国立研究開発法人科学技術振興機構の見直し内容

平成28年9月2日
文部科学省


イノベーションをめぐる世界情勢が急速に変化しており、第5期科学技術基本計画を踏まえた実効性ある取組が喫緊の課題となっている。
国立研究開発法人科学技術振興機構(以下「本法人」という。)は、基礎から実用化までの研究開発を実施するとともに、研究開発戦略の立案、知財創出支援、科学コミュニケーション、科学技術情報基盤整備、次世代人材育成等の機能を総合的に有する我が国における科学技術イノベーション推進のための中核機関である。
本法人は我が国のイノベーションエコシステムを発展させるための重要な役割を担っており、これまで戦略創造や産学連携等の事業によりイノベーションの創出に貢献してきているが、今後、一層、国立研究開発法人、大学、企業等とのパートナーシップの戦略性を高め、オールジャパン体制でイノベーションを加速するとともに、業務運営の在り方を不断に見直し、世界が直面する課題解決を先導する研究開発法人となっていくことが必要である。また、本法人としても、本年4月に「濱口プラン」として改革の取組を公表しているところであり、今後、一層、改革に向けた取組を実行していくことが重要である。
本法人の業務及び組織については、中長期目標期間終了時に見込まれる中長期目標期間の業績についての評価結果、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月24日閣議決定)をはじめとする既往の閣議決定等に示された政府方針、さらに、上記の本法人を取り巻く環境を踏まえ、「適正、効果的かつ効率的な業務運営」という独立行政法人の業務運営の理念の下、「研究開発成果の最大化」という国立研究開発法人の第一目的が達成できるよう、以下のとおり見直し、次期中長期目標・中長期計画の策定等を行うこととする。

第1 中長期目標期間

本法人の業務は、科学技術基本計画等の国の科学技術政策に即応して実施するとともに、機動的に見直していくことが適切であることから、中長期目標期間は5年とする。

第2 事務及び事業の見直し

1.主体的かつ戦略的な研究開発の実施

変容する社会に対応し、イノベーションにつながる独創的・挑戦的な研究開発を促進するため、マネジメントの戦略性を強化する。また、シンクタンク機能や科学技術情報基盤を自ら有している優位性を生かしつつ、他機関(大学等)の支援ではなく主体的な研究開発を行う。

2.他機関との協力関係の構築

我が国全体で科学技術イノベーションを加速するため、国立研究開発法人、大学、企業等との協力関係の戦略性を高める。

3.事業横断的な一体運営体制の構築

本法人の有する業務の総合性を最大限に発揮するため、制度別の事業運営を改善し、法人内の事業を横断的に繋ぐとともに、外部の事業及び成果との連携及び取り込み等を通じて、研究開発成果を社会的価値の創造までつなげていくための運営体制を構築する。

4.シンクタンク機能の強化

内部シンクタンクの一体的な運用、社会との対話・協働や科学技術情報基盤による客観データの分析を通じてシンクタンク機能を強化し、戦略的な事業運営につなげ、我が国として研究開発成果の最大化を図る。

5.イノベーションの創出に資する人材の育成

研究開発の投資・成果を最大化するため、研究開発をマネジメントし主体的に推進する人材や次世代の科学技術を担う人材などを含めたイノベーションの創出に資する人材の育成の取組を強化する。

6.地方創生に資するイノベーションシステムの構築

地域の強みや特性に根ざしたイノベーション創出を通じ、地域が自律的かつ持続的に成長する取組を強化する。

7.知的財産戦略の転換

大学等に対する知財取得の支援から、大学等の知財・技術移転のマネジメント力の強化を促す支援への転換を図る。同時に、各種事業においても大学等のマネジメント改革を誘導する仕組みを導入する。また、自らが有する知的財産についても戦略的に活用する。

8.役割の明確化及び具体的な目標設定

上記を踏まえつつ、次期中長期目標においては、本法人の果たすべき役割を具体的かつ明確に記載するものとする。その際、目標の達成度に係る客観的かつ的確な評価を行う観点から、研究開発の現場への影響等を十分考慮しつつ、達成すべき内容や水準等を具体的に明記した上で、可能な限り定量的な指標を記載することとする。

第3 運営の効率化及び組織の見直し

国立研究開発法人としての目的・役割を果たすため、上記第2の実現に向けて、事業間の連携の強化や業務・組織改革を行うなど、法人の長のリーダーシップの下で一体的な業務運営を行う体制を構築するとともに、事業の評価を行い、PDCAサイクルを循環させる。
その際、革新的イノベーションの創出を強化するため、戦略立案からプロジェクトの作り込み、刈り取りまでを責任持って行いうる人員体制を整備する。
あわせて、リスク管理や内部統制の体制を強化する。

第4 財務内容の改善に係る見直し

1.保有資産等の見直し

業務の効率化及び合理化等のため、保有資産等については費用対効果を踏まえ不断の見直しを行うとともに、これまでの見直しによる不要不動産等については国庫返納手続きを進め、返納を完了する。

2.繰越欠損金の改善

繰越欠損金が生じている文献情報提供事業については、経営改善計画の着実な実施を図るとともに、オープンサイエンスの潮流等を踏まえ、抜本的に見直す。

3.自己収入の増大

知的財産の戦略的マネジメントと社会実装の加速等による自己収入の増加を促進する。

お問合せ先

国立研究開発法人科学技術振興機構の見直し内容について

科学技術学術政策局人材政策課
電話番号:03-5253-4111(内線4190)

-- 登録:平成28年09月 --