独立行政法人国立高等専門学校機構見直し内容

 令和5年8月25日
文部科学省

1.政策上の要請及び現状の課題

(1)政策上の要請

 独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「本法人」という。)は、国立高等専門学校(以下「国立高専」という。)を設置すること等により、職業に必要な実践的かつ専門的な知識及び技術を有する創造的な人材を育成するとともに、我が国の高等教育の水準の向上と均衡ある発展を図ることを目的としている。
 本法人は、中学校卒業後の早期に5年一貫の工学分野を中心とした専門的・実践的な技術者教育を行い、地域の国立高専を通して、教育の高度化・国際化を推進するとともに、地域の産業を支える人材を輩出し、もって我が国社会の発展に寄与することが求められる。

(2)現状の課題

 本法人は、全国に国立高専を設置し、各国立高専における法人化以前の歴史的経緯、規模及び地域性等の特徴を尊重しつつ、実験・実習を重視した専門教育を早期の段階から行うことにより、社会が求める高度な知識・技術を身に着けた人材を輩出し続けている。
 変化する社会のニーズに対応した、デジタル、AI、半導体といった社会的要請が高い先端分野において、イノベーション創出によって国や地域の課題解決に貢献する人材育成が求められている。また、新しい時代の担い手として国際的に渡りあえる実践力と創造性を有し、高度化する社会とともに成長できる力を持った技術者教育、地域に根差し世界に羽ばたく高専教育が求められている。

2.講ずるべき措置

(1)中期目標期間

 本法人が実施する業務は高等教育であり、長期的な視点に立って推進すべきものが多いことから、中期目標期間を5年とする。

(2)中期目標の方向性

 これまでの中期目標期間に行ってきた事務・事業を継続して実施することを基本とし、以下の内容については、次期中期目標において、拡充・重点化を図る目標として位置づける。
 
〇国立高専の強み・特色の伸長を支援するマネジメント体制の強化
 51国立高専を設置するスケールメリットを活かすため、理事長の強力なリーダーシップのもと、適材適所な教職員の人材配置、各種規定の共通化、全教職員のFD・業務改善、効率的な教育カリキュラム開発、学生指導の取組事例等の共有を進める。
 
〇変化する社会のニーズを踏まえた高専教育の推進
 変化する社会のニーズに対応した人材を育成するため、産業界や地方自治体などと連携し、地域の産業構造や強みを踏まえ、デジタル社会を支える重要基盤である半導体人材育成等の教育カリキュラムの構築・強化、社会実装教育の高度化やAIと他分野を融合した次世代技術のカリキュラム化の推進に取り組む。
 
〇起業家教育の充実
 国立高専の強みを生かした起業家教育を充実強化し、起業家や専門家による伴走支援など、高専発スタートアップ創出に向けた支援体制の構築に取り組む。
 
〇理工系人材拡充に向けたSTEAM教育の実施
 国立高専において小中学生のSTEAM教育拠点として積極的に啓発活動を展開し、早期からSTEAM教育を実施することで、女性の理系進路選択の促進を行い、もって、国立高専への志願者増へ取り組む。併せて、国立高専内でのSTEAM教育の充実も進める。
 
〇国立高専の国際化と高専(KOSEN)教育制度の導入支援
 海外で活躍できる技術者育成のため、国立高専生の海外派遣を積極的に行うほか、留学生を受け入れることで国際化を一層推進する。また、諸外国のニーズを踏まえた高専(KOSEN)教育制度の導入支援については、我が国の教育に支障がない範囲で引き続き取り組む。
 
〇国立高専の広報強化、同窓会組織等との連携
 優秀な学生の継続的な確保や社会からの国立高専に対する理解や支援を強化するため、高専という教育制度の社会一般に対する広報強化、寄附金等の外部資金の獲得、同窓会組織等との連携による高専教育の高度化を推進する。

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高等教育局専門教育課