令和5年度公開プロセス結果の公表

外部有識者による評価のコメント

第1コマ目:保健医療分野におけるAI研究開発加速に向けた人材養成産学協働プロジェクト

・主目的の人材養成でのアウトカムの設定は適切であるが、加えて、参加大学の広がりについても設定の検討が必要である。
・目標を超える履修者の登録の実績が出ていることは評価できるが、さらに、継続的に履修者が研究に関わっているかの調査を検討する必要がある。
・「人材養成ができ、彼らが能力を発揮した結果、社会に具体的にどのような結果がもたらされるのか」の視点を持った上でアウトプット、アウトカムの見直しを検討してはどうか。
・養成された人材がどのようなキャリア形成を行うのか、大学及び大学病院等におけるAIの活用に本事業はどのように貢献しているか、引き続き情報収集をすることが必要である。
・大学病院に戻った後の活躍を指標化して、EBPM上の定量化を図る必要があると考えられるので検討願いたい。
・ロジックモデルについて、プログラム自体の評価、養成後の活躍の場の強化などを長期アウトカムから行うべきと考えるので検討が必要である。
・AI実装のような大きな目的については、当該事業だけでは達成されないものも当然あることから、次期事業においては、大学病院での実装化のための様々な政策も絡めていく検討が必要である。
・経済産業省、厚生労働省、総務省、CSTIなどAI研究開発を行っている他省庁との役割分担をこれまで以上に明確にして、さらに効果的に進めてもらいたい。
・履修者の活用状況に関わるフォローアップに加えて、履修者同士のネットワーク形成やそこから生み出される新たな動きについても効率的に情報を把握できるような仕組みの構築について検討願いたい。

第2コマ目:『食文化あふれる国・日本』プロジェクト

・喫食率の測定方法について精緻に考えておく必要があるが、長期アウトカムである国民の25%認知度、15%喫食率の達成を目指すことが現実的な目標なのかどうか検証が必要である。
・食文化に関わる自治体・団体等の増加に加えて、自治体・団体等の活動内容・量・高度化についても定量的に測定する工夫が必要である。
・農水省事業との相違を明確にすることで、認知度向上にもつながり、文化庁として行うことの必要性が明確になる。また、農水省とこれまで以上に連携していくことが必要である。
・地域の高校との連携が効果的ではないか、特に食や一次産業に特化している地域の高校の事例を参考にして欲しい。
・文化財登録による地域振興の効果が大きいことが分かれば、周辺の自治体への波及効果も期待できるため、積極的な政策の検討が必要である。また、危機に直面している食文化を特定し、それを支える団体や自治体を積極的に掘り起こしていくことが求められる。目的は守りであっても、その事業はプッシュ型の事業、踏み込んだ事業設計を行うなど、新たな事業として検討願いたい。
・文化財登録するかどうかは自治体や地域の意思が最も重要ということを意識して事業を進めて欲しい。

第3コマ目:地方教育行政推進事業

・全都道府県・指定都市に夜間中学を設置することは中間アウトカムの段階ではないか。未就学者数の減少、生徒の満足度などが長期アウトカムなのではないか検討が必要である。
・長期アウトカムに希望する全員がどこにいても受けられる、望んでいる方を一人も取りこぼさないことを設定して、それに向かったロジックを構築することが求められる。67校設置の結果、どのように社会が変化し、対象の方がどのような状況になると成功なのか検討願いたい。
・夜間中学の授業の時間帯(日中に)、授業のやり方(オンライン)のオプションがあってもよいのではないか。
・オンライン・オフラインの二者択一ではなく、対面との効果的な併用、組合せを考え、どの地域にあっても教育を受ける権利を保障するために国としてできるあらゆる方策の検討が必要である。
・卒業後の進路をより把握することがインパクトにもあるウェルビーイングの実現につながるため、今後のフォローアップが必要である。
・潜在的なニーズがあると考えられるため、入学のハードルが低いことをさらに周知することを検討願いたい。

第4コマ目:共同利用・共同研究システム形成事業

・これまで拠点数は増えているが、成果を測る1つの指標で論文数が増えているとは言えない。何をもって評価するかレビューする必要がある。拠点数、共同研究者数、共同研究数の増加によるインパクトが不明確なので、明確にする必要がある。
・制度設計上、スタートアップ支援と機能強化支援を区分して実施しているため、それぞれの効果を明確に把握することについて検討が必要である。また、対象となっている設備等も分類し、本事業で効果が出やすい傾向にあるものとそうでないものを分類することも有効ではないか。
・社会へのインパクトとか共同研究論文数の先にあるものを見据えた検討が必要である。
・指標の設定について、事業の審査の観点と成果指標の関係性の見直しが必要ではないか。個別の拠点ごとの実績と評価がうまく結びついていないため、実質的な評価になるよう、評価指標の変更などを検討するべきである。
・当事業の実施によって、長期アウトカムの先に日本や世界にどんなメリットがあるのか明確にすることが必要である。
・一定条件を下回るなどした場合は、認定の取消しなどの厳格なサンセット方式の導入などを検討願いたい。
・限りある予算を集中することで、成功事例を創出し、積み重ねていく必要があるのではないか。
・異分野の共同研究については野心的な取組であり、国大法人における成功事例もあるので、本省の役割は重要となってくる。

第5コマ目:スポーツによる地域活性化・まちづくりコンテンツ創出等総合推進事業

・公募要領で求めている成果指標(地域への関心度の向上等)をアウトカムとして活用することを考える必要がある。事業の目的として、地域経済の活性化・まちづくりがあるので、どのように貢献するかの視点でのアウトプット・アウトカムを加え、より事業を高める検討が必要である。
・モデル事業から創出された「要素の横展開事例数」もあると、より事業の効果が見やすいのではないか。
・全ての地域がスポーツツーリズムで成功するわけではないので、モデル事業で行っている事例の効果検証は非常に重要であり、成功の要素と失敗の要素を具体的に抽出し分析することが必要。
・持続可能性を担保するという意味で、地域の地元の歴史と現実を分かっている個人や団体のアイデアとつながる工夫や地元の団体を核とする戦略が必要である。
・公募要領の事業テーマについては固定化することなく、各自治体のスポーツツーリズムの状況や意向を踏まえて見直していくことも必要である。
・事業開始から4年目を迎え、地域への取り組みをより効果的に実施するため、今後は、社会的に様々な指摘がされている一括で委託する方式での契約を見直し、これまでの事例の蓄積を広く周知しながら、直接委託や直接補助を行う方向へ切り替えを図る必要がある。

第6コマ目:世界で活躍できる研究者戦略育成事業

・人材政策課がイニシアティブをとって、他の人材育成事業との役割分担をより明確にすることで効率性と効果を高めるような事業設計が必要である。
・事業内容から見て、トランスファラブルスキルのプログラムであり、既に活用可能なものもあると考えられることから、本来は10年の事業期間は必要なく、短期間で目的を明確にして実施した方が、効果が上がるのではないか。
・コンテンツや参加者の数のみならず、質についても指標とすべきであり、どのような人材が本当に世界で活躍できる研究者なのかを明確にして、世界で活躍できる研究者だと認定されるための指標の設定が必要である。
・長期アウトカム指標として、海外との共同研究数が毎年増加するが設定されているが、主導的な立場での共同研究数の件数等、より多面的な指標の設定が必要である。
・10年間という長期の事業だからこそ、補助を受けている5拠点とそれ以外の研究者育成プログラムとの比較により、本事業の効果を検証することが必要である。
・10年間という長期を前提とするならば、今後、成果を展開する際、各大学で本事業の成果をカスタマイズすることは必要だと考えるが、必要な内容が漏れることなくカスタマイズされるよう、モニタリングの際に注意することが必要である。

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大臣官房会計課財務企画班