日本私立学校振興・共済事業団(助成業務)見直し内容

令和4年8月26日
文部科学省

1.政策上の要請及び現状の課題

 日本私立学校振興・共済事業団(以下「本法人」という。)の助成業務は、「日本私立学校振興・共済事業団法」(平成9年5月9日法律第48号)の第1条において、私立学校の教育の充実及び向上並びにその経営の安定を図るため、補助金の交付、資金の貸付けその他私立学校教育に対する援助に必要な業務を総合的かつ効率的に行い、もって私立学校教育の振興に資することを目的としている。
 しかしながら、18歳人口が今後大幅な減少期を迎えることに象徴される少子化により、私立学校における経営環境は一層厳しくなることが予想されるため、私立学校に対する支援の充実等が求められており、本法人の助成業務に係る「中期目標期間終了時に見込まれる中期目標期間の業績に関する評価」においても、こうした状況も踏まえ、私立学校の自主性・自律性に配慮しつつ、「私立学校教育の振興」という目的が達成できるよう、以下のとおり見直し、次期中期目標・中期計画の策定等を行うことが必要である。

2.講ずるべき措置

(1)中期目標期間

 本法人の助成業務は、私立学校の教育の充実及び向上並びにその経営の安定を図り、私立学校教育の振興に資することを目的として実施しており、成果を得るまでに相当の期間を要するものが多いことから、中期目標期間は5年とする。

(2)中期目標の方向性

 「補助事業」「貸付事業」「経営支援・情報提供事業」等の事業を総合的かつ効率的に実施するため、本法人の有する情報・知見を活かし、文部科学省と連携の下、各事業の成果・効果の周知を通じ、各私立学校における教育条件や研究環境の向上及び改善に向けた取組を促進する。併せて、各事業の不断の改善・見直しを行うなど、必要な措置を講ずるものとする。
 
○補助事業
 私立大学等経常費補助金については、総合的かつ効率的に業務を行う観点から、教育研究の質の向上等、総合的な私立大学等の振興方策が図られるものとなるよう、必要な措置を講ずるものとする。
 併せて、各法人からの申請段階のミスを防止・縮減するため、補助金制度の周知や実地調査の一層の充実等の取組を行うこととする。
 
○貸付事業
 貸付事業については、政策金融として長期貸付・固定金利を基本とし、私立学校の経営の安定を図る観点から事業を実施することとする。
 新型コロナウイルス感染症の影響もあり、貸付実績が計画額を下回っている状況を踏まえ、学校法人との情報交換や借入ニーズの発掘、金融機関とは異なる観点での私立学校に対するアプローチもあわせて検討するなど、融資促進活動の更なる充実・強化を図ることとする。
 一方、少子化を背景として学生等総数の減少が見込まれるなど私立学校における経営環境が一層厳しくなることが予想されるため、適正なリスク管理を行うことにより、総貸付残高に対するリスク管理債権の割合の抑制に努める。あわせて、経営状況が悪化している私立学校に対しては、「経営支援・情報提供事業」と連携し、自ら改善等を行うよう促すなど、保有債権の健全性確保に引き続き努めることとする。
 
○経営支援・情報提供事業
 私立学校への支援については、本法人の有する情報・ノウハウを基に、助成業務の各事業が連携し、支援を行える体制等を構築する。また、経営の安定化に向けた、私立学校の教育及び経営等に関する各種情報の収集・分析などを通じて得られた情報等を積極的に各学校法人に提供・助言し、経営改善や経営悪化を未然に防ぐためのモニタリングの強化等を行うこととする。
 
○受配者指定寄付金事業・学術研究振興基金事業
 私立学校の多元的な財政基盤を確立するため、私立学校の寄附金募金活動に対する支援の充実を図るとともに、広く社会に向けて、私立学校への寄付に係る各種税制優遇制度の更なる周知等の支援を行うこととする。
 また、「若手・女性研究者奨励金事業」については、奨励金を交付した研究者の研究成果の見える化等の手法を通じ、奨励金の社会的意義について更なる周知を図り、寄付金確保に努めることとする。

(3) 運営の効率化及び組織の方向性

 上記(2)の実現に向け、私学振興に係る業務を総合的かつ効率的に実施できるよう、デジタル技術の利活用、組織や人員配置の見直し等、適切な資源配分を行うこととする。
 また、人材育成の面では、既存の法人内研修だけではなく、外部組織との人事交流も含めた研修の機会を提供すること等により、職員の資質・能力向上を図るとともにその能力を発揮できる環境整備の検討を行う。
 一方、財務内容の改善においては、貸付額の減少等による今後の財務状況の悪化に備え、上記(2)に記載のとおり、貸付規模を確保するための取組や債権の健全性の確認を行うことや、本法人の財務シミュレーションを定期的に実施する等、健全な財政運営の維持に向けた取組を行うこととする。
 なお、引き続き、統一基準群に沿って策定した情報セキュリティ・ポリシーに基づき、情報セキュリティ対策を推進することに加え、サイバーセキュリティ戦略本部が実施する監査において特定される課題を解決することとする。

 

お問合せ先

日本私立学校振興・共済事業団(助成業務)見直し内容について

高等教育局私学部私学助成課