平成28年度行政事業レビュー「公開プロセス」議事録(6月21日(火曜日))

【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、お時間となりましたので、ただいまより、文部科学省公開プロセスを開会させていただきます。
本日の進行を務めますサイバーセキュリティ・政策評価審議官の関でございます。よろしくお願いいたします。
外部有識者の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。本日は、長時間にわたる御議論となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
公開プロセスの取りまとめ役は、午前の3議事につきまして、北海道大学病院病院長補佐の松浦亨委員に務めていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。
これからの時間帯は、劇場・音楽堂等活性化事業について御議論を賜りたいと存じます。
初めに、事業の概要の説明をさせていただきます。事業担当課は5分以内で簡潔に説明をお願いします。お願いします。
【説明者】  おはようございます。文化庁芸術文化課長の加藤でございます。それでは、私の方から、劇場・音楽堂等活性化事業について御説明を申し上げます。
では、まず、資料の1ページの整理表から説明したいと思いますけれども、政策としましては、文化による心豊かな社会の実現、その下での施策といたしましては、地域における芸術文化活動の推進等を通じまして、達成目標の4でございますけれども、地域の住民が質の高い芸術文化活動に触れられる環境を形成する、こういった達成目標の下で、劇場・音楽堂等活性化事業を実施いたしております。
では、具体に11ページを見ていただきたいと思うんですが、この事業のポンチ絵を付けさせていただいております。このポンチ絵を見ていただくとお分かりのように、大きくは四つの補助事業から構成されております。一つ目は、特別支援事業、この左側の赤い部分でございますが、これは我が国を代表するトップレベルの劇場・音楽堂を支援するというものでございます。その下にあるのが活動別支援事業でございますが、これは地域のリーダー的な劇場等を支援するものでございます。右側に移りまして、この黄色い部分が共同制作支援事業ということで、主にオペラの共同制作を現在は支援しております。それから、四つ目としましては、地域のどこに住んでいるかにかかわらず、等しく実演芸術が鑑賞できるよう、巡回公演を支援するということで、このネットワーク構築支援事業というものを実施しております。大きく分けると、この四つの事業から構成されております。
それから、資料、戻っていただきまして、5ページのところのレビューシートでございますけれども、この事業のアウトプットといたしましては、こちらにございますが、劇場・音楽堂等活性化事業補助金の採択件数をアウトプットとさせていただいております。それから、それに基づくアウトカムといたしましては、ここにございますが、採択事業に係る1館当たりの平均入場率と採択事業に係ります1館当たりの平均的な、平均自主公演数をアウトカムとさせていただいております。
それから、本日、補足的な資料としましては、その後、14ページでございますけれども、この補助金、補助事業によりまして、採択事業、先ほど4種類があると御説明申し上げましたけれども、それぞれの事業別の27年度の実績の分布でございます。こういった形で、補助金額、左側のこういったバーに基づいて採択件数を整理させていただきました。
この1,000万以上のところは1,000万ずつの区切りになっていますが、1,000万以下はこれ、100万単位で区切っております。これで単位当たりのコストは約1,000万でございますけれども、1,000万以下のものも結構、特に活動別についてはあるというのが分かるんではないかと思っております。
それから、次の15ページでございますけれども、15ページは、それぞれの採択事業に対します収入の内訳ということで、これは27年度の実績でございますが、特別支援事業、共同制作、活動別支援事業の中の人材養成事業ということで、幾つか具体例を示させていただきました。これが申請時、交付決定時と実際に事業が終わった後の実績のときの比較ができるんではないかと思っております。
それから、その次のページ、16ページでございますけれども、16ページは、この事業の概要を整理させていただきました。交付要綱と応募要領に基づきまして、全ての事業区分ごとの補助の割合ですとか上限額、補助対象経費、それから、審査を実際に行う際の視点、こういった観点で審査をしているということをこういう形で説明、整理させていただきました。
それから、最後でございますが、A3の横長の表になりますけれども、この事業を実際、好意的に執行する上で、書類の整理ですとか確認等の事務を委託しております。文化庁との委託業者との主な役割分担というのはこの表の左側の上の黄色い部分でございますが、こういう形で文化庁と受託業者で役割分担をしながら、効率的な事務事業に努めているところでございます。
以上、説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
それでは、私の方から、論点について説明をさせていただきます。資料の3ページの論点等説明シートをごらんください。
まず、1つ目としまして、補助事業者の選定は適切に行われているかという点、二つ目といたしまして、文化庁と事業管理委託先との業務のすみ分けは適切かという点、三つ目といたしまして、アウトカム・アウトプットは適切に設定されているかという、以上3点について御議論を願いたいと思います。
外部有識者の皆様におかれましては、事業担当課への質問等を通じ、無駄の削減のみならず、より効果の高い事業の見直し等の観点から御議論をお願いしたいと存じます。
また、質疑等と並行しまして、適宜、お手元のコメントシートへの記入をお願いいたします。
説明者は、外部有識者からの質問に対し、簡潔明瞭に回答を願います。
発言を希望されます方は、机の上の名札を立てていただきまして、私の方から順に示すということで、よろしくお願いいたします。
それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。
亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  亀井です。よろしくお願いいたします。
まず、事実確認について幾つかお願いをさせていただきたいんですけれども、資料ですと14ページになりますけれども、行政事業レビューのこのいわゆる共通シートのレビューシートのいわゆる9ページ等の比較をしながら、これはお話をさせていただきたいんですけれども、全体として、平均が1,000万円であると、大体補助金の金額が1,000万円であるということに対して、このまず9ページを見ると、支出先上位10者リストになると、とてもとても1,000万円じゃない結構金額の大きいものが並んでいます。
これに対して、全体で見ると、1,000万になっているというのはなぜですかというようなことをお伺いさせていただきたいんですけれども、こういう分布に、14ページのような分布になっているということなんだと思うんですけれども、これは政策意図としては、結果的にこういうことになっているというというところについて、まず、どういうふうにお考えなのかというところと、これについて、何ていうんでしょう、一部のところに偏っているんではないかというような懸念があるかもしれませんが、ここについてはいかがお考えか、その2点について教えていただけますでしょうか。
【説明者】  この先ほどの資料を見ていただくと分かりますように、平均すると、これ、100、全体が二百、27年度ですと、264事業、件数でありますけれども、264事業ございまして、約27億円の予算でございますので、それで除すると、約1,000万になるわけでございますが、先ほど申し上げた特別支援事業となりますと、かなり日本を代表する劇場ということで、これは15の代表的な館を支援しております。
この場合には、公演事業と人材育成とか普及啓発事業と、3種類を全てしっかりやっていただくということになっております。金額的には、上限7,000万円でございますので、大体6,000万円台になってございます。そういった意味で、この表でいいますと、この青い部分でございますが、特にその6,000万円台のところが12館ということで多くなっております。
そして、活動別支援事業は実はこれが190件、190事業ございまして、これが一番数的に多くて、これが実際には公演ですとか人材育成、それから、普及啓発、この3事業それぞれ選択的に申請できるということで、全ての館が三つ全部やる必要はないと。それぞれの特色に応じて手を挙げていただくということになっておりますので、この活動別支援の事業が実は平均で見ますと、まず、公演事業の平均が大体1,200万円、それから、人材養成ですと平均が260万円、それから、普及啓発が310万円ということで、人材養成、普及啓発は規模的に数百万円台ということで小さいということがございまして、実際にこの表で見ますと、この緑の活動別支援事業で、主に100万円台ということで小さくなっている。
ですので、数的にいうと、活動別支援の中の事業というのが少額になるので、下の方に分布等は実際になっていると。トータルで平均、事業の数で平均すると、もう1,000万になっているところでございますが、これは実態として日本を代表するべきところがかなり手厚くなり、そして、それぞれ地域でのリーダー的役割のところについては、それぞれ特色に応じて選択的に人材育成ですとか公演ですとか普及啓発と、上げていただいた結果がこういうふうになっているというふうに認識しております。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  どうぞ。
【亀井委員】  すみません、今のお話をちょっと12ページのポンチ絵と比較しながらお伺いをさせていただきたいんですけれども、この時期の目的というのがどこにあるのかというところを是非お伺いをさせていただきたいんですけれども、これとは別に、いわゆる舞台芸術のレベルアップというその戦略的芸術文化創造推進事業とか舞台芸術創造活動活性化事業というのがあるわけですよね。この事業については劇場・音楽堂等活性化事業で、基本的には地方で鑑賞できる機会を増やそうというような形なんだと思うんですが、今のような話の中でいくと、かなりトップのところがあって、かなりまたばらつきがあるというところで、実際にこのポンチ絵でお示しされている目的と政策で実際に動かしているお金の姿について、少し差があるような気がするんですが、ここについてはどういうふうに理解すればよろしいですか。
【説明者】  この12ページのポンチ絵では、団体支援のところでは日本を、日本の文化芸術を推進していくトップレベルの団体を支援して、いうなれば、この文化芸術の頂を高くしていくと。劇場・音楽堂等はむしろ裾野を広げるということで、この山の頂を、頂ではなくて、裾野を広げていくということで、地方のどこに住んでいても、できるだけ質の高い文化芸術活動が鑑賞できる、参加できるといった機会を増やしたいということでやってございます。
それで、そういった意味では、この活動別支援事業というのは数的にはかなり多いわけでございますので、これが北は北海道から南は沖縄、九州まで、幅広くそういった劇場があるように、また、その活動を支援しているということでございます。
その中でも、特別支援事業が、その中でもやはり、裾野を広げる上でも、全体の芸術、音楽堂の水準を上げていくことも必要でございますので、15館については特別支援ということで、その中でも少し厚めになっているということでございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  取りあえずここで一旦私はやめたいと思いますけれども、これに関連すると、アウトカムが今、現時点では、5ページ目になりますけれども、平均入場率と平均自主公演数という形になっているんですけれども、これ、一つの事業といいながら、特別支援から、それから、ネットワーク構築支援までいくと、かなり中身が違う事業になっているような気がします。
もちろん、これを一体としてやることが効率的な運営になる可能性もあるんだとは思うんですけれども、少なくとも、効率的な運営は運営として多分あるんだと思うんですが、アウトカムについてはそれぞれ違うんではないかなという気がしますと。
つまり、そもそもこれ、全体として入場率がこの政策のアウトカムなんですかというようなお話だと思いますし、あるいは、平均自主公演数については、先ほどのポンチ絵でいけば、裾野が広がっていく、地方も含めて、国民がいろんな形でこういった公演に接する機会が増えるというのが多分この政策の目的なんだと思うんですが、そこの二つ目のアウトカムについては非常によく分かるんですけれども、なぜこの平均入場率を取っているのか、あるいは、これはより丁寧に見た場合には、実は特別支援事業とネットワーク構築支援事業ではアウトカムそのものが異なるんではないかというような仮説が成り立つと思うんですけれども、この件についてはいかがお考えでしょうか。
【説明者】  今委員御指摘の平均自主公演数というのはできるだけ貸し館ではなくて、それぞれの劇場・音楽堂とか、地域の実情に応じて、自主的に多様な芸術文化活動を住民の方に提供してやるということで、この自主公演数のやはり増加というのが必要ではないかということで上げさせていただいております。
それで、平均入場率の方は、確かに自主公演はたくさんやっているんだけれども、実際にお客さんが入ってないとか、住民の方が余り見てないということでは、それはいかがなものかと。やっぱりせっかく自主公演を打って、そして、それが地域の住民の方にもちゃんと評価されて、実際に足を運んでいただいて鑑賞していただくと、又は、参加していただくということが必要ではないかなということで、この平均入場率というのを上げさせていただいておるところでございます。
【亀井委員】  ごめんなさい、それだとお答えになってなくて、それはそれで分かるんですけれども、そもそも政策として、その上の15館に対して行っている支援と、それから、幅広く行っている支援では政策の目的が微妙に違うわけですよね。だとすると、それぞれの政策ごとに、ここの事業の中に四つの事業が含まれているわけですけれども、少なくとも交付対象としては四つの事業が含まれているんですが、この四つそれぞれについて、アウトカムが異なるんではないですかというのが私の仮説として申し上げたんですが、この点についてはいかがでしょうか。
【説明者】  確かに、全体としては日本の劇場・音楽堂等を活性化するということの目的の中の共通だと思いますので、確かに四つの事業の中では、それぞれ多少、特別支援ということでは、その劇場のレベルアップの中での牽引力を示すようなものがやっぱり必要ではないかというのでありまして、それに対して、活動別はそれに従っていくというか、地域でそれぞれ頑張っていただくということで、確かに性格の違いが一定あるかと思いますけれども、今回、ここではこういう形で、全体を通じての整理をさせていただいておるところでございます。
【亀井委員】  ここは、私、是非改善をお願いしたいなと、これは意見として最後に申し上げますけれども、やはり政策は国民の税金を使ってしかるべき形で、それぞれお考えがあって配分をされているんだと思うんですね。だとすると、何か一緒くたにぐるっとまとめましたというのは、これは最後の部分について、国民にこの事業が本当にうまくいったのかどうかというところをきちんと説明できてないことにつながると思いますので、是非この四つの事業を、四つの事業を多分くくり直せるんだと思うんですけれども、全て四つにはならないんだと思うんですけれども、是非御検討いただければなと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、中室委員、どうぞ。
【中室委員】  ありがとうございます。私の方からも二つ質問をさせていただきたいと思います。
一つは、この補助金を受けたことの結果をどのように審査する、されているのかということ、それに加えて、例えばプロセスですよね。進行の管理の体制がどうなっているのかということを1点教えていただきたいと思います。
もう一つは、前回も話題に上がりましたこの受託業者と文化庁の間のすみ分けという話で、今回、その受託業者の方、恐らく9ページの下の方の支出先の2番に当たります富士通総研だと思いますが、こちらの受託業者の受託をしている内容については、各種提出書類の受領であるとか、必須記入項目の確認であるとかというようなことが幾つか書かれているわけですけれども、3,000万円としてはかなり高いのではないかというような印象を持つんですけれども、この支出の妥当性についてお聞かせを頂けますでしょうか。
【説明者】  では、まず、この委託の方でございますけれども、実際、3,000万円でこの富士通総研に対して委託をしております。事業の役割分担は、先ほどのこのA3横長の黄色い部分で文化庁と委託をしているわけで、実際のこの3,000万円のうちの内訳を申し上げますと、約2,700万円がこの人件費でございます。これ、年間通じて事業のやっぱり繁閑がございますので、大体トータルで約年間80人の方を雇っているという状況でございます。月当たりにすると、大体6.6人を雇っていただいているという。その方々のお金が2,700万円でございまして、ですので、年収、年換算でいうと、1人当たり約410万円の計算になるわけでございます。
それから、残りの300万円は、実際、この採択、これ、事業の事業内容をホームページで掲載をしていただいております。その分がありますのと、あと、それから、消耗品等で約300万円程度、トータル3,000万円の委託経費になっております。
それから、この事業の効果につきましては、毎年審査をする中で、同じところも引き続き出てくるわけでございますし、大体これ、事業が終わりましたら、年度末に実績報告書を出していただくとともに、それから、自己点検書というものも、かなり各劇場、音楽堂と、終わりますと、当然それぞれの地域ごとの決算、それから、監査等をやりますので、それでかなり詳細な事業内容ですとかお金の内容が出てきます。
それを踏まえて、また、悪いようなところに、4月に出して、4月年度末に出している実績報告書と別に、自己点検書という、言うなれば自己評価みたいなのを出していただいていますので、それを我々は頂いて、事務的に見るだけではなくて、次の秋の翌年度の審査の際にはそれを使わせていただくという形で、実際にどういった成果が出ているかというのを見ておくと。
それから、これは全国294事業もありますので、残念ながら、全部を悉皆で見ているというのはできないんですけれども、我々、事務職員、それから、審査に携わっていただいた先生方にも、全てじゃないですけれども、時間があるときには、重立ったところを見ていただくとか、そういったこともしております。
そういったことを通じて、実際に審査して、それでお金を配って終わりだけではなくて、その後のできるだけフォローもしていくというふうにやっているところでございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  よろしいですか。
【伊藤委員】  関連です。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  では、関連ということで、伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  今の受託事業者との役割分担の話なんですが、290件ぐらい、年間290件ぐらいの、これ、審査をするということではなくて、ホームページを通じて申請があって、その申請書類を整えて、審議会の業務の補助をして、採用通知を出すという、ある意味、この委託事業者がやっているものについて、特別な専門的知識というのは必要なんでしょうか、必要ないんでしょうか。
【説明者】  その意味では、大ざっぱに言えば、必要ない。その必要な部分は我々が、文化庁の方が専門的な観点から見なきゃいけない。また、必要なときには、審査の先生方等、いろいろと助言を得てやっておりますので、ある意味では機械的に確認、数字の確認とか、資料と資料を突き合わせるということは、これは必ずしも専門じゃなくてもできる部分はお願いしておりますし、どうしても疑問点があって分からない部分は文化庁にその都度照会を頂いて、こういうふうにお答えしてくださいとお返ししていますので、そういう意味で、ある程度機械的にできる部分はもうこの受託業者の方にお願いしているというところでございます。
【伊藤委員】  ここから先はもう価値観なのか、水掛け論になってしまうので、余りここを深くやっても仕方がないと思うんですが、年間で290件の中で、1か月間で6.6人分掛かるというのは、正直言って、想像し難いんですね。かつ、6.6の方が非常勤ということではなくて、月額ベースでいけば、多分35万程度の人件費分になると思うんですが、それを考えたときに、もう完全に6.6人の方はこれに特化してやられているわけですよね。
先ほどお話があったように、専門的な知見というよりは、まさに事務的な業務をやっている中で、これだけのコストが掛かっているというのは、もちろん、これ、公募をされて三者の中で選ばれているから、適正な評価はされているという御回答になると思うんですが、若干そこは高いんじゃないかなと私は感じました。
もう一個だけ、すみません。その中で、今の受託事業者は何年間ぐらい継続されているんでしょうか。
【説明者】  今の業者は2年目でございます。
【伊藤委員】  2年目。
【説明者】  はい。
【亀井委員】  関連で。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、関連ということで、亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  すみません、ちょっと価値観の話に入る前に、まず、事実として確認をしたいんですが、この17ページのA3の資料についてお伺いしたいんですけれども、受託業者が月平均大体6.6人、べたで張り付いているというお話でございました。文化庁の方では、何人張り付いていらっしゃるんでしょうか。
【説明者】  常勤が2名に非常勤が2名という体制です。
【亀井委員】  ありがとうございます。ちなみに、じゃあ、このぐらいの業務量について見たときに、受託業者が6.6名、その仕事に関わっているということは、これは文化庁内、あるいは、文部科学省内、さらには、他省庁を比較したときに、こういう類いの事務作業ってあると思うんですね。
比較したときに、この6.6名の妥当性についてはどのようにお考えでしょうか。
【説明者】  それぞれ事業の規模とか性格にもよると思いますけれども、私どもがやっているこの劇場のことについては、これも企画競争をやった上で、この業者にやっていただいていますので、これは適正な規模であろうと思っております。
【亀井委員】  いや、ごめんなさい、企画競争という前に、まず、皆さんが3,000万円という金額を妥当と考えているかどうかが非常に大事なんだと思うんですけれども、当然、入札プロセスでということを、一つそっちのプロセス側から金額の妥当性を説明する方法があると思うんですが、もう一方で、このぐらいの業務量であれば、このぐらいの人/月でできるんではないかということを積み上げていく作業というのが事務方としては当然あるんだと思うんですね。この部分のプロセスについてはどういうプロセスを取っていらっしゃるんでしょうか。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  どうぞ、出席している人、答えられる人で答えてください。
【説明者】  業務量につきましては、企画提案を頂いている中で確認をさせていただいております。その評価の上で、今の業者の方にお願いをしておりますので、当方といたしましては妥当というふうに考えております。
【亀井委員】  これは最後に指摘させていただきますけれども、多分、これ、先方の言い値ということですよね、言い方は悪いですけれども。これはせっかく文化庁の中で多分同じような事務作業がある。これ、文化庁として、もちろん、これ、劇場の在り方とか、そういう政策面での意思決定というのは文化庁の専門家の方がされていると思うんです。
先ほどお話があったとおり、受託業者は一般的な知見でできるんだということであるならば、ある種、コモディティの購入と同じなわけでありまして、別に、ごめんなさい、人を購入というのは余り良くないことかもしれませんけれども、だとすれば、文化庁の中での知見だとか、文部科学省の中での知見だとから、さらには、省庁全体でこういう事業の委託というのをされているわけですから、そういう中で適正な業務量というものはきちんと行政としてまず承知をしておいた上で、先方の言い値に乗っかるという形ではないような努力というのは当然求められるんではないかなと思いますので、そこのところは是非よろしくお願いをしたいと思います。
以上です。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、議論開始いたしまして20分ほど経過いたしまして、外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入を併せてお願いをしたいと思います。記入がお済みの方は、挙手を頂ければ、事務局の方でコメントシートを回収いたします。
それでは、田辺委員、お待たせいたしました。
【田辺委員】  私は補助事業者の選定とアウトカムについて質問がありまして、3点ほど。
まず、この対象、補助を受ける人ですけど、毎年二百六、七十ですか。これはどの程度継続しているのか、毎年新しいところに出しているのか、例えば実績として26年度、27年度、251、264、ありますけど、どの程度継続しているのかというのがまず1点ですね。
それと、2番目は、全体としてアウトカムを設定されているんですけど、個々の対象ごとに、個々の事業あるいは個々の補助者ごとに、入場者数とか平均入場率とか、個別に改善を設定しているのかどうかというのが2点。
まず、この2点をちょっと教えてください。
【説明者】  まず、特別支援事業のもので15館については、これは比較的継続して実施しているという。かなりやっぱり実力が伴わないとできませんので、これは毎年入れ替わり、審査そのものは毎年審査しておりますけれども、ここは比較的5年ぐらい継続しているという形のところがございます。活動別支援のところは基本的にもう毎年、毎年の勝負でございますので、入れ替わりはあるというところでございます。
それから、各館ごとの入場者や入場率の件でございます。これはそれぞれ要望の時点、それから、実績、終わった時点でも提出いただいてございます。審査のときには当然その入場率も出していただきますし、それから、どのようにその入場者を増やす改善をしているかと、そういう取組というのを企画内容に書いていただきます。それが審査の視点になってございますので、そういった意味での確認なり評価の一つとして見ておるところでございます。
【田辺委員】  その評価に目標は設定しているんですか。つまり、トータルとして2%上げるとかありますけど、個々の対象に対して、こういう入場率だから上げるとか、そういうのは設定しているんですか。
【説明者】  そういう形ではなく、各事業ごとにそれぞれの劇場の方で、この事業であれば、大体入場率はどのぐらい、7割ではないかとか、8割ではないかというのを設定して申請してきて、その後、終わった後に、その達成率をまた報告いただくということになりますけれども。
【田辺委員】  特に目標は設定してないということですね。
【説明者】  ええ。
【田辺委員】  あと、その関連で、多くは毎年新しく変わっていくということだったんですけれども、今回のこのアウトカムの設定を見ますと、例えば自主公演数とか入場率が毎年上がっていくようになっているんですね。例えば、採択事業に係る1件当たりの平均自主公演数、25年度は100回、26年度は130回、27年度は150回。これ、だから、対象が違うとすれば、何で毎年上がっているのかということと、その望ましい回数というのはどうやって設定したかということを教えてください。
【説明者】  まず、入場率の方でございますけれども、これはこれまで我々文化庁において、この劇場・音楽堂等の事業をやる中で、いろんな各館とヒアリングをするわけですけど、その中で大体入場率は7割から8割、そのぐらいが大体通常であって、8割以上を設定するのは、なかなかそれは難しいと。ですので、理想的には9割、10割でもいいのかもしれません。実際は8割ぐらいが設定としてはマキシマムかなというふうに考えておりまして、私どもの方も、8割でこの目標値を設定させていただいております。
それから、自主公演数のところは、この25年からスタートしているわけでございますけれども、実績として回数が上がってきております。これは私どもの事業をするとともに、各劇場・音楽堂に対して、自主公演をしっかりやっていただくことが必要だということを、言うなれば、啓発といいますか、やってきている。そういったことを全国ベース、それから、ブロック別でも毎年やっている中で、一定の成果で、ちょっと変ですけど、尻をたたく結果としてこうなってきているのかなと思っておりまして。
じゃあ、どこまで行ったらいいのかという辺りなんですが、これは別に対象事業の館だけではなくて、全国の公立の文化施設の大体年間の平均の開館数が大体249日というデータがありますので、それに対して、大体6割ぐらいは自主公演をやる回数、別に1日1公演というわけではないですけど。
【田辺委員】  分かりました。
ちょっとその関連で。さっきの金額も大分違いますけど、人材養成とか普及啓発というのは260万とか310万ですけど、そういったところもこのアウトカムで評価しているわけですか。
【説明者】  すみません、公演だけで公演数は、公演数は当然、公演だけで、入場率も公演だけで。
【田辺委員】  公演の場合ですね、これはね。
【説明者】  はい。
【田辺委員】  はい。分かりました。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  よろしいですか。
【田辺委員】  はい。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、有川委員、お願いいたします。
【有川委員】  先ほど来の各委員の意見と非常に関連するんですけれども、まず、3,000万の受託ですかね。17ページの黄色で書き分けてありますけれども、これで見ると、受託業者の業務というのはほとんど事務的な作業に整理されておりまして、実質的な補助事業についての内容的なチェックは文化庁の方でキープしていると。
とすると、なぜ企画競争なのかなというのがちょっとまず分からないので、企画競争にしちゃうと、やはり、先ほど来、指摘のありますように、価格の要素が入ってこなくなるもんですから、まず、企画競争にしていることが本当に妥当なのかどうかを見直していただきたいし、もし事務的な経費、ここに整理して黄色で書き分けているような業務でありますと、3,000万というのはやはり高過ぎるんではないか。
公共機関がこういう事業でこれだけ、それほど膨大な数ではないですし、業務で、3,000万を掛けてやっているというのは余り見聞きしないので、そこの企画競争見直すと同時に、価格についても見直す必要があるんではないかというきが、すみません、まず、先ほど来の関連意見、関連する話として、ちょっと私の意見も同様であるということをお伝えしたいのと。
一番最初に亀井委員がおっしゃられたところが一番私も同感でありまして、この事業の補助金の交付額が低いところでは100万前後で高いところは7,000万、その間で非常に幅広く分布しておって、それを大きく仕切ると、四つぐらいの事業に分けられるということなんですけれども、それを何かここに書いてありますような平均入場率とか、あるいは、平均自主公演数とか、そういった数で一緒くたにアウトカムを設定するというのはかなり無理があるので、究極の目的としては確かに地域の住民が質の高い芸術文化に触れるというところに大きな目的はあるんでしょうけれども、その究極の目的のために、ある程度事業を区分分けして事業を執行しているんですので、その分けた事業のジャンルごとにやはりアウトカムを設定しないと、今、25年度から立ち上がって、30億で推移して、ずっと推移してきているんですけれども、それぞれの四つの事業に一体これからどういうロードマップでアクセントを付けていくのかが、これから検証するすべがないんではないかと思うんですね。
それぞれの事業ごとにやはりアウトカムをある程度きめ細かく設定して、それに基づいて検証して、30億の予算で推移している。それがいいのかどうかも含めて、このロードマップをどう作っていくのかを考えなきゃいけないんだと思うんですが、その辺、どういうふうにお考えでしょうか。
【説明者】  まず、委託の3,000万円の件ですけれども、これ、実際にこのA3の横表を見ていただくと分かりますように、これ、26年の採択事業の言うなれば確認、実績の確認、それから、27年度の補助金の交付の決定、それから、28年度の採択という、これ、3年、1年間ですけれども、3年間の事業がそれぞれ重なってきている中で、実際見ていただくと、それぞれの時点で、例えば4月の時点で確認が163件あり、5月から6月辺りは165館の確認、そして、ということで……。
【有川委員】  すみません、先に、企画競争にしている理由を言っていただけますか。
【説明者】  企画競争の方にいたしましては、先ほど来説明させていただいたとおり、入札者が何札かあるところですけれども、業者の方から提案いただいておりますのは、例えばホームページの見せ方をどのように見せているのか、デザイン的なところですね。そういったところを提案いただいたり、あとは、私どもの方と、あとは、業者の方におきましてのやり取りに関しましてのスムーズなやり方、どういったものが考えられるのかというようなところを提案いただいておりますので、そういった趣旨で、企画競争という形でやらせていただいております。
【有川委員】  その程度の企画でしたら、やっぱり総合評価で一般競争にすべきではないですか。
【説明者】  その辺につきましては、今後また検討していきたいと思います。
【有川委員】  それより、一番お伺いしたいのは、最後に申し述べた、亀井委員と同じところのことについて答えていただきたいんですけど。
【説明者】  委託の件でございますけど、確かに単年度で見ると、264件が採択になっているわけですけれども、結局この27年度でいえば、26、27、28の年度の……。
【有川委員】  そうじゃなくて、お伺いしたいのは、この事業の全体のロードマップと併せて、この四つの事業をもう少しきめ細かいアウトカムでやるべきではないですかと。
【説明者】  確かに、その点については、全体としては全国どこに住んでいても、国民の皆様がすぐれた文化芸術に携わる、接することができるということにしたいという一つの大きな目標の下でありまして、ただ、その下で四つの事業がありますので、確かに細かく見れば、それぞれの性格が、性格に応じたアウトカムの設定等を考えられると。その辺り、ちょっと検討していきたいと思っております。
【有川委員】  すみません、もう一点。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  関連で。どうぞ。
【有川委員】  申し訳ありません。もう一点、また議論になっているのは、9ページに、公益財団法人が、企画競争だけど1社で入ってきて、1億円余りのこの情報提供事業と研修事業をやっていますけれども、これ、25年度からずっと1社で、企画競争しているけれども、この法人がずっとこれをやっているのか、それとも、この年度だけが1者なのかというのと、併せて、この後、この情報提供と研修事業をずっと同じような形で続けていくことになるのか、その辺のロードマップも、アウトカムがないもんですから、その辺を教えていただきたい。
【説明者】  これは25年度から同じ1社、全国公立文化施設協会が受託しております。この事業につきましては、情報提供と研修交流事業とあるわけでございますけれども、情報提供の方は、これはそれぞれの劇場にとって必要な情報提供ですとか、また、ウェブサイトで全国の文化施設を検索できるようなシステムをこのホームページで作っておったりとか、あと、実際の館の方で、最近ですと、バブルの頃に結構たくさん文化会館ができて、今は大規模改修の時期になっておりますので、その大規模改修をどうしたらいいかとか、そういった相談会を実施したりとか、実際に年間約100人を超える相談員の方、支援員の方がその劇場等に行って、直接御相談に乗るというようなことをやっておったりとか、そういう情報提供事業がございます。
それから、研修交流事業につきましては、これはアートマネジメント研修ということで、施設の実際の運営ですとか事業の実施ですとか公演の企画、最近ではファンドレイジングですとか、施設の維持管理、そういったテーマをいろいろと設けて、全国で1か所、それから、ブロック別で7ブロック、7か所でアートマネジメント研修というのをやってございます。
それから、技術職員研修というのがございまして、これは舞台機構ですとか設備の管理運用についての技術者の方の研修を、これも全国1か所、それから、ブロック別7か所で実施いたしております。
こういった研修事業等を通じて、この劇場・音楽堂等の法の趣旨、そして、全国津々浦々でも自主公演ができるようにということで取り組んできておるわけでございまして、これは引き続き、この研修交流事業等は委託していくことになるのではないかなと思っております。
【有川委員】  そうすると、やっぱり効果的な情報提供と研修を続けるためにも、やはり全体の事業のロードマップとその四つの事業に分けたところのきめ細かなアウトカムとそれに基づく評価をやらないと、どういう情報提供をしたらいいか、どういう研修をしたらいいかというふうにつながらないと思いますので、そこのところはリンクすると思いますので、それも併せて検討していただきたいと思います。
【亀井委員】  関連でよろしいですか。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  そもそも、このアートをどう評価するのかって非常に難しいんだと思うんですね。ですから、余り私は個人的な感想というか述懐を申し上げるつもりはありませんけれども、それぞれ実際に行われている、例えばここに上げられている、9ページに上げられているようなそれぞれの事業というのは、私、それぞれすぐれた事業なんだと思います。
それを、何ていうか、お上がいい、悪いというのを判断するというのは、実際アートに対してはそれは大変失礼なことでありまして、一定限、それは支出をするのであるというような考え方があるんだと思います。
ただ、その上で、今のアウトカムの議論を、だからこそ逆に、文化庁はそこを携わっている省庁として、そこを是非しっかりやっていただきたいんですけれども、例えば今の人材育成についてもアウトカム、違いますよね。それぞれのアウトカムがあるんだと思うんですよね。
この事業は実は大変大きな事業だと思うんですけれども、その大変大きな事業の中で、地方という一つのキーワードに沿っていろんな事業がくくられているんだと思うんですが、だとするならば、やはりそこに沿った形でアウトカムというのが全体としてこういう体系があって、これを全体として一くくりにするというのがあるのかないのか、僕はないような気がするんですけれども、少なくともそのアウトカムを全てそれぞれの事業に応じた形で列挙していく。それと実際に文化庁さんがされている政策に整合性が合っていく形にしていかないと、要はこれをなぜ政策としてやっているのかが説明できなくなってしまう。
ひいては、結果的に、それぞれ地方でやっていらっしゃるそのすぐれた事業が、それすらが、それそのものが、否定されることになってしまうというのはこれは本意ではないと私は思いますので、そこは是非、文化庁さんがしっかりと政策官庁として進めていただくこと、それはアウトカムの設定とお金の使い方も含めて、そこは丁寧に是非やっていただくことをお願いしたいと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、伊藤委員にちょっと御発言いただく前に、そろそろ時間が来ておりますので、コメントシートへの記入をまだされていない外部有識者におかれましては、記入をお願いしたいと思います。事務局はコメントシートの回収をお願いをいたします。
それでは、伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】  すみません、評価をするに当たって1点確認をしたかったんですが、この先ほど来出ている補助事業について、補助の要件が補助対象経費の2分の1以内、かつ、事業費から入場料収入とその他収入を除いた額の範囲内という、それぞれあって、その中に上限があったり、なかったりということがあると思うんですが、このざっくり290件のうち、補助、補助経費の2分の1以内で収まっていて、要は1億円、例えば補助対象経費が掛かっていて、それでいて、5,000万ですね、2分の1で5,000万になるけれども、この収入の方が結果的に3,000万ぐらいあった、オーバーしたから、補助対象経費が2分の1の上限ではなくて、収入を割り引いた方を、その要件を関わったという案件、分かりますかね。
2分の1以内、2分の1以内だったかな、こっちだけの要件であれば、1億円だったら5,000万の補助が出るけれども、右側の「かつ」の方が、収入の方が更に上回っているから、結果的に5,000万よりも減額をして補助しているケースというのがどれぐらいあるんでしょうか。
【説明者】  そういう交付決定時よりも収入が実際には多くなって、要するに、大体この先ほどの円グラフを見ていただくと分かりますように、国の経費で大体3分、3割ぐらい入って、収入経費が、収入、入場料が大体当初3割とかで、あと、その他の寄附金等が1割で、補助事業費が大体3割ぐらいの形、大体大ざっぱにそんなようなケースが一般的、平均するとそうなるんですが、ただ、実際に今、委員御指摘の入場料が実際多くなって、補助事業者の負担金分も更にオーバーしてという場合に、初めて文化庁の補助金が実際交付決定より減らされるというケースになるわけですが、これは調べてみましたところ、6件ありました。
【伊藤委員】  この6件は、金額の補助の規模でいくと、上の方の6件ですか、下の方ですか。
【説明者】  活動別支援事業の中の公演事業の中で、規模的に大きい方で、そういうケースがあったと。
【伊藤委員】  これは事前の勉強会でも少し議論になっていた個々の劇団のこの自助努力のインセンティブが結果的に働かない仕組みになっているんじゃないかというところで、今のお話でいくと、結果的には入場料収入はそこまで達していないケースが多いということかなと思うんですが、本来であれば、これって多分補助を出す文化庁側からすると、もちろんこの事業に対しての補助をするし、そのための審査をすることになると思うんですが、受ける劇団側からすれば、運営と一体、当然ながら一体になっているという中で、やはり当初よりも頑張って、例えば支出を抑えた、収入を上げたというものが、それによって補助金が減額されないような環境になることが結果的に、個々の劇団であったり、最終的にこの一番大きな目的である活性化につながるんではないかなと思っているんです。
それを考えたときには、本来は、例えばですけど、この補助の対象経費の2分の1というのを、逆にいうと、もう少し下げることによって、個々の劇団の自助努力をしなければ、そもそも、この一つの事業が運営できないということだってあり得るんじゃないか。
別にこれは一個一個の事業で単に金額を減らせと言っていることだけではなくて、ほかの運営も含めた上で、完全に採算取るというのは別だ、そこまで行かなかったとしても、できる限りここで頑張ってもらうためのインセンティブがこの仕組みの中で働かないかという趣旨で今お聞きをしているんですが、そこについてはいかがでしょうか。
【説明者】  この制度について、一定、インセンティブが働くかどうかということについては、入場料収入が上がっていく、それがやっぱりインセンティブになって、そして、補助金事業の負担金がその分、使わなくて済むと。そうすると、ほかの事業にも回せるということには、一定のなることはなるんじゃないかと。実際に、だって、3割ぐらい負担金がございますので、ほとんどの館はそれを全部使い切るまでまだ入場料収入が取れてなくて、たまたま120件中の6件は、そこの補助金事業者の負担金分も更に超えて要するに収入があったと、そういう場合が6件だったということで、そういう意味では、この補助金、負担金をどれだけ減らせるかという意味では、この今の事業でもインセンティブが働いているんじゃないかなというふうに思います。
【伊藤委員】  今のは文化庁としての補助金を軽減するためのインセンティブに聞こえるんですね。個々の劇団、劇場という意味でのインセンティブ、もちろんめぐりめぐって、ほかの事業でもう一個手を挙げられるかもしれないという意味はあるかもしれないんですが、そうではちょっとないんじゃないかな。
これ、もう最後にしますが、今回の特別事業を受けている大きい劇団の財務諸表を見ていると、やっぱり多くのところは、総収益のうちの7割ぐらいはやっぱり補助金なんですよね。やっぱりここ自体、いい悪いではないけれども、少なくとも、できるだけその補助の比率を下げていく、それによって自立につなげていくという意味では、やはりこういう事業の中で、個々の一個一個の事業の中でも、インセンティブ、自助努力のインセンティブを働かせられるようなことができたらいいんじゃないかなと。これは意見として申し上げます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、時間も大分経過しておりますので、まだシートを出していただいていない方は提出をお願いいたします。
亀井委員、引き続き、お願いします。
【亀井委員】  私の意見はむしろ逆で、それは逆に文化に対して一定のお金を出すということは私は必要なんだと思っています。ただ、この中身をお上が判断するというところがなかなか難しい。それはつまり、これは要は文化と国家権力をめぐるずっとその長い歴史があるわけで、そこは軽々に、少なくするべきではないかというのは私は簡単には言えないことなんじゃないかなと思っています。
だからこそ、先ほど来申し上げているとおり、文化庁としては、是非アウトカムを具体的に出してほしい。それぞれのところについてどんな意味があったのか、地方においてどんな意味があったか。もちろんこの政策以外にも、そのトップレベルもある、それぞれあるわけですよね。
それぞれの実際にやっていらっしゃる方々というのは大変それは厳しい運営の中でやって、もちろん公立の部分は少し違うかもしれませんけれども、特に民間団体においては、それぞれ厳しい中でやっていらっしゃるというまず前段の条件がある中でのこの議論だと私は理解していますので、そこの部分については、逆に、アウトカムが出てきたところで、もう少し総額の議論だとか、そもそも文化に対して国がどうお金を出すべきなのかという議論ができるような俎上がようやくそこで整うわけで、この段階で、そこの多いか少ないかという議論までやってしまうのはちょっと僕は拙速なんじゃないかなと、これは意見として申し上げさせていただきたいと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
コメントシートの取りまとめをしていただきますが、若干のお時間を頂きます。その間、外部有識者の皆様におかれましては、引き続き御議論を頂ければと思いますので、どうぞ御質問、御意見ございましたら、お願いします。中室委員、どうぞ。
【中室委員】  ありがとうございます。ちょっとくどいようで大変申し訳ないんですけれども、アウトカムの話をどう評価しているのかという話を、補助したことの結果をどう評価しているんですかということを先ほどお聞きしたときに、基本的には、自己点検の結果というものを年度末に出しておられて、各事業者さんが出しておられて、それを次の補助のときに参考情報として使っておられますという話だったと思うんですけれども、私はやっぱりそこのところが非常に気になるところでして、要するに、基本的には自己評価をしている、自己点検をしているというものがあって、それを次の採択されるかどうかということの情報に使うということになりますと、多分こういうことになるんじゃないかと思う。
自助努力をして事業がそれなりにうまくいっているところというのは次の採択からは外れますということになるんじゃないかなと思うんですけど、そういうことではないんですかね。
そうすると、先ほど伊藤さんがおっしゃっていたことと多分全く同じだと思うんですけど、業者側からすると、その採択される事業者側からすると、自助努力をするインセンティブがこのメカニズムの中に全く組み込まれていないように我々から見ると思えてしまうので、そうすると、補助金をもらうことを目的として、頑張らないということにインセンティブがむしろ付いているようにも見えてしまうんですけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
【説明者】  私どもの評価する場合の視点としては、当然、入場率とか入場数もあるわけですけど、企画内容と、確かに質の面もございますので、そういった意味では、本当にこれが日本を代表するような劇場としてふさわしいのかとか、地域のリーダー的な役割の劇場としてふさわしいのかとか、そういったちゃんと芸術監督がしっかりしているのか、専門事務がいるかとか、そういうトータルで審査いたしております。その中で、本当にいい公演、自主公演を地域の方に提供しているかどうかということをアウトカム、一種のアウトカムとして見ていると。
そのときに、劇場側のインセンティブとしては、実際に入場率、公演数もそうですけど、トータルとしての企画内容、そういったものをちゃんと伝達して見ているという、総合的な観点で見ていっているところでございます。
【中室委員】  そうすると、やはりこのアウトカムと審査の内容が合っていないように見えるんですけれども。
【説明者】  合っていないわけではなくて、今ここでは確かに一つの定量的なデータとして出しておりますけど、別にそれが確かに全てではなくて、やはり質の面も加味して実際には審査はしております。ここが要するに質の面もこのアウトカムをどう取り入れるかというのは確かに今後の課題ではないかなと思っております。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  まさにそこのところをきちんと開示されるのがいいんだと思いますけどもね。要は評価している側も国民から評価されるんだという話なんだと思います。それは多分、評価委員という方が何名かいらっしゃるわけですよね。かなりの数いらっしゃるんだと思うんですけれども、別にそこの対象討議が全て正しいわけではないんだと思いますので、そこでどんな議論がされているのかとか、そういったことも含めて、全体としてマクロで出せる数字というのは個別の事業までなんだと思うんですけれども、ミクロに出せるものについては、きちんとそういう情報を全て世の中に出していくということを通じて、透明性を高めていく、納得性を高めていくことしか、結果的には、このお金はもともと原資は国民の税金なわけですから、ただ、税金を文化に投入するということをどう考えるかというところに大変深い議論があるわけですね。何度も申し上げますが。
だからこそ、ここは丁寧に情報を開示してほしいし、逆に言えば、隠す情報はないはずですから、とことん情報を出していってもらえれば、私はいいんじゃないかなと思いますけれども。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、そろそろ議論も進んでまいりましたので、コメントシートの集計が取りまとまりましたので、取りまとめ役の松浦委員に、評価結果及び取りまとめのコメント案の提示をお願いいたします。
【松浦委員】  それでは、各委員に御議論いただきました評価の結果について、御報告を申し上げます。
まず、票数でございますけれども、3対3に分かれました。一部見直しが3票、それから、抜本的見直しが3票でございます。
ただ、論点となったのは、一番大きな論点は、各委員ともに、アウトカム評価の適正性をもう少し具体的に事業別にすべきであると。そうしないと、むしろ判断が混乱してしまうという意見が圧倒的でございます。文化庁さんは、やっているけれども数字にはこういう形になりましたという御答弁をされましたけれども、やはりここは国民への御説明という点ではちょっと努力不足かなということで、各事業において適正なアウトカムの評価を設定されて、その上でロードマップを作られたいという意見が大勢でございます。
次に、受託でございますけれども、企画競争でやっていらっしゃるということではありますが、確かに皆さんの御意見、私も含めてですが、この程度のプランニングであれば、十分総合評価で対応できるわけでありますから、値段が高過ぎるという印象も皆さんお持ちですし、これは総合評価は落札方式の採用を是非御検討いただきたいと。これが二つ目のほぼ全員の意見でございます。
三つ目でございますけれども、これは最後となりますが、結局努力をしたのに報われないのではないかという意見が結構ございます。文化庁さん的には、努力の結果、多くの事業を展開することができるというインセンティブが働きますが、一方、これを受けた方の努力というのがドライブされないということがございますので、ここの部分をもう少し工夫できないかということでございます。
そうしますと、票は割れましたけれども、この事業を根本的に見直さなくちゃいけないということではないと私は理解いたしますので、座長の判断としては、一部見直しということにさせていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
ありがとうございます。
それでは、原課の皆様、どうも御説明ありがとうございました。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、劇場・音楽堂等活性化事業の公開プロセスについては終了させていただきます。
次の、未来医療研究人材養成拠点形成事業につきましては、5分間休憩の後、10時35分開始といたしますので、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、2こま目を始めさせていただきます。
文部科学省から、堂故大臣政務官が視察をされておりますので、御紹介をいたします。
【堂故文部科学大臣政務官】  よろしくお願いいたします。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  これからの時間帯は、未来医療研究人材養成拠点形成事業について御議論を賜りたいと存じます。
初めに、事業概要の説明をさせていただきます。事業担当課は、5分以内で簡潔に説明をお願いします。
【説明者】  よろしくお願いいたします。
お手元資料、1ページの整理表をまず基に、御説明申し上げます。
まず、文部科学省施策の位置付けでございますが、本事業は、我が国の将来の医療を担う高度医療人材を育成するための事業でございまして、政策目標は、個性が輝く高等教育の振興、政策目標4、施策目標は、大学などにおける教育研究の質の向上とし、特に各大学が単独又は連携して個性や特色を踏まえた人材の育成機能を強化するものとして、達成目標1として位置付けでございます。
次に、事業目的、概要でございます。創設年度は25年度でございまして、来年度までの5年間の事業にしてございます。予算額は、平成、本年度で13億9,000万になってございます。
具体的には、我が国の成長分野として、各種政府計画で位置付けられている医学・医療分野につきまして、高度な教育・研究・診療機能を有する大学・大学附属病院におきまして、我が国の将来の医療をリードできる高度医療人材を担うべく、二つのテーマ、すなわち、テーマA、メディカル・イノベーション推進人材、医療の高度化・効率化や治療法が未確立な疾患に対応できる人材、従来の医学の枠組みでは捉え切れない学際領域などの新たなニーズに対応できる人材を目指すもの。
それから、もう一つ、テーマBでございまして、リサーチマインドを持った総合診療、急激に進展する高齢化に伴う医療ニーズに柔軟に対応できるリサーチマインドを持った医療人材をそれぞれ養成する目的といたしまして、大学等が実施する教育プログラムを広く公募し、比較競争的によりすぐれたプログラムを選定してございます。
次に、本事業スタッフの関係でございますけれども、大学・大学病院がそれぞれ本事業のテーマに沿った教育拠点を形成することによりまして、高度医療人材が養成されることを通じまして、達成できると考えてございます。
このため、本事業では、施策の達成目標である各大学が単独で、又は、連携して、個性や特色を踏まえた人材育成機能を強化すると、実現に資するというふうに考えてございます。
次に、その1ページ目で下段の方でございますけれども、特に今回の論点の一つに入ってございます。また、先月の会合来、有益な御助言を賜っているところでございますけれども、アウトカム、アウトプットについて御説明申し上げます。
本事業におけるアウトカムにつきましては、当初、本事業で養成された医療人材が社会で活躍することが我が国の医療課題の解決に資するということから、テーマA、Bそれぞれにつきまして、教育プログラム、コースにおける養成人数をまず設定し、アウトプット、活動実績につきましては、この事業の趣旨に沿った能力を有する医療人材を養成するためのテーマA、Bそれぞれについて、新たに構築されたプログラム、コースの数を設定してございました。
これにつきましては、おめくりいただいて、補足資料の方のトータルページ数16ページ目にテーマAにつきまして、詳細は申し上げませんが、また、テーマBにつきましては、補足資料の19ページ目に、ごらんのとおり、アウトカムである養成人数については当初の目標を超えている。また、アウトプットであるプログラム数については、目標どおりに事業が進められているところでございます。
さらに、このたび新たに、これまでの御議論を踏まえまして、これらの設定に当たりましては、より適切なものとなりますように、補足資料の12ページをごらんいただきたいんでございますけれども、新たな成果目標というものを導入してはどうかというふうに考えているところでございます。
まず、テーマAにつきまして、上段でございますが、これにつきましては、補助事業内の、補助期間内の成果目標として、新たに、例えばこの事業実施大学10大学が補助期間終了後も事業を継続することをより磐石ならしめると。これは前提といたしまして、一番下にございますとおり、A、Bともに、事業を公募するに当たっては、事業終了後は自ら事業を実施するということを確約していただいておりますけれども、さらに、この拠点の事業が磐石に行われていくというためのチェックする指標といたしまして、例えばこの事業大学が各大学におけるトランスレーションリサーチ、TR等の産業界との共同件数の新契約数というものを指標として導入したらどうかというふうに考えてございます。
大変申し訳ございませんでした。お送りした段階ではまだ調査できておりませんでしたが、口頭で今から申し上げますけれども、平成25年から27年度の実績につきましては、新規の共同契約の件数につきましては、25年度、産業界に限りますけれども、25年度は404件、26年度は469件、平成27年度は465件という形で、400件台で伸びていると。平成28年度もこの400件台を見込んだ数字を今、大学がはじいてございます。こういったものを新たに導入していこうと考えてございます。
また、この事業大学にとどまらずに、他の大学に波及するということを、水平展開をするということを促し、確認する指標としては、実施大学以外の大学が、この事業を行っている大学のシンポジウムですとかセミナーへの参加状況というのを考えてはどうかと思ってございます。これも口頭で恐縮でございますけれども、参加大学数につきましては、25年度は10、26年度は25、27年度は31という形になってございます。
また、補助終了後の成果目標という形でございまして、これも御議論のあるところでございますが、こういったものをもし仮に考えるとすれば、この横展開をしていくに当たっての今、31と申し上げました、27年度で他大学のセミナーへの参加状況と。これがどの程度伸びていくかということを、その31の中でも多分濃淡がございます。プログラムをそもそも開始しようとしているほど取り込もうとしているのか、それから、また、連携にとどまるのかということがあると思いますので、これはさらに事業期間内で事業実施大学を通じて精査をして、目標の精度を高からしめたいというふうに考えているところでございます。
次に、同じく、この同じページのBでございますけれども、これにつきましては、きょう、堂故政務官がお見えでございまして、日頃より、地方の医療行政にも通暁しておられる堂故政務官に御指導いただきながら、医療体制、人材養成については我が府省、しきりに取り組んでいるところでございますけれども、テーマBにつきましては、現在、厚労省の社会保障審議会医療部会におきまして、平成29年度からにも実施が予定されてございます新たな専門医制度の動向というものを踏まえまして、この総合診療医制度の認定数というものを、今のところ、1の単位まで出ていますけれども、現在のところ、各大学からもこの数を、更にこういった動向を踏まえて精査をしてまいる考えでございます。
また、他大学への普及を図るということについては、事業実施大学以外の大学がシンポジウムやセミナーに参加しているかということ言いましたけれども、これにつきましては、口頭で申し上げますけれども、25年度は43、26年度が61、27年度は62でございます。ということは、62ということは、既に行っている大学を加えますと、79でございます。既に全大学で行われていると。これはもっともな点はあろうと思います。地域のニーズもございますし、やはり医学部における最も主要なミッションでございますので、そういう意味にいたしましては、やはりこれは終了の目標としては、Aはいささかまだ定量的に申し上げられませんけれども、テーマBについてはもう80を目指すということを明確にここでは申し上げたいというふうに思ってございます。
1ページ目にまた戻っていただきまして、末尾でございますけれども、本事業の成果と上位施策との関係につきましては、るる申し上げましたとおり、所要の目的というものが達成されるんではないかというふうに考えているところでございます。
次に、もうちょっと2点だけ補足説明に基づきまして……。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  簡潔にお願いします。
【説明者】  補足資料に基づきまして、御説明申し上げます。これまでの外部委員からの先生方からの御意見についての御説明でございます。補足資料の13ページ目でございますけれども、新たに資料を提示せよという御指示があった点でございます。
これについては、そこに掲げてあるとおりでございます。補助枠につきましては、各大学からの事業計画の趣旨に基づきまして、予算の範囲内で各大学の補助枠を決定してございます。テーマAについては10大学で総額6億円、1大学当たりの規模は5,000万程度でございますけれども、連携をしている大学については若干補助が高いと。テーマBにつきましては、15大学が選定して、今、総額10億円でございます。5,000万程度の大学が多うございますけれども、これも同じ傾向でございます。
なお、これにつきましては、前回御質問いただきましたとおりでございまして、予算額が経年で減少しているではないかとおっしゃる点でございます。P5ページのレビューシートをごらんいただければ分かりますとおり、中段でございますが、25年度比で約38%の減となってございます。
これにつきましては、初年度、1年目と2年目度につきましては、必要な設備等を設けるということで額が高うございますけれども、それ以降は、必要最小限の予算の形で何とかプログラム数を維持して養成をできるということになってございますけれども、これにつきましては、きょう承った意見を踏まえまして、本事業の目的の達成にかなうふさわしい予算の確保を努めてまいりたいと思ってございます。
最後でございます。14ページでございます。これも大変貴重な御指摘でございまして、医療人材養成に対する全体像の支援というものを示せという御指摘がございました。これにつきましては、医学部を取り巻く課題につきましては、一番上に記載のとおりでございます。るる申し上げませんけれども、これについて、この課題を解決するということで、一番下でございますけれども、人件費を大層とする大学の運営基盤を支える経費を基礎として、特に医学に関する課題に向かおうとするには、この本事業等による支援を行うということでございます。
その上になりますけれども、やはり医学部でございますので、将来、どういった分野に進むにしろ、患者様の実態に即した、まず学部段階では臨床能力の充実が成果に求められることに対しまして、学部では今、見学型から参加型へということで、より実質化した臨床実習の充実等を通じて、学部教育に取り組んでございます。
この学部段階をまず経た上で、学生の希望、志向に応じて、今回の対象である養成事業等でのメディカル・イノベーション人材、あるいは、リサーチマインドを持った診療、さらには、基礎医学といったような形で、多様な人材が輩出されていくという、そういう仕組みにしているということを改めてお示ししてございます。
補足ページが、15ページでは、東京大学の例、18ページでは筑波大学の例、また、基礎では順天堂大学の例を10ページをお示ししてございます。
こういった形で、医学の充実、人材養成の育成を図りたいと思ってございますので、本日の御議論を踏まえまして、更に充実を図ってまいりたいと考えてございます。
よろしく御指導のほど、お願いいたします。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
それでは、私の方から、論点について説明をさせていただきます。資料の3ページ、お手元の論文等説明シートをごらんください。
まず、一つ目といたしまして、社会のニーズを踏まえた事業内容となっているかという点、二つ目としまして、本事業をどう総括し、何を課題と捉えているかという点、三つ目としまして、人材育成は大学の使命であり、追加財政措置は不要ではないかという点、四つ目といたしまして、アウトカム・アウトプットは適切に設定されているか。以上、4点について、御議論を頂きたいと思います。
それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。
説明者は、外部有識者からの御質問に対し、簡潔明瞭に回答を願います。
亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  亀井です。よろしくお願いします。
まず、そもそものところからお伺いをさせていただきたいんですけれども、大学というのは医学以外にもいろんな分野の教育をしていますよね。私も携わらせていただいていますけれども、そういう中でいうと、なぜ医学だけこういった追加の財政措置が行われたのか。今の論点の中にもございましたけれども、もともと大学というのは人材育成という機能を担っている中で、なぜ医学なのかというのが一つで、その医学の中でも、例えば地域の病院とか、いろいろとお話をお伺いしていると、例えば周産期産婦人科だとか、子供を診る人が少ないとか、あるいは、麻酔科医が少なくて実は手術ができないんだとか、こういうような地方の御要請を伺うことがございます。
そういう中で、今お話があったような、ここは多分現場のお医者さんの話だけではなくて、もう少し広い視野をごらんになって、こういう形の設定をされているんだと思うんですけれども、14ページでお示しを頂いたようなことを、実際の今の社会のニーズが、麻酔科医が足りないとか、周産期が足りないとか、こういう分野が足りないというふうに言われている中で、なぜこういう分野について資金を投ずる形になったのか、是非そこを御説明いただきたいと思います。
【説明者】  よろしいでしょうか。2点いただきました。ありがとうございます。
まず、医学だけなのかでございますけれども、これにつきましては、他の分野、例えば情報技術ですとか観光といったものについても、再興戦略等に位置付けられたと。ただ、そういうものは政府の方針でございますので、あまねくそういった必要な成長戦略に伴うものについては人材育成も不可分でございますので、そういうふうにある程度メルクマール、ある程度プライオリティが高いものについては、基盤的経費に加えて、選択と集中と申します、投資をしていくと、そういう方針でいるという点をまず御説明させていただきます。
それから、大変貴重な、2点目でございますけれども、産科医の問題、麻酔科医の問題、これは大変重要な問題でございます。我々も過去に取り組みましたけれども、まず、役割分担として、実は厚生労働省の方が、昨年来から医師の需給の検討というのがある。実は需給の検討だけではなくて、まさに偏在の問題、地域偏在ですとか、診療科の偏在という問題をまず解決しないと、総数のマクロでいくら議論してもしようがないことになってございます。まず、そういう点で、我々もオブザーバーで参加してございます。
そこで、例えばまず、政府の方針が決まれば、やはりそれは一つプライオリティが示されるということになれば、亀井先生がおっしゃるとおり、こういった事業を改変をして、そちらについて人材養成が必要であれば、その人材養成をしていくと。そういう意味では、前段の流れと一環していると思いますけれども、そういう形でやっていきたいというふうに考えている。
今時点では、これまでの成長戦略等においてこれまで示された部分について、こういった事業を要求をして展開をしているというふうに御理解いただければと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員。
【亀井委員】  ごめんなさい、もう少し理解しやすい、私が理解できてないといけないので、詳しく御説明で。つまり、今、地方でいろいろ幾つか、いろいろ各地で言われているような地方の偏在の問題であるとか、あるいは、診療科ごとの偏在の問題というのが、これを設計した時点ではその話はまだ認識はしていなくて、それよりもむしろ、全体の様々な国家戦略に応じた形の中で、例えばリサーチに対応して創薬に貢献できる医療人材を出していくだとか、あるいは、基礎の部分、基礎が少ないというのはこれは一方で言われているところで、がん診療拠点病院なんかの問題もありますよね。
そういったような問題も含めて、その基礎の部分を対応していくということをまずは決められたと、こういう理解でよろしいでしょうか。
【説明者】  おっしゃるとおりだと思います。当時は、例えばテーマBが典型だと思いますけれども、やはり医師不足であると、まず増やさなきゃいけないというので、ここ10年間は増やしてきたと。ただ、一方で、いくら増やしても、偏在問題は解決しない。そうすると、まさに先生がまさにおっしゃった偏在が今は問題であると。
じゃあ、偏在産業についてというのは、どういうことが、例えば厚労省の方が地域医療政策の中で地域医療提供体制をやりながら、例えば人材養成でもよりもっと積極的に地域枠などのものをより活用していくとか、そういう何か教育プログラムとして、教育で必要だとあれば、それがまた政府でコンセンサスが得られれば、それはまた迅速に対応していきたいというふうに考えてございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  最後、これ、1点。要は、大学教育って結局これ、6年掛かるわけですよね、お医者様の場合。もちろんインターン等々を踏まえれば、かなり、でも、今、早めに現場に出されているお医者様というのはたくさんいらっしゃるんだと思うんですけれども。
ある種、時間がずれてくるわけですから、今のような問題って、じゃあ、6年前から言われてなかったかというと、多分それはすみません、言ってくれるなよという話かもしれませんけれども、そこは厚労省の部分と文科省の部分というのはそれぞれ責任が、人材育成の部分は多分文科省が御担当されているんだと思いますので申し上げるんですが、やはり先々に起きることにやはり直視をする政策というものをきちんと体系立ててやっていただきたいなというふうに思います。
そこは6年たった後の話をやはり考えなければいけない。あるいは、7年、8年先のことを考えなければいけないんだと思いますので、特にここから先、2025年から40年の団塊世代が後期高齢者に入る中でというところはあると思いますので、是非そういったところも含めて御検討いただきたいなと思います。
以上です。
【説明者】  ありがとうございます。予算だけで説明していました、言葉が足りませんでしたけれども、例えば医学教育の中では、高等教育では珍しく、モデル・コア・カリキュラムと、その旨を例えば今改訂をしていすので、予算以外の様々な施策も総動員して、先生のおっしゃったような趣旨を実現するように、タイムラグがないようにしていきたいと思います。御指摘、ありがとうございました。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  田辺委員が先に挙げていらっしゃいます。田辺委員、よろしくお願いします。
【田辺委員】  社会ニーズを踏まえた事業内容だというところでは、私は非常にこれは社会のニーズというか、重要な事業だと思うんですね。重要な事業だと。日本の課題としては、大学教育はもう非常に特化しているので、イノベーションとか、リージョナル・リサーチをできる医療人材を育てるためには、ちょっと大学の中で特別にやらなきゃいけないのかなというのもありますし、もう一つ、イノベーションの観点からは、やっぱり医療の分野というのは大きなイノベーションが本当はどんどん出てくる、出てきているんですよね、世界的には。ただ、日本の中ではなかなか出てきてないというのもあって、こういう人材を育成するというのは非常に重要だと思うんですね。
そういうニーズの中で、私がちょっと思うのは、5年間の事業というふうに限定したのはいいんだろうかと。5年間の人材育成じゃなくて、5年、6年、7年、8年、今後10年、20年ぐらいやらなきゃいけないのに、これは5年で設定して、この間の人材育成の数だけを設定しているという、こういうアウトカムでいいんだろうかという問題意識がありまして、そもそもこの5年間で、それと、アウトカムとして今設定されているのは、この間で養成する人間ですよね。この5年間だけでいいんですかと。6年目以降、こういう人材は要らないんですかと。そこについて、どう考えているのかということですね。
【説明者】  ありがとうございます。不十分かもしれませんが、その6年後といいますか、終わった後の水平展開していくための指標とか、そういうのも今回新たに作りました。
事業そのものをどうしていくのかという問題はあると思いますけれども、大変有り難いお言葉でございますけれども、まずは5年間しっかりと新たに、今回の御指摘を踏まえて、5年後の横展開、水平展開、それから、そもそもの実施大学における拠点継続というものが図れるようなものを指標としてビルトインし、かつ、残りの1年半程度で各大学に十分に、事業実施についてはどのようにしていくのかという点をサーベイランスするように働き掛けをしてもらいたいというふうに考えてございます。
全体の5年間以上にどうかという点については、全体の事業評価の話でもありますので、一原課の課長が言うことではないと思いますけれども、私どもとしては、今そう考えているということでございます。
【田辺委員】  取りあえずは、だから、終了するということで考えているということですね。ただ、私が申し上げるのは、そもそもこれは拠点形成という事業名が付いています。人材育成事業じゃなくて拠点形成事業ですよね。ということは、スタートするときから、プログラムかコースを作って育成して、それが拠点として継続することが本来の目的だと思うんですよ。今回のアウトカムとかアウトプットは5年間でやることしか書いてないと。
今ようやく、今ようやくですよ、その終わった後のアウトカムを考えているというのは、それは本来、最初になければいけなかったんじゃないかと。日本で拠点が幾つ必要かとか考えた上で、じゃあ、10やろうと、10全部残ってもらおうとかいう意味では、人材育成、それは育成事業であって拠点形成事業になってなかったんじゃないかという気がするんですけど、その点についてはいかがですか。
【説明者】  その点はやはり非常にやっぱり反省すべき点があると思います。もうちょっと明確にメルクマールを立ててと。一応、申請、決して、もちろん先生の御指摘、全くないと思いますけれども、実際ばらまき的なものではなくて、例えば採択率もA、B併せて26%というふうに厳しくなってございます。
また、医学部というのは、先生も御案内のとおり、地域性とか歴史で、国立も実は50%程度で私学は40を占めると、半数を占めるというようなことがございますので、そういった多様な現状を踏まえて、例えば実際には総合大学も21、単科大学は4取っているとか、例えば地域バランスもある程度見ているというような、一定程度の配慮はしてございます。
ただ、それが先生の発展的な5年後の形態も含めてでは、やはり十分事業実施を、さらに、中間評価を経ていますけれども、した上で、ありようについてはいろんな可能性を、今言いました、排除せずに考えてまいりたいと。
【田辺委員】  それと、私は、逆に、これで5年間やって終わった後に、拠点が維持できなかったら、それこそ無駄遣いになるんじゃないかと思うんですね。その間だけの一時的なことで、本来日本として、そういう人材をどうしていくかという中では、この5年間って私は一種の呼び水というか立ち上げ期で、それが本来の大学の医学部、あるいは、医学関連の教育プログラムの中にきちんとビルトインされる、まさにその組み込まれるということを、是非今後、それがまさにこれからやらなきゃいけないというか、今まさにやられていることだと思うんですけれども。そういうのをやらないと、本当にこれ、無駄になってしまうと。
それと、単に波及という意味じゃなくて、私は波及も重要ですけれども、本当に各大学の医学も、例えば総合医療医を育成するために、リサーチマインドを持ったと、物すごく重要だと思うんですよね。そういう教育プログラムに本当に変わっていくのかどうか。それと、イノベーション人材ですね。これも本当に医学分野でできるかどうかということで、私は今現在、いろんな取組をされていて、この前、見学させてもらったもので、非常に面白い取組もしていると思うんですね。人材も育っていると。
ただ、本当にこれが一時的にならないように、是非まさにアウトカムをきちんと設定して、今後ちょっと強力に何か推進するというか、是非拠点形成という観点からお取り組みいただきたいと思います。
【説明者】  ありがとうございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】  先ほどの亀井さんの話の中で、厚労省が目指している一つとして、地域偏在の話が出て、もちろんこの事業がすぐに地域偏在の解消のためだというものではないということは認識しているんですが、ただ、そうはいっても、そういう大きな方針の中の一つの手段として、今回のこの人材育成がある。そういう意味で、この人材育成が、直接的ではないにしろ、何らかの形で、最終的にはそういう地域偏在の解消につながるというところのロジックをもう少し理解をしたいと思っているんですが。
多分、テーマBの総合診療医の育成というのは、育成のカリキュラムの中でいかにこの地域の中でやっていくか、そのためには、単なる医療の知識だけではなくて、経営の知識だったりとか、福祉の知識も必要だということなのかなと私は解釈をしているんですが、逆に、テーマAの方で、この間、東大を見せていただいた際には、医師ということではなくて、幅広い意味での医療人材、ある意味では、あそこから医師にならなくてもいいんだという大きな方針もあったかと思うんですが、そこについて、どういうふうに最終的につながっていくのかというのを教えていただけますでしょうか。
【説明者】  最高位な意味における臨床という意味で、ウイングが相当広がっているんだなというのは、私も、先生と一緒に東大を拝見して思いました。
そういう意味で、テーマBに関しては、やはり飽くまでも地域医療を担う人材というものを過不足なく輩出していくと、一定の質を持って輩出していくと。そのときには、やはりこれも先ほども言ったように、この事業だけでそれぞれの地域ごとの特性に応じてプログラムを組む、筑波大学の例を示してございますけれども、地域で学ばせるということをさせるというだけではなくて、例えばその下支えを今やってございますけれども、デファクトスタンダードになっているその医学部のモデル・コア・カリキュラムというものを作ったりして、下支えをしていくというのがまずあります。
もう一つのテーマAの方は、もうまさに先生がおっしゃったとおりでございまして、これはもう多々、いろんな形でもう輩出されていけばいいと。ブレークスルー、医学部を出た人が、ノンメディカルというのは医学部を出た人がまさにいろんな形で医学の新しい機器開発とか新薬開発の指導的立場を担っていくという、そういう多様な医療人のキャリアパスといいますか、そういうものを目指していくという、診療、臨床分野においてですね。そういうものを一つ目指しているという形で、前回の亀井先生の御指摘を踏まえて、示している、12ページの、14ページの全体像の中では、そういうふうに位置付けをしてございます。
もちろん、密接に、特に地域医療体制については厚労省とやっていますけれども、更に連携をしてやっていきたいというふうに考えてございます。
【伊藤委員】  その意味では、先ほどの田辺先生のお話につながってくるんですが、やっぱりきっとテーマAとテーマBにおけるアウトカムというのはかなり変わってくるんじゃないかなと。
もちろん、最終的なゴールとしてはこの医療人材の養成なんだというところはあるかもしれないけれども、そこに行くための直接的なアウトカムとしては、多分テーマAの方は、この間、少しお話を伺っていて、じゃあ、その後、どういうところに行く、行っているのか、それは医師免許を持っている人がどういうところに行って、どういう活躍をしているのか、逆に、インパクトファクターの論文をどれだけ出しているのかというようなものになってくるだろうし、テーマBの方は、今お話のあったような地域の人材としてどれだけ進んで、もちろんこれはまだ今始まったばっかりだから、先ほどの5年終わった後どうなっているかというところが最終的なアウトカムではないのかなと、今回新たに出していただいたところでは、ある意味では、中間アウトカムなのかなというふうに感じるんです。
【説明者】  それは先生がおっしゃったとおりだと思います。それは、どちらかといえば、スタートラインに近いアウトカム仕様になっておりますので、いわばパラダイム変換という形で、もうちょっと長くタイムスパンを取って考えていくということが許されるんであれば、先生がおっしゃったように、まさにそういった指標は東大でもキャリアパスの中に入れております。
統計的な、国の、あれでは若干有意じゃないと思いますが、全体、例えば10大学にどれだけいるのかとかいうのを、もう少しロングスパンを考えた中で考えていくということは重要かなと思いますので、本事業がどこまでやっていくのかというのはあると思いますけれども、今回の御示唆を踏まえて、さらに、目標とかについては検討を深めたいというふうに考えてございます。ありがとうございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入を併せてお願いしたいと思います。記入がお済みの方は挙手いただければ、事務局の方でコメントシートを回収いたします。
それでは、有川委員、お願いします。
【有川委員】  これまでの委員、各委員の意見とかなり関連するんですけれども、この5年間でこの事業をやめるというのと、それから、事前勉強会のときにも伺ったんですけれども、予算額をこうやって毎年度ずっと減らしてくると。このこれらいずれも当初の計画どおりといいますか、ロードマップどおりなんでしょうか。
【説明者】  先生方の御議論で明らかになった発展的な課題というものを除けば、大学が今のところ考えてきた要請数なりコース数は達成しているというふうには評価してございます。ただ、それが十分か、また、5年を超えたロングスパンでどうかというのについては、3次審査、今回の御議論を踏まえて、更に検討を深めたい、考えてまいりたいというふうに考えてございます。
【有川委員】  一応当初の計画は5年間の事業ということで、かつ、予算額もこういう形で落としていくという、そういう計画だと。
【説明者】  はい。
【有川委員】  そうすると、金額を落としていく理由については、事前勉強会のときには、あるいは先ほどもちょっとお話がありましたけれども、当初は立ち上げの必要な設備費の経費が多いと。それ以降は、その経費が掛からないので、予算が落ちていくという、そういう認識でよろしいんでしょうか。
【説明者】  はい。
【有川委員】  そうすると、5年たった後のこの事業の持続性という問題が繰り返し言われていますけれども、当初、初期投資の設備というのは、5年の事業で全部廃棄するわけではないですよね。
【説明者】  だと思いますね。
【有川委員】  それをどういうふうに有効活用するというふうに考えておられますか。
【説明者】  失礼します。それは、先ほど申し上げましたとおり、当初の計画を立てる段階から継続するということで大学の方も申請いただいておりますので、そのそれぞれ購入された設備については、引き続き、それぞれの大学で活用されるという前提で考えているところでございます。
【有川委員】  それを継続して使っていく、あるいは、この事業をそれぞれ持続してもらうということは、制度的にどういうふうなフォローアップの設計になっていて、それを誰がモニタリングするんでしょうか。
【説明者】  そこは更に精査する必要がある。少なくとも事業終了年度までには、どういう形で計画をするかという点については、実施大学に要請をして、専門家の委員会がありますので、そこで御意見いただいて確認をまずしたいと。それ以降については、いろんな工夫があると思いますので、随時考えてまいりたいと考えてございます。
【有川委員】  すると、それはこれから考えるという。
【説明者】  事業終了年度に、どういう形で公募の段階のものを具体化していくのかはもともと考えると思っていましたけれども、それがどういう形、数年たってどういうふうにしていくのかとかという、そのPDCAサイクルをどう回すのかという点では、先生の新たな御指摘だと思いますので、そこは考えてまいりたいと考えてございます。
【有川委員】  恐らく持続性はほかの委員も同様にお話をされていますけれども、テーマA、テーマB共通の課題だと思いますので、そこのところは是非検討して、早めの検討が必要だと思います。
【説明者】  なお付言すれば、テーマBに関しては、今申し上げたとおり、モデルをこれはカリキュラムの形で事実上ビルトインされてきますので、相当程度、いわば指導要領的なものでございます。こう言うと、医学の先生に怒られますけれども、持続性という意味では、明文化されるいわばデファクトスタンダードになりますので、テーマAをどうしていくのかという点がやはり、田辺先生の方からもあったということでございますので、考えてまいりたいと思います。
【有川委員】  あと、もう一点。先ほど、関連資料で説明が、補足資料で説明がありましたけれども、水平展開について、シンポジウムやセミナー等への他大学の参加だけで、その水平展開の効果があったというふうに考えるのは、どういうふうな理由からでしょうか。
【説明者】  言葉が足らず、申し訳ございません。効果があったということではなくて、これはいわばポテンシャルとして、こういった大学が興味を示しているということだと思います、最低限の解釈としては。ですので、それは先ほど申し上げましたとおり、29年度までの間に、各実施大学さんを通じて、プログラムを開設するぐらいのやる気のあるところがどれぐらいあるのか、あとは、若しくは、連携がどれぐらいあるのかという点は精査をしていかなければいけない。時間がなかったものでございますので、そこまでできず、申し訳ございませんでしたが、それは十分精査をして考えてまいりたいと考えてございます。
【有川委員】  分かりました。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  関連して。
【亀井委員】  関連です。まさに実は同じことを聞こうと思ったんで。25ページのところで、さはさりながら、もう少し詳しく、今、文科省としてどうお考えなのかは是非お伺いをさせていただきたいんですが、かなり実は議論は煮詰まってきているような気はしていて、大体その目指すべき方向性はほぼ収れんしてきているのかなと思うんですが、でも、やっぱりテーマA、ちゃんと続くのかなと心配なんですよね、特に。テーマAについて言うと、これ、一つ、例えばもちろん立ち上げに掛かる費用も具体的にはあるんですけれども、どちらかというと、これはフローに近いお金が多いのかなと。
例えばテーマAにある、25ページのテーマAにある医薬品・医療機器等の開発を担う人材育成の教育プログラム・コースの構築に当該領域における専門知識を備えた人員雇用等に関する経費・謝金、これは立ち上げに掛かる人員なのかなとは思いますけど、でも、立ち上げだけじゃないですよね。新たにここで雇用されてプログラムがあります。プログラムが切れたから、はい、あなた、おしまいというのだと、人材育成はできないわけですよね。
一つ考えられるのは、例えば、じゃあ、これを民間が、じゃあ、これはめどが立つから、少しこれは研究開発としても流れができてきているんで、踏襲してくれるというのが、それはすみません、こっち側、行政側サイドにいる思いとしてはいいシナリオだと思うんですが、本当に出してくれるかというのはこれはなかなか分からないわけでありまして、そこら辺のところをより具体的にどうお考えなのかというところをもう一段踏み込んでちょっとお話をしていただけると、有り難いなと思っています。
【説明者】  御指摘、ありがとうございます。先生の御質問のおかげで、新たにTRの指標を入れたというのは、やはり一番お金が取れないところで、人を要請する初期段階のお金だと思うんですね。研究は取れていると。ということは、やはりその部分は行政が支援をして、そのときに、じゃあ、400件程度ずつ新規が取れているということは、それを継続する、伸ばしていくことによって、持続性という意味での外部資金を獲得していくと。そういうメカニズムをやはり取るべきだろうと、東大を見て思ったんですけど、できるところだけではないと。
あと、もう一つ、これは大学だけに多分横展開していくんじゃない。地方公共団体とか、外国の機関なんかも当然あるわけですので、そういうものもより精査をしていくことによって、これもパートナー、プラス、外部資金の枠の人員を、といいますか、それを次入れていくと。ですので、そういう意味では、必要最小限の初期の段階の教育、人材養成のプログラムということでお金を投資して、あとはなるべく自立をしていくと。
それで足らざる点が何かという点は、プライオリティの精査に各先生方の御意見を踏まえて十分注視をして、全体が伸びていくようにするということを考えていきたいと。先生の御指摘を見て、改めて思ってございます。
【亀井委員】  そういう意味では、本当にこれは29年で切るというのが、最初のシナリオどおりでいいんですかね。というのは、これは研究開発環境によっても変わってくるし、まさに今おっしゃったとおり、研究になってくれば、いろんなお金の取り方、ありますよ、大学としても。あるいは、お金の集め方もありますよ。
だけれども、その手前の段階でいったら、やっぱりまさに教育にお金が掛けられない状態なわけで、研究にシフトすれば、ある程度、じゃあ、これ、1人幾らねという形で充てられるわけですけれども、そこの教育の部分のところがちゃんとこれ、要は離陸できる段階もないのに、滑走路をここでばさっと切る形が本当に適正なのかどうかというのが、率直に今、お話を伺っていて、何ていうかな、滑走路をここで切ってしまっていいのかな、29年で切れますというふうなお話が当初方針どおりという話なんですが、それで本当にいいのかなというのはちょっと見えない、その妥当性が。そこはいかがですかね。
【説明者】  飽くまで当初ということで申し上げておりますので、やはり最終的な評価も踏まえて、今回の御議論を踏まえて、本来的な当初の目的というものを大事に考えたときにどうなのかという点については、十分考えてまいりたいと。先生の御示唆を踏まえて、十分考えてまいりたいというふうに考えてございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  よろしいでしょうか。それでは、中室委員、お待たせしました。
【中室委員】  ありがとうございます。私からは1点ですけれども、やっぱりこの効果をどういうふうに測定しているのかということが大変気になるところでございまして、年々、その予算は減っているということではあるんですけれども、とはいえ、1年で多分何かしらの中間評価だったりとか、途中経過を見られているのかなと思うんですけれども、そのときに、各大学のその成果をどのように測っておられるのかということと、もう一つは、その中に横展開していくための戦略みたいなものが含まれているのかどうかということをちょっとまずお聞かせを頂けますでしょうか。
【説明者】  これはもう御説明、繰り返しになってしまいますが、飽くまで今までは養成数なりプログラム数ということの客観的指標しかございませんでした。それを基に中間評価もしてございまして、あとは、定性的に各大学それぞれのプログラムがそれぞれの計画どおりやっているかどうかという点について評価をし、それを総論的にまとめてございますので、今後、最終評価に向けては、中室先生がおっしゃったようなより、きょうお示ししている部分が不十分な点はあると思いますけれども、新たな成果指標も踏まえて、評価をしてまいりたいというふうに考えてございます。
【中室委員】  恐らく、この16ページのところで出していただいたものが、そのアウトカムの推移として出ていて、これは確かにその養成人数だったりプログラム数の目標というのが実績が目標を上回っているので、一見効果があったかのように見えるわけですけれども、実際には、この拠点に採択されなかった大学の方でどうなっているかとか、この予算が執行されなかった場合にどうなったかということが見えないので、やはりこれで効果があったというふうに言うのは若干やっぱりオーバーステートなのかなというふうに思うので、これが採択されなかった拠点がどうなっているかということはちょっと見てみたいと思います。
すなわち、例えばなんですが、メディカル・イノベーション推進人材養成プログラムが非常に重要であるということが世の中で認識されているのであれば、こういう補助金がなかったとしても、そういう動きがよその大学で起こっている、この拠点に採択されなかったよその大学で起こっているかもしれず、もしそうなのであれば、どうしてあえて運営費交付金以上の追加的な財政措置を医学部に限って行わなければならないのかということになってしまうと思いますので、これを行わなかった大学で何が起こっているかということもやはりその効果の測定をやっていく上では必要な情報かなというふうに私は感じました。
【説明者】  ありがとうございます。工夫したいと思いますが、ただ、拠点でございますので、特にAは、全大学がするものかという問題がまずあるかなというのが個人的、素朴な考えでございます。
一方で、ただ、連携をしていこうとかしている大学も含めて31もありますので、そういうところでどの程度の実施状況なのかという点については、最終年度までにいろんな工夫をして情報を得たいというふうに思います。御指摘、ありがとうございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  関連でなんですけれども、何というかな、ちょっと今のアウトカムの出し方、もちろんいろんなこれまでの事前のやり取りも含めて、いろんな形で出していただいたというのは、あるべき方向性には向かっているのかなという感じはするんですが、まだやっぱりちょっとやや拙速なところがあるような気はしていて、きちんとやっぱりロジックモデルを詰めるところから、このアウトカム、なぜこのアウトカムなのかというところは精査していただくプロセスというのは1回経た方がいいんじゃないかなという気がしています。
つまり、ややもすると、ちょっと今回の出てきたのは、当初出てきたのに比べると、それはもう大分の改善で、逆にこの方向で事業を見直していただければ、それはそれで大変いい方向に行くんだろうなと率直に思っているんですけれども、そういう中で、なぜこうなるのかと、今、中室先生からもお話がありましたけれども、何ていうのかな、やらなかったところとやったところで何が違うのかというところも含めて、どういうふうにたどっていくのかと、これ、ロジックとしてあるはずなんですよね。
アウトカムというのは思い付きでぽんと飛ぶわけではないと、これはお釈迦様に説法ですけれども、このロジックモデルが今の段階だとちょっと見えないものが幾つかあるなというふうに。ある種急ごしらえでやっていただいたというところはあるんだと思うんですけれども、そこのロジックモデルをまず明示して、それがひいては結果的にはこの後どうしていくのか。お金がなくてもやっていける体制を、確固たるものにするためにも必要なことなんじゃないかなと思います。是非そのプロセスは取っていただければと思います。
【説明者】  ありがとうございます。わざわざ事業終了の直前の事業にもかかわらず、御審議いただいたという点、まさに先生の最後の御指摘に尽きると思いますので、十分精査をして、専門家の先生とまず諮りまして、考えてまいりたいと思います。ありがとうございます。
【亀井委員】  お願いします。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  議論も進んでまいりましたが、まだコメントシートへの記入をされていない外部有識者におかれましては、コメントシートへの記入をお願いいたします。事務局はコメントシートの回収をお願いします。
引き続き、外部有識者の方におかれましては、御議論いただければと存じます。いかがでしょうか。田辺委員、どうぞ。
【田辺委員】  今後のまさにイノベーション人材の育成拠点ということなんですけれども、今回対象にしたところは予算的なものもあって10大学ですかね、幾つか連携してと。あと、例えば北海道大学とか京都大学とか、そういったところはなくていいのかというのがあると思うんですけど、そういう、こういう今回お金を、例えば京都大学だとiPS細胞とかで現にやっているということで、こういう、この事業じゃなくて、ほかの事業でお金が入っているからいいのかとか、結果的に、だから、こういう人材の拠点というのは本当に日本でどのぐらいあればいいのかとか、そういう議論等を関連付け、これはこれで、この事業としてやっているんでしょうけど、つまり必要なものという、目指すべきものというのは議論されているのか。
【説明者】  タコつぼにならずに、例えば研究拠点というのが一方であるとすれば、それとどう融合していくのかというのはまず大事な点でございます。これは我が局、課だけではできませんので、関係局なり、あと、全体の総括をする内閣府内で、今後もいろんな改訂等も行われると思いますので、その都度、先生の御指摘も十分に念頭に置きながら、考えていかなきゃいけないと思ってございます。今直ちに何拠点だとかという提示する数字がない点はお許しを賜ればと思いますけれども、以上、思っているところでございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ほかによろしいでしょうか。有川委員、どうぞ。
【有川委員】  細かい話で恐縮なんですけれども、やはり国民の方がこのシートを見たとき、金額がこう落ちてきて、これはやはり事業としての必要性とか、そういったものが査定されたというふうな、そういう誤解を与えないように、先ほど言われたように、これはロードマップどおりの進行状況で、金額が減ってきているのはこれでいいのだというお話ですので、是非この主な増減理由ですか、シートの2ページ目の主な増減理由に、これがロードマップどおりで、これで事業はきちんと遂行される、減ってきている理由はこういう理由だということを明確に書いていただきたいです。
【説明者】  御趣旨を踏まえて、工夫をしたいと考えてございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】  テーマBの方で一つだけ。こちらは総合診療医の養成ではありますが、このプログラムを受けずに、総合診療医の人材育成コースをやっている大学というのは実際にはあるんでしょうか。
【説明者】  数は把握してございませんが、もちろんあると思います。応募もたくさんございましたので、残念ながら選に漏れてやっているところはあると思いますし、いずれにしろ、専門医制における総合診療医じゃなくて、先生がおっしゃった総合診療的なプログラムというのはもう各大学、今ちまなこになってやっているというのが実情でございますので、それを更に加速化させていきたいというのがこのプログラムの狙いだということです。
そこはまだ、ほぼ、各大学で全部やっているといっても過言ではないと思いますし、最近の動静とすれば、東京医科大学がまずそのための大学でございますので、そういうことであると思います。
【伊藤委員】  まさに私の知っている大学の中でも、このプログラムではなく、3年ぐらい前からやっているというようなところがあるんですが、きっと国費を投入してプログラムを開発している人材育成だから、こういう付加価値が付けられているんだというところの違いは、まだ、これ、2年目ですから、今すぐには難しいかもしれないですけど、今後はやはりこういったプログラムだから、より、ここは総合診療医になれば一番いいのか、まさに地域に対して貢献できる医療人材というのがちょっと難しいところがあると思うんですが、というようなことが、きっと少なくとも5年後の中での一つの成果として見えてくると、やはりここでやったプログラムはほかの横展開できるんだと、各地域の医大についてもできるんだということが言えるんではないかなというふうに感じます。
【説明者】  おっしゃるとおりだと思います。例えば地域定着がどうだったとか、卒後の臨床研修の最初の任地が地元だったとかというような、そういう論点だと思います。そういうところは細かく指標で取っていくということが大事な点だと思いますので、先生の御指摘を踏まえて工夫をしたいと考えてございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございます。
コメントシートの方の回収が終わりましたが、取りまとめに若干お時間を頂きたいと思います。その間、外部有識者におかれましては、引き続き御議論を続けていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。よろしいですか。ありがとうございます。
それでは、コメントシートの集計が取りまとまりましたので、取りまとめ役の松浦委員より、評価結果及び取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【松浦委員】  委員の皆様、熱心な御討論、ありがとうございました。
おおむねほとんどの委員は同様のコメント、同様の評価でございます。このまんまでよろしいという意見はさすがにございませんで、一部やはりもう少し努力をしていただきたい、工夫をしていただきたいというような評価でございまして、一部見直しが5票、ただ、抜本的な見直しが1票ということでございます。
主なコメントでございますが、皆様に共通しているのは、サステナビリティの保証をほかに行うかということでございまして、やはり5年で打ち切るというのは短いのではないかというのが大勢です。
具体的に申しますと、例えば新薬の開発には10年、最低掛かりますし、PMDAを通す、つまり基準、厚労省の基準を通すのに最低でも6年掛かる。また、機器は初期導入だからお金が掛かる、その後は掛からないとおっしゃいましたけど、2期目のフェーズは減価償却7年ですので、じゃあ、その後どうするのかというようなことがございまして、皆様はその辺を多分御不安に思われているかと思います。
また、評価の尺度に関しても御意見がございまして、結局これ、最初、ブートアップ資金として配分するわけですけれども、その後は民間から資金を調達できるかどうかということに掛かってくると。そうしますと、このアウトカム評価というものをより分かりやすく客観的にセットすることによって、外から、外部から資金を調達できるような道が開けるのではないかというようなコメントでございます。
また、プロジェクトのBの方に関しましては、これは社保障の議論がかなり混乱しておりまして、どうなるかまだ分からない状況でもあるということもあり、先読みをしつつ、適正な対応を取っていただきたいというような見解にまとめられるのかなと思います。
基本的には、最終的にまとめますと、ロジスティクモデルをもう少しきちんと明示をし、先読みをし、それでサステナビリティが保証できるようなモデリング及びフォローアップの方法にいて御検討いただきたいというまとめ方をさせていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
【亀井委員】  ちょっと1点。
【松浦委員】  どうぞ。
【亀井委員】  決して歳出をこのまま続けてくださいということをオーソライズしたつもりは私はありません。ですから、制度設計でできることは私は多々あると思いますし、それがロジックモデルの精査につながるんだと思います。
あと、もう一つは、サステナビリティの保証は私は、保証は国としてできるものでは決してないんだと思いますので、そこはちょっとすみません、言葉遣いの問題かもしれないんですが、その2点についてはちょっと少し申し添えさせて、もしかすると、ほかの先生はそういうふうにおっしゃっているかもしれないんですが、少なくとも私としては、歳出を、じゃあ、このまま5年後も続けてくださいということではなくて、現行の枠組みの下で、多分そういうふうに原課もお考えだと思うんですけれども、そういう中で努力はまだできる余地があるんではないかということを申し上げていると、こういう理解でございます。
【松浦委員】  分かりました。じゃあ、今の御意見、結局、基本的にはサステナビリティ、永遠に補助が必要ということではないということで、より効率的にこのサステナビリティをいかに保証するかということについて、もう少し明示的にロジスティクスを、あるいは、評価基準をセットしていただきたい。
【亀井委員】  ロジック、ロジックです。
【松浦委員】  ロジックですね、そういうことを御検討いただきたいということでまとめさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、先端、失礼しました、以上をもちまして、未来医療研究人材養成拠点形成事業の公開プロセスについては終了させていただきます。
次の、先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラムについては、11時40分開始といたしますので、よろしくお願いいたします。10分間の休憩といたします。
( 休憩 )
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、時間でございますので、3こま目を始めさせていただきます。
このこまにつきましては、文部科学省から、豊田大臣政務官が視察をされておりますので、御紹介いたします。
これからの時間帯は、先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラムについて御議論を賜りたいと存じます。
初めに、事業概要の説明をさせていただきます。事業担当課は、5分以内で簡潔に説明をお願いします。
【説明者】  産業連携・地域支援課長の坂本でございます。本日はよろしくお願いいたします。
それでは、早速、お手元の資料で説明させていただきます。
まず、政策・施策・事業整理票でございますけれども、本事業に関わる政策目標、それから、施策目標についてでございます。政策目標につきましては、科学技術と社会との調和に配慮し、国民、地域、国際等の視点に立ち、科学技術・学術政策を総合的に推進するというものでございます。
次に、施策目標でございますが、イノベーション創出向けた産業連携の推進及び地域科学技術の振興ということで、特に達成目標1のところでございますが、科学技術イノベーション創出を行う環境の整備に向けて、大学・公的研究機関、産業界、地方公共団体等が広く連携する産学官連携活動を推進するということでございます。
そして、次、下でございますが、事業の目的でございます。長期的な観点から、イノベーションの創出のために特に重要と考えられる先端的な融合領域において、産学の協働により、次世代を担う研究者・技術者の育成を図りつつ、将来的な実用化を見据えた基礎的段階からの研究開発を行う拠点を形成するということが目的でございます。
これに対応いたしまして、アウトカムとしましては、成果目標ということで、これはレビューの過程で先生方からコメントを頂きまして、一部分かりやすく修正をさせていただいておりますけれども、中間評価及び事後評価において、世界的な拠点を形成した割合、これはA以上の評価というふうに該当、相当いたしますけれども、それが50%以上という成果目標を掲げさせていただいておるところでございます。
さらに、この事業概要、あるいは、評価指標について詳しい説明を補足説明資料を用いて行いたいと思います。12ページ、下にページ数が付いておりますが、12ページをごらんいただければと思います。12ページの下段のところに事業概要を書いておりますが、本事業については三つポイントがございます。
まず一つは、参加企業とのマッチングによって、新産業の創出などの大きな社会的経済的インパクトのある成果を創出する拠点を形成すると、それを支援するということでございます。2点目のポイントは、実施期間は原則10年でございますけれども、最初の3年の後、厳しい再審査、絞り込みを行っているという点でございます。3点目でございますけれども、国費の投入をここに規模を書いておりますけれども、パートナー企業からも国費と同等以上の資源投入を求めると、企業もリスクを取って研究開発、実用化に深くコミットメントしていただくということでございます。
次に、評価指標でございます。15ページをごらんいただければと思います。具体的な評価項目、及び、評価基準をこちらに掲げております。まず、当然この目標、計画、所期の計画に沿って、目標が達成されているかどうかということがまず一つ目の評価になるわけですけれども、さらには、その拠点形成ということで、その成果的な拠点になるようなシステム改革、あるいは、体制構築がしっかり行われているかと。そのシステム改革面では組織、あるいは、学問領域の壁を壊すような新たな仕掛けを作っているか。あるいは、実用化を迅速に行うような仕掛けを、知財の扱いを含めて、しっかりと作っているか。さらには、その仕掛けを実際に動かすような高度なマネジメント体制を作っているかというところが評価のポイントでございます。さらに、そのイノベーション創出という点では、やはり成果の内容、成果がもたらすインパクトの大きさというものを評価をしているところでございます。
さらに、次のページをごらんいただきますと、人材育成ということで、産学双方で求められる人材を育成する仕組みもきちっと作っているかということで、こういった形で、世界的な拠点の形成というものを多様な視点に基づきまして多角的に評価をしているというところでございます。
こういった評価に基づく絞り込みの状況を19ページで御説明をさせていただきたいと思います。19ページをごらんください。まず、この申請は合計93件ございました。これを採択するに当たって、まず、第1段階で21件に絞り込んだと。そして、3年間、拠点をまず運営をして、更に再審査を行いまして、12件まで厳しく絞り込みを行っているということでございます。個別拠点の評価、あるいは、その結果の反映状況につきましては、20ページから23ページについて、個別に表に整理しておりますので、ごらんいただければと思います。
次に、25ページをごらんいただければというふうに思います。25ページは、パートナー企業による経費負担の状況を示しております。国からの支援額と同等以上の企業負担を求める制度設計になっておるわけでございますけれども、これまでのところの累計としては、右のグラフにございますけれども、この紺の棒グラフが国費、間接的な経費は除きますが、この国費の負担でございます。薄い方が民間企業の負担でございますけれども、国費が423億円に対して、民間企業は582億円、トータル、全体の総計はそういうことになっておるところでございます。
次に……、個別拠点のデータ、個別に年度が進むにつれて、どういう経費負担になっているかというのを、26ページから30ページにデータを整理しておりますので、ごらんいただければというふうに思います。
次でございますが、31ページをごらんいただければと思います。成果の論文化、あるいは、特許化も着実に進んでいる状況をこちらに示させていただいております。この棒グラフは、12拠点全体の論文数、あるいは、特許出願件数を示して、直近3年間ですが、示しておりますけれども、これも各拠点のデータ10年分を、32ページから35ページまで示しているところでございます。ごらんいただければと思います。
最後に、37ページでございますけれども、具体的な成果をこちらに書かせていただいております。例えば、北海道大学のケースでございますと、塩野義製薬さん等と組みまして、飲み薬としては世界初の1回投与の抗インフルエンザ薬の開発を進められております。これは既に治験まで進んでおりまして、フェーズ2からフェーズ3に間もなく移行するということを聞いております。あるいは、この右側、東京大学の例、大幅な省エネを実現するレーザー技術というようなもの、こういったものを実用化、既にされておりまして、こういったものが次々と今出てきている状況でございます。
さらに、最後でございます、申し訳ございません、39ページでございますけれども、こういった研究成果を出すのに加えて、人材育成、あるいは、マネジメント面でも、39ページに書かれてあるような形で、様々な新しい仕掛け、仕組みを導入をするということの支援をさせていただいているところでございます。
私からの説明は以上です。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
それでは、論点について説明をさせていただきたいと思いますが、その前に、先ほど、行政改革担当の河野大臣、御視察に、出席をされておりますので、御紹介をさせていただきます。
それでは、資料の3ページをごらん頂きたいと思います。論点等説明シートでございます。まず、一つ目として、各拠点をどのように評価しているのかという点、二つ目としまして、企業による負担が適切なものとなっているかという点、三つ目としまして、研究開発の成果が十分に上げられているのかという点、四つ目といたしまして、アウトカム・アウトプットは適切に設定されているか。以上4点について、御議論を願いたいと思います。
それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。説明者は、外部有識者からの御質問に対し、簡潔明瞭に回答願います。よろしくお願いいたします。
亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  アウトカムに関連してお伺いさせていただきたいんですが、アウトカムのところ、まず、5ページ目を読むと、定量的な成果目標としては、毎年度の中間評価及び事後評価において、世界的な拠点を形成した割合、これは括弧で、イコールA以上の評価を受けた拠点の割合が毎年度50%以上というふうに書いてありますと。
これを具体的にということで、少し今の御説明に沿って勉強させていただくと、これは事後はちょっと今は多分最終的な評価だと思いますので、今は中間評価の段階のことをやっていらっしゃるんだという理解だとすると、17ページにあるようなことが行われているという、17ページ、18ページにあるようなことについて、専門家が見ているという、こういう、まず、この事実で、これは毎年行っているという理解でよろしいでしょうか。
【説明者】  ありがとうございます。今、中間評価が、今まさに御指摘がありましたように、これまで行われてきたことでございます。中間評価は3年目、7年目と行ってきておりまして、これはその当該年度を迎えた拠点について行っていると。ただ、それが3年間、採択がばらついておりますので、ずっと各年度、該当年度を向かえているところが次々出てきているという状況でございます。
【亀井委員】  なるほど。だとすると、これは全部で12あるわけですよね。
【説明者】  はい。
【亀井委員】  12あるものが徐々に行われていって、その毎年度の成果指標というのは、その当該年度の中間評価、あるいは、事後評価はまだ起きてないですよね。
【説明者】  これからです。今年度です。
【亀井委員】  中間評価を受けた事業について、受けた事業が例えば25年度であれば5事業あって、このうちの3事業がA以上でしたと、こういう理解。それから、26年度については2事業が中間評価を受ける3年目、7年目であって、27年度については1事業であったのでと、こういう形ですね。
【説明者】  はい。
【亀井委員】  逆に言うと、この評価以外の評価というのはないんですかね、アウトカムとしては。
つまり、多分ロジックモデルでいけば、幾つかもう少し何かあってもいいような気がするんですけれども、もちろんこれは最終、今の現時点の中間評価としてはあっていいと思うんですけれども、例えば、そうすると、当該年度にないものについては抜けてしまったりだとか、もちろん研究開発ですから、毎年評価してどうするんだという話もあるんですが、一方で、見ていると、中間評価の中では進捗度を見ていたりだとか、あるいは、システム改革だとか体制を見ていたりもしているので、どちらかというと、これ、経過指標なのかなというふうにも見られるところがあって。
ここら辺の体制を、何をアウトカムにするのかという中で、いろいろと事前の御議論も含めてあった中で、こういう形で整理をしていただいたんだと思うんですけれども、何というんでしょう、ほかにどういったものがアウトカムとして考え得るのか、ちょっとそこを是非御意見として頂きたいなと思うんですが、いかがでございましょうか。
【説明者】  今回、資料として25ページ目以降で、企業の負担総額、それで、個別の負担額、コミットメントと。これは先ほどの中間評価指標、今後の終了評価指標でも出てきますので、まず、アウトカム、企業がどれぐらいコミットをしたかという、そのコミットメント額というのが定量的な指標にはなっていくかと思います。
【亀井委員】  なるほど。
【説明者】  かつ、その先に、31ページ目に、論文数と特許出願件数とありますので、これも今、個別に分析をして、各拠点の定量的に見ておりますので、ここは参考指標とはなると思っています。
ただ、一方で、今回も、必ずしも量が多いところがいい……。
【亀井委員】  そうですよね。
【説明者】  おっしゃるおりです。ここを多角的にどう評価するかというのは、やはりしっかり終了評価の外部有識者の方に見ていただくことにはなると思いますし、今後こういう事業をやるときの一つどういう指標をしていくのかというのは非常に重要なポイントになっていくかと考えております。
【亀井委員】  まさに、これ、研究開発のマネジメントにつながる話なんだと思いますので、そこは是非、文科省としての知見をためていただきたいなとは思っているんですけれども、今お話があったとおり、これはアウトカムというよりはアウトプットですよね、多分。企業がどのぐらいお金を出していますかと。
ただ、これはお金を出してくれるということは、先々の見込みの確度が、研究開発としての確度が高まっているし、将来市場に出す可能性の期待が大きいし、成功確率も高くなってきているので、そういう意味ではコミットメントが増えてきているというのは、多分その先行指標として見ていいんだと思いますし、論文も少ないよりは多い方がいいんだけれども、ただ大事なのは質ですから、そこも多分、1回出しておいて、多分後で評価するという多分ダブルチェックみたいなことが必要なんだと思うんですが、そこは是非きちんと見ていただければなと思います。
取りあえずのところで一旦これでやめますけれども、最後に1点だけ質問なんですが、そういう中で、その50%以上を目標にしているというのが、これ、やや分かりにくいのかなと思います。別に私は、研究開発ですから、全てが全て100%である必要はないと思っていて、50%の妥当性というのはこれは決めの問題なのかもしれないんですけれども、ここら辺のお考えについて、どうして50%にしたのかというところについて、ちょっと御説明いただけますでしょうか。
【説明者】  御指摘はおっしゃるとおりです。まさに政策判断で50%というのは最終的にはもう半分以上が世界的な拠点、A評価以上を作るというふうにしている以上がやはり実はございません。研究開発ですと、創薬のように、2万分の1、3万分の1の成功確率のケースもございますし、今回、多様な有望領域ということでやっていたので半分というふうに設定しておりますが、やはりここも今後根拠なり、根拠というのは何をもって根拠とするのか難しいんですけれども、今回は半分とさせていますが、やはりいろんな考え方があると思っておりますので、そういうのを多角的に検討していく必要があるのかなというふうに考えてございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員。
【亀井委員】  最後に1点。これは意見として申し上げますが、これ、研究開発のマネジメントの立場から立つと、Sがたくさんあるからいいのはそれはもちろんのことなんですけれども、例えばAがSになったとか、BがAになったとか、そういう形で、改善の度合いを見ていくというのも一つのマネジメントの方向性なんだと思うんですね。
そこの変化幅を、文科省や、あるいは、専門家集団である評価委員会が促していくということが非常に大事だと思っていて、そこが今後の成果指標としては取り上げていくべきものなのではないかなと思いますし、それだとすると、それが3年ごとでいいのか、3年、7年という切り方がいいのか、そこも含めて、何か急にそんな評価を加えられても困るよというのが多分研究開発の現場の声だとは思いますので、そこも含めて、是非御検討いただきたいなと思います。
【説明者】  ありがとうございます。その意味では、17ページ目の中間評価における評価項目及び評価基準の進捗状況というところで、進捗状況の評価の視点が三つありまして、真ん中に「再審査時のコメントに対し適切に対応しているか」というのかございますので、ここもしっかり視点として重要な視点ですので、しっかりここも外部有識者によって審査をしていくということは考えています。それは終了評価でも同じかと考えております。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  ごめんなさい、個別項目だけではなくて、多分これを要は文科省としては国民の税金を使って巨大な研究開発案件にぶち込んでいるわけですよね。そこの部分のアカウンタビリティとしも、ここに入れていますだけではなくて、やっぱりそこの、何というのかな、評価そのものを文科省や評価委員会が上げていく、要は、研究開発ってそんなに簡単に上がるものではないのはよく分かるんですけれども、それでも、上げていく努力をどういうふうに文科省としてしているかというのがここに入っていますというだけではなくて、具体的な、その主体的にやっていくという努力が求められるんだろうなと、そういう話だと思います。
【説明者】  かしこまりました。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  田辺委員、どうぞ。
【田辺委員】  ちょっと事実の確認というか、この事業の狙いなんですけれども、研究開発が目的なのか、イノベーションが目的なのかというところで、ここ、事業名としては、イノベーション創出拠点形成ということなんですね。余りその基礎的な研究、だから、今回選ばれた12を見ると、相当事前にいろいろやっていて、この応募をするときには、ある程度この成果を基に企業とやっていくという意味では、まさにイノベーション拠点という意味では私は適切だと思うんですね。
だから、そういう意味では、余り0か1かというその研究開発がその比率が半分とかじゃなくて、ある程度もう成果も出ていて、それを民間と一緒にやろうというものだと思うんですね。
となると、5割の設定というのはおかしいんじゃないですかというか、アウトカムとして。当然、12応援したら、12全部は無理かもしれないけど、今回も結果的には10ぐらいはできているわけですよね。ということは、ある程度評価したときに、見込みも、当然、それまでの研究の成果もあって、パートナーの民間企業が明確になっていてという中で取り組んでいるわけですからね。私はこういうSとかAとかが、Aになって当たり前じゃないかと、Bのやつはもうやめてしまえばいいんじゃないかとか、という意味では、今回半分はやめたわけですかね。
それで、ただ、7年目とかでBになったら、どうされるんですかと。7年目からBであって、最終的に改善になる見込みがないやつは、もうやる必要ないんじゃないかという気もするんですけどね。それは、だから、目的は、研究開発が目的じゃない。これは拠点形成が目的ですからね。拠点にならないのはやめた方がいいですよね、途中ででも。と思うんですけれども、それについては。つまり、7年目の中間評価のところで、Bのものはやめるとか、そういったことは考えておられるのかどうか。
【説明者】  7年目の評価については、指標として、Cになったら、おっしゃるとおり、もうやめるというふうに宣言してやってございました。Bで、Bというのは個別の評価も全部載せておりますが、ある一定の研究成果が出ていたり、人材育成がうまくいっている、個別にはすごくとがった部分があるんですけれども、世界的な拠点ですかといったときに、我々の基準からすると、まだ努力が足りませんという部分ですので、これはもうその成果が出ない部分に関しては、ある程度額を絞るなり、選択と集中を図る、若しくは、先ほど御指摘がありましたように、大幅な改善を促すという形でやっておりまして。
【田辺委員】  そうですね。そのときに、分かりました。だから、Cは、だから、もう一つは、Bであっても、Bであり続ける、つまり見直しですね。Aに変わる可能性、A以上になるものはやるとか。BのものはBであるのが本当に、いや、そもそも、だから、A以上を目指すというのがあると思うんですね。というのは一つあるかなというふうに思っています。
2点目が、私自身はこれ、実際現地で見させてもらって、非常にいい成果が出ているなと、いいところを見せてもらったからかもしれませんけれども、そう思うんですが、一つ気になったのが、せっかく10年間で拠点ができましたと。事業がなくなったときに、心配されていたのが、やっぱり拠点を維持するためのお金がどうも大変苦労しそうですということで、この資料の24ページに、まさにこのイノベーションのプロセスの中で、まさに事業化が始まるところは、企業、民間資金でいいと思うんですよね。この研究拠点、研究開発拠点、イノベーション拠点になったときの左側ですね。この魔の川、死の谷と書いていますけれども、実際、基礎的研究、応用研究とか開発研究という、この段階は、ここにも書いているように、公的資金がないと、維持できないと思うんですね。
ということは、拠点としてずっとやっていくためには、つまり、10年たった後も、企業との協働研究だけやればいいんじゃなくて、ずっと拠点であり続けるためには、基礎的なところとか、まだ企業と、何ですかね、企業も、つまり、これは10年間面倒見た後もやらなきゃいけないわけですよね。そうしないと、あとはもう応用ですよと、ここの研究者自体がそこで研究ができなくなっちゃいますからね。
というと、そこら辺が、その10年たって拠点ができたんだけど、その後、あと、民間企業でやってくださいというと、そもそも拠点としての、ここで、今回対象としているところのこのフェーズというのがありますよね。このフェーズのところの資金がなくなって、拠点たり得なくなるんじゃないかという気がするんですけどね。そこの点、その今後の対応といいますか、はどう考えておられるのかと。
【説明者】  ありがとうございます。我々、この事業を運営している立場の非常に重要な御指摘でございます。実際に、先生が今御指摘されたような声は現場からも聞こえてきております。
その上で、我々は決してこの事業を単発として考えるわけではない、考えるべきではないという御指摘はしっかりと受け止めたいというふうに思います。この、まず、10年間の事業によって、高度なマネジメント・システムというものをきちっと各拠点に根付かせると、機能させるという、そういう意味では、そういうシステムを構築するところを支援した、立ち上げを支援したと。
今後、今先生の御指摘がございました、いろんなシーズが出てきたときに、この魔の川、死の谷を超えていくというところをどうファンディングしていくのかというところは、これも当然、各拠点でそのシーズに応じて、いろんなファンディング施設、ございますから、そういったものをきちっと選択をしていくというところも重要でございますが、我々もこの拠点を成長させる上で、どういうところに誘導しいてくのがいいのかというところは、我々も一緒に今、様々な形で助言をさせていただいたり、あるいは、誘導したりとかいうことをさせていただいてございます。
そういった取組で、この拠点を発展させると。ただ、ある程度自立化していくというところも促す、そこのバランスをしっかり取っていきたいというふうに思っております。
【田辺委員】  はい、分かりました。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  今、多分そういうふうなつもりでお答えになったんだと思うんですが、念のため確認しておきたいのは、だからといって、これ、国が出していくべきだとか、先導して出していくべきだということではなくて、やっぱり民間がお金を出さないというところの問題も一方であるわけですよね。これは多分、一番御認識をされているんだと思うんですけれども、そこをいかに促していくのかというのと。
本当はこの後ろにあるのは、例えば考えられる想定される市場規模とか、そこに対する成功確率が低くなっていくとか、それがまさに今、24ページでお示しになったようなこのなだらかなところで、そこで資金の色合いが変わっていくわけで、そこをどういうふうにスムーズに行っていくかというところをやっていくためには、むしろ、今、先ほど田辺先生からもお話があったような、途中でCだからとかだけではなくて、積極的に文科省の方としても、やめるものはやめるとか、逆に、推すものは推すというふうに、そこはもうちょっとめり張りを付けてもいいんではないかなとは私は思います。
そこが具体的なマネジメントを育てていくという抽象的な話ではなくて、具体的なそこを促していく話につながっていくと思うんですけれども、そこのところについては、文科省さんの御意見はいかがですか。
【説明者】  ありがとうございます。今のまさにマネジメント・システムを構築するというところを、もっと我々、今の御指摘、私の理解ですと、やっぱりもっと文科省は踏み込んで、選択と集中もしつつ、伸びるものを伸ばしていく。それは結局国費の費用対効果というか投資効果を高めていくことになりますけれども、そういったことを踏み込みたい。これはまさにそれをすべき拠点だというふうに我々は思っております。
そういったときに、国費で賄うべき基礎的な段階もありますし、あと、民間企業にちゃんと投資をしてもらう。その投資を大学が呼び込んで、一緒にその価値想像を行うと、イノベーションを行うという、そういったための計画作りであるとか、あるいは、組織作りというものをもっと踏み込んでやるように、我々が後押ししていくことも、この拠点を維持、成長させる上でも重要だというふうに考えておりまして、そういったところも、個別のケース、中にいろいろ入ってみないと分からないところが相当ございますけれども、一個一個、できる限り、我々も成長させるための主体的な努力というものを行っていきたいというふうに思っております。
【亀井委員】  ごめんなさい、そういう意味で、積極的にやめるとかというところまでは踏み込まないんですかというのが率直な質問です。
【説明者】  中間評価でCのところは当然やめます。ただ、Bのところが、じゃあ、そのままやっていいかというと、必ずしもそうではないので、現状は、例えば実際は2割ぐらい削減して、選択と集中を図るというのは当然やってございます。
そこが十分か不十分かという議論はありますので、しっかりそこをもっとめり張り付けてやっていくということは考えていきたいと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  議論が進んできております。外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入を併せてお願いをいたします。記入がお済みの方は挙手いただければ、事務局の方でコメントシートを回収いたします。
それでは、有川委員、お待たせしました。
【有川委員】  やや質問的なものがあるんですけど、3点ほどちょっとお伺いしたいんですが。
その前に、付けていただきましたこの説明資料の19ページ、これからいろいろ意見を述べるのも、この19ページを基にお話ししたいと思うんですが、これを見させていただくと、この事業の何か全体が非常に分かりやすくて、これからお伺いするのと関連するぐらい、なかなか質問のネタにもなるところなんで、できましたら、このレビューシートの添付資料みたいな形で、この19ページを付けていただく工夫をしていただくと、有り難いと思うんですが。
その上で、淘汰されて最後に残った、これからそういったところをどう伸ばしていくかというより、ちょっと後ろ向きな話になるかもしれませんが、3年目で落ちて、それから、中間評価で落ちていったところの研究機関に対するその費用対効果をどういうふうに分析し、評価するということになっているんでしょうか。
【説明者】  3年目で落ちたところについては、現時点で眷属的にフォローアップはしておりませんが、落ちた後、数年間フォローはしておりました。そういう中で、新しい例えば内閣府でやっている競争的資金に応募されて採択されたりですとか、一定の成果を上げているものもございました。
ここを費用対効果ということで定量的に示すことがなかなか難しいんですが、今回のその3年目で落ちたところも無駄にならないような、3年間の蓄積を踏まえて、次の応募ですとか、拠点の開示も努めているというふうには把握してございます。
ただ、現状、今把握しているかというと、当時把握して、現時点でそこが今どうなっているかというところはフォローはしてございません。
【有川委員】  中間評価の分はどうですか、中間評価で落ちた分については。
【説明者】  今の話が3年目でございます。7年目に関しましては、先ほど申し上げつじたとおり、Cという評価があれば落ちる前提でしたが、7年目では、12から12ということで、予算の増減で対応しているという状況でございます。
【有川委員】  そうですか。失礼しました。
じゃあ、2点目なんですけれども、この同じく19ページの右肩に書いてありますように、3年分の申請がずっと経緯で示されていますが、この平成21年度以降に、新たな研究領域なんかの発展に伴って、このこういった分野の拠点になりたいというふうなチャンスということは、この事業ではないということなんですか。すると、どこか拾い上げる制度設計はあるんでしょうか。
【説明者】  おっしゃるとおりで、追加で採択されるということはございません。ほかの競争的資金ですとか、目的がちょっと全く同じというものは当然ございませんが、それぞれ補助金、競争的資金の目的に応じて、それぞれ別の補助金で応募しているというふうには理解してございます。
【有川委員】  この事業の制度設計としては、やっぱりこの3年間あれば、可能性のあるものはみんな手を挙げてきてくれるだろうと。そして、それ以降については、そう簡単には出てこないだろうという、そういう考え方でこの制度設計がなされているという理解でよろしいでしょうか。
【説明者】  まずは、選ばれた拠点で結果を出すというところを踏まえて、まさにこういう形でレビューを、若しくは、終了評価でレビューをさせて、今後の政策に生かしていくというようなPDCAで考えてございます。
【有川委員】  じゃあ、最後の3点目なんですけれども、これはシートの見方といいますか、もう少し丁寧に国民に開示してほしいなと思うのは、シートの1枚目というのがあるんですかね。シートの1枚目の事業の開始年度が、説明を聞けば、私たちは分かるんですけれども、24年度になっていて、事業概要のところを読ませていただくと、実施期間は原則10年であると。
このシートの裏側のところの今回予算額がぐっと落ちてきているんですけれども、事業終了拠点があるためと、こう書いてあるんですが、20年度からカウントすると、一般の人は、国民の方は、恐らく、あれ、どうして落ちて終了しちゃったのかなと思うんで、18年から始まっているんだという、18、19、20年度申請分なので、間もなく30年で全部終息するんだということが、よく読めば分かるのかもしれませんけれども、そういったところがちょっと分かりにくいので、是非この大きく減額してきた理由のところに、たった1行ぐらいで書くんではなくて、もっと丁寧にこの事業の進捗の仕組みを説明していただいて、この減額、大きく減額しているのは、当初のロードマップどおりなんだということをちょっと分かるようにしていただきたい。
その意味で、先ほどちょっとこの19ページも添付資料に付けていただけると有り難いなということなんです。
【説明者】  かしこまりました。失礼いたしました。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  伊藤委員、どうそ。
【伊藤委員】  今までお話を伺っていて、今回のこの少なくともこの事業としての目的、一番大きな目的は拠点の形成であって、その拠点の成形が最終的には実用化につながっていくというところかと思うんですが、その中における国の一番の役割って何なのか、ずっと今お話を伺いながら感じていたんですが、多分幾つかあって、マッチングをするという役割もあるし、補助という、お金を出すという役割もある。あとは、何年か単位で評価をするという役割があるかと思うんです。
もちろん、これはどれがというバランスの問題だとは分かっているんですが、その中において、特にこの事業として、研究開発がたくさんある中で、あえて今回、この拠点形成ということをやられていることの、今の文科省としての役割は、今、もしかして、ほかにもあるかもしれませんが、大きい役割は何だというふうにお考えでしょうか。
【説明者】  おっしゃるとおりで、一つに決め切れない部分はあるんですが、拠点を形成するという大目標がなぜ平成18年に行われたか、これは大学、教育基本法において、教育研究機能のほかに、社会貢献の機能が初めて教育基本法に入れられました。まさに産と学が一緒にやるという時代ではなかったところで、産と学が対等な立場でやる拠点を形成する。これは成果を出していくということにもつながるんで、イノベーションの成果を出していくと。基礎からやっていく、ここにポイントがありまして、民間資金が基礎の段階から、そういう時代背景の中で、企業が半分のコミットをするということのハードルが、今と比較すると、とてつもなく大きかった時代というふうに理解しています。
そこを、国が旗振り役になって、民間からも資金を、このフェーズから対等な額、億円単位のお金を出して、対等な形で論文も出し、特許も出し、それで、イノベーションに15年でつなげていくと。この旗振り役をしたということが、時代背景からして、国の一番の役割だったと。
それを、そのため、それを実現するために、先ほどおっしゃったようなマッチングをどういうふうに制度設計するか、補助の額をどうするか、評価をどういうふうにするかというものが制度の中にあったというふうに考えております。
【伊藤委員】  と考えたときに、まさに絞り込みをしていく。その意味では、認識違ったら教えていただきたいんですが、ある意味、生き残るというか、今でも継続をしていて、かつ、年をたつにつれて、実用化に、基礎からだんだん実用に近くなっていく段階になると、ある意味、企業側としても、これは成功するかもしれないとしたときに、例えば、マッチングをしている側の文科省として、企業側の比率を上げるような努力がないのかなと。
少なくとも、拠点ごとの役割負担を、分担割合を見ていると、特段年によって変わっているものではないなと感じるんですが、そういったことはそもそもできないのか、何か違う考えがあるのか、教えていただきたいんですが。
【説明者】  できないか、できるかというと、できると思います。そこをディテールで細かく分野設定して、細かくその評価を踏まえて、毎年度、毎年度、その比率を変えていくということは当然できるかと思います。そこはしてなかった、してたかというと、してなかったと。まさに今後のそこは政策、制度設計の検討事項にはなると思います。
一方で、御指摘いただいたように、例えば、今回もすごく民間資金が大きくなっている拠点がこの中で幾つかあります。例えば、先ほどもP2、フェーズ2からフェーズ3に行くものというのは、もうPMDA対応ですとか、その製薬企業の様々な部局が関連してきて、今までとは比べものにならない額が民間で負担していくということになるので、そういうデータも、こういうレビューしながら出てきますので、そういうところを制度設計に反映していくということは必要かと思っております。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  よろしいでしょうか。
【説明者】  補足させて、よろしいですか。ありがとうございます。今、テラサキが申し上げたところは、直接的には全てなんですけれども、ただ、我々は実用化を加速させるというところに相当努力をしております。要は実用化のプロセスを加速していくことは、投資を呼び込むことになりますので、直接投資を、企業側の投資を拡大する働き掛けをしているかというと、そこはしてないわけですけれども、いかにその投資価値を企業側に認めてもらうかというところを、大学あるいは研究チームがもっと努力するというところは我々は評価等を通じて相当努力しているところでございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員。
【亀井委員】  まさに今の話の続きになるんですけれども、投資価値を認めてもらうには、ここには大きなオポチュニティがありますと、機会があります、市場がありますということを理解してもらわないといけないわけですね。
25ページをちょっとごらんいただきながら、ちょっとお話をしたいんですけれども、25ページは、国が負担してきた額と、それから、民間が企業負担してきた金額というのの推移が書いてあります。これは結果でありますと。
これを、じゃあ、より促すにはどうしたらいいかというふうに言うと、結局ここには企業としては多分二つ見ていて、一つは、オポチュニティがありますかということと、あとは、それに対してリスクはどうですかということを両方掛け目で見ているわけですよね。ですから、リスクアジャステッドのマーケットを見ているということなんだと思うんですけれども、じゃあ、この今合計で、国で400億強、それから、民間で600億弱、多分両方足すと1,000億ぐらいの金額が費やされてきた中で、この事業から、この12の事業の中で、もし数字があれば是非教えていただきたいんですけれども、全部足したとき、今残っている12の事業について、どれぐらいの市場を創出するような我々は技術を開発しているのかということを、多分これはもともとのお金の出し手である国民から見たら、それは知りたいわけですよね。
これが当たるか当たらないかというのは、もちろん技術だから、最後のところでいろんなぶれがあります。実は特許で邪魔されました、そういうこともあるかもしれないんだけれども、多分そこら辺は民間企業とお話をしているんだから、当然僕は数字としてあるんだと思うんですけれども、今この1,000億投じた中で、今後出てくるいろんな商品を積み上げていったときに、あるいは、製品を積み上げていったときに、どのぐらいのマーケットを期待しているというふうに、今、マクロベースではお考えなのか、もし数字をお持ちであれば、是非教えていただきたいんですけど。
【説明者】  これ、明確な数字というのはございませんが、もちろん、中間評価とかをしている中で、各拠点が目指している市場ですとか、そこは出ております。そこを合計すると余り、無意味な数字になっちゃうんですが、少なくとも、各拠点当たり毎年度数百億の売上げなり、若しくは、それ以上のマーケットに入っていくということは当然前提としてございます。
当然、その各拠点当たり、今回国の投入額を12拠点で割ると、1拠点当たり数十億インプットしていますので、数百億の売上げを毎年上げることが十分かどうかというのは、これ、なかなか指標がないので評価はできませんが、少なくとも、国富に還元していくという拠点のみを継続してB以上でやっておりますので、そこを毎年数百億を足し上げてもらうようなイメージ、ただ、実現時期とかも、分野によってもやっぱり変わってくるので、ここがどうしてもトータルにグロスで計算できないところはお許しいただければと思います。
【亀井委員】  ただ、私は情報開示としては、何らかの加工をした上では、そういった開示もあってもいいんではないかなと思いますと。つまり、これが確たるものではない、つまり、文科省さんの場合、必ず最後に出てくるのが、うまくいった事例ですというのは定性的にその他の成果例というのがたくさん出てくるんですけれども、これは説得力があるようで、よく分からないんですよ。
つまり、納税者の立場からすると、僕たちの税金が400億超使われましたと。それが結果的にどういう国富に結び付いているんですかと、結果的にどういう国富に結び付いているんですかということをやはりそこは一義的に説明する必要があって、我々としては、もちろん全部できるかどうか分からないけれども、現状の段階では、先々、例えば3年後にこういう市場ができるもの、5年後にこういう市場ができるもの、10年後にこういう市場ができるものということを想定していますと。
もちろん、12、全部いきなり足しちゃうと、これはおっしゃるとおり無意味になると思いますので、その中で、成功確率が高い三つについてはこう見ていますとか、その次のグループについてはこう見ていますとか、そういったようなコミュニケーションがあって初めて研究開発を国が行うことについての納税者に対するアカウンタビリティというのが確保できるのかなと思いますので、是非そこは、特にこういう先進的なお取組について、かつ、官民がこうやって共同で投資をしていくというのは多分これからのこういう分野の流れだと私は思っていますので、是非そこはそういうチャレンジもしていただきたいなと、こういうふうに考えております。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、中室委員、お願いします。
【中室委員】  ありがとうございます。ちょっと私も頭の中で整理できてないところがあるので、間違ってきたら大変申し訳ないんですけど。
一つは、さっきちょっと伊藤さんがおっしゃっていたことと関係があるんですけれども、民間の企業がこの拠点の形成の中でどういうインセンティブでやっているのかなというふうにちょっと思いまして、その企業のコミットメントをより高めるであるとか、そういうことのインセンティブをどういうふうに付けておられるのかということなんです。要するに、変な話ですけれども、頑張ったんだけど、頑張ったら頑張っただけ、補助金が減らされてしまったというようなディスインセンティブの仕組みになってないかどうかということをちょっと確認したいということが一つありまして。
もう一つは、この先ほど来出ていますこの中間報告の進捗、拠点形成、研究開発、人材育成というところで、中間評価等々を行っておられるというのはよく分かるんですけれども、それと、26ページ以降のその図表で出されている様々な内訳を見てみますと、どうもその評価とここに出てきている数字が合ってないように私には見えるんですね。
例えばコミットメントがすごく高い拠点が高く評価されているかというと、必ずしもそうではないし、論文数だとか特許数がすごく高いところがS評価になっているかといえば、必ずしもそういうわけではない。
そうすると、恐らく、この評価というのはもっと、良く言えば、総合的に行われているんだろうと思うんですけれども、それはやっぱりちょっと国民の目線から見ると、見えにくいんじゃないか。どうしてSが付いているところが必ずしもコミットメント、企業のコミットメントが高くなく、論文数が高くなく、特許が低い、高くないところにSが付いているのかというのが、やっぱり極めて見えにくいのではないか。
しかも、それがこの事業のアウトカムになっているんだというところが、ますますちょっと混乱、私の場合はちょっと混乱してしまうのかなというふうに思うので、やっぱり亀井さんが先ほどおっしゃったように、これの成果が国富に還元されているんだということなのであれば、そこのところはやっぱりできる限り見せてもらわないといけないんじゃないかというふうに思うんですね。
事前勉強会のときにも申し上げたんですが、それがデータの取得上困難であるということは分かるんですけれども、この事業に対する支出がなければどうなったのかという反事実との比較にならないと、この今の拠点だけの成果を見ても、このお金を付けることの正当性にはやっぱりならないんじゃないかなと思うので、例えば一つの方法としては、この拠点に応募したんだけれども落ちたところと比較するとか、そういうような方法で、比較対象のデータをやっぱりどうして出していただきたいなというふうに私としては感じました。
以上です。
【説明者】  最初のインセンティブですが、これ、制度、ディスインセンティブにはなっているような設計にはしてございません。一方で、企業が最初応募する段階と現状とのインセンティブというのは大分変わってきているんじゃないかというふうに解釈しています。
最初のインセンティブというのは、やはり10年間という長いスパンで腰を据えてできるというのは、意外とヒアリングすると、インタビュー、メリットがあります。かつ、額が大きいと。要は、長期間で額が大きいと、本当に本気のものをしっかりやっていくということになると。逆に中途半端だと、結構そこ、どうでもいいやみたいな、本気度がその辺、変わってくるんじゃないかと思っています。
あとは、額が大きいから、やっぱりトップサイエンティストがここにコミットしているというのが大きいです。ここで何かを生み出せるというインセンティブが働いて、マネジメントの判断でやっていこうというのが当初されていたというのがマジョリティです。
ただ、経過していくごとに、中間評価、事後評価、やっぱり結果を企業は求められますので、やっぱり結果、成果が、進捗がしっかり進んでいるところの方が、特に創薬ですとか、そういうところのが結構企業のコミットメントは多くなっているという傾向はあります。
ただ、ここも一概に、先ほどの二つ目の質問と関係するんですが、連動してないじゃないかと、これ、おっしゃるとおりでございます。我々もこれ、解釈して、後々、これが終了評価ですとかこの制度設計の評価をするときに、まさにここもまさに分析の一つになってくると思いますが、例えば分野によって、創薬だと論文が出しにくい、特許をできるだけ後にして出していくという企業戦略とも連動していきます。
あとは、出口の顧客が、イグジット先が一つの企業か、もっとプラットフォーム性があって、いろんな顧客に対応できる製品を作れるというケースの場合は例えば特許が多くなったりですとか、外向けの発表が多くなったりというところが出てきます。
そういうふうに、要素技術にそれぞれ分解していって、恐らく結果として、どういう形で最も企業のインセンティブが高かったのか、成果が、論文特許という成果が出てきたのかというのは、これは恐らくマクロにも分析していく必要があるのかなというふうに思っています。
ただ、出せる部分はしっかり出していくという、そことの評価との連動というのはしっかりしていきたいと思っております。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  関連で亀井委員に御発言を頂きたいと思います。
その前に、議論も大分進んできておりますので、まだコメントシートへの記入をされていない外部有識者におかれましては、コメントシートへの記入をお願いしたいと思います。事務局は、コメントシートの回収をお願いします。
じゃあ、亀井委員、どうぞお願いします。
【亀井委員】  今の話、続きになるんですけれども、やっぱり大事なのはベンチマークなんだと思うんですよね。それは特にこれ、先端融合領域イノベーションというからには、多分世界的に見てどうなのとかいうところがすごく大事なところで、一つ目の質問はその視点は入っていますかという話であります。
事後評価と中間評価を見ると、ないわけではないなというのはよく分かるんですけれども、ややもすると、拠点形成とか進捗状況とか人材育成とかというところに交じって、本来、この分野が目指そうとしている先端融合領域の部分というのが、というふうに言っているような、つまり、グローバルで見て、1番とか2番とか3番とか、少なくともそこら辺に入ってくるようなところを目指しているんだというところが、全体として評価の、今、中室先生がおっしゃったような、評価をしてみて足してみたら、総合的評価で何か交じって、一番本当はとがってなきゃいけないところの話をしているはずなのに、そこさえよければいいのに、極端なことを言えば、もっと言えば、そこさえよければ、人なんか付いてくるわけですから、というはずなのに、何か総合的に見て、全体として落ちてしまったみたいなことがありゃせんかなというところを懸念しておるんですけれども。
質問は二つで、ベンチマークはどうかということと、今言ったように、その総合的評価というところが全体としての本来の政策の意図をゆがめてないですかと、そこ、大丈夫ですかという、その2点について教えてください。
【説明者】  御指摘のベンチマークの点ですが、おっしゃるとおりで、その中間評価の指標のところに幾つか書いておりますが、ただ、ここも本当に先端融合領域で産学が一緒になって成果を出していくというのが初めての試みで、そのベンチマークをどうしていくのかというのも、これもある意味、政策上の課題、実験だと思っています。
【亀井委員】  そうです。はい。
【説明者】  これがまだ中間評価が終わって、今後終了評価、まだ終わってないので、今御指摘いただいたところを踏まえて、しっかりその終了評価は何で見ていくのかというところの是非検討材料とさせていただければ、しっかり検討して入れていきたいというふうに思っております。
そういう意味で、総合評価もおっしゃるとおりで、やっぱりとがった世界的な拠点というのは、我々の説明の言葉足らずで、なかなか総合的に平均でみたいな印象になってしまうんですが、ここは有識者の外部評価を通じて、しっかりとがったものを引き伸ばしていくというところをしっかり見ていただくように、我々としてもしっかりやっていきたいというふうに思っております。
【亀井委員】  一つは、方法論としては、評価者にグローバルでトップの水準でやっている人をちゃんと入れるという話、それは、日本人研究者にかかわらずという話なんだと思っていて、つまり、やってもらう人は日本の研究を支援するで構わないんですけれども、評価者については、別に僕、だからってあれですよ、海外の人が全ていいとは言わないですよ。全ていいとは言わないけれども、きちんとそこの、それで、この人がやっているからいいという話でもないんだと思うんですが、ですから、データを開示していくことがすごく大事だと思っていて、そこのロジックを開示していくことがすごく大事だと思っているんですが、そこは是非、僕はここは課題、たくさんあると思います。逆にここできちんとやってもらわないと、ほかの研究領域、みんな同じような問題が起きてくると思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
【説明者】  ありがとうございます。非常に貴重な御指摘だと思います。審査体制をどう作っていくかというところは非常に重要な問題でして、我々はこれからも改善が必要だと思っております。
今の現時点でも、そこの出口分野で世界的なベンチマークというのは個々の専門家ですね。それができる人を審査委員に入れるというのは、我々、非常に、文科省としては、この事業だけじゃなくて、ほかのところでもそうですけれども、苦心をしているところでございます。
その努力をもっと高めていくというようなことをシステムとしてやっていくことをちょっと我々、これからも検討したいと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  田辺委員、どうぞ。
【田辺委員】  一つ質問ですけれども、この12のうち、いろいろ研究分野が違っていますよね。医療分野とか。にもかかわらず、一律10年というふうにやるのは何でですかということなんですね。つまり、時間が掛かるやつもありますし、早くできるのもあるはずなので、研究テーマに応じて期間もやっぱりやらないと、必要以上に長くなっているのもあるんじゃないかとか、あるいは、もしかしたら足りないやつもあるんじゃないかとか、そういう点についてのお考えをお聞かせください。
【説明者】  ここは制度設計の非常に難しいところで、究極的には、個別のプロジェクトを個別の拠点に応じてカスタマイズしていくというのが究極の制度設計だと思っています。ただ、一方で、どこで線引きするかというのも非常に難しくて、当時は、その10年間という一つの区切りを設定したという理解をしております。
今後、もし、今後全く同じのがあるということはないかもしれませんが、融合領域とあったときに、じゃあ、どれぐらい細分化して、それぞれのプロジェクトに応じた形がこういう公募型でできるかどうかというのは非常に課題ですので、どこまでできるかというのはあるんですが、おっしゃるとおりで、実態論からいくと、フェーズとかスパンは全く各プロジェクト、一つとして同じものはありませんので、そういうところもしっかり考えていく必要はあるのかなというふうに思っております。
【田辺委員】  よろしくお願いします。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  よろしいですか。
今、コメントシートについて、集計を取りまとめていただいているところでございますので、若干のお時間を頂きたいと思いますが、その間、外部有識者におかれましては、引き続き御議論いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。ほかの論点でも結構でございますので、どうぞ。伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】  ページ数でいくと、13ページに、対象とする拠点化構想というのがあって、先ほど、途中少し御説明の中にもありましたけど、この人材育成の話が出て、ちょうど3番に出ているかと思うんですが、これ、特に、先ほどの事業もそうですし、文科省でやられる事業ってやっぱり人材育成という観点が常に入っている。特に研究開発の中での人材育成って限られた人材をどう生かすかということになるかと思うんですが、その中で、もし一つメルクマールとして分かれば、ここまで関わってきている、この拠点で関わっている人材がどれぐらいいるのかとか、そういうものが出てくると、まさに単に育成が大事だということだけではなくて、こういう研究開発の新たな知識が増えた、技術が増えたという人材育成につながるのかなと思うんですが、そういうのは今、出ているんでしょうか。
【説明者】  前回もちょっと人材育成の御指摘がありましたので、ちょっと資料には間に合わなかったんですが、ある程度、中間評価とかの結果を踏まえて把握をしているところでは、まず、その人材育成というのは学生のケースと、拠点、実際の研究者のケースと両方ございます。
研究者については、各拠点当たり100名程度だったのが200名ぐらいになりまして、今後まさに全て途中でやめるという拠点はございませんので、自立的に運営していくと。そういう中で、さっきの負担はどうしていくのかという議論が出てくる。なので、200人ぐらいのところで、例えばファカルティは50名ぐらいとか、企業の上限があって、そういうところを維持していくという形になっています。
学生もこれもばらつきがあるんですが、大体そういう200人規模の拠点でいくと、50名、60名、70名ぐらいの学生が毎年いるという形になりますので、多いところだと、四、五百名のところの卒業生というか関与者がいたりしていますので、毎年度、50、60名ぐらいが卒業する人もいれば、育っていくと。このプロジェクトを通じて、OJTというか、一緒に、企業と一緒になって研究をやって育っていくというような形で、今、トレースをしております。
【伊藤委員】  今の話は、多分関わった人材が増えてきているというところで、きっとその先には、特に学生側であれば、じゃあ、研究者として雇用されているのか、その研究を生かして企業に雇用されているのかというところが、学生の人材育成という意味では、一つのゴールになるのかなと思うんですが、そこはいかがでしょう。
【説明者】  当然、各拠点で、これ、一律に定量化できないんですが、ほかの大学の研究者として雇用されるケース、一緒に共同研究をやった企業に就職する、それ以外のケースですとか、様々なケースが出てきております。
ここをどう評価するかというところはまさにこれからでございまして、そこが、先ほど、中室委員がおっしゃったように、非常に差をどういうふうに測っていくかというところの一つの難しさでもあるんですが、そこは一つ、成果は、人は育っていろいろなポジションになっていますが、今後それをどう評価するかというのはこれからというふうに考えております。
【伊藤委員】  すみません、最後にしますが、少なくとも中間評価の視点の中に人材育成というのが入っていて、ここでの評価視点、定性的なことはいろいろあると思うんですけど、何か定量的な視点ってあるんでしょうか。例えば、増えたから評価が良くなるのか、雇用に関わっている人材が増えているとか、その先、つながっているからとか、何かあるんでしょうか。
【説明者】  各拠点からの資料では、できるだけ定量的には書いてもらっていますが、例えばどれぐらいの学生が入ってきたとか、どれぐらいどこに就職していくとか、どこのファカルティのポストを取っていくとかというのはあるんですが、ここを一律に定量的指標として評価できるような形にはなってございません。ここは課題かと思っております。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  田辺委員は御質問はありますか。
【田辺委員】  大丈夫です。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  いいです。
それでは、コメントシートの集計が取りまとまりましたので、取りまとめ役の松浦委員より、評価結果及び取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【松浦委員】  それでは、各委員の熱心な御議論、ありがとうございました。
本事業に関しての評価でございますが、全会一致で事業内容の一部改善ということでございます。
その中で、主なコメントでございますけれども、第1に、やはり一つは、モチベーションを高めるような選択と集中の手法がやはり望まれる。今でもやっていらっしゃるんですけれども、ここをさらに明確化させていただきたいということが1点。
それから、もちろん、企業側がリスクを最初は避けるわけですが、その後、成功確率が上がってくると、企業も参入するようになりやすいということがありますので、その辺での企業負担の在り方、評価の仕方について、もう少し工夫の余地があるのではないかというのが2点目。
それから、もう一つ、評価、全体的な評価に関わるお話で、まだ10年終わっておりませんので中間評価ではございますけれども、基本的にやはり全体的に総合的な評価でS、A、B、Cというふうに付けていらっしゃって、それぞれがどういう観点で評価を受けたのかということが国民に分かりにくいということもございますので、それぞれ、どのような観点から、これはイノベーションですから、最終的には国富に結び付くという事業でございますので、どういう形で結び付いて評価を受けたのかというそのプロセス、あるいは、やり方に関して、最低限開示していただきたいと。
もう一つ、やはりこれだけの国費を投入することに関して、どれだけの効果が得られるか、国富に対してリターンが得られるかという推計、これに関しても、是非国民の御了解を頂くためには、開示をしていただきたいと。
このような点について御検討いただければというのが委員のそれぞれのおおむね一致した意見でございますので、こういう形で、全会一致で一部見直しというふうにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラムの公開プロセスについては終了させていただきます。
次の国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構運用費交付金に必要な経費につきましては、13時30分開始といたします。約50分の昼食休憩の時間を挟みまして、開始したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、お時間となりましたので、ただいまから午後の部を始めさせていただきます。
このコマにつきましては、行政改革担当の松本副大臣、御出席でございます。また、引き続き、文科省から豊田大臣政務官が出席しておりますので、御紹介させていただきます。
午後の4つの事業の取りまとめ役は、日本大学総合科学研究所教授の有川博委員に務めていただきますので、よろしくお願いいたします。
【有川委員】  よろしくお願いします。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、4コマ目、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構運営費交付金に必要な経費について、御議論を賜りたいと存じます。
初めに、事業概要の説明をさせていただきます。事業担当課は、5分以内で簡潔に説明をお願いします。
【説明者】  分かりました。では、宇宙開発利用課でございます。よろしくお願いいたします。
資料、レビューシートの該当部分は、まず16ページになります。説明は、31ページをお開きいただければと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  レビューシートが1ページ目からです。それから、今御指摘がありました31ページというのは、補足資料です。
説明を始めてください。
【説明者】  本日の論点については、JAXAの運営費交付金について、平成26年度から10億円以上計上している契約のうち、随意契約を締結した契約について、4件ほど挙げられておりますものについての説明ということになります。
それにつきましては、この行政事業レビューシートの該当部分というか、それが書いてある場所というのが16ページにありまして、契約が並んでいるところでございますけれども、ここの1番目のところ、2番目のところ、5番目、それから、該当の26年度で契約が終わっている部分について、ここには載っていないんですけれども、小惑星探査機「はやぶさ2」の開発に係る部分というものを、本日、その内容について、この補足説明資料を用いまして御説明申し上げたいと思います。
すみません、31ページのところをお開きいただければと思うんですけれども、今申し上げた契約というのが4つ並んでいるものが書いてございます。
時間もあれなので、めくらせていただきまして、まず、それぞれのプロジェクトの概要につきまして説明申し上げます。
H3ロケットの開発ですが、これはH2A/Bの次のロケットということで、新しく開発をするものでございます。これに併せまして、H3の第1段目のエンジン、メーンのエンジンでありまして、右側の絵でありますと、噴射してあるところの真ん中にあるものでありますけれども、その主エンジンの開発も併せて行っております。
2番目でありますが、種子島宇宙センター射点系設備の保全作業ということで、これはH2A/Bロケットの打上げを行うに必要な地上設備がございまして、組立て、点検、発射を行う設備でありまして、これを保全するという内容でございます。ロケットの組立て、打上げ、点検に併せまして、一体的に運用するということが必要になってございます。
3番目ですけれども、小惑星探査機「はやぶさ2」の開発ということでございまして、「はやぶさ」初号機の成果を踏まえまして、技術実証を行うということで開発をするものでございまして、現在、「はやぶさ2」につきましては、有機物を含む小惑星「Ryugu」の方に探査を行っておるところでございます。
めくりまして、33ページについて説明したいと思います。随意契約の妥当性ということで、今回、2つ、この契約について種類がありまして、1つは、企画競争ということでありまして、これは複数の者に企画書の提出を求め、その内容について審査を行い、企画内容や業務遂行能力が最も優れた者を選定する方法ということでございまして、今回の新しいロケットの開発というものは、エンジンのタイプによっていろいろ変わるということで、そのエンジンのタイプによって変わる対象の企業が2種以上あるということで、新しいアイデアにも期待しまして、企画競争という形にしました。結果は、1者の応募ということで、三菱重工に決まってございます。
もう一つは、参加者確認公募という方法になってございます。業務の専門性や特殊性から、特定の者と契約が予想されるんですけれども、他に履行できる者がいないとは言い切れないと判断されたものについて、必要な要件を明示した上で参加者を募るというものでございます。これについては、先ほどの残りの3件がこういった手続をしておりまして、まず新型ロケットの新しいエンジンの開発ですけれども、これは液体エンジンをということでありましたので、三菱重工1社にということであります。
それから、宇宙センターの保全作業につきましても、ロケットの打上げの計画に沿った保全計画を作成する必要があるということで、一貫管理の必要性から、三菱重工ということでございます。
それから、「はやぶさ2」につきましては、その技術を実証するということでありまして、その技術を持っているということと、それから、小惑星の位置から計算される打上げ時期がかなり迫っているということで、早く作る必要があるということで、このようなNECに決めたということでございます。
次、めくりまして、34ページになります。JAXA、文科省、外部委員会との関係についてということですけれども、このポイントは、まず一番左側にありますJAXA内と。担当の方で随意契約の妥当性について精査をするわけですけれども、ここでの技術力、また、その知見がいかに発揮されるかということがポイントになってくるということでございます。JAXAの内部の契約審査委員会というもので、随意契約の妥当性について審査をするということが、1つ目のチェックがあります。それから、さらに、外部有識者と監事によって構成されます契約監視委員会というものが、その行為が適切に行われているかというものであるとか、サンプリングについて行って、チェックをするというようになってございます。
文部科学省の方は、そういったJAXAの活動を、評価の中で、しっかり行われているかということについて確認をするというようなことを行っているということでございます。
35ページをお開きください。契約価格の妥当性ということでございますけれども、契約の価格について、JAXAにおいて原価積上げ方式の見積書を契約相手から取りまして、以下のような形でチェックをし、適正価格を確認してございます。
見積書の作業項目について、具体的な作業内容をしっかり聴取しまして、実際の流れを把握し、仕様要求に対する内容が適正かということをまず確認しまして、その後、計上される工数とか、また経費について、費用の内訳の詳細を確認し、過去の同種の作業等と比較するというようなことをしまして、そこに技術的な知見が蓄積されておるということでございますが、個別作業ごとの工数・経費などを確認していくということでございます。
あと、再委託などあった場合については、別途確認をしますし、また、JAXAと契約している主要企業につきましては、適正性の担保から、公認会計士とともに原価計算システムや労務費の単価などの調査を実施しているということでございます。
後ろは参考資料でございます。
私の方からの説明は、以上でございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
それでは、私の方から、論点について説明させていただきます。3ページの論点等説明シートを御覧ください。
まず、1つ目といたしまして、新型ロケット開発契約等に係る一者応札・随意契約の妥当性という点。
2つ目といたしまして、外部委員会、宇宙政策委員会や宇宙開発利用部会でございますが、この外部委員会や文部科学省、JAXA(宇宙航空研究開発機構)がどのように連携もしくは役割分担し、契約相手方の選定に当たっての透明性や公平性、契約価格の妥当性を担保しているのかという点。
3つ目といたしまして、上記契約の契約価格の妥当性。
以上3点について御議論を願います。
それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。説明者は、外部有識者からの御質問に対し、簡潔明瞭に回答をお願いいたします。
松浦委員、どうぞ。
【松浦委員】  まず、確認でございます。今御説明いただきました3件のプロジェクトですけれども、全く新規のプロジェクトであるものと、今までの成果を継承して改良するものというふうにお分けになることは可能でしょうか。
【説明者】  お答えいたします。新型ロケットシステムとその新型エンジンについては、これは新規ということでございます。それから、打上げ射点と「はやぶさ2号機」、これは技術の継承が入ってくるということでございます。
【松浦委員】  よろしいですか。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  はい。
【松浦委員】  先ほど「はやぶさ2」に関しては、急いでいるからとおっしゃられたけど、急いでいるからというよりは、いわゆる改良に重きを置いているので、技術を継承するという理解で構わないんですか。
【説明者】  JAXAの方、契約の方から情報ということでお話はお伺いしておりますけれども、先生のおっしゃるとおりで、その部分がやはり1社に絞るというところの大きなポイントだったと考えております。
【松浦委員】  じゃ、もう1点お伺いしますけれども、エンジンの開発、液体エンジンの開発とその打上げ施設というのは、どちらが先、先行しています?
【説明者】  打上げ施設につきましては、既に前の段階のH2A/Bの方のものもやっておりまして、H3はこれからですので、そういう意味では、当然、打上げ射場の方が先行はしておるんですけれども。すみません、ちゃんとお答え……。
【説明者】  補足いたします。ロケットの開発一般につきましては、まずロケットの機体が先行した上で、その機体に適応する射場の開発が行われます。ただ、今回出ております種子島につきましては、既に先行しておりますH2A、H2Bの機体に係る射場という観点がございます。
【松浦委員】  分かりました。ありがとうございます。理解しました。
【説明者】  よろしいですか。
【松浦委員】  はい。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ほかに、委員の方。
有川委員、どうぞ。
【有川委員】  補足資料の33ページの随意契約の妥当性の資料でちょっと伺いたいんですけれども。
何点か確認したいんですが、当初、機体システムの開発で企画競争をしたということで、この液体の方と固体の方の2種類の開発してきた業者が手を挙げてくる可能性があるというのは、内部で検証したんだろうと思いますけれども、その辺の検証、どういうふうに検証して、2社来ると想定されたのかというのと、結果的に片側、1社しか、つまり、液体の方しか出てこなかったというのをどのように分析しているのかというのと、あとは、簡単な確認なんですけれども、機体システムのときには企画競争して、エンジンのときには公募確認したということは、時系列的に、もう1社と限定されたから公募確認が行われたという理解でよろしいか。その点、ちょっと教えていただきたいんですが。
【説明者】  御説明申し上げます。
まず、ロケットが2社といいますものは、既に客観的な事実として、我が国のこの契約時点において、ロケットシステムを開発する能力のある事業者が2つしかなかったという観点がございます。
なお、2つある際に、液体と固体の分析の考え方につきましてでございますが、この点はJAXAも文部科学省も同様な認識でございますが、一般的に、これまでのH2A/Bのような形の液体燃料のエンジンというのが中心になるというような観点がございましたが、諸外国の例を当時考えますと、このH2Aロケットの競合他社でございますアリアンロケットの6号機につきまして、当時JAXAのカウンターパートに相当するCNES、フランスの宇宙機関は、固体燃料を中心にしていたロケットのシステムというのを提案した事例もございます。また、米国NASAにつきましても、比較的固体は小さなものという前提がございましたが、最近の例ですと、途中で中止になりましたが、コンステレーション計画等におきましては、固体エンジンがありました。
そういった観点で、JAXAにおきましては、この開発着手の段階では、一応今後の基幹ロケットの推進系として、固体と液体というのが国際的な事情等を見てもあり得ると考えて、その上で、国内においてそれぞれシステムを成立させられる業者が2つあるという観点を踏まえて対応したところです。
なお、フランスのアリアンロケットにつきましても、最終的には、当初は固体で進んでいたんですが、日本と同じような形で、液体という形にコンセプトはなっておりますが、当時は、そのような事情が周辺環境を見てもございましたので、固体と液体の2つが想定されるというのは、当時の客観情勢から見ても、我々も妥当な判断ではないかと考えた次第でございます。
【有川委員】  1社の分析はどういうふうにされています?
【説明者】  それは、もともとのシステムのところで液体のエンジンというのが選択されましたので、その技術を持っている会社というのは、今説明にもありましたとおり、1社しかないということでありましたので、そこは、そこに決めさせていただいているということになります。
【有川委員】  今の選択は、企画競争に付してから、その選択をしたということですか。
【説明者】  まず、1社しか応募がなかった理由といたしましては、これは企業がなぜ応募しなかったのかというのは、はっきり企業が教えてくれるわけではないんですけれども、イプシロンロケットについては、まだ1号期が飛んだ後であり、高度化の開発など、まだやらなければいけないことがたくさんある中で、なかなかこの新しい応募にまでは至らなかったのではないかというふうにJAXAの方では予想していると聞いてございます。
最後の御質問につきましては、先ほど課長の方からお答えしましたように、まず最初に機体システムが決まりまして、それで、液体燃料エンジンということが決まったので、次のエンジンのみのところでは、参加者確認公募という形で、三菱重工と契約したというものでございます。
【有川委員】  ありがとうございます。
そうすると、なぜ1社だったかというのは、想像しているというだけで、具体的にヒアリングはしていないということですか。
【説明者】  JAXAの方でNECに聞いたところ、そういったことではないかというふうに判断しているということでございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  よろしいですか。
【有川委員】  はい。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  そもそものところをお伺いしたいんですが、33ページ、今、有川先生からもお話があった話なんですが、今、皆さん、文部科学省の方がお答えになっているんですけれども、JAXAからそう聞いていますとかという話が幾つかあるんですが、34ページを拝見すると、これ、要は、契約を競争入札を行うのか、随意契約を行うのかは、基本的にJAXA内で判断をしていますと。これについては、文部科学省としては、契約監視委員会という形で、随意契約、一者応札・応募点検のサンプリングをする、この委員会の外部有識者をJAXAが指名する際に、そのメンバーについて了解をしているというのみで、基本的にこのプロセスには関わっていないというふうに、この表を見ると理解できるように感じるんですけれども、まずそういう理解でよろしいですかというのが1つ目。
【説明者】  はい、結構でございます。
【亀井委員】  だとすると、今お答えになっている話というのは、事後的にJAXAさんに聞かれた話をここでお話しになっているという、こういう理解でよろしいですか。
【説明者】  そのとおりです。JAXAに確認して説明しております。
【亀井委員】  だとすると、別にこの形態としては、そもそも交付金に関する話で、論点設定も、基本的には一者応札・随意契約の妥当性についてという形で、文部科学省の中で担当課の方でお話をくださいという形のたてつけですが、それについてどんどん申し上げるつもりはないんですけれども。ごめんなさい、そもそもの話として、文部科学省は、この契約の妥当性云々については、そもそも何をしているんですかというシンプルな質問なんですが、何をしているんですか。
【説明者】  34ページをお開きいただければと思うんですが。委員のおっしゃるとおり、契約行為は、JAXAの契約ですので、JAXAがやっております。契約の妥当性についても、手続はJAXAの中で閉じるということなんですが、我々の方、今御指摘ありました監視委員会のメンバーを決める際とか、あと、調達合理化の計画をお聞きするとか、一番大事なのは、評価のときですね。評価のときに、こういった契約の行為がどういうふうに進められているか、また、どういうような改善点があるかとか、それをお聞きして、その中で、今言ったようなシステムの中で、JAXAの担当がきちっとその契約額の妥当性について精査できているかどうかというのをお聞きして、文部科学省として、適切に行われているなというのも確認させていただくということでございまして、そういう意味では、直接契約額を決める手続に何らか関わっているということではございません。
【亀井委員】  契約額そのものはあれなんですが、例えば、じゃ、契約額の妥当性の検証とかは、基本的に全て事後的になっているという理解でよろしいんですかね。
【説明者】  そのようになってございます。
【亀井委員】  なるほど。だとすると、これ、実効的にできるのは、今まさに担当課からも御説明があったとおり、主務大臣による評価・審議会への意見聴取があって、国立研究開発法人審議会――ここは今度からそうなりましたよね――によって審議がされて、評価決定がされたものを、それをお伝えする形になるんですが、従来は、これ、国立研究開発法人審議会ではなかったと思うんですけれども、具体的に、JAXAの契約行為の是正とか、そういったことを文部科学省として過去に行った事例とかというのはあるんですかね。いや、なければないで結構なんですが。
【説明者】  こちらから、何かこういうところを見て変えろというような指示した事例ということではないんですけれども、例えば、評価のときに、プロジェクト間での比較分析が、1つのプロジェクトではなくて、ほかのプロジェクトもたくさんありますので、その間の分析ができるようなデータの標準化みたいなものをやっていますとか、それから、コストマネジメントチームというのを作って、データを蓄積していって、精度を上げていくというようなことを、やはり額の適正化というようなものをする中で努めていますというような、JAXAからの改善点みたいなものが説明されて、それを評価するというようなことは行っておるということでございます。
【亀井委員】  これ、要は、JAXAは執行機関に対して、皆さんは、お金の出し手であり、管理監督をしていくという立場に――言葉の定義は、すみません、違うものがあるかもしれませんが、大ざっぱに言えばそういう話なんだと思うんですが。そういう中で、終わったものの後の評価のプロセスを通じてしか、そういった執行そのもの、特に、国民からお預かりしたお金を基本的には使う場面について、そこに関わることができないということについては、これは不十分であるとか、あるいは――ごめんなさい、別に何か誘導するわけではないんですけれども、そこら辺のところについてはどういう認識でいらっしゃるのか、是非、そこは教えていただきたいんですけれども。
【説明者】  JAXAにつきましては、国立研究開発法人という枠組の中で研究開発を行っておりまして、私どもは、この国立研究開発法人制度の枠内において対応しております。したがいまして、原則的には、法人格を異にする機関に関して、渡し切りの交付金が交付されておるという形から、基本的には、執行責任等はJAXAにおいて完結しておるところではございますが、御指摘のとおり、国民の税金の適切な執行という観点から、この制度の枠組におきましては、毎年毎年、私ども、業績評価の過程におきまして、契約の適正化という事項に関して、事後的の事後評価ではございますが、JAXAから報告を求め、その中で、国の定める様々な契約改善等が着実に実施できているという点をJAXAに評価させ、その結果というのを、法人所管大臣というような形で監督するという枠組をとっております。
現状におきましては、この取組の中に応じて、いわゆる国立研究開発法人として、研究開発の成果の極大化とこの適正な執行のバランスというのが現行制度の下でも担保できておるのではないかと、私ども考えてございます。
【亀井委員】  最後に、すみません。これ、やっぱり確認をしておきたいのは、つまり、いろんな知見というのは、執行側の方に当然貯まっていくわけですよね。それを文部科学省として、お金の出し手として評価をしていかなければいけない。ある種、蛇口を締めていかなければいけない中で、これは多分、財務省が見ているのか見ていないのか、私は分かりませんが、主計からすれば、更にこれは深いところに入っていっている中で、結果として、文部科学省がJAXAの使っているお金の妥当性というものをどう説明するのかというのが、今のプロセスで果たして十分なのか――十分なのであるというのが御説明いただいたところなんですけれども、こうやって改めて契約関係というか、いろんな関係性を見ていくと、逆に言うと、ここしかないのかなと。もちろん、独立しているし、研究開発の自由度からすれば、こういう方向が望ましいということで、この制度ができたわけですから、そこは重々承知した上でなんですけれども、そこはそれとして、その金額の妥当性をどう説明していくのかというところについては、もう一段工夫が必要なのではないかなというのは、今漠然と考えているところで、そこは少し考えてみてもいいのではないかなと思いました。
これは最後、意見として申し上げさせていただきます。ありがとうございました。
【説明者】  補足説明してもいいですか。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  どうぞ。
【説明者】  委員の御指摘、ごもっともだと思いますので、できる限りのことをしていきたいと思います。
私どもの方も、このシステムの中で、できるだけそういったことになるようにということで考えています。やっぱり一番大事なのは、JAXAの知見が貯まっているところがちゃんと能力を発揮できるようにするというところがポイントで、評価のときも、先ほどちょっと申しましたけれども、より精度が上がるようなデータをこのチームのところに貯めていくような、この能力を上げるような改善をしているということであるとか、また、契約担当者が詰めるときに、一緒に作業をして、その精度を上げていくとか、ここのJAXAの肝心な部分のところの能力の向上又は改善というものを、説明をなるたけ聞いて、そこを評価していくというところが大事なのかなと思っておりまして、まずそういったところからしっかりやっていきたいとは思っております。
【亀井委員】  最後に1点、ごめんなさい。これ、あるとすれば、文部科学省側に知見がよりJAXAに対してあるんだとすれば、先ほど、JAXAの中で似たような事例については、プロジェクト間で比較を行いなさいみたいなアドバイスをしているというようなお話があったんだと思うんですけれども、まさに国立研究開発法人の多くを所管されているのは文部科学省なわけですよね。その文部科学省から見たときに、例えば、理研だとか、そういったようなところも含めて、同じような研究開発についての妥当性だとか、1つは定性的な話と、あとは金額としての査定という話なんだと思うんですが、そちら側の知見を文部科学省としてどう貯めていかれるのかという課題は、これは、すみません、一宇宙に関する担当課の話ではなくて、いわゆる研究開発のマネジメントの課題としてはあるのではないかなということで、これは、すみません、多分、省全般の話なんだと思うんですが、指摘をさせていただきたいと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  関連で、有川委員、お願いします。
【有川委員】  関連でお伺いしたいと思います。
34ページの方の話で、確かに、その年度その年度の個々の契約をやる場合は、主体的にJAXAがやるんだろうと思いますけれども、今お話がありましたように、そのやったものについて、事後的に業績評価を通じて、契約の実施状況について評価して、ものによってはそれに対して訂正を求めていく。もちろん、個々の契約をもう一回やり直しというふうな訂正はなかなか難しいのかもしれませんが、少なくとも契約の執行体制とか、あるいは、契約の基準とか、あるいは、その運用の仕方について、将来に向かって直すということは、その評価の中で求めていくのは文科省の役割だと思うんですけれども。
そういう意味合いでは、この33ページのいろんな契約は、いみじくも確認公募が意味していますように、継続案件とか、あるいは、従来からこの者しかないというような案件がたくさんあるわけですから、その者とやっている契約、これまでやった契約のやり方でいいのかどうかというのは、評価を通じて繰り返し文科省が指導できるんだろうと思います。
契約のやり方にもいろいろ指導ができるんだろうと思いますが、その一つの例として、先ほど松浦委員から話が出たのと全く同様な気持ちなんですけれども、「はやぶさ」の初号機と「はやぶさ2」の開発が、もし当初から計画されている、ある程度想定されているものだとすれば、この短期間どうのこうのという理由より、当初からこれらについてもうちょっと広角的な契約の仕方というものが検討されたのかどうかということを確認したいのと、それから、契約価格の妥当性の方、35ページの方に書いてあるやつについては、ほかの研究開発法人や独立行政法人でしばしば見受けるんですけれども、同じ開発業者とか、そういったところで繰り返し契約をする、あるいは、確認公募という形で、大体その者しかないというときは、その者との従来と同様の、あるいは、類似の契約履行の実績をしっかり確認した上で、次の契約の価格を算定するというのが必要なので、前の契約のときの机上での計算で、それと今回のが整合性が取れたというのは、最初のやつが本当に妥当性が取れているかどうかを確認できないと、結局、虚構の上に虚構が乗っていく可能性があるので、その辺、文科省の業績評価の中で、価格の妥当性を検証するときに、ずっと継続してくるような業者の過去の実績を、JAXAがきちっとそれを押さえた上で、新しい契約の価格についてチェックしているかどうか、それをきちんと押さえて指導しているんでしょうか。
【説明者】  まず最初の御質問の「はやぶさ」初号機と「はやぶさ2号機」の件なんですけれども、「はやぶさ2号機」をやるということが決まった時点では、もう目的とする小惑星との関係から、短期間で作らなければいけないということが決まっていたということもあって、長い期間あったらどうだったかというのは、なかなか言えないところはあるんですけれども。やはり「はやぶさ1」の初号機でなかなかうまくいかなかったというような部分もあったので、その技術の確立というのが「はやぶさ2号機」の大きな目的の一つであったため、「はやぶさ」初号機を作製した1社にこのときは限られるというふうに考えてございました。
また、次の御質問ですけれども、確かに、最初の段階で工程をきちんと確認をしているのかというようなことでしたけれども、JAXAが研究開発を企業と一緒にしていく中では、当然、JAXAの技術者が現場に一緒に立ち入って、工程を見たりするようなことがたくさんございまして、そういった技術者が次のときも、あの工程であればこれぐらいかかるよねというようなことを確かめながら、技術を担当する者と契約を担当する者、両方が契約を一緒につくっていくということによって、確実性を担保しているというところでございます。
【有川委員】  工数とか、そういったものの確認は、恐らく技術者が一緒になって調べているんだろうと思いますけれども、いろいろ個々の物件費や人件費について、きちんと調べないと、やはり最初のときの計算が妥当かどうかを押さえておかないと、結局は、計算上の金額で次の契約がまた行われるということになるものですから、そこのところを業績評価のときに文科省の立場から、きちんとそれが行われているかどうかを検証しないと、文科省のミッションが十分果たせないのではないかと思うんですが。
【説明者】  分かりました。御指摘を踏まえて対応していきたいと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  よろしいでしょうか。
それでは、中室委員、どうぞ。
【中室委員】  ありがとうございます。
私のその質問は非常にシンプルなんですけれども、評価を行っておられる外部有識者をどのように選んでおられるのかという点が1点と、もう一つは、その評価の結果の公表をどうしておられるのかだけ教えていただけますでしょうか。
【説明者】  文部科学省の法人の評価でございますでしょうか。JAXAの……。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  マイクを。
【説明者】  すみません。今の御質問の評価の主体は、JAXAの社内の評価体制でございますでしょうか。文部科学省の法人の評価体制に関する御質問ですか。
【中室委員】  はい。
【亀井委員】  34ページ。
【中室委員】  34ページですね。
【亀井委員】  34ページの契約監視委員会。
【説明者】  契約監視委員会。
【中室委員】  そうですね。
【説明者】  契約監視委員会の方は、JAXAが指名しまして、それを文科省の方で了解するというようなのが手続になっております。
JAXAの方から、外部有識者については、それぞれ選定の際に、どういう観点だったかということが示されておりまして、今、それの説明をした方がよろしいですか。一名一名、説明した方が。
【中室委員】  いや。
【説明者】  そういうのを聞いて……。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  個別名というよりも、どういった専門の方が指名されているのか。
【説明者】  外部有識者は4人ほどございまして、まず、企業の方、民間企業の経営経験者の方、それから、会社法の専門家であるというような方、それから、企業コンプライアンス・商法・商取引・会社法の専門が分かる、これは大学関係の方、それから、公認会計士というような形で、その外部有識者4名は選定されてございます。
【中室委員】  その結果の公表は。
【説明者】  JAXAの方から、この名簿について公表されてございます。
【中室委員】  名簿ではなくて、その契約審査委員会の中での議論の結果というのは、公表されているんでしょうか。
【説明者】  それにつきましても、公表されてございます。
【中室委員】  分かりました。ありがとうございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、伊藤委員、先に挙げていらっしゃいました。お願いします。
【伊藤委員】  これまでお聞きしていて、私も一時期、行革で独法を見ていた部局にいた立場として、基本的には文科省は、今でいう研究開発法人に対してのチェックの仕方というのは、個々の事業を見るというよりは、定期的な、まさに運営費交付金があって、それを定期的にチェックするということが、まずは原則的なチェックの仕方だと思うんですが、冒頭、亀井さんからお話のあったように、どのタイミングで、どういうふうにチェックができるのかということと、その契約に係るノウハウってどうやって貯めていくのかということは、実際には、文科省として考えると、とても難しいなと思っているんです。
併せて、JAXAのことにおいては、ステークホルダーは文科省と、もう一つ、宇宙政策委員会があって、もちろん、宇宙政策委員会で議論されることで、基本的には企画の話であったり、今後どうするかという話をされていると思うんですが、その中において、ここで今日議論になっているような、どこの事業者にどういうノウハウがあるのかということも、全く議論されないかというと、そうではないと、私は議事録とかを見ていて感じているんです。
そういった意味で、これは今後も含めて、契約において、文科省がJAXA、今回は、その中の特徴的な3つのものを出されているけれども、本当はもっともっとたくさん契約案件ってあって、それをどうチェックするのか、また、そのノウハウ、まさに1社だけではなくて、どうやってほかの事業者があるのかというような意味でのノウハウを貯めるのかというところについては、まず1つは、内閣府との役割分担と、これまで、例えば、そういうJAXAとの関係の中で、研究開発法人と所管省庁の関係ではあるけれども、細かな契約一件一件において、ちゃんとそういう意味ではノウハウの蓄積があるのかどうかというところの確認をしたいんですが、いかがですか。
【説明者】  JAXAの方で、そういったノウハウをちゃんと蓄積していくということは大変大事だと思っておりまして、それをちゃんと蓄積されているのか、また、そういった努力をしているのかということについて、できる限り評価のところで説明を聞くなどして、そういった活動が担保されていることを確認していきたいとは思います。
また、政策等の関係で、そういったものが必要になることもあるかなということで、内閣府の方も、これは事後になりますけれども、どういったところがそれぞれのプロジェクト開発に参画しているのかというのは、やはり理解しておいた方がいいかなということもありますし、機会があれば説明などして、政策をいろいろ議論する者も、細かな金額とか、そういうところは難しいかと思いますけれども、どういった会社が参画しているのかというのがなるたけ分かった方がいいかなとも確かに思いますので、そういうのは心がけてはいきたいとは思います。
【伊藤委員】  今のお話でいくと、現時点では、逆に言うと、内閣府にはそれほどそういう知識はないであろうということですか。情報か。
【説明者】  御説明申し上げます。基本的には、内閣府は総合調整という観点から事業に入ってまいりますので、第一義的に、私どもも内閣府に個々の執行の契約等に関しての御確認というのは積極的に求める立場でもありませんし、そういった総合調整、内閣補助事務というのはそういったものではないとは考えてございます。
ただ、先生御指摘のとおり、プロジェクトを遂行するに当たって、ステークホルダー等の構成は重要でございます。そういった観点から、先ほど申し上げました基幹ロケットの開発等につきましては、主要な開発事業者間での機能の分担等の、契約の前提となるサプライチェーンのフレームワーク等につきましては、まずは文部科学省で検討した上で、その検討の結果を、この研究開発の進捗に応じて内閣府側に報告するという機会を持ってございまして、そういった中で、主とした開発のミッション、もしくは、どういった会社にどれぐらいの責任を負わせて開発を大成させるか、その中で、国内において必要なサプライチェーンが確保できており、そことの関係で適切な契約が結ばれているのかというのを、大所高所の観点で、ロケットですとか衛星の開発等に関しては、研究開発の進捗管理という観点から、適宜、そういったところにつきましても内閣府と御議論しているところでございます。
【伊藤委員】  今回は、論点としては契約の話ではあるんですが、多分、契約だけでうまく切れるものでは余りなくて、頭脳である企画の部門というのは、今は内閣府の宇宙政策委員会にあって、そこと、足腰である、お金を持っている文科省、だから契約の案件がある。今のお話でいくと、そこの連携ができていないというものではなくて、連携をしながら議論を進めているというふうに。これはなかなか議事録とかを見ていても、そこまで見えてくるものではないので、もう一回確認したいんですが。
【説明者】  研究開発の進捗の管理という観点で、文部科学省の研究開発の評価をやっている部会における研究開発進捗管理の進展に応じて、内閣府の政策委員会に順次報告するという形で、双方の連携を取ってございます。
まさに御指摘のとおり、その観点で、必要に応じて、契約関係ですとか、開発体制といったものも十分議論できるような双方の関係にあると承知してございますので、総合調整部門と分担管理部門とで役割分担の下、そういった情報は共有できるように努めておるところです。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、田辺委員、お願いします。
【田辺委員】  JAXAの契約監視委員会について質問なんですけれども、これが設置されたのはいつですか。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  今調べてもらいますので、次の御質問をお願いします。
【田辺委員】  そうですか。それと、この契約監視委員会でどういうものを取り上げる、つまり、サンプリングと書かれていますけれども、多分、金額が多い、特にJAXAの場合は、金額が相当大きいですから、サンプリングというよりも、多分、一定規模以上は審査するとか、そういうようなのが適切ではないかと思うんですけれども、どういうふうにこの契約監視委員会は監査といいますか、監視をしているのか。
それで、私が思うのは、今お話を聞いた限りだと、これは文科省の中の契約監視とほとんど同じで、つまり、多額の予算を執行している機関の中とですね。だから、特別に注意して組織が設計されたというと、必ずしもそうではないように思うんですね。その点ですね。つまり、多額な予算を使っているJAXAという機関の中で、契約監視についての仕組みづくりが余り検討されていないのではないかと思うんですけど、これは何かを参考にされて、この仕組みをつくったのかどうか。
もう一つは、文科省としても、例えば、契約監視委員会のさっき議事録とかありましたけれども、ここでどういうことが問題点として指摘されて、改善策とか、そういうものも、私は定期的に文科省として確認してはどうかと思うんですけど、そういうことはどうでしょうか。
【説明者】  すみません。まず、契約監視委員会の設置年月日からお答えさせていただきます。平成22年12月10日でございます。
【説明者】  平成21年11月17日に、独立行政法人の契約状況の点検・見直しについてという閣議決定がございまして、その中で、独立行政法人については、契約監視委員会を置くこととされてございます。それに基づきまして、JAXAだけではなく、独立行政法人の方ではこういったものを置くというような形になってございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、中室委員、お願いいたします。
【中室委員】  ありがとうございます。
今御質問があった件に関連してなんですけれども。今、契約監視委員会の活動のまとめというのを見てみますと、やはりこれを読んで納得できる人はすごく少ないのではないかというような感じがするんですね。というのは、例えば、随意契約とかいうようなことについて議論されていますけれども、点検した結果、問題となるような契約はなかったというようなことがずっと書いてあるわけですけれども、「点検した結果、問題となるような契約はなかった」ことの根拠が何であるのかということがやっぱり書いてないので、恐らく、そういう外部有識者を呼んで、何かしらの議論はなされたんだと思うんですけれども、これがいわゆる「ちゃんちゃん」でなかったということは、この文面からはやっぱり読み取れないので、もう少し客観的な根拠を示しつつ、これが契約や価格に妥当性があるということがやはり示されなければいけないのではないかというような感じがしました。
もし亀井先生の方から追加があれば。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  どうぞ。
【亀井委員】  同じでありまして、2年連続で、私、見てみたんですけど、平成25年度も26年度も、ほとんど文章が変わらない。
【中室委員】  コピペですよね。
【亀井委員】  ほとんどコピペです、これ。これ、論文だったらバツです。
また大変残念なのは、例えば、実態について書いてあるのが、3の点検及び見直しの概要、(1)随意契約等見直し計画の実施状況についてとあるんですが、「平成26年度の随意契約割合の実績について点検を行った。当委員会の提言を踏まえた集計の結果、平成26年度は、ロケット打上げサービスを除く随意契約の比率は金額比で22.7%であり、見直し計画上の目標値(37.3%)を下回っており、やむを得ない比率であると判断する。」と書いてあります。
まさに今、中室先生からお話があったとおりで、なぜやむを得ないのか、そういったものが全く根拠がない。
ちなみに、25年度はどう書いてあったかというと、数字が26が25に戻っているだけで、あるいは、金額比で20.4%で、やむを得ない比率であると判断すると、2年連続で同じ判断が続いている。
これはやはりアカウンタビリティの観点からすると、先ほどの田辺先生からもお話があった契約監視委員会の在り方も含めて、それでいいのかなというのが率直なところであります。
【説明者】  今の御指摘はよく理解できましたので、この辺のところ、議論はしているので、全然何の根拠もなくということではないかと思います。
【亀井委員】  ではないと思います。
【説明者】  ただ、それが表わされていないとかいうところもありますし、多分、議論が足りない部分もあるかもしれませんので、改善点として頂戴して、この次からのこういった発表であるとか、また活動について考えていきたいと思います。御指摘、どうもありがとうございます。
【亀井委員】  多分、具体的には、これは、おっしゃるとおり、別に、だから何もしてないと言うつもりはありません。これは大事なことは、このプロセスをきちんと公表することではないかなと思います。プロセスの公表であり、何をもって、我々としては、ここまでの数字が出てきたんだけれどもやむを得ないと判断したのかというところが非常に大事でありまして、ましてや「目標値が下回っており、やむを得ない比率であると判断する」というのは、これは、だとすると、じゃ、どうするんだというネクストステップは必ずあるはずで、これは読みようによっては、開き直っているようにも読めなくもないわけですから、そこも含めて、書きぶりですとか、あるいは、具体的なプロセス、だから、例えば、毎回、3か月に1回やっている委員会の議事録を、もちろん秘密のものは出せないかもしれませんけれども、きちんと開示をするであるとか、そういったことは、プロセスとして改善できることは多々あるのではないかなと、このように思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  大分議論が進んできておりますけれども、まだコメントシートへの記入をなされていない外部有識者の方におかれましては、コメントシートへの記入をお願いいたします。事務局は、コメントシートの回収をお願いします。
引き続き議論をお願いしたいと思いますが、ほかにいかがでしょうか。
松浦委員、どうぞ。
【松浦委員】  繰り返しになります。大分前の御質問に御回答いただいた、私が質問じゃないですけれども。「はやぶさ2」の話ですけれども、私が、それは改良ですか、新規ですかという質問を前にさせていただいて、そのときには、改良ということが主な要因であったというお答えを頂いたのでありますけれども、その後の委員の御質問で、時間がなかったからと、また揺り戻しがありましてですね。
要は、これは本当に時間が十分取れたのであれば、新規開発予定だったんでしょうか。それとも、ベースはやはり「はやぶさ」というものが世界的な実績を上げたので、時間は短かったのもありますが、それを改良するということにメーンの視点があったのか、そこだけを再確認させてください。
【説明者】  「はやぶさ」の計画で初号機、辛くもというんでしょうか、目的を達成させていただいたんですが、たくさんの課題が残ったということで、それを改良というか、もう一回確認できるものは確認し、改良すべきものは改良するということで、「はやぶさ2」という計画になってございますので、考え方は、そこのところがまずあって、それを達成しようとしたときに、サイエンスのメリットというのも大事なので、「Ryugu」というところに行くべきだという議論が併せて起こって、そこに行くためには4年という歳月しかなかったということなので、説明は2つ並んでおるかもしれませんが、まず大前提としては、「はやぶさ1」「2」ということで、サンプルリターンの技術を習得するというところですので、そこにまずは考え方があってということでございます。
【松浦委員】  じゃ、プライオリティとしては、問題点の改良が第1位でということですね。
【説明者】  はい。
【松浦委員】  ありがとうございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございます。
コメントシートの方を回収いたしまして、今、取りまとめにかかっておりますので、若干のお時間を頂きたいと思います。その間、外部有識者の方におかれましては、引き続き、ほかの観点からでも結構でございますので、御質問等ございましたら、お願いいたします。
それでは、コメントシートの集計が取りまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員より、評価結果及び取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【有川委員】  まず投票結果ですけれども、全体的な事業の抜本的な改善を求めるという意見が1票、事業内容の一部改善を求めるのが5票という結果になりました。
各コメントシートから主なものを紹介させていただきますと、一者入札・一者契約になっているところについての十分な分析が行われているとはなかなか認めにくい。そこら辺のところは改善が必要だ。
それから、契約のノウハウが文科省に集まってくる、そういう仕組みづくりが必要だ。
それから、契約と企画を担う宇宙政策委員会との連携も強化していくことが必要だろう。
それから、多くの委員の共通する意見でありますけれども、契約監視委員会が形骸化している、ないしは、十分審議が尽くされているようには外からは見えない。この契約監視委員会でのチェック過程などのプロセスをきちんと開示していく必要があるという意見がたくさん見受けられます。
また、文科省として、研究開発法人のマネジメント、特に費用の妥当性についての知見を高めることも、文科省に対しても期待したい。
それから、既に言った話でありますけれども、契約のプロセスの公表とか、あるいは、JAXAの内部監査の体制整備、そういったものを業績評価する側の文科省がしっかり確認・評価をする必要があるという意見。
それから、科学の面では、過去の履行実績を適切に調査・分析して、その結果を踏まえて契約価格の妥当性の検証を行っていく必要がある。
それから、契約方式の選定や契約者の決定過程についても、一層の透明化を図っていく必要がある。
こういったもろもろの意見を頂いたところであります。
最終的な結論といたしましては、評価結果が、先ほどのように、5票が事業内容の一部改善ということでありますので、当委員会としての結論結果としては、事業内容の一部改善という結論で、取りまとめコメントとしては、今、多々意見を頂きましたけれども、大きく3つに整理させていただきたいと思います。
1つは、契約過程についての透明性の一層の確保ということで、契約監視委員会の在り方も含めて、契約過程の一層の透明性を確保されたい。これは文科省にも一定の役割がある部分でありますので、文科省も、しっかり業績評価を通じて、そこのところに関与されたいというところであります。
それから、2点目は、文科省自体も、JAXAの研究開発についてのいろいろなマネジメント、特に費用の妥当性や、あるいは、契約に関する情報が集まってくるように、ほかの機関との連携も深めながら、文科省独自の努力を一層進めていただきたい。
それから、3点目としては、契約価格の妥当性については、更に履行の実績をしっかり行って、それを踏まえた上で、次の適正な契約価格を結べるようにしてもらいたい。
このような3点でまとめたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、以上ということで、よろしくお願いいたします。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構運営費交付金に必要な経費の公開プロセスについては終了させていただきます。
次の運動部活動指導の工夫・改善支援事業につきましては、10分間休憩の後、14時35分開始といたしますので、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、5コマ目を始めさせていただきます。
このコマには、行政改革担当の酒井大臣政務官が御視察されておりますので、御紹介いたします。
これからの時間帯は、運動部活動指導の工夫・改善支援事業について、御議論を賜りたいと存じます。
初めに、事業概要の説明をさせていただきます。事業担当課は、5分以内で簡潔に説明をお願いします。
【説明者】  スポーツ庁でございます。それでは、説明をさせていただきます。
まず1ページの政策・施策・事業整理票を御覧ください。これまでの御指摘も踏まえまして、もう一度、目的、そして課題等を整理し直しました。
まず政策目標でございますが、スポーツの振興、そして、その概要で、子供から大人まで心身ともに健全な明るく活力ある社会を実現する。そのための施策目標として、子供体力向上というものを掲げさせていただきました。そして、この子供の体力の向上を図るためには、学校の中で体育もございますが、運動部活動の活性化により、子供たちがスポーツの楽しさや喜びを味わえるようにするというものを目標とさせていただきました。そして、それを達成するための事業として、今回の運動部活動指導の工夫・改善支援事業というものを説明させていただきます。
目的でございますが、繰り返しになりますが、運動部活動の活性化により、子供たちがスポーツの楽しさや喜びを味わえるようになり、その結果、子供の体力の向上につなげることとしております。そして、それを踏まえたアウトカムとして、6つ挙げさせていただいております。
1つ目、1、2、これは男女別でございますが、全国体力・運動能力調査を活用しまして、実施校における「運動やスポーツをすることが好き」である生徒、これは中学2年生のデータでございますので、同じように中学2年生の男子と女子の割合が全国平均を上回るというものを、まず成果目標の1と2としております。そして、3、4といたしまして、実施校における「体力に自信がある」、やはり中2の男子・女子の割合が全国を上回ると。そして、最後の目標としまして、生徒の「体力合計点」が全国を上回ると。主にこの6つをアウトカムとして整理させていただいております。
詳しくは、15ページを御覧いただきたいと思います。こちらが、今までのものをもう一度再構築して整理したものでございます。
まず上から見ていっていただきたいと思いますが、目的が、申し上げましたように、運動部活動の活性化により、子供たちがスポーツの楽しさや喜びを味わえるようになり、結果として体力の向上につなげると。そして、ここで課題が、我々、4つあるという形でまず考えました。
まず、左の、担当する競技の経験がない教員が多いということで、約半数が担当する部活動の経験がない。これは資料1で、16ページにございますが、中・高のデータを載せております。特に中学校では45.9%の方が、体育の先生でもなければ経験がないということが課題としてございます。
2点目としまして、教員が部活動に費やす時間が長い。これは、資料2、17ページでございますが、TALISの国際調査の結果によっても、比較的部活動を含む課外活動が長くなっているというものがございます。
そして、3としまして、例えば、少子化による部員の減少や女子のやりたい部活がなかなかない、そうした多様なニーズに対応する必要があるということで、資料3に現状を書かせていただきましたが、平成18年度から27年度は、合同部活動が倍に増えておりますし、特に女子の方は、運動しない子供が一部いるということは課題としてございます。
そして、体罰につながる行き過ぎた指導が行われている、これによって子供たちが楽しい部活動ができないということもございますので、こうしたものを改善していくことがあるだろうと。資料4としまして、体罰の根絶に向けた主な取組の例示を挙げさせていただいています。そして、参考データとして、全国データでございますが、25年度と26年度、減っているというデータを示させていただきました。
これらの4つの課題を課題として考えておりまして、解決するために、3つの手法でやっていくのがいいのではないかという考えの下、真ん中にございます青と緑と赤、これを示させていただきました。
まず、先生の経験がないというのを、民間活力によって、子供たちに技術的な指導をしてあげると。その結果によって、外部指導者の協力による教員へのサポートによって先生に余力を与えるというのが、この青で囲んだ外部指導者の協力による子供たちへの技術指導の充実というものでございます。これが事業のほとんどを占めておりまして、約9割を占めております。ですから、前回、私がちょっと申し上げたので、教員の指導力の向上というのは、この事業の目的だということで申し上げましたが、目的ではございますが、私の説明が至らなかったんですが、これが一番のメーン事業となります。
そして、2番目としまして、緑の真ん中にございます、こちらは、いろいろなニーズに対応するための部活動づくりということで、先ほどの合同部活動とか、そうしたものに対して、またこれも指導者の方に手伝っていただいて支援をしていくというものを、2つ目の事業としております。
そして、最後に、行き過ぎた指導上の是正や、一番最初に申し上げました、経験がない先生に研修をして指導力を上げてもらうというのが、運動部活動の指導者への研修ということで、赤の四角の事業を展開させていただいております。
前年度までのアウトカムは、結果として中学と高校の運動部活動の参加率ということで見ておりましたが、これが事業目的とマッチしていないのではないかという御指摘もございました。確かに御指摘のとおりということもございまして、アウトカムを改善し、やはり子供たちの楽しさや喜び、そして、体力の向上というデータから言えば、この全国調査を活用しまして、全国平均との比較で、先ほど申し上げました、運動やスポーツをすることが好きとか、体力に自信があるとか、体力の合計点というものでアウトカムを設定し見ていこうというものでございます。
最後に、20、21ページに、サンプル調査ではございますけれども、26年度にこの事業を実施した5校を無作為で抽出し、全国の平均と比較したものでございます。左側にあるものが、運動が好きと答えた男子と女子のデータでございまして、上がっているものもあれば下がっているものもございますが、全国平均で見ると、比較すると、いずれも伸び率が高くなっております。右側、21ページにございますのが、体力の合計点でございまして、こちらにつきましても、伸び率は全国の平均を上回っているというものでございます。
なお、先ほど冒頭に申し上げました「自信がある」という指標につきましては、27年度から採っているというもので、26年度の学校では調査ができませんので、これについてはしておりません。
簡単ではございますが、以上でございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、私の方から論点について説明させていただきます。お手元資料3ページの論点等説明シートを御覧ください。
まず1つ目として、達成すべき目的と手段(事業内容)は整合しているかという点。
2つ目といたしまして、本事業は課題の把握と原因分析が十分に行われた上で立案されているのかという点。
3つ目といたしまして、アウトカム・アウトプットは適切に設定されているのか。
以上3点について御議論願います。
それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。説明者は、外部有識者からの御質問に対し、簡潔明瞭に回答を願います。
亀井委員、お願いいたします。
【亀井委員】  まず、ごめんなさい、具体的にこの事業が何をしているかを、少し国民の皆様にもきちんと、公開プロセスですから、共有した方がいいと思うんですが。
まず、大きく分けて3つの事業がありますと。1つは、事業レビューシートの5ページに従えば、スポーツ医・科学等を活用した高度な運動部活動指導体制の構築。15ページの言葉を使えば、外部指導者の協力による子供たちへの技術指導の充実。これは多分同じことだと思うんですが。
それから、2つ目が、多様な運動部活動づくりに向けた指導内容・方法の工夫改善の実践。これは15ページは、多分グリーンのやつだと思うんですね。多様な運動部活動づくりに向けた運営の工夫・改善。
それから、事業レビューシートを見ると、3つ目が、運動部活動指導者の指導者養成事業。これは研修で、多分、15ページでいうピンク、それから、サミットも同じピンクなんじゃないかなというふうに理解しているんですが、まず、そうですかという話と、このために、どういうふうにスポーツ庁さんからお金が出て、そのお金が何に具体的に使われているのかということを御説明いただけますでしょうか。
【説明者】  まず、基本的に、今委員のおっしゃった御説明で、ほぼ同様でございます。
ただ、1点だけ、サミットにつきましては、この3つの色の下にございます、関係者を集めて共有というところで、ここはサミットが果たしている役割というのはございます。
そして、事業の実施方法でございますけれども、これは、まず15ページで見ていただくのが一番分かりやすいかと思いますが、この各学校で実施という青とグリーンのもの、こちらにつきましては、都道府県の教育委員会と指定都市の教育委員会に事業委託をしまして、都道府県の教育委員会等が各市町村に募集をかけて、それで、基本的には公立の学校で実施しております。
そして、赤の部分につきましては、こちらは都道府県と指定都市のやはり教育委員会の方が中心となって行っておりまして、そこの県内の先生方を集めて、都道府県と指定都市が研修を行うと。関係団体でというのはございますが、これは中学校体育連盟、こちらの方でも、それぞれの関係者を集めて研修を行っているというものでございます。
そして、何に使っているかというものでございますけれども、これにつきましては、ほとんどが外部指導者の謝金に使用させていただいているというものでございます。また、この赤の研究会につきましては、会場費であったり、または、やはりそこに来ていただく、指導をしていただく謝金であったりと、そうしたものに使わせていただいているというものでございます。
【亀井委員】  ごめんなさい。もうちょっと詳しく教えていただきたいんですけれども、例えば、じゃ、愛媛県にお渡しをしました。これはモデル校というのを1校なり2校なり選んで、そこに対して、サッカー部も、野球部も、女子ソフトボールもみたいな形で、それぞれお金としてはお渡しをされて、1校をモデル校、2校をモデル校という形で集中されているのか、それとも、サッカーはここ、野球はここ、何はここという形で分散をされているのかどうか、まず派遣の場合はどうなのか。
それから、もう一つ分かりにくいのは、多様な運動部活動づくりに向けた運営の工夫・改善というグリーンの事業というのは、具体的に何をするとこれができるのかというのが多分分かりにくいと思うんですね。少なくとも私は事前にいろいろと聞いていますから分からんでもないですけれども、ここを具体的にイメージできるようにお話しいただけますでしょうか。
【説明者】  まず、平成27年度のこの事業を実施している学校は、全部で959校ございます。中学校で。例えば、1つの県で、静岡県でいきますと、中学校は2校、高校でたしか20校ぐらいで実施しております。基本的には、その中学校で全部の部活をフォローするというよりは、やはりその指導者が、サッカーの指導者なのか、野球の指導者かというのは、どうしても地域で限られてしまうものがございますので、1つの中学とか学校につき、大体1つの部活動か2つの部活動ぐらいに外部指導者が派遣されていると。それが域内で、例えば、県内で60校ぐらい委託しているところもあるような状況でございます。
多様な運動部活動づくりというのでいきますと、去年は特に例示として、女子が参加しやすい運動部活動づくりということで、あくまで例示なんですが、例示のメーンとして挙げさせていただきまして、例えば、神戸とか、埼玉とか、世田谷の方では、今、なでしこジャパンで女子サッカーが人気なんですが、サッカーの部活動がないということで、外部の指導者の方に来ていただいて、同好会的な形でサッカーを経験してもらったと。それに対する謝金を出したというものもございます。
また、そのほか、ダンスなんかも、なかなかダンス部がなかったりするようなところもございますので、ここにも女子が参加しやすいように、ダンスをやる指導者を呼んできて、そこで経験をしてもらうようなための謝金を出しているという例がございます。
【亀井委員】  だとすると、今の15ページが、これまでのいろんな協議を踏まえて、これまでのアウトカムから変えて、課題が随分変わったなと率直に思うんですけれども、整理をされたのかなと理解しております。
そういう中で、目的を達成する課題が資料1から4までそれぞれ書かれているんですが、この課題を解決するための手段になっているのかどうかが、今までのお話を伺っているとよく分からなくて、担当する競技の経験がない教員が多いのが、プロの人が来ることによって、例えば、今までサッカー部はそういう経験がない人が顧問でいたんだけれども、それが変わったと、こういう理解でよろしいんでしょうか。
【説明者】  御指摘のとおりでございまして、私たちもアウトカムをどのように設定するか一番頭を悩ませまして、例えば、御指摘のとおり、担当する顧問の半数が経験がないと。結局、これはもう入ってきたときに経験があるかないかでございますので、これを経験させたという形で改善するというよりは、現実として、なかなか経験がない教員がもう入ってくるような状況でございますので、そうであれば、民間の方、民間活力のお力を得て、なかなか専門的な指導ができない子供たちの現場で、外部指導者の方から技術指導をしてもらって充実させると。そうしたことで見ていくと、アウトカムとしては、最終的には、子供たちがそれを結果として享受したかどうかということで考えまして、1つの指標として、スポーツをすることが好きになったとか、体力合計点で見るのが適正なのかなという形で設定させていただきました。
【亀井委員】  幾つか論点がここから少し多様になるので、あんまり聞いている人が分かりにくくならないように意識しながら話をしたいと思っているんですけれども。
今のお話について言うと、例えば、サッカー部についてのみ設定されたわけですよね。あるいは、野球部についてのみ、経験がある方が来られたわけですよね。それを、学校全体で見るというのは、果たして正しいんですかね。たまたま挙がっているようにも見えなくもないし、確かに運動が好きと答えた生徒の比較だとか、体力合計点の比較というのは改善しているようにも見えるんですけれども、これが本当に妥当なのかというのは、やや疑わしいかなという気がします。これは1点指摘をしておきます。
それから、もう1点、運動部活動に対する多様なニーズがあるということで、資料3に、複数校合同での部活動実施校数推移というふうに書いているわけですけれども、これにもかかわらず、この課題に対する答えとしての具体的な事業が、女子生徒の参加しやすい運動部活動等、多様な云々かんぬんというのは、ちょっと話がロジックとして飛ぶなというのが率直に感じているところで、いろいろと整理はされているような気がするんですけれども、何か飛び飛びの事実があって、本当にこの政策が何のために行っているのかがやや理解しにくいなという印象を受けておりますが、ここら辺はいかがでしょうか。
【説明者】  御指摘もっともでございまして、確かに、全部の学校の運動部活動に外部指導者の方が行ければいいんですが、なかなか予算の関係もありまして行けません。それで採るのが一番適切だと思っております。ただ、体力調査を実施するに当たって、そこのA部のサッカー部に入っている子供のデータだけを抽出することが、学校現場の負担になるのかなというのもございますが。ただ、御指摘も我々も十分考えておりまして、場合によっては、全く同じような調査を、この実施事業を実施する前と実施した後で、外部顧問の方が来た部活動に同じアンケートを採って、こちらに出してもらって、それを全国データと比較するということもあるのかなということでは考えております。
もう一つの合同部活動につきましては、これについて、なかなかどういう形で、結局、子供が少なくなってきて、2つの部で野球部をつくったりとか、サッカー部をつくったりということになっているんですが、どういったアウトカム――これもやるとすれば、複数校合同で外部指導者が来て教えてもらうところの、そういうアンケートとか、やはり同じような個別の体力アンケート調査を採るのが適当なのかなというところで、頭を悩ませていたところが実情でございます。
【亀井委員】  これでやめますけれども、やはり政策として実施をしているのであれば、そもそも、これ、これまでのプロセスで指摘されたから、これからアンケートを採るということではなくて、本来、これ、教育委員会が間に挟まっているわけですから、教育委員会としても、これ、国からもらったお金だから使ってくださいということではなくて、彼らも彼らで多分説明責任があるんだと思うんですね。そういったことは、国には国の説明責任がある。各県の教育委員会は教育委員会としての説明責任がある。そういう中で、学校の負担がいろいろと重いというのは重々承知はしておりますけれども、そこは政策を実施する以上、設計段階で当然準備されるものなのではないかなという気がいたします。
そういう中で、具体的な課題認識であるとか、あるいは、方法論というのが、やや行き違いがある中で、ここは一旦整理をしないといけないのかなという気がしておりますし、更に言えば、これが構造的問題であるならば、なぜ32年でやめるという形になっているのかもよく分からないですし、ここら辺も含めて、是非、根本から考え直す必要があるのではないかなと、私はそう思っております。意見として、最後申し上げます。
以上です。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、中室委員、お願いします。
【中室委員】  ありがとうございます。
ずっと勉強会のときから悩んでいたんですけれども、やっぱり事業の目的がいまいちはっきりよく分からないような気がいたします。今回、アウトカムを幾つか書いてきていただいて、このアウトカムが果たして本当に現場とちゃんとシェアされているのかどうかということがやっぱり大変気になりまして、前回の勉強会時点からアウトカムが大きく変わっていることから見ても、この政策の目標自体が、多分、文部科学省の中でもそうですし、外ともやっぱりうまくそれがシェアできていないのではないかというような疑念を私の中で払拭することができません。
今、亀井さんがおっしゃいましたように、もし仮に運動部の活動を改善するために、あるいは、教員の負担を減らすために外部指導者が必要で、そのことのために謝金を払っているというのがこの事業の目的なんだとすると、32年以降は一体どうなるのでしょうか。その学校の外部指導者の方は、結局、謝金が払われなくなって、おやめになり、また素人の教員が再び指導するという、元のところに戻ってしまうのではないか。その意味では、今の謝金という使われ方では、この事業がシーズとなって、呼び水となって次につながっていくというようなところが、私には少なくとも見えないということがございます。
20ページ、21ページの方を見せていただきますと、確かに、こういう分析の仕方というのは一つあるんだろうなと思うんですけれども、これ、経済学の専門家から言いますと、どうして5校が選ばれたのかなというのがよく分からなくて、ひょっとすると、チェリーピックされているという言い方も変ですけれども、ランダムに抽出したというふうにおっしゃっていましたけれども、ランダムに抽出する必要はないのではないかという感じもするんで。950校ということであれば、その950校とそれ以外の学校というのを比べるとどうなるんだろう。わざわざ5校をピックアップされたのはなぜかなと思います。
抽出すると、この前後の差に統計的に有意な差があるかどうか、あるいは、この差が誤差にすぎないのかどうかということもやっぱり検定しなければならないわけですけれども、サンプルが5ということになると、それが分からないので、これが全国平均と比べたときに高いのか低いのかということは、実はこの図表からは言えないと思うんですね。なので、その辺も少し、私自身も、もし必要があれば、是非意見交換とかさせていただきたいと思いますけれども、政策評価の専門家とかと議論をされるということは一つ必要かなと思います。
仮になんですけれども、もしも本当に事業の目的自体が、運動やスポーツをすることが好きである生徒を増やすということなのであれば、実は、政策にはほかにオプションがあるのではないかと思うんですね。要するに、部活動ということに限って、かつ、教育委員会がこういうプログラムをやりたいですというふうに手挙げをしてくるところだけに限ってしまうと、仮にそういうところからエクスクルードされてしまうような生徒さんというのは、方法がなくなってしまうと思うんですね。要するに、これに当たらなかった学校の生徒さんで、運動の意欲はあるんだけれどチャンスがないという人をどうするのかというような話になったときに、例えば、今言われているようなバウチャーみたいな方法も、習い事バウチャーみたいな形で、全国の人たちにそういうものを使ってもらうというのも、部活動の指導員に謝金を払うのとある意味同じようなお金の使い方で、政策の方法としてはあり得るのかなと思うんですけれども、どうして部活動の支援をしなければいけないということになるのかということは、お聞かせをいただきたいと思います。
【説明者】  まず、最終年度目標が32年ということでございますが、ここの5ページにも米印で書いてありますが、まず、この事業というのは、補助事業ではございません。モデル事業でございます。ですから、モデル事業なので、ずっとこの事業を続けていくというよりは、こうした事業を3年なり5年なりやって、そこで、どういう形で国のシードマネーがなくなっても地方の方で続けていけるか、そうしたものをいろいろ考えていただこうというものでございます。そういった意味で、28年度から30年度は、本日の御議論も踏まえながら、成果目標とかを決めていって、その中で、場合によっては、32年、5年後ぐらいまで事業をやらせていただいて、そこでいって、まず完全にどんな形で地方がやっていけるのかということをお示しするのがいいのではないかということで、32年という形で設定をさせていただいております。
そして、なぜ5校なのかということでございますが、本来であれば、御指摘のとおり、全部、やっている中学校900校、約1,000校近くのものをお示しできればよかったんですが、これについて、かなり抽出作業に時間がかかるもので、今回、あくまでサンプルという形で5校を出させていただいたというものでございます。やるのであれば、確かに全部を出して比較するのが最も適切だということは考えております。
最後に、なぜ部活動だけでこれをやらなければならないのか。これも御指摘もっともでございまして、子供がスポーツを好きにするためには、当然、学校で言えば学校の体育の授業がございますし、運動部活動、そして、地域のスポーツクラブ、または、経済的な支援等々あるかと思います。スポーツ庁の方でもいろんなメニューを用意しておりますが、その中で、学校体育という中でいきますと、運動部活動というのは、やはり一番子供たちが学校の中では、全員の子ではございませんけれど、部活動に親しむ機会があるということで、この部活動の活性化をさせていきたいというのが、この事業の目的でございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】  まず、今、中室先生の話のつながりで、目的は、子供たちがスポーツの楽しさや喜びを味わえることが目的であれば、スポーツ庁としての視点は、運動部活動の活性化かもしれないけれども、あくまでそれは手段なんですよね。どうしても今のこの事業の組立ては、そうは言いながらも、その手段である部活の活性化だけが先に来ているから、さっきからの議論になっていると思うんですが、多分、部活に入っていない、いわゆる帰宅部の子たちだって、運動していないかといったら、そうではないわけだと思うんですよね。先にそこだけ確認させてください。
【説明者】  ええ、御指摘のとおりだと思います。
【伊藤委員】  となると、組立てがどうかという話がまず1つあるのが、これはここで終わらせておきます。
その上で、今やっている事業の、今回の2.2億円の大半は外部講師の謝金ということなんですが、これは26年度からやられていますけど、それ以前から、自治体では既にこういった取組をやっていると思うんですが、それについては把握はされていますでしょうか。
【説明者】  事業を各自治体でやっているということは把握しておりますが、今、個々のデータというのは持ち合わせておりません。
【伊藤委員】  少なくとも私が知っているのは、先ほど名前の挙がった静岡県であれば、この補助金からスタートしているわけではなくて、22年度から外部講師を呼んでやっている。ほかにも、私が関わっていた自治体の中でも、外部の講師を呼んでやっているんです。
自治体の中で、もちろん、静岡県は、この補助金の趣旨としては、専門家を派遣するということが趣旨になっているけれども、私が知っている自治体の多くは、専門家派遣というよりは、最初の御説明にあった、やはり学校の先生の負担をどう軽減するか。特に、顧問が異動したときに、不在になっている部活というのはもう実際存在していて、そこをどうやって埋めていくか。結果的に、そこで今までスポーツをやっていない先生だけではなかなか指導ができないから、どうやったら外の人に来てもらうかということが元々の趣旨で、しかも、それは国から補助金をもらってやるではなくて、自治体の問題意識に合わせてやってきているというふうに認識をしているんですが、それは間違っていますか。
【説明者】  そういう教員の業務負担軽減の観点で、部活動の支援員を、そうした事業を展開している自治体があるということは承知しております。
【伊藤委員】  であれば、26年度から新たに、先ほどお話の中で、呼び水としてやるという、もう既にその手前から、自治体にはもう実践例があったんじゃないかなと思うんです。本当だったら、当時の文科省が補助事業で始める前に、今、自治体でどういう状況になっているかということの把握から始めてもよかったんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
【説明者】  確かに、26年度からこの事業を始める前に、各自治体でもう既に外部指導者を導入するような事業というのを実施することは、こちらの方も存じ上げていますし、あくまでこれはモデル事業という形で、先ほど申し上げました3つの柱でやらせていただきまして、今までアウトカム等が適切ではなかったということはございますが、今後、このような形でアウトカムを修正しまして、きちっと実証させていただき、効果があれば、それはそれで、効果がなければ、それは大いに見直すということになろうかと思っています。
【伊藤委員】  それは明らかに間違っていると思うんですね。既にやっていて――モデル事業というのは、やっていないところを幾つかモデル的に展開をして、成功か失敗かを判断した上で全国展開へ結び付けるというのがモデル事業のはずなのに、既にやっているものがあるけれども、その判断はせずに、成功か失敗か判断はせずに、文科省が補助金を出して、今からどうなるかこれから考えますというのは、これはやっぱり組立てとしてはおかしいんじゃないですかね。
【説明者】  自治体によっては、そういう外部指導者を派遣して事業をやっているというところは存じておりましたが、やはり地域によって事情が異なり、財政力も異なれば、学校の規模も異なるというところがあるので、幅広くモデル事業を展開して、それを全国に普及していこうということでございます。
【伊藤委員】  それって、モデル事業じゃないと思うんですね。既に現場の課題が見えているなら、まずその課題を分析して、じゃ、どうやってその先につなげるかということを考える必要があると思うんです。私は、外部人材が要らないと思っているつもりは全くないんですよ。逆に、補助金だけをあげて、これだったら国から来るからといって、一般財源を減らしている自治体ってあるんですよ。そういうような実態を本当に分かっているかどうかということをさっきから言っているんです。
もうこれで終わりにしますが、元々、事前の勉強会のときには、体罰の防止ということが前面に来ていたものが、一気に変わったことによって、今は、この1週間でロジックを作り上げたようにしか感じられないんですよ。であれば、何のためにやってきたのか、お金を出すことが先に来ていたんじゃないかというふうに感じてしまったから、今申し上げたということです。
【説明者】  体罰の説明につきましては、私が前回、すみません、そのような説明をしてしまい、大変皆様に御迷惑をおかけしました。そのことにつきましては、おわび申し上げます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  田辺委員、どうぞ。
【田辺委員】  1つモデル事業ということをした場合、このアウトカムの書き方が、モデル事業の場合は、要するに、それが広く普及するということですから、実施校がどうなるかということじゃなくて、日本全体がどうなるかという、そういう設定にしなければいけないわけですよね。
ただ、今の事業は、どちらかというと、対象校自体の改善というふうになっているのかなという気がするんですが、そうした場合に、この対象を、教育委員会をどうやって選んでいるかという尺度ですね。どういう尺度で選んでいるのか。特に大きなポイントってあるんですか。
【説明者】  実施の教育委員会については、公募で手を挙げていただいているので、こちらから指定しているわけではありません。
【田辺委員】  いや、そのときの評価。どれを取り上げるかというときの尺度ですね。
【亀井委員】  これ、全部取り上げているんじゃない?
【田辺委員】  落としはないんですか。
【説明者】  中身を見て、問題がないものについては、採択をさせていただいています。
【田辺委員】  それで、問題があるかないかというか、実は、課題が多い教育委員会にやるべきであって、課題がないところは、やる必要はないわけですよね。
【説明者】  すみません。問題というのは、その計画書の内容が。
【田辺委員】  その計画書のときに、どういう点を評価しているかなんですが。特に、こういう課題があるわけですから、こういう課題が多いところに対してやらないと、目的に合わないですよね。もう既にこの課題をクリアしているところに出す意味がないわけですよね。だから、そのときの尺度として、この課題、いろいろ問題あるよとかいうところを選ばれているのかどうかということなんですけどね。
【説明者】  冒頭に亀井委員の方から、どのような形で部活を選んでいるのかということで御質問があったと思うんですけれども、例えば、その学校で、多くの先生は特に負担を感じていなくても、ある部活の顧問については、やはりその教育経験が不足していたり、個々の御事情によって、なかなか部活の指導がうまくいかないという事情があると思いますので、それは学校での評価とか、自治体での評価というところではなくて、個々の課題があると、そういうところが手を挙げてきているので、そういうところの必要性があるところについては採択をしているという形になります。
【田辺委員】  だから、余りこの課題、どこに特化するかというのは確認はしていないということなんですか。
【亀井委員】  政策としてのディレクションはないでしょう。
【田辺委員】  そうそう。そこがちょっとですね。
【説明者】  これまでは、多分、明確にそこまでしていなかったと思います。ですから、ここにつきましては、アウトカムと同様、冒頭のアンケートの採り方も、教育委員会の方でもしっかりやるべきだという御指摘もございましたし、そこについては、今後、契約する教育委員会としっかりとすり合わせをしたいと思っております。
【田辺委員】  それで、それとまたアウトカムとの関係なんですけれども、もう既に全国平均を上回っている学校だって半分あるわけですから、そういったところにやると、このアウトカムと全く整合性が取れなくなりますので、そこも考えてですね。
私が思うのは、とりあえずは、実施したところが本当にどういう効果があったかという、実施した学校の個別具体的な効果、成果というか、それをきちんと把握して、そのときのまさに得られた知見、ノウハウというのをほかに展開するということで、ほかもやると。余りにも一般的にしてしまうと、効果は分からない。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  関連で、亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  事実確認なんですけれども、これ、そもそも応募してきたら全部採択しているということなんじゃないんですか。
【説明者】  すみません。28年度契約は、全て契約をしております。26年、27年度に落としたところがあるのか、手元に今資料がなくて申し訳ありません。
【亀井委員】  そういうことですよね。少なくとも資料を見ると、9ページで見ると、1つ目の指導者派遣は、A・B両方合わせて36地域で、応募者数36者、それから、2つ目の連携のところも、9で9。だから、これ、要は、手を挙げたところには全部お金を渡しているということですよね。
【説明者】  失礼しました。27はそうですね、全部で。
【亀井委員】  27はそういうことですよね。だとすると、これは、要は、今、田辺先生からお話があった、政策としてこっちに向かっていくとか、課題がより重たいところについて行うとかという意図付けというのは、国としては全くしていないという、こういう理解でよろしいんですかね。
【説明者】  採択の段階で、そういう方向付けはしていないという。
【亀井委員】  というか、これ、採択の段階でしなかったら、どこでするんですか。
【説明者】  こちらについては、公募いただいた後に、外部の有識者、技術審査委員会の方で審査いただいて、結果として採択しております。
おっしゃるとおり、予算の範囲内で、結果的に、27年については、応募いただいたところが全部採択されたということになってございます。
【中室委員】  すみません、それの関連で。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  中室委員、どうぞ。
【中室委員】  ということは、国の方で想定されているほど多くの需要がなかったということではないんでしょうか。
【説明者】  すみません。その逆だと思っております。結局、皆さん、我々が、申請が少なくて再募集とかかけているわけではございませんで、結果的に、現場としては、やはりそれだけのニーズがあるというふうに、こちらとしては感じております。
【亀井委員】  ごめんなさい。なぜですか。だって、つまり、ニーズがあれば、想定していた予算以上に手を挙げる人たちがもっと増えてくるということじゃないんですか。
【説明者】  応募数については、想定以上あるんですけれども、採択の段階で、技術審査点を加味して、金額を圧縮して価格を提示させていただいております。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  よろしいですか。松浦委員、どうぞ。
【松浦委員】  初心に戻ってですけれども、1ページ目の整理票を拝見すると、基本的には、政策目標がスポーツの振興で、施策として子供の体力の向上というところに、この達成目標の2番がぶら下がっているんですね。だから、アウトカムに子供の体力の上昇を挙げられるということは、目的自体は間違っていないというふうに思いました。
その後なんですけれども、お聞きしていていろいろ思うのは、まず、今回お聞きしたかったのは、15ページで先に答えてくださったので、3つの事業のうち、どれに一番比重が多いんですかって、本当はお聞きしたかったんですね。そうすると、その青いところが90%ということなので、前回の御説明がかなり偏った御説明をされたんで、僕が誤解したのかもしれないんですけれども、これはこれで、なるほどということ。
もう一つ、私が思うには2つの問題があって、先ほどほかの委員がおっしゃられたけれど、自治体によっては、実際にその競技を指導できる教員が転勤してしまって、もう空白になってしまった、部活が続けられないのでお願いをするという事例も、北海道にもあります。それが1つと、もう一つは、やっぱり教員自体のオーバーワークですね。この2つの問題をいかにして改善するかということなんだと思います。
それができれば、子供たちも嫌がらずに、興味を持って部活に参加する、あるいは、部活じゃなくてもいいですよ。バウチャー、ただ、バウチャーはすごく高くつくような気もするんですけれども、そういうもので、スポーツクラブでもいいですけれども、それで体力を向上して、最初の目標に寄与するというような、そういう流れなのかなと思って聞いていましたが。
統計が、先ほども御指摘あったように、やはりサンプル数が少な過ぎて、これは解析には耐えられないので、これはトレンドだと思って私は見ました。概ね大体好きだと答えた子が増えたところは、体力測定でも上がっている感じはする。感じはするんですよ。ただ、逆に、嫌いだって言って、上がっているところもあるんで、これは何とも今判断しがたいんで、やっぱり最低nは20以上ないと統計には耐えられないんで、是非、次回はそういうような統計的手法をきちんと踏んでいただきたいというのがございます。
それから、もう一つ、初めから全国平均を上回っているという御指摘もさっきありましたね。私、やっぱり都市部と郡部、小規模校に分けて分析するべきだと思うんですよ。郡部は、僕も田舎育ちですけれども、別に部活をやらなくても、野山を走り回って、体力は十分にある子がいっぱいいるんですね。やっぱり問題は、都市部であったり、勉強一本でやりなさいと親に言われたり、あるいは、小規模校になっちゃて、1学年1クラス、2クラスで、部活を編成できないということは、体育の専門の教員もすごく少ない。だから、こういうところを合同で何とかして部活活動を盛り上げるということで、切り口がたくさんあって、言ってみると、このプロジェクトは、1粒で6回くらいおいしそうなプロジェクトに作られているような感じがして、それぞれの切り口から、どういうアプローチをすべきなのか、どういうアウトカム評価をすべきなのかということを、出だしに戻ってですね。意義がないとは言いません。出だしに戻って、その辺をきちんと組み立て直していただければよろしいのではないかなと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございます。
議論は大分進んできておりますので、コメントシートをまだ提出されていない方につきましては、記入をしていただきまして、事務局は、コメントシートの回収をお願いいたします。
引き続き御議論、田辺委員、どうぞ。
【田辺委員】  私も、応募が少ない理由なんですけどね。1つは、魅力的でないんじゃないかという気がするんですよね。これ、分かりません。例えば、Cの多様な運動部活動に向けた指導内容・方法の工夫・改善。
【亀井委員】  12ページですか。
【田辺委員】  そうです。12ページ。200万円とか、100万円とか、70万ですよね。それで、これは謝金ですよね。だけど、本当は、いろいろ創意工夫をして、いろいろやってみるとか、そういうことをやって、それをまとめて何かモデル事業としてやるとかですね。とすると、単なる謝金、外部から来てもらって教えてもらうだけではないんじゃないかという気もするわけですね。こういうふうに同じ、これ、200万とか100万を9校よりも、本当はもうちょっと増やして、半分ぐらいにするとかいうふうに工夫をしてみないと、応募する方の魅力がちょっと欠けているのかなというのかですね。
例えば、次のEもそうですね。13ページも。70万円とか、50万円とか、40万。これ、一種の研修活動ですよね。本当は、だから、この育成も、そもそも研修資料の基になるものをどうやって作ればいいのかということもあると思うんですが。それも、だから、改めてここでやるよりも、先ほどもありましたけど、もう既にやっているところがあれば、そういういい事例を持ってくるとかいう形で、研修資料をどう作るかとかいう形もあると思うんですけどね。私も本当は重要なことだと思うんですけれども、もうちょっと工夫をされるといいなと思いました。
【亀井委員】  関連。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  私は、これは意見として申し上げます。もう工夫のレベルではないと思います。率直に申し上げて。何が目的かよく分からなくなっているんじゃないかなという気がします。
今日の御説明を伺っていても、前回の説明が不十分だったというようなお話がありましたけれども、先ほど中室先生からも御指摘があったように、やっぱり政策というのは、ここで出した人間が、実際に受けた人間が、それから、現場で一人一人の子供たちに向き合う人間が、やっぱり、なるほど、この制度はそういう制度の下で進んでいるのだという合意ができて、初めて政策というのは実効性があるんだと思います。そうでなければ、国民の皆さんに説明ができないわけですから。そこの肝心な部分が恐らくできていないのではないかなという時点で、これは政策体系としては、もうゼロから見直すとか、そういうレベルではなくて、もう一度、そもそも現場で何が問題があるのかというところを、スポーツ庁の立場から、子供の体力の問題とか、様々な問題がある中で、そこをもう一度精査をするというところから始めるべきではないかなと。
この事業はじめにありきで考えてしまうと、どうしても、前回の御説明と今回の説明の差みたいな、すみません、国民の皆さんからは見えにくいお話なのかもしれませんけれども、前回御説明があったことと今回御説明あったことが全く違う形になってしまうという形になるわけでありまして、こういう連続性のない説明というのは、やはり国民に対して説明不十分であると言われても、これは仕方がないことだと思いますので、是非、問題は問題として現場にあるわけであります。そこをきちんとスポーツ庁として受け止めていただいて、この事業は事業として、率直に申し上げて、一回やめてでも、違う事業として立ち上げてでも結構ですから、何が現場の課題なのか、この社会の課題なのかというところをもう一度捉え直す努力というところをやっていただきたいと、こういうふうに考えております。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】  先ほどからの議論の中で、ニーズがないんじゃないかというところについては、これは完全に私の実感でしかないんですけど、ニーズはあるはずだなとずっと思っているんですよ。自治体でこの議論をすると、大体1時間単価2,000円とか3,000円とかでお願いをしていて、でも、このままだったらこの後、人が増えてくるので、2,000円をどうやって1,500円にしようかとか、3,000円を2,000円にしようかというような、本当に小さい議論。でも、それぐらいしないと、実際の中ではなかなか続いていかないということって、たまたま私が関わったところだけじゃなくて、多いと思うんですね。
にもかかわらず、件数としてこういう状態だというのは、多分、周知の方法とかというよりは組立ての問題だと思うので、これは改善提案というか、この後の話として、まずは、自治体でどういうところにニーズがあるのか、課題がどこにあるのか。きっと、先ほど来出ていた異動の話だったりとか、負担軽減だったりとか、あとは、自治体とか学校によっては、競技としてというところだってもちろんあると思うんですね。それがいいかどうかというのは、1つ判断はあるかもしれませんが、そういうような幾つかの整理分けをした上で、じゃ、どういう補助、どういうサポートがいいのかということを是非考えていただきたいなと思っています。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
コメントシートの方を、今、有川委員の方で取りまとめをされているところでございますので、若干のお時間を頂きたいと思います。
【有川委員】  若干でいいです。間もなく終わります。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  有識者の皆様には、引き続き御議論ございましたら、お願いしたいと思います。
松浦委員、いいですか。
【松浦委員】  じゃ、せめて一言だけ。一番下のベースにある中体連が関与している部分、サミットと言われている部分。特定の学校で、特定のスポーツ指導しかできないにしても、その中体連の組織がもっとファンクショナルに動いてくれれば、もう少し波及効果が期待できるのかなということもあるので、その辺もちょっと検討していただければと。
【有川委員】  それでは。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  よろしいですか。
それでは、コメントシートの集計が取りまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員より、評価結果及び取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【有川委員】  それでは、投票結果から申し上げます。廃止が3票、それから、事業全体の抜本的改善が3票。3対3に分かれました。
主なコメントシートを紹介したいと思いますが、ほとんどの委員が同じような意見を述べております。
事業の目的がよく分からない。
事業の目的と手段間の整合性が取れていない。
把握した政策課題を解決する事業になっていない。
課題の把握・分析も十分でない。
これまでの議論のプロセスを反映してきた努力は認められるが、政策としての目的、背景となる課題認識、政策としての方法論、目標とするアウトカムとの整合性、それらが認識することができない。本件はモデル事業ではない。
モデル事業については、ほかの委員もたくさんおっしゃっておられまして、モデル事業としては十分でない。
まず成果を設定し、あるいは、効果をきちんと測定して、手段を比較考量して、事業として設定していかなければならないだろう。
あるいは、政策的な目標が不明確だ。
単なるばらまきに見える。
中央と教育委員会の間のコミュニケーションも取れているようにも見えない。
小規模学校における、ある程度バラエティに富んだ指導者不足を解決するために、共通的な部活動をやっていくということについては、一定の評価をしたい。しかし、今回データを出してきたサンプルの採り方は分からない。
課題を解決するための事業内容になっていない。
課題解決に直結する事業内容の見直しが必要だ。
部活は手段にすぎない。手段が目的化している。
自治体の状況を把握することが必要だ。
課題の整理や対策事例を作ることが先立つことだというふうな議論であります。
3対3に分かれましたので、各委員に、片方が廃止でありますので、各委員でもう一回そこのところを、最終的な結論を話し合ってもらいたいと思いますが、若干予断を与えるようで大変申し訳ありませんが、抜本的な改善という結論を出されているお一人の委員のコメントを見ますと、課題を解決するための事業になっていないという、こういうコメントで抜本的改善と言われているんですけれども、課題を解決するための事業になっていないという、そういう事業で抜本的改善というのは、やっぱり相当の覚悟が要るんだろうという。もう一回事業を立ち上げなければいけないんだろうと思います。そういったものを含めて、ちょっと御議論いただきたいと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  どうぞ。
【亀井委員】  実は私も1番か2番か悩んで、私は1番にしたんですが。廃止にしましたという話なんですが。何が違うかというと、評価の選択肢についてという行政事業レビューの実施要領を見ながらお話をさせていただくと、事業全体の抜本的な改善の場合は、「事業の存続自体を問題とするまでには至らないが」という一文がございます。私は、この「至らないが」がどうかよく分からないというのが、率直に申し上げると、今日の議論ではないかなと思っておりまして、そういう意味では、目的、あるいは、今の現場で起きている課題認識等も含めて、今、担当省庁がそこを十分に受け止めているようにも見えないわけですから、そこはまさに事業の存続を前提としないで考えるべきではないかということで、廃止とさせていただきました。是非、御検討いただければと思います。
【有川委員】  はい。
ほかの委員、ありましたら、よろしくお願いいたします。
【松浦委員】  私は抜本的改革に丸を付けさせていただきましたけれども、同じ表を見て解釈したんで、解釈が違うかもしれないです。抜本的な改革の方は、事業の期待するところはあるんだけれど、それを実現するために大幅かつ抜本的に見直さないと成果が達成できないものと思われるという選択肢で、抜本的改革を選んだというスタンスですね。だから、これは非常に微妙な温度差かなと思います。
【田辺委員】  私も、目的はいいんじゃないか。ただ、目的に対応した事業内容が抜本的に見直すということなので、抜本的な改善かなと思ったんですけどね。
【有川委員】  ほかの委員はいかがでしょうか。
取りまとめ役が先にしゃべってはいけないんでしょうけど、私は廃止の方に、すみません、印を付けたんですけれども。要は、これだけ国民の税金を使って政策を遂行していくのに、何が課題なのかを十分把握していないで、そして、目的は確かに非常に広い、子供たちの運動を活性化していく大きな目的はいいんだろうと思いますが、この事業で何をやりたいのか把握した課題認識、これも十分ではないんですが、それと完全にかみ合ってないというのは、やっぱりもう一回最初から、究極の目的をにらんだ制度設計を立て直してもらいたいというのが私の意見であります。
【中室委員】  それでは、私もよろしいでしょうか。
私は、実は、「事業の存続自体を問題とするまでには至らない」という2つ目のところにチェックを入れたんですけれども、まさに田辺先生がおっしゃいましたように、部活動だったり、子供たちの運動の機会というものを見直すことは非常に大切なことだと思っておりますけれども、今、座長が奇しくもおっしゃいましたように、その事業の在り方自体は、やはりどうしても見直しが必要なのではないかと考えます。その意味では、私は座長の御意見に賛同させていただきたいと思います。
【有川委員】  座長の責任は大変重いですけれど、それでは、4対2になったというような認識でもって、この委員会の結論は、廃止ということで。
あと、取りまとめコメントも言わなければいけないんですけれども、取りまとめコメントも繰り返しのようになるかもしれませんが、まず、把握した政策課題を解決する事業になっていないという、政策課題に対応する事業という問題と、それから、政策の目的自体が十分明確でないというのと、それから、事業の目的と手段間の整合性が十分取れていないという問題と、それから、事業の手法も十分明確なものになっていないと。そういった4つになりますけれども、そういった問題意識でこの結論になったということで取りまとめてよろしいでしょうか。
では、以上ですので、どうぞよろしく。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、運動部活動指導の工夫・改善支援事業の公開プロセスについては終了させていただきます。
次の原子力システム研究開発委託費については、15時40分から開始といたしますので、よろしくお願いいたします。10分間休憩ということでございます。
( 休憩 )
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、6コマ目を始めさせていただきます。これからの時間帯は、原子力システム研究開発委託費について、御議論を賜りたいと存じます。
初めに事業概要の説明をさせていただきますので、事業担当課は、5分以内で簡潔に説明をお願いします。
【説明者】  それでは、施策の説明をさせていただきます。
まず1ページ目、政策・施策・事業整理票でございます。政策目標といたしましては、目標の9番、科学技術の戦略的重点化。このうちの施策目標、9-5、原子力・核融合分野の研究・開発・利用の推進の達成目標1、エネルギーの安定供給、原子力・核融合を利用する先端科学技術の発展に資する研究開発成果を得るための施策でございます。
この事業の目的でございますが、エネルギーの安定供給を図るため、原子力が将来直面する様々な課題に的確に対応し解決するとともに、我が国の国際競争力の維持・向上を図るための革新的な技術開発を進めることを目的としておりまして、事業の概要といたしましては、太字の部分でございます。既存の原子力施設の安全対策強化に資する共通基盤的な技術開発、放射性廃棄物の減容化及び有害度低減に資する研究開発を実施するものといたしまして、事業の実施に当たっては、外部有識者からなる審査委員会において審査後、プログラムディレクター・プログラムオフィサー会議の審議を踏まえて採択を決定する。また、実施に当たりましては、POが研究計画に基づいて助言を行うなどの進捗管理を行うとともに、評価委員会において中間評価及び事後評価を実施するという、原子力分野のいわゆる研究開発の競争的資金でございます。
具体的な中身につきましては、少し詳細な資料を準備してございます。19ページにお飛びいただけると恐縮でございます。
具体的な説明は18ページから準備してございますが、18ページは、今私が口頭で説明した中身でございます。政策目標、事業概要でございます。
19ページが、この事業の具体的なテーマ、現在、2つのテーマで運営してございます。1つは、安全基盤技術研究開発(およそ9億円)、もう一つが、放射性廃棄物減容・有害度低減技術研究開発(9.5億円)ということで、研究自体は、下に期間、金額、対象機関とございますが、どちらも4年以内の研究で、年間1億円、あるいは、年間2,000万円のプロジェクトでございます。大学、独法、法人、民間企業等を対象といたしまして、国からの委託費ということでございます。
下に青い字でございます、このほか、研究課題の進捗管理を行う課題管理として、およそ8,000万円が、この事業の中としてはございます。
1枚めくっていただきますと、この事業の具体的なテーマの設定の見直しとか、課題の進捗についての説明をしてございます。この事業自体は、5年間に1度、科学技術・学術審議会の分科会等で評価を受けてございます。また、先ほどの今の2つのテーマにつきましても、毎年PDPO会議においてテーマ設定を検討して、適時見直しをしておるところでございます。また、選定いたしました課題につきましても、まず公募、その後、2年目から3年目に中間評価、その後、事後評価、さらに、終わりました後も、フォローアップ調査ということで、活用状況等のフォローアップ調査をしているところでございます。
これまでの具体的なテーマの変遷が、21ページ、次のページにございます。点線のところが、東京電力の福島第一発電所の事故でございます。事故がある以前には、一番多いときには、121億円ほどございまして、革新技術を創出、それから、特別推進分野の研究ということで、原子力の推進をいかに進めていくかというテーマでございましたが、発電所の事故以降、水色ですとか青色でございます、今運営してございます安全基盤ですとか、放射性廃棄物の減容、放射性廃棄物をいかに減らしていくかというような研究開発テーマに随時変わっているところでございます。
22ページは、その具体的な額でございますので、参照いただければと思います。
また、このアウトカム・アウトプットでございます。
アウトカムにつきましては、23ページ。これまでは研究成果の論文数でございましたが、28年度からは、中間評価・事後評価での評価のうちA評価以上の件数割合を90%以上とするということを目標としておりまして、課題のアウトカムということで評価をしておるところでございます。
次に、24ページは、今度はアウトプットでございます。従来は課題の数をアウトプットとしてございましたが、平成28年度から見直しまして、研究成果論文数、それから、学会での発表件数というものをアウトプットとさせていただいているところでございます。
25ページには、直接のアウトプットではございませんが、その他の実績ということで、フォローアップ調査の結果等を踏まえまして、被引用論文数、学位取得者数、特許出願数なども、この事業の成果としてフォローをしておるところでございます。
26ページが、主な成果事例ということで、具体的に商品化されて実用化されている例といたしまして、中性子遮へい樹脂材の実用化ということで、具体的な炉心の中で放射線を防ぐような樹脂が実用化されている例、また、特別に耐食に強い、腐食に強い高耐食制鋼材の開発なども、この成果の事例として見られておるところでございます。
27ページからは、課題管理の説明でございます。課題管理につきましては、PDPOの審査委員会の設置、新規採択、進捗管理、成果の発表、事業の分析・調査といった事務的な作業全般を、事業運営に必要となる事業として、課題管理の委託先に委託をしているところでございます。
この委託先につきましては、次の28ページにございますとおり、今は競争入札で入札をしておるところでございまして、落札率は、低い26年度で64.2%、最近ですと80数%で推移をしておるというところで、この一般競争入札の効果が出ているというふうに私どもは見ておるところでございます。
29ページは、最後、今後の方向性ということで、しっかりとテーマ設定を見なしていくこと、それから、成果をもっとしっかり公開をしていくということ、それから、事業のフォローアップがまだまだ十分でないところがございます。このあたりをしっかりとフォローアップをして、事業の効率性・経済性の向上につなげていきたいと考えておるところでございます。
30ページ以降は参考資料でございますので、随時参照いただければと思います。
説明、以上でございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
このコマにつきましては、行政改革担当の河野大臣が御視察、御出席されておりますので、御紹介いたします。
それでは、私の方から論点について説明させていただきます。お手元の論点等説明シート、資料の3ページを御覧いただきたいと思います。
まず1点目といたしまして、研究開発の成果が十分に上げられているのかという点。
2つ目といたしまして、研究開発のテーマ設定、テーマ毎の予算規模、実施期間は適切かという点。
3つ目といたしまして、長期間事業を行っているが、適切な見直し・改善が図られているかという点。
4つ目といたしまして、文部科学省と課題管理委託先との業務の棲み分け、委託額は適切かという点。
5つ目といたしまして、アウトカム・アウトプットは適切に設定されているか。
以上5点について御議論願います。
それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。説明者は、外部有識者からの御質問に対し、簡潔明瞭に回答願います。
いかがでしょうか。亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  では、まず社会の要請、10年間の研究成果のところについて、もう少し詳しく御説明いただきたいんですが。21ページなんですけれども、原子力をめぐっては、やはり3.11の福島第一原発の事故というのは、これは避けては通れないんだと思います。実際に、この21ページも、そこら辺を念頭に置いて作られているんだと認識しておりますけれども。この10年間で見たときに、事業の内容というものはどういうふうに変わってきたのか。もちろん、これに加えて、多分、全体としての金額の規模も大きく変わってきていると思うんですけれども、ここら辺のところについて、もう少し詳しく御説明いただけますでしょうか。
【説明者】  東京電力の事故以前は、額自体も非常に大きく、そのグラフでも御覧いただけますが、1件当たりの規模も、年2億円から4億円規模の研究をしてございました。
また、中身につきましても、そこの21ページのそれぞれの下の色分けのところの横に書いてございますけれども、革新的な原子力システムや技術及びそれを支える共通基盤ですとか、若手研究者、それから、実用化を目途とした枢要技術などという言葉が並んでおりますけれども、要は、若手がしっかりと原子力を推進していくに当たって、いわゆる革新的という言葉、いわゆる大学とか、いろんなそういう組織としてやっている、メーンとしてやる技術以外にも、かなり技術開発というのは裾野が広うございますので、その裾野を若手に託して研究を進めていくというのが、事故以前でございました。
それが、事故以後は、ここは説明が繰り返しになりますが、安全ですとか、放射性廃棄物を減らす研究というのにシフトいたしまして、研究費の規模も年1億円以下、2,000万円以下というふうに規模も縮小してきているというところでございます。
【亀井委員】  ありがとうございます。
もう1点、これは全然別のところで、事実確認として伺いたいんですが。27ページなんですけれども、この事業の中で、課題管理を委託されている法人というのがあるかと思うんですが、国立研究開発法人の科学技術振興機構ですよね。これは、28ページのとおり、入札が行われているということなんですが、まずその前提として、27ページのところの見方を教えていただきたいんですが。担当職員数というのがあるんですが、一方で、その後ろに、人月というか、人日というのが書いてあるんですけれども、平成26年は、16人で1,532人日でした。平成27年は、14人で1,777人日でした。それから、28年は、20人で1,075人日でしたと。これ、人日と人の関係というのはどういうふうになっているのか、まず教えていただけますか。
【説明者】  これは、具体的な人数は、直接この事業に携わっている人数でございます。人日というのは、いわゆるエフォート率といいますけれども、ある人間が1日仕事をすると人日になります。ですから、平成28年度と、例えば、平成26年度を比べますと、担当する頭数は多いんですけれども、例えば、1人の人がこの事業に1年間のうちに携わる日数というのは、平成26年度に1人当たりが携わっている人数より少なくなっていると。全て足し加えると、1,075人日という形でございます。
【亀井委員】  では、1つお伺いしたいんですが、その後の28ページのところで、契約金額というのがあるんですけれども、この契約金額と、この仕事の場合、多くの部分は技術的な何か供与というよりは、どちらかというと、どれだけの人日がかかるかという見積に基づいて金額は決まるんだと思うんですが、ここら辺のリンクというのはどう読んだらよろしいんでしょうか。
【説明者】  例えば、平成28年度、7,800万ほどでございますけれども、このうちのおおよそ半分強、人件費でございます。人件費については、そのうちのかなりの部分が、まさに御指摘の職員のかかっている人日でございます。人日は、これは1人当たり単価、1日当たり幾らというのが決まってございまして、そこのデータは手元にはないんですけれども、20人、この人日を勤務日数で割りますと、大体専従に換算すると、4.5人。4.5人が1年間フルでこの仕事をしたのと同じぐらいの業務量でございまして、おおよそ1人当たり年間800万円程度が4人ということで、3,600万円というような積算でございます。
それ以外には、一方で、専門的な知識、PD・POの先生方の手当というのも、ここの課題管理の経費から出てごじあますし、それ以外には、細かい話ですが、旅費とか謝金、それから、一般管理費というもので、この金額は成り立っているところでございます。
【亀井委員】  では、もう少しお伺いしたいんですが、平成27年、この人日が非常に大事なんだとすると、28年は契約時の見込み数だから、この人日で要は落札してきたわけですよね。人日だけ見ると、1,777が1,075になっているということは、半分にはなっていないけれども、かなりの人日の負担が減っているように見えるんですが、それにしては、27年と28年、この2つで見ていいのかしら。契約金額としては、8,200万から7,800万というふうに、余り変わっていないように見えるんですけれども、ここはなぜでしょうか。
【説明者】  平成27年度は、比較的若い人たちが多く従事されていたので、単価が比較的安い人たちが多かったのかなと思われます。平成28年は、どちらかというと、もう少しハイレベルというか、いうような人たちが従事されていて、比較的単価が高いので、というところなのかなと思われます。
【亀井委員】  いや、ごめんなさい、そこをきちんと説明できないと、せっかく人日まで公表して、何かもったいないですよね。はっきり言うと。アカウンタビリティの観点からすれば、単価の高い人がというのは、どのぐらい単価は高いんですかという話をどうしても伺わざるを得ないので、具体的にそこは、そんな1点何倍も高いということですか。これ、要は、逆算した割り算の分、高くなるということですよね。
つまり、若干減っているけれども、概ね横ばいですと。恐らく、PD・POにお支払いしている金額だとか、いわゆる交通費だとかというのは、大体横ばいのはずですよね。業務量はほぼ横ばいですから。だとすると、そこの部分の人日の部分というのがどのぐらい反映しているか。そこに単価が上がったことをよしとするのか。でも、大体落札する方の立場からすると、単価を上げてくるのかなというのが率直なところで、ここら辺が2者入札で大丈夫なのというところをどうしても掘られてしまうポイントなんだと思うんですけれども、そこを皆さんはどう見ていらっしゃるかなと思いまして、伺っているんですけれども。
【説明者】  すみません、そこの詳細は今しっかりと整理をいたしますが、一方で、人日だけがこの数字の基礎になっているわけではなくて、例えば、毎年の課題数も非常に大きく変動いたしますし、そういうところでは、課題数、それから、PD・POの先生方の対応の額とか、そういうところを少し精査をして、改めて御説明をさせていただきます。
【亀井委員】  是非お願いしたいと思います。
ただ、見ていると、金額ベースではあんまり変わっていないように見えるんですね。総額では。課題が細分化しているのであれば、その分手間が増えるというのは理解できます。PD・POは、多分、プロセスとして見ると、やるべきことはほとんど同じはずなので、課題が突然増えていれば、それは増える可能性はあると思いますけれども、恐らく任命しているという意味では、あんまり変わらないのかなと思いますので、是非、ここは整合性のある説明を、ここのタイミングでできないのであれば、今後開示をしていくとか、そういった形で工夫をしていただきたいと思いますし、今の御説明だと、かなり疑義があるかなというふうに、どうしても申し上げざるを得ないかなと感じております。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  関連して、有川委員、お願いします。
【有川委員】  27年度の方が単価の安い人たちで対応できたのに、28年度の方はある程度レベルの高い人でないと、単価の高い人でないと対応できなかったというのは、審査の内容のやり方が変わったということでしょうか。
【説明者】  個別の単価、1人日当たり幾らという見方ではございませんで、この競争入札は総合入札方式でして、全体額が幾らかという競争と、あとは、この課題管理の業務を請け負うのに能力があるかという、その2つで選定をしてございますので、額につきましては、総合的な額をそれぞれ幾ら出してきたかということで落札をしておりますので、すみません、そこは私どもとしてはしっかりと、今、亀井先生からお話しいただいたような、少し仲の課題の額の公表とか説明責任をしっかり果たしていくべきところかなと思ってございます。
【有川委員】  総合評価のところで、それぞれトータルで額を出してくるのは分かるんですが、どういったレベルの人でこの審査業務、受託業務をやれるかというのは、きちんと押さえて、それを仕様に書けば、ある年は非常に単価の安い人たちで対応したり、翌年は非常に単価の高い人で対応してくるということはあり得ないので、きちんとした業務の内容に応じた仕様を安定化させないといけないんだろうと思うんですよね。その点でいくと、何か気になるのは、この28ページが、この3年間、2者が交代で、金額が一定化しているというのは、とっても嫌な感じを受けるんで、今調べていただくところは、そこのところもよく精査していただきたいんですが。
【説明者】  了解をいたしました。2者もかなり毎年競っておりまして、相手を見ながらやっているのかもしれませんし、一方で、民間企業さん、説明会にはお越しいただけるんですが、ほかと比べると、民間企業としては額が低いとか、逆にそんなお話も頂いたりするものですから、額全体につきましてはしっかりと見直しながら、説明責任もしっかり果たしていかなければいけないなと思ってございます。
【有川委員】  すみません、ついでに。額が低いというより、むしろ残りの2者が公的な機関なので、なかなか参入しにくいんだろうと思うので、是非、額以外に、なぜ民間の方が参入してこれないのか、その参入障壁がほかにないかどうか、きちんとそこも検証していただきたいんですが。
【説明者】  はい。まさに本件、市場化テストの対象でございまして、ちょうど昨年度、今年度、市場化テストでございまして、まさに参入先を広げろという御指示がありましたものですから、しっかり仕様書の具体化ですとか、過去の実績の開示などを今行っておるところですが、もう1年、例えば、状況を見ながら、まだその努力が私ども足りないようであれば、改善をしていかなければいけないかなと思ってございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  今の関連のところで、この課題管理の業務というのは、こちらの9ページを見ていると、効率的・効果的に実施するための研究開発課題の募集であったりとか、要は、かなりの部分、まず、この課題管理の業務というのは、今回の事業でいくと、決して中心ではない。ただ、こういう管理をするというのは、中心である研究開発をしてもらうための、ある意味ではサポート業務というふうに位置付けられると思うんですが、こういうところって、実際に研究している側の方が、もっとこういうような手続があれば研究に特化できるというようなことというのは、私も今までたくさん聞いてきているところなので、例えば、そういうところの参加しやすいような環境をつくる。例えば、この間伺った大学であったりとか、民間企業もここは入っているわけですから、そういったところも含めて入るための、まさに総合評価方式でやられているからこそ、そういった視点もできるのかなと思うんですが、少なくとも今まではそういう視点では特段つくっているわけではなかったということでよろしいんでしょうか。
総合評価で、幾つかの視点で点数制でされていると思うんですけど。
【説明者】  総合評価は、もちろん、調査がしっかりできるかということとともに、円滑に業務がしっかり進められるかどうかというところでの総合評価がございます。ここは少し円滑にしっかり相手とできるかというのが、まだ、そういう意味では漠としているかもしれませんので、そこは本日頂いているような視点も踏まえながら、もう少ししっかりとコミュニケーションを取るのに、もう少し具体的な審査の中身とか、そういうのは考えていくべきかなと思ってございます。
【伊藤委員】  ちょっと論点を変え……。
【説明者】  すみません、1つだけ。見直しは前向きにさせていただきたいと思っていますが。今入っている、御指摘にあったような点でいきますと、評価の観点で、幅広い知見だとか、人的ネットワークだとか、情報収集という、研究開発領域における知見を持っているか、人的ネットワークを持っているか、情報を持っているか、こういうところも評価の項目には現在入っておりますが、もうちょっとそこを具体化して、御指摘のように対応させていただきたいと思っています。
【伊藤委員】  論点を変えてしまってもよろしいですか。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  よろしいですか。それでは、続いてお願いします。
【伊藤委員】  26ページ、27ページに成果事例というのを今回出していただいていまして、まさにこの間の事前の議論の中で、平成17年から10年間やってきた中で、どこまで今回この事業でやられている研究が結び付いているのかというところの1つの事例として出していただいていると思うんですが。これは以前も少しお聞きしたんですが、改めて、あくまでも今回、この事業については、研究開発をするところだと。もちろん、その先々として、実用化というところもあるけれども、文科省の役割としては、まずは研究開発で、この研究は次につながりつつあるから、そこに対して国費を投入するというところがメーンの役割で、その先の産業面だったりとか、事業者とのマッチングというところまでは、今はやっていないというところでよかったんでしょうか。
【説明者】  この事業自体は、まさにマッチングというよりは、将来実用化に向けてしっかりと研究が進んでいくか、そのような研究をするところというイメージをお持ちいただければと思います。もちろん、研究によってはいろんなフェーズがありますし、それはでこぼこはありますけれども、何かこの事業の中で、例えば、具体的に産業化に向けて何かやっているというところではなくて、そこはむしろ追跡調査をして、しっかりとそれに向けて最終的に実用化に至ったかどうかということを、私ども調査をして、フォローアップはしておりますが、積極的に何か施策というのは、ここではございません。
【伊藤委員】  ただ、もちろん、支援をする事業ではあるけれども、そのまま埋もれていいわけではないというところは目指されるところなんですよね。その意味で、フォローアップというのは、もちろん、どうなっているかという追跡調査ということになると思うんですが、その先、どこに課題があるかということまで、その追跡調査の中で追えてくると、かなりの国費を投入しているわけですから、それが生きてくるのではないかなと思うんですが。
【説明者】  その先、実用化に向けて、例えば、事業が4年間なら4年間で終わったとどうフォローしていくかというのは、今のところは、私ども、フォローアップをしているだけでございまして、なかなか手が回っていないところが、正直なところではございます。むしろ、私どもの課題としては、しっかりとこのフォローアップ、実際にこれまでやってきたことがどう実用化しているか、もしくは、どう世間に役に立っているかということを、しっかりともっと実態調査をしたいと。そこで何が悪かったか、何が悪いのか、何が障害かというところをしっかりと見ていきたいというふうな方向を今持ってございまして、そこに向けて、私ども、例えば、定量的な評価、定性的な評価、年によっていろんな評価をやっておるんですが、それももう少し体系的にしっかりと調査をした上で、今後、この施策をより効果的にするためにどうしていったらいいかというのをしっかりと考えていきたいというふうに考えております。
【伊藤委員】  私から最後にしますが、まさに一般的にどうなったか。これは一般的ではなくて、国民は特にこういうところに関心を持っている中で、今回の事業の中で、2つの性質がある。特に放射性廃棄物の減容については、今後、少なくとも必要だと思われている中で、多分、今のお話の研究開発が終わった後に、どれだけ早く実用化できるかということが一番の関心事になるからこそ、そこは追跡調査の中で、どれだけ結び付いているかというのは、是非とも今後も明示をしていただきたいなと思います。
【説明者】  しっかりと調査していきたいと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入も併せてお願いをしたいと思います。お済みの方は挙手いただければ、事務局の方でコメントシートを回収いたします。
それでは、田辺委員、お待たせしました。
【田辺委員】  テーマの設定と評価についてお聞きしたいと思うんですけど、資料の20ページ、21ページあたりですけれども。今回は、この政策目的、原子力が将来直面する様々な課題に的確に対応し解決する。それから、もう一つ、原子力分野の我が国の国際競争力の維持ですね。で、革新的な技術開発を進めるという観点から、21ページのテーマを見ると、かつて行っていた革新技術創出型といいますか、そういったのがなくなって、安全技術と放射性廃棄云々になっていて、そうすると、日本の競争力、これで本当に保てるのかなという気もするんですが、そこのところについて、まずテーマはいいんでしょうかということですが。
それと、2番目が、このテーマの採択を外部有識者による審査ということになっているんですが、この外部有識者の中に、民間企業の人とかはどの程度入っておられるのかという観点ですね。
3点目が、中間評価などがアウトカムの中に入っているんですが、中間評価は誰がしているのか。この採択した人がやっているとすれば、それは全然、だから、自分が選んで自分で中間評価するのでは、アウトカムになり得ないんじゃないかという気がするんですね。
その3点を。
【説明者】  まず、テーマの設定でございます。このテーマ自体は、革新的技術の過去やっていたことができればいいという意見ももちろんございますが、やはり福島以降、原子力政策の全体の基本になっておりますのは、閣議決定でもございますエネルギー基本計画という計画がございます。この計画でも、やはりしっかり、今社会が原子力に対して求めているのは、特に我が国では、安全であること、それから、環境への影響を減らすということ、この2つが原子力に求められているということを踏まえると、限られた研究投資をやはりここに重点的に、少なくとも今、ここ数年は振り向けるべきだろうと私どもは考えてございます。
それから、選定委員でございます。選定委員につきましては、大学の先生だけではなく、民間の方、具体的には、メーカーの方、それから、電力の方も入っていただいております。
それから、選定、中間評価、事後評価、これはいずれも別の先生にお願いをしておりまして、重ならないように、しっかりと客観的に評価いただくようにしてございます。
【田辺委員】  それは全く別なんですか。一部の先生が入るということですか。その中間評価、外部評価の。
【説明者】  重なっておりません。選定と中間評価、事後評価は重なっておりません。中間と事後では、少し重なっている先生がいらっしゃいます。
【田辺委員】  分かりました。
あと、もう1点、評価が、今回、ほとんどAなんですよね。完全にAというか。つまり、委託先だけ見ると、数は限られているんですけど、実はそこから採択がばーっと流れて、すごい組織が参加しているときに、本当に全てAなのかというところが、その評価のところが、その採択先まで含めて、本当にしているのかという。その中によっては、当然、Aでないものもいっぱいあるはずじゃないかと思うんですけどね。そういうところ、採択先も含めて、ちゃんと審査をして、進める進めない、あるいは、この改善ということが必要だと思うんですけど、その点についてはどういうふうにお考えですか。
【説明者】  実際の評価を頂くときには、もちろん、直接の委託先、それから、再委託先、一緒に共同研究をやっている人たちも含めて説明もしますし、実際、研究の中身も見て評価をしてございます。
研究が、評価がかなりAというのもございますが、やはりここは若干個人的な意見になるかもしれませんが、PD・POの先生方がかなりこれに張り付いて御覧いただいていますから、しっかりと。
【田辺委員】  コメントで言うと、これ、研究開発ですから、その全てがAというのは、本当に――だから、元々テーマ設定が甘いんじゃないかと。できるものとか、そういうのに対して金を流しているんじゃないかという。もっときちんと目標設定すれば、できないのもあるんじゃないかと思うんですよね。そこが、研究開発と言いながら、全てAですというのは、これが普通の事業と違っているんじゃないかと。研究開発だと、本当はできないのもいっぱい出てくるはずなんですけどね。というところで、これは選び方がどうなのかなという。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員。
【亀井委員】  関連です。だから、これ、多分、PD・POの決め方と、事業の採択のされ方が、いわゆる原子力ムラの中で起きていませんかということに対するアカウンタビリティが必要なんだと思います。そこは、現時点ではそうではありませんという御説明を多分されるんだと思うんですが、それはなぜそういうふうに言えるんですかということを、殊更過去の3.11のことも含めて言えば、ムラの中で閉じているんじゃないかとか、結局はPDの例えばお弟子さんじゃないかとか、そういう疑いってどうしてもかけられがちなわけですよね。そこの部分を、いや、そうではありません、クロスチェックをしていますとか、あるいは、全く関係ない海外の学会の経験者を入れていますとか、例えば、そういうプロセスをどういうふうに明示できるかというところが非常に大事なところではないかなと思いますが、ここはいかがですか。
【説明者】  そこを完全にしっかりと説明するというのは、今この場でというのはなかなか難しいものですから、しっかりとそこの説明責任を果たせるように、説明の仕方、それから、必要によっては、選定の委員そのものについても検討していきたいと思います。
【説明者】  もう一つだけ説明させていただきますと、今、ここ数年、採択率が、割とこの規模が減ってきたということもありましょうが、4~5倍ということで、かなり入口で振り落とされているということも、1つの原因にはなっているかなとは思っております。ただ、全部Aじゃなくても、その中で一番低いのは、もうちょっと厳しく見ていってもいいだろうと。御指摘の点も踏まえて、PD・POに対しても、もっと厳しい目で見てくださいと、こういうことも含めて対応させていただきたいとは思っております。
【亀井委員】  ありがとうございます。今のPD・POは厳しく見るというより、PD・POの人選と、多分、採択者との人選の関係を、じゃ、それは切れるのかと言ったら、今、業界によっては狭い業界、学会もたくさん出てきていますから、ここはなかなかそんなにきれいな話には言い切れない部分があるというのは重々承知はしておるんですけれども、特にこの分野については、やはり疑われがちなわけですから、是非そこをやっていただきたいなと。
もう1点、ごめんなさい。さっきのJSTの話に戻りたいんですけれども、JSTのホームページを見ると、この本件の事業である原子力システム研究開発と、それから、もう一つ、多分、別の事業である、英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業というのが一緒に載っかって募集になっているんですけれども、これは契約行為として考えると、どう理解したらよろしいんでしょうか。
【説明者】  事業ごとに別の課題管理の契約で行われているというものでございます。
【亀井委員】  元々別々の契約なんだけれども、JSTにおいては、似たような分野だから、同じホームページの上で運営されているという、こういう理解でよろしいんですか。
【説明者】  分野が同じなのと、JSTの中で、恐らく効率的な事業の実施という観点で、一緒にやっているということかと思いますが。
【亀井委員】  これがまさにほかの人が入りにくい、1つの参入障壁にはなっていないんですかね。つまり、ほかのことをやっている人が、もう一つ追加でやる場合は、追加コストは安くて済みますよね。もしかすると、JSTさんはずっとそっちの方をやっていて、これを乗っけるだけであれば、運営コストは安く済む可能性があって――いや、ごめんなさい、それは可能性として言っているんですよ。そういうところも含めて、先ほど有川先生から御指摘があったような参入のしやすさというところは、もう一度、多分、ゼロからここは考えていただく必要というのがあるんじゃないかなと。
結果論から見ると、それは一緒にやっていて、効率的にやれているからいいじゃないか、結果として国民の税金安くなっているだろうというお話なのかもしれませんが、もしかしたら、もっと別の団体にやってもらうことで、安くできるのかもしれませんし、そこは契約行為として問題がないのであれば、ないんだとして、それはそれで構わないのかもしれませんが、ちょっと疑義を生じかねないなというふうには認識しております。
【説明者】  ありがとうございます。
逆に、平成28年度は、委託先がJSTから原子力安全研究協会に変わりまして、実際、それは、こちらとしては、金額、それから、先ほどの中身の総合落札方式で検討しただけなんですが、むしろ先方は、そういう意味では、これまで持っていたリソースが無駄になるというか、そういうところもあるのかもしれませんが、そこは私ども厳しく、総合入札落札方式でやっているというところでございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、松浦委員、お願いします。
【松浦委員】  資料の28ページと9ページにまたがるんですが、まず28ページの方ですが、平成25年度の契約金額と26年度の契約金額では、半額に落ちてずっと引っ張られていますけれども、これは、この業務量が半分になったんでしょうか。それとも、企画競争から一般入札に切り替えたことによる効果だと御判断されているんでしょうか。
【説明者】  両方ございます。企画競争から落札方式に変えて金額を減らしている部分もございますが、一方で、その方式を変えるに当たりまして、しっかりと業務も見直して、落札しやすいような形に、要は、委託を組み直したというところもございますので、その影響もあろうかと思います。
【松浦委員】  では、それを前提でもう一度お伺いしますが、今度は、27ページですね、業務委託の棲み分けというところで、委託内容というのがA4判1ページで書かれています。これを見ると、つまり、一般競争でやれるということは、内容がかなりフィックスしているということですよね。内容がフィックスしていなくて、プロポーザルしなくちゃいけないから企画競争にする。だけど、内容がほぼ固まっているから競争するということだと私は理解するんですが。そうすると、ほとんど固まった内容で、なおかつ、人月がこれだけ違って、なおかつ、価格が下がらないというところ、先ほど、ずっと前に出た議論ですけれども、そこら辺の分析、これを是非していただきたい。
つまり、やることがもうほとんど決まっちゃっているのに、何で契約額が落ちないのか、労働力が減っているのに契約額が落ちないかというあたりをちょっとレビューしていただきたいなと思います。
【説明者】  御指摘ごもっともだと思います。この人日は、むしろそのときの契約の実績でございますので、結局、実績としてこうなったというところですので、じゃ、なぜ実績がこうだったのかというところは、かなりしっかりと精査していきたいと思っております。
【松浦委員】  多分、これ、総合評価ですから、調査研究になっちゃうと、1対2の割合で、技術点が高いところがもう勝つのは決まっているんですね。だから、そういう意味で、少しでも技術点を稼いだら、もう言い値でもって落札されてしまうという、総合評価の在り方そのものが私が問題があるとずっと思っていますけれども、でも、それは文科省さんに言ってもしょうがない話で、総合評価の在り方を考えるところで考えていただかないといけないと思いますが、そういうことも影響しているかなとは、個人的には思っております。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
それでは、有川委員、お願いいたします。
【有川委員】  1点だけ確認したいんですけど。21ページのグラフで、先ほど田辺委員が質問されたのとほとんど同じ疑問を持っているんですけれども。震災前のこの研究費の大きな流れ、特に4番目なんかは、震災直前にぐっと伸び始めたところでありますけれども、それを予算の制約だからといって、震災後のところで従来やっていたやつをばっさりなくしたというのは、やはり研究の成果の継続性という面からいくと、問題があるのではないかなという。
問題がないというのであれば、じゃ、震災前のこれだけやってきた研究というのは、過大な研究テーマの採択だったのではないかと、そういう疑問が出てくるんですが、恐らく国民もこれを見たときに、そういうふうに感じるような気がするんで、その辺はどういうふうに説明されますでしょうか。
【説明者】  研究自体は、それぞれ採択のときに3年なり4年なり決めますので、その3年なり4年なりは皆さん継続していただくということで、研究者の皆さんには直接は影響がないようにはしておりますが、新しく申請をされたい方には、やはり今の原子力を取り巻く社会の見方、それから、それを踏まえた政策の在り方というものも御理解いただいて、この安全ですとか放射性廃棄物のテーマに申請いただきたいと思ってございます。
【有川委員】  すみません、くどいようですけれども。ということは、震災前は、予算があったから、そんなに必要ではないけど、こういう研究をやっていたというふうな見方をされても仕方がないということでしょうか。
【説明者】  直接の今のお答えになるかどうかはあれですけれども。原子力の研究開発を担っていただく産学官の研究者、それほどたくさんいるわけではなくて、大切な研究者の方々に、それぞれ、ちゃんと稼働していく原子力を守っていくだけの技術基盤を守っていただきたいと、これがございます。そして、その研究者の方々が、震災前は、新しい原子力システムというものに着目をした研究をやっていたことは事実でございますが、その根っこになる専門的な能力というのは、必ずしも次の世代の原子炉を考えていきましょうということだけではなくて、安全を確保した原子炉システムを作るにはというふうに、彼らの問題意識のマインドを、文科省としてテーマ設定として誘導しているというふうに、私、理解をしております。
ですので、今まで無駄なことにということではなく、震災をもって、やはり国民の方々の気持ちにも寄り添う形、より安全な炉、それから、廃棄物、こちらに問題意識を寄せているというふうに理解をしておりますが。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  大分議論が進んでまいりまして、あとシートを出して、書かれた方……田辺先生、お願いします。
記入をお願いしておりまして、ありがとうございます。
そのほかに、亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  研究開発ですから、もちろん、全てが何かすぐにできるとか、成果をもうすぐに出しなさいと言うつもりはないんですけれども、全体として、こういう研究開発のマネジメントをしている文科省のお立場としては、大事なことは、この研究開発が進んでいくと、5年後、10年後にこういう技術の種が出てきますとか、あるいは、こういう社会像に貢献できるんですということを、やっぱりお示しいただくことが必要なんだと思うんですけれども。まさに社会全体は、3.11でいろんなことに気が付いたわけですね。さらには、多分、金の流れも変わったんだと思います。そういう問題意識があるんだとすれば、なおさら、我々はそこを熱望しているわけです。更に言えば、現場では廃炉とかを一所懸命やりたいという学生が増えてきていると、こういう話も伺います。そういう中で、じゃ、この事業を進めていくとどういう社会ができてくるのかという御説明がもっとあってもいいのかなとは思うんですけれども、ここはいかがなんでしょうかね。
【説明者】  そこは、安全性が上がるとか、放射性廃棄物がこれだけ減るようなという説明はしてはございますが、まだまだそういう意味では足りないかもしれませんので、しっかりと説明責任を果たしていきたいなと思っております。
【亀井委員】  だから、そもそもこの分野というのは、研究開発として何年ぐらいのタームを見なければいけないものなのかという、多分、これ、ある種の社会とのコミュニケーション、科学技術と社会のコミュニケーションというのは、すみません、もうお釈迦様に説法ですけれども、特にこの分野、やっていかなければいけない1つの分野なんだと思うんですね。別に、だから、そこにお金を付けてくださいと言うつもりはないですけれども、例えば、ずっと言っているけどできないじゃんという、そういう話ってよく聞きますよね。そこをもう少し具体的に、いや、実は、前よりはこれができるようになったとか、これはやっぱりできなかったとかということを、もう少し積極的にコミュニケーションしていくことは、特にこの分野については、過去の反省も多々あるわけですから。もっと言えば、元々の財源が特会というようなちょっと不思議な話もあるわけで、そこの説明責任というのは、より厳しく求められる中で言うと、今日の御回答というのはまだまだ十分ではないし、個別のこういう事業名を見ても分からないことはたくさんあるわけで、要は、国民の税金をここに突っ込んでいるという意識を持てば、これでどうなんだという、so whatをきちんと皆さんからもっと分かりやすく示していただく必要はあるんじゃないかなと思います。
【説明者】  まさにおっしゃるとおりですので、私ども、これからこのプロジェクトを進めていくに当たって、その点をまず第一に考えて進めてまいりたいと思います。
【亀井委員】  ごめんなさい。具体的にどんなことを考えていらっしゃいますか。
【説明者】  まずは、先ほどからもちょっと私も申し上げましたフォローアップ、それから、この事業からどういう成果が出てきて、どういうふうに社会に還元しているのかというところが、まだまだ私どもしっかりつかんで、しかも、それを発信していくのがまだ弱いと思っています。
例えば、私どもも、この成果でこんな成果報告書というのは作ったりもしたんですが、これも実は何年もやっていなかったり、あとは、ホームページ、それから、報告会のようなものも開催をしてはおるんですが、まだまだ、特に原子力以外の分野の方々には関心がないと見ていただけないかなと思っています。まずは、そういう、しっかりとこの事業の成果というものを発信していくということに力を入れたいと思ってございます。
【亀井委員】  まさにそこが、PD・POも含めた、さっきのムラだというふうに誤解されているのか、事実そうなのか、私は分かりませんけれども、そこも含めて、特にアカウンタビリティを求められているところで、安全のための安全をずっと言い続けてきた人たちもいるわけですよね。そこの反省を踏まえたときに、具体的に、この専門家の人たちが、やはり社会にきちんと発信をする責務が、この事業に採択された以上はあるんだという意識をまず持たせないと、まず皆さんが理解いただかないと、私なんか文系の人間ですから全く分からないですし、大多数の国民に対してどういう意義があるのかということをきちんと、まず皆さんが御理解される前に、やっている人たちに説明責任があるんだということを理解してもらうということは、僕は案外まだそれができていないんじゃないかな。だから、こういう話になっちゃうんじゃないかなという気が、すみません、これは感想ですけれども、しているところで、是非ここは、今後いたしますという紋切り型の話ではなくて、そうやっていかないと、この話、どんどん社会から離れていっちゃうし、やっぱり国民の税金は出せませんよねというふうに話としてなっていっちゃいますよね。そこは是非、検討というよりは、もうやってくださいというお願いをさせていただきたいと思います。
【伊藤委員】  一言だけよろしいですか。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  松浦委員が。関連ですか。
【伊藤委員】  どうぞ。
【松浦委員】  26ページ、もう私、コメントシートは出してしまったんで、感想です。
例えば、今御指摘にあったことを、ここに成果事例でまとめていただいていて、多分、私は、これ、すばらしいアウトカムだと思うんです。私はね。理系だから。だけど、やはりこれ、国民の皆さんが御覧になると、だからどうしたのってきっと思うんですね。
例えば、中性子をブロックするためには、数メーターの水の壁がないと止まらないんですよね。だけど、このゲルで遮へいできるということは、これは画期的で、しかも、ゲルですから、可塑性があるわけでして、非常に画期的なアウトカムが出ている。
2番目もそうですね。2番目も、やっぱりそういうアウトカムが出ている。
先日、現場を拝見させていただきましたけれども、スモールテストベッドから、いわゆる耐震性に対しての新しいモデルを作っているところも見ました。小さなお金でスモールテストベッドまで作ってという地道な努力をされているのも拝見した。
だから、こういう、どうしても専門用語に傾きがちですけれど、多くの人々は、こういう言葉を見せられても、だから何が起きたのということが分からないということがありますので、これは同じ御意見ですけれども、もうちょっとかみ砕いた表現で。
【亀井委員】  私もそこはそうなんですが、これ、文科省さんの場合、このパターン、すごい多いんですよ。主な成果事例って。これは、すみません、皆さんだけじゃないです。全ての局と課から出てきます。よかった話はそうなんだろうと。でも、全体で20幾つやっているじゃないかと思うんですよ。そこなんですよ、大事なところは。全体としてどうなのかという話。その中で、要は、チェリーピッキングしてませんかという話なんです。いいものだけつかまえてお話をされて。
これが優れているのは、それはそれで、きちんと理解しようと思えば理解できると思います。問題は、全体としてどうだったのかという話をきちんとやっていただいて、その中にこういう事例がありますというような科学技術コミュニケーションしていただかないと、それは結果として、我々が投じた税金のうち、いや、できたのがあるのは、それは分かるよというふうに、それはそこで止まってしまうので、そこが私は極めて大事なところで、事例を挙げてくださいって、これはもちろん必要なことですよ。必要なことですが、このパターンに陥らないでくださいというのは、すみません、文科省で今日聞いている方、私、この話は何度もしているんですけれども、くれぐれもそこはお願いしたいなと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、最後に伊藤委員からお話を頂きまして、有川委員のお取りまとめに入りたいと思います。
【伊藤委員】  ごめんなさい、一言だけ。
今日午前中に、先端融合領域の拠点形成の事業をやった際に、あれはここと大きく違うのは、民間資金を初めから投入しながら、基礎から応用に持っていくという。途中で絞り込みをしながら、10年から15年の中で、いかに実用化へ向けていくか。もちろん、こちらは、もっと基礎でもあるし、研究開発ではあるんですけど、やはりこの前からずっと出ているように、最後はみんな欲しているところがあるので、民間資金が入るか入らないかは別として、少なくともそれぐらいのタームで追いかけ続けるというものを、最初からこの事業の仕組みの中に入れ込むことって、何かそういう視点が必要なのかなということを、これは感想として申し上げたいと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
それでは、コメントシートの集計が取りまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員より、評価結果及び取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【有川委員】  投票結果は、事業内容の一部改善が、全員、6票という結果になりました。
コメントシートから幾つか紹介させてもらいたいと思います。
研究テーマの設定と評価の在り方が不透明だ。あるいは、研究テーマの採択が不透明である。
従来の研究テーマの研究成果の持続性に心配がある。
それから、中間評価の評価が甘くないか懸念がある。中間評価のプロセス結果を適切に公表するなどして、事業運営の改善が必要ではないか。
それから、当該研究は国民の関心が非常に高いものなので、実用化までのフォローアップを適切に行うべきだという意見。
それから、PD・POと採択事業との関係性に関する丁寧な説明が必要だろうというような意見。
また、課題管理委託につきましては、課題管理委託先の選定についての情報公開が必要だ。
それから、予算積算の根拠をより明らかにする必要がある。
それから、業務委託に係る契約の競争性、価格の妥当性について、適切な問題分析に基づく改善の必要がある。
この課題の委託管理については、参入障壁が非常に高く感じる、そういう感想を持つ。
同じく、課題管理委託先の選定プロセスの改善が急務だ。参入障壁の洗い出し、落札価格の妥当性の検証、必要とするスペックの公表、金額との整合性等々、課題が非常に山積みであるというような指摘が意見としてたくさん出されております。
最終的に、本委員会としては、満票でありました事業内容の一部改善という結論で、取りまとめコメントとしましては、大きく分けると3つのようでありますので、1つは、研究テーマの採択と評価の在り方について、適切に行われるよう、透明性の確保も併せて適切に行うとともに、その透明性の確保をきちんと行うようにということが第1点目であります。
2点目が、研究テーマだけではなくて、中間評価を含めて、この研究全体における透明性の更なる拡大・確保というものが必要だという見解。
それから、3番目が、課題管理委託先を中心とした委託契約についての透明性、あるいは、競争性、価格の妥当性についてのきちんとした検証と、それに基づく速やかな改善が求められると。
この3つの点を取りまとめコメントとして、この委員会の結論としたいと思いますが、よろしいでしょうか。
では、以上ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、原子力システム研究開発委託費の公開プロセスについては終了させていただきます。
次の災害共済給付事業につきましては、16時45分開始といたしますので、よろしくお願いいたします。
( 休憩 )
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、最後の7コマ目を始めさせていただきます。
引き続き、行政改革担当の河野大臣が御視察されておりますので、御紹介いたします。
これからの時間帯は、災害共済給付事業について、御議論を賜りたいと存じます。
初めに、事業概要の説明をさせていただきます。事業担当課は、5分以内で簡潔に説明をお願いします。
【説明者】  よろしくお願いいたします。
早速ですが、資料1ページを御覧ください。災害共済給付事業は、こちらのとおり、目標を位置付けてございます。学校における児童生徒の安全を確保するという目標の達成のために実施している事業でございます。
この事業は、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)が、法律に基づき行う事業ですので、本事業は、JSCに対する補助事業ということになります。
災害共済給付制度につきましては、11ページを御覧ください。この図のとおり、国と学校の設置者、それから、保護者の三者の負担による互助共済制度として、学校の管理下で起きた災害に対し幅広く救済を行ってきているものですが、給付に要する経費の一部を国が補助することによりまして、保護者及び学校設置者の負担を過重にすることなく、学校災害に対する救済を行い、学校教育の円滑な実施を図ることを目的としております。
次に、16ページを御覧ください。本制度は、昭和30年代に学校の災害が多数発生したことなどをきっかけにしまして、国による災害補償制度の立法化の要請が高まり、学校安全の普及充実業務、それから、災害共済給付に関する業務、これらを専門に行う特殊法人、日本学校安全会を特別法により設立いたしまして、その業務に当たらせたことから始まります。
そして、今日では、法人の整理合理化等をへまして、JSCが業務を引き継いでいるものでありますが、法人の整理合理化の際には、不要な事業を廃止、民間でできるものは民営化の検討もされていますが、結論として、災害共済給付事業は、独立行政法人が担うことに異論はなく、引き続き、法律によりJSCの業務として明記をされているものであります。
また、昭和53年度の給付事業の大幅改正におきましては、保護者負担を過重にすることなく給付基準を大幅に引き上げるため、給付に要する経費に対しても国庫補助金制度を導入することとされたものであります。
なお、最近では、市場化テストの事業選定に当たり、災害共済給付も市場化テストの対象として適当な事業か検討がなされましたけれども、適当との判断ではなく、JSCが示した業務改善の自主的な取組を推進していくことを促されたものであります。
次に、17ページを御覧ください。他の共済制度との比較であります。全国的な共済の例として、全国大学生協共済生活協同組合連合会が実施する学生総合共済、それから、全労済が実施するこくみん共済をお示しして比較してございます。
まず契約者の部分ですけれども、各種共済では、学生やその保護者といった個人の組合員との契約による給付を行うことから、全ての加入者との間に契約や給付金の請求・支払い事務等が発生いたします。そのため、18ページの図のように、会員である組合や協力団体等に共済事務の一部を委託する場合が多いですが、その際に発生する委託手数料等が理由の一つとなって、事業経費率が高くなっております。
一方、災害共済給付制度では、学校の設置者が契約者となって、給付金の支払いも請求も設置者が行うものと法律で定めているものです。これは、学校の管理下で発生した事故を対象とすることに鑑みまして、事故の発生状況にかかわらず、学校の設置者が積極的に関わるよう制度設計され、法制化されたものであります。実際の受給者である児童生徒の保護者に対しては、契約者である設置者又は学校が、制度の内容や給付金請求の手続などの説明を行うことになります。結果として、JSCの事務負担が軽減されていることが、JSCの事業経費が他の共済に比べ低額な理由と考えられます。これは民間保険との比較においても同様となります。
次に、19ページですが、事業経費の比較を行っております。共済の事業経費には、先ほど説明した業務委託の際の手数料が含まれていますので、災害共済給付では発生しないこの手数料を除いた上で、損害率・事業費率を用いて、災害共済給付と同等の給付額を処理する場合の必要経費を試算してみたところ、事業経費の詳細は分かりませんので、試算に限界はありますが、資料のとおり、金額の増の可能性が見込まれるものであります。
組合員個人の相互扶助である組合制度と、学校設置者を主体とする今の災害共済給付とでは、制度の趣旨が異なりますし、そもそも学校の設置者が前面に出て給付事務を担ったり、掛金の一部を負担したりできるよう、特別法により措置をしたのが日本学校安全会法であり、現在のJSC法になるわけであります。
また、21ページになりますけれども、昭和53年度から導入された災害共済補助金は、給付水準の向上のために全てが給付に充てられておりまして、掛金収入につきましても、単年度で収入が支出を上回った場合の差額は、翌年度以降の赤字に備えて積み立てられることから、本事業で利益は生じないという仕組みになっております。
災害共済給付制度につきましては、ただコストを抑えること、利益を上げることを目指すというものではなく、学校教育の重要性、学校災害の特殊性に鑑みまして、学校教育の実施に安心感を与える制度でなければなりません。以上のことから、引き続きJSCが運営主体となるという法律の定めに従いまして、確実な給付を行っていくということで、児童生徒の安心、学校教育の安全・安心に寄与していきたいと考えております。
以上です。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
それでは、私の方から論点について説明させていただきます。お手元の資料3ページの論点等説明シートを御覧ください。
まず1つ目としまして、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)以外に実施者はいないのか。日本スポーツ振興センターが実施することの合理性という点。
2つ目といたしまして、アウトカム・アウトプットは適切に設定されているか。
以上2点について御議論願います。
それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。説明者は、外部有識者からの御質問に対し、簡潔明瞭に回答願います。
亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  ありがとうございます。非常にこれまでのプロセスを経て、分かりやすい説明になったなと思います。
そういう中で、1つ、まずこの制度そのものを、今日公開プロセスで議論していますので、事実関係について幾つか教えていただきたいんですけれども。まず、学校の設置者が契約者になっているという場合、学校の設置者というのは、つまり、例えば、小学校ですと、公立の場合ですと、市町村になることが多いんだと思うんです。あるいは、県ですと、都道府県という形になるんだと思うんですが、彼らはどういう負担をされているのか、その負担の構造というか、金額のレベル等々について、まず教えていただけますでしょうか。
【説明者】  資料の14ページを御覧いただけますでしょうか。
設置者の金銭的な負担といたしましては、そこの表で書いてございますけれども、掛金について、保護者と設置者で4割~6割と、学校種によって違いますけれども、こういった形で負担をするという形になってございます。
【亀井委員】  なるほど。そうすると、理解としては、この人数掛ける在校者数という形の部分を、学校が払う場合と、それから、保護者が負担する場合、それはそれぞれの地域によって違ったりだとか、私立の場合だったら違ったりとか、それぞれはあるけれども、この部分の人数が1人当たりこうだから、学校としては払っていますと、こういう理解でよろしいんですね。
【説明者】  そのとおりです。
【亀井委員】  ですから、契約主体としては、ここにもあるとおり、あくまでも学校の設置者が契約主体であって、学校の設置者が、そこの請求をどうするかというところは、学校の任意に任せられているという、こういう理解でよろしいんでしょうか。
【説明者】  学校の責任で請求を行うということになります。
【亀井委員】  なるほど、なるほど。学校の責任において請求を行うというのは、どういうこと?
【説明者】  任意というのは、もちろん、この給付の要件に該当するものが発生した場合に関しては、それは学校の方で責任を持って請求を行っていただくことになると。学校の都合でとか、そういったことではないという趣旨でございました。
【亀井委員】  なるほど、分かりました。ありがとうございます。
もう1点、事実関係として教えてください。16ページのこれまでの経緯についてまとめていただいているんですけれども、市場化テスト事業選定に関するヒアリングというのは、誰がどういうふうにやって、その結果、結果的には、これは市場化テストの対象として適当な事業であるとは判断されなかったというふうにあるんですが、具体的にどんなプロセスで行われたのか、ここについて、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
【説明者】  平成23年度から24年度にかけまして、内閣府の公共サービス推進室との間で、市場化テストの導入に向けた検討が行われたというふうに承知しております。
具体的にそのときの議論といたしましては、審査・給付に関する、その当時はコア業務と呼んでいましたけれども、そのコア業務に係る部分と、そのシステムの入力だとか、文書発送だとか、定型的な業務に係る部分に分けて検討を行いまして、前者のコア業務の部分に関しましては、いわゆる一般の民間の保険会社においても内生化を進めているということで、余り外注というものはしていないということでございましたので、定型業務について外部委託ができるかどうかということを、コスト等分析をしたというふうに承知しております。
【亀井委員】  ということは、ここでの議論としては、これをもってして、外部委託することができないコア業務というのは、これは誰が判断したんですか。
【説明者】  当時の議論の中で、内閣府と文部科学省の間で、これは難しいだろうということで結論を得たというふうに承知しております。
【亀井委員】  ごめんなさい。誰の判断かというのは、つまり、審査をしたのは、何について審査をしたのかというと、今のお話がちょっと分かりにくかったんですが、外部委託検討可能な定型業務について、市場化テストすべきかどうかということを、その導入可否を議論したという、こういう理解でいいんでしょうか。
【説明者】  はい、そうです。
【亀井委員】  これについては、どうだったんですか。
【説明者】  定型業務に関しましては、こちらも外部委託した場合等、どういったコストが生じるかということで検討したところ、システム改修だとか、そういったコストが追加的にかかるだろうということで、JSCの中で効率化をした方が結果としてコストが安くなるのではないかと、そういうことで結論を得たというふうに聞いております。
【亀井委員】  ちょっと待ってください。今、JSCの中でやった方が効率化できるのはなぜですか。
【説明者】  その当時の議論ですと、外部委託に伴いまして、情報システムの改修に関するコスト等が新たに追加的にかかるということでございまして、JSCの中で効率化を図っていくという方が、よりいいと聞いております。
【亀井委員】  なるほど。とすると、そこは民間参入の可能性について議論したというよりは、既存のところを是としたときに、そこの改修コストが生ずるから、この部分については外に出さないという、こういう理解になったという、そういうことでいいんですか。
【説明者】  その定型業務の部分に関して、外注、外部委託ができるかどうかという検討をしたと。
【亀井委員】  いや、だから、検討してどうだったかという話について言うと、今の私の理解でよろしいんですか。つまり、基本的には、新たな投資等々が発生する話になるし、既存のところから切り出すのもの大変なので、それは今のままで、基本的に中でコスト削減を図っていくことにしたという、こういう理解でよろしいんですか。
【説明者】  そのとおりでございます。
【亀井委員】  なるほど。だとすると、ごめんなさい、分からないのは、まずコア業務については、市場化テストの対象としては正式な議論には入っていないという、こういう理解でまずいいんでしょうか。これは事実確認です。
【説明者】  全体のプロセスの中で、市場化テストですので、どの範囲までが市場化テストをかけられるかということで、まず全体のところを市場化できるかどうかということで議論した結果、まず定型的な、内生化されている審査等の特殊性はまず難しいだろうということで、まずそこが切り離されたということでございます。その上で、じゃ、残った部分の定型的業務について、更に市場化ができないかというふうなプロセスの議論をした結果、今御説明申し上げましたように、なかなか難しい課題が出てきたということでございまして、結論的には、JSCの中の業務の効率化を図るというふうなプロセスに至ったということでございます。
【亀井委員】  ごめんなさい。やっぱり説明がよく分からないんですけれども、まず1つ目の、なぜコア業務についてはこの対象にならないのかというところの理由を説明していただけますか。
それから、2つ目のところについて言うと、これは、一つずつ事実確認をしていきたいんですが、外部委託検討可能な定型業務については、なぜ結果的にはJSCの中で効率化を進めようという話になったのか、それぞれなぜを教えてください。
【説明者】  まず、前段のコア業務につきましては、民間保険の場合でも、審査に関わる部分はコアのものでございますので、それを外部に出しているということはなくて、内生化ということで、民間保険会社自身でこれを行っているということでございますので、それと並べてみた結果、JSCの災害共済給付につきましても、それを外に出すということはおかしいだろうということで、まずそこにつきましては、JSCの中でやるべきだというふうになったということでございます。
その上で、それ以外の定型的な業務につきまして、できるかどうかということで検討した結果、今御説明申し上げましたように、外部に委託するに当たって、外部に委託するための、例えば、個人情報等ございますので、それに係るシステムの改修の経費などがかかってくるということでございましたので、そのかかってくるコストなどを踏まえて検討した結果、それを丸ごと外部に出すということはなかなか難しいだろうということでございましたので、逆に、JSC本体の中の人員の削減など、効率化の取組をやっていくという形で進めていこうということになったということでございます。
【亀井委員】  分かりました。
1つ、多分、問題提起をしておくとすると、市場化テストというのは、いろんな言葉の認識があると思います。どの範囲を市場化テストと呼ぶのかは、それぞれの定義があると思います。当時の定義は、多分そういうふうにやったんだと思うんですけれども。
これは、でも、今のお話を伺っていると、前提として、JSCはじめにありきですよね。民間保険会社においても、審査や給付業務については外に出していないんだからというのは、その保険会社がやることを前提にしてお話をされていますけれども、そもそも、この制度としての、子供のいろんなけがだとか、いろんな命を守っていくという意味でのこの制度の在り方としては是としたとして、それを実行する手段としての事務委託機関として、民間機関があり得ないのかという、より広い意味での市場化テストという検討はまだなされていないと、こういう理解でよろしいんですかね。
【説明者】  それにつきましても、この災害共済給付制度ができたという経緯から含めまして当時御説明しておりまして、その経緯につきましては、本日の資料の16ページに掲載されている流れでございますけれども、もともと各学校におきまして集団的な災害が多数発生して、これに対して、国として災害補償制度というものをつくってほしいという要望が、全国教育委員会や校長会、PTAから要望がされたということでございます。これを公的な制度としてつくっていただきたいということで、その受け皿として法律がつくられまして、それを実施する法人といたしまして、日本学校安全会ができたと。それから現在に至っているという流れがあるわけでございます。
この流れの中で、当時の議論の中でも、やはりそれはこういう災害共済というものを安定的にやっていただく必要が重要だということが、学校現場や教職員、保護者の要望だというふうに理解いたしまして、それ自身を丸々民間企業に出すということはなかなか難しいだろうというような経緯をたどったというふうに承知しているところでございます。
【亀井委員】  多分、今のところで――私もその経緯は分かるんですよ。もちろん、目的は分かるんですよ。国として、これをきちんと支えなければいけないのは当然なんですが、だからといって、独立行政法人がやった場合と、民間企業でやった場合に、業務の安定性が民間企業の方が損なわれるというのは、そこは私は違うんだと思います。民間企業でもできるように制度設計ができるかもしれないということを考えるのが市場化テストであって、基本的には、その担い手が誰であるかというのは、パブリックを誰が担うかという議論にこれは通じる話だと思っていて、行政が行っているから大丈夫だという発想では僕はもはやないんだと思いますので、そこは、その前提でもってこの議論が始まってしまうと、私は、この議論が先に進まなくなってしまうのではないかなと思います。そこは問題提起として、是非申し上げておきたいなと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、次に、伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】  今、亀井さんがお話をされたのは、システムのところで委託ができないかどうか。もう一つは、多分、保険本体のところがあるかと思うんですが。民間保険であったりとかほかの共済に担えないという理由の一つとして、掛金収入と給付額のいわゆる損害率が90%になっている。これは具体的に見ていくと、多分、17ページの比較表を見れば、死亡給付金であったりとか障害のときの給付金の桁の違いというのは、まず1つあるんだろうと思うんです。要は、災害が起きたときの給付が、ほかの保険に比べたらかなり手厚いというところだと思うんです。
その中の一つとして、通院・入院については、自己負担額プラス1割分。これ、どういうことかと言うと、例えば、子供が学校で骨折をして、これは自己負担額ではなくて、総医療費額ですので、3,000円の自己負担額があった場合というのは、大体でいきますと、1万円ぐらいかかった。その1万円の自己負担額の3,000円と1割である1,000円、4,000円がその後に還付される。つまり、実際にかかった医療費よりも1割分多く戻ってくるという制度になっていると思うんですね。
まず、この1割をある意味乗っけて返しているという、自己負担から乗っけて返しているという理由は何なんでしょうか。
【説明者】  医療保険の自己負担額は、当然、医療に使った保護者、子供の負担の部分ですけれども、それに伴う交通費とか様々な諸費用が同時にかかってくるというところも踏まえまして、プラス1割ということでお支払いをしているということでございます。
【伊藤委員】  ここは多分、先ほどお答えのあった、この災害給付のスタートが、学校での集団の事故が多かった、だから、その安全を守るというところから来ているからだとは思うんですが、実際には、今は事故というのは場所は余り選ばずに、学校の事故というよりは、それこそ一度学校から帰ってきて、どこかの公園で起きている事故もある。そういう意味での子供の安全を守るという意味では、学校であろうが、家庭であろうが、外であろうが、余りそこは分けて考えるものではないんじゃないかなと私は感じているんです。
としたときに、少なくともほかの保険の中では、交通費分をやっぱり出しましょうというにはなっていないというところがある中で、これは多分、これまでの経緯だからそうなっているということになるのかもしれないんですが、そこも含めて、民間保険であったりとか、今日、比較表を出していただいている共済に担えないかどうかの、1つ判断材料になるのではないか。
このままお願いをしようとしたらできないという結論になるかもしれないけれども、今の時代の変化に応じた保険の在り方を含めて、民間にできないかどうかという検討の仕方とは若干違いがあるんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
【説明者】  当然、学校外でも子供たちの安全を確保していくというのは、もちろん重要なことであると認識しております。
その上で、繰り返しになりますけれども、この制度の趣旨といたしまして、学校の中で起きる事故については、国としても、しっかりそこに重大な役割を持って、国の制度として救済措置をしていくべきであろうと、そういった議論があって、災害共済の制度ができておるということが、まず1つあります。
その上で、学校外の部分も含めて担っていくと仮にすれば、恐らく、既存の給付件数なんかよりはまた増えていくということになると思いますし、そうなってくると、保護者、また設置者の負担というものが追加的に発生してくる可能性もあるということが考えられますので、それはまた、それが果たして国民的な理解を得られるかどうかというのは1つあるかなと思っております。
【伊藤委員】  私が申し上げたのは、パイを拡大しようということではなくて、イコールフッティングしようとしたときには、その1割の上乗せ分をなくすということだって、なくした上で、民間に担えないかどうかという検討だってあり得るんじゃないかというところで申し上げたんです。
もう一つだけ、すみません。実態で考えたときに、今、相当各自治体の子供医療費の無料化が進んでいて、こっちの給付を使うよりも、先に子供医療費、要は、一旦現金を払わなくてもいいから、そっちを使っちゃっている。JSCさんのQ&Aを見ていると、一回子供医療費で使っちゃったら、その後、申請をしてちゃんと支払ってくださいねと。要は、何を言っているかというと、これ、4割戻ってきかねない状態に今既になっちゃっているんじゃないかなと思うんですよ。既にブログとかで、そういうことを言っている人たちもいるわけですよ。
【説明者】  そこは、すみません、個別において制度の理解がどこまで図られている等あるかもしれませんけれども、原則の制度の運用といたしましては、例えば、子供の医療費が無料になっている部分に関しては、そこは払わないと。追加の1割分ですね。自己負担額がゼロであれば、そこは払わずに、総額の1割のみ払うということで運用しております。
【伊藤委員】  ですよね。そういう運用だけれども、実際に、これは私の娘もそうだったんですけど、通常、学校でというよりは、病院に行ったときには、乳幼児医療証を使えば現金は払わなくていいという意識を持ってしまっているから、こっちの制度を使うというよりは、まず先に乳幼児医療証で一回出してしまう。
ただ、それだけではなくて、その後、学校から、学校の手続で申請書が戻ってきて、そうなったときには、ちゃんと後から1割分が返ってくるということになると思うんですけど、これを逆にうまく使おうとすれば、医療証を使ったけれども、後から、そういえば、あれって、たしか申請書の中に、乳幼児医療で使ったかどうかというところにチェックをすることになっているから、そのチェックをしないことによって、4割が戻ってくる可能性が出てきているんじゃないかということを今申し上げたかったんです。
つまり、申請主義になっているものだから、そういうことも結果的にはですよ。実態がどうか。少なくとも幾つか事例はあるというのは私も確認をしたんですが、そういうことがあり得てしまうというふうに感じるんです。
今、この後、私が言いたかったのは、こっち側でどんどん進んでいる乳幼児医療の無料化との整合性はどこかで必要になってくるんじゃないかな。結果で言えば、同じ話なんですね。子供の医療を守ろうということで進んでいる。私は、個人的には、そっちが進んでいること自体、もう課題は多いと思っているんですけど。少なくとも、文科省か厚労省かではなくて、保護者の立場からすると、けがをしたときとか、学校で何かがあったときに病院へ行くという意味では、全く一緒なんですよね。そこの整合性はどこかで取っていく必要があるんじゃないかなと思うんですけど、いかがですか。
【説明者】  乳幼児医療の無償化との関係でございますけれども、これ、災害、けがをした場合に申請するのは、学校、教育委員会を通してJSCの方に上がってくるということでございますので、当然、そのプロセスの中で、当該自治体の中で乳幼児の医療費が無料ということであれば、ちゃんとそういう実態を踏まえた上で申請が上がってくるというような実態になっているということでございます。
あと、この災害共済給付は、資料の方にございますとおり、高校生までも対象としているということでございます。自治体によってばらつきがあると思いますけど、大体小学生とか小学生以下の者が対象になっているかなと思ってございます。
あと、やっぱり重要なのは、これは全ての学校の管理下におきまして、この制度が対象とされるということでございまして、これは日本の現状を見ますと、一部、医療費が子供に対して無料になっている地域はありますけれども、そうでない地域も当然あるということでございます。その前提の中で、学校において子供や教員が安心して教育を受けてもらう。当然、学校には全ての児童生徒が来ていただく場でございますので、そこを共通して横串で、安心して教育を受けていただく、また、教員の方も安心して教育をしていただくというような観点が、この災害共済給付の重要なところでございまして、その点は、いわゆる民間保険で、何かけががあった場合に、そのけがした分の補償をするというふうな制度とは前提が少し違っているのではないかなというふうに、我々としては考えているところでございます。
【伊藤委員】  最後にしますが、趣旨としては理解をするんですが、加入状況を見たときに、もちろん、これ、幾らか抜けている人たちはいるわけですよね。学校管理下あまねく全てという状態にはなっていない。今の考え方って、学校管理下ということなのか、子供なのかによっても変わってくるとは思うんですが、少なくとも今の子供医療費の無償化の方は、政府としては、未就学児に対しては、これはあまねくしっかり制度として助成をしよう。あと、その先というのは、各自治体の中で委ねられているけれども、私は、最初の趣旨は違ったとしても、行き着くところというのはやっぱり似ているから、だからこそ、どこまでを国が最終的に面倒を見るのか。
多分、今のお話というのは、こっち側の子供医療費の無料化というのは自治体によって違うけれども、こっちはあまねくなんですよというところこそが、この後、大きく検討していかなければだめなんじゃないかなと感じる。もちろん、これは省が違うという意味でのハードルはあるけれども、少なくとも受ける側は一緒だと思っているんですよ。逆に言うと、子供医療費の方が身近なんですよね。この保険って、そう言えば、後から学校から資料が来たなという感じなんですよね。というところはあるのかなと感じます。
【説明者】  外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入を併せてお願いいたします。記入がお済みの方は、挙手いただければ、事務局の方でコメントシートを回収いたします。
今の伊藤委員の御発言について、説明者側からありますか。
なければ、中室委員、お願いいたします。
【中室委員】  ありがとうございます。
伊藤さんがおっしゃったこととほとんど同じなんですけれども、要するに、マーケットができるものはマーケットでやった方がいいという前提に立つと、民間に任せることができるかどうかということを前提にしてこれまでの検討が行われているのかということが疑問に思っていて、さっき亀井さんがおっしゃったのは、この市場化テスト事業選定に関するヒアリングというのは、誰が主体になって、誰が判断したのかということを考えてみますと、私がこれをちょっと検索してみた限りですと、この市場化テストというのは、どうも実施主体の各機関が行った費用効果分析に基づいて、実施機関が自ら市場化テストを実施する必要性が確認されなかったので、それをやらずに今ここに来ているということなのかなというふうに理解したんですけど、それはしっかりその経緯をまた御存じでしたら教えていただきたいんですけど。
そうすると、そこの根拠がまずやっぱりもう一度知りたい。市場化テストの導入には至らなかったということが、例えば、今、伊藤さんがおっしゃったように、医療保険総額の1割の部分を例えばなくしてみるとか、それ以外の方法をとったとしても、なお民間に委託するということがかえってコスト増になるという根拠が本当に客観的に示されているのかどうかということがやっぱり知りたいと思ってしまうんですけれども、その点はいかがでしょうか。
【説明者】  市場化テストの関係につきましては、先ほど申し上げました内閣府との間で、まず事務的な調整をへまして、その後、官民競争入札等管理委員会という場で御審議があって、最終的にこのような結論になったということでございますので、我々のみでその結論を判断しているということではないと承知しております。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、田辺委員、どうぞ。
【田辺委員】  私は、制度自体は国が運営するとしても、この掛金以外に40億円と国庫を使ってやると、これ、民間に委託すると、もっとその全体は少なくなるんじゃないかという気もするので、そこは検討する必要があるのかなという気はするんですね。
それと、もう一つが、補助ですね。国庫補助が24億円とか23億円なんですけれども、これがずっと続いていて、これ自体が何で減っていかないのかなというところですね。さっきも利益は生じないと言われたけど、内部で積み立てているというんですからね。内部で幾ら積み立てたんですか、今は、現在。
【説明者】  今の積立は、大体18億ぐらいの積立です。
【田辺委員】  18億ぐらいですかね。それもあるのであれば、国庫補助自体の24億とか20数億じゃなくて、もっと少なくて済むんじゃないかということですね。
それと、もう一つが、この事故の発生件数ですか。これが中学校は11%程度とか、高校も8%。非常に高いですよね。本来は、この発生事故を減らしていくということも取り組まないといけないのかなと。1割の中学校の生徒が、学校の管理の下で事故に遭っているというか、病気になっていると。となると、これ自体をどういうふうに取り組まれているのかなということですね。そこをちょっと。もしかしたら所掌が違うのかもしれませんけれども、学校傘下での事故などをどうやって減らすのかということですけど。
【説明者】  まず、国庫補助金の関係に関しましては、こちら、政令の中で、どういった場合に国庫補助金を支出できるかということが規定されていまして、その割合が一応上限額としてあるんですが、その予算の範囲内で支出するということになっておりますので、過去の給付実績等々を踏まえまして、毎年、適切な額を補助金として支出しているという認識です。
【田辺委員】  それを見直すべきではないかということですね。実態に応じて。18億も貯まるのであれば、少しずつ減らした方がいいんじゃないかと思います。
【説明者】  18億貯まっているというよりは、災害はいつどんな場面で発生するかも分かりませんので、それを見越した上で、いざというときに給付が出ないということになってはいけませんので、そのために必要最小限のものは積立金として確保しているということでございます。
それから、学校安全の取組につきましては、基本的には教育全般に関わるものでございますので、文部科学省として、各教育委員会に対して、様々な活動に当たっての指針とか通知を出しているということでございますけれども。JSCにおきましては、この災害共済給付で得られましたデータをもとに、リーフレットなどを作成いたしまして、例えば、熱中症が起きるような時期につきましては、そのようなことについて注意喚起をするような資料を作成して、それを各学校に注意喚起を図っているなどの取組を行っているところでございます。
【田辺委員】  あと1点ですけど、このJSCでの経費削減のための努力、どういうことを促進しているかどうかですけどね。まさに相当規模の運営をしているわけですから、経費をうまく削減していくということが重要だと思うんですけれども、それに対してはどういう働きかけをされていますか。
【説明者】  JSCのこの災害共済給付を扱っている学校安全部でございますけれども、平成20年当時は職員数が192名おりまして、内数が、常勤が142名、非常勤が50名でございました。平成27年度は、職員数トータルでは34名の削減を行いまして、158名。うち常勤につきましても、142名から109名と、33名職員の減を行っているということでございますので、なかなか多数の件数を処理しなければならない多忙な中でございますけれども、できる限りの努力をしているという現状でございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  亀井委員、どうぞ。
【亀井委員】  今の話に多分続くんですけれども、やはり17ページの比較表の見せ方がやや問題があるなと私が思うのは、結果的に事業経費としては16億円でやっているとおっしゃるものの、24億を国庫補助を得てやっているわけですよね。ですから、そういう意味で、やっぱり40億の公費が入っているというところの比較の下で、かつ、リスクが、大学生になればリスクが小さい、もちろん幼稚園、保育園、高校生までというのはリスクが高い中で、これをまさにリスクをイコールフッティングにしたときに、じゃ、民間でできることがあるのかないのかというところを、やはりいま一度検討する機会というのはあってもいいのではないかなと、このように思います。これは私の意見です。
その上でちょっとお伺いしたいんですが、24億については、先ほど利率に決められた範囲内で、政令で決められた範囲内でというようなお話があったんですが、やはり18億が残っているというのは、これは正直申し上げて気持ちが悪い。なぜかというと、だって、21ページを見てください。給付金188億円のうち、基本的には共済掛金164億円でお支払いされているわけですよね。あくまでそれを補完するのが24億円であって、それとほぼ同じ金額がストックとして貯まっているという状態は、これは私は健全ではないんだろうなと思います。やはり国庫補助金というのはできるだけ減らしていくという運営の下で考えるならば、18億のこのストックの在り方は考え直すべきではないかなと思います。これが1点。
それから、もう1点。16億の運営費交付金については、今、様々な経営努力をされているというようなお話があったわけでありますけれども、この査定というのは、皆さんとしてはどうされているのか。もちろん、これだけ減りました、これだけ減りました、1人当たりの処理数がこうですというような報告は受けていらっしゃるんだと思うんですが、それをもって、どこが妥当だと思っていらっしゃるのか。中長期的に見て、この16億がどういう状態になると考えていらっしゃるのか。そこを是非教えていただきたいと思います。
【説明者】  まず、国からの補助金につきまして、5ページの資料を御覧いただきますと、過去からのこの予算額が掲載されてございます。25年度は約26億円だったものが、直近の28年度で22億円でございますので、かなり削っているということでございます。
それから、2つ目の御質問の16億が妥当だというところは、なかなか難しいところでございますけれども、我々も今の現職員の現状を見ますと、例えば、審査を担当している職につきましては、1人当たり月間2,000件の審査をやっているというような現状がございまして、これは非常に厳しい中で職務をこなしているということが言えるのではないかなと考えているところでございます。
【亀井委員】  ごめんなさい。ですから、そこをきちんと開示していただく必要は必要なんだと思っていて。何を申し上げているかというと、別にそこを楽して、寝っ転がってやっているんでしょうなんて言うつもりは全くなくて、これはもう、すみません、皆さんの事業は初めてですけど、今日ずっと一日申し上げているんですが、基本的に皆さんが把握されている情報を世の中に開示をしていくということを通じて、きちんとやっているんだよということを、やはりきちんとお伝えしていただくコミュニケーションが必要なんだと思います。でなかったら、こんなことを聞く必要はないわけでありまして、そこは是非お願いをしたいと思います。
それでももう一回繰り返しますが、一方で、これ、26億が22億に減りましたということは、これはこれで結構なことなんですが、では、JSCが持っている翌年度分に準備しているストックというのは、幾らで推移してきたんでしょうか。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  今調べていただきますが、大分議論も進んでまいりましたので、まだコメントシートへの記入をなされていない外部有識者におかれましては、コメントシートへの記入をお願いいたします。事務局は、コメントシートの回収をお願いします。
【説明者】  すみません、今ちょっと調べておりますので、その間に。各委員の先生方から、そもそも民間委託の可能性について、なぜ検討したのか、していないのかというような大前提のお話がございましたけれども。そもそも議論がかみ合わなくて大変恐縮ですけれども、一番冒頭に御説明しましたように、学校の安全を確保するというのは、国が責任を持って当然やらなければいけない業務であります。それを国として何か1つ事業があって、それをどこかの事業主体に委託するというようなことではなくて、特別な法律をもって1つの法人にそれを一体的に担わせるという過去の経緯がございまして、現在に至るまで、それについて何か特別な事情の変更があったということも我々としては認められないと考えておりますので、これまでの議論の中でも、民営化、民間委託の話というのは、特段、特殊法人改革の中でもそういった話は出てきていないわけでありますので、さらに、27年度の新たな給付対象の拡大に関しましても、そういった議員立法ありましたけれども、そのような議論にも特段なっていないという状況下で、我々としては、引き続き、冒頭申し上げましたような、学校の安全・安心を確保するということで、法律の定めにあるJSCが運営主体となって、改善すべき点は当然改善しながら、この業務を進めていきたいということを考えてございます。
【亀井委員】  分かりましたが、数字……。
【河野行政改革担当大臣】  法律に書いてあるからそのままというのは通らないからね。このレビューは。法律を変えればいいだけの話だから。
それから、JSCというのは、国立競技場をはじめとする一連の騒ぎで、今、著しく信頼を失っている組織だから、何か状況が変わっているのかといったら、大いに変わっているという前提で議論してもらわなかったらだめだと思うよ。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  先ほどの御質問に対する件は分かりましたか。
【説明者】  御質問いただきました積立金でございますけれども、実は、平成22年度の時点では52億円ぐらいございました。失礼しました。5億円でございました。その後、平成23年、東日本大震災が起こりまして、このときに弔慰金を亡くなられた方に出しているということでございまして、この時点で積立金はほとんどなくなったということでございます。
その後、現在の18億円になっているということでございますので、18億円の規模はどうかという評価はあるわけでございますけれども、何かあったときのために一定程度確保しておく必要があると。
【亀井委員】  だから、そこが一定程度というのは、では、18億はなぜなんですかという話なんです。つまり、5億の段階で東日本大震災に対応したわけですよね。弔慰金も含めてお支払いされたわけですよね。
これ、大事なことは、確かに、そういう不幸な状態に置かれた方にできるだけ様々な対応をされるという、これは民間の保険がやっていらっしゃるのと同じような責任があるんだと思います。むしろ、これは元々の政策経緯であったんだから、更に言えば重いのかもしれません。そういう中で、そこを、もしそういう状態になれば、恐らくこれは政治の場では補正予算が組まれるでしょうし、そういうことがあり得る中で、もっと言えば、基本的なキャッシュフローとしては、掛金で大半が成り立っている中で、なぜそれでも18億という、過去対応できた以上の積立を行わなければいけないのか。そこの御説明はいかがでしょうか。
【説明者】  現実的には、先ほどちょっと申し上げましたように、補助金の額が減ってきているという現状がございます。それは、ある意味、前年度の積立金の現状を踏まえて、ある程度安全と思われる金額を踏まえた上で、補助金の額が現実的には減らされてきているというような現実があるということだと考えております。
【亀井委員】  ごめんなさい。今の説明、意味が分からないんですけれども。補助金が減っていると、積立金は増やさなきゃいけないんですか。
【説明者】  18億円あれば、例えば、27年度もそうなんですけれども、実際に補助金が入っていますけれども、補助金と掛金収入以上に共済金の支払いが出ているという現状がございまして、単年度で見ますと、会計上、赤になっているということでございます。
【亀井委員】  ごめんなさい。具体的に幾らの?
【説明者】  まだ最終的な決算中でございますけれども、5億円程度赤字になるということでございます。
【亀井委員】  でも、それは翌年で手当てすればいいんじゃないんですか。だって、基本的にはフローで充てるということが考え方ですよね。この21ページの原則、皆さんがお示しになった21ページを拝見させていただくと、フローで充てるわけですよね。だとすれば、翌年足りなかったら、その分、追加で翌年予算として出す。これは国として法律で定められているんだからと皆さんがおっしゃっているとおりやればいいわけですよね。それをなぜ18億も、それこそ先ほど大臣から御指摘があったような、様々な御指摘があるような独法に対してわざわざ持たせているのかというところは、これは、もし予算で決めるのであれば、これは国民の代表である国会議員が議決でするわけですから、ガバナンスが効くわけですけれども、ガバナンスが効かない状態のお金というのをこういうふうに残しておくというのは、極めて不透明ではないかなと思うんですが、ここはいかがでしょう。
【説明者】  補助金の考え方自体も、先ほど申し上げたように、政令で一定支出できる場合というものが規定されておりまして、必ずしも給付金と掛金の差額分を手当てするという趣旨ではないということは前提としてお話ししておきたいと思いますが。
【亀井委員】  ごめんなさい。この資料は間違っているんですか。21ページの資料は。
【説明者】  いえ。
【亀井委員】  利益は生じない仕組みと書いてありますけれども。
【説明者】  これは、26年度の……。
【亀井委員】  いや、ごめんなさい、制度としてお話しいただきたいんですが。違うのは御理解いただきたいと言われても、何が違うのか全く理解できないので。
【説明者】  利益が生じないというのは、翌年の積立金の分を、翌年度以降の給付事業に充当するという趣旨で書いておるということでございます。
【亀井委員】  ごめんなさい。だから何なんですか。
【説明者】  利益を生じないという資料の書き方が余り適切でないのかもしれませんけれども、ここで生じたものをほかの事業に使うことができないということでございまして、ここで仮に単年度で黒字になったとしても、それは災害共済給付のために使われるお金として個別に勘定されて経理されるということを示そうとした資料でございます。
【亀井委員】  だとすると、もう一回問いに戻るんですが、18億というのは、なぜこの18億もの金額をJSCの中に置いておかなければいけないのですかという質問に戻ります。
【説明者】  すみません、繰り返しになって恐縮でございますけれども、先ほど申し上げましたように、単年度で見ると、赤字になる可能性があるということでございます。そのときに、赤字だからということで給付金を支払うことができないということになってはいけませんので、一定の金額につきまして、積立金として保持しているということでございます。
【亀井委員】  だとすると、その18億の妥当性はいかがなんですか。例えば、過去最大で赤字は幾ら出たんですか。
先ほどの御説明だと、東日本大震災があった年ですら、5億の積立金が元々あって、これで対応できました、それによって積立はゼロになりましたというお話だったんですけれども。
【説明者】  平成23年度の経常利益は7億円の赤字になってございますので、最大それぐらいのぶれが生じているということでございます。
【亀井委員】  だとすると、7億円であれば、18億も要らないですよね。だって、単年度であれば、その単年度の後、翌年、何らかの対応を政策的にすればいいわけですよね。それが続いた場合には。じゃ、なぜ7億であれば、2年分、あるいは、3年近い金額を、7億だから2点何年ですかね。2年から3年に近い金額をここに置いておかなければいけないんでしょうか。
【説明者】  当然、収支の状況に応じて掛金等を改定していくということはあり得るとは思いますけれども、今、その掛金自体も、JSCが単独で決めているということではなく、これも政令事項として定めておるというところもありますので、すぐに翌年度からそれに応じた掛金の改定ができるかというと、またいろいろと検討が必要になってくるということかと考えております。
【亀井委員】  ごめんなさい。これ、でも、いわゆる災害等が生じた場合ですから、一過性の問題ですよね。もちろん、もしかすると気候変動みたいに構造的に起きる問題もあるかもしれませんけれども。そういう中で、なぜ18億もの金額、それも、最大損失で2年以上もの金額をこのJSCに貯めさせなければいけないのか。
これは基本的には、やはり規律が大事なんだと思うんです。私がなぜこんなにしつこく言っているかというと、基本的な規律をもってこのお金を回していく。例えば、運営費交付金の16億円の妥当性はいかがかとか、そういったところを皆さんが逆に弁護する立場ではなくて、厳しく査定をして、そういう中で、より健全な体制で、もしJSCに引き続きやらせるのが妥当だとしたとしても、そこをやらせていくのが皆さんのお仕事ではないかと思うんですが、どうも伺っていると、そこがよく分からない理由の中で、JSCに甘いような方向で皆さんが誘導しているように聞こえるんですが、この件についてはいかがでしょうか。
【説明者】  繰り返しになって恐縮ですけれども、やはり将来的な突発的な大規模な事故に備えて、一定の額は当然確保する必要があると思います。
他方で、積立金の残額、これが妥当なものかという御指摘については、御指摘のとおり、我々としても、今後、見直しを含め検討はする余地は十分あるかなと思っております。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、有川委員、お願いします。
それから、大分時間も進んでまいりましたので、コメントシートをまだ記入なされていない方におかれましては、記入をお願いいたします。コメントシートの回収を事務局の方はお願いいたします。
では、有川委員、お願いいたします。
【有川委員】  私は今シートを書くのに誤解があるといけないんで、ちょっと確認したいんですけれども。冒頭いろいろ議論があったコア業務とか定型業務とか、あるいは、シートの2ページ目に書いてありますような事例・統計データを整理・解析、そして、それらを踏まえた情報提供する業務、こういった経費については、国からどのような形で受けて、どのぐらいの金額で、それはどこへその金額は開示しているんでしょうか。
【説明者】  先ほど申し上げた事業費の16億円の中で入っておるというところでございます。運営費交付金で出ている事業費の16億円の中で手当てされております。
【有川委員】  それは、このシートにはない?
【説明者】  資料で申しますと、17ページの表の中で、JSCの事業経費として16億円というふうに書いてございますけれども。
【有川委員】  これは特別に作ってもらった資料ですよね。
【説明者】  はい。
【有川委員】  通常、その16億円は、どこに示されているんですか。
【説明者】  今回対象となっている事業は、災害共済給付の補助金でございますので、シートは、その補助金業務のシートとなってございまして。
【有川委員】  それは分かります。その16億円は、どの事業に出てくるんですか。
【説明者】  それは、JSCの運営費交付金ということに。
【有川委員】  運営費交付金の中に16億円というのが明示されているんですか。
【説明者】  申し訳ございません。明示されているかまでは確認できておりません。
【有川委員】  そうですか。いや、これから民間とどちらがやれるかどうかというのは、恐らくそこの費用の勝負だと思うんですよね。そこのところが比較がないんで、比較しようがないなという気がするんですけどね。
いや、疑問はやっぱり解明されないということが分かりました。
【説明者】  運営費交付金自体は、渡し切りですので、予算上、色が付いているわけではないんですけれども、この16億円という数字は、実際に使っている実績値を積み上げたものでございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  松浦委員、どうぞ。
【松浦委員】  じゃ、シートを出してしまいましたので、1点だけですけれども。保護者にとってはどっちが便利かというと、カバーしている年齢の差とか、自治体の体力によって、実はまだ子供の医療費無料化ってそんなに進んでいるわけではないですね。豊かなまちは無料化に踏み切るけれども、そうじゃないところはやっぱりできないという、まだら状態になっている。まずそこをちゃんと押さえていただきたいというのと、子供の場合には、15歳未満までしか多分適用されないはずなので、そうすると、こっちは高校もカバーしている。ここのギャップをどう埋めるかというような議論。
それから、もし医療費が無料化されているのに掛金が同じだったら、普通のタックスとこの共済の掛金を二重取りされている人たちもいれば、そうじゃなくて給付を受けている人たちもいるという、その格差も出てくるということで、この問題は簡単にはすぱんと割り切れないところが結構あると。
ただ、今果たしている役目は十分理解していますし、普通の損保とか生保ではカバーできない子供たちがたくさんいるということも、それは重々承知ですので、今のような問題も含みつつ、やっぱりコストマネジメントがきちんとできて、民間にもやれる能力はないのかというあたりが、最終的には問題として残るんじゃないかなと。
また、キャリーオーバーは、多分、これ、いわゆる内部留保ということですよね。内部留保は、確かにいろんなことを想定しても、ちょっと多すぎるかなという認識は私もありますので、これはやっぱり国庫補助金の方を、どの程度が適当であるのかというのをやっぱり見直していただくということが必要なのかなと思います。
今のは意見でございます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  伊藤委員、どうぞ。
【伊藤委員】  今の松浦先生の話とつながるところなんですが。私も、子供医療費との関係というのは、うまく、今は重複しているわけではないからこそ、逆に、整合を考えなければいけないなと思っているんですが。傾向だけで考えると、この数年間で、子供医療費の無料化の対象年齢は確実に上がってきているんですよね。今で大体中学校卒業まで無料化になっているのが53%ぐらいで、5年前だったら2割とか3割だったので。という傾向から考えたら、多分、こちらの給付額は低下傾向にあるんじゃないかなという推測をするんですが、そこはいかがでしょうか。
結局、こちらで払うべきお金を、各自治体の税金で面倒を見ているということになるんじゃないかなと思うんですけど。
【説明者】  医療費の給付金額につきましては、この10年ほどでございますと、150億円台で、年によって下がったり上がったりというところはありますけれども、大体それぐらいで推移しております。特別に下がっているとか上がっているという傾向は、数字上は見えません。
【伊藤委員】  加入者数が、このタイミングで右肩上がりになっているわけではないですよね、多分。
【説明者】  加入者数は、おっしゃるとおり、大体1,700万人台ですけれど、大体下がり傾向ではあります。
【伊藤委員】  私は、どちらかというと、子供医療費無料化の方の調査はよくしている方で、少なくともこの10年で確実に一気に無料化の年齢が上がってきていることが、結果的に診療回数に影響を与えていて、診療回数は、もう今2倍ぐらいにまで上がっているんですよね。
とすると、今の数字を見ると、本当は医療費無料化の方で、要は、自治体の税金で見る方たちがいるはずだけれども、冒頭申し上げたような、そちらで対応するんじゃなくて、逆に言うと、学校側で、学校管理下で何かあった場合には、ある意味、すぐ、こういうのがあるから、まず一回自己負担してください、後から申請書で出しますからということが多くなっている結果として、無料化は拡大しているけれども、こっちの給付額が低下をしていないということになるのかなと。
これ、こちら側の問題だけじゃなくて、構造的には、あっち側の問題も多いと思っているんですが、少なくとも、やっぱりこの歯抜け状態になっているところは、学校管理下と子供の安全という意味では、かなり同じ部分があると思うので、やっぱりそこの検討は必要なのかなというふうに感じます。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  すみません、松浦委員が先に挙がっているんですが、よろしいでしょうか。
【松浦委員】  子供医療とこの関係は、皆さんも大体認識を共有していると思いますが、唯一違う点が1つあって、今までディスカッションに乗っていないんですけど、子供医療費というのは、要するに、医療費のカバーですね。だけど、こちらは障害、残存障害とか、死亡とか、そういうものに対して補償をかけているという意味で、医療費そのものではない。だから、今までそこのところはちょっと議論されていないんですけれども、再考されるときには、そこのところをどうするかということも併せて考えていただかないとちょっとまずいかなと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、亀井委員、お願いします。
【亀井委員】  この政策のそもそもからすると、子供に安全な学校をどう与えるかという話なんだと思うんですね。この政策がJSCで一体になってやっている、学校の協力を得てやっているということであるならば、やっぱり、これ、子供にとって安全な学校になっていないというのが僕は最大の問題だと思います。これは、すみません、もう書き終わったから、そこは書いていないんですが、今のお話を伺いながら、子供医療費の先にいろんなことはあると思います。いろんな要因はあるんだと思うんですが、子供が減っている中で、結果的に給付が増えているというか、横ばいであるということは、要は、1人当たりの給付が増えているわけですから、そこはリスクが高まっているというふうに認識するならば、せっかく学校で起きたことをフィードバックする体制があるわけですよね。JSCを使っているんであれば。であれば、そこをきちんとやってもらうようにして、結果的に給付を小さくしていくということの努力をしていただかないと、何のためにこれをJSCがやっているのかという、単なる給付だけの話ではなくなっちゃうと思いますので。
元々文科省がなぜ、初等中等教育局がなぜこれをやっているかと言えば、そこに本来返る話だと思いますし、御担当されている課長さんも、基本的にはそこを担当されているはずだと思いますので、そこに資する形での政策運営というものは、是非これは、今日の議論の中では、逆に言うと、そこの政策ができていないということを証明した形になってしまっているわけですから、そこは是非前向きにきちんとやっていただきたいなと思います。そこがまさに本業だと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  それでは、コメントシートの集計が取りまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員より、評価結果及び取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【有川委員】  まず投票結果から申し上げますと、事業全体の抜本的改善を求めるという票が4票、事業内容の一部改善を求めるというのが2票という結果になりました。
委員のコメントシートから主なものを御紹介させていただきたいと思います。
民間委託の可能性について、イコールフッティングで検討すべきではないか。事務方としては、やはりそこをきっちり、結論はどうなろうとも、とにかく検討しておく必要が大事だということは言われております。
文科省の立ち位置が、健全なガバナンスを守ろうという場所に立っていないことに不安を感じる。既存の事業ありきではなくて、どうあるべきかという、政策官庁としての検討を重ねていくことが必要だという意見。
それから、民間で実施することを前提にした検討が行われていない。まじめに検討する姿勢が見られないことは極めて残念だ。条件を変えても民間で実施することが不可能なのか、外部有識者も交えて議論を進めた方がよいと考えるという意見。
同様に、民間委託を含め、事業の効率的な運営を検討すべき。
あるいは、18億と言われるJSCで擁しているという費用について、十分そこのところを分析・情報開示して、それをもとに民間等でも実施できないか、検証することが不十分だという意見。
また、今、最後にいろいろ御議論がありましたけれども、保護者からすると、子供医療費も災害給付も関係なく、医療費の助成が行われているという状況になるので、今のシステムやサービスを前提にするのではなくて、民間保険の水準の給付も念頭に置いた上での適切な比較をする必要があるだろう。縦割りを排除して、子供医療費との整合を取るべきだという意見が、もうお二人。最後に亀井先生も言われましたので、3人の意見として出されているところであります。
また、経費の面では、積立金の在り方を見直すことが必要だ。説明のロジックが不十分だという指摘。
それから、経費を削減するための努力が目に見えない。経費削減努力や内部留保などの十分な情報開示が必要だという意見。
それから、医療保険総額の1割の補償は本当に必要なのかどうか、この辺の検討も不十分だというようなもろもろの意見がありました。
我々の意見としましては、4票でありました事業全体の抜本的改善という結論で、それに対する取りまとめコメントとしましては、1つは、民間委託の可能性について適切に検討を進めるということが1点、2点目が、子供医療費との整合性の取れる検討を真剣に行うべきだということと、それから、国庫補助金も含めた経費を削減する努力を適切に行って、情報開示も確保するという意見で取りまとめコメントとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
では、以上のことで、よろしく改善をお願いしたいと思います。
【関サイバーセキュリティ・政策評価審議官】  ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、災害共済給付事業の公開プロセスについては終了させていただきます。
これで文部科学省公開プロセスの全日程を終了いたしました。外部有識者の皆様におかれましては、長時間の検証作業の中、貴重な御意見を賜りまして、心より御礼を申し上げます。
また、インターネットで視聴された国民の皆様にも、検証作業に御参加いただきましたことを厚く御礼申し上げます。引き続き、文部科学行政への御理解と御支援をよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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-- 登録:平成28年06月 --