日本私立学校振興・共済事業団(助成業務)見直し内容

平成29年8月25日
文部科学省

1. 政策上の要請及び現状の課題

 日本私立学校振興・共済事業団(以下「本法人」という。)の助成業務は、「日本私立学校振興・共済事業団法」(平成9年5月9日法律第48号)の第1条において、私立学校の教育の充実及び向上並びにその経営の安定を図るため、補助金の交付、資金の貸付けその他私立学校教育に対する援助に必要な業務を総合的かつ効率的に行い、もって私立学校教育の振興に資することを目的としている。
 本法人の助成業務に係る業務及び組織については、中期目標期間終了時に見込まれる中期目標期間の業績についての評価結果、教育へのアクセス向上や大学教育の質の向上、経営力強化などが掲げられた「経済財政運営と改革の基本方針2017」(平成29年6月9日閣議決定)をはじめとする既往の閣議決定等に示された政府方針、さらに、18歳人口の大幅な減少期を迎え、私立学校における経営環境が一層厳しくなることが予想されることなどを背景として、私立学校に対する支援の充実等が求められていることから、「総合的かつ効率的」に業務を行うという理念の下、私立学校の自主性・自律性に配慮しつつ、「私立学校教育の振興」という目的が達成できるよう、以下のとおり見直し、次期中期目標・中期計画の策定等を行うこととする。
 併せて、サイバーセキュリティ基本法(平成26年法律第104号)に基づき策定された「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群」(以下「統一基準群」という。)が平成28年度に改定され、本法人も同基準群に沿った情報セキュリティ対策の徹底が求められるとともに、「サイバーセキュリティ対策を強化するための監査に係る基本方針」(平成27年5月25日サイバーセキュリティ戦略本部決定)が一部改定され、本法人は、サイバーセキュリティ戦略本部が実施する監査の対象となったことから、これらを踏まえた見直しを図ることとする。

2. 次期中期目標の方向性

(1) 中期目標期間

 本法人の助成業務は、私立学校の教育の充実及び向上並びにその経営の安定を図り、私立学校教育の振興に資することを目的として実施しており、成果を得るまでに相当の期間を要するものが多いことから、中期目標期間は5年とする。

(2) 事務及び事業の方向性

 「補助事業」「貸付事業」「経営支援・情報提供事業」等の事業を総合的かつ効率的に実施するため、本法人の有する情報・知見を活かし、文部科学省と連携の下、これらの事業を通じた、各私立大学における教育条件や研究環境の向上に向けた取組を促進する方策や、地域に貢献する私立大学の支援方策、経済的負担軽減方策等について検討し、必要な措置を講ずるものとする。併せて、各事業の成果・効果の周知を通じた私立大学の改善取組の促進や経営支援を行うとともに、各事業の不断の改善・見直しを行うなどのPDCAサイクルの構築に向けた検討を行い、必要な措置を講ずるものとする。

○ 補助事業

 私立大学等経常費補助金については、総合的かつ効率的に業務を行う観点から、文部科学省と連携し、本補助事業の効果の検証を行いつつ、教育研究の質の向上や高等教育へのアクセス格差の是正等に向けた総合的な私立大学等の振興方策が図られるものとなるよう支援方策等の検討を行い、必要な措置を講ずるものとする。
 併せて、各法人からの申請段階のミスを防止・縮減するため、補助金説明会や実地調査の充実等の取組を行うこととする。

○ 貸付事業

 貸付事業については、政策金融として長期貸付・固定金利を基本とし、私立学校の経営の安定を図る観点から事業を実施することとする。
一方、少子化を背景として学生等総数の減少が見込まれるなど私立学校における経営環境が一層厳しくなることが予想される状況の下、適正なリスク管理を行うことにより、総貸付残高に対するリスク管理債権の割合の抑制に努めるとともに、私立学校の自主性・自律性の観点から、経営状況が悪化している私立学校に対しては、「3 経営支援・情報提供事業」と連携し、自ら改善等を行うよう促すこととする。併せて、昨今の市中の金利情勢等を踏まえ、学校法人のニーズに応じた利便性の向上に努めるなど、融資促進活動の更なる充実・強化を図ることとする。

○ 経営支援・情報提供事業

 私立学校への支援について、本法人の有する情報・知見を更に活かせるよう、事業横断的に支援できる体制等を構築するとともに、文部科学省と連携し、大学教育の質の向上や、経営の安定化等に向け、私立学校の教育及び経営等に関する各種情報の収集・分析の充実を図る。更に、私立学校が自ら検証・改善等を図れるよう、グッドプラクティスを含めたこれらの情報等を積極的に私立学校に提供するとともに、経営支援にも活用することとする。

○ 受配者指定寄付金事業・学術研究振興基金事業

 私立学校の多元的な財政基盤を確立するため、私立学校の寄附金募金活動に対する支援の充実を図るとともに、広く社会に向けて、私立学校への寄付に係る各種税制優遇制度等の更なる周知などの支援を行うこととする。
また、平成30年度から新たに資金を交付する「若手・女性研究者奨励金事業」については、更なる周知を図るなど、寄付金確保の取組を充実することとする。

(3) 運営の効率化及び組織の方向性

 上記(2)の実現に向け、私学振興に係る業務を総合的かつ効率的に実施できるよう、組織や人員配置の見直しを適切に行うとともに、企画立案機能を強化し、適切な資源配分を行うこととする。
 また、引き続き、統一基準群に沿って策定した情報セキュリティ・ポリシーに基づき、情報セキュリティ対策を推進することに加え、サイバーセキュリティ戦略本部が実施する監査において特定される課題を解決することとする。

(4) 財務内容の改善

 貸付額の減少等による今後の財務状況の悪化に備え、上記(2)に加え、貸付規模を確保するための取組を行うなど、健全な財政運営の維持に向けた取組を行うこととする。

お問合せ先

日本私立学校振興・共済事業団(助成業務)見直し内容について

高等教育局私学部私学助成課
電話番号:03-5253-4111(内線2546)