国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構見直し内容

 令和6年8月29日
内閣府
総務省
文部科学省
経済産業省
 

1.政策上の要請及び現状の課題

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「本法人」という。)は、宇宙科学に関する学術研究及び宇宙航空に関する基礎・基盤的な研究開発並びに人工衛星等の開発、打上げ、追跡及び運用等並びに宇宙空間を利用した事業の実施を目的として民間事業者等が行う先端的な研究開発に対する助成の業務を総合的に行うことにより、大学等における学術研究の発展、宇宙科学技術及び航空科学技術の水準の向上並びに宇宙の開発及び利用の促進を図ることを目的とする法人である。
 宇宙基本計画(令和5年6月13日閣議決定)においては、「変化する安全保障環境下における宇宙空間の利用の加速」、「経済・社会の宇宙システムへの依存度の高まり」、「宇宙産業の構造変革」、「月以遠の深宇宙を含めた宇宙探査活動の活発化」、「宇宙へのアクセスの必要性の増大」、「宇宙の安全で持続的な利用を妨げるリスク・脅威の増大」等の宇宙政策をめぐる環境の変化を踏まえ、政策目標として、「宇宙安全保障の確保」、「国土強靱化・地球規模課題への対応とイノベーションの実現」、「宇宙科学・探査における新たな知と産業の創造」、「宇宙活動を支える総合的基盤の強化」が掲げられている。同計画の中で、本法人は「宇宙開発の中核機関」として位置づけられており、当該政策目標の実現に向けて、各種の先端・基盤的な研究開発、プロジェクトの実行や民間事業者や大学への支援等を通じた、社会に対するアウトカムの創出が求められているところである。
 特に、我が国の研究開発レベル・技術力の底上げが急務であるという認識の下、同計画においては、本法人を産学官・国内外における技術開発・実証、人材、技術情報等における結節点として活用し、産学官の日本の総力を結集することで、宇宙技術戦略に基づき、商業化支援、フロンティア開拓、先端・基盤技術開発などの強化に取り組むことが明記された。これを踏まえ、本法人の戦略的かつ弾力的な資金供給機能を強化するため、令和5年度に国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法(平成 14 年法律第 161 号)が改正され、本法人に宇宙戦略基金が設置されたところである。
 また、航空科学技術についても、第6期科学技術・イノベーション基本計画(令和3年3月26日閣議決定)に対応する「分野別研究開発プラン」(令和4年8月文部科学省科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会。以下「研究開発プラン」という。)等に基づき、我が国の航空産業の振興、国際競争力向上に資する研究開発を推進する役割が本法人に求められている。
 このような状況の中、本法人は、次期中長期目標期間において、自らの研究開発能力を強化し、先端的な研究開発に挑戦し続けるとともに、国内の様々なプレイヤーへの資金供給等を通じた支援や国際宇宙協力の強化に資する活動を行っていくことで、我が国全体としての研究開発成果の最大化、宇宙産業エコシステムの発展、国際的なプレゼンスの維持向上等に貢献することが期待されている。くわえて、我が国全体の宇宙に関する能力を安全保障分野で活用するため、宇宙安全保障に係る事業に本法人の知見・技術を活用することが期待されている。
 本法人の業務及び組織については、第4期中長期目標期間における法人のマネジメント改革検討委員会における取組、中長期目標期間終了時に見込まれる中長期目標期間の業績についての評価結果に加え、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月24日閣議決定)、「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群」(平成28年8月31日サイバーセキュリティ戦略本部決定。令和3年7月改定。以下「統一基準群」という。)を始めとする既往の閣議決定や政府方針等及び前述の本法人を取り巻く状況も踏まえつつ、「適正、効果的かつ効率的な業務運営」という独立行政法人の業務運営の理念の下、「研究開発成果の最大化」という国立研究開発法人の第一目的が達成できるよう、以下のとおり見直し、次期中長期目標の策定等を行うこととする。

2.講ずるべき措置

(1)中長期目標期間

 本法人は、宇宙基本計画等の長期的な国の政策に対応して研究開発を行う国立研究開発法人であり、長期的視点を含む研究開発の特性を踏まえて中長期目標を策定する必要があることから、第4期に続き中長期目標期間を7年とする。

(2)中長期目標の方向性

 次期中長期目標の策定に当たっては、自らの能力を最大限発揮するとともに、産学官の結節点として機能することで、宇宙開発等の中核機関として求められる役割を果たす組織となるよう、様々な民間企業や大学が宇宙活動に参画してきていること等も踏まえた組織体制の見直しや明確化を図るとともに、国際的な観点も踏まえつつ適切な目標を設定することとする。その際、宇宙基本計画及び研究開発プランで示された施策の着実な実行に加え、以下に示す事項等について留意する。また、本法人の取組及びその成果に対し、客観的かつ的確な評価を行う観点から、達成すべき内容や水準等を具体化した指標を設定することとする。

〇宇宙開発の中核機関としての機能の強化
 本法人の先端・基盤技術の研究開発能力を強化するとともに、産学官の結節点として、宇宙戦略基金を活用した民間企業・大学等への支援が着実に進むよう取り組む。併せて、宇宙戦略基金との効果的・効率的な連携に向けて、既存事業等を再編・強化する。
 くわえて、これらの活動を進めていくために、本法人の人的資源の拡充・強化を図る。また、産学官との人材交流を強化していくとともに、宇宙開発を担う主体及び安全保障を含む宇宙を利用する主体との交流を一層進めていく。国際的な協力も強化し、その際、政府が行う国際的な規範・ルール形成の取組への支援も一層進めていく。
 
〇情報セキュリティ対策の強化を含む機構全体のマネジメント改革の推進
 第4期中長期目標期間中に発生した2度の打上げ失敗及び医学系研究に関する倫理指針不適合事案等を受けて、本法人が取り組んだマネジメント改革検討の結果も踏まえ、理事長のリーダーシップの下、研究開発マネジメント及び内部統制を含む機構全体のマネジメント改革に取り組む。また、統一基準群に沿って策定した情報セキュリティ・ポリシーに基づき、第4期中長期目標期間中に発生したセキュリティインシデントに対する原因究明の結果も踏まえた情報セキュリティ対策の強化を含む、適切な管理体制の構築を推進する。
 

お問合せ先

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構見直し内容について

研究開発局宇宙開発利用課