独立行政法人国立文化財機構見直し内容

平成27年10月2日
文部科学省

　平成27年5月22日に「文化芸術の振興に関する基本的な方針」（第4次基本方針）が閣議決定され、地方創生やグローバル化への対応、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会（以下「2020年東京大会」という。）を契機とする文化プログラムの実施等、社会を挙げて文化芸術を振興していくことが求められている。
　独立行政法人国立文化財機構（以下「本法人」という。）の業務及び組織については、中期目標期間終了時に見込まれる中期目標期間の業績についての評価結果、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」（平成25年12月24日閣議決定）をはじめとする既往の閣議決定等に示された政府方針、さらに、上記の本法人を取り巻く環境を踏まえ、我が国の博物館並びに文化財研究に関するナショナルセンターとしての政策実施機能を的確に発揮しつつ効果的かつ効率的な業務運営を確保するため、以下のとおり見直し、次期中期目標・中期計画の策定等を行うこととする。

第1 事務及び事業の見直し

1 展覧事業の見直し

　我が国の博物館の中核的拠点として、国内外の幅広い人々に対し、日本及びアジア諸地域の歴史、伝統、文化を国内外へ発信するものとなるよう展示事業の中核である平常展について現中期目標期間における平均入館者数を上回ることを基本的目標数とし、館ごとに目標を設定するとともに、潜在的なニーズや意識等の調査分析を基に、広報戦略を積極的に打ち出していくこと等に取り組むものとする。
　2020年東京大会を頂点に、今後、外国人来訪者数が急増することが見込まれる中、日本の博物館の中核的な施設として、日本の歴史、伝統、文化を国内外に強く印象付けるような展覧会を企画するとともに、展示及び解説の多言語化に取り組むものとする。
　また、東京国立博物館の本館及び表慶館、京都国立博物館の本館並びに奈良国立博物館の本館については、博物館としての機能の維持向上とともに、重要文化財である建造物そのものの価値を維持し積極的に発信するため、改修や設備の更新等所要の措置を講ずるものとする。

2 調査研究事業の見直し

　文化財に関する基礎的・体系的な調査・研究や文化財の研究に関する調査手法の研究・開発、文化財の保存・修復に係る技術・技法や材料の開発・評価・人材育成等を行っているが、次期中期目標においては、国の政策における本法人の果たすべき役割を明確に記載し、達成すべき目標及び達成時期を明確にし、着実に実施するものとする。

3 調査研究成果の発信の強化

　従来、展覧会や刊行物を通じて調査研究の成果を伝えることに努めているが、近年、大学等の研究機関が取り組んでいる学術情報リポジトリを参考に、研究成果の発信を更に拡充することを検討するものとする。また、収蔵品等の画像データ及びメタデータの公開に更に努めるものとする。
　また、文化財に関する調査研究の成果が、国内外の文化財保護に関する施策や文化財の保存・修復の現場に大きな貢献を果たしていることを、一般にも一層広く周知できる方策を検討し、必要な措置を講ずるものとする。

4 国内外の博物館等との連携

　我が国の博物館の中核的拠点として、国内外の博物館・美術館や研究機関等との連携・役割分担を通じて、博物館活動全体の活性化にどのように貢献していくかを次期中期目標で明確に位置付け、具体的な目標を策定するものとする。

5 収蔵庫等保管施設の狭隘化への対応

　4館とも収蔵量が許容範囲を超える状況となっており、東京国立博物館及び京都国立博物館では、次期中期目標・中期計画期間において施設の改修等を行い、収蔵庫の充実を図るものとする。また、外部の収蔵庫活用等に取り組むとともに、地方自治体や関係機関との協議を進め、保管環境の一層の改善を図るものとする。

第2 組織の見直し

　2019年ICOM京都大会及び2020年東京大会の開催に向けて、法人の事業全体を通じて、各施設横断的に国際業務を戦略的に推進する体制を整備するものとする。

第3 運営の効率化

1 共同調達の取組の推進

　各施設の業務内容や地域性を考慮しつつ、周辺の他機関等との共同調達等の取組を推進するものとする。

2 本法人に対する支援活動の強化

　本法人の事業を一層充実させる観点から、会員制度や寄附制度の充実、民間による施設利用の促進など本法人に対する支援活動を強化するものとする。

第4 財務内容の改善

　積極的に外部資金の獲得を図るとともに、施設使用料等、自己収入の拡大に努めるものとする。