独立行政法人国立青少年教育振興機構見直し内容

平成27年10月2日
文部科学省


 学校教育法では、「小学校においては、(略)教育指導を行うに当たり、児童の体験的な学習活動、特にボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の充実に努めるものとする。この場合において、社会教育団体その他の関係団体及び関係機関との連携に十分配慮しなければならない。」(中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校にも準用)とされており、また、小学校学習指導要領では、「集団宿泊活動やボランティア活動、自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根差した道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない」(中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校も同様)とされている。
 近年では、「子供の貧困対策に関する大綱」(平成26年8月閣議決定)において、児童養護施設等の子供を対象に、生活習慣の改善等につながる多様な体験活動の場を提供することも求められているとともに、学校でのいじめ、不登校、引きこもり、インターネット依存など困難を有する子供に対する支援の重要性が高まっているところである。
 さらに、独立行政法人国立青少年教育振興機構(以下「本法人」という。)が実施した調査研究においても、子供の頃の体験活動等が、子供のやる気、生きがい、モラル、生活習慣等に良い影響を与えることが結果として示されているとともに、「今後の青少年の体験活動の推進について」(平成25年1月中央教育審議会答申)においても、体験活動は人づくりの原点であるとの認識の下、未来の社会を担う全ての青少年に、人間的な成長に不可欠な体験を経験させるためには、教育活動の一環として、体験活動の機会を意図的・計画的に創出することの必要性が提言されているところである。
 本法人の業務及び組織については、中期目標期間終了時に見込まれる中期目標期間の業績についての評価結果、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月24日閣議決定)(以下「平成25年閣議決定」という。)をはじめとする既往の閣議決定等に示された政府方針、さらに、上記の本法人を取り巻く環境を踏まえ、青少年教育のナショナルセンターとしての政策実施機能を的確に発揮しつつ効果的かつ効率的な業務運営を確保するため、以下のとおり見直し、次期中期目標・中期計画の策定等を行うこととする。

第1 事務及び事業の見直し

1 青少年及び青少年教育指導者等を対象とする研修等

 青少年教育のナショナルセンターとしての役割を明確にするために、青少年教育に関するモデル的プログラム開発事業については、公立青少年教育施設等におけるプログラムの活用実績などのアウトカムと関連させた目標設定を行う。青少年教育指導者等の養成・研修事業等においては、参加した指導者が所属する機関等において、研修等の成果が生かされた事業の質的向上などのアウトカムと関連させた目標設定を行うこととする。

2 青少年及び青少年教育指導者等を対象とする研修に対する支援

 利用団体が、目的に応じた主体的・効果的な研修を実施することができ、満足度が高まるようきめ細かい対応を行うこととする。また、施設の宿泊利用団体が増加するよう、具体的な目標を設定し、各利用団体の属性を踏まえた利用の充実に係る取組を進めることとする。

3 青少年教育に関する関係機関・団体等との連携促進

 全国的な連絡会・協議会の開催について、青少年をめぐる諸問題に関し、時宜や参加者のニーズに沿ったテーマを扱うなど、連絡会・協議会等の内容の充実を図ることとする。

4 青少年教育に関する調査及び研究

 青少年教育に関する調査及び研究を計画的に実施し、エビデンスに基づく事業展開に資するよう、基礎的な調査及び研究(国内外の青少年の現状・課題を把握するための調査等)や専門的な調査及び研究(体験活動の効果に関する研究等)を進めることとする。

5 青少年教育団体が行う活動に対する助成

 「子どもゆめ基金」に新規に応募する団体数を増やすとともに、全国各地で広く、かつ地域に偏りなく子供の活動機会が提供されるよう戦略的な広報活動を行う。

6 広報の充実

 青少年教育のナショナルセンターとしての役割を踏まえ、体験活動の重要性及び国立青少年教育振興機構の活動について広く国民に対して周知するため、広報戦略の見直しを行うこととする。

第2 組織の見直し

 青少年の日々の体験活動を充実させるという本法人の使命を果たすためには、本法人のみならず家庭、学校、地方自治体、青少年団体等と連携し地域全体で取り組む必要がある。このため、現行中期目標期間において7つの教育施設で試行的に実施してきた「新しい公共」型の管理運営の有効性を踏まえ、次期中期目標期間においては、本法人が設置する全ての施設の管理運営を学校、青少年団体や企業等が参画する「運営協議会」方式に移行する方針とし、また、全国をブロック化した広域マネジメントを活用し、各施設が所在する周辺地域のみならず、ブロック化した広域内の自治体、青少年教育施設や青少年団体、企業、学校等との連携の下、本法人の施設の利用促進及び体験活動の充実を図ることとする。

第3 運営の効率化

1 効果的・効率的な施設の管理運営

 次期中期目標期間においては、各青少年教育施設で行われる運営等について、施設は外部有識者等の意見も踏まえた上で検証を行い、青少年教育施設の置かれた地域の実情に即して、それぞれの地域と連携した効果的・効率的な施設の管理運営の実現を図ることとする。

2 間接業務等の共同実施

 平成25年閣議決定を踏まえ、国立特別支援教育総合研究所、国立女性教育会館、教員研修センター及び本法人で平成26年7月に取りまとめた「間接業務等の共同実施に関する協議会」報告書に基づき、平成28年度以降に実施に向けて検討するとした、電気供給契約、事務用品(事務用電子計算機)の賃貸借等については、実施に向けて準備を進めることとする。

第4 財務内容の改善

 保有施設について、その必要性を不断に見直すとともに、更なる利用促進に向けた取組を行い、稼働率の向上を図るとともに、定期的に料金を検証し、自己収入拡大を図るために必要な措置を講じることとする。

お問合せ先

総合教育政策局地域学習推進課青少年教育室

生涯学習政策局青少年教育課
電話番号:03-5253-4111(内線2650)

(総合教育政策局地域学習推進課青少年教育室)

-- 登録:平成27年10月 --