令和5年度行政事業レビュー公開プロセス 議事録(6月23日(金曜日))

【井上総括審議官】  それでは、お時間となりましたので、ただいまより、文部科学省公開プロセスを開会させていただきます。
 なお、本会議はインターネット中継されておりますことを念のためお伝えいたします。
 私は進行役を務めます文部科学省総括審議官の井上と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 外部有識者の皆様におかれましては、お忙しい中御出席をいただき、誠にありがとうございます。本日は4名の委員に御参加いただいておりますが、時間の関係もありますので、大変恐縮ですが、ホームページでの公表をもって御紹介とさせていただきます。本日の取りまとめ役は堀川義一委員に務めていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本会議はオンラインでの開催になりますので、御発言のとき以外はマイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。
 本日は長時間にわたり御議論いただくことになりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。これからの時間帯は、保健医療分野におけるAI研究開発加速に向けた人材養成産学協働プロジェクトについて御議論をお願いしたいと存じます。
 初めに、事業担当部局より事業概要の説明をさせていただきます。説明者は5分以内で簡潔に説明をお願いします。では、どうぞ。
【説明者】  ありがとうございます。今日は皆さん、ありがとうございます。医学教育課の課長をしています俵です。よろしくお願いします。
 今紹介いただきましたように、今回、医療分野のAI人材の養成のプロジェクトに関してのことになりますので、最初に事業の概要、それとこの事業を実施していただいている大学の取組と、最後に、ロジックモデルということでアウトプット、アウトカムについて説明をしたいと思います。
 資料はポンチ絵の2枚目になるんですけれども、見ていただいていいですか。ありがとうございます。事業の概要ということで、左上に書いていますが、AI研究開発を推進する医療人材を養成する教育拠点を整備するというのがこの事業の目的になっています。
 右上に予算額を書いていますが、R2年度からスタートしていまして、このような額の予算措置をさせていただいています。7年度からは自己財源あるいは外部資金を使って事業を継続していくという取組になっています。これはもともと公募をしまして選定させていただいて、東北大学と名古屋大学、連携大学も含めるともう少し数が多くなりますが、この2件を選定させていただいて取り組んでいるというものです。
 3番目の養成する人材像とありますが、大きく言うと、AIの専門的人材と、あと、基礎的な知識・技能を身につけた人材ということで、大学院コース、研修コースの2つの取組を行っていただいています。
 中間評価も昨年度行っていまして、4番に書いていますが、それぞれS、A、B、Cの中でA評価ということで評価がされました。ただ、今後の期待というところがありますけれども、学生が身につけた能力の評価に取り組むというのが一つ、もう一つ、事業の普及促進に努めるということも指摘がありました。なので、もともと、後で説明するロジックモデルの中にも、ここでの期待の指摘を踏まえて、ロジックモデルも少し変えているということになっています。
 次のページから各大学の取組になりますが、最初は東北大学で、連携校は北海道、岡山になっていますが、それぞれここの取組は、東北、北海道、岡山が大学院コース、研修コースを設けて取り組んでいただいています。右下の表のところに、トータルの受入れ実績を、それぞれ大学院コース、研修コース、下の表の右から2番目になりますが、書いています。医師の方が中心になりますが、それ以外の医療職、その他ということでエンジニアや情報系分野の学生さんなども参加して取り組んでいただきます。
 次のページお願いします。左上に教育効果ということで、特に大学院で学んでいる方々が中心になると思いますが、共同研究や研究の発表、論文、知財の取得、起業の状況をここに示しています。右側に履修生の研究テーマを書いていますが、右側の医療AIコースのほうをちょっと見ていただくと、例えば患者さんの行動データを使って、AIによってがん患者さんの鬱を自動で早期に発見できる、こういったモデルを作っているというような取組もしていただいています。
 次のページいいでしょうか。こちらは名古屋大学、連携校は岐阜、名古屋工業大学、名城大学になっていますが、こちらもそれぞれ名古屋大学が大学院コースと研修コース、大きく3つ取り組んでいただいています。こちらも表の右下、右から2番目を見ていただくと、全体を書いています。すみません、先ほどと違って分けて書いていない。ちょっと言いますと、大学院のほうは医師が52、医療職7、その他6、研修は医師134、医療職140、その他2ということで、すみません、ここは後で公表するときには書き足しますが、そういう取組をしていただいています。
 次のページお願いします。こちらも左上に教育効果と履修生の研究テーマをそれぞれ記載させていただいています。
 最後は、ちょっと戻っていただいて、ポンチ絵の1枚目を見ていただいていいでしょうか。こちら、ロジックモデルという、こちらにアウトプット、短期アウトカム、長期アウトカム、それと目指す姿ということで整理をしています。アウトプットのところを見ていただいて、こちらはそれぞれ大学院コース、研修コースに関して、どれぐらいのプログラムを開設するかということが一つのアウトプットとしています。この取組の実績を下に書いていますが、このコースの数としてはトータルで9プログラムが今動いているということです。
 隣の短期アウトカムを見ていただいて、こちらは履修人数の増加ということを書いていますが、人数をそれぞれアウトカムの指標として使っています。
 その隣、長期アウトカムのところは、こちらは学生が身につけた能力の発揮ということで、これは中間評価のときに指摘いただいた内容を書いています。先ほどの研究だったり、論文だったり、そういうことをアウトカムの目標としています。その下に成果の発信・普及とありますが、これはシンポジウムの開催であったり、ウェブサイトにおける情報発信を記載しています。
 最後に、一番右、目指す姿ということで3つ記載をさせていただいています。この事業が終わった後もこの教育プログラムを継続して拠点を確立いただくということ、2番目に、ここで学んだ学生さんたちが、大学あるいは大学病院あるいは地域の病院でAIを活用する人材として活躍いただくということ、最後に、この教育プログラムを他大学に導入・拡大をしていくということ、こういうことを目指す形として捉えてあと2年取り組んでいきたいと考えています。よろしくお願いします。
【井上総括審議官】  ありがとうございました。それではまず、私のほうから論点について説明をさせていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
 まず、1点目、アウトプット、アウトカムは適切に設定されているかという点。2点目、事業終了後の成果の普及・促進の在り方についてでございます。
 外部有識者の皆様におかれましては、事業担当課への質問などを通じて、無駄の削減のみならず、より効果の高い事業に見直す等の観点から御議論をお願いいたします。また、質疑等と並行して、適宜コメントシートへの記入をお願いいたします。
 発言を希望される方は、まず挙手をお願いいたします。私のほうから順に指名させていただきますので、指名を待ってから、その都度ミュートを解除して御発言願います。説明者は、外部有識者からの御質問に対して簡潔明瞭に回答願います。
 それでは、外部有識者の皆様からの御質問などをお願いいたします。堀川先生。
【堀川委員】  早速ですが、よろしくお願いいたします。AIの実装化というのは最近国として重要な政策として位置づけられ、各省庁が競って政策を進めているところと存じます。今回は公開レビューですので、最初に、そういう実情などの認識を共有させていただいたほうがいいかなと思いまして、ちょっとまとめました。
 各省は、所管しているそれぞれの分野で、当然ですけれども、AIの実装化を進めていると。一方、文部科学省というのは、教育というツールといいますか、それを使って人材を育成することで、又は技術体系を確立することでもって政策を遂行していくと。そうすると、文科省はオールマイティーになるんですね。手段として人材養成を使えば、あらゆる分野に政策を達成できると。すなわち、AIにおいても、AIのスキルをアップすることであらゆる分野に関わることができるということで、これはまさに文科省として優れた特性をお持ちだと私は理解しております。
 その中にあって、今回、本件事業では保健医療分野にフォーカスを当てて、この分野で実際に活用される側の医療従事者及びAIを提供する産業界の技術者、さらにはAIを研究者まで視野に入れた育成をするという目的を事業化されている。ここで明確に保健医療分野に特化したという事業設計は、ある意味オールマイティーなんだけれども、そこに特化したという点では、私は実はこれ、評価しております。
 ここまで一応、事実確認の共有化ということで、ここからは私の提案するところなんですが、受講者のAIに対するスキルがどの程度上がったのかというのはなかなか捕捉しにくいし、スキルというのは、受ける前、受けた後で比較しないといけない。また、頭の中ですので、なかなかそれを、例えばこの場合、AIの実装化というので、ただ単に知識が増えるだけのようなテストでもきっと計測できないんだろうなと。実際に目指すのは実装化ですから、実装化に対する技術ですので、実際に医療現場で活用されていることを見ることで初めてそれを効果としての具現化をすることができるんだなと。
 まさに今回私が高く評価しているのは、先ほどの説明にもありましたが、医療従事者が非常に多い。具体的に医師とか看護師さんがこのプログラム参加されていると。そういう方々がまさに大学病院等に戻って実際にどのように習得されたAIを具現化していくか、これはもう頭の中ではありません。具体的に計測できます。ある意味、EBPMでいう定量化の捕捉が可能ですので、ぜひその点についてはしっかり捕捉するようなことを検討していただきたい。すなわち、具体的に言うと、東北大学、名古屋大学の大学病院のフォローをしていただくのがベストかなと私は考えております。これができるのも、先ほど言いましたが、医療分野に明確に特定したというので、これができるんです。広くあまたやってしまうとこれはできない。この事業の特性としてはまさにそこですので、それを生かしていただきたい。
 その次からはちょっとEBPMとかからは離れますが、その先にあるのは、私の期待を込めてですが、地域の中心的位置づけにある大学病院がまさに先駆を切ってAIの実装化を進めれば、きっと地域への波及効果も大いに期待できると、私としてはそうなっていただけばなと思っております。
 次に、行政事業レビューの主眼は、当該事業がより高い事業となる方向での議論であると理解していますので、AIの実装化のような大きな目的を達成するには、当該事業だけではなく、次期事業とのやはり継続性。1回の事業だけはなかなか実装までいきませんので、その継続性についてやはり言及せざるを得ないケースだと考えています。具体的には、まさに東北大学、名古屋大学は今回の事業で非常によくやっておられると感心しております。そういうことで、さらに強力に進めるような事業を東北大学、名古屋大学等と組んで、次期政策に反映していただきたい。その際には、まさに大学病院での実装化のための様々な政策を絡めていくことも検討する必要があるというのも今回見えてきたかなと考えております。そういった長期に及ぶロジックを組むことで本件事業はさらにダイナミックな政策になっていくと私は期待しております。
 最後に、課長の御意見、展開を聞きたいんですが、医療分野のAIと言えば今後東北大学、名古屋大学と言われるような拠点づくりがあってもいいと私は考えています。現場をよく見ておられる課長のお考えをいただけないかなと。ぜひ今後の展開について御意見を賜りたいと思います。どうぞお願いします。
【井上総括審議官】  俵課長、いかがでしょう。
【説明者】  ありがとうございます。3つ御意見をいただいたかと思います。どれもフォローアップ、そして、地域への波及効果、今後さらにこれを強力に進めるという点で、僕らも先生からいただいた意見を踏まえて進めたいと思いました。
 個別にちょっといいですか。まず、最初のフォローアップのところですけれども、これは確かにこの5年間で全部を実装化するのはなかなか難しいところがありますので、今後各大学で取り組んでいただいていることについてのフォローアップは、各大学もこれを継続してやるともう言っていただいていますが、僕らとしてもぜひフォローアップをしていきたいなと思いました。
 2番目の地域への波及効果。これは大学病院自体が、大学病院の医師の先生に関しては、大学病院にいながら地域の病院で、言葉がいいかどうか分かりませんが、バイト的に仕事をしてというのを大体皆さん取り組んでいます。そういう意味での波及効果と、あと、所属を変えてほかの病院に所属して診療等を行うということも、大学病院はある意味、医師派遣的な機能を担っていますので、そういう意味でいうと、先生言われるように、大学病院としてこのAIの人材が育てられれば、あるいは採用できれば、その地域への波及もできると思いました。
 3番目、さらに今後強力に進めることについては、これから具体的な予算化をする段階で今の意見を踏まえて対応していきたい。大学病院に関しては、先生言われるように、まさに地域の中での中心として活動、活躍していますので、ここが中心になるのが大事かなと思いました。
 それと1点だけ、この東北大学、名古屋大学以外に、僕は前に少し議論したときには、ほかの大学への導入だったり拡大がなかなか難しいかなというふうに少し言ったかもしれませんが、この前ちょっと先生方と議論すると、今回自分の大学以外の大学からもたくさん参加者がいまして、そういうことの影響もあるかと思うんですけれども、現時点で4大学ぐらいが同じようなプログラムを始めようかなというふうに検討が始まっているというふうにも聞きましたので、ここの今回の大学が中心となりつつも、ほかにも波及ができれば、より広がっていくのかなと思っています。よろしくお願いします。
【堀川委員】  最後に一言。今回の事業レビューで、AIの社会への実装化において、文科省はきっと中心的に保健医療分野ではなり得るなという感想を持ちました。これは私も文科省と長く付き合っていますが、文科省が高等教育における様々な研究や教育の成果を実社会や産業界へつなげていこうというその積極的な姿勢が一つの果実として現れているのかと思いますので、ぜひ強力に進めていただければと存じます。
 以上です。
【井上総括審議官】  そのほか、先生方。川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  御説明ありがとうございました。今の議論の中にありました長期アウトカムに関わる部分だと思うんですが、実際、大学院もしくは大学院コースもしくは研修コースを履修された方々が、実際の病院の現場で習得した技術・知識を活用できる、そういう状況を何とか定量的な形でフォローできれば、この長期アウトカム指標の一つになり得るんだと思います。もちろんそれは厚労省含め他の事業との効果も含めてということだと思うので、そういったその現場でのAIの活用みたいなところを何らかフォローすることは考えられますでしょうか。
【井上総括審議官】  俵さん、どうでしょう。
【説明者】  ありがとうございます。医療分野あるいは病院でのAI化あるいはDX化、これは政府としても、ここは厚生労働省が中心になるのかもしれませんが、取り組んでいます。その全体の取組の中で人材養成の部分について、文部科学省がこういった取組を通じて担っているのかなと思うんですが、そういう意味でいうと、各病院においてもAI化あるいはDX化が今必須になってきていると思いますので、その中でこの成果を生かすということは可能だなと思います。
 それはどうフォローアップしていくか、これは少し考えなければいけないとは思いますが、先ほどの指摘にもあったように、フォローアップなり、あるいは目指す姿のところは、人材が活躍いただくということが一番大きいと思いますので、その辺りについてはどういったことができるか考えたいなと思います。よろしくお願いします。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。いろいろな事業の効果の統合としての病院のDXもしくはAIの活用の状況を、政府全体として捉えるとともに、この事業の貢献みたいなところも何らかの形で説明できればよりいいのかなと思いました。その意味では、今、長期アウトカムとして具体的に⑤、⑥で、成果物の数とか科目数ということを書いていただいているかと思います。成果物の数ももちろん把握するに値する重要な指標だと思うんですが、少し印象としましては、受講した人数と科目数というのは短期アウトカムなのかなと思いますので、その辺りはもう少し御検討、整理いただければなと思いました。
 先ほど、履修者、人材に着目した取組というところで、論点の2つ目に事業の在り方というところであったんですが、私の考えとしても、コースの履修者もしくは大学院コース、2つ分けてもいいんですけれども、そういった修了者のネットワークづくりというんですかね、個人的にネットワークをつくって、その後、共同研究であったり、いろいろな形で情報交換の場が設定される場合もあると思うんですけれども、少し何らか定期的な形で集う場所を設けたりとか、その場でフォローアップをして、ある意味その後の活用状況を今後の事業の周知の際の情報発信にすることも考えられると思いますので、そういった機会を文科省として提供するということも考えられるんじゃないかなと。今、拠点校が分かれていますけれども、全体としてですね。そういったところはいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。一つ、さっきの長期アウトカムの科目数の目標なんですが、これまでの議論の中で少し、大学院コースを受講した学生さんと研修コースを受講した学生さんで一つにしていたのを、それはそれぞれやっぱり違うんじゃないかという御意見もあったので、このように分けてみました。ただ、科目数というのは、ある意味ここは基礎的知識をどれだけ身につけられたかというところなので、科目数ということで一応表現をしてみました。
 ただ、今後のことを考えると、社会実装に向けたというのも一つかなと思いますので、そこはもしかすると大学院コースのほうが中心になるかもしれませんが、ただ、基礎的知識を身につければ社会実装にもつなげられると思うので、そこはあと2年の中でどういう社会実装の取組を目標として掲げるか、大学とも意見交換して定めたいなと思います。
 もう一つ、ネットワークづくり。これは僕の説明が十分じゃなかったかもしれませんが、この前も大学の先生方と議論すると、ほかの大学も含めて毎週100人ぐらいがオンライン上で集まって議論するようなネットワークを既につくっているとお伺いしました。そこには名古屋大学がつくっているネットワークとも、そこは毎週じゃないかもしれませんが、連携を取りながらやっているとも聞きました。そういう意味でいうと、ある意味、医療分野のAIに関心を持っている人たちのネットワークは、恐らく学会も含めて出来ているのかなと思います。
 ただ、そこに文部科学省としてどういった形でサポートできるのか、そこも含めた今後の取組をフォローしていくということも一つなのかなと思います。ただ、本当に大学の先生方と話していると、まさにネットワークが、三、四年前から始めたこういうことをきっかけに恐らく広がっているんじゃないかなと感じたところです。よろしくお願いします。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございました。そういったネットワークが既に出来ているので、あれば特に政策当局として何か追加的にというよりは、その状況をきちんとフォローしていただいて、見ていただいて、発信していただくということが大切かなと思いました。
 あと、情報発信については、今、ウェブサイトでの更新とかそういった形で一般向けにということも行われていると思うんですが、やはり医療関係者だけではなくて、患者側でも理解が広がるということも十分大切だと思いますので、その辺りもいずれは育成された人材と現場での実装というところと、一般社会での認知みたいなところも考えていく、どういうふうな形で認知が向上するかということも考えていく必要があるのかなと思いました。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。
【井上総括審議官】  では、先に、島田先生、お願いします。
【島田委員】  ありがとうございます。島田でございます。御説明、非常によく分かりました。ありがとうございます。他の先生のポイントとも絡むところがあるかもしれませんが、2・3点ほど、ちょっと混在するかもしれませんが、コメントと少し確認させていただきたいことがございます。
 今年R5年とR6年、これからのことを考えていったときに、現在設定されているアウトプットやアウトカムが適切なのかどうかという点で考えると、もしかすると再考するスペースがあるのかなと感じています。それは今まで3年間やってこられて、ある程度確実な成果が見えているんだと理解をするんですね。そこはとてもグッドだと思います。同時に、R7年からは自己財源もしくは外部資金となっていったときに、この2年間どんな体制で行っていくのかとか、養成された人材がどのようなスキル、経験を持ち、そして、以降どこで活躍するのかと、養成の後のところまで踏まえた上でR5、R6の体制を組んでいくということが必要なんじゃないかなと考えるんですね。
 なので、大きく違うよと言いたいのではなくて、こういった人材が養成され、かつ能力の発揮がされた後、この社会、特に保健医療の世界で、恐らく国民としての希望としては、治る人が増えるとか、よりスピードアップして治療ができるとか、社会にこれだけいいことがあるんだというところが大きなパーパスだと思うので、この部分を踏まえた上でのアウトプット、アウトカムを見直しましたよというのがあるとより強力なんじゃないかなと思いました。これがまずコメントになります。
 そこから、質問になるんだと思うんですけれども、今の2つの大学の評価はAだというふうに言ってくださっていて、何がどうだとこれがSになるのかなと。それはどんな人材が養成されたのかということとも絡むのかなと思いますので、もしこの点で俵さんのほうからアドバイスいただけることがあったらお願いします。これが1つ目です。
 2つ目、とても瑣末なことかもしれないんですけれども、目標値が幾つか置かれていて、実績値を見ると、すごくそこに乖離があるものがあります。ということは、何か多分いろいろ思っていたよりもうまくいっている部分もあるんだと思うので、その辺りももっと何かチャレンジングな目標設定、すみません、民間にいるとどんどんと目標が高くなっていく傾向がありますので、よい意味でのストレッチになっていたらいいなという点で、ここの目標の見直しというのは多少考えられているのか、ここを教えていただければと思います。
 ありがとうございます。以上になります。
【井上総括審議官】  俵さん、どうぞ。
【説明者】  先生、ありがとうございます。まず、1点目のコメントありがとうございます。今後大学とも話しながら、事業が終わった後のことも考えての今後の体制だったり、あるいはどこで活躍するか、そういったことをどういうふうな取組でやっていくかというのを話し合っていきたいなと思いました。
 どうなったらSになるかということについては、これは明確なところは、評価いただく委員の先生方の視点にもよるところはあると思いますが、一つは、今後期待されるところというのがあって、そこが能力のこととほかへの波及というのが指摘されました。これが一つ、さらに取り組んでいくことで評価が上がる要素なのかなと思います。能力のところは、先ほど指摘のあったような、やはり社会実装というか、それがより明確になるといいかなというふうなところはあるんですけれども、今回この期待される点で指摘のあったことを踏まえて加えたのは、共同研究だったり、あるいは論文だったり、ある意味、成果が見えるところを加えたというのがあります。そこに社会実装、あるいは具体的に病院でどういうふうなことをやれているかというのをどういうふうに設定するかというのは一つ課題なのかなと思います。
 もう一つは、目標と実績の乖離については、先ほど御意見いただいたように、当初よりもたくさんの応募者がいて、最初は全員を受け入れるつもりだったのが、少し人数制限をしなければいけなかったぐらい、当初よりもたくさんの人に関心を持っていただいているということがあるようでした。
 目標値を高めるというのはあるかと思いますが、どうしても、僕も大学にいたことがあるんですが、何となくそれを超えられなかったらマイナス評価になるのかななんていう、ちょっとそういう意味で少し抑えめな目標にしているかと思いますが、それは僕も、別にそれを超えないと評価が下がるということは、今後の、先ほどの中間評価や最終評価の中でもないというふうに、むしろチャレンジングなほうがいいと思いますので、今までの実績も踏まえた目標値の設定について大学とも相談したいなと思います。よろしくお願いします。
【井上総括審議官】  島田先生、よろしいでしょうか。
 
(音声トラブル)
【井上総括審議官】  再開したいと思います。ちょっと中断しましたけれども、記入シートのほうはどんどん、議論は続けますけれども、お書きいただければと思います。
 伊藤先生、御発言よろしくお願いします。
【伊藤委員】  伊藤です。よろしくお願いいたします。これまでの議論の中でも、この事業の主目的は人材養成であって、その部分においては、想定よりも履修者が多いとか効果が出ているというのは私もすごく感じているところです。これは改めての確認になってしまうんですが、もちろん最後目指す姿を見ていても、AI活用人材活躍とか人材養成に特化したところがあるかと思うんですが、途中話のあった、現在2つの拠点大学でやっている研究内容の実装化とか、実際に研究している内容をどう活用していくかというところは、できればいいという感覚なのか、そこもスコープに入っている上、要は、この中身のこともアウトカムとしては入ってき得ると捉えられているのか、そこをまず教えていただきたいんですが。
【井上総括審議官】  では、俵さん、お願いします。
【説明者】  ありがとうございます。これは5年間の補助金の中で考えたときには、僕らの中では、まずは社会実装につなげられる人材をつくるというのを基本にしていました。ただ、目的はやはり社会実装というところにあると思いますので、それにつながる取組をこの5年間の中でどうできるか。かつ、この5年間の中で社会実装化できるものがあれば、それはどんどん取り組んでいただいている部分もありますので、そういう意味でいうと、もともとの事業の趣旨としては、この間に社会実装ができる人を育てるというのを目標にしていたかなと思っています。
【伊藤委員】  今ずっとおっしゃっていた社会実装は、学生・研究者がAI活用をできるということかなと認識をしたんですが、この5年間の中で、実際に研究している内容は認知症のことであったり、研究しているこちらの内容自体が実際に実装するということも射程には入っていると捉えていいですかね。
【説明者】  では、少し事例を紹介してもいいでしょうか。既に起業されている学生さんだったり、あるいは美容の関係での社会実装であったり、少し進んでいる部分もありますので、ちょっと紹介させていただければと思います。
【説明者】  例えば受講生が実装化した事例としては、育児で、赤ちゃんが泣いたりしてお母さんが結構大変だということで、赤ちゃんの泣き声をAIが分析して、どういう気持ちで泣いているのかというのを視覚的に表すことによってお母さんのいらいらを解消するためのアプリを開発して、誰でもダウンロードできるようにしているという開発であったり、あとは、まだ論文段階とかではありますけれども、がんの患者さんで鬱になる方がいらっしゃるんですけれども、問診とか患者さんの行動で、鬱になりかけている方を早めに予測してフォローするとか、そういった研究開発が行われたりしています。
【説明者】  あと、僕が聞いたもので、画像診断の中で、自分の目ではなかなか見えないんだけれども、AIを使うとそれが分かるようになるようなそういうAIも開発されているようで、そこには企業からも大きな支援をいただきながら進めているような、そういうことも実装化されているとお聞きしました。
【伊藤委員】  ありがとうございます。よく分かりました。そういう意味では、私の今の捉え方は、人材を育成するということは、結果的にはその人が研究している内容自体も社会実装、今のような事例のように活用されていくので、結果的に両方進んでいくというふうに捉えられるということですよね。
【説明者】  そうですね。そのように思います。
【伊藤委員】  ありがとうございます。もう1点だけ、私は今、デジタル庁の立場も持っているからなんですが、AIに関しては、これまで文科省だけじゃなくて、厚労省、総務省、経産省、CSTI、様々なところでAI活用の研究ということはやってこられていて、今、AI戦略本部が出来て、そこが司令塔となってこれからやっていこうというふうに今進んでいるなとは思うんですが、この保健医療分野のAI人材ということ、この部分だけ取っても、経産省としても産業課の中でやろうとされていますし、もちろん厚労省の中でも医療機関、大学病院とかと一緒にやっている部分があって、今日のこの対象事業がよくないということでは全くなくて、そういうところとの役割分担がより明確化すると、効率化とかより効果が生まれるのかなと思うんですが、そこは今いかがでしょうか。私は今のAI戦略本部が出来る前のその間の状態を割合知っているほうかもしれなくて、なかなか様々なところが様々やっているなという印象だったもので、いかがでしょう。
【説明者】  ありがとうございます。この保健医療分野でのある意味人材養成という視点でいうと、文部科学省が担う、あるいは担わないといけないかなということでこの事業を立ち上げました。ただ、これは必ずつながりがあるので、人材養成を受けた方々がどのように活躍するかという点でいうと、より広がっていくと思います。その中で役割分担、例えば厚生労働省であったり、経済産業省、また、文部科学省としては大学病院をある意味、所管というか見ているところもありますので、そこは引き続き、文部科学省が中心なのかなという思いもありますけれども、そういう意味でいうと、連携することでより効果が広げられるんだろうなと思いました。今まだそういう意味では、厚生労働省とはやっているんですけれども、経済産業省との連携・連動はちょっと弱いかなと思っています。
【伊藤委員】  ありがとうございます。最後、すごい細かい話になってしまうんですけれども、令和4年度の履修生は想定の4倍ぐらいの履修者になっていて、この流れが今年度、来年度続くというのが多分ここの目指す姿にもかなり近づいていくであろうと思うんですが、今年度は、これまでの状況で今年度もかなり多くなっているとか何かそんなものは見えているんでしょうか。
【説明者】  少しお待ちください。
 僕が聞いた、今年度は直接僕は聞いてないんですけれども、これまで本当はもっと応募者がいたんだけれども、先ほども言ったかもしれませんが、キャパがどうしてもあるので、これをさらに伸ばすというのはなかなか難しいだろうなという印象があります。それを維持できるかどうかということもあるかと思うんですけれども。
 もし分かったら。
【説明者】  令和5年度の実績はまだ調査はしておりませんけれども、一応、履修人数の目標値は、当初想定していたものよりも実績を踏まえて目標値は上げていただいていますので、実績を踏まえた目標の見直しは今後も行っていきたいと思います。
【伊藤委員】  ありがとうございます。
【井上総括審議官】  そろそろ予定の時間も参っておりますが、まだコメントシートへの記入をされていない先生方におかれましては、コメントシートへ記入していただきまして、メールにて事務局に御提出をお願いいたします。
 この後、コメントシートの取りまとめに若干お時間をいただきますけれども、その間も有識者の皆様におかれましては引き続き御議論をいただければと思いますので、もし先生方、御意見等あればお願いします。
 川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  ありがとうございます。今、履修者は想定以上に登録があり、着実に実績を上げられているというお話だったんですが、そこは全く私も評価できる部分だなと思っているんですが、一方で一度履修しても、やはり情報をアップデートしていく必要というのはこの分野は特に相当あるんだと思います。その辺りは、政策的に何か取組が必要だと思われるのか、もしくは個々人が自主的に情報をアップデートしていく、そういう必要があるとお考えなのか、その辺りというのは何かいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。さっき御指摘いただいた、ある意味ネットワークづくりがそこのフォローだったりということになるのかなと思います。これはできれば、やはりそれは民間というか大学の中、あるいはさっき少し触れたかもしれませんが、学会の中のような、そういう取組の中で進んでいくのが理想だと思います。それが難しいときに行政的な支援が要るだろうなと思うんですが、これまで議論を先生方とする中では、この取組に関してはネットワークづくりがうまくいっているなと感じていまして、現時点でここにさらに行政的な支援なりというのはなくても進んでいくのかなと思っています。
【説明者】  補足させていただければと思います。医学教育課、川口でございます。
 先ほども拠点間での連携というところも川澤委員から御指摘があったやに見受けられまして、こちらについても補足させていただきます。この拠点間はこれまでの事業ではなかなかあまり見受けられない、拠点同士で合同のシンポジウムを開催するとか、そういった実績を共有する機会を設けておりまして、そちらは推進委員会の評価の中でもかなり好事例として評価いただきました。
 また、大学院であったり研修コースのプログラムの外側でセミナーを開催しておりまして、そういったところの機会も活用して、履修した学生さんたちはさらに自分の能力をブラッシュアップするようにしているところでございます。それがアウトカムやアウトプットのところでは確認しづらい部分ではありますが、そういったところもかなりこの事業については進んでいる取組でございます。
 以上でございます。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。連携をいろいろしてくださっているということはよく理解いたしました。大学と民間企業とも連携しているという御説明があったかと思うんですが、その辺りの民間企業との連携とか、知識の共有もしくは高度化みたいなところはいかがでしょうか。
【説明者】  すみません、続けて答えさせていただきます。日本メディカルAI学会というものがあるようでございまして、そちらの学会の中に、この大学の履修されている方、また、あるいは事業を展開される先生方も入りつつ、そこに企業の方も参画して、皆さんでシンポジウムをしていると。その中でまた新しいスタートアップが生まれていくような動きも加速していると伺っております。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。現状の枠組みが今後も進展していける可能性があるんだなというところはよく理解できましたので、ありがとうございました。一旦私のほうからは以上です。
【井上総括審議官】  それでは、コメントシートをまだ送っていただいていない先生におかれましては、そちらのほうの御対応もお願いいたします。
 今、皆様送っていただいたということでありがとうございました。
 今、堀川先生に取りまとめをしていただいております。その間、もし何かこの際、御意見なりコメントがおありの先生いらっしゃいましたら、よろしくお願いします。
 島田先生、お願いします。
【島田委員】  ありがとうございます。ちょっと時間があるということだったので。さっき御紹介いただいた社会実装のところで、例えばお母さんが困っていて、赤ちゃんの泣き声がちゃんとAIの技術を通じて気持ちが伝わるとか、すごいいいなと思います。こういった事例がもう既にSNSやホームページ等で出ているなら、私がちょっと不勉強で申し訳ないんですけれども、そうじゃないんだったら、何かどんどんがんがん出していったらすごくいいんじゃないかなと思いました。医療の未来に何か希望が持てますし、また、それらを見たこれからの人材の方たちがさらにアイデアをそこから得るような、そんな何かすごく重要な情報源になるんじゃないかなと思うので、やっていただけたらいいなと思いました。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございました。一つ、もしかすると、論文化するとかということになると、その論文を発表してからみたいなところがもしかして制約としてあるかもしれませんが、ただ、大学の先生たちも、そういう新たな開発ができたりすれば積極的にという思いはお持ちのようなので、僕らからもそれを促していきたいなと思います。よろしくお願いします。
【井上総括審議官】  川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  せっかくなので。今のそういったアプリの開発とかその成果も、今、教育効果に関連する履修生の成果物として起業とか知財取得というところはあるんですけれども、なかなかこの枠の中に入ってこない成果というのもあるのではないかなというような気がします。そこはどういう指標がいいのか、中間評価でも検討というふうにはなっているんですけれども、やっぱりきちんと成果をなるべく幅広に捉えられるような形で見ていっていただきたいなというのは思いました。恐らくどういうところで活用できるかといっても、民間企業の方も入っているとかなりいろいろな多方面にわたる可能性もあると思いますので、そこはぜひお願いできればと思いました。
【説明者】  ありがとうございます。大学の先生たちとも議論したいと思います。
【井上総括審議官】  伊藤先生、お願いします。
【伊藤委員】  この数か月で、AIにおける、特にChatGPTをはじめとして民間側でのスピードが一気に速くなっているところと、私もいろいろな民間側の話を聞くことが多いんですが、AIでできることだったり、AIの技術についても、本当に想定を超えるぐらいの進化をしているなと思うんです。やっぱり5年間というのは短いようで長いとも感じるところがあって、要は、この5年の研究の中でもどんどん進化が進んでいって、研究を途中で変えるとかそういうことも含めてこのAIの世界は考えていかなければいけないのかなと思うんですけれども、聞いておきながら難しいんですが、そこへの対応はどうにかできるものなのかなと思って。どうでしょうか。
【説明者】  そういう意味でいうと、今回でいうと、大学院コースは4年間、研修コースはある意味1年、大学院コースは4年間の中で、自分でテーマを選びながら、そこに先生方がサポートあるいは企業の先生たちがサポートしながら開発をし、研究していくということになると思うので、そういう意味でいうと、大学院コースでは比較的長いスパンで取り組めるので、時宜に応じたというか、その都度その都度の状況を踏まえた研究も柔軟に可能になるのかなと思います。ただ、そうすると、人数的には、大学院ということになるとやはりどうしても限定的なるので、さっき指摘のあったような、履修後にネットワークを生かして、共有し合いながら進めるとかということも大事になるのかなと思いました。
【伊藤委員】  逆にこの事業の中での研究内容については、そこは柔軟に、一度研究計画をつくったらそれに基づかなければいけないというものではないということですね。
【説明者】  それを直接聞いたことはないんですけれども、そういうことで先生方は対応いただいているんじゃないかなと思います。
【伊藤委員】  ありがとうございます。
【井上総括審議官】  少々、取りまとめに時間かかっておりますけれども、もし何かありましたらと思います。
 川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  ありがとうございます。今、最後のほう、聞き取れてなかったら申し訳ないんですけれども、やっぱり1年のコースでどう充実した1年間にするのかというのも結構難しさがあるだろうなと。皆さん在職中というか業務に従事しながら1年間、恐らく履修コースで学ばれるのかなと思いますので、そこは現場感を持ちながら学べるという一方で、日々アップデートされてくる知識をどう吸収していくかというところで、何らか各大学で工夫されているといったようなこととか、履修者側での悩みとか、そういうところは何かございますでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。そういった意味においてこのAIというものとも相性がいいんだと思いますが、オンラインでのeラーニングシステムを導入しておりまして、そういったもので、働きながら、また、夜に学んだり、土日休みのところで履修をする。これは単位が分かれているインテンシブコースでございますので、そういったところから、よく言えばつまみ食いをして、欲しいところだけを学んでいくというようなことで柔軟に対応ができているように伺っております。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。これは基本的には日本人の方が参加されるということで、海外の方とかそういったところの大学との連携とかそういうところまで視野に入れたりとかはしていないんでしょうか。いろいろな世界各国で研究開発されているものなので、ある意味、日本国内だけで閉じての研究教育プログラムだけじゃなくてもいいのではないかなと思うんですが、その辺りいかがですか。
【説明者】  そちらにつきましては、東北大学さんの当初の目標として、海外大学、学会とかでの発表なども視野に入れて進めておられたようではあるんですけれども、コロナの関係もございまして、そういった機会はなかなか実現ができていないというところはあるようでございます。ただ、このコースに履修を希望される方というのは、幅広く受け入れることができるようになっておりまして、国籍などの指定もございませんので、幅広い方に御利用いただけるようなものであると理解しております。
【説明者】  留学生も参加していますか。
【説明者】  今、手元にデータがなくてすみません。
【説明者】  可能にはなっているということですね。
【説明者】  はい。すみません。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
【井上総括審議官】  お待たせしましたけれども、コメントシートの集計がまとまりましたので、よろしければ、堀川先生より取りまとめコメント案の御提示をお願いいたします。
【堀川委員】  それではまず、各委員の主なコメントを御紹介いたします。
 AI実装のような大きな目的については、当該事業だけでは達成されないものも当然あるから、当該事業の効果を最大限に発揮させるためにも次期事業との継続性についても言及せざるを得ないケースが当然あり、この事業がそれに当たると考える。
 次に、今年R5からは人材養成ができ、彼らが能力発揮した結果、社会に具体的にどのような結果がもたらされるのかの視点を持った上でアウトカム、アウトプットを見直してみる価値があると考える。
 経産省、厚労省、総務省、CSTIなど、AI研究開発を行っている他省庁との役割分担をこれまで以上に明確にしていくことで効果がさらに伸びるのではないか。
 履修者の活躍状況に係るフォローアップに加えて、履修者同士のネットワーク形成やそこから生み出される新たな動きについても効率的に情報を把握できるような仕組みが重要。検討を願う。
 以上を踏まえまして、取りまとめコメントとしては大きく2つの柱で取りまとめたいと存じます。まず1つ目の柱は、事業の効果及びその指標の設定及びロジックモデルに関するものです。
 これについては、各委員から様々な意見が出ておりますが、まず、指標の設定については、人材養成ができ、彼らが能力を発揮した結果、社会に具体的にどのような結果がもたらされるのかの視点を持った上でアウトプット、アウトカムを見直してみる価値がある。検討が必要。人材養成が主目的の中でのアウトカム設定は適切と言える。それに加えて、参加大学の広がりも設定する必要があるのではないか。検討が必要。目標を超える履修者の登録の実績が出ていることは評価できる。次は、今後継続して研究に関わっているかについての調査検討が必要ではないか。
 次に、効果についてです。東北大学、名古屋大学等の病院関係者も多数参加していることから、その方々が大学病院に戻った後、どれだけ活躍できたのかを指標化してフォローアップすることで、EBPM上の定量化を図る必要があると考えるので検討を願う。次に、大学及び大学病院等におけるAIの活用に本事業はどのように貢献しているか、引き続き情報収集をすることが重要。検討が必要。
 次に、ロジックモデルについてですが、プログラム自体の評価、養成された人材の評価、並びに養成後の活躍の場の強化などを長期アウトカムから行うべき。強化などが非常に重要と考えるので、この点について調査検討が必要。
 2つ目の柱としては、事業の執行及びその方向性に関するものです。AI実装のような大きな目的については、当該事業だけでは達成されないものも当然あることから、次期事業において、大学病院での実装化のための様々な政策も絡めていくことを検討することが必要。養成された人材がどのようなキャリア形成を行うのかフォローアップが重要。経済産業省、厚労省、総務省、CSTIなどAI研究開発を行っている他省庁との役割分担をこれまで以上に明確にしていくことで効果がさらに伸びると考えるから、その方向で進めていただきたい。そして、履修者の活用状況に関わるフォローアップに加えて、履修者同士のネットワーク形成やそこから生み出される新たな動きについても効率的に情報を把握できるような仕組みが重要と考えるので、検討を願う。
 以上大きく2つの柱で取りまとめてまいりたいと存じますが、いかがでしょうか。よろしければ、挙手をお願いいたします。
 ありがとうございます。いいですか、伊藤さん。ありがとうございます。
 以上です。
【井上総括審議官】  それでは、以上をもちまして、保健医療分野におけるAI研究開発加速に向けた人材養成産学協働プロジェクトの公開プロセスを終了いたします。
 次の『食文化あふれる国・日本』プロジェクトにつきましては、5分間休憩の後、11時5分開始といたしますので、よろしくお願いいたします。
 一旦閉めさせていただきます。
【説明者】  ありがとうございました。
( 休憩 )
【井上総括審議官】  それでは、11時5分になりましたので、2コマ目を始めさせていただきます。これからの時間帯は、『食文化あふれる国・日本』プロジェクトについて御議論をお願いしたいと存じます。
 初めに、事業担当部局より事業概要の説明をさせていただきます。説明者は5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。どうぞ。
【説明者】  文化庁でございます。『食文化あふれる国・日本』プログラム、よろしくお願いいたします。
 資料のほうでございますけれども、ロジックモデルで全体を整理いたしましたので、11ページを御覧いただけますでしょうか。まず、上のところ、事業の目的でございます。少子高齢化とか食生活の急激な変化の中で、食文化の継承が課題となっております。本事業は、1つ目として、食文化の明確化や価値化を行いまして文化財登録を進めること、2つ目に、食文化の情報発信によりまして経済効果を創出する、大きくはこの2本柱で事業施策を推進してございます。
 具体的には4本の事業を進めております。順に御説明をいたします。アクティビティの1つ目になります、食文化ストーリー事業でございます。この事業は、地域の特色ある食文化を調査いたしまして、食文化ストーリーを構築し、発信するモデル地域を支援するものでございます。令和3年度からスタートして、その年に10件、翌令和4年度に継続の3件を含む13件を採択いたしました。対象となる食文化の数でございますけれども、全国に、切り方によって様々な数え方がございますけれども、『伝え継ぐ日本の家庭料理』という冊子を見ますと、日本各地で1,400件の料理が掲載されているところでございます。
 本事業のアウトプットでございますが、調査結果を踏まえて、採択された自治体や団体が中心となって、食文化ストーリーを構築した数としています。
 続きまして、アウトカムです。食文化の文化財化に取り組む自治体・団体などの数が増えることとしております。地方自治体におきまして、文化庁の窓口は教育委員会が一般的でございますけれども、食文化が文化財になるという認識とか、食文化を文化財として登録するんだという意識を持っているところはまだ少ない状況にございます。本事業を通じまして、食文化を意識する自治体や団体を増やすことを目指しております。
 中期アウトカムでございます。文化財登録された食文化件数が増加をすることとしております。後述の2つ目のアクティビティとも連動いたしますけれども、長期アウトカムとしては、食文化の国民認知度の向上及び食文化の国民喫食率の向上を設定いたしました。さらに、インパクトとしまして、食文化の継承と経済活動との好循環が生まれることを目指しているものでございます。
 次に、アクティビティの2つ目を御覧いただければと思います。調査研究事業でございます。これは全国に広がりのある食文化を調査いたしまして、無形文化財として登録するための情報収集などを行う事業でございます。内容として、食文化に関して基礎的な調査を実施し、報告書として取りまとめるものでございます。アウトプットとしては、この調査をした食文化件数を設定しております。アウトカム以降は先ほどの御説明と同様になります。
 続きまして、大きな柱、次のアクティビティの3つ目を御覧いただければと思います。食文化の機運醸成事業でございます。食文化の機運醸成を図るため、世代を超えて地域で受け継がれてきた食文化を「100年フード」と名づけ、文化庁が認定する事業を推進しております。2年前からスタートいたしまして、これまでに201件の認定をしています。
 アウトプットといたしましては、この100年フードの認定数、食のイベント等の実施数、その右側、初期アウトカムでございますが、イベントなどに参加した参加者における食文化への認知度の向上を測ることにしております。次に、中期アウトカムでございますが、この食文化を用いた経済活動を行う自治体・団体等の増加を設定いたしました。なお、長期アウトカムでございますけれども、これらの食文化を国民の皆様に食べていただくことにつなげていくために、認知度の向上に加えまして、さきに申し上げました国民の喫食率の向上を目指すということを設定してございます。
 最後に、アクティビティの4つ目でございます。食でつながる日本の文化認定事業でございます。食文化とその他の文化資源を組み合わせた取組を支援して、モデル事例を認定するものでございます。本事業はまだ初年度の取組を終えたところでございまして、今後、採択した取組の中から認定案件を定めていく予定でございます。アウトプットとして、本事業による支援件数と、この中から優良な取組として認定する認定件数を設定してございます。
 これまでのヒアリング等でアドバイスをいただきました内容を反映してこのように作成をしてまいりました。御審議のほどよろしくお願いいたします。
【井上総括審議官】  ありがとうございました。それでは、私のほうからまず、論点について説明させていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
 まず、1点目、アウトプット、アウトカムは適切に設定されているのか。2点目、事業の実施方法が効果的なものになっているかという点でございます。
 それでは、外部有識者の皆様から御質問等お願いいたしますが、説明者は、外部有識者からの御質問に対して簡潔明瞭に回答をお願いします。
 では、堀川先生、お願いします。
【堀川委員】  公開レビューですので、最初に認識を共有しておきたいと存じます。和食がユネスコ無形文化財に登録されたことが契機となり、食という人間が生きるために必要なものが、長く受け継がれたことによって一つの伝統となり、それを文化として認識したと。食を文化として見ると、地域で受け継がれたものが日本人の食生活の急激な変化で失われている状況も見えてきた。これまでも文化庁は様々な文化を継承・保存するということを一つの大きな政策課題として実施されてきたことから、食が文化と認識されたことから、食文化もというふうになったと理解します。近年、文化庁は、継承・保存することにとどまらず、積極的に地域振興も視野に入れた政策も展開されていて、いわゆるある意味守りと攻めの両面を推進していることを私としては高く評価しております。
 本事業に関してですが、無形文化財に登録できる条件の一つには、一つのツールとしてこれを使うわけですが、その食の文化を支える団体がしっかりしていて、確実に食の継承が担保される必要があるというのを先日説明でいただいたと思います。また、食文化ストーリーにしても100年フードにしても、ある意味支える団体がおありだと考えます。このように、文化財登録、食文化ストーリー、100年フードは、ある意味逆に言うと、しっかりした団体があるということで、一定程度失われる危機からは免れているとも理解できる。実態的にはきっとオールジャパンで知名度を上げて、積極的に、先ほど言いました文化庁の一つの大きな柱である攻め、経済効果の創出を行い、ひいては地域振興までという事業にどちらかというとシフトしているのではないか。私としては、それをさらに攻めを鮮明にしたロジックを構築していただきたいというのが一つの考えです。登録できたことを徹底して活用する戦略で、本来この事業が求めている攻めの効果、地域振興の効果を強力に進めていただきたいということでフォローアップ事業を検討していただければというのが私の一つの考えです。
 その結果、様々な地域の波及効果があると思うんですが、これはちょっと余談なんですが、最近、石見神楽を島根県で見てきました。地域ごとに社中が建っているんです。中には実は新しく最近というか、長いレンジですので10年前でも最近らしいんですけれども、最近建ったところもあって、隣の町でやっているなら、自分の町もやっぱり造ったほうがいいんじゃないのという世界らしいです。そうすると、実は山口県も行ったんですけれども、島根と山口の県境が文化の境界になっていないんです。こういう拡散があるので、やはり食文化も積極的に、文化の広がりがあれば、それをそれこそが担当課のほうがお求めの拡散だと思うので、積極的にやはり成功体験をつくっていただければなというのが1つ目の私の考えですが、ここまでの話でまず課長に御意見いただければ。
【説明者】  ありがとうございます。現在の文化庁の取組で、保護と振興の両輪で政策を進めていることに対して評価をいただいていること、しっかりと肝に受け止めて、さらにその両方を加速させていきたいと感じております。
 文化庁における食文化の担当は、3年ちょっと前に令和2年4月からまさに設置されたところ、そこから歴史が始まっているところでございます。御紹介をいただきました、文化財として食文化を現在保護すべく文化財に登録できた案件数は、民俗文化財と無形文化財の両者を合わせても10件でございます。したがいまして、私どもは、消失するかもしれない食文化をしっかりと文化財保護法という我が文化庁のツールを活用して守ることも今後引き続きしっかりと進める必要はあると思っておりまして、こちらの対応につきましても調査等はしっかり進めていきたいと思います。
 他方で、堀川委員に御指摘をいただきました、攻めの部分で、経済活動を活発にするためにこういった文化財になったものをどう周知し、活用していくのかということにつきましても非常に力を入れて進めていきたいと思っております。現在進めていますストーリー事業につきましても、そういった情報発信や、地域での財の活用、食文化の活用ということも併せて事業の中で取組をするように進めているところでございます。
 あと、県境がないという、島根の石見における神楽のお話をいただきました。食文化につきましても、県の中である程度培われてきているもの、もしくはそれよりもう少し小さなエリアで育まれている食文化も多うございますけれども、県域を越えて広がっている食文化があることも事実でございまして、神楽と同様の状況にあると思っております。こういったものをしっかりと調査をしたり、地元の方の発信を応援するようなことができるように、この攻めの取組につきましてもしっかり進めていく。そのためには、今ヒントをいただきました、成功体験をしっかりと共有をしたり、隣村の方々にもお伝えをしていくということが重要だと感じました。政策推進上、現在も進めていることも多うございますけれども、その点しっかりと肝に銘じて進めていきたいと存じます。
 以上でございます。
【堀川委員】  もう1点は、今、課長から説明があった最初の部分なんですが、一方の守りのほうなんです。消失危機にある食文化については、今、御説明にはあったんですけれども、文化財登録とかは数がやっぱり限定されているんですね。ただ、先ほど説明がありました書籍によると1,400、もっと調べれば、きっともっとあるかもしれないという状況で、こういう失われる危機に直面しているその食文化の数というのは、やっぱり現在の文化登録とか食文化ストーリーでは数的にちょっと間に合わないなという状況は見えてくるわけです。
 一方で失われる危機にある食文化はどういうものなのかと考えたんですけれども、これは私の認識ですけれども、団体がきっとないんだと思うんです。支える団体がないからこそ、失われていく。結局、キーワードは団体になるんですけれども、やはり支える団体を見いださないと失われてしまうんじゃないか。団体を見いだして登録するのではないんです。団体を見いだして、団体自体を育てるという新たな事業の展開ですね。結局、相当な数を賄わないといけないので、支える地元の団体を掘り起こす。それは自治体かもしれません。NPOかもしれません。はたまた、もっと違う形かもしれませんが、それを掘り起こすことイコール、失われる危機にある食を見つけることになるんですが、その際に、団体というキーワードでプッシュ型の政策を考えていただかないと、失われているほうがどんどん失われていくんじゃないかなと。攻めのほうはいいんです。守りのほうがきっと、どんどん時代が変化していますので、年数が経つたびに、見向きもされずに失われていく可能性が高いので、その点、新たな事業展開を考えていただきたいというのが、最後、私の意見です。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。無形文化財に登録をされた場合、本日の資料の中で申しますと、18ページに伝統的酒造りという無形文化財に登録をされた案件を例に掲載させていただいておりますけれども、これ下半分、後段のところで、保持団体を認定しているということを記載しております。委員御指摘のとおり、無形文化財に登録された場合、こういう保持団体を明確に位置づけることとしておりまして、この団体の活動をしっかりと我々としても支援をしていくことで、失われかねない食文化・技術を守っていくということを継続していこうと思っております。
 さらには、100年フードという取組を先ほど御紹介申し上げましたが、これは文化財保護法に基づいて登録するようなハードルの高いものではございませんけれども、あまたある食文化を広く文化庁としても保護・支援をしていくためにハードルを少し下げまして、2年間で200件ほど集めることができました。これらを認定するに当たりましても、地方公共団体やそれに準ずるような団体がしっかりといるということを条件として認定をしてございます。委員指摘のとおり、やはりこういう食文化を守る団体というのが、保護継承のために肝になるという考えと一致していたのかなと今改めて振り返っておりますけれども、こういう団体の方々の活動をしっかりと支援していくということを進めようと思います。
 もう1点だけ、さらにこれが今、特に我々は自治体にそういう機能をできるだけ担っていただきたいと思っているところではございますけれども、今後の取組になりますが、例えば旅行をされる方々を統括しているような団体とか、そういったところで食文化を活用していただく中で、そういう団体も視野に入れながらこういう食文化の保護を進めることができるかなとも思っております。今後の活動をさらに広げていければと思います。
 以上でございます。
【堀川委員】  ありがとうございます。以上です。
【井上総括審議官】  それでは、ほかの先生方から御意見、御質問等ございますでしょうか。伊藤先生、お願いします。
【伊藤委員】  伊藤です。よろしくお願いいたします。今、初期アウトカムで、食文化の文化財化の数を増やしたいというところで、今20件から7年度62件まで増やしたいという目標があるんですが、まず一つは、これ、1,741の市区町村全てに文化財になるほど食文化があるというわけではないんだと思うんです。きっとそれは個々の地域ごとの中でも、さらに希少性だったり価値があるというものが文化財化されるものだと思うんですが、文化庁として、母数がどのぐらいあるという雰囲気はあるんですか。潜在的にはこれだけあるものをここまで増やしたいというふうに考えているんですか。
【説明者】  ありがとうございます。まずは文化財化の取組という視点で見ますれば、行政組織が中心になって、そういった文化財がどれだけ地元、自分の行政区域の中にあるのかということを認識していただき、それらのうちどういったところを優先して守らなければいけないのか、急を要するのかというようなことを目配せすることができるのではないかと思っております。
 したがいまして、私どものこの食文化ストーリー事業が一つ大きなツールであるわけでございますけれども、これに関しましては、まず都道府県単位の自治体の方々に、自らの自治体、そして市町村にどういった食文化があり、何を優先すべきかということを認識していただきながら、文化財化をするという手段をまだ御認識いただいていないところも、3年目の組織でございますので、多うございますから、都道府県の教育委員会など文化財担当者の方が、食文化についても登録ができるんだ、そういう形で保護していこうという意識を持っていただくことがこの事業を通じてできればと思っております。したがいまして、まずは47都道府県の担当者の方に、こういった認識が共有できることをまず第1に取り組んでみたいと思っております。
【伊藤委員】  申請自体は都道府県単位だけじゃなくて、市町村単位でも申請はできるんですよね。ただ、まず認知してもらう相手先として都道府県から行きたいということですかね。
【説明者】  はい。文化財化するかどうかというのは、国の登録等を行う場合は、国の職員が食文化につきまして調査をして、登録手続を行います。ですので、情報収集をするための、そういう材料をまず集めるところで県の方や市町村の方と協力をするということになりますが、その際、やはり都道府県の自治体職員の方々が大きなサポーターになってくれると思っております。
【伊藤委員】  ありがとうございます。これはまさに文化財なので、登録するときは文化庁としての登録になると思うんです。地域側、地方側としてニーズがあって、今のような話で文化庁に相談があり、文化財化されるというのが多分一番きれいなパターンなのかな、流れなのかなと思うんです。何が言いたいかというと、地方側、やっぱり地方に、この食文化が大切だという思いがあることがまず初め、スタートなんじゃないかなと考えたときに、目標数で今、62と出てはいるんですが、もしかしたらこの目標値はなかなか設定しにくいんじゃないかなと実は思っていて、やっぱり地域として本当に必要かどうかということが大切なのかなとすごく感じているんです。
 もしかしたら、文化財登録をしなくても、この地域は知る人ぞ知る食文化ストーリーを持っているんだというふうに考えることだって決して悪いことじゃないんじゃないかなと思うんですけれども、そういう意味でも、これは文化庁から何かということよりは、地域・地方発じゃないとこれが進んでいかないのではないかなと思うんですが、そこはいかがでしょうか。
【説明者】  おっしゃるとおりかと思います。最初に1点、国が主導して、文化庁として文化財登録をする国登録の文化財もございますれば、地方が登録をする県登録の文化財もあります。まだ残念ながら、食文化の世界では、令和3年の文化財保護法の改正でもってこういった食文化も登録していけるんだということが初めて認識されたような状況でございますので、まだ地方登録がない状況ではございます。こういったことを地方の方々が認識していただくということが重要で、目標として今設定をしている令和7年の62件という数は、まず都道府県の担当者の方47がこの中に大きな位置づけとしていければと思っておりまして、それプラス、無形文化財として、県境を越えた、国、オールジャパンで酒造りを担当するようなお酒の団体とか、こういう方々を立ち上げて62という目標を設定しております。
 だから、伊藤委員御指摘のように、地方が独自に、もしかしたら市町村の担当者のほうがそういう意識が強くて、どんどん自分たちのなくなりかねない食文化を守っているという人が出てくるということが理想ですし、実際そういうふうになっていくべきだと思うんですけれども、そういう方を実際どう評価していくかということはまた考え直さないといけないかもしれませんが、我々としては、これとは別の例えば100年フードというような、文化財保護法の外の枠の中でそういう取組も現在は並行して進められればというふうに考えているという状況でございます。
【伊藤委員】  ありがとうございます。もう1点だけごめんなさい。長期アウトカムで食文化の国民喫食率を出されています。喫食率ってよく使われるのは、残食数と差引きで出されることが多いと思うんですね。実際にある食事の中から、どれぐらい食べたかという中で出されることが多いと思うんですけれども、一つは、今、目標値が15%になっているんですけれども、これ、これまでに実際に実績として出ている数字があれば教えていただきたい。今、多分まだレビューシート上はないのかなと思っているんですけれども。
【説明者】  ありがとうございます。おっしゃるとおり、喫食率はまだ明確なデータはないと思っておりまして、私どもも今回15という数字を設定いたしましたが、今後これを捕捉していくときには、インターネットを通じてアンケート調査などで質問項目を工夫して取ることは考えております。
 他方で、全く何の情報もなく15という数字をつくるのも怖かったものですから、参考にいたしましたのは農林水産省で実施されている、国民の生活における和食文化の実態調査というものがございまして、その中で郷土料理の食事頻度を取っておられるところがございました。月に数回郷土料理を食べているという人が9.2%いるというのが最近のデータとしてございました。これを一つの参考にして、ただ、これはどんどん見直していかなければいけないと思うんですが、それを参考にして、その後増やしていって15ぐらいを目指していくということで一応設定をさせていただきました。
【伊藤委員】  なるほど。では、ここで言う喫食率は何か。計算式でいくと、どうやってやりますかね。
【説明者】  まず、今、あくまで個人的な想定ではございますけれども、食文化で文化財になっている技を用いる食とか、100年フードになっているような食を食べたことがある人というのをストレートにアンケートで調査をするという手法が一つあるかと思います。ただ、この辺りの取り方につきましては、識者の方の御意見等もいただきながら、よく熟慮してまいりたいと存じます。
【伊藤委員】  最初の御説明にあったように、食文化ってやっぱり食べてもらって初めてそのよさとか魅力を感じてもらえるということでは、喫食率の高いほうが当然いいと私も感じていて、やっぱりそのときの喫食率の出し方というのは今からかなり精緻に考えておく必要があるのかなと思っているんです。僕はやっぱり、これまで食べたことがあるかどうかでいくと、50年前に食べたことがあるは多分、実際に喫食していると言えないかなと思うので、やっぱり先ほどの郷土料理の農水省の調査結果みたいな感じで月数回とかそういう頻度も含めてとっておくことが必要なんじゃないかなと思います。
【説明者】  承知しました。ありがとうございます。
【井上総括審議官】  伊藤先生、よろしいでしょうか。
 では、先に島田先生、お願いします。
【島田委員】  御説明いただきまして、ありがとうございます。前回皆さんと共に議論させていただいて、私どもからもコメントさせていただいた点を含んで今回の内容に至っているんだなということがより分かりましたので、ありがとうございます。
 その点から気づいたことと質問とちょっと混ぜ合わさりますけれども、話をさせていただきたいと思います。まず、私自身も改めて今日の御説明と、それから、今の伊藤先生とのやり取りでも、ああと思ったんですけれども、やっぱり食というのが文化である、文化財登録ができるというようなこと自体が明確になったのが令和3年からという、このこと自体にすごく意味があるのかなと思っています。多分これからいろいろとこのことが知られていって、ああ、そうなんだと。つまり、今、これに取り組んでいるんだということ自体の認知を上げていくということが結構重要なんじゃないかなと思います。
 したがって、いろいろなKPIも立てられているんですけれども、はい、食文化、文化財認定できます、私たちは食を文化だと捉えていて、だから、すごく大事なんですという、何かこのこと自体のプロモーションというのも、何かKPIの一つに入れていったら、要は、そうだということを知っていますかというようなことをこれから通年でカウントしていくということもありなんじゃないかなと思います。
 伊藤先生の御質問とちょっとかぶってしまうところがあると思うんですけれども、聞いていて、例えばですけれども、一国民というんですかね、1人の人が、自分の地域のこれって完全なる食文化じゃないかと思ったときに、自ら手を挙げて登録したいですと動けるのかなとふと思ったときに、御回答の中では、やっぱり今の時点で基本、手を挙げられるのが団体もしくは自治体なんですよね。そうなったときにやっぱり、今申し上げたみたいに、食文化になり得るんだ、登録ができるんだということを知っていること、かつその登録のために必要なプロセスがこうだというのを知っていたら、手を挙げやすいんじゃないかと思います。全てが国からもしくは自治体からという流れじゃなくて、もっとこれが食文化になり得るんじゃないかという情報が出てくるんじゃないかと思うんです。
 これは多分、事業の2の調査というところの数ですよね。今ここのKPIにも書かれている数が、私としてはもうちょっと伸びてもいいんじゃないかと思ったんです。例えば文化財の候補となり得る食文化の情報の蓄積と調査された食文化件数というのがまだとても少ないと思います。令和5年の活動見込みだと5となっていて、もっともっと日本にはあるはずだから、ボトムアップでその情報が吸い上がってくるみたいなことを一緒にやっていくと、この数字をもっと上げていけるんじゃないかなと。なので、私が最初にしたコメントと近くなると思います。ここで質問したかったのは、対象となる、文化財の候補となり得る食文化の情報の蓄積、調査された食文化件数、この候補となるものをどうやって見つけているんですかというのがちょっと聞きたかったことなんです。これが2つ目のポイントになります。
 長くなっているのでまた後でもう1回申し上げたいんですが、私、最後にもう一つ言いたいのが、やっぱり食文化だし、かつ経済活動、そして、地域振興というふうになってくるんだとしたら、これはやっぱり農林水産省だったり、経済産業省さんだったり、最後は全部関わってくると思うんです。でも、このことを文科省、文化庁がやっていくとなったときに、地域の高校、学校と連携していくという視点があってもよいんじゃないかと思います。
 今から申し上げることは農林水産省さんの管轄でもあるかもしれませんけれども、例えば世界農業遺産とか日本農業遺産というものが日本にある中で、そこの地元の高校の生徒さんたちが自分の地域にこんなものがあるんだというふうに食文化含めて知っていけると、シビックプライドにもなっていきますし、あとは、自ら進んでそれを情報発信していくような人材になっていける。もしくは、以降、後継者といった点での有力な人材養成の候補になっていくんじゃないかと思います。
 例えばですが、私がよく関わっている和歌山県だと、世界農業遺産、梅システムと言われる梅産業ですね。これはやっぱり関われば関わるほど本当に食文化だなと痛感しています。ここには南部高校という県立高校がありますが、食と農園科という、普通科と共にそういった科があるんです。例えばこういったところは、今皆様がやられているこの事業とすごく連携・連動するんだと思うし、梅を使って実はUME-1フェスタというものもやっていて、梅料理のコンテストを毎年やっていて、いろいろな地域の高校生が競うんです。UME-1フェスタ。これは食文化とともに経済活動かつ地域振興になり得るんじゃないかと。要は、いろいろな高校が競って、選ばれた10校ぐらいが、自分たちのレシピで作ったものを売りに来るんです。そこで来た人たちが買うということをやったりしています。
 なので、ちょっと話がそれるように聞こえるんですけれども、私はこれが絶対重要なポイントだと思います。これからの人材に、今皆さんがやられているこの事業のことがきちんと知られていき、それが勉強していることや地域活動とつながっていく、こんなようなところを、文科省さん、文化庁さんなのでぜひやられたらと思いました。最後はコメントになります。ありがとうございます。
【井上総括審議官】  先生方におかれましてはコメントシートへの記載も併せてお願いいたします。そして、記入が終わりましたら、メールにて事務局に御提出をお願いいたします。
 では、野添さん。
【説明者】  大変示唆に富む御指摘をありがとうございます。御質問を含めまして、まず1点目にいただきました、無形文化財として登録されること自体が、認知度を計測したり、それをしっかり上げていくということも重要ではないかという御指摘をいただきました。まさにそのとおりかと思っております。私ども今回、長期アウトカムのところで、食文化の国民認知度という中で、食文化の中には無形の文化財に登録をされた食文化も含めながら、国民の方の認知度が上がっていくようにということで、そこで計測をしながら、それを上げていくための取組は文化庁の職員我々一生懸命やっていこうと思っているところではございました。
 他方で、調査のほうにも言及いただきましたけれども、アクティビティの1番目と2番目につきましては、まさに文化財保護法上の文化財に登録をすることを目指して、調査をしたり、ストーリー事業で地域の食文化を発掘してございます。したがいまして、2番目の御指摘にもつながりますけれども、食文化の発掘の仕方ということで、国の文化庁として今取り組めるものとしましたら、年間10件程度ではございますけれども、食文化ストーリーということで、各地域が今まさに調査を急ぎやりたいんだというようなことで、緊急性とか内容が本当に優れているなというものを順に採択しながら、食文化で文化財登録するものを探しているような状況にございます。
 他方で、3点目につながりますけれども、これだけでは非常に数も少のうございまして、何とか私たちもウイングを広げられないかということでこの100年フードに手を挙げていただいて、応募をいただいて認定をするということを進めております。今回、今、学校のお取組、そういったところでシビックプライドの醸成や学生さんたちの活動の広がりにつなげるということを御指摘いただきました。私どももこの100年フードという取組を通じてそういったことにも広げていきたいと思いまして、昨年度からスタートしましたのが、この100年フードを支える企業さんとか学校の方々、こういった方々との連携が重要と思い、まずは、まだ3件しかないんですけれども、モデル的に連携案件を構築し始めております。
 例えば島根県の安来市に清水ようかんという歴史あるようかんがあるんですけれども、それを安来市の高校生の方々がPR素材を自らお作りになられて、地元の食、ようかんの普及に、勉強もしながら実際のPRもしたという事例など、少しずつ取組を始めております。今島田委員のほうから和歌山の梅のお話もお聞きしまして、そういった学校の取組とかがどんどん進んでいるということも教えていただきましたので、こういう活動を、文化庁、さらには文科省の中にございますので、そういった地の利を生かして活動を広げられるように取り組んでいきたいと思います。ありがとうございます。
【井上総括審議官】  では、川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  御説明ありがとうございました。先ほど伊藤委員との長期アウトカムの喫食率のお話があったかと思います。私もこの点について、100年フードのどういうものがあるのかウェブサイトで見せていただいたんですけれども、お恥ずかしながら知らなかったものとか、知っているけれども食べたことがないものという、いろいろなものがあったんですが、やっぱり知っていて、もしくは食べたことがあっても、文化的な背景について知らないものが結構あるなということを感じました。恐らく喫食率だけであれば、月の頻度とかそういったことも含めて調査をしたとしても、そこの裏にあるストーリーというんですかね、それをどのぐらい知っているかというところも、今後、長期アウトカムを測定する際には少しフォローしていく必要があるのかなと思いました。その点はいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。まさにそこが重要だと思っております。文化的背景を知ることによって、その食文化の背景を知って、さらに食べたくなるとかということが本当にあるということが自分自身の経験でも感じるところでございます。したがいまして、単に喫食率を取る、食べたかどうかということを調べるだけでも、そういった背景を知ったかどうか、知ったことが大きく影響もすると思いますが、やはり明確にそういった背景を理解したかどうかということを途中プロセスとして把握することの重要性も今の委員の御指摘で非常に感じたところでございます。その取り方につきましては、アンケートの項目を工夫するということが一つの方法として考えられるんですけれども、ロジックモデルへの盛り込みで参考指標がよいのか、どういう形がいいのかは、内部でも示唆をいただきながら整理していきたいと思います。
【川澤委員】  ありがとうございます。恐らく喫食率が高ければ、例えば製品化がかなりされて流通しているということであれば、そのパッケージに少し文化的な背景を盛り込んでもらうとか、いろいろな多分アプローチの仕方があると思いますので、ぜひその辺りのところについては御検討いただければと思いますし、そういうことを知ることでさらに恐らく継承されていくものだと思いますので、ぜひお願いしたいと思いました。
 あともう1点、アウトカムについてなんですけれども、私も、自治体とか団体という活動の軸にある人たちを増やしていくということは、今、学校というお話もありましたし、そういったところを増やしていくというのは非常に重要だと思っています。ですので、アウトカムとしてそこをきちんと定量的にフォローしていくというのは重要だと思います。
 一方で、今回、経済活動との好循環というところをインパクトに入れていただいているので、経済効果みたいなところも何らかフォローする必要があるかどうか。難しさは当然あるんだと思うんですけれども、その辺りはいかがでしょうか。今、比較的、どのぐらい団体がいるのか、文化財登録がされたのかというところは、アウトカムのところに盛り込まれているんですけれども、経済効果とか経済活動に関わる定量化みたいなところはいかがでしょうか。
【説明者】  経済効果と言えるかどうかですが、中期アウトカムの下段、KPIの数字でいきますと8番になります。ここのところは経済活動を行っている自治体や団体の数ということで、主には文化財を守っている団体の方とか、あと、100年フードを振興している団体の方々の数がベースになりますけれども、それを横目でちらちら見ながら自分もやってみるかという人をどこまで捕捉できるか、この辺もチャレンジだと思っておりますが、そういう方々を含めて経済活動をやっている団体数を取りたいと思っております。
 具体的には、例えば100年フードでしたら、それに認定されたことによりまして、これは北海道のラーメンの例なんですけれども、苫小牧のカレーラーメンというところが新たに今回商品開発をされて、そのパッケージに100年フードというマークまでつけて販売を始めておられたり、あとは、ふるさと納税でこの100年フードをしっかり明記して返礼品として準備される方も出てまいりました。こういう活動を100年フードの団体とか、自治体さんとか、あとは、関係の食の団体さん、私たちが付き合いのある方からヒアリングをしまして、こういうプッシュ型で行っておられるような経済活動を補足するということも可能かと思っておりますので、こういうところで捕捉できるのではないかなと思っております。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。量的な、金銭的なものではなくてまず数ということで把握されているという方向性は分かりました。なかなか金額面というところになると難しさもあると思いますので、まずは第一歩としてやはり経済活動、今おっしゃっていただいたような活動を行っていく団体とか取組の幅を広げていく、そこをきちんと公表して示していくということは重要だなと思います。ありがとうございました。
【井上総括審議官】  堀川先生、どうぞ。
【堀川委員】  先ほど島田委員からのお話を伺っていて、私もすごいいい意見だなと思いました。前回の会議でも、食を継承する、食文化を継承するのは、それを食べて、さらに言うと、それを作る人が手を挙げてもらわないと継承できないんだというお話を伺って、そのときに、私はキーワードを団体と置いているんですけれども、誰が食べて誰が作るんだろうというところをどうしても越えられなかったんです。
 でも、今お話を聞いていたら、高校はどちらかというと都道府県になると思うんですけれども、学校が作る担い手になるんだなという、目から鱗じゃないんですけれども、あ、そうだ、中学で家庭科ってあったよねと。そのときにしかほとんど食事を私は作ってないんですけれども、家庭科って今もあるんですかね。そこが担い手になるんだなと。まさに初等中等教育局とタッグを組んでいただいてというふうに、僕は島田先生の話を聞いていてですね。そうすると、すばらしい効果が相乗的に現れるんだなと思いましたので、すみません、島田委員の意見にちょっと追従させていただいた次第です。
 以上です。御検討ください。
【説明者】  承知いたしました。
【井上総括審議官】  予定の時間が参っておりますので、まだコメントシートを記入いただいていない先生におかれましては、コメントシートを記入していただき、事務局にメールで御提出をお願いいたします。
 こちらで取りまとめ作業をしておりますけれども、この間もし何かさらに御意見等ございましたら、挙手をいただければと思います。
 川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  ありがとうございます。先ほど堀川委員から、団体についての支援というようなことも今後、考えられるんじゃないかというようなお話があったかと思います。やはり自治体・団体の中でも、非常に積極的に活動されるところもあれば、なかなかそれが難しいところも、いろいろなレベル感があるんだろうなというふうに思います。そこはそれぞれの状況に応じて活動していっていただくのが重要だと思うんですが、文化庁として何かそこをサポートするような仕組みというのは今後御検討されたりとかするんでしょうか。
【説明者】  いろいろなレベルであるのかな、いろいろな支援の仕方があるのかなと思いながらお聞きをしておりました。私どもが実施をしている例えば食文化ストーリー事業で採択するのも団体が多うございます。自治体もしくはそれに準ずる団体でございますけれども、やはりやる気のあるところから採択されるというような形になっているかと思います。
 他方で、いろいろな取組をしたいという方々がこういったところで手を挙げていただいた中でお知り合いになったりしますけれども、そういったものは、一つ一つ丁寧にニーズに応じた形で御紹介をするとかいう対応しているところもございます。一つ例を申し上げますと、例えばインバウンドのお客様に地域の食文化をうまく活用して地域活性化につなげられないかという問題意識を持っておられる方に対しては、よく連携もしております観光庁のほうでの商品を創出するような補助事業とかそういったものがございますので、これが条件として合うんじゃないかと思いましたら、団体の方にそういったメニューを御紹介し、観光庁のほうにも情報をフィードバックするとか、そういった取組をまず丁寧にやることで一つ一つ対応はしているところでございます。これのシステム化がどうやってできるのかというところは、今、川澤委員から御指摘いただきましたが、今後の課題として考えていきたいと思います。
 以上でございます。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。一方で、ホームページを拝見していますと、100年フードの語り部というのもあるんだなと思いました。そこはいわゆる団体等にこだわらず、例えば個人を対象にした、先ほど島田委員のほうからも、個々にそういった食文化であるということを認知した人がどうやってアクションを起こせるかというか、情報発信できるか、そこを吸い上げられるかというお話がありましたけれども、これはどういった取組でどういう位置づけになってくるんでしょうか。
【説明者】  語り部として100年フードを紹介してもらっているんですが、これは実のところは今100年フードを保護していただいている団体の方を通じて、例えば団体内部の方であったり、その食を実際につくっているおばあちゃんに作り方を聞いていたりとか、思いを語ってもらったりということで、団体を通じて今、語り部を探しているところでございます。これはとある雑誌の編集長の方からアイデアをいただいて、こういう食を本当に守っている、作っている人の声といいますか、お話というのが、やはり聞いている側や見ている側に刺さるというアドバイスがありましたので、こういうことも一つ一つデータを取りながら、お話ししていただいたものをアップするという形で対応しているものでございます。事業の中のものということであります。
【川澤委員】  なるほど。分かりました。ありがとうございます。非常に面白いなと思って、私もさっきちょっと見ていると、こういうことなのかというのはやっぱり動画で見るとより分かるというところもあると思いますので、一つのやり方として面白い取組だなと思いました。ありがとうございました。
【説明者】  ありがとうございます。
【井上総括審議官】  伊藤先生、お願いします。
【伊藤委員】  これまでも出ていますし、事前の勉強会でも私も少し話をしたかもしれませんけれども、やっぱり農水省でも類似のことをやっていて、僕は個人的にはこの長期アウトカムの設定はとても適切だなと。認知度の向上と、やっぱり食文化が、ほかの文化も一緒ですけれども、活用されている、ここでいうと、やっぱり食べてもらうことによって継承につながるんだというところを大切だと思うからこそなんですけれども、農水省でずっともともと、和食がユネスコに登録されたりとか、あと、日本型食生活、郷土料理、農水省のホームページにもかなりその部分は詳しく出されているなと思うんです。
 ワードって、いろいろな似たような類似の違うワードが出れば出るほど、やっぱり認知度ってなかなか高まっていかないだろうなと強く感じていて、つまりは、文化庁がやるから食文化だとか、農水省がやるから郷土料理だというようなことではなくて、どうやってこれを一緒にできるかということが大切なんじゃないかなと思うんです。ホームページを見ている限りでは、まだまだそこの連携が必ずしもちゃんと実績になっていないんじゃないかなと感じているので、そこがこれからのやれる話かなと思うんですけれども、もし御意見あればお願いいたします。
【説明者】  ありがとうございます。御指摘のところは常に私どもも意識をしております。私どもは3年たった組織でございますので、農水省より歴史は浅うございます。この辺りは、各省庁でやはり強みを生かして、食文化に対する施策というのはそれぞれの省庁の強みを生かしながらやっているのかなと思っております。例えば農水省でしたら生産サイドに非常に強く、これまでも政策的な歴史もございますし、そういった生産プラス、あと、産業振興という視点が非常に強うございます。例えば輸出を進めるためにどういうふうに国内の産品を活用していくかという、こういう目線も多くあると思います。
 他方、我々文化庁におきましては、文化財保護法という強力なそういった文化財保護ツールがございますので、こういった保存のためのツールをしっかりとメインに据えながら、それぞれの強みを生かしてそれぞれが取り組むと。
 他方で、デマケは図りながら農水省の担当者とは密に連絡を取っておりますけれども、例えば今年は実は和食がユネスコ登録されて10周年の年に当たります。こういう節目の年に、それを支援する取組をする企業様方をお互い一緒にチアアップしようよということで、双方がホームページを通じてそういう取組、今年度、和食を盛り上げる取組をする企業を募集しまして、ここは農水省と連携をしてそういう企業さんを、どんどん頑張ってくださいということで応援をするというようなことも連携してやる。こういうことは小さな取組ではございますけれども、連携の1例としてございます。
 こういうことをはじめとして、強みを生かして、デマケも意識しつつ、自分たちの得意分野を生かしながら、連携もして進めていくということが重要かと思っております。御指摘を踏まえて、またこれからも進めていきたいと思います。ありがとうございます。
【伊藤委員】  ありがとうございます。農水省がやっている郷土料理とか和食に関する意識調査ってかなり精緻にやられているなと思っているんです。ずっと今も見ていたんですけれども、例えば家での料理頻度が多い人ほど、郷土料理の認知度も、郷土料理を食べている比率も高いというクロス分析も出されているので、もしかしたらこの後、喫食率をどうやって調査するかの中で、農水省がこういうふうに定期的にやっている意識調査の中にこういうものを入れていくというようなことも十分考えられるんじゃないかなと思いますので、そこは、すみません、意見として申し上げたいと思います。
【井上総括審議官】  よろしいですか。では、堀川先生。
【堀川委員】  では、取りまとめさせていただきます。
 まず、初めに各委員の主なコメントを紹介いたします。国民に認知され、実際に食べ続けてもらわなければ衰退するという観点において、長期アウトカム指標の設定は適切と考えるが、喫食率の取り方がまだ明確になっていないので、今から精緻に考えておく必要がある。文化財登録するかどうかは自治体や地域の意思が最も重要。
 次に、食文化に関わる自治体・団体等の増加に加え、自治体・団体等の活動内容・量・高度化についても定量的に測定する工夫が必要。
 地域に住む地域の食を担う住民から、文化財登録のみならず、食文化としてのアピールができるよう、本事業自体が広く知られることが重要と考える。
 文化財登録による地域振興の効果が大きいことが分かれば、周辺の自治体への波及効果も期待できる。積極的な政策の検討が必要。
 以上を踏まえまして、取りまとめコメントとしては、大きく2つの柱で取りまとめたいと存じます。
 1つ目の柱は、事業の効果及び指標の設定及びロジックモデルに関するものです。これについては、今回、喫食率というのが複数の委員から様々な意見が出てきております。具体的には、喫食率の取り方がまだ明確になっていないので、今から精緻に考えておく必要がある。また、4つの事業全てを行うことで、長期アウトカムである国民の25%認知度、15%喫食率の達成を目指すに当たり、それが現実的なのか、かつその計測の仕方について再考していただきたい。それ以外にも意見の中で喫食率について述べられたと確か思います。もう一つ、効果についてですが、食文化に関わる自治体・団体等の増加に加え、自治体・団体等の活動内容・量・高度化についても定量的に測定する工夫が必要である。
 次に、2つ目の柱としては、事業の執行及びその方向性に関するものですが、これについても、複数の委員から他省庁もしくは他省庁関連で取り組んでいる話、意見がございました。具体的には農水省の郷土料理、日本型食生活と食文化とは何が共通していて何が違うのかを明確にすることで、認知度向上にもなるし、文化庁として行うことの必要性が明確になる。農水省とこれまで以上に連携していくことが必要ではないか。また、地域の高校との連携が効果的ではないか。特に食や一次産業に特化している高校の取り組んでいる事例などがあったということで、ぜひそれを参考にしていただきたい。そして次に、文化財登録による地域振興の効果が大きいことが分かれば、周辺の自治体への波及効果も期待できる。積極的な政策の検討が必要。危機に直面している食文化を特定し、それを支える団体や自治体を積極的に掘り起こしていくことが求められる。目的は守りであっても、その事業はプッシュ型の事業。踏み込んだ事業設計となることが見えてきた。新たな事業として検討していただきたい。
 もう1点、すみません、効果のところで一つ追加ですが、文化財登録するかどうかは自治体や地域の意思が最も重要ということを意識して事業を進めていただきたい。
 以上、大きく2つの柱で取りまとめたいと存じますが、いかがでしょうか。よろしければ挙手をお願いいたします。
 ありがとうございます。
【井上総括審議官】  ありがとうございました。それでは、以上をもちまして、『食文化あふれる国・日本』プロジェクトの公開プロセスについては終了させていただきます。
 次の地方教育行政推進事業につきましては、13時の開始といたしますので、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。一旦閉めさせていただきます。
( 休憩 )
【井上総括審議官】  それでは、3コマ目を始めさせていただきます。これからの時間帯は地方教育行政推進事業について御議論をお願いしたいと存じます。
 初めに、事業担当部局より事業概要の説明をさせていただきます。説明者は5分以内で簡潔に説明をお願いします。
【説明者】  初等中等教育企画課長の堀野でございます。資料2ページ目、レビューシートの事業の目的・事業の概要に記載のとおり、地方教育行政推進事業につきましては、地方公共団体に対する指導、助言、援助等について幅広い手段で事業を実施しています。今回の公開プロセスでは、国が政策誘導してしっかり取組を進める必要がある夜間中学の設置促進・充実事業を中心に御議論いただきたいと考えております。時間も限られておりますので、夜間中学の事業以外については、本日この場での御説明は割愛させていただきます。
 それでは、夜間中学の設置促進・充実事業につきましては、13ページ目のロジックモデルに基づき御説明いたします。まず目的ですけれども、夜間中学は、義務教育を修了できなかった方、不登校など様々な事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方、また、我が国または本国において義務教育を修了していない外国籍の方などの教育を受ける機会を実質的に保障するために重要な役割を果たしております。
 夜間中学を取り巻く状況といたしましては、平成28年12月に教育機会確保法が成立し、先般閣議決定された教育振興基本計画等で全都道府県・指定都市に少なくとも1つの夜間中学設置を目指すこととしております。さらに、令和3年1月に当時の菅総理が、今後5年間で夜間中学が全ての都道府県・指定都市に少なくとも1つ設置されることを目指す旨答弁したことを踏まえて、政府を挙げて夜間中学の設置促進・充実に向けた取組を行っております。これによって、平成28年度は5都道府県7指定都市31校であったのに対し、令和5年度は11都道府県12指定都市44校にまで設置数は増加し、令和7年度には少なくとも21都道府県15指定都市に58校となる予定です。21と15で36ですので、全部で67都道府県・指定都市があるうちの半分、過半数が見えてきたという状況でございます。
 このように取組が進んでいる自治体がある一方、一部の自治体において、具体的な入学のニーズが把握しにくいといった声もあると聞いており、文部科学省としては、全ての都道府県・指定都市に少なくとも1つの夜間中学が設置されるよう引き続き自治体への支援を行ってまいりたいと考えております。そこで夜間中学の設置促進・充実事業を行っております。なお、その他、夜間中学は中学校であることから、一般の昼間の中学校と同様に、関連施策として教職員の措置や加配、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置、施設整備補助などもございます。
 今回説明させていただく本事業のアクティビティにつきましては、夜間中学の設置促進について必要となるアクティビティという部分でありまして、設置予定または設置を検討している自治体に対し、夜間中学の新設準備や開設後の円滑な運営の支援に係る補助金の交付、それから、自治体向けの説明会の開催、また、ポスター等の広報物の作成や広報動画の周知の3点を挙げております。
 これらアクティビティを通じて得られるアウトプットとしては、補助金交付自治体の増加、説明会を通じた発信、広報物を通じた発信等を想定しており、特に1つ目についてはアウトプットとして設定し、補助金交付自治体数をKPI①として設定しています。
 アウトプットを通じて実現したい変化としては、まず、初期アウトカムとして、全都道府県・指定都市で夜間中学設置の検討に着手したことを公表することを設定して、KPI②目標として、令和7年度までに検討に着手していない都道府県・指定都市をゼロとしております。冒頭申し上げたとおり、なかなか設置検討が進まない自治体においては、具体的な入学のニーズを把握しにくいという声があります。補助金を活用してニーズ調査を行っていただくことも可能となっており、ニーズ調査が進み、地域のニーズが明らかになると、自治体においても夜間中学の設置の必要性等を御認識いただけるようになり、自治体内で設置に向けて検討を行う方向の意思決定がなされた結果として、対外的に設置検討に着手したことが公表されるということでございます。
 さらに、長期アウトカムとして、全都道府県・指定都市に夜間中学設置を設定しております。教育振興基本計画との関係から、KPI③として、令和9年度までに全都道府県・指定都市に設置することを目標として設定しています。
 こうした補助事業を含め夜間中学に係る政策を一体的に推進することを通じ、最終的に目指す姿をインパクトとして、義務教育の機会を実質的に保障することで、夜間中学での学びを希望する者のウェルビーイングを実現するということを掲げております。
 事業の説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
【井上総括審議官】  ありがとうございました。それでは、私のほうから論点について説明をさせていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
 まず、1点目、アウトプット、アウトカムは適切に設定されているのかということ。2点目、目的を達成する上で事業実施方法が効果的なものとなっているのかという点でございます。
 説明者は、外部有識者からの御質問に対して簡潔明瞭に御回答願います。
 それでは、外部有識者の皆様から御質問等をお願いいたします。では、堀川先生。
【堀川委員】  公開レビューですので、最初に認識を共有しておきたいと存じます。夜間中学を都道府県及び指定都市に最低1か所設置することを目指すものであると。夜間中学の対象とされている主な方は、①として、様々な理由で中学校入学または卒業できなかった方で、現在は高齢者の方が多い。②としては、不登校等となった方で比較的若い方が多い。同時に③として、外国人の子弟で母国において義務教育に相当する教育を卒業していなかった方で中学校の対象年齢を超えている方ということで、比較的若い方になるのかなと。
 既に少なくとも1か所設置している都道府県・指定都市は、先ほどの説明にもありましたが、③の外国人子弟のニーズが偏在しているということもあってニーズが把握しやすいことから、それに基づいて設置しているケース、そのニーズを受ける形で設置しているケースが多いんだろうなと。
 そうすると、逆に設置していない都道府県・指定都市は、③の外国人の子弟の方があまり偏在してなくて、逆に言うと、その他の①の高齢者の方、②の不登校の方という、偏在していないがゆえにニーズが顕在化しにくい方々が、この方々は偏在していないのでどの都道府県にもおられるわけですけれども、そういう方々がきっとおられる、主体となっている都道府県であろうなと。一方で、②の不登校になった方というのは、中学校卒業程度認定試験制度が別にセーフティーネットとしてあると承知していますので、そちらが機能するとなると、結果的には①の高齢の方々が主に取り残されている可能性が高いんだろうなと。
 一方、高齢者であるがゆえに、もうセーフティーネットとしては、待ったなしの政策であるということで、私も、文科省としても現状できる限り方策は進めているということが今回のレビューで見えてきました。ただ一方で、設置されないままになると、今言った待ったなしですが、非常に厳しい状況に置かれているなと。また、本件の表題にもあるように、これは地方教育行政ですから、文科省本省の関与にも一定の限界があるんだということも承知しております。
 さらに、都道府県及び指定都市に最低1か所ずつ仮に設置した目標が達成されたとしても、都道府県とかは御存じのように大変広い面積を有するわけですから、そこに一、二か所つくっても、高齢者の方で通える人は非常に限定的になるんだろうなということはもう明白であり、文科本省のほうもそれは十分理解されている。ただ、実効性がある方法としては、まず1か所設置してもらって、それを複数設置へつなげていくというのが現状を踏まえた目標だと理解しましたが、目標自体から考えると、カバー率が非常に低いということでなかなか切ない話でもあるなという理解をしましたが、この辺で一旦切りますが、いかがでしょうか。こういう認識でいいでしょうか。
【説明者】  まず、対象者としておおむね、高齢者の方と不登校だった若い方、それから、外国人が主な方々だという認識はそのとおりだと思います。
 既に設置されているところについては、外国人が多いところはニーズが見えやすいということで、最近つくり出すにはスタートしやすい、ニーズが見えやすいところではありますが、今設置されているところがどうかといいますと、それは伝統的に夜間中学が戦後から、昔からあって残っているというようなところもあり、そこはタイプはいろいろだと思います。
 そして、最近の傾向としては、夜間中学の生徒等に対する実態調査をしておりますけれども、現在入ってきている生徒の傾向を見ますと、実は外国籍の方の数は減ってきている。一方で日本人の割合が増えて、絶対数としては外国人が多いんですけれども、日本人の学生が増えてきていて、日本人の生徒の中でも増えてきているのが、10代から30代の生徒数が増えてきている。そういう意味では、絶対数は外国籍の方が多いんですけれども、ちょっと減ってきていて、日本人が増えていて、日本人の若い人が増えてきているというのがデータから見る傾向でございます。
 御指摘のとおり、都道府県・指定都市に1か所ということが達成されたとしても、そこにみんなが通えるわけではないということは御指摘のとおりであります。まずは都道府県・指定都市1か所というのを目指していますけれども、そこが進んでいった暁には、さらに通える範囲をどう考えていくかという、次なる目標を考える段階が来るだろうとは思っております。
【堀川委員】  ありがとうございます。それで、高齢者の方にとってはもう待ったなしなんですね。そういう状況でこの状況、なかなか地方が動かないところは動かないという厳しい状況になるという状況を踏まえて、私としては一応高齢者の方にフォーカスを当てた意見を述べたいと思います。国としてはまだ実態としてもできないことが多いとも予想されますし、それも理解できるんですけれども、何とか打開策はないかということで、ちょっとアイデア的なところもありますので、御容赦願いたい。
 高齢者のニーズが見えないことが問題であることから、既に設置している夜間中学において高齢者を呼び込むような政策を行うことで徐々に増えているということですけれども、さらにニーズを増加すれば、新設への波及効果も期待できることになるのではないかということで、例えばですけれども、私も高齢者になりつつありますが、高齢者は夜間外出を控えますよね。やっぱりなるべく日中から授業を受けられないと。ネットでチェックしましたけれども、昼間やっているところないのかみたいな質問もあって、夜は駄目みたいな、そういう状況があるということを考えると、アイデア的に、できること、できないことは承知の上であえて言います。
 例えば、現在生徒数が減少していて授業に使われなくなった教室、今、余裕教室というふうに言われていますが、その活用は図られていることは承知しております。ただ、その活用実態は皆さんがよく理解されていると思いますので、ここでは前向きな議論したいので、優先順位を高めることで解決できる問題だと思うんですけれども、優先順位を上げれば、余裕教室の活用が図れるのではないかと。そうすると、なるべく夕方とか、夕方から動いているところはあるんですけれども、もっと早めに、最近、お昼過ぎに学校が閉じるようなところが学科によってはありますので、そういうところはやっぱり昼間何とか行けるような状況をつくってあげるというのが一つあるのではないか。それに限らずやはり、高齢者の立場に立ってニーズを掘り起こして、複数設置へのインセンティブを図っていけるような戦略はないのかというのが一つです。
 一方、1か所つくって複数設置を今もくろんでいるんですけれども、私もそれが実効性があると思うんですが、ただ、今回資料をつけていただいたデータを見ると、1というところはそのまま何年たっても1というところはまあまあ多いんです。だから、なかなか2か所目に移行していないというのも現状として認識できるんです。そうすると、全県的に網羅するというのはなかなか厳しい状況に置かれているなと。
 そうすると、先ほどのやはり余裕教室なんですけれども、優先順位を変えることで、オンライン授業に使えないのか。そうすれば、網羅できる地域は飛躍的に広がりますよね。そのオンラインというのは、当然、夜間中学の学校が発信するわけですけれども、それを今、コロナで遠隔ソフトが非常にお安くできるようになっていますので、それを活用して、そして、来ていただく学校、受け入れるほうの余裕教室のほうの学校の担当は教員がベストなんだけれども、もし教員で対応していただくなら、加配措置なんかをすれば、地方自治の一定の理解も得られやすくなると思うんです。
 仮に教員が担当していただければ、遠隔であっても、学校との一体感も醸成できますし、分からない場合は受け答えも当然できるわけです。だから、ある意味、遠隔による個別指導にもなっていけるのかなと。そうすれば学校の負担もないし、加配で取れるんだったら積極的に手を挙げるかもしれないという状況もあるので、なおかつ高齢者には負担もかからない、来ていただくだけでいい、地域も広がるというのが意見なんです。さらに言うと、遠足や運動会など夜間中学の行事で年に数回あるのは参加してもらえれば、一体感も醸成はできるだろうなと。
 さらに、高齢者が中学校とかに入ってくれば、結局、学生ボランティアとしてもきっと協力が得られるかもしれない。学校に高齢者が入るということは、私は基本的に互いにプラスになると思っているんです。御存じのように保育園と特養のような介護施設を一体で設置されているケースで非常によい相乗効果あると、今、文科省さんのほうで承知していると思うんですけれども、結局、人生の先輩から得られる知見というのはいろいろな意味でなかなかいいんですね。だから、これはこの事業から離れると思うんですけれども、そういった別の政策があってもいいんじゃないかなと。
 本件事業はこれまでの国と地方との関係もあって、これまでのやり方を変えるには正直様々な障壁があるので、自分が言っていることも本当に高いハードルを越えないといけないということは承知で言っております。しかし、セーフティーネットの事業であるとの位置づけがあれば、やはりこの事業のロジックモデルの長期アウトカム指標の目的が達成されても一部の人しか行けないのではなくて、求めておられる全員がどこにいても受けられる、望んでいる方を一人も取りこぼさない指標の設定をしていただき、高い次元なんですけれども、それに向かったロジックを構築することはやっぱり諦めたくないなというのが私の意見です。繰り返しになりますが、国だけでは決められないことが多いと思いますが、ぜひ御検討をお願いしたい。
 以上です。
【井上総括審議官】  どうぞ。
【説明者】  文部科学省の教育制度改革室長の前田でございます。堀川先生、ありがとうございます。
 余裕教室という話がございました。高齢者に特化して、そこは待ったなしだろうと。確かにおっしゃるとおりでございます。私はもともと夜間中学の成り立ちというものが、戦前・戦後、貧困とか戦後の混乱とかいろいろな中で義務教育を修了できなかった方に対してそれを実質的に保障するという機会でございますので、その方々に最大限そういう機会を提供すべきだと思っております。
 その上で、日中から授業を受ける場合、確かに日中から授業を受けられる方もいらっしゃるかと思いますけれども、夜間中学の高齢者の中には日中働いている方もいらっしゃるケースもあります。あるいは、旦那さんを介護している方とか、なかなか昼間に動けない方もいらっしゃいますので、夜間も継続しながら、昼間の授業というのはどういうふうにやるかというのは議論の余地があろうかと思っております。
 また、オンラインの話でございます。これはおっしゃるように、学齢期の子供たちはコロナでオンライン授業というのは当たり前の世界にこれからもなっていくんだろうと思います。ですので、そういった方策を夜間中学においても活用することで、県内広いところで住んでいる方も受けられるというのは一定考えるべきところだと思います。
 一方で、夜間中学のいろいろな関係者の中には、もし配信ということだと、やはり中には、学校に通って対面で授業をこれまで受けたことがなかったので受けたいという方もいらっしゃいますし、あと、もし配信ということであれば、今、複数あるところについては、学校を置かずにどこかセンター校から配信すればいいんじゃないかというような議論ももしかしたらあるのかなと思っておりますので、遠隔の取扱いについては大変これからも考えていくべきところだと思っていますけれども、夜間中学の関係者の御意見も聞きながら進めていくのが一番いいんだろうと思っております。
【説明者】  今の点、同じなんですけれども、補足で申し上げますと、オンラインを使って機会が広がる場合もあるので、そういうケースも考えていいと思いますけれども、一方で、あまり推奨し過ぎると、オンラインで1か所設ければいいじゃないかというふうな話になると、対面で通いたい人にとっては逆の効果になってしまうこともあるので、その辺のメッセージの出し方、対面の場をつくるというのと、オンラインをうまく使うというのは、しっかり気をつけながら議論していったほうがいいかなと思っております。
【堀川委員】  対面というのは重要だと私もユーチューブで見ました。やはり対面授業というのはなくしてはいけない。ただ、今、課長がおっしゃったとおり、それぞれのやっぱりメリットは残しつつ、ただ、今の目標があまりにもカバーできないという現実がありますので、それぞれリスクはあると思いますけれども、やっぱり一歩を踏み出す必要があるのかなという意見です。片方を切り捨てろということは一切考えておりませんので、対面もぜひ残していただきたいと考えています。
 以上です。
【井上総括審議官】  では、島田先生、お願いします。
【島田委員】  ありがとうございます。御説明いただきました。先にちょっとだけ質問させていただいた上で意見を述べさせていただければと思います。基礎的な質問ですが、夜間中学を設置するということの前提は、基本的には、新しく土地を見つけたり、建物を建てたり、もちろんのみならず、廃校になったところを使うとか、何か別の建物の空いているところを使うとか、基本的にはリアルの場というのを前提とされているのかどうか、これをまず教えていただけたらと思います。
【説明者】  ありがとうございます。御質問いただいたところは、まさにリアルの場所を前提とするということ、夜間中学も中学校でございますので、そういったことになっております。
【島田委員】  分かりました。ありがとうございます。であればなんですけれども、もちろん今、オンラインの議論もあったので、そこも検討しながらということではあるんですが、これが全部の67校出来ていったときに、全部そこでつくられたとしても、使う人のニーズは今よりは減っていく可能性が高いんじゃないかと。例えば御高齢者の方で中学の経験が、教育を受けられなかったという方は、その当時の世界の状況と違っているし、今のニーズよりは減っていくんじゃないかと。それから、不登校の方、ここに関しても多分何もしないというのはなくて、それでももしかしたら増えていってしまったらそれはそれでまた新しい問題だと思いますけれども、不登校の方に対しても別の施策でそれが減っていくようにしていくとすれば、建屋がいっぱいあったとしても、その後使わなくなる可能性のある、この夜間中学の活用の仕方というところも踏まえていかないと、つくっただけで終わってしまうみたいなことが未来には起こり得るのかなと思いましたので、そこのところまでどんなふうに考えていらっしゃるのかということを知りたいと思いました。これが1つ目になります。
 2つ目なんですけれども、入学ニーズの把握が結構大変でということで、なかなか設置を考えますよ、検討しますよというふうに言ってくれるような自治体、都道府県、それと指定都市というのは、数は増えてはいるけれども加速してないんだとすれば、多分リアルでつくっていくこと、リアルで建屋を持っていくことへのハードルというのもあるんじゃないかと思いますので、今申し上げた点も考えていっていただき、やはり今、オンラインというのはなるべく使っていくというほうが未来のためにもなるんじゃないのかなと思います。
 もう一つ、入学ニーズの把握というところですけれども、交付金等を使って調査をしていくのも可というようなコメントがあったように記憶していますが、入学ニーズをどうやって測ろうとされている、もしくは測っていらっしゃるのか。今、自治体が感じている、夜間中学を設けることへのハードシップというんですかね、難しさというのはどんなところにあると文科省さんとしては捉えられているのか、ここを聞きたいなと思いました。
 最後になります。これは提案です。夜間中学という名前を、何か違う、もっと楽しいというか、もっといい名前を考えてみたらどうかなというふうに感じます。とてもよいことだと思いますし、前回の議論でウェルビーイングという切り口を申し上げた点も今回の内容に含んでいただいているので、本当に重要なことだと思いますけれども、だからこそ、その名前を聞いただけでもウェルビーイングが上がるようなものを考えていただけたらいいんじゃないかなと思いました。
 以上になります。よろしくお願いいたします。
【井上総括審議官】  はい、どうぞ。
【説明者】  ありがとうございます。1つ目御指摘いただきました、これから使う方の人数が減っていくないかということで、その後使われなくなった場合、先を見据えたというお話がございましたけれども、夜間中学の方がよくおっしゃるのは、夜間中学はあってはならないものという言い方をされます。本来あってはならない。ですので、最終的にはない状態が一番いいんだということですね。ですので、私どもとしては、国勢調査の結果も先生方御存じかと思いますけれども、今回最終卒業学校が小学校の方が初めて明らかになりまして、全国で80万人以上いらっしゃいます。ですので、まだまだ全国どこかに偏在しているわけじゃなくて、どこにでもそういった方々がいらっしゃるということで、そういったニーズに応えるべく47都道府県20指定都市にまずは設置をし、そして、もしそこでもう通う方がいらっしゃらないということであれば、それは本来の、夜間中学があってはならないというところの目的が達成されていくのかなと思っております。
 それから、ニーズの調査でございますけれども、実際自治体がやっておりますのは、はがきとかウェブ回答とかで、実際こういうものが出来たら入りたいかという調査をしているところが多い状況でございます。ただ、そもそもはがきとかウェブ調査をどこを対象にしていいのかというのがなかなか捉えきれないところもありまして、どれくらいの回収率だったらどれぐらいで入学ニーズが把握できるのかということもございます。
 自治体が一番苦労されているのは、そういったコミュニティー、例えば外国人であれば、自治体の中に口コミで広がるようなコミュニティーが存在すると。そこをまずピンポイントで見つけていくところが難しいんだというお話とか、高齢者の方が回答というところに答えることがなかなか難しい状況にもあるので、そこも実際の数をなかなか反映するのが難しいということをおっしゃっておりますが、私どもとしては潜在的ニーズはもう十分あると思っておりますので、先ほど少し御紹介いただきましたけれども、補助事業でそういったニーズ調査の把握もできるようになっておりますので、それを進めていただきたいと思っております。
 以上でございます。
【井上総括審議官】  よろしいでしょうか。外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入も併せてお願いします。では、伊藤先生、お願いします。
【伊藤委員】  ありがとうございます。今の話にもつながってくるんですが、夜間中学の実態調査を見ていると、令和4年度の時点で1,558人、多分その前の調査、平成29年度ぐらいの調査が1,680人ぐらいで、100人ぐらい減っているんじゃないかなと思うんですね。これは設置する学校数が増えているけれど、入学している生徒数が減っている要因というのは、潜在的ニーズはあるという今のお答え、私もそう思っていながらなんですが、この数字を見ると減っている要因は何だと思われますでしょうか。
【説明者】  今伊藤先生おっしゃったように、平成29年は1,687でございまして、今、令和4年は1,558ということで、確かにおっしゃるように減っております。今回、日本国籍の属性別で申し上げますと、高齢者の方、60歳以上の方が減っておられます。これは自然と申しますか、どうしても年齢を重ねていかれてその層が減っていくということがまずあると思います。ただ一方で、夜間中学全体から申し上げれば、外国人の方のニーズが、コロナの関係とかもございまして、そもそも入国している方も減った時期での調査でございましたので、これから外国人の方は引き続き増えていくんだろうと思っております。
 それと、不登校、形式的に卒業してもう1回中学で勉強したいんだという方のニーズというのは、今回の令和4年度の調査におきましても、10代から30代の数が2倍以上増えておりますので、私どもとしては、これから夜間中学の広報も強化しながら、人数については増やしていきたいと思っております。
【伊藤委員】  ありがとうございます。そういう意味では、傾向としてやっぱり昔、中学校を卒業できなかった高齢者の方の母数が減ってきているというのが、今のを聞いてなるほどなと思ったんです。であればこそなのかもしれないけれども、最初に堀川座長がお話しされていたように、昼間とかオンラインのニーズというのは、そうなればなるほど増えてくるんじゃないかなと思うんです。これ多分、オンラインのほうでいえば、オンラインか対面かという、ゼロか1かではなくて、多くの学校でハイブリッドをやったりとか、ハイブリッドじゃなくても組合せをするというようなことが多くあるので。
 実は私も通っている子供の親と話をしたときに、実はさっき堀川さんがおっしゃったことと同じ声があって、別にずっとオンラインでやる必要性ないんですけれども、オンラインという選択肢があると、一気に時間的な広がりができるという話はされていたので、若干先ほどの受け答えの中が、いや、オンラインだけじゃ駄目なんですという雰囲気に聞こえてしまったんですけれども、オンラインも取り入れるという方向性を持てるといいのかなと。多分、現時点でオンラインも活用している学校はないということになるんですかね。
【説明者】  今の夜間中学の中でオンラインを活用しているところはない状況でございますが、先生おっしゃるように、我々もオンラインか対面かという二者択一というわけじゃなくて、両方ミックスして進めていくのは、これは昼間の子も夜間の生徒さんも同じだろうというふうに思っておりますので、いろいろな夜間中学特有の事情も少しありますので、そういうところにも目を向けながら、両方活用できるような仕組みは考えていくべきであろうと思っています。
【伊藤委員】  もちろんこれは中学校と高校の違いはあると思いますけれども、N高というドワンゴが運営している学校の話をよく私も聞くことがあるんですけれども、あそこは通信というかオンライン中心ではありますけれども、ただ、実はそれだけじゃなくて、集まって対面でやる日をセットしたりとかしているんですね。やっぱりそこへの子供たちのニーズは非常に高いというふうに聞いて、まさにそういう組合せというのがいろいろな事例としてもあるのかなと思いました。
 もう1個だけすみません、この実態調査って私はすごいしっかり捉えているなと思っていて、卒業後の進路について、半分高校進学なんですけれども、半分不明なんですね。この不明の人たちの状況を知れるかどうかというのは結構大きいのかなと思っています。もちろん別に高校進学してもらうために夜間中学をやっているわけじゃなくて、自己実現のため。その自己実現の選択肢として、もう1回勉強を続けるということ、働くということ以外に何かあれば一番いいなと思うんですけれども、何となく不明となってしまうと、何なんだろうなというふうに見えてしまうんですけれども、そこはいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。伊藤先生、確かに今回の夜間中学の実態調査の中で、高校進学者というのは半分の数字を示しておりまして、その他というところも40%ぐらいで半分弱ということで、調査の形態上その他のところが多くなってしまっているんですけれども、自由記述ということになっておりますので、家事手伝いとかいった方、その他ということなっておるんですけれども、おっしゃるように、進学するとか、就職するとか、それ以外の方で夜間中学で学びを実現してどうなっているかということは設置後のフォローアップとしても大事な観点だと思っておりますので、調査自体についてまた改善を試みたいと思っております。
【伊藤委員】  そうですね。ここの40%ぐらい人の状況が分かると、さらに対策が打てるのかなと思いました。
 以上です。
【井上総括審議官】  では、川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  ありがとうございました。今の伊藤委員との議論の中で、40%の方の不明というところは、そこは、私も、具体的に不明ということではなくて、個々人にとってどういう実現があったのか、効用があったのかというところを捉えるということと、全体としての満足度というんですかね、夜間中学に通ったことによる満足度とかそういったところの総合指標みたいなものも取っていっていいのではないかなというような気がしました。
 それが今、長期アウトカムで全都道府県に夜間中学設置というところになっているんですけれども、やはりこれがある意味中間アウトカムで、長期アウトカムはそういった学びによる満足度とか、夜間中学の生徒数の増加とか、国勢調査の未就学者、もちろん年齢の構成が変わってくるというのはありますけれども、そこの減少とか、そういった指標が長期アウトカムにつながってインパクトになるのではないかなというような印象を持ちました。その辺りいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。満足度という点は大変大事なことだと思っております。結局、つくって、そこで学び直しをしたいということで、結局その方々の、今日インパクトのほうで書かせていただいておりますウェルビーイングというようなことの高まりがどれぐらい達成されているのかというのは生徒数の中でどういった割合かというのを把握することが大事だと思っておりますので、そこも実態調査の中にも工夫しながら考えてみたいと思いますが、恐らくかなり高いのではないかと思います。もともと自分で意欲を持って学びたいという方が集まっている、こう言うと、昼間の学校も意欲があるかもしれませんが、夜間は特にもう1回わざわざ来るということでございますので、満足度という意味においては夜間中学というのは生徒さんの中では高いだろうと思いますけれども、それの実態を把握するということも大事だと思います。御指摘いただきまして、ありがとうございます。
【川澤委員】  ありがとうございます。一方で夜間中学は年齢層の幅も広いですし、通っている方も外国人の方とか高齢者の方、本当に幅広い方がいらっしゃると思うと、やはりどういった形で学びを実現するかという、教員の方の負担というのはかなり大きいのではないかと思うんです。カリキュラムをどういうふうに構築するかとか。その辺りは、夜間中学の教育活動の充実ということで委託事業でもカリキュラム開発とかをされていらっしゃると思うんですけれども、実際にどういうようなところがこのカリキュラム開発で難しさがあり、今後の課題となっているのか、少しその内容面についても教えていただけますでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。確かにおっしゃるように、年齢層がいろいろな方がいらっしゃいますので、なかなか先生方の御負担も多いんだろうと思っております。特に夜間中学では外国人の方が在籍生徒数の7割を占めておりますので、外国人の方といいましても、全くできない方から、割とできるよという方もいらっしゃって、その方々は実際学校現場ではクラスを別にして編成しているということもあります。恐らくそういった、例えば一つの例としては、外国人に対する日本語指導の面とか教科指導の面で個別のカリキュラムが必要になってくるところが教員にとっての負担の一つなんだろうと思っております。
【川澤委員】  恐らく個々人によって現状持っている知識とか言語の習得状況が違うというところに応じたカリキュラムを開発するというのはオンラインに逆に向いている部分もあるんだと思うんですけれども、ただ、やはりオンラインだけだと難しさもまた出てくるので、かなり個々人の学びを推進するというのは難しいこと、大変なことだと思います。そこは、私もそういったいろいろな状況の方がいらっしゃる中でオンラインと併用するというのは賛成なんですが、やっぱり教育現場の負担は、オンラインと併用というとどんどん増していくんだと思いますので、そこはやっぱり委託事業で少しモデル事業のような形で、仮に併用を推進するのであれば、まず追加的な経費でサポートしながらモデルをつくっていくという、そういうような取組が必要なのかなとは思います。その辺りはいかがでしょうか。
【説明者】  オンラインとの併用につきましては、夜間中学においても、それは広さのことも考えますと必要なことになってくるんだろうと思っております。ですので、そういったカリキュラムを開発していく中で、オンラインをやった場合にはこういうふうになるんだよというところは、委託調査研究事業でもテーマとして設定して取り組んでいただければと思っております。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
【井上総括審議官】  そろそろ予定の時間も来ておりますので、まだコメントシートへの御記入をされていない先生方におかれましては、コメントシートの記入と事務局への送付をお願いいたします。
 その後、こちらのほうで取りまとめ作業しておりますが、引き続き、御意見等いただけますと幸いでございます。
 堀川先生。
【堀川委員】  先ほど島田先生からのネーミングのお話についてはお答えがなかったと思うんですけれども、ネーミングはいかがでしょうか。
【説明者】  総称として夜間中学という、夜間中学というのはそもそも法令上の名称でもないんですけれども、総称としてはそう使って、我々はいつもそういうふうにしておりますけれども、実際の学校名は、例えば福岡でしたら、福岡きぼう中学校という名前で開校されておられたり、あとは、札幌だったら星友館中学校とか。ですので、夜間ということを使うことには別になってはおりませんので、そこは学校側の自由ということでございます。
【堀川委員】  特に受講されている方々にはこだわりはないわけですね。
【説明者】  はい。受講されている方々が、夜間中学という名前がついている、学校名もそうしてほしいとは多分それはないんだろうとは。
【堀川委員】  私も島田委員と同じで、それであれば、例えば塾だって、みんな授業が終わった後にやっているし、大体最近の小学生は9時10時まで勉強してびっくりしてしまうんだけれども、でも、それは何とか塾と言いますよね。夜間塾なんて言わないし、また、放課後児童クラブだって放課後ですもんね。だから、夜も使えるんだけれども昼間も使えるんだみたいなそういうネーミングって、私も島田委員と同じで、とても重要で、特に高齢者は夜間と聞いた瞬間に腰を引いちゃう可能性も出てくるので、やっぱりその使い方は省内でもし直せるんだったら、御検討いただければと思います。
【説明者】  夜間中学につきましては、伝統的に自主的なものも、公立のものも含めて、夜間中学ということを独自に強い熱意を持って推し進めていた方々がたくさんおりますので、その呼び方を安易に我々が変えるというのはどうかというのはありますけれども、実際に生徒さんにいろいろ募集するときにはいろいろなやり方があろうかと思いますので、御意見として受け止めさせていただきます。
【堀川委員】  私は以上です。島田委員、何かありましたら。
【島田委員】  堀川委員、ありがとうございます。でも、現在の状況も今の御回答で分かりましたし、既にコミュニケーションの中でネーミングのところも考えられていたりするのであれば、結果としてお受けになられる方がどう感じるか、また受けたいと思われているのかどうかそこが大事だと思ったので、大丈夫です。フォローアップいただいてありがとうございます。
 すみません、もしこのままよければ、一つ、そういえば聞いてなかったと思って伺いたいことがあるんですが、よろしいでしょうか。
【井上総括審議官】  はい、どうぞお願いします。
【島田委員】  ありがとうございます。またもや基本的なことなんですけれども、あえて夜間中学と呼ばせていただきますが、この夜間中学で教えてくださる先生というのは、もちろん中学校の教員免許を持たれた先生ということではありますが、日中は普通に中学校の先生されている先生が、例えばその日の夕方からそこで教えられるというふうになるものなのか、それとも、夜間中学の先生というふうに分かれているのか、両方が混在しているのか、状況を教えていただけますでしょうか。
【説明者】  昼の中学校の先生と夜の夜間中学の先生は別担当でございますので、同じ先生が昼もやって、夜もやってということはないと思っております。
【島田委員】  そうですか。1人の方が同じ日には担当しないという意味なのか、それとも、普通の中学校の先生は中学校の先生、夜間中学の先生は夜間中学の先生とそういうふうに分かれているということですね。
【説明者】  そういうことでございます。昼は昼の先生、夜は夜の先生で分かれております。
【島田委員】  分かりました。ありがとうございます。すみません、そこでちょっと聞きたかったのが、やっぱり、中学校のみならずですけれども、学校の先生のウェルビーイングというのもすごく大事なポイントだと思っています。このときに例えば、日中の通常の中学校の先生のウェルビーイングと、夜間中学で教えてくださっている先生のウェルビーイング、何か調査みたいなものがあったり、ウェルビーイングという言葉じゃなくてもいいんですけれども、モチベーションの観点だとか、どんなことにやりがいを感じるかだとか、何かこの2つのグループの先生に対してされている調査だとか、もしされていたら何か違いがあるのかとか、お分かりになっている部分はありますか。
【説明者】  実はウェルビーイング度そのものを測っている調査はないと思います。ただ、教員の勤務実態調査はございますので、残業とか働きがいとかやりがいとかそういったことは取ってはおりますけれども、日中と夜間で比較できる、そういうものは今現在のところはない状況です。
【島田委員】  そうですか。分かりました。だとすると、ちょっとそこを見てみたらいいのかなと思ったのは、これから夜間中学が増えていく中で、先生を増やしていくとか加配するということがあったときに、もし今何か見えるような課題があるんだったら、そこも考慮して変えていけるようなそういう体制づくりとともに夜間中学の設置があったらいいのかなと思いましたので、夜間中学の先生の大きく言うところのウェルビーイングという観点もあるといいのかなと思いましたので、コメントさせていただきます。ありがとうございます。
【井上総括審議官】  そのほか御意見、コメント等ございますでしょうか。
 よろしいですか。それでは、堀川先生のほうから取りまとめのコメントを御提示いただきます。
【堀川委員】  まず、各委員の主なコメントを御紹介いたします。67設置の結果、社会にどのような変化があること、考えられた対象の方がどのような状況になると成功と言えるのかが必要ではないか。あるといい。
 次に、長期アウトカム指標として全都道府県・指定都市に夜間中学設置が設定されているが、当該指標は中間アウトカムの段階ではないかと考えられる。夜間中学の生徒数、満足度などが長期アウトカムではないか。
 高齢者のニーズが見えないことが問題であることから、既に設置している夜間中学において、高齢者を呼ぶ込むような政策を行うなど検討する必要がある。卒業後の進路をより把握することが、インパクトにもあるウェルビーイングの実現につながるのでフォローアップを行っていく必要がある。
 以上を踏まえ、取りまとめコメントとしては、大きく2つの柱で取りまとめたいと存じます。1つ目の柱は、事業の効果及び指標の設定及びロジックモデルに関するものです。まず、指標の設定です。アウトプットにある市町村教育委員会研究協議会の開催回数並びに市町村教育委員会研究協議会への参加人数が適切なのか検討していただきたい。
 効果についてですが、長期アウトカムは夜間中学の設置にとどまらず、希望する人が学べているのかどうかも入れた検討が必要と。これも指標の設定ですね。
 そして次に、ロジックモデルに関してですが、長期アウトカムとして全都道府県・指定都市に夜間中学設置が設定されているが、当該指標は中間アウトカムの段階ではないかと考えられる。夜間中学の生徒、未就学者数の減少、満足度などが長期アウトカムではないか。検討を要する。ロジックモデルの長期アウトカムを求められておられる全員がどこにいても受けられる、望んでいる方を一人も取りこぼさないとの指標の設定をして、それに向かったロジックを構築することが求められる。67設置の結果、社会にどのような変化があること、考えられた対象者の方がどのような状況になると、成功と言えるのかを検討していただきたい。
 次に2つ目の柱としては、事業の執行及びその方向性に関するものです。これは全員の委員から、やはりオンラインとオフラインといいますか、対面との効果的な併用を考えていただきたいというのが全員から出た意見でございます。これについては、幾つか御意見を御紹介しますが、夜間中学の授業の時間帯、日中授業のやり方、オンラインのオプションがあってもよいのではないか。オンライン授業や昼間授業の導入を働きかけていく。二者択一ではなく、組合せを考える。どの地域にあっても教育を受けられる権利を保障するために国としてできるあらゆる方策の検討が必要などということです。
 さらに事業の執行については、卒業後の進路をより把握することがインパクトにもあるウェルビーイングの実現につながるので、フォローアップも行っていく必要がある。また、潜在的なニーズがあると考えられるので、入学のハードルが低いことをさらに周知していくことがよいと考える。御検討願う。
 以上大きく2つの柱で取りまとめましたが、よろしければ挙手をお願いいたします。
 ありがとうございます。
【井上総括審議官】  ありがとうございます。それでは、以上をもちまして、地方教育行政推進事業の公開プロセスについては終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 次の共同利用・共同研究システム形成事業につきましては、14時5分に開始をさせていただきたいと思いますので、一旦それまで休憩とさせていただきます。どうもありがとうございました。
( 休憩 )
【井上総括審議官】  それでは、4コマ目を始めさせていただきます。これからの時間帯は、「共同利用・共同研究システム形成事業」について御議論をお願いしたいと存じます。
 初めに、事業担当部局より事業概要の説明をさせていただきます。説明者は5分以内で簡潔に説明をお願いします。どうぞ。
【説明者】  大学研究基盤整備課長の黒沼と申します。よろしくお願いします。
 それでは、資料ですが、まず1ページを表示していただけますでしょうか。そもそも共同利用・共同研究拠点とは何なのかというのをざっと簡単に書いてある資料でございますけれども、個々の大学に、例えば、研究設備や研究資料ですとか貴重なものがある場合に、それを特定の大学が独占することなく、ほかの大学の研究者にも開いて一緒に使っていく、そのための仕組みでございます。学会などの研究者コミュニティーから特定の大学にある設備をみんなで使いたいというような要望がある場合に、それを文部科学大臣が拠点として認定をしていく、そういう仕組みでございます。
 それらを前提として、10ページのロジックモデルに移っていただければと思うんですが、今回レビューの対象となっているものは、共同利用・共同研究拠点のうちの公私立の部分の支援事業でございます。共同利用体制を組むときの運営委員会や共同研究旅費といった必要な経費を補助する制度でございます。それを受けて、ロジックモデルだと上の段がそちらに該当するわけなんですが、その体制構築をすることによって、外部の大学の研究者などが共同研究を実施できるようになる、体制をつくるというのがアウトプットでございます。
 それによって、外部の利用者が増えることを当然期待していくわけですが、中期アウトカムとしては、そういった共同研究者が増えることによって、全国からその大学の中にはなかったアイデアも含めて、共同研究計画が全国から集まってくるわけですので、当然、研究活動の質あるいは量も増えてくるだろうということで、中期アウトカムについては、論文の増加というのを掲げているところでございます。長期アウトカムとしては、それを踏まえて、分野全体が活性化していくことを期待していくということでございます。
 下の段につきまして、これは新規事業になり、今年度から、そういった共同利用・共同研究拠点同士をさらに結びつけて、境界領域の新しい研究分野を開拓していきたい、そのための体制づくりを支援していくというものでございます。こちらについては、新たなそういったネットワークに参画する機関数を増やしていくということと、最終的な長期アウトカムとしては、そういったネットワークを通じて、新たな研究分野に新たな拠点ができていくというようなことを期待しているところでございます。
 簡単な流れは以上ですが、これらを機能させるための関連施策として、先ほど申し上げた拠点の認定がございます。一定期間ごとに、外部の利用のニーズが引き続き維持されているのかを見て、場合によっては、認定する拠点を入れ替えるということを行っているわけでございます。
 また、そもそもの研究所の設備や資料など、みんなが使いたいと思っているものがきちんと更新されていくかどうかというのもポイントになり、そちらの部分はこの事業の経費ではなくて、どちらかというと、各大学の基盤的な経費やその他の競争的資金で支えられているところでございます。そういった点と併せて、このアウトカムが出てくるのを期待しているところでございます。
 他方で、これらのアウトカムがきちんと出てくるかどうかというところで、この事業には、若干弱点があると思っております。15ページを御覧ください。一番下の「現在の課題」と書いてあるところですが、公私立向けの支援については、現在、スタートアップという認定された直後3年間は経費を支援しておりますが、その後、4年目、5年目、6年目は、認定されて共同利用の業務はありますが、支援が一部の拠点にしかされていないという状況がございます。
 その次のページ、16ページを御覧ください。緑とピンクが、今、助成をしているところでございます。緑がスタートアップ支援で、ピンクが後半の機能強化支援というところです。認定している拠点のうちの半数ぐらいしか、今、支援ができていないという状況です。
 18ページの下の先ほどのアウトカム指標は実際どうなっているのかということで、下にグラフがあります。論文数、利用者数、それほど大きく伸びているわけではなく、1拠点当たりで見ても、伸びているわけではないというところがございます。他方で、前回事前の御指摘をいただいているところでは、平均で見るのではなくて、1拠点ごとにきちんと見ていくべきだという御指摘をいただきました。それが20ページ以降でございます。
 時間も来ているということなので、詳細は省略いたしますけれども、確かに御指摘いただいたとおり、個別にきちんと見ていくと、利用者数と論文数という我々が設定しているアウトカムと拠点の入替えのときに評価をしている評価というのが必ずしも一致してないような傾向も見受けられましたので、ここは見直していかなければいけないポイントではないかと、前回の御指摘を踏まえて考えているところです。
 時間ですので、以上でございます。
【井上総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、まず、私のほうから論点について説明をさせていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
 まず、1点目。令和5年度から事業を拡大するに当たり、アウトプット、アウトカムは適切に設定されているか、また、これまでの論文数及び共同研究者数の推移に対する評価は適切かという点。
 2点目。事業をより効果的に発展させていくために、今後どのように実施するべきか。
 3点目。共同利用・共同研究拠点は対外的な貢献を求められる趣旨の事業であるにもかかわらず、認定当初に時限的な補助しかできていない状況をどのように考えるべきかという点でございます。
 これから質疑応答に入りますが、説明者は外部有識者からの御質問に対して簡潔・明瞭に御回答を願います。それでは、外部有識者の皆様からの御質問等お願いします。堀川先生、お願いします。
【堀川委員】  よろしくお願いします。公開レビューですので、最初に認識を共有しておきたいと存じます。
 日本全体の高等教育の底上げには、大学数のシェアが多い私立大学等の活性化は必要だと、必須だと考えております。そういう意味では、この事業も重要だと考えております。私立大学等では、国から一定の支援を受けて設置をした設備等があり、それを共同研究に活用することで有効活用でき、研究成果もより多く出すことができ、私立大学等の研究の活性化も図る、ある意味、一石三鳥を狙うような事業かと存じます。さらに、機能強化することで、研究拠点としても組織化することへ発展させる事業である。
 国の補助金等では、新設の設備等を対象とすることが基本で、その後の利用に関するものは、対象とすることは限定的であると承知しております。その理由は、補助期間を限定的にすることができにくく、その設備が使える限りとなってしまいかねないことから、そうなると長期に及ぶ可能性が高く、ひいては予算の硬直化にもつながりかねないとの考えが背景にあると理解しております。
 今回の事業は、国立大学等で同じような事業フレームを実施した成功体験があったから公私立大学を対象に事業化となったと理解しております。現状認識としては、共同研究の成果がなかなか伸び悩んでいることから、その理由を分析して、抜本的な見直しが必要な状況にある。今回、このレビューを通して今後の方向性が見いだせればとの思いでございます。
 一応、ここまでで何かございますでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。御指摘のとおりかと思っています。我々も、せっかくの事業ですので、パフォーマンスをどう上げていくのかというのは、まさに、今回をきっかけに検討していきたいポイントでございます。
【堀川委員】  ここからは私の意見でございますが、先ほども課長から説明いただいたんですけれども、全体の指標で捉えるのではなくて、共同研究数や論文数が個々の大学ごとに見て伸び悩んでいる状況を見る必要がある。特に、新規採択によって、本件事業に新規採択時にもともとポテンシャルとして持っている論文数とか共同研究数というのがそのまま加算されるケースがあるとこの前説明いただいていますので、それは結果的にはこの事業とは関わりのない要因として入ってきてしまっている。
 だから、実際に個々にどのタイミングでどう入ってきているのか、伸びた状況、下がった状況、さらに伸びていない状況とかを見ていく必要がある。これについては、先ほど説明がありましたが、担当も十分現状を認識して、理解が共有できる点は非常にありがたいと思っております。
 そこで、私の提案ですけれども、対象となっている設備等を分類してみる必要もあるのではないか。本件事業で効果が出やすい傾向にある設備・施設、または、そうでもない施設・設備という、分類で1つの傾向が見えるまで試行錯誤してみてはどうかなというのが1つ意見です。
 例えば、今回、劇場のような大規模な施設とか、データ自体、ストックされているデータのようなものなど、我々が一般にイメージする研究試験装置の類いでないものなども入っていますけれども、そういう分類をした場合にどうなのか。そのときに、気づいたんですが、国大法人の共同研究拠点、ホームページを見させていただいたんですけれども、見た範囲では劇場みたいなのがないように思うんですけれども、そういうのはあるのかな。国大法人のほうの成功体験のほうの分類も同じようにしてみて、比較検討することで何か見えてくるもの、パフォーマンスを上げるために何か使えるものというのが見えるのではないか。
 さらに、劇場のことに話を特化しますけれども、大規模な劇場だと、コロナ前でも普通あまり使われてない、利用率が低いケースが多いんです。そういう利用率が低いような施設とか設備という分類もあるのかなと。そもそもが。
 これは私の見解ですけれども、そもそも、利用率が高いような設備や施設をさらにこの共同研究をすることで取り合うと、まさに取り合いなので、事業効果が出るのではないかなと。逆に、そもそも利用率が低いような、ニーズが低いようなものを共同研究へ活用の幅を仮に広げても、あまりうまくいかないんじゃないかなと。
 これは私の推定でありますけれども、そういう推定を、いろいろ仮説を立てて、データ分析して、問題点を浮き彫りにしていくことがEBPMでは必要になるんだと理解しておりますので、御検討いただきたいというのが1点目です。
 それと、先ほど現状認識を述べましたけれども、あまり維持費の類いに補助を、国は自治体に対しても補助はあまりしないんです。今回、そこにはリスクがあるわけで。先ほどの長期化するという。今回のこの事業も、御説明で分かったんですけれども、機能強化というのを繰り返し補助しているという、ある意味、際限のない状況に陥る可能性があるなと。
 先ほど認定の取消しとありましたけれども、課長からもその辺検討したいという話がありまして、まさにそこなんですが、しっかりと、一定条件を下回るまでしたら認定取消ししますよというようなことを各大学に明言するなりして、はっきりしたサンセット方式の導入、そして、その運用厳格化を検討していただいたほうがいいのかなと。これが2つ目の意見です。
 そして、当然、予算には限りがありますので、その限りある予算を集中することで成功事例をいっぱいつくっていくということが事業設計上必要だろうなと。
 ここで、また新たな提案ですけれども、3年でしたっけ、機能強化。他の事業でも使われていたんですけれども、中間審査をしてうまくいってないんだったら打ち切るよという条件の下に、5年とか逆に長い事業設計をしているようなものもありますので、そうすると当然、中間報告審査で厳しくチェックすると、頑張らざるを得ないようなフレームもありますので、そういう事業設計も検討してみる価値はあるのかなと。
 以上、私の意見ですけれども、ここで、幸い課長は現状認識を十分されているので、これについて、まさにこの本件事業は立て直しの過渡期に来ていると思いますので、その立て直しを大いに期待したいと思いますので、見直しについて積極的な意見を賜ればと思います。どうぞ。
【説明者】  ありがとうございます。今回御指摘いただいて、個別に分析したものからかなり見えてきたものがありましたので、さらなる精緻な分析というのも、今、御指摘いただきましたので、考えてみたいと思います。
 国立大学のときは、認定の審査のときに、設備中心型の拠点とそれ以外で分けて審査していますので、私立大学は、今のところ、拠点数が国立大学に比べて少ないので、一緒に審査していますけれども、分けて分析していくというようなことは考えていきたいとは思います。
 劇場系については、国立大学は、今、芸術系の共同利用拠点はありません。ホールを持っている共同利用拠点というのはないことはないですが、それを利用するのがメインというよりは、成果発表のためのホールでしかないので、国立大学の芸術系の劇場型の例はないところでございます。どのように分析するか検討してみたいと思います。
 2番目のきちんと一定条件をつけてサンセット方式にということについては、御指摘のような、明確な数値で条件を示せるか分かりませんが、今回、アウトカム指標と評価指標が必ずしも一致してないというのが見えてきましたので、そこは認定の更新の評価のやり方は改めていきたいというふうに思っております。
 また、前回、事前にも、論文の数だけでなくて質などを見るべきではないかというような御指摘もいただきましたので、そちらについても評価指標に入れて考えていきたいと思います。
 それから、3番目のステージゲート方式で、もう少し長くした上で途中で打ち切るような方式については、検討してみたいと思います。というのも、今、スタートアップ支援と機能強化支援と分けて、実質それに似たようなところもあることはあるんですが、スタートアップ支援を抜けた瞬間にパフォーマンスが落ちるような拠点もあったりもしますので、一本化した上で評価して打切りのほうがもしかしたらふさわしいかもしれないと今思いました。検討してみたいと思います。
【堀川委員】  最後に、もう一点だけですけれども、今回、異分野の共同研究について、野心的な取組であるので、国大法人等ではノーベル賞の獲得までの成功体験が出ていますので、これについては私も期待しています。
 そこで、本省の徹底した指導や支援を検討していただきたい。進めていっていただきたい。そのためにも、効果的になるであろう事業に選択・集中が私は必要だと思いますので、御検討いただきたい。これについても、ぜひ抱負をいただければと存じます。
 以上です。私は。
【説明者】  新規事業については、今ちょうど募集をしているところで、これから審査に入りますので、審査の観点をどのように設定するかというのは、今回の御指摘や、教訓を踏まえて、しっかりと考えていきたいと思います。
【堀川委員】  ありがとうございました。
【井上総括審議官】  では、ほかの先生方、御意見等いかがでしょうか。島田先生、お願いします。
【島田委員】  御説明ありがとうございました。他の事業もそうでしたけれども、前回の内容を踏まえた上でアップデートくださっているところも見えましてありがたく存じています。もしかすると、そのときに話したことと共通するかもしれないんですけれども、改めて伺わせていただきたいなと思ったことがあります。
 1つは、拠点数が増えていく、増えている、これからも増やしていく。これまで拠点数は増えているけれども、論文数というのはさほど変わっていなくて、だからこそ質も見ていこうねというようなことになったんですが、現時点で質のところはどういうふうに見ていこうというふうに思われているのかというのが1つ質問したいところです。
 2つ目になります。拠点数が増えていくことによって、その成果は結局何で見ていくのか。もちろん論文の数、論文の質あるいは共同研究の数というのがあると思うんですけれども、その先にあるものは最終的に何なのかというところのこの長期アウトカムのもうちょっと先にあるもの、ここを現時点ではどんなふうにお考えなのか、これを改めて伺いたいなというふうに思いました。
 以上になります。よろしくお願いいたします。
【説明者】  ありがとうございます。まず、論文の質をどう見ていくかということですが、これはよく言われる、その他の研究開発の評価の仕方と同様になろうかと思います。例えば、ほかの論文でどれだけ引用されているかということで、その論文の学界へのインパクトを測るような手法がありますので、そういった引用率が高い論文がどれぐらいあるかなど、そういったもので見ていくことになろうかと思います。
 それから、2点目の長期アウトカムの先にあるものということですが、学術的なことを考えれば、ほかの人が行っていない研究がどんどん増えていくということ自体に価値があるとは思っていますが、恐らく委員の御指摘はそれ以外の成果ということだとは思うので、そこの社会へのインパクト的な話なども含めると、この事業から直接出てくるアウトカムかというと微妙ではありますが、共同研究が増えていく、あるいは、拠点が活性化していくということは、当然、アカデミアだけではなくて企業などとの共同研究などにも広がっていくとは思いますし、さらには、学生の教育にも波及していきますので、そういったところは書こうと思えば書けるかなとは思います。ただ、この事業の直接の狙っていけるところとしては、アカデミックな知見がどんどん増えていくということぐらいかなと思っております。
 すいません。お答えになっているかどうか微妙ですが。
【島田委員】  ありがとうございます。何でこれを聞いているかというと、その先にあるビジョンとかパーパスのところを心の中にでも頭の中にでも持った上でこの事業をやるというのがすごく私は大事なんじゃないかと思っていまして。ともすると、拠点の数など、実質で見えるものに意識が行きがちなんじゃないかと思うんです。
 非常に重要な事業だと思っておりますし、質のところも、引用率の高さ、他のいろいろなところで引き合いに出されるものと一緒ということではありましたけれども、事業をやる以上、日本の国にとってどんないいことがあるのかというところのイメージを持った上で、この長期アウトカム、もしくは、今設定されているアウトプット、取り組んでいくというのは結果が違ってくると私は思っているので。なので、どんなふうにお考えなのかというお伺いさせていただきました。
 よく分かりましたので。ありがとうございます。
【井上総括審議官】  では、次に、川澤先生、お願いいたします。
【川澤委員】  御説明どうもありがとうございました。いろいろと御指摘ある中で、15ページのところで、支援の比較で、スタートアップ支援の後に機能強化支援ということで、段階的な支援が行われているということかと思います。段階的な支援をすることによって、その2ページ前になりますけれども、拠点機能の強化で、研究DXの推進であるとかネットワーク化というところで内容が変わってくるんですけれども、一覧のリストを20ページ以降で出していただいているのを見ると、比較的、概ね全ての大学が両方の支援、機能強化とスタートアップを受けているんだと思います。
 ですので、この2つ、機能強化、スタートアップそれぞれの効果を区別して評価するということはなかなか難しいということでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。そこまでは、スタートアップと機能強化で、分けて分析をしたことは今までなくてですね。申し訳ありません。知見がございません。
【川澤委員】  分かりました。あえて制度として2つ分けて設けているわけなので、それぞれの効果であるとかそれぞれの課題というのを少し分析してもいいのではないかなという気はいたしました。そういう必要はないのであれば、先ほど、ステージゲートであったり期間を延ばすというお話があったかと思いますけれども、少し期間を延ばして中間評価も入れて、支援の打切りとか支援の継続、少し数を絞るであるとか、そういった形で制度設計を見直すということも1つ考えられるのではないかなというふうに思いました。これはコメントです。
 あと、もう一点、17ページのところで、外部資金の獲得状況も整理いただいているかと思います。これを拝見すると、いずれの拠点においても外部資金が獲得されていて、これについてはどういうふうに考えればいいのかなというところです。外部資金をそれぞれ拠点が自ら獲得できているのであれば、あえてこの支援の枠組みを設ける必要もないのかもしれないですし、これがあるから外部資金も獲得できているということかもしれないんですけれども、その辺りはどのような感じでお考えでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。今の御質問に入る前に、先ほどのスタートアップと機能強化支援のところにつきましては、御指摘を踏まえて、実は機能強化支援でも、スタートアップと同じような使い方をしているような拠点もなくはないと思いますので、精緻に分析して見直していきたいと思います。
 それから、2点目のところですが、これは定性的なお話になりますが、拠点の方からお話を伺う限りでは、認定されているからこそプレゼンスが上がって外部資金獲得につながっているという声は確かにございます。他方で、本事業の支援を受けられないから外部資金から捻出しているという面もあるとは思いますので、そこは一概にどちらかというよりは、両方あろうかとは思います。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。一旦、私のほうから以上です。
【井上総括審議官】  では、伊藤先生、お願いいたします。
【伊藤委員】  ありがとうございます。先に、今の川澤さんの御質問に関連をするんですが、1個、事実関係で、今、紹介があった17ページ、外部資金と、あと、この事業としての助成額。この事業として助成金をもらうかもらわないかの基準というのは、評価と結びついていると思っていいんでしたっけ。
【説明者】  はい、さようです。認定拠点から申請をいただいて、それに対して計画を審査して、その上位のところに支給をしているところでございます。
【伊藤委員】  私もどうしても川澤さんと同じように思ってしまうところはあって、外部資金を獲得できるというのはとてもいいことで、最初の御説明は、この赤字になっているところで、外部資金に依存しているところがあって、ちゃんと支援できていないというお話だったかなと思うんですけれども、もちろん、例えばですけれども、スタートアップだからこそ最初はちゃんと支援するんだという考えの中でやるということと、もしかしたら、支援額というよりは、拠点化をしていることが結果的に外部資金の獲得につながっているという分析ができるのかもしれません。今日の情報、この資料だけでは分からないところであるんですけれども、その可能性もあるのかなというふうには感じました。
 その部分と、最初、課題の中でもお話しされていた20ページ、21ページの個々の大学ごとの実績と評価の乖離の部分ですね。確かにこうやって見ていくと、あまりつながってないなというのは最初にお話をされたとおりだなと。そうなってしまうと、評価が結果的には形式化されているんじゃないかというふうにどうしても思えてしまうところがあって。
 ここは何となく、まさに我々も評価をする立場であったときに、こういう場で評価をしたことがどうやって翌年度の予算につながるのかということが、割合つながりながらこういう場があるのかなと思っているんですけれども、そこは、この拠点事業の評価という部分は、今まではつながっていなかったということになるんでしょうか。
(音声トラブル)
【説明者】  十分聞き取れてないので、的外れな御回答になるかもしれませんが、審査の指標としては、19ページにありますように、利用者数といった我々が設定している、アウトカムと同じ部分もあるんですが、そのほかにも研究拠点自体の運営体制ですとか、研究所自身の活性がどうなっているかなど、そういったところも評価では見ているので、一致していない部分というのは、1つあろうかとは思っています。
 あとは、国立大学の拠点については3年に1回という形で行っていますが、私立大学のほうは、毎年認定してきているということで、評価の期間が違うので、横並びで見られてないというところも問題があるのかなと思っております。それでばらつきが出てきてしまっている部分はあるのかなと思います。
【伊藤委員】  なるほど。多分、今のお話でいくと、評価することとその研究をしている成果というのか実績が結びついていないのであれば、評価の指標を変えるか、評価をどういうふうに次の例えば補助金だったりとかに変えていくかということは、結びついていかなければならないのかなというふうに感じました。そういう意味では、評価指標を変えていくことかなというふうに感じました。
 もう一点だけ。すいません。先ほど島田さんからお話があった、長期アウトカムで共同研究の数を増やすその先の部分なんですが、これはたしか前回の事前勉強会でも、同じ話を何度となく私もしたかなと思っていて、まだ正直、何で増やしたらいいんだろうが見えてこないんですよね。
 レビューシートの目的には、増やすことをもって「当該研究分野全体の研究水準の向上を実現する」、ネットワークのほうも、増加をもって「当該学際的研究分野の共同研究ネットワークの構築・組織化を実現する」なので、研究水準の向上というものをもう少しブレークダウンすると、どういうものがあるのかなというのをずっと考えているんですが、それは論文ということになるのか、いや、そうじゃなくて、例えば、この共同研究から出来上がってくる、研究成果から出来上がる実装されるものの水準が高まるんだとか、何かそういうものが、これはエビデンスが難しかったらエピソードベースでもいいとは思うんですけれども、そういうのがあると、やっぱり共同研究というのを増やしたほうがいいなと思えるなと思うんですが、その辺はいかがなんでしょうか。
(音声トラブル)
【事務局】  すいません。事務局でございます。ちょっと回線が不安定のようですので、委員の皆様、一旦、カメラオフにしていただけますでしょうか。
【井上総括審議官】  今の伊藤先生に対するお答え、理解できた範囲で、必ずしも、全部聞き取れなかったので。黒沼課長、お願いします。
【説明者】  ありがとうございます。共同研究の成果ということで言えば、エピソードベースでもなかなか難しいですが、共同利用の成果というのは、その研究所に所属していた研究者のアイデアだけでは思いつかなかった研究計画が舞い込んでくるというのが1つの効果ですので、それによって出てくるものがゼロよりプラスされているという点で、研究水準の向上につながっているとは思っているのですが、具体例とかだと。すみません。研究所から上がってくる主な成果を見ていても、それが研究所の直属の所属教員の発案だったのか外部の発案だったのかというところまでは分けてデータを取っていないので、どれが具体的にそれかというのはちょっと申し上げにくいんです。
 少し考えさせてください。思いついたらお答えします。申し訳ありません。
【伊藤委員】  ありがとうございます。この事業の目的の主たる目的が共同研究というところに置いておられるからこそ、共同研究で進めていくと、しかも、これは税を投入してやっていることになるので、こういう効果があるんだというのがちょっとでも見えるといいんじゃないかなとは思いました。
 以上です。
【井上総括審議官】  ありがとうございます。
 外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入も併せてお願いいたします。
 それでは、次に、川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  ありがとうございました。今の伊藤委員との議論の中で、20ページ以降のところだと思うんですが、審査の結果とその評価項目の結果があまり関連性が見られないというところで、私もそれを感じたんですけれども、ただ、一方で、論文数ですとかそういったところは、タイムラグもあるんだというふうに思いますので、少し複数年で数字を把握していくことも必要かなと、ならして見ていくことも必要かなというふうに思いますのと。
 今、共同研究者数と論文数ということですけれども、論文の質の部分も評価に加えると、また違った評価結果が導かれてくるのかなと思いますので、この2つ以外で、今、中期アウトカムですとかそういったところで書いていただいているところはありますけれども、長期アウトカムの参考指標とか、もう少し複数の指標で見ていくということも必要かなと思います。
 ただ、無理やり評価結果と関連づけるということではなくて、そういった複数の指標で評価結果の評価の観点が整合しているかというところのチェックも必要かと思いました。その辺りいかがでしょうか。
【説明者】  今後の評価に関しては質なども加えて見ていって、評価基準全体を見直したいとは思っております。また途中乱れたので、質問を十分聞き取れてなかったんですが。お答えになっていますでしょうか。
【川澤委員】  大丈夫です。
 先ほどの伊藤委員との議論の中で、この共同研究が、この事業が目指している、外部の方との共同利用によって新しい研究が行われたといったようなエピソード、なかなか今明示できないというお話だったんですが、そこがないと、この事業の成果というか意味がなかなか説明しにくいと思いますし、それについてどのぐらいの予算が必要なのかというところで、今、外部資金も獲得できている状況があると思いますので、もちろん、認定されているから外部資金ということもあるんですが、きちんとエピソードを示していくということと、それぞれの機関でのそういったエピソードや定量的な指標を基に、この歳出額が妥当なのかどうかというとこの評価は必要なのかなというふうに思いました。
 以上です。
【井上総括審議官】  エピソードはないですか。今、御紹介できるエピソード。もしあれば、どうぞ。
【説明者】  この事業だけで成立したものというというふうには言い切れないものがあるんですが、例えば、自治医科大学で実施している拠点の活動としては、慶應義塾大学に御所属の先生の御提案で始めた研究活動として、心疾患を有しているピッグ、豚のモデルを策定して、それを用いて人の心疾患の治療のモデルを策定するというような研究を行っておりました。
 そういったことがほかの、自治医科大学と慶應義塾大学の先生の共同研究によって、大方の外部資金の獲得につながったというような事例もございますので、個々に見ていくとエピソード自体はあるんですけれども、黒沼課長が申し上げたとおり、きちんと精査できているかというと、そこは課題かなというふうに認識しております。
【説明者】  ありがとうございます。それと加えて、そういった外部からの提案を受け付けた後、共同利用拠点では運営委員会というのがありました、集まった共同研究計画の優先度をピアレビューのような形で議論して、それで設備などの使用の優先度を決めていくという形を取っていますので、自然とこの拠点制度自体が競争的な質のいいものを選んでいくという仕組みが内在されているという特徴がございます。
 補足でございました。
【井上総括審議官】  川澤先生、よろしいでしょうか。
【川澤委員】  ありがとうございます。
【井上総括審議官】  大分時間も過ぎてまいりましたので、まだコメントシートへの記入をなされていない先生におかれましては、コメントシートへの記入をお願いいたします。
 まだ取りまとめに時間をいただきますので、引き続き、御意見等ある先生方、挙手をお願いいたします。堀川先生。
【堀川委員】  取りまとめみたいな話になってしまうかもしれませんけれども、お三方の話を聞いていて、私、新たな理解できた点がありまして、結局、共同研究、共同論文の先にあるエピソードという話、実効性のある、島田先生がおっしゃった社会におけるインパクトって何というのとお三方の話はつながっているのかなと。
 そういう社会にインパクトがあると、当然、先ほど御説明あったように、外部資金も入ってくる。これはまさに、この事業で目指している拠点形成事業、私、最初、設備の有効活用だけかなと思ったら、そうじゃないんですよね。最終的に国大法人で成功したのは、そこを拠点化したということで、どうも途中で事業がすり替わっているなというのを最近理解したんですけれども。
 結局、設備というのはそんなに寿命が長いわけじゃないので、この前課長がおっしゃった、更新され、結局それが最終的に国大法人では、拠点化したからゆえに、そこに競争的資金とか設備資金とか外部資金とかが入ってきたわけですよね。それで設備更新にもなった。社会のインパクトがあり、共同研究の先にそういう社会のインパクトがあると、いい循環になっていく拠点をつくるということですよね。きっと。
 そういう理解をしたので、お三方のおっしゃるその点が非常に重要なんだなと分かりました。という理解をしましたが、課長、御意見ありますか。
【説明者】  ありがとうございます。確かに、今、座長が御指摘のとおり、共同利用の仕組みを通じて、だんだん資金も人も循環していくようになるというのは、おっしゃるとおりだと思いまして、気づかされました。ありがとうございます。
【井上総括審議官】  そのほか先生方、御意見等ございますでしょうか。川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  せっかくですので。いろいろと評価の指標であるとか評価の仕方、エピソードの把握についても、今後、ぜひ御検討いただければというふうに思うんですが、16ページのところに、支援なしということで、これも把握いただいている部分はあるかと思います。
 可能であれば、支援を受けていない、もちろん、外部資金の獲得ですとかいろいろな形で資金が入っているので難しいと思うんですけれども、本事業の支援を受けていない拠点について、実際に同じような共同研究者数とか論文数とかはどうなっているのかというところも、1つ効果を示す上では定量的なものになり得るのではないかなと思いますので、いろいろと恐らくデータとしてお持ちであると思うんですけれども、そういったところも可能であればフォローしていただきたいなというふうに思いました。
 以上です。
【井上総括審議官】  ありがとうございます。伊藤先生、お願いします。
【伊藤委員】  この事業は平成20年度からやってきていますので、もちろん変遷はあるということもお聞きしていますが、15年ぐらいやっているので、その意味でも、例えば、平成20年度当初に行ってきた共同研究の拠点が今どうなっているかというところも含めて少し分析すると、この間ずっと出てきた研究を増やすことの意味というのが何となく見えてくるのかな。
 逆に言うと、それが見えてこなかった場合には、もしかしたら、この事業としての効果も一区切りということも考えられるんじゃないかなというふうに思うんですが、その辺いかがですか。
【井上総括審議官】  黒沼さん、どうでしょう。
【説明者】  失礼しました。前半を聞き逃してしまったので、今、確認しておりました。
 事業自体は確かに平成20年から行っていますが、中には既に認定を打ち切られて閉じている拠点もありますので、その個別の拠点を見ていくと、そこまで長い事業でも必ずしもないので、長期的に観察できる拠点があるかと言われると、国立大学のほうはありますが、公私立大学ですとまだ長期の分析には至ってないとは思っております。
 国立大学の場合で長いところですと、もともと拠点だったのが、さらに研究分野を増やして、さらに巨大な研究所に育っていくというような例もありますので、その経験を踏まえれば、私立大学の場合も、先ほど座長がおっしゃった人も資金も集まってくる好循環というように、そういった形で育っていっているかどうかというのは見ることができるのではないかなと思います。
 ただ、今、具体例は、公私立大学ですとあんまりまだそこまでの期間がたってないので、御紹介は難しいかなとは思います。
【井上総括審議官】  ありがとうございます。そのほかの先生方、何かございますでしょうか。
 それでは、堀川先生のほうから、取りまとめコメントについて御提示いただきます。
【堀川委員】  それでは、各委員の主なコメントを紹介いたします。
 本件事業による効果を見るには、個々の大学において新規採択時からの変化を見ていく必要がある。これまで、拠点数は増えているが、成果を測る1つの指標である論文数が増えているとは言えないこともあり、再考をする必要があるのではないか。審査の観点と事業の成果指標の関係性の見直しが必要ではないか。共同研究数の増加による効果の具体的なインパクトになり得るのかが明確ではない。
 以上を踏まえまして、取りまとめとしては、大きく2つの柱で取りまとめたいと存じます。
 1つ目の柱は、事業の効果、その指標の設定及びロジックモデルに関するものです。まず、効果ですが、複数の先生から、共同研究数の増加による効果が本当にあるのかという、そういう疑問が出ています。
 具体的には、これまでの拠点数は増えているが、成果を測る1つの指標で論文数が増えているとは言えないので、そもそもどうなのか。何をもって評価するかについてレビューする価値があると考える。拠点数を増やすことの成果を何で見るのかいまいち不明確。拠点数を増やすことで何が起こるのか、共同研究者が増えること何が起こるのか、そこを明確にする必要がある。
 また、同じく、共同研究数の増加による効果の具体的なインパクトになり得るのかが明確ではない。そこを明確にする必要がある。現状はその効果が不明確。それが分からないと本事業の必要性が説明できないのではないかという疑問まで出ております。
 さらに、効果についてですが、制度設計上、スタートアップ支援と機能強化支援、区分して実施しているため、それぞれの効果を明確に把握したほうがよいのではないか。検討が必要。対象となっている設備等も分類してみて、本件事業で効果が出やすい傾向にあるものとそうでないものが見えるまで、分類を試行錯誤してみるのも有効かと考える。
 次に、指標の設定ですが、審査の観点と事業の成果指標の関係性の見直しが必要ではないか。個別の拠点ごとの実績と評価がうまく結びついていない。実質的な評価になるよう、評価の指標の変更などを検討すべき。
 ロジックモデルに関してですが、長期アウトカムの先にあるもの、つまり、この事業を行うことで、日本に、世界にどんないいことがあるのかを本事業を推進するチームとして明確にする必要がある。それがないと、そもそも何のために拠点を増やすのか分からなくなってくる。それがあると、この事業を何で評価するかがより見えてくるはず。
 先ほども言いましたけれども、社会にインパクトとか共同研究論文数の先にあるものを見据えた検討が必要だということは複数の委員から出てきております。
 次に、2つ目の柱として、事業の執行及びその方向性に関するものですが、全ての拠点に補助ありきとは言えないと考えるので、もう一度見直していただきたい。
 次の意見は、増加するのがどうかというのと相反する、逆に言っているだけなんですが、一定条件を下回るなどした場合は認定の取消しを検討するなどの厳格なサンセット方式の導入などの対応を検討していただきたい。ということで、限りある予算を集中することで、成功事例の創出、エピソードの話がありましたけれども、そういうことをつくって、1つ1つ積み重ねていく必要があるのではないかということ。
 それで、最後に、今後の異分野の共同研究については野心的な取組であるので、国大法人等でノーベル賞の獲得まで成功体験が出ていることから、ここはやはり本省のほうが相当頑張っていただけないといけないと思いますので、期待を込めて、よろしくお願いいたします。
 以上で取りまとめたいと存じますが、いかがでしょうか。よろしければ挙手をお願いいたします。ありがとうございました。
【井上総括審議官】  先生方、ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、「共同利用・共同研究システム形成事業」の公開プロセスについては終了させていただきます。ありがとうございました。
 次の「スポーツによる地域活性化・まちづくりコンテンツ創出等総合推進事業」については、15時10分に開始をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、一旦切らせていただきます。ありがとうございました。
( 休憩 )
【井上総括審議官】  それでは、5コマ目を始めさせていただきます。これからの時間帯は、「スポーツによる地域活性化・まちづくりコンテンツ創出等総合推進事業」について御議論をお願いしたいと思います。
 初めに、事業担当部局より事業概要の説明をさせていただきます。説明は5分以内で簡潔にお願いいたします。
【説明者】  担当参事官の田中と申します。よろしくお願いいたします。それでは、事業について説明いたします。
 まず、10ページ目のポンチ絵を御覧いただきたいと思います。この事業は、スポーツと旅行・観光を掛け合わせたスポーツツーリズムを通じた交流人口の拡大による地域活性化の促進を図るため、武道、アウトドアスポーツに重点を置いたスポーツツーリズムのモデルコンテンツの創出とスポーツツーリズムのプロモーションを積極的に実施することでムーブメント起こし、スポーツツーリズムに係る取組の自走化を促すものでございます。アウトドアスポーツというのは、スノースポーツ、登山、ハイキング、トレッキング、サイクリングなどの総称とします。
 レビューシートを御覧ください。この事業の概要は、ツーリズムのモデルコンテンツをつくり、定着化に向けた自走化を後押しするとともに、デジタルコンテンツを活用したツーリズムムーブメントを起こそうとするものでございます。事業の目的は、スポーツツーリズムの活性化を図るための環境を整備し、スポーツによる交流人口の拡大、地域経済の活性化を図ることでございます。
 スポーツツーリズムの具体例といたしまして、11ページから14ページにかけて、この事業で採択したモデルコンテンツ、モデル事業を4事例添付いたしました。雪中キャンプとスノースポーツをともに楽しむツアー。これは11ページでございます。12ページのような、自転車で能登半島の長大な海岸線を駆け巡るツアー、13ページのような、合気道発祥の地である田辺市で、合気道体験と創始者のゆかりの地を巡るツアーなど、モデル事業の内容は、各事業が、各地域が有する歴史、文化、自然環境によってまちまちでございます。
 そのような性格のものでございますので、ツーリズムの取組主体も、レビューシートにございますとおり、8ページにありますが、自治体から民間の企業・団体、地域スポーツコミッションに至るまで様々でございます。
 9ページを御覧ください。この事業のロジックモデルでございます。簡単にポイントを説明いたします。アクティビティについて、(1)の地域スポーツ資源を活用したスポーツツーリズムコンテンツの創出と、(2)のスポーツツーリズムムーブメントの創出に分け、それぞれにつきましてアウトプットとアウトカムを整理いたしました。
 (1)につきましては、アウトプットを効果検証がなされたモデル事例の創出としました。また、創出したモデル事業の成否を判断するためには、事業が自発的・継続的に実施されているかどうかを見ることが適切ではないかと考え、こういう初期アウトカムとさせていただいているものでございます。
 中期、長期のアウトカムにつきましては追って御説明するとして、(2)のアウトプットと初期アウトカムについて説明いたします。(2)のアウトプットでございますけれども、2つあります。
 1つは、プロモーションを通じたデータの利活用・促進に係る取組の実施。KPIをデータの利活用に係るセミナーの開催回数といたしました。アウトカムは、各地域でスポーツツーリズムの取組が検討されることでございます。KPIは、定量的に測定できるものとして、セミナーを契機にスポーツツーリズムに取り組もうとしているセミナー参加団体の数としました。
 もう一つは、スポーツ庁のホームページに設置しておりますスポーツツーリズムのポータルサイトに着目し、アウトプットを定めております。このサイトの内容を充実させることがプロモーションに係る主な取組の1つでございますので、サイトのコンテンツ内容の充実をアウトプットとしました。KPIは、海外からの交流人口の拡大を視野に入れ、多言語コンテンツの掲載数という要素を盛り込んでございます。このアウトプットの初期アウトカムは、ポータルサイトの閲覧に直結するサイトを通じた旅行商品の購入としました。
 中期アウトカムについて説明します。各地域でスポーツツーリズムの取組の検討が進み、モデル事業が自発的・継続的に実施された結果、新しいスポーツツーリズムコンテンツが生まれると考えております。スポーツツーリズムの取組は地域によって様々で、ある地域での取組を他の地域がそのまま取り入れることは困難でございます。そんなスポーツツーリズムの特性を踏まえまして、中期アウトカムは横展開的なものとはせず、新たなコンテンツの創出とさせていただきました。
 KPIは、定量的な測定把握が可能な、セミナー参加団体の新たなコンテンツ創出数としております。一番下の中期アウトカムは、ポータルサイトを通じた旅行商品の購入に直結する、スポーツを目的とした訪日観光客の増加とさせていただきました。
 長期アウトカムについてでございますけれども、ツーリズムのバリエーションが増えて国内外の交流人口が拡大すれば、ツーリズム関連消費額が増えますので、記載の成果目標としました。ツーリズム関連の消費額が増え経済効果が地域に根づけば、地域が活性化する。そのような考え方から、地域の活性化がこの事業の究極の目的だと考えております。
 説明は以上でございます。
【井上総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、まず、私のほうから論点について説明をさせていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
 まず、1点目、アウトプット、アウトカムは適切に設定されているか。2点目、事業目的が明確であるか、また、事業運営方法は適切か。3点目、今後どのようなステップアップが検討可能かということでございます。
 これから質疑応答に入りますが、説明者は外部有識者からの御質問に対して簡潔・明瞭に回答をお願いします。それでは、外部有識者の皆様から御質問などをお願いいたします。堀川先生。
【堀川委員】  今回、各地域で行われている事業内容、ホームページもこの資料もいろいろ見させていただいて、様々に工夫しているなと。ただ単にお祭りみたいな形で実施しているようなものではなかったので、よかったなと感心しております。そして、それぞれ地域ごとの特徴を生かす方向でしっかり検討されて実施されているなということで、評価します。
 スポーツ庁はこれまでも、スポーツを手段として地域振興、地域の活性化を目的とする政策を様々に進めてきておられ、これからも、この地域振興はスポーツの政策の大きな柱になり続けることと理解しています。
 地域振興を長期アウトカム指標として設定していただきたかったんですけれども、究極の目標ということで、そういう積極的な姿勢を鮮明にしていただきたかったところなんですが、ただ、地域振興は、おっしゃられるとおり、なかなか難しい。長い目で見ていかないといけないという、私もよく理解できます。この事業だけで達成できるものではないと。
 スポーツを通して地域振興していくという場合に、何がキーワード、キーパーソンとなるのかと考えると、やはり主体者であろうなと。誰が担うのか。スポーツ事業を通して地域振興に寄与する核となる組織を、ある意味、長期的視点から育てる戦略が必要じゃないかなと。
 その意味で、本件事業については、今後、地元のどのような組織を組んで事業を実施していくか、それは地域スポーツコミッションなのか、地元の団体なのか、自治体なのかというところになると思うんですけれども、先ほど御説明もあったように、以前の事前勉強会でもお話がありましたが、組織の経済的基盤が弱いと、国からの援助がなくなると事業継続は難しいから、今回モデル事業をやったとしても、それは結局、継続されなければ打ち上げ花火で終わってしまう。事業の持続可能性が重要である場合に、経営的基盤なんだろうなと。
 そこで、先ほど言いました地域スポーツコミッションはどうなのかと見ますと、スポーツ庁さんが自らホームページで報告書を掲記されておりますが、なかなか厳しい部分もあるという報告になっていて、それについては御承知のとおりなんですけれども、ある意味、そういうことを考えると、経営的基盤からも取捨選択すると、地域スポーツコミッションも取捨選択する状況になっているんだろうなと。地域スポーツコミッションが自走化しているのか、していないのかという指標がそこに1つかます必要があるのかな。
 さらに、仮に地元の団体をその中核の団体と想定するならば、まさに経済的基盤が確認できる指標が必要であろうと。自治体は当然、資金はありますが、使っていただけるかどうかというその優先順位が上げないと使ってもらえないので、そういうインセンティブが働くような制度設計が必要なのであろうなと。結局、自治体と組むのであれば、そういうインセンティブに特化したような別の事業がきっと想定される可能性もあるのかなと。
 なかなか地方創生というのは非常に難しいところですけれども、今後、スポーツ庁として連続性のある中長期的な事業を実施して、拠点形成事業の構築を考えていただきたい。ただ、その際に、私も補助金を様々過去に見てきましたが、くれぐれも、つくった組織の延命化を図るような補助金になる可能性もあるということは現実にありますので、紙一重だということを理解しつつ、有効な拠点形成事業を考えていただきたいというのが私の意見ですが、ここについて課長の御意見をぜひ賜りたい。特に、現場をよく御存じのようですので、よろしくお願いいたします。
【説明者】  ありがとうございます。非常に御示唆に富む御意見を頂戴いたしまして、感謝しております。
 幾つかございます。おっしゃっていただいたことで、まず、このスポーツツーリズムに取り組む主体の話でございますが、こちら、どういった主体組織がいいのかということも、いろいろと我々のほうでも、どういったものにはどういった主体がいいかというようなことを考えてはいます。ただ、スポーツツーリズムの種類というのはまちまちですし、内容も様々ですので、一概に幾ら切り分けても、きっちりとした切り分けはできないといったところはございますけれども。
 例えば、自治体がやる場合、令和4年度の横須賀市の事業のように、この地域が、例えば、アーバンスポーツだったり、自分のところで売りにしたいスポーツを地域に根づかせて、ツーリズムを含めてまちづくりを推進していきたい方針というのが自治体のほうではっきりとある場合は、自治体が中心となって、例えば、競技団体とか民間団体と一緒に取り組んでいくことは効果的ですし、例えば、民間主体の場合は、地域のコンテンツに地元そのものが気づいてないとか発掘段階である場合は、例えば、ビジネス主体でこういった地域にこういったツーリズムがあればいいんじゃないかといったように、民間団体が主体となることも1つ効果的であろうかなと考えています。
 おっしゃっていただきましたスポーツコミッションでございますけれども、この地域スポーツコミッションというのは、スポーツを核とし、他の産業と連携・協働したネットワーク組織でございます。この地域スポーツコミッションが主体となる意味というのは、地域における合意形成が円滑に進められたり、複合的・波及的な事業展開を実施することが可能となるといった利点があるかなというふうに我々のほうでは考えております。
 ただし、おっしゃっていただいたとおり、地域スポーツコミッションは全国に今195あるんですけれども、要するに、このスポーツコミッションによって、ちょっとこれどうなのかなといったところとか、ちゃんと活動しているのかなというふうなところがあるように見えるというのはごもっともだと思いますが、そういった地域コミッションそのものの質を上げるための事業というのも別途行っていまして。
 例えば、地域コミッションの中の人材育成だとか、地域スポーツコミッションが行う事業の質のブラッシュアップみたいなものを図る事業もあるので、今後とも、こういった私どもの持っている事業を有機的に連携させながら、効果的にスポーツツーリズムを進めていきたいなと考えております。
【堀川委員】  最後に1点だけ。ある意味、プッシュ型の政策が必要だと思うんですけれども。そういう育てていくには。現在の事業設計が、JTBコミュニケーションデザインを通して補助するスキームになっているんです。これについては、直接スポーツ庁が地域の団体等へ委託または補助することで見直してもいいのではないかなと。それによって、地域の団体から直接的に情報をいろいろ入手していくことのメリットがあるのではないかというのが考えられると同時に、一方で、JTBコミュニケーションデザインのように、そういう観光の知見を有する企業と組むというのも有用とも一方で考えられます。
 ただ、それであっても、御存じのように、一括で企業に発注するということについて、昨今、いろいろな御意見があるというのは皆さん御承知と思いますので、やはり何らかの見直しは必要なのかなと。
 これについて、参事官の御意見として、JTBコミュニケーションデザインと組むというのをどういう距離感で考えていくべきだと考えておられるか、今後の考え方がもしあれば。
 私は以上です。
【説明者】  絶対的にこれぞという答えがあるかどうかというのは、ちょっと私もなんですけれども、受託事業者からの伴走支援として、国内外の市場との接点というのをつくって、販売チャネルの開拓とか、情報発信の支援とか、モデル事業者の間での課題感など情報共有するための意見交換の場所を設定したり、定期的なオンラインでのミーティングといった事業効果の最大化というのを受託事業者の伴走支援として図っているところというのが、まず、押さえておいていただきたいところでございます。
 また、モデル事業の伴走支援、これだけじゃなくて、プロモーションを行って体験意欲を喚起したり、また、データ利活用セミナーを通じて取組の実施意欲を喚起したりする。実際に体験できる取組づくりを伴走的にサポートするというのは、受託事業者じゃないと、受託事業者一体となって取り組まないとやりにくいのかなというふうに考えておりまして、一括で委託しているものでございます。
【堀川委員】  私は以上です。
【井上総括審議官】  では、伊藤先生、お願いします。
【伊藤委員】  よろしくお願いいたします。今、御説明のあった中で、ロジックモデルで、中期アウトカムを横展開ということではなくて、これはこっちの町でうまくいったら横の町でうまくいくわけじゃないというお話があったかと思います。僕も同じように現場で一緒に仕事をして感じているんです。
 全く同じように思うからなんですけれども、これは今、モデル事業を委託でやっているんですよね。モデル事業を委託でやることの意義というのは、2年、3年やって、うまくいくかうまくいかないかということの効果検証をした上で、うまくいくところを抽象化して横展開するというのが、いわゆるモデル事業の一つの手法かなと思うんですが。だったら、これは補助金にしておくほうが、個々の自治体のいろいろな現場の取組について財政支援をすることでこのスポーツツーリズムを実現していこうという、この趣旨にもかなうような気がするんですけれども、いかがでしょう。
【説明者】  伊藤先生がおっしゃっていることも一理あって、ごもっともな部分もあるかなというふうに思うんですけれども、また一方で、地域ごとにまちまちで、競技種目とか武道によってスポーツツーリズムのコンテンツの中身が違うので、要するに、そのままは模倣できない。
 そのままこれを受け入れて、取り入れて、そのままコピーしたものをやるというわけにいきませんけれども、要するに、幾つかの事業に関しては、この要素のこの部分は取り入れることができるとか、例えば、武道と文化、茶道みたいなものを組み合わせたツーリズムをやってみようじゃないかといったようなアイデアとか、そういうふうなものは取り入れることができるというふうに考えていますので、全くもって、横展開になじまないというか、横展開ができない、だから、横展開の解釈ということになると思うんですけれども、そのまま丸ごとコピーできないという意味での横展開がちょっと困難かなというふうなことで申し上げているので、当方的には、今のこのやり方、委託による事業実施によっても十分機能するのではないかなというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。
【伊藤委員】  ありがとうございます。今の御意見も全く同じように思っていて、フルパッケージじゃなくても、その要素をうまく抽象化しよう、横展開をしていこう、これも本当にあり得ることだなと思っているんです。
 としたとしても、平成29年度からやっていて、実例でいくと、今年度見込みで31件あるから、そこの要素をいろいろ、まさにスポーツ庁として分析をすることで、この先、個々の自治体がやろうとしていることを補助するという考え方に転換をするということも十分にあり得るんじゃないかな。委託というのは何かとういうと、スポーツ庁としてスポーツツーリズムを進めるに当たって、いろいろな研究が必要だ、自治体とか民間団体と一緒にやるということの考え方の中でやってこられたと思うんですけれども、これだけ5年、6年やってきて、ある程度たまったものがあるので、それを基にしながら補助に切り替えていくということはあり得るんじゃないかなと思うんですが。
 お答えが可能であればお願いしたいんですが、いかがでしょう。
【説明者】  将来的にどうしていくかというのは、我々のほうも、未来永劫続けて、この事業もつくってしまえば安泰だという気持ちでやっているわけじゃなくて、例えば、これ以外の観光立国推進基本計画とか、今年出ましたインバウンド拡大アクションプランみたいに、政府全体で観光立国というのは長期的な視点に基づいて進めていますので、そういった世の中の動きだとかにも合わせていかなきゃならないと思っております。
 例えばですけれども、今年度いろいろと、今年度的にどういうふうな話が始まっているかというと、例えば、デジタルを活用したツーリズムだとか、武道ツーリズムのさらなる推進みたいなところというのが言われていますので、そういったものはまだ、これまでよりもギアを上げて、例えば、インバウンド向けだとかそういうふうな、今後、世の中的にどうなっていくかというような流れを見ながらコンテンツをつくっていかなきゃならないので、そういうふうな状況を見ながら、閉めるべきときには閉めたいなというふうに思っております。
【伊藤委員】  ありがとうございます。僕もいろいろな自治体と関わっている中で、スポーツを1つの軸に置いている自治体はかなり多くあると思っていますし、例えば、千葉県の房総半島の市の中では、気候が冬も温暖だということを生かして、合宿に力を入れていこうと。合宿の整備をするに当たって、合宿の近くでちゃんと温泉があることによって呼び込みをしていこうという、多分これもスポーツツーリズムの考え方にぴったりはまるんだと思うんですよね。
 というような個々の現場での試行錯誤しながらのものというのは、今、幾つかあって、これをどう後押しするかという観点で考えると、同じ答えになってしまって申し訳ないですけれども、補助というほうがやり方としてはいいのかなというふうに思いました。
 もう一個だけ。すいません。今、継続率が初期アウトカムに入っていて、80%が目標になっているんだけれども、レビューシートを見ると、まだ実績がなくて、今年度からアンケート調査を実施するというふうに書かれている。これは、アンケートをやってなかったとしても、継続しているかどうかの把握はされているのかなとも思ったんですけれども、いかがでしょう。
【説明者】  このモデル事業そのものは令和2年からということでございますので、継続的に実施している割合というのは、すいません、単純な話ですけれども、今年度から見ていくということでございます。
【伊藤委員】  平成29年度からやってきたものというのは、何か一つの取りまとめをされているんですか。
【説明者】  すいません。モデル事業についてはやってございません。
【伊藤委員】  モデル事業以外で、29年度からこの事業としてはやられていたんじゃないかなと思うんですけれども。
【説明者】  すいません。ツーリズムのプロモーションとかそっちのほうをやっていました。
【伊藤委員】  なるほど。分かりました。
【井上総括審議官】  よろしいでしょうか。川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  御説明ありがとうございました。ロジックモデルのところで、いろいろと整理していただいてありがとうございます。指標の設定やロジックの流れ自体に違和感はないんですが、中期アウトカムのところで、新たなスポーツツーリズムのコンテンツの創出というところで、KPI7で、R7で20件。一方で、外国人旅行者数、KPI8は270万人というふうに設定されていて、もちろん、セミナー参加団体というところで最低限の数字なんだと思っているんですけれども。新たなスポーツツーリズムコンテンツの創出という意味ではですね。
 ただ、もう少しこの目標値を含めた件数をいかに引き上げられないかというところは考えまして、もう少し件数が多くはならないんだろうかと。その意味で、利活用セミナーの開催回数、R5で2回というふうになっているんですけれども、これはセミナーに実際に参加した者だけではなくて、動画の配信とか、何かこのセミナーの内容が幅広く周知されるような取組というのはなされているんでしょうか。
【説明者】  KPI7の話とかKPI8の話について、今、御指摘いただいたと理解しておりますけれども、スポーツまちづくりに取り組む自治体の中で、例えば、スポーツツーリズムに取り組むと回答している自治体の数というようなものであれば、算出することは可能でございます。もっと言えば、今よりもスポーツツーリズムに取り組むと回答している自治体の数なので、もうちょっと増えていくのかなというふうに思いますけれども。
 ちょっと悩ましいところが、これは本当に御相談ベースかもしれないですけれども、地方公共団体、自治体だけを対象にしているものではなくて、このスポーツツーリズムというのは、民間団体とかも等しく対象としておりますので、主体がまちまちになってしまいます。そのため、自治体の中でスポーツツーリズムに取り組むと回答している数だけをKPIとしても、ちょっと物足りないかなというところで考えておりました。なので、もし参考値とできるのであれば、例えば、スポーツツーリズムに取り組むと回答した自治体の数みたいなものをKPIとさせていただければどうかなと思います。
 その他、例えば、アクティビティの予約サイトのスポーツジャンルの掲載数といったものを情報収集してKPIとすることは、まだできるかどうか分かりませんけれども、検討していければなというふうに考えているところでございます。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
 実際に新たなコンテンツというのが恐らくたくさん生まれているんだと思うんです。そのときに、非常に少ない、あまり成果が出てないというふうに誤解を受けないような形で、いろいろな側面を測定した指標が参考指標としてあってもいいのではないかと個人的には思いますので、今御提示いただいたようなところも含めて御検討いただきたいなというふうに思いました。
【説明者】  ありがとうございます。
【川澤委員】  もう一点なんですけれども、モデル事業の公募要領を拝見しますと、11ページのスキーのところにもあるように、目標到達率のところにもあるように、幾つかのKPIを規定項目として設定されているかと思います。地域への経済波及効果であるとか、地域の関心度みたいなところですね。全てのモデル事業で同じ指標をというよりは、候補として挙げているものの中から選ぶという形にされているので、一律に全てのモデル事業の効果という形で示しにくいんだとは思います。
 そういった選択方式にしていること自体は、各モデル事業の性質に応じて選べるというのは、いいことだというふうに思うんですけれども、この指標をうまくもう少し活用できないかというところを思ったところです。せっかく各モデル事業で経済波及効果、経済的な側面のところも取っているわけなので、そこはモデル事業の効果としてこのロジックモデルの中で、もしくは、事業の成果としてアピールしていってもいいのではないかというふうに感じました。その点いかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。確かに、この目標到達点のところのKPIというのは、事業ごとにまちまちでございますけれども、1つのKPIとか1つの考え方をつくっていくのには十分参考になるKPIかなというふうに考えておりますので、ちょっと今おっしゃっていただいたことを検討いたします。よろしくお願いいたします。
【川澤委員】  ありがとうございました。一旦、私のほうから以上です。
【井上総括審議官】  それでは、島田先生、お願いいたします。
【島田委員】  ありがとうございます。御説明が非常にクリアで、KPIと、前回もそうでしたけれども、すごく明確だなと思っています。
 私は2つ聞きたいなと思ったんですけれども、これから、このコンテンツの創出とムーブメントの創出というところで、数を増やしていきますよね。それから、そのことによって、特に、例えば、海外からの訪問、スポーツツーリズムを目的として来る人も増やしていく。結果として、地域経済が発展をするというところに行き着いたときに、どうやってそれを測っていくのか。
 これは多分、今、川澤先生のおっしゃられたことと同じなんじゃないかと思います。より具体的に、川澤先生がおっしゃってくださったから、考えますというふうにもう既におっしゃってくださっているんですけれども、スポーツが発展していく、地域が発展していく、それに関係する消費は増えていく、同時に、この地域がこんなふうに変わっていったということに寄与したというようなところまで関わっていけると、この事業はより価値と意味があるのかなというふうに思ったので。これは質問というより意見です。ぜひそこを見ていただけたらいいなというふうに思いました。
 もう一個が、ページ数で言うと8になるんでしょうか、さっき堀川議長がちょっと聞かれていた、JTBコミュニケーションデザインさんというところがすごく大きな、ある意味入り口みたいになっているけれども、また、これから数を増やしていく。地域のことをすごくよく知っていないと、その地域に特化したスポーツツーリズムのコンテンツもムーブメントも起こしていけないと思うんですよね。
 そうすると、どんなふうに、例えば、ここに書かれている「D」のところ、1から7個ありますけれども、この方たちがよく地域のことを知っているから、あんなすばらしい事例が出てきたんだと思うんです。こういう人たちをどうやって発掘していくのかというときに、多分、今はJTBさんとかに、ある意味、ちょっと言葉は悪いかと思いますが、頼っているのかなとか。どういうふうに、ボトムアップという言い方がいいのかな。本当にその地域の特性とか歴史だったりそういったものを含めて、ここのこのスポーツなんですというのをこれからも追加をして見つけていくのか。ここのところで何か工夫されていたりだとか、これからより強化する、もしくは、変えていこうと思っているところがあるのかどうか、ここを教えていただけたらなというふうに思いました。よろしくお願いします。
【説明者】  先ほど申し上げたところで、JTBさん、JCDさんにお願いしている理由を先ほど私のほうから申し上げましたけれども、一方で、我々はお金だけをJTBに委託して寝て過ごしているのかというと、そういうわけでもなく、例えば、いろいろなツーリズムとかの機会で、我々個人もよさそうなところを意見交換させていただいたり、こういったものって何となく、このうちのツーリズム的なものってできませんかみたいな意見交換みたいなものは、随時、これぞと思うような者に対していっています。
 そういうふうに、そこで意識を喚起して、これいいなと思ってもらえれば、手を挙げてもらったりというようなことも今していますので、これからもしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【井上総括審議官】  委員の皆様におかれましては、また、併せてコメントシートへの記入もお願いいたします。島田先生、もうよろしかったですかね。分かりました。堀川先生。
【堀川委員】  まだですが、お三方の御意見を聞いていて気づいたんですけれども、島田先生から、地域の本当に地元のアイデアを持っている団体等の発掘が重要だというのと、これについては先ほど私も、直接地域とつながって情報収集したほうがいいんじゃないかというのも近い意見かなと。さらに、伊藤先生がおっしゃった、直接地域のアイデア、優良なアイデアに補助を出してもいいんじゃないか。やっぱりつながっているなと。この3人の意見が。
 参事官の説明は分かるんですけれども、きっと、この3人の意見は、もっとつながれ、もっとつながってよということだと思いますので。と私は理解しましたが。
 以上です。意見だけです。
【井上総括審議官】  田中さん、何かコメントございますか。
【説明者】  おっしゃっていることもよく分かります。今の私の説明だったら、そうおっしゃられるかなというような気もしますけれども。
 このモデル事業をやってくれそうな者の発掘のやり方というのが、非常に我々的にはまた、スポーツ庁ならではの、それだけじゃ駄目だけどというような飛び道具的なやり方でもやっていまして。
 例えば、スポーツ・健康まちづくり長官表彰という、要するに、いいまちづくりとかいいツーリズムの取組も含めますけれども、いいまちづくりの計画を立てている自治体さんとかのアイデアを表彰したりだとか、あとは、皆様方にいろいろと、地域活性化したい人とかスポーツツーリズムやりたい人いますかみたいな感じで、一本釣り的な形で拾い上げていっているというようなものでございます。
 なので、我々の役割というのは、多くの意見交換をやっていますけれども、あとは、この表彰とかをしていまして、こういう先さんとの関わりというのもございますが、専門的な観点から見ていただくJTBさんというような、そういう立場の方がいたほうがスムーズに進むのかなというような、私としては気がしております。
【井上総括審議官】  すいません。時間が大分またたちましたので、コメントシートへ記入なされていない先生におかれましては、コメントシートへの記入をお願いいたします。
 伊藤先生、お願いします。
【伊藤委員】  今、堀川さん、島田さんからお話があった、事務局的機能に委託をして、そこで事務局と事業選定を行うというこのスキームは、多分、この事業に限らず、また、スポーツ庁に限らずやっている部分もあるかなと思います。
 前に事前勉強会でお話をしましたが、僕はスポーツによる地域活性化の事業のフォローアップの検討委員会に入っていて、その事業もスキームは一緒なんです。民間事業者が間に入っていて、事務局機能や事業選定をしている。そのスキーム自体、スキームが悪いというふうに思っているわけではないんですが、ただ、ちょっと思うのは、基本的に何か話をするときというのは、委託を受けている事業者が話をするんだけれども、その考えがスポーツ庁の考えとして受け取っていいのか、それを受けている事業者としての考えなのかというのが分からないときというのは結構あるなと正直思っているんです。
 最初のほうに堀川座長がおっしゃっていたように、スポーツ庁としての意思をしっかり伝える、スポーツツーリズムというのはこういうものなんだ、だからこういう委託事業をやるんだというところが一番分かりやすいのは、それはやっぱり、直接スポーツ庁が事業選定を行うというスキームのほうが一番分かりやすいと思うんです。
 仮に、それがもしかしたら、マンパワーの問題とかでこういう一度委託をかけたほうがいいという判断があるのであれば、そこの意思はしっかりと共有しておくということはとても重要なことではないかなというふうに思っています。いかがでしょうか。
【説明者】  おっしゃるとおりだと思います。実際問題、事務局としてのノウハウ、あとは、要するに、旅行会社なので、それなりに経験はあるんですけれども、だからといって、JTB、JCDとか委託会社任せにしておくのは全然よくなくて、我々も積極的にスポーツ庁としてそうしたいんだというようなところは、ちゃんと受託者のほうにも伝えて、取組を進めていただこうかなというふうに思っています。
 実際問題、例えば、この事業はすごく人気があって、三十幾つ出てきて、採択されるのが数個というふうな感じになっていますので、実は、審査とかどれを選べばいいのかというような判断というのは、非常に大変で膨大なんです。
 一方で、そういう人気があるものから選りすぐって幾つかを選ぶということから分かりますとおり、いいもの、スポーツ庁の施策の方向性に合致したものを選んでいかなきゃならないということは確かでございますので、マンパワーの問題とかが正直言ってあるんですけれども、今後とも、スポーツ庁の色が色濃く反映された施策推進をしていきたいなと思っております。ありがとうございます。
【伊藤委員】  最後、1点だけ。これは意見になりますけれども、先ほど私からお聞きした、中期アウトカムで、横展開ということじゃなくて、新たなスポーツツーリズムのコンテンツの創出というお話をしていた中で、田中さんからも、その要素を横展開するということは十分あり得る。この部分も中期アウトカムに入ると、とてもこの事業の効果が見えやすくなってくるかなというふうに感じたんです。
 今までモデルでやったもの、多分、モデルでやって、効果検証でこういう部分がうまくいったというものが活用されているというような実例がこれだけあるというふうに見えてくると、すごくこの事業の効果が見えてくるかなというふうに思いました。意見としてです。
【井上総括審議官】  ありがとうございます。もうしばらく、もう少し時間がございます。もしこの際何かありましたら、御意見等ぜひお出しいただければと思いますが、いかがでしょう。川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  すいません。せっかくなので。いろいろなツーリズムの中のメニューを拝見していて、すごく魅力的な内容がたくさんあるんだなというふうに思いますし、今の応募の際に競争性が確保されているのは、非常にいいものが選ばれているんだなというふうに思います。
 ただ、この前の時間に文化庁の食文化のというのをやったんですけれども、食文化で選ばれた自治体のコンテンツとかがこういうふうなツーリズムの中にも盛り込まれるとか、違う組織ではあるんですけれども、少し他のところでやっているところも含めた形で展開できるとよりいいのではないかなというふうに思いました。無理やりあまり関係のないところを組み合わせることがいいとは思わないんですけれども、せっかくそうやって推進して、いいものが出てきているところを共有して、できるところは進めていっていただきたいなと思いましたが、その辺りはいかがでしょうか。
【説明者】  他の事業のいいところを取り入れるというようなこととか、他の省庁のツーリズム的ないい部分を取り入れるという取組は、この事業とはまた別に、見えないところで、我々、地域振興担当参事官の本来業務の1つとして、例えば、農水省の農泊だとか、食育だとかそういったものとか、あとは、文化、観光、スポーツツーリズムみたいな文化庁とのコラボみたいなことというのもどんどん取り入れて、いいものをつくっていこうと考えておりますので、今後とも、その方向性を進めていきたいと思っております。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
【井上総括審議官】  そのほか先生方、御意見等ございますでしょうか。
 それでは、堀川先生のほうからコメントの取りまとめ案の御提示をいただきます。
【堀川委員】  まず、各委員の主なコメントを紹介いたします。
 地域振興は長い目で考えていくことが重要。スポーツ事業を通して地域振興に寄与する核となる組織をつくり上げる戦略が必要。
 モデル事業の公募要領で求めている成果指標、地域への関心度の向上等を事業全体のアウトカムとして活用することも考えられるのではないか。
 JCB、JTBに頼ってはいないとのことだが、それでもやはりこの2社の存在感が大きいと感じる。地域の地元の歴史と現実を分かっている個人や団体のアイデアとつながる工夫は必要だと考える。
 事業の性質は委託よりも補助のほうが合うのではないか。今年度で4年目を迎え、事例の蓄積もあるので、それらを広く周知しながら、今後は、地域で取り組まれていることを支援するという意味で、委託から補助に切り替えることを検討する必要がある。
 以上を踏まえまして、取りまとめコメントとしては、大きく2つの柱で取りまとめたいと存じます。
 まず、1つ目の柱は、事業の効果、その指標の設定及びロジックモデルに関するものです。まず、指標の設定についてですが、モデル事業の公募要領で求めている成果指標、地域への関心度の向上等を事業全体のアウトカムとして活用することも考える必要がある。次に、モデル事業から創出された要素の横展開事例数もあると、より事業の効果が見やすいのではないか。検討が必要。
 次に、効果についてですが、全ての地域がスポーツツーリズムで成功するわけではないので、モデル事業で行っている事例の効果検証は非常に重要となる。成功の要素と失敗の様子を具体的に抽出し、分析することが必要。
 ロジックモデルについてですが、大きな目的として、地域経済の活性化・まちづくりがあるので、そこにこの事業がどのように貢献するのかの視点でのアウトプット、アウトカムが加わると、よりこの事業が高まるものと考えるので、検討が必要。
 次に、2つ目の柱とした事業の執行及びその方向性についてです。これは先ほどもちらっと言いましたが、ある意味、共通している部分があるようです。コメントを紹介しますが、地域の地元の歴史と現実を分かっている個人や団体のアイデアとつながる工夫が必要だ。
 次に、言い方は違うんですが、事業の性質は委託よりも補助のほうが合うのではないか。今年度で4年目を迎え、事例の蓄積があるので、これらを広く周知しながら、今後は地域で取り組まれていることを支援するという意味で、委託から補助に切り替えることを検討する必要があるのではないか。
 公募要領、事業テーマについて固定化することなく、各自治体のスポーツツーリズムの状況や意向を踏まえて見直していく必要があるのではないか。
 持続可能性を担保するという意味で、地元の団体を核とする戦略が必要だと。そして、仮に地元の団体等を核とするのでは、その経済的基盤がしっかりしていることや、自治体を核とするのでは、自治体の政策の優先順位を上げるようなインセンティブが必要ということで、全員の意見は異なるような表現ですけれども、結局、地域とさらに密接した戦略を立ててほしいということを言い換えていると思いますので、その点、当然、観光に熟知している企業体を排除するものでも何でもないんですけれども、その上でさらにスポーツ庁さんが地元とつながってほしいということだと理解しておりますが。
 そのような方向での取りまとめを考えましたが、皆様、いかがでしょうか。よろしければ挙手をお願いいたします。ありがとうございます。
 以上です。
【井上総括審議官】  ありがとうございました。
 以上をもちまして、「スポーツによる地域活性化・まちづくりコンテンツ創出等総合推進事業」の公開プロセスについては終了をさせていただきます。
 次の「世界で活躍できる研究者戦略育成事業」については、16時15分開始といたしますので、よろしくお願いいたします。どうも先生方、ありがとうございました。
( 休憩 )
【井上総括審議官】  それでは、6コマ目を始めさせていただきます。これからの時間帯は、「世界で活躍できる研究者戦略育成事業」について御議論をお願いしたいと存じます。
 初めに、事業担当部局より事業概要の説明をさせていただきます。説明は5分以内で簡潔にお願いいたします。では、お願いします。
【説明者】  失礼いたします。「世界で活躍できる研究者戦略育成事業」につきまして、御説明を申し上げます。私は科学技術学術政策局人材政策推進室長の髙見と申します。よろしくお願いいたします。
 資料7ページの本事業のロジックモデルに基づきまして、御説明を申し上げます。まず、現状と課題を御覧いただければと思いますが、こちらにございますとおり、論文数に関する我が国の国際的地位が質的・量的に低下をしているという認識をしております。我が国の研究力の強化を図っていくために、研究者の研究生産性の向上を図ることが必要となっております。このため、本事業の目的のところでございますが、産学の域を越えた世界で活躍できる研究人材の輩出を図ることとしております。
 そのために、下のアクティビティというところを御覧いただければと思いますが、こちらの欄にある活動を行っていきます。1点目といたしまして、研究者育成に向けたプログラムを開発いたしまして、研究室単位ではなく、組織的な研究者育成システムを構築することで、優れた研究者の戦略的育成を推進する大学・研究機関を支援すること。2点目といたしまして、各機関の知見を集約・分析いたしまして、我が国の研究者育成プログラムの標準モデル、それから、共通メニューの開発を行い、質保証されたプログラムの普及・拡大につなげること。これらが本事業の内容となっております。
 特に本事業で開発するプログラムの内容といたしましては、アカデミア、産業界を問わず、優れた研究者に求められる能力である、いわゆるトランスファラブルスキル、汎用的能力の育成に関わるものになります。具体的には本資料右上の図を御覧いただければと思います。こちらは、現在開発中のプログラムパッケージのイメージ図になっております。
 左側にありますとおり、ネットワーキングですとかコミュニケーションに係る人間関係スキル。少し字が小さくて申し訳ありませんが、人間関係スキル。それから、チームマネジメント、プロジェクトマネジメントに係るマネジメントスキル。そして、問題解決力や研究技術、専門知識、そしてグローバル能力などの技術、知識の大きく3つのフレームをつくりまして、これまで各大学において開発してきたプログラムを整理・集約してきているところになります。
 本事業は、令和元年度より開始をいたしまして、今年が5年目となります。1大学当たり10年間の事業期間としておりますため、ちょうど実施予定期間の中間段階にある状況でございますので、今後は、本プログラムパッケージの改善を図りながら、事業実施機関以外の大学等にどのように広めていくのか、普及方策について検討していくということを予定しております。
 今後の取組を進めていく上での活動目標や成果目標につきまして、御説明を申し上げます。下の段を御覧ください。アウトプット(活動目標)といたしましては、研究者育成プログラムの開発、システムの構築を進めてまいります。その際、育成プログラムのコンテンツ数が毎年増加することを指標として掲げております。
 そうした活動を行った結果の初期のアウトカムといたしましては、プログラム開発をしている実施期間における研究者育成プログラムの利活用の拡大としておりまして、この指標としましては、本事業で開発した研究者育成プログラムの受講者数が毎年増加することとしております。
 次に、中期アウトカムといたしましては、プログラム開発をした実施機関と事業を連携していっている連携機関、こちらを含めまして、本事業において開発されたプログラムを利活用する大学・研究機関が全国に拡大するというふうにしております。その際の指標といたしましては、プログラムを利活用する大学・研究機関が毎年増加するというふうにしております。
 そして、長期のアウトカムでございますが、研究者育成プログラムを通じて、多様な場で活躍するための資質・能力を備えた生産性の高い研究者が世界で活躍するといたしまして、その際の指標としては、プログラムを利活用する大学・研究機関において、海外との共同研究件数が毎年増加することとしています。
 御説明は以上になりますけれども、8ページ以下には、各大学で今つくっていただいておりますプログラムの具体的な内容に関します事例の説明資料を添付しておりますので、併せて御参照いただければと思います。
 この後、皆様からいただく御意見を踏まえまして、事業の改善につなげてまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【井上総括審議官】  ありがとうございました。
 それでは、初めに、私のほうから、論点について説明をさせていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。まず、1点目です。アウトプット、アウトカムは適切に設定されているか。そして、2点目、事業の評価結果を今後の事業運営に適切に反映させる方策や事業の成果の活用方策についてでございます。
 これから質疑応答に入りますけれども、説明者は外部有識者の先生方からの御質問に対して簡潔・明瞭に回答をお願いします。それでは、有識者の皆様から御質問等お願いします。堀川先生。
【堀川委員】  公開レビューですので、最初に、認識を共有しておきたいと存じます。
 本件事業は補助期間が10年に及ぶ事業設計。補助事業としては、普通、国では、一般的には4、5年が多いと思います。3年とか。10年に及ぶ手厚い事業設計が許されているのは、ひとえに世界で活躍できる研究者を育成するプログラムという壮大な目的を掲げているからだと推察します。
 そして、出発点を研究者の基礎的な能力、トランスファラブルスキルを培うことから始めて、その壮大な目的までに至るには、この前の事前勉強会でも伊藤委員からありましたが、大変長い道のりが想定される。10年と国の補助事業ではまれな長期の期間が設定されている。それだけ文科省としても本件事業への期待が大きいと理解できます。
 現状、事業開始から、早い大学でも、京都大学ですが、5年とまだ中間点であることから、現在は、先ほどの研究者の基礎的な能力の開発段階となっているところが多い。これについては、本件事業を育成するプログラムを開発することであることから、指標とか効果の測定という意味では、プログラムの受講前後での違いを測定することがまず求められるだろうなと。
 これまで、事前勉強会等を通じた議論の結果、ロジックモデルや指標の設定については改善されてきていますが、さらに検討が必要であるとも考えます。ただ、なかなか世界で活躍というのも、設定は簡単でないということも理解できております。
 ここからですが、個々の事業を見ると、海外留学とかセミナーとか研修等を実施しているところということで、それ自体は大変プラスになると理解しております。ただ、昨今、各大学が科研費や外部資金をいかに多く取るかを競っている情勢で、より優秀な研究者を配置することを競っていることを考えますと、本件事業と対象となっていないような大学でも同じような事業を実施している、内容がかぶっているということも推測できます。
 多額の補助金を10年もの長期にわたって一部の大学に限定して支援するのであるからには、それに見合った説明責任を果たす必要がある。今後、発展を大いに期待するところでありますが、そのためにも、最終目的である世界で活躍できる研究者とはどのような水準を超えなければならないのか、具体的な基準の設定とそれに連動した指標の設定は、行政事業レビューですので、当然求めるところであります。
 求められている高い水準から見ると、全てのプログラムが全てうまくいくというのはちょっと普通考えられないだろうなと。改善が見られただけでもと納得するのではなく、最終目的の高い水準のプログラムから見て、逆算して、このプログラムは不十分であるなどの当然幾つか出ると思うんです。そういうよくない評価、情報というのはあるべきだし、その情報が、逆に言うと、高い水準を目指す指標の設定に役に立つんです。ある意味。そういう情報が赤裸々に分かるような、情報が分かるような指標の設定をすることで、壮大な目的の達成に近づいていくことができるのではないか。
 そこで、一昨年、事業レビューで取り上げた、規模は違うんですけれども、世界トップレベルの研究拠点プログラムというのがありまして、大変参考になるかと存じますので、その際のコメントをここで紹介したいと思います。
 伊藤先生、亀井先生が評価されていた内容で、具体的に言いますと、そのときのコメントですけれども、正直言って、世界トップレベルがそんな簡単に横展開できるとは思っていません。それよりは、皆さんが持っていらっしゃる何で測るのかとか、どういうふうに定量的に把握するのかとか、あるいは、定性的に見ていることは何かとか、そういったような皆さんの視座とか視点というのが実は、まずは局内だと思いますけれども、省内で共有できる大きな財産なんだと思うんです。これをこの事業だけにとどめていたら本当にもったいないと思います。それぞれ事業の事情はあるから、同じものであることはないと思うんですけれども、そういったような幅も含めてというような意見がありました。
 世界の水準を達成しているかを様々な指標でこの事業では検証していました。事業レビューにおいても、この指標の設定やロジックモデルの立て方はすばらしく、今後、省全体で参考にしてほしいとの意見でありました。これは伊藤先生、亀井先生が評価されておられました。
 行革推進本部でも、参考となる指標やロジックモデルを省全体へ波及させて、省全体のロジックモデル等の底上げを行う方向が打ち出されています。一昨年の事例のコメントの中でも、全く同じ事業ではないということでありますが、本件事業は、世界で活躍するという点、育成するという点、期間が10年という野心的な点と共通点が多い。ぜひ、このコメントにあったように、参考になるロジックモデルを活用していただいて、10年に及ぶ事業期間の後半をより効果的に実施していただきたいというのが私の意見です。
 以上です。
【井上総括審議官】  髙見さん、コメントあります?
【説明者】  どうもありがとうございます。大変有益な情報をいただきまして。今、堀川委員がおっしゃいましたとおりだと思っております。
 今御紹介をいただきました事業のレビューシートにつきまして、我々のほうでもこの後参考にさせていただいて、特に一番課題を感じておりますのが、研究者が本プログラムを受ける前と受けた後にどう変わったかということ、それから、世界トップレベルというところにたどり着くまでの道のりというところをいかに指標化するかというのが、我々としても悩みながら、先ほど御説明したような、海外との共同研究件数の増加というふうに本事業ではしておりますけれども、ぜひ、御紹介いただきました事業のレビューシートにつきましては、参考にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
【井上総括審議官】  それでは、ほかの先生方から御意見等ございますでしょうか。島田先生、お願いします。
【島田委員】  ありがとうございます。御説明、非常にクリアでした。ありがとうございます。
 まず、シンプルに教えていただきたいんですけれども、御説明くださったような、例えば、育成のためのプログラムパッケージ、それからコンテンツの開発、それを受ける人たちを増やしていく、そのことによって、世界で活躍できる研究者、例えば、それは論文の数であるとか質であるとか、そういったところで強化がされるであろうという流れだと思うんですけれども、強化をしてやっていこうというところにフォーカスをするのと同時に、なぜこの国際的地位、日本における研究者もしくは論文の質・量ともに低下しているのか、そこについて何かしらの考えがあって、そこを変えていったり、何かイシューを減らしていったり、もしくは、強化していったりという、その部分もこの事業の中で検証されていらっしゃるのかどうか。ここを先に教えていただけますでしょうか。よろしくお願いします。
【説明者】  どうもありがとうございます。今、御指摘のありました点については、本事業においては、まず、書きましたとおりなんですけれども、研究室単位で人材育成が行われているというこの現状をある意味課題と捉えておりまして、そこが、研究室の中でどのように人材育成がなされているのかということが、必ずしも他の研究室、他の領域と共有されていないというところが大きくあるんだと思います。
 なので、研究室ごとになっているがゆえ、研究者として必要な能力というところがどのように設定がなされていて、それを育むための取組として何をやっているのかというのが、総じて把握できていないというところが大きく問題としてあるんじゃないかというのが課題として我々が考えているところです。
 ですので、本事業におきましては、このアクティビティの中に書かせていただきましたけれども、このプログラム開発をするとともに、それを研究室単位ではなく組織的に、例えば大学でしたら、大学の中にこのプログラムを進める組織というものをつくって、それが数ある研究室の中に横断的に入り込んでいくようなシステムをつくってくださいというところをお願いしておりまして、そのことによって、まずは学内における共有化を図っていくということ。その上で、そのシステムも含めて、他大学に対して参考にしてもらって、広げていくというような仕組みを想定しているところでございます。
 お答えになっていますでしょうか。
【島田委員】  ありがとうございます。よく分かりました。
【井上総括審議官】  島田先生、よろしいですかね。川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  御説明ありがとうございました。今、島田先生と議論がありました、このプログラム、各大学で作成した後に、学内でまずは共有化して、結果を検証していくというお話があったかと思います。
 個人的には、各大学で研究室を超えてこういった人材育成のプログラムをつくると、非常に重要だと思うんですが、その進め方として、プログラムをつくって、各大学で共有化して、それの結果を検証するという、このプロセスを各大学でそれぞれ完結して10年間かけるというのは、ちょっと長過ぎるのではないかというような印象を持ちます。
 研究者の基礎能力の育成という重要な事業であるからこそ、もっと短期的にまずはプログラムをつくって、学内全体ではなくて、1つの学部でも試行的に実施をしてみて、それで、ほかの大学にもまず展開する。走りながら効果検証していくような、そういった進め方というのは考えられなかったんだろうかというふうに思うんですが、その辺りはいかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。すいません。御説明が十分でなかったと思うのですが、順序として、まず、学内でやらないとほかに広めていかないということではなくて、こちらで言いますと、中期アウトカムのところに書かせていただきましたけれども、開発したプログラムは、順次、右上のこのパッケージのような形でまとめて、具体的な開発プログラムというものもひもづけた形で公表していって、他大学でも使ってもらうということを想定しております。
 そこは、なので、学内プロセスとある意味並行してやっていくということを想定しておりまして。という意味では、順を追わないとということでもないんですけれども。ただ、この10年間という期間に関しましては、その中で、具体的にもう国際共同研究を実施しているような大学もあるんですけれども、人材育成というところが一定程度の時間がかかるというところは、御理解をいただきたいところではございまして、10年間が終わらないと全てが評価できないということでもないとは思っています。
 順次そこは、これまでの事業の進捗というものを毎年度毎年度評価をしていって、その後の改善、事業の中での改善というものにつなげるというのは組み込んでいるところなんですけれども。ただ、事業全体としては、10年ぐらいを各大学でやっていただかないと、十分な検証というのがし切れないというところがあるのかなと考えておりまして、その点に関しては御理解いただけたらありがたいと考えております。
【川澤委員】  ありがとうございます。プログラムを作成する期間とプログラムを受講して人材が育成する期間というのは、また当然違ってくるんだというふうに思います。ですので、この事業でプログラムの作成に10年かかるということではなくて、プログラムはもっと早い段階で作成をし、走りながら各大学にも展開していってという、その点については理解いたしました。
 そうしますと、今、初期アウトカムでプログラムの受講者数が毎年増加すると。中期アウトカム、長期アウトカムというふうに設定していただいていて、これまでの議論の中で見直ししてくださって、前よりフィットしているなというふうに個人的には思っているんですが、長期アウトカムのところで、海外との共同研究件数が毎年増加するというのを設定していただいています。
 もちろんこれも重要だと思うんですが、海外との共同研究の中でも、主導的な立場で共同研究に参画しているという、まさに世界で活躍できるというときに、プロジェクトメンバーというよりはプロジェクトリーダーとしてどのぐらいの人材が育成されているかというのは、非常に長い間でコストもかけている事業ですので、そういった視点は重要ではないかなと思うんですが、その辺りはいかがですか。
【説明者】  ありがとうございます。御指摘のとおりかと思います。世界で活躍できるというところをどこまで取るのかということで、ある意味、海外との共同研究件数というだけですと、主導的な立場ということに限定しないと、幅広く取るようなものになっておりますが、それも把握しつつ、本当のトップ層といいますか、に関しては「世界で活躍できる」の具体的な対応として、例えばなんですが、本事業に関わっていただいている方のコメントといたしまして、それぞれの学問分野の主たる領域の国際会議、学会論文誌で主導的に意見を述べ、また、意見を求められる立場にあるとか、主導的、リーダーとして関わるというところがあるんだと思います。
 なので、そこも見据えて、併せてこの指標として取っていくということができたらと考えました。ありがとうございます。
【川澤委員】  ありがとうございます。おっしゃっていただいたような、例えば、学会での役職ですとか、あと、学会誌でのレビュアーになるとか、いろいろな立場があるんだと思います。ただ、もちろん、研究者の育成プログラムでそこまで行くのはかなりの年数がかかるんだと思いますので、そこはこういった共同研究の件数とか共同研究における指導的な役割、いろいろな観点でどういった場面で活躍されているのかというところをフォローするのは重要ではないかというふうに感じました。
 最後にもう一点。プログラムのパッケージ、こういった形で人間関係スキルとかマネジメントスキルとかいろいろ分けてくださっているんですが、民間でも同じようなこういったスキルというのは求められて、いろいろなサービスが提供されているんだと思います。ただ、その内容も昨今のいろいろな考え方であるとかに応じて変わっていく部分というのもあると思いますし、変わらない部分もあるんだと思うんです。その辺りの、一度このスキルを学んだらもうおしまいということではないと思いますが、アップデートみたいなところというのは、各大学でそれぞれ実装できるような形になっているんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。一旦、この事業の中では、開発していただいたものをこういったパッケージの形で集約するというのが1つの事業の内容になっておりますので、一旦このような形でまとめてはおりますが、この事業期間内でもこの中身の見直しをいたしますし、もっと言えば、今おっしゃっていただいたように、各大学にカスタマイズをしていくという過程が絶対に必要であろうと考えておりますので、特に実施機関以外に広げていく際には、参考としてこういうものもお示しをしながら、その中身については、ある程度広げていく先の大学でカスタマイズしてもらうというところは、今の日本の大学文化を考えるとマストかなというふうには考えておりますので、その辺りも含めて、時限的なアップデートというところも含めてやっていただくのが望ましいと考えております。
【川澤委員】  分かりました。ありがとうございます。
【井上総括審議官】  では、伊藤先生、お願いします。
【伊藤委員】  ありがとうございます。先ほど堀川座長に御紹介をいただいた2年前に同様にというのか、10年ぐらい行う事業についての評価をした際、世界トップレベルの研究拠点だったかなと思うんですが、あのとき、先ほども御紹介いただきましたが、全く同じことをやる、ほかの事業も当然事業の質が違うので、同じことを横展開するということではないけれども、ロジックモデルの考え方については横展開が必要であろうというところが意見として多く出ていたなと思っているんです。
 それと今回の研究者戦略育成事業を見たときに、もちろん、まだ5年目、中間なので違いがあるということが前提ではあると思うんですが、1つは、実績がレビューシートを見るとまだどれも出てこない。実績が出たら、それによって評価をするということではなくて、2年前のときにも、10年経過をしているんだけれども、毎年度毎年度がしっかりとフォローアップをしている中で、10年たったらこういう成果が出ているんだというような積み上げがあったことが非常に成果を見せるという意味でよかったなと思っているんです。その部分が入ってくるといいのかな。
 これは今回、対象事業に当たったことで、ロジックモデルを考えて成果指標をつくったので、指標としては設定したけれども、まだその実績を調査できていないということになるんでしょうか。
【説明者】  はい。おっしゃるとおりでございます。今回改めて、委員の皆様からの御意見もいただきながら、この形で整理をさせていただいたところですので、実は、指標として設定した中でも、既存の調査の中で把握できるものはなくて、新たに本事業に関する調査というものを実施して、プログラムの受講者数がどれだけだったかとか、あるいは、利活用する大学・研究機関というのがどれだけあるかということを新たに把握していくというようなことを考えておりまして。
 すいません。その意味では、実績が書けないという状況にございます。1点だけ、これまでに開発したプログラムが110あるというところは、実績として書かせていただいておりますが、そのような状況です。
【伊藤委員】  ありがとうございます。それは今後調査していくのが一番いいのかなと思います。
 もう一つだけ。2年前、何がよかったのかなということを改めて振り返ってみると、あの時、事業は違うんですけれども、9拠点に対して同じように10年間の補助をしていて、その9拠点で行われている成果と、例えば、日本の平均、論文であれば、9拠点が世界トップテンにどれぐらい入っているか、それと日本の平均という、補助しているグループとそれ以外のグループの比較というのはかなり精緻に出されていたことが、効果が見えるというエビデンスとしても明確だったなというふうに思うんです。
 例えば、今回ので考えたときに、今、中期アウトカムで、本事業において開発された研究者育成プログラムを利活用する大学・研究機関が増加する。もしかしたら、こういう研究者の育成プログラムというのは、ほかの事業であったりとか大学独自でもやっていることがあるので、この事業でやっている5拠点は、ほかでやっている育成プログラムよりも研究者の増加率が高くなっている、もしくは、その研究拠点から生まれている論文の世界トップクラスの比率が高くなっているというような比較ができると、この10年間やっていることの効果というのがより明確になるのかなというふうに思いました。言うのは簡単だというところではあるんですが、いかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。これから、指標について確認をしていく調査のやり方につきましても今後考えていくことになりますので、御指摘いただきました、本プログラムの対象となっている大学、あるいは、活用している大学とそれ以外というところが取れるかどうかというところも含めて、今後考えさせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
【伊藤委員】  これができるのは多分、長いスパンで事業ができるものじゃないと逆にできないんじゃないかなと思うんです。1年、2年で短期的な成果を図ろうとすると、なかなかそういう分析まで追いつかないというところがあると思いますので、この10年プログラムだからこそできるとも言えるのかな。まさに2年前にそういう話があったかなというふうに思っています。
【説明者】  どうもありがとうございます。
【井上総括審議官】  ほかに御意見。島田先生は。
【島田委員】  はい、あります。
【井上総括審議官】  お願いします。
【島田委員】  ありがとうございます。追加で教えてください。今までの先生方とやり取りにも関わると思うんですけれども、さっき教えていただいたように、研究室単位だったところを学内で、学内だけではなくて今度は大学同士でと広げていきながら、組織的に育成をしていく。そのときのプログラムというものを開発していくということだと理解しているんですけれども、そのプログラム自体の質がどうよいのかどうかというのはどう見ていくのかなと。
 コンテンツの数であったり、受ける人の数であったりということはここに書かれているので分かるんですけれども、それがどれほどのものなのかというのをどう見るのか。かつ、これらによって、例えば、この16個のコンピテンシーというんでしょうか、フレームワーク、スキル等々記載されていますけれども、これらがどう身についていたのかというのは、どういうふうに評価をしていくのか。ここが1つ伺いたいところです。
 もう一つあります。私、自分のバックグラウンドが人事とか人材育成、ここにもあるということもあって、特にこのプログラムフレームワークはすばらしいなと思って興味を持ったんですけれども、よくよく今見てみると、この16個は、研究者だからということではない部分のほうがほとんどになります。
 ということは、既に世の中にいいプログラム、本質のものというのは存在しているとも思いますし、ゼロから、1からすごく時間とお金をかけて開発するというよりは、もうあるいいものを、この選定というのもすごく大事だと思うんですけれども、活用しながら、でも、研究者のというところを加えて、さっき、伊藤先生もおっしゃられた、もっとスピードアップしていくとか、時間をかけずにやっていくという、かけるべきところとそうじゃないところは結構分けてやったほうがいいんじゃないかなと感じたので、このプログラム開発のところに関して何かお考えがありましたら、教えてください。
 以上になります。ありがとうございます。
【説明者】  どうもありがとうございます。まず、プログラムの質の確認というところなんですけれども、各大学で開発したプログラムにつきましては、今年度まで、JSTのほうで開発普及委員会というものを設けておりまして、そこで5大学の研究といいますか、プログラム開発の状況というものを集約しつつ、お示ししているこのプログラムパッケージのような形でまとめてきているところということになります。
 その開発普及委員会というところの中で、開発したプログラムの内容がどうかということですとかというのを、参画している5大学の関係者にも集まっていただきながら、その中身について確認をするというプロセスを、今、経ておりますので、その中でいろいろな意見が出ながら、各プログラム、各大学に対してフィードバックがなされているという状況になっております。
 これにつきましては今後も継続をしてまいりますので、開発されたものに関する他者からのチェック、ある意味、他者からのチェックということにはなると思いますが、というのが開発者に戻っていくというような評価、検証、改善というところはそこで機能しているのかなというふうに考えております。
 ただ、これまでの5年間は、特に新しいものをつくるというほうに重点があったのかなと思いますので、実は、各大学10年間の事業期間と申し上げましたが、5年、今年度から中間評価というものをやってまいりますので、その中間評価の機会に、より開発してきたものというのが有益なのかどうかという点で意見がかなり闘わされるというか、という状況になってくるのかなというふうに考えております。これは全ての大学の開発したものに関して適用がなされます。
 スキルですね。ここに掲げたようないろいろなスキルが身についていたかどうかというところですけれども、大学の中でそれをいかに把握するかということは随時確認がなされていると思いますが、明示的にこのスキルがこの程度身についたというようなものを指標化してやっているというのは、今のところまだなくて。なので、それも、今後の中間評価というものをやっていく中で、じゃあ実際それでどうだったのか、そのプログラムを受けた研究者たちがちゃんと育っているのかということも確認をしていくということになると考えております。
 3点目に御指摘をいただきました、既にあるいいものをというところは、本当におっしゃるとおりだと思います。実はこの事業の中で、国内外でこのようなトランスファラブルスキルについて検討をしてプログラム化したものというのがほかにないかということも、併せてJSTのほうで確認をしてきているところになります。なので、国内の事例として幾つか、そして海外でも、かなり地域も、ヨーロッパ、アメリカ、アジアもあったと思いますけれども、幾つか先進事例というものを、研究者のトランスファラブルスキルという意味での先進事例になりますが、そういうものは先行事例といいますか、を把握しながらやってきておりますが、御指摘いただいた研究者に限定されるものではないというのも、おっしゃるとおりだと思います。ネットワーキング、コミュニケーション、表現力、チームワーク、こういった辺りですね。
 なので、研究者以外の文脈というところで、どういったこのプログラムなりフレームワークというものがあるのかということも、今後、ぜひ視野を広げつつ、確認をしながらやっていけたらよりいいのかなというふうに感じました。どうもありがとうございます。
【井上総括審議官】  委員の先生方におかれては、併せてコメントシートへの記入と御提出もお願いいたします。川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  ありがとうございます。今、島田委員との間で議論がありました民間のよいものというところ、私もそれを非常に感じました。研究者の文脈というところも分かるんですが、研究所以外の文脈でも、本当に数多くの民間のサービスで、利便性も含めた形でいろいろなものが考えられていると思いますので、そのほうが、ある意味、競争が激しい中でよりよいものが残っているんだというふうに思いますので、ぜひその点にも視野を広げて検討していくのは、これから、参加大学以外に広げるときに重要になってくるのではないかなというふうに感じました。これはコメントです。
 先ほど伊藤委員との議論の中で、この今回の事業に参加した大学と、つくられたプログラムを採用した大学と、採用はしてないけれども大学独自でこういった取組をしている、そういった比較というのも考えていけるのではないかというお話がございました。
 参加した大学については、先ほどJSTの委員会で他者からのチェックもあるというお話だったんですけれども、各大学でこういったプログラムを参考に採用して展開している大学の質というのをどう担保するのかというのも重要ではないかなと思っていまして、その辺りはどのような形で取り組んでいかれる御予定でしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。御指摘の点、一番把握が難しいところだなというふうには思うんですが、それも、今後設計する調査の中で、プログラムを利活用する大学というのがどれだけあるかというのを把握していこうとしていますけれども、そこに加えて、どのような形での活用をしたのか、各大学ごとの状況に合わせたカスタマイズというか、そういうこともした上で、誰を対象にしたプログラムにして、その実施した結果がどうだったかというようなことも含めて確認をしていくというのが今考えられるところかなと思うんですが。
 それにしても、かなり面的な把握が必要になってくるかなと。全国の大学に使ってもらいたいとは思っておりますので。なので、調査の設計でうまくその辺りの効果が確認できるような形を考えていきたいと思っております。
【川澤委員】  ありがとうございます。というのも、参加した大学の中でも展開するのというのは非常に大変なのではないかというふうな印象を持っていまして、これまで各研究室独自にやってきたものを、ある意味、全て変えるわけではないですけれども、水平展開して、基礎的なところというのはこういうものを活用していくということの抵抗感というのは当然あるんだろうというふうに思いまして。
 それをさらにほかの大学で採用していくというときに、例えば、トップダウンでやっていくとか、かなり大きなイニシアチブがないと進めるのが難しいんだと思いますし、仮に各大学でカスタマイズでやっていますといったところの質が担保できなければ、ある意味、実施割合は高いんだけれども、中身が伴ってないということになりかねないと思いますので、そこは今後、できた成果物をどういうふうに展開して、それがどう各大学に定着していくかというところのモニタリング、非常に難しいけれども、非常に重要なんだというふうに感じました。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。
【井上総括審議官】  ありがとうございます。そのほか御意見等ございますでしょうか。コメントシートのほうもよろしくお願いいたします。伊藤先生、お願いします。
【伊藤委員】  これも事前勉強会でも少し触れた部分なんですが、この研究人材の育成の事業は、当然この事業だけではなくて、様々な切り口でやられていると思うんです。今日の1個目の事業は保健医療分野でのAI研究の人材育成ですし、今日つけていただいていますけれども、科学技術の人材育成、ほかにも女性研究者の育成、様々な切り口でやられていると思うんです。
 これも過去何回となくレビューでやってきているからなんですが、割合、そのたびごとに研究者と話をすることがあって、申請の手続の煩雑さというのは常に、これはこの事業ということだけではなくて、研究資金を取るための煩雑さがある中で、類似のものだけれども複数申請をする、申請書を書くことが業務の一定割合を占めてしまうということというのは、かなり実態としてあるなと私は認識をしているんです。
 その中で、人材育成の部分も結構多くメニューがあるんじゃないかな。メニューが多いから絶対駄目だということではないんですが、そこが、特に今回、人材政策課ですので、イニシアチブを取って、有機的に全部がつながっているんだということが示せると何の問題もないと思っているんですけれども。
 前も同じ質問しながらなんですけれども、その辺は、人材政策課がしっかり把握をして、局をまたいでもたくさん研究育成分野はあるなと思うんですが、そういうものも把握ができているというふうに捉えていいんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。伊藤委員のほうから事前勉強会の際にも御指摘をいただいたということもございまして、過去の秋のレビューですとか行政事業レビューの中で、例えば、2017年でしょうか、秋のレビューの中で、研究等の担い手の育成ということで、4つの事業をまとめてレビューをいただいたというような経過ですとか、その中での御指摘がどういうものだったのかということですとか、そこで取り上げられた事業、我々の事業も一部あったわけなんですけれども、そういった経過があるということ、それから、本事業の前身といいますか、科学技術人材育成のコンソーシアム事業というものもございましたが、それに関しても2018年にレビューをいただいているといったことがございます。
 これらに限らず、我々のほうで、今やっております人材育成ものというのがどういったものがあるのかというのは、俯瞰して見られるようなものがございまして、なので、我々としましては、同じような内容というのが、同じようなといいますか、同じ支援というか、同じことをやろうとしているものが別にあるのにまた重複してしまうということはもちろんございませんし、他の事業とのすみ分けを図りながら、ただ、狙う目的が違ってくるところに関しては、別事業という形で立ち上げて、大学のおっしゃるような研究者の育成に資するようなものとして設計をして、重複のないように、無駄のないようには考えているところでございます。
【伊藤委員】  ありがとうございます。1点だけ。文科省側が考えている視点は、もしかしたら、現場で考える視点のギャップは当然どこかで出てくることがあるので、別にギャップがあるから絶対変えなきゃいけないというよりは、そのギャップを認識した上で、まさに人材政策課としてイニシアチブを取られると、より効果が高まるんだというふうに感じました。
 以上です。
【説明者】  どうもありがとうございます。引き続き、この視点は大事にしていきたいと思っております。ありがとうございます。
【井上総括審議官】  そのほか、先生方何か。川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  ありがとうございます。今までのお話いろいろお伺いしてきたんですが、ちょっと観点が変わるんですが、このプログラムを作成したりですとかプログラムを運営している中で、参加者側というんですかね、参加する学生側の声というんですか、そういったところはフィードバックしているんでしょうか。このプログラムにですね。
【説明者】  実は本プログラムに関しましては、若手という設定には特段今しておりませんで、実態といたしましては、各大学の助教とか准教授クラスの方が参加をしているというのが今の実態になっております。大学のほうから毎年度、実績報告という形でも出していただく中で、参加した人のアンケートがどうであったというようなことが書かれていたりとか、大学内でそこはきちんと参加者の感想といいますか、恐らく、プログラムをもっとこういうふうに変えたほうがいいというところも含めて、意見は集約をしているというふうに認識をしております。
【川澤委員】  分かりました。そうであれば、今、初期アウトカムで受講者数が毎年増加するということだけなんですけれども、プログラムの参加者からの高い評価を得たものが何割とか、もう少し質的なところを参加者の視点で捉えるものも必要ではないかなというふうには思いました。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。踏まえさせていただきます。
【井上総括審議官】  ありがとうございます。そのほか、もし御意見等ございましたら、まだ少々時間がございますので、お願いしたいと思います。
 時間がありますけれども、今まで個別事業のお話いろいろいただきましたけれども、官房の取りまとめ役の立場をしていて、例えば、先ほど伊藤先生から、人材関係の施策いろいろあるではないのかと。確かに、それぞれ持ち場持ち場でよかれと思っていろいろな事業があるんです。結果として事業の数が物すごく多くて、本当は、大学の自主性なども生かしていくとすれば、もっと束ねるということが大事だと思うんです。だから、これは役所として、文部科学省としては、基本的には事業は大くくり化していくようなことは考えております。
 これは先ほどまさに御指摘いただいたとおり、事業の数だけ現場がみんな苦労するんです。それだけ申請業務があって、それに相当事務作業を取られている。これは各種データからも明らかでありますので、そういうことは私どもしっかり取り組んでいきたいなと思っております。
 川澤先生、お願いします。
【川澤委員】  ありがとうございます。今の御指摘くださった点、非常に大切だなというふうに思いますので、モニタリングも各事業ごとに行われているんだと思いますし、モニタリングも非常に大切なんですけれども、そこもある程度まとめた形で行っていくことも、恐らく文科省側と受け手側としてもどちらも大切かなと思いますので、その点についての効率化もぜひ御検討いただければと思いました。
 以上です。
【井上総括審議官】  ありがとうございます。伊藤先生、お願いします。
【伊藤委員】  私も今の御発言とてもいいというか、毎年レビューをやっていく中で、なかなかそこまで踏み込まれてなかったなというふうに思っているんです。例えば、国立大学に関して言えば、運営費交付金が切られる分だけ別で出しながらやっていくというような考え方はずっとあるなと正直思っているので、そこを本当に必要なものはちゃんとつけるというところを含めて、大くくりにしていくことが現場にとっても重要なことじゃないかなというふうに思いました。同じように感じました。
 以上です。
【井上総括審議官】  堀川先生。
【堀川委員】  説明の中でJSTというのがちょっと気になったんですけれども。支出一覧表の中に、大学があるのに何でJSTが入っているのかなというのは違和感を感じたんです。もともと。大体違和感を感じるところにはいつも引っかかるんですけれども。これはJSTが主体でマネジメントをやっている事業だったのかな。
【説明者】  主体と申しますか、具体的なプログラムを開発いたしますのは各大学になっております。その各大学の開発したプログラムの中身のこの評価ですとか、実際それによって優れた研究者が育っているのかといったことの評価をやったり、あるいは、開発したプログラムの集約をやったりするというところを開発普及委員会というところにお願いしておりまして、それをJSTで運営をしていただいているということです。
【堀川委員】  普通、本省のほうでそういう委員会を設置して評価するケースもありますよね。それはJSTにそれを分担している、全てお願いしているみたいな。
【説明者】  全てと申しますとあれなんですが、開発普及委員会の中に入っている有識者の先生方がいらっしゃいますけれども、その有識者の先生方の選定というところは文部科学省が担っていたりですとか、当然、毎回開催される開発普及委員会は文部科学省としてもウオッチをしていって、事業の進捗については同時に把握をしているというような状況でございます。具体的に運営のところをJSTがやってくださっている。
【堀川委員】  そうすると、先ほど私が言った一昨年の世界でという、伊藤先生が、そのパターンとは違うのかもしれない。本省があっちをやっていて、これはJSTが絡んでいるという。あっちはどうだったのかが分からないんだけれども、普通、それなりの額を出すのであれば、直接本省が外部有識者とか審査委員会とか設置しているかと思うんだけれども、それとはちょっと違う世界でしょうか。
【説明者】  運営に関してはJSTにということで、ただ、中身は文部科学省が有識者をお願いするとかということは全てやっておりますので。
【堀川委員】  そういうことですね。大丈夫ですね。
【説明者】  はい。中身は大丈夫です。大丈夫ですというか、全てお願いしているということではないです。文科省がしっかり……。
【堀川委員】  分かりました。以上です。
【井上総括審議官】  それでは、堀川先生のほうから取りまとめコメント案を御提示いただきます。
【堀川委員】  それでは、まず、主なコメントを紹介いたします。
 今後の発展を大いに期待するところであるが、そのためには、最終目的である世界で活躍できる研究者とはどのような水準を超えなければならないのか、具体的な基準の設定とそれに連動した指標の設定は、行政事業レビューとしても当然求めるところである。
 次に、今後成果を展開する際、各大学で本事業の成果をカスタマイズすることは必要だと考えるが、必要な内容が漏れることなくカスタマイズされるよう、モニタリングの際には注意する必要がある。
 令和元年からスタートした事業で、5年目になりながら目標値、実績値がない点が気になる。残り半分の期間に優先順位をつけて実績を出していく必要があり、特に育成プログラムについては、この事業の鍵となるもので急ぐべき。
 人材政策課がイニシアチブを取って、他の人材育成事業との役割分担をより明確にすることで効率性と効果が高まると考える。
 ということで、以上を踏まえまして取りまとめコメントですが、これは3本の柱で取りまとめたいと存じます。
 1つ目の柱は事業の設計に関するものということで、1つは、今、最後に言いました、伊藤委員から出ております、人材政策課がイニシアチブを取って、他の人材育成事業との役割分担をより明確にするようなことで効果を高めるような事業設計がまず、そもそも必要ではないか。
 次は、2つ目の意見としては、川澤先生のコメントには入ってないんですけれども、議論の中でおっしゃっていた、本来10年必要ないんじゃないか。短期短期でそれぞれ目的を明確にして、短期短期で実施したほうが効果が上がるのではないかということと、島田先生から、基本的には研究に特化しているプログラムではないんだと。この意味は、既に使えるプログラムがあるのではないか。そうすると、トランスファラブルスキルですか、既にいいものがこの世にはあるんだから、それを活用すればという意見。
 これもきっと短期的にできるという話にもなるし、この世にあるものを使うとか、また、事業内容から見て短期で分断して効果を上げるという事業設計でもいいんじゃないかという意見があったと思いますので、それを1つ目の柱としたいと思います。
 2つ目の柱としては、事業の効果、その指標の設定及びロジックモデルに関するものですけれども、コンテンツや参加者の数のみならず、質についても指標とすべきであり、かつ、その質をどう見ていくかという点も加味されるべき。
 世界で活躍できる研究者、どのような人材が本当に世界で活躍できる研究者なのかを明確にして、世界で活躍できる研究者だと認定されるための指標を明確にするということ。
 それと関連しますけれども、長期アウトカム指標として、海外との共同研究数が毎年増加するが設定されているが、主導的な立場での共同研究数の件数等、より多面的な指標の設定が必要ではないか。
 次に、効果についてですが、補助を受けている5拠点とそれ以外の研究者育成プログラムとの比較を行うことで、本事業の効果が明確になる。10年間という長期の事業だからこそ、それまで精緻な比較を行うことができる。これは逆に、10年間を前提としたら、こういう効果の測定が必要だろうと。
 最後に、3つ目の柱としては、事業の執行及びその方向性ということで、これも10年間という前提で立つと、今後成果を展開する際、各大学で本事業の成果をカスタマイズすることは必要だと考えるが、必要な内容が漏れることなくカスタマイズされるよう、モニタリングの際には注意する必要がある。
 以上、事業設計段階から含めて、3つの柱で取りまとめたいと存じますが、いかがでしょうか。短期、長期、それぞれについての立場で、それぞれ評価をしたというような取りまとめとしたいと思いますが、いかがでしょうか。何か追加があれば、遠慮なく言ってください。どうぞ。いいですか。
【伊藤委員】  私は今、座長がおっしゃったとおりで、短期にしろ、長期にしろ、そこはいずれかちゃんと整理した上でやっていくという、そういう整理の仕方だと思います。とてもよかったと思います。
【堀川委員】  じゃあ、以上です。どうも、本日ありがとうございました。
【井上総括審議官】  どうもありがとうございました。
 以上で、「世界で活躍できる研究者戦略育成事業」の公開プロセスについては終了をさせていただきます。
 本日、朝からでしたけれども、これにて文部科学省の公開プロセスは終了いたします。外部有識者の皆様におかれましては、長時間にわたり御検証いただき、貴重な御意見を賜りましたことにつきまして、心より御礼を申し上げまず。ありがとうございました。
 また、本日は、インターネットでこの会議を御視聴くださいました皆様、ありがとうございました。途中、中継画像が乱れましたことを深くおわび申し上げます。
 私どもといたしましては、本日いただきました御意見を踏まえまして、我々の取組を一層よいものとしてまいりたいと思っておりますので、今後とも応援、お力添えいただけましたら幸いでございます。
 本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

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