの事業が終わった後に維持ができるのかという御意見だったかと思います。
 これは個々に見ていくと、拠点となる大学が11ありまして、それ以外に15校あるので、大体1大学でならすと0人から――コーディネーターで言うと大体、教員ですね。コーディネーター教員で言うと0人から二、三人というぐらいの人数です。これぐらいの人数でありますので、金額にすると恐らく1,500万円ぐらいかな。それぐらいになると思いますので、一定、これらの方々の人件費の維持であったり、あるいは、これらの方々がやっていただいていたものを一定定着すれば、ほかの方に引き継げるということもあると思いますので、人件費に関して言うと、一見、大分この4億というのは大きな額なので、どうかなというふうにはあるんですけど、恐らく大学辺りにならしていけば対応できると思いますし、そういう心積もりで大学も取り組んでもらっているかなと思います。
 ごめんなさい。もう1点、何でしたっけ。すみません。最初に言っていただいたこと。ああ、そうだ。オンライン教材に関しては、これは先生言われるように、せっかくつくったのに使われなくなるということは絶対避けたいので、そういうことがないように連携校でうまく共有できるようなコンテンツをつくってもらうということでやってもらっているというのがあります。
 では、ちょっと補足で。
【説明者】  すみません。1点補足させていただきますと、このオンライン教材が受講生の学習のために導入するといったことなので、先ほどの先生の御発言は、要は、医師となった人が、生涯学習とまではおっしゃられなかったと思いますけれども、学ぶためのというようなお考えでの御発言だったかと思うんですけれども、この事業の中でつくっているのは、実習の導入教育や振り返りのために活用することができるという、言わば学生の学習のためにということで導入しているというものになっております。
【堀川委員】  いや、私、学生も含めてなんですけど、授業もカリキュラムをカチッとつくって、それで使うというシステムをずっとやるのであれば問題ないんだけれども、オンラインの場合は、カリキュラムが特段、縛られなくても、使えるメリットが当然逆にあるんで、そうなっていくと、だんだん見向きもされない状況になりかねないよという話です。その点はいいですか。
 最後に、先ほどコーディネーター教員、本来は地域医療が、その地域において非常に課題が大きいエリアについては、本来はやはりそもそも医学部の教育で進めるとか、大学病院の教育でもいいんですけど、やらないといけないところを国が支援しているという立てつけだと思うので、逆に言うと、コーディネーター教員が、ただ単に維持するのではなくて、一定のポストを示していただくことで、やっぱり大学組織全体で医療の偏在化を解決する体制づくりになるようにしたほうがいいのかな。そういう後押しを本省はしてあげたほうがいいのかなと思いますので、御検討ください。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。この後は、中空委員、川澤委員、それから、河村委員も挙手ボタン、確認させていただきました。この順番でコメントをお願いしたいと思います。
 まず、中空委員、お願いします。
【中空委員】  御説明ありがとうございました。まず幾つか質問からです。
 1つ目は、前も聞いたかもしれないんですけど、地域枠についての質問ですけど、地域枠は一旦、学生が選択すると、そこから逃れることはできないんですかという質問です。普通、例えば企業などで海外に留学させてもらう場合、留学から帰国後、会社に四、五年はいなきゃいけないよという契約を交わすわけですけど、それは契約を破って出ていく人も、契約を待って、満了して出ていく人も結構いるわけです。そういうことでいくと、地域枠の制約がどれぐらいあるかということが1つ目の言葉の質問です。
 2つ目、同じように言葉の質問ですけど、コーディネーター教員と事業担当職員の差がよく分からなくて、これが何ですかということと、結構レベルの高い人じゃないと務まらない仕事だと思うんですが、この人たちはもともと何をやっている人たちなんでしょうか。
 ここまでが言葉についての質問です。
 あと、もう一つ、これは究極的な話なんですが、お医者さんの地域偏在、大変な問題だと思います。国として何とかしなきゃというのはよく分かるし、それが基本的には、そちらのほうにみんなが自主的にいってほしいから、教育プログラムで何とかしましょうというのは分からないでもないんです。だけど、これだとすごい時間がかかってしまって、そうすると、今、私たちが困っている問題なので、早めに解決するためにはと考えると、使っている6億円を地方で勤務するお医者さんに払ってしまったほうがよっぽど地方にお医者さんが行くのではないかと思えてしまうんですけど。あまりにもこれは今、短絡的な意見を言っていますが、そちらのほうが手っ取り早いんだということです。なので、この果たすべき目的と、やっている手段ペースがゆっくり過ぎることを考えるべきではないでしょうか。だって、一生懸命やって数人がアウトカム、インパクトとして人材輩出できましたというのでは、役立っていないのも同じ気がするんです。
 なので、そこはどういうふうに考えたらいいですかというのが、これが質問と、あともう1個、同じ関連で、アウトカムとインパクトについてなのですが、やっぱりインパクトは、基本的には医療、医師の地域偏在がなくなっていくことだと思うんです。「生じる中で」と書かれてしまうと、これは何がインパクトなのかという気がしますと思うので、アウトカムとインパクトに関しては、もう少し厳しさを持ったほうがいいのではないですかと思いました。これはもう感想めいたものですけど、もしこれにも御意見があれば教えてください。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。まず地域枠に関して逃れられるかというのは、ある意味これも、言ってみれば契約のようなものなので、ただ、地域枠の学生さんにも幾つか種類がありまして、入試の段階で地域枠として入る学生さん、それから、入試の後に地域枠として対象になる学生さん。それとあと、奨学金を一定受け取る学生さんと、そうではない学生さん。幾つかの種類の学生さんがいらっしゃいます。
 一番課題というか、多分、先ほどの企業の方が国際、海外に留学するのと同じ例だと思うんですけど、奨学金を受け取る学生さんに関しては、途中で、僕らは離脱という言い方をしているんですけど、離脱する場合には、その奨学金を返済しなきゃいけない、あるいは、返済しなきゃいけないという義務が生じると。これもある意味契約なので、その契約の有効性というのは問われるかもしれませんが、そういう意味で言うと、一定の制約がありますけども、離脱が全くできないというものではないと。
 ただ、これまでの実績からすると、大体、奨学金を受け取っている学生さんはそのまま多くは卒業後9年間、その地域で働くということがセットになった地域枠が多いんですけど、おおむね離脱しないで、9年間勤められている、あるいは勤めようとされているというケースが多いということが、状況から分かります。
【中空委員】  奨学金をもらっていない人はどうなんですか。
【説明者】  奨学金をもらっていない方は、何ページかな。いや、離脱。奨学金をもらっていない、18ページを見ていただいていいですか。円グラフがあって、地域枠の卒業者のうち、県外就職者。なので、地域枠だけども、その地域に就職しなかった学生さんということですけど。映りますか。右上に円グラフがあって、それを見ると、1,600人ぐらいの地域枠の卒業者のうち、35人の方が県外に就職していて、この方々は奨学金を貸与されていない方々という意味で、ちょっと割合がなくて、すみません。分かりづらいですけど。
【中空委員】  大丈夫です。でも、逆に言うと、この人たちは、だから、何のペナルティもないんですね。
【説明者】  ある意味、そうなりますね。
【中空委員】  学生のときに地域枠の人は何かあるんですか。最初に幾つかパターンがありますとおっしゃったと思うんですけど、学生で受験のときから地域枠を選んだ人というのは何かあるんですか。
【説明者】  それは、多くが奨学金を受け取っている。
【中空委員】  それは奨学金を受け取る人。
【説明者】  はい。
【説明者】  あとは地域枠で希望を出す学生さん向けの教育プログラムを大学側が独自に、一般で入った学生さんと地域枠で入った学生さんで、一般の方が必ず受けなくてもいい、地域のことを学ぶ科目を履修するようなことを課したりするところもあります。ただ、全てに課しているわけではないので、大学ごとに特色があって、そういうものをやったり、あと地域で実習させたり、そういうプログラムを組み込んだ地域枠というのもあると聞いています。
【中空委員】  じゃあ、変な話、ある大学の医学部においては、あの人、地域枠の人というのが分かっちゃう。でも、ある大学においては分からないということが起きているということですか。
【説明者】  入学する段階で、入試を受けるときの入試の枠という表現があって、そこに一般枠と地域枠というのがあって、どちらで入ったかというのは、ぶら下げているわけではないんですけれども、分かるようになっています。
【中空委員】  でも、プログラムを受けたら分かってくる。
【説明者】  はい。
【中空委員】  なるほど。じゃあ、それはやっぱりそうなったら、ある程度の制約になっているということですね。地域枠というのは。
【説明者】  離脱ということで言うとですか。それはなります。
【中空委員】  ペナルティは少ないけど、ペナルティはあるけど――違う、違う。ペナルティはないけれども、設定していないけれども、地域枠を設定することで意義はありますということですか。
【説明者】  はい。
【中空委員】  なるほど。分かりました。それは分かりました。
【説明者】  ごめんなさい。2番目が教員の何でしたっけ。
【説明者】  教員と職員のところの言葉の違い。どういうものがあるのかというところを、御質問があったかと思うので。具体的に、こちら、28枚目のところで、イメージ図として、例示なんですが、宮崎大学のカリキュラムマップを御用意しております。その上で、この赤い枠で囲った黄色い説明の部分をこの事業の中で大学は取り組んでいるんですが、主に教員も職員も2種類ございまして、実習とオンライン教材を開発するという2つの取組が主にありますので、それに関わっていく地域の実習をコーディネートする。病院の機関と学生の行き来を調整する先生がいるのと、あと、実習の教材をつくる教員の先生、また、それに伴って、事務としてサポートしたり、技術的なサポートをしたりする職員の方、こういう区分になっていて、あまり、すみません。資料の中では細かく分けていないんですが、主にそういった方々が中に入っているという状況がございます。
【中空委員】  なるほど。では、つくる人、コーディネーター教員は、お医者様ですか。
【説明者】  医師の方が多いです。
【中空委員】  事業担当職員というのは大学の教員の人。
【説明者】  事務的な方もいらっしゃれば、技術職員としてそういうシステムに強い方を外から雇用してきて、非常勤として入っていただくと、そういった方もいらっしゃいます。
【中空委員】  そんなことが可能なんですね。いや、人手不足の中で、そんな難しい職種の人たちがいるということでいけば、やっぱりどうやってこの方々を継続して活用するかというのが重要になるんだなと思いましたというだけの話です。
【説明者】  あと、すみません。この6億を、むしろ地域の医師の先生方に措置したほうがいいのではないかという御意見もありました。これはその効果をどう見るか、あるいは、その評価ということだと思うんですけども、今回、給与の難しさはやはり継続性がどうしても必要になってくるので、実はちょっと話はそれますけども、これとは別に、そもそも、例えば大学病院で働く医師の先生方の給与自体が、ほかの病院の先生方の給与と比べると年間五、六百万の差があるみたいな課題もあります。こういうのを解消していかないと、なかなか地域で中心となっている大学病院に人が集まらなくなり、そうすることで、地域のそもそもの医師の人たち、あるいは診療科の偏在も進んでいくという点もあって、そういう意味で、一つのやり方として大学病院の環境を充実させるというのもあります。
 そのときの一つの課題は、今、先生に言っていただいたような給与格差というのもあると思います。ただ、その給与というのはどうしても継続した経費が必要であり、5万人の、全体30万人の医師の先生がいて、大体5万人の先生たちが大学病院で働いているんですけど、その5万人の対象に、例えば500万上げるだけでも毎年2,500億円要るみたいなことがあるので、これはもう客観的に評価いただくしかないとは思うんですけど、僕らとしては、この5年間の中で一定のプログラムをできる体制を構築して、その中で教育を充実することで、地域で働く医師を増やし、遍在を解消していく。それがこの6億円を使わせてもらっての効果があると考えています。すみません。7年間でした。
 もう一つぐらいありましたね。あと、インパクトに関しては、これは先生言われるように、実際の目的自体は偏在の解消ということなので、それをはっきり書くというほうがいいのかもしれないですね。ありがとうございます。
【中空委員】  ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  御説明、どうもありがとうございました。22ページのところで、先ほども支援期間が7年間というお話ございました。今は11拠点があると。代表校と連携校で構成されていると思います。この11拠点だけで、地域の偏在、診療科の偏在にどこまで貢献できるかという思いがあったんですが、先ほどのお話で、大学独自で地域枠のプログラムを構成して実施されているということもあったので、恐らくそういった大学以外で必要だと思ったところが手を挙げて、実施されていないところが手を挙げて、裾野が広がっているという状況なのかなと理解しました。ですので、そういった、このプログラムに選定されていないけれども、独自に実施しているところであるとか、大学の地域医療人材養成のための取組状況みたいなのは、それは把握されていらっしゃるんでしょうか。いかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。まず、もともとの制度としての地域枠、これをどれぐらいの大学が何人ぐらい設定していて、前回話したかもしれませんが、定員にも臨時定員という、主に地域枠の学生さんを対象にしたものと、僕ら、恒久定員と呼んでいますが、一般の定員の中で、地域枠を独自につくっているところがありまして、それらについては、各大学ごとに把握をしています。それらの大学の取組の、全体の中での卒業後の就職状況がさっきの円グラフのようになっています。
 じゃあ、それぞれ、その学生さんのためにどんなプログラムを行っているかというところまでは、正直言うと、この事業に参画していただいている大学はある程度把握していますけど、それ以外のところは、現状では十分に把握できていないかなと思います。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。恐らくそれぞれの大学で実態を踏まえた、また、専門性をどういう教員の方を持っているかということのリソースを踏まえていろいろつくられているんだと思うんです。悉皆的に把握することが重要であるとは思わないんですが、やはりこの選定されたところでのプログラムがきちんとした効果的なものになっているかどうかというところの評価というのは重要だと思っていまして、というのも、支援期間が7年間とかなり時間が長いものですから、やはり7年間の中で、いろいろと工夫、改善がなされていくんだとは思うんですが、やはり長期間確保されているとなると、進み具合もゆっくりになっていく可能性もあると思いますので、その辺りのプログラムの質の評価であるとか取組の進捗度合いといったような、その辺りというのはフォローされていらっしゃるんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。実際には、中間評価ということで、4年目の段階で、それまでの取組がどうかということに対しての評価を外部の委員の方に入っていただいて、やはり、そこでの指摘を踏まえた改善策を検討していただいて、残りの二、三年につなげていくということをやりたいと思っています。
【川澤委員】  分かりました。
【説明者】  あと1点加えさせていただきますと、この事業に関しては、採択時に全国フォーラムということを実施していただくことが有識者から求められまして、といいますのも、各拠点間で行っている取組を毎年報告し合うと。それで、相互に確認するということをしておりまして、これまで2年、今年で3年目ですが、2回開催し、全国フォーラムの中で、チェックというよりは報告という、そういう情報共有する場を設けているところです。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。拠点間、学校間での共有というのも非常に重要だと思っています。その全国フォーラムは、一般に視聴できるものなんでしょうか。つまり、ほかの拠点に選択されていない大学も共有することも重要だと思うんですが、その辺りはいかがでしょうか。
【説明者】  実は全国フォーラム、僕も参加させていただいたんですが、現地とオンラインでもハイブリッドでやっていて、ほかの方でも参加できるようになっていました。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。やはり支援期間が長い中で、どういうふうに毎年度、着実に進めていくかというところと、恐らく年度ごとに学生の方のニーズというのも変わっていくんだと思いますので、そこはプログラムの見直しも必要なんだと思います。ですので、その辺りもぜひ積極的にフォローしていただければと思いました。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、河村委員、お願いします。
【河村委員】  すみません。この事業のところからカメラがうまく作動しなくなってしまってすみません。ビデオがオフのままで失礼いたします。
 御説明ありがとうございます。本事業はやっぱり医学教育の現場のほう、プログラムの設計とかを変えていくこともやっぱりこれは必要だと思うんですけれども、でも、では、最終的な政策目的が達成できるかどうかというのはもう先ほどから御説明にも、あとそれから、質疑応答でも出ていますように、厚生労働省側がやっぱりきちんと対応を考えていかなきゃいけない課題がクリアされないと、なかなかうまく効果が表われないというものではないかなと思います。だからといって、別に医学部レベルでの教育プログラムはどう設計するかというところの工夫が必要であること自体はやっぱり疑いがないんじゃないかなと思っています。
 この問題意識でお尋ねしますけれども、やっぱり、今、お医者さんは、大病院に勤務するか、それで診療所に勤務するかで、先ほども話に出ていましたけど、すごい収入に格差があるわけですよね。去年の秋の財務省でやった調査だと、開業医の院長の方の平均年収は3千万円なんでしょう。すごいですよね。そういう方々にあんなに高い診療報酬を差し上げる必要があるのかしらという感じが、一般の国民の目からすると思うんですけど、そういう状況の中ではやっぱりそちらのほうに医学部の卒業生だって流れていっちゃうよねというところがあるんじゃないかなと思います。
 あと、その診療科についても、日本の場合は、自由標榜制ですよね。そういう制度の問題とかもあって、そういうところ、あと、それから、診療報酬、地域差をつけたっていいのではないかという考え方だってあると思いますけど、なかなか実現していなくて、そういうところを厚生労働省側がどうきちんと対応して検討していっていただけるかというところが、実際の政策の目的を達成できるかどうかの大きな鍵を握ってくるとは思うんですが、ではありますが、やっぱりこの事業としてしっかり取り組んで成果を上げる上では少し工夫できる余地がもう少しだけあるかなという、そういう問題意識で御質問させていただきます。
 この事業の設計ですけれども、例えば各大学からいろいろプログラムを開発して、手を挙げていただくときに、地元の医療機関、病院とか、それから、例の不足しがちな診療科がありますよね。救急外来とか、それから、産婦人科とかいろいろあると思うんですけれども、そういうところのプログラムをきちんと組んでいること、それから、実際に卒業生がそういうところに就職して働いているということを、この補助金を受けられるように選定される上での条件と設計することができないものかどうかということを思います。この点についてお考えをお聞かせいただければと思います。
 それから、資料で御説明くださったところで、アウトカム指標、初期から長期ということで出てきますけれども、KPIがいろいろ設定されていて、長期アウトカムのところで取られるのが、「当該地域に従事することを志す学生の割合」とか、「専門研修の受講を希望する学生の割合」とか、「地域医療の関心が高まった学生の割合」となっているんですけど、これは正直言って、アウトカムよりも本事業のアウトプット指標なんじゃないかなと私は思います。アウトカムとしては、さっきも申し上げましたとおり、この事業だけで必ず成果が得られるかどうか分からないもので、厚労省側の政策運営も大きく影響してくるとは思うんですけれども、やっぱりアウトカムとしては、最終的にそれぞれの地域でのやっぱり、何というか、医師の偏在がどれだけか解消されてというか、そういうことが達成できたかどうかというところをきちんと指標に取っていって、EBPMの観点から把握していくことが必要なんじゃないかなと思います。
 その場合、仮に達成状況が悪かった場合、本事業だけのやり方が悪いとだけ、そういうふうに決めつけることはもちろんできなくて、厚労省さんのほうがきちんと取り組むべき課題への取組が遅れているとか、そういうことがやっぱり足を引っ張る可能性は十分にありますが、そういうところは本事業の評価でも十分に考慮するとして、こういうアウトカム指標の立て方ということを考えることもできるんじゃないのかなと思いますが、お考え、お聞かせいただけましたらありがたいです。
【説明者】  ありがとうございます。最初に、自治体との関係について御意見をいただきました。そもそも厚生労働省との協力というか、厚生労働省が中心になって考えていくべきではないかというところもありましたが、これは確かにそういう面もありますが、僕らとして何とかやれる部分を探しながら、この社会的課題を解決していきたいということで、それは先生も言っていただいたような考え方で取り組んでいます。
 自治体との関係に関しては、これはやはり地域の中でどんな医師が足りなくて、どういった状況での医師不足が発生しているかというのは、自治体とよく連携しないと分からない側面がありますので、そういう意味で、自治体との連携というのも、もともと考えていたところです。具体的に言うと、さっきのアウトカム、アウトプットにも入れていたような実習期間、地域で実施するという点に関しては、地域の医療機関であったり、あるいは自治体との協力が欠かせませんので、そういったものを内容としても組み込んでもらいながら、この内容をうまく地域の中で必要のある学生を育てていくということにつなげていきたいと考えていたものです。
 もう1点、アウトカムに関して御意見をいただきました。今、志すとか、希望するとか言っている。これはある意味、大学の卒業までの間で確認できる指標として設定したものです。本来で言えば、医師偏在というのが最終的な目標には、医師偏在の解消が目標になりますので、どれぐらいの人数が就職したのか、あるいは、どれぐらいの人数が必要とされる診療科の専門医研修を受けたのかというのがベースだと思います。
 ただ、ちょっと難しいのは、学生が卒業した後に臨床研修があって、専門研修があって、その専門研修の段階で具体的な診療科を選定していくということになります。ある意味、そこを最終的なというか、就職先と見ることもありますし、専門研修が終わった後にどの勤務地で働くかということがありますので、ちょっと難しいなと思って、今の設定にしたのは、大学の段階で確認できる指標はどこかなということでアウトカムを設定したものです。
 本来であれば、専門研修にどれぐらいの学生が最終的に行ったのか。これは診療科偏在の解消だと思います。地域の医師不足の解消という意味で言うと、どれぐらいの医師の人たちがその地域に就職したのか。実際どれぐらいの期間、就職したのかというのがベースにはなると思いますが、この設定では、学部の段階で示せるものはないかなと考えて設定したものにしています。よろしくお願いします。
【河村委員】  ありがとうございました。やっぱりなかなか難しいですよね。最後のアウトカムのところ、長期アウトカムのところをどういうスコープの中で捉えるかというのをやっぱりEBPMの観点を徹底するとすれば、もうちょっと何か広い捉え方があってもいいのかなという気もして、でも、これはもしかしたらこの事業だけで決められる話ではなくて、行革のレベルでちゃんともう少し政府横断的に議論して考えなきゃいけない課題かもしれないとは思います。すみません。ありがとうございました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、コメントの記入をお進めいただければと思います。済まされましたら事務局のほうまで御提出をお願いいたします。まだ取りまとめに少し時間が必要ですので、さらに御質問等ございましたらお願いします。
 川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  今のロジックモデル、30ページで議論があったかと思います。アウトカムのレベル感というところは、レベル感や内容については確かに議論があるのかなと思いました。ただ、今回、長期アウトカムで、地域枠以外の学生の関心度合いというところを入れていただいたのは、個人的にはこういった指標も重要ではないかなと思っています。
 その意味で、24ページを拝見しますと、各拠点校ごとの延べ受講者数というのが出ている中で、例えば9番、10番、宮﨑大学、琉球大学だと、受講者全員がもう地域枠というのになっている一方で、1番の弘前大学だと、倍ぐらいの受講者がいると。大学によって、プログラムの内容が違うからこういうことが起きているのかもしれないんですが、地域枠以外の者が参加している大学としていない大学の違いというのはなぜ起こるんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。これは、ある意味、大学の提案で決めている内容になるので、僕らとしては、地域枠だけではなくて、地域枠以外の学生も含めた取組として設定しているので、地域枠以外の学生を否定するものではないんですが、必ず地域枠以外の学生を入れなきゃいけないという設定にはしていないので、そういう意味で、大学の中での判断として、自分たちの大学あるいは連携校としては地域枠だけを対象にしようという大学が幾つでしたか。1つかな。2つか。2つのグループがあるかなと思います。大学の判断の事情まで把握できていないというのが現状かなと思います。
【川澤委員】  分かりました。募集の時点でそういった縛りがないと。地域枠だけで受講するプログラムを作成するということであれば、そうなっているんだと理解するんですが、やはり地域枠以外の者を排除する必要。排除しなくても、結果的にこうなったということなのかもしれませんし、その背景はいろいろあるんだとは思いますけれども、せっかくつくったプログラムが幅広い者が受講できるようにできる環境が整っているということは重要だと思いますし、ただ、ある意味、地域枠と地域枠以外の者の関心と言うんですかね。そもそも意欲が違うので、同じプログラムでいいのか。もっと導入部分でつくったほうがいいのかもしれませんので、そこは7年間の中で中間評価もあるということでしたので、本当に特化したプログラムを同じ地域枠以外の方も含めて受けてもらうのがいいのか、もう少し導入部分的な簡易なプログラムをつくったほうがいいのかとか、その辺りはぜひ中間段階で議論していただければありがたいなと思いました。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。ちょっと1点思い出したので、いいですか、僕は何度か、さっきの全国フォーラムもそうですし、あと、琉球大学が主催となった、地域におけるシンポジウムに参加して、そのときに、今思い出したのは、これは多分、当時の目標を掲げているんですけど、恐らく琉球大学においても、ほかの地域枠以外の学生さんも受けられるようには多分なっていると思います。学生さんと、こういう地域医療教育に熱心な先生たちが集まった、二、三十人で集まった議論にも僕は参加させてもらったんですけど、そのときにやはり出ていたのが、学生さんからも、地域枠の学生さんだけではなくて、いろんな学生さんがいることがより地域枠の学生にとってもプラスになると。やっぱり仲間が増えるということと、行って楽しいというか、そういうことを共有できるというのがあるというふうにも言われていました。先生方からもそういう意見が出ていて、そこはむしろ、今やっていないというところはなかったので、当時、目標設定はこういうふうにしたのかもしれませんが、実際には、先生言われるように、より広い学生さんを対象にプログラム設定はされているんじゃないかなと思います。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。先ほどの議論の中でも、入学時点で、18歳の中で選んだ、それがずっと専門研修のところまで続くという、そういうスキームではあるんだと思うんですが、やはりいろんな交流がある中で、途中でいろんな志向も変わってくるとは思うので、逆に、地域枠の人たちはこの環境というふうに縛らないで、広くつながりを持って学び合うのも非常に大事だと思いますし、特別なことではないと言うんですかね。それがすごく重要なんじゃないかなと思いました。ありがとうございます。
【説明者】  琉球大学に行ったときの学生さん、地域枠の学生さんが言っていたのが、自分、18歳のときは、自分のふるさとである沖縄で働きたいと思っていたんだけど、やっぱりいろんな経験をする中で、本当に沖縄で働くのがいいのかなと思っていて、ちょっと迷っていると。ただ、その中で、ある意味、地域医療を学ぶプログラムがあることで、自分のちょっと迷っていた考えもまた改まってきましたという発表もされていたので、今、先生が言われたような、少し広い視点での学生さんへの教育というのが大事なのかなと思います。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、堀川委員、取りまとめ、お願いします。
【堀川委員】  ありがとうございます。本件事業は、地域医療の偏在解消を目指して、教育プログラムを実施していますが、各委員の意見を総合すると、幾つかの課題が浮き彫りになります。
 今回、地域偏在という非常に重要な問題を結果的に取り上げることになったと。これから委員の意見を御紹介しますが、どうも文科省の医学教育課だけでは解決できない大きな話も今回見えてきたと。河村委員からもおっしゃられた行革というか、政府全体で考えるべき課題も、今回、意見の中に入っていますので、そういう前提でお聞きいただければと思います。
 では、最初に、事業の設計に関すること。まさに大きな話ですが、基本は、働きに見合う報酬制度が担保されるべきである。地方の医師不足が問題であるとすれば、国、地方が連携して、首都圏の医師の収入をどう地方の医師に回せるか考えるのが本来やるべきこと。このプロジェクトを否定するわけではなく、短期で、安い、より経済的な資金で成果が出るか期待したい。
 同じく事業設計に関することですが、基本的に厚生労働省側が対応すべき課題。診療報酬のつけ方等がクリアされない限り、政策目的はなかなか達成されない可能性が高い。とはいえ、本事業を否定するわけではないと。
 続いて、では、それを受けて、本事業、どのような改善に向けて、より効果的にするにはどうするべきかということで御意見を幾つかいただいております。
 本事業のように、医学部教育段階でのプログラムを用意することが必要。上記の厚生省が対応すべき課題の解決を少しでも促進すべく、本事業においても地域の病院等と連携したプログラムを組んでいること。卒業生の一定割合が地域の病院や医師が不足しがちな診療で勤務していることを補助の支給の要件とするなどしてはどうかという提案がありましたし、継続的なプログラム、質の向上に向けた仕組み、全国フォーラム等を引き続き検討していくことが重要と考えるという執行段階についての意見もいただいています。
 さらに、効果、EBPM上の話ですけれども、アウトカム指標としては、これも同じ複数の委員から出ておりますが、ぜひ地域医師の数、インパクトは、医師の地域偏在の解消を目標とすべきと。同じくアウトカム指標のKPI、5から7に関しては、当該地域に従事することを志すとか、希望するとか、高まったとかではなく、実際に従事している卒業生数、卒業一定年数、5年間ないし10年間としてはどうかという踏み込んだ評価もお願いしたいと。
 最後に、今後の継続性の観点から言えば、当該大学教育の中で、補助金が終了した後も、本件補助金で支援したコーディネーター教員等が大学において一定のポストを確保することで、大学組織全体で医療の地域偏在を解決するような体制づくりが必要だと。
 以上、取りまとめは以上とし、事業の質と効果を高めるために、これらの課題を克服し、戦略的な事業の実施を目指していただきたいという案ですが、いかがでしょうか。いいでしょうか。いいですか。河村先生、いいですよね。
【河村委員】  異議ありません。
【堀川委員】  はい。ありがとうございます。以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。それでは、今、御了解いただきました内容で取りまとめをセットさせていただきます。
 以上をもちまして、「ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業」の公開プロセスを終了いたします。貴重な御議論ありがとうございます。
【説明者】  ありがとうございました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  説明をしていただいた俵課長もありがとうございました。
【説明者】  ありがとうございました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、次の「スポーツによる地域活性化推進事業」につきましては、15時10分、開始といたしますので、それまで休憩をお願いいたします。河村委員もありがとうございます。休憩に入ります。15時10分、お願いいたします。
( 休憩 )
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、議事に入らせていただきます。5番目の事業は、「スポーツによる地域活性化推進事業」です。
 初めに、事業担当部局より事業概要の御説明をさせていただきます。説明者は、5分以内で簡潔明瞭に説明をお願いします。また、資料での説明は、ページを示した上でお願いします。
 それでは、事業の概要の御説明、お願いします。
【説明者】  スポーツ庁でございます。よろしくお願いいたします。説明につきましては、15ページの「公開プロセスにおける補足説明資料」を使って説明をさせていただきます。
 1ページめくっていただきまして、スポーツ基本法とスポーツ基本計画ということで、スポーツ庁では、スポーツ基本法と、それを具体化したスポーツ基本計画に基づいて事業ですとか施策を進めさせていただいております。
 17ページへ行きまして、スポーツ基本計画の概要をお示しさせていただいています。
 18ページへ行きまして、スポーツ基本計画では、今後5年間における総合的かつ計画的に取り組む施策12を掲げておりまして、今回の運動・スポーツ習慣化促進事業に関連するものといたしまして、1番の多様な主体におけるスポーツの機会の創出と、5番のスポーツによる健康増進、ここが関連してきます。
 次のページへ行きまして、19ページでございます。今御説明した施策にはそれぞれ政策目標を掲げておりまして、政策目標「多様な主体における」につきましては、国民のスポーツ実施率を向上させ、日々の生活の中で一人一人がスポーツの価値を享受できる社会の構築を目指すということで、下に書かれておりますように、広く国民一般に向けたスポーツを実施する機会の創出ですとか、女性、障害者、働く世代・子育て世代のスポーツ実施率の向上ということで施策を進めさせていただいております。ここについては、成人の週1回以上のスポーツ実施率を70%以上にするということを目標に掲げております。
 次のページへ行きまして、「スポーツによる健康増進」でございますが、ここも政策目標を掲げさせていただいておりまして、地域の多様な健康状況やニーズに応じて、スポーツを通じた健康増進により長寿社会の実現を目指す。また、健康寿命の延伸にスポーツの実施率を通じて貢献するということを掲げさせていただいていまして、下の2つポツで具体的な施策を掲げさせていただいておりまして、1点目が調査研究の充実とか、その利用の促進、2点目が、医療・介護、民間事業者・保険者との連携を含むスポーツによる健康増進ということで、ここでは自治体の行政内部での連携や医療・介護とスポーツの連携による健康増進を促進する、そういったものを政策の目標として掲げさせていただいております。
 ページが飛びまして、23ページを御覧ください。今の御説明した政策目標を踏まえて実施しているのが、運動・スポーツ習慣化促進事業ということで、現状・課題については、誰もが身近な地域で安全かつ効果的な運動・スポーツを日常的に実施するためには、地域の体制整備が必要ということと、そういった取組を、この事業をやって積極的に共有することが必要ということを現状・課題として掲げさせていただいていまして、事業の内容につきましては、地方自治体が行うスポーツを通じた健康増進に資する取組を支援するということで、具体的に支援をしていく取組といたしましては、体制整備ということで、先ほどスポーツ基本計画の施策のところでも御説明したとおり、連携を図る上での体制の整備をしていただくということで、自治体の行政内の関係部署で体制整備、あとは、地域の関係機関とも体制整備をしていただいて、その上で、運動・スポーツを習慣化させるための取組を実施していただいたものに補助をさせていただくというものになっていまして、具体的には、医療と連携したもの、介護予防を目指したもの、あとはスポーツ無関心層、女性、働く世代、そういったものをターゲットにした取組となっております。
 続きまして、大変恐縮ですが、ページを戻っていただきまして14ページでございますけれども、運動・スポーツ習慣化促進事業のロジックモデルをお示しさせていただいております。現状・課題につきましては、ただいま御説明したとおりでございます。あと、本事業の目的につきましても説明したとおりでございまして、本事業につきましては、先ほど御説明しましたように、スポーツ基本計画で掲げる政策目標、スポーツ実施率の向上を通じて健康長寿社会に貢献するですとか、そういった施策目標を実現するために実施しているものでございまして、そういったことから、長期アウトカムにつきましては、スポーツ基本計画の目標と同じく、全国の20歳以上のスポーツの週1回の実施率を上げるということを目標にさせていただいております。
 そういった目標を達成する上でのインプットですとかアクティビティーを左のほうから掲げさせていただいておりまして、運動・スポーツを通じた健康増進の取組の支援、優れた自治体の取組を横展開する取組を促進ということで考えております。そこで、補助金の交付がありましたり、取組事例等の普及のためのセミナーの開催ですとか、事例の作成・公表というものをさせていただいておりまして、この横展開の部分については、加えて今後は、この事業に参加した自治体のみならず、ほかの自治体についても、自治体における取組の拡充ですとか水平展開、事業の継続のための伴走支援というものを今検討しております。具体的には、自治体のほうで適切なKPIを設定するための助言指導ですとか、民間とか大学とか、そういったものとのマッチング支援ですとか、自治体の職員の資質の向上に向けた取組などを想定しております。
 簡単ではございますが、説明は以上でございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、1ページ目の論点等説明シートを御覧いただければと思います。論点の1点目でございますけれども、これまで支援を実施した地方公共団体の取組における課題等を踏まえ、事業成果の検証と今後の事業設計、事業展開の在り方について。2点目は、事業成果検証のための適切なアウトカム、アウトプットは設定されているかが論点となります。
 それでは、外部有識者の皆様から御質問等をお願いいたします。
 堀川委員お願いします。
【堀川委員】  これは補助金ですよね、補助金。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  はい、補助金でございます。
【堀川委員】  国の補助金ですので、やはり戦略的に使用すべきだと考えます。これは基本的に立てつけは、地公体、自治体の意思に合わせるという形かもしれませんけれども、やはり具体的なターゲットを設定して、その目標に向かって誘導するという在り方がやっぱり展開としては重要なのではないかなと。スポーツ実施率を上げるという漠然とした、ちょっと私の見解ですけど、目標ではなくて、スポーツ実施率を上げることで具体的なターゲットと効果を明確にした戦略を持って、スポーツを通じて国民全体の健康を促進し、社会的課題、教育社会的課題ですよね、を、やはり実効性のある政策施策を推進することが重要ではないのかなという考えなんですが、その点、まずお伺いしたいと思います。
【説明者】  御質問ありがとうございます。この事業につきましては、基本的に、先ほど御説明させていただいたように、スポーツ基本計画で掲げる政策目標ですとか、施策の目標を達成するために実施をさせていただいております。戦略的にという御指摘はごもっともでございます。戦略的にということで、まず1点目といたしまして、こういった取組、実施率を向上させるためには、いろんなプレーヤーがそれぞれの役割に応じてスポーツ実施率の向上に向けて取り組んでいただくということでございまして、その一つのプレーヤーとして自治体があるということで、自治体における取組を支援させていただく、それに取り組んだら、それを継続的に実施していただくということが重要であると考えておりまして、継続的に自治体のほうで取り組んでいただくためには、体制をしっかり整えてもらうということが非常に重要だというふうに認識しておりまして、自治体のほうでこういったスポーツを通じた健康づくり事業をやっていただく上での体制を整備するという、そういった重要性がございますので、そこに誘導するということを、まずこの事業では第1点として考えております。そのために体制を整備していただいた上で、ターゲットに応じた、例えば医療と連携した高齢者向けの取組ですとか、介護の目標を目指す取組ですとか、あとは、無関心層として女性ですとか働く世代に向けた取組を実施していただくということを想定しております。やっていただいております。
 こういった取組をやっていただく上でも、自治体のほうでしっかりとターゲットについて設定したものについては、目標を、KPIを定めた上でしっかりと取組をやっていただく、そういった指標を事業の実施前と実施後の前後で設定して取組をやっていただくということを考えております。
 あとさらに、スポーツの実施率の向上ではなく、さらにその上位のものを目標として定めるべきかという御意見かと思いますけれども、それにつきましては、一応私どもでやっているスポーツ基本計画の立てつけが、実施率の向上を通じて様々な目標の解決に貢献するという趣旨でございますので、その目標につきましては、スポーツ基本計画に合わさせていただきました。ただ、ロジックモデルのところで、インパクトということで、スポーツを通じた健康増進による長寿社会の実現ということで、インパクトを書かせていただいております。
 説明は以上でございます。
【堀川委員】  スポーツ庁さんとこういう議論をすると、いつもスポーツ基本計画でそうなんだからという議論が昔からあるんですよね。公開レビューで何度もこういう議論をしていて、ちょっと切ないんですけど、個人的には。その過去の議論――今も私もそう思っていますけど、スポーツというのはやっぱり目的でなくて、スポーツって日本語、漢字でそれは運動、運動するといいますよね。例えば文化庁の文化だったら文化するって言いませんよね。やっぱり運動するというのは手段だと思うんですよね。運動を通じて何か目的を達成する。だから、基本計画が本当にそういう皆さんの解釈になるのかどうかもちょっと――まあ皆さんはプロだからそうおっしゃるんだけれども、じゃあそもそもスポーツ計画はどうなのかなという疑問が湧いてくるわけですし、さらに言うと、その効果、EBPM上、効果と指標から見ると、地方公共団体の取組が、そもそも地方公共団体も、前回、前々回の会議でもありましたけど、採択件数そんなに多くはないし、自治体自体の中でも、限定されたような事業をやっているとなったときに、どの程度その実施率に影響するのかなと。だから、指標と実態が乖離し過ぎていないのかなと。そして、このような大きな目標を設定するならば、前向きに言うと、さらに広がっていくような、皆さんがいう、地公体が目指しているものが広がっていくような制度設計というのはきっと戦略的に必要なんだろうなと。だから、これから他の委員からもあると思うんですが、代表事例とか優良事例方式とかいろいろあると思うんですけど、そういう取組がきっと必要なんだろうなという。
 まずここまでで、どうぞ。
【説明者】  この事業の広がり、目標を達成していく上での広がりという観点で御質問いただきましてありがとうございます。この広がり、この事業でできる件数につきましては、おっしゃるとおり、年間30件ほどですので、全国にある地方公共団体と比べれば少ないものになっておりますけれども、先ほども御説明させていただいたように、この事業でいろいろ取組の実績も積み上げつつありますので、そういった積み上げられた実績を横展開ということで、他の自治体のほうにも波及させるような取組を今後検討していきたいというふうに考えております。
 また、この取組につきましては、自治体の中での広がりという観点もあるかと思いますけれども、自治体の中でも、この事業に参加した人だけではなくて、ほかの方にも波及するような、そういった取組についても、この事業に参加していただいた自治体に対して促すような取組というものを今検討している最中でございます。具体的には、伴走支援事業というものを検討しておりまして、そういったものを通じまして、事業を活用していただいた自治体の中での波及効果、広がりですとか、これから、この事業はやっていないんだけども、この事業を参考にしてスポーツを通じた健康づくりの事業をやっていただくということを、各ほかの自治体についても促すような、そういった取組を実施させていただきたいと今後考えております。
【堀川委員】  それに関してなんですけど、もしかしたら、既に自治体のほうで、当然自治体は一つのターゲットを持って進めていると思うんですよね。それをもし絞り込んでいるのであれば、それを一定程度吸い上げて、やっぱり必要となる方向性を分類していくと、各自治体このエリアだったらこういうことが問題になっていてとか、または、人口が多いところと多くないところでは、やっぱりそれぞれ違う目的があると思うんですけれども、一つの方向性というのはきっと見いだせると思うんですよ。それから、どうしても地公体、自治体の意思を反映したいというのであれば、それに乗っかる前提で、それを分析する前提で、一定程度方向性はきっと見える、それがある意味、スポーツ庁さん、国がやるべき政策の誘導性じゃないのかなと思うんですけど、何も国が最初から決めるんじゃなくて、地方のニーズに寄り添う形で引っ張っていくという、ある意味グルーピング化するみたいなイメージになるかもしれませんけど、そういう検討を――私が言いたいことは、やっぱり国がやる以上は何らかの誘導をしていただきたいという結論です。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。すいません、コメント、もし反応があればお願いします。
【説明者】  ありがとうございます。重要な視点、おっしゃるとおりだと思いまして、そこについては、今後事業を考えていく上で参考にさせていただきたいと存じます。ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  この後、川澤委員、中空委員、そして河村委員の順番でコメントお願いします。まず、川澤委員お願いします。
【川澤委員】  御説明どうもありがとうございました。今、委員との議論の間で、スポーツ実施率の向上というところが最終的なアウトカムになっているというところについての議論がございましたけれども、資料を拝見すると、20ページですか、20ページのところにスポーツによる健康増進の部分で、政策目標で、最後の、「また、健康寿命の延伸に、スポーツ実施率の向上を通じて貢献する。」というふうにありますので、ある意味、健康寿命というところをどう捉えるかというのはあるんですけれども、スポーツ実施率、実施の先にはそういったところが、インパクトなのか、長期アウトカムなのかというのはありますけれども、そこがあっての実施率なのかなというふうに理解をしていたんですが、そういうわけではないんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。委員御指摘のとおりでございまして、最終的に目指すところは、スポーツの実施率の向上を通じて健康寿命の延伸に貢献したりですとか、あと、健康長寿社会に貢献したりですとか、あと、スポーツを通じて国民の皆様に健康になっていただく、そういったことにスポーツの実施率を通じて貢献させていただくという、委員御指摘のとおりでございます。
【川澤委員】  ありがとうございます。そうすると、やはり長期アウトカムとかで、今、全国の実施率ということは挙げていらっしゃるんですけども、そういった健康増進とか、その辺りの文言が入ってきてもいいのではないかなというふうには個人的には思いました。これはコメントです。
 さはさりとて、この事業の14ページのロジックモデルのところで、事業参画自治体における週1回のスポーツ実施率の向上であるとか、継続的な実施ということを見ていくのは重要だと思うんですが、実績として、24ページ等を拝見すると、参画自治体では、成果目標を共通して週1回以上の運動・スポーツ実施率を設定するということになっていると思うんですが、実績がレビューシート上は記載がなかったんですが、これを測っていらっしゃると。全体としての実績を踏まえた上で、事業の次の展開を考えていらっしゃるということでよろしいんでしょうか。
【説明者】  24ページにありますとおり、この事業に取り組んでいただく自治体につきましては、参加者のスポーツ実施率とか、そういったものなどの把握をやっていただいております。そこは、実際の自治体のほうでこういった目標設定が適切になされているかどうかは、スポーツ庁のほうで報告を受けて、毎年度確認をさせていただいています。ただ、これを各自治体の状況を全体として集計して分析するようなことは、現段階ではちょっと行っていない状況でございます。
【川澤委員】  事業参画自治体でも、全体として集計して分析していないということですか。
【説明者】  事業参画自治体ではそれぞれ分析をして、目標を達成しているかどうかの判断、評価はしております。ただ、全国のものをスポーツ庁のほうで集計してまとめていないということで御説明をさせていただきました。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。そうであれば、やはりレビューシート、この重要な長期アウトカム、今の段階での長期アウトカムにつながる重要な指標だと思いますので、きちんと実績を踏まえて分析をして、恐らく、25ページ以降にいろんな事例をつけていただいているんですけれども、その共通項目についての実績というのを踏まえて、じゃあこのそれぞれのモデルの構築というのが、果たして成果があったのかどうかということを、スポーツ庁の視点として分析する必要があるんだと思うんです、今これは恐らく各自治体で上がっている事業成果というのを並べていただいているんだとは思うんですけれども、先ほどもグルーピングというようなお話があったと思うんですが、やはりそれぞれの実績をスポーツ庁の視点で、恐らく共通項目が重要だということで設定されているんだと思って、それぞれの共通項目の分析を通じて、じゃあそれぞれのモデルをどう評価して、今後の事業設計で何らかもう少し、この23ページの必須事項についての枠組みを変更するとか、そういうPDCAが多分すごく重要なので、そうしないと、補助金を各自治体に毎年度、何となくいい取組について補助をして、それが成果として何となく上がって終わっているというふうに捉えられてしまうと思いますので、やはりそのスポーツ庁さんとしての取組が、分析が重要だと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。重要な視点だというふうに考えておりますので、スポーツ庁のほうとしても、自治体からあった報告の事例につきましては、さらに中身について見させていただいて、そういった中身を見させていただく中で、全国的な傾向ですとか、逆に中身を踏まえまして、改善すべき、事業に反映すべき事項については、反映について検討していきたいというふうに考えております。
 また、こういった自治体の成果目標について、ロジックモデルのほうにも記載というお話がありましたけれども、この共通目標の中で、自治体における――あと、今委員から御指摘があった、自治体のほうで長期目標との関係で、アウトカムに入れるべきものがあるのではないかという御指摘があったかというふうに認識しておりますけれども、中期アウトカムのところのKPIの9番、参画自治体における20歳以上の週1回のスポーツ実施率、これは現段階では取っていないものでございますけれども、こういったものも参画自治体については、この事業に参加した人、参加者だけではなくて、自治体全体における20歳以上の週1回以上の運動・スポーツ実施率、そういったものも把握するなどして、今後の事業を進める上で、指標、参考とさせていただきたいと考えております。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。参加者と自治体全体のということの違いなんですね、分かりました。ありがとうございます。ただ、少なくとも共通項目で挙がっているものをこういった事例で横並びで分析をして、その実績の違いが何であるのかというところと、それをこのロジックモデルの中にも反映する、もしくは事業設計に反映していくという、そのサイクルが重要だと思いました。ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、中空委員お願いします。
【中空委員】  ありがとうございます。御説明もありがとうございました。
 まず1つ目、質問からなんですけど、石川県白山市の例が出ています。これというのは、どれぐらいかけてこの事業成果が出たんですか。つまり、認知機能チェックのスコアが改善した者が53%ってすごい改善なんですけど、どれぐらいのタームだったんですかということと、同じような質問で、嬬恋のほうは、働き世代の参加者数233人、目標200人とあって、目標を達成しましたと見えているんですけど、そもそも何人いて、何人の目標になっているかというイメージをつかむとすると、どんな数字を、つまり、働き世代って何人いるんですかって話になるんですけど、この辺からまず教えていただけますか。
【説明者】  まず、白山市の改善した事例でございますけど、一応この事業は1年単位でやっておりますので、成果が出たというのは、1年こういったことをやって成果が出たというふうに把握しております。
 あともう一つ、嬬恋村のほうの働く世代、目標200人に対して233人達成したということでございますけれども、本来であれば、嬬恋村のほうに働いている方が何人いて、そのうち何人捕捉してこういった目標を達成したかという流れになるかとは思うんですけども、ちょっとそこまでは、今手元に資料がなく、把握はしていないんですけど、恐らく、この目標200人というのは、自治体でできる、実際にこういった取組のできる能力ですとか、体制とか、そういった側から、200人だったらできるのではないかということで目標を設定しているものだというふうに――失礼いたしました。嬬恋村の20代から50代の住民基本台帳上の人口でございますけれども、3,694人で、仮に20代-50代の方が全部もし働いていたとするのであれば、3,694人いて、そのうち200人に対してアプローチができているということになるかと思います。
【中空委員】  ただ、今いただいた数字だけだと、5.4%の人たちになっちゃうので、大したプロジェクトに思えなくなってきちゃったというのが若干あるんですね。
 申し上げたいのは、やっぱり各先生もおっしゃっていたんですけど、本来何となくこの事業って、地方自治体が独自でやるべきではないかというふうにまず思います。その上で、国が関与するのであれば、やっぱり幾つものサンプルを出してこなきゃいけないんじゃないかと思うんです。例えば、白山市がやっていたケースでいくと、認知症が改善していくというすごくいいことをやっているので、じゃあ、どういう人に対してどういうことやったらどうなったというのを、やっぱりエビデンスとしては残すべきだというふうに思うんですね。そうでないと、やる意味がないというふうに思います。できれば、これは国としてやったわけですから、こういうことがこういうふうに効果があって、ほかの地域も連携したらどう、こういうことを横展開したらどうとやっていくことが重要なんじゃないかと思うんですね。で、嬬恋のケースでも、この若い世代の人たちにスポーツするようにというふうにやるのであれば、やっぱりどういうふうに横展開をするかを考えなきゃいけないので、やっぱり基本的にはエビデンスを残すこと、それから、1年間かけて白山市のデータが出たという話でしたが、1年でいいのか、3か月に1回出すべきなのか、2年間かけてやるべきなのか、ちょっとその辺はよく分かりませんが、やっぱり継続的なデータベースというのが必要になるんだろうというふうに思います。そうでなければ、選別してお金を国として投下した意味がないというように思うんです。
 なので、スポーツをフックにスポーツ庁が展開するということはよく分かるんですけれども、できればというか、これはやるべきだと思いますけど、アウトカムのほうに持っていくのに当たっては、未病とか健康寿命というふうに結びつけるように、エビデンスを残し、横展開をするということを1枚上乗せするべきではないでしょうかと思います。それがないと、やっぱり行き当たりばったりに1個ずついいね、いいねと1,000万円近いお金を配ることになってしまって、それだけだと、この地域ではよかったねということで終わってしまうんじゃないかと思うからです。なので、希望としては、それを入れてもらうことを期待したいです。
 加えて、アウトカムのところなんですけれども、先ほど、スポーツ基本計画に即したのでアウトカムはこうなっていますという御説明があったんですが、やっぱりインパクトに準ずるような長期アウトカムにはするべきかなというふうに思います。今の長期アウトカムだと、さっき私が申し上げたような、結局、行き当たりばったりに1個ずつやりましたにしても達成できちゃうと思うんですけど、国がお金を出すからには、やっぱり地域でエビデンスを取って、データを取って、改善するということを取って、このプログラムはいいよということを横展開していくということが趣旨、本来であるべきだと思うので、アウトカムについては、もう少しインパクトを踏まえたようなものに変えていくべきではないかなというふうに思います。
 以上です。ありがとうございます。
【説明者】  御指摘、御意見ありがとうございます。
 まず、長期アウトカムについて御指摘ございましたので、これにつきましては、今、委員からございました意見を踏まえて、また検討させていただきたいというふうに考えております。
 あともう一つ、先ほど群馬県嬬恋村の関係で、人数何千人に対して200人ということで、カバー率が非常に低いのではないかという御指摘かと思いますけれども、これにつきましても、今後は、自治体のほうでKPIを立てるときに、どういうふうにKPIを立てたらいいのかというのを国のほうで整理をして、そういったものを示していきたいと考えていまして、その中で、こういった事業をやるときには、参加者が対象に対してどれぐらいカバー率ができているのか、そういったことも考慮して目標を立てるように、そういったものをお示ししたいというふうに考えております。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、河村委員お願いします。
【河村委員】  御説明くださってありがとうございます。やっぱりスポーツは本当に大事だというか、意味があるということは、本当にそういう考え方は共有しますし、国としてぜひ働きかけをやっていただきたいというふうに思います。でも、本当に働き盛りの壮年層だけじゃなくて、お年を召した高齢層、それから子供にとってもそうですよね、それぞれの身体的な意味での健康ということだけじゃなくて、心の健康とかというような意味、それから社会全体の健全化であるとか、地域活性化であるとか。学校現場で何かやっぱり人間関係でいろんな問題が出てきて荒れちゃったり云々というのも、スポーツをやっている子たちというのがいると、全然やっぱり違ってくると思いますよね。すごく自己肯定感みたいなものを持てるし、チームスポーツであれば他人と共同してやるということの実感も得られるし、やっぱりすごく心の意味でも、本当に子供たちにとっても意味があるんじゃないかなというふうに思います。
 ただ、スポーツをやりたいけれども、何かやれる機会がなかなか身近にないな、やりたいけどなかなかできないなと思っている人たちが少なからずいるのも、それが事実じゃないかと思いますので、やっぱりこうやって国がお金も出して後押しする以上は、そういう人たちをできるだけ後押しするような設計にもう少し工夫していただけないかなという問題意識でお尋ねいたします。
 この事業、対象が地方公共団体ということになっているんですけど、もちろんそういうプログラムもあってもいいんですけれども、今申し上げたような話の文脈からすれば、例えば学校であるとか、学校というのは子供たちにとってのみならず、例えば私も身近で見ましたけど、PTAでのいろんなスポーツとかもありますから、そういうときに、昔やっていたこれをやるチャンスが出てきたということで、本当に一生懸命、家事とか仕事をやりくりして練習に行っているお母さんたちも身近にいっぱいいましたし、そういう機会にもなり得ますよね。それから、地域のいろいろスポーツ愛好団体とかもありますし、それを何か地域で束ねている連盟みたいな団体とかもありますし、そういうところ経由で働きかけをするとか、それから職場のスポーツとかというのもやっぱりありますし、業界でリーグ戦組んでやっているみたいな話もありますので、そういったいろんな意味での働きかけ、いろんな経路、チャネルでの働きかけをもっと工夫する、この事業の下に、地方自治体にお願いするというのももちろん1つあっていいと思うんですが、それ以外の対象のところもいろいろ工夫してプログラムつくってやっていくといったことも考え得るんじゃないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。いろんな場面ですとかいろんな機会を通じて働きかけが必要、あと、お子さん、子供のスポーツについても、好きな人もいれば、あまりお好きでない人もいるとか、いろんなことがあって、そういった方々についてどういうふうに――まず、子供につきましては、この事業では対象外になっておりまして、この事業ではあくまでも20歳以上の方を対象としておりますので、一方で、子供を所管する部署がありまして、そこで子供のスポーツに関しては進められているところでございますので、そちらのほうともちょっと連携を図りながら進めさせていただければなというふうに考えております。
 また、働く世代につきましては、Sport in Lifeプロジェクトといったプロジェクトも働く世代を主なターゲットでやっておりますので、そういった事業との連携を図りながら、この事業を進めさせていただければなというふうに考えております。
 説明は以上でございます。
【河村委員】  ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、コメントの記入を進めていただきまして、お済みになりましたら、事務局まで御提出をお願いいたします。取りまとめにまだ少し時間が必要ですので、その間に、さらに御質問等ございましたらお願いいたします。
 堀川委員お願いします。その後、中空委員――中空委員、では先でお願いします。
【中空委員】  本当にごめんなさい、すごくくだらない質問なんですけど、滋賀県甲賀市のケースを見ていて、ちょっと笑っちゃうんですけど、事業成果で、歩数の増加、目標2,000歩以上増加、平均138歩増加ってあって、これはこういうふうに目標に達していませんでしたという事業成果のケースというのは、何か起こるんですか。それとも、この800万円、793万円ですけど、「出しました。以上。」なんでしょうか。つまり、事業成果が出ているところと出ていないところというのは明らかにあるんじゃないかというふうに思うと、先ほど言った、基本的には横展開していけばいいとは思うんですけど、随分と現時点でも成果が違うんじゃないかと思うんですけど。それについて、スポーツ庁で何か意見を言ったり、地方自治体に物を申したりするということはあるんですか。
【説明者】  御質問ありがとうございます。まず、計画段階であまりにもふさわしくない目標ですとか低い目標が上がってきた場合には、これは技術審査委員会という専門の先生に見ていただく場面もございますので、低い目標ですとか、あまりにも適切でない目標については、そういった審査委員会の場ではねられるということになるかと思います。
 また、計画を立てたものに対して、目標があまりにも低い場合につきましては、それも、例えばこの事業、基本的に2年目、3年目ということも、3年ぐらいまでは、1年限りでなくて、2年、次の年も実施する自治体さんもいますので……。
【中空委員】  それは自動的にできちゃう。
【説明者】  いや、一回一回審査が入りますので、前の年の事業の成果があまりにもよくない場合には、次に申請しても採択されない可能性が高まるという。
【中空委員】  では、この滋賀県甲賀市のケースは、されないケースですか、されるケースですか。
【説明者】  この数字だけを見て採択されるされないというのはちょっと判断できないかと思うんですけれども、申請件数が多くて、大きい事案がたくさんある場合には、こういった事案だと採択されない可能性が高いと思います。一方で、申請件数が低く、あまり多くない年であれば、最低ラインとして採択される場合もあるかと思うんですけど、この数字だけを見てこの事業が成功したかどうかというのは、この場ではちょっと判断が難しいというふうに考えています。
【中空委員】  そうですか。事業成果を見るだけで比較すると、やっぱり圧倒的にこの石川県白山市のやつがいいような気がしちゃうんですよね。なので、これはさっき川澤委員もおっしゃいましたけど、横串を通せるようなやり方というのは、やっぱり国として1つ目標はつくったほうがいいのかなというふうには思います。
 以上です。
【説明者】  あともう1点だけ発言してよろしいですか。先ほど委員のほうからエビデンスというお話がありましたけども、スポーツ基本計画の中でも、エビデンスを収集してきっちりと分かりやすく自治体とか関係者に示してやっていただくということが書かれておりますので、この習慣化事業につきましては、そういった観点がもしかしたら少し足りない部分があったかとちょっと思いますので、そこについても、先生の意見を参考にさせていただきながら検討させていただければなと思います。ありがとうございました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、堀川委員お願いします。
【堀川委員】  スポーツ基本計画というのは、実施率を上げる、運動しようということを目的にしているんですか。我々と皆さんの意見とがやっぱり擦れ違っているのはそこなんだと思うんですけど、何かを達成したいということは書いていないんでしょうか。
【説明者】  冒頭、先生のほうから手段というお話があったかと思うんですけれども、実施率を上げることはあくまでも手段であって、そういった実施率を上げることによって、国民の皆様方が、スポーツの価値、スポーツをやるそのものの価値、やることにより得られる価値ですとか、スポーツをやることによって得られる健康増進の価値ですとか、あとは社会課題を解決するための価値ですとか、そういった価値を得るために、国民の皆様方がそういった価値を享受していただくことに貢献をさせていただくために実施率を上げるという、そういった認識でございます。
【堀川委員】  きっと擦れ違わないんじゃないかと思うんですよね、長い昔からの議論。先ほどのスポーツ産業の促進であれば、ある意味スポーツを通じて、国交省さんとかほかの経済産業省とかがやっている事業と関わっていこう、さらに言うと司令塔にまでなろうという。皆さんはこの事業で、ある意味、先生方の御意見聞いていると、厚生省関係のいろんな目的に関わってくるような事業を展開していこうとする。そういう立てつけにすると、基本計画上そごが生じるんでしょうか。そこが基本的に、根本的に擦れ違った原因なのかなと思うんですけれども。
【説明者】  ありがとうございます。長期アウトカムに20歳以上のスポーツ実施率というのを挙げさせていただいた背景でございますけれども、一応、成果目標である以上、これでも非常に高い目標かもしれませんけれども、なるべく実現可能性が高い側に立った目標を挙げさせていただきたいということで、あえて、先生から言わせますと手段になってしまうのかもしれませんけれども、そういった手段の部分についてを目標として掲げさせていただいております。ただ、おっしゃるとおり、これはあくまでも先生が言われる手段であって、目指すところは、このインパクトのところで書かせていただいているように、スポーツを通じた健康増進による健康長寿社会の実現、そういったことを目指すというところでございます。
【堀川委員】  ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  では、コメントを堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  ありがとうございます。本件事業は、地方公共団体と様々な関係者が連携し、住民のスポーツ実施と健康増進を促進することでスポーツの価値を広く国民に享受できる社会の構築を目指していますが、各委員からの意見を総合すると、幾つかの重要な課題が浮き彫りになります。
 そこで、取りまとめコメント案ですけれども、まず、事業の設計、立てつけということで言えば、子供、壮年層、高齢層それぞれにおいて、身体的な健康のみならず、心の健康、社会全体の健全化、地域活性化という意味でも、スポーツの意義は大きい。国として、そのための働きかけをする対象が果たして地方公共団体でよいのか、再考する余地がある。スポーツをやりたい、でも、やる機会が身近にないと潜在的に思っている人は少なくないと思われる。スポーツは、場所、仲間、機会があって初めて長続きさせられるものであり、やりたいけれどもなかなかできずにいるという人たちにターゲットを絞った政策運営を工夫することが望まれる。
 具体的には、学校、子供たちにとってのみならず、PTA経由等で親にとっても地域スポーツに参加する緩い機会となり得るような、また、地域のスポーツ愛好団体やその地域連携団体、職場等経由での働きかけも強化することが望ましく、対象カテゴリー別のプログラムを本事業の中で設けてはどうかという立てつけ自体についての御意見をいただいております。
 さらに、効果ということで複数の委員から御意見をいただいていまして、事業の効果及び指標の設定、ロジックモデルに関する話として、まず1つ目は、KPIとEBPMを徹底するためにデータを取り、その効果が横展開できるようにお願いしたいと。また、アウトカム、インパクトは、予防、健康寿命の延伸に関することを踏まえるべきだと考えるということです。
 それとさらに、本事業に参加した地方公共団体レベルのみならず、全国レベルでのスポーツ実施率が長期アウトカムに設定されており、これについては、妥当であるという意見もいただいております。
 次に、事業の執行という方向性で言えば、補助金交付自治体の共通目標を横並びで比較分析し、スポーツ庁として有効であると考える取組をカテゴリー化して、事業の枠組みを再検討するなど、事業設計のサイクルの見直しが必要である。
 同じ意見として、やはり戦略的に絞り込む戦略が必要であり、多くの自治体で絞り込みができているのであれば、それが明白となるよう、その共通項でまとめてグルーピング化して、横展開すべきであるという事業の執行についての御意見もいただいております。
 以上の点を踏まえ、本件事業の質と効果を高めるために、これらの課題を克服し、戦略的な事業の実施を目指していただきたいということでいかがでしょうか――大丈夫ですか。ありがとうございます。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。それでは、今御了解いただきました内容で取りまとめコメントをセットさせていただきます。貴重な御議論をいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、以上をもちまして、「スポーツによる地域活性化推進事業」の公開プロセスを終了いたします。御説明いただきました和田課長、ありがとうございます。
 次の「大学の世界展開力強化事業」については、16時15分開始といたしますので、それまで休憩とさせていただきます。では、16時15分再開ということでよろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、議事に入らせていただきます。6番目の事業は、「大学の世界展開力強化事業」です。
 初めに、事業担当部局より事業の概要を説明させていただきます。説明者は、5分以内で簡潔、明瞭に説明をお願いします。また、資料での説明はページを示した上でお願いします。
 それでは、事業概要の説明をお願いします。
【説明者】  それでは御説明させていただきます。
 本事業ですけれども、我が国にとって重要な国・地域の大学との間で、質保証を伴った連携学生交流を戦略的に進めて、国際通用性を備えた質の高い教育を実現するとともに、日本の大学教育のグローバル展開力を強化して、ひいてはグローバル人材の育成を目指すものでございます。優秀で志のある学生の国境を超えた交流の基盤として、大学の国際化を促進することは極めて重要というふうに考えておりまして、本事業ではそれに資する取組として実施しているものでございます。
 各事業いずれも5年間を事業期間としておりますけれども、令和6年度の予算額は、5つの事業で計13.4億円となっております。
 ロジックモデルの資料のほうは、11ページを御覧いただければと思います。アクティビティからアウトプット、初期・長期のアウトカムというふうに記させていただいておりますけれども、アクティビティとしては、質の伴った学生交流プログラムを構築して、大学内の受入・派遣の体制を整備するというものでございます。
 これによるアウトプットとして、プログラムに参加する日本人学生の海外留学や外国人留学生の受入れの機会が増えるとさせていただいています。これに関するKPIとしまして、KPI①で交流プログラムの件数を提示させていただいています。
 このアウトプットから出てくる初期のアウトカムとしまして、プログラムに参加する日本人学生の海外留学と外国人留学生の受入数が増加するとしまして、KPIの②として、この採択プログラムにおける日本人学生の海外留学経験者数、それから外国人学生の受入数の合計というのを入れさせていただいています。
 最終的にはこの長期アウトカムとしまして、3点挙げています。日本の大学全体の国際通用性の向上、学生の成長を実現する教育力の向上、それから、これは内閣府の中、直接官邸の中に置かれました、J-MIRAIというふうに教育未来創造会議のほうで掲げました目標があるんですけれども、この留学生受入れ40万人、日本人学生派遣50万人という目標達成に貢献するものとして、3つ目のアウトカムを提示させていただいております。それぞれに③、④、⑤としましてKPIを加えているところです。
 続きまして、グッドプラクティスをぜひ御紹介させていただければと思います。30ページから33ページのところに3つ、これまでの好事例を御紹介させていただいています。
 1点目、豊橋技術科学大学です。これは宇都宮大学、千葉大学との連携の下で、情報知能工学分野で、ヨーロッパの3大学、フィンランド、ベルギー、フランスの大学と修士課程のプログラムを構築して、これら日欧の各ホスト機関4大学の中から、3つの大学からの学位取得が可能な、トリプルディグリープログラムというものになっています。昨年度に補助期間というのは実は終了しているんですけれども、これは自己資金によって現在も自律的に運営を継続しているだけではなくて、さらにEUのエラスムス基金も現在視野に入れながら、そういった活用を仕組みづくりというのに動いているという意味で、一つの事例として御紹介させていただきます。
 それから、次のページを御覧いただきますと、立教大学のプログラムでございます。こちらは東アジア、中国、韓国、シンガポールのトップレベルの大学と国際コンソーシアムを構築しまして、リベラルアーツの高度化に向けて、質の保証を伴った中長期の交流を推進するという内容です。1セメスターの間に2つの大学、合計20単位相当以上を履修するという、なかなかハードな内容なんですけれども、短期ではない一定の期間の派遣、それから複数国での連続派遣留学という点で、特徴がある事例として御紹介させていただきます。
 それから次のページです。秋田大学と九州大学のアフリカにおける事業です。資源開発学など日本の強みを活用して、我が国の高等教育の国際通用性の幅を広げるという事業になっています。秋田大学と九州大学ではカーボンニュートラル社会実現に向けて、鉱物資源のポテンシャルの高い南部アフリカの諸国との連携によって、情報工学と資源開発というのを組み合わせた、スマートマイニングを実践できるグローバル人材の育成を推進しています。
 このように、本事業ですけれども、各大学の強みや特色を生かしたプログラムの構築を財政支援することで、我が国全体の国際教育とグローバル人材の育成を推進しています。
 御説明は以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは1ページにお戻りいただきまして、論点等説明資料を御覧いただければと思います。1点目としては、目的を達成する上で、事業の実施方法が効果的なものとなっているか、2点目として、事業成果検証のために適切なアウトカム、アウトプットは設定されているかが論点になります。
 それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  ありがとうございます。すみません、今さらなんですけど、この国際通用性というのはどういう意味だと。ググってみたんですけどちょっとよく分からない文言が並んでいたんですが、ここで言う国際通用性というのはどういうことなんでしょうか。
【説明者】  御質問ありがとうございます。まさにここで言っている国際通用性は、質の保証を伴った形で、学生の派遣、それから受入れができているかどうかという点にもう尽きると思います。
 これまでもちょっと何度か御説明させていただいておりますけれども、学生を交流させ、受け入れ、派遣するに当たっては、単位互換の調整ですとか成績とか評価とか、いろいろな世界の大学との調整というのが必要になるわけですけれども、そこが非常に日本独自のものであった場合に、なかなか国際的には互換性がなかったり、国際的には通用しない場合があるわけです。それを世界の大学と調整しながら、まさに質の高いレベルで学生を受け入れ、送ることができているかどうかというところで、国際通用性という表現を使わせていただいています。
【堀川委員】  これまでもこの留学については公開レビュー等でも取り上げられて、分かりやすく言うと、ただ単に留学する、ただ単に留学生を受けるだけでは、国がやるべき事業じゃないんじゃないか。
 各大学、私立大学とかは独自の留学制度を持っておられると思うんですけど、国がやる以上はその見返りを求めるべきだということを、過去何度もやっていますけれども、ここのKPIを見ると、KPI2とかは、もう単純に行った数、受け入れた数、長期アウトカムになると国際通用性ということで、どっと何かイメージが変わるんですけれども、ここの間に非常に大きな溝があるように感じるんですが、これはどういうふうに理解すればいいでしょうか。
【説明者】  アウトプットのところでは、まさに数というところを入れさせていただいていますけれども、最終的にその国際通用性が広がるという点については、すみません、ちょっとプロセスが若干端折られているところがあるのかもしれませんけれども、各大学の中で今申し上げたような形で、しっかりと世界との互換性、通用性を持ったプログラムというのを、一定の交渉なりのそういったものを全部経てつくり上げるというプロセスが不可欠ですので、そういった経験の中で質の高い通用性のあるプログラムというのがつくられると思っています。
 それが、いきなり長期のところで、じゃ、日本の大学全体の国際通用性というところに飛ぶというところには、ちょっと説明し切れていないところがあるんですけど、例えば今これに参加している各大学の先生たち、職員の方々というのが、やっぱり国内のマーケットの中で、最終的にはこれはまた流動していくわけです。
 そうすると、こういうところで経験を積まれている先生たちが、またほかの大学に行って新しくそういう取組を、これまでの経験ですとかネットワークを生かして始めるということもありますし、またここで培われてきたグッドプラクティスというものが、またこれに追随しようとする大学たちは、いい意味で部分的にまねるということがあってもいいと思うんですけど、やっぱりまねてつくっていく。そういう中で全体の国際通用性につながるというふうにさせていただいています。
【堀川委員】  これまでの説明では、例えば23ページになるのかな、23ページ、24ページ25ページ、ヨーロッパ、アメリカ以外のアジアとか、はたまたアフリカとかインドとか、これから伸びそうなエリアですけど、ただ一方で、留学のカウンターパートとしては今まであまり多くなかったところを重点的に対象として戦略的にということで、だからなかったので数を増やすという戦略があってもいいじゃないかというような説明を、私は受けたように理解しているんですが、それは間違いないんでしょうか。
【説明者】  はい。間違いないです。
【堀川委員】  そうですか。そうすると、そういうエリアはあまり数がなかったから数を増やそうという一つの戦略として初期アウトカム指標があるという前提に立ったとしても、これまでの議論の中で、やはりただ見望を広げるだけでは大学全体の通用性には寄与しないだろうという議論があったと思うんです。やはり留学を国がやる以上は、今回期間的に中短期に集中していますけど、やはり長期留学をして学位取得は可能な状況に持っていって、目に見える学位取得などの成果を成果指標にすべきじゃないかと。
 現に先ほどのグッドプラクティスで、そういう例を出されているんですよね。だからそれは本当にレアだから指標にできないのか、そうじゃなくて、そういう指標に持っていけないのかという疑問が出るんですけれども、それについてお答えをお願いします。
【説明者】  御質問ありがとうございます。先日の勉強会でも先生からそのような問題意識をいただきまして、今回お示しをさせていただきましたのが3つの事例でございまして、それぞれ31ページの豊橋技術科学大学、32ページの立教大学、33ページの秋田大学のものになってございます。
 豊橋技術科学大学につきましては、こちらは長期のプログラムになってございまして、説明申し上げたとおり、トリプルディグリーのプログラムになっています。ほかにもダブルディグリーのプログラムであるとか、長期の学位取得を目的にしたプログラムは多くございます。
 他方で先生が今問題意識としておっしゃっていただいたものというのが、グッドプラクティスとしてお示しした、33ページのアフリカのプログラムになるのですけれども、やはり中長期のプログラムをアフリカのようなところでやるというのは、なかなか今現状においては難しいと思う。
 他方で留学生交流、さらなる教育研究交流の裾野を広げるという観点からは、やはり学位取得まではいかなくても、短期のものでもアフリカとのプログラムを行うのは重要だろうということで、こちらのプログラムは中長期的なところを重点に置きながらも、こういったそれぞれの戦略的な国・地域との裾野を広げるような取組として、ショートのプログラムも入れ込んでいるものでございます。
 先生のお考えでいらっしゃるところに関して何ら異存はございませんけれども、そういったバリエーション、裾野を広げるために、幾つかのメニューを御用意しているということで御理解をいただければと思います。
 以上です。
【堀川委員】  そういう答え方も当然あるとは思うんだけれども、逆に私に対する前向きな答えとしては、アジアだったらシンガポールとか、ある意味日本より非常に優秀な大学はあるわけですよね。またインドだってすごい大学がそろっているわけだから、そういうところについてはそういう事例を基に。こういうシンガポール国立大学ってありますけど、前向きに指標の設定をしようという答え方もあると思うんですけれども、それについてはどういう御意見でしょうか。
【説明者】  すみません、質問の意図がちょっと今。ごめんなさい、もう一度お願いできますか。
【堀川委員】  すみません。アジアとインドであれば、優良事例として取り上げている、学位の取得とか様々な効果があるという例があるわけだから、同じように横展開して、その部分については指標として、学位取得率とかは展開できるんじゃないでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。まさにその学位取得率というと、ジョイントディグリーとかダブルディグリーという、相手方の学位も取るということを要件づけてしまうことになるというふうに考えています。
 ここに関しては、私どもは必ずしもそこはマストであるとは思っていませんで、大学がそれぞれの戦略の中で、ダブルディグリーなりジョイントディグリーというものを求めたいということであれば、もちろんそれはぜひというお話はしますけれども、そうではない形でのいろいろな交流というのが、またそれぞれの大学の特色なり戦略を生かす形であってもいいのかなというふうには考えています。
 最初の点の留学期間に関しては、一義的には私たちも、できれば中長期というのを推奨したいと思っていまして、そこに関しては前回も御説明したと思うんですけれども、そういう形をできるだけ推奨するような形で、募集要項の中でうたったりさせていただいています。
【堀川委員】  まさにそういう議論も過去にしているんですよね。結局各大学の留学に乗っかって後押しするような支援でいいじゃないかという議論に対しては、それだったら各大学独自に資金で留学制度も持っているのに、それに上乗せするだけじゃないかという議論も過去にされているんですよ。国がやる以上は、やっぱり目に見える成果を求めるべきだし、高いグレードに後押しするような事業展開すべきだという議論を現にしているので、ちょっと今のようなお答えについては、やっぱりそういう厳しい意見しか出てこないんですけど、いかがでしょうか。
【説明者】  そうですね。例えばダブルディグリーにつきましては実は、文科省の調査の中でその数を調査してございます。私の手元にある資料ですと、平成29年度は189の大学でダブルディグリーのプログラムを導入していたんですけれども、これが令和3年度の最新の数字ですと217大学ということで、増えているんです。やっぱり展開力強化事業でダブルディグリーを進めるとか、ジョイントディグリーを進めるとか、そういった形で、国として後押しすべき施策を相当程度様々なところで予算も伴う形でアピールしていますので、その結果として、ダブルディグリーのプログラムが増えてきているものというふうに考えております。
 以上です。
【堀川委員】  だからそういう指標をエリア限定でも取り入れたらということを、まず意見です。もうこれ以上同じ議論をしても。
 次に、それで前向きに、私の提案なんですけれども、先ほど大学独自で留学制度も持っていますよね。それはある意味資金的に限界があるので、限定的だから、結局短期にならざるを得ない留学生も多いと承知しているんですけれども、本来もしこれを長期にプッシュする、それもアフリカも含めてやるとしたら、学生から見たら、やはりアフリカとかそういうところに長期で行くというのは勇気が要ると思うんです。そうすると、まず短期で経験したという経験がやっぱり重要になってくると思うんです。
 そうすると、やはり短期、すなわち各大学がやっているような独自の留学制度と連携するということも、一つあっていいんじゃないか。あえてそういう連携している大学を優先的に採択しますというような公募要領にしておけば、結局各大学もそっちにインセンティブとして誘導されていく。こっちは長期でいきますよ、国だからと、そういう積極的な展開も検討して――これはもう検討ですから、御意見はいいです――いただきたい。
 さらに言うと次に、まさに優良事例、グッドプラクティスの中に、留学後の学生が国際的に活躍している、すごいなと思ったんですけど、そういう事例も出していただいていて、やはりこの事業の効果、評価、指標というのは、まさにそういうところで活躍しているかどうかなんだろうなと。
 まさにアフリカなんていい事例になると思うんです。アフリカに行って、アフリカで活躍している事例ですから、普通なら厳しいようなところもきっとあると思うんです。そういう成果を指標として持っていくというのが、この事業の本質的な目的になるのではないかなという意見です。何か御意見あれば。
【説明者】  ありがとうございます。最初の学内連携についてはまさにおっしゃるとおりで、これはすみません、要件化していませんけど、ほとんどの大学において、かなりいろんなプログラムが中で連動されているというふうに認識しています。事実、ちょっと今日御紹介していませんけれども、かなりの大学において、こういったプログラムに採択されてこういったプログラムをつくっていく中で、このプログラムに乗る学生だけではなくて、全体の留学生が徐々に年々、この波及効果もあって増えているという話もありますし、その中には当然短期プログラムみたいなものもあるわけです。
 ですので、そういったところを当然大学としてはいろいろ連動させながら、どうやって大学全体の留学プログラムというのを充実させるか、大学全体として学生にいろんな多様な機会を準備していくか、与えていくかというところは、御苦労されているんだなというふうに理解しています。
【堀川委員】  最後に1点だけ、補助事業の対象となっているのは、人件費が割と大きい部分なので、事業の継続性の観点から、この補助事業――でいいのかな、それがなくなった後も継続できるような出口戦略は、十分検討していただきたいということで終わります。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 この次に河村委員にお願いしまして、その後、中空委員、川澤委員でお願いいたします。河村委員、コメントお願いします。
【河村委員】  御説明くださってありがとうございます。今日はちょっといい事例とかも御紹介くださって、かなりこの事業に関するイメージが湧きました。結構やっぱり力を入れてやっていらっしゃる、いい事例があるんだなということがよく分かりました。
 でもただ、さはさりながら、今の質疑応答を伺っていても出ていたんですけれども、中にもう少し交流レベルに近いようなものもおありにもなるようですし、やはりそこら辺をどういうふうにそれぞれのニーズをつかまえながら、効果的に補助金を使って後押ししていくかというところが、課題なんではないかなというふうに思います。
 その意味で、ちょっとまず1つお尋ねしますけれども、最初11ページのところで、ロジックモデルと、それからいろんなアウトカム指標をお示しくださったんですけれども、最終的な長期アウトカムのところで、日本の大学全体の国際通用性の向上ということで、これは単位互換を実施する大学数を入れられたと。2番目が学生の成長を実現する教育力の向上というところで、これは外国力基準のところで取られるというところ。それからあともう一つ、J-MIRAIに掲げる目標。留学生の受入れとか、それから日本から出ていくほうの数の目標ということで掲げられているんですが、この2番目の教育力のところ、指標を入れてくださったのはいいと思うんですけれども、さっきの質疑応答でもちょっと話が出ていたんですが、やっぱり外国力の基準だけでいいのかなと。
 それで、やっぱり学位を取られたりとかということで、ダブルディグリーとかの話もありましたし、そういうプログラムがそれなりにあって成果を上げているところもあるようですので、そういったところもやっぱりKPIに加えていただくことができないものか。だから必ずしも学位を取得することを目的としていないような、そういう実際のプログラムもあるというような話が先ほど御説明がありましたので、であれば、やっぱりこの事業の中での支援する対象も、少しカテゴリーを分けて支援するような形で、それでそれぞれ長期アウトカムを把握していくような形にできればいいんじゃないかなという気もするんですが、まずその点についていかがでしょうか。
【説明者】  御質問ありがとうございます。まさに本当におっしゃるとおりだと思うんです。語学力だけで学生の成長を実現する教育力というところを表せるとは全く考えていないんです。ただ一方で、まさにこの留学の効果とか学習の成果という定性的なところを、どういうKPIという形で、それも統一的な形で表現するかというところに関しては、非常に難しさを感じています。
 ですので、大学のほうには、それぞれの考え方の中でもちろんこういう語学力というのは1つの共通のものとして設定はするんですけれども、これに限ることなく、いろいろと出せるところをぜひ出していただきたいというふうにやっておりまして、実際個別の成果を見ていくと、すごく多様なものがあります。
 例えば、ちょっとだけ時間をいただいて申し上げると、先ほど、1学期の間に複数の大学を回るというプログラムの御紹介もしましたけれども、やはり複数の大学を回ることによって、1か所への留学だけではなくて複数留学することでむしろそこを比較できて、より客観的に自分の海外における経験というものを感じて、考えて、帰ってくるということが非常に大きな点だというお話も、現場のほうからいただいていますし、あとは、例えばこの学生が交流するプログラムの中で、むしろ学生が主体となったワークショップみたいなものをシリーズで開催して、さらにその学生たちの中でも役割を毎回毎回変えさせて、いろんな立場を多国籍の中で経験させるということをやる中で、主体性ですとかダイバーシティーマネジメントみたいなものを学んでいるという例もあって、そういう本当に各大学相当考えてしっかりやっていただいているんですけど、その定性的なところを画一的に、ちょっとこのKPIとして表すのは非常に難しいというところがございましたので、今回はここに関するKPIは、分かりやすいその語学力というのを1つ、外国語力基準というのを入れさせていただいておりますけれども、考え方としてはもう委員御指摘のとおりでございまして、ぜひまた何かいいアイデア、御助言等あればいただきたいと思っています。ありがとうございます。
【河村委員】  御事情分かりました。問題意識もよく分かりましたので、やはりちょっとこちら側もそんな簡単にはなかなかアイデアが出てきませんけど、引き続き御検討いただければと思います。
 あと、もう1点御質問は、経費の使途のところなんです。今回の資料で23ページから25ページにかけて、経費の使途がどう変わってきているかということを経年でつけていただいて、もう年を追うごとに赤い棒――これは旅費ですよね――がぐいぐいと乗ってくるのが本当に目に見えて分かって、これは大変でいらっしゃるなと本当に。
 23ページのところであればほとんどなかったのが、これだけ乗ってくることになると、やっぱり旅費のほうにこれだけ取られてしまうとなかなかおつらいところが、すごく各大学さんおありになると思うんですけれども、じゃ、かといってそこの分をそう簡単に国費で上乗せというわけにも、それもなかなかいかないところだとは思うんですが、その辺りも含めて、この事業は結局最終的にはやっぱり自走する、自分の足で立って続けていくことができるようにすることが目標になっていると思いますけど、そういったことも含めて、どういうふうに今後この事業を運営していかれるか、お考えをお聞かせいただければと思います。
【説明者】  ありがとうございます。まさに悩ましいところで、最近物価の高騰ですとか、それから燃油サーチャージ等の高騰で、非常に旅費全般が圧迫しているという状況が、実はこの事業に限らないんですけれども、特に日本人の派遣ですね。派遣するに当たって、現地での滞在費等も相当、もうそもそも円安の以前の物価水準の推移の違いの中で、顕著になってきています。
 これは先ほど一番最初の御質問の委員のほうからも御指摘があったとおり、まずは人件費が一番やっぱり大きい部分で、それは人件費というところでこういったプログラムを構築し、海外と交渉し、まとめる人材を育てていくというところが、非常に重要な部分ではあるんですけれども、そういうところがこういった、その他別の経費で圧迫されていくことについては、私どもは正直ちょっと悩ましいところです。
 何とか大学の現場がこういったプログラムを回しやすくなるような支援をしていければというふうには考えておりますけれども、場合によっては、大学においては交流人数の規模を縮小せざるを得ないようなことも、現実的にちょっと起こってきているやに話は聞こえてきていますので、また何とかそこをちょっと検討してまいりたいと思っています。
【河村委員】  ありがとうございました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 次、中空委員、お願いします。
【中空委員】  御説明ありがとうございました。とても分かりやすかったです。幾つか、私が聞き逃したか、聞いていなかったのか、質問をまずさせてください。
 1つ目はアウトカムのところ、どこでしたっけ、アウトカムのページ、11ページのところにある、令和6年度の各KPIの目標が○○になっているのは、この○○は何ででしたっけ。何かあるんでしたっけというのが1つ目です。質問です。
【説明者】  よろしいでしょうか、すみません、途中で遮ってしまって大変恐縮です。こちらにつきましては目標値を取ることになっているんですけれども、令和6年度のプログラムについては、今審査のプロセスにあります。そのため、ここのところが入力できないというような形になっております。
 以上です。
【中空委員】  そうなんですね。ざっくりとしたイメージというのはもうお持ちなんですか。何か言える範囲のことってありますか。
【説明者】  予算の範囲内で採択される件数も審査のプロセスで変わってきてしまうところと、あとは、申請ベースのプログラムになりますので、それぞれの申請の中でどれぐらいの人数が目標として設定されているのかというのは、やっぱりちょっと分からないので。
【中空委員】  分からない。
【説明者】  そこを積み上げた数字をここには入れる予定としておりますので、計上できていないというようなところでございます。
 以上です。
【中空委員】  なるほど。そうしたら、じゃ、そのうち入るということなんですね。
【説明者】  そうです。
【中空委員】  日本人の海外留学者数と外国人留学生受入数というものがKPIの5にあります。令和3年度の29.4万人から、15年度には76万人と。あとJ-MIRAIに掲げる目標達成というところの合わせて90万人というのと考えると、何か結構現状から比べると果てしなく大きな数字になるわけなんですが、このプログラムについては、でも何か成功事例を見ていても15人とかそういう単位の話。この乖離幅というのをどれぐらいこれでバックアップできるのか。かつ、これで目標達成、貢献って、それは1人でも2人でも貢献は貢献なんだと思うんですけど、どれぐらい貢献するのかというのがないとアウトカムとしてはどうなのかなというふうに思います。
 それからあと、そもそも大学というのは、自分の力で本来は世界展開力の強化もしてもらわなきゃいけないところだと思うんです。ほっておいてもアメリカの大学みたいに、日本からはあまり行かなくなったと言われていますが、世界の人たちがやっぱりアメリカの大学に行きたがるというような構造を日本でも、本当はつくりたい。で、そこに持っていきたいということだと私は信じているんですが、そこに行かれないので、こういう国の仕組みとして、お手伝いしましょうというふうに見えているんですけど、それはそういう発想でいいんでしょうか。
 もしそうだとするとなんですけど、何があったらこれはやめていけますか。豊橋技術科学大学の好事例で、独立して自力でやっていくんですよなんていう御説明がさっきあったと思うんですが、どういう状態になるとこういったプログラムが必要じゃなくなるとお考えか、そこも教えていただきたいなというふうに思います。
 あと、細かい話ですけど、経費のところで、入ってくる、向こうの方々に対しての資金というのはここに含まれるんでしょうか。日本から行くだけの経費ですか。両方入っているのかどうかということ、その辺についてと、あと、このプログラムに応募する人たちというのは、個々人の支払いというのはどれぐらい残っているのか。この辺はちょっと簡単な質問になりますが、お答えいただければと思います。
 取りあえず以上です。
【説明者】  ありがとうございます。ちょっとたくさん御質問いただいたので、後ろのほうから申し上げていくと、経費がまずアウトバウンドとインバウンド、両方入っているのかという点については、両方入っています。そのプログラムの内容が基本的には学生の交流になっておりますので、両方入っています。
 それから個々人、学生が自己負担する金額は幾らかというところ、これはもうまさに大学のプログラムによります。基本的に私どものプログラムは、学生を直接支援するところは認めていなくて、ちょっと前も御説明したと思うんですけど、全経費の30%までは学生支援経費は入れていいんですけれども、学生に直接渡すのはNGにしていまして、学生さんの渡航する、例えば飛行機代とかホテル代を、大学がちゃんと立て替えて支払ったりする分にはオーケーですけど、あとは、基本的に学生に奨学金のような形で渡すということは一切認めていません。
 ですので、場合によっては、多くの場合は例えば渡航費の一部もしくは全部とか、滞在費の一部とかを大学側が支援しているという場合もありますけれども、例えば現地における生活費とか滞在費のいろんな活動費みたいなところに関しては、それなりに学生さんの自己負担というのは生じているんじゃないかなというふうに推察しています。
【中空委員】  ごめんなさい、そうしたら、例えばですけど、ボツワナ大学から来ている学生さんに秋田大学がお金を出しているという格好ですか。
【説明者】  留学生の宿舎等を例えばもしかすると大学が準備して、例えばいっときの滞在の分なのか分かりませんけど。
【中空委員】  じゃ、このプログラムは向こうの大学は一切払っていないんですか。
【説明者】  いえ、そうとは全く限りません。各大学の交渉の中で、相手大学が負担している部分もあると思いますけど、それはここには一切見えてこないということになります。
【中空委員】  見えてこない。
【説明者】  これは私どもの補助金、お渡ししている金額に限定されます。ごめんなさい、そういう意味ではアウトバウンドとインバウンドの、要はこの補助金で支弁している分は全部示されていますけど、相手のパートナー大学が負担している金額は一切ここには見えてきません。
【中空委員】  そうですか。
【説明者】  実績報告書という形で補助金の使途というのは確認をすることができるんですけれども、パートナー大学がこの事業のために幾ら払っているかというところまでは求めておりませんので、我々としてはその状況を把握できていないというようなところでございます。
 他方でエラスムスの例が挙がってございますけれども、何らかの枠組みの中で参加している場合については、エラスムス側からマッチングファンドのような形で必要な予算が拠出されている場合もございますので、必ずしも日本の大学だけが経費を負担しているというような形ではなくて、やはり自走化というところを見据えたときにはそういったところも審査の観点として、しっかり担保しているかどうかというところも確認をしているところでございます。
 以上です。
【中空委員】  ありがとうございます。今はそうじゃないかもしれないですけど、将来的には、日本の大学がみんな来て来てというためだけじゃなくて、向こうの大学にも来て来てと言われたいと考えると、やっぱり応分にお金は出ていなきゃおかしいなというふうに思います。なので、こういったものができてくると、応分な負担ができているということが分かるとうれしいなというふうには思います。
【説明者】  ありがとうございます。そうですね。どうなったら自立するかという質問ともこれは関係するんですけれども、まさに日本だけが常に何かお金を払っているんじゃなくて、世界各国にも負担してもらうというのは極めておっしゃるとおりだと思っています。
 実は過去の世界展開のプログラムでもそうですし、今ある例えば一部もそうですけれども、これは政府間がそれぞれ後ろにいて、各国政府がその学生の交流部分を支援するということがお約束になっているプログラムというのが実は世界にいろいろありまして、そういうものに日本の大学が参加したいと思っても、日本の政府が、いや、そこにお金を一切入れませんと言うと参加できないので、そういった場合、我々がこういった予算要求をして、この世界展開力のプログラムとして支援させていただいている例も、実はいろいろあります。
 これはまさに世界のネットワークの中に、どう日本の大学が入っていくか、どうやって日本のネットワーク力をつくっていくかというところにすごく絡んでくる部分ですので、私どもとしては積極的にできる限り、そこのネットワークがしっかりした将来性のあるものであれば、応援していきたいというふうには思っていますので、単独に見ていくと、どうすれば自立するんだというお話はそれぞれあるんですけれども、全体で見ていくと、やっぱりそういう国際的なネットワークの中に日本として入っていく意味というのは、一定程度あるのかなと考えています。
 一番最初の76万人云々の達成の貢献のお話ですけれども、このJ-MIRAIで言われている派遣50万人、受入れ40万人、この高等教育の部分が実は38万人、38万人なので76万人なんですけど、これを全部この展開力だけで支えるというのも明らかに無理ですし、全くそういうことはちょっと想定はしていないんですけれども、やっぱり一つのドライビングフォースとしてこういうものがあって、ここから各大学の中だけではなくて、日本の大学全体に波及していく、裨益していくという役割は極めて大きいのかなと思っています。
 ちなみに過去10年間、2011年から22年のこの世界展開力で、派遣が2万4,000人、受入れが2万2,000人おられました。なので、それぐらいの規模がトータルで、単純に平均してしまうと年間2,200から2,400ということになるわけですけど、それぐらいが動いていくのが一つの種になって、先ほど申し上げたように、大学の中でもやっぱりそれを見て留学しようという学生たちが増え、あの大学はいい大学だからもっと送りたいという海外の大学も増え、またそういうネットワークの中に入ることで、その日本の大学にもっと送りたいという方々も増えてくるということを考えています。
【中空委員】  よく分かりました。ありがとうございます。そうするとアウトカムとしては、例えばそのJ-MIRAIに貢献するために、そういったネットワークが何十個あるとか、何百個あるとかというのができてくると、より理想的なような気がします。ありがとうございます。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございます。
 それでは、川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  御説明どうもありがとうございました。今までのほかの委員の先生方とのやり取りの中で、いろいろと理解が深まった部分もあります。で、長期アウトカムの教育力の向上というところで、先ほど外国語の基準だけではないものというようなお話がございました。私もそこは非常に重要だなというふうに思っておりまして、そこは一律ということはなかなか難しい一方で、ダブルディグリーですとかいろいろな形で、局所的な効果というのを説明できるんだとは思います。ですのでそこは、参考指標というふうになるかもしれませんけれども、やはり多面的に表現していくというのは重要だと思います。
 その一部として、例えば28ページに、教育プログラムの構築による研究との相乗効果というのがございます。もともと国際ネットワークをお持ちの、例えば特定の研究者の方だったりとか、学校間、大学間でのそもそものネットワークを持っているから、プログラムができるということがあるんだとは思いますけれども、やはりそのプログラムをきっかけとしてさらに研究についてもネットワークが強化された、相乗効果があったということは、恐らく研究力の向上、教育力の向上。
 もちろん研究者が国際的なネットワークを持っているということは学生に対していい影響になると思いますし、そういった研究力の向上との相乗効果のその辺りも、定量的な指標にはなり得ないのかもしれませんけれども、こういった定性的にもやはり集めていくことは重要だというふうに思いますので、そこは教育力の向上の一つの文化要素として、ぜひ情報を集めていっていただきたいなと思います。その辺はいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。いや、本当におっしゃるとおりだと思います。ぜひちょっと今後しっかりと集めながら、提示させていただきたいと思います。ちょっと今のお話で幾つか、研究力という意味でもやっぱり事例としてあるんですけど、例えば長崎大学なんかがやっているプログラムなんですが、長崎大学ってよく、感染症の研究で有名な力のある大学と言われていますけど、例えば水産と海洋環境みたいなところで、結局これをきっかけにして学会の年次大会で、もう毎年最近はジョイントセミナーみたいなものに学生たちと研究者たちがみんな行って、ジョイントセミナーをやりながら研究交流するみたいなことも実際始まっていますし、ほかにも何か結構研究連携みたいなものを最終的に見据えた形で、今いろいろ新規共同研究が立ち上がったとかという例が実際ありますので、おっしゃっていただいたような形で、共通的なKPIは難しいんですけど、何らかしっかり集めながら提示して、かつ大学にちょっと考えていただくように、ぜひ工夫してまいりたいと思います。ありがとうございます。
【川澤委員】  ありがとうございます。学生のニーズとしても、私も個人的には長期のほうがいいというふうに思いますし、学位が取れるということで、学生にとってもメリットがあると思うんですけれども、やはり第一歩を踏み出すときにそこが難しさがある場合に、今のような、例えば学会のところでみんなで参加して、それがきっかけとなって最終的にはこういうプログラムに参加するですとか、幾つもの場が設定されているということは重要だと思いますので、冒頭の議論で、でも国としてどこをというところは当然ある、より質の高いところに注力するということはあると思いますけど、そこでの派生のいろいろな種がここにつながっているということの説明も重要だと思いますし、現実的に学生がどうしても、やはりこれだけ為替の状況がある中で、留学がなかなか難しいという実態も出てきてしまうと思いますので、そこは今の状況で言うと長期にとらわれずに、少しその派生的なところも集めていく意義があるんではないかなと思います。
 以上、コメントです。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それではコメントの記入を進めていただきまして、お済みになりましたら、事務局まで御提出をお願いします。
 まだ取りまとめに時間が必要ですので、この間さらに御質問等ありましたら、お願いできればと思います。
 堀川委員、お願いします。
【堀川委員】  各委員のお話、やり取りを聞いていて思ったんですけれども、大学の世界展開力強化事業は、御説明があったように、まさに政府間のネットワークとか、非常に高いレベルでの留学制度にも支援している、後押ししていると。ただ、それであれば何もアフリカ、アジアに限定せず、ヨーロッパ、アメリカも当然そういう展開をすべきところだと思うんです。
 一方で、アジア、アフリカ、あまりこれまでやっていなかったところに力を入れたいんだというお話になって、じゃ、全世界的に展開できるように世界展開力強化事業としてやっている部分を、この事業で横展開したらと言ったら、いや、アフリカ、アジアだからそれはできませんとお答えになって、アフリカとかアジアは高いレベルを要求すると、国の情勢があるからなかなか同じようにできませんというお答えになってしまって、結局この事業というのは、どっちつかずのような感覚になってしまうんだけれども、多くの大学の留学というのは、必ずしも世界展開力じゃないようなイメージになってしまう。やっていることは高いものもあるんだけど、その多くがアフリカ、アジアだから、あまりそういう高いレベルがないみたいな感覚になってしまうんですけれども、それについて御意見いただければと思います。
【説明者】  国の事業ですので、やはり政策的に誘導するという性格があるのだと思っています。これは現状、日本の大学が交流協定を結んで世界に学生を送ろうと思うと、どういうところでやっているかというと、ほとんどが英語圏の大学です。もしくはフィリピンとかです。これは英語だから。これはやっぱり実際に学生のニーズというのを単純にそこだけ考えると、そういうところになってしまうんです。
 でも、さっき申し上げたように、やっぱり例えばアフリカの話とかで言うと、資源的な話も背景にあったり、そういうものもいろいろありますので、ある程度日本の政府としても、やっぱり大学アカデミアにそういうところとパイプを持っておいてほしいというところはすごくあるのだと思いますし、また国際交流というところを考えても、多様なところと交流しているというのが大事だと思っていまして、まさにそういうところに大学の目を向けていくというところを、最初我々が支援する必要もあるのかなとは考えています。
【説明者】  あと、念のためなんですけれども、アフリカを対象にしたプログラムは、過去、令和2年度のとき1回しかやっておりませんで、昨年度の事業についてはアメリカを中心とするプログラムですし、今審査のプロセスに入っているものについてはEUを対象にしたプログラムになっておりますので、恐らくこれまで秋田大学のとがった例などで、アフリカが目立ってしまっているような形かと思うんですけれども、実はアフリカについては過去1度しかやったことがございませんので、念のためお伝え申し上げます。
 以上です。
【堀川委員】  すみません、言い方が悪かったんですけど、結局弱いところを重点的にやる事業なのか、高いレベルで政府間のところをやるレベルなのか。お答えが両方とも来るものだから、どっちなんだろうという質問です。
【説明者】  内容的には高いものです。内容的には高いものですけど、その対象としてはやっぱり弱い、我々が日本としてパイプをつくれていない、つくり切れていないところとか、もっともっと拡充していっていただきたいところという、弱いところといったら弱いというふうに説明もできると思います。
【堀川委員】  以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 もう少しお時間が必要かと思いますが、さらに御質問、コメントございますでしょうか。
 川澤委員、お願いします。
【川澤委員】  この幾つかの好事例で挙げていただいているプログラム、先ほども人数的には十何名とか、これだけのプログラムに相当程度の人数が行くというのも難しさはあると思いますので、数は絞られるんだと思うんですが、ただ応募倍率というんですか、学生の意識として、やはりこういうプログラムに応募する裾野が広がっているという状況は非常に重要だというふうに思っていまして、それは恐らく実際に交流の対象になる学生の質みたいなところにも影響するんだと思います。
 昨今内向き志向みたいなことも言われることもありますけれども、実態としては応募する学生というのは増えているのかですとか、その辺りは把握していらっしゃいますでしょうか。
【説明者】  個別の大学の中では、ちょっとすみません、把握していませんけれども、日本全体で、ちなみに2022年のスナップショットで日本の高等教育に在籍していた数というのは約320万人です。一方で、日本の大学に在籍し、かつ留学した人が5万8,000人。それから同じような比較の中で、日本の大学に在籍しないで直接留学した方々が4万1,000人。合わせて9万8,000人から9万9,000人です。これは比較すると3%なんです。日本人の大学生世代の3%しか留学していない、この現実。これは相当やっぱり我々としてはすごく危機感を持つべきだと思っています。
 なので日本の大学にたくさん320万人も在籍しているわけなので、やっぱりここをもっと留学させるという努力をしていただきたいと思いますし、努力するだけではなくて、やっぱりその留学した人たちがロールモデルとして周りを感化し、行こうと思うというのが大事ですし、この話をするともう切りがないんですけど、就職活動で産業界が評価しないと駄目だとか、そういう話もありますし、お金の話も今非常に大きな課題になっていますし、だからそういうものをもろもろ解決しないといけないんですけど、少なくとも大学にそういう留学する、させる機会があるということがすごく大事で、それを我々は質の高いレベルで後押ししていきたい、それを一つのブレークスルーのポイントにして広げていきたいと考えているということになります。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  中空委員、お願いします。
【中空委員】  ありがとうございます。何かだんだん何となく格好が見えてきた気がするんですが、やっぱりおっしゃっているように、人数を増やすのが大事ですよね。いっぱい来てもらっていっぱい行くというのが大事だと思うんですけど、そうすると旅費が気になっちゃうんですが、旅費はもう自己払いにしてもらって、残るところのプログラムを遂行したり行くことに対してメンテナンスをすると。そういう柔軟性が必要ではないでしょうか。
 何か全部丸ごとだから15人とか10人とかになっちゃうということよりは、大きな部分の渡航費は自己払いですと。その代わり、ほかのプログラムのサポートはしますよということでも、結構な応募人数っているんじゃないかと。そういうのがあれば、私も大学の時代やったかなと感じながら聞いていたので、思ったんですけど、これはそういうふうに柔軟に変えていくということは可能なものでしょうか。
【説明者】  こちらの旅費については、基本的には、教職員の方々がプログラムを構築するために行って帰ってくるというような経費になるので、佐藤から申し上げているとおり、学生の経費については別の形、学生を対象にした経費についてはまた別の枠組みがあるので。
【中空委員】  でも、お金がさっき出ると。
【説明者】  すみません、ちょっと1点、説明に誤りが。この中には入っているんですけど、その他の中で学生の経費を見ているということです。失礼いたしました。
【説明者】  旅費という取扱いではなくて、航空券を学生に対して現物支給するという考え方でお考えいただければ。
【中空委員】  そこをやめたらどうですかという話だったんです。だから柔軟に変えていく必要があると思っていて、同じプログラムである必要は私はないと思うんです。やっぱり目的は人数を増やしていくことだと思うので、全くもって同じことをずっとやり続けられるかどうかというサステナビリティーよりは、目的として、人数がいっぱい行っていっぱい来てくれることがいいということだと思ったんですということなんです。だから柔軟にできないものなんですかという質問でした。
【説明者】  ありがとうございます。他方でやっぱり多くの人数に行ってもらって来てもらうというところの、スタートアップのモデル事業としてやってございますので、行きたいんだけれどももう一押しという学生に対して、やっぱり航空券等そこの部分は事業から見るので、ぜひこのプログラムに参加してという、一押しになる部分だと思っているんです。
【説明者】  基本的には各大学が今はそこは判断しています。だから我々が必ず学生の分を見てあげてくださいということはしていないです。基本的には大学の部分には使わないでくださいというのがむしろ我々の考え方で、そう言っています。
 ただし、どうしてもやっぱり経済格差が教育格差になるじゃないかという声が必ず現場で出てきます。そういうときに、やっぱり一定程度、例えばさっき申し上げたように、大学がホテル代だけを手配してあげるとか、そういうことができるように、間接的にであれば全体経費の3割までその他の部分があってもいいですよという説明はしていますけど、一義的には学生以外の部分で使っていただくというのが事業の趣旨です。
 すみません、ちょっと間違っていました。学生の経費はその他の部分で、この旅費の部分は教職員の旅費ということで、大変失礼いたしました。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、堀川委員、取りまとめお願いします。
【堀川委員】  ありがとうございます。本件事業は国際的な大学間競争が激化する中で、我が国にとって戦略的に重要な国・地域との間で、質保証を伴った日本人学生の海外留学と外国人学生の受入れを推進する国際教育連携やネットワーク形成の取組を支援することで、大学教育のグローバル展開力や人材育成力の強化を図るということを目指していますが、各委員からの意見を総合すると幾つか重要な課題が浮き彫りになります。
 そこで取りまとめコメント案としては、まず、事業の設計自体について幾つか御意見をいただいています。
 まず、日本の大学の価値を上げていくのに重要な視点だと思うが、プログラムは双方向にできること。できるだけ早めに自立してもらうことを意識してもらいたい。学生の支払いがあってもいいのではないか。
 また次に、アフリカ、インド、アジア地域に短期留学を実施している大学との連続的な留学戦略が有効である。この連携によりこれらの地域に留学先をシフトするインセンティブが働き、相乗効果が期待できる。これらの国々を長期の本格的な留学先として指定するには、短期留学での経験が後押しになる。その戦略によって、大学留学における新たな長期アウトカム指標がさらに高いレベルに見えてくることを期待する。
 次に、全体として事業を効果的に実施できると思われるが、実際に採択されている各大学事業の中には、学位取得まで目指すものと、総体的には短期で交流を目的とするものの二通りに大別されるように見受けられる。事業の設計上もこれらの2パターンをカテゴリーとして分けた上で申請を受け、アウトカム指標も別々に設定することが、本事業全体のさらなる効果的な実施につながるのではないか。確かに。
 という、事業設計自体をもう一度見直してほしいということを受け、指標では効果、設定のロジックモデルに関してですが、今の続きとして、ではその指標の初期アウトカム、長期アウトカムとKPIの設定はおおむね妥当であるが、KPI4に関しては、学生に対する教育力を測る上で、語学力以外の指標、例えば留学を通じての学位の取得状況も検討することが望ましい。また研究力はどの程度伸びたのかを把握する指標も検討する必要があるのではないか、検討することが望ましいのではないか。
 次に、将来日本の労働力が上がっているよう、海外から日本に行きたくなるような仕組みにつながるよう、何らかアウトカムに反映できないのか考えていただきたい。
 そして最後に、事業の執行方向、事業の執行及びその方向性についてということで、長期アウトカムの教育力の向上の指標化は困難であるが、研究力の向上との相乗効果等、多面的な効果にも関わる情報を収集して提示していくことも必要ではないか。
 以上、事業の設計、事業の指標の設定、そして事業の執行という、3つの柱から取りまとめたいと存じます。そしてこの事業が質と効果を高めるために、これらの課題を克服し、戦略的な事業の実施を目指していただきたいということでコメントとしたいと思いますが、いかがでしょうか。ありがとうございます。
 以上です。
【坂本サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ありがとうございました。それでは御了解いただきました内容で、取りまとめコメントとさせていただきます。
 以上をもちまして、令和6年度文部科学省公開プロセスを終了させていただきます。
 外部有識者の皆様におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御議論をいただきました。貴重な御指摘、あるいは御提言をいただきましたことを、心より感謝申し上げます。今後の文部科学省の事業の改善につなげてまいりますので、引き続きぜひ御指導をよろしくお願いいたします。
 また、インターネットで本会議を御試聴いただきました皆様におかれましてもありがとうございました。行政事業レビューの取組を通じまして、文部科学省の事業への御理解、御関心をお持ちいただきましたこと、あるいは深めていただきましたことを感謝申し上げます。今後も文科省の事業について、さらに我々は発展を目指してまいりますので、御理解、御協力をお願いできればと思います。
 それでは、本日の会議を終了したいと思います。本当に今日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

 

お問合せ先

大臣官房会計課財務企画班