令和3年度行政事業レビュー「公開プロセス」 1日目 議事録(6月22日(火曜日))

【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、お時間となりましたので、ただいまより文部科学省公開プロセスを開会させていただきます。
 私は進行役を務めます、文科省サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官の行松でございます。よろしくお願いをいたします。
 外部有識者の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席をいただき、誠にありがとうございます。本日は6名の委員に御参加をいただいておりますが、時間の関係もございます。大変恐縮ですが、ホームページにてお名前を公表しておりますので、それをもって御紹介と代えさせていただきます。
 オンライン会議の開催に当たってお願いがございます。御発言のとき以外はマイクをミュートにしていてください。本日は長時間にわたる議論となります。よろしくお願いをいたします。また、インターネットで視聴される皆様におかれましても、よろしくお願いをいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。これからの時間帯は、留学生就職促進プログラムにつきまして、御議論をお願いしたいと存じます。この時間の取りまとめ役は、川澤良子委員に務めていただきますので、よろしくお願いをいたします。
 はじめに、事業担当部局より事業概要の説明をさせていただきます。説明者の方は、5分以内で簡潔に御説明をお願いいたします。それではお願いします。
【説明者】   高等教育局の主任大学改革官の佐藤と申します。本日は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
 早速ですけれども、レビューシートの2ページを御覧いただければと思います。留学生就職促進プログラムについてとなります。すぐ下に書いておりますけども、関係する計画、通知等ということで、こちらは政府全体のものになりますけれども、「留学生30万人計画」、そ         
 れから「日本再興戦略2016」、「経済財政運営と改革の基本方針2016」、骨太の方針になりますけど、こういった政府全体の政策文書の中で盛り込まれていることを受けて、実施しているものでございます。
 事業の目的となりますけれども、そもそもグローバル化の進展に伴いまして、委員の皆様も御案内の通り、世界の高等教育の交流人口、モビリティーというのは拡大の一途をたどっているわけです。国際社会の一員として、国境を超えた課題に協力して取り組む必要性ですとか、研究力の向上という点でも、国際ネットワークにしっかりと食い込んでいく、こういった必要性から、日本人のグローバル対応力の強化は不可欠であるわけですけれども、一方で、留学生、外国人材を高度人材として日本に取り込んでいくということが、極めて重要であると。こういったことがこれまでの政策決定の中でもなされてきているところです。
 この事業ですけれども、この目的のところにありますように、我が国においては、一方で、少子高齢化が非常に進んでいるわけで、この高度外国人材の活用が強く求められています。具体的にこの留学生を取り込んでいくとなりますと、入口から出口まで、すなわちリク ルートのところから、体制では大学の体制の国際化、それから卒業後の就職、そういった機能を一貫して、一連で強化していく必要があると考えております。
 この事業は、特にその出口のところになりますけれども、外国人留学生を、我が国内の企業に就職させるために、特別な教育プログラムを構築し、支援を行うことで、企業における高度人材の確保を促進することを目的としております。ちなみに「留学生30万人計画」ですけれども、2022年を目途に30万人という計画でございましたが、2019年の段階で31.2万人を達成しております。しかし、今このコロナの状況で、かなり厳しい局面に直面しているという状況は一方でございます。
 この事業概要のところになりますけれども、具体的には、そういった今、申し上げたような目的を達成するために、各大学が地域の自治体ですとか産業界と連携して、就職に必要なスキルと言われる日本語能力、それから日本での企業文化等のキャリア教育、そして中長期のインターンシップ、こういったものを一体として学ぶ環境を創設する取組を支援して定着を図るとともに、日本留学の魅力そのものを高めて、質の高い留学生の増加を図るということになっております。
 7ページ以降を御説明させていただきたいと思いますが、7ページを御覧いただければと思います。このロジックモデルですけれども、日本国内で就職を希望する外国人留学生はどれぐらいいるかというところですけれども、全体の約65%を占めています。しかしながら、この留学生のうち、特に大学を卒業・修了した留学生のうち、実際に国内で就職した方の割合は、およそ35%にとどまっているということで、具体的な原因としては、その下にアンケート調査、これは留学生からの視点が左側、右側が企業から見た改善してほしい点になりますけれども、御覧いただいて分かるように、一定水準以上の日本語能力が、特にこのビジネス日本語能力も含めてということになりますが、ここが強く求められているということ。それから、一方で日本企業における働き方や、採用・労働慣行に関する理解が不足しているので、ここ伸ばしていく必要があるといった課題が示されております。
 次のページを御覧いただきますと、こういったものに対するインプットとして、本事業では15の拠点を今現在採択しておりまして、3億7,200万円の予算を投じていることになります。大体、1拠点平均で2,500万円程度になっております。
 このアクティビティーに関しては、先ほど申し上げたようなビジネス日本語、キャリア教育、中長期のインターンシップの3つを支援していくわけですけれども、地域単位の取組に加えて、企業の業種等に応じて、大学・企業等が地域横断的に連携して行う留学生の就職促進の取組を構築することになっています。
 また加えて、これは文部科学省だけではなくて、先ほど御説明したように政府全体でこの留学生の定着を図るということが言われておりますので、他のアクティビティーとしまして、他省庁との連携も、もろもろございます。例えば経済産業省、厚生労働省においては、企業側の意識改革や受入体制の整備促進、それから出入国在留管理庁においては、在留資格の拡充、それから外務省においては、帰国した留学生が海外においてその人的ネットワークを強化できるように、こういったことを全体として進めていく中で、この日本留学、そして日本に定着するという魅力を全体的に高めようということを、今、取り組んでいるということになっております。
 そのアウトプットですけれども、インターシッププログラムへの参加者数ですとか、もろもろの受講者数は御覧いただいているとおり、一貫して伸びてきていることに加えまして、このインターンシップを行う連携企業数が非常に増えてきていることは、大きな成果ではない かと思っています。ただ一方で、このインターンシップ先の企業にそのまま就職した人数は実はあまり伸びていないことが分かっておりまして、これは必ずしも欧米型のインターンシップと違って、まずは日本での就職を経験してみるという、比較的短期のインターンシップ が多いものですから、こういった結果になっているのかと分析しているところです。
 そのアウトカムですけれども、初期アウトカムであったこの採択事業拠点、15の大学の中の話に限定となりますけれども、日本で就職した卒業生の方々は、当初31.9%であったわけですけれども、全体としては、令和元年度はほとんど上がっていません。32.8%となって  おります。ただ一方で、このプログラムを、各15拠点の中で経験している学生さんたち、留学生の皆さんの日本の就職の定着率が46.8%ということで、この事業を受けることで、かなり就職率が高まることが明らかになっております。 
 長期的には、最終的にはこの事業の目標としましては、50%、この事業にこれは限らない話ですけれども、日本にいらっしゃる留学生で、就職を希望する方々の50%がちゃんと就職できるようにということを、我々は図っていきたいと考えております。
 最後になりますけれども、9ページ目を御覧いただきますと、インパクトと今後というところをお示ししております。インパクトに関しましては、この事業によって蓄積されたノウハウを、新たに認定制度というのを設けまして、これを2026年度末を目途に、50以上の拠点を全国で認定していきたいと考えております。今回、まさに15の拠点を作っているわけですけれども、この15の拠点から出てきた反省点、それからグッドプラクティス、こういったものをしっかりと全国に横展開していくことで、もちろん関係省庁とも連携を図りつつになりますけれ ども、より日本を理解した質の高い外国人材の国内定着を図ってまいりたいと考えています。
 その認定制度の、特に審査のところで、基準に、まさにこのノウハウをしっかりと入れ込んでいきたいと思っています。左下のこの図を御覧いただきますと、吹き出しでありますとおり、例えば連携企業等に対して、留学生採用の成功事例、それから受入時の工夫についてセミナーを実施するといった支援方策が設定されているかということを、その認定制度の基準に一つ設定してはどうか。それから中長期のインターンシップだけでなく、短期インターシップの複数回の分散といった一つの取組、または就職した外国人留学生に関するフォローアップ体制、こういったものをしっかりとその認定制度の基準の中に取り組むことによって、この事業のグッドプラクティス、そして反省点を全国展開することによって、まさに日本に優秀な質の高い人材がより定着するように図ってまいりたいと考えています。
 説明は、駆け足になりますけれども以上になります。よろしくお願いいたします。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、私から論点について説明をさせていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
 1点目として、事業の取組効果を高めるための成果の検証という点。2点目として、成果を踏まえた今後の事業の在り方、拠点となっている大学の留学生だけが恩恵を受ける取組であってよいのか。あるいは、規模に対するインパクト、費用対効果の検討などはどうかといった点が論点になろうかと考えます。
 外部有識者の皆様におかれましては、事業担当課への質問等を通じ、無駄の削減のみならず、より効果の高い事業に見直すとの観点から、御議論をお願いいたします。また、質疑等と並行して、適宜、コメントシートへの御記入をお願いいたします。発言を希望される方は挙手をしていただいて、私から順に御指名をさせていただきますので、指名を待って、その都度ミュートを解除して、御発言をいただけたらと思います。なお、御発言の際は、いつも以上にはっきり、ゆっくり御発言をいただけると助かります。説明者は外部有識者からの御質問に対して、簡潔、明瞭にお答えをお願いいたします。
 それでは、先生方、御質問等をお願いいたします。いかがでしょうか。
 川澤先生、お願いします。
【川澤委員】   御説明ありがとうございました。まず論点の1つ目、成果の検証に関して一つ質問させていただきます。先ほど資料の2ページで事業の概要等を御説明いただきましたけれども、気になりましたのが成果指標の点です。成果指標として外国人留学生の就職率を設定されていらっしゃるかと思います。就職率も重要な指標だと思いますが、加えて、離職率、就職3年以内の離職率を設定するほうがいいのではないかと感じました。
 といいますのも、これは留学生の定着をまさに目的としているものですので、就職して、こういったプログラムを経て就職されていらっしゃるので、ミスマッチは少ないだろうとは思いますけれども、3年以内の離職率が大卒で3割というところは一般的に言われておりますので、そこと比べてもどうなのかというところは検証する必要があるのではないかと思いました。
 特にその事業の設計として、今後のフォローアップの仕組みはきちんと考えられていらっしゃいますので、そのフォローアップの中で、継続して就職されていらっしゃるか、離職されていないか、もしくは離職されてしまったら、どういうところが問題だったのかというところを きちんとフォローするという意味でも、この指標が重要ではないかと思いました。まず1点目はその辺りいかがでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。御指摘の点については、ぜひ今後の中で反映させていきたいと思うんですけれども、実は外国人材の方々の意識というものが実は多様であるということを、これまでの大学ですとか、それから企業さんとのヒアリングの中でも伺っています。例えば、どこの国とは申し上げませんけれども、一部の国の留学生の方々は、日本の企業で就職する、それもできれば一部上場の大企業がいいわけですけれども、その就職すること自体が箔になるので、結果的に日本の中に残ることを目標にしているのではなくて、結果的に日本の企業で2年、3年働いた後に、あえて離職して自分の国に戻って、ステップアップしていくことをお考えになっている層がかなりいるというお話も、実は某大手メーカーの人事担当の方がお話しになっていたこともあります。
 ですので、今いただいた御意見は極めて貴重だと思いますので、その離職した後にどこに行くかというところも恐らく大事だと思うんです。ですので、そういったところも含めて、今後しっかりと丁寧に分析しながら、まさに留学生の日本での就職マインドと傾向というのが どういうところにあるのかというのを、ぜひこれを展開していく中で、また経験を蓄積して、しっかりと反映させていけるような取組にさせていただければと思います。ありがとうございます。
【川澤委員】   ありがとうございました。
【説明者】   1点補足をさせていただきますけれども、日本学生支援機構というJASSOのデータでも、留学生の意識として、今、佐藤リーダーから申し上げましたけれども、国内でずっと居続けるという方ばかりでなくて、帰国、あるいは進学とか、多様な進路をそもそも考えて いるというのが国内の日本人の大学生、かつ日本的な企業文化、1つのところにずっといるというカルチャー的な違いもありますので、その点は御理解いただければ。
 例えば、就職率三十数%の並びで見て、帰国を希望する者も22%、あるいは進学を希望するものも26%おりますので、そこは留学生の特質の背景は御考慮いただけるといいのかと思います。
【川澤委員】   おっしゃるとおり、日本の離職率と比べてどうかという議論は少し乱暴だと思いますし、おっしゃるとおり、その事情というところをきちんとフォローして、ある意味、企業としても、短期的にきちんと活躍していただきたいというニーズとマッチしているようであれば、それはもうある意味日本企業でのキャリアをステップアップの一つとして考えていただくのは一つ重要だと思います、ですので、就職した後の状況をきちんとフォローして、それをある意味このインターンシップであるとか、その辺りのプログラムの中で反映していくというプロセスが非常に重要ではないかと感じました。取りあえず以上です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかに御質問はいかがでしょうか。
 亀井委員、お願いします。
【亀井委員】   御説明ありがとうございました。最初の段階に比べて、かなりいろいろ論点も整理をしていただいて、かつ非常にロジックモデルも分かりやすいものになっていて、それぞれ御担当いただいた方々の御努力にまず敬意を表します。ありがとうございました。
 その上でですけれども、今の川澤委員の御指摘ですが、私はむしろ逆だと思っていて、今の文科省さんの回答は、私は極めてうなずけるものだと思いますし、逆に言えば、留学生一人一人の意思はあるわけですし、今の国の状況にもあるんだと思うので、あまりそこ は、私は気にしなくていいんじゃないかと思います。むしろ、このプログラムがきちんと留学生にとって、あるいは企業にとって効果のあるものになっているのかどうかというところを、就職率一本で把握するというところは、むしろ危険かもしれないと思います。
 そういう意味で、より手前のアウトカムをしっかり見たほうがいいのかと。丁寧に、初期アウトカムがある意味、就職率になってしまっているんですけれども、その手前のところで例えば日本語教育はしっかりできたのかとか、あるいは、インターンは充実したものであったのかどうかとか、あるいは、キャリア教育として、そもそもキャリアデザインみたいなところを、本人が理解できたのかみたいなところは、これは客観性があるものとして観察することは可能だと思うんですね。
 こういったものがしっかりできた上で、結果として就職率が高いか低いかというのは、これはやや価値観も混じってくる問題ですし、文科省さんの努力に関わらず、世の中の景気だとかそういったことによって変動してくるところがあると思いますので、まずはしっかり15の大学、今、現時点においては15の大学で、そういったものがしっかり効果のある形で行われるかどうかということが、非常に大事になってくるんじゃないかと思います。これはコメントです。
 この上でぜひお伺いしたいんですけども、今日の論点の中でいうと、15の大学にいる学生さん、留学生さんはいいんだけど、問題は、日本中にもっと大学はあるわけですよね。そういう中で全国展開していきますという今、展望をお話しされて、この方向性については私もそれでよしと思うんですけれども、一方で、ではお伺いしたいんですが、今の15拠点をどのように選んでいるかというのが、今後の認定制度との整合性の中で極めて重要だと思うんですが、まず、ファクトファインディングとして、この15の大学を今どのようにして選んでいらっしゃるのか、この採択のプロセスについて共有いただけますか。
【説明者】   今、お尋ねの質問の点でございますが、その15の大学の選び方でございますけれども、これは、15のうち12大学が先行して、3大学が後続ということでございます。先行した12大学については、まず民間企業と大学関係者から成ります選考委員会と、プログラム委員会というものを設置しておりまして、この中で審査していると。書面審査、かつヒアリング審査も含めて行っておりまして、先行した12拠点について申し上げますと、27大学が全国で手が挙がる中で12大学、私立大学については、27大学のうち5大学で最終的には2大学という内数でございますけれども、そういった形で対応させていただいております。
 あと、後続した3大学についての考え方といいますか、あれでございますけれども、これにつきましては、特に留学生の就職傾向として人文系の職種への就職が多いということがある中で、技術開発や製造業へ就職する者の割合が低いという問題意識から、追加でAIであるとか、サイバーセキュリティ、あるいはロボティクスとか、この辺りの産業分野での人材ニーズが高い分野を対象として募集ということで、後続して3大学を、昨年度ですか、選定しているところでございます。
 あと、亀井委員から最近のコメントがございまして、就職率だけで、という部分でございますけれども、補足させていただきますと、一例でございますけれども、ビジネス日本語、これが3つの1つの核となっておりますけれども、これについて、選考されている15大学、N1、厳密に言うとビジネス日本語検定とは違います。日本語能力試験でございますけれども、これの合格率が、一般的にはこの45.2%という中、我々の選定しているプログラムの中の受験者については91%の合格率、N1というのはかなりレベル高いですから、そういった成果も現れております。以上でございます。
【亀井委員】   もうちょっと詳しく教えていただきたいんですけれども、これは学生からすると、毎年連続して行われるほうがいいですよねと。その年に当たっていないと不公平だと思うんだと思うんですが、一方で、より多くの機会を得るほうが、世の中全体には広がるという中でいうと、今の、もうちょっとその選択のところを教えていただきたい。審査委員会では、毎年連続としているのか、それとも、隔年ごとにそれは入れ替えているのか、ここら辺の傾向はいかがでしょうか。
【説明者】   年の連続性についてでございますけれども、最初の先行の大学については、29年度から5年間ということで、その時期を区切ってやっております。後続の3大学につきましては、3年間ということで、連続してやるという形をとって、毎年やっているものではございません。
【亀井委員】   それはプログラムの開発がしっかりされていくことが重要であるとまず見なしているという理解でよろしいですよね。一方で、ここから先、今後のことについてぜひ伺いたいんですけれども、その認定制度を考えていく中で、では、今15あるところのその具体的な知見をどういうふうに展開していくのかについて、先ほど冒頭の御説明も概略はあったんですけれども、もう一段詳しい形で御説明いただけますか。
【説明者】   承知しました。ありがとうございます。これはまさにモデル事業として考えておりまして、先ほどの選定のところでもう一つ追加で説明します。これは全国8ブロックに分けていまして、採択するときにもその全国8ブロックにできるだけ行き渡るようにということは考えさせていただいています。全国に広げるという意味では、まさに今回のこの事業の一つの反省点というか、課題が明らかになってきている、ボトルネックと言っていいと思うんですけど、ここが、中小企業、それから地方への定着だと思っています。
 この事業に取り組んでいる大学の中で、一つの反省点と具体的に挙げられるのは、留学生の大手企業志向、それから東京志向というものが総じてありまして、これは当然だと言えば当然だと思うんですけども、地方のことをよく御存じないというのもあるでしょうし、さっき川澤委員からもお話のあった、箔をつけたいという思いもきっとあると思うんです。そういうところにどうアプローチしていくかという難しさは、選考して、今回15拠点の中で非常に如実に現れてきているというのを、個別の大学とのやり取りの中から、これは明らかになっています。
 ただ一方で、地方の大学のグッドプラクティスというのもありまして、具体的に申し上げますと、例えば山形大学なんかは、企業の抵抗感を下げている、要は企業の抵抗感というのは、外国人材を雇用して、自分たちの社員として迎え入れることに対して、地方の中小企業というのは、なかなか慣れていない、扱いに慣れていないというところもありますので、そういうところが山形大学の取組なんかは企業の方から非常にそこを評価するポイントとして出ています。
 また、例えば群馬大学ですけれども、これは観光人材という意味では、極めて留学生は恐らく取っつきやすい業界だと思うんですけれども、観光人材という分野から留学生をうまく活用して地方に根づかせるという取組が出てきています。ですので、総じて言うと、見えてきている大きなポイントは、その大手志向、それから都会志向、ここをどういうふうにほぐしていくか、また、理解していただくかというところだと思うんです。
 それをさっき最初のほうで申し上げたような、認定制度の審査の基準の中に、そういう取組をグッドプラクティスとして、こちらも御紹介しながら、かつそういった各地域地域の中でどう根差すかをよく考えていただいているというところを、しっかりとその認定制度の中で、広げていきたいと考えております。ありがとうございます。
【亀井委員】   ありがとうございました。これまで文科省でモデル事業というと、なかなかあと広がらないという、ごめんなさい、今の御説明の方々の問題ではなくて、もう何年も長いお付き合いがあるものですから、そこはあって。やや、やりっ放しというところがあった中で、今のようなお話が出てきているというのは大変心強いことだと思いました。
 それから前後するんですけども、コメントしておくと、AIとか、そこら辺の機微技術に関わることは、多分、経済安全保障の問題も今後出てくる、これはもうお釈迦様に説法ですけれども、と思いますので、そこは逆によく考えていかないといけないところもあるのかと。国によってはという問題だと思いますけれども、価値観をともにするところは、それは問題ないと思うんですけども、そういうところは、ぜひ御配慮いただいてしっかり進めていただけたらいいんじゃないかと思いました。取りあえず以上です。ありがとうございました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、先ほどから手を挙げておられた石井委員、それから堀川委員、伊藤委員は、もうちょっとお待ちいただけますか。よろしいですか。石井委員、お願いいたします。
【石井委員】   ありがとうございました。今の亀井先生からの御質問及び御回答のところで大分すっきりはしたんですけれども、少しコメントになります。最初の御説明の中で、留学生の入口から出口と考えた時に、出口を意識している事業だというような御説明をいただきました。そのときの出口というのが、この今日の資料から見ると、日本に就職してもらうことというような形だったと思うんですけれども、私も、先ほど意識が多様化しているとか、なかなか難しいんだというお話もありましたけども、これが、先ほどの亀井先生に乗っかってしまうんですけれども、もうちょっとアウトプット、アウトカムのところですかね。国内に就職することだけじゃなくて、何か日本のファンになってもらうみたいな、少しこれはふわっとしてしまいますけれども、そういう形で、何を教えるんだと。
 そういう何を教えるんだというのを明確にしていかないと、結構今の、ここで今採択されている15大学以外でも、例えば日本語教育、先ほどN1という話がありましたけれども、恐らく今回採択されているような事業を受けられている留学生の方は、その授業を受けるために、かなり日本語の勉強とか他の専門学校とかされていて、イコールN1ではないと思うんですよ。なので、他大学、ほかのところとは何か違うような、それは国内に就職した率が高いんです、ではなくて、もう少し手前のところで測定をすることが、今回の入口から出口という表現があったんですけども、出口のところになるんじゃないかという気がしました。
 その中であえての質問ですけれども、先ほど15をどうやって選定しているんですかと。これモデル事業であるというお話もありましたけども、今回選ばれているところと選ばれていないところ、僕は民間の各大学、専門学校とかも、かなり留学生を意識した経営をされているところも多いと思っているんですね。何が一番違うのか、ふわっとした質問ですけれども、差別化というか、補助されているところの、どういうところが違うんだというところは、これが補助として認定されているということの裏側から、そうなるのかと思うんですけども、その辺りを少し教えていただければと思います。まとまりがなくなってしまって、ごめんなさい。よろしくお願いします。
【説明者】   ありがとうございます。何が違うんだという、最後の一番大事なポイントだと思いますけど、そこについて申し上げると、今回のこの事業においては、自治体、それから企業としっかりと連携をしてコンソーシアムを組んでやっていただくというところに大きなポイントがあると思っています。それが必須の要件になっておりますので。
 おっしゃるように、民間のいろいろな留学生を受け入れる団体なり、機関の方々は、それはそれで皆さん一生懸命やられて、教育もされていると思うんですけれども、そういった背景にある組織的な、地域を丸ごと飲み込んだようなネットワークをどこまでかちっとした形でやられているかに関しては、相当温度差があると思っています。
 そういう中でこの事業で、そういった自治体、それから企業を必ず最初の段階で、パートナーとして組み込んで、これは留学生の意識だけじゃなくて、受け入れる日本企業側の意識、体質も非常に大きなポイントになってまいりますので。これはイコール日本社会の外国人に対する許容性につながっていくと思うんですけれども、そういったものを、全体の中でつくり上げていく。これは一晩でできるようなものではございませんので、こういうのをしっかりと着実に根づかせていく、歩みを止めないのが大事だと思っています。
 その意味では、この事業の、ほかの民間がやられているところとの違いが何かと言われると、まさにそういうところかとお答えしてよろいしいのではないかと思います。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   いかがですか。よろしいですか。
【説明者】   補足させていただいてよろしいでしょうか。今、石井委員から御指摘がありました。この事業そのものではないかもしれませんけど、留学生政策全体の出口の部分のフォローが重要ではないかというお話もあったかと思うんですけれども、就職部分だけではなくて、帰国した、各国に戻られた学生について、例えば国費留学生であれば同窓会ネットワークの活性化、外務省とも連携して、途上国ばかりでなく先進国も含めて、日本の留学に来た方もその国で中枢として、政府あるいは学術界で活躍している方も多いので、つなぎ止めるといいますか、そういったネットワーク化も鋭意進めているところでございます。
  また、先ほど亀井委員からもございましたけど、成果の共有につきましては、先ほど佐藤リーダーから申し上げたものもそうですけれども、このプログラムの中でも選ばれているところの大学がスピーカーとなって、大学関係者に供しているという場も設けているところでございます。以上でございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   石井委員、よろしいですか。
【石井委員】   はい、大丈夫です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   では堀川委員、お願いいたします。
【堀川委員】   堀川です。2点取り上げます。
 まず、1点目ですけど、長期アウトカム指標の設定を見ると、全留学生30万人の50%、すなわち15万人を目標として設定しています。本件事業は、日本企業への就職をするスキルをアップする事業でございますので、当然、参加する人たちは、日本への就職を希望する方々ということが対象になります。つまり、先ほど冒頭で説明がありましたけれども、日本国内への就職を希望する留学生は30万人のうち約65%になっているということで、人数にすると19.5万人。すなわち、15万人の設定に対しての割合は、約77%になり、より本件事業に即したものとなると考えます。
 したがって、本件プログラムのもう一つに中期アウトカムのところに、プログラム参加者の国内就職率を計測した46.8%を中期アウトカム指標として設定した場合、この長期アウトカム指標77%と比較することができますので、その結果、それなりに乖離が開いている点が浮き彫りになります。
 したがって、拠点によってはより強力な事業の実施が必要になるなどの課題も明確になるのではないかというのが1点目です。まず1点目ですが、いかがでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。まさにこれは、ざっくりとしたこういった大きな目標を政府として掲げているわけですけれども、結局これを実現するに当たっては、最初の川澤委員の御指摘からもずっと皆様の御指摘ともつながるんですけれども、しっかりとした分析が必要だと思っています。
 今、堀川委員から御指摘のあったように、それぞれ実際に、実は就職を希望していない方もいる、それから進学を希望している方もいるというもろもろの中で、しっかりと最終的には数を定めていく必要があると思っています。
地域に、拠点によって努力する、この差というのが、求められるものが変わってくるのではないかというのはもうおっしゃるとおりでして、まさにこれを全国展開でしっかりと進めさせていただきたい。あくまでもこれはモデル事業ですので、この15を、全国2026年には50の拠点を認定するような形で進めていきたいと思っていまして、それぞれの個別のやり取りというのが当然今後、生じてきますので、丁寧な、我々もフォローアップをしながら、後押ししてまいりたいと思っています。
【堀川委員】   ありがとうございます。もう一点、続けさせていただきます。
認定制度導入に当たってですけれども、この認定制度は、予算の制約をほとんど受けないわけですね。補助金の場合はどうしても予算制約を受けますけれども、認定制度となると、その分、数的規模の拡大が非常に容易に行われる点、それはメリットでもあり、ある意味、デメリットといいますか、すなわちこの中の目標の中に、質の高い外国人材の国内定着とのバランスを図るということを目標に立てておられますので、数的規模に重点を置いてしまうと、そのかじ取りが非常に難しくなるだろう。
したがって、長期的アウトカム指標の設定は、目標をどこに置くのかが非常に重要になります。現実の実態を今よく調べていただけるということですので、それとあまり乖離しない設定を、認定制度を移行するに当たって、もうちょっと見直したほうがいいんじゃないかと考えます。そこは慎重に、現実に質も追えるような数的規模の目標値をお考えいただければというのが2点目です。以上です。
【説明者】   ありがとうございます。まさに数的目標に掲げたこの認定制度の数が、本当にその最終的なゴールかというと、それは全く違いまして、あくまでも認定されている数というのも手段ですよね。結局その先にある、認定されているような取組がちゃんと全国で理解され、そして広がっていって、それが質の高い留学生の定着、全国における定着につながっているというのが、最終的には必要なことだと思っています。
 ただ一方で、事業をやる我々の立場として、一定程度の展開する目標値というか、意気込みというのは一定程度示す必要があると思っていまして、その意味で2026年まで50拠点の認定制度をつくるということを申し上げていますけれども、50認定された枠だけできたのでよかったよかったで終わりということでは全くなくて、今まさに堀川委員が御指摘のように、その先にあるものを最終的にはしっかりと定めていきたいと思っています。
 ここは本当に正直に申し上げると、亀井委員からも御指摘のあった点ではあるんですけれども、結局そのアウトカム指標というものを、就職率だけで設定するのがいいのか、これはもう皆さんに共通した御意識だと思うんですけれども、そこに関しては我々も正直まだ悩んでいるところもありまして、最初に申し上げたようにボトルネックになっているところでは、例えば大企業志向ですとか、都会志向みたいなものをどういうふうに解消していくべきかというところがありますので、この先々の大学とのやり取り、それから企業とのやり取り、認定制度を展開していくに当たってのプロセスの中で、そういったところについて、本当は有効な指標みたいなものを考えられると、多分一番いいんだろうとは考えています。
 ただ、それが先ほどの離職率みたいな話でやるのがいいのか、それとも、その地方における就職率みたいなものを設けるのがいいのか、そこはまた、いただいた御意見等も踏まえながら、しっかりと議論してまいりたいと思います。どうもありがとうございます。
【堀川委員】   ありがとうございます。頑張ってください。よろしくお願いいたします。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   議論開始30分が過ぎましたので、外部有識者の先生方におかれましては、コメントシートへの記入を併せてお願いをいたします。記入が終わりましたら、メールにて事務局に御提出をお願いいたします。
 それでは伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】   伊藤です。よろしくお願いいたします。どうしてもこのモデル事業で論点が出ていると、成果の捉え方が中心になってしまうので、私もそっちの関係になってしまうんですが、これまでの話の中でも、文科省さんとしても、この成果の捉え方をどうするかというところを、問題意識をお持ちだというところを前提とした上でですが、多分、大学の中で留学生は多いけれど、その後の就職に結びついていないところあるかもしれないですし、留学生はそれほど多くないけれども、就職率が特に高い、多分これはもっともっと分析のしがい違いがあるのかと感じています。
 今、中間アウトカムで示されている、プログラム参加者が、ほかのプログラムに参加していない人間よりも就職率が高いというのは出ているけれども、この前から出ているように、これだけではないからこそ、具体的に15の認定されている大学の中でどう起きていて、例えばですけど、その地域の、都道府県のほかの大学との差異は何かというところまで見えてくると、この事業の効果がより明確になるのかと感じているんですが、オールジャパンだけじゃなくて、もう少し細分化したものがもし今あれば、教えていただきたいんですけど。
【説明者】   ありがとうございます。留学生数の大小と、就職パーセンテージの大小が、どう個別の大学の中でリンクしているかと、極めて非常に重要な御指摘をありがとうございます。そこを正直申し上げて、まだ分析していませんので、ぜひ、ここを考えてみたいと思います。固有の名前、大学の名前は出してもよろしいと思うんですけれども、公の事実ですので、例えば早稲田大学なんかは留学生数が極めて多い大学だと思います。留学生の多い早稲田大学で、どれぐらい日本国内に就職しているのかというのは、ぜひ個別に見ていきたいと思います。
 一方で、例えば秋田にある国際教養大学みたいなものは、一定程度留学生数が地方で、いると思うんですけれども、絶対数としては、小さくないんですけれども、常に来ているというような状況があって、それぞれの就職率がどうかというのが、ぜひ見ていきたいと思うんですけど、恐らくこれは、一定程度その大学の準備しているプログラムから影響されるのではないかと思っていまして、要は日本の大学の学位を取りに、学位留学しに来ているパターンが、恐らくもっとも日本に就職しやすい形態だと思うんですね。
ただ一方で、例えば今申し上げたような国際教養大学みたいな大学ですとか、ほかの大学でも、交流プログラムで回している。そうすると日本には来るんですが、来て1年か、1年半とかいるんだけれども、その後必ず自分の大学に帰っていくというパターンもあります。それがまたリピーターになって、日本の大学院なり、日本に就職しに戻ってきているという例も、実はかなり一定程度あると思うんですけれども、そういう教育プログラムの、各大学が準備しているプログラムによる影響等も加味して分析してみるというのが、実はかなり面白いんじゃないかと思って。面白いと言うと大変失礼ですけども、極めて我々がまだしっかりと見切れていない視点でしたので、そこはぜひ見てみたいと思っています。ありがとうございます。
【伊藤委員】   もう一点だけ、コメントになってしまいますが、私は、都道府県の事業評価の中で、これに関する仕事がありまして、去年これは大学の補助金になりますけど、コンソーシアムを組んで都道府県からすると、これは非常にありがたいという話を聞いたことがあるんです。そのときの都道府県としての成果は何かと、当然都道府県もコンソーシアムに参加する中で一般財源を出しますので、となったときには、どうしてもその県の就職率になっているという印象があって、ここが非常に難しいと思っているんです。
ある県に留学に来たから、そこで働かないと本当にこれはいけないのかというと、もしかしたら彼女はそうじゃないかもしれないですし、違うところで働いてもいいかもしれません。石井さんからお話があったように、働いていないかもしれないけど、何かあったときに、日本に関わってもらえる人がいればいいかもしれない。これは、都道府県レベルでは非常に悩ましいところだと思っていますので、今お話があったこの細分化した分析というのは非常に有効ではないかと。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   よろしいですか。予定の時間を過ぎています。まだコメントシートに記入をなされていない外部の先生方におかれましては、コメントシートへの記入をいただき、事務局への御提出をお願いいたします。コメントシートの取りまとめに若干のお時間をいただきます。その間も議論を引き続きしていただければと思います。いかがでしょうか。質問等はございますか。
【説明者】 1点補足をさせていただければと思いますが、先ほど堀川委員からの1点目の御指摘につきまして、7ページのロジックモデルのところに分かりやすくなっておりますので、御参照いただければと思います。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】   若干時間もあれなので、お話をしておくと。KPIを取りやすいものから考えないほうがいいと思います。あと数値化するところを無理に数値化すると、ゆがむので、結果として自分たちの首、あるいは自分の後任の首を締めることになるので、そういう意味では、もうお釈迦様に説法ですけれども、ありたい状態、僕は就職率というのはあくまでも一つの状態であって、私も留学生を何人も教えてきましたけれども、別に就職してくれなくてもいいんですよね。母国に帰っても。
 でも、彼らは日本は好きだし、何かのときに、実は、後で向こうの国の日本法人に勤めましたみたいなことも報告として聞く場合もあって、それはそれで、だから50%という、これは正しいのかどうかよく分からない実は目標になっていて、私はこのぐらいの案配で就職率についてはいいんだと思いますし、むしろ就職率ではない指標をしっかり短期の段階でも構築していくというほうが、私は就職率一本で勝負しない、あるいは離職率も私は含めて、それでも勝負しないというのが大事なことだと思いますし。
 例えばこれは皆さんの事業というよりは、むしろ関係するところの事業だと思いますけれども、日本企業がそういった多様な人材を受け止めることができるかどうかみたいなところも含めて、それをどういうふうに留学生が見ているかみたいなところも含めて、インターンをやってみたら差別されるからやめたというのも率直にいるんだと思うんですよね。
 そこら辺も含めて、より多角的に、皆さんが考えているありたい大学の姿、ありたい社会の姿、企業の姿というところを、より、もう一回、逆にこれはすごく私は大切な事業だと思いますので、考えていただいて再設計していただければ、そこを認定制度にしっかり反映していただくということを考えたらいいんじゃないかと。くれぐれも就職率一本で評価しないようにしなければいけないかと思います。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   川澤委員、お願いします。
【川澤委員】   今の生活指導の亀井先生のお話を含めて、私も先ほど離職率と申し上げて、その後、皆様方の御意見をお伺いして、確かに就職率、離職率だけではない、手前のアウトカムというのが必要だと感じました。ただ一方で、これは企業が参加している事業なので、企業にとってみれば、その就職、離職が低いというところも一つの参加のインセンティブになるのかと思います。
ですので、そこは一本にしないところが重要かと思っていまして、取らないということではなくて、手前のところも見つつも、全体として企業の参画を得るためにもそういうところを見ていく、その辺りが非常に重要だと改めて感じました。以上です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございます。ほかにございますか。堀川委員、お願いいたします。
【堀川委員】   お時間があるということで。少し事業から外れるかもしれませんが、資料の7ページ、先ほどおっしゃった、この留学生の進路希望の中に、35%の方は、明らか日本に就職を希望していない。これは複数回答ということですので、65%は、日本に興味がある方も含めて、チェックされていると了解しますが、逆にいうと、この35%は明らかに、日本へ就職は全く考えていないという意味合いの数値になると思います。
この方々の中には当然、国費留学で来られている方は当然戻らざるを得ないという方もいると思いますが、それ以外に、どこでも、どの国でも就職できるような方は、きっと逆にいうと、日本でなくても就職できるんだという能力をお持ちのケースの方が内在していると思うんです。そういう意味では、この事業とは離れますけれども、この35%の質の高い外国人材がきっとそこに内在しているんで、その人たちを積極的にプッシュするような、留学事業が次には求められるのではないかと考えるんです。これはもうコメントから離れるんですけれども、いかがお考えでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。まさに本当にそのとおりで、もう優秀な方々みんなに残っていただきたいですし、残らなくても日本と何らかの関係性を持って日本の国力向上というところ、日本が豊かな国として発展していくところに、ぜひ関係していただきたいと思っています。その意味で最初に申し上げたように、入口から出口まで、すごく大事だと思うんです。これは本当に出口にフォーカスした事業ですけれども、優秀な方をできるだけリクルートする。それだけでは駄目で、来てから居心地のいい日本をつくっていかなければいけない。それは居心地のいい大学だけではないんですね。
 我々は大学の国際化の事業をもろもろほかにも進めておりまして、できるだけ留学生に対して留学生サービスに一般的に言われることをしっかりやりましょうと、体質改善を図りましょうということでやっているわけですけど、結局これは、実は日本社会そのものがどう評価されるかというところになるんだと思います。
 ですので、我々のことを一つのきっかけとしながら、外国人材と共生するということがどういうことかというのを、全国で、それをしっかりと経験していただく。そこの問題点が何かというのを、今日は本当に様々な御指摘いただいて、本当にありがたいと思っていますけど、そういうものでもって、しっかりと分析して、それをまた反映させていくということを、これは本当に我々の使命だと思っておりますので、しっかりと考えさせていただきたいと思っています。ありがとうございます。
【堀川委員】   よろしくお願いいたします。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかにコメント等はございますか。伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】   多分、この留学生支援、またこういうコンソーシアムを組むというのは、私の知る限りでは、きっとこのモデル事業以外での都道府県独自でやられているケースもあると思っているんですが、これはさっきから出ている、成果内で見るとかあるんですけど、3年たって、ほかよりもここが強いんだという。一つは、先ほどから出ているように、プロセスの中でコンソーシアムを組むと、私は特徴的だと思っているんですけど、さらに3年たっているので、結果を見ていったときに、一つは先ほどから出ている中間アウトカムの中でのプログラム参加者の就職率はあると思っているんですけど、それがもう一歩あって初めて、このモデル事業が全国展開になるんだと言えるのかと思っていて、結果これちょっとどうなのみたいな話になってしまうんですけど、そこが3年たっての、先ほどありましたけど、エビデンスだけじゃなくて、エピソードベースでもいいと思っているんですよ。何かあったらぜひ教えていただきたいんですが、いかがでしょうか。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかに何かございますか。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】   もう完全に、ややつなぎのコメントモードに入るんですけれども。エピソードベースが駄目なのは、チェリーピッキングで、うまくいっていますという話だけじゃなくて、ただ、事業を理解させるときには、これは横展開のときに必要なのは、実はナラティブなアプローチなわけですよね。数字だけ幾ら共有しても、いや、それはどうやってうまくいったのか分からないというとき、ナラティブにきちんと伝えると、要はモデル事業の横展開というのが進むので、そういう意味では、何が逆に課題で、どう克服したかみたいな、今日の御説明にありましたけれども、課題を共有し、それを克服するという、ある種ナラティブなアプローチというのは、ぜひ、モデル事業を横展開するときには、むしろ積極的に。永田町に喜んでもらうための資料は別に考えていただければいいんですけど、公開プロセスでこんな話をしていいのか分かりませんけれども、ということじゃないかと思います。
 それからさっきコメントはしたんですけれども、一方で、かなり機微技術のところについては、実は日本人の人材がいなくなっていて、価値観を共有しない国から来ている人にそういうところを預けてしまっているという例も多々あるやに、いろいろと漏れ聞いています。これは横からの情報として。
 という中で、そういう中で、経済安全保障という枠組みの中で、我々は別にそんなつもりはないんだけれども、そういうものを持っていってしまう人たちがいる。共通して持ってしまう人がいるとか、元軍隊の経験がある人が実は大学院に来ているみたいな話というのは、これは全くない事実ではないわけでありまして、そういうところへの配慮というところを逆に、まさに、単に、「いいですよ、来てください」というよりは、ある種そういう意味での高いリテラシーを、大学自身が、あるいは企業社会自身が持てる必要になっていくというのが、私はこのプロジェクトの大きな主眼だと思うんですけれども、ここについてもし何かお考えがあれば、ぜひ共有いただけたらと思います。いかがでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。安全保障貿易管理は極めて重要な分野でして、昨今特に注目されていますけれども、私ども高等教育局としても、実はしっかりと対応させていただいています。基本的には外為法に基づく話になりますので、経済産業省が中心になっていますけど、これは実は、留学生の受入れという視点では、政府全体になっていまして、今まさに議論されているのが、まずは留学生の入口のところの審査、これは外務省ですとか入国在留管理庁になりますけれども、そういうところがしっかりやりましょう。それから入ってきた、受け入れる段階で、大学におけるスクリーニングもちゃんとしましょう、それから大学において機微技術を教えるということに関しての、大学の体制、それから内規、それからしっかりと管理していく、これも今、実は日々、大学の方々にも、我々も通知を出したり、コミュニケーションを取りながら進めているところです。
 さらに多分この分野に関しては、まさにおっしゃるように、より注意していかなければいけないということになりますが、ただ、我々として思っているのは、サイエンスというのは基本オープンなところがありますので、もちろん注意すべきとか、注意しつつですけれども、決して全部クローズしてしまうとかということのないように、むしろ安心して交流を行う、安心して外国人の高度人材を受け入れることができるように、そういうことを大学の中でしっかりと我々政府もお手伝いしながらということになりますけれども、体制をつくっていただくということを、今まさに進めているところですので、また、ぜひいろいろ御指導いただければと思います。ありがとうございます。
【亀井委員】   ありがとうございます。極めて重要なところです。一方で、これは経済安全保障とはまた違う話ですけれども、大学がある種の入国管理の裏窓口になっていて、非常に、他国から現代奴隷だみたいなことを言われてしまうようなことにもなっているところも、私の周りでは見たことはないですけれども、そういった話も漏れ聞くわけでありまして、そういったところも含めて、海外との関係で極めて大学は大事な存在だと思いますので、ぜひしっかり進めていただきたいと思います。コメント不要です。以上です。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございます。今、最終的にコメント集計中ですから、まだ少し時間がございます。
 水田委員、何かもしございましたら。
【水田委員】   お時間もかかるようですので。もう先生方のおっしゃっていた質問とかぶってしまうので遠慮していたんですけど。結局この論点の説明シートの取組効果というところですけど、ほかのコメントにもありましたとおり、このシートの中で、高度人材の確保と、あと質の高い人材の定着ということは言われていて、このプログラムができることは、それのための障壁を取り除く部分で、語学とか、あと日本の習慣とかに慣れてもらって、ポテンシャルのある人が残れるようにするのが目的だと思うんです。
 最終的な目標が高度人材になっているので、もう、これまでやり取りはかなりされたので申し訳ないですけど、高度人材が本当に確保できているのかをチェックしないでいいのか、何かその点でお考えになられていることがあれば、お話を伺えると大変助かります。
【説明者】   ありがとうございます。留学生30万人計画というものが大きな背景であるという御説明を申し上げていますけれども、まさに留学生30万人計画、2019年の段階で31.2万人を達成しました。これはこれで、今コロナで実は下がってしまって、これから頑張らないといけないんですけど。その量的なところを追ってきたわけですね。実際にどういうものがあるかというと、もちろん極めて優秀な方々、まさに高度人材と言っていい方々がたくさんいらっしゃると思うんですけれども、一方で、その在籍管理が一部ずさんなところが報道でなされて、過去にあったりしましたけれども、あるわけです。
 そういうことがあってはいけないということで、まさに関係省庁全体の中で検証作業を行いまして、量というのは一定程度もちろん大事だけれども、その量から質をこれから高めていくということをしっかりとやっていこうという話にまさになっています。
ですので、何をもって高度人材と言うかというのは、いろんな定義があっていいと思うんですけれども、例えば大学院レベルというのも高度でしょうし、ただ、アントレプレナーシップ的に日本で起業される方も、これも高度人材と言っていいと思いますけれども、ぜひしっかりと、先ほどの安全保障貿易管理といった点も含めて、トータルで我が国の豊かな発展にとって有用な人材を、大学という一つのフィルターを通って迎え入れていく、そういうことかと考えています。ありがとうございます。
【水田委員】   ありがとうございました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。
コメントシートの集計がまとまりました。取りまとめ役の川澤委員より、評価結果及び取りまとめコメントの案の御提示をお願いいたします。
【川澤委員】   それでは、評価結果を発表いたします。評価結果は、事業内容の一部改善が6票、全員事業内容の一部改善でございました。取りまとめコメントを述べさせていただきます。
 アウトカム指標について改善が必要である。就職率だけの把握では事業全体の改善を見誤る懸念があり、就職率以外の初期アウトカムを選定し、共有する必要がある。また、モデル事業だからこそ、採択大学と非採択大学との違いを明確化するなど、さらに分析を充実化し得る指標、分析方法の見直しが必要である。
 一方で、モデル事業から全国展開について、具体的な課題と認定制度の展開という方向性が見えてきたことは評価し得る。認定制度においてもアウトカムの見直しに加えて、丁寧な事後チェックの仕組みの構築が必要である。認定された拠点で実施された教育がどういう成果を生み出すのか、整理が必要である。また、数的規模の拡大に偏らない現状認識に立った目標設定にする必要がある。以上です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。
今の評価結果、それからコメント案に関しまして、先生方いかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは最終的には……。
【川澤委員】   大変失礼しました。まず主なコメントをお示しした上で、今のが取りまとめコメントを先にお伝えしてしまいましたので。よろしいでしょうか。申し訳ございません。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   分かりました。先生方、それでよろしゅうございますか。ありがとうございました。
【川澤委員】   皆様方のコメントを、はい。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。
 以上をもちまして、留学生就職促進プログラムの公開プロセスを終了させていただきます。ありがとうございました。
 次のデータ関連人材育成プログラムは、5分間休憩ということで、55分からスタートさせていただきます。よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、2コマ目を始めさせていただきます。これからの時間帯は、データ関連人材育成プログラムにつきまして、御議論をお願いしたいと思います。この時間の取りまとめ役も川澤良子委員に務めていただきます。よろしくお願いいたします。
 初めに、事業担当部局より事業概要の説明をさせていただきます。説明者は5分以内で、時間厳守、簡潔にお願いいたします。
 それでは、お願いします。
【説明者】   よろしくお願いします。それでは、行政事業レビューシート等に基づきまして、説明をさせていただきます。データ関連人材育成プログラムの担当者でございます。どうぞよろしくお願いします。
 では、レビューシートの冒頭、ページだと2ページになっているところを御覧ください。データ関連人材育成プログラム、冒頭にありますように平成29年度から開始している事業でございます。事業のポイントは、3つほど下、事業の目的のところにありますが、実はシンプルでして、データサイエンス等を活用し、アカデミア・産業界・教育分野を問わず活躍できるトップクラスのデータサイエンスに関するエキスパート人材を育成する研修プログラムを大学等において開発・実施してもらう。そのための事業に要する経費を補助するという事業でございます。
 事業規模は中ほどの予算額、執行額のところにありますように、例年、大体2億5,000万から3億円程度で推移しております。
 アウトカムにつきましては後ほど説明しますので、1ページおめくりいただきまして、3ページですが、直接的な本事業のアウトプットに関して申し上げますと、先ほど申しましたように、大学において、データサイエンスに関する研修プログラムを作ってもらうという事業ですので、その実際つくってもらったプログラムの受講者数と修了者数を挙げております。受講者数は、令和2年度で1,537名、修了者数は令和2年度で232名と、数字としては着実に進捗しているところでございます。
 レビューシート5ページ目には、実際に本事業を受託して採択されている大学が掲げられております。大阪大学、東京医科歯科大学、早稲田大学、電気通信大学、北海道大学等において取り組んでいただいているところでございます。
 最後、アウトカムに関してですが、資料、進んでいただきまして、恐らく7ページになりますが、ロジックモデル2と書かれている資料を御覧いただけたらと思います。ここが本事業のポイントでございまして、ロジックモデル2という7ページの資料でございますが、アウトプットは、先ほど申し上げたようにプログラム受講者数と修了者数で比較的シンプルでございます。
 問題は、この事業のアウトカムでございまして、これは先ほど申し上げたように、人材育成系のプログラムに、ある意味、共通しているところでございますが、当該プログラムの中長期的な効果というものを測定するのが簡単ではなくて、また、やや時間がかかるというところをどうクリアするかというのがポイントと考えています。
 これを踏まえまして、初期アウトカムと中期アウトカムにつきましては、それぞれ4つ設定しまして、また、これはそれぞれ初期アウトカムの1、2、3、4がそれぞれ中期アウトカムの1、2、3、4の前提条件として、それぞれ因果関係があるという形で設定しております。初期アウトカムとしては、まずとにかく実際にこのプログラムを通じてエキスパート人材を育成するということ。それから、そのプログラムが横展開も含めた効果をしっかりと持つかどうか。それから、右上ですが、このプログラムを修了した人間が実際に就職に至って、冒頭申し上げたような様々な分野で実際に活躍するというところに道筋がついているかどうか。
 また、このプログラムの開発に当たって、アカデミアと産業界がしっかり連携できているかというところをアウトカムとして設定しています。それぞれが発展した形で、中期アウトカムになっておりまして、人数に関しては、AI戦略2019で、2,000人のエキスパート人材育成という目標が掲げられておりますので、これを実際に到達するということ。それから、マル2番としては、実際にこの横展開等によって、どのように全国的な普及がなされているかというところを見る。そして、3番目は、プログラム修了者が実際に就職したときにおいて、就職先でどのような評価を得ているかというところを実際に見ていく。そして、一番重要な目標かもしれませんが、情報系分野における人材需給ギャップが解消されるというところを本プログラムの中長期的なアウトカムとして設定しているところでございます。
 早いかもしれませんが、以上でございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、私から、論点について、御説明をさせていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
 1点目として、出口戦略を含めた今後の取組という点。2点目として、開発されたプログラムによる博士人材等の育成。育成対象やプログラムの普及方法、成果、そういった点。3点目として、適切なアウトカム・アウトプット指標の設定という点。こういった点が論点になると考えます。
 それでは、質疑応答に入りますけれども、説明者は外部有識者からの御質問に対して、簡潔明瞭にお答え願います。それでは、外部有識者の皆様からの御質問をお願いいたしますが、コメントシートの記入も同時並行でお願いできたらと思います。それでは、いかがでしょうか。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】   これは既にエビデンスで見せていただいたとおり、圧倒的に人材が不足しているというのが、これはもう日本の弱みになっていて、大変な状況であるというのはよく分かるし、そういう意味で必要だというのは分かるんですけれども、取っかかりとして、博士課程から始めるというのは、私はいいんだと思うんですね。
 というのは、そういう意味では、極めてアカデミア的な、基礎的なところがきちんとある人に乗っけないと意味がないんだよというのは分かるんですけれども、一方で、圧倒的に人材が足りないところと、日本の博士課程の人は比較的アカデミア志向が強くてというところ。他国、例えば米国とかと。米国の場合は博士を経た人が企業とか実務社会に行くということは結構多いんですけども、そうじゃないことを踏まえると、むしろ実際の産業界のニーズからすると、もうちょっと対象が拡充したほうがいいのではないか。場合によったら予算が2億たかだかで、そもそもこの日本の一番の弱みのところを、それでいいのかというような問題意識を当然にして持つような気がするんですけれども、そういう中で、この規模で、かつ、博士に限定して、かつ、大学もかなり限定された状態で進めているというところの根拠について御説明いただけますか。
【説明者】   ありがとうございます。御指摘のとおりでございまして、まず、本事業に関して申し上げますと、エキスパート人材を育成するということで、対象を博士人材、それから博士号の取得を目指している博士課程学生に基本的に限定しまして、これを対象とした研修プログラムを開発してもらうというプロジェクトとして実施しております。それに応じて予算額もその規模に、あえて言うと、とどまっているというところでございます。
 一方で、当然、データサイエンスに関する人材不足が、そこの分野というか、そこの年齢層であったり、人材層にとどまっているわけではないというのは全くおっしゃるとおりでして、そこにどのように射程を広げていくかというのは、一つの大きなテーマとなっております。
 一つ、このデータ関連人材プログラム自身も、成果の一つとして、得られた成果をいかに高等学校教育段階に展開するかといったところも含めて議論してもらっている大学もありますし、そういった広げ方を一つ考えていく必要があると思っています。どうしても限られた財源の中で事業をやっておりますので、まずはスペシフィックな、限定的なところでやらせていただきたいということで、このデータ関連人材育成プログラムを、先ほど申し上げた博士人材等に限定した形でスタートはしておりますが、今後の展開の在り方については、別途議論が必要であるかとは考えております。何か補足があれば。
【説明者】   先ほど室長からもお話ありましたけども、今の国全体でデジタル人材の育成という大きな議論が進んでいるということは承知してございまして、我々もその議論を踏まえながら、今後どうしていくかということを、特に高等教育を所管している高等局が別途ございまして、我々は科学技術の政策を所管している、科学技術・学術政策局という立場で、この博士人材を対象とした事業をやってきておりましたけれども、今後どうしていくかということは、当然そういった国全体の議論を踏まえながら、他局とも御相談しながら、文科省全体として、あるいは国全体としてどうしていくかというのは別途、今回のまさに先生、皆様の御意見を踏まえながら検討していきたいと考えてございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   亀井委員、よろしいでしょうか。
【亀井委員】   今の件なんですけれども、もう少しこれは、国民に公開された会議なので、分かっている我々の中だけの話ではないので、ぜひ情報共有いただきたいんですけれども、皆さんの局は科学技術のほうだから、どちらかというと博士人材が中心になります。一方で、高等教育全体、大学以降を主管している高等教育局というのがあってというところで言うと、ここら辺の、データ人材に関するほかの事業というのはどんなものがあって、どういう役割分担になっているかという概略を御説明いただけますか。
【説明者】   補足する機会をいただきまして、ありがとうございます。私どもがお配りしている資料の11ページ目、右肩に参考資料3とございます「『AI戦略』実行に向けた人材育成の推進に関する主な取組」という資料を御覧いただければと思います。こちらは文科省全体で、デジタル人材の育成に関する事業をまとめたポンチ絵でございますけれども、この右下のオレンジ色の部分、こちらは三角形のオレンジ色の部分、初等中等教育を対象とした事業として、4つほど事業を記載してございます。また、緑色の部分、こちらは高等教育として、大学、大学院を対象とした事業を記載させていただいてございまして、一番上の青色の部分、こちらはエキスパート人材と称して、我々、データ関連人材育成プログラムということ。あるいはAIPプロジェクトということで、どちらかというと、研究者を育成するという取組も記載してございますけれども、省全体としては、こういった幾つかの事業が走っているという状況でございます。
 私が先ほど申し上げた高等局ともよく議論させていただいてというのは、まさに緑色の部分と青色の部分を、当時は、どちらかというと、我々は科学技術を所管しているので、かなりとがった、博士学生に対してもかなりとがった上の部分の博士学生をターゲットとして、この事業を設計してございましたけれども、かなりこの数年で、普通の大学においても、データに関する教育ということは、知見もたまっていらっしゃると思いますし、一方で、学生の方々も非常にモチベーションも上がってきているという状況があると考えてございますので、そういった点を踏まえて、この大きな三角形をどうしていくかというところを省全体としてきちんと議論していきたいという趣旨で申し上げました。
 以上でございます。
【亀井委員】   ありがとうございます。よく分かりました。その上でなんですけれども、では、この事業についてフォーカスしてお話をさせていただくと、今、率直に言って、逆に言うと、このぐらいの大学しかないのかなというような感じに見えなくもないんですけれども、実際に今、皆さんが募集されている中で、実際の応札というか、手を挙げている状況というのは、どんな状況なのかというところの指摘をいただけますか。
【説明者】   ありがとうございます。こちらの事業につきましては、実は新規の教育プログラムを開発するという大学を公募しておりましたのは、最後の公募が、平成31年、あと、令和元年度の公募で、令和2年度以降は、研修プログラムの開発という意味では、拠点は新規で、公募してございませんでした。その頃、公募する中で、我々が、例えば二、三拠点、取りたいなというときには数拠点、後半ぐらいで申請がございましたけれども、正直言って、10、20、手が挙がってくるという状況ではなかったので、これぐらいの規模に収まっているというのが事業担当としても正直なところかと思ってございます。
【亀井委員】   例えば、今、追加でやったら、これはどういう状況になるというふうに御担当としてお考えですか。というのは、状況がどんどん切迫しているんだと思うんですよね。という中で、逆に言うと、従来こういうふうにやってきました。これを拡充しない状態で、毎年同じ予算でいいのかというところについては、当然論点の一つになるし、さらに言えば、これは横に広がるのかというところが何となくまだ見えてこないというところが、非常に何か。議論は議論として省内でしていただければいいんですけども、具体的にこの事業としてどうしていくのかという絵姿が、今のところ、粛々とやっていきますというのはそれはそうなんでしょうけれども、何かそこからどうするんですかというのが、やや意図が見えないなと思っておりまして、ここを教えていただければと思います。
【説明者】   ありがとうございます。実態論としましては、先ほど別途説明がありましたように、公募に対して、大学からの応募が10倍、20倍のようなものになるという事業ではございませんでした。それはつまり、実際つくってもらうことになって、プログラムのレベルがかなり高いものを要求しているということもありまして、ある程度、それにしっかり応じることができる大学が限定的に手を挙げてきているというのが実態だと思います。よって、仮に、この令和3年度に新規に公募をかけたとしても、あまたの手が挙がるということではなくて、限られた応募になるんじゃないかというのが予測としてはございます。
 一方で、これは今、5年間やってきまして、5つ、6つの、非常に優れた、至福のようなデータ関連人材の育成に関するプログラムというのは現に存在しておりまして、令和3年度において、また別の大学にお願いして、新しいプログラムをつくってもらうというほうにエフォートを割くのか、既にできているプログラムの横展開の横展開のほうに力をかけるのかというところがあると思っていまして、基本的な考え方としては、今、後者のほうをやることによって、より高い費用対効果で、データ関連人材の育成につなげていければというのが基本的な戦略ではございますと考えております。何か補足あればお願いします。
【亀井委員】   取りあえず、ありがとうございました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、ほかにいかがでしょうか。川澤委員、お願いします。
【川澤委員】   今のお話で、プログラムのレベルがかなり高いものを要求されていらっしゃるということで、そうすると、今、既にできているものの横展開という戦略だったというお話だったんですけども、レベルが高いがゆえに、横展開できるんだろうかというところを少し懸念したんですが、その辺りはいかがでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。御指摘のとおりでございまして、その辺りはまさに、今、参画いただいている拠点の大学の経験談も聞きながら、どのようにすれば。一方で、レベルが高いプログラムが横展開されていくというのが政策的には一番望ましい姿だと思ってございます。
 なので、今、参画いただいている拠点の中でも、特に大阪大学におかれましては、全国ネットワークの拠点という役割も引き受けていただいて、まさにこの事業の中で蓄積されたノウハウを全国にどうやって広げていくかというところを一緒に考えていただくこともお願いしてございますので、例えば阪大のノウハウを、普通という言い方は非常によくないですけれども、まだこういうふうなプログラムを、実際にプログラムだけを渡されても、教える方がいらっしゃるかという点が非常に一番大きな問題になると思いますので、例えば、既に拠点に参画いただいている先生方が、ほかの大学の学生も教えられるような仕組みを考えていくだとか、そういったところがもし有効だということであれば、この事業、あるいは別の形で、文科省としてそういう取組を御支援するということもアイデアとしては、現時点で考えられるところでございますので、そういったところを今後の政策として我々は詰めていきたいなと考えています。
【川澤委員】   ありがとうございました。今の御指摘のとおり、全国ネットワーク、令和3年度からというところをいかに横展開として機能できるかというところだと思うんですが、今、コロナ禍でオンラインの授業も恐らく増えていると思いますので、そういったITのツールも生かして、教える側が少数であっても、多くの学生の方にプログラムを展開できる。もしくは、もう少し簡易版ということで、恐らく博士人材派遣で、高等学校の令和4年度からの授業も、そういうところもプログラムをかみ砕くというところを狙っているかと思いますので、その辺りとうまく有機的なつながりを持って、本当にこの事業が横展開できるというところが現実的になり得るというところをぜひしっかり見ていっていただければと思います。
 以上です。
【説明者】   ありがとうございます。1点だけ。御指摘のとおり、令和3年度以降の本事業の基本的なメインは、横展開をいかに実現していくかというところが鍵になると思っています。既に5つ、6つのプログラムができておりますが、実際に受講者数に比して修了者数が異常に少なかったり、難易度も完全に同一ではないと見ておりまして、それらがどういう形でやれば、より多くの、受講者というよりは修了者の実現に結びつくのかといったところも含めて、しっかり分析して、それを踏まえて、横展開に力を入れていく必要があると思っております。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   よろしいでしょうか。それでは、先ほど手を挙げておられた堀川委員、お願いいたします。
【堀川委員】   ありがとうございます。今まさに委員がおっしゃった横展開ということなんですけれども、情報系の学科の研究者については、ある意味、エキスパートになるというのは、専門を生かした道筋の一つだと考えられます。そういう意味では、通常の大学教育の一環の範囲内に収まってしまうという見方もできることから、情報系だけにとどまると、本件補助金をただ上乗せしただけなってしまいかねないので、他の学部、学科の研究者をどれだけ取り込むことができるのかというのがポイントになる事業だと考えます。
 したがって、指標の中に、そういう他の学部、学科の研究者、博士号取得者等の状況を示す内数なり、指標なり、そういう設定をする必要があると考えるんですね。それを基に拠点ごとの事業進捗をしっかり管理していくことが重要だと考えるんですが、まずいかがでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。御指摘のとおりだと考えております。せっかく御質問が出ましたので、まずデータ的なところを御御紹介しますと、例えばこれは採択大学に、典型的には東京医科歯科大学がございますけれども、御案内のように、東京医科歯科大学自身は決して情報系に特化した大学ではなくて、情報とは、ある意味、距離のある研究科の学生が情報についてもアドホックに学ぶという形で、このプログラムが位置づけられております。
 ざっくりとした令和2年度の各大学の受講状況を調べてもらったんですが、令和2年度の各大学の受講者数、大体300名のうち、情報系の研究科出身の受講生が50人ぐらい、情報系以外のところからの受講者が250人ぐらいとなっておりまして、まさに御指摘の情報以外のところにこの情報というものの知識を広げていくというところは、形としては成立していると思っております。
 ただ、問題は、当然それが実際にどのような個々人の力量のアップに結びつき、それが就職先でどのような評価に結びついているのかというところまでは、まだデータを完全に取り切れていない状況でございまして、ただ、この点が、プログラムの正否の最も重要なポイントになるというところは、認識を全く同じにしているところでございます。
 何か補足あればお願いします。
【説明者】   補足をさせていただきます。この事業は内部で評価もしておるんですけども、そういった評価の中でも、学部の先生方だけではなくて、全学的なセンターを立ち上げていただいたり、あとは、大阪大学では社団法人みたいなものをつくっていただいて、そこが中心になって活動していただいたりみたいな、条件にとどまらないような取組をやっている部分については、大いに評価委員からも高く評価をいただいているところでございます。
 まさにそういった全国的に展開していく中で、学部に閉じた取組にしてしまうと、どうしても他学部の学生さんが取りにくいとかそういったところもあると思いますので、このデータに関する内容も多分、分離問わず、博士学生レベルであれば、恐らく基本的な素養として身につけるべきものであるという潮流があると思いますので、そういったように、まさに他学部の方々にきちんと使えるレベルまで、データに関する知見を、誰でも学ぼうと思えば、いつでも学べるという取組を全学的にやっていただけるという取組を横展開していきたいなというふうに思ってございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   堀川委員、よろしいですか。
【堀川委員】   そういう指標を見える化していただきたいというのが意見ですので、よろしくお願いします。
 あと2点ほど、先ほど亀井委員からもおっしゃった高等教育局との連携ということなんですが、各大学で懸案となっている若手研究者のポストという意味では、このマッチングすることで、エキスパート人材と、ある意味、解決への一つの糸口になるんだろうなと。そういう意味では、高等教育としてもありがたい事業になるんだろうなというふうには考えていますが、いかがでしょう。
【説明者】   ありがとうございます。非常に示唆に富む御指摘だと思います。どうしても、突き詰めると、大学の人事政策に関わってきますので、仕組みの仕方が難しいところがありますが、それこそ高等教育局の施策に限らず、うちの局の事業でも、何らかの形で大学の人的組織の強化に資するプログラムというのは幾つかありまして、その中にこのデータサイエンス関連の知見を有している人材を入れることの重要性というファクターを織り込むということは、技術的には可能でして、それをどこまできつくやるかというのはもちろんあるんですけども、考え方として非常に面白いと個人的に思います。ぜひそこは参考にさせていただきたいと思います。
【堀川委員】   最後に1点だけ、先ほどおっしゃいました全学を挙げて、データサイエンスのスキルアップするということは、大学におけるデータをさらになお一層使うということだと思います。さらに、社会にもそういうスキルの人材を輩出するということは社会の膨大なデータも活用する。さらに、多くの研究者の方々の要望にあるように、行政側には良質なデータが大いにある、存在することから、新たな人材活用への展開も見込まれると考え、すなわち、行政が自ら率先して、エキスパート人材の活用を進めることで、ある意味、逆に大学、産業界のポストの新設も促すことができるのではないかと。
 今言いましたように、文部科学省自体が懸案としている若手研究者のポストの獲得にも、懸案となっていますからね。ぜひ文部科学省が先陣を切っていただければと考えるんですが、いかがでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。さらにハードルが高い宿題ではあるんですが、全くおっしゃるとおりだと思います。まず隗より始めよではないんですが、文部科学省という役所自身がデータサイエンスに関してどのような考え方を持っているのかというところが出発点としては当然ありますし、そこが出てこないと、こちらのやっていることに説得力がないという厳しい御指摘は、一個人としてはおっしゃるとおりだと思っています。
 一方で、どのくらい、すぐ文科省のほうでそこのハンドルが切れるかというところはございますが、そこは担当部署とも相談をしたいとは思います。
 ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   よろしいでしょうか。
【堀川委員】   以上です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   はい。ほかにいかがでしょうか。
 伊藤委員、手が挙がっておられますね。お願いします。
【伊藤委員】   最初に亀井さんからのお話があったんですが、この育成した後の出口戦略という言葉も出ていますが、育成してどうするかの中で、事業の中では、インパクトの中で、社会の多様な場で活躍するというのが一つインパクトになっている。もう少しこれをブレークダウンすると、産業界だけじゃなくて、アカデミックを含めて、それぞれの場でこのデジタル人材が活躍する。それはそういう考え方でよろしいでしょうか。
【説明者】   おっしゃるとおりです。まずこのプログラム自身としては、アカデミアも含めて、いろんなジャンルにデータ関連の人材に関する知見と技術を持った人間が入っていくということを一つの目標としております。一方で、博士人材のアカデミア以外のキャリアパスの整備というのも、別の政策目標として、別個の事業とはまた別にあったりするのでややこしいんですけれども、このプログラムに関しては、アカデミアも含めてどのように幅広い人材が活躍するかということを考えております。
【伊藤委員】   ありがとうございます。2つあって、1つは、まさに産業界だけで考えたときには、これは経産省の中でも、もちろん事業の名前は違いますけど、AIを活用して、人材育成をやっている中で、これはどちらかというと、事業の対象は企業を向いたものになっていると思うんですね。そこがもちろん対象は、ターゲットは違うけれども、目指すところに行けてくるというところはあると思いますので、私が気になっているのは、エキスパート人材という言葉を使っているのは、今回、調べている中でも多分、文科省が使っている言葉なのかなと思っていまして、なかなかこれは。何となくイメージは分かるんですけど、言葉の定義として、それぞれの省庁、AI人材という言葉を使っていたりとか、多分、何となく同じようなことなのかなと思っていたら、そこは政府として、今、こういう人材が不足をしているから必要なんだというところを指摘する必要があるかなと思いました。これは1点目です。
 もう一つが、産業界もしくはアカデミックというところ、これは21年度からスタートしている事業で、そういうふうに考えておられると思うんですが、もしこの一、二年でフェーズが大分変わってきているところがあって、これはデジタル庁がこの後つくられる中での一つの柱は、同時に内部にもデータサイエンスに長けた人材をしっかりと育成していく、つくっていくというところがそこはあったかなと思っているんですが。もちろんまずこれは人材育成するところが大切だから、その先というのは、このフェーズで言うと次なんだという考え方なのかもしれないですけど、どちらかいうと、エキスパート人材をつくったら終わりというよりも、つくってどうするかというところを今のうちから考えておくことが大切かなという視点で今、気にしているんですが、その点はいかがなんでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。まず幾つかの省庁で、究極的な目標としては、同じ方向を向いているスタックがある中で、言葉の使い方ですね。ここが混乱を招きかねないという点は、おっしゃるとおり注意していく必要があると思っていまして、このエキスパート人材という言葉は、AI戦略2019で使われている表現ではありますね。政府目標であるAI戦略2019で、エキスパート人材という言葉が掲げられておりました。その一部を担う施策として、本データ関連人材育成プログラムを位置づけてはおりますが、それぞれの関係。それは同じようにこの目標に基づいて、他省庁がやっている事業との関係性というのがクリアに分かる形じゃないと、コンフュージングであるという点はおっしゃるとおりだと思いますので。ここは引き続き注意しながら、関係省庁とも密にコミュニケーションを取りながらやっていく必要があると思っております。
 それと同じというか、関連で、今般、このようにデジタル庁という動きもあります中で、そこに向けた人材育成というのが重要であるということは論を待たないところでありまして、この本事業とデジタル庁の人材育成が直結するかどうかは時間的な問題もあり、難しいかもしれませんが、ただ、一つ前の御指摘でもありましたように、霞が関のデータ関連人材の重要性。それははっきり申し上げれば、デジタル庁以外に勤務している人間のデータに関するリテラシーというのは決定的にポイントになってきますので、その点はよくこの事業を実施する上で意識していく必要があると思っております。
 何か補足があればお願いします。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   伊藤委員、よろしいですか。はい。
 議論開始が30分過ぎました。外部有識者の先生方におかれましては、コメントシートの記入を併せてお願いいたします。記入が終わりましたら、メールにて事務局に御提出をお願いいたします。それでは、先ほど来、手を挙げておられる水田委員、その後、石井委員、お願いいたします。水田委員、どうぞ。
【水田委員】   ありがとうございます。御説明ありがとうございました。実は先ほど伊藤委員がおっしゃったことと重なってしまうところがあって、申し訳ありません。最初に亀井委員の方から、ドクター人材だけだと人材の不足を補い切れないというお話があって、範囲を広げるというお話が少し出ていたと思うんですけど、もしドクターの人材に絞って考えるのであれば、伊藤委員がおっしゃったように、データを高度に使える研究者を育てるということが出てくると思うんですね。
 ただ、この事業については、企業とコンソーシアムを組んでいるというところが難しいところですけど、ただ、将来的に企業の研究開発に役立つような基礎研究を、データを高度に扱えるような研究者を大学の中で育てて、そこと共同研究することによって企業にも役立つというような道筋を描くこともできるような気がするんですね。
 何が申し上げたかったかというと、論点シートから言うと、博士人材の育成ということで対象を絞るということで、もしこのまま対象を変えないのであれば、アウトカムとして、アカデミアで、どの程度のアウトカムが出るのかということも産業界と合わせて図るような形にしておいたほうがよろしいのかなと思ったんですが、その辺、何か御議論のあったことありますか。
【説明者】   ありがとうございます。御指摘の点は、まず状況としては、アカデミアを含めて、民間を含めた多様なキャリアパスでというふうにはっきりと広めの網をかけてアウトプットを設定しておりました。ただ、御指摘のように、これが博士人材である以上、それはすなわち、一定程度、アカデミアを目指す人間が確実に存在する層に対するプログラムである以上、その中で、特にアカデミアにおけるアウトカム、アウトプットの在り方というのを見るべきではないかという御指摘は重要な御指摘でして、今、設定している、アカデミアも含めた民間等における活躍の状況という中を、言うならば、さらに細分化することによって、もう一つアカデミアに特化したアウトカムを設定することは技術的には可能と考えておりましては、この点は検討させていただきたいと思います。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   よろしいですか。水田委員。
【水田委員】   ありがとうございました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、石井委員、お願いいたします。
【石井委員】   議論の中でもあったかなと思うんですが、もう一回、原点回帰というか、この事業に戻ってきて、この事業は、今、どちらかというと、モデル事業というか、モデルプログラムというか、そういう理解をしました。選定されたプログラムが今後、全国に広がっていくことが一つ目的というか。その中で、先ほど新たにやっていくか、既につくられたプログラムを広げていくかというところで、後者の戦略というお話があったと思うんですけれども、減じて新規採択というものは考えて、まあ、状況によるとは思うんですけど、考えていないんでしょうかという質問が1つ目です。
 2つ目の質問が、いただいている資料の中で、参考資料マル1ということで、選定機関一覧というものがついていて、各大学ですかね。評価されている。中間評価をされていると。恐らく外部からかなと思うんですけれども、どこも非常に頑張って、高い評価を得ているというところなんですが、これは初期の計画と同等の取組というと、これはその中で何をもってというか、つまり、展開していくようなことまで意識してというのではまだないということか。何か、みんないい評価で、採択されたプログラムはみんなうまくいっていますで終わる話じゃないと思っていますので、その先を、先ほど新規の話を含めて、この採択されたものが、どこも高い評価を得ているんですけれども、このまま横には展開できませんみたいな話も先ほどあったところだと思うんですが、その辺の評価と今後の展開のつながりみたいなところを少し教えてもらえればと思います。
 以上です。
【説明者】   ありがとうございます。まず前段部分につきまして、新規募集につきましては、結論としては、この事業、データ関連人材育成プログラムという事業としての新規募集は、もう平成29年度からやっている事業ということもありまして、難しいかなとは考えております。
 ただ、一方で、この事業によるレガシーというか、非常に豊富なものがありまして、これをいかに発展させていくかという、つまり、発展的な次の事業に受け継ぐということは、選択肢としては検討されてしかるべきと考えておりまして、そういう意味での、今後の展開の在り方というのは、この事業の新規募集を行うかどうかという論点とは別に考えていく必要があると思っております。
 評価に関して、補足をお願いします。
【説明者】   御指摘いただいた評価につきましては、御指摘のとおり、外部の先生に委員をお願いしまして、その委員会で、各拠点の取組を評価いただいているというものでございますが、その評価の観点というのは、当然その公募して採択をするときに、各大学でこういうふうな計画でやりますよという申請書を最初出していただいていますので、申請書どおりに、まずは進んでいるかという観点を評価いただいております。
 そういう意味で、評価の中で、初期の計画と同等の計画が進んでいると評価いただいているのは、大学が最初に出してきていただいた申請書どおりに、きちんと進んでいますねということを第三者の観点からチェックいただいているというものでございます。
 また、その申請の段階では、そちらの参考資料1にありますとおり、まだ各プログラムをつくるということを主目的とした計画について中間評価しておりますので、御指摘のとおり、まだ広く展開していくというところを当初から盛り込んでいる大学については、これからまさに評価をやっていただく。
 その資料で申し上げますと、ある元年度に採択した全国ネットワークの大阪大学の中間評価がまさに今年予定されてございますので、大阪大学のネットワークの取組について、今年、中間評価をいただいて、その中でそういうふうな外部の先生方からも、どういうふうにしたらもっと広がるかという観点のコメントもいただきながら、今後の取組の仕方について考えていきたいなと思っているところでございます。
 以上でございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  石井委員、よろしいですか。
【石井委員】  分かりました。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  予定の時間がそろそろ参っております。まだコメントシートへの御記入をなされていない委員におかれましては、御記入いただいて、事務局に御提出をお願いいたします。
 その取りまとめにまだしばらくお時間をいただきます。その間、もし何かコメント等、御意見ございましたら、引き続き御議論いただけたらと思います。いかがでしょうか。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】   そこは残念だなと。率直に申し上げると、残念だなと思うのが、今の石井先生の話につながるんですけれども、今後の評価は別に専門家がどうこう言う前に、行政の担当者である皆さんが今後どうしていきたいというところは、もうちょっと今日の議論でも出てきてもいいんじゃないかなという気が率直に思います。そうでないと、そもそもこれは、先ほどの事業もそうなんですが、モデル事業というのは、あくまでモデル事業であって、最初は行政がお金を出して、最初の種火はつくりますよねと。だけど、この種火を全体に広げていくところまで含めてモデル事業なんだと思うんですよね。それを立ち上げたのは、皆さん自身じゃなくて、先輩方なんだと。先輩方というか、前任の方々なんだと思うんですけれども、そういったものを今、引き継いだときに、じゃあ、どういうふうにその種火を大きくするのかというところが今まさに御担当されている皆さんの、企画されるのが役割であってそこをもう少しこの場でも共有いただけるといいんじゃないかなと思うんですが、ここはいかがでしょうかね。
【説明者】   ありがとうございます。御指摘のとおりでございまして、この事業で培われたノウハウであったり、実際のプログラムの現物であったりを、採択された以外の大学に含めて横展開していくという、大きな宿題を我々が今、負っているというところは、認識としてはございます。
 それをこのデータ関連人材育成プログラムとしてやるのか。発展的な次のバージョンの別事業としてやるのかという論点はあるとは思いますが、これがここで終わってしまっては、ある意味、何の意味もないので、このプログラムで開発されたプログラムの横展開をどうやっていくかというところは、大きな政策課題として、依然として我々の目の前に存在しているというところはしっかりと認識しております。
 それが、横展開というのは、ほかの学年層であったり、他の分野であったり、あるいは我々官公庁の中への横展開というのも含めて、論点としてはあると思っておりまして、この点はしっかりと、こういう政策課題が明らかにあるということを大前提とした上で、令和3年度以降の取組を進めていきたいと考えております。ありがとうございます。
【亀井委員】   ごめんなさい。そういう回答を求めているのではなくて、何か手触り感があるんじゃないですかという話だと思っていて。今のような、何というか、模範解答は別に全く必要なくて、それはすみません。こういうのもあります、こういうのもあります、こういうのもありますというのは、お題としては、今は、問いをまさに羅列されただけであって、むしろどういう方向に進むのかというのも含めて、モデル事業なんだと思うんですが、そうしなかったら、つまり、中期アウトカムも長期アウトカムも書けないし、単に書いているだけということで、何の意味もないことになってしまうので、そこは申し訳ないんだけれども、中期アウトカム、長期アウトカムを書くということは、そういったところまで具体的な戦略を織り込んでいるんだということを念頭に置いて書いていただきたいなというふうに思います。
 これはコメントなければ別に結構ですし、コメントとして以上です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   よろしいですか。ほかに何かございますか。
 水田委員、お願いいたします。
【水田委員】   あんまり本質的なことではないんですけど、事業レビューシートで、気になっていたことがあって、これはもしかしたら以前に確認しているかもしれないんですが、受講者数と修了者数を出していただいていますよね。これは単純に修了者数を受講者数で割ると、修了率というか、無事最後まできちんとプログラムを終えた人の率になると思うんですけど、かなり低いですよね。これはそういうふうに解釈してよろしいんですか。それとも何か数字の読み方として違う読み方をしなきゃいけないんでしょうか。
【説明者】   ありがとうございます。結論としては、御指摘のとおりでございまして、実際に、これは各大学で走らせていただいたプログラムの修了率は決して高くない状況であります。大学によっては、決めて低い。たしか資料の中にもあった。お待ちください。資料で言うと9ページですかね。令和2年度のプログラム受講修了実績というのを出しておりますが、大学によっては受講者数が87名ですが、修了に至ったのは1名といった極端なものも存在しております。これは修了者の割合が低い要因については、各大学からヒアリングを行っておりまして、受講登録はするんだけれども、プログラムのレベルの高さから修了には至らなかった学生がいたりと、もろもろの理由により、修了者が、受講者数がそのまま修了者数になるプログラムとなっていない状況でございますが、そのまま放置していても、プログラムの使い勝手に支障がありますので、こういった要因分析も踏まえながら、いかに多くの人間が受講して、かつ、無理なく修了できるプログラムというふうにバージョンアップしていくかというところは、取り組むべき課題としてあると認識しております。
 何か補足はないでしょうか。大丈夫ですか。はい。
【水田委員】   ありがとうございます。いろんな要因はあると思いますけど、もし、レベルの問題であれば、今回の目的というのはかなり高い目的を掲げているので、あんまり取りやすいプログラムを用意するというのは逆行するかという感じもいたします。その辺りは御検討ください。どうもありがとうございました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、ほかに何かございましたら。時間がもうしばらくございますので。
 伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】   先ほどお示しいただいた11ページのピラミッドの図があったかと思うんですけど、どうしても私は、他省庁との関係が気になってしまって、多分このピラミッドは文科省としての聖域だと思うんですけど、本来は政府全体として入ってくる必要があるのかなと。先ほど申し上げた経産省だけじゃなくて、特にこのデータ人材というのは、医療系のところでもともと言われていた。たしか文科省でも厚労省とやっていますけど、厚労省の中でもやっていると思いますし、内閣官房の中でもデータ人材の事業をやっているなと思うので、そのほうから考えると、もしかしたら、このピラミッドの統計の仕方が変わってくるところはあるんじゃないかなと。これだけ出て、エキスパート人材が解決されるということではなくて、政府としてつくっていくんだと。
 何を申し上げるかというと、先ほど来、出ているこの横展開を考えたときに、この事業だけで横展開するかしないかだけじゃなくて、他の省庁でやっている事業の中でも、多分うまくいった例、うまくいかない例が出てくると思うので、それも共有する仕組みが必要なのかなと感じました。
 もし御意見があればお願いします。
【説明者】   ありがとうございました。非常に重要な御指摘をいただいたと思います。どうしても我々は、文科省ですので、文科省の中の政策の整合性だけを説明しようとしてしまって、この参考資料3のような資料を作りがちなんですが、おっしゃるように、特にデータ関連人材育成に関して、他省庁も関連する取組というのは間違いなくやっておりますし、それらのグッドプラクティスかどうかといった点も含めて、より俯瞰的なところから見た施策の地図というのは別途必要になってくるというのは御指摘のとおりでございます。この点は重要な御指摘いただきましたので、他省庁の取組状況の情報収集なども並行して行いまして、それを踏まえた上で本事業の位置づけというのを再構築するように検討し直したいと思います。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかにございますか。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】   今の話なんですけれども、一方で、僕は、この図は、文科省として完結しているのかどうかすら分からないなと思っていて、つまり、文科省としてだけですよ。何が漏れていて、どこがカバーできていて、どこに重点的にやっているのかという全体像から見た図になっていないんですよね。つまり、よくMECEでない状態になっていて、まず文科省としては、そこはしっかりやっていただくことは、僕は必要なんだろうなと。
 その上で、伊藤さんの御指摘があったようなところの部分というのは、もちろんこれは忘れちゃいけないことなんだけれども、いかにもこの図を見ると何かMECEであるように見えるんだけれども、実はこれはパワーポイントにだまされていて、あるいはポンチ絵にだまされていて、MECEでも何でもないわけですよ。
 一方で、今、伊藤さんから御指摘あったようなところで、どういう分野により重要なのかというところはあるはずで、文科省らしさが出る部分というのは例えばあるんだと思うんですよね。それは初等教育であったり、これは話が全然別になるからあまり余計なことはしませんけれども、そういうところが何か申し訳ないけども、こういうポンチ絵が出てくる辺りが、正直、大丈夫かと思ってしまうところで、やや厳しい言い方をして申し訳ないけれども、そこはまず文科省としてきちんとやる。それから、他省庁ときちんと共有するという中で、それぞれの役割分担というものがなされていくことが、こういう大きなテーマについてはとても重要なんじゃないかと思いました。
 伊藤さんのおっしゃることもとても大事なんだけれども、まず、この紙が紙として、実は成立していないというところが、一番のまず大きな問題だと僕は思います。
【説明者】   ありがとうございます。御指摘のとおりでして、2つあるということだと思います。一つの役所としての施策の整合性、完結性と、他省庁まで含めたときに見た施策の位置づけと、この両方が見えてこなければ駄目で、この参考資料3がそのいずれの意味においても不十分であるという御指摘だと受け止めましたので、この点は、資料の作り方も含めて、再検討したいと思います。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   いかがですか。間もなく最終的なコメントをまとめていただければと。よろしいですか。
 それでは、コメントシートの集計がまとまりましたので、取りまとめ役の川澤委員より、評価結果及び取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【川澤委員】   では、評価結果を発表いたします。評価結果は、事業内容の一部改善が6票。ただし、お一方からは、抜本的改善に限りなく近い一部改善というコメントがございました。評価結果としては、一部改善。ただし、限りなく抜本的改善に近いという意見もございましたというのが全体の結果です。
 主なコメントをお伝えいたしますと、人材育成の先をこれまで以上に見据えた事業設計が必要である。これまでの事業については、一定の成果を見ることができるが、事業の成果を踏まえた今後の拡大に向けた具体的な戦略ストーリーがいま一つ見えてこない。戦略の再構築が急務である。モデル事業である次の段階に進んでいることは評価できるが、横に展開していくことが、中期アウトカムに記載されるというか、そこに向けての課題が曖昧である。そういった横展開に関わるコメントがございました。
 また、アウトカムにつきましても、長期アウトカムの具体化、人材育成をした上でどのように活躍するのかなど、他の学部、学科の研究者の取組状況を示す指標の設定をする。これにより各拠点の進捗管理をより正確に把握し、改善点があれば、適切な指示を出す。対象者から考えてアカデミズムにおける波及効果がアウトカムやインパクトとして自己検証されることが望ましいように思われる。こういったコメントがございました。
 それでは、取りまとめコメントについて申し上げます。事業成果を踏まえた今後の拡大、横展開に向けた具体的な戦略ストーリーが見えない。これまで以上に先を見据えた事業設計が必要である。本事業の今後に向けて、これまでの実態把握を踏まえた横展開の戦略の再構築、これまでの取組のさらなる工夫が急務である。また、現状の指標については、改善の必要がある。例えば、ほかの学部、学科の研究者の取組状況を示す指標や人材育成をした上でどう活躍してもらうか。アカデミズムにおける波及効果など、見直しが必要である。
 以上です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、今の取りまとめ案に関しまして、御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、読み上げていただいたとおりの案で確定させたいと思います。
 ありがとうございました。以上をもちまして、データ関連人材育成プログラムの公開プロセスについては終了させていただきます。
 次の世界トップレベル研究拠点プログラムにつきましては、休憩の後、15時55分開始ということで、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
( 休憩 )
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、今日の3コマ目を始めさせていただきます。これからの時間帯は、世界トップレベル研究拠点プログラムについて御議論をお願いしたいと存じます。
 なお、このコマにつきましては、藤井比早之行政改革担当副大臣と三谷英弘文部科学大臣政務官に御参加をいただいております。御紹介をいたします。
 まず、藤井副大臣、一言御挨拶をお願いできますか。
【藤井内閣府副大臣】   皆さん、こんにちは。内閣府副大臣……。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   藤井大臣、いかがですか。もしあれでしたら、映像でなくて、音声だけでも御挨拶いただけたらと思います。いかがでしょうか、藤井副大臣。
【藤井内閣府副大臣】   今、音声聞こえておりますか。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   聞こえております。
【藤井内閣府副大臣】   聞こえなかったみたいなので、映像なしで、音声だけでお願いしたいと思います。
 今日は、世界トップレベル研究拠点プログラムということで、ぜひ有意義な議論をしていただければと思います。当然それは、研究拠点を形成されるのが大切なんですけど、そこのアウトカム・アウトプットをどうするかというところを詰めて議論していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。
 それでは、三谷政務官、お願いいたします。
【三谷文部科学大臣政務官】   皆さん、こんにちは。大臣政務官の三谷英弘でございます。それでは、まず、一言御挨拶させていただきます。
 有識者の皆様には、御多忙の中、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
 繰り返し述べられていることではございますけれども、行政事業レビューは、各省自らが執行実態を明らかにした上で、有識者の皆様に御意見を頂戴しながら点検を行い、結果を概算要求や予算執行に反映させる取組であります。
 この時間御議論いただきます世界トップレベル研究拠点プログラムは、事業開始以来、世界最高水準の研究成果を上げておりますが、今後、世界最高水準の研究成果の創出や、国際化だけでなく、若手研究者の育成や、大学改革を図っていくためにも、これまでの事業の成果を検証いただきたく、公開プロセスの対象とすることといたしました。
 先ほど藤井副大臣がおっしゃったとおり、しっかりとそれをどうやってアウトカムにつなげていくのか、これは非常に重要な観点だと思っております。
 有識者の皆様から忌憚のない御意見と、活発な御議論をお願いしたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。
 この時間の取りまとめ役につきましては、川澤良子委員に引き続きお願いいたします。よろしくお願いいたします。
 初めに、事業担当部局より事業概要の説明をお願いいたします。説明者は5分以内、時間厳守で、簡潔に説明をお願いをいたします。じゃあ、始めてください。
【説明者】   基礎研究振興課長の渡邉でございます。私から世界トップレベル研究拠点プログラム、WPIの概要を説明させていただきます。
 資料2ページ目を御覧ください。レビューシートでございますが、そこに事業の目的がございます。国際的な頭脳獲得競争の激化の中で我が国が生き抜くためには、優れた研究人材が世界から集う「国際頭脳循環のハブ」となる研究拠点のさらなる強化が必要ということで、そのために、目に見える国際頭脳循環拠点を形成するというものでございます。
事業概要でございますが、その下に5行ほどありますけれども、ポンチ絵で御説明したいと思います。10ページ目を御覧いただきたいと思います。そこの背景に書いてあることは、今の同じような「国際頭脳循環のハブ」をつくるということでございますけれども、これまで15年余り、このプログラムを実施してきたですけれども、それによって世界トップ機関と並ぶような卓越した研究力、国際化を達成した目に見える拠点というのは、それなりにできているのではないかというふうに思ってございます。
 ただ、それを今後もさらに維持・発展させていきたいというふうに考えておりまして、例えばですけれども、左のところに令和3年予算のポイントというのがございます。こちらに、今まで、従来のミッションといたしまして、サイエンス、リフォーム、グローバリゼーション、フュージョンというものを中心にやったわけですけども、これを新ミッションということで見直しまして、これは小さくて見づらいんですが、この中に人材育成でありますとか、さらなるアウトリーチ、広報ということもこれから熱心にやっていきたいというふうに考えてございます。
 そして、今までWPIの拠点といたしましては、左下にございますように、ピンクで囲ってありますのがWPIアカデミー拠点ということで、今まで6拠点、既に育成したものでございます。また、現在、補助金支援中の拠点ということで、そちらは7拠点ございまして、ちなみに、東大に関しましては延長ということで、今、さらにWPI拠点でありますので、支援をしているという状況でございます。
 その拠点が満たすべき条件でございますが、右側にございますとおり、総勢70人から100人程度の規模、そして、世界トップレベルのPI、主任研究者が7人から10人、もしくはそれ以上ということ。さらに、研究者のうち、常に30%以上が外国からの研究者ということと、事務、支援体制まで全て英語が標準という環境をつくり出しております。
 また、事業スキームでございますが、支援対象は基礎研究分野の研究拠点構想ということで、支援規模は最大7億円掛ける10年ということで支援してきてございます。
 その評価の方法でございますけれども、ノーベル賞受賞者、もしくは、著名外国人などによるプログラム委員会、そして、PD・POという人もほかに委嘱してございまして、これらの方々による丁寧、かつ、きめ細やかな進捗管理を実施するということでしてございます。
 また、支援対象経費でございますが、人件費、事業推進費、旅費、設備備品ということで、逆に言いますと、研究費については自ら獲得する、もしくは、そのホスト機関が手当をするということで、事業を進めてきております。
 これまでの成果でございますが、当初の5拠点などは、拠点立ち上げ以来、トップテンの研究成果をかなり上げてきている。例えば、トップ10%論文の割合も非常に高水準。例えば、20%、25%の高水準を維持しておりまして、実施方法におきましても、アンダーワンルーフということで、1か所にまとまった形の研究環境をつくり出しておりまして、それによって分野融合研究の成果創出というものにつなげるとともに、さらなる新しい研究領域の開拓というものに貢献してきております。
 また、外国人研究者が常時3割以上所属する高度に国際された研究環境の実現をしておりますし、実際、それによって、民間企業や財団等から大型の寄附金、支援金などの獲得にもつなげてきているという状況でございます。
 こういった状況で今まで進めてきておりまして、さらなる発展をこれから進めていきたいというふうに考えてございます。
雑駁ですが、以上でございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、私から論点につきまして御説明をさせていただきます。お手元の「論点等説明シート」を御覧ください。
 1点目としまして、世界トップレベルの研究拠点が形成されたか。設備投資などの基盤整備や、外部資金の状況などといった点。
 2点目といたしまして、事業成果について、既存制度等の改善へのフィードバックという点。
 3点目として、適切なアウトカム・アウトプット指標の設定という点。
 4点目としまして、新型コロナの中で、研究環境がこれまでとどのように変わっているかという点等が論点になると考えられます。
 それでは、質疑に入ります。説明者は、外部有識者からの御質問に対して、簡潔、明瞭にお答え願います。それでは、外部有識者の皆様から御質問お願いいたしますが、並行して、シートの記入もお願いできたらと思います。
 それでは、お願いいたします。まず、亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】   何かこのパターンが続いているので、今日はこれでやりたいと思います。
 私は基本的にこれで大体、御説明としても、大きな方向性としても、かつ、プログラム委員会というマネジメントも含めて、この事業としての目的というのはそれなりに達成できていると思うんですが、今回、論点の2に加えていただいたとおり、じゃあ、なぜこの事業やらなきゃいけなかったのかというところにもう一回立ち返っていただければなというふうに思います。
 というのは、要は、アンダーワンルーフという話がありましたけれども、こういう拠点である種のクラスターをつくっていって研究を進めていくというのが、多分、一つの世界の最先端のところの潮流になっている中で、それを踏まえて、この事業が構築されたという認識なんですけれども、そういう中で既存の制度が使いにくいとか、そういったことによって、ある種のボトルネックによって研究が進んでないというような仮説も立て得るんだと思うんです。
 そういう中で、この事業を通じて、既存制度をどういうふうに改めるべきかみたいなことも、当然、この事業の1つの成果として考えるべきなんじゃないかなというふうに思うんですけれども、この点については、実際に御担当されているところも近いわけですし、そういう点については、いかがお考えになりますか。
【説明者】   御指摘ありがとうございます。
 そういう意味では、確かに、この事業はいろいろと国際的な研究成果を上げてきていると思います。ただ、実際のところ、我が省全体のものといたしましては、なかなか国際交流、国際共同研究がどうも進み難い状況は変わっていないという認識がございます。
 そういう意味で、これらの成果を他の事業にも進めて展開していくということが重要だと思っておりまして、例えば、今、WPIの拠点と他国、外国の拠点、研究機関との連携があれば、研究者が外に出やすい、頭脳循環がやりやすいでありますとか、また、出ていった日本人をどういうふうに受けるのかとか、新しい論点として、どうやって国際的な研究者を日本に引き込むのかというような論点もございますので、まだ、なかなか現在の我が省の事業でうまくいっていないところもございますが、我々の成功体験でありますとか、ノウハウというものをぜひ他課、他事業にも展開して、できるだけその成果を普及啓発して、いいものにつなげていきたいというふうに思っております。
【亀井委員】   これ、具体的に、例えば科研費の今の制度の問題というのはないんですか。なかなか言いにくいかもしれないけれども。
【説明者】   担当部局も確かに近いんですけれども、科研費での国際頭脳循環、交流ということでは、なかなか悩んでいるということは聞いてございます。そういう意味で、新たなそういう点の施策を内部では検討しているという状況もございますので、我々のノウハウであったりとか、各大学拠点などにおける状況なども伝えた上で、検討に参考にしていただきたいというふうには考えてございます。
【亀井委員】   ある種、科研費は、お互いの研究者同士のコミュニティーによってつくられているというところもあって、より透明性が高いんだろうなというふうに考えていく中で、こういう資金というのも、ある時期においては、政策課題として対応すべきという形では、私はあるべき姿なんだと思うんですけれども、一方で、いずれこれは基本的なある種のアカデミアのマーケットに沈んでいくというのが私は正しい姿だと思っていて、そうなると、アカデミアのマーケットというのは、科研費というのは1つの大きなメインのところになるわけですので、ぜひ、そこまで含めて、建設的な部局を越えた提言というものをしっかりしていただいて、現時点ではお話しにくいのかもしれませんけれども、ぜひ、そういったものもこの事業の成果としてしっかりアピールしていただくことが必要なんじゃないかなというふうに思います。
 ぜひ、そこはよろしくお願いしたいと思います。
【説明者】   御指摘ありがとうございます。
 まさに、おっしゃっている点、今後、反映させていきたいと思っております。特に、この事業は研究費を取っていないというのが1つの売りでもございますので、こういう拠点を通じて、科研費の様々なお金を取って、その上で科研費を活用した国際交流というのを一緒にしてあげていければいいなと思ってございます。
 ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかいかがでしょうか。堀川委員、お願いいたします。
【堀川委員】   ありがとうございます。
 3点取り上げますが、本件事業は人に着目した事業で、優れた研究者を招聘する、そして、拠点化するということですので、その拠点化したものが高い成果を最初から出すのは、当然と言えば当たり前というか、当然だと思うんです。拠点形成して、アンダーワンルーフの中でさらなる相乗効果を発現することがこの事業の主眼だと。そのためには一定時間がかかる。だから、補助金としては、珍しく10年という長期に及ぶ設定がされているというふうに理解しています。したがって、本件事業は、様々な指標を時間軸で見ることが重要だと。
 まさに、例えば、非常にいい資料を13ページの、先ほど説明にもあった、左の図、トップテン論文割合とその総数、その論文数の推移を時間軸で追っておられる。まさに、最初から非常に高い数値が出ていて、非常に高いレベルの研究者を集めていることはこれで証明できる。さらに、年々右肩上がりになっていて、相乗効果も表れているということですばらしい。ただ、後半になって、共に数字が下がって、それを横ばいになったまま、そのまま横ばいになっている。これでは、相乗効果としては表れてないのではないか。
 ただ、一方で、この間に、もし若手人材、若手研究者を大量に、研究所に、拠点に入ってきたとしたら、それはある意味、人材育成という意味では効果が上がっているというふうに見えますし、さらに、ある拠点の影響を受けて全体がこうなって、これは2007年の採択拠点の全体だと思いますので、拠点の影響を受けている可能性もあるので、拠点ごとの推移も見る必要があるだろう。
 したがって、つまり、様々な指標を時間軸で設定し、拠点ごとに見える化することで、相乗効果がどう表れているかということを確認し、場合によっては、拠点によっては、対策を練らないといけないケースも出てくるかもしれません。特に、補助金以降、終了以降を見据えた対応が必要になってくるかもしれないと考えますので、そういう設定を考えていただければなと思うんですが、まず1つ目、いかがでしょうか。
【説明者】   御指摘ありがとうございます。
 確かに、当初からかなり成果が出ているというのは、かなり著名な研究者を集めているという点もございます。ここで出ていない資料、次のページにあるんですけれども、もう一つの売りといたしましては、分野融合という点がございます。著明な研究者を幾分野から集めてきて、分野間の間に融合分野なり学際分野というのを発展させたいということがございまして、例えば、そういうものは、拠点形成がだんだんと進んでいくものでございます。
 それで、右側にございますけれども、このように東北大学、九州大学などありますが、様々な分野にまたがった論文が出てくるようになってくる。これは今までにない、そういう新たな融合分野の成果が出てきているというものでございます。これは年度を追っている成果ではないんですが、そういうものは年度を追ってだんだん出てきている成果ではないかなと思ってございます。
 また、若手育成の話もございました。実は、当初のときは、研究成果を上げるということを専らの目標にしてきたんですけれども、今の御指摘のように、若手の研究者を育成することも重要じゃないかということがかなり分かってきてというか、かなり指摘されてきておりまして、冒頭御説明した新しいミッションでは、今後、人材育成というものもこの新しい評価の観点、重要な育成の観点ということに入れて、今後の拠点の評価ではより重要視してやっていきたいというふうに思ってございます。
 どうも御指摘ありがとうございます。
【堀川委員】   続けていいでしょうか。
 2点目なんですけれども、本件事業はある意味、既存の組織体制を越えた新たな枠組みの構築の可能性を持っている。その結果、大学全体を活性化する意味合いも出てくる可能性があると考えると、横への展開が重要だと考えるんですが、現実に横への展開を考えると、1拠点当たり7億円という非常に大きい金額のハードルが高いということを考えますと、この7億円も、その前までは14億円と、徐々に半分に圧縮してきた実績を踏まえて、さらに圧縮することで、横への展開がしやすいような規模にできないのかというのが1点と、さらに、考えておられるかどうか分からないんですが、私学への展開ももし視野に入れているのであれば、私学経常費補助金の配分の工夫もある意味1つの方策だと考えると、本省の局をまたいで高等教育課の私学部との強力な連携も必要になると考えるんですが、その辺、どういうようなお考えかお聞かせください。
【説明者】   御指摘ありがとうございます。
 このWPI、確かに、大学改革にかなり資するものだと思っております。既存のやり方、内部での規制で前例がないというのがよく大学でもあるわけですけども、こういった特区的なものをつくることによって、外国人を多くする。まさに英語の環境であったり、あと、給料も学長以上の給与を出すとか、そういう新たな取組をやっております。そういう取組成果が出れば、まさに経営者、学長などは学内への展開をやろうとしているところはあります。それによって大学全体の活性化につながるということで、そういう展開を我々もかなり推進しております。
 ただ、おっしゃるとおり、他大学への展開というのは、まだ出来上がってないのかなと思ってございまして、ノウハウであったりとか、こういう規制改革、本当はできるんだよということを、こういう前例があるということも示して、いろいろやっていきたいと思ってございます。
 事業規模の話でございますけれども、確かに10億が7億円に減らしたところでございますが、ここの中でいろいろ議論がございまして、あまり安過ぎると、世界トップレベルというところまで我々としてもお願いするのは難しいのではないかというふうに思ってございまして、今の7億円というのは、ある程度のそこのぎりぎりぐらいかなというような議論はしてございます。ただ、おっしゃるとおり、なるべく効率的にやっていくということが非常に重要だと考えてございます。
 私学等というような話でございますけれども……。ごめんなさい。そういう意味では、国立大学の話も、既に、我々、研究振興局というところでございまして、大学は高等局とやっているわけでございますが、高等局のほうにもこのWPIの特区的な取組というのは、かなり説明してございまして、向こうのほうでもかなり認知が上がってきている状況だと思います。私学のほうは、門戸は開いておるんですが、まだ取れている大学はございませんので、我々、今後PRしていきたいと思ってございます。
【堀川委員】   最後に、あと一点だけ。
 有効性の観点から見ますと、テーマを今のように各大学から提案されたものの中から選ぶのではなくて、国が今直面している課題に資するようなテーマを選ぶことができれば、そのテーマにおいても世界トップレベルの研究成果も同時に出せると考えると、そのほうが有効性が高いと考えるんです。現にそういう方式を取ったのは1か所あるということですので、その実績を、デメリット、メリットあると思いますが、それを踏まえて、今後、選定方法をそちらのほうにシフトしていくという考え、私としては、ぜひしていただきたいと考えるんですが、いかがでしょうか。
【説明者】   御指摘ありがとうございます。
 そういう意味では、我々のやり方とすると、おっしゃるとおり、大学の自主性を重んじたテーマ設定なり、拠点の検討というのをしているところなんですけれども、我々の仲間というか、近くにある関係他科もあるわけなんですけれども、例えば、そこでは漁師であったり、医療であったり、そういう事業に、そういう分野に特化した推進する課、部局もございます。そういうところで、実際、拠点をつくっていきたいという話もかなりございますので、そういう場合には、我々のWPIの成果なりノウハウ、やり方というのは提供した上で、そういう目的に応じた担当課があれば、そちらのほうで似たようなというか、拠点、物すごい実用化の場合が多いんですけれども、そういう拠点をつくっていただくとあると思います。
 そういうところがもしもない場合には、我々のほうでもそういうことを今後検討していく必要があるんじゃないかというのは思ってございます。
 ありがとうございます。
【堀川委員】   分かりました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   よろしいでしょうか。
 それでは、川澤先生、お願いいたします。
【川澤委員】   御説明ありがとうございました。
 今、堀川委員からの質問の1点目のところに、新興・融合領域研究に関する御質問があったかと思います。資料として14ページのところで、融合領域研究のインセンティブによって分野別の分布が広がっている、これが1つの成果であるという御説明があったと思います。
 17ページに、拝見しますと、今後の対応方針で触れた、成果としては出ているんだけども、さらに引き上げる必要があると。この引上げのために、大学のマネジメント改革、組織改革の実施が必要であるといったようなお話があるんですが、これはどういうつながりでこの取組が課題であるというのが出てきたのか、御説明いただけますか。
 といいますのも、16ページでお示しいただいたような、若手研究者の女性研究者比率を高めるというところを指標化して、今後、取り組まれるというお話があったんですが、こういう若手研究者等の比率を上げることで、ある意味、融合領域研究というところに果敢にチャレンジしていく研究者も増えるのかなというところで、ここを指標化して、融合領域研究の引上げというところも1つの策かというふうに感じたんですが、そうじゃなくて、大学自体のマネジメント改革、組織改革が必要なんだ。そうであれば、そこもある程度指標というか、実績をフォローしていく必要があると思うんです。
 その辺りというのはいかがでしょうか。
【説明者】   御指摘ありがとうございます。
 振興・融合分野をつくるという観点に当たっては、大学では今、工学部、理学部、学科というのはかなり縦割りであったり、昔からの研究所というのがずっとあったりするわけなんですけれども、WPIによって新たな分野、融合分野の研究をやるんだということをスタートしますと、今言ったような、部局から人を集めてきて、新しい研究拠点をつくる、それによって、内部の組織を改革するトリガーになるということで、大学のマネジメント改革、組織改革が進むということでも有効に使ってほしいというふうに我々は思ってございます。
 そういう意味で、若手の話もございましたけれども、今回、ダイバーシティーも非常に重要だということをプログラム委員会の中で指摘されておりまして、そういうことも今回から評価軸に入れていきたいというふうに思ってございますし、融合領域……。ごめんなさい。戻るんですけれども、大学改革を進めるということも新しいミッションのほうにも入れてございますので、今後の評価に関しては、そういった点を今までよりも重視して進めていきたいというふうに思ってございます。
【川澤委員】   分かりました。ありがとうございます。
 融合領域というところが1つの施策ではなくて、おっしゃっていただいたような、大学のマネジメントの組織改革であったり、若手研究者、恐らく、いろいろな取組によって達成できるものなんだというふうに思います。その辺りを多角的に分析できる指標なり、定性的なものかもしれませんけれども、そういった形で分析をして、最終的に、この融合領域の研究というのがどのぐらい出たのかという成果が定量的に見えるはずです。そこは今後、分析できるような形で情報収集していただければというふうに思いました。
 以上です。
【説明者】   ありがとうございました。そのように、なるべく分析も進めていきたいと思います。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかいかがでしょうか。伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】   ありがとうございます。
 この事業は本当にある意味では特殊的で、平成19年から10年以上やっている事業、1つの研究に対して10年間、補助金をつけ続け、非常に特殊だからこそ、この10年間の成果をしっかりと追うことができて、今日説明をいただいたような、アウトカムの中でトップ10%の論文数の変化が見えてきて、これはとてもいいことだと思うんです。
 だからこそ、10年間のスパンで考えられるからこそ、よりいろいろなアウトカムの分析できるのかなというふうに思っていまして、よく研究の事業をやるときには、どうしても論文の話というのは出てくると思うんですが、10年とかからずに、この論文以外での何か見えるものがあるといいなと。論文数というのは、ある意味、マクロで見ている部分になるかと思うんですけど、1つの大学のこの10年の研究を見たときに、3年とか4年だと、どうしても目先の結果を成果として捉えなければいけないと思うんです。10年となったときに、何かこの研究が大きく広がっている、実用化されている、そういったものが見えてくると、長いスパンでのこういう拠点研究が必要なんだというふうな説得力も出てくるかなと思うんですが、その辺いかがでしょうか。
【説明者】   御指摘ありがとうございます。
 研究成果、確かにこれは重要だと思っているんですけれども、あとは、国際研究拠点というのは非常に重要だと思ってございまして、今まで、外からこれだけの大学に人が来ている、また、諸外国にちゃんと育った人間が出ていくということで、実際の日本だけでなく、国際的な他機関との連携・協力というのができる、そういう強いつながりを持った例えば拠点ができたということは、非常に重要なことだと思っていまして、そういうことができるのは、10年かからないとなかなかそういうことは構築できないということでございます。
 もう一つ、さっきから人材育成の話が出てきているんですけれども、そこに研究者だけでなく、博士課程の学生とかがそういうところに集まってくると、非常に刺激を受けて、ドクターを取って、さらには、関係のある大学の機関にポスドクとして出ていくということで、人材育成でも非常に意味がある。人材育成、長い時間かけないと人は育ちませんので、そういった点からも、成果が出てきているのかなというふうに思いまして、研究成果、論文も非常に重要だと思うんですけれども、そういう人の育成なり、あと、まさに国際的なつながりというのが出来上がるというのも、かなりこの拠点によって出てきている成果ではないかと思っております。
【伊藤委員】   ありがとうございます。
 今のお話を伺っていると、どうしても、こういう評価をしようとすると、短期スパンで見ざるを得ないけれども、こういう研究は長いスパン見ることによって、人材育成というショートスパンでは分からない成果が見えてくるというのをまだ私自身がちゃんと絶対そうだと言い切れているわけではないんですが、そこをより見せていくと、研究というのは長期で補助をすることに意味があるんだということが言えるのかと思いました。
 そうしたときに、過去、この研究予算の事業評価はたくさんしてきていますし、文科省は、どちらかというと、モデル事業から全国展開というやり方が多いなと思っているんですが、この事業においては、多分、横展開というよりも、限定的に、10年間でも8拠点、9拠点ですし、ここを変えないということが必要なのではないかというふうにずっと感じていまして、場合によっては、10年たった後に、別な研究かもしれないですけど、同じ研究拠点の中でさらに延ばしていく。この10年たった先、これで一応、終了予定なしというふうになっているので、この先というのはどのように考えられているか、ぜひ教えていただけないでしょうか。
【説明者】   御指摘ありがとうございます。
 まさにそこは我々も実は悩んでいるところなり、検討しているところであるんですけれども、これもちょうど走ってきて10年、15年ぐらいたったところなので、今後、今まで育ててきた拠点をどうしようかという話でございます。今まで、基本的には、大学の中で内製化ということで、10年かけて育てたのだから、ちゃんと立派に大学のほうで育成・発展してほしいというのが1つの考え方でございました。ただ、論点としましては、いいものは続けたほうがいいんじゃないかということが1つと、あと、いいものであっても、20年、30年たつと、それはまた、時代から見ると遅れてしまうんじゃないか。
 その両方の論点がございまして、単に維持させるというだけではよくないけれども、いいものは伸ばしたいという中で、我々、今後考えると、20年、30年のスパンで考えていく限りは、いいものであっても新しくしていかなくてはいけない。
 なので、新しい学際領域にトライしないといけないということ考えると、今後も、WPI拠点というものを一定数は新しいもの取って、育てて、大学に返していくということが必要だと思っているということと、あと、どこかの段階で、もしかしたら、WPI拠点をまた見直して、さらに発展させて、もしかしたら、もう一度WPIにトライをするということもあっていいんじゃないかということを議論しているところでございます。
いいものを伸ばしつつ、なおかつ、新しいものに反映させるというのは、どういうサイクルすればいいのかということで、まさに検討中でございます。今後、なるべくいい制度になるように考えていきたいというふうに思ってございます。
【伊藤委員】   最後ですけれども、逆説的になるかもしれないですけど、必ずしも、いいからずっとコキでいいか、もちろんそういう話だけではなくて、多分、こうやってゼロ・イチというようなバリエーションがあって、この高度な研究拠点で行っていることであれば、継続が必要だというものも出てくるかもしれないし、自走に向けて、自立に向けた対策をしていくんだと。多分それは、1つ1つによって違いがあるのかなと思っているんです。
 私がどうしても感じるのは、これだから次はこっち、次はこっちというふうに広げていくというよりは、長いスパンで限定的にやったことによる成果というふうに捉えるほうがいいんじゃないかなというふうに感じました。
 以上です。
【説明者】   ありがとうございます。
 これも今、15年でございまして、20年とかになったときにどうかということを踏まえて、長いスパンで我々も考えていきたいと思います。
 ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ほかいかがでしょうか。亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  今の伊藤さんの指摘は、僕は大変大切なことだと思っていて、そこは多分、どっちに向かうかというのは、そもそも世界トップの拠点ということで考えたら、単純な横展開じゃないよねという話なんだとは思います。
 もう一方で、これは文科省の官僚の皆さんとしばしは日常会話でお話をさせていただくんですけれども、お金、国費を出すから求心力が文科省にあるのではなくて、文科省のある種、文教行政、科学技術行政の専門性をもって、彼ら拠点と会話することができる関係性をぜひ築いていただきたいなというふうに思います。
 要は、お金を出すから彼らが向いてくれるのではなくて、皆さんに専門性があって、彼らと話をしているといろいろな新しいことが入ってくるから話をしたいんだと。だから、逆に言うと、10拠点は、別に国費を出さなくても、もしかしたら拠点として維持をするとか、あるいは、皆さんが関わり続けることができる関係性をどうやってつくることができるかというのはこれは、ある種、文科行政の専門性の発揮として、ぜひここはチャレンジしていただきたいなというふうに、これはエールを込めて申し上げたいと思います。
 ぜひよろしくお願いします。
【説明者】   ありがとうございます。
 まさにおっしゃるとおりでございます。我々、なかなかそういう専門性を発揮できていない部分もあるかもしれません。頑張りたいと思います。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。
 時間30分を経過しております。先生方におかれましては、コメントシートをまだ提出されてない方につきましては、事務局のほうに御提出をお願いいたします。
 引き続き、議論を続けたいと思います。ほかにございますか。石井委員、お願いします。
【石井委員】   ありがとうございます。
 今もう結構議論されたところかなと思ったんですが、10年から先のところなんですけれども、同じ話になってしまうんですが、過去、2007年に採択されて10年たちましたというところ。1か所は継続をされている。補助として継続ですかね。されているということでしたが、他の拠点はもう自立・自走されているということでよろしいでしょうか。
【説明者】   はい。基本的には、大学のほうで自立・自走していただいております。ただ、一応我々といたしましては、定期的にサイトビジットなどをやっておりまして、それによって、以前と同じような研究レベルなりを維持しているかということは確認させていただいております。
【石井委員】   分かりました。ありがとうございました。
 長い目で、一方で、7億掛ける10年たって、その先のところで本当に自走してもらうのか、先ほどの繰り返しになってしまうんですけれども、もちろん、そこできっちり評価した上で、延長していくとか、そういったこともよいのかと思いました。
 10年長いんですけど、切れてしまうので、その先どうしていくのかなとか、そういったところが、それぞれ検討していると、悩ましいというようなお話でしたけれども、その辺りも、ふわっとしたコメントになってしまうんですけど、常に意識されていくことが必要なのかなと思っております。
 以上です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。
【説明者】   ありがとうございました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかいかがでしょうか。水田委員、お願いいたします。
【水田委員】   ありがとうございます。
 この事業については、正直申し上げて、本当に書類を見る限りは大変うまくいっている状況で、かつ、頂いた資料の中で、現状と今後に向けて対応しなきゃいけない課題も3点まとめられているので、これに対応していっていただければいいというふうに思うんですが、今、各委員のほうから横展開の話が少し出ていて、内容が重なったら申し訳ありません。この事業は特殊だというお話が出ていました。具体的には、これは研究費じゃないので、人件費と設備費を厚く措置して、ほかとは違う差別化した研究拠点をつくるということをやるわけですよね。それが成功しているわけで。
 だから、逆に、横展開はできないものをつくっているわけですよね。ですので、もし、横展開という言葉で、何かほかのところの参考になるものを提供していきたいということであれば、どういうことが横に参考になる点になるのかというのを教えていただければと思います。とにかく資源を集中投入しているので、全くほかのところがまねできないことをやっているわけですよね。その辺り、教えてください。
【説明者】   ありがとうございます。
 そういう意味では、1点目としては、国際化の観点かと思います。特に受入れ体制であったり、支援体制というものは、WPIは確かに、特にできているところがあります。大学全体、それは地方大学も含めて、外国人の留学生なり研究者というのは呼んでくる。それをサポートしなくてはいけない体制がありますので、そのノウハウというのは横展開できるだろうと思ってございます。
 最近、議論なっているのは、確かに、全てのところに展開できませんが、ある種の大学、どこでも研究の強みを持っている分野がございます。それをどうやったら、例えば、ある地方の大学の中では強みがあったものを、日本の中でも、地方にある大学であっても、日本の中で有数の研究レベルを上げる。ここの分野では負けないんだというような、そういう強みを伸ばしていくという方法についても、かなり情報を提供できるのかなと思ってございまして、実は、そういうものがたくさん出てくると、やがては、WPIに我々も応募しようと。それによって、日本の有数の拠点から世界の拠点になるんだと。そういうふうになっていけば、非常に我々からすると好循環になるんじゃないかというふうに思ってございます。
 ありがとうございます。
【水田委員】   ありがとうございました。
 国際化と特定の強みということでお話をいただきまして、大変よく分かったんですけれども、ただ、恐らく、このWPIについて国際化というのは、国際的な人材獲得競争の中で、集中投下された資金を使って、物すごい高い人件費を払って、それで呼び寄せているわけですよね。
 ですので、入ってきた後の外国人の取扱い方とか、その辺は参考になるかもしれないですけれども、獲得段階で全くWPIとほかの普通の大学とは同じ立ち位置には立てないと思うんです。その辺りはどうですか。
【説明者】   おっしゃるとおり、全く同じにはできるとは思ってございませんけれども、確かに、物すごい優秀な研究者を呼ぶというのは難しいかもしれません。若手のある程度優秀な研究者を外国から呼ぶ方法であったりとか、おっしゃるように、来ていただいた外国人のサポートの在り方、また、海外の拠点との連携、要するに、強い連携をつくって、人材交流しやすくする方法であったり、そういうものは、大学レベルであればどこでも可能な部分というのはあると思っております。
【水田委員】   ありがとうございました。
 横展開について、大体どういう情報を共有するかというのは分かりました。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかにございますか。いかがでしょうか。あるいは、事務局から、説明者から何か、もし言い足りない点がありましたら、補足していただいても結構です。何かございますか。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】   一生懸命、取りまとめのお時間まで、ややつなぎ的にお話をすると、さっき伊藤さんがおっしゃったところにも通じるんですけれども、この事業、10年かけて、かなり先駆的な取組について、今日の御説明も含めて、非常に、KPIの設定とかも含めてしっかりできていると思うんです。だとすると、ほかのこういう研究案件のアウトカムの在り方とか、あるいは、ロジックモデルの作り方の在り方について、それこそ横展開する。
 私、正直言って世界トップレベルがそんな簡単に横展開できると思っていません。それよりは、皆さんが持っていらっしゃる、何で測るのかとか、どういうふうに定量的に把握するのかとか、あるいは、定性的に見ていることは何かとか、そういったような皆さんの視座とか視点というのが、実は、まずは局内だと思いますけれども、省内で共有できる大きな財産なんだと思うんです。これをこの事業だけでとどめたら本当にもったいないと思います。
 率直に申し上げて、文科省のいろいろな事業について、少なくとも研究に関するロジックモデルがこのレベルで書かれたら、これはもう大変ありがたいわけです。それは、10年かかったからできましたじゃなくて、これは最初はそうかもしれない。だけれども、次に来る人たちが、あれ見て、もちろんまねではないし、いろいろなそれぞれの事業の事情はあるから、同じものであることはないんだと思うんですけれども、そういったような幅も含めて、ぜひ、私もEBPMの関係でいろいろと文科省も関わらせていただいていますけれども、皆さんが日々計算されているのは重々承知はしているんですけれども、そういう中で、皆さんのような形で、10年かけて、かつ、先進拠点で、かつ、アドバイザーのいろいろな声を聞きながらやってきましたというような知見が、まさに省内で横展開されることが文科省全体の知見が上がっていくことにつながってきますので、ここはぜひしっかり進めていただければいいなと思いますし、たまたま三谷政務官もいらっしゃるので、それはぜひ省内での展開という形で考えていただくと、それこそ、この単体事業の話ではなく、公開プロセスは省全体の話にもつながる話として受け止めていただければというふうに思いますので、ぜひそこはお願いをさせていただきたいなというふうに思いました。
 よろしくお願いします。これで間が持った?
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。
【説明者】   ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、10年間かけてこうやって丁寧にフォローアップしている事業というのはあまりありませんので、我々も大体データを見ながら分かってきたところもございますので、今の御指摘を元に、またさらに、より新しい視点なり切り口があれば、なるべく内部にも展開して、活用するようにしたいと思います。
 ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかにございますか。伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】   10年ぐらいの事業は、今、あまりとおっしゃって、ほかに少なくともあるんですか。長らくこういうことをやってきましたけれども、ないんじゃないかと思っていて。
【説明者】   大体、研究ものは5年ぐらいが多いんですけれども、今、思いついたのは、SSHというスーパーサイエンスハイスクールなどはかなり長くやってございます。そういう意味では、教育なりと少し結びついているほうが長いものがあるのかなという気がします。
【伊藤委員】   どうしても、私も亀井さんもですけど、評価が長い立場からすると、どうしても、短いスパンでの成果は何かというふうに私は今までは見てきてしまうところがあるんです。こういう事業のように、長いスパンをかけてやることによって、成果を厳密に分析ができて、しかも、アウトカムが出ているんだというようなことが見えてくると、文科省の事業設計としても、先ほどお話があったように、新たなモデルとしても出来上がる。まさに、こういうやり方の横展開というのができるのかなというふうに思いました。
 以上です。
【説明者】   ありがとうございました。
 我々もかなり短い時間での成果も求められているんですが、よく組み合わせて考えたいと思います。御指摘ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかに御意見ございますか。亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】   そもそも文教とか科学技術は短い成果を求めてはいけないと思うんですよ。私、ずっとそれは言い続けているつもりですけれども。なのに、なぜかロジックモデルをつくると、みんなで短い成果をアピールされるんですよ。皆さん。こっちはそんなもの期待していないのに、そこから何か変なKPIのパズルゲームみたいになってしまうところがある。ごめんなさい。これは皆さんおっしゃっているんじゃないですよ。むしろ、今日、ちょうどEBPMをやっていらっしゃる、政策立案審議会にもいらっしゃる藤本さんがいらっしゃるから、お話をしているんですけれども。
 まさにそういったようなことも含めて、逆に、長いことを短い時間軸で切ったときには、今、どういう、ある種、数学で言う微分になっているかという。この坂道を確かに上がっているんですというようなことを見せてあげることが、実はEBPM的な政策発想では大事で、私がやっているこの一、二年前の間ではこうだと思いますけれども、いずれこうなるはずですから、確かにこの坂道は上がっていますという、まさに初期アウトカムをきっちり説明することができて、だから、こういうふうに進んでいくんですというようなことを、ぜひ、それは省内全体で、それは文教も科学技術も同じ、あるいは、文化もスポーツも同じだと思いますので、ぜひそれは……。
 そういう意味では、10年やってきたことというのは、だから、こういう坂道を上がり始めていますという、この角度は間違いないんですということを言う1つの経験値になっていらっしゃると思いますので、先ほどのまさに専門性にも関わるところだと思いますので、ぜひそこはしっかりそれこそ横展開していただけたら、省内展開していただけたらありがたいなというふうに思いました。
 それで、取りまとめはそろそろできそうでしょうか。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   重要な御指摘ありがとうございました。しっかり踏まえてまいりたいと思います。
 それでは、取りまとめのコメント、取りまとめ集計できたようでございますので、川澤委員からお願いをいたします。
【川澤委員】   それでは、投票結果を発表させていただきます。「事業内容の一部改善」が5票、「現状どおり」が1票でございます。
 主なコメントを紹介させていただきます。
 10年単位で行うという特徴的な事業の成果が見えている。補助対象となっている各拠点については、研究成果を上げるという意味では十分な成果が上げられている。
 10年から先の展開について、拠点が自立する形を目指すのか、補助事業として継続するのがよいのか十分検討する必要がある。
 事業単体に対する協議の成果ばかりではなく、そもそも、こうした事態に陥った研究をめぐる様々な制度に関する課題を明らかにすることも本事業の成果の1つとして認識すべきである。
 振興・融合研究の環境整備を進めることが必要だと思われる。
 成果指標の見直しは、様々な指標に時間軸を設定することで適正な評価ができる。
 日本の喫緊の課題に資するテーマを設定することで、有効性を高める。
 こういったコメントがございました。
 それでは、取りまとめコメント案を発表させていただきます。
 10年単位で行うという特徴的な事業であり、各拠点について研究成果を上げるという意味では、成果は見えている。補助終了後に必ず自走するのか、延長も含めて検討するのか、戦略の明確化が必要である。また、成果の横展開については、単に拠点を増やしていくというよりも、研究を取り巻く課題を解決していくことを成果の一部、横展開の一部として位置づけるべき。
 こういった成果の展開を前提としつつも、成果指標の見直しも必要である。成果指標に時間軸を設定して、各拠点の成果を見える化したり、若手研究者、女性研究者の比率を設定したりするなど、指標設定の工夫が必要である。
 また、日本の喫緊の課題に資するテーマを設定することや、振興・融合研究の環境整備を進めることが必要と思われる。
 以上がコメント案でございます。また、評価結果につきましては、5票の「事業内容の一部改善」、こちらでいかがかと思います。
 以上です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   今御説明いただきました評価結果、及び、取りまとめコメント案はいかがでしょうか。御異議ございませんか。
 それでは、そのとおり決して、取りまとめたいと思います。どうもありがとうございました。
【説明者】   ありがとうございました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ここで、御出席をいただきました藤井副大臣、三谷政務官から一言御感想をいただけたらと思います。
 まず、藤井副大臣、いかがでしょうか。
【藤井内閣府副大臣】   今日は貴重な意見ありがとうございました。
 途中、私、切れていたので、聞こえなかったので、あれなんですけれども。特に、堀川先生がおっしゃったテーマ、国に資するということで、最終的に取りまとめ結果に「日本の喫緊の課題」というのを入れていただきましたけれども、この視点は非常に私は大切だというふうに思っておりまして、今、正直、ワクチン接種も担当させていただいておるのですが、日本の優秀な方々がお医者さんになられるんですけれども、そのお医者さんがやっているこのワクチン接種なんて、筋肉注射なんか本当、誰でもできる作業なんですよ。それを確保するために、何でこんなに報酬を上げないといけないのかとか根本的なことを考えたときに、本当の優秀な人材がこれからの日本の行く末を決するような分野に行っていただかないといけない。
 医学であれば、それはゲノムの解析であったり、遺伝子工学であったり、そういったところに行っていただきたいですし、また、本当に物理とか数学がお好きな方は、AIとか、デジタルとか、そういった分野に行っていただくべきであって、まさしく大学の設定ではなくて、国の行く末を決める、そのような喫緊の課題について、世界トップレベルの研究拠点をつくるという視点が非常に私は大事だと思っておりますので、最後のところにその視点を入れていただいたというのは非常に大事だと思っておりますし、また、トップテン論文、基礎科学はそうなんですけれども、応用科学におけるアウトカム・アウトプットはどうあるべきかというところも含めて、様々な議論を、ぜひとも建設的な議論をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 長くなりましたけれども、以上でございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。
 引き続き、三谷大臣政務官、お願いいたします。
【三谷文部科学大臣政務官】   ありがとうございました。本日は数々の貴重な御意見をいただきました。
 世界トップレベル研究拠点プログラムは、国際頭脳循環を促進する、世界トップレベルの研究拠点の形成を着実に進めていくためにも非常に重要な事業である旨認識をしております。今日は、現状における成果につきましては、一定程度評価をしていただいているということでありましたけれども、今後の横展開の在り方を含めまして、検討すべき課題も明らかとなってきたように思っております。
 亀井先生もおっしゃっていただいたとおり、どうしても目に見える成果、短期的にというわけにはなかなかいかない部分もあるということは御指摘いただきまして、それを甘えにしてはいけないというふうに思っております。しっかりと皆様のために、様々な形でお役に立てるように、よりよい事業を目指していきたいというふうに思っております。
 いただいた御意見に真摯に対応してまいりたいというふうに思っておりますので、今後とも、有識者の皆様の御指導、御支援を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。
 以上をもちまして、世界トップレベル研究拠点プログラムの公開プロセスについては、終了とさせていただきます。ありがとうございました。
 次の核燃料サイクル関連推進調整等交付金につきましては、17時からスタートさせていただきます。よろしくお願いをいたします。どうもありがとうございました。
( 休憩 )
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、本日最後のこまを始めさせていただきます。
 これからの時間帯は、核燃料サイクル関係推進調整費等交付金につきまして御議論をお願いをいたします。
 この時間の取りまとめ役、引き続き川澤良子委員にお願いいたします。よろしくお願いをいたします。
 初めに、事業担当部局から事業概要の説明をしていただきます。説明者は、5分以内、時間厳守で簡潔に御説明をお願いをいたします。それではお願いします。
【説明者】   文部科学省研究開発局で核燃料サイクルと廃止措置担当の研究開発戦略官をしております松本と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 まず本事業についてでございますけれども、昨年12月の行政改革推進会議におきまして、30年間にわたり総額965億円の国費が投入されていることから、事業の取組内容や成果等についての総括・検証を行い、公開プロセスの場で取り上げるべきとの指摘を受けているところです。
 この経緯から今回取り上げられたものと理解しておりまして、まず本日は、資料の1ページの「論点等説明シート」にありますとおり、本事業の成果を生かす前提でございます青森県六ヶ所村の日本原燃の六ヶ所再処理工場の竣工が令和4年度上期に迫ってきたということを念頭に、まず第1に、事業の検証として、総括・検証として青森県と共同して行った事業検証委員会の報告書を御紹介させていただきまして、この場では国の視点から見た際の御意見をいただくとともに、第2といたしまして、御紹介するロジックモデルや報告書に基づいて、事業管理の観点からの適切なアウトプット・アウトカム指標の在り方や事業実施上で留意していくべき点等について御示唆をいただければと考えております。
 資料の具体的な御説明でございますけれども、8ページを御覧いただけますか。
 本事業の経緯の御紹介でございますけれども、青森県六ヶ所村では、昭和59年に立地の申入れが行われて以降、再処理工場を中心とする核燃料サイクル施設の建設整備が30年以上にわたり進められております。この受入れの際には、地元から原子力の研究機関の立地要望がなされたという経緯がございます。
 これを受けまして、県民の安全・安心につながる原子力環境安全研究、こういったものを進める観点から、平成2年度にこの事業が創設されまして、また同年には国が主導して関係機関の支援を幅広く受ける形で、財団法人環境科学技術研究所が六ヶ所村に設立をされております。
 さらに平成7年には、海洋調査の実施主体として、財団法人日本海洋科学振興財団、これは既存の法人でございましたけれども、こちらが加わったと、今の形になっております。
 これらの体制に基づきまして、9ページでございますけれども、青森県やこの両法人では、このページに記載しております内容の事業に取り組んできたというところでございます。
 次に事業の変遷について、10ページを御覧ください。両法人とも、この事業の下で、事業期間の初期には必要な施設や体制の整備をまず行いまして、その後は順次、調査研究や情報発信の取組を進めてまいりました。
 ロジックモデルや報告書の御説明に先立ちまして、再処理施設稼働までの流れと各段階で事業に求められている事項を11ページのほうに整理をいたしました。
 昭和59年の設計・建設から竣工直前までを稼動準備段階、今後の竣工から操業までを稼働開始段階、操業以降を安定稼動段階と位置づけまして、各段階における状況やこの事業の主たる取組内容をお示ししております。
 12ページのロジックモデルでございますけれども、状況といたしまして、緑色の稼動開始段階に移行しつつある青色の稼働準備段階にいる今の状況のスナップショットといった位置づけかと考えております。
 本事業が特殊なのは、事業の前提となっている再処理工場の竣工というものがこれまで再三延期されてきたという経緯がございますので、現時点でも再処理工場操業前のアウトカムを追求するというフェーズに以前立っているものの、現実には30年の時が流れておりますので、その間も事業を実施してきたと。このため、中期アウトカムについても、既に達成されてきたものがあるという点でございます。
 なおロジックモデルのうち、下線部はこの後御紹介する事業の検証委員会から今後取組を強化すべきという指摘をいただいている点です。
 ロジックモデルでは、研究の成果、安心・安全、地域振興の3つに分けてアウトカムの整理を行っております。
 なお、3番目の地域振興は本事業の直接的な目的ではございませんけれども、反射的といいますか、副次的な効果として位置づけて記載しております。
 この整理で可能な範囲で具体の事例や実績を追加いたしました。
 文部科学省を含め、原子力、殊に再処理事業者と、本事業に関して、再処理事業者推進規制、それぞれの官庁、立地を受け入れている自治体、本事業の活動主体といった主なアクターの役割が少し分かりにくいかと思いましたので、参考として関係図を13ページにお示しをしております。
 検証として行いました事業検証委員会の報告書でございますけれども、14ページ、15ページの概要を御覧ください。
 報告書については、本年3月から5月末までに3回の事業検証委員会及び1回の準備会合を開催いたしました。
 6月8日の青森県における企画評価委員会を経て、6月14日に取りまとめがなされたというところでございます。
 今後は、本日の指摘と併せて、今年度の調査事業や来年度以降の事業の基本計画に反映される予定となっております。
 報告書の構成についてでございますが、1として事業の背景をお示しし、その上で2として、排出放射性物質による陸域や海域の調査、低線量被曝による生物影響調査、さらにこれらの理解醸成活動への所見と指摘。
 3として、両法人における設備整備事業に関する契約状況や職員の給与水準といった管理経費に関する所見と指摘。
 4として、随意契約や役員選定の透明性といった、その他論点に関する所見と指摘。
 5として、全体の総括としております。
 それぞれ各論における詳細な記載については、20ページから32ページに添付をいたしました報告書全体を御覧いただければと思います。
 なお、全体を総括した所見としては、概要にございますとおり、事業開始以降多額の交付金が投じられてきているが、東電イチエフ事故後の原子力施設の安全確保に対する不安が広がる中で、大型再処理施設の竣工が目前に控える状況を踏まえると、中立的な立場で安全に関する科学的な調査研究を行う本事業の意義は十分にあると考えられる。
 一方で、多額の交付金が投じられている状況を踏まえ、本事業の実施においては、2から4で示した指摘事項に従い、より事業の効率的な実施とさらなる理解醸成活動の強化に取り組むことが望まれる。
 なお、本事業の安全に関する様々な成果が、青森県はもとより、我が国全体の原子力が直面する安全性に関する課題の解決にも貢献することを期待するというふうになっているところです。
 本事業についての私からの冒頭の御説明は以上です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   それでは、私から論点について説明をさせていただきます。お手元の「論点等説明シート」を御覧ください。
 1点目として、昨年秋のレビューでの指摘を受けて、交付先(青森県)にて実施をしている事業検証委員会の取りまとめ結果という点。
 2点目として、これまでの事業成果、それから上記を踏まえた適切なアウトカム・アウトプット指標の設定と、今後の事業推進の在り方という点等が論点になると考えられます。
 それでは、議論に入ります。説明者は、外部有識者からの御質問に対して簡潔明瞭に回答願います。
 それでは、外部有識者の先生方からの後質問をお願いいたしますが、並行してコメントシートの記入もお願いをいたします。
 それでは、お願いいたします。いかがでしょうか。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】   お先に失礼いたします。いろいろこれまでの結果で、具体的な作業も進めていただいてありがとうございました。丁寧に対応していただいたかなと思っています。その中で特にロジックモデルについてですけれども、いろんな資料は整えてはいただいたし、いろんな周辺状況も含めて整理はしていただいたなと思うんですが、ロジックモデル、特にアウトカムのところ、この事業が大きく分けて、まず研究としての成果がいかなるものであったのかということ、低線量被曝の研究という領域の問題。それからもう一つは、それが実際に報告書でも、青森県の報告書でも指摘されていますけども、アウトリーチも含めて、住民、特に青森県民、周辺地域の皆さんにとって安全や安心を実感するものにつながったのかというような問題。それから、さらにその上で地域振興という観点も含めて、ある意味そう意味ではうまく整理をしていただいたなと思いますし、こういったものがしっかり打ち出すことができたというのは、この公開プロセスに至るまでの皆さんとのいろいろとお話の中で出てきた1つの今回のプロセスの大きな成果だったんじゃないかなと思っております。
 短期アウトカム、中期アウトカム、長期アウトカム、こういう構造にしていったところの背景等々について、改めて御説明をいただければと思います。いかがでございましょうか。
【説明者】   構造は、先ほど冒頭の御説明で申し上げたとおり、3点でございまして、研究成果のところと、認知、アウトリーチですね、認知を上げるところからアウトリーチに至る、理解を実際つなげていくというところと、副次的ですけれども、経済につながるところということで、短期の部分では、まず施設の基盤を整えるというところから、実際に研究成果を上げて、それが今後使われるようにしていくというところが一番の柱でございます。
 2番目の立地地域における実施機関とその取組の認知の向上というのは、まさに研究所が立ち上がって、こういう研究がなされているというところから、それこそ村のお祭りに参加してプレゼンスを上げるというようなところまで実際行われておりまして、そういったところから実際にそれを出していくデータの信頼につなげ、それをさらに自分たちのアウトリーチとして、より使ってもらえる形にしていくというところ。地域振興のところは、いろいろと経済的なところでの貢献というのが副次的なものとして見られるという形で、そこは今回の先生方との議論の中で、我々としてもこういう3つの柱立てが可能だろうということで整理をさせていただいたというところでございます。
【亀井委員】   ありがとうございます。では、累積で巨額のという秋の指摘のところが十分説明し切れたかというと、これは最後は総合的な判断になるからなかなか難しいところで、なかなか合理的な説明は尽くせないのかなというふうには思う一方で、一方で実はこのロジックモデルとてもよくできていて、ぜひこれは省内でも皆さんに共有いただきたいのは、単に指標だけではなくて、例えば参考情報というような形で、定性的なことも含めてしっかり書かれていて、定量的なことでどうしてもロジックモデルがゆがんでしまうことが多いんですけれども、そこは皆さんが御努力いただいて工夫していただいた成果かなと思っていますので、そこは前向きに評価をしたいなと思います。
 一方で、レビューシートを見ると分かるとおり、では、じゃあ、なかなかレビューシートに書き込むKPIがないよねという話になってしまうところを今後どうしていくのかというところは、まさにここまで、逆に、皆さん自身が整理を進めていただいて、切り口をしっかり明確化していただき、また青森県ともしっかり、有識者の専門委員会も含めて開かれて、そこで見えてきたことを踏まえて、そこの事業の再構築というところは、こういった整理に基づいてしっかり進めていただくことが必要だと思いますので、そこはぜひお願いをさせていただきたいと思います。
 その方向性について、もし何かコメントがあればいただければと思いますし、それがなければ、このままで結構でございますけども、いかがでございますか。
【説明者】   今まで我々何をやってきたかというと、研究所がデータを積み上げるというところをまず一生懸命やってきたところなんですけども、今回の一連の検証のプロセスとここでの議論の中で、それだけだとアウトカムではないんじゃないかという指摘をまさにいただいたところで、今回、下線が引かれている指摘事項になっているんですけど、これは伊藤先生なんかからもコメントをいただいたところですがどう受け取られているのかというところをきちんと把握する手法をもっと工夫するべきではないかということで、そういったところは、青森県とこれから議論をして、県のシステムなんかも使いながら、いい形をつくっていきたいなと考えているところです。何か室長ありますか。
【説明者】   担当室長の有林より補足説明させていただきます。今亀井先生から御指摘いただきました、まさに累積で多額な予算が投じられているというところに対しまして、一応こちら、短期のアウトカムの研究実績としましては、まさに様々、地元に対して、例えば原燃が、まさに六ヶ所再処理の事業者が申請した被曝線量が、実際に計算をしてみると、それよりも実績低かったとか、そういった様々、地元に対して安全・安心の情報を与えるという実績は出ております。
ただ他方で、この事業の一番のポイントは、とても特殊な施設が様々ございまして、ユニークな施設であるがゆえに維持費がとても高額になってございます。それに対してこれまで様々な地元に貢献する成果は出てきているんですけども、検証委員会においては、逆にそれだけの維持費がかかるのであれば、それに見合うだけの成果を、当然この青森の事業もそうなんですけれども、それ以外に、我が国、または世界で、様々なここにしかないような施設がたくさんございますので、そういったところを最大限活用しながら、投じる国費に見合う成果を施設全体として創出するようなことを中期のアウトカムとして設定をしていきたいと思っておりますし、我々もそこはしっかりと、事業の範囲内と事業の範囲外とございますけども、しっかりと何かしらフォローできる仕組みを整えてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【亀井委員】   ありがとうございました。今まさにおっしゃったようなところ、一方でどの範囲でとどめるのかというところもあるんだと思いますので、そこは慎重に考えていく必要があるんだと思いますし、それ以外にもなかなか金銭に換算するのが難しいものがあるのは重々承知はしているんですけども、さっき伊藤さんからの指摘であったという話があるんですけれども、大事なことは、青森県の人たちから見てどうなのかという話であり、あるいは国費を費やしているわけですから、私たち国民から見てどうなのかというところに立ってアウトカムの設定に心がけていただくということは大原則としてしっかり維持していただきたいなと思いますので、くれぐれもよろしくお願いいたします。
以上です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかいかがでしょうか。伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】   ありがとうございます。今の引き続いてアウトカムのところになるんですが、まず調査研究という観点で見たときに、今お話があったように、多分これは青森の県民の安心・安全のための調査研究と、この施設特殊性を生かした、多分日本全体だけじゃなくて、国際的な調査研究、2つのことが書かれるべきかなと思っていまして、中期アウトカムでIAEAの報告書と、それからの引用、これは少なくとも秋の時点でこういう話はなかったかなと思いますので、今回の秋から春にかけての間で検証する中で、こういうところにも今までのノウハウが十分生かせるという判断があったということで、まずよろしいでしょうか。
【説明者】   御指摘ありがとうございます。今回、検証委員会の中でも、まさに先ほど申しましたように、この施設自体の持っているスペックというのを、まさにこの事業だけにとどめず、国内、まさに世界的な成果につなげていくというようなところがございます。実際にこちら、国際的な関係で申しますと、まさに国際機関のメンバーに環境研の理事長が委員として参画し、様々な環境研の成果を発信をさせていただいておりますので、そういった様々な人的ネットワークなども最大限に生かしながら、この成果というものを、県はもとより、世界的にも積極的に発信していく。そういったものをアウトカムの中でもしっかりと指標を立てて捕捉していきたいと考えております。よろしくお願いします。
【伊藤委員】   ありがとうございます。これまで24回も延期があったというように、ある意味、これは高度な判断の中で常に行ったり来たりというところがあるかと思うんですが、もちろんその判断は判断としてあるけれども、きっとこの30年間積み重ねてきたものというのは、いかなることがあろうともきっと残るものがあって、それは、まさにここの短期アウトカムで整理していただいたような、青森県民のためにということもあれば、日本、国際的なところ、ここが多分この後重要になってくるのかなと思っていますので、きっとこの後の1年、2年、3年の中で、短期アウトカム、中期アウトカムの中の数字が入ってくることが非常に重要なのかなと思いました。
 もう1点だけ。もう一つのアウトカムで、県民への認知の向上であったり、まさに信頼の向上というところがあろうかと思うんですが、どうしても、国からすると、委託をして実施をする主体は2つの財団ということになると思うんですけれども、県民がどういう思いを持ってやっているかというところまで、これはある程度国としても、特殊な事業だからこそ把握をする必要があるのかなと思っていまして、割合、特に六ヶ所村の中で、住民と一緒にあらゆる合意形成であったりとか、核燃料サイクルのことを通して、まちづくりとどういうふうに関わりがあるのかというような動きというのは多くあるなと思っているんです。まさにそういうところが、これも、この後アウトカムの中に指標が入ってくるところだと思うんですが、そのときに、既に行われている住民との対話の活動をどうやってこの事業の中にもつなげていくかというところが大切かなと思っていまして、そこはなかなか細かいところを文科省として全部把握するというのは難しいかもしれないですけれども、青森県とのコミュニケーション中でそういったものは出てきているものでしょうか。検証のプロセスの中で出てきていたりするものでしょうか。
【説明者】   御指摘ありがとうございます。検証委員会の中においても、実は福島などにも関わられているリスクコミュニケーションの方、2人、特にリスクコミュニケーションが大変重要であるということで、委員の選定をする際にも大変我々としても重点を置かせていただきました。
 実際、今、環境研、または海洋財団において、これまで実際に広報活動等を行っていたわけですけども、まさに最近、先生から御指摘いただいたこともで踏まえまして、実は六ヶ所村から様々な代表の方を御推薦いただいて、そういった方々から構成される委員会を実は立ち上げさせていただいております。その委員会のメンバーの方から、まさに住民を代表する声として、こんな研究を取り組んで欲しいというような御要望を直接実施団体のほうが受けるスキームというのを今確立しておりまして、そういったもの、地元の声をまさにこれからの研究にしっかりと生かしていく。まさに双方向の、実施団体から一方的に情報を発信するだけではなく、住民からのインプット、それに対してしっかり応えていくというようなところにもしっかりと力を入れたいと思っておりますし、またそれを県民に広げていく際には、これ、国から県を通じて、実施団体ということで、県が中心になるわけですけども、そこは県とも連携をしながら、県の中でも様々な住民の意識を調査するスキーム等ございますので、そういったところがどこまで活用できるかというところにつきましては、今後県とも調整をしていきながら、先生がおっしゃいましたように、まさに県民の安全・安心を確保するというようなところをどういった指標で測っていくのかというところについては、改善も含めて引き続き取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
【伊藤委員】   最後にしますが、私自身、今現在進行形で原子力に関しての住民対話のコーディネートというのを複数の箇所でやっていて、非常にこの分野って、どうしても価値観とかが入ってきますので、非常に対話をするのは難しさも感じるんですが、ただ、逆にそういうことをしなければ、ここに出ている住民満足度であったり納得度というのは出てこないということを痛感していますので、かつ、もともと関心のある方ということだけではなくて、多様な住民とどのようにして対話の場をつくれるかということは大切かなと。これはまさにここに出ている2つ目の成果につながってくるのかと思いました。
 以上です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   よろしいですか。
 では、川澤委員、お願いします。
【川澤委員】   御説明ありがとうございました。今のはまさに伊藤委員との間で議論のありました、地元の声をどういうふうに反映していくかという点につきまして、私も、18ページの事業の推進スキームを拝見しましたときに、横の関係の矢印ばかりが引かれていて、住民の、例えば地域共創委員会ですとか、そういったところの声がうまく研究テーマのところに生かされていないというところが課題ではないかと非常に感じました。
 ただ、今お話お伺いしますと、そういった取組というのが今後なされて、かつ、実態としてやられているところをどう取り組んでいくかという段階にあると伺いましたので、ぜひこれは、仮に、報告書の中には含まれておりますけれども、実態を踏まえて、少し見直していく必要があるかなと思いました。そこはコメントです。
 もう1点なんですけれども、12ページのところでアウトカムのお話あったかと思います。調査研究の成果としては、施設の特殊性を生かしてどういうふうに充実させていくかというお話あったかと思います。そこはデータの特殊性ですとか秘匿性というのもあるとは思うんですが、今、この2つの財団が調査研究を行っていて、2つの財団しかリソースがないというところは住民にとってもかなりリスクの高いところなんだと思います。分析し得る機関が複数あるということが、分析結果についての納得度ですとか信頼性を高めるということも考えられると思います。ノウハウがあるというところで信頼性が高いところもあるんですけれども、複数を持つということも重要だと思いますが、なかなか、特殊性があるがゆえに、そういった機関というのも新しく参入というのは難しいのかなと思いますと、例えばオープンデータのような形で、データをきちんとオープンにして、諸外国含めた様々な研究者に研究してもらうということも1つの手かと、かなり素人的に考えたんですが、そのあたりはいかがでしょう。
【説明者】   今のまず生物影響のほうに関しては、先ほど理事長のお話もありましたけれども、生物影響の放射線のコミュニティーが国際的に存在していまして、そのコミュニティーの中に環境研自身も加わっていると自認をしていて、当然国際交流もしながら、データは当然論文の形式で出したり。ただ、研究の性格上、ライフサイクルのほかの分野とかと比べるとすごく成果が出るまでに時間がかかるといった特質があるようですけれども、出てきたデータを学術のコミュニティーの中に出して、当然チェックを受けて、当然最新の知見を自分たちも取り入れ、学術交流をしているというようなことは、設立当初から意識してなされていると理解をしております。
 青森県の気候の動態、環境動態を見るものに関しては、当然気象系の先生方とか、そういったところとつながりながら研究しているとは思いますけれども、データに普遍性がないというか、スペシフィックに青森のものでございますので、可能な範囲でそういった取組をしているんだと理解しています。何か補足あれば。
【説明者】   何点か補足させていただきます。まさにマンパワーが足りるか、足りないかというところ、御指摘、実は検証委員会のほうでも、まさにこの環境研も研究者は三、四十名ぐらいしかおりません状況で、そのために、今の体制においては、地元の大学を中心に、まさに環境研がやっている研究に関心を持って、またサポートしていただくようなネットワークというものを構築すべく取り組んでおります。
ですので、先生がおっしゃいました研究、この研究自体、かなりニッチな分野もございますので、全体として全国でどれだけいるかというところはありはするんですけども、ただ、そういったネットワークを通じて、機関と機関との連携として、しっかりとした体制を。ですので、何かあったときにも、ちゃんと環境研が窓口となって、様々なネットワークの方々と協力をしながらしっかりとした対応ができるというような体制をしっかりと構築をしていきたいと思っております。
【川澤委員】   ありがとうございます。まさに、恐らく調査研究の情報の発信のときに、その調査研究がどういう体制で調査されたかというと、今のお話は非常に重要ではないかと思いました。恐らく結果だけではなくて、それをネットワークを使ってかなりの数の研究者が関わって、海外からのレビューも受けた上で示されたものなので、そういったことで信頼性が高まるということは大いに考えられると思います。そのあたりの情報発信のときには、そういった体制も含めて、どういうふうに調査研究がされたのかというところも含めて発信をぜひしていただければなと思います。
 以上です。
【説明者】   御指摘ありがとうございます。実は今年度から、情報発信をする際にも、リスクコミュニケーターだとか、その分野の専門家の意見をしっかり伺うというようなスキームを取り組んでおります。ですので、これまでの研究者が一方的に単に情報発信するだけではなく、どのような情報を発信して、まさに先生から今御指摘いただきましたように、どのような情報を発信することによって聞く側のほうが安心感を得るのかというところは、そこは専門家の意見を、研究者とは違ったその分野の専門家の意見を参考にする必要があると思っておりますので、そこも引き続き改善に取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかいかがでしょうか。
 堀川委員、お願いします。
【堀川委員】   ありがとうございます。検証委員会の報告書の中で、理解醸成活動ということで、県民の関心・理解度・安心の度合い等について適切なアウトプット・アウトカム指標を設定すると。検証委員会のほうで求めたものを、今回、レビューシートの中で早速取り込まれているというのは非常にいいことだと考えます。それはある意味、国のシステム、仕組みの中にある行政事業レビューシートに書くことで、さらにオープンになるということだと理解します。
 それについてなんですが、例えば検証委員会のほうで、一般競争契約を行ったもののうち1者応札が7割となっているものの現状の改善を求めていますが、今既に相当な割合で改善されていると聞いているんですが、その点、簡単に教えてください。
【説明者】  一者応札率に関しては、ちょうど去年行革事務局のほうから指摘を受け令和元年度の実績をベースに検証させていただいていますが、委員会の中においては、様々、今年度の状況、その後のフォローアップも含めて議論させていただいています。
その結果としまして、実は令和元年から電子公告等を始めて、始めた当時は一者応札が7割でしたが、令和2年度の実績としましては2割を切るまでに改善をされておりまして、今年度におきましては1割近い数字となっており、環境研の努力によって複数社による応札ができる環境が整ってきました。特に多額の国費を投じておりますので、透明性という観点においては、今回の検証委員会の中でも指摘を受けており、引き続きここは我々としてもフォローしていきたいと思っております。
【堀川委員】   皆様が努力した結果だと思うんですね。こうやって公の場で議論する、取り上げる、国民への説明責任を取り組むことによって、ある意味、30年間変わらなかったものが一気に変わるということなのかもしれない。
と考えると、1者応札に限らず、契約の状況については、様々な観点で見方がありますので、そもそもどういう契約方式にしているのかとか、総合評価もありますし、公募型の随契もありますし、また落札比率とか、様々なデータで見ていかないといけないと考えますと、先ほどのアウトカム・アウトプット指標と同じく、国の中に、仕組みの中に入れるとしたら、一番いいのは行政事業レビューの中にそういう契約の情報も入れていくことも1つの考えじゃないかなと私は思うんです。その辺、御検討いただければなと考えます。
【説明者】   御指摘ありがとうございました。実は我々も今回検証委員会を開かせていただきまして、我々もこれ出して終わりというわけではなく、まさにこの検証委員会の中で、今回契約だとかも細かく見ていただいた観点もございますので、我々もこれを出しただけではなくて、しっかりとしたフォローアップを行わなければいけないと考えております。
 今先生御指摘いただきました、ここの中で議論した様々な契約も含めたところについては、何かしらの形でフォローアップしていくことが重要かと思っておりますので、この検証委員会で行うのか、行政事業レビューでするのかについては、先生方の御意見も踏まえまして、引き続き対応を検討してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
【堀川委員】   よろしくお願いいたします。以上です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。スタートから30分経過しました。外部有識者の先生方におかれましては、コメントシートの記入、それから御提出をお願いをいたします。
 それでは、引き続きまして、先ほど手を挙げておられた石井委員、いかがでしょうか。
【石井委員】   ありがとうございます。今、堀川委員からあったところと同じ論点ですけども、これあくまで事業の形としては、レビューシートの資金の流れではないですけども、文部科学省から、国から県に来という形で、その先ということで、今、大きく財団2つですかね、そういうお金の流れになっていると。今回の検証報告書、これについては、県に出されているものというふうに理解をしました。でいいですかね。
【説明者】   こちらにつきましては、実際には県と国がうまく連携をしながらということで、公表自体も国のホームページ等でも実施をしているという形になってございます。
ですので、先ほど申し上げましたフォローアップにつきましても、ここも引き続き県とも連携をしながら、我々も、県の事業ですと言うのではなくて、国としてもしっかりと関与する形でフォローアップをしてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【石井委員】   アウトプット・アウトカムの議論というのは、前段というか、先ほど来非常に充実したところだと思うんですけれども、一方で課題感というところは、先ほどユニークな施設で維持にお金がかかるというところもあったと思うんですけども、決してユニークだからで終わっていけないというのは当たり前の話ですけども、そういった中で、国がですね、県が中心にもちろんずっとやり続けておるというところですけれども、国としてどう関与していくのかと。チェックと言うと言葉があれかもしれないですけども、今御回答いただいたところで腹落ちしておりますので、大丈夫です。
 以上です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかにいかがでしょうか。ございませんですか。
 ないようであれば、引き続きコメントシートの記入をぜひよろしくお願いをいたします。
 もし説明者においても、何か補足したい点、言い足りない点ござい……。亀井委員から手が挙がりました。お願いいたします。
【亀井委員】   大体主要な論点についてはほぼお話ができたと思っているんですけれども、一方で、公開プロセスでもありますし、私が最初に実は疑問を持ったところについてぜひ文科省さんのほうで御説明いただきたいんですけれども、青森県で設置された委員会の報告書を拝見させていただくと、最後のところで、この施設が中立的な立場で安全に関する科学的調査研究が行われているとあるんですが、見ようによっては、これは今回のために作っていただいた資料の1つで、ロジックモデルの次のページに、それぞれ、日本の核燃料サイクルをめぐる行政のアクター、登場人物について整理をしていただいたものがあって、経産省は推進する立場です。事業そのものを推進する立場ですと。それから、これに対して文部科学省は研究開発としての核燃料サイクルの推進をしていますと。研究としてのという括弧書きはありながらも推進する立場ですと。これについて、安全の立場からは、安全規制の立場で原子力規制委員会があって、青森県は住民にとっての安全・安心というところをしっかり守っていきますという、こういう役割分担があるんだというのはあるんですが、一方で、やや中立的という言葉に私は今でも引っかかっているんですけれども、お金は推進する立場である文科省が出していて、という中で、果たして本当に中立的な立場の研究というふうに、この報告書に難癖つけるつもりはないんですが、そういうふうに本当に言ってしまっていいのかというのは、核燃料サイクル初めにありきなんじゃないかと私なんかは思ってしまうんですけれども、そういったところまで含めて考えていくとどうなのかなというふうに思うんですが、こういった疑問に対して皆さんはどういうふうにお答えになるんでしょうか。そこをぜひ教えていただければと思います。
【説明者】   文部科学省が、役所の方針として、当然原子力政策のうち科学技術に関するものを所掌しておりますので、核燃料サイクルを推進する立場、私もその仕事を今しておりますので、それは間違いないことだと思っております。
 その上で、当然交付金の趣旨にもなるんですけれども、再処理施設も含めた原子力施設の設置の円滑とか、運転の円滑化のためにこれを出していると。役所としてのお金を出している心はそこにあるんですけれども、立地自治体というのは基本的にその思いを慮って、私の立場で申し上げれば、完全に是々非々で基本的に対応されるというのが自治体のお立場かと思っております。当然青森県は、当初の電力事業者からの立地の申入れに対して、それを受け入れていらっしゃいます。それは、国の政策として、エネルギー源の確保として核燃料サイクルの推進というのがあったから。その点において立地の受入れはされているんですけども、県としては、常に政策の方向性の約束が引き続き維持されているのかとか、当初要望された原子力環境安全研究といったものですね、低線量被曝の影響といったようなものの研究の推進というものがちゃんと果たされているのかというところの確認というのを常にしながら、我々は先ほど申し上げたような意図で県にお金をお渡ししているんですけども、県としては、当然施設を受け入れて、それを維持していく、操業する前提として県民の理解というものがなければいけないので、委託という形で、今回話題になっております両法人にお金を出す形で、県独自のデータを取ると。それは当然サイエンティストがサイエンティフィックに取っておりますので、その意味において中立的だということかなと理解しております。
【亀井委員】   今のお話は、私が補足するのも変なんですけれども、18ページにある交付金事業の推進スキームで、国が直接環境研をはじめとするところにお金を出しているわけではなくて、是々非々の立場である青森県を1回かませているから、そういう意味で是々非々が入っているから中立であるという、こういう御説明だと理解してよろしいですよね。
【説明者】   はい。そういう理解でよろしいかと思います。要は、県としては、独自に、何事も立地県、皆さんそうですけれども、国は当然安全規制とかありますけども、大体県はそれぞれの安全委員会を持たれていたりとか、当然県民が納得してくれるかどうかというところを常に合意を取り付けた上で、いろんな安全協定に基づく了解等をされるということなので、県としても独自のデータを持つという意味も当然あると思いますし、今先生のおっしゃられた理解でよろしいかと思います。
【亀井委員】   とは言いながら、私は青森県に設置された委員会の報告書に何か申し上げる立場ではないんですけれども、一方で、こういった議論が行われるときに、私はより慎重に関わらなければいけない、あるいは、ぜひ取り扱っていただきたいと思うのは、「中立的」というような言葉というのは、極めて私は価値観を伴った言葉だと思っていて、大体世の中で中立的と言っている人ほど私は信頼していないんですが、これは個人的意見ですが、そういう中で、例えば今のお話であれば、科学者として中立的にとか、例えば何々として中立的であるということがきちんと記載されるというのは、こういった委員会の報告書においてはあるべき姿なのではないかと、これは率直に思います。
 これは1人の意見として申し上げますけれども、安易に中立性という言葉が、特にこういった様々な価値観がぶつかり合う核燃料サイクルみたい政策については、極めてこれは慎重に取り扱うべきだと思いますので、ここは1人の意見として申し上げたいと思います。失礼いたしました。
【説明者】   先生、御指摘ありがとうございます。先生の御指摘を踏まえまして、我々、これからフォローアップなど、様々行っていく予定ですので、そういったところの文言の使いぶり、より丁寧な表現というところに努めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
【亀井委員】   ぜひよろしくお願いします。ありがとうございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ほかにいかがでしょうか。
 あと、コメントシートまだ提出されていない先生方におかれましては、御提出をお願いいたします。
 堀川先生、お願いいたします。
【堀川委員】   お時間があるようなので。12ページの先ほど地域振興への貢献というのを反射的とおっしゃいましたっけ。それはどういう意味合いなのか、簡単に説明をもう少しいただければと思います。
【説明者】   当然経済振興政策ではなくて、産業を活発にするとか、そういった業界をいろいろ刺激して、その上で何か進めていくといった類いの政策ではなくて、あくまでも核燃料サイクル施設というのの受入れの前提条件を整えていくというところで国としては進めているところの事業でございますので、青森県や六ヶ所村の経済にどれだけ貢献したかというのは、当然お金の支出が伴う事業なので、副次的に効果はあるものですけれども、それ自体を目的にしているものではないという趣旨で申し上げました。
【堀川委員】   九百何十億というお金、トータルで30年間、それの大方はこういう委託で出ているわけですね。その金額が巨額だということもある意味透明性を上げる必要があるというのが今回の議論だと思うんですが、そこは単純に地域貢献を無視して、本当に純粋な競争契約かけていいんだろうというスタンスにはなかなか立てないと思うんですけれども、またそこの議論を、結果的に出ただけで、ということではなくて、まともにそこの部分は我々考えていかないといけないところだと考えるんですが、いかがでしょうか。
【説明者】   先生、御指摘ありがとうございました。補足させていただきますと、この事業の目的自体が県民の安全・安心というところがまず大前提にあるんですけれども、ただ先生がおっしゃるように、これ、多額な国費が投じられております。実際今申し上げたのは、例えば職員を見た場合に、これはまさに世界トップレベルの研究を、まさに安全・安心の研究やりましょうというふうになったときに、当然研究者は全国から優れた研究者を雇用するというような形になります。ただ他方で、事務職についてはできるだけ地域の雇用を行いましょうということを取り組んでおりますし、また先生から今御指摘いただきました契約についても、当然地元に限定したような契約ができるものについては、これは実施機関のほうにおいて、県とも調整をしながら、こういったものについては、逆に言うと対象を絞り込んで、まさに地元貢献の観点も加えた上で契約を行うというところも今実際に取り組んでいるところもございますので、なので、今回、様々な御指摘をいただいた中で、我々、検証委員会で意見をまとめたときにはそういった観点は出ていなかったんですけど、今回のこの公開プロセスの中で亀井先生からそういった御指摘受けまして、こういったロジックモデルをまとめさせていただきましたので、そこは我々としても今後は、そういった観点も、可能な限り定量的に示せるものはしっかりと拾い上げていければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【堀川委員】   おっしゃったとおり、実務上非常に難しいバランス、かじ取りが必要ですので、今後も引き続き透明性を上げていただければ、また国民への説明責任を上げていただければと思います。
 以上です。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 伊藤先生、お願いします。
【伊藤委員】   ただの振り返りの確認にもなってしまうんですが、この事業のレビューシートのほうだけを見ていると、どちらかというと、この交付金、及び、県からの2つの財団への委託費は、ハードに対して、研究費としてのハードについてとも見えるんですが、18ページの交付金事業のスキームの中には、最初のほうに川澤さんからもお話があったように、六ヶ所村の住民のこの関心・不安・要望という、そこを取り込むというスキームもある。かつ、目的の中には住民の安心・安全に資するというところも入っているので、というふうに考えると、先ほど私が申し上げたような住民との対話の部分があってもよいのか。これ、たしかもう一つ委託事業があって、委託費のほうはそういうことをやっていると思っているんですけど、この事業としてもそれはあり得ると取ってよろしいんでしょうか。
【説明者】   レビューシートのほうの6ページになりますけれども、これは青森県を経由しまして、それぞれ施設整備費と調査事業という2つのお金で、2つの自治体に行ってございますが、このうち設備等整備事業というのが、これがハードの維持管理費になってございまして、もう一つの調査事業というのが、これは研究開発、調査研究のみならず、それをアウトリーチをしっかりとやっていくというようなところでございまして、まさに来年度から新しい5年間の計画に入りますけれども、その中において、特に今年度からもそういったアウトリーチのところにしっかりとした体制を組んで行うべく、予算措置ということを、まさにこの令和3年度から、これは調査事業の一環の中において取り組ませていただいております。よろしくお願いいたします。
【伊藤委員】   ありがとうございます。その意味では、先ほど亀井さんからもお話があったんですけれども、中立トイウアイテの中立というわけにはさすがにいかんとは思っているんですけれども、もちろんこれは文科省とすれば、これは政府として推進はするんだという立場ではあると思うんですけど、だからといって、合意形成、住民との対話がしちゃいけんというわけでもないと私は思っていて、何が言いたいかというと、なかなか私も実感として、こういう施設を持っている住民と話をするときに、どうしても奥歯に物が挟まったような感じで、本音を伝え切れない。どちらかというと、明確に考えをお持ちの方が中心的に出てくるということが多いと思うんですけど、多分これ、私が関わっている市町村に限らず、どこででも大多数の人は、どっちかまだ分からないという方、真ん中に寄っている方って多いのかなというふうに、そういう実感をしていまして、そういう方たちと一緒に考えることによって、これは別に右に行くか左に行くかを決めるということよりも、六ヶ所村というのはこういうところなんだという。特に六ヶ所村はまちづくりと直接的に結びついているという場所でもありますので、自分たちの住んでいる場所というのはこういうものなんだということを一緒なって考える場を、別にこれ、文科省が直接やるというわけではないと思うんですけど、文科省がそういうアシストをするということはあり得るのかなと思いました。
 以上です。
【説明者】   ありがとうございます。まさに環境県とも我々が話する機会あるんですけども、アウトリーチの手法自体は、まさにこれから発達させていかなければいけないというか、彼ら自身がやらなきゃいけないと思っているところなので、今までの住民説明会みたいなものはやっているんですけれども、伊藤先生、いろんな手法も工夫されて実施されているのは承知していますが、我々、まさに、環境県とこれから青森県と一緒になって、そういった取組をどのぐらいやれるのかというのを考えるフェーズに今来ているのかなと思いますので、また御指導いただいて、我々としてもよりよい形にさせていただきたいと思っております。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   もう少しお時間ありそうですが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 石井委員、お願いいたします。
【石井委員】   先ほど、来期からの5年間というお話があったと思うんですけども、次の計画というか、次のフェーズだと思うんですけども、ここまで議論してというか、ぜひというか、きっとやるつもりだろうなとは思っているんですけども、途中で第三者という外部のですね、またこの外部の難しさとかもあると思うんですけども、定期的に取りまとめて、全てが順調というわけにはいかないわけですから、いろんな課題が出てくると思うので、どうしても長い話ですので、毎年毎年こういう場でというのもあるのかもしれないですけども、少し動いたところで、じゃあどうなんだというようなところは、今回、すごくきっかけとして、30年たったからというところの取りまとめだったのかなというふうに最初伺ったときは理解したんですけれども、もう少し短いタームで、だからといって毎年毎年かなという気もしたりもしますけれども、ぜひ取り組んでいただけるとよいのかなと思っております。
 以上です。
【説明者】   先生御指摘ありがとうございました。この事業自体、5年の計画を、当面10年見ながら5年の計画をつくって実施していますけども、最低限、まさに今回5年のスタートを切るときに、こういった総括・検証をさせていただいて、それを5年の計画に反映させるということを今行わせていただいているんですけども、最低限またその次の5年をつくるというところにおいては、まさに今回様々議論させていただいたことがどうだったかというところも検証する必要があるのかなというふうには担当としても思っておりますので、どのように進めていくかというところは、県とも調整をしながら、しっかりとPDCAサイクルが回るように努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   ありがとうございました。よろしいですか。
 それでは、コメントシートの集計がまとまったようでございます。取りまとめ訳の川澤委員から評価結果と取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【川澤委員】   評価結果について発表いたします。
 事業内容の一部改善が5票、現状どおりが1票でございます。
 主なコメントを紹介いたします。
 今回の外部検証及び公開プロセスへの取上げは非常に有意義。定期的な外部による検証が必要と考える。昨年の秋に比べてアウトカム指標が明確になっていることは大きく前進していると言える。今後はこの指標に実績が入ってきて、いかに目指す姿に近づいているかの評価をしていくことが必要になる。
 一方、今回のプロセス見直しが進められたこともあって、定量的な項目も含めた実態把握、モニタリングができていない。今回のプロセスでの見直し踏まえたアウトカムの再設定、これを実現できるモニタリング体制の構築が急務である。特に青森県民における安全・安心に関する実態把握については、現在把握できている参加人数ベースではなく、県民が安全・安心についてどのように受け止めているのか、丁寧なリスクコミュニケーションを踏まえた対応が不可欠である。
 交付している国の立場として、地域住民の認知度や処理施設に関して自分ごとにしてもらうことは重要。その観点で、関心のある住民のみならず、多様な住民との対話の場を設定し、県や六ヶ所村に働きかけることも検討できるのではないか。
 アウトプット・アウトカム指標がアウトリーチ活動に偏っている感があるため、調査研究の学術的な評価なども含めてもよいのではないか。投入金額の正当性を説明するためにも。
 環境研における外部委託等の契約において、本件事業の特殊な背景を考慮する必要があることから、具体的な契約の現状把握が必要。行政事業レビューのレビューシートの資料として契約に関する一覧表を添付する。
 こういった御意見がございました。
 それでは、取りまとめコメント案を申し上げます。
 アウトカムについて見直しがなされていることは評価できる。ただし、見直し後のアウトカムをモニタリングできる体制の構築が急務である。特に実態把握については、参加人数ベースではなく、県民が安全・安心についてどのように受け止めているか、丁寧なリスクコミュニケーションを踏まえた対応が不可欠である。今後は、関心のある住民のみならず、多様な地元住民との対話の場の設定を県や六ヶ所村に働きかけることも検討できるのではないか。
 成果指標については、今後は住民の満足度や認知度を重視すること、また調査研究の学術的な面なども含めてもよいのではないか。世界的にも特殊な施設であり、これを国際的に見せていくことが地域住民の安心・安全につながる。
 加えて、環境科学技術研究所の外部委託等の契約について、具体的な契約の現状把握が必要である。行政事業レビューシートの資料として一覧表を添付するなどが考えられるのではないか。
 以上でございます。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   今の評価結果、取りまとめのコメント、いかがでしょうか。
【川澤委員】   評価結果については、事業内容の一部改善が5票でございましたので、評価結果は、事業内容の一部改善でいかがかと思います。
【行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】   失礼いたしました。今のまとめに関しまして、御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 よろしければ、今川澤委員から御披露いただいたところで決したいと思います。
 どうもありがとうございました。
 以上をもちまして、核燃料サイクル関係推進調整等交付金の公開プロセスにつきましては終了とさせていただきます。ありがとうございました。
 これにて本日の文部科学省の公開プロセスは終了いたしました。
 外部有識者の先生方におかれましては、長時間の検証作業の中、貴重な御意見を賜りました。ありがとうございました。
 またインターネットで視聴された方々皆様にも検証作業にご参加をいただきましたことを厚く御礼を申し上げます。
 なお来週の29日には2日目の公開プロセスを実施をいたします。よろしくお願いをいたします。
 本日はどうもありがとうございました。



 

―― 了 ――

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