令和2年9月17日
文部科学省
独立行政法人大学入試センター(以下「本法人」という。)は、大学に入学を志願する者に対し大学が共同して実施することとする試験に関する業務等を行うことにより、大学の入学者の選抜の改善を図り、もって大学及び高等学校(中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部を含む。以下同じ。)における教育の振興に資することを目的としている。
我が国は今、グローバル化の進展や技術革新、生産年齢人口の急減等、大きな社会変動の中にある。この状況下で問題を発見し、答えを生み出し、新たな価値を創造する力が重要になっており、①知識・技能、②思考力、判断力、表現力等、③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度、これらの「学力の3 要素」を確実に育成・評価するため、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の三者の一体的な改革の取組が進められている。そのうち、大学入学者選抜の改革については、高校までに育成した「学力の3 要素」を大学入学者選抜で多面的・総合的に評価し、大学教育において高校までに培った力を更に向上・発展させるためのものとなっている。
また、今後の大学入学者選抜の在り方について検討するため,令和元年12 月27日,文部科学大臣のもとに「大学入試のあり方に関する検討会議」(以下、「あり方検討会議」という。)を設置し、入学者選抜と高校教育や大学教育との役割分担をどう考えるか,どこまでを入学者選抜で問うか,大学入学共通テストと各大学の個別の入学者選抜との役割分担をどのように考えるか等について,検討が進められている。
このような中、本法人においては、大学が共同して実施する大学入学共通テストにおける問題作成、採点その他一括して処理することが適当な業務を実施するなど、大学入学者選抜におけるナショナルセンターとしての役割が期待されている。
このような現状を踏まえ、本法人は以下に示すような課題に対応していくことが必要である。
○ 令和4 年度から高等学校学習指導要領(平成30 年告示)(以下、「新学習指導要領」という。)が年次進行で実施されること
や、「あり方検討会議」による検討状況によっては、大学入学共通テストに求められる役割が変わる可能性がある。
○ ガバナンスの強化を図り、大学入学共通テストにおいても、良質な問題作成に努めるとともに、受験者にとって公平かつ公
正に実施されることが必要である。
○ 大学入試のナショナルセンターとして、高大接続や大学入試に関する時代の要請を的確にとらえながら、大学入試改善の
ために影響力のある基盤的研究や政策的・社会的課題に即応した入試研究が期待されている。
○ 大学入学共通テストの実施等に伴うコストの増加が見込まれている中で、18 歳人口の減少による受験者数への影響もあ
ることから、安定的な財政基盤を確保する必要がある。
○ 新型コロナウイルス感染症等のリスクがある中で、受験生が安心し、かつ安定的な大学入学共通テストを継続していく必要
がある。
本法人は、我が国の大学及び高等学校における教育の振興に資することを目的にしており、長期的視点に立って行われる必要があることから、中期目標期間を5年とする。
現中期目標期間に行ってきた事務・事業を継続して実施することを基本とし、以下の内容については、次期中期目標において重要事項として位置づける。
高等教育局大学振興課大学入試室