平成30年度行政事業レビュー「公開プロセス」 1日目 議事録(6月19日(火曜日))

【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、お時間となりましたので、ただいまより、平成30年度文部科学省公開プロセスを開会させていただきます。
 私、進行役を務めます文部科学省サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官の藤野です。よろしくお願いいたします。
 外部有識者の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席頂き、まことにありがとうございます。本日は、長時間にわたる議論となりますが、よろしくお願いいたします。
 また、インターネットで視聴される国民の皆様方におかれましても、よろしくお願いいたします。
 本日の公開プロセスの取りまとめ役は、愛国学園大学の有川博委員に務めていただきますので、よろしくお願いいたします。
【有川委員】  よろしくお願いします。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  本年度の公開プロセスでありますが、本日6月19日に四つの事業を対象として、また、来週6月26日火曜日に四つの事業を対象として、2日間にわたって実施いたします。なお、来週6月26日実施の4事業のうち1事業につきましては、EBPM推進の観点から行われることとなります。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 まず、1コマ目でございますが、これからの時間帯は、観光拠点形成重点支援事業について、御議論を賜りたいと存じます。また、本事業につきましては、京都にあります文化庁地域文化創生本部と文部科学省をテレビ会議システムでつなぎ、議論を進めてまいります。
 初めに、事業概要の御説明をさせていただきます。事業担当課は、5分以内で簡潔に御説明をお願いいたします。
【説明者】  それでは、御説明させていただきます。文化庁の京都の全面的移転を踏まえて、先行実施をしております地域文化創生本部でございます。
 今回、文化庁が実施する観光拠点形成重点支援事業につきまして、事業レビューをお願いするものでございます。
 お手元の資料1ページ目、論点等説明シートから、5分以内で御説明させていただきたいと思います。
 まず、今回、論点として挙げさせていただきましたのは、文化庁では、伝統的に文化財の保護行政を進めてきたわけでございますけれども、近年、文化財保護法の改正などもございますが、単に「点で保存する」ということではなく、それを線にして、面にして、文化財のラインを拡大していくとともに、一体的に保存・活用する、これは必ずしも指定の文化財だけにとどまらず、そういう広い観点が必要だということが考えられております。
 その観点を踏まえまして、この事業を進めておるわけで、平成29年度から平成32年度までの事業でありますが、その後の事業展開も考えながら、4年間の事業でありますが、見直しをかけていきたいと考えております。大きく文化財の保護行政から保存・活用行政の転換の中でこの事業を行っていますので、その観点でレビューを行っていただければと思っております。
 これを実施する自治体は全国各地あるわけですけれども、大規模なものから小規模なものまでございますので、適切なアウトカム、アウトプットの設定をしているのかどうかについても、御検証頂ければと考えております。
 それでは、資料3ページ、行政事業レビューシートで概要を御説明したいと思いますが、今申し上げましたように、この事業の目的といたしましては、資料の上の方、事業の目的でありますが、「文化財の観光資源としての開花」を達成するということを目標にしております。そのため、地域の文化財を総合的に把握、活用を考えるという、歴史文化基本構想を策定されている地域ですとか、文化財と町おこし、観光資源開発など、国交省、それから、観光庁の事業と一体となったモデル事業などを進めているものでございます。
 この事業の目的を達成するために、まずは地域の魅力を把握し、発信して、結果的には、観光客の入込が拡大していくということを一つテーマにしております。もちろん、これまで御指摘を頂きましたように、単なる文化財で客が増えればというようなことではなく、文化財保護行政の中で考えているものでありますので、まずは地域の中で、文化財、文化的な資源について認知をして、それをどのように活用していくのかについて地域で考え、そこに適切な資源を投入することによって、地域の魅力を地域の人たちがしっかりと把握して、それを外の人たちに提供していく、こういうサステイナブルな文化資源の活用につながっていくような事業にしていきたいと考えております。
 この事業におきまして、実施している自治体の数は、平成29年度におきましては14市町でございましたけれども、全国1,700ある自治体のうち、こういう事業を行っていくと自分のところのモデルにもなるのではなのか、成功事例というようなものも分析して、提供していきたいと考えております。
 この事業につきましては、文化財の保護行政の中でも特に観光活用ということをテーマにしてございますので、少し観光の面が強調されておりますけれども、単に観光資源として活用するだけではなくて、地域の人がプライドを持って守り育てていく、そういう事業につなげていくことを考えているところでございます。
 資料4ページに、我々が設定しておりますアウトカムについて記載しておりますが、それを御説明させていただきます。アウトカムにつきましては、当初はまず第一に入込客数を考えていたわけですけれども、これまでの勉強会等でも御指摘を頂きましたように、まずは地域の人がしっかりと把握をする、関心を持って理解を高めていくことが必要だということであります。適切なアウトカムといたしましては、事業を通じて地域の人たちが文化的な資源を理解する観光ガイドですとか、どういうふうに見ていただいたら楽しめるのかということでの文化観光コースの設定、イベント等に地域の人が参加する、こういったものを一つのアウトカムとさせていただきました。
 併せて、入込客数、特に外国も今のところ大きなテーマでございますので、全体としての入込客数、それから、外国人についても、アウトカムの指標として挙げさせていただいたものでございます。
 簡単でございますが、説明は以上でございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、私から、論点について申し上げます。先ほど担当課からもございましたが、お手元の論点等説明シートをごらん頂きたいと存じます。
 まず、今後の事業展開の在り方、文化財保護行政としての事業終了の32年度以降の姿ということについてが1点目でございます。
 2点目といたしまして、適切なアウトカム、アウトプットは設定されているかという点であります。
 以上の論点につきまして、御議論願いたいと思います。
 次に、議論に当たりましての留意点について、御説明をさせていただきます。
 1点目でございますが、外部有識者の皆様方におかれましては、事業担当課への質問等を通じ、無駄の削減のみならず、より効果の高い事業に改善するとの観点から、御議論をお願いいたします。
 2点目でございますが、質疑と並行いたしまして、適宜、お手元に配付しておりますコメントシートへの記入をお願いいたします。
 3点目でございますが、説明者は、外部有識者の質問に対しまして、簡潔、明瞭に回答願います。
 4点目でございますが、発言を希望される方は、机上の名札を立てていただきまして、私から順に指名する形をとりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、外部有識者の皆様方の御質問等をお願いいたします。
 大屋委員、お願いいたします。
【大屋委員】  ありがとうございます。慶應義塾大学の大屋でございます。
 まず一つ、簡単な質問からさせていただきたいのですが、平成29年度から始まった事業で、29年度の執行率68%ということで、やや低い数字にとどまっております。この理由について、思い当たるところがありましたら、よろしくお願いいたします。
【説明者】  御説明させていただきます。
 執行率でございますけれども、29年度の新規事業でございまして、事業の形を考えておりまして、スタートが少し遅れてしまいました。その結果として、29年度に関しましては、事業実施期間が若干短くなったということがございます。
 それから、これは全て入札で、それぞれの事業を行っておりますので、その結果によって、不用額というものが出てきたということでございます。全体として68%ということでありますけれども、30年度におきましては、年度当初からの事業が実施できたということ、それからまた、事業の中で、随時、事業の見直しも含めて執行率を高めていくようにしているところでございます。
 以上です。
【大屋委員】  ありがとうございます。
 この事業全体のロジックについて、先ほど、アウトカム指標の修正について御説明も頂きましたけれども、単に観光がもうかればいいというものではなくて、やはり、文化庁さんの事業ですから、観光を通じて、地元の方の文化意識などが高まる。それを含めて、文化財維持への資源投入が継続的になされて、文化財が維持できることが目的だというロジックだったと思います。この内容は極めてよく説明されていたと思うのですが、他方で、やはり問題になりますのは、観光客を増やそうとすることと文化財保護の間に一定の緊張関係がある。例えば、観光客にとって通りやすい施設を造る、見やすい施設を造るために、文化財を破壊してしまう、土盛りを壊してしまうとかということが、たまにあるわけですね。このあたりの問題が起きないように、つまり、ロジックはきちんとしているかとか、観光開発であるけれども、それは文化財保護としても適切だというようなことは、市区町村さんとか協議会さんの立てる計画を審査する段階で、きちんと見ておられるというような理解でよろしいんでしょうか。
【説明者】  はい。ただいま御指摘頂きましたように、伝統的に文化財と観光に関しては、使われると被害が出るというような意識もあって、文化財担当者の中には、積極的な活用について消極的な意見というのもあったと感じております。これは文化庁の担当も含めて、そういう意識があったわけですが、やはり、文化財を単に次世代につなぐということだけではなくて、積極的に活用することによって、保存の機運も高めていくというようなことが、一方では必要だと考えています。
 その点では、今回の事業は、実際の事業担当者は文化財保護の部局が専ら行っておりますので、その意識については、一般に考えられているよりも強く持っている、ベースとしては文化財保護の意識は強いので、併せて、文化財保護の担当者側が、どうやったら活用できるのか、活用するときの被害を低減するための措置、一般的には養生等を行う場合もあるんですけれども、そういうものについても、どうやったら活用できるのかという観点から見ていただくということが、リーディングケースとして意味のある行為だと考えております。文化財保存課とはまた別の流れでも調査、研究等も行っておりますので、そういう知見も、十分、文化庁から提供しながら、保存の活用の両立が大テーマでありますので、そこを進めていきたいと考えています。
 以上です。
【大屋委員】  ありがとうございます。
 そのような目で計画を立てられて、評価指標も設定しておられるということだと思いますし、評価指標については、評価指標項目、おおむね、本来10項目プラスその他を設定されて、統一的に成果、評価を試みておられるということで、これは大変によい、要するに、様々な市町村さんの取組を横並びに確認できるという観点で、非常にすぐれたものであるとは思うのですが、他方、このあたりの状況を踏まえて、アウトカム指標の再設定をしていただいたときに、その指標が各市町村の目標値の達成割合が100%であるということをお書きなんですね。私、これは二つの意味で不適切であると思っておりまして、要するに、この事業全体として、例えば、どのぐらいの観光客入込数につながっているのかといったようなことがマスの数字として把握できない。事業全体としてのインパクトが、このレビューシート上、確認できない状態になっているという意味で不適切ではないかというのが第1点です。
 もう一つは、この仕組みは、各事業者さんにも、各市町村さんにも、文化庁さんにも、失敗を許さないような形の設定になってしまっている。私は、これは大変間違っていると思います。例えば、一定の観光客、観光客入込数が数で見やすいので、それを言わせていただきますが、観光客入込数を達成すること、増加させることが目的だとして、それは当たり外れがあっていいはずなんです。人間のやることですから、例えば、ある自治体さんは120%超過達成をし、ほかの自治体さんは、いま一つで60%であった。しかし、全体としては、本来、目的としていた総合的なインパクトを達成できていたとするならば、それは国の目から見た場合の事業としては十分意味のあることである。ところが、今のような状態があると、この指標で見る限り、60、70%になってしまった市町村さんは失敗だという評価をされてしまいますから、全体としても、文化庁さんのアウトカムの指標が下がることになってしまう。これは間違った考え方であって、やはり政策というのは、これは特にモデル事業的な性格を持つ事業ですから、当たり外れがある。もちろん、我々はある程度見通しをつけるけれども、外れることはある。でも、全体としてよいということを狙いましょうということを明確にしたものとして設定すべきだと思います。この意味で、このアウトカム指標については、やはり、もう一度検討されることが望ましいのではないかというのが私からの意見です。おおむねコメントですので、もし御反応があれば、お願いいたします。
【説明者】  ありがとうございます。
 頂いた形で、そうですね、各事業自治体ごとに、一つの事業というよりは複数の事業があり、その複数の事業の総体として見たときに、やらない状態とやる状態の中で、一定の国費を投入したので、上がるものと下がるものがある。ただ、予算を投入したにも関わらず、やっぱり、全体としてマイナスだったということを認めるまでは、それほど肝要でもないかなと思いまして、10事業をやったうちに、全体として見た場合に、やっぱり、目標値は達成する。自治体の中においては、当たり外れはあってもいいけれども、1年間を通した事業全体として見たら、やはりプラスになるということは目標値とすべきかなという思いもあって、こういう数字になっております。ただ、もし、それが失敗を許さないということにつながるとすると、我々としては、予算を出している自治体だけの問題ではなくて、予算を出す、チャレンジを通じて、ほかの自治体に、これは余りうまくいかないなとか、これはうまくいったなとか、そういうことにつなげたいと考えておりますので、アウトカムの考え方については、よく検討してみたいと思います。
 以上です。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、ほかの委員の方。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  ありがとうございます。
 今の大屋先生のお話につながってくるんですけれども、今、やりとりの中で、私、文化庁さんは大変大事なことをおっしゃったと思っていて、「保存の機運を高める」という言葉をおっしゃいました。「各地域において保存の機運を高める」、これは、まさに私は、実はこの事業のアウトカムになって――アウトカムというよりは、もしかしたらソーシャルインパクトになってくるのか――でも、これはアウトカムかな。アウトカムになってしかりだと思うんですが、ただ、29ページを拝見すると、評価指標の中にこういったものが含まれていないんですね。結局、これはある種、呼び水であって、一つは、まず、当該市町村において、最初は国費を投入するけれども、その後は地域の中で自立的に回していくという意味での呼び水。もう一つの呼び水は、これがある市町村に投入されたことによって、これは一種のモデル事業ですけれども、ほかの地域においても、ああいうふうにやると文化財も保存できるし、いろんな活用ができるんだということが見えてくるという、二つの意味での呼び水があると思うんですが、その意味で、一つ目の呼び水として「保存の機運を高める」とおっしゃったわけですけれども、ここの部分をどう評価されようとしているのか、まず、そこをお伺いさせていただけますでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。
 そうですね、保存の機運を高めるというのは、もともと長年にわたる文化財保護行政の一番根幹でもありますので、これまでは、しっかりと保存をして、例えばしっかり説明するとか、学校教育との関係の中で社会科見学に使ってもらうとか、そういうようなことを重ねてきて、もちろん、観光の人にもそういうことを伝えていくということですが、今回の事業は、文化財行政の中でも一番観光に近いところを使うことで、外から評価をされることが、外の人にどうやって説明するのかということ、みずからが保存された文化財のお客としてではなく、地域の文化財を発信する主体としての考え方につながっていくのではないかと考えているところです。そういう意味では、なかなか指標になりにくいところがありまして、理解度をテストするわけにもいきませんので、地域の方々が主体化する、主体化するのであれば、まず、学ぶ。学んでガイドみたいなのに登録してもらうとか、イベントに参加するとか、そういうところでつかめるのではないかということで、アウトカムでございます。
 以上です。
【亀井委員】  例えば、協議会がそれぞれ設置されるわけですよね。冒頭、御指摘があったとおり、文化財保護法の改正があって、これを受けて、点から面へという形になってきている。そういう中で協議会が設置されたという形になるんですが、例えば、この協議会において、自分たちで何か保存していくようなプランが出されていくことを促していくとか、そういったことを仕向けていくというのは一つの方法ではないかなと思います。いろんな考え方があると思いますので、是非、そこは検討頂きたいなと思います。
 ちょっと別の観点になるんですけれども、これまでの勉強会も含めたプロセスの中で、成果指標の見直しがあったというのは、先ほど大屋先生がおっしゃったとおり、私も大変いい方向になってきたなと思います。そこで、やはり、それでも二つ課題があると思っているのは、先ほど大屋先生がおっしゃったとおり、文化財保護と観光客の入込と考えるときに、どうしても、そこはいろんなコンフリクトが起きる可能性がある。そのときに、それでもやっぱり入込客数というのは上げておかないといけないものなのか。私は、これはあくまでも観光庁さんに任せたらいいのではないかなと思うんです。あくまでも文化庁としては、文化財保護としてどうなのかというところにロジックモデルをすぽんと通した方が私は分かりやすいと思っていて、もちろん、観光という方法はとるけれども、先ほど来何度もおっしゃっているとおり、観光を通じて、外の人の目を通じて、地域の人たちが自分たちが持っている遺産を再発見するという、その「再発見」がキーワードですから、そこは是非、二つどっちか迷ったときに、ロジックモデルで一番よくないのが、迷ったときにこれがぶつかり合うというのは余りよろしくない形だと思いますので、そこは徹底していただくといいのではないかなと、これはコメントとして申し上げます。
 それから、最後にもう1点、これは大屋先生の話にも関係してくるんですけれども、4ページのレビューシート、全ての目標達成が100%になっているというのは、はっきり申し上げて、やっぱり、気持ち悪いです。特に人間がやることとして。100%になっているということは、二つ可能性があって、大変頑張ったか、もう一つは、目標が甘かったか、どっちかです。教育に携わる者として、余りこういうことは言ってはいけないのかもしれませんが、案外、後者の場合が多いです。かつ、今、これを検証できない形の資料の公開状況になっているというのは、私は残念だなと思っていまして、この100%の中身ってどうなんだろうかと。もともとの目標設定が、それこそ失敗を許さない形で、市町村さんも、まあ、これならできるのかなという感じで、とりあえず設定してきたみたいな形なのか、それとも、もうちょっとハードルを上げてきているのか。ただそれも、何度も申し上げたとおり、文化財の保護、自立的に保護をしていくという流れに沿った形で目標を設定していくことが望ましいと思いますので、ここら辺の設定の在り方については、多分、今後、市町村とのやりとりも含めて、もうちょっと考えていただく必要があるのではないかなと感じました。これはコメントですので、もし、コメントがなければ、これで結構です。
 ありがとうございます。
【説明者】  ありがとうございます。
 二つのコメントを頂きまして、一つ目の方は、すごく重要な御指摘だと思います。入込客数と二つ、入込客数は増えないけれども、やっぱり、地域の人は大事だなというのが高まっていくということが、まあ、そうですね、よく考えているんですが、どちらかというと、外は関係ない――関係ないというか、観光関係なく保存すればいいんだ、山の中の一軒家でも保存するんだという概念が強かったものですから、そういう意味では、そうでもないだろうと。やっぱり、いいものであれば、説明とか情報発信の仕方で、やっぱり、いろんな人の気を引いてくるんだろうと。そうなったときには、その地域のプライドにもつながるという観点の事業を、つい、事業の観点からは申し上げているので、そういう意味では、自治体側に、どうしてもイベント化につながりやすい事業が増える傾向があるんだろうとは思いますので、観光入込客数を過度に評価することが文化財保護からマイナスになるかどうかという観点での事業振興をしていくことにつなげるのかなということを感じました。
【亀井委員】  まさに、そこなんです。結局、市町村がイベントに走るんですよ。これでは文化財保護にならないですよ。有名な講師を呼んで勉強会をやりましたみたいな感、あと、やっぱり、お祭りをやりたがるんです。でも、文化財保護に資するものって何かというと、やっぱり、協議会の事業計画の中に、自分たちが自立的に守っていくという、その一つの流れを創っていくことが私は大事だと思います。観光庁の思うつぼになってしまいますから、そこは是非、文化庁さんにしっかりやっていただけますようお願いします。
【説明者】  分かりました。ありがとうございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  続きまして、伊藤委員、それから、有川委員、松浦委員の順でお願いいたします。
【伊藤委員】  先に、今、亀井さんからお話があったところの関連で、さっき、大屋さんからもお話があったんですけど、この事業はモデル事業だと捉えてよろしいんでしたっけ?
【説明者】  はい。まず、その点から御説明を差し上げます。モデル事業というのは、二つの意味でモデル事業と考えておりまして、一つは、今回、文化庁として資源を投入して事業を実施する自治体にとってのモデルということになります。これはモデルというよりは、まずは自治体がやってみる。いろいろなアイデアはあるんだけれども、予算の都合上できないというときに、やってみることで成果が出る。そうすると、サステイナブルになり、その地域の資源を投入することにつながるという意味でのモデル、これはパイロット事業的なものだと考えています。
 もう一つは、様々な自治体がいろんなアイデアの中で文化財を多様に活用して事業を行うという意味でございますので、近くの自治体、人口規模ですとか、持っている文化財の資源が似通っているような地域であれば、それを自分の自治体でもしていくという意味で、そういう意味でのモデル事業だと考えております。
 以上です。
【伊藤委員】  としたときに、そこからこの成果指標の100%問題につながるんですけど、多分、100%だからいいわけではなくて、モデル事業であれば、ここで100%と言っていることが本当に適正なのかどうか。その自治体の目標値自体が本当にいいかどうかというのは、これはまさにモデル事業だからこそ図れることではないかなと思うんです。そこには文化庁としての主観があって、モデル事業だから、これ、事前勉強会の中でずっとお話をしていた32年度にどういう状態になっているのがいいのかということを文化庁があらかじめ持っていて、そのための指標として自治体が目標値を組んでいて、この目標値をクリアしているということは、文化庁として、32年度の絵姿としていいことだというのが、多分、成果指標がクリアしたということになるのではないかなと思うんですね。多分、これはお二人から出ているように、現時点で100%だから、では、今、モデルでやっている自治体が全部いいことかどうかの判断って、実はつかないのではないかなと思うんです。
【説明者】  はい、それは……。それぞれの自治体が何種類か事業があり、複数回、多少、性格の違う事業が行われているということで、結果的に、各自治体でうまくいくものとうまくいかないものがきっと存在していて、うまくいかない場合に、それぞれ原因分析みたいなものが行われる。このプロセスが、先ほど亀井委員から御指摘がありましたように、地域の中でフィードバックを落としていくことが正の循環になるのではないかということも考えています。そういう意味からすると、成果指標100%ということについては、また真剣に考えますけれども、当たりもあれば外れもあるという、総体として、自分たちがやったことが結果につながっているかどうかという形でやってみたというのが今回の指標です。
【伊藤委員】  まさに、そうだと思うんですよね。モデル事業だからこそ、失敗があっていいと思うんですね。この自治体のこの文化財は、やっぱり観光拠点にはなり得ないという判断があっていいと思うんですよね。ということと、実際、この事業としての方針――この事業というか、文化庁の方針として、2020年までに文化財を中核とした観光拠点を200か所創るという、これ、ちょっと早過ぎないかなとずっと思っているんです。モデルで、成功か、失敗か、まだ現時点で分からないというところが今までの話だったかと思うんですが、でも、200か所は整備しますよというのは、どこか矛盾していないでしょうかね。
【説明者】  200拠点につきましては、明日の日本を支える観光ビジョンを達成するためのアクションプランとして文部科学省が示している事業として200拠点という数字が、日本遺産の事業とともにあるという、そこの部分がございますので、この事業としては、目標は頂いたものですので、目標に向けた我々の努力として、こういう事業を考えているという整理だと思います。
【伊藤委員】  この目標値自体、文化庁だけで作っているものではなくて、御担当ではない中で出来てきた目標値に合わせるように今やっているということなのかなと理解をしているんですが、とはいえ、本当に200か所やろうとしたときに、もしかしたら、うまくいかない200か所が出来上がってしまうおそれが現時点であるのではないかなと思うんです。
 ここは意見としてとどめておきたいと思うんですが、もう一個、それを考えるに当たって、この事業のスキームは、どこでもいいわけではなくて、歴史文化基本構想を策定している自治体が条件だということでいいんですよね。
【説明者】  はい、そうです。
【伊藤委員】  これが現時点では85か所でした。独自で作っているところも含めて85か所ですね。まさに先ほどからお話が出ているような文化財の保存と活用で発信、それぞれを考えていこうというのが、この基本構想にどこの自治体でも書かれているんだと思うんです。わざわざ策定のために補助金も出しているのに、何で85か所、私は個人的に余り伸びていないなと思っているんですが、そこについて、まず、御担当としてどう思われていますでしょうか。
【説明者】  私もそう思っていまして、やっぱり、1,700も自治体があって、文化財がいっぱいあり過ぎてできないというところと、大してないのでそんなにやらないというところはあると思うんですけれども、もっと多くの人が、この歴史文化基本構想を作っていただきたいと、まず、思っています。歴史文化基本構想を策定するに当たって、これ、10年やっているわけですけれども、地域の文化財、文化的な資源を網羅的に考えないといけない、この発想そのものが文化財保護的だとは感じています。地域の文化資源を、疎密はあっていいと思うんですけれども、まずは包括的に理解して、地域に文化の流れが幾つ存在しているのか。ここは余り調査はできていないかもしれないけれども、今後しっかり調査していくことで資源開発ができそうだということから、まず構想を作って、その次の段階で、それをより調査が必要だとか、ここはより新しい発想で流れを作っていくことが必要だということがなければいけないんですけれども、一般的に、文化財担当官としては、地域の文化財を調査するというような意向が前に出がちなので、余り進まないのかなとは思っています。
【伊藤委員】  私、今回、策定している自治体の担当者、していない自治体の担当者、両方話を聞いていたんですが、まさに、もともとは文化財は保護中心になってしまって、活用できない、お金ばっかり掛かってしまうというところの問題意識は、多分、これは自治体レベルでも、みんな思っているのではないかなと思うんです。構想を作っていない、これ、その担当者をもって全てと言うつもりは全くないのですが、やっぱり、その自治体の文化財の中で、活用できるものとできないものというのは、当然、現場で感じているところがある。要は観光拠点になり得るかどうかというのは――ただ、最近の全体の流れが、使えという方向になっている。使えというのは、できるだけ活用していこう、外に出していこう。ただ、文化財という視点って、さっき亀井さんがおっしゃっていたように、多分、外に見せることだけが文化財ということではなくて、そこにあることを知る人ぞ知るかもしれないけれども、でも、やっぱりこれは歴史的にとても重要だという判断だってあるのが、まさに文化財ではないかな。きっと、その色分け自体が、現時点で、自治体でも出来ていないし、この構想を作るに当たっても、必ずしも出来ていないというか、出来きっていない中で走っているのではないかなというのを担当者と話をしていて感じていたんです。その中で、200か所の目標値であったりとか、必ずしも、現時点で、何をもって、では、これとうまくいった事例なのかというのは見えないというところでやっていることの危険性があるのかなと感じているのですが、もし、御意見があればお聞かせ頂きたいんです。
【説明者】  そうですね、私は、今この事業を担当していますけれども、ちょっと離れた――離れたというか、ずっと文化財の仕事をしているわけではないもので、文化財の仕事を担当してみて感じるのは、やっぱり、保護最優先、何しろ、保護なんです。徹底して保護の観点が強いものですから、活用しろ、活用しろと100回言って1回ぐらい活用してもらえるぐらいな感覚は、担当者にはきっとあるんです。それは組織のミッションが保護なので、だったら、これをやったら壊れますけどいいですかと、多分、担当としては言うわけです。壊れないように活用するにはどうすればいいんだということを、観光の側ではなくて文化の側から、こうやって活用したら損なわないで活用できるだろうというモデルを示す必要性が極めて高いと感じているんです。別の流れで研究しているんですけど、ずっと閉じていた建物を開けば、温度が上がって、湿度が下がって、二酸化炭素濃度が上がって、カビの生育域に入っていく。だから、開くためには空調を入れなければいけない。空調を入れると、振動が問題になる。振動が問題になるんだったら、振動の影響を与えないようにするにはどうすればいいか、一個ずつ課題が前に出てくるので、そのことをこの事業を通じて、やっぱり一つずつ、自治体の中でケースを作っていくのかなと。ですから、使わなければ、本当、問題ないんですけど、使えと言った瞬間に出てくる問題を明らかにするというモデル性もあるとは感じています。すみません、余りきちんとした答えにはなっていないかもしれません。
【伊藤委員】  最後に一言だけ、最初におっしゃった保護一辺倒で来ていたというところは、全く同じように感じるんです。では、それを本当にこの事業で変えられているのかというところが、すみません、そう言いながら、今きちんとした改善提案を言えていないんですけど、ただ、この事業が出来ているのかどうかは、到底、まだ疑問に感じるなと思っています。
【説明者】  幾つかは成功事例もあると考えております。意識が本当に変わった地域もあると感じていますし、例えば、ボランティアでお城の草を刈ったりするものが、実際には予算をつけなくても、地域の自治体が、今度、ここをきれいにしようとかと、これが亀井先生から御指摘頂いたような、お金を出すわけではないんですけれども、地域の自治体のプライドの高まりが前提としてあるかなとは思います。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  時間が大分経過しておりますので、次は有川委員にお願いいたしますが、その前に、コメントシートへの記入を併せてお願いしたいと思います。記入がお済みの方は、挙手頂けましたら、事務局でコメントシートを回収いたします。
 それでは、有川委員、お願いいたします。
【有川委員】  これまで出ました3人の委員の方について、特に異議はなくて、重複しないように話をしたいと思うんですが、感想としては、保存一辺倒ではなくて、やはり、活用というところにも軸足を置き始めるという意味合いでは、意味のある事業だろうとは思うんですが、ただ、一番心配していた保存というものが忘れられるのではないかということについては、今、文化庁の方たちの意識は、やはり、そちらの方が従来からの軸足で、大きく変わるわけではないという印象を受けたので、そこのところはちょっと安心したんですけれども、その上で、31ページにあります評価サイクルの図を使わせてもらいながら、これまでの意見と重複感はあるんですけれども、私なりに話させていただきますと、Cのこの事業の評価・分析について、目標に対して到達しなかった事業について、いろいろ改善点を洗い出したり、効果の上がった優良事例については、それを抽出して、ベンチマーキングのような形で示すということなのだろうと思いますけれども、先ほど来、大屋先生などの御指摘もありましたように、目標値に到達した、あるいは到達しなかったというよりは、それがなぜ到達したのか、なぜ到達しなかったのかという、目標値に対する原因分析が非常に重要だろうと思いますので、どんな事業も共通しているとは思うんですが、とりわけこの事業については、基本構想というんですかね、計画が妥当だったのかどうか、それから、それを実施する体制が妥当だったのかどうか、体制に基づいた運用が適切だったのかどうか、さらには事業をフォローアップしていくやり方が適切だったのかどうかを十分、目標値との乖離について、原因分析の中で検証していくということが必要で、したがって、ひょっとすると、目標値の設定自体を原因分析に基づいて臨機応変に変えていかなければいけない事業ではないかなという気がするので、その辺も含めて、評価指標の今後の検討に参考にしていただきたいなと思います。
 したがって、31ページの図でいうと、これから事業を周知していくというときは、是非こういった事例があったというのではなくて、目標値を達成したのはなぜか、目標値を達成しなかったのはなぜかという、それぞれについての原因分析をメーンにした周知をしていっていただきたいし、分析活動もしていっていただきたいと思います。
 すみません、発言のついでに1点、事前勉強会のときもお伺いした、8ページにあります事業の執行方法ですけれども、今のところは立ち上がりなので、優良モデル事業は数が少ないんですが、30年度の予算を見ると逆転するようで、今後、恐らく、その辺の重点が変わっていくのかなと思うんですが、そうすると、今、都道府県を通じた委任支出の仕方の方が、これからシェアを多くしていくのかなと思うんですが、どういうような考え方で、この事業の仕掛けを変えているのか、差を設けているのかということも、併せて教えていただきたいと思うんですが。
【説明者】  ありがとうございます。
 1点目の御指摘は、31ページの評価サイクルの特にCの部分だと思うんですが、今日、お話を頂いた中で、私たちも、漠然とでありますけれども、必ずしも目標設定そのもの、それから、事業の設定そのものが適切でない場合もあって、そういったところも含めて、事業がしっかりしていて、なぜ到達しなかっただけではなくて、事業そのもののやり方、事業そのものの設定の仕方、目標の設定の仕方などについても分析をすることによって、モデル性を適切にするということを考えていくべきだなと今感じたところです。
 それから2点目については、担当者から御説明します。
【説明者】  今現在、観光拠点重点支援事業基本構想枠につきましては、直接執行という形でさせていただいておりますが、今後、優良モデルのように件数が大幅に増えてきた場合、また、今現在の基本構想では、市町村が構想を策定するという考えに基づいて事業をやっているので、直接、市町村等に執行しておりますけれども、今後、都道府県が大綱を作ることができると文化財保護法の改正の中でも位置付けられておりますので、そういった部分で、支出委任の方法等も、今後は検討していければと思っております。そこは、今後、どれだけ件数が増えるのか、支援することによって、直接、県を通じないで指導できるやり方というのも、ある意味、スムーズに進むという時点もございますので、その辺については、今後、検討していきたいと思っております。
【有川委員】  最後の点に関してですけれども、必ず優良モデル事業は支出委任の仕方をしなければいけないというのでなければ、やはり、両方の事業のやり方で、その効果といいますか、あるいは効率性なんかを考えながら、どちらのやり方が妥当なのかは、やはり、適宜、見直していっていただきたいと思うんですが。
【説明者】  今現在の補助金のスキームといたしまして、優良モデルの方が文化財の修理とかと同じ予算のもとになっておりまして、そのために支出委任というのが事業のやり方として決まっておりますので、今後、どちらのやり方がよりよい方法なのかは検討していきたいと思っております。
【有川委員】  はい。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  もうコメントシートを出してしまいましたので、一番最後にしゃべるということでアドバンテージがございますけれど、各委員の皆様のおっしゃることはもっともであるという前置きをしながら、ちょっと違う視点も交えて。
 まず、この事業が今まで一つ一つ個別にやられていて、補助金でやられていた文化財の保護を単に保護だけではなくてセルを、これは去年、おととしあたりのレビューでもあったかもしれませんけれども、とにかく線で結ぶ、面にする。そのようにして、全体としてウイン・ウインの関係になるようなモデルにしましょうという発想で、これは大変よろしいかと。そこに至るアクセスは観光庁とか国交省さんが考えてくださいというような分けでよろしいと思うんですね。
 次に、なぜ入り数をアウトカムにしなくてはいけないのかどうかという委員の御意見が複数あったんですけど、私は、やっぱり、これはすべきであると思っています。というのは、この補助事業が永遠に補助金の事業として続くということは保証されないわけです。ですから、ある程度立ち上がって基礎ができたら、文化財の遺産というものを存続していくために、何とか自立した部分でもって原資を得るような、そういうハウツーを作ってもらわなくてはいけない。その一環の指標として、こういう経済的指標が入らざるを得ないでしょうと思います。でないと、何でこんな古びた茶椀一個にこんなに何千万もお金を掛けるんだという人たちも現われてしまうので、そうではなくて、そういう方にも意味が分かっていただけるような形で存続させるということが大事だろうと思っています。
 それから、次にモデルの件ですけれども、モデルというのは、あくまでもモデルであります。これはどんなものでもモデルですね、何とかモデル。モデルをやるということは、僕らの世界では「パス」というんですけれども、非常に似通った特性を持ったものに対応するために、どのような手順で、どんなことをやればうまくいくだろうかというのが「パス」です。これは「モデル」と置き換えてもいいんですね。パスを設計するというのは、実は、できてしまったら、パスそのものには余り大きな意味はありませんで、モデルを適用したときに、うまくいかない例というのは必ず出てくるんですね。そのうまくいかなかった例は一体何だろうというのをバリアンス分析というんですけれども、異常値の分析をこれからサイクルで、このモデルになってくださったところを束ねて分析をされていくというのが、今後、文化庁さんのやっていかれるようなお仕事になるのではないかと思います。
 もう一つ、最後の1点ですが、世界各国で、文化財とか、遺跡とか、保護している国、していない国、壊す国、いろいろあるんですが、見てくるんですけれども、保護しているといっても、何千年も前に造った石階段を、これは歩きにくいからといってコンクリートでだーっと埋めてしまったとか、結構そういう乱暴な、言ってみると、「のようなもの」を文化財と称している国がたくさんあって、それを観光として使っている。せっかく苦労して行ったのに、コンクリートの道路だと。アクセスフリーにしようということがあったのかもしれないし、手間賃が掛かり過ぎというのがあったかもしれない。ただ、その観点から見ると、日本の文化財というのは、非常によく復元されて保存されているという評価をいろんな国から得ています。だから、今後とも日本の文化財の保護というのは、そういう視点を守っていただいた上で、それで不自由な方がアクセスするのにもうちょっと便利な方法がないかと、先ほど出てきましたね。そういう御提言、そういうものを新しいモデルとして、是非とも検討していただければと思っています。
 以上です。
【説明者】  ありがとうございます。皆さん、文化財保護へ御理解が高いのでありがたいんですけれども、これに甘んずることなく、保存と活用のいいバランスを作るということを、この事業では実現していけるようにしたい。過度に活用に傾くことなくという御指摘だと感じております。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  時間が参っておりますので、まだ御提出頂いていない方は御提出をお願いいたします。
 亀井委員、よろしくお願いします。
【亀井委員】  私は文化財保護にというか、あるいは活用も含めていいと思うんですけど、日本の文化財に足りないのはテキストだと思います。先ほど、まさに文化庁さんからもお話があったんですけれども、地域で今まであった文化財にきちんと説明をつけてとおっしゃいましたよね。これはなぜそうなるかというと、日本語がハイコンテキストだからです。つまりどういうことかというと、ハイコンテキスト、ローコンテキストをここでわざわざ説明する必要はないですけれども、日本語は、文章間、よく文間を読めとか、「忖度」という言葉がありますけれども、これを要求する言語だからでありまして、外国人からすると、日本語の文化財は説明が少ない。これは外国人からよく言われる。私、全てが正しいとは思いませんけれども、しばしば、オークションとかで落札されるときに、日本の文化財がやや過小に評価をされるようなことがあるというのは、このためだと私は聞いております。別に高く買ってくれというつもりはないんですけれども、これは一つの価値だと表されたときに、これは大変なものなんだと言ったら、世界中から人が来るわけですよね。実は、そこをきちんと説明が尽くせていないのではないかなという気がしています。是非ここで文化庁さんにやっていただきたいのは、この事業年度終了後を念頭に置いたときに、まさに、そこの足りないところをどういうふうに、今後、地域が補っていくと、それは観光につながっていくというモデルを示していただきたいんです。それは、外国人に対して、欧米人もそうだし、アジアの方々もそうだし、ほかの地域の方々もそうだと思いますけれども、そういう人たちに対して、日本の文化財は、テキストにされていない説明が大変多いんです。例えば、鎌倉時代の仏師が彫ったものはミケランジェロ以前なわけですよね。ミケランジェロ以前にこれがあったと言った瞬間に、外国人は驚くわけですよね。ところが、ミケランジェロを絡まないで、鎌倉時代というのが千何百年にあってみたいな話になると、ああ、そうなのかという話になってしまう。そういったようなことをしっかり伝えていくことが、私は、特に地域がそこに目覚めることが大変大事なことだと思っていて、まさに、そこのテキストを補っていく。それも英語で補っていく。例えば、明治時代に新渡戸稲造とか内村鑑三が『代表的日本人』とか『武士道』を英語で書いたわけですよね。まさに、これと同じようなことをこれからやっていかないと世界に通用しないわけでありまして、私は、そこを文化庁さんが担っていくことが大事だと思いますし、それが次の事業の方向性だと思いますので、是非、そういった観点で進めていただくようお願い申し上げます。
【説明者】  ありがとうございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ちょっと時間が迫っていますので、まとめて御意見をお出し頂ければと思います。
 次に、松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  手短に。
 ざっと聞き流していたんですけれども、今、国は有資格、国の資格でなくて、無資格でも観光ガイドをやれるように軌道修正して、もう実行されているかどうかというのと、ここでガイドを育てるとおっしゃっているんだけど、そこの整合性についてどうお考えになるか、私、かなり気になっていますので、今お答え頂く必要はございませんけど、ちょっと検討頂ければと思います。
【説明者】  分かりました。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  先ほど松浦先生がおっしゃったモデルとそこから先の全体適用の話というのは非常に重要だと思っていまして、もしかしたら、この事業によって、例えば、活用、観光に資する文化財、そうではない文化財という指標を作れること自体が、このモデル事業の成果なのではないかなと思うんですよね。そういう指標作りのためにやるというのが、先ほど松浦先生が言った本来のモデル事業なのではないか。ただ、今の事業スキームがそのモデル事業になっているのかどうかというのは、ちょっと疑問に感じました。
 最後、もう一個だけ、すみません。私、ふだん、現場に実際に行っている中で、文化財のことを、うちの町の文化財はとても魅力的なんだよと思っている住民の方はとっても少ないと思うんです。だからこそ、結果的に、その自治体の文化財担当、文化主事の方が、どちらかというと偏り気味にも思っていくところがあると思っているんですけど、例えば、この事業の一つの指標として、地域住民がどれだけ文化財のことを魅力的に感じるか、これをとるためには、この事業をやる前と後という両方とらなければいけないんですけど、やっぱり、まず、中の人間が魅力的に感じることが、結果的に観光に資するというようなストーリー作りもあっていいのかなと感じました。すみません、これ、コメントシートに書いていないんですけど、ちょっと今、感じてしまったもので。
【説明者】  ありがとうございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  では、お二人の意見に対しまして、何かコメントがございましたら、担当課からお願いいたします。よろしいですか。
【説明者】  今、最後にお話ししていただいた件は極めて重要だと思っていまして、やっぱり、警察がずっと見守っているわけにもいかないので、やっぱり、地域の人に、どぶさらいも含めてやっていただいて、保存されてきたわけですけど、日本中の文化財は、漫然と残っていたわけではなくて、地域の人が意識して残してきたと思います。ただ、それを余り誇らない人たちが多いし、これは何かよく分からないけど、ずっと大事に掃除してきたから、今も掃除しているんだぐらいの人が結構多いので、それをテキスト化して、何がすごいのかということを地域の人にもう1回フィードバックするのは、英語の多言語化は事業でやっているんですけれども、必ずしも英語だけが大事なのではなくて、日本語のテキストも大事だということは感じましたので、その辺も少し事業の中で取り組めたらと思います。ありがとうございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井委員。
【亀井委員】  やや、つなぎ的ですけど、ここでも、大事なところは、地域の人たちが再発見していくと、これは絶対、大事なんですよ、大事なんだけど、そうだよね、そうだよね、そうだよねで、ハイコンテキスト化するんですよ。やっぱり、そこではなくて、ここに他人の目あるいは多言語が入る価値があって、多言語で見ても価値があるように説明できないといけないんです。ここは日本人が今一番苦手なところで、ローコンテキストの言語、特に英語ですよね、あるいは中国語もそうです。その人たちに対してきちんと説明できるって、これは文化庁がサポートしないと、あるいは文化財をやっている人たちが、そういう発想で地域の人たちにアプローチしていくように仕向けていかないと変わっていかないです。文化財を保護している人たちもハイコンテキストで、こんなの分からないやつが悪いとやるんですよ。まさにそこを外に向かってきちんと説明し、外国の人が入ってくる、それがプラスの評価になる。ごみが増えるではなくてという形のいい循環にしていくプロセスはどういうことなのかということを、是非、文化庁さんが、これはモデル事業以後のところで、これはそういうプロセスをたどるとうまくいきますよという、ある種のプロセスだと思うんですね。私、実はそんな簡単に指標はできないと思っています。先ほど、伊藤さんは指標を作れたらいいなとおっしゃったけれども、私はそんな簡単にできないと思います。それは何でかというと、それぞれ地域ごとに違う。ただ、問題は、そのプロセスをどういうふうにたどるかということを観察者として確認していく。ああ、なるほど、これはAパターン、Bパターン、Cパターン、三つぐらいのパターンがあるねみたいな形で整理していくというのが、これを取りまとめていらっしゃる文化庁さんのお仕事だと思いますので、そこは是非お願いしたいと思います。取りまとめの準備はよろしゅうございますでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。
【有川委員】  お待たせしました。皆さん、指標に対して、いろいろな意見が出てきたんですけど、なかなか集約するというのが難しくて、うまく集約できるかどうかでありますけど、まず、全体の数値、評決の数字を申し上げたいと思います。
 事業全体の抜本的な改善を求める委員が1名、それから、事業内容の一部改善を求める意見が5名という形になっております。幾つか意見を紹介したいと思います。
 事業全体として、どの程度の効果を期待できるのか。それを直接にアウトカム指標として設定して、その評価の前提として、市町村ごとの状況を調査するという指標に変更すべきではないか。一定の失敗についても積極的に共有して、アウトカム指標の設定に当たって、その考え方を反映することが期待されるという意見。
 それから、文化財保護を観光振興を通じて地域の自立性を促していくという方向性は重要だろう。しかし、本来の事業の目的に照らしたアウトカムの設定は、まだまだ未完成だと。地域における自律的な保存の機運を高めるという、その目的に向けたアウトカムを再設定する必要があるという意見。
 それから、モデル事業といいながら、文化財を中核とした観光拠点を一気に200ほど増やす、そういった目標とするやり方については、矛盾が感じられるといいますか、拙速であるという意見。
 それから、観光に活用できる文化財と、そこに向かない文化財というものを十分に分析して、それを踏まえた事業を進めていくのが文化庁の役割ではないのかという意見。
 それから、やはり活用も重要な観点なので、指標として経済的な指標を立てることもやむを得ないのではないかという意見。
 それから、モデルからの横展開を考えた場合、目標未達成の事例も参考になるのではないか。観光の入込数というのは、最終成果指標としては不適切とは思わないけれども、この事業の及ぼし得る寄与度をある程度控え目に見積もる必要があるのではないかという意見。
 それから、目標値を到達したケースも、目標値に達しなかったケースも、重要なのはそれらの原因分析であるので、それらの結果を踏まえた事業計画や評価手法の見直しを適時適切に行うことが必要だという意見が出されました。
 これらも踏まえまして、最終的に、我々委員の結論としましては、投票結果5票入りました事業内容の一部改善という結論で、それの取りまとめの意見としましては、評価指標の関係で、幾つか中身が、評価指標という意味では共通ですけれども、ちょっと違う角度から問題提起がされていますので、評価指標について、まず、事業全体としての効果をどう期待するのかというのを直接にアウトカム指標として設定する必要があるだろうという意見と、二つ目として、地域における自律的な保存の機運を高めるという、その目的に向けたアウトカム指標を設定する必要があるだろうという点と、それから、目標値に達成した事例であろうが、目標値に達成しなかった事例であろうが、それらの目標値の乖離の原因分析をして、適切なアウトカム指標を作るべきであろうという、そういう形で、指標の設定について、今の三つの点を踏まえたさらなる改善を求めるというのと、今のが大きな柱の一つでありますが、もう一つの柱は、モデル事業といいながらも、文化財を中核とした観光施設をいきなり多くの数を設定するというのではなくて、事業を適宜見直しながら、適切な規模というものを展開していく必要があるだろうし、その際には、観光の活用にふさわしいものと、なかなかそれに当てはまらない施設というものをうまく交通整理しながら事業を遂行していくべきではないかという、この2点を大きな柱として、当委員会のまとめにしたいと思うんですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、以上の点で。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  今、有川委員に取りまとめを行っていただきましたが、このような形で、本委員会としての取りまとめとしたいと思います。
 それでは、以上をもちまして、観光拠点形成重点支援事業の公開プロセスにつきましては終了いたします。
 次の次世代学校支援モデル構築事業につきましては、5分間の休憩の後、大体50分ぐらいがめどになるかと思います。14時50分開始としたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
( 休憩 )
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、2コマ目を始めさせていただきます。これからの時間でありますが、次世代学校支援モデル構築事業について議論をお願いしたいと思います。
 初めに、事業概要の説明をさせていただきます。事業担当課は、5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。
【説明者】  生涯学習政策局情報教育課長の梅村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、事業概要について御説明いたします。1枚おめくりいただきまして、3ページでございます。事業名、次世代学校支援モデル構築事業、平成29年度から開始してございまして、31年度までの予定でございます。
 事業の目的、概要につきましては、9ページのパワーポイントの説明資料で説明させていただきたいと思います。9ページの中ほどの背景のところでございます。2020年度から小学校におきまして、新学習指導要領の全面実施となりますが、新学習指導要領におきまして、児童生徒が学習内容を確実に身に付けることができますよう、ICTを活用して、個に応じた指導の充実を図るということがうたわれてございます。一方で現実を見ますと、日々の学習記録、小テスト、テストなどは紙で記録されておりまして、個に応じた指導の充実に向けて、学校全体でデータを共有する、あるいは有効活用するということがまだ行われていない状況にあるかと思います。これは、教員による学習指導、生徒指導にもばらつきがあるということにもつながっているかと考えられます。
 矢印にございますように、今後、教室における学習用コンピュータの普及が進展してまいるように私どもも推進しております。現状では、平均しますと5.9人に1台程度の割合で可動式のコンピュータが使えるような環境にはなってきておりますが、今後2020年度に向けましては、3クラスに1クラス分程度の可動式コンピュータを用意して、1日1コマ、2コマ程度は1人1台環境で普通教室で授業ができるように、そういった方向を指向しております。こういう状況になってまいりますと、コンピュータを使って学習用ソフトウエアから得られる、あるいは使ったデータの履歴をしっかり活用していくことが重要になってくると考えております。
 そこで、事業の概要でございます。一番上でございますが、児童生徒が学習用コンピュータを活用した際の学習履歴などと、教員が校務事務で入力したデータなどを連携・活用して、学びを可視化することを通じまして、教員による学習指導、生徒指導の質の向上、そして学級・学校運営の改善などを図ることを目的とした実証研究を行いまして、データ活用の在り方、そしてデータに基づいた学校運営の有効性を検証する事業でございます。米印にございますように、総務省と連携して行う事業でございまして、私どもは学校におけるデータ活用方策を検証、総務省は、特に校務のシステムや成績など機微な情報も入りますので、そこのデータのやりとりのセキュリティを確保しながらやっていく、こういったところのシステム要件を総務省で検討いただきます。
 実証校の狙いでございますが、成果の普及に関しましては、データに基づいた学校運営の手法・効果をまとめまして、各教育委員会、学校へ展開したいと思っております。右下にありますように、実証地域は5地域19校になってございます。
 次のページにまいりまして、本実証におきますデータ活用の流れでございます。イメージとして提供させていただいております。左下にあります校務系のシステム、成績情報、出欠情報、健康情報等々でございます。また、右にあります学習系システム、ドリル学習の結果、ワークシートの結果、ICT活用状況等々でございます。こういったものが1つのプラットホームで、右の上にありますように、例えば、いろんな形でダッシュボードに示せるということになりますと、こういったものをしっかり用いて、エビデンスに用いて生徒指導、学習指導が行えるようになってくるというものでございます。
 具体的に実証地域で行っているデータ活用の例を次の11ページに記載してございます。左側にありますのは渋谷区の事例でございますが、縦軸に学習成果に関わる指標、これはテストのスコアを想定しています。右側におきましては学習量の指標、家でのスタディサプリの問題回答数、例えばそういったものを想定して、これをプロットすることによりましてこの生徒はどこにいるのかということが分かってまいります。例えば、右側の方にありますと学習量が多いということになります。学習量が多いのに低学力という右下の象限にいらっしゃる方につきましては、もう少し個に応じた指導、学習の仕方、そういったところから指導する必要性が出てまいりますし、逆に左側、学習量が少ない生徒、そして、少なくて学習成果が高い子は構わないんですが、低い子に関しましては、学習意欲をいかに先生側で引っ張ってあげるか、こういったところが分かるというところでございます。また、この点をプロットしますと、下のように個人的なカルテも出てきまして、先生による学習指導、生徒指導がしやすくなるというものでございます。
 右側にございますのは大阪市の事例でございますが、検討しているものでございますが、児童生徒の心理面の状況というのも毎日ワンクリックで済むような心の天気図というアンケートアプリがありまして、こういったものとか出欠状況、あるいはテストの状況などを連携させることで、それを一覧表示することで、例えば、学校内外での様々な問題、不登校等々も含めて早期発見、場合によってはアラートをするといったような仕掛けを考えていければということで進めているところでございます。
 その次の12ページでございますが、事業実施の流れということでございまして、国と実証地域と委員会の関係ということでございます。実証地域におきましては、左にありますように、教育委員会が企画・構想をしてございますが、その下に実証研究委員会、これは有識者、学識経験者、教育委員会の方、そして実証校の先生の方々、こういった方で構成いたしまして、上にございますように、定期的に実証地域の取組を評価して、学校現場の課題解決に資するものであるか、教員の過度な負担となっていないか、こういったところも含めて随時改善を図りながら取り組んでいくということとしています。
 また、文科省においても、各実証地域がしっかり横断的に評価を行えるように、右下にございますような体制を組んでございまして、横断的な観点での評価、指導助言をする委員会を設ける、また、成果の普及などもこういったところで検討していくということとしてございます。
 こちら、レビューシートの4ページの方に戻っていただきまして、最後、アウトプット、インプットのところを御説明させていただきたいと思います。
 アウトプットのところでございますが、今回、実証地域におきまして、データに基づいた学習指導・生徒指導ということでございまして、データに基づいた学習指導・生徒指導の実践事例数といったところをアウトプットとしてございます。また、さらにその中でポイントを整理したガイドブック、そして、その中でも効果的な指導実践事例につきましては事例集として、これらをまとめて1つのガイドブックとして整理をして、普及展開をしてまいりたいと考えてございます。
 また、アウトカムにつきましては、各実証地域におきまして、上にございますように、学習指導・生徒指導の質の向上がされたといったところ、まずはこのアンケートで把握することを考えてございますが、それ以外の手法も客観的データなどもとりながら、しっかりと把握してまいりたいと思います。
 最後、資料がありますという御紹介だけですが、13ページに、データを活用した教育の質の向上に係る類似事例ということで挙げましたが、今回の事業はこのマル1、マル2、学習系データ、校務系データ両方を活用してやっているものということと、あとコンピュータが学校で普及したときに、日々の起こるデータを生かしていくという観点からしますと、新しい取組、今までにない取組と考えておりまして、しっかりと成果を出すように進めていきたいと考えております。
 また、効果測定については14ページでございますが、質疑の中で触れさせていただければと思います。
 以上、よろしくお願いいたします。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、外部有識者の皆様方からの御質問をお願いいたします。説明者は質問に対しまして、簡潔明瞭に回答をお願いいたします。それでは、よろしくお願いいたします。亀井委員。
【亀井委員】  ありがとうございました。1つ、まず最初にお伺いさせていただきたいんですが、この事業の多分1つの肝は、学習データと校務データを連結させるところに価値があるんだという仮説の基にこういう事業が設計されているんだと思うんですけれども、これはある種モデル構築事業ですから、もしかしたらないかもしれないわけですよね、校務データと連節させることが。つまり、データというのは、あればあるほどよさそうに見えるんですけれども、追加してもそこは実は余りプラスにならなかったということもあったりするわけです。実際に、民間の例えば13ページで資料の方で頂きましたけれども、最後にお話をされたスタディサプリのような、これは学習系データだけですよね。つまり、それはお子さんがいろいろと入れてくることも含めて、そういうようなやりとりの中で入ってくるデータ、つまり校務データは絶対入ってこないわけですけれども、それだけでも一定の成果があり、一方で公立高校とかでも結構活用されているような、あるいは中学もあるのかな、そういうような形で、要は、自分でお金を払ってでもこういうものを買おうという人たちも出てきていますと。という中で、市場である種機能しているようなものと、こういう形で税金を使って行政が作っていくものでどっちがよいかというふうに考えていくというのが多分31年度ぐらいまでに考えなければいけないところで、場合によると、校務データとの連節というのを諦めるのか諦めないのか、それが有効なのかどうなのかというところを多分見ていくんだと思うんですが、ここら辺はどうやってそれが有効であったということを証明しようとお考えなんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。私どもはデータの有効性の見極めというのは、まず学校とか実証現場におきまして、どういった課題があるかということを踏まえまして、校務系のデータというのはなかなか機微なデータもありまして、出欠情報にしてもそうですけれども、病気の情報なんかもそうですけど、そういったものを重ね合わせて、例えば、先ほど不登校みたいな話の心の天気図みたいな、あれはどっちかというと学習系というのはちょっと違うかもしれませんけれども、または成績情報とかとひも付けると、いち早くその子の状況が分かるというようなことがございまして、実証地域におきまして実際それを使って指導した前後にアンケートをとってその効果を把握をしたいと考えております。あと、もちろん、先ほどおっしゃっておりましたスタディサプリのような民間のAI等を使って学習系で効率的に学んでいく仕組みというのが出てきております。そういったところから発生するデータといかに学校現場で得られるデータというのを活用していくかというところも課題だと考えておりまして、おっしゃっていただいたように、校務系のデータがあることでいかに付加価値ができるのか、またそこを安全に活用できるようなものがあるのかというところをしっかり見極めていきたいと考えております。
【亀井委員】  現時点の仮説で結構なんですけれども、とりあえず、今29年度が終わって30年度に入っているところで、1年度ぐるっと終わったところですよね。校務データがあることの優位性というのは実際にこれはあるんでしょうか。そもそももしかすると、この事業そのものが何を目的とするかによってくるんだと思うんですけれども、そこをちょっと今の現時点の仮説で結構ですので教えていただけますでしょうか。
【説明者】  例えば、成績情報のようなものと、実際に成績表、通知表に書いているようなデータと、日々の学習系のデータというのを重ね合わせて提示して手元に持つことで、例えば、保護者の方に先生が納得性、具体性のある説明をするのによりしやすくなると、そういった観点もございます。ダッシュボードでそういうのを表示しながら指導するといったこともございますし、先ほどの出欠情報なんかも校務のデータでございますので、そういった子供たちの何か起こったことを早めに発見するといったこともあろうかと思っています。また、学習系のデータを、学習系という言い方はちょっと難しいですが、小テストみたいなものを積み重ねてデジタルデータとして持っておくことで、実際に先生が成績処理をするときに、それをまた活用して効果的に成績に結び付けるという要素もあると思っておりまして、そういったところをしっかり見極めたいと。一応、モデルのパターンみたいなものは15ぐらい用意しているんですけれども、そういったところをしっかり検証していきたいと思っております。
【亀井委員】  これで最後のコメントにして、本件についてはこれで一旦終わりますけれども、1つ考えていただきたいのは、データをより連節させるとリスクが高まるということは是非考えておいていただきたいし、もちろんコストもかさむわけですよね。そこに対して限界的にどんな便益が得られるのか、代え難い便益が得られるのかどうかというのは今後多分しっかり検証していかなければいけないし、何より、民間事業者でやっていらっしゃるわけだから相当なデータを持っていらっしゃるわけですよね。彼らと比べてどうなのか、積極的にもしかすると民間の知見を使った方がいい場合も、ある種ここは市場に委ねた方がいいかもしれないところがあると思いますので、是非そこは今後、要は、いろんなものを連節してクローズな仕組みを作るとリスクが高まるという観点は、いろんなものをデータを入力しているとそれだけ要はリスク情報が増えていくわけですから、そこは是非念頭に置いておいていただいたらいいのではないかなと思います。
【説明者】  おっしゃるとおりだと思います。例えば、実は校務情報システムのベンダーは、割と大手ではないんですけれども、かなり寡占的な状況でございまして、そういったところと学習系のいろいろなコンテンツを持っているところは事業者が違いますので、そういったところでしっかり共通のやりとりを作る仕組みを作れば、そこをつなぐようなベンダーさんみたいなものが出てくるのかなということで、そういったところも期待しながら進めていきたいと思います。
【亀井委員】  ごめんなさい。だから、何が言いたいかというと、本当に進むのがいいのかどうかというところは是非よく考えていただいた方がいいし、校務系は校務系で閉じておいた方がいいこともたくさんあるんだと思うんですよね。そこは是非、始めにつなげることありきでは私はないんだと思うということを申し上げている次第です。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  大屋委員、お願いします。
【大屋委員】  ありがとうございます。全体としてはKKDと言うんでしたっけ、勘と経験と度胸に基づく教育からエビデンスベースな方向に行きたいんだということなんだと思います。その意味でメディシンとか、ポリシーメーキングですね、政策形成の話と軌を一にしていて大変評価されるべき事業だと思っております。
 さらに言いますと、これから教育の面では、一時期大量採用した先生方が順次退職される時期になっているはずで、その方々の経験の継承が大きな課題になっていると承知しております。それを前提にすると、その方々がこれまで目で見て判断していたものを何とか機械的に可視化したい、把握できるようにしたいという狙いについては大変理解できるんですけれども、現状では伺っていると、その中で、状況の可視化ですよね。生徒さんそれぞれの状況は現在こうであるということを必ずしも経験を積んでいるわけでもない先生でも見えるようにしましょうというところが1つのポイントだということだと思うんですけれども、その先で、やはり、状況を見れば分かるというものではなくて、状況から何を読み取るかというところが本当は非常に重要な経験のところであって、例えばですけれども、データの相関性であるとか、こういうのは危険信号っぽいものであるというのをデータ自体から判断して積極的にアラートを出していくと。先生側の方で気付いてくださいではなくて、先生方が気付けるような働き掛けを積極的にするということも重要になってくるかと思うんですが、このあたりについては今のところどのようにお考えなのかまずお聞かせください。
【説明者】  御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおり、まず可視化するところから始まりつつも、つながってなかったものとつなげて見えるというところを検証するのと、やはり、そこから先、予測できたり、アラートを出すというところにつなげられればと思っております。これは、実証地域の中のまず取組を充実させながら、さらにもう1年ございますが、今年度は今構築したベースで、1年目の先ほどお見せしたような、こういうデータの活用モデルというのを仮説を立ててやっていくところなんですが、先生がおっしゃったようなところも一歩進めてやれるように、しっかりと進めていきたいと思っています。
【説明者】  失礼いたします。実際、今、先生からお話しいただいたアラートの部分なんですけれども、御提案いただいている自治体も実はあります。ただ、難しいのはどこでどんな基準で線を引くかということ。これは、例えば、国が一義的に決めると、それはそれで問題でございますし、そこの見極めのために今年度、来年度の実証を行うという自治体もあります。同じように相関について、それでアラートを出すという自治体、実際に大阪市だとかでも今考えてくれてはいますので、そのあたりは我々も注視していきたいと思っております。
【大屋委員】  ありがとうございます。そのあたりの抽出すべき特徴量の計算自体もAIにやらせるので、判断がブラックボックス化するんだよねみたいな話を午前中のシンポジウムでしてきたんですが。
 話を戻しまして、その上で、先ほど亀井先生からリンクさせるかどうかということも含めて検討すべきだという問題がありました。重要なのは、やはり、エビデンスベーストということをいったときに、最終的に何をゴールとして考えるのかということだと思うんです。ここで、例えばですけれども、1つの考え方としてあるのは、やはり、民間事業者さんにおいては学習力の向上ということが重要なエンドポイントになっていると。公教育にとっては、それは確かに1つの重要なエンドポイントであるけれども、もう一つ別の理想もあるんだと。それは、例えば、no one is left behindだと、誰も取り残されない、脱落者がいないということを重視したいんだというような例えば1つのメッセージとしてあると思うんです。だとすると、やっぱり、出席状況であるとか、そういうものをきちんと見なければいけないのだというのは、今申し上げたような理想をきちんと設定すれば説明できることになるだろうと思います。
 もう一つは、それを設定することによって、やはり、客観的エビデンスとして何をとるべきかということが決まってくるはずなんです。だから、学習成果の方で言えば、それは要するに小テストの点数で直接的に把握できるでしょうし、今の誰も取り残されないということで言うならば、不登校の発生率であるとか様々なインシデントの発生件数ですよね、こういうものを直接的にとるべきだということになってくるだろうと思います。もちろんこういったものを全ての学校から直接とって分析するということは難しいというのはよく分かっておるつもりではいるのですが、せっかくモデル事業ということでやるわけですから、やはりここは、何とかに対する誰かの評価みたいな間接的なものを頑張って検証しようとするのではなくて、その点で頑張っておられるのはよく分かるんですよ、前後ろを比較するとか、パターンを作って比較するとかいろいろ工夫しておられるのはよく分かるんですが、やはり、客観的指標をきちんととる、そのことを前提として手挙げをしてもらって、それで分析していくということを検討されるべきではないかというふうにこれは強く思っております。私からのコメントですので、特になければそれで結構です。
【説明者】  ありがとうございます。説明を割愛させていただいたんですが、14ページの効果測定のところで、御指摘も頂きましたけど、一番下にあります30年度以降、29年度は、この真ん中ほどに書いてございますが、実証が本格化する前のデータ取得を目的としてプレアンケートをとっていまして、29年度はまずデータ活用モデルを整理、システム構築というところをやったので今年度から実証なんですが、こういうアンケートをやるだけではなく、やはり、下にございますように、定期テストの結果ですとか、不登校、いじめの発生件数みたいなものとか、学校満足度調査の結果とか何らかのそういう客観的なデータをうまく結び付けて考えられるのか、優位な差が出るかどうか分かりませんが、そういったところは視野に入れてやっていきたいと思います。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  最初の亀井さんの御質問につながるんですが、私も、事前勉強会から同じような話になってしまいますけど、校務システムと学習システムが一体的になることのメリットというのがまだ見えてなくて、先ほどからお話があったように、学習システムの方は民間の事業者がかなりもう進んでいて、実際、もう学習塾自体はほとんど学習系システムを入れているわけですよね。校務システムが一体化することによって、例えば、教員の負担の軽減なのか、若しくはこの事業の目的に書かれているような、個に応じた指導の充実が実現するのかどうかというのがちょっと見えていないんです。少なくとも、私が知っている自治体の中で、これは最近というよりは六、七年前なんですが、校務系システムと学習系システムをセットに自治体独自でやったけれども、実際にそこで運用されていたのは、日記的なものだったりとか、メールだったりとか、校務系システム、10ページにいろいろ書かれてはいるけれども、全部活用されていたわけではなくて、話を聞いていると、結果的にこのシステムを入れるためには二度手間になってしまう、そのことと、子供と向き合って、子供の学習をどうするかということは、済みません、これは少なくとも六、七年前なので、もしかしたら時代が変わっているかもしれないですけど、違っているという話を聞いたんです。そこについてもう一度お考えをお聞かせいただきたいんですが。
【説明者】  失礼いたします。一体化することについてメリットを簡単に言えばというところですけれども、先ほど、実は大屋先生から御指摘いただいたような、教員の見取りの見える化といいますか、今までベテランの先生だと、例えば校長先生が教室に入って、あの子は危ないなという感覚があるわけです。それが新卒の先生だとそういう見取りはなかなかできないというところがございます。学習系だけのデータであれば、テストの点数を見て高い低いというのは分かるんですけれども、単純にテストの点数が低い、そこに校務系のデータ、例えば出席ですとか、保健室の来室状況とかが入ってくることで、単純に点数が低いだけではなくて、何か家庭で問題があったのか、あるいは具合が悪いのかといった見取りの情報を追加して見ていくようなメリットが出るのではないか、それが個に応じた指導を充実させるものになるのではないかという仮説でこの事業を進めさせていただいているという側面がございます。
 校務系の方は確かに使う自治体の問題もあるかもしれないですけれども、現状は入れたからには効果が出るような仕組みというのが基本的になされていまして、例えば、名簿を入れればそれが自動的に通知表に反映されて、それが指導要録まで反映させるという仕組みが一般的にはなってきているので、その点、現在は多少改善されているのではないかなと思っております。
【説明者】  ちょっと補足させていただきます。校務系のシステムは今、統合型の校務支援システムというのが出始めていまして、今までは、保健だったら保健の健康診断表とかそういったものだけで作っていたり、あるいはエクセルみたいなもので管理していたりという状況だったんですが、教務、つまり成績処理とか、出欠管理とか、時数管理みたいなものとか、あと保健の健康診断表の仕組みとか、あるいは指導要録とか、そういったものをまとめて入れるということで、エビデンスとして割と業務時間が削減になったという事例がかなり出てきていまして、今、統計で48%の小・中・高等学校で統合型校務支援システムを導入してきているというところでございまして、私ども、今年度は地方財政措置でそれを経費として積みましたので、そこはだんだん普及していくものと思っています。ただ、せっかくですので、そういったところのデータ、そこには実は成績とか個人にひも付く情報がいろいろ入っていまして、例えば、いいとこみっけみたいなもの、先生が授業で気付いたところを入れていくようなソフトみたいなものも入っているわけなんですけど、そういったものもうまく学習指導とか、学習系のコンテンツとの重ね合わせで見ると、有効な部分はあるのかなと考えているところでございます。
【伊藤委員】  そういう意味で、この事業の理解としては、校務系も今そういうように一体型の、これは民間事業者の側から既に開発がされてき始めていて使っている学校もある。ただ、この事業で見たいのは、活用されてどれだけ個々の子供たちの成績だったりとか、学習状況が変わっているかというところを見たいということなんでしょうか。何となく、今までお聞きしていると、最終目標はこのシステムを全部にある程度の学校に入れていくんだ、そのための実証事業なんだというふうに私は捉えていたんですけど。
【説明者】  校務系のそういうシステムはバックヤード、先生の事務の方にはどんどん入っていきますと。それと、あと、学習系のシステムは、まだ今さっき5.9人に1台と言いましたけど、だんだん今2020年度に向けて、学習PCが先生が使いたいときに1人1台環境でできるような感じになっていくと。そうすると、学習系のデータというのはどんどん発生してきますと。あとはまた、校務系のシステムは先生が打ち込んだデータになりますけれども、そういったものをせっかくですからうまく連結させることで、恐らく何か見えてくるものがあるのではないかという仮説の下に行っていると。だから、それぞれのシステムを普及させたいという事業ではなくて、それぞれから得られるデータをうまく有効活用することでカンピュータではなく、エビデンスに基づいた指導ができるというところを目的としている事業でございます。
【伊藤委員】  最後、意見にしたいと思いますが、まさに、学習系の方については、この事業に限らず補助金も出ているし、各学校ごとにかなりそういう意味では進めようとしているんだと思うんですよね。それと校務系と両方セットにすることで何かしら新しいものが見えるだろうというところは、これは済みません、もしかしたら単なる考え方の違いかもしれませんけど、それぞれ今既に学校ごとに学習系でやっているところもあれば、校務系もそういうふうにネットワーク化してやってみようという事例自体は実際出来上がってきているから、その事例をどうなっているかを見ること。セットにするかどうかではなくて、その事例でどれだけ成績が変わっているのか、子供たちの満足度が変わっているのかということを見ることの方が重要ではないかなと思っているんです。いきなりセットでというよりは、個々に今事例が出来上がってきている。
【説明者】  学習系の方はおっしゃるとおりだと思ってまして、ICTを活用した学習をすることで、デジタルコンテンツを使うことでいかに成績などいい効果を与えたかというのはしっかり把握していく必要があって、そういった研究は別事業でもしているところなんですけど、校務の方のシステムというのは、どちらかというと先生のバックヤードのところで、いかに手書きが多い作業を減らして効率的にするか、一々名簿を打ったものを成績表を書くときに全部手書きでまた書いたりとかという、そういう状況から先生の働き方改革の文脈で、校務を情報化しなければいけないのではないかというところでございまして、それが直接成績に影響というものとはちょっと離れたものかなと思っています。ただ、その中のデータでうまく学習系とつなげることによって、先ほど、例がまだ下火でございましたけれども、見えてくるものがあろうかと思いまして、そういうデータ活用モデルを整理して検討しているところでございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  続きまして、有川委員、それから松浦委員の順番でお願いいたします。
【有川委員】  これまでの議論と重複するのかもしれませんけど、本事業の目的を見させていただくと、学習指導などのやり方について現状ばらつきがあるので、そういったことを避けるということも狙いとしているようですけれども、私も教員の端くれとして、確かに運とか勘よりエビデンスに基づくというのは重要だと思うんですけれども、しかし、エビデンスに基づいて画一的にやるというのは、最低限の基準のところを教育ではそれなりに、最低限のことが漏れないようにあるという意味では意味があると思うんですが、それ以上のものに付加価値を付けていくということになると、やっぱり、個人の教員、教え手の質によって違いが出てくるので運と勘もばかにできないと思うので、そういったところも大事にするということも考えると、実証校の選定の仕方が、どういった課題認識に基づいてこの事業を展開しているかというのと併せて、実証校の特性とそこで何を実証してもらうかという課題とうまくマッチングして実証校を選んでいるのか、あるいはこれから選ぼうとしているのかというのがよく見えてこないんです。つまり、結構な数の学校が手を挙げているのにこの5校に絞ったという、それはどういった視点から絞って、今後またさらに絞っていこうとしているのか、教えていただきたいんですが。
【説明者】  失礼いたします。地域としては5地域で合計19校で今実証しているところでございまして、実際、選定の段階では13地域ほど挙がってまいりました。ここで選定基準となるのが、いわゆる我々はデータ活用モデルと呼んでいますが、とある課題に対してどんなデータを使って何を解決していきたいかというところの具体的な内容を提案してもらって、具体的あるいは現実的である内容をベースに選定をしたというところがございます。先生御指摘のとおり、エビデンスに基づくものはミニマムの部分というのがマストであって、それ以上は当然その先生の専門性を生かして多様な取組をしてもらうところだと思っておりますので、データ活用モデル自体も最低限押さえるべきところと、例えば発展版みたいな、先生がより有効的に活用したバージョンというのも踏まえて実証していきたいとは考えています。そういう意味では先ほどのアラートのように、1本の線を引いていい悪いという判断をするつもりは今のところございませんので、そういうような実証ということで申し上げさせていただきました。
【有川委員】  済みません。答えていただいてはいるんですけれども、そうすると、実証校の選び方については、どちらかと言えば、手を挙げて提案した学校側で見つけた課題を選んでいくという形なんですか。文科省側で課題をある程度リストアップしていて、それに見合ったことを対応していただける実証校を選ぶのではなくて、学校側主体ということなんですか。
【説明者】  大きなテーマとしては学校経営を改善できるのではないか、データをうまく使う、あるいは生徒指導、学習指導を改善できるのではないか、あるいは保護者とか児童生徒に、児童生徒が振り返りをしたり、保護者にいろんな納得性のある説明をする、そういう情報発信、そういう大きなくくりで言ったところでは、提案募集の際にそれをお示しくださいということで募集していますが、その個々の課題とそれに関してこういうデータを使ってやってみたいんだといったところにつきましては、教育委員会側の提案に従っています。それで、そういう中で有識者の先生方に選定委員会を設けて選定いただいて、5つ選んでいるというところでございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  ありがとうございました。大分書いたんですけれども、目的大き過ぎて、結局、学習の効果を上げる、生活指導のために資する、それから、それを踏まえてその結果、A、Bともによくなるような学校運営がどうしたらいいのかということについて方策を求めると、それがエビデンスベースドなエデュケーションだという、そういう概念のようにお聞きしました。ただ、エビデンスベースドというのは、過去のこういうような理屈でやってみたらこうでしたよということにすぎないのであって、世の中、エビデンスベースという言葉に振り回され過ぎてしまって、実は真実というのはそれを超えたところにあるというのが普通なんです。それをエビデンスベースに乗らないからといって、これは違う結果が出たとなるのは本末転倒になるのだろうと。さっきのパスと同じで、パスをやるのがバリアントが出るから、異常値が出るから、その分析をすることに意味があるから。EBをやるのはこれに乗らない異常値が出る、これの分析をすることに意味があるからEBをやると。もし、EBをやっていなかったら何がおかしいのか分からないということです。
 この3つの目的をやってきた場合、皆さん、各委員おっしゃいましたけど、学習効果を測るというのは民間のパッケージでもってどんどん御家庭でもやられている。買えるおうちと買えない御家庭はあるかもしれませんけれども。これで頑張る子供は、初めからもうどういう動機にせよ、モチベーションを持った子ですよね。そもそもこれをやると決めてやっているわけですから。TOEIC何点とろうという大学生と同じで、950点とろうと頑張るのはもうそういうモチベーションを持っている。じゃ、何でモチベーションを持たないのというところが実はもっと大きな問題で、それはBの生活指導のところに入るんだと思うんです。生活指導のところにはファクターはいろんなものがあります。僕ら子供の頃にもあったけれども、当然いじめがあるし、先生に相談したらチクったといってまたさらにいじめられるとか、先生が見て見ぬ振りをするとか、それはもう日常茶飯事ということで、こういうようなことを子供とはいえ、言っても無駄なんだということをもう悟り始めている小学校4年生ぐらいになったら、本当のことをこれに書いてくれるだろうかというのが私の大きな疑問です。3年生くらいまでだったら結構書くと思いますよ。でも、4年生ぐらいになってくるとどうでしょうね。そこら辺をこれからくみ取るというのは相当厳しいのではないか。じゃ、どういう原因がこうなっているの、解決するソリューションは学校側はどういうものを用意すべきなの、しているのというそこまでいくのが非常に大事で、そこまでいって初めてAの評価にサイクルを回せる。そこの問題の解決をしたので、今度は学習のモチベーションを上げてやろうと。そういうようなことで、これが学校の運営改善なんだと思うんです。こういうシリアルな関係で、本当にくっついただけでうまくいくかどうかというのは私は甚だ疑問です。
 亀井委員もおっしゃいましたけど、3つのシステムそれぞれ3つの記録を持っているわけですよね。くっつけることで、フォールスポジティブと僕らは言いますけれども、偽回答、偽正解が出てしまうというおそれが非常に高いです。コンピュータが計算して出てきたんだから正しいんだと言い出す人が絶対現れる。だから、その辺が私としては一番恐ろしいところなので、まずはABCと分けたのだったら、Bのところでどれだけ役に立った効果、ファクターが抽出できて、それに対してどういう有効な手順が打ててというところまず頑張っていただくとして、その後、それをやるためにどうするのといったらCというふうにいくんだと思うんです。
 一時、学級崩壊といって、窓ガラスは破れる、授業が成り立たないというような今でも続いていますけど、そういうことになったときにこれを持ち込んでも、全員だめだという結論になっておしまいになっちゃった、IT屋さんだけがもうかっちゃったという話になってしまうと思うんです。家庭に問題があることもありますし。だから、先生方、学校がどこまでこういう非常に難しい問題に踏み込んでくれるのかということ、何をすべきなのかというふうに使っていただけるんだったらそれはそれで意味があるかなと。ただ、一連でつないだだけでポンと出したのでは、偽正解が出る可能性は極めて高いので、やはり、慎重にやってほしいなと思います。
【説明者】  ありがとうございました。学習効果を上げるという以上に、おっしゃっていただいたように学習指導ですね、先生による生徒指導ですとか、学習指導というところに、しっかり根拠に基づいてやれるというところ、あるいは管理職の方が、それぞれの学級の進路だったり、成績状況だったりというのをまとめてうまくデータとしてしっかりつないで頭にインプットすることで、それはそれでやはりエビデンスに基づいた教師の方への管理というのにもつながってくるのかなということで、いずれにしましても、学習指導、生徒指導改善、そういったところをスタートとして、学校運営、学級運営の改善までつなげられるように取組を検討していきたいと思っています。
 あと、アンケートにつきまして、おっしゃっていただきましたように、アンケートの聞き方によってはなかなかうまい回答が、生徒においてもいろいろ忖度が行われたりとかあり得るかと思っています。生徒の方は実は、去年モデルでとったデータ、例えば「先生は自分の授業中の様子見てくれる?」といって、「そう思う」というのは28%しかなかったり、割とそこまで忖度した回答ではなく、いろいろとれるかなというのは期待させるのですが、むしろ教員の方が割と、ちゃんと一人一人の様子をしっかり把握しているかと単純に聞くと、みんなやっているという答えになりますので、そこら辺の聞き方も、データを根拠としてつかんでいるかとか、そういう聞き方をしないとなかなかうまく差異が出ないということを感じたところでございます。是非そういったところも、データはプレですので、今回、実証の前後でまたそれをやってみたいと思います。
【松浦委員】  ちょっと追加でいいですか。私の子供時代の先生ですけれども、父兄参観日に問題を出して当てるのですけれども、小学校の低学年の頃。分かった子は右手を挙げるんだよ、分からなかった子は左手を挙げるんだよっていう先生もいらして、子供たちは素直に「はい」と全員手を挙げます。それでぱっと先生が当てたら、「先生、僕左手挙げたんです」という回答をするような、それもありなのです。デジタル化してしまえば手を挙げたことになってしまうので。そういう暗黙のサインみたいなものがある。子供の世界にも暗黙のサインがあるので、忖度も当然ある。忖度よりも恐ろしい恐怖感とか不安感というのがあるので、その辺でうまくはまらないようにお願いします。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  相当時間が経過しておりますので、コメントシートの御記入と御提出をお願いいたします。
 また、質問の方は続けたいと思っております。水田委員、亀井委員の順でお願いいたします。水田委員、お願いいたします。
【水田委員】  質問というよりコメントというか意見ですが、今までに客観的データを使って評価をするということで少し御意見が出ていましたので、ちょっと私が感じたことを申し述べさせていただきます。
 29年に設計をして30年度、今年から実証に入られて恐らく実証が2年間で31年で終わりということですね。もし、こういったシステムを導入したという経験がない学校さんであれば、やはり初期の段階というのは、システムに慣れるまでかなりパフォーマンスが落ちる可能性がありますよね。ですので、継続的に使用することによって、教員の方も学習効果が上がってきますし、データの使い方に慣れてきて、どういうタイミングで使用すればいいのかとか、そういったことも分かってくるようになって、それこそ勘と度胸がワンランク上がって、システムを使った上での勘と度胸が効くようになってくるはずなのです。ですから、本当の効果というのは、そこで客観的指標で表れるもののような気がするので、ちょっと事業期間中に客観指標に基づいて何か優位な差異が出ているかどうかというのを検証するというのは、すみません、予測に過ぎないのですけれども、ちょっと難しいのかなと感じています。
 ですので、逆に言うと、せっかく入れたシステムが長期間使っていただけるように、それで実証期間が終わったとしても、継続してデータをとってもらって、学習効果がどのぐらい出ているのかというのを追跡できるようにしておいた方がよろしいのかなと思いました。意見です。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  ちょっと論点を変えます。
 文科省さんから教育委員会にお金が9,100万円行っていて、もう1つが企画評価委員会、連絡協議会、成果報告会の運営ということで民間企業にお金が1,700万円ほど行っているのです。この1,700万円は具体的に何に使われているか、まず教えていただけますか。
【説明者】  失礼します。レビューシート記載のとおりではございますけれども、人件費、雑役務費とまず書いてございます。基本的には会議運営にかかる諸経費プラス、実証地域に対しても視察等を繰り返し行います。状況確認をしてアンケートをかけたり、そのあたりの足回りの経費をこの事業者の方に流して使っていただいている次第でございます。
【亀井委員】  ごめんなさい、もうちょっと具体的にお伺いしたいんですが、例えば人件費、調査・分析に係る費用が1,240万円かかっていますと。一方で、下には成果報告書印刷等々で、あと今お話があった視察旅費260万円がかかっているんですけれども、これはこの時点で何か調査、分析を終えているという理解でよろしいんですか。
【説明者】  これは平成29年度の実績ということで、29年度に行った調査の内容ということでございます。成果報告書と書いているものになりますが、これはいわゆる3年間の初年度分の報告書という意味の印刷経費という形であげております。回答になっていますでしょうか。
【亀井委員】  分かりました。これはその時点でこれまでの何か、ちょっと今ずっと議論を重ねてきた中で、ややこの事業のそもそもの目的とか目標に照らしたときに、成果指標がよく分からないなという感じの中で、彼らは何を調査、分析したんでしょうか。
【説明者】  すみません、本当はお配りしたかったものがあるんですけれども、各地域のデータ活用モデルというのが、例えば不登校に対してどんなデータを使ってどういう対応をするとか、各五地域でばらばらな取組をやっております。まずそれらの内容をこの事業者に収集してきていただくとともに、ちょっと見えないんですけれども、こういうふうにある程度類型化して、その整理や分析を行ってもらったというのがその調査、分析の主な内容になっています。
【亀井委員】  これは何人の人がどのぐらい時間をかけて行ったものなんでしょうか。
【説明者】  事業者としては、具体的な人数は正確に出ないんですが、4名、5名ぐらいの人数で、各地域年間を通して視察は2回程度、それ以外にもアンケート調査等を行う都合で連絡等を行っているところでございます。
【亀井委員】  その積み上げでこの金額は妥当なんでしょうか。
【説明者】  妥当な額だと思っています。先ほど12ページの話を申し上げましたけれども、文部科学省の中におけるこういう事業推進委員会、こちらを開催して、有識者の方にいろいろアドバイスを頂いて、そういったところの費用にも関係しているものでございます。
【亀井委員】  これは、ちょっとここから入札プロセスの話に入っていくんですが、非常に実は気持ちが悪いなと思うのは、この事業者さん、学校に校務システムの販売をされているんですよね、開発をされて販売をされている。ある種の利害関係者でいらっしゃるわけです。この利害関係者がこういった、ある種、今後の政策を決めていく中立的な立場のところに入ってくるというのは、これはどう考えたらいいのかなというところをまず考えとして教えていただきたいのですが、これはいかがでしょう。
【説明者】  確かに校務ベンダーというのは、割と幾つかに限られて有力なところがあると申し上げましたけれども、そういったところはこの1者のものを使うということではなく、実証地域についてもちゃんと、それはばらばらに、この方たちとは関係なく、我々採択をしていますので、結局いわゆるシンクタンク的な役割を果たしておりますので、確かに校務ベンダーではありますけれども、そこは区別をして、実証地域というのは採択を行っているものでございます。
【亀井委員】  これ、私はシンクタンカーとしてあえて申し上げます。シンクタンクとしては明らかにこれは切らないといけないわけです。例えばこの情報をぱっと見ると、このベンダーさんが校務システムと学習システムをつなごうと考えていて、その事業開発を文部科学省がお手伝いしているようにも見えなくもないんですけれども、この点いかがですか。例えばもしそれがさせないようにするんであれば、社内で情報共有をさせないようにするとか、そういったような配慮というのは十分に必要だと思うんですが、こういった配慮はされていますでしょうか。
【説明者】  失礼します。明確に取決規定や契約の中でうたっているわけではないんですけれども、実際部隊としては、事業者さんの中でも校務パッケージを開発しているチームとシンクタンク系でやっている教育研究部的なチームがございます。その後者の方で今、動いていただいているので、そのあたりはすみ分けをきちんとしていただいていると認識しております。
【亀井委員】  これはそんな性善説に立っちゃだめでしょう。これは当然つながっていますよね。私が会社だったらそうします。そこをあえてそうさせないようにするというのは、私は、文科省さんとしてある程度一定の工夫はしなきゃいけないんだろうなと思います。それも気になるのはこれは一者応札なんですよね。さらに入札率は98.1%。これはそれで金額は妥当であるというお話があったんですが、5名の方が年間一、二回現地に行かれていますと。あとは委員会を運営されていますというところの金額の積み上げも含めて、どういうふうにしてこの1,700万という金額が妥当だとお考えになったのか、その点、もうちょっと御説明いただけますでしょうか。
【説明者】  この経費の内訳を見ても、ほかの事業との比較等々で判断して申し訳ございません。私の方から見て、ある程度それぐらいの人が関わって調査あるいは各地域の状況をまとめていただいているという中で、むしろそれほど高額だとは思わなかったものです。
【亀井委員】  こういう場合、具体的には何人月かかっているかというところと、それに対する単価というところを掛けて積み上げていくという形が多分とられるのだと思うんですね。そこの積み上げを皆さんはどうされていますかということを伺っていて、今のお話を伺っていると、5つの教育委員会に行きましたと。教育委員会の後、学校を実際に視察したりとか、どのぐらいの出張行程がある。ただ、出張行程として全体として260万の中の内数ですから、そんなにたくさん行ってらっしゃるようにも見えないんですよね。あるいは私の調査の仕事をやっていますからよく分かりますけれども、分析等々にも時間は当然かかると思います。そういう中でこの作業はどのぐらいかかるというふうに、もっと言えば5人で行ったと言うんですが、1つにまとめて行くとなると、これ本当に5人でやっているのかちょっと分からないところが私もありまして、そういうところも含めて、これ以上お伺いするつもりはないですけれども、そこをしっかり見極めた上で、誰に落札いただくかということを決めていかなければいけないし、もしかすると仕様書の作り方が、これは事前に仕様書を見せてくださいと私が申し上げるべきだったかもしれなくて、今この時点で申し上げるのは後出しじゃんけんなのでこれは本当に申し訳ないのですけれども、そういったところもきちんと見ていかなければいけないと思います。
 さらに言えば、これは要は3か年の事業で、毎年毎年入札をして、3年目に入ってくる人いないですよね。そうなったときにこの価格が本当に妥当なのかというのは今後見ていかなきゃいけないし、それでもやはり最初申し上げた、ここの部分を動かしている方々と、この事業を担っている方々とこのシステムを開発し、販売をされている方々というところの情報遮断がどう取り組まれているのか。そうでないと彼らの私見になっているだけですから、そこの部分というのは十分に配慮をいただく必要があるのではないかと思います。
【説明者】  その点、十分配慮しながら進めてまいりたいと思います。また、先ほど適正と申し上げたのは、我々が積算した範囲内でやっていますのでそういうふうに申し上げたのですけれども、よく今後も見ていきたいと思います。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  校務系システムの方にちょっと戻ってしまうのですが、今実証でやっている校務系システムの学校の中で、教員の端末もセットでリースなのか購入なのかしているケースはありますでしょうか。端末は別でシステムのみですか。
【説明者】  今回の事業でという意味でしょうか。
【伊藤委員】  実証の中で。
【説明者】  校務系のシステムについては、もともと入っているものを使っていますので、今回新たに入れているというのは、5つの自治体ではないということです。
【伊藤委員】  なるほど。何でお聞きしたかというと、大体どこの自治体もリースでやりますけれども、教員の端末のリース代の単価が大抵どこに行っても高く出るんです。大体1台当たり30万とか40万ぐらいで出て、少なくとも私が関わっているというか、やっている自治体が4つぐらいあって、4つとも同じぐらいの金額なんです。理由を聞いていくと、セキュリティがやはりほかの端末とは違いますからと、ネットワークの中のセキュリティが強くかけるからという話になっているんです。ただ、今お話聞いたので、実証事業の中でその端末は切り離しているということなので、関わらないなということは理解したんですが、さっきの校務システムの実証でどう効率的にするか、また先ほどの教員の負担軽減ということを考えたときに、効率性でいくと端末自体が何でこんなに高止まりしているのかというところも、実証の中には入っていてもいいのかなと思ったんですね。結果的に、例えばこのシステムを運用することによって全体のコストが下がるということもあり得るのかなと。今この話は全然違うところの論点なので、今すぐお答えできるわけではないと思うのですけれども、というふうに感じましたので、意見として申し上げたいと思います。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、時間が参っておりますので、取りまとめ役の有川委員より評価結果及び取りまとめコメントの提示をお願いいたします。
【有川委員】  それでは、まず投票の結果につきましてお伝えします。
 事業全体の抜本的改善を求めるという意見が4票、事業内容の一部改善を求めるというのが1票、現状通りというのが1票であります。
 それでは、主な意見を紹介させていただきたいと思います。
 事業の目的が大きく3本あるだろうと。学習効果、生活指導、あるいは運営改善といった大きく3つあると思われるけれども、3つの目的がうまくパスが成立しているかどうか疑問であるという意見。
 それから、データに基づく指導は、教員に最低限求められる指導に欠けることのないようにする意味で意義はあるけれども、その意味では実証校の選定を、課題と実証校の特性を適切にマッチングさせて、さらにそこのところを気をつけて選定していく必要があるだろうという意見。
 それから、本事業をモデル事業として評価する仕組みが十分見えてこない、ゴールが明確ではないんではないか、特に民間の取組と比較した場合、どのようなメリット、リスクがあるのか、公教育としてのゴールを明らかにした上でしっかり評価していく必要があるではないかという意見。
 それから、校務系システムと学習系システムを連携するということも一つの目的として掲げられているけれども、それよりもそれぞれのシステム、個々のシステムの効果を分析する方が優先されるんではないか。とりわけ校務システムの整備がかなり教育分野におけるいろいろな運用コストを低減させたり、あるいは業務の効率化に寄与するんではないかという意見が出ております。
 さらに、システムの効果がどこでどのように生じたかは可能な限り客観的に把握すべきであるけれども、教員のアンケート結果でそれをアウトカム指標としている。そういうふうにしているのはやはり十分ではないだろうと。アウトカム指標については、学習成果や生活上のインシデント発生状況など、客観的に把握できるデータでもって、それを指標として立てていくことを検討すべきではないかという意見が出ております。
 さらには、平成30年から実証に入っているけれども、学習効果を中長期的に評価する必要があるので、客観的な指標はさらに中長期的なスパンで立てて、事業の成果というものをある程度時間をかけて測定していく必要があるんではないかという意見。
 それから、契約の関係ですけれども、委託の入札プロセスに改善が必要だろうと。一者入札が行われているということと、受託者はやはり校務システムの販売者であるというところで、さらに透明性を含めた改善が求められるんではないかという意見が出されております。
 委員会としてのまとめとしましては、票数が一番大きかった事業全体の抜本的な改善という結論にさせていただきまして、それを裏付ける意見としては、3つの柱を立てたいと思います。
 1点目が評価、あるいは評価の指標の関係でありまして、その内訳としては、3つほどの意見が出されております。
 一つは、ゴールを踏まえて、事業全体を見渡す形で公教育としてのゴールを明らかにした形での指標を立てる。
 それから、学習成果や生活上のインシデント発生状況など、客観的に把握できるデータに基づいた指標にすることを検討する。
 それから、学習効果が中長期的に評価できるような指標を立てるという、こういった3つの要素をもって、1番目の事業の成果指標について改善を求めるという意見としてまとめさせていただきたいと思います。
 2点目の柱が、校務系システムと学習系システムの連携よりも、それよりも優先されるのはそれぞれのシステムにおける効果をきちんと測定して推進していくことではないかという意見を2番目の柱として申し上げたいと思います。
 3番目の柱が、契約の関係ですけれども、委託の入札における透明性あるいは競争性についてさらに改善を求めると、このような形でまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、これで結論としたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、以上をもちまして、次世代学校支援モデル構築事業の公開プロセスにつきましては、終了いたします。
 次の、地域とともにある学校づくりの推進につきましては、おおむね5分後でございますが、15時58分の開始としたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  予定の時間よりも多少早いわけでございますが、3コマ目を始めさせていただきます。これからの時間は、地域とともにある学校づくりの推進について、御議論を賜りたいと存じます。
 初めに、事業概要の御説明をさせていただきます。事業担当課は、5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。
【説明者】  初中局参事官です。よろしくお願いいたします。事業の中身でございますけれども、事業レビューも含めて事業の概要、御用意させていただいた資料の11ページをごらんいただくと、本事業の全体像ということで掲載をさせていただいております。
 この施策目標、地域住民に開かれた信頼される学校づくりということで、2つの取組から構成されています。1つ目の取組ですが、コミュニティ・スクールの導入。保護者や地域住民の運営参画によるコミュニティ・スクールの導入を促進するということによって、地域と共にある学校を作り出す。それによって、社会に開かれた教育課程を実現していくという1つの取組。そして、もう一つの取組は、学校現場の業務改善。これを通じまして、教職員の業務の適正化、そして、子供と向き合う時間を確保することによって質の高い教育を提供していく。この2つが相まって、地域と共にある学校、地域住民に開かれた信頼される学校づくりということにつながっていこうかと思います。
 この取組1から御説明申し上げます。具体的な取組は次の12ページに詳細を記載しておりますけれども、11ページの絵を使って御説明させていただきます。まずコミュニティ・スクール推進員の派遣による指導助言とか、これまで設置の少なかった高等学校、特別支援学校などの学校種における効果的な運営方法に関する調査研究、これを実施する。あるいは、全国幾つかのブロックに分けまして、年間五、六回程度全国フォーラムをやっております。これを通じて、好事例なんかの収集あるいは展開、そういったものを図っております。
 この成果目標でございますけれども、2つ設定をさせていただいております。まず1つ目ですけれども、平成34年度までに全ての地方公共団体においてコミュニティ・スクールを導入している、あるいは具体的な導入計画がある、そんな状況を目指すということで、指標と致しまして、コミュニティ・スクールを導入している、あるいは具体的な導入計画がある地方公共団体の割合という1つの指標を設定しております。
 2つ目の指標でございますけれども、目標としては、保護者や地域の人との協働による活動によって学校教育の質を向上させるということで、指標と致しましては、保護者や地域の人との協働による活動が学校の教育水準の向上に効果があると思う学校の割合。これは全国学力・学習状況調査の学校質問紙調査から例年取っている調査項目、これを参考にさせていただきたいと思います。
 そして、取組2、業務改善の方でございます。具体的には、後ほど御参照いただければ。22ページに事業の中身を細かく書いておりますけれども、学校現場における業務改善、これを加速させるためのモデル事業、実践研究を今、29年度から進めております。それと併せて、学校業務改善アドバイザーという人たちを委嘱して自治体に派遣する、それによって指導助言を行う。さらに、これも年2回程度全国フォーラムを開催してございますし、さらに、業務改善の推進に資するような基礎的な調査研究なども実施しております。
 この業務改善は成果目標を3つ用意させていただいております。まず1つ目、目標3でございますけれども、平成31年度までに、全ての委託団体において、学校の業務改善に関する取組、これを効果的に進めるという意図を持って、指標としては、モデル事業をやっている委託団体の中で、そのモデル地域において、教師の勤務時間、これを縮減できることができた団体の割合を設定しております。
 次の目標、マル4でございますけれども、平成30年度までに、全ての都道府県教育委員会において、学校の業務改善に関する取組を進める。これは喫緊の課題でございます。とにかくできることから早くやっていこうということで、今年度中に、所管する学校に対する業務改善方針、これを策定している都道府県の割合、これを100%にしたいと考えております。
 最後の目標マル5でございます。これはOECDがやっている国際調査が5年に1遍、教師の勤務実態調査をしておりますけれども、平成26年度に比べて、次の調査は平成31年度になりますが、平成31年度において学校の業務改善によって教師の業務負担を軽減し、学校運営の改善を図るという目標を持って、指標としては、中学校を対象とした調査でございますので、中学校の教員を対象として、週当たりの総勤務時間がどれだけ減らされたかという視点で指標を設定しております。この勤務時間の設定でございますけれども、現在、中教審の方で教職員の勤務時間の上限を定めるガイドラインについての議論がまさに真っ最中でございます。ガイドラインの方が決まりましたら、そういったものも参考にしながら改めて指標を再設定させていただくということも検討させていただければと思います。
 その他、御参考でいろいろお付けしておりますけれども、例えば17ページを見ていただくと、コミュニティ・スクールに関して、例えばコミュニティ・スクールを導入した校長先生がどれだけいいことがあったのかという成果認識、これは3年前の文科省の委託調査で取ったデータでございます。こういったものも指標の参考になるかと思います。
 あるいは、21ページをごらんいただくと、CSマイスターというコミュニティ・スクール推進員の派遣実績を過去3年間掲載しております。
 さらに、学校業務改善アドバイザーの派遣実績、これは昨年度から始めた事業でございますけれども、27ページに平成29年度の派遣実績47回ということで掲載されております。
 最後の28ページをごらんいただくと、全国の教育委員会において学校の業務改善がどのように取り組まれているのか、都道府県、政令市、市区町村別で項目ごとに割合、こういったものを掲載しております。更に指標を改定する必要があれば、こういったデータも参考にしながら取り組んでいきたいと思っております。
 御説明は以上です。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、各委員の方から御意見を受けたいと思います。
 亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  ありがとうございます。これまでのいろいろなプロセスを通じて大変分かりやすく御説明いただいたかと思います。
 その中で、それでもやっぱり確認したいところがあります。今、11ページあるいはレビューシートの方で確認してもいいんですけれども、本事業の全体像についてということで、施策目標は、地域住民に開かれた信頼される学校づくりですというふうな話がありました。大きく分けると、コミュニティ・スクールの導入を促進することと、学校現場の業務改善を進めることですという、こういう2つの話がありました。
 一方で、今お話があった17ページのところ、コミュニティ・スクールに関する成果認識というところを拝見すると、これ、今、校長先生のコメントでいらっしゃるので、これはまた、本当は業務改善というところでいけば、現場の先生方の御認識も併せて聞く必要があると思うんですが、これを見ると、先生方の負担が軽減されたという話はやっぱり書いてないんですよね。
 そう考えると、この話はそもそも、地方行政教育法でしたっけ、その改正に伴って、コミュニティ・スクールと言うとあれですが、地域運営協議会が出来ることによって、学校運営について地域に開かれた形にする、あるいは地域が学校にいろいろな形でコミットしていくということをより進めていきましょうというのが法改正の趣旨だというふうに承知はしています。
 そのラインに沿うならば、事業の成果目標としてはコミュニティ・スクールの導入を促進するものであって、学校現場の業務改善は別の施策をもって行った方が、あるいはそこまで入れてしまうと、いろいろな事業に迷いというか、濁りというか、何かそういうものが出てくるんじゃないかなという気がするんですが、ここら辺のところはいかがでございましょうか。
【説明者】  今御指摘いただいたとおり、業務改善というか、コミュニティ・スクールをやることによって、結果として、地域あるいは保護者の方々が学校に入ってきてサポートしてくれることによる生み出される時間は少なからずあるというのはあるんですけれども、では、それが本当にコミュニティ・スクールだけが要因なのか、そこまではまだ分析ができておりません。コミュニティ・スクールのそもそもの理念に立ち返ってみれば、業務改善そのものというのはコミュニティ・スクールのそもそもの目的ではございませんので、そういった点を踏まえて、分けるべきところは分けて考えたいなと、誤解のないようにこれから整理をさせていただきたいなとは思います。
【亀井委員】  ありがとうございます。そこでもやっぱり、だとすると、事業の中で、学校現場の業務改善は、もちろん初等中等教育局のミッションではあると思うんです。それは今、働き方改革も言われて、いろいろなところを見れば、それこそ厚生労働省の現場の方、労働関係の方が現場に入れば、一番すぐアウトになるのが病院と学校になる可能性があって、そういう意味ではここは喫緊に多分何かしなければいけないのは間違いない。実際にされているんだと思うんですが、そこを多分整理した方がいい。
 もしコミュニティ・スクールを進めることで、私も実際にコミュニティが入っていったことで先生の御負担が減った、いろいろな事務仕事を地域が引き受けたという話は承知はしています。承知はしているんですが、だとすると、そういうところを地域住民もやってくださいというようなところまで促していかないと、この話というのは絵に描いた餅に終わってしまう可能性があるんだと思うんですが、そこら辺の具体的な、地域に対してこういうものをより進めていったらどうだみたいなところまでやってらっしゃるんでしょうか。
【説明者】  例えば今の中教審の働き方改革の議論の中でも、本来学校がやるべき業務は何なのかということを整理させていただいております。今、学校がいろいろなものを抱えている現状の中で、今これは学校がやっているけれども、本来は学校の仕事じゃないよねという業務を幾つか整理をしております。その中には、やはり地域であり、保護者の方々が本来やっていただく、そんな仕事もあるわけです。それを是非実行に移していただきたいということで、文科省の方からも自治体の方に対して通知を出して、行動に移してもらうように促していると、そんな現状はございます。
【亀井委員】  いや、伺いたかったのは、この事業の中でそれをやっていますかという話だと思います。
【説明者】  コミュニティ・スクールの事業ということで?
【亀井委員】  はい、この事業の中で。
【説明者】  コミュニティ・スクールの中では、文科省から直接何かということではないですけれども、事あるごとに我々職員、あちこち現場を訪問させていただいております。教育委員会とか各学校とかですね。そんな中でコミュニティ・スクールの理念をお話しさせていただく。それを通じて、当然そこには地域の方々も保護者の方もいらっしゃっていることが多いので、そういう機会を捉えて直接我々の意図を伝える努力はしております。当然数は限られてきますけれども。
【亀井委員】  いや、ごめんなさい、コミュニティ・スクールの理念を伝えていくことと業務改善はやっぱり直結していないんだと思うんです。そこは事業の設計として、私、コミュニティ・スクールは、これは法に基づいてまさに行政がされているわけですし、法の理念に基づけば、コミュニティ・スクールで地域協議会を作りというのを増やしていきましょうというのは分かったんですが、そこは実際に、かつこれまで出てきたところで、実際に苦情が減れば業務は減るのかもしれないけれども、そこの部分は少し整理された方が。一旦ここで立ち止まって整理をしてみて、ここはこの事業としてはやりません、ただし、別の形でやりますというような整理があってもいいんじゃないかなというのはこれまでの経緯で感じました。
【説明者】  ありがとうございます。まさに業務改善がコミュニティ・スクールの本質ではないので、そこは飽くまで結果論であって、そこを全面に押し出す必要は当然我々もないと思っていますので、整理をさせていただきたいと思います。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  大屋委員。
【大屋委員】  ありがとうございます。1つ目は、コミュニティ・スクールというか、学校運営協議会制度なんですけれども、これが政策の目的ではないはずなんですね。飽くまで目的として挙げられているのは地域に信頼される学校づくりということであって、その手段としてコミュニティ・スクールを作ると。すると、おっしゃったように、17ページに挙げられているようにいろいろないいことが結構いい割合で起きているというのがここで出てきた内容だと思うんですけれども、これが、ただ、常に恒等式として成立するかどうかというのはやや疑問があります。典型的には、バックグラウンドとなるコミュニティがないところで地域から人を入れたら、余計、不信と不安が炸裂しましたみたいなことだって起き得るかもしれないわけですよね。その観点からいうと、その辺りの因果関係みたいなものに多少留保をせずに、とにかく学校運営協議会制度を広げるんだということでやってしまってよいのかなというのが1つ目の問題点としてあろうかなと思います。
 それから、2つ目は、これ、実は以前御説明いただいたところから多分工夫をして、それなりに変えていただいているのでこうなってしまったところがあるんですが、もともと亀井先生が御指摘されていたところではあるんですけれども、何でこの2つの柱、取組1、2がこの1つの傘の中に収まっているかというと、やっぱり地域から信頼される学校を作ると、いろいろな問題がそこで解決されるようになると。例えば人間関係の問題とか、PTAとのコミュニケーションとか、そういうものがそこで処理されるので、先生方が、それは学校運営協議会の相手をしなければいかんという負担は増えるかもしれないけれども、それ以外のところで、本来先生しかできない仕事に集中できるようになるし、ほかのことから解放されるようになるだろうと。そうすると、業務改善が進むはずだと、こういう立て付けでつながっていたはずなんですね。
 ところが、我々からの指摘もさせていただいたところがあって、そこが本当につながっているんですかという話をさせていただいたところ、どうも余りきれいに言えないというところで、今、分断されたところを、1つの傘の中に2つの違う事業があって、何でこれが1つにバンドルされているんですかというものになってしまいましたということなんだと思います。だから、やっぱりそこの連関をきちんと言えないのであれば、この事業の組み立て自体がおかしいということになってしまうので、これは先ほど亀井先生の論点と重なってくるんですが、それぞれが悪いと言っているわけでも何でもなくて、アンバンドルしないといけない、それぞれとして評価できるようにしなければいけないということなんだろうというのが2つ目です。
 ただ、そこがなぜはっきり言えないというような話になっているかというのが3つ目の問題に重なってくるのですが、要するに、先生の業務改善がどれだけされたかということをきちんと数量的にというか、客観的なデータとしてというか、捉えるところに話が行っていないからそこが出てこないんだと思うんです。それで、以前にも御指摘させていただいたことだと思うんですが、結局、アウトカム指標として、OECD調査における中学校教員の総勤務時間を挙げておられるわけですね。まず、これは5年に1回しか取られない数値なので、政策の効果を見るのに余りにもスパースなんじゃないか、粗過ぎるんじゃないかということも言えると思いますし、そもそもこれはバックグラウンドでしょうと。
 つまり、例えばですけれども、労働基準法の改正があったら一発で変わる数字であって、この政策の直接な影響とどこまで結び付いているか分からない数字になってしまっているでしょうと。むしろ、例えば一定の働き掛けをこの事業でされるとして、その働き掛けをした学校の先生方の労働時間がどれだけ落ちたのか、それとこのバックグラウンドの平均の数字がどれだけ違うんですかという差を見なければいけないし、そこの差も、割合ではなくて数量で見なければいけないと私は思います。
 例えばですけれども、働き掛けをした全ての学校で、平均週労働時間が1時間落ちましたと。そうすると、下がった、効果があった学校は100%だというふうなアウトカムになってくるわけですよね。委託団体のうち、勤務時間を縮減することができた団体の割合ということで見ておられるから、これ、100%だということになるかもしれないんだけど、その間にOECD調査を見たら、一般的には5時間落ちていましたといったら、むしろ逆効果があったと評価すべき事例だということになってしまうわけですから、現在のアウトカム設定はやはりこの事業の成果を評価するものとして適切にされていない。これは改善する必要があるのではないかというのが私からの意見になります。以上です。
【説明者】  ありがとうございます。まず1点目の御質問、コメントでございますけれども、コミュニティ・スクールの数をただ増やせばいいというものではないのは我々も十分承知しております。一方で、全ての公立の小中学校がコミュニティ・スクールになることを目指すという目標の中で、ただ拙速に物事を進めてはいけない。やはり地域と学校との間のまさに信頼関係がどれだけできるか。だから、法改正がされた、それで努力義務化された、だからといって、じゃ、すぐにコミュニティ・スクールになってくださいということは我々も申し上げてないわけです。
 やっぱり1年2年少なくとも掛けていただいて、地域との関係、熟議をする中でいい関係を作り上げていただいた上で、コミュニティ・スクールになってもいいなと本当に思えた段階が来れば、コミュニティ・スクールになっていただくということであります。確かに上から目標100%だと言ってしまうのは、地方自治の観点からどうなんだという御意見もあろうかと思いますが、我々としては、最終的には全ての公立の小中学校はコミュニティ・スクールになっていただきたいと、そこに至るまでのプロセスはいろいろあるけども、裏にはそういう思いがこもっている中での指標の設定ということは1点御理解いただければと思います。
 それから、2つ目のコメントでございます。いろいろ整理をしている中で、やっぱりそもそもコミュニティ・スクールの本来的な目的は、業務改善ではなくて、いかに地域との信頼関係を築くかということに立ち返って考えてみれば、そこは明確に切り分けるべきだろうということで、今回お示ししたような事業の概念図を作らせていただいたわけです。ただ、そうすると、明確に2つの事業に分かれてしまうわけでありまして、それについては今後、もちろん我々もそういう整理をしたからには、これは別々の事業として評価していただくということもあり得るのかなというのは、そこはそう考えております。まさにアンバンドルということでやらせていただく方向で考えたいと思います。
 最後の3点目の質問です。まさに5年に1遍の調査ということで、インターバルが長いというのは承知しております。かといって、毎年毎年調査をするという負担も、それはそれでかなりロードの掛かる話であります。したがって、ちょっと悩ましいところではあるんですけれども、我々もいろいろ考える中で、当然このモデル事業の中では、それぞれ委託した、事業をやっていただく個別の学校がそれぞれ目標を作ります。1年間の勤務時間をこれだけ減らすんだとか、それはもう各学校によって数値はばらばらですけれども、必ず数値目標を立てていただいています。
 結果として、1年間あるいは3年間続ける中で、始める前と、実際事業を実施した後とどれだけ効果があったのか、それは何によるものなのかというところまでの分析はしっかりとしていただいた上で、では、それを全体的な指標としてやっぱりどうやって設定するのかというのは、引き続き悩ましい視点として残っている。ここは我々もちょっと考えなければいけない点だなというふうには正直思っておりますので、もしいい御示唆があれば頂ければと思います。よろしくお願いします。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  1点目が、先ほど出ている11ページのこの2つの取組の件なんですが、今までのお話の参事官の答えからすると、業務改善の方は合わないなと思っているように感じるんです。ただ、7ページの資金の流れを見ると、この事業で一番多いというのが、大部分は業務改善の方なんですよね。業務改善のコーディネーターの派遣費用等で1億4,000万ぐらい掛かっているので、ほぼ8割強なんですよね。
 そうしたときに、多分まず、事業名と事業内容が乖離しているということが1つあると思うんです。ただ、この間の説明資料を含めて、きっとこの事業で本当にやりたかったことは、業務改善ではなくて、コミュニティ・スクールを広げることを、ちょっとうがった見方をすると、コミュニティ・スクールの方だけの予算だったら数百万の世界になってしまうから、これだったら事業が立たないからくっつけてしまったのかなとも思えてしまうんです。少なくとも11ページの概念整理では、業務改善から地域住民に開かれた信頼される学校づくりということが並列にはならないというところは、今の話の中でそうだと思うので、まずそこで事業立てを変えた方がいいなと。この後のお答えはきっと同じことになってしまうので、これで止めたいと思います。
 その上でコミュニティ・スクールの方なんですが、これ、今、大屋先生からも話があったように、コミュニティ・スクールを作ることが目的ではない。でも、結果的には成果指標は、34年度にコミュニティ・スクール設置校を100%にしたいという思いがあって、これ、事前勉強会のときに、もちろん類似の取組はあるけれども、学校運営協議会を作るということの特殊性、これが大きな特徴なんだという話があったかと思うんです。
 ほかの自治体でよくあるのは、学校支援地域本部を作られている。これ自体も文科省が進めていることだと思うんですが、学校支援地域本部と学校運営協議会、コミュニティ・スクールの関係、私は多分認識しているつもりなんですが、学校支援地域本部の中ではいろいろな活動がされている。その中の主体的なことが放課後子供教室だったりとかそういうことをやっていて、学校運営協議会の中に支援地域本部の方、特に地域コーディネーターだったりが加わってもらって、そこでそういう現場での意見を学校運営協議会の中にも取り入れていこうという関係性になっているというふうに私は認識をしているんです。
 ただ、そのことと、学校運営協議会がなかったら、絶対にその地域、学校としては、目標である、地域住民に開かれた信頼される学校づくりができないのかということは、私はそこはやっぱり違うんじゃないかなと思っています。学校支援地域本部だけしか作っていない学校の方が統計によるとたしか多いはずなんですね。多分コミュニティ・スクールを持っていて、学校支援地域本部も作っているところは3割ぐらい。やっぱり学校支援地域本部だけをやっている自治体、学校の話を聞いていると、デメリットまでは行かないけれども、学校運営協議会のメンバーと学校支援地域本部のメンバーに重複がどうしても生じてしまって、結果的にはその地域でコアになる方が限られてしまうから、同じ方に参加してもらうことになってしまうし、議論内容も一緒になるというところも出てきかねないから、うちは学校支援地域本部だけでやるんですという。
 私が今言いたいのは、コミュニティ・スクールはよくないと言っているんじゃなくて、そういう考え方は当然あるんじゃないかなと。そうしたときに、コミュニティ・スクールありきというわけではないんじゃないかなと。本来の、地域住民に開かれた信頼される学校づくりという目標の中ではほかの手段もあるんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。まず最初の事業立てについては、これ以上、私もコメントは控えたいと思います。
 次のコミュニティ・スクールの関係ですけれども、おっしゃるとおり、もちろん作ることが目的ではありません。学校運営協議会を設置すればいいのか。決してそうではない。それをさせたがゆえに、かえって形骸化してしまって、学校と地域の関係がおかしくなってしまうということも、無理にやればそういうこともあり得るわけです。
 その上で、支援本部、地域学校協働本部との関係ですけれども、今おっしゃったように、地域学校協働本部の方の代表の方は必ず運営協議会のメンバーとして入っていただく。そこで地域の声をしっかりと吸い上げて、学校のカリキュラムづくりにも生かしていくんだという趣旨で運営をしています。おっしゃるとおり、本部の数の方が圧倒的に今多いです。だから、それだけで回るのかというと、やっぱりそこもコーディネーターの力量次第ではあると思うんです。コーディネーターがうまく機能していないと、結局、学校現場がそれぞれのボランティアの人たちと直接連絡調整をしなければいけないということで、かえって地域との関係がややこしくなってしまう、そんな事例も拝見しています。もちろんコーディネーターになる人がしっかりしていればいいです。ただ、残念なことに、コーディネーターになれるような人材の方というのはそう多いわけではないわけです。だから、そこら辺の人材探しというのは1つの悩ましいところではあるんですけれども。
 それは別として、コミュニティ・スクール、運営協議会を作るということのメリットは、先日も申し上げましたが、やはり学校の教育目標、これを地域と保護者の方々に共有をして、承認をしてもらうという法的な行為が発生するわけです。法的な行為が発生すれば、法的な行為が発生しなくてもなるかもしれませんけれども、我々としては、法的な行為が発生すれば、、当然、その人たちは当事者意識がしっかりと生まれてくる。これによって適切な役割分担もできるようになるし、自分たちが自分ごととして、まさにコミュニティが社会総掛かりで子供たちを育てる、そういう意識が生まれてきやすくなる、その1つのツールだとは今の段階では思っています。
 地教行法を改正したときも、この運営協議会の制度については、施行後5年後をめどに見直しをするんだということも附則の中で明記をしております。我々も、今の運営協議会の制度がベストだとは決して思っていません。ただ、これが今考えられる有効なツールの1つなんだということで、まずはこれを進めていただいた上で、もしかしたらデメリット、ほかにいいツールが出てくるのかもしれない、ほかにいいやり方があるのかもしれない。そのときはそういったものも参考にしながら、今の制度をよりよい方向に変えていくということも考えておりますので、そういった意味では、今のコミュニティ・スクールが全てではないというのは、一面、おっしゃるとおりなんだろうなと思います。
【伊藤委員】  ありきじゃないということとともに、学校支援地域本部の課題についても、私も同じように感じているんです。ただ、その解決策が、だから、学校運営協議会を作らなければいけないに行くだけではない。行く学校もあるかもしれないけれども、それだけじゃなくて、逆に言うと、学校支援地域本部の問題でいくと、私は個人的には都道府県と市町村の方の問題も大きいなと思っています。都道府県がどちらかというとルールを縛り過ぎていて、市町村や学校がやりにくくなっているようなこともあったりとか。
 あとは、多分御存じかもしれませんけれども、一番最初に放課後子供教室をやり始めていた習志野の小学校の校長先生、宮崎さんという先生ですけれども、この方が今言っているのは、コミュニティ・スクールじゃなくてスクール・コミュニティで、学校が地域の拠点なんだと。だから、5時以降は、学校の権限ではなくて、地域の権限として自由に使えるようにしていくことが、結果的に、まさにここに書いている、地域住民に開かれた学校になってくるんだというような考え方。これは別にツールがコミュニティ・スクールということだけではないんじゃないかなと思うので、何となく解決策は既に現場の事例の中でも出てき始めているんじゃないかなと感じました。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  これまでの話を伺っていてやっぱり分からなくなってしまったのが、コミュニティ・スクールじゃないというのはあれなんですが、だとすると、これである種、これ、いろいろな事業がたくさんあるんですが、議論は、首長部局等との協働による新たな学校モデル構築事業というところに集中するんだとすると、今の文科省さんの見立てとしては、じゃ、コミュニティ・スクールという方法論以外にもあるかもしれないけれども、いずれにせよ、学校と地域が開かれた関係になっていくということが重要であるという形で考えるとすると、これまでいろいろと見てきた中でどういうパターンの手だてがあって、その中で一番多いパターンというのは、誰が動き始めるとこれは動きやすいというふうにお考えなのか、そこをまず教えていただけますか。
【説明者】  なかなか難しい質問ではございますけれども、いろいろなパターンを我々も見てきています。コミュニティ・スクールという言葉1つ取っても、やり方は千差万別です。
【亀井委員】  ありますね。
【説明者】  はい。その中でやっぱり一番うまくコミュニティ・スクールが機能していると我々が考えられるのは、やはり先ほど話題に出た、首長部局との連携です。教育委員会だけではなくて、やっぱり福祉であり、警察であり、そういったところとうまく教育委員会が連携できている、連携が取れているところというのは、本当にそのまち全体が、行政も含めて保護者、地域と一体となって学校づくりができている。それはとりもなおさずまちづくりの一環でもあると思いますし、学校を核としたまちづくりであり、今盛んに言われている、学校を核とした地方創生みたいなものにつながっていく、そんな話がすごく私も印象には残っています。
【亀井委員】  ありがとうございます。私も多分同じ感覚で、これは何でかというと、多分学校の範囲というのは、中学校区というのが1つ大きなコミュニティだとすると、ここが多分これからの地域の1つの原単位に恐らくなっていくんだろうなと思うんです。顔が見える関係にもなりますし、あと、卒業しても母校があるみたいなことも含めて1つの原単位になっていく。そこは恐らく福祉の拠点になっていくし、支え合いの拠点になっていくという意味では、まさにそこは学校だけではなくて、あるいは個別の地域だけではなくて、行政全体あるいは地域全体がという形になっていくという方向性は分かるんですが、だとすると、この事業で文科省さんがやる役割というのはどこに出てくるんですか。
【説明者】  役割というのは、1つは、この前も教育委員会制度を改正して、総合教育会議なんかを作らせていただきました。それこそがまさに首長部局と教育委員会が一体化して議論ができる、そういった土壌なんかも作り始めています。そういった場を活用して、是非コミュニティ・スクールの議論なんかも進めてもらいたいということで、私なんかもあちこち行く中で、首長さんにもお願いしますし、教育長さんにもお願いします。そういった流れがうまく出来ていけば、流れが醸成されれば、また方向はいい方向に変わるんじゃないかと。
【亀井委員】  まさに私もそこも同じ認識で、必要な法改正が順々にされてきている印象もあります。だとすると、今度、事業としてなんですけれども、法改正はしてきた。こういう方向だよという形で法令は見えてきた。もちろん自治だから、それぞれが判断していいと。だけれども、その方がいろいろなことが前に進むよということを多分見せてあげているというのが必要なんだと思いますが、この事業として文科省さんが何をやるか。
【説明者】  そういう意味で、首長部局と教育委員会の連携がうまく進んでいけば、少なくとも小中学校に関しては相当いい方向に進むんだと思います。一方で、高等学校を例に取れば……。
【亀井委員】  これまた別です。
【説明者】  例えば地方に行けば行くほど、例えば小中高と隣合わせに建っている例も、近くにある例も結構多いんですが、どうしても小中高の連携を取ろうとしたときに、小中は市町村の教育委員会、高校は県の教育委員会。市町村の首長さんからすれば、なかなか高校には物が言えないんだよね、うまく連携ができないんだよねと。高校の方は高校の方で、例えばコミュニティ・スクールになろうとしても、そもそも地域の概念が違う。そこの場所にあるけれども、そこの場所から通っている生徒さんはほとんどいないような高校もあるわけで、じゃ、コミュニティ・スクールを作るってどうしたらいいんだろうかということで悩まれている自治体も非常に多いです。
 そういうところに対して、今回の平成30年度の事業では、まだ手の付けられていない、あるいは皆さんがまだどうしていいか分からないような、高校であり、特別支援学校であり、そういったところにどうやってコミュニティ・スクールを導入していったらいいのかという調査研究とか事例の収集とか、そういったところに焦点を当てていこうということを考えてございます。
【亀井委員】  なるほど。そこは現場感も含めて非常によく分かる。高校の話というのは、これは初等中等教育局としてもそれでいいんですか。これ、だって、初等中等教育局の仕事ですよね。
【説明者】  そうです。
【亀井委員】  別にここであえて縦割りを促すつもりはないんですけれども。実際に例えば高校がなくなるということが、実はその町のそもそもの存続にも僕は大きく影響すると思うので、我が町の高校に通える状態にしておくというのは小中にとって大変大きな意味があるんだということはよく分かるんですけれども、そういう中でやっぱり高校との連携をという話なんですね。
【説明者】  そうですね、はい。おっしゃるとおりです。
【亀井委員】  ありがとうございます。その上でもう一回質問なんですが、これ、でも、ある種のモデル事業ですよね。日本全国1,700の基礎自治体に対して全部できるわけじゃないじゃないですか。あるいは、47都道府県全部できるわけじゃないわけですよね。そのときに、ある種のモデル事業としてコミュニティ・スクールは今離陸し始めたところで、一定の軌道に乗ったところである種手が離れていくという形になっていくんだと思いますが、この事業としては、どこで終わって、どういう形で終わらせるというようなイメージになっていくんでしょうか。
【説明者】  まだ明確なイメージがあるわけではございませんけれども、少なくとも今度の地教行法の見直しの段階までは少なくともサポートは続けさせていただく。その中でどれだけ進むのかということを考えて、もしかしたら小中の方はうまく軌道に乗れば、あとはもう自治体にお任せすれば進んでいくだろうというところまで行くかもしれませんし、そこはこの先の展開を見てみないと何とも言えないところはあります。
【亀井委員】  ありがとうございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ほかに御意見等ございますでしょうか。また、並行して、コメントシートへの記入をお願いいたします。
 有川委員、お願いいたします。
【有川委員】  コミュニティ・スクールの事業というのは、平成25年度からやっているというふうに理解してよろしいんですか。
【説明者】  コミュニティ・スクールの事業については、今年度から実施、高校、特支を対象にしてやっておって、その前は、資料にもございますけれども、首長部局との連携とかそういう事業もやりながら、コミュニティ・スクールの推進を促してきたという実態がございます。
【有川委員】  最初始まったのは25年ということですか。先ほど校長先生のアンケートみたいなものを3年前に取っているという話がありましたけれども。
【説明者】  コミュニティ・スクールの制度自体はもっと古く、平成16……。
【有川委員】  かなり古いということなんですか。
【説明者】  はい。
【有川委員】  そうすると、校長先生以外に、校長先生のアンケートのところにも、子供たちへの効果とか、あるいは教職員への効果とか、地域住民への効果というふうに分けて書いてありますけれども、そういった効果が発生するような方たちのアンケートといいますか、そういった状況を把握したということはないんですか。
【説明者】  このアンケート調査の……。
【有川委員】  のようなそういう形で、つまり、校長先生だけじゃなくて、実際……。
【説明者】  校長先生だけじゃなくて?
【有川委員】  なくて、効果が及ぶ子供や教職員や地域住民。
【説明者】  すいません、今の点ですけれども、27年度にやった委託調査は、この年のテーマとしてコミスクの関係をやらせていただいた。その中では、子供だとか、今お話のあったような方へのアンケートはやっていなくて、国として実際子供に対してというアンケートはやっていません。それぞれの地方の取組の中ではそういったところに聞いているものも見られるという状況です。
【有川委員】  当面、このコミュニティ・スクールの事業としては、管理職の人たちがどう満足するかというのが一番の狙いなんですか。
【説明者】  もちろん管理職だけではありませんけれども、やっぱり管理職の意識が変わらないと学校運営自体が変わらないということは明らかでございますので、そこは1つ重要な材料というか、管理職の方がどう意識が変わってきたのかというのはしっかり見ておかなければいけないとは思っております。
【有川委員】  何か素人的な感じとして、地域に信頼されるというのが一番の狙いだったら、まさに地域住民の方たちがどういうふうな感想を持っているか、満足度を持っているかというのが第1番目で、その次にやはり教職員たちがどういうふうに開かれた学校になっているかということを感じているかというのを測定するのが大事なような気がするんですが。
【説明者】  できればそういうこともやりたいとは思っておりますが、なかなかロードも掛かりますし。ただ、そうは言っても、それぞれの自治体では、地域住民の方がコミュニティ・スクールをどう思っているのかという認識を調査している、そんな自治体もございますので、そういったところを事例収集するというのも1つのやり方なのかなとは思います。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】  今の話で、私が知っている学校の調査の中で、子供たちが登下校時に、恐怖感というのか、安心安全に感じられるかどうかという度合いを調査しているところがあります。コミュニティ・スクールを導入することによって知っている人たちが増えるとか、これは別にコミュニティ・スクールに限らないですけれども、自転車とかに安全パトロールという札を付ける人たちが多く地域の中に走ることによって安全に思う子供たちが増えているという事例があるので、そういうものも学校ごとには調査している事例はあるんじゃないかなと思うんです。
 私が先ほどちょっと言ったお話の中で、これもコミュニティ・スクールとしてやっているわけじゃないんですけれども、学校が1つの地域の拠点だという考え方の1つとして、これはコミュニティ・スクールの理念でも、学校の地域の人たちがある意味、自由に入ってきていいよという、理念としてはあるけれども、コミュニティ・スクールを名乗っている学校の中でも、時間を区切っているとかってありますよね。これは何でかというと、やっぱり昔学校での事件があったように、どんな人が、ある意味、犯罪が起きるかもしれないというリスクがあるから時間を指定するとか、時間以外は門を閉めているとかいうケースがあると思うんです。
 私が知っているケースの中で、自由にいつでも入ってきていいと。その代わり、全員がステッカーを付けていて、その学校の理念は、そのステッカーを付けている人の方が多くなることによって、ステッカーを付けている人がある意味少数派だったら、あ、付けている人がいるんだになるけれども、付けていない人の方を少数派にすることによって、自由に学校に入っていても、ちょっとこの人違うんじゃないかというのを子供たちが思うんじゃなくて、そこに行っている人たちが思う。結果的に指標を取ってみると、1日当たりに地域住民の人たちが来る人数というのが大体50人から100人ぐらいになっているというような事例もあるので、これ、結局同じ話なんですけれども、コミュニティ・スクールということに限らなくても、この理念を実現するような事例というのは出来上がってきているんじゃないかなと感じました。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  時間が相当経過しておりますので、コメントシートの提出をお願いいたします。
 それでは、亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  取りまとめまで、多分有川先生もう少しお時間掛かると思うので。さっき大屋先生がおっしゃった、今、事業が幾つかあるんだけども、大体このコミュニティ・スクール関係のところに少し集中するならば、コミュニティ・スクールのところで、さっき有川先生がおっしゃったマルチステークホルダーアプローチというのはすごく大事だと思っています。やっぱりやったらいいものなんだというところを少し具体的な、それこそエビデンスで出すという事業はしっかり取り組まれた方がいいような気がするんです。つまり、何となくいい感じはするんです。みんな何となく感じは分かるんだけども、やっぱりファクツとして。
 あと、誤解があるかもしれないんですけれども、例えばこれは田舎ならうまくいくけれども、都会はうまくいかないよというような思い込みをおっしゃる方もいらっしゃいます。それはコミュニティの状況によっても違うのかもしれません。ですから、例えば近隣地域でやっているところとやっていないところ、それは先ほど伊藤さんがおっしゃったような、必ずしもコミュニティ・スクールじゃないところも含めて、裏にやっていることと、その違いをちゃんと比較できるような形で。
 しばしば文科省さんの場合、やっているところだけやられて、やっているところはうまくいっていますという話なんですが、やっていないところも比較対象にしながら、一回しっかり調査研究をされた方がいいんじゃないかなという気がするんです。もう一方で、この事業としては多分、どうやったら進むのかという研究は研究としてまた別途あるんだと思うんですが、つまり、まずファクツとして、やったらいいものなんだということをもう一回ちゃんと説明するというのが1つ。
 もう一つは、やるとすると、こういう方法があって、ここがつぼだみたいなところ。そこは、どちらかというと、後者は事例研究なんですけれども、前者の方は、一回定量的にサンプル拠点を幾つか取って、都市型、田舎型みたいな形で分けるのがいいのか、あるいは地方拠点型と地方でもまた違ってくると思うんですね。そういう形の中で、どういうところにどういう問題があって、うまくいきやすいところといきにくいところみたいな話、あるいは先ほどまさに参事官おっしゃった、小中高がすごく近くにあるところとそうでないところみたいな幾つかの事例を分けた中で、ある種、余りパターナリズムに陥りたくはないんだけれども、そういう中で、本当にいいものなんだというところをまず確信を持たれる方が。もちろん法令で書かれているし、そうなんだけれども、そこのエビデンスをしっかり整えるところに何百万か掛けても、その何百万は大変大事な使い道になるんじゃないかなという気がしますので、是非前向きに御検討いただけたらなと思います。
【説明者】  ありがとうございます。まさに大事なポイントだと思いますし、エビデンスなくして我々も説得力をなかなか持ち得ませんので、そういったところこそこういった調査研究でやる価値のあるテーマだと思うので、検討させてください。ありがとうございます。
【亀井委員】  ありがとうございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  最後に御質問ですけれども、28ページ関連で。コミュニティ・スクールから逸脱します。業務改善の方で、1つだけにしますけれども、そちらの方も喫緊の課題だというのは、我々の業界もそうでありまして、大変なんです。ここに幾つか方策が出ています。タイムカードで管理しますとか、事務の共同実施をします。我々でいったら共同調達かな。それから、IT化します。こういうものがあるんですけれども、こういうようなプランを作るために、実際に現場の先生たちが日常どういう業務にどれだけ時間を使っているかという下になる資料は既にお持ちなんですか。
【説明者】  それぞれの業務にどれだけ時間を費やしているのかという話は、私どもの教員の勤務実態調査を10年ぶりに行い、平成18年にやって、それで、平成28年にやった結果が今まとまりつつあります。速報値はもう出ております。そういうところで、実際部活にどれだけ時間を費やしているのかとか、そういった比較的細かいデータはバックデータとして我々も持っておりますので、ここのそれぞれで時間がどれだけ減れば総勤務時間がどれだけ減るのかということは単純計算はできる。もちろんいろいろな複合的な要因はございますので何ともストレートに言うことはできないんですけれども、バックデータとしては少なくとも我々は持っているということです。
【松浦委員】  ありがとうございます。多分そのバックデータがなければ、何をやって効率的になるのか、時短になるかというディスカッションは、概念だけを言っているだけでむなしくなってしまう。僕らの職場はどうも、三六協定を超えたらだめだから、タイムカードを押せよ、押してから働けやという人がまだ残って生存しているかもしれないんですね。それでは、形だけ合わせましたの話になってしまって、不幸な話になってしまいますので、ぜひその今取りまとめつつある、僕らはタイムスタディと言っているんですけれども、どれぐらいの時間……、何%というのはまた意味がないんですね。つまり、1日何時間働くか分かっていないときに何%を比較しても余り意味がないので、実時間でもって、こういう仕事にどれだけ、じゃ、どこの部分だったらどういうような人たちにヘルプしてもらえるだろうというような分析をこの先続けていただければ大変ありがたいかなと思います。ありがとうございました。
【説明者】  ありがとうございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、評価結果、それから、コメントがまとまったようでございますので、有川委員の方からよろしくお願いいたします。
【有川委員】  それでは、私の方から。まず投票結果ですけれども、事業全体の抜本的な改善を求めるという投票は5票、事業内容の一部改善を求めるというのが1票であります。
 主なコメントを紹介させていただきたいと思います。
 この事業の目標である、地域に開かれた信頼される学校づくりの実現のための手段としては、コミュニティ・スクールだけではない、それに限定されるわけではないということで、ほかにこういった地域に開かれた信頼される学校づくりのための手段を、ほかの選択できる手段を更に調査研究する必要があるだろうと。
 それから、事業改善の効果についてですけれども、客観的に検証するための情報を収集する内在的な仕組みを欠いている。その結果、アウトカム指標の設定が適切なものになっていない。したがって、業務改善の対象校に既に生じている効果を客観的に検証して、社会一般のデータと比較することによって施策の効果を検証可能なものとすべきであるという意見。
 同じような意見としては、現在の指標では教員の業務改善の成果を測定できる指標にはなっていないという意見。
 それから、コミュニティ・スクールの関係ですけれども、コミュニティ・スクールの属性の違いに注意して、改善された点だけではなくて、デメリットについてもきっちり検証すべきだという意見。
 それから、コミュニティ・スクールに関する成果指標が量的になっているが、その点が気になるので、地域参加による質的なものもちゃんと入るようにする工夫が必要だろうという意見。
 それから、同じくコミュニティ・スクールに関しまして、地域住民への効果や教職員への効果が適切に把握されていないという意見。
 さらに、モデル事業として今後全国展開に向けたロードマップが見えない、そういう意見があります。
 そして、全員共通して、今の施策と事業の連携、関連がやっぱり適切でない。事業の施策、目的の連関を根本的に整理する必要があるという意見が全員出ております。
 したがいまして、最終的な結論として、評定は、5票入りました事業全体の抜本的改善とし、その取りまとめコメントとしては、少し多いんですけれども、5点挙げさせていただきます。
 1つは、最後に述べました、本事業の施策・事業間の整理、連関の根本的な整理を求めるというのが1点目です。
 2点目が、業務改善の効果についてのその検証のための適切な情報収集とそれに基づくアウトカム指標の設定というのが2点目。
 それから、3点目が、コミュニティ・スクールに関する地域住民への効果あるいは教職員への効果について適切に把握できる指標の設定。
 4点目としては、モデル事業として今後全国展開に向けたロードマップを明確にするということ。
 そして、最後の5点目としては、地域に開かれて信頼される学校というこの事業の目的について、コミュニティ・スクール以外の手法についても適切に研究・検討する必要があるという、この5つの取りまとめコメントに基づいて先ほどの結論にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 以上でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、以上をもちまして、地域とともにある学校づくりの推進の公開プロセスについては終了いたします。
 次の科学技術人材育成のコンソーシアムの構築につきましては、おおむね5分の休憩の後開始したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  時間が参りましたので、本日最後のこまを始めさせていただきます。これからの時間帯は、科学技術人材育成のコンソーシアム構築について、御議論を賜りたいと存じます。
 初めに、事業概要の説明をさせていただきます。事業担当課は、5分以内で簡潔に説明をお願いいたします。
【説明者】  人材政策課長の坂本です。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料をごらんいただければと思います。1ページは論点等の説明でございまして、それを飛ばしていただきまして、3ページから、簡単に事業の概要と、それから、事前に御指摘頂いた点についての御説明を中心に説明をさせていただきます。
 まず3ページでございます。この事業名は、科学技術人材育成コンソーシアム構築ということです。事業の目的は真ん中の辺りに書いてございますけれども、複数の機関が共同した形、コンソーシアムの形式で、科学技術イノベーションの創出を担う若手研究者を効果的に育成するための新たな要素を備えたシステムの構築・普及を図るということでございます。若手研究者が十分に能力を伸ばして発揮する、そして、自律して優れた研究を行うという、そういった環境の整備を行っていただくというところを文部科学省が支援するという補助金の事業でございます。予算は、下の予算額のところに書いてございますが、平成30年度12億4,200万円というところでございます。
 4ページをごらんいただければと思います。今回の論点にも掲げられてございますが、この事業のアウトカムでございます。2つ、成果指標、それから、目標を設定させていただいております。1つは、このコンソーシアムで育成されました若手研究者の1人当たりの論文数が全国平均値を上回っていること、これが目標でございます。もう一つは、このコンソーシアムで育成された若手研究者の科研費の採択率が全国平均値を上回っていると。この2つの指標、それから、目標をアウトカムということで掲げておるところでございます。
 事業の内容と、あと、この指標についての達成状況を御説明させていただければと思います。9ページをごらんいただければと思います。9ページに事業の概要を書かせていただいております。この事業における、今申し上げた支援スキームでございます。事業の概要のところに書いてございますけれども、事業期間は8年間でございます。ただし、補助期間は5年でございます。この5年について、上限1億円ということで、毎年研究者のスタートアップ研究費、研究環境整備費、それから、インターンシップ経費を補助しているというところでございます。補助対象コンソーシアムは、26年、27年ということでこの10コンソーシアムがあるというところでございます。
 次のページをごらんいただければと思います。具体的などのような効果が出ているかというのを御説明する前に、下の方でございますが、このプログラムでどのような支援を行っているかということをもう少しだけ御説明させていただきたいと思います。このプログラムにおきましては、この表に掲げてあるような項目で研究者の育成を図っていると。プログラムの具体的な構成要素でございますが、海外研さん機会を提供する、あるいは異分野の交流機会を提供する、トランスファラブルスキル、これは資源獲得を含めたプロジェクトマネジメントの手法、あるいは他の機関、他のセクターとの連携といった、プロジェクトあるいはテーマが変わっても必要な能力。これはトランスファラブルスキルと言われておりますが、研究をする上で知的能力あるいは研究スキルと並んで非常に重要な能力と今、国際的にも重視されているところでございますが、こういったものを指導する。論文執筆は、これは代表的な例でございますが、そういったもの。あとは、メンターによる研究の進め方について指導を行う。あとは、エフォートを管理する、できる限り研究時間を確保する、設備等の共同利用を行うというところでございます。
 横に書いてある、大学を中心にしたコンソーシアムがどういう項目に取り組んでいるかというところは、この◎、○で付けているところでございます。
 その効果がどの程度出ているかというところは、上に戻っていただきますと、先ほど申し上げました2つの指標です。まず左の方でございますが、科研費の採択率についてでございます。これについて、一番右が比較する対象ということで、小さい字で注に書いてございますけれども、科研費の若手を対象にしたものとの比較ということで、その平均が、こちら、公表されている資料のデータ、40歳未満の科研費採択率については29.2%が平均でございます。それに対して、コンソーシアムの各大学の名前が書いてございますけれども、どれぐらい出ているかということです。特に北海道大学とか農工大は、全国平均よりも高いものを示している。ほかも、そこには及びませんが、また高いものが示されているところでございます。
 もう一つ、研究者当たりの論文数でございます。こちらについても、基準となるデータを青で示しております。これ、今2つお示ししたいと思います。1つは、研究者当たりの論文数の全国平均ということで0.15%、これは年齢も分野も全部、全体の平均ということで0.15というところでございました。
 ここで恐縮ですけれども、先ほどの科研費のところもございましたが、できるだけ年齢あるいは分野も同じかあるいは類似したものでサンプルを比較するというのが適切な比較の仕方であろうという御指摘を頂きましたので、そこで、論文については、全国的なデータはなかったのでございますが、実は全コンソーシアムに協力を要請したんですけれども、この時間でデータをそろえていただけたのが北海道大学ということで、北海道大学の例を示させていただいております。40歳未満の若手研究者であって、かつ北海道大学でこの人材育成コンソーシアムで対象となる研究者と同じ研究科の方々の全体の論文数を比較した結果、1人当たりの平均が、所属する研究科全体の平均が2.26に対して、人材育成コンソーシアムで育成された方は4.0というふうな結果が出ているというところがございます。
 ということで、我々、全体を見ますと、科研費を見ても、それから、研究者当たりの論文数を見ましても、特に北海道大学とか、あるいは農工大のような、幾つかの支援項目を組み合わせて行っているところについて特に効果が出ているということが認められるんじゃないかと考えております。こういった知見を是非とも今後も人材育成の施策にも取り込んでいきたいというところでございます。
 なお、既にこのコンソーシアムの成果については、各大学において、既にある若手研究者の支援体制を拡充して、この内容をどんどん取り込んでいく、そして、育成システムを高度化しているというふうな動きもあることも御報告させていただきたいと思います。
 私からの説明は以上です。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、論点について御説明させていただきたいと思います。お手元に論点等の説明シートがございますので、ごらんいただければと思います。
 まず1点目でございますが、本事業により開発されたコンソーシアム形式による若手研究者の育成効果についてという点が1点目でございます。2点目でございますが、本事業により開発されたプログラムの今後の活用に向け、アウトカム・アウトプットは適切に設定されているかという点でございます。以上の論点等について御議論願いたいと存じます。
 それでは、有識者の皆さんから御質問等をお願いいたします。
 大屋先生、お願いします。
【大屋委員】  ありがとうございます。もともと「我が国の研究力評価に向けた研究人材の育成・確保に関する論点整理」ですか、資料でも12ページに付けていただいております。若手研究者の対策というのは、第一義的には、大学や研究機関がやるべきことであるということは踏まえながらも、やっぱり大学間のコンソーシアムとか共同的な取組というのは何か機会がないと進まんというところがありますので、それにちょっと外からきっかけを作ってやろうという事業であると承知しております。その意味では、大学にとって大変ありがたいことをしていただいたと思っております。
 まず数字のお話をさせていただきたいのですが、これは以前にこちょこちょ申し上げたところで申し訳ないんですけれども、まず確認ですけれども、科研費採択率について、これは新規採択率ということでよろしいですよね。大丈夫ですね。拝見すると、若手研究者、40歳未満に限って、全国平均が29.2%であると。これを見ると、まあまあ大体それより高いということで、一応ポジティブだということだと思います。
 そうですよねと思いつつ、広島大学さんが割っておられるとか、あと、セレクションバイアスがあるはずなんです。つまり、例えばですけれども、ぎりぎりちょっと上という、33.3%ということになっている東北大学さんとか東京大学さんというのは、もともといい学生さんが行かれるところなので、研究者の科研費採択率は大体平均より高いはずなんです。私が一応旧帝国大学の1つである名古屋大学で若手研究者でおった頃も、見渡していると、40%ぐらいは取っているだろうというような感じがあったわけです。そうすると、全国平均29.2のところにセレクションバイアスを加味してこの数字というのは高いと言えるのか。
 あと、ごめんなさい、これは研究者代表者の採択率でいいですよね。
【説明者】  全ての育成対象者でございます。
【大屋委員】  研究代表者として申請しているものの採択率ですね。
【説明者】  そうです。それで結構です。
【大屋委員】  そうすると、やっぱり農工大学さんの54.5なんかは、やっぱりセレクションバイアスを考えても相当高い。これは有効だっただろうと割と自信を持って言えるだろうと思うんですけれども、ほかがちょっとそう言えるのかどうかは疑問なところがあるので、そこはやっぱり検証する必要があろうかと思います。
 それから、研究者当たり論文数の方は、これは御指摘申し上げたとおりであって、やっぱり当初の0.15という数字がいかに信用ならんかというのは、比較対象として出てきた数字が2.25だというところからもう明らかになっていると思います。これは正直に申し上げますが、要するに、これは科研費の採択率でも出ていますけれども、研究アクティビティは年を取ると下がるんです。年を取るとはっきり下がるという傾向がある。それから、文系と理系で比べると、傾向的には大体理系の方が多いというものがありますので、それを全部混ぜた数字を、しかもWeb of Scienceで取ってくる。これは分野の偏りがありまして、例えばですけれども、私の分野は法学なので、ほとんど反映されていないはずです。そういうものの数字で出してきて、これより大きいですというのは、さすがにちょっとお化粧が過ぎますということになろうかと思います。
 短い期間でお願いして申し訳なかったんですけれども、右側の、要するに、同一大学同一研究科で、しかも年齢層が同じで比べてこれだけ差がありますと言われると、これはやはり同種のものを比べて、政策的働き掛けをしなければ、この2.26ぐらいなんでしょう。したら、4.0なんですという比較になりますから、これはやっぱりきれいな数字だと思います。こちらからもやはり政策の効果はあったんだというふうには、少なくとも例えば北大さんとかの場合には政策の効果はあったんだというふうには言っていい事案だと思うんです。
 それであるだけに、これはやはりアウトカム指標を適切に当初から設計されるべきであったということと、この期間で無理やり集めていただくのはなかなかつらかったと思うんですけれども、やはり個々のケースにおいて同様の比較がされるべきであるということと、そこでちょっとうまくいってなさそうなケースがある場合には、これは何なんですか、なぜでしょうかと。例えば広島大学さんの、例に挙げて申し訳ないですけれども、科研費採択率はちょっと芳しくない。これに何か固有の事情があるのか。例えば広島大学さんは、私、たしか聞いたことがあるんだよな、結構文系的な内容が含まれているような気がするんですけれども、そうすると、分野全体として低めなんですということがあるかもしれないので、そこ辺りまで含めて政策の効果を検証していただきたいと思っております。
 私からは以上です。主にコメントなので、もし御反応がありましたら、よろしくお願いいたします。
【説明者】  ありがとうございます。我々も改めましてアウトカム指標の設定についてしっかりと、先生、先ほどきれいなデータとおっしゃいましたけれども、そういったデータでお示しできるものをあらかじめやっぱり設定しておく必要があるかなと、改めて必要の認識をさせていただきました。そういったところの改善を今後図っていきたいと思っております。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  ありがとうございます。いろいろと逆にこのプロセスで見るべきものがはっきり見えてきたので、ここは大変よかったかなと思いますので、是非、北海道大学で取られたような形で取っていただいて、これで本当にこの事業として成果があるのか、あるいは方法論としては違う形がいいのか、そこは是非しっかり見ていただきたいなと思います。
 これ、ちょうど秋の公開プロセスでも、これを含む形で若手人材育成の、全体だったのかどうか、正直、やっぱりいまだによく分からないんですけれども、今の大学等の研究機関における若手人材の雇用が非常に不安定であるという問題について、これはもう既にある種の社会課題だと申し上げていいと思いますし、これに対して大学等の研究機関が必ずしもきちんと動き切れていない。そこに対して文科省がいろいろな意味での対応をされているというところはよく承知はしておるんですけれども、そこの全体像がまだ見えてきてないなというのは率直に感じております。
 秋のプロセスにおいて、これ、私自身も参加させていただいて、私が取りまとめをさせていただいた記憶もありますので、そういう中では、事業の重複も含めてというようなところと、全体像をやっぱりしっかり整理してほしいということで、これは審議会の方で議論するというような形のネクストステップになっている様に承知はしております。
 そこら辺も含めて、改めて若手をどう育成しようという形にしているのか、あるいは最終的には、先ほど大屋先生がおっしゃったとおりで、これは大学等の研究機関が人材を育成していくというのは、当然それは機関の本務としてあるわけでございますよね。だとすると、それを当面は文科省がお金を出すのでいいんですけれども、これを出し続けていると、また出るんだと思って、結局、大学等がそこにちゃんと取り組まない。更に言えば、これは任期、これで補助金終わったから、君、ごめんねと言われて、安全地帯にいる比較的年配の方々が若い人たちに対して大変冷たい仕打ちをされるわけですよね。それで、相変わらず特任が取れないというような形になるわけでございますので、そこの状態をどう改善しているのかということをちゃんと大学に対して、お金を出すんだから、あなたたちは何をやっているんだということをきちんと促していく必要があるんだと思うんですが、ここら辺の実施状況はいかがなんでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。こちらについては、このコンソーシアムでの支援対象になっている方が、どのような形で大学側、これは大学側できちんと雇われる、人件費も措置されるということを含めて我々フォローをしております。先ほど、若手研究者に対する育成システムが高度化しているということを申し上げましたけれども、若手研究者が大学から何らかの形で人件費がきちんと支払われて雇用しているということは、どんどんその割合が増加しているというところも我々モニタリングをしております。
 今、亀井先生がおっしゃったところは、大屋先生の方から御指摘ございましたけれども、まず基本として、人事給与システムの改革は各機関がやるというところ、そこの動きについての誘導策を我々はしっかりと見ながら、それと併せる形で、若手研究者の能力を伸ばす環境をどう高度化していくかというところを後押しするというところを、きちんと政策の目的あるいは役割を分けて、連動させる形で施策を進めていくということはこれからも基本にしていきたいと思っております。
 そういう意味では、能力を伸ばす学内のシステムをいかに構築するかというところを我々は、やっぱりまだまだ海外の例を見ましても学ぶべきところはあると思っておりますので、そういったものをいかに日本の中に取り込んでいくかというところを含めて支援をさせていただくというところを考えたいと思っております。
【亀井委員】  ありがとうございます。秋の公開プロセスって、これ、きょう行革本部の方もいらっしゃる前であれですけれども、ややいろいろなものが急に決まって、多分役所からすると、急に決められて、突然、この事業を4つまとめて説明しろみたいな形になって、結構時間もない中でなかなか難しいものですから、是非、今後これは文科省の中でも御検討いただきたいのは、ある1つのテーマについて複数の事業があるんだと思うんですけれども、ここを一覧して全体として見ていけているのかと。もっと言えば、そこの中での実態把握がどうなのかと。最終的な、今、目標としての、若手のある種、雇用の安定というところと、あとは、おっしゃっていた能力開発と、この2つの部分というのは、私、でも、前者が大変大事だと思うんです。ここがもう明らかに脅かされていますから。そこの部分を全体としてどう行っているのかというところは、どこかで一度議論してみてもいいのではないかなと思った次第でございます。
 最後に、これは最後、質問なんですけれども、これはお金を渡している、ある種モデル事業のわけですよね。31年度までのモデル事業ですと。だとすると、このお金を渡している大学さんとか研究機関さんはそういう形で進めていくし、自主財源でやっていくというのはいいんですけれども、ある種の横展開、ほかの大学さんとかほかの研究機関さんにおいてどうこの話を促していくのかというところの設計は皆さんどうお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。非常に重要なテーマでございます。この事業で、先ほど少し言及いたしましたけれども、北大とか農工大は、様々な育成のための活動項目を組み合わせることでちょっと効果が出始めていると。では、活動項目を組み合わせたシステムはどのようなもので、それをどういう形でほかの大学さんが設計し定着させていくことができるかということを、横展開をすることを我々これから取り組まなければいかんと思っております。
 その横展開をする方法論とかいうものをこれからモデルケースを軸に取り組んでいきたいなと思っています。まだ具体的な施策の設計まで至っておりませんけれども、今後そういった方向に、能力開発のシステムを全国的に高度化させるというふうな方向に持っていきたいなと思っております。
【亀井委員】  そうは言っても、31年度だから、あと1年ちょっとのわけですよね。当面は予算としては31年度分を要求してという形なんだと思うんですけれども、32年度もすぐやって来ます。現時点の仮説で結構なんですけれども、全国展開をしていく、これ、2つあるんだと思うんですけれども、だから、事業を拡大させていくという方法と、あとは、事業そのものは引いていくんだけども、あとは市場に委ねていくという形が2つあるんだと思うんですが、これはどっちになるんですか。
【説明者】  基本的に育成された研究者がどういうキャリアパスというのか、あるいは活躍の場を得ていくのかというところは、これは市場に委ねることになるのではないかと思います。ただ、市場というか、様々な舞台に上がっていく研究者を育てる、その大学の機能をどのように強化していくかというところに、今、先生、仮説というところがございましたので、先ほどちょっと言及しました海外の取組で学ぶべきところというのは、若手研究者がどのような能力を身に付ける、先ほどのマネジメント能力もそうですし、あるいは研究管理の能力もそうですし、あるいはインパクトをいかに大きくしていくかと。そのために、ステークホルダーとコミュニケーションをしてアライアンスを組んでいくというふうな、そういった能力をちゃんと、各研究室に委ねるのではなくて、大学が組織的にシステマティックにトレーニングをしていくというふうな仕組みづくりをこれから促していくというのが1つあるのかなと。ただ、それがどういう形が一番効果的かというので今検討中でございます。
【亀井委員】  なるほど。ありがとうございます。項目は多分そのとおりだと思うんですけれども、逆に言えば、大学そのぐらいちゃんとやれよという話だと思っていて、いわゆる研究開発の基本中の基本ですよね。そもそも自分たちがやっている研究というのは、社会に対してどういうものなのかとか、あるいはそれはどんなインパクトをもたらすのかから始まって、周辺の研究要素はどんなものがあるのかとか、そういうようなところも含めて、逆に言うと、もうこれは結構前からずっと言われていた話で、正直言うと、率直に申し上げて、それが何で今頃なのかなというのも感じなくもないです。かつ、それを文科省さんに言われないと大学がやらないという構造ももしかしたらそれはどうなのかなと思いますので、そこら辺も含めて。
 僕は世界との距離がどんどん開いているような気がするんです。そこが逆になぜなのかというところにメスを入れないと、この話は、昔、私がそういう研究開発のマネジメントに関わって、ちょっとそのお手伝いをしたときと余り変わってないような気がするので。それはもう十何年以上前の話ですから、だとすると、そういったところは是非、なぜ日本の大学が率先して取り組まないのか。
 もしかすると、文科省さんが少し甘やかしているのかもしれない。あえて言葉を、すいません。お金を付けないとやらないという形になっているからかもしれないので、そこは是非いろいろな意味で……、大体、審議会も大学の人たちが多いですし、私も大学のある種一員ですから、、こういうのはやれ、事業としてやるのが望ましいとか、予算化されることが望ましいみたいな結論を出すんですけれども、本当にそうなのか。そこは是非、お金を使うよりもちょっと違うやり方があるんじゃないかなという気がします。こっちで取った分をこっちで取り返すぐらいのつもりでしたたかに進めていただくことを是非お願いしたいなと思います。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  有川委員、お願いします。
【有川委員】  10ページの、先ほど大屋委員からいろいろ分析していただいた資料を使ってちょっとお伺いしたいんですけれども、この指標として出されている科研費の方については、広島大学のような例もあるし、全国の平均から効果が出ているというところが必ずしも顕著ではないというのと、論文数についても、北海道大学は比較できるデータを出していただいたんですけれども、ほかの大学についてはこれから検証していくということになるんだろうと思いますので、今の段階ではこの2つの指標が本当にこの事業の効果がズバリ出ているという裏付けには必ずしもまだない状況にあるんだろうと思います。
 それを前提にして、10ページの下の方にある、この事業のプログラムの主な内容の箱の付いているやつで6つ並んでいるんですけれども、このうち2番目と6番目にあるような、異分野の交流とか、あるいは機器や施設の共同利用というのは、確かにコンソーシアムを作った方がやりやすいよねというのは分かるんですけれども、トランスファラブルスキルの育成とか、メンターによる指導とか、エフォート管理というのは、これは本当にコンソーシアムを組んだ方が組まないより効果が上がるのかどうかというのは、計測してみないと分からないんじゃないかと思うんですけれども、その辺の効果測定というのはどういうふうにしてやっているんでしょうか。
【説明者】  先生、ありがとうございます。おっしゃいますとおり、継続的に捕捉しなければいけないというような側面があろうかと思います。また、アウトカムにつきましては、どうしても研究力のアウトカムということになりますので、論文とか科研費採択率という形で捕捉をせざるを得ないというところがございます。
 コンソーシアムの効果ということで申し上げますと、先ほど先生御指摘の異分野の交流とか研究施設の共用につきましては11ページにおまとめさせていただいたところでございますけれども、そのほかのところにつきましては、各大学でやっていますと、どうしても小規模になってしまうというところがありますので、そこを特に博士、研究者となってまいりますと各機関での人数は限られてございますので、それを1機関でやるよりは複数機関で連携して同じプログラムを提供した方が、費用の面では安上がりになるというような効果があるというふうには各機関の方から私どもも話を聞いているところでございます。お答えになっているかどうか分かりませんけれども、そのような状況でございます。
【説明者】  補足させていただきますと、トランスファラブルスキルを身に付ける、これははっきり言うと、研究者のマスがあった方が、これは多分効果が高いので、これはコンソーシアムというのが1つ軸にあると思います。確かにメンターの指導とかエフォート管理というのは個々の組織でもできるじゃないかというところはあるかと思うんですが、これはできる限りこういった項目を組み合わせて行う、要は、システムとして機能させるというところに主眼がございますので、それをできる限り複数の大学でそろえるというところに1つポイントがあるということで、我々はこのコンソーシアム事業の意義を実施者に対して伝え、それの実践を促しているというところでございます。
【有川委員】  プログラムとして載せるというのは、あるいはほかのプログラムと組み合わせていくというのは特に異議はないんですけれども、要は、最終的には研究論文とか科研費の獲得とか、そういったところでこの成果が上がったかどうかというのは計測できるんだろうと思いますが、その過程で、つまり、将来じわじわと効いてくる今言ったような部分について、どういうふうな効果が上がっているかというのも可能な限り測定する工夫をしていただきたいんですが。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  松浦委員、お願いします。
【松浦委員】  手短にですけれども、先ほど、このようにしてトレーニングを受けた若手研究者のその後に関しては市場原理に委ねるというお話だったんですけれども、現状の日本の分布ですと、市場原理に委ねただけでは、多分若手研究者がせっかく育っても、テニュアのポジションが得られなくて、頭脳の流出にまた昔のように戻ってしまうんじゃないかという気も。育てちゃよくないというわけじゃなくて、何かやっぱりそこら辺に工夫がないと、ポスドク問題と同じですけれども、海外に流れてしまって帰ってこなくなるんじゃないかという危惧は持っているんですが、それいかがですか。
【説明者】  ありがとうございます。非常に重要な論点かと思います。これは先ほどの亀井先生のお話にも多分つながってくるんじゃないかと思います。やはり世界との距離が開いているという分析は、これはやっぱりきちんとやるべきだと思いますが、荒っぽいですけれども、仮説のレベルかもしれませんが、ある程度見えてきておりますのは、やはり個々の若手研究者の能力を育成するシステムと、それから、いかに優れた研究者を能力ベースでちゃんと評価して採用するかという話と、その方々がパフォーマンスを発揮するように環境をちゃんと作るかというものは、これは一体化された形で機能しているのか、あるいはばらばらに行われているのかというところが1つ問題、特に日本の場合、ばらばらに行われているところに多分問題があるんだろうというところは見えてきています。そういう意味で、そこを接続させる必要があるというのは、我々もこれから十分慎重にやっていかなければいかんと。
 そういう意味では我々は、省内の役割分担としても、能力開発、若手研究者の能力面での支援というところに注目はいたしますけれども、そこで能力が磨かれた方々がどのように活躍の場を得ていくのか、その後のプロセスをつなげる。それはやっぱり大学とか研究機関の組織の経営につながってきますので、その組織の経営あるいは学会での評価につながってきますので、そことどうつなげるのかというところも1つの大きなテーマとして今後考えていきたいと思っております。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  私も秋のレビューの参加組ですので、どうしてもそこからの流れを確認したいと思ってしまうんですが、6ページのレビューシートの備考欄に、秋のレビュー以降の対応状況が書かれています。今後の研究人材育成の確保の在り方については、合同部会において議論することになったと。もしこの議論の経過であったりとか、今までのお話と合うところ、合わないところがあるかもしれないですけれども、何か変化があれば教えていただきたいんですが。
【説明者】  ありがとうございます。資料でございますけれども、一番最後のページでございます12ページでございますけれども、秋のレビューを踏まえまして、まず基本的な考え方についても若干混乱があったのではないかというところを私どもも認識したところでございます。それを踏まえまして審議会の合同部会の方でも御議論いただきました。
 1つの考え方と致しまして、若手研究者を含む雇用につきましては、基本的には大学の方でしっかりと考えていくことなんだということで、それで、課長からも先ほど説明させていただきましたけれども、能力開発でございますが、そういったところについては、役割分担を踏まえた上でしっかりとして国としても支援させていただくと、そういうふうに考え方を整理させていただいて、今回まだ中間報告の論点整理の素案でございますけれども、そういった形で今お取りまとめをいただいているところでございます。
【伊藤委員】  まさに先ほど課長がお話しされたように、能力開発から活躍の場、安定的な雇用も含めてだと思いますけれども、そこがどれだけつながってできるか。多分これは秋のレビューの中でも話は出ていて、あのとき対象に挙がっていたテニュアトラックとか、この事業のほかの事業になりますけれども、キャリア……、何でしたっけ、という事業もある中で、多分この事業としてでいくと、さっきの大屋先生の話のように一定の効果が見られるというところになる。
 ただ、多分この人材育成は、この事業としての目的というよりは、いろいろなものを合わせた上で、さっき課長がお話しされたような安定的な雇用とか活躍の場を作るということを考えたときには、評価の手法は、この事業の評価だけじゃなくて、秋やったような、ほかの事業も併せた人材育成がどうなっているのかという観点がどちらかというと秋の論点になっていて、その観点からしたときには、若手研究者の数は若干減っているんじゃないかとか、教員の数自体は増えているけれども、若干減っていて、どちらかというと高齢の研究者のところが多くなっているんじゃないかというようなところと、この事業としての、多分必ずしもこの事業だけで全て解決されるものではないし、この事業としてはこういう位置付けになって、ほかの事業でこういうものがあるから、今、最終的な課題を解決するというところが見えてくると、より私たちが納得できるかなと思うんですが、そこはいかがでしょうか。
【説明者】  先生ありがとうございます。先生がおっしゃられるようなところは、先ほど課長から申し上げましたけれども、育成の部分、そして、採用、そして、雇用というところをつなげていくという視点は大変重要だろうと思ってございます。私どもも審議会を回しまして、今ここまで1つの考え方の整理ということまではしているわけでございますけれども、まだ十分そこのところについて検討……、なかなか1つの事業でも今回様々な御指摘を頂いて、どのような形でアウトカムを設定すると事業の成果が見えるのかということも、対象者を同一に選んだり、その指標を大学に協力いただいて加工したりという作業を通じて、1つの事業において捕捉することを努力したところでございますけれども、さらに様々なステージがございますものですから、それをどのような形で統合して捕捉していけばいいかにつきましては、今後引き続き文科省としても努力してまいりたいと思ってございます。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  時間が経過しておりますので、コメントシートの御提出をお願いいたします。
 意見の方は、松浦委員。
【松浦委員】  失礼しました。私の質問はもう終わりでございます。失礼しました。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  ほかにございませんでしょうか。
 水田委員の方から何かございますか。
【水田委員】  質問したかったことがあったんですけれども、大屋委員の方から御指摘を頂きましたので、大丈夫です。やっぱりWeb of Scienceを使うと、英文のトップジャーナルばかりが対象になって、それもちょっと扱いにくいのが、毎年対象になっているジャーナルの数も変わるので、経年で増えた、減ったというのも言えないんですね。ですから、ちょっと御苦労あるかもしれませんけれども、論文数については、やはり効果が現れる形の指標を考えていただく必要が出てくるかと思います。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  亀井委員。
【亀井委員】  もう取りまとめまでごくわずかだと思うので、若干のつなぎをしておきます。今話題になっていた人材委員会と大学分科会の合同部会のメンバーを拝見すると、やっぱり大学の経営側の人が結構入っているわけです。なぜできないのか、この人たちに是非聞いてください。そこが私は大事だと思います。要望型の審議会に絶対しないでいただきたいんです。大体本当に、これは最後は行政にやらせればいいという話になってしまって、そんなことをやっていたら、納税者の負担は幾らあっても足りないですから。これは私は、大学側がなぜ……、これはしばしば言われるのは、財務省が悪い、あるいは、特に運営費交付金を削ってきたからだと、これは国立大学の場合しばしばそう言われるわけですけれども、ここも本当にそれはそうなのかというのは、ファクトベースで多分いろいろな反論があるかと思いますし、いろいろな議論があるのは承知しております。
 そういったステレオタイプ的な議論ではなくて、それはそれとして、一方で大学がそもそもなぜ国立大学法人の改革をやってきたのかというところも含めて、大学が自律的にそういったところをやや、投資をしない形になってしまったのはなぜなのか。一方で、比較的年配の方々が再雇用されることも含めて、それはなぜなのか。それは分野によって違うかもしれませんけれども、そこら辺のところも含めて、大学がなぜそういったことができていないのかというところは、私はこれは真に大学が反省しなければいけない話だと。これは文科省さんに申し上げているんじゃなくて、大学に申し上げているんですけれども、そこを文科省さんとしてはまさに厳しく当たっていただく必要が私はあるんじゃないかなと思います。
 もうこの話いいかげんけり付けないと、本当に若い人たちしんどいですよ。だって、それは、申し訳ない、能力の前に生活の問題ですもん。自分がどこでポストを得られるかというところが見えない、見通しが立たない。それは、更に言えば、分野によってはどんどんポストがなくなっていっているところもあるわけですから、そういうところも含めて、是非そこは、大学が大学としての社会的な役割をどう果たしていくかというところは厳しくきちんと、意見を承るだけではなくて、そこはしっかり問答、これは本当は民間企業の方が相当厳しく言っていただくといいなと思って今、委員名簿を拝見していたんですけれども、そこはしっかり問い詰めていただく必要があるんじゃないかなと私は思います。
 これは意見として。何かあればどうぞ。
【説明者】  ありがとうございます。先ほど亀井先生の方から、我々が課題として設定しているというか、提示しているのは余り変わっていませんよねというところは、それははっきり言うと、率直に認めざるを得ないと思います。ただ、今、日本の大学もやっぱりやっと、今やっとのところなんですけれども、変わろうとしている。ただ、そのスピードがまだ十分ではないというところ、これは認めざるを得ないと思っています。それをどう加速するのかというところを、この合同部会、これは科学技術政策と高等教育政策のまさにオーバーラップするところで一生懸命後押ししていくというところを議論している。
 その中で、亀井先生が今おっしゃったような、今、なかなか変わらないところで、変わろうとしているところはいいんだけれども、まだなかなか変えられないようなところはどうやって打開していくのかというところを、これは民間の方々がやっぱり見えているところありますし、かつ大学の中でも若手の方、特に海外の御経験があるとかいう方々は鋭く指摘されていますので、そこをどうしていくかということはもう待ったなしの状況だと思っております。
 能力開発についても、実は前々から言われているということは我々も十分認識して、反省せねばいかんところはあると思いますけれども、ただ、世界の中でもやっぱり育成のアプローチもどんどん高度化しております。はっきり言うと、そこに追いついていないところもある。そこは我々もアンテナを高くして、もっと貪欲に取り込んでいくということを大学の方々と一緒にやるということをやらせていただきたいと思っております。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  大屋委員。
【大屋委員】  大学でございます。トランスファラブルスキルズの話をしておられまして、これは例えばリーディング大学院事業なんかでもやって、私、トランスファラブルスキルズの日本への導入をそちらの方で多少やりました。その際にその事業の方で結構申し上げたのは、実はあの事業は、トランスファラブルスキルズの開発はイギリスが結構やったんですけれども、やっぱりかなり重要だったのは、いろいろなパターンを試した後、結果の集約があったと。イギリスの場合には8か所ぐらい拠点を作って、それぞれに別のことをやらせて結果検証をして、これは間違いだったというのを除去しているというのはやっぱり結構重要だと思うんです。
 これはこちらの事業ではなくて一般的な傾向として申し上げると、文科省さんの事業というのは、あちらこちらにパターンを起こしました。それぞれから報告書を集めました。それぞれの報告書はそれぞれ当然有効でしたという回答が戻ってきておりますというのを成果報告だとされる傾向があって、そういうものを一生懸命書いておいた側なので、自白するようなものなんですけれども、それはやっぱりこちらもお化粧するわけですよね。お化粧されたもので全部成功だったという話にすると、やっぱり進化しない。それこそ先ほどおっしゃったように加速しないという状況を明確に作ってしまっているんだと思うんです。
 だから、申し上げたように、やっぱり客観的な情報に基づいて、失敗のものは失敗だと分かるというのは成功ですからね。要するに、それをもうやらんで済む、これは外れだから外そうという選択ができるのは成功なんだということを踏まえて、やはり官庁の方できちんと成果の評価に取り組んでほしい。それをまとめて、いいものはやらせるし、だめなものはもうやらせないということをきちんとやっていただきたいというふうに、それで首切られるのは僕かもしれないんですけれども、よろしくお願いいたします。
【有川委員】  すいません、つないでいただきまして、ありがとうございます。
 頂きました投票結果ですけれども、事業全体の抜本的改善を求めるという意見が2票、事業内容の一部改善を求めるという票が4票であります。
 主なコメントを紹介させていただきたいと思います。この事業の最終的な目標は、能力開発支援から安定雇用の場を作ることであると考えられる。その意味で、他の人材育成事業も含めた効果測定がこの事業では重要になってくるのではないかという、そういう意見。
 それから、数値比較を行うに当たって、各機関における数値には、年齢あるいは分野等の違いがあるので、バイアスコレクションが必要だろうという意見。
 それから、開示された北海道大学における例にありますように、政策の効果を適切に検証できる情報を収集する仕組みを整えた上でアウトカム指標を再設定する必要があるという意見。
 それから、本事業はモデル的な事業、そういった性格を持っていることからすると、効果が期待したほどではなかったという、そういう失敗の要因も適切に分析して、次の政策に反映させることが肝要であるという意見。
 それから、成果指標について、特に論文数ですけれども、有力英文ジャーナルしか対象になっておらず、分野に偏りができてしまう。全国平均との比較も難しいところがあるので、論文数指標と目標値の再設定を検討する必要がある。
 同じように指標の関係ですけれども、育成プログラムにあるメンターによる指導やエフォート管理などにつきましては、コンソーシアムを組むことによってどのような効果があるのか、現在の指標と併せて測定・検証できる指標を検討する必要があるという意見。
 それから、事業完了後の全体への展開。採用されなかった大学等も含んで、この後の全体の展開が見えてこないという意見。
 それから、まずやっぱり肝要なのは、大学における現在の実態調査ではないかと。それを踏まえて適切なアウトカムの設定が必要になるので、可能であれば、一度、若手研究者の育成やサポートに関する事業をまとめてレビューするような場を設けることも考えられてはいかがかという意見。これが主な意見であります。
 これらを踏まえまして、最終コメントといいますか意見としましては、数で行くわけではありませんけれども、事業の内容の一部改善が4票であったということと、抜本的な改善の方たちの意見も一応この後の主な取りまとめコメントというふうにして紹介させていただきたいと思いますので、最終的な結論としては、事業内容の一部改善という結論です。
 取りまとめコメントとしては4点。1つは、この事業の終了後の全体の展開が見えてこないので、その辺のところを明確にする必要があるということ。
 2点目は、指標に関してでありますけれども、政策の効果を適切に検証できる情報を収集する仕組みを整えた上でアウトカム指標を再設定する必要がある。あるいは、現在の論文数等だけに限定したような指標については、更に検討、見直しが必要であるという、2番目の指標の意見。
 それから、3番目としましては、まずは実態を把握することが先決ではないかと。大学におけるコンソーシアムの実態を把握した上で、若手研究者の育成やサポートに関する事業全体についてトータルの評価をする場を設ける必要があるだろうというのが3点目です。
 4点目が、本事業のモデル的な事業の性格からして、失敗した事業についても、その原因分析を適切に行って、次の事業展開へ適切に反映させる必要があると。
 この4つの取りまとめコメントで先ほどの結論にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、どうぞよろしくお願いいたします。
【藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】  それでは、以上をもちまして、科学技術人材育成のコンソーシアム構築の公開プロセスについては終了いたします。
 これで、本日の文部科学省の公開プロセスは終了いたします。
 外部有識者の皆様方におかれましては、長時間検証作業の中、貴重な御意見を賜り、心より御礼申し上げます。
 また、インターネットで視聴されました国民の皆様方にも、検証作業に御参加いただきましたことを厚く御礼申し上げます。引き続き、文部科学行政への御理解と御支援をよろしくお願いいたします。
 なお、来週の26日火曜日におきましても、公開プロセスの2日目を実施いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。


―― 了 ――

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