令和3年度公開プロセス結果の公表

外部有識者の評価結果

6月22日(火曜日)実施

事業名

評価結果

とりまとめコメント

 

留学生就職促進プログラム

 

 

(372百万円)

廃止

0

 

判定:

事業内容の
一部改善

 

  • アウトカム指標について改善が必要である。就職率だけの把握では事業全体の改善を見誤る可能性があり、就職率以外の初期アウトカムを選定し共有する必要がある。
  • モデル事業だからこそ採択大学と非採択大学の違いを明確化するなど、さらに分析を充実化しうる指標、分析方法の見直しが必要である。一方でモデル事業から全国展開について、具体的な課題と認定制度の展開という
    方向性が見えてきたことは評価し得る。
  • 認定制度においても、アウトカムの見直しに加えて丁寧な事後チェックの仕組みの構築が必要である。認定された拠点で実施された教育がどういう成果を生み出すのか整理が必要である。
  • 数的規模の拡大に偏らない現状認識に立った目標設定にする必要がある。

事業全体の

抜本的な改善

0

事業内容の

一部改善

6

現状通り

0

データ関連人材育成プログラム

 

 

(242百万円)

廃止

0

 

判定:

事業内容の
一部改善

 

  • 事業成果を踏まえた今後の拡大、横展開に向けた具体的な戦略、ストーリーが見えない。これまで以上に先を見据えた事業設計が必要である。
  • 本事業の今後に向けて、これまでの実態把握を踏まえて横展開の戦略の再構築、これまでの取組の更なる工夫が急務である。
  • 現状の指標については改善の必要がある。例えば、他の学部学科の研究者の取組状況を示す指標や人材育成をした上でどう活躍してもらうか、 アカデミズムにおける波及効果など見直しが必要である。

 

事業全体の

抜本的な改善

0

事業内容の

一部改善

6

現状通り

0

世界トップレベル研究拠点プログラム
(WPI)

 

 

(6,100百万円)

廃止

0

 

判定:

事業内容の
一部改善

 

  • 10年単位で行うという特徴的な事業であり、各拠点について研究成果を上げるという意味では成果は見えている。
  • 補助終了後に必ず自走するのか延長も含めて検討するのか戦略の明確化が必要である。
  • 成果の横展開については、単に拠点を増やしていくというよりも研究を取り巻く課題を解決していくことを成果の一部、横展開の一部として位置づけるべき。 こう言った成果の展開を前提としつつも成果指標の見直しも必要
    である。
  • 成果指標に時間軸を設定して各拠点の成果を見える化したり、若手研究者、女性研究者の比率を設定したりするなど指標設定の工夫が必要である。
  • 日本の喫緊の課題に資するテーマを設定することや新興融合研究の環境整備を進めることが必要である。

事業全体の

抜本的な改善

0

事業内容の

一部改善

5

現状通り

1

核燃料サイクル関係推進調整等交付金

 

 

(2,822百万円)

廃止

0

 

判定:

事業内容の
一部改善

 

  • アウトカムについて見直しがなされていることは評価できる。
  • 見直し後のアウトカムをモニタリングできる体制の構築が急務である。特に実態把握については参加人数ベースではなく、県民が安全安心についてどのように受け止めているか、 丁寧なリスクコミュニケーションを踏まえた
    対応が不可欠である。今後、関心のある住民のみならず多様な住民との対話の場の設定を、 県や六ヶ所村に働きかけることも検討できるではないか。
  • 成果指標については今後住民の満足度や認知度を重視すること。また、調査研究については学術的な面なども含めても良いのでないか。
  • 世界的にも特殊な施設であり、これを国際的に見せていくことは地域住民の安心安全に繋がる。
  • 環境科学技術研究所の外部委託等の契約について、具体的な契約の現状把握が必要である。行政事業レビューシートの資料として一覧表を添付するなども考えられるのではないか。

事業全体の

抜本的な改善

0

事業内容の

一部改善

5

現状通り

1

 

 

 

6月29日(火曜日)実施

事業名

評価結果

とりまとめコメント

 

学校卒業後における障害者の学びの
支援に関する実践研究事業

 

 

(116百万円)

廃止

0

 

判定:

事業全体の
抜本的な改善

 

 

  • 地方自治体が自らの責務として取り組めるよう、事業を再設計することを検討されたい。
  • 学校教育との連続性や他府省の領域と思われる事業との連携を検討すること。また、自治体や国民全体による必要性の認知に向けた補助事業への転換も検討されたい。
  • 重要なポイントである人材育成について、成果指標として取り入れる工夫をされたい。成果物の公表や周知度合、障害者本人の意識についても、成果指標に入れることを検討されたい。
  • これまでの事業で獲得された調査結果データの効果的な活用・工夫が必要。

 

事業全体の

抜本的な改善

4

事業内容の

一部改善

2

現状通り

0

特別支援教育充実事業

 

 

(214百万円)

廃止

0

 

判定:

事業全体の
抜本的な改善

 

 

  • 毎年度、細かく委託のメニューを変えるのではなくて、現場が個別の課題に対応できるため、他の基盤事業や加配等の人件費の中で問題解決する仕方を検討されたい。
  • 本事業が問題解決に資しているかが評価できない。少ない予算かつ執行率が低迷している状況下で本事業が現状、問題の解決に貢献しているとは評価しづらいのでその点も踏まえ検討されたい。
  • 事業の成果である知見が、全国の現場の課題解決にどのような効果を発揮しているか、また、その波及の経路について具体的に把握する体制を構築すべき。
  • モデル事業にかかる成果指標と真の事業ターゲットがどのように変化したのか、両方の成果指標を整理して設定すべき。また、細かい4つの事業の成果をカバーできる指標を設定すべき。

 

事業全体の

抜本的な改善

4

事業内容の

一部改善

2

現状通り

0

障害者スポーツ推進プロジェクト

 

 

(118百万円)

廃止

0



 

判定:

事業内容の

一部改善

 

  • 本事業の目的と定義を明確にし、それに基づいて事業展開と課題分析を行う必要がある。
  • モデル事業の横展開と事業全体の今後の展開が見えづらい。本事業全体として戦略の立て直しが必要である。
  • 持続可能な基盤整備に何が必要か十分に検討し、民間企業からの支援を呼び込むインセンティブや公的資金を使用するなどの工夫を検討されたい。
  • 学校教育との連続性をもった課題の原因分析と対策を講じる必要がある。
  • 調査結果データの分析、活用が不十分である。得られた情報の適切な分析、活用に努めること。

事業全体の

抜本的な改善

2

事業内容の

一部改善

4

現状通り

0

評価のコメント(コメントシートに記載されたコメント)

6月22日(火曜日)実施

第1コマ目:留学生就職促進プログラム

  • 事業終了までに横展開・面展開の具体策とプログラムの継続性向上策をさらに具体化しておく必要がある。
  • 質的側面から「高度人材」の確保や日本への定着が図られているかについて、事後チェックの仕組みがあることが望まれる(プログラム参加者の方が質が高く、定着率も高いなどのエビデンスを得る)。
  • 「認定」された拠点で実施される教育が、どういう成果を生み出すのかについて、整理が必要である。
  • これまでの事業による効果を見ることはできるが、アウトカム(とくに初期)の詳細化が不十分なため、初期アウトカムの詳細化を進め、事業そのものの具体的な成果やその後の改善ができるような、丁寧なモニタリング体制の構築をより進めてほしい。これは、景気の変動や留学生それぞれの意識等に左右されない、事業の評価や改善の根拠としても不可欠。具体的には、現状の就職率一本のアウトカム設定は危険。より手前(初期段階)のアウトカムについて、事業設計から見た「ありたい状態」をしっかり認識した上で、これをKPIとしていかに表現することができるか考えるというプロセスで進めるべき。とりやすいKPIを採らないことが重要。
  • 中期、長期アウトカム指標は改善の必要がある。中期、長期アウトカム指標を本件事業の特徴に即したより適切なものに設定し、比較することで、現状との開きがある実態が浮き彫りとなり、拠点によっては、より強力に実施する必要のある事業が明確になる。
  • 新たに認定制度を導入するにあたり、数的規模に重点を置くと質の高い外国人材の国内定着とのバランスを図ることが難しくなるため、長期アウトカム指標の設定は現状と乖離し過ぎない適切な数値目標を設定にすることが重要である。
  • 企業、自治体との連携により、就職率の差などをみる限りは、成果が上がりつつある(ただし、受講する留学生はもとから日本での就職志向が高いため、因果関係が逆である可能性あり)。事業年度が残り2年となっているため、一定の成果を上げつつある取り組みが広がり、次に繋げていくために何が必要かを考える時期に差し掛かっていると思われる。
  • 留学生は多いが就職率が低かったり、留学生は少ないが就職率が高い大学などさらに細分化した分析が必要ではないか。その際、就職することのみが成果ではなく、地域のファンになることかもしれないので、新たな成果指標を考えるべき。
  • 認定制度の方向性が示されつつあることは評価しうる。認定制度においても多角的な分析が可能となるよう指標の設定や分析方法を工夫する必要がある。
  • モデル事業からの全国展開について、具体的な課題と「認定制度」の展開という具体的な方向性が見えてきた点は大いに評価したい。今日の議論でも共有された課題を踏まえ、より効果が拡がる具体的な取組みを期待したい。
  • モデル事業としてとらえ、次のステップ「認定制度」への移行を見据え、「現状通り」で問題はない。
  • モデル事業だからこそ、採択されている15大学とそれ以外の大学の違いをより明確にできるとさらに効果がわかる。コンソーシアムを組むことは非常に重要だと思うが、プロセスなので結果の違いも明確化が必要と考える。

第2コマ目:データ関連人材育成プログラム

  • コンソーシアムを組んでいるという前提条件があるため、産業界におけるデータサイエンスに強い人材のニーズに応えていくことは一つの目的ではある。しかし、プログラムの対象者となっているが博士人材等が産業界への就職を第一に考えているようには思えないため、アカデミズム(学術研究)における波及効果がアウトカムやインパクトとして事後検証されることが望ましいように思われる。
  • プログラム受講者と修了者の人数差(修了率の低さ)が気になる。
  • 事業期間終了後におけるプログラムの継続性をどう担保するかを考えておく必要がある。
  • エキスパート人材の養成については、情報系学部学科と他の学部学科との性質の違いがあることから、事業の意義において、より正確な運営状況の把握が重要となる。それにより、事業目的に即した事業の促進を図ることができる。
  • 若手研究者のポスト不足については、各所の有効なデータの活用への流れをさらに促進させる。行政側においても自ら率先してエキスパート人材の活用を進めることで、大学、産業界にポストの新設を促すべき。
  • データ関連人材の育成のあり方について、文科省全体、とくに高等教育局との役割分担を含めて、しっかりと協議を進め、目指すもの、省全体の戦略、それぞれの事業の役割分担、連携のあり方等について、大学や企業等をはじめとする社会に共有していく必要がある。その際、他省庁もデータ関連人材の育成は行っているので、役割分担や整理が必要である。
  • 本モデル事業(この事業で作成されたプログラム)が横展開していくことが、中期アウトカムに記載されているがそこに向けての課題が曖昧。採択されたプログラムが高い評価を得ている、で留まってしまっている印象がある。
  • 人材育成をした上でどのように活躍するかなど長期アウトカムの具体化を図る必要がある。
  • 各指標は改善の必要がある。例えば、他の学部学科の研究者の取り込み状況を示す指標の設定をすることにより、各拠点の進捗管理をより正確に把握し、改善点があれば適切な指示を出すことが可能となる。
  • 人材養成等委託事業については、PwCのみに独占的にノウハウがあるとは思われないため、一者応札を避けるための取り組みが必要。
  • 抜本的改善にかぎりなく近い、一部改善とする。これまでの事業については一定の成果を見ることはできるが、これまでの事業の成果を踏まえた、今後の拡大(横展開)に向けた具体的な戦略・ストーリーがいまひとつ見えてこない。
  • モデル事業であり、次の段階に進んでいることは評価できる。
  • 横展開を実現するために全国のネットワークの活用、既存プログラムのオンラインでの配信等、さらなる取組内容の工夫が必要である。

第3コマ目:世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI) 

  • 事業内容に即した指標を新たに設定しその推移を測るとともに、個々の拠点ごとに見える化する。これにより、事業内容の見直し、有効性と改善点を明確化する。また、一拠点あたりの事業規模の見直しをすることなどで、横への展開の可能性を図ることができる。
  • テーマを選定したうえでの公募も積極的に取り入れる。すなわち、日本の喫緊の課題に資するテーマを設定することで有効性を高めることが可能になる。
  • 事業については、一定の成果が出ているものと考えられるが、長期にわたり、それなりの規模の資金を支出してきた経緯も踏まえれば、資料に示されたような、事業単体に関する狭義の「成果」ばかりではなく、そもそも、こうした事態に陥った研究をめぐる様々な制度に関する課題を明らかにすることも、本事業の成果の一つとして認識すべきである。既存制度への今後のフィードバックについては、多くの研究者や社会にとっても重要な問題であるため、積極的な情報共有・公開を進めながらの検討が求められる。本日の議論において、あらあじめ「論点」として示されたにも関わらず、具体的な検討課題等が示されなかったことは残念。
  • 10年単位で行うという特徴的な事業の成果は見えている。補助終了後に必ず自走するのか、補助事業として延長も含めて検討するのか、一律ではなくバリエーションをもって文科省としての戦略の明確化が必要(課題認識はされている)。
  • 新興・融合研究の環境整備を進めることが必要と思われる。
  • 内製化・自走化により拠点の継続性の担保を強く求めることが必要と思われる。
  • 競争環境に留意しながらグッドプラクティスの横展開を図ることが必要と思われる。ただし、このプログラムは人件費・設備費を厚く措置することにより、他にはできない差別的な環境を作ることにあるため、「横展開」できる内容にはかぎりがあるのではないか。
  • 本事業の成果は発現していると評価しうる。一方で、今後の課題も浮き彫りにされており、これらの課題は他事業の課題とも共通していると思う。新たな課題への対応の有効性が分析できるよう指標を設定し情報を収集する必要がある。特に若手研究者の比率や女性研究者の比率など新たな指標を設定して丁寧に分析すべきである。
  • いわゆる「横展開」の議論については、世界トップレベルの拠点の創出という事業の目的から考えれば、安易に拠点を増やしていくというよりも、研究を取り巻く課題を解決していくということを、成果の一部、横展開の一部として位置付けるべき。

第4コマ目:核燃料サイクル関係推進調整等交付金

  • 本事業については、事業検証委員会による検証報告書が発表されており、環境研の給与水準の適正化などいくつかの改善指摘事項以外は概ね事業の意義が再確認されている。よって、当該報告書における指摘事項へ適切な対応が今後求められるものと判断した。
  • 世界的にも特殊な施設で30年間蓄積された研究成果を県内及び国内、国際的に見せていくことが、地域住民の安心安全の確保という長期アウトカムに結び付くと考える。
  • 交付している国の立場として、地域住民の認知度や処理施設に関して自分事にしてもらうことは重要。その観点で、関心のある住民のみならず、多様な住民との対話の場の設定を県や六ケ所村に働きかけることも検討できるのではないか。
  • 住民の関心に応え、理解を促し、安心感を与えるアウトリーチ活動が必要。ただし、アウトプット、アウトカム指標がアウトリーチ活動に偏っている感があるため、調査研究の学術的な評価等も含めてよいのではないか(投入金額の正当性を説明するためにも)。
  • 秋から現在にかけて、また、レビューにおける一連のプロセスを通じて、アウトカム指標が明確になっていることは大きく前進しているといえる。今後はこの指標に実績が入ってきていかに目指す姿に近づいているかの評価をしていくことが必要になる。
  • 住民の認知度や満足度を今後重視していく必要がある。すでに担当部局も問題意識を持っているので、現在考えていることを速やかに実行することが重要と考える。
  • 青森県における検討、今回のプロセスでの見直しを踏まえたアウトカムの再設定、これを実現できるモニタリング体制の構築が急務である。特に、青森県民における安全・安心に関する実態把握については、現在把握できている参加人数ベースではなく、県民が安全・安心について、どのように受けとめているのか、丁寧なリスク・コミュニケーションを踏まえた説明等の対応が不可欠である。また、巨額の歳出の累積となっていることを踏まえれば、引き続き、見直し後の各種のアウトカムを丁寧に把握し、これに相応しい歳出のあり方について、不断に見直しを続けることが求められる。
  • 環境研における外部委託等の契約に関して、行政事業レビューのレビューシートの資料として契約に関する一覧表を添付する。これにより、一般競争と地元との契約バランスが上手くいっているか判断できるため、契約に関する情報を正確に国民へ開示することにもつながる。
  • 今回の外部検証及び公開プロセスへの取り上げは非常に有意義。定期的な外部による検証が必要と考える。
 

6月29日(火曜日)実施

第1コマ目:学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業

  • 地方自治体が自らの責務として取り組むよう、事業を再設計し、従来の認識を改めていく必要がある。
  • 特別支援学校等の学校教育との連続性や一体性が不足。障害者の生涯にわたる学習については、学校教育の段階で卒業後の連続性や一体性を念頭においた指導や情報提供が行われるとともに学校教育の場の提供が卒業後も就労や日常生活での課題も含めた生涯学習の場として一定の役割を果たすことが期待される。人員、予算等の制約も言われるが、特別支援教育充実事業の効果的な事業実施の工夫と支援学校等の教員の効果的な活用の工夫が必要となる。
    また、障害者の生涯にわたる学習について、卒業後の単独の学習活動として捉えられているきらいがあるため、生涯学習の縦割り解消へ向けて文科省の他の局課で実施されている事業とも総合的に事業を実施するなどの工夫が必要である。
  • 実践研究事業であり、開発されたプログラムが普及することにより、認識された課題を解決していくことが目的であるが、課題の解消に本事業が効いているのかの評価ができない。
  • このスキームに入らないと障害者の学校卒業後の学びの場がないわけではなく、自治体によって行っている事例はある。文科省の役割は長く委託事業を続けるよりも、事例の把握ややりたくてもできない事例など様々なケースを把握・分析し、自治体が行うことへの補助事業や、自治体や広く国民全体が必要性の認知に向けた補助事業に、今から転換するほうが良い。また、定期的・速やかに実態を把握できるモニタリング体制も早期に構築すべきである。
  • アウトプットに委託箇所数をとっているものは、産み出されるプログラムや体制、モデルといった成果物の数と委託箇所数が一致していることを前提にしているものと思われる。しかし、この事業の目的を考えると、成果物の公表・周知度合いの方が適しているように思われる。また、研修会やフォーラムも開催回数だけでなく、参加者を指標とした方がよいように思われる。
  • アウトカムについては、現在設定している地方公共団体に関する成果指標とともに、障害者本人等の意識に関する指標も含めるべきと思われる。ただ、どちらにしても指標に対して因果関係を持つ事柄が他にもあるため、この事業のみの貢献度合いを測ることは非常に難しい。
  • 本事業の効果を波及させていく際、人材育成は重要なポイントであることから人材育成に関わる初期アウトカムの設定等、成果指標の見直しが必要ではないか。その際、幅広い人材層の育成・参加状況の把握が必要ではないか。
  • 長期アウトカムが令和10年に制度化され補助事業が開始されることになってるが、長すぎる。それまでに社会環境も変わってしまう可能性もある。
  • 現状把握のデビデンスとして示されている障害者自身の意向(アンケート結果)が十分分析されておらず、データの活用の工夫が必要である。学習機会の確保が難しいとするものが多い一方で、学習機会があるとしている人が1/3を超えている。このような肯定的な回答がどのような環境の下でなされているか、分析することによって、実践研究事業の参考になるだけでなく、早期の改善策構築につながる。
  • 学校教育との連続性、農福連携や雇用とつながる場のような他府省の領域と思われる事業との連携が必要である。
  • 事業はきわめて大切なもので、文科省がしっかりと取り組んでいかねばならない政策である。現状は、予算規模に応じた事業を行っている状況で、むしろ、実態を踏まえた戦略が立案された後は、予算規模の拡充も積極的に検討すべきである。
  • 本日に至るまで今回のプロセスで課題や現状の把握は進み、建設的な検討が進められたことは評価したいが、依然として、その重要性にも関わらず、事業が達成すべき目標に向け、具体的な道すじ、戦略があいまいで本日示された時間軸も遅い。

第2コマ目:特別支援教育充実事業

  • この事業は性質の異なる4つのサブ事業で構成されており、少数のアウトプット、アウトカムで統合的に成果を評価することは非常に難しいように感じられる。特に委託事業の成果の普及が重要となるため、成果指標についてそれに関連するものが含まれていた方がよい。
  • 事業全体を通した特別支援教育における課題への取組が不明確であるため、アウトカム指標とされている支援計画と指導計画との関係が不明確であり、作成されたこれらの計画がどのように実践され、その成果がどのように評価・検証されるものかも不明である。
  • 発達障害児への対応、医療ケア児への対応、聴覚障害児への対応など個別具体的な課題については、実施されている事業の内容が課題に対し的確に対応したものとなっているか、また、実施された研究や実証事業の成果が適切に分析、検証されて、次の施策や事業に反映されているか不明である。
  • 特別支援教育全体を通しての課題、個別的な課題など取り組むべき課題が、山積していると思われるのに、執行率が毎年激減しており、それに合わせるかのように予算額も激減している。課題山積の中で政策展開の負のスパイラル状況が見て取れる。担当課はコロナ要因や予算節減によることを理由としてあげているが、もっと根本的なところで政策課題を置き去りにしていないか検討されたい。
  • 「GIGAスクール構想」については、障害児における課題の分析が十分でないまま構想に乗って事業が先行している感がある。障害児のどのような課題にGIGAスクールのどのような事業が対応し、どのような効果を目指すのか明確にする必要がある。
  • 事業開始から10年を経過しており、予算規模の予見性は高まっているものと思われるため、予算規模に見合った事業規模するか、事業規模に見合った予算にする努力が望まれる。
  • 特別支援教育全体のニーズは年々高まっているにもかかわらず、本事業の応募状況がこれまで芳しくないことを考えると、ニーズへの対応として適切とは言えない。
  • 毎年度、細かく委託のメニュー変えるのではなく、現場が個別の課題に対応できるためのサポートをできるよう、他の基盤事業や加配等の人件費の中で弾力運用するほうが、課題の解決につながるのではないか。
  • 個々のモデル事業の成果である知見が、全国の現場の課題解決にどのような効果を発揮しているのか、また、その波及の経路について、具体的に把握すべき。その際、政府のデジタル化が進む中、本事業においても、俊敏に、また、精緻に把握できるモニタリング体制の構築を進め、実態把握できるモニタリング体制の構築にあわせて、本事業独自のアウトカムを見直し、再設定する必要がある。
  • 現場の課題の分析、アウトカムの再設定に応じて、モデル事業の選定の方法も改善が必要である。効果の波及経路や具体的な効果の把握がしっかりとできるようになれば、モデル事業の選定の精緻化がより可能となるのではないか。また、その際、事業費の拡充が必要な場合には、メリハリある増額という選択肢もあるのではないか。
  • アウトプット指標が「委託件数」である点に違和感がある。委託先がどのようなアウトプットを生み出しているかが指標になるのではないか。
  • 少ない予算、かつ執行率が低迷している状況下では、本事業が現状・問題の解決に貢献しているとは評価ができない。
  • 現在のロジックモデル及び成果指標では、事業の真のターゲットとモデル事業のターゲットが何か、それぞれのターゲットが目標に照らしてどのような進捗状況にあるか分かりにくい。モデル事業に関わる成果指標と、モデル事業の成果を波及させることで真の事業ターゲットがどのように変化したか、両方の成果指標を整理して設定することが必要ではないか。

第3コマ目:障害者スポーツ推進プロジェクト

  • アウトカム指標として「スポーツを実施する上での障壁はなく、十分に活動できている」者の割合を掲げ、15%目標としている。しかし、十分考慮すべきは毎年の調査結果にあるように「スポーツを実施する上での障壁は特にない」が活動をしていないと考えている40%以上の障害者である。この点について十分な分析がないまま、本事業の課題を踏まえた対策は取れないはずである。今年度にようやくその点を調査分析するとしているが、早急かつ適切な対応をお願いしたい。
  • 障害者の若い世代のスポーツ意欲が落ちてきている。ちょうど特別支援教育課程での落込みに対応している感がある。学校教育におけるスポーツ活動への取組課題と連続性を持って原因分析し、対応する必要があるのではないか。
  • スポーツ推進計画に記載されるかどうかよりも、いかに障害を持っている人が楽しみや生きがいを持った生活を、「スポーツ」の観点から送ることができるかの視点での実態把握を行う必要がある。
  • 本事業の目的を踏まえた実態把握の方法については、その限界をよく踏まえながら、慎重に選択する必要がある。
  • 調査研究事業の成果により課題は確認できている。よって、実施環境整備と体制整備に関するモデル事業の充実とその成果の普及が問題となる。体制整備について、団体間の連携を主にしているが、脆弱な組織同士が連携しても成果を期待することが難しいため、民間企業からの支援を呼び込むインセンティブや公的資金を使った下支えなどは行われているか、または検討されているのか、また自治体に任せる形でよいのかなど資金不足の解消や専従人材を雇用できる持続可能な基盤整備に何が必要かを考える必要があるのではないか。
  • 調査分析の際に注意して欲しいことは、アウトカム指標とされているスポーツ実施率は最終的な事業目標とは考えにくく、スポーツ実施率を上げることによって、障害者が何を目指すのか、生きがいか楽しみか、健康や福祉の向上なのか、自己実現か、あるいはそれらの複合的なものかなど、障害者のスポーツ施策に対する意識や求めるものを十分把握し明確化された事業目的の下で分析と対策を講じる必要がある。
  • 以前は事業の効果を発揮する事業設計には至っていなかったが、今回のプロセスを通じて、事業のボトルネックが以前よりもよく見えるようになってきたのではないか。本日の資料や説明でも示された改善の方向性やレビューにおける政策対話と指摘をよく踏まえた、具体的な改善を求めたい。
  • 障害者スポーツの定義は、身体を動かすことに限らず、楽しみや生きがいづくりにつながることであることの周知が足りていない。自治体との間でこの点の捉え方が違うと、事業の有効性が損なわれてしまうリスクがある。また、ロジックモデルが完結しないことになる。
  • アウトカムについては、学校教育における参加だけでなく、障害者のスポーツ実施率を入れるべきと考える。
  • 用具活用促進に関するレンタルサイトの自走化については、継続的に事後追跡していくことが必要と思われる。
  • 現状は有益なモデル事業があることで、一定の評価はできるが、その事業がどのように横展開されているのかが、見えない。
  • 楽しく学校体育に参加できる環境整備は重要だと思うが、学校体育での参加を促進するための取組が不足している。障壁が特にないとする理由の把握とそれに対する対策の検討に加えて、成果指標にも設定されている「学校体育」での参加を促すためのモデル事業や成果の普及が必要ではないか。

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大臣官房会計課財務企画班