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独立行政法人国立文化財機構の見直し内容

令和2年9月17 日
文部科学省

1.政策上の要請及び現状の課題

 独立行政法人国立文化財機構(以下「本法人」という。)は、博物館を設置して有形文化財を収集し、保管して公衆の観覧に供するとともに、文化財に関する調査及び研究等を行うことにより、貴重な国民的財産である文化財の保存及び活
用を図ることを目的としている。
 我が国は、人口減少社会に突入し、少子高齢化や大都市圏への人口流出等により、地域の文化財や地域文化を継承する担い手が不足する中、地震、台風、豪雨等の自然災害から国民共有の財産である文化財を守り、次世代に確実に継承する
ことが必要とされている。一方、健康寿命が世界一の長寿社会を迎え、人生100年時代を迎えるに当たっては、脆弱な文化財を適切に保存しつつ、最新技術を活用した多様な手法により、生涯を通じて、我が国の歴史、伝統、文化にふれ、学び、楽しむことができる環境を提供することが求められている。
 このような中、「文化芸術基本法」(平成13 年法律第148 号)が平成29 年6 月に改正され、文化芸術の振興にとどまらず、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の関連分野における施策を法律の範囲に取り込むとともに、文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用することが目指されるなど、文化芸術の重要性は一層高まっており、本法人にも法の基本理念(同法第2 条)の実現に寄与することが求められている。
 本年には、「文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律」(令和2 年法律第18 号)が制定され、東京オリンピック・パラリンピックを契機に、文化資源の積極的な活用を図り、国内外の幅広い来訪者にその魅力を分かり易く紹介することで、我が国の文化観光に資することが求められている。
 このような社会からの要請や期待がある中、本法人は、施設設備の老朽化に対応したメンテナンスサイクルを継続的に実行し、さらにICT活用の一層の推進にも対応していく必要がある。特に、博物館の運営については、昨今、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症の拡大により、人々の価値観が変化している中、国内外の感染状況を十分見極めた上で適切な対策を講ずるとともに、「新しい生活様式」に対応した博物館の在り方を確立していくことが必要とされている。

 上記の現状を踏まえ、本法人は、以下に示すような現状課題に対応していくことにより、様々な社会的諸要請に応え、我が国の文化の振興に資する施策を実施することが求められる。

  • 引き続き、博物館を設置して有形文化財を収集し、保管して公衆の観覧に供するとともに、文化財に関する調査及び研究等を行うことにより、貴重な国民的財産である文化財の保存及び活用を図ること。特に、我が国の文化財は脆弱なものが多いことを踏まえ、適切な保存に留意しつつ、多くの人々が文化財にふれ、我が国の歴史や文化等を深く学ぶことができるよう、文化財の積極的な活用と多様な鑑賞機会の確保等を図ることで観光振興、地方創生に寄与するだけでなく、文化財の活用を通じて、貴重な文化財の次世代への保存継承に関する国民の意識の涵養を図ること。
  • 文化財に関する専門的、技術的事項に関する唯一の国立研究機関として、文化財に係る新たな知見の開拓につながる基礎的・探究的な調査研究を継続的に行うとともに、科学技術を応用した研究開発の進展等に向けた基礎的な研究を行い、その成果をもって官公庁、博物館等の専門機関、文化財の所有者・管理者・修理技術者等が行う業務の質的向上に寄与すること。また、地震、台風、豪雨等の自然災害による文化財の防災・救援のための連携・協力体制を構築し、専門的な知見から必要な援助を行うとともに、専門的人材の育成を図ること。
  • 有形・無形の文化遺産に係る国際協働・協力に貢献する専門的機関として、国際条約等に基づく活動を積極的に推進すること。
  • 文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律の要請を踏まえ、文化資源保存活用施設の設置者の求めに応じて、情報通信技術を活用した展示、外国語による情報の提供その他国内外からの観光旅客が文化についての理解を深めることに資する措置の実施に必要な助言その他の援助等を行うこと。

2.講ずるべき措置

(1)中期目標期間

 本法人は、博物館を設置して有形文化財を収集し、保管して公衆の観覧に供するとともに、文化財に関する調査及び研究等を行うことにより、貴重な国民的財産である文化財の保存及び活用を図り、我が国の文化の振興に資することを目的として事業を実施しており、長期的視点に立って行われる必要があることから、中期目標期間は5年とする。

(2)中期目標の方向性

 今中期目標期間に行ってきた事務・事業を継続して実施することを基本とし、以下の内容については、次期中期目標において重要事項として位置付ける。

○ 文化財活用センターの機能強化

 平成30 年に設置した文化財活用センターにおいて、文化財のレプリカやVR等の映像コンテンツの開発、文化財のデジタル資源化の推進と国内外への情報発信、地域の博物館等への収蔵品の貸与の促進により、文化財が持つ新たな魅力や価値を引き出し、内外に向けて文化財を通した豊かな体験と学びを提供することで、地方創生、観光振興のみならず、文化財の次世代への確実な継承につながる新たな活用のあり方を目指す。

 

○ 文化財防災センター(仮称)の機能強化

 昨今、自然災害によって被害を受けた文化財の保存・修復に関する専門的・技術的援助や助言に関する社会からの期待等を踏まえ、本年10 月に設置予定の文化財防災センター(仮称)の機能を向上させ、文化財の防災・救援のための連携・協力体制を構築し、専門的な知見から必要な援助を行うとともに、文化財防災に関する地域の専門的人材の育成を図る。

 

○ 業務運営及び組織に関する事項

 理事長のリーダーシップの下で内部統制を推進する体制を整備・運用し、引き続き想定される鑑賞環境の変化等に的確に対応するための業務改善や柔軟な組織体制の見直しとこれに必要とされる職場環境を整備するとともに、長期的な視点に立って人材育成に取り組むなど、適切な業務運営に努める。

 

○ 財務内容に関する事項

 展覧会、文化財の収集、調査研究、教育普及等の様々な事業を高い質で継続的に実施するためには、適切な運営費交付金や施設整備補助金の確保は必要不可欠ではあるが、コロナ禍における「新しい生活様式」を踏まえた事業展開に伴う収益の獲得や寄付金の獲得など多様な財源確保に努め、運営費交付金等の国費のみに頼らない財務構造へのシフトを目指す。

お問合せ先

文化庁企画調整課独立行政法人連絡室