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独立行政法人国立科学博物館の見直し内容

令和2年9月17 日
文部科学省

1.政策上の要請及び現状の課題

 独立行政法人国立科学博物館(以下「本法人」という。)は、博物館を設置して、自然史に関する科学その他の自然科学及びその応用に関する調査及び研究並びにこれらに関する資料の収集、保管(育成を含む。)及び公衆への供覧等を行うことにより、自然科学及び社会教育の振興を図ることを目的としている。
 近年、複雑かつ多様化する社会的課題を背景に、多様性を尊重し、持続可能で活力ある豊かな社会の実現に向けた施策の展開が求められる中、「第5期科学技術基本計画」、「生物多様性国家戦略」等を踏まえ、人々が、地球や生命、科学技術に対する認識を深め、人類と自然、科学技術について考察する場を提供するとともに、本法人の事業を通じて得られた知的・物的資源を社会に還元していくことが求められている。
 また、本法人は、平成30 年度に文部科学省から文化庁に所管替となり、文化の振興の観点からも事業の充実が期待される中、「文化芸術基本法」(平成13 年法律第148 号)が平成29 年6 月に改正され、文化芸術の振興にとどまらず、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の関連分野における施策を法律の範囲に取り込むとともに、文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用することが目指されるなど、文化芸術の重要性は一層高まっており、本法人にも法の基本理念(同法第2 条)の実現に寄与することが求められている。
 さらに、本年には、「文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律」(令和2 年法律第18 号)が制定され、東京オリンピック・パラリンピックを契機に、文化資源の積極的な活用を図り、国内外の幅広い来訪者にその魅力を分かり易く紹介することで、我が国の文化観光に資することが求められている。
 このような社会からの要請や期待がある中、本法人は、文化庁への所管替に伴い、文化振興の観点を踏まえた事業展開も必要とされているほか、収蔵庫の新営やICT活用の一層の推進にも対応していく必要がある。特に、博物館の運営については、昨今、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症の拡大により、人々や社会の価値観が変化している中、国内外の感染状況を十分見極めた上で適切な対策を講ずるとともに、「新しい生活様式」に対応した博物館の在り方を確立していくことが必要である。

 上記の現状を踏まえ、本法人は、以下に示すような現状課題に対応していくことにより、様々な社会的諸要請に応え、自然科学及び社会教育の振興だけでなく、文化振興の観点からも施策を実施することが求められる。

  • 引き続き、博物館を設置して、自然史に関する科学その他の自然科学及びその応用に関する調査及び研究並びにこれらに関する資料の収集、保管(育成を含む)及び公衆への供覧等を行うこと。
  • 生物多様性の保全や豊かで質の高い生活の実現などの政策課題や社会的要請等を踏まえ、新たな知の創造のための源泉・苗床として、地球と生命の歴史、科学技術の歴史を解明していくこと。そのために、自然や人類の営みの成果である科
    学技術を対象とし、歴史という時間的ファクターを踏まえた実証的研究を推進すること。
  • 科学技術イノベーションの基礎をなす知識・知見や科学的なデータの体系的収集・蓄積に向け、科学的再現性を担保する物的証拠として、あるいは自然の記録や人類の知的活動の所産として、自然史資料や科学技術史資料を継続して収集す
    ることにより、ナショナルコレクションを体系的かつ戦略的に構築し、人類共通の財産として将来にわたって確実に継承すること。さらに、オープンサイエンスの推進に向け、その情報を積極的に発信し、活用に供することにより、科学情報を共有する文化を醸成していくこと。
  • 国内各地域の科学系博物館や大学等と連携協働しながら、調査研究及び標本資料の収集を通じて蓄積された知的・物的資源を、展示・学習支援事業などの博物館ならではの方法で社会に還元していくこと。これにより子供から大人まで生涯を通じた国民の科学リテラシーの向上を図り、国民に支持される科学を築いていく土壌を醸成する。そして、国民の科学リテラシーの向上を促す人材を育成していくとともに、全国各地における科学系博物館活動の活性化につなげ、以上の成果を我が国のレガシーとして継承していくこと。
  • 文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律の要請を踏まえ、文化資源保存活用施設の設置者の求めに応じて、情報通信技術を活用した展示、外国語による情報の提供その他国内外からの観光旅客が文化についての理解を深めることに資する措置の実施に必要な助言その他の援助等を行うこと。

2.講ずるべき措置

(1)中期目標期間

 本法人は、博物館を設置して、自然史に関する科学その他の自然科学及びその応用に関する調査及び研究並びにこれらに関する資料の収集、保管(育成を含む)及び公衆への供覧等を行うことにより、自然科学及び社会教育の振興を図ることを目的として事業を実施しており、長期的視点に立って行われる必要があることから、中期目標期間は5年とする。

(2)中期目標の方向性

 今中期目標期間に行ってきた事務・事業を継続して実施することを基本とし、以下の内容については、次期中期目標において重点事項として位置付ける。

○ 科学系博物館イノベーションセンターの機能強化

 令和元年度に設置した科学系博物館イノベーションセンターにおいて、異業種・異分野の事業者のアイデア・ノウハウ・技術等を組み合わせ、博物館資源の活用と好循環により、従来の博物館にはなかった新たな事業スキームを構築し、そのノウハウ等の横展開を図ることで、地域活性化、観光振興に向けた地域の博物館等の連携強化、全国の科学系博物館活動全体の活性化を目指す。また、科学系博物館イノベーションセンターの機能を強化していく中で、自然科学及び社会教育の観点に加え、文化振興の観点からも事業内容の検証を行い、継続的な改善を図る。  

○ 研究機能の強化とナショナルコレクションの充実

 自然史と科学技術史の両分野を扱うナショナルミュージアムとしての強みを活かし、社会的諸課題や時代のニーズに応じた分野横断的研究プロジェクトと先進的な研究をより一層推進するとともに、標本資料の体系的な収集・保管に向け、コレクションに関するマネジメント体制を充実させるとともに、所蔵標本資料のデジタルアーカイブ化の推進と国内外への幅広い公開と活用を図る。

○ 業務運営及び組織に関する事項

 館長のリーダーシップの下で内部統制を推進する体制を整備・運用し、今後の博物館を取り巻く環境の変化等に的確に対応するための業務改善や柔軟な組織体制の見直しとこれらに必要とされる職場環境を整備するとともに、長期的な視点に立って人材育成に取り組むなど、適切な業務運営に努める。

○ 財務内容に関する事項

 調査研究、標本資料の収集・保管、展示・学習支援等の様々な事業を高い質で継続的に実施するためには、適切な運営費交付金や施設整備補助金の確保は必要不可欠ではあるが、コロナ禍における「新しい生活様式」を踏まえた事業展開に伴う収益の獲得や寄付金等の獲得など多様な財源の確保に努め、運営費交付金等の国費のみに頼らない財務構造へのシフトを目指す。

お問合せ先

文化庁企画調整課独立行政法人連絡室