平成26年度行政事業レビュー「公開プロセス」 2日目 議事録(6月20日(金曜日)分)

1.日時

平成26年6月20日(金曜日)13時00分~17時21分

2.場所

文部科学省15F特別会議室

3.事業名

事業番号4:超小型衛星研究開発事業
事業番号5:公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム
事業番号6:健常者と障害者のスポーツ・レクリエーション活動連携推進事業
事業番号7:分子イメージング研究戦略推進プログラム

4.議事

【岩瀬政策評価審議官】  
ただいまより文部科学省公開プロセスの2日目を開会させていただきます。
私は、進行役を務めさせていただきます文部科学省政策評価審議官の岩瀬でございます。よろしくお願いいたします。
外部有識者の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございます。なお、皆様の御紹介につきましては、時間の都合上省略させていただきますので、お手元の資料で御確認いただきたいと思います。
また、本日も昨日に引き続き、日本大学総合研究所教授の有川博委員に取りまとめ役を務めていただきますので、よろしくお願いいたします。
【有川委員】
よろしくお願いいたします。
【岩瀬政策評価審議官】
これからの時間帯は、超小型衛星研究開発事業について御議論を賜りたいと存じます。
初めに事業概要の御説明をさせていただきます。事業担当課は5分以内で簡潔に説明をお願いします。
【説明者】
宇宙開発利用課長でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、事業の概要を補足説明資料に基づきまして説明させていただきます。横紙の補足説明資料を御覧いただけますでしょうか。
1ページ目を御覧いただけると、一番上の枠に書いてございますように、宇宙基本計画におきましては、衛星の小型化等によるコスト低減、そして人材育成が重要だとされているところでございます。本事業におきましては、超小型衛星の特長を生かしまして、その研究開発を行うとともに、キャパシティー・ビルディングを進め、国際協力の推進、内外の人材育成、新たな市場開拓などに貢献していくことを考えております。
超小型衛星の特徴と申しますと、その下に黄色い枠で囲ってございますけれども、通常大型のJAXA等が上げておりますのは1辺数メートル、重さは数トン、例えば重いものでは4トンとか、そういったものに対して、ここでは1辺が50センチ以下で重量50キロ、非常に小さい。したがって、開発期間が短く、これも通常の大きな衛星の3分の1程度の二、三年程度、コストもまた大きな衛星は数百億円と言われる中、これは100分の1程度の数億円程度ということで、大学の研究者等が主体的に参画しやすく、また実践的な教育にも生かされるということを想定したものでございます。事業期間は22年から26年の5年間で、毎年度3億円弱、トータル5年間で14億円という予算を使ってございます。
次のページでございますが、この事業につきまして22年度に公募を行いまして、7件の提案があったうち、外部有識者の審査を経まして、UNIFORMプロジェクト、これを1件採択してございます。具体的な参加機関は、和歌山大学を代表機関としまして8機関が一緒にやっております。この中では超小型衛星4基を作り、そして人材育成手法もその中で開発し、宇宙新興国の方々も含め人材育成を図っていくというものでございます。
具体的な衛星につきましては3ページ目でございます。全体4つの衛星と申しましたけれども、一番左側RAIKO、これがUNIFORMという基本となる衛星の先駆けとして必要な要素技術開発等を行っております。大きさとしましては2.6キロということで非常に小型のもので、赤外線カメラ、それから膜展開機構、これは衛星が運用を終わった後に宇宙のごみを増やさないために膜を広げて空気抵抗を作って落としていくということで、デブリ対策も含め考えられているものでございます。具体的に、このRAIKOにつきましては平成24年に宇宙ステーションから放出し、成果を得ております。
この成果を踏まえまして、UNIFORM-1ということで、真ん中に書いてございます衛星を開発し、今年の5月24日、H2Aロケットで「だいち2号」と相乗りという形で打ち上げさせていただいております。本事業は今年度終了予定でございますけれども、UNIFORMの2号、3号につきましては現在製作中でして、この事業としては打ち上げ費を含めておりませんので、製作までということで、JAXAの無償の相乗り公募枠というのがあって、それを活用して打ち上げることにしてございます。
4ページ目に具体的な分担関係を書かせていただいております。
成果につきましては8ページ、飛んでいただきまして、これまでに得られた成果例を書かせていただいております。8ページ目でございます。UNIFORMによる独自開発技術ということで3件の特許を現在出願中でございますけれども、例えばここにある非冷却でも非常に精度の高い熱赤外線カメラの制御装置の開発ですとか、横に写真がございますけれども、パラボラアンテナ、通常この規模のものに比べて5分の1程度のコストでアンテナそのもの、そして駆動・制御システムを作ってきたと。
それから、人材育成につきましても、毎年このプロジェクトに三、四十名ほどの国内若手人材を受け入れておりますし、海外からはベトナム、韓国、ブラジル、カザフスタンから、これまでに15名の人材を受け入れてございます。
こういったことを基にしまして、海外との連携基盤の構築ということで、4件海外の研究機関等と今MOUが結ばれておりますけれども、更に2件が今締結されつつありまして、別途それとは別に5件が調整中でございます。
そして、次のページ、9ページ目でございますけれども、6人を受け入れたベトナムとの関係で申し上げますと、平成23年10月にODA案件、これは日本とベトナムの首脳会談の際に合意されたことに基づきましてODA案件として調整されておりましたけれども、このODA案件の事業主体につきましてはベトナム国立衛星センターというところが主体となっておりますが、このUNIFORMに6名参加いただいておりまして、東京大学で実際に衛星の製作に携わっております。このUNIFORMプロジェクトとの連携などを踏まえまして、その後東京大学とベトナム国立衛星センターが共同プロジェクトを立ち上げて衛星を作ってございます。これも宇宙ステーションから放出したということがございます。
また、4名受け入れておりますブラジルとの関係で申し上げますと、ブラジリア大学から人材を受け入れたんですが、このブラジリア大学がコンソーシアムの中心となっておりまして、それで超小型衛星3基を開発したと。これを是非宇宙ステーションの日本の実験棟である「きぼう」から放出したいというのが今年の5月にブラジル政府から申入れがなされるなど発展してきてございます。ブラジルの方はこの衛星、産業利用とかの取っ掛かりということを彼らも意識しているということで、我々、産業利用促進枠ということで有償で「きぼう」を使ってもらうという枠を設けているのですが、お金を払ってでも使いたいということで、宇宙ステーションの活用促進にもつながってきていると考えております。
また10ページ目、今後の展開でございますけれども、この事業によって蓄積された成果を更に発展させていくという観点から、人材育成も含めた宇宙分野の研究拠点としての大学の活性化といった点、それから、超小型衛星の開発ということが今回主眼でしたけれども、更に宇宙の利用拡大というのは地上、地べたがどれだけ発展するかとパッケージの話ですので、地上側のデータ利用も含めた幅広い取組を支援できるような形で発展的な方策を講じていくことによりまして、下に書かせていただいたような、国内における展開、更に海外への展開を進めていきたいと思っております。
以上でございます。
【岩瀬政策評価審議官】
それでは、私の方から論点について御説明させていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
まず一つ目として「事業の成果は上がっているのか」という点、二つ目として「事業の成果や課題をどのように活用していくのか」という点、三つ目として「事業の目的に照らして、制度設計について改善すべき点はないのか」、以上3点について御議論いただければと思っております。
それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いしたいと思います。
外部有識者の皆様におかれましては、事業担当課への質問等を通じ、無駄の削減のみならず、より効果の高い事業に見直すとの観点から御議論をお願いいたします。
また、質疑等と並行して適宜、お手元のコメントシートへの記入をお願いいたします。
外部有識者からの御質問、またそれに対する説明者の回答は共に簡潔・明瞭にしていただきますようお願いいたします。
発言を希望される方は、机上の名札を立てていただき、私から順に指名するということでよろしくお願いいたします。
永久委員、お願いします。
【永久委員】
よろしくお願いします。まず確認なんですけれども、この事業の目的というのは、このレビューシートの事業の目的を読むと、最後の国際協力の推進、内外の人材育成、新たな市場開拓等に貢献することと理解できるんですが、それでよろしいですか。
【説明者】
はい、結構でございます。
【永久委員】
そうしますと、アウトカムというのは、いかに国際協力が進んだかとか、内外の人材育成がどれだけできたとか、あるいは新たな市場開拓ができたかというところになろうかと思うんですが、そのアウトカムの指標はここには示されていないと私には見えますが、いかがですか。
【説明者】
レビューシートのところが定量的なデータということで、金額とか、衛星1基を作るということで事業費トータルの14億を4で割ったような3.5とか、何基作ったかという形で出ておりますけれども、今御説明するとすると、定性的な感じになってしまうために、レビューシートのフォーマットとしてはこんな書き方になっているということを御理解いただければと思うんですが、先ほど申し上げた視点からお話しすると、8ページ目、これまでに得られた成果ということで、具体的に人材育成を図ってきた、この人数というのは定量的ですが、その先にあるもの、海外との連携基盤が確実に構築されつつあるという状況、そこからいくと、国際協力はどこまでいったら達成して何%かというのは言えないんですが、確実な連携基盤が構築されつつあるということと、9ページ目に先般のときの御指摘もあったので追加しましたけれども、具体的にベトナムから6人受け入れた成果として、その後ベトナムでODA案件等を進めていく中心になっていますベトナム国立衛星センターとの関係が確実に構築されて、東京大学との間でまた別の共同プログラムも立ち上がってきているということ、下のブラジルの関係も、4人参加いただいたブラジリア大学が中心となってブラジルにおける宇宙の利用が拡大しつつあるという観点から申し上げると、なかなか定量的にこのフォーマットに書くところがなかったものですから、ちょっと定性的な説明として今この横紙の方に書かせていただいていますけれども、国際協力は確実に進展しておりますし、またその人材が中心となってその国において宇宙利用の拡大がなされつつあるというのが、具体的な、更にその国で衛星が作られているという状況から見て、あるのではないかと我々は思っております。
【永久委員】
定性的なことしか表現できないというのは僕はちょっと理解できなくて、これは別に定量的にも表現できるんだろうと思います。例えば国際協力の推進というのがありますけれども、今ベトナムの話がありましたが、それまでに何件外国とのそうした協力関係が結ばれてきたとか、さらには内外の人材がどれだけこれに関わってきて、どういうところに展開していったかということも多分数字でも表現できるでしょうし、市場開拓というのは多分新たな商品でしょうか、そういったものができているはずであるとすれば表現できるんだろうと思うんですけれども、その数字は全くないんですか。
【説明者】
まさにその数字が今示したところにも、例えば受け入れた人数、それから実際に東京大学との関係でベトナムで共同プロジェクトが1件立ち上がったとか、それを踏まえて実際に彼らの衛星ができたとか、一応数は定量的なものも表現できるように今回の補足資料としては入れさせていただきました。このレビューシートは提出がかなり早い段階で、ちょっと工夫が足らなかったかと思っておりますけれども、その意味では委員御指摘のある程度定量的なところも含めた形で今回の補足説明資料は作らせていただいたつもりです。
【永久委員】
分かりました。経年的で変化があると分かりやすかったんですけれども。
【説明者】
そうですね。経年変化まで丁寧には入れていなかったんですけれども、13ページ目に参考資料としてキャパシティー・ビルディングの進展状況を入れておりますが、各ベトナムとかブラジルとかカザフスタンとか、受け入れた人数のほかに、その後具体的にどう進みつつあるかということで、具体的な人数の受入れのない、例えばタイですとかモンゴルとか、そういうところとの動きも、将来的とか何年後とか、そういう話を入れつつ、ちょっと表現としては足らないかもしれないんですが、入れております。もうちょっと正確にいろいろ細かなデータをお入れできれば、その辺良かったかなと反省するところはあります。
【永久委員】
分かりました。ありがとうございます。
【岩瀬政策評価審議官】
田辺委員、お願いします。
【生川会計課長】
済みません、1点だけ補足させていただきますが、事前ヒアリングでいろいろ御指摘を頂いて、我々ももうちょっと分かりやすくしようと思って、このレビューシートも変更しようかとも思ったんですが、1回提出させていただいているものでもございますので、混乱が生じるといけないということで、ここは直していないという形になっています。その代わりに補足説明資料等で説明させていただいているという形にさせていただいておりますので、ほかの事業もそうでございますけれども、御了解いただければと思います。
【田辺委員】
それでは、よろしくお願いします。この事業は研究開発事業なものですから、今この目的も、国際協力、内外人材育成、新たな市場開拓、これも目的ではありますけれども、その前段階の目的として、低コストで超小型衛星が作れることとか、その人材を育成すると、これは割合研究開発としての目的だと思うんですけれども、その目的の当初設定した目標といいますか、それと最後に得られた目標、つまりコストはどのぐらい削減しようと思っていたのかとか、国内の人材育成は何人育成しようと思ったのが結果的に何人育成できたのかと、そこをちょっと教えていただけますか。
【説明者】
まずコストについては、一番冒頭申し上げたように100分の1程度のものができるのではないかというのを超小型衛星の特徴として書かせていただいていますけど、それが現実のものとしてどれだけ飛ぶ、しっかり動くものができるのかという意味で、当初考えていた数億円程度のものでしっかり機能を果たすということについては、それが本当にできるかということを達成し実証していただいた。この評価レビューシートでは一応3.5億円と書いてございますけれども、これは単純に14億円を4で割った数字ですので、正確に申し上げると、例えば大きなパラボラアンテナとか受信の解析ソフトとかいろいろあるので、よく言われる宇宙開発経費のときに衛星経費幾らといったときだけで見ますと、3.5億よりはるかに安くて2億程度とか1億台になるというところで、非常に大きなコスト削減効果が得られたと。成果につきましては、まさにUNIFORMにつきまして、6ページ下段に実際の映像を、これは初画像も入っておりますけれども、何分メーンの衛星が……。
【田辺委員】
いやいや、成果ではなくて、当初設定したのに対してどうなったかということを聞いているわけです。
【説明者】
当初設定したのは、それができるということをまず実証してもらうということからいくと……。
【田辺委員】
金額は幾らで設定したんですか。今も、だから……。
【説明者】
目標値は、レビューシートを見ていただくと5億という書き方をしておりまして、これは同じ計算のとり方でいくと3.5億ということで、すぐれた達成度だったと思っております。
【田辺委員】
開発費も、だから、普通は単年度じゃなくて総額で言いますよね。
【説明者】
はい。これは総額で考えたときの目標値でございます。
【田辺委員】
えっ、総額ではなくて、それは割り算した数字ですよね。
【説明者】
結果としてですね。
【田辺委員】
だから、開発費というときは、そんな毎年度じゃなくて、4年間なら4年間、合計で幾らと。
【説明者】
これは合計の数字でございます。合計で、最初のRAIKOが小さいというのもあるので、平均値という言い方が、一個一個個別には出しておりませんけれども、全体3.5億ということで、当初設定は5億でしたので、達成度143%とさせていただいております。
【田辺委員】
3.5億というのは4年。
【説明者】
実績値です。
【田辺委員】
割った数字でしょう。
【説明者】
4年で割ったというんじゃなくて、作った衛星のトータルコストで各衛星の値を出したものです。
【田辺委員】
衛星の数で割ったらそうなる。
【説明者】
そうです。
【田辺委員】
ということは、100分の1ということは、もともと考えていた、大体できるというのは幾らだったんですか。
【説明者】
5億という設定ですね。
【田辺委員】
いやいや、500億なんですか、普通は。
【説明者】
それはどういった機能、どれだけの大きさを持たせるかで、後ろの参考資料の参考2の12ページを見ていただけますでしょうか。実際どれくらい、幾らくらい掛かるかというのは衛星によっていろいろあります。
【田辺委員】
分かりました。こういうのに対して約100分の1ぐらいの感じでというと、この想定でいうと4億ぐらい。
【説明者】
想定では5億としていたところ、実質3.5億まで達成しましたと。
【田辺委員】
なるほど。人数はどうですか。育成しようと思ったのは。
【説明者】
参加の人数については、当初目的というのは。
【説明者】
当初目的の人数というのは特段していないけれども、当初目的として何人という設定は具体的にはありませんが、毎年……。
【田辺委員】
分かりました。当初は、だから、設定していなかったということですね。
それともう一つ、成果というところに、今回そういうことでしたら、後で補足資料の8番ですか、これまでに得られた成果例ということなんですけれども、この成果の中に何で衛星が100分の1程度でできたということが入っていないのかということなんですけれども。
【説明者】
ここで書かせていただいたのは、当初設定したのはできて当然というので、それに上乗せでできたものというつもりで、当初設定のものは達成したということで、衛星4基をしっかり作り上げたことによって、更にこういう成果を上げましたというつもりで書かせていただいたので。
【田辺委員】
そういうことですね、はい。
【説明者】
当初設定した目的は全てクリアしたと思っています。
【田辺委員】
分かりました。それと、あと今回、これは全体通してなんですけれども、なぜ和歌山大学がこのプロジェクトの取りまとめになったのか。これは金額を見ますと、組合が一番多いと。それと、衛星を作るというのが主眼とすると、和歌山大学は衛星を作っていないじゃないかということなんですけれども。
【説明者】
我々としては、冒頭申し上げたように公募プロジェクトなので、和歌山大学を選んだというよりも、提案いただいた中で有識者の選定で、一番我々が狙っている効果を得られるものを選んだと。それが結果として和歌山大学が代表機関として提案したものであるということをまず申し上げたいと思います。中の分担関係については、和歌山大学で代表をしています秋山先生から御説明があります。
【説明者】
和歌山大の秋山です。これは当初、和歌山大は御指摘のとおり衛星開発をしておりませんが、これは衛星の研究開発予算ですけれども、衛星を使っていくところの研究開発をしていると我々は捉えて提案させていただきました。実は衛星を作っているところがメーンになると、どうしても設計の方にどんどんと入っていってしまって、いわゆる使われる世界、利用拡大というところはなかなかやりにくいということを我々は感じておりまして、その点、和歌山大の方では余り衛星に、そこがないので、それで利用拡大の方で……。
【田辺委員】
分かりました。そうした場合には、人材育成ですけど、衛星を作る方の人材育成は何人育成して、利用の方といいますか、それは何人育成した。
【説明者】
ちょっと今、済みません、資料としてはあるんですけれども、衛星の方は合わせて大体、全体で70名とか育成しているんですけれども、衛星に関わっている人間は三、四十ぐらいです。データの方が10人ぐらい、それとあと地上系がやっぱり10から20という形になります。
【田辺委員】
分かりました。どうもありがとうございます。
【岩瀬政策評価審議官】
外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入を併せてお願いいたします。記入が済んだ方がおられましたら、挙手いただけましたら事務局の方で回収させていただきます。
では、佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】
これは文科省さんの事業なのでどうしてもこうなるんだと思うんですけれども、技術開発という面と教育、つまり人材育成という面があって、更にこれに国内の技術開発、人材育成と海外的な貢献、国際貢献的な意味での海外人材育成とか技術開発という顔があって、でも結局、主たる目的は一体何なのかということで、この事業を始めるときに当たっては様々な波及効果を考えるというのは一つの考え方かもしれませんが、これを仮に今後新たな事業として続けていくのであるときに、一体どこに主眼があるのかがよく分からないんです。人材育成というときに、それはどういう意味で、国際貢献という意味で最終的に言いたいのか、あるいは日本の技術を海外に普及させて、そこにグローバルスタンダードを作って市場開発につなげたいのか。だとしたら、これは半分は経済産業省さんの仕事になりますし、国際貢献ということは外務省にも関わってくることなので、どういう立ち位置で、これをどういうふうに発展させていこうとしているのかをちょっと詳しく説明いただけますか。
【説明者】
今おっしゃったように、当初から幾つかの目的を持っています。1粒で3度おいしい。要するに、事業として宇宙を発展させていく、宇宙の開発利用を進めていく中で、これをやれば全てうまくいきますというものではないので、その相乗的な効果を我々も期待していまして、研究開発だけやればそれで産業が進むわけではないですし、産業が進まなければ開発だけやっていれば宇宙が進むわけではないということで、我々として狙うところは、多いと言われるかもしれませんが、1粒で3度おいしいというものを当然考えています。
今後の成果というのを見ていただくと分かるように、10ページ目に書かせていただきましたけれども、我々としては究極の目的は宇宙開発利用の進展でございまして、そのときに宇宙を支える産業も重要ですし、宇宙としては日本の技術、新しい先端を攻めていくところも必要である、そういう観点。それから、それを支える人材がないと進まない。宇宙基本計画の中においてもそれぞれが重要と言われている。そうすると、それをバランス良く進めていくのが重要で、この超小型衛星というのは非常に適している。先ほど特徴を申し上げたように、新しい非常に小型のものを開発していくという技術開発の要素もありつつ、それをやることによってコストが安くなる。コストが安くなると、それは産業として発展していく可能性がある。さらに、産業を発展させていくときには、日本のものを今パッケージインフラとして買ってくれといって政府は進めていますけれども、ただ買えと言っても、なかなかシェアのバランスは変わらない。そのときに海外の市場が拡大していくというのが重要で、市場が拡大していくときには新興国で宇宙利用が進んでいくことも重要である。なかなか1粒で3つをこなすというのはおっしゃるように難しいんですが、それをうまくバランスしていくことが非常に費用対効果という意味でも事業としていいのではないか。
今後の発展については、まさに10ページに書かせていただいた、国内における展開としては、こういった技術、ノウハウの蓄積によって、将来の市場の拡大に対応ということなんですが、この市場の拡大という意味も幾つかあって、衛星が安くなっていく、非常に手の届くものになっていく。国内でも例えばウェザーニューズとか非常に小さな、このレベルの超小型衛星をなるべくたくさん上げて、気象の情報を自ら産業界でとっていこうと、今そんな試みもありますけれども、そういったものにも寄与していく。また、安いものができると、新興国でも買っていく、要するに外需をとっていくネタにもなるという意味で市場の拡大に期待をしている。そして、国内で申し上げると、ここで育成された質の高い人材、実際に大学で机上の勉強をしてきただけではなく、実践的な学習をする。衛星というのは1回上げたら宇宙で直せませんから、成功か失敗か一発で分かる。それが直接やっている学生さんや研究者に聞いても、本当に今までの机上の勉強と違って緊張感があるということを聞いています。今回の事業でいきますと、日本の方たちでどういう進展をしたかというと、実際にここに加わった方たちが大学の教育者として14名ぐらいになっていて、これはまた指導者として、3番目のポツに書いておりますけれども、更なる人材の確保につなげていくということで好循環を作っていきますし、民間企業への就職者、メーカーに入って実際に衛星を作る側に回った方たちも十数名いるというところでございます。
次に、海外への展開というところのパッケージインフラとして今政府が進めておりますけれども、先ほど9ページの例で申し上げたように……。
【岩瀬政策評価審議官】
説明者は少し簡潔に回答するように。
【説明者】
はい、承知しました。ベトナムとのODA案件においても、ベトナムがそれをこなしていくための能力をこの中で得ていく、そしてまた新しいプロジェクトが出てくるという形でパッケージインフラを下支えするものでありますし、またその最後、下に書いてございますように、ここで培われた人材が将来の日本の産業との架け橋になっていただく、ないしはその国の宇宙の利用拡大ということで世界の宇宙開発利用がより拡大していく、そういうことを期待しているものでございます。
【佐藤委員】
これは行政事業レビューなので、技術開発の話と事業の話をちょっと分けて考えなければいけなくて、仮にこういう超小型衛星の開発ができましたと、これをどうやって産業利用していくかというのは、これはまた次の段階の話ですけど、ただ、これをこの事業の延長として位置付けていいかどうかというのは全く違う話だと思うんです。だって、くどいようですが、文科省さんのお仕事は決して産業振興ではないので、こういう将来の市場の拡大とかパッケージインフラの輸出ということであれば、もちろん同じ政府の中で一体で連携してやるのがいいんですけれども、ただ、この事業をある種延長してやることですかと言われると、ちょっと分野が違うんじゃないんですかとなるんですが。
【説明者】
これをそのまま延長する気は全くございません。この事業のパートツーとかを作る気は全くなくて、ここにも書いてあるように、更なる大きな枠組みで、例えば宇宙の利用を進展するときには当然空だけではなくて地上も重要だとか、いろいろな組合せで発展していくように。おっしゃるように産業界そのものの支援というのは経産省の仕事でしょうけれども、片や科学技術の世界も出口を意識しろと言われている中で、これは当然経産省とうまく連携していくネタだと思っていますし、パッケージインフラにおいては別に文科省だけがやっているわけじゃなく、経産省とかみんなが組んでやっています。経済産業省の航空機武器宇宙産業課ともしょっちゅう連携というか、お話をさせていただいている中で、我々のこういった事業も当然、我々の省だけにとどまるものではなく、政府全体として寄与していくもの。そして、次の事業もこれを単純な延長というのは全く考えていなくて、大学の研究拠点としての力をより活性化させていくような視点、それから、より宇宙開発利用が拡大するような視点での支援方策を是非考えていきたいと思っています。
【佐藤委員】
最後に、済みません、手短に。人材育成のところ、確かにこれはまさに大事なポイントだと思うんですけど、ただ各大学にも宇宙工学科とかそういう研究室がありますね。そこである意味、別にこの超小型に特化しなくても、衛星開発であるとか宇宙開発の技術は学んでいるはずですし、ある種そういうところに留学生とか海外から人材を受け入れていくというのは手だと思うんですが、そうではなくてやっぱり、くどいですけど、この枠、超小型衛星の延長で、ある種人材育成をしていくメリットは何かあるんですか。
【説明者】
先ほども申し上げたように、延長というより発展的解消というか、こういう要素を否定せずにもうちょっと大きな枠組みでということを考えていまして、その背景になっていますのは、昨年、宇宙開発利用部会の下に宇宙科学小委員会というのを作って議論していたんですが、それぞれの大学における宇宙への取組は、一応航空宇宙学科とかあるんですけれども、なかなか宇宙は金が掛かるということで、どうも力がないと。いろいろやってみたいと思いつつ、なかなか取り組めないところに対して是非支援をすべきという報告書があるんですけれども、そんなことを踏まえたときに、大学の拠点的な取組をサポートするような形で更に人材育成に貢献し得る余地があるんだと思っています。その意味で「発展的な」と書いたので、これを延長するというものではない新しい施策に組み上げたいと思っております。
以上です。
【岩瀬政策評価審議官】
梶川委員、お願いします。
【梶川委員】
少し佐藤先生と重複する部分もあるとは思うんですけれども、今おっしゃったように、当初のこの事業というのは非常に技術的にも、人材育成、また海外への展開等、いろいろな可能性を感じさせるものではあったということで、一定の成果を得られたということを御主張されているんだとは思いますし、私もそれはそうだと。ただ、一つ一つの、1粒で3度か4度かおいしいと。この後は1粒じゃなくてもおいしさを発展させていくという意味で、例えば今の小型衛星を3.5億でお作りになれる能力というのは、この事業だけじゃなくて、ほかでもそういった研究、類する研究なり技術というのは現状おありなのかどうか。また、今言われた大学での航空宇宙研究のようなところで、ほか、これと関係ないところで人材というのはある程度育たれている部分もあるのかないのか。その3度おいしいそれぞれが、この1粒でないもので現状の今この事業とどんな関係におありなのかと。3度おいしいものも、これ以外のところはもう全然おいしくないんだということなのか、それなりにおいしさがあるものが世の中に散らばっているのか。まず、その現状について把握されている限りで教えていただければ。
【説明者】
専門的な現状はまた秋山先生から補足があるかと思うんですが、いろいろな大学で先駆的な取組としてパーツパーツ、いろいろなセンサーを作ってみようとか、こんな衛星を飛ばしてみよう、いろんな取組があります。そういう中にあって、我々、要するに大学の研究者から見ると、ある、ここをやってみたいけどこれだけというのに対して、この事業によって、先ほど申し上げた1粒で3度おいしい、いろいろな要素を組み合わせて、国がこういう補助金を出すことによって、この3度おいしいパッケージを組み上げていったと。それをやることによって、要するに大学の研究としての関心だけの一部に止まるのではなく、それをやりつつ人材育成もされれば国際協力も進むと、そういう基本モデルがここで出来上がっていったと。そうすると、これから大学でもいろいろな陰で取り組まれているのについて生かされていくと思っています。
専門的に今どんな取組があるかというのは、ちょっと先生から紹介があります。
【梶川委員】
済みません。それは単純に私がまず一つ技術面で聞きたいのは、3.5億程度の小型衛星というのは、このプロジェクト以外で作られていることがないのか、また作ろうとされていないのかという、そこの部分。
【説明者】
大学においては本来研究開発でやることが結構メーンでして、そうなってくると、実は3.5億ではなくて4億、5億、どんどん高い値段になっていって。
【梶川委員】
いや、大学じゃなくてもです。
【説明者】
はい。この事業は、和歌山大がそもそもなぜ頭になったかに関わるんですけれども、いわゆる衛星の開発そのものよりも利用を進めていくところの研究開発をしましょうということに主眼を置いていますので、実は衛星の技術そのものは各大学のところからのスピンオフをかなり頂いております。各大学3.5億で作れるかというと、多分作れると思いますけれども、彼らがそれをやるかというと、多分やらないんだと思います。彼らはもっと高機能にしたいとか高度なものをやりたい。そうするとコストが上がっていくと。でも、役割分担をしていまして、我々の方では人材育成と普及というところの開発をしてきたので、じゃ、みんなのいいところを集めて3.5億で作りましょうというのをやっていると。
今後に関しましては、実は我々はいわゆる先生を育てたと思っていまして、設計というよりも、ちゃんと衛星を作っていける人をちゃんと教えていけるノウハウを今回の研究開発でやりましたと。そのおかげで、恐らく今後、我々は事業を続けていきたいと思っているんですけど、それは文科省さんの予算とは別に続けていきたいと思っていますが、それはコンスタントにインターンを受け入れながら、3.5億程度で作れるものをどんどん出していくと。各大学はその上を更に研究開発されて、スピンオフをこちらにしていただくという役割分担になっていると思っています。
【梶川委員】
済みません。今のお話は、作ろうと思えば他でも作れるのではないかと思うけれども、そういうものを材料に、人材の教育の方がむしろ主眼であって、人材教育のためのある意味材料費みたいな形の3.5億という感じでちょっと聞いてしまったんですけれども。
【説明者】
衛星の開発というものはサプライチェーンをどうするか等いろいろな問題がありますけれども、結局、いろんなところで開発されたものに関して、我々は更にそれを普及していくというところの部分を突っ込んで研究開発したということだと理解しているんですけれども、だから、目標として例えば3億とか5億になぜ抑えているかというと、海外で普及するために我々は抑えているわけです。そのために、新規研究開発要素をどんどん増やすのではなくて、ちゃんとニーズに合ったものをその範囲で作りましょうをメーンにしています。だから、どちらかというと大衆車というか、普及するところの部分の研究開発を我々はやっていて、各大学で今現在やられているのは、各大学はそこよりもっととんがったものをやりたいということをかなりやられていると。今後も、大学においては研究者を育てたいという意識がすごくあるので、そうなってくると、そういうとんがったところをどんどんやりたいというところは増えると思うんですけれども、それに対して利用拡大しようとすると、ちゃんと大衆に普及できるようなものでなければいけない。だから、そこの部分を我々はやってきましたということです。
【梶川委員】
そういう意味で、海外というのはある意味、発展途上国も含めて普及技術を身に付けた人材であり、普及技術を指導できる人材をお育てになるということが、逆に言えば、3度おいしい中でも、ある意味一番おいしいところはそこだと先生はおっしゃっていただいていると。
【説明者】
はい。我々はそこがまず入り口だと思っていまして、新興国を対象にしていますので、まずそこのところで一緒にやって、彼らもノウハウを積み、人も育ってきて、その後更に高度な協力というのがあると思うんですけれども、ただそのベースのところで実は産業ですとか利用ですとか、そういうところが広がってくると。そういう意味で、3度おいしいところの一番重要なところかと思っています。ただ、これを大学の研究室でやろうとするとなかなか大変なんですけれども、それを今回のような形でできたと。
【梶川委員】
はい、分かりました。
【岩瀬政策評価審議官】
時間が経過してきておりますので、外部有識者の方でコメントシートの記入が終わっていない方は記入をよろしくお願いします。事務局の方で回収させていただいて取りまとめをさせていただきますから、若干時間が掛かりますので、御議論は引き続きお願いします。また、時間が限られておりますので、御質問、回答、簡潔にということを引き続きお願いします。
 では、松浦委員、お願いします。
【松浦委員】
トータルコストという観点から一つだけ御質問させていただきますけれども、この添付資料を拝見すると、50センチ四方で50キロ程度の衛星ということで、かなり小型化していると思うんですけれども、この程度の大きさの衛星であれば、液体燃料ロケットは物すごく高いわけですが、固体燃料のロケットでも打ち上げることは可能になるでしょうか。
【説明者】
可能だと思っていまして、その意味ではイプシロンというのが去年上がって話題になりましたけれども、イプシロンについてはなかなか、科学衛星を上げていくという中でも、先ほどちょっと先生からもあったように、科学衛星もどんどんこういうことをやりたい、先生の議論のようにどんどん高くなる。そうすると、財政当局になかなか認めてもらえなくて、何年かに1回しか上がらないとすると、それしか使わないロケット技術というわけにはいかない。ロケット技術の完成という観点でも積極的に我々は使っていこうと思っていまして、そういう意味では、こういう技術が確立することによって、先ほど民間のウェザーニューズとかが小さい衛星に関心を持っていると言いましたが、民間も含めてよりいろいろ使ってもらい、その中でイプシロンも活用してもらいたいと思っています。
【松浦委員】
要するに、衛星だけの開発のプロジェクトではあるけれども、当然打ち上げるコストというものも陰にはあるわけなので、固体ロケットで上げられるという話になれば相当コストダウンにもなるし、新興国でも非常に取っ付きやすい技術なんだろうと思ったので御質問しました。ありがとうございます。
【説明者】
ありがとうございます。
【岩瀬政策評価審議官】
では、有川委員、お願いします。
【有川委員】
今の松浦委員と同じような質問で恐縮なんですけれども、事業の概要を読ませていただくと、やっぱり大型衛星の補完的な役割をこの超小型衛星が担うようなニュアンスで書かれているんですけれども、実際の目的はそこではないようにも、いろいろ話を聞いていると感じるんですが、今の松浦委員の質問に対する回答を見ると、必ずしもそうではなくて、この超小型衛星についても大型衛星の補完的な機能、役割を果たせるようにしたいんだと言うんですが、つまり国内でどういった役割を果たすことを期待しているのか、あるいは欧米各国でもこういう超小型衛星の開発が行われて、海外援助じゃなくて、欧米各国の国内でどういった活用をしている例があるのか、その辺分かりましたら教えてください。
【説明者】
将来的にこの超小型衛星を技術として確立した時代というのを念頭に置いたときのイメージとして、大型衛星と小型衛星は使い方としてすみ分けがなされていく。大型衛星は非常に値段も高いのでたくさん飛ばせない中で、これは観測幅を広くして、いろいろ最初の探知をしていくと。それに対して小型衛星というのは、ここが見たいといったときにそこだけを詳細に見るような使い方をしていくということもできますし、また他方、途上国なんかにおいては、小型で安いというところから、それを幾つか飛ばすことによって探知する。一番途上国で最初のニーズがあるのは、この中でも7ページにちょっと絵を入れている……。
【有川委員】
国内の話を聞いている。
【説明者】
国内ですと、一番は大型衛星で最初に探知したものを小型衛星である地点を絞って、小さい衛星ですと観測幅がなかなか稼げないこともあって、最初に見るべきポイントを大型で決めて、この小さいものでそのポイントだけをよく見ていくとか、そういう使い分けをすることによって、要するに頻度を上げていく。それによって災害対応、それから安全保障にも活用できるものと思っております。
【有川委員】
海外の例を教えていただきたい。
【説明者】
海外は、ヨーロッパはサリー大学等がこういうことを進めておりまして、関心の一つは地球観測のコストを先進国がずっと負い続けるのかということがありまして、実は今回の衛星は1基、2基、3基ぐらいですけれども、今後20基、40基、50基と各国と連携してやりたいと。そのときに先進国に更なる負担を求めるのではなくて、宇宙をやりたがっている新興国を仲間に取り入れることによって、実はその20基のコンフェデレーションは、日本は5基です、海外、インドネシアは5基です、ブラジルは5基ですというような形でコストとかに。
【有川委員】
先進各国の話を聞いたので。海外援助的な性格はよく分かったんです。先進各国においての利用を聞きたい。
【説明者】
はい。先進各国の中では今ヨーロッパとアメリカがそれぞれ衛星画像を出しておりますが、このコスト負担がかなり悩みで、その対応策として、ヨーロッパは日本と同じように新興国を取り込んでそれを削減するということをやっておりまして、一方、アメリカは、最近スカイボックス・イメージング社がグーグルと組みましたけれども、技術をどちらかというと出さないで、自分たちで技術を独占しながら民間にやらせようという動きはかなり積極的になっています。ただし、これは負担をずっとアメリカ1国で負担し続けるという意思だと私は受け止めていますけれども、ヨーロッパと日本はそれに対して世界で負担を分担しましょうという方向で今動いていると理解しています。
【岩瀬政策評価審議官】
永久委員、お願いします。
【永久委員】
3つばかりありますので、端的に答えていただければと思います。一つが、類似事業がないというようなことになっておりますけれども、内閣府の超小型衛星最先端プロジェクトというのがありますが、それとの違いをお話しいただければと思います。二つ目ですけれども、これは終了する事業なんですよね。
【説明者】
はい。
【永久委員】
ここで何で我々は終わる事業を評価しなければいけないのか、そもそも分からないんですけれども、この評価がどういう意義を持つのか、それは誰に聞いたらいいのか分かりませんけど、それを教えてくださいというのが一つと、最後には、これはコスト管理はどこでやっているのかと。結局、今の和歌山大学を主体としたUNIFORMですか、そこのコスト管理は内部でもやられているのか、またこの事業をやっている文科省がずっとそのコスト管理をチェックしているのか、その点だけ教えてください。
【説明者】
まず類似事業ということですが、内閣府でやっているFIRSTのことだと思います。「ほどよしプロジェクト」ですか。あれよりこれは規模が小さい。あれはたしか40億ということについて、更にもうちょっと小型なものをここでチャレンジしています。より短期間で簡易なものを作っていくというコンセプトです。
次の、終わる事業を何で評価しているかという点ですけれども、先ほど申し上げたように、これを我々としては更に発展させていくべきだと。継続ではなく、より、例えばこれ一つ、衛星を開発するということではなくて、宇宙の開発利用を進めていくというところに対しては、もうちょっと途上国も含めて全体で使える地上のシステムだとか、それをどういうふうに広めていくのかとか、それから大学の研究開発力を高めていくために、宇宙への取組というのは今、最近なかなか宇宙科学研究所(ISAS)の方に集約されて大学の力が弱まっているというところで、こういう取組を支えていくために何をすべきかということで、発展的にもうちょっと枠組みを広げて新しい事業にしたいと思っていると。その意味で、その軸足になるこの事業がきちっとしたものだったかどうかというのを今まさに評価いただき、良ければそれをベースに更に拡大していきたいという思いがあります。
3点目のコスト管理につきましては、これは定額補助ということなので、基本的に補助金の管理に関する法令に基づいて我々も管理していますけれども、行った先の大学については、例えば和歌山大学であれば大学の会計規程があって、それにのっとった大学の会計管理の中で組織としてやっていただいている。それを我々は毎年、補助金の法令に基づく資料を請求し、それを毎年度チェックするという形での管理をさせていただいております。
以上です。
【説明者】
今のにちょっと補足。
【岩瀬政策評価審議官】
何か補足があるらしいです。
【説明者】
コスト管理にちょっと補足させていただきますと、文部科学省の方としても複数の職員を派遣しまして、お金の使い方をしっかりチェックし、具体的には細かい場合にはメモリー1個もちゃんと使っているかということを派遣して現地で確認しているということでございます。
【永久委員】
済みません。これの評価の仕方なんですけれども、廃止とか抜本的な改善とか一部改善とかありますけれども、どこに付けたらどういう意味合いを持つのかが分からないんですが。
【生川会計課長】
会計課の方から少し補足させていただきます。2点目の御質問の、やめるんだけど何で評価するのかという点については、基本的には今申し上げたとおりなんですけれども、この行政事業レビューの実施要領の中でも、行政事業レビューの対象事業として、当該年度が事業の最終実施年度等であって、翌年度予算の概算要求に向けて事業の継続性の是非等を判断する必要があるものというのがございまして、我々、今申し上げましたように、これは基本今年度までということではあるのですが、絶対やめてしまうということでは必ずしもなくて、それを更に発展的に何らかの形で継続していこうということでございますので、何らかの形で来年度の予算要求をさせていただきたいと事業担当課としては思っているということだと思うんです。それに当たって、いろいろな御指摘を頂いて、それも踏まえた上で来年度どうするかを判断していくという趣旨でございます。
【永久委員】
例えば一部改善と書いたら、改善しながら継続していった方がいいよという評価の表明だと理解……。
【生川会計課長】
そういうことです。あるいは、廃止といって、今年度でやめろということであれば、発展的なものも含めてやらないという判断もあり得るということであろうかと思います。
【岩瀬政策評価審議官】
佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】
今の件なんですけれども、基本的に超小型衛星の技術ができまして、これは一つの大きな成果だと思うんです。もう一方、人材のところになってくると、ちょっと話がやっぱり違うんじゃないかというのは、確かに秋山先生のおっしゃるとおりで、大学はどうしても最先端の技術を追求しがちで、汎用性のある技術というところになかなか目が行かないと。そこにむしろ重点化して、それを使える人材を海外から特に募って、そういう人たちが自分の母国に戻ったときにその技術を使えるようにしましょうというのは一つのすばらしい趣旨だと思うんですが、それは超小型衛星に限ったことでもないかもしれないし、恐らくほかにも考えが。いわゆる途上国から人々を呼んで技術を普及させるということであれば、やっぱり違うノウハウが求められてくると思うんです。だから、私もどう付けたらいいのか分かっていないんですけれども、やっぱりこの事業をどういう形であれ発展させていって、そっちになるのかなというのは、さっきのFIRSTもありましたけど、ほかの事業との関係も考えながら、それから同じような海外からの人材育成を文科省はたくさんやっていらっしゃいますから、そういう事業との関係も見据えながらのいわゆる発展形になっていくのではないかと思うんですが。
【説明者】
先ほどの秋山先生の説明の中では人材育成、そして海外への発展が重要だと言いましたが、この事業を立てたときの概念として申し上げると、じゃ、こういう超小型衛星は今普通に実用として飛んでいるか、汎用の技術としてあって、それを海外に広めるかというと、そうではないんです。この技術自体、この超小型、たかだか50キロに積み得るようなセンサー、それが独立して動いていくということ自体の研究開発要素を含んでいて、放っておくと大学の人たちはより最先端といって別の技術をやっていくのに対して、ある程度、今、性能としては大きなものではあるけれど、それを小さいもので実現できるのか、安くできるのかという新しい技術開発をやっていただいた上で、それを広めていくという意味で、やっている気持ちとしては、将来海外に行くためには人材育成が重要だと言いましたが、我々事業を立てた側の趣旨としては、人材育成が最優先ということではなくて、飽くまでこの研究開発、技術開発と、共に両輪だと思っております。その意味で、発展解消と申し上げている中で、人材育成のためにただ大学人材を作るということではなくて、こういった大学自体で宇宙の取組というのは、ここで詳細は申し上げませんけれども、去年報告書が出ておりますように、それぞれISASに集約していってどんどん宇宙科学の分野でも大型化していく中で、各大学の宇宙への取組の力が弱まっているという中で、しっかり取り組むべき技術開発要素を持ち、それを海外にも展開する形で広げていくということは重要なことだと思っております。
【岩瀬政策評価審議官】
時間が経過しておりますので、引き続き考えていただいているわけでありますが、コメントシートの記入の方を進めていただきますと有り難いと思います。
では、梶川委員、お願いします。
【梶川委員】
今コメントシートをお渡ししたのであれなんですが、今御説明をお聞きしていると、ほかの先生方もお感じかもしれませんが、当初の目的とそれを実施されている主体の秋山先生の方で少し思いが変わってきておられて、思いが変わってって、目的は同じだったのかもしれないんですが、より重視して効果が上がるだろうというところの思いが少し動いてこられているような気もいたしますので、今どれをより発展していっていただくかという話について確たる、1粒で3度おいしいものをそのまま発展するとすれば、今度はもっと予算規模を掛けないと、とてもこの規模で1粒で3度おいしいことをやり続けることは難しいような気もいたしますので、どこを発展させるかという御説明自身が多分今ずれておられるような気もいたしますので、その辺、私、抽象論でコメントしてしまいましたけれども、そこの整理をまずしていただかないと何とも言いようがないかなという感じはしたというコメントです。
【説明者】
1点申し上げると、要するに発展解消と言っているのは、新しい事業をまた立てるというよりも、実は従来利用面に注目した委託事業を持っていまして、それはやっぱり利用で区切っていて、こっちは開発で区切っていたと。その要素を全体入れて、要するに基になるベースのお金があるので、今回のこの事業ですと年2億円台、3億切るような形でやっていますけれども、それだけ切り出して、ここだけをやりますといったときに、やっぱり全体の連携をとっていくという意味で、既存の別の事業とマージさせることによって、ほかの3つ、要するに我々3つ、1粒で3度おいしいと言ったけど、それぞれ別々の取組をやったりしているものをお金を糾合することによって、これだけ同じ規模で立ち上げるのではなくて、そういうそれぞれの視点の連携をもうちょっと高めていきたいという思いで実は発展解消と言っていて、既存事業の中にこの要素も加えて増額をできればしていきたい、そのような考え方でございます。
【岩瀬政策評価審議官】
今コメントシートの取りまとめをしておりますので、もうしばらく作業に時間が掛かりますので、御議論がありましたら引き続きお願いします。
【佐藤委員】
手短に。感想になってしまいますけれども、1粒食べて3度おいしいというよりは、何となく総花的になってしまっていて、ただ、くどいですが、事業を始めるときはいろいろなことがあって良かったと思うんです。私はそれは別に否定しないんですけど、ただ、ここまで来たときに、次のことを考えるときに、まだ相変わらず、3度おいしいのか、総花的なのか、やっぱり焦点が絞れていない気がするんです。もちろん文科省さんはいろんな事業を持っているわけですから、そちらの方との連携だとか、一部はそちらに移すとか、何かもうちょっと抜本的に考えるべきことがあるような気がする。それでもなおかつ続けるべきことがあるというのは、多分この事業の延長で続けるべきことがあるのかもしれませんけれども、ただ今の御説明を伺っている限り、我々もかえって混乱してしまっていて、人材育成の話をしてみたり研究開発の話をされてみたり、結局2つあるんですね。最初はそれで良かったと思うんですけど、それがどこかでやっぱり重点化していかなければいけないときに、相変わらずどっちに軸足があるのかよく分からない。それで一番初めの議論になって、目的がよく分からない。だから、行政事業レビューでも目的がよく分からないという話になってしまうんだと思うんです。
【岩瀬政策評価審議官】
松浦委員、先にお願いします。
【松浦委員】
私の感想ですけれども、個別に一つの目標を持って前へ進むというやり方もあると思うんですけれども、非常に関連性の深い分野に関して、マルチパーパスできちんとインテグレーテッドされたようなシステムをなるべくコストダウンして効率的にやっていくという視点も、これは私は評価できるんじゃないかとは思っております。質問ではございません。感想でございます。
【岩瀬政策評価審議官】
永久委員、お願いします。
【永久委員】
一つの事業で幾つも効果を狙うというのはやはりいろいろと問題がある場合がとても多いんですけれども、この件に関しては私個人的にはシンパシーを持っていまして、どうしてかというと、こういう事業でキャパシティー・ビルディングをやっていくというのは外交的には極めて重要だというか、国際関係的にはとても効果が持てるような部分が相当あると思うんです。これが発展していったら相当我が国のプレゼンスも上がっていくというようなことにつながるんじゃないかと思っています。ただ、それに対して意識がどれだけ強いのかというのが感じ取れなかった部分もあって、それは先ほどの成果を伺ったときに事例として幾つかを挙げていただきましたけれども、ですが、それが最初の効果のところに関してはそれを表現しようとなさっていなかったわけで、だから、極めて重要な効果を狙っているはずにもかかわらず、そこに対する認識がどれだけあるのかということが伝わらなかったという問題は僕は感じました。
【説明者】
済みません。これは私のどちらかというと個人的な感想、意見なので余り入れさせていただいていなかったんですけど、世界で現在8か国ぐらいが衛星を作って打ち上げられています。55か国が独自の衛星を持っています。これは海外から買っているという意味です。100か国以上が衛星は全然使っていない、データだけが配布されるという世界ですけれども、50年後にはかなりが衛星を作るとか持つ方向にシフトすると思っていまして、私が今回このプロジェクトの頭にさせていただいたときに、私の気持ちは、その中で日本のプレゼンスをどう高めるかということがまさに最大の関心事で、若干私はその気持ちがすごく強いので、先ほどから言われたように、文科省さんとの関係で言われましたけれども、そういう意思でやってまいりました。ただ、来年度以降に関して言われているのは、このままは続かないからねということを言われていまして、まず公募をさせていただいて、ある意味目的は変わってしまうかもしれない。その場合は、私が今言ったような海外連携の部分に関しては、海外からも実は、自分のところからお金を出してもいいから続けてほしいという候補も今ありますので、その辺も入れながら、ただ一方で、国としてもこれは関与していますよという形を是非示していただきたいということだけお願いしている状況です。
【岩瀬政策評価審議官】
いかがでしょうか。いましばらく御議論いただいても結構ですが。
 田辺委員、お願いします。
【田辺委員】
今回いろんな大学とか組織が一緒になっていたんですけれども、その連携の効果というのはどういうところにあったと。
【説明者】
超小型衛星は2003年ぐらいから始まりまして10年ぐらいたちましたけれども、大分役割分担ができてきたのかなと思っていまして、現在でもバスを解析している大学は幾つか、多分3つぐらいのパターンで今日本国内にあるんですけれども、そういうところはコンスタントにそういうのをやり始めて、今回の我々の例でいうと、実はデータ解析は北大にかなり集約しまして、データをとって実際に分析するところ、あとミッション機器の開発は北大がかなりやっていると。海外との連携部分ですとか、あと地上局のネットワークの普及の方は実は和歌山大がかなりやっていまして、そういう意味でこの10年で、最初はみんなわっと「衛星だ」とか群がっていたものが、役割分担がかなりできてきたのかなと。
 それと同時に、実は超小型衛星はかなりの数が作られているんですが、去年、今年ぐらいでかなりの数が日本で上がりますけれども、それの陰でサプライチェーンがかなり充実してまいりまして、その関連の部品の開発ですとか供給が日本国内で、これはメーカーの方ですけれども、されるようになってきたと、この辺が大きな成果かと思っています。
【田辺委員】
ありがとうございます。
【岩瀬政策評価審議官】
コメントシートの集計が取りまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員から、評価結果及び取りまとめコメント(案)の提示をお願いいたします。
【有川委員】
こちらの方も1回で3度おいしいか4度おいしいかというのはちょっと例えとしては良くないかもしれませんが、かなり多様な意見が出ておりますけれども、それらを大きく集約しますと、3つぐらいにまとめられるかと思います。一点目は、本事業の目的に対するいろいろな意見であります。二つ目が、目的に関連する成果の指標あるいは測定に関する問題であります。そして三点目は、この事業を遂行していく、成果を上げるための制度設計にやはりいろいろ問題があるのではないかというような御指摘であります。
そのもう少し具体的な文章をちょっと紹介させていただきますと、本事業についてはやはり1粒で3度おいしいというよりも総花的。あるいは当初目的と実施に乖離があるという指摘。あるいは目的のより明確化と絞り込みが必要だという意見。あるいは事業の目標を明確に設定して事業を実施していく必要がある。あるいは、事業の目的に応じてより成果が明確になるよう事業プランを整理していくべきだし、政府内での分担も明確にしてほしいという意見。同じように、関係省庁との連携が非常に不可欠な事業であるので、その辺のところをしっかり構築してもらいたいという意見。あるいは、やはり成果を測定することは非常に重要なので、そういった仕組みをより強固に構築する必要があるという意見であります。
このような非常に共通したコメントがほとんど見られるんですけれども、評定は4つに全部分かれてしまいまして、廃止が1名、事業全体の抜本的改善が2名、事業内容の一部改善が2名、現状どおりが1名という状況なんですが、現状どおりの方も今言ったような3つの大きく分けるところの意見をやはり問題があるとして指摘されておりますので、一部改善の方もやはりこの事業についての根本的な制度設計に対しては指摘がなされておりますので、結論としてはBの事業全体の抜本的改善という意見をとりたいと、まずそういうふうに御提案申し上げたいと思います。
そして、それに対する取りまとめコメントといたしましては、まずこの事業の目的について明確化を図るべきだということと、それから明確化を図った目的に基づいて成果がきちっと測定できるように成果指標を立てて、それに基づく適切な成果を行うべきだということ。それから、三つ目のコメントといたしましては、やはりこの事業の効果が上がるように、きちんとした制度設計を立てるとともに、関係の事業との連携を図るべきだと。そういう取りまとめコメントとしたいと思いますが、いかがでありましょうか。よろしいでしょうか。それでは。
【岩瀬政策評価審議官】
ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして超小型衛星研究開発事業の公開プロセスについては終了とさせていただきます。
次の公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラムにつきましては、5分弱休憩の後、14時10分開始とさせていただきます。よろしくお願いします。

( 休憩 )

【岩瀬政策評価審議官】
それでは、2こま目を始めさせていただきます。これからの時間帯は、公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラムについて御議論を賜りたいと存じます。
初めに事業概要の御説明をさせていただきます。事業担当課は5分以内で簡潔に説明をお願いします。
【説明者】
生涯学習政策局社会教育課長の谷合でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、レビューシートを御覧ください。まず事業の目的です。そもそもこの公民館でございますが、公民館は公民館主事等の社会教育に関する専門スタッフが配置されているとともに、社会教育の地域拠点として全国に約1万5,000か所設置されているソーシャル・キャピタルでございます。各種講座の開設等を通じ地域住民の最も身近な学習の場となっているのが現状でございます。歴史的には自治会、町内会、婦人会、青年団など伝統的な地縁組織あるいは地域コミュニティーとともに住民と行政をつなぐ中間的組織としてこれまで発展してきました。しかし、近年、地縁組織の衰退、NPOやボランティア団体などの新たな地域の担い手の登場などによりまして地域コミュニティーが変化し、様々な地域課題への対応など、公民館等の積極的な組織変革が必要となっており、中央教育審議会等においても国による支援が求められているところでございます。本事業は、公民館を拠点といたしまして地域住民が学びを通じて地域課題の解決を図ろうとする取組について、国と地方公共団体が共同して実証的な研究を行い、得られた成果を全国に広く普及していく事業でございます。本事業によって最終的には地域課題解決あるいは地域活性化といったところにつなげていきたいと考えているわけでございますが、そうした大きな問題解決には相応の時間も掛かりますし、また公民館の取組だけではなかなかできない部分もございますので、現実的な目標といたしましては、本事業を通じ全国の公民館等社会教育施設の地域課題解決に向けた活動の活性化の促進といったところを目的として捉えてまいりたいと考えているところでございます。
続きまして事業概要でございます。本事業は平成25年度から実施しており、本年度で2年目でございます。今申し上げましたように、公民館等が実施する地域課題解決のための先進的な取組を国と地方が共同的実証研究として作り上げ、その成果、ノウハウやプロセスを全国に広く普及するものでございます。
説明資料の6ページを御覧いただきたいと思います。これが本事業の概要でございます。地域課題解決のための先進的な取組としては5つのテーマ、若者自立支援や、あるいは防災拠点形成など5つの現代的課題をテーマとして設定しています。各テーマ3名の有識者が1人当たり約10か所を担当するという形で、1テーマ当たり30か所、合計150のプログラムを国と地方の共同により取り組むことにしています。
続いて、申請・採択状況について、資料の11ページを御覧ください。11ページの中ほどにございますように、平成25年度の申請・採択件数は、申請件数が155件、予算上150件を上回る数値となっておりますが、審査の結果、最終的に契約といったところまで行ったのは126件ということになっております。テーマ別に見ますと、その下に書いてありますが、目標箇所数に届かないテーマも見られ、課題に対する取組の難しさや認識など、またあるいは都市部と地方といった地域差も大きく影響していると考えております。
恐れ入りますが、再びレビューシートにお戻りいただきたいと思いますが、レビューシートの中ほど、成果目標①でございます。アウトカムの成果指標といたしましては、事業評価における点数評価で6割以上の評価を得た取組の割合を80%と設定いたしました結果、実績としては53%、達成度は66%となってございます。また、本事業の成果実績についてでございますが、本年2月に開催いたしました成果報告会におきまして全事業発表を行いました。テーマごとに当該年度における活動内容、年度中に得られた事業成果、達成度、事業による波及効果、自主事業に向けて次年度以降の発展性などについてプレゼンを頂き、各有識者による評価をネット配信等も活用し公開等によって行っております。こうした評価の結果、モデル性の低い取組については支援について単年度で終了することも予定しておりまして、平成26年度、2年目についてはおおよそ100か所弱といった数値で実施することを予定しています。こうした形でPDCAサイクルの確立に努めているところでございます。
次に成果指標の②でございますが、参考アウトカムでございますけれども、ネット公開している成果発表会における各プログラムの視聴回数を挙げております。現在、全体で2,335回、1か所平均18.5回の視聴を頂いているところでございます。
予算額は平成25年度は2億700万円、平成26年度は1億3,300万円となっており、平成25年度の採択実績を踏まえ26年度は150か所から135か所に見直しを行って取り組んでおります。
最後に、本事業は3年をめどとして実施していくこととしておりますが、各プログラムにより得られたノウハウ、プロセスなどの成果は、国や都道府県で実施されている社会教育担当者を対象とした研修や講習の事例教材として活用することなどによって全国に提供していくこととしております。波及効果については本事業終了後、別途調査を行って把握したいと考えております。
説明は以上です。
【岩瀬政策評価審議官】
それでは、私の方から論点について御説明させていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
まず一つ目として「事業の目的は明確か」という点、二つ目として「地方公共団体において実施されている取組との相違点は何か」という点、三つ目として「モデル事業としてふさわしい取組を採択しているのか」という点、四つ目として「事業実施の結果、当該地域の活性化等はどのように進んでいるのか」、以上4点について御議論いただければと思います。
それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたしたいと思います。時間も限られておりますので、御質問、またそれに対する回答は簡潔・明瞭にお願いいたします。
佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】
最初の方に御説明があったので、ちょっと確認ですけれども、これは最終的な目的は何なのかと。まさに目的は明確かというのが論点の一つですので。当初は地域社会の活性化である、そういう非常に大きなテーマに対して、ネットワーク機能の一環として公民館は何ができるのかという御説明だったと思います。事前の勉強会でもそうだったと思うんですが、先ほどちょっとお話があったように、それではレンジが遠いし、話としてでかいのでということで、もうちょっと手前の段階でいけば、これは公民館の活性化であるという理解。むしろ、もうちょっと手前のところではですね。公民館をその地域の中でどうやって活性化させていくかという理解でよろしいんでしたっけ。
【説明者】
おっしゃるとおりでございまして、事前の勉強会でも御指摘いただいたことを踏まえまして再度内部で検討いたしまして、当初の地域活性化といった遠い目標は、もちろん目指しているところはそこにあるんですけれども、そこはやや遠過ぎるので、当面の目標としては、公民館が特に地域課題の解決に向けた取組をどれぐらい促進できたかといったところを目標に捉えたいと思っております。
【佐藤委員】
そこで、頂いた資料の中で幾つか事例として、採択地域の地域活性化の実績というのを幾つか挙げていただいているんですけれども、これを先ほど読ませていただいていて、それぞれのプログラムがそれなりにそれぞれの多分効果というか、意義はあったと思うんですが、果たしてそれで、この中で公民館だからこそできたことというのは一体。例えば小千谷市のケースで、中山間地域での集落活性化支援として、ホームステイの強化とか何かそういうのをやられていたみたいなんですけれども、具体的にこの中で公民館がどう位置付けられていて、それが一体どうして公民館でなければいけなかったのかということと、それから、お話にあった公民館の活性化ですけど、どれぐらい利用頻度が増えたのかというのと、これはどんなふうにして説明できますか。
【説明者】
まず、なぜ公民館かというところですが、一つは公民館がやはり地域の教育拠点、学習拠点になっているということでございます。本プログラムの意味は、学びを通じて地域を活性化しようというところにございます。単なる経済政策ということではなくて、地域が学びながら地域を盛り上げていこうということでございまして、したがって、例えば小千谷の例でいえば、まずは地域を知ろうということ、あるいは要するに学校教育との連携ということで子供たちをこの地域に呼んでいろんな体験をしてもらおう、そういった学びという要素が入っているところでまず一つ公民館です。
それから、もう一つは公民館が全国1万5,000か所といったようなことで、かなり、特に地方部においては数、量の面でも多く配置されておって、そこを拠点とすることが効果的と考えているところでございます。
【佐藤委員】
それで、取組実績のところで、どれくらい公民館の活性化になっていったのかというのを。数字は出ていませんけれども、もし何か分かることがあれば。
【説明者】
この小千谷に関しては、済みません、公民館そのものの利用率、利用増というデータがないんですけれども。
【説明者】
失礼します。この小千谷の例で申し上げますと、まず実施体制を組むところからスタートしております。本来ですと公民館が独自でやっているような話があったり、小千谷地区にある観光部門が独自にやっているものがあったりと、ばらばらにそれぞれがやっていることを一体となってやっていきましょうという体制を作るところがまず入り口になっていまして、かつ、地域住民がこういったことに理解いただいて、こういう活動に参加していただくという仕掛けをまず1年目取り組んでいただいていますので、なかなかこの効果、人数的な効果というのは分かりにくいところがあるんですが、それぞれのメニューで、例えば「まちあるき」の実施というのをやっています。これは3地区で6回程度開催されているんですけれども、延べ144名の参加があったとか、集落間の交流実施をやられたり、「苗木を育てようプロジェクト」ということで、この地区の25件さんがこの事業に参画されたと。そういった細かい数字にはなるんですけれども、2月の成果発表会では御報告いただいている状況です。
【佐藤委員】
ちょっとずれているかと思ったのは、まずさっきの小千谷市のケースに戻りますと、中山間地域の集落活性化、これは大事な事業だと思いますけど、その中において、多分公民館というのは手段の一つ、場の一つであって、本来であれば、今先ほどどうしても取組がばらばらになりがちでということでしたけど、それは多分自治体さんの方でリーダーシップを持って、一つのプログラムとしてやりましょうよということは自分たちで多分できることですし、そこに公民館がお手伝いしましょうというのはそれはそれであっていいことだけれども、でもそれは多分公民館の本来業務であって、別に、この補助金を使ってあえてやらなければいけないことだったのかと言われるとどうかなというのがありまして、かつ、逆に公民館の側に立ってもっと利用促進をというのであれば、もう少し公民館が関われる分野は違うところにあるんじゃないのかなという気がするんですけれども、その辺はどうこの中に、私の中でまだ理解がねじれているんですが、どう整理したらよろしいんでしょう。
【説明者】
もともと公民館というのは、それぞれの公民館でそういう活動をしてきたという経緯があったんですけれども、先ほど御説明させていただいた中央教育審議会等で、これからの公民館はそういう地域の課題にもいろいろとアクセス、関わっていくことが求められますよということを踏まえて、こういうチャレンジを小千谷市の公民館がやろうということで取り組んでいただいている事業になりますので、従来型の公民館のハードを使って学習講座をただ単にやるということではなく、地域の課題にこういった公民館がつなぐ機能も生かしながら学習を提供してプログラムを組み上げていくところにこの事業の基があるということになるんですけれども。
【岩瀬政策評価審議官】
梶川委員、お願いします。
【梶川委員】
全くよく分かっていなくてお聞きするのであれなんですけれども、公民館がテーマの中心になってくると、公民館は基本的に運営責任主体はどこなんですか。
【説明者】
市町村です。
【梶川委員】
市町村が責任を持って運営しなければいけないという部分だとすると、そこ中心の政策テーマというのは、ちょっと中央省庁の文科省がやられるには違和感があるんですけれども、その辺は。一つの利用手段としての公民館というのは、市町村がせっかく持っているからというのは逆に分かるんですが、公民館の活性化というと何か過保護なような気がするんですが、その辺はどうでしょうか。
【説明者】
地域活性化といえば確かに各省いろんな取組がなされていますし、いろんな政策ツールもあるわけですけれども、今回のチャレンジというのが、学びの場である公民館を使って地域活性化が図れるのかなというところからこの事業はスタートしたんです。文部科学省の政策でございますので、やっぱり学習面、学習拠点の公民館を活用できないんだろうかという一つの挑戦であったわけでございます。ただ、事前の勉強会などでも少し、いきなり地域活性化というのは壮大過ぎるのではというような御指摘も頂きまして、確かに、そこまで言ってしまうと成果もなかなか測定が困難な面もありますので、まずは公民館の、特に地域課題解決に向けて公民館がどれだけ動き出したかという辺りを目標として取組を始めたところでございます。
【岩瀬政策評価審議官】
田辺委員、お願いします。
【田辺委員】
この事業の申請主体というのは自治体、教育委員会ということですね。
【説明者】
はい。
【田辺委員】
ということで、このテーマなんですけれども、公民館が地域のまさに学びの拠点になるということでしたら、そもそも公民館をそういう場としてどう使えばいいかということを地域で議論すればいいと思うんですけど、これは何か自治体のテーマのようですよね。地域振興とか。そうなると、公民館というのは何なのというか、自治体の中、役所の中でやってもいいような気がしますので、そこがなぜ、どういうテーマを。もう少し地域の人たちが公民館というところを通じて、まさにコミュニティーを再生するようなことを考えればいいと思うんです。これはテーマ自体がちょっとそれを超えているような気もするんですけど、テーマの設定がまずどういうふうに、どうしてこういうテーマになったんでしょうかということです。
【説明者】
このテーマは、まずそもそもその地域でいろんな課題があるだろうということで、大きくくくりを作ってはいるんですけれども、若者の支援であるとか防災……。
【田辺委員】
地域の課題は分かるんですけれども、公民館が拠点になる、人と人との交流という観点からいうと、そこは私の感じは、このテーマでは公民館でやる必要ないんじゃないかという気がまずしますということ。
それともう一つ、これは公民館に考えなさいと言って支援してやるんですけれども、目的を、レビューシートを見ると、実証的な研究に実際取り組んでもらって、まさにそのノウハウやプロセスを全国に普及させたいということなんですけれども、そういう観点からいうと、今回もまだ模索段階から百何十件とばーんと配ってしまって、一方で金額が100万円ぐらいということで、余り検討する余地もないまま、具体的に何かやらなければいけないんじゃないかということで、もしモデル事業的にやるのであれば、もう少し数を絞って、幾つか十分検討を進めて、こういうやり方があるよと固まってから各自治体といいますか、各公民館にもう少し数をやると、何でそういう形でやらなかったのかということをちょっとお聞きしたいんです。
【説明者】
数が適正規模かという点については、確かに私どもも委員の御指摘はよく理解できます。なぜこの数に設定したかというのが、一つはそもそも全国にある公民館、今回、説明上、公民館と言っていますが、実は対象は公民館以外にも博物館とか図書館、こういった社会教育施設も広く対象に含めておりまして、非常に母数が多いんです。公民館1万5,000と申しましたが、博物館は大体5,000か所、それから図書館が3,000ぐらいだったかと思いますので、合計しますと大体2万3,000といった数字になってくるので、今回126か所というのは大体0.5%ぐらいにまず相当します。したがって、それぐらいの規模観かなというのが一つと、あと今回テーマを5つ設定しておりまして、5つのテーマごとに選び、また地域性なども考慮するというようないろいろなもろもろを考慮し、また仮に今回こういう実証的研究を始めても、全部が全部全国のモデルとなるような立派な研究で終わるかどうかという、そこら辺もございますので、大体その辺も見込んで今回の箇所数にした経緯があります。
【田辺委員】
その補足で、もしそれならば、まずやったプロセスといいますか、やった結果を文部科学省の方で見た上でいいものを選んで伝えると、事業の中にそういうのが入っていなければいけないと思うんですけれども、ちょっとそういう御説明がなかったような気がするんです。
【説明者】
確かにその説明がなかったと思います。最終的に得られた成果をどう普及するかという観点につきましては、最終的な成果については、まず、今回目標がモデルケースを得るということなので、どうやったらうまくいったのかというプロセスとかノウハウについて、ほかに応用が利くような形でうまいこと整理し直して、いわば手引きのような形にして、それを国が実施する各種研修会、都道府県が実施する研修会等の場で広く周知していくと。その際に、我々行政だけじゃなくて、研究者、特に具体的には国立教育政策研究所の社会教育実践研究センターの専門家の声も聞きながら、その内容の高度化、適正化を図っていくということを考えております。
【田辺委員】
あと1点だけ。金額は適正かということなんですが、100万円ということで、そこはいかがですか。
【説明者】
金額も一応上限単価として100万という話をしているんですけれども、いろいろな有識者を現場、各自治体が呼んできて、そういった方々にも助言を頂いたり、その謝礼であるとか交通費というようなものが結構やっぱり掛かってきたりしておりますので、そういったものが中心には。
【田辺委員】
いや、私はもうちょっと高くてもいいんじゃないかと。逆にですね。
【説明者】
やはり事業規模がこの規模になっていますので、そこから割り戻すと……。
【田辺委員】
逆に、数を決めたから金額が少なくなったということなんですか。あるいは、金額はこのぐらいでいいと思ったから数を多くしたと。
【説明者】
最終的にこれは自主運営していっていただくことを目標に掲げていますので、正直、100万でも結構高いかなという感覚であります。
【田辺委員】
はい、分かりました。
【岩瀬政策評価審議官】
外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入を併せてお願いいたします。記入が済んだ方は、挙手いただけましたら事務局の方で回収させていただきます。
永久委員、お願いします。
【永久委員】
もう質問ということでもなくて感想になってしまうんですが、ともかく目的が大き過ぎて、更にテーマも複数あって、しかもその他があるから、正直言えば何でもありみたいになっていて、それで対象も公民館に限らずいろんなものがあって、それで、それぞれの目的というか、テーマも様々だから、効果の測定もできないと。単純にお金だけ配っているような事業に見えてしまうというのが不幸で、すごく問題意識は分かるんですけれども、事業としてはそういう立て付けになっているような感想なんです。ただ、社会的課題を解決するというのはとても重要なことで、といって、じゃ、公民館がどれだけそれに役に立っているかというと、地域によってばらばらかもしれない。あるいは、いろんな地域によっては公民館じゃない民間のものとかNPOとかCSRとか様々な者が関わっていて、公民館の果たせるところはそのどのパートなのかというのも地域性があって分からない。さらに、それは国で一律に分かるわけでもないので測定もできない。基本的には自治体レベル、地域レベルでやるべきというか、考える、それぞれに見合った、合った戦略で、その中で公民館というものも位置付けていかなければいけないんだろうと思えるんです。しかも、この社会的課題に対する問題意識は全国あちこちにあって、これをどうやってPRされているのか分からないけれども、モデルモデル、あちこちでというふうに紹介して使ってもらいたいという気持ちも分かるんですが、我々こういう事業もやっていて、そうした地域の行政マンとか議員さんたちとかなんかはすごく関心を持って商売としてもやっているんです。そうしたことの取組の紹介とかセミナーとか。だから、これだけの公民館でこういうことをやることの特殊性というか、それの意義というものが明確に、ほかのところじゃできない、先ほどの佐藤さんの話に戻ってしまいますけれども、公民館でなきゃできないんだという、そこがない限り、何かこの事業をやっている正当性というか、そういうものが伝わってこないんです。改めて質問ですが、公民館でこれをやらなければいけない、公民館じゃなきゃできないというのはどこにあるのかをきっちり御説明いただけたら有り難いです。
【説明者】
失礼します。これは最初の説明にやっぱり戻ってしまうんですけれども、公民館でなければいけないというのは多分地域性がどうしても出てくるんだと思います。御指摘のように、都市部であれば例えば民間企業ですとかNPOとかが同じような事業をやっていたりしますし、他方で地方においては、いわゆる学ぶ場という場所が公民館しかない場合も結構あると思うんです。この事業をやり始めた最初の部分というのは、教育基本法の中でもともと公民館というのは地域住民の意向を反映していろんな事業を展開していくという目的で立てられたものなんですけれども、実際見てみると、ほとんどが趣味・教養的なものになってきていると。そういった背景がある中で、教育基本法が改正されまして、個人の要望だけではなくて社会の要請にも応じていかなければいけないというような条文が加わったことを踏まえまして、社会的あるいは現代的な課題にそういった公民館が応えていかなければいけないということで、基本的には地方自治体が判断してやるべきことではあるんですけれども、その部分ができていない部分があるので国が予算を措置しているという背景かと思います。
【永久委員】
それでも、いや、それはいいでしょう。だけど、基本的に自治体からの申請が来るわけだから、それに応じるわけだから、自治体の人たちが、あるいはもっと端的に言えば首長にいかにセンスがあるかだけじゃないですか。センスある人たちは、このお金を使わなくたってやっているわけじゃないですか。だから、そうしたことを知らせる方がよっぽど文科省としてはやるべきことがあって、お金をやるんじゃなくて、例えばいろんなところで自主的に取り組んでいるような事業がたくさんありますよね、公民館に限らず。ここの事業でいえば公民館だけなのかもしれない。そのやっている情報をいかに自治体と住民の方々に伝えていくかということの方がよっぽど重要で、よそで何をやっているかなんていうのは知らないわけですから、だから、そこに特化することの方がコストパフォーマンスがよろしいんじゃないかと思いますけれども、意見です。済みません。
【岩瀬政策評価審議官】
コメントシートの記入が終わっておられない外部有識者の方、記入の方をお願いいたします。事務局の方で回収をお願いします。コメントシートの取りまとめには若干時間が掛かりますので、議論の方は引き続き続けていただければと思います。
松浦委員、お願いします。
【松浦委員】
私もお聞きしようと思っていた趣旨の同じようなことを各委員から既に御指摘になったので、ちょっと特化して御質問します。まず、この数です。採択された数と交付された金額、両方とも御指摘がありましたけど、1万5,000ある公民館の中で130、120か、そのくらいやっているわけですけれども、都市の方々の利用するミーティングの場、あるいはイベントを開催できる場というのと、こういう言葉を使っちゃうと放送禁止なのかもしれませんが、あえて言いますが田舎ですね。私の出身地は人口2万人の田舎町でございます。確かに御指摘のように、みんなが集まれる場所というのは公民館しか今でもございません。そういう意味で完全に、どういう立地条件によってその公民館がどんな役割を果たすかというのは異なっていると私は認識しています。だから、これは応募したから採択しましたということではなくて、もうちょっと類型化してモデル化して、そこにもうちょっとお金を付けるのであればもうちょっと付けて、もうちょっと具体的な成果を引き出すという観点で本来はやるべきではないのかという感を非常に強くしております。
それからもう一点は、これは生涯学習という観点からの事業だと理解しています。初等中等教育でカリキュラムがまた見直しになって、学校教育では郷土の歴史とか伝承、伝承というのは非常に貴重なものでありまして、皆様にも頭に浮かぶ事象があるでしょうけれども、いわゆるその土地特有の非常に重要な伝承を子供たち、次の世代に伝えていくというのが学校の場ではもうなかなかやりにくくなっていると。そういうものを伝える場としては、せっかく公民館があるのであれば、そういう観点から、ローカリティーという意味ではやっぱり一つのモデルみたいなものをきちんと立てることが必要なんじゃないかと思うんです。私としては、類型化したモデルをもうちょっと厳選すべきじゃないかということと、それからやっぱり生涯学習の学びの場、その地方特有の貴重な伝承等をきちんと次の世代へ受け継がせるというようなことでの活性化、そういうものが必要かと。
それからもう一つ、せっかくモデル事業を作ったので、こういうモデルがございまして、こういう結果が出ましたと開示するだけでは興味のある方が見るだけだということもあるので、平成大合併があって公民館を2つ3つ持っている町もあるかもしれませんけれども、その中でやっぱりモデルとなったところの方が人事交流等を深めて、そのノウハウを実際に流動的に波及させていくというようなことが、これは市町村の判断だとは思いますけれども、広域連合等があるわけですから、そういう人事交流等を通じて実際のノウハウを伝えていくと。公民館主事、社会教育主事と両方出てきて、この役割がよく分からなかったけど、多分この下にスタッフがいらっしゃって、将来、社会教育主事なりに昇格される方がいらっしゃるんだと思うので、そういう方々にきちんと使命感を持っていただいて積極的にやっていただくことを国としては助言するというようなお立場をとられるのがよろしいのかなということで、これはもう票を出してしまいましたので、感想ということでございますけれども、そういうことでございます。
【説明者】
ありがとうございます。類型化の点については御指摘よく分かりました。私どもも、先ほど少し申しましたが、今年度、26年度については大体100か所弱ぐらいの数に絞り込んで少し重点的に研究して、最終的にはきちんと類型を整理して、その成果を伝えていくことにしたいと思っております。
それから、ほかの県、似たような地域課題を抱える自治体は全国に多数あるわけでございます。例えば新居浜市がこの事業で健康寿命を延ばすという形で、ひいてはそれによっていろんな、年金とか社会保険、健康保険というんですか、料を下げていこうというような取組をしているんですが、実はもう既にそれを見たよその自治体から幾つか見学に来られているというケースもありますので、是非そういう自治体同士の横のつながりということもできるだけ進むように上手な形で情報提供していきたいと思います。
【岩瀬政策評価審議官】
有川委員、お願いします。
【有川委員】
今までの議論とほぼ同じで恐縮なんですけれども、私なりにちょっと感じたことを一言申し述べさせていただきますと、自治体の研究課題を実証研究したり、その解決を図る場としては、やっぱりそれぞれの自治体に適した体制や制度設計というのが一番妥当だと思うので、それが図れるように支援するのが一番適当なやり方じゃないかと思うんですが、かといって、公民館の活性化も非常に重要なことなので、公民館はむしろこういった実際の研究課題や研究成果を発表したり、あるいは議論したり、教育、普及していく場所として最もふさわしいんじゃないかと思いますので、支援の仕方をもう少し工夫してもらいたいという気がするんですが。
【説明者】
ありがとうございます。今回、公民館等の社会教育施設を舞台として研究に取り組んでいるんですが、最近の社会教育はネットワーク化ということが一つテーマになっております。つまり、従来、自前主義ということで全部行政とか、ここでいえば公民館側が全部お膳立てして、全部例えば各種講座を設定して、どうぞ受けなさいと言って終わっていた時代はもうやっぱり終わっていて、今はネットワークしていくと。つまり、公民館が中核となって地域のいろんな教育的なリソースを発掘して提供してつないでいくという形を考えておりますので、場所としては、公民館でもちろん場所としてやる場合もあれば、どこかに出掛けていって学校教育と連携する場合もあるでしょうし、各種団体との連携でやる場合もありますので、いろんな場を使ってこの取組も進められているところでございます。
【岩瀬政策評価審議官】
佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】
済みません、感想になるんですけれども、気持ちは分かるんですがというか、行政事業レビューなので、結局、これは担当者の方の思いで評価するのではなくて、成果で評価しなければいけないものでありますので、その成果がやっぱりさっきから見えていないということなんだと思うんです。あと、これは行政事業レビューですので、政策の目的、例えば地域経済の活性化であるとか公民館の活用であるとか、ここは別にオブジェクションが何かあるとは思えないんです。ただ、これは国の行政事業レビューですから、国費を投入する根拠がよく分からない。やっぱり、先ほどから指摘がありますように、本来自治体が創意工夫でやるべきことだし、国がもし必要であれば何らかのアドバイスをするとか事例紹介するとか仲介するとか、それは本来業務としてやればいいことであって、決して、ここに国費を絶対的に投入しなければならなかった理由というのがやっぱりちょっと見えてこなかったかなという気がするんです。もう少し工夫の余地はあったのではないかという気がします。
済みません、感想です。
【説明者】
ありがとうございます。済みません。私どもの説明も確かにその部分が欠けていたと思いますが、一つだけ御紹介したいんですが、説明資料の24ページを御覧いただいてもいいでしょうか。これは本事業を受託した地方公共団体からの意見でございまして、我々が主な意見を抜粋しているんですけれども、一番冒頭にある東京国立市から来ている意見では、「地方自治体の財政が硬直的な現状では、一般的に新しい取り組みへの予算措置がされにくい」んだと。それで、次のポツのところにありますけれども、次のポツの2行目からです。「社会的意義のある事業成果を根拠にして地方自治体の施策定着につなげていくことが可能になる」と。なかなかそのきっかけ、つまり地方自治体で何か取組を始めようというきっかけの部分が、最初のアクションがどうしてもとりづらいという自治体の声がございます。だから、そこの部分、最初の呼び水の部分を国がやっていく。それで、成果を上げたとなればその事業は自治体の事業として定着させていくと、そんなことを狙って、その最初の一歩のところを国として後押しできないかというのがこの事業でございます。
【佐藤委員】
これはこの事業に限ったことではないんですが、多分そのスタンスは少し考えた方がいいと思うんです。なぜかというと、財政が硬直的な現状において新しい取組の必要性を説明するのは、それは自治体の担当者の責任なんです。別に国が助けてあげることではなくて、それはどこの自治体だって財政的に厳しい。それは国だって厳しいわけですから。だから、皆さんこうやって説明しなければいけない状況が生まれているわけで。したがって、これは自治体の担当者がまずは自分で考えるべきことであって、周りを説得するべきであって、そこに国を頼るとなると、これは自治体の中の意思決定を逆に阻害する要因になりかねない。もちろん本当にお金がなくて、さっきの、これは国立ですから、本当に地方には地方の事情があって、どうしてもお金が捻出できなくてというところ、そこはあって、それはしかりだと思うんですけれども、でもやっぱり自治体の内部での事情は自分たちの中でまず解決させなければ話にならないと思います。じゃなければ地方分権をやっている意味がないので。
【説明者】
例えば今回国立が受けましたけれども、我々のこの事業の狙いというのは、国立を支援しようということが別に狙っているところではなくて、国立とともに国が研究を作り上げて、その成果をほかに波及させるのが狙いなので、別に国立支援ではないんです。国立としては、要するに国との共同研究に国立も力をかすわけだから、その経費が100万円程度入ってくるという形でございますので、この当該自治体を支援するということではないということは申し上げたいと思います。
【岩瀬政策評価審議官】
永久委員、お願いします。
【永久委員】
100万円なんですか、それ。いいです。そのぐらいでしょう、みんな。
【説明者】
はい。
【永久委員】
そのぐらい工面しなさいよという話ですよね。そのぐらいと言ったら失礼かもしれないけれども、企業経営とか何かで考えたら、本当にやらなきゃいけない問題を解決するためならば、よそのお金を削ってそこに充てるはずです。いろんな、あるいは安くできるような創意工夫をするはずです。何かやりたいんだけれども、できないから、お金降ってこないかなということをずっとやっていると、どんどん財政が肥大化することになっていくんじゃないかと思ってしまいます。ですから、本当に厳しい中でどうやって創意工夫でそれを超えていくかということこそが本当の自治の本質になるんだろうと私は理解しております。ですから、そのこと自体も、さっき佐藤さんもおっしゃったけれども、考え直さなければいけないということじゃないんだろうかと思います。100万円だったら更にそう思います。
【佐藤委員】
1点だけ。済みません。例えば国が国立、国立ばかり言って悪いんですけど、うちの大学のあるところなので。国が何らかの理由で国立市に頼んで、自分たちが「これ、ちょっとやってほしいんだけど」と頼むのであれば、委託なので、それは払うのは趣旨なんですけど、これは飽くまで申請なので、したがって、やっぱり国立の中で自分たちもやりたいという意向があって初めて出てくるものですから、それは先ほど永久委員がおっしゃったとおりで、それは自分たちの中でまずは解決して捻出するべきものということなんだと思います。もちろん、くどいですが、だから、国がやれと言っている、国が委託している話なのか、地方が申請してくる話なのかによって、そこの話は変わってくるということです。
【説明者】
あくまでも申請にはなっているんですけれども、申請してきたものをチェックして、うちとして委託しているという流れになっておりますので、その辺は補助金のような申請に対する支援という形ではないということだけ御理解いただければと思います。
【田辺委員】
ちょっと、じゃ、いいですか。委託であれば、確かに国が本来やらなければいけないことを自治体にやってもらうということですから、それはまさにモデルとしてやってもらうということで、国としてはそれを集めて、もっと普及させると。数も多いですから、1万5,000と。という意味では、本当にそういう観点からやらないと、やりっ放しになっていないかという点があって、委託なんだから、逆に言うと、本当にそれは、国が本来どこかで実証実験をやりたいんだけど、代わってやってもらうというような観点ですから、そういうことを考えると、ちょっと委託にしては数が多過ぎるんじゃないかとかいうのもあるかと思います。
【松浦委員】
シートを出してしまったのでまた感想になりますけれども、皆さんと同じような、先ほども言いましたけれども、やはり数が大き過ぎて金額が少な過ぎるというのが中途半端な感じを否めないということで、国がある程度モデル化しようということで委託したということであれば、1件当たりの目標を設定して、ある程度金額を積み上げた上で、きちんと類型化して、その成果をきちんとほかの自治体に流していくと。それは流していくのは国の仕事であると。ただ、そこにやっぱり、公民館の主事とか社会指導主事とかがきちんとした自分たちの仕事であるということを強く認識していただけるようなシステムを自治体に働き掛けて「作ってくださいね」と助言するのは、それは国はできるだろうと思いますので、そういう展開がやっぱり必要なんだろうなと。2回述べたことになりますけれども、そんな感じでございます。
【岩瀬政策評価審議官】
コメントシートの集計が取りまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員より、評価結果及び取りまとめコメント(案)の提示をお願いいたします。
【有川委員】
議論のとおり多々意見が出ましたけれども、大きく意見を集約させていただくと、3つぐらいに絞られるのかと。1点は、国と地方自治体における役割の分担の話でありまして、本件のような事業については本来自治体の自主性に委ねるべきで、自治体についての主体性を見た形での国の支援の在り方を考えるべきだというのが一つ。二つ目が、本事業の目的と成果というものが明確でないという目的と成果に対する疑問。それから3番目としては、こういった事業を推進するのであればという事業の推進方法に対してのいろいろな疑問、意見であります。
若干意見を紹介させていただきますと、社会教育としてのモデル事業作りなら、より集約化して、知見を蓄積、普及、啓蒙するに資する事業として整理すべきだと。あるいは同じような意見として、成功事例のデータベース化をして、この事業の重点化を図るべきだと。ですから、これは今の御紹介は、こういった事業を進める場合であればという3番目の手法の話なんですけれども、一番ポイントになります国と自治体との役割分担につきましては、目的が大き過ぎて、複雑に何でもありになっており、対象も多様であり、効果も測定できない。やはり国が関与する必要性が認められない。同じような意見があと2つほどあります。自治体自らが創意工夫をもって取り組むべき施策、事業であるという意見もあります。目的についても、総花的で明確でないという指摘も出ております。
こういった形で、こういったコメントを踏まえた最終的な投票結果の分布は、4名の方が廃止、2名の方が事業内容の抜本的改善ということでありますが、抜本的改善を述べられたお二人の方も、ほぼこの施策、事業について今のままでは全く効果がないという意見でありますので、最終的な結論としては廃止としたいと思います。
それに伴う取りまとめコメントといたしましては、本来、本事業、施策については地方自治体の自主性、創意工夫に任せるべきであって、国の方はその地方自治体の動向を踏まえた形での支援を考える必要がある。それから、本事業については目的、成果について明確でなく、それが発言できているかどうか疑問であると。そういった取りまとめコメントで結論を出したいと思いますが、いかがでございましょう。よろしいでしょうか。
【岩瀬政策評価審議官】
それでは、以上をもちまして公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラムの公開プロセスについては終了とさせていただきます。
次の健常者と障害者のスポーツ・レクリエーション活動連携推進事業については15時10分開始といたします。よろしくお願いいたします。

                                  ( 休憩 )

【岩瀬政策評価審議官】
それでは、3こま目を始めさせていただきます。これからの時間帯は、健常者と障害者のスポーツ・レクリエーション活動連携推進事業について御議論を賜りたいと存じます。
初めに事業概要の御説明をさせていただいます。事業担当課は5分以内で簡潔に説明をお願いします。
【説明者】
スポーツ振興課の森岡です。よろしくお願いします。
それでは、参考資料の方、1ページを御覧ください。障害者スポーツにつきましては、平成23年に制定されましたスポーツ基本法におきまして、国の責務として障害者スポーツの推進が初めて規定されまして、また、下の方の平成24年のスポーツ基本計画におきましても取り組むべき施策が盛り込まれているというところでございます。
参考資料の2ページ目を御覧ください。障害者スポーツ推進施策の全体像でございますけれども、本年度からスポーツ振興の観点から行う障害者スポーツ事業につきましては、厚生労働省の方から文部科学省の方に移管されてございます。
参考資料3ページを御覧ください。障害者のスポーツの実施状況でございますけれども、成人の週1回以上の実施率で比較しますと、一般成人が47.5%、下でございますけれども、その上の方、障害者が18.2%というふうなことになってございます。諸外国と比較しても低い状況にございます。成果指標といたしましては、この週1回以上のスポーツ実施率を高めていくことというのが障害者スポーツの普及の成果を評価する上で重要な指標であると考えてございます。
参考資料4ページを御覧ください。これが本事業の概要でございます。これまで健常者のスポーツは文部科学省が、障害者のスポーツは社会参加やリハビリの観点から厚生労働省が担当してございまして、現場におきましてもスポーツ関係者、あるいは障害福祉関係者が長年それぞれでスポーツを実施してきたという経緯がございます。先ほど申しましたスポーツ基本法の制定、障害者スポーツの移管などによりまして、今後のスポーツ活動のあるべき姿というのは、スポーツ関係者と障害福祉関係者が全国各地で連携共同体制を構築しまして、障害の有無にかかわらずスポーツ振興を図り、もって共生社会を実現していくということが来るべき2020年のパラリンピック東京大会の成功に向けましても極めて重要な課題であるというふうに認識してございます。本事業につきましては、こうした社会の実現に向けまして、健常者と障害者が一緒にスポーツ・レクリエーション活動を実施できるようにするための仕掛け作りということで、国として初めて実施するというものでございます。
事業内容につきましては、健常者と障害者が一体となった活動を実施するために必要な各種のマニュアル等の開発、あるいはこれまで別々に活動してきたスポーツ団体と障害福祉団体との連携体制を構築して活動する実践研究と地域における障害者のスポーツ・レクリエーション環境の実態把握の調査研究の二本立てということになってございます。
参考資料5ページを御覧ください。1点目は実践研究でございます。各地でスポーツ関係者と障害福祉関係者が連携して体制を構築した上で、健常者と障害者が交流を深めるイベントを継続的に実施します。その成果を踏まえまして、運営等において参考となるマニュアル等を作成しまして、各地で連携体制の構築やイベントを実施する上での参考にしてもらいます。
参考資料6ページの実践事例、北海道、山梨、東京、プラス、シンポジウムが下に掲載してありますが、この6ページの右下にありますように、イベント実施地域では毎回イベント直後と数か月後に追跡アンケートをとってございますが、いずれも本事業を通じましてスポーツ活動への高い参加意欲が継続しているものというふうに捉えてございます。
次の参考資料7ページを御覧ください。実践地域につきましては、毎年セレクトしてございまして、その効果的な実践を成果物の改良に生かすとともに、毎年、実施コストを見直しまして、効率的な執行にも努めているというところでございます。
次の参考資料8ページを御覧ください。2点目は調査研究でございます。地方自治体の振興体制や、あるいは障害者の現状など、施策の立案推進のための基礎的なデータを把握することを目的に実施をしました。
例えば、10ページを御覧ください。このスポーツ・レクリエーション活動の実態につきましては、ここに書いていますとおり、障害種別に大きなばらつきがあるというふうなことから、きめ細かな対応が必要であるということがここで分かると思います。
最後にレビューシートについて御説明いたします。レビューシートの2枚目を御覧ください。点検・改善をまとめて御説明させていただきます。障害者スポーツにつきましては、スポーツ政策としては始まったばかりでございます。障害者のスポーツ実施率が低いということが本事業において判明した今日、先ほども申しましたが、パラリンピックの東京大会も見据えまして、来年度以降も引き続き国が率先して身近な地域において日常的に取り組みやすい体制構築の支援、あるいは活動のノウハウ等を提供しまして、各地域で関係の行政、あるいは関係の団体が一体となった取組を支援しなければならないと考えてございます。なお、本事業は2年が経過したところでございますが、今後、各地域での連携体制の構築や活動の充実が加速度的に進むよう、来年度以降も更に改善を加えまして取り組んでいきたいと考えてございます。
説明は以上でございます。よろしくお願いします。
【岩瀬政策評価審議官】
それでは、私の方から論点について御説明させていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
まず一つ目として、事業の成果は上がっているのかという点。二つ目として、事業目的に照らして箇所当たりのコストは適正かという点。三つ目として、事業の成果や課題をどのように活動していくのかという点。四つ目として、障害者や地方公共団体、関係団体など、障害者スポーツの当事者のニーズを踏まえ、今後、どのように障害者スポーツ振興を進めていくのか。以上、4点について御議論いただければと思っております。
それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。外部有識者の皆様からの御質問、また、それに対する説明者の回答、共に簡潔明瞭にしていただきますようにお願いします。
永久委員、お願いします。
【永久委員】
この事業レビューシートを見て、何をするかは書かれているのですけれども、何のためにかが書かれていなくて、もっと具体的に申し上げますと、健常者と障害者が一緒に楽しめるスポーツ・レクリエーション活動を推進するというのは分かりました。これは何をするかですよね。何のためにですかというのが書かれていなくて、だから事業の目的が書かれていないですね。何かのために推進するのであって、推進すること自体が目的ではないと思うのですが。
それで、さらに、ここでは健常者と障害者が一緒に楽しめるスポーツ・レクリエーション活動を推進するというわけですから、これ自体がアウトカムというふうに評価するかどうは別として、成人の週1回以上のスポーツ実施率というのはこれにかまない、うまく合っていないと思うんですよ。なぜなら、一緒にやることを推進するわけだから、一緒にやった数が増えたかどうかということを評価しなきゃいけないので、別々に書かれていますよね。健常者と障害者の方々が片方は四十何%でしたっけ。で、障害者の方は十何%でしたか。それぞれは書かれてあるけれども、推進しているのは両方一緒にやることですから、両方一緒にやっているのは何%かとか、増えているか減ったかということを書かなきゃいけないと思うんですけれども、どうしてこうなっているのかということ、この2点をお願いします。
【説明者】
まず1点目でございますけれども、基本法の中では障害者のスポーツの推進をすることが目的となっています。その目的のためにはいろいろな事業があると思いますけれども、その事業としては、今回の連携推進事業でございまして、障害者のスポーツの促進が我々にとっては最終的なゴールだと思っています。でも、それを実現するためには、まずは障害者が身近な地域で日常的、継続的にスポーツができるような状況にしなければならないと。そういう中で、まずは健常者が利用する一般的なスポーツ施設、これは圧倒的に数がございます。例えば……。
【永久委員】
ちょっと待ってください。そのこと自体が分からないのですよ。ちゃんと言葉に。想定は、頭の中で想像はできるんです。障害者の方がスポーツするチャンスが増えたらいいなとは思うんですけれども、何のためですかということをきっちりとしてほしいわけですね。さらに、ここで書かれているのはそういう話ではなくて、障害者の方と健常者の方が一緒になってスポーツやレクリエーションをすることを推進するんだから、その目的は何なんですかと。例えば、それは障害者の方々の理解を深めるだとか、あるいは社会的な保障としてそうした機会を増やすことは我々にとって重要なことだと、価値のあるものだというようなことを言ってもらわないと、単に増やすだけ、何のためにと思っちゃうわけですよ。やること自体が目的になっちゃって、ああ、増えましたねと。だけど、増えたことは、何のためにそれを増やしたのということを述べていただきたいです。それがなかったら成果として何が適切かが分からないでしょう。そう思うんですが。
【説明者】
失礼しました。参考資料の1ページを見ていただければと思いますけれども、我々は生涯スポーツの推進という観点から、スポーツ基本計画を見ていただきますと、「年齢や性別、障害等を問わず、広く人々が、関心、適性等に応じてスポーツに参画することができる環境を整備する」ということを考えています。
【永久委員】
済みません、だから、何でスポーツを振興しなきゃいけないのかということを知りたいんですよ。スポーツしなきゃ何でいけないんですかと、それに答えてほしいんですよ。自明じゃないですよね。
【説明者】
スポーツをするっていうことはいろいろな効用というか、あると思うんですけれども、スポーツをすることによって、例えば健康長寿になるというようなことも一つでありますし、やはり身近な地域社会における求心力というかコミュニティーが濃くなるということもありますし、個人的ないわゆる健康を獲得するということもそうでしょうし、社会的なスポーツには持っている力があると。やはり今日のサッカーではありませんけれども、例えば国民が一喜一憂すると。メダルを取るに当たってみんなの凝集性のあるスポーツの持っているその力というのがある。それは障害者の方であろうが、健常者の方であろうが、スポーツの持っている力を我々が社会にアプローチしていくというのがこの目的でもあるし、それが、これは障害者と健常者、最終的には障害者のスポーツが盛んになる、あるいは振興するということはそうですけれども、その一つとしては、まずは障害者と健常者、健常者が持っているインフラというか、ハード、ヒューマン、あるいは相当部分を一緒になって活用して障害者の方も高めていくということですけれども、そもそもスポーツの持っている力というのは、先ほども申しましたような、幾つかがあるというふうに思っています。
【永久委員】
済みません、もうこれ以上聞きませんが、障害者の方と健常者の人たちが一緒にやることの、その目的というのは具体的に何かということ。スポーツの一般的な効用については分かっているつもりです。障害者と健常者が一緒になってスポーツをやることの意義というか目的は何となく分かるんですけれども、それをきっちり言葉にして出していただきたいということです。
【説明者】
それは一つはバリアフリーってよく言われますけれども、障害者の方と、まだ、今、健常者の方が一緒にやるというのは、完全にバリアフリーで一緒になってやるという社会ではまだないと思います。それは心のバリアフリーってよく使われますけれども、そういったことで、障害者の方と健常者の方が一緒になって、先ほど私、説明しましたけれども、共生社会を実現していくというのが、このスポーツの分野でも必要でしょうし、あるいはスポーツ以外のところでも必要でしょうし、我々は、スポーツの振興を所管している文科省としては、スポーツの分野で共生社会を実現していくというのがこの事業の目的だと思います。
【永久委員】
だとすれば、この成果をそれぞれ別々にやっていたら、余りその評価にはならない。共生していないわけだから。でしょう。それは単純に、テクニカルにとれないのか、どうなんでしょうか。
【説明者】
この事業はまだ始まったばかりですので、委員おっしゃるとおりに、やはり一緒になってやっている実施率がどれぐらいになったのかというのは、もちろんそれが一番の成果だと思うんですけれども、まだ我々、そこのデータも、障害者だけの方がどれだけやったというのを拾うのも、今回、この事業で初めて分かったところですので、共生してというか、一緒になってやった率がどれだけになるのかというのはこれからですので、それはこれからの課題でおかせておいていただければと思いますけれども。
【永久委員】
要は、テクニカルにそれをここで表現することはできないと。今のところはできないということですね。これから、じゃあそれを作るということは計画としてあるわけですね。
【説明者】
そうですね。今はテクニカルにできないということですので、それは今後、そういった、一緒になってやる率がどれだけ変化するかというのはこれから見ようというふうに思っています。
【永久委員】
はい、分かりました。
【説明者】
先ほど2点目ございましたけれども、3ページ目のところに、1年間のスポーツ・レクリエーションを行った日数につきまして、成人一般というものは、これは障害者も含めて成人一般というふうになっていますので、この数値を上げていくためには、当然、障害者のスポーツ実施率も上げていかないとこれは上がっていかないという形になっています。
【永久委員】
いや、だから、一緒にやった数値の問題であって、そうじゃない場合は、数字を上げても余り意味がないんですよね。
【岩瀬政策評価審議官】
松浦委員、お願いします。
【松浦委員】
奇しくも今、永久委員と現下の答えようで、私が最初にお聞きしたかったことの大体もう理解したんですけれども、私が最初にお聞きしたかったのは、これはマイノリティー対策という趣旨ではなくて、共生社会を作っていくという趣旨で、この起案をされたというふうに理解してよろしいんでしょうか。
【説明者】
そのとおりでございます。
【松浦委員】
では、次にですけれども、スポーツが健康の増進に役立つということについては、私は異論はございません。諸外国と比較して、それじゃあ障害者の実施率だけが低いのか、健常者の実施率も低いのか、その辺についてちょっとお教えいただけますか。
【説明者】
参考資料3ページですけれども、まず、成人一般の方は47.5%で、これは大体北欧のフィンランド、スウェーデン辺りは70%から80%、オーストラリア辺りもそれぐらいになっております。だから、その辺に比べまして、まだ日本は47.5%ですので、低い状況になっているというところでございまして、ただ、この欄外に参考に書いておりますが、障害者の方のスポーツ実施率というのは、我が国では18.2%と。週1回以上ですね。ですが、国によって障害者の定義が異なったり、あるいは日本の場合はウオーキングというのは大きいスポーツのアイテムの一つなんですけれども、ウオーキングは含まれているんですけれども、例えばイギリスを見ていただきますと、17.8%と、日本より低いように見えるのですけれども、これはウオーキングを除いているというふうなことで、下は1か月に1回以上というのがウオーキングを含んでいたり、あるいはオーストラリアでは1年間にという取り方で53%ということですので、日本の場合は週1回以上ということですので、ちょっと単純に比較できないというふうな状況になっておりまして、また、障害者の定義が異なっているということですので、ちょっとこの18.2%に対するデータの比較というのは単純にはちょっと難しいかなと思っております。我々もちょっと調べさせていただいたんですけれども。
【松浦委員】
ありがとうございます。
次にお聞きしたいことなんですけれども、障害者、持って生まれて障害があるという方も当然いらっしゃるし、昨日まで健康だったのにアクシデントなり病気なりがあって突然障害者になられたという方々もいらっしゃるわけですよね。それを全部一くくりに障害者というふうに今の状況ではまとめざるを得ないのでしょうけれども、そういうような分け方によって対応が異なってくるということもありますし、はた目に障害者と分かる肢体不自由ですよね、そういう方と、例えばペースメーカーを埋め込んでいて、内部障害で、はた目からは健康に見える方のやり方というのもまた全然違うであろうと。負荷を掛けちゃいけないとか、かえってスポーツをやっちゃいけないよという障害者もいらっしゃるわけですね。その辺のデータ、ちょっと参考資料10ページにいろいろ出ているわけですけれども、この辺に関して類型化したモデルみたいなものは御検討なされて、つまりマニュアルを作るというふうに言われていますけれども、この辺に特化したマニュアルを作るということまで御想定に入っているでしょうか。
【説明者】
今、連携体制を作るということが課題だと思っていますけれども、そのうち、視覚障害とか聴覚障害とか、かなり実践の研究の経過としては対応が違うということが出てきていますので、その辺についても丁寧に対応できればと思っております。
【松浦委員】
済みません、手短に。共生社会を作るという趣旨で考えても、障害者だけに肩入れしてスポーツをやっても、さっきお話ししたように、突然障害者になる方がいらっしゃるわけだから、まず一般の健常の方々のスポーツの実施率っていうものを上げるということをコンプレックスにしないと、なかなか本来の目的を達成し難いのではないかなと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
【説明者】
そのとおりだと思います。
【松浦委員】
ありがとうございます。
【岩瀬政策評価審議官】
田辺委員、お願いします。
【田辺委員】
私は、この進め方についてなんですけれども、24年度からスタートして、実践研究と、それと企画運営マニュアル作りというのが同じ年度でスタートしているんですけれども、これは実践研究の成果を生かして企画運営マニュアル作りをされると思うんですけれども、これは本当に実際はどういう形で、並行的に行われたのか、そこのところをちょっと教えていただけますか。
【説明者】
1年目につきましては、全く企画ガイドはございませんでしたので、各現場の方で実践をしてもらって、その成果物としてこの1年目の24年度の企画ガイドができているということでございます。非常に薄いものでございますけれども、25年度につきましては、更に実践地域を増やしておりますので、それの成果を生かしまして、例えばイベントを1回だけやるとなってしまうと、1回だけのイベントになってしまいますので、あまり継続的なスポーツ活動というのにつながってこないというような話もございましたので、例えば4回実施するとか、実施する前に必ず勉強会をするとか、そういうようなことを入れておるところでございます。
【田辺委員】
1年目に薄いのができたっていうのは、それは1年目の実践研究の成果はそんなに取り入れられなかったということなんですか。
【説明者】
ちょっと語弊があったかもしれませんが、1年目はまさに14地域で行いましたけれども、それの骨格になるものは作りました。
【田辺委員】
骨格があるというのは、それをやるために、最初に作ったということですか。やった後の形じゃなくて、実施する前にこういうやり方だというのを作ったということですか。
【説明者】
実施した後にそれをまとめたものでございます。
【田辺委員】
それは14のを、そのまま整理した、足したという感じなんですか。それともモデル化してやったということなんですか。
【説明者】
失礼いたします。24年度は、まず初めに全地域共通の簡単な作業の手順のようなものを配って実施していただきまして、その内容を踏まえてイベントの企画に必要な部分を重点的にガイドとしてまとめたという形になっております。ですので、たたき台のようなものを先に配り、そして実践を踏まえてガイドにするというような流れで作業をしております。
【田辺委員】
分かりました。もう一つは、実践研究の数なんですけれども、今回、3年度にわたって数十、実践研究を本当にこれだけやる必要があるのかということについてお聞きしたいんですけれども。もしマニュアルを作って、その成果をほかに普及していくというのであれば、数的に本当にこれだけ必要だったのかという気がするんですけど、そこはいかがですか。
【説明者】
実践研究の目的はマニュアルを作るためではなくて、それも一つありますけれども、もう一つとしては、実際に現場で連携体制の構築を作ってもらおうというものもございます。
【田辺委員】
あともう1点。まさに障害のある方と健常者と一緒にスポーツができるということはこれから進めなければいけないのですけれども、これは3年間で終わっていいのかというか、今後どういうふうに。つまり、27年度以降はどういうふうに展開されていくことを考えておられますか。
【説明者】
一応、3年間、34地域で終わっているところでございますけれども、地域の身近なところでスポーツができるようにするというのが我々の狙いでございますので、このマニュアルもできましたので、今後は普及活動をしていかなければいけないと思っております。普及のためには、より関係の者を巻き込んで、国が率先してやっていかなきゃいけないというふうに思っております。
【説明者】
補足ですけれども、参考資料の4ページ目を御覧いただければと思うんですが、右側のか輪っかを書いているところですけれども、これまではこういう関係者が、スポーツ関係者とか、あるいはスポーツ行政、学校、施設と、こういうふうなステークホルダーと、あと、障害者のスポーツ団体とか福祉団体、福祉行政、社協、分かれていたのが、この事業をきっかけにようやくこういうふうな実行委員会なり、こういう体制が整いつつあるということですので、今、説明しましたとおり、今後こういった形で連携体制をとった上で、更にこういう行政の方もそうですし、団体、現場の方で実際に動いていただく現場の方々の団体も連携体制をとっていくというのが必要だと我々認識しておりますので、更にこれを加速度的に国が主体的にやらせていただきたいというのが本音ベースです。
【岩瀬政策評価審議官】
外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入を併せてお願いいたします。記入が終わった方は挙手いただけましたら、事務局の方で回収いたします。
佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】
済みません、今の質問に続く形になりますけれども、今、4ページでいけば、平成24年、25年で実践研究と調査研究をしました。これはこれで終わったとして、これは一応、終了年度がないものですから、今後どういう展開になっていくのか。例えば、マニュアルを作ります、モデル事業をまだやるみたいですけど、いつ、じゃあモデル事業というのは終わって、いつ、ある種、出口戦略といいますか、いつまでも公費を投入していくわけにもいかないはずなので、自治体とかが本来やるべきところもあるし、各種団体がそれぞれやっていけばいいことでもあるかもしれないので、どういう形で引くといいますか、出口は見据えているのかなというのは、その辺りもし見通しがあれば。
【説明者】
2020の東京パラリンピック大会に向けて障害者スポーツの推進、これは国の責務となっております。そういう観点から各地域で障害者、健常者がスポーツをしているというような状況を作らなければいけないというのが我々の使命だと思っております。そういう観点で、まずは今回、47都道府県はまだ行っていませんけれども、47都道府県、さらには中核の市町村レベルまでこの連携体制を構築できるような状況を作った上で、あとはそういうところがしっかりと普及をしていくというような流れを考えているところでございます。
【佐藤委員】
具体的にもうちょっとロードマップというか、例えば今後何年間でどのぐらいにまでやるとか。都道府県なので47ですよね、基本的には。じゃあ、どういう形で向こう何年間で進めていくという予定は。
【説明者】
現在、34都道府県でございますので、今後、これから行うところはなかなかまだ体制が整っていないというようなところもございますので、その辺りがここ二、三年でできるか、さらには中核的な拠点の市がどこまで行くかというところで、ここ数年、二、三年ぐらいで、このマニュアルも使えば加速度的に進むかなというふうに考えているところでございます。
【佐藤委員】
ちょっと確認ですけれども、基本的に、仮にこういう健常者と障害者の方の共同のスポーツ事業とかイベントが定着したとして、この財源というのは最終的にはこの事業で継続的に払っていく感じなんですか。それとも、ある種、自治体であるとか。さっき、私、勝手に自治体かなと思ったんですが、自治体とか、あるいは各種団体が自分たちでファイナンスしていく。だんだん、つまり、お金の面においては、これはあくまでも費用としては調査研究なので、恒常的に、恒久的に行っていくイベントについてはそれぞれが資金は自分たちで賄うという、そういう仕込みになっているという理解でいいんですか。
【説明者】
基本的にそうでございます。1か所当たりのコストの額、レビューシートにございますけれども、現場の地域における額が下がっていると。これはいろいろなコストダウンを見直していますし、ガイドもできていますので、こういうもので進めることができると、この3年間のベースを見ても分かるかと思います。
【岩瀬政策評価審議官】
梶川委員、お願いします。
【梶川委員】
ちょっと最初の話に戻るかもしれないんですけれども、御説明をしかかったところで、そもそもこの法は障害者の方がスポーツをおやりになるということが第一の目的であると。ただ、近くの、通常ある施設などは健常者用のものではあるから、一つの上位目的に対する方法論として健常者と障害者の方が一緒に運動をするという形が、結局、障害者の方のスポーツをやる機会を増やされるという解釈で、まず一番上位概念にあるのは障害者の方がスポーツをするという、それはそれでよろしいんでしょうか。
【説明者】
まさにそのとおりでございまして、最終的なゴールは障害者の方のスポーツの推進というのがゴールですけれども、それには、今おっしゃったように、健常者の方と障害者の方が一緒にやることによって、最終的に今申しました障害者のスポーツが推進されることにつながっていくということですので、今、幾つかのアプローチがあるんでしょうけれども、我々としては障害者の方と健常者の方が一緒にすることによって障害者スポーツが推進されると。
【梶川委員】
非常に有力な方法論の一つだという部分だということですよね。
【説明者】
まさにおっしゃるとおりです。
【梶川委員】
そういう意味で考えたとき、まだこれは始めたばかりで、その取組のマニュアルを作られ、実践してもらうことに皆さんの協力を得るということなんですが、逆に言うと、この3ページの、例えば障害者の方の運動の比率をこういうふうに上げていくというのは、ちょっと理念的過ぎますけど、そういうときに、今の方法論が少しうまくいくと、このぐらいは上がるよねと。ただ、障害者の方が単独でスポーツをやるというか、ほかの方法論で単独でやるみたいな話だってあり得る。ほかの要因っていうんでしょうかね。阻害要因を解決することによってまた違う増加が起こるという、全体像として何か今、プランを少し作っていかれようみたいな感触があるのか。もう、今の対策というか、御一緒にしさえすれば増えるっていうんですけど、何となく、これも一つの形みたいな気がしまして、一緒に使うばっかりじゃなくて、いろいろな機会の増やし方ってあるような気もして、そういう全体像としての目標の作り込みみたいなことを今やろうとされているのかどうかということをちょっとお聞きしたい。済みません、質問が長くなっちゃいまして。
【説明者】
ありがとうございます。4ページの図にもございますけれども、これまでは別々にやってきました。障害者スポーツについては厚労省を中心に福祉担当のところで施策をやってきた結果が、この18.2という数が出ております。我々、26年から移管されていまして、スポーツ行政、スポーツのソフト、ハード、ヒューマンを持っておりますので、それを活用すればより一層向上できるのでないかというような、ある意味で他の手段、ノウハウ、それを使って伸ばしていきたいという意味では梶川委員がおっしゃるとおりのやり方で進めていきたいと思っています。
【岩瀬政策評価審議官】
有川委員、お願いします。
【有川委員】
事業の進め方と、これからのロードマップの話と関連するんですけれども、レビューシートの3ページで、これは25年度の実績が出ているんですけれども、実証研究の費用はかなり少なくて、2つの公益財団法人への金額がかなりを占めているんですが、立ち上がった24年度はどういう姿だったのかというのと、今年度はどういうふうなウエートになっているのか。これ、3年続けて財団法人だけにお金が行っているというわけではないと思いますので、この前の年と今年の姿を教えていただきたいです。
【説明者】
24年度におきましては、この日本レクリエーション協会の方に3,500万、笹川スポーツ財団の方に1,800万です。25年度につきましては、この日本レクリエーション協会が3,800万、笹川スポーツ財団が2,600万。そして26年度につきましては、日本レクリエーション協会の方が4,400万、そして笹川スポーツ財団が2,200万ということでございます。
【有川委員】
実証研究より財団法人へお金が行く事業なんですか、これ。
【説明者】実証研究というのはどこのことを。
【有川委員】
下の、各都道府県での実際の活動と。
【説明者】
これは県の、これも公益法人であるレクリエーション協会の方に流れているということでございます。
【有川委員】
私が聞きたかったのは、財団法人のところで止まる金額と、レクリエーション協会に流れていく金額の内訳も知りたいんですが。
【説明者】
了解しました。24年度におきましては、委託先であるレクリエーション協会の方に1,800万、実施地域が1,600万、25年度が日本レクリエーション協会が2,200万、実施地域が1,500万、3年目の26年度につきましては日本レクリエーション協会が3,700万、実施地域が750万でございます。
【有川委員】
実施地域の方へ流れるお金が減っていって、途中の財団法人、笹川財団法人も含めて、そちらの方の金額が増えているというのはどういった理由からでしょうか。
【説明者】
参考資料7ページの図でございますけれども、1年目につきましては、1年目から2年目ございますけれども、経費の見直しをしております。そこは印刷製本費や借損料等でございますけれども、そのほかのスポーツ用具を1年目のところはまず必要ですけれども、2年目以降は必要がなくなるということで、そこの費用が浮いてくるということでございます。特に、3年目につきましては、この1年目の10地域が入っておりまして、そこはある意味、連携体制を構築することを主としておりますので、そんなに掛かっておりません。あと、もう一つ重要な点がございまして、なかなか現場の状態が脆弱な体制でございますので、そこは日本レクリエーション協会の方の全国レベルの方がある程度支援をしているというところがございますので、26年度はその本体、あるいは今回、報告書も3年分のやつを作りますので、その数も増えるということもありますので、少し本体の方が増えているというような構図でございます。
【有川委員】
全体がスリム化してくるのなら分かるんですけれども、現場の方の予算はどんどん減っていって、財団法人の方の会議や、あるいはマニュアルの作成とかシンポジウム、あるいは笹川さんの方へ行く活動実態調査というのが3年続けて増え続けるというのは、事業の流れとして非常に不思議な感じがするんですけれども。
【説明者】
徐々に普及をしていかなければいけないと思っておりますので、実践の方が来てくれば、今度はまさに普及活動、講演会等々でそれが普及するという観点から本体の方が増えてきているというような構図になっております。
【岩瀬政策評価審議官】
時間が経過してきておりますので、コメントシートへの記入が終わっておられない有識者の方は記入をお願いします。事務局の方では回収してください。コメントシートの取りまとめにはまだ少しお時間を頂きますので、引き続き御議論をお願いしたいと思います。永久委員、お願いします。
【永久委員】
目的、さっき障害者の方のレクリエーションとスポーツに参加することを推進するというふうにおっしゃいました? 先ほど。ですか?
【説明者】
はい、そうです。
【永久委員】
僕ね、やっぱりその辺り、よく理解できないのですよ。そうなっちゃうと、障害者の方のレクリエーションとかスポーツに参加する人の数が増えたらオーケーということでしょう。それなんですか。障害者の方も健常者の人も、何も境目がなく、スポーツでもレクリエーションでもやりたいときにできるような、そうした環境を設定するっていうことじゃないんですか。そうじゃなかったならば、やりたくない人だってやらなきゃいけなくなっちゃうし、それがどんどん100%にならなきゃ駄目だっていう、何かスポーツ全体主義的な雰囲気を僕はどこかで感じちゃうんですよね。そうじゃなくて、もう全然そこら辺が問題なく、共に楽しめる、そうした環境を設定しようっていうところなんだったら僕は理解できるんですけどね。まあ、いいです。ここはもう問いません。
じゃあ、この企画ガイド作りました、何部刷りましたか。
【説明者】
4,000部。
【永久委員】
どのように配りましたか。
【説明者】
都道府県、行政主体ですので市町村、それが障害福祉部局とスポーツ部局でございます。
【永久委員】
それがどのように活用されたか、そこまでフォローしていますか。
【説明者】
アンケートはとっておりますけれども、具体的にそれがどこまで普及しているかというのはこれからだと思っています。
【永久委員】
そうですね。我々、会社として本を作って本を売っていますけれども、本屋さんに何部刷ったかっていうのと、買ってもらったのと、読んでもらったのと全然違いますので、これ、作って何部配本したかっていっただけで、それで皆さん読んだと思わないでくださいと。きっちりとそれを使って何かをやったっていうところまでフォローしなかったならば、この企画ガイドが効果のあるものかどうなのかというのは分かりませんということです。
それと、じゃあ、ホームページ作りましたと。どのぐらいアクセスありますか。
【説明者】
先ほどのガイドブックの件でございますけれども、これは今の普及に向けて、まさに自治体が意識を持ってもらうと。まさに障害者と健常者のスポーツというものの意識を持ってもらうという意味で、この企画ガイドというのは配っているところでございますので、まさにこれから我々が連携体制を作る上での、まず先にきっかけというふうに考えていただければと思っています。
【永久委員】いや、それはそれでいいでしょう、別に。
【説明者】ホームページにつきましても、そこはちょっとこれから検討したいと思っています。
【永久委員】ですよね。ということは意識していないということでしょう。ホームページ作った、ああ、これでみんな見てくれるなって、勘違いですから。それをいかに見てもらって、それでいかに活用してもらっていくかと複合的にPRしながら活用してもらうわけですよ。作りました、見てもらったって全然イコールじゃありませんから。是非、その辺りです。僕は大事な事業だと思うんですよ。いろいろなことも言っていますけれども、大事な事業だとすれば、きっちりと目的と目標と、それを測定する方法とPRする方法を確立してほしいんですよ。その辺りが僕は意識が希薄なように思っちゃうんですよね。伺っちゃうと。
 済みません、意見になりました。以上です。
【岩瀬政策評価審議官】
松浦委員、お願いします。
【松浦委員】
奇しくも永久委員と同じような趣旨の御質問をするつもりでした。先ほどから各委員の御質問に対して、目的がちょっとぶれて御返答いただいている。先ほど私が御確認申し上げたのは、スポーツを通じて共生社会を作るということが最終的な目標であって、このプロジェクト自体はそれがアウトカムであって、これは戦略としてスポーツというものを用いるんだというスタンスだと、さっきは僕、理解したんですけど、先ほどの委員の御質問ではまた違うお答えをされたので、ちょっと、あれっと思ったということでございます。
先ほど私の御質問に御答弁いただいた内容を前提として御質問を更にさせていただきますけれども、もしそういうことであれば、このアウトカムに関しては健常者と障害者が共に楽しむことができる、そういう新しい種目等々を開発するんだという趣旨はよく理解できる。であれば、例えば大人だけに、あるいはソサイエティーだけにこれを提供したって、やっぱり障害者っていうのはなかなか健常者のコミュニティーに入りにくいんです。これははっきりしているんですね。それをどこで共生という考え方を植え付けるかというと、やっぱり初等中等教育の体育のカリキュラムの中ででも、将来的にはやっぱりきちんとこういうものを連動して取り込んでいくというような、そういうような目標というか仕組み、こういうものもスポーツに限らず初中局等々と連携して政策を立てるべきではないかというふうに思いました。意見ですね。済みません。
【岩瀬政策評価審議官】
佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】
済みません、やっぱり皆さんの質問と同じになっちゃうんですけど、やっぱり2つ違うと思うんですね。つまり、障害者の方のスポーツを振興するという目標と、それから、健常者と障害者のある種の共生というか相互理解を深めるためのスポーツという目標と全く違うと思うんです。これは多分混同されていると思うんですね。どっちも結局は障害者がスポーツするんだから同じじゃん、というふうに多分思われているかもしれないけど、最終的なアウトカムは全く違うはずで、かつ、もし障害者の方のスポーツを促進するということだけが目的であれば、わざわざこんないろいろな事業をやらなくてもいいはずで、障害者の方だけ集めて、どんなスポーツが一番彼らに合っているかだけを考えればいいわけで、わざわざ健常者と一緒に何かイベントをやる必要性は全くないはずなんですね。かつ、この運営マニュアルだって、多分面倒くさいのは、まさに書いてあるんで、健常者の方と障害者の方が一緒に楽しめるスポーツって何だろうねって考えるからこそ、こんなマニュアル、一生懸命考えなきゃいけなかったはずなので、全くだから、そこが最初からずれてませんかという気がするんですけど。何がずれているか分かっていますか。
【説明者】
この目的は2つあって、一つは共生社会というのは先ほど出ていましたけれども、それはもって最終的に共生社会の実現というふうに考えています。我々のスポーツ政策を行う上での目的としてはスポーツの参加、それを通じて最終的なゴールとして共生社会の実現というものがあります。そこがちょっとごっちゃになっているということで分かりづらくなっているかもしれませんが、我々のミッションとしてはスポーツ、障害の有無を問わず生涯スポーツができる環境を整備していくということでございますので、アウトカム指標が共生社会の実現ではなくて、健常者、障害者を問わずスポーツができる環境を作っていくという、そのノウハウとしてこの事業を進めているということでございます。
【佐藤委員】
やっぱりずれた気がするんですけど。つまり、健常者も障害者も問わずにスポーツをするということは、健常者は健常者でスポーツをして、障害者は障害者でスポーツをしてもかまわないわけなんですよ、別に。ただ、競技場をできるだけバリアフリーにするとか、障害者の方の利用もしやすいような施設を作れば、多分彼らもスポーツできますので。それが目的なら最初から立て付けが違う気がするんですね。あえてこんな大変なことをやられているのは、やっぱりあえて健常者の方と障害者の方と問わずではなくて、一緒にやることに価値があるからこそのこの事業だったのではないかという気がするんですけど。それが大きなチャレンジなんじゃないですか、この事業の。本当は。
【説明者】
委員おっしゃるように、もちろんそれが、一緒にやることが最終的には障害者スポーツの振興につながるという、最終的なゴールはそこなんですけれども、おっしゃったように、かなりチャレンジングではあるんですけれども、そうすることによって障害者の方の環境も増えますし、いわゆる健常者の方の、先ほどおっしゃいましたけれども、見方と言ってはおかしいですけれども、変わってくる。スポーツに対する取組方が変わってくるということで、双方が相乗効果が生まれるということで、最終的には障害者スポーツの推進ということが我々の、生涯を通じた生涯スポーツ社会の実現ということも一つの目標だと思っています。
【佐藤委員】
もう一つだけ素朴な質問なんですけれども、これもさっき自分が勝手に誤解していただけなのかもしれないですが、この笹川スポーツ財団に関しては、これ、調査研究なので、もう終わったっていう理解ではないんですか。これ、継続的にやられていくんですか。それで、これ、どういう今後の展開になるのかなと思ったものですから。調査研究がこれ、今後もずっと続くという理解でよろしいんですか。
【説明者】
おっしゃるとおり、まさに経年調査というものをしていかなければいけないと思っておりますので、今のところは障害児、障害者の基礎的なスポーツの現状の調査等をしておりますけれども、今後はその辺りの経年調査や、あるいは障害者団体、スポーツに対してどういうふうに考えているのかというような視点も少しきめ細かにそれをフォローする形で対応していきたいと思っています。
【佐藤委員】
マニュアルにこれはどう反映していくのかなと。何となく、私たちの理解は、これはマニュアルを作りましたと。これを要するに普及させる。4,000部刷られているわけですから、普及させていく。これでいろいろなイベントを広げていくということだと思うんですけど、多分、調査研究もそのための土台だったはずなんです。ただ、もうマニュアルを作られているわけですよね。とすれば、これ、マニュアルの改訂か何かに当てるという理解なんですか。どういう形でこの調査研究を。続けていった調査研究ってどうやって使うという理解なんですか。
【説明者】
まだまだこっちの調査研究の方でも調査しきれていないところというのはたくさんありまして、例えば、障害者スポーツ協会なり障害者スポーツの競技団体なりというところの取組状況とか現状というのは、まだそこを把握していませんし、先ほどもお話に出ましたけれども、例えば特別支援学校の体育連盟の状況なりがどうなっているのかと。子供たち、障害児の状況はどうなっているのかというふうなところとか、あるいは地方自治体の今後の取組がどう変化していくのかというところはこれからまだまだ経年的に調査しなければいけないというふうに考えておりますけれども。
【生川会計課長】
ちょっと済みません、もしかしたら御説明が誤解を与えている面があるかなというふうに横で聞いていて思えるものですから、ちょっと補足をさせていただければと思うんですが、この担当課のスポーツ振興課としては、いろいろなツールを活用しながら、健常者、障害者に限らずスポーツを振興するというのが任務でございますので、最終的にはそういうことを目指しているということだと思います。一方で、そのツールの一つとしてこの事業をやらせていただいていると。この事業としての目的が何かと問われれば、ここに書いてあるように、障害者と健常者が一緒に楽しめるスポーツをやるんだということで整理をさせていただいていると、そういうことだと思うので、多分、梶川先生の御質問に対して、最終的には障害者のスポーツを振興することなんでしょうということに対して、イエスと答えたのは、そういう課全体としての最終的なターゲットというのはそういうこともあるので、そういうことで答えさせていただいて、一方で、この事業としてはこういう整理だと、そういうことかなというふうに理解をしております。
【岩瀬政策評価審議官】
梶川委員、どうぞ。
【梶川委員】
私は、今、整理していただいたように理解をして、逆に、もちろん共生社会はすごく重要なんですけど、そちらがメーンという話になると、利害関係者との、どこの範囲までをスポーツ振興課が予算でやるのかという話が少し曖昧になられてしまわれるんではないかなと。それがもし曖昧だと、今後、利害関係、地域の社会福祉協議会とかと話し合うときに、よかれと思った話がこんがらがる可能性があるのではないかなという気はむしろしておりまして、今後の実施体制みたいなものに対する提案のときには、やはり基本は障害者のスポーツを振興されるということがメーンなのかなというふうに、その一方法として御一緒にするということに対して、スポーツ振興の知見をそういう団体にお伝えになって、そういう形でやれば更に助かりますね、お互いに、ということかなというふうには。それが共生社会ということになっちゃいますと、ちょっと文科省さんがそこまで委ねられているのかみたいな議論もゼロではなかったり、自治体の方もどういうふうにそれを所轄してやられるかとかっていう話と、ちょっと逆に、そっちが強くなり過ぎると心配が。
それはすごく大事なことだっていうことは、社会全体としてはめちゃくちゃ大事なことなんですけれども、行政が管轄されるという意味では、ちょっとその辺、さっき私は勝手に整理して理解したということがあるんですが。
【説明者】
梶川委員のおっしゃるとおりだと私どもも思っております。
【岩瀬政策評価審議官】
永久委員、お願いします。
【永久委員】
いや、それはそれで、そういうことならいいんですけどね、そうしたときに、これが最も効率的な方法なのかというと、また別問題になっちゃいますよね。それは佐藤さんがお話しされていたけど。だから、その辺りきっちりと、聞かれた質問に対してそれぞれ違う答えをされちゃうと、我々混乱しちゃうんですよね。というか、このシート自体に大きな目標のために、これ、手段ですよ、どう考えたって。戦略って先ほどおっしゃっていたけれども。何かの目的のためにこれを使ってやるんだっていうことで、それ自体がすごく目的のように書かれているから、スポーツの振興なんだ、それを目的だって言うんだけど、振興して何するんだって、先ほどから何度も伺っていますけれども、どこに到達したいんだっていうのが、例えば今の障害者の方がスポーツするっていう環境──環境じゃなくてスポーツすることが目的だったんですよね。その目的自体、僕はどうかなと思いますけれども。スポーツしたい人はやればいいし、していないと、何か、おまえやってないな、どうだとかって言われちゃいそうな気もしちゃうので、そういう社会じゃないよねって思っちゃうんですけどね。だから、そのこと自体、僕は問いたいけれども、だけれども、書き方としてはそういうふうに書かないと評価しづらいというかね、そう思いますね。これ、意見ですからお答えいただかなくて結構です。
【岩瀬政策評価審議官】
取りまとめの作業をまだやっておりますので、もし御発言、御質問、御意見がありましたら、まだしばらく大丈夫ですのでお願いします。田辺委員、お願いします。
【田辺委員】
2年間やって、一緒にできるようなスポーツというのは幾つか出てきたんですかということをちょっとお聞きしたいんですが。
【説明者】
私も全ての地域には行っていないんですが、例えば一つ、6ページ目の山梨県の南アルプスで健常者の方と障害者の方が一緒にフライングディスクという、俗に言うフリスビーなんですけれども、フリスビーと言ったらあれなんですけれども、フライングディスクをストラックアウトみたいな9つの壁を作って、それを投げて、1個ずつ抜いていくというので、それは健常者の方は例えば7メートル前からやるし、車椅子に乗られている方はずっと前に行って、3メートル、2メートルのところから抜いていくというような、そういうようなフライングディスクを使ったストラックアウトみたいなものをやっていて、かなり一緒になって楽しまれていたというのは、私も一緒に経験したんですけれども。
【田辺委員】
そういういいのができたら、レクリエーション協会がいいのかどうか分かりませんけど、全国大会とか地域大会とかして、そういうのをどんどん広めていくと。特にこれはお金は要らないかもしれませんけれども、そういういろいろな形で、せっかくそういうのが出てきたら、一つじゃなくていろいろなものを全国ベースで。自治体に伝えるだけじゃなくて、大会的な形でやっていくと面白いんじゃないかと思いますが。
【説明者】
国民体育大会と同時にやっている全国障害者スポーツ大会という、毎年持ち回りで、今年は長崎でやるんですけれども、それは今年から私どもの方が、文部科学省が主催になりましたので、そこには正式競技もありますし、デモンストレーションみたいな、行事みたいなところも、国体にもありますし、全国障害者のスポーツ大会もありますので、そういったところで、全国から集まってくる障害者の方の前で、例えば今言いましたような、新しい種目をデモンストレーションとして披露するというようなこと。
【田辺委員】
ただ、そういう、全国スポーツ大会になると、それはちょっとプロ向けというか、ちょっとこういうレクリエーションとか普通の人ができるような。まあ、両方あっていいと思うんですけどね、そういう広がり合う中で、全国大会と。私が言った全国大会は、スポーツの何かっていうのは、レクリエーション、楽しめる、ただ、なおかつそれでね、っていうのもあるからというので、まあ、両方考えてもらえればいいのかなと思いますけれども。
【説明者】
全国レクリエーション大会というのもありまして、それも都道府県版もありますし、市町村版というのもございますので、そういったところでまず普及をして、最終的には全国大会につながるようなという形ではあると思います。
【田辺委員】
著作権でもうけてもらうと。分からないけど、何か、知的財産でかもしれません。
【岩瀬政策評価審議官】
梶川委員はございますか。
【梶川委員】
いいですか。話が少しずれてしまうかもしれないんですけど、これは非常にポジティブな、クリエーティブなアイデアをどう実践できるかということだと思うんですけれども、これはちょっと違っちゃうのであれなんですけど、そちら、むしろ阻害要因みたいなものっていうのはどのぐらい整理をされておられるのか、その辺。もちろん、御一緒にするという阻害要因もありますけど、そうじゃなくて単独でするっていうのもあるんですけれども、その辺のところで。
それとちょっとこれは聞きにくいんですが、阻害要因の中で利害関係者別に少し阻害要因、御意見が違ってしまう利害関係者がいるのかどうかっていう。まあ、それ、答えは結構なんですけど、そういう部分はあるのかなということなんですけど。結局はうまくいくのが一番いいので、そういう観点でお聞きしている部分。まずそういう意味では。
【説明者】
これも笹川スポーツ財団の方で調査していますけれども、障害となっている要因は何かということで、一番は体力がないというところでございます。ほかにはやはり金銭的な余裕的なものもありまして、介護者が、どうしても支援が必要になってきますので、そういう仲間作り的なところが非常に重要なポイントになっています。あるいは、交通手段、移動手段がないというようなことも上位に上がっています。仲間がいないとかいう方も結構いるということでございます。
2点目でございますけれども、障害者が、種類、程度においていろいろございます。競技性を求める方もいますし、一方で社会参加、自立というような点もございますので、まさにその辺の考え方というところの調整というのが一つあるかと思っています。
【梶川委員】
そういう阻害要因ってあると思うんですが、そういう意味では同じスポーツを御一緒にするという意味も、一緒にスポーツを楽しむというのもあるけれども、介助をしていただきながら、せっかくだから介助だけじゃなくて少し自分も参加しようみたいな話だったり、交通移動をお手伝いするんだけど、ただそこまで行って帰ってくるっていう話じゃないよね、みたいな、その阻害要因を解決するという意味のこういう世界、今やられている話ってすごくあるかなっていう気はしたんですけど。
【岩瀬政策評価審議官】
それでは、コメントシートの集計が取りまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員より評価結果及び取りまとめコメントの提示をお願いいたします。
【有川委員】
コメントシートの意見は大きくまとめますと2つに絞られるかと思います。一つは、本事業の目的と、それから目的に基づく成果指標の問題。もう一つは、この事業の進行管理とロードマップ、出口戦略と、いろいろな表現で指摘されている問題であります。
幾つかコメントシートを紹介させていただきますと、目的が障害者のスポーツ振興か健常者との交流を通じた共生の相互理解なのか不明だ。あるいは、併せて同じ委員からは、この事業を続けていく道筋、出口戦略が明確でないので、それを明確にされるようにという意見。それから、やはりこの事業の目的を明確にし、それに合った成果の測定を行う必要があるという話。それから、マニュアル作成とかシンポジウム開催とか活動調査など、そういったところの費用が非常に大きく占めていますけれども、事業の重点を実践の方にシフトさせ、本事業の進行管理やロードマップを明確にし、その過程の透明化を図る必要があるという意見。同じように、この事業の目的を明確にし、事業のロードマップを明確にしてほしいという意見。その2つにも絞られていなくて、そのほかに、このモデル事業のマニュアルなどを適切に普及していく手法を検討すべきといった意見などが出されておりまして、最終的な評価としてはBの「事業全体の抜本的な改善」が3名、それからCの「事業内容の一部改善」が3名というふうになりました。
今、個別のコメントシートを御紹介させていただきましたように、一部の改善という意見の方の中も、ほとんどと言っていいのでありますが、本事業の目的、指標、あるいはロードマップに対して疑義が示されて改善を求めておりますので、最終的な評価結果としてはBの「事業全体の抜本的な改善」という形にして、これについての取りまとめコメントとしましては、「本事業の目的の明確化と、それに伴う適切な評価、そして本事業の進行管理とロードマップを明確にして透明化を図る」という、そういう取りまとめコメントにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいですか。では、これで。
【岩瀬政策評価審議官】
ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、健常者と障害者のスポーツ・レクリエーション活動連携推進事業の公開プロセスについては終了とさせていただきます。
次の分子イメージング研究戦略推進プログラムについては5分程度休憩の後、16時20分開始とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

( 休憩 )

【岩瀬政策評価審議官】
それでは、4こま目を始めさせていただきます。これからの時間帯は、分子イメージング研究戦略推進プログラムについて御議論を賜りたいと存じます。
初めに事業概要の御説明をさせていただきます。事業担当課は5分以内で簡潔に説明をお願いします。
【説明者】
それでは、プログラムの概要を御説明いたします。資料につきましては、横長のポンチ絵の方をお手元の方に御用意いただけますでしょうか。
1ページ目でございます。まず、分子イメージングなんですけれども、分子イメージングといいますのは、特定の物質を生体内の病変部に対して分子レベルで反応させ、画像化する医療技術のことです。中でも、PETと呼ばれる技術は主に形態を観察するCTと異なりまして、質的診断が可能であることから、がん診断などで実用化されております。
次に、この事業の目的ですが、1ページ目の真ん中の方を御覧ください。がんや認知症を対象といたしました疾患病態解明や革新的診断治療法の確立、また、医薬品開発におけます薬物動態評価や薬効薬理評価を可能とする新たな創薬プロセス技術の確立に向けまして、PET技術を応用して、新たなPETプローブを開発し、ヒトでのPOCの取得などを目的とした事業でございます。
もう少しPETプローブについて具体的に御説明いたします。1ページ目の下の方を御覧いただけますでしょうか。放射性同位元素で標識されました特定物質を体内に投与いたしまして、その放射性薬剤の臓器や病変部への分布、又は集積の程度を画像化することによりまして、それらの機能や性質、例えば糖代謝でありますとか血流量などなのですが、それを調べることができますが、このことを臨床現場、あるいは医薬品開発へ応用しようとするものでございます。
続きまして2ページ目をお開きください。これまでの取組でございます。第1期、平成17年度から21年度におきましては、理化学研究所を創薬候補物質探索拠点として、放射線医学総合研究所をPET疾患診断研究拠点として、それぞれ整備してまいりました。
第2期、平成22年度から26年度では、社会的なニーズの高いがんと認知症の研究分野に重点化して研究を進めてまいりました。
続きまして3ページ目をお開きください。本プログラムの実施体制となります。本プログラムでは、薬物動態や認知症、がんの研究に精通したプログラムディレクター及びプログラムオフィサー2名を配置し、研究の進捗管理や個別研究等に助言を行いながら事業を推進しております。
続きまして4ページ目と5ページ目をお開きください。各拠点の実施体制となります。理研、放医研、2つの拠点でがん分野、認知症分野の2課題ずつ、合計8課題の共同研究を、また、人材育成分野として5機関を公募により選定し、拠点と連携しつつ実施しているところでございます。
続きまして、成果でございます。6ページ目を御覧ください。臨床に向けたPOC、つまりヒトにおけます安全性や有効性を検証したPETプローブの取得数は目標を8件としておりましたけれども、平成25年度終了時点で8件と、既に目標を達成しており、良好に進捗しているものと考えております。
続きまして具体的な成果の事例です。9ページ目をお開きください。炭素の放射線同位体で標識いたしましたPBB3というPETプローブを開発し、認知症の進行とともに増加いたしますタウタンパク質の画像化に世界で初めて成功いたしました。認知症につきましては、薬剤が目的としている場所まで到達するかどうか、既存の検査では判断できないこと、また、認知症の臨床における薬効評価は現状、運動や数学的なテストで行うため、客観的な判断が難しいという課題があります。こうした中で、今般、この開発いたしましたPBB3は化合物の分布の状態を定量的なデータによって客観的な薬効・薬理評価に使用できるのではないかということで非常に注目されております。
最後、11ページ目をお開きください。これまでの取組に付随いたしまして人材育成につきまして、全体で博士課程修了者数の目標値を30名、修士課程20名としていたところでございますが、これまで博士課程修了者数26名、修士課程19名となっているところでございます。また、発表論文につきましては、近年100本程度となっております。
以上、この事業につきましては、着実に成果を積み重ねてきておりますが、今後、本事業で開発されましたPETプローブの技術について、より医療の現場ニーズに基づいて研究開発を進める必要があるというふうに考えております。このため、例えばがん研究のプログラムに取り込んで進めていくことや、あるいは厚労省と連携をいたしまして、先ほど御説明いたしましたPBB3の実証研究を進めることなど、これまでの成果を次につなげる取組を推進してまいりたいと考えてございます。
説明の方は以上でございます。
【岩瀬政策評価審議官】
それでは、私の方から論点について御説明させていただきます。お手元の論点等説明シートを御覧ください。
まず一つ目として、事業の成果は上がっているのかという点。二つ目として、今後の研究支援の在り方はどうするのかという点。三つ目として、厚生労働省などとどのような連携を図っていくのか。以上3点について御議論いただければと思っております。
それでは、外部有識者の皆様からの御質問等をお願いいたします。時間も限られておりますので、外部有識者からの御質問、また、それに対する説明者の回答、共に簡潔明瞭にお願いいたします。
松浦委員、お願いします。
【松浦委員】
最初にお聞きしたいのは、コストパフォーマンスの観点から二重投資を避けられているかどうかということでお聞きをします。旧来、文部科学省は先ほど御説明いただいた2つの大きなセンターを持っていらっしゃると。放射線に関してはですね。厚労省もナショナルセンターとしてがんセンターと精神神経センターをお持ちであるということで、同じような研究をなさっていた事例が多々あったのですが、それが多重投資になっていないかどうか、本件に関して厚労省と文科省の間でどのような形でもってこの政策のすり合わせが行われているかということについてお聞きをしたい。
【説明者】
ありがとうございます。今、御質問いただきました国立がん研究センターございますけれども、実はこの事業で連携して進めてございます。こちらの放射線同位体を取り扱うということから、こちらのPETの製造につきましては、例えば大型のサイクロトロンや、あるいは標識化をする放射線を取り扱うような施設が必要となってございます。また、それを実際にヒトに投与するという観点からは、例えば臨床現場を持っております国立がん研究センター、あるいは大学病院との連携という形で進めているところでございます。そういった意味で、うまくPETの製造、開発のところから、実際にそれをヒトに投与してその効果を見ると、そういった観点で連携をしているところでございます。
それから、厚生労働省との間では、そういう意味では国立がんセンターや、あるいは認知症におきましては精神神経センターといった機関と連携しておりますし、また、今般、内閣官房の健康医療戦略推進本部の方で9つの府省連携施策というものが新たに定められたところでございます。その中でがんや認知症といったものが、その中の9つのうちの2つが定められておりまして、この分野につきましては各省連携して合同で委員会を設けるということで、実際に連携施策について議論が進められているところでございます。引き続きこの成果をつなげるように連携して進めてまいりたいと思っております。
【松浦委員】
お答えに関連しての御質問ですけれども、じゃあ、いわゆるファースト・イン・ヒューマンというフェーズにこういう物質が入った場合、第一相、ヒトに最初に、健常時等々にチャレンジして安全性、有効性を確かめるというようなファースト・イン・ヒューマンというフェーズに入ってくると、今度はそのイニシアチブは厚労省の方が引き取ると、そういうストーリーの展開だと理解してよろしいのでしょうか。
【説明者】
ありがとうございます。1ページ目の資料を御覧いただけますでしょうか。1ページ目の資料で青字で開発のフェーズが書いてございます。基礎的研究、動物でのPOCの取得、ヒトでのPOCの取得、それから臨床応用となってございます。こちらにつきましては、この事業につきましてはヒトでのPOCの取得というところまでを行っているところでございますけれども、先生御指摘のとおり、それ以降の臨床応用になってきますと、また厚労省と連携して進めていかなければならないフェーズに入ってくるというふうに考えております。
【松浦委員】
ありがとうございます。
【岩瀬政策評価審議官】
ほかにいかがでしょうか。田辺委員、お願いします。
【田辺委員】
この成果についてお聞きしたいんですけれども、まず8つの成果を既に得られたということなんですけれども、もともと当初目的を、PETプローブの開発ですけれども、そもそも当初、8つに設定したという理由ですね。要するに、チームが8チームあるんだったら、各チーム一つということなのか、どういう形で目標を8と設定されたということですか。
【説明者】
ありがとうございます。御指摘のとおり、共同研究、8課題を設定いたしました。そこで目安といたしまして各課題1件ということを目標として設定したところでございます。こちら、資料の6ページ目を御覧いただけますでしょうか。そうした中で動物でのPOCの段階も含めまして、17種類のPETプローブを開発いたしました。必ずしも1課題について一つということではございませんが、それぞれ合計して、結果として8件と、POCの取得を8件というところになったところでございます。
【田辺委員】
そうですか。この17、8については、8つの分野で言うとどんな感じですか。特にいっぱい出たところと全然出てないところというのは分布はどうなっているんですか。
【説明者】
実際、8課題ございまして、そのうち4課題でヒトでのPOCを取得しているという形での説明になろうかと思います。
【田辺委員】
なるほど、そういうことですか。
もう一つ、人材育成ですけれども、11ページを見ますと、博士26人のうち東北大学が14名ということで、例えば岡山大学は博士が出ていないとか、浜松医科大は16名在籍しているのにこれまで4名しか出ていないということなんですが、当初30と設定したときの設定の理由ですね。どういうふうに考えられたのかということですね。例えば博士もプロジェクトがスタートしたときから入った人で考えると、最初の2年間ぐらいは出ないはずなんですけれども、これはそうじゃなくて、多分、その前から入っている人も数えているんじゃないかとか、そこら辺をどういうふうに。まあ、修士の場合は5年だと、2年で出ますから、2年で回るんですけど、修士の場合を見ていると、逆に修士は岡山大学と東北大学しか在籍していなくて、これはどうなのかなというか。特に岡山大学は何で13名も在籍しているのに6名しか修了していないという。ここら辺もちょっとこれの見方、考え方を教えてください。
【説明者】
ありがとうございます。まず、目標値の考え方なんですけれども、5大学選定いたしました。それぞれ博士課程、単純に1大学6名、それから修士課程4名ということでそれぞれ30名、20名としたところでございます。
 それから、在籍につきましては、こちらは平成25年度末時点での在籍数ということでございまして、累積ではなくて25年度末時点での数になってございます。
【田辺委員】
この評価はどうなんですか。ということは、例えば、博士で言うと、東北大学が非常に多く出たために達成できるそうなんですけれども、もう一つは、そもそも最初の年とか2年目はこのプロジェクトの前から入った人を言っているわけですよね。そういうことじゃないですかね。違いますか。ちょっと違うのかな。毎年1人出るとかいうことですかね。じゃあ、6名っていうのはどういうふうに6名って考えられたのかということですよね。
【説明者】
この事業の終了時点で累積ということで、済みません、今、詳細な……。
【田辺委員】
私が言いたいのは、そもそも人材育成もこれは当初考えたとおりで順調に行っているのか、少し見込み違いがあったのか、その評価をちょっと修士、博士入れて教えていただければ。
【説明者】
こちらなんですけれども、そもそも分子イメージングの世界というのは非常に大規模な施設を要するとか、あるいは放射線取扱施設を必要とするということから、例えばこの事業が始まった次の年に日本分子イメージング学会というものが設立されて、現在約450名の会員数でございます。そうした中で、規模的なところでございますけれども、そういう意味で、博士30名、それから修士20名というのは、この予算から比べまして目標を達成しているのではないかというふうに考えております。
【田辺委員】
目標は達成していますけど、これ、大学間はいいんですかね。東北大学が頑張っているということなんですけど、ほかの大学は、まあまあ。まあ、いいですけど。ちょっとほかの方。どうぞ、別のも、じゃあ。
【岩瀬政策評価審議官】
佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】
同じ11ページの図、やっぱり同じで、どう読んだらいいのかがよく分からないのは、まず第1点は連携大学院って一体どういう存在なんですか。例えば理化学研究所は岡山大学と浜松医科大学と協定を結んでいる。これは具体的にどういう協定というふうに理解すればいいんですか。
【説明者】
岡山大学、浜松医科大学が理化学研究所と協定締結を結んだ場合、その博士課程の学生が岡山大学や浜松医科大学ではできないような実験形態を理化学研究所に行って実験ができる。しかも、そこで行われた実験は、言ってみれば岡山大学や浜松医科大学での博士課程としてその大学が認めるというような理解をいただければと思います。
【佐藤委員】
こういう大学の大学院生がいわゆるRAというか、そういう形で研究所に行って、何らかの開発にも貢献したという理解でいいんですか。
【説明者】
そのような理解でよろしいかと存じます。
【佐藤委員】
ちょっとこれは素朴な質問ですが、分子イメージングの教育コースということなので、これはもともと、例えば何かこのコースのために各大学は定員を増やしたんですか。研究室ですよね、大体。理系なので。もともとある研究室なんかでこの分子イメージングを専攻している学生たちを集めてこの教育コースを作った、定員としては別に触っていないという理解でいいんですか。
【説明者】
ここにございます教育コースというのは、大学院、確かに置いてあるんですが、PETの博士課程を取るために学生として入った方だけを対象としているわけではなく、より幅広くPETを分かっていただくために開かれた、そういった教育コースだと御理解いただきたいと思います。
【佐藤委員】
どちらかというと、PETというものを教育現場に普及させるという、そんなふうなということですか。
【説明者】
はい、そのとおりです。
【佐藤委員】
また分からなくなってきたんですけど、じゃあ、この博士課程修了者や修士課程の修了者というのは、一体何を修了したと理解すればいいんですか。教育コースではないんですか。あるいは、理化研とか放射研に行って実際に研究した人たちがこれ、修了者という理解なんですか。
【説明者】
そのように理解しております。
【佐藤委員】
レビューシート、3ページで、お金の流れなんですけど、人材育成実施機関というところで、多分ここですよね。ここで3,000万円が、全5機関なので多分この大学だと思うんですけれども、ここに払われているということになるんですが、これ、どういうものだと思えばよろしいんでしょうか。なぜかというと、例えば、特に学生の定員を増やしているわけでなければ、普通は大学運営交付金がありますので、普通、学生の面倒はそっちで賄えるはずなので、上乗せ払っていることになりますので、これ、どういう用途というか、どういう狙いでこのお金というのは使われていると思えばいいんですか。
【説明者】
こちらなんですけれども、資料のポンチ絵の11ページ目を再び御覧いただけますでしょうか。こちらにつきまして、連携大学院の一番上のブルーの四角い部分がございます。ここについて2、3で講義・演習等の実施、あるいは研究教育と書いてございますけれども、例えばこの予算でサマーセミナーを開催したりといったところで人材育成に上乗せして活用しているということでございます。
【岩瀬政策評価審議官】
外部有識者の皆様におかれましては、コメントシートへの記入も併せてお願いします。記入が終わった方については挙手いただければ事務局が回収いたします。
有川委員、お願いします。
【有川委員】
本事業の目的と成果指標とも絡むのですけれども、行政事業レビューシートの1ページ目に書いてあります本事業の目的と参考資料で配っていただいていますプログラムの概要のところの1ページの本プログラムの目的が若干違っていて、資料の方の目的の方が少し加わっているんですけれども、PETプローブの研究開発のほかにヒトでのPOCを取得することにより、っていうのが加わっているので、どちらが適切なのか。もし資料の方が適切であればシートの方を変えていただきたいんですが。
いずれにしても、「取得することにより」とか、あるいは「開発することにより」、その後の述語のところに書いてあります、疾患病態解明や革新的診断治療法の確立と新たな創薬プロセス技術を確立するということは、その前段の「取得することにより」でもう実現したと考えてよろしいんでしょうか。それとも、次のステップなので、プログラムの目的はまだ達成されていないと理解したらよろしいんでしょうか。
【説明者】
ありがとうございます。こちらなんですけれども、済みません、こちらのポンチ絵の方では、より分かりやすくという観点からヒトでのPOCの取得ということを追加させていただいております。こちらにつきましては、「新たなPETプローブの研究開発を推進することにより」といった中に含まれる概念でございます。
それから、御指摘いただきました確立なんですけれども、先ほど1ページ目の概要の青いラインがございます。ヒトでのPOCを取得した後も、先ほど御説明させていただきましたように臨床応用に向けた、例えば厚労省との連携といった実証研究や、そういった取組が必要となってございます。そういった意味で、例えばPOCを取得すれば直ちにこれらが確立されるというものではございません。まだ必要な取組は残されてございます。
【有川委員】
成果指標を見ると、POCを取得するとか、博士・修士課程の修了者数で出るものですから、非常に目標を達成したようにも見えますけれども、本来の事業の目的の究極のところをアウトカムに示せば、まだまだ成果が出ていないというふうに理解してよろしいですか。そう理解せざるを得ないということですね。
【説明者】
最終的な創薬プロセスの確信等の確立の目的に向けたPOCの取得という目標は達成できたという形でシートの方は書かせていただきました。
【岩瀬政策評価審議官】
永久委員、お願いします。
【永久委員】
じゃあ、今のに引き続きですけれども、POCは分かりましたけど、その先の数字っていうのは分からないっていうふうに理解していいんですか。要は、この目的というのはPETプローブの臨床に行くことが目的。
【説明者】
ありがとうございます。それに向けたPOCの取得のための研究開発の推進ということなんですけれども、実際に例えば、これがもし新たなPETプローブが創薬のプロセスに実装されて活用されて、例えば創薬の候補薬物の絞り込みが格段に効率化されるといった観点での定量的な指標というのは設定できるかと思いますけれども、まだこの事業の範囲ではそこの前段階という理解です。
【永久委員】
理解として、この段階ではPOCをまず取るというのが目的になっていて、その先というのは違う管轄だというふうに理解していいんですか。分からないですけれども。済みません。
【説明者】
例えばということで、このポンチ絵の9ページを御覧になっていただきたいんですけれども、成果の測り方がどうであるかということと少し絡めて御説明をさせていただきますと、認知症の患者さんが脳の中にタウというタンパクがどんどんたまってくるというのは医学的にそうなるであろうという推測の下では言われておりました。今回、PBB3と呼ばれるPETプローブを開発した。それを実際に認知症の患者さんに撮影をした。そうすると、タウタンパクを初めて同定する薬ですので、この右上にある矢状面、ここのところに真っ赤に染まっている脳の分布図があると思います。これによってやはり認知症の患者さんはタウのタンパク質が脳にたまっていたんだという病態解明が一応できたということで、これも一つの成果だというふうに考えられます。ただし、これを定量的に何というのかというのはなかなか難しくて、これを成果という形では余り前面に出さなかったということになります。
今度逆に、このPBB3によってこれだけ赤くタウタンパクがたまることが分かったといっても、今度は実際に患者さんの脳を取り出して顕微鏡で見て、そこにタウタンパクが顕微鏡で見るとあるねと、確かに光っている患者さんはタウタンパクがたくさんたまっているねと、そういう証明をしなければいけない。これがひとつのPOCになります。
今回それをとるために、いわゆる実証研究ということで組ませていただいて、今、推進をしているところであります。
【永久委員】
分かりました。分かったような分からないようななんですけれども、何となく分かりました。
じゃあ、このPOCが一つの成果というふうに理解して、この分野のPOCというのはこの事業以外には出てきていないんですか。要は、このプログラム以外に何か出ているものはないんですか。つまり、この分子イメージングのPOCっていうのは、独占的にここから出てきているんですか。プログラムとしては。
【説明者】
例えば、同じ9ページのPBB3というものに関して言うのであれば、このPBB3と呼ばれる薬剤というのは、それを開発した研究所が特許を取って、そこの所有物ということになりますので、独占的にという意味で言うと、独占的にやっていると。
【永久委員】
僕が言っている意味は違って、別な言い方をすると、このプログラムがなかったらそうしたPOCって出てこないんですかっていう話です。このお金を使わなかったらという意味です。
【説明者】
今回、このプログラムがもしなければ、恐らくほとんどなかっただろうと思われます。それは10年前からこのプログラムが始まって、一番、10年間ずっと見続けているのは、いわゆるこれを指導しているプログラムディレクター、あるいはプログラムオフィサーの方々です。彼らにお聞きいたしますと、10年前、始まった当初は建物もなければ何もなかった。全く更地の状態から始まったプログラムだとずっと聞かされておりますので、この支援がなければこの成果はなかったもの、あるいは随分遅れていずれ成果が出てきていたのかもしれません。そこは推測でございます。
【永久委員】
理研も放射線医学総合研究所も、これ、独法ですから、運営費交付金とか何か普通に交付されていて、そこの事業ではこういうことはできないっていう、普通の事業ではこういうことはできないっていうことですか。同じ質問になっちゃうんですけど。というふうに理解しなきゃいけないということですよね。この2つの機関は放っておいたら、この分野のPOCを取るということはしないということですよね。
【説明者】
そういう意味ではないですね。
【永久委員】
だとすれば、このお金を使わなくても、この分野のPOCっていうのは出てくる可能性があるっていうことですよね。
【説明者】
恐らく、仮定の話で難しいかとは思うんですけれども、なかったとしても、先ほど御説明しましたように、もしかしたら開発が遅れて、世界的な競争の中ですので、開発が遅れていたかもしれないということは言えると思いますし、また、そういった意味で、こちら、拠点と、それから各大学と情報共有しながら全体でPOの指導の下に進めてきたという観点から、より国家的に進められているというふうに考えております。
【永久委員】
ということは、この分子イメージングのPOCを取るということは、国家的に極めて重要だということですか。
とりわけてここにお金を出す理由というのが分からなかったんです。
【説明者】
こちらにつきましては、例えばですけれども、昨年、関係大臣の健康医療戦略の中でもこちら、分子イメージングに係る研究開発を進めるというふうに位置付けられておりまして、そういった方針に基づきまして進めている事業でございます。
【岩瀬政策評価審議官】
コメントシートの記入が完了しておられない有識者の方については記入をお願いします。事務局は回収をお願いします。また、取りまとめに引き続き少しお時間を頂きますので、議論をお続けいただければと思います。
梶川委員、お願いします。
【梶川委員】
このプログラムディレクターというのは、どこに所属されている方なんですか。3ページ。
【説明者】
こちら、10年の事業でございまして、東京大学。今は理研に移っていらっしゃいます。
【梶川委員】
この方は研究全体に対して全体を俯瞰して、このプログラムの進捗自身をコントロールしているというふうに考えてよろしいんでしょうか。
【説明者】
はい。こちらにつきましては、運営委員会を開催いたしまして進捗管理をしているということです。
【梶川委員】
この下のオフィサーの方はそれぞれの組織におられるんですか。
【説明者】
オフィサーもそれぞれ国立がん研究センター、がんの分野、それから東京大学でもいらっしゃいます。
【梶川委員】
さっきちょっと話題があったんですけれども、この体制が普通の独法の中期目標、中期計画というような形の研究の進捗体制を、こういう立て付けが更にフォーカスされた研究成果を上げたというふうに考えてよろしいんでしょうか。普通に独法で中期計画なり何なりに書き込んで物事を進めるよりは、この体制があったからこのプロジェクトとしてより有効に動いたと。
【説明者】
こちらのポンチ絵の3ページ目に書いてございますとおり、運営委員会、あるいは拠点ごとの運営委員会を開催いたしまして、関係者、情報共有をしながら進めてまいりますし、また、関係するシンポジウムも開催いたしまして、例えば今年開きましたシンポジウムにつきましては、370名の関係者、こちらは研究者だけではなくて企業や病院などを含めたコミュニティーの形成にも広がって、そうした意見ですとか関係者の広がりによって、この事業が効果的に進められているものというふうに考えております。
【梶川委員】
その体制というのは、やはりこの予算を別に取って、運営費交付金の形ではなく整理されたということが成果としては一番大きくつながったというふうに解釈してよろしいんですか。
【説明者】
済みません、2ページ目なんですけれども、先ほども何もないところから始まったということがございましたけれども、第1期で拠点を整備し、第2期でそういった重点化をしながら方向性、目的意識を持たせながら事業を進めてきたということで、10年間の歩み、例えばFDG-PETという、がんの診断に使われているお薬があるんですけれども、それが保険適用されましたのが2002年でございます。その当時、PETの台数というのは日本で56台でございます。今、最新のものではございませんけれども、2002年に56台だったものが2011年では466台ということでございますので、先ほどの人材育成とも絡んでくるんですけれども、この事業の進展とともに、こういったPETの普及ですとか、応用の輪が広がったというふうに考えてございます。
【梶川委員】
済みません、ちょっとお聞きしたかったのは、この後、厚労省等で臨床段階とか、今、特に政府一体として動かれていくときに、この体制がどういうふうに、例えば厚労省なり臨床段階になってどういう体制で研究が進まれるという絵があるのかなということをお聞きしたかったんですけれども。連携とかっていうのはあるんですが、結局、司令塔機能というのがすごく重要だと思うんですが、その司令塔機能がどういうふうに移管していくのかなという。そこのところをどのような、今、お互いのコミュニケーションになっているかという、そこをちょっと聞きたくて、その前提として、このプログラムディレクターみたいな方が物すごく重要なのかと。だとすれば、今後、進捗に従ってどういう全体統括体制が組まれるのかということをちょっとお聞きしたかったんですが。
【説明者】
ありがとうございます。恐らく視点がこれまでのPETプローブの開発をするという視点から、例えばがんの分野では、がん研究のプログラムで活用していくということを考えております。そのがん研究の、今、創薬の事業もあるんですけれども、そういった観点からどのようにこれまでの知見の蓄積を生かすことができるのかといった視点でのこれからの運用になっていくというふうに考えてございます。
【梶川委員】
そうすると、研究体制自身についてはまだこれからの。研究を統括される司令塔機能みたいなものというのをどういうふうにお作りになっていくのかということについての絵は今後のテーマになられるんですか。今、もう大体決められているんですか。
【説明者】
がんの分野で研究をされている先生方は、がんのコミュニティーみたいなのがあって、その中でPETの研究を絡めて、要するに医薬品開発をするという、その視点が要望はされていましたけれども、PETの開発をしている先生方が余り入ってきていなかったという現状があります。今回、このプログラムで数多くのシーズがPOC取れる段階に入ってきたので、その技術を今度はがんのコミュニティーの中に実際、放医研や理研が入っていただいて、研究の基盤として、これまで組んでいなかった日本中のがんの研究者の方々とカップリングをして更に研究を進めていくという体制に持っていくことになります。その場合、そこで行われる研究は、そこの研究事業にもPDがいて、POがおりますので、そこの指示に従って動くということになるので、シーズが移譲するというようなイメージで捉えていただいた方がいいと思います。成果を受け渡していくというような形になります。
【梶川委員】
どうもありがとうございます。
【岩瀬政策評価審議官】
松浦委員、お願いします。
【松浦委員】
もうシートを出してしまったので、御質問は大体もうしました。まずターゲティングですね。選び方ですけれども、日本人にお二人にお一人ががんで亡くなるという現実がございます。というのがまず一つ。それから、もう一方のターゲットになっている認知症ですけれども、これは日本の年齢構成と非常に似ているアメリカ合衆国において、この認知症を担う、日本で言うと神経内科医、向こうではニューロロジストということになりますが、ほとんど絶望的なぐらい不足していて対応できない。というのは、神経疾患というのは血液を採取して何か分かるというものではなくて、非常に長い手間ひまを掛けて診察して、問診をして、テストをして、1人に2時間半ぐらい掛けて診療しないと診断がなかなかつかないという世界なんですね。これから団塊の世代とかがこういう病気になるときに、もう絶望的に神経内科医が足りないという話になりますと、こういうような形でもって、せめて診断だけでもこういうイメージングを使ってできれば、そこの部分は非常に飛躍的に労力の短縮になるということで、認知症に関してはそういう意味で、まず診断レベルで使えるっていうだけでも非常に意味があるということが一つ。
それから、がんに関しては、やはり転移という問題がありますね。原発巣を取っても、例えばリンパ節に転移をしていたら再発してしまうと。それに今回は御説明を見ると、抗がん剤に対してプローブを作って、ラベルして、集積したものを追跡しているということで、潜伏している転移巣があるかないかということまで分かるので、最初の段階から手を打てるということになるので、これは診断ですけれども、将来、診断だけじゃなくて、これをアレンジして抗がん剤というような、いわゆる創薬ですね、治療薬の方にも結び付く話でございますので、患者さんとしては切らずに済むのであればそんなハッピーなことはないということになりますので、そういう意味でターゲティングは非常によろしかったのだろうというふうに思います。
もう一つ、これは私の感想ですのでお聞きいただきたいんですけれども、ファンディング、運営交付金だからできなかったのかという御質問があったんですけれども、この世界というのは世界中でもう24時間研究者が競争している。というのは、ライセンスを取られたら、幾ら頑張ってもおしまいの世界なんですね。もしアメリカやヨーロッパにこのライセンシーを取られてしまうと、日本は高額なお金を払ってプロダクツを買わなければいけないという話になるので、やはり何とかしてこれを頑張ってでも、やっぱり投資対効果もですけど、スピード感というのが非常に重要だと私は認識していまして、やはりそれに対しては特定を疾患に絞ってファンディングをして加速すると。とにかく1番でなきゃいけないと。昔「2番じゃ駄目ですか」っていうのがありましたけど、これは明らかに1番でなければ今までの努力が全て無駄になるという世界ですので、やはり特別なファンディングは必要であろうと。それに非常にきちんとしたターゲティングもされているし、省庁間の連携、基礎研究は文部科学省でやられて、それをヒトに適用するためには厚労省と連携をしていますということなので、私は非常に理解をし、将来を期待するするというような感じでお聞きしておりました。
感想になってしまいまして申し訳ございません。
【岩瀬政策評価審議官】
佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】
ちょっと済みません、人材育成にこだわるようですけれども、まだお金の流れと成果が頭の中でうまく結び付いていなくて、私が理解する限り、先ほど人材育成のための支出というところで、これは基本的にはサマーセミナーであるとか、シンポジウムとか、恐らくそちらの方に使われたのかなという御説明だったと思うんですが、じゃあ、その成果はと言われますと、それは多分、修了者数ではないんですよね、きっとね。だって、それよりもより多くの人たちにそういうシンポジウムやセミナーを開いているはずなので。とすれば、このお金の使い道の成果って、本当のところどこに表れているのかなというのが一つと。
それから、やっぱり学生さんたちって一体誰なんだろうっていうのは、実際、理化研とかに研究員として入っていた人という理解で本当にいいのかっていうこと。となると、じゃあ、この岡山大学や浜松医科大の先生方は何をしていたんだっていうことになっちゃいますので、これ、どういう関係にあるのかなと。多分、研究室同士で何か関係があるのかもしれませんけど、これ、一体どうなんだということ。
それから、最後にもう一つ、関連しますけど、発表論文数ってありますが、これは誰が書かれた論文と理解するのか。最初、私、学生かなと思ったんですけど、多分、事前勉強会でも御説明があったとおり、それだとちょっと数字が合わないので。とすれば、この発表論文数というのは、連携大学の先生方が書かれたという理解でいいのか、あるいは理科研の方々が書かれたという理解でいいのか、ちょっと全体像をもう少し詳しくお教えいただければと思うんですが。
【説明者】
まず人材育成の件についてですけれども、11ページの資料に合わせて御説明をいたしますと、一番上の段にあるブルーの囲みの部分というのは、人材育成全般でどういったことについて取り組んできたのかということに対して記載をしております。実際の予算としては、だいたい5つの大学と連携をしているわけですが、一つの大学につき600万程度のお金を出しておりまして、そのお金の中でいわゆる教育コースを開講する、あるいはオープン講義を実施する、分子イメージングサマーセミナーを行う、国際シンポジウムを行うというのとまた別に、研究教育としてはマイクロドーズの試験実施指導・助言だとか、実地での訓練プログラムとかをやっているので、消耗品とかも当然出てまいります。
少し混乱をさせてしまったなと反省している部分は、いわゆる大学院課程における研究のプロセスと、実際、ある程度開けた形で人材育成を行ってきたものを混在して書いているので、それで恐らくこういった質問が出てきたのだろうと考えております。ただ、博士課程の修了者数、あるいは修士課程の修了者数というのは、人材育成を行う上での一つの数的な指標として最適であろうということで設定がされて、こういう形でだいたい達成しつつあるということで説明をさせていただきました。
発表論文数のことに関するお問合せですけれども、確かに御指摘のとおり、この104編というのは全て学生が書いたとかっていうものではございません。ポンチ絵が1枚の中に載っかっているわけですけれども、この発表論文数というのは、このプログラムに関わった全ての研究者が、このプログラムの下で挙げた成果を論文に投稿して採択された数というふうに御理解いただければと思います。この下の発表論文数と上の人材育成は分けて見ていただければというふうに考えます。
以上でございます。
【岩瀬政策評価審議官】
永久委員、お願いします。
【永久委員】
今の、例えば論文数がこのプログラムに関わった方々でこのぐらい書かれているというのが多いのか少ないのか、クオリティー的にどうなのかということの比較ができないんですよね。単純に。だから、同じような分野の論文数が全体の中でどのぐらいあって、その中でこのプログラムに関する人たちがどのぐらいの割合を占めているのかとか、それが更にどれだけ影響力のある論文だとかっていうのが分からないと、この数字だけぽこんと出されても評価できないよねっていう感じですよね。
それが一つなんですけれども、これは今の質問で思い付いたことで、松浦委員の話を伺っていて、ああいうお話を最初に伺えたらよかったかなと、僕なんか思っちゃって。つまり、知りたいのは、このことに関してこれだけお金を付ける合理性というものをきっちりと教えてほしかったんですよ。ほかの、例えば普通の運営費交付金でできないのか、中期計画の中で位置付けてできないものなのかとか、それだったらそっちでやればいいじゃんっていう話なんですけど、そうじゃなくて、1番じゃなきゃ駄目だっていう、あの場に私もいましたけど、あれはでもコンテキストが全然違うので、あの問題は本当に不幸なことになったと思いますけれども、それにしても本当に急がなきゃいけないし、きっちりと重点的にやらなければいけないんだということがきっちりと御説明いただけたらば、むしろ戦略的にここに予算をもっと付けるべきだっていうことだってあり得るはずなんですよね。そういうところを知りたかった。僕は松浦委員のお話の後に書きましたので、いささかそこでコメント変わっちゃいましたけど、そういうことを教えていただきたかったです。まあ、コメントです。
【岩瀬政策評価審議官】
佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】
これ、行政事業レビューなので、お金を使っている、そのお金に対してどんな成果があったかだと思うんです。臨床の方はPOCであるとかって分かりやすいし、発表論文数も多分、ちょっとこれだけで出てきたわけではないかもしれないので、ちょっとどうかなという部分があるんですが、やっぱりよく分からないのは、人材育成にちょっとこだわりますけど、大学にお金を使ってっいって、それがやっぱり国際シンポジウムだとかサマーセミナーであるとかオープン講義に使われたというのだったら、それに係る成果指標でないと困ると思うんですね。多分それは参加者数であり、まあ、それだけでもないと思うんですけれども、その参加された方がどんなふうな形で研究にそれから関わっていったかだと思うんですね。
恐らく、勝手に思うに、博士・修士課程の修了者数というのは、確かに、これ、関係する研究をしている学生さんたちの数だと思うんですが、明らかに大阪大学はもっとたくさん学生がいるわけですし、多分、こういう人たちは、くどいんですが、運営交付金で普通に面倒見てもらっている学生たちだと、教育を受けている学生たちだと思うので、果たしてどこまでこの予算の成果と思っていいのかと。やっぱりよく見えてこないんですよね。
ちょっとそれは感想ですけれども。
【岩瀬政策評価審議官】
田辺委員、どうぞ。
【田辺委員】
人材育成と研究のまさに拠点といいますか、これ、できたわけですけれども、今後、成果は引き渡すにしても、この分野の研究、人材育成、引き続きやっていく必要があると思うんですけれども、それについては今後どういうふうに考えておられるのか教えてください。
【説明者】
それにつきましては、第1期、第2期と進めてまいりまして、研究者のコミュニティー、ネットワークが構築できたというふうに考えてございます。したがいまして、その流れを引き続き運営費交付金、あるいは各大学、あるいは両独立行政法人の運営費交付金で引き続き維持がなされるというふうに考えてございます。
【田辺委員】
ただ、この人材育成も博士課程修了、まあ、これは両方あると思うんですけど、教育コースということで、教育コースを受けた博士課程修了者、修士課程修了者だと思うんですけど、こういうのが予算が来ないと分子イメージングの教育コースっていうのは各大学院は作らないと思うんですよね。ということで本当にいいんでしょうかというか、せっかく育成しようという拠点化を図って、5年間だけ支援して、あとは各大学でやってくださいというので本当にいいんでしょうかと思うんですけど、いかがですか。
【説明者】
恐らくどこまで行ったらいいのかという形で、ここまでというのがなかなか難しい分野だと考えてございます。確かに御指摘のとおり、お金の支援が止まった途端というのはあるかもしれません。ただ、これまでこの事業を進めてまいりましたけれども、これ、正確な数字ではないのですけれども、例えば始まった当初はPETに関わる研究をしている大学や研究機関、大体十数か所。それが現在、2倍弱の25程度だというふうに関係者の話を聞きますと、だんだんそこまで広がってきたというふうに考えてございます。もちろんこの事業だけではなくて、各大学の先生方の御努力だと思いますけれども、一定の成果は得ていると考えておりまして、引き続きその流れで取り組んでいっていただきたいと思いますし、また、我々が次に取り組んでいきたいと考えてございますのは、この成果を次につなげる。先ほども委員の先生から御指摘がありましたけれども、これがPOCの取得が全体の目的の最終的な達成するところではございませんので、引き続きそういった努力を継続していきたいと思っております。
【岩瀬政策評価審議官】
松浦委員、お願いします。
【松浦委員】
これもまた出してしまったので感想ですけれども、これ、医学部だけの努力だけでは絶対なし得ないプロジェクトでございまして、言ってみると、医薬工連携の下でないと進まないという話なんですね。例えば、PETを動かすにしても、放射線物理学のPhDが必要です、必ず。臨床物理士って日本にすごく少なくて、全国で奪い合いになっている状況で、やっぱりこれは工学部の大学院でもって、そういう放射線物理学に興味を持っていただかないと、要は学生がどこに行くかは自由ですからね。医者もそうですけれども、どの診療科へ行くかは自由だということで、やはり興味を持っていただくためには、やっぱりセミナーを開催されたんだろうなというふうに私は理解しました。
それと、やはり創薬っていう観点で、医師が創薬できるわけではございませんので、薬学の先生、そういう方々がやはりプロジェクトを組んで、そういう意味で理化学研究所みたいなところはいろいろな職種の方がいらっしゃいますから、そういう分担をしながらやられたんじゃないかなというふうに思っております。
だから、修士課程というのは、ひょっとしたら工学出身の方が医学部のマスターも出て、というようなこと、要するに工学博士が医学部の修士課程、2年間を更に出たというようなイメージで私は捉えていましたけど、まあ、そんな感じかなということでございます。
【岩瀬政策評価審議官】
それでは、コメントシートの集計が取りまとまりましたので、取りまとめ役の有川委員より評価結果及び取りまとめコメント案の提示をお願いいたします。
【有川委員】
いろいろな意見が出ておりますけれども、大きく整理すると、この事業について3点ぐらい。まず一つは、本事業の内容の整理といいますか、やや整合性が取れていない部分についての指摘。あるいは、この事業の説明責任といいますか、透明性のさらなる確保の問題。それから、この事業の効果の一層の確保をするための工夫。というような3点にある程度絞られるかと思います。
幾つか紹介させていただきますと、まず、本事業の内容の整合性、整理の必要性につきましては、PETの研究開発と人材育成の関係が不明確だと。あるいは、人材育成と、このプログラムにおける論文との関連性が曖昧だと。そういったような指摘があります。
それから、事業の透明性、説明責任に関しては、PETの産業化に向けたロードマップや、あるいは他省庁との連携が明らかになっていない。あるいは、ほかの意見としては、特別のプログラムで委託する意義を、つまり通常の運営費交付金以外のいろいろなこういう手当てをする意義をもっときちんと説明する必要があるという御指摘。
それから、事業の効果の確保に関しましては、創業、臨床段階での実施に関する責任体制等について厚労省等との連携、責任を明確にして事業を進める必要がある。あるいは、アウトカム指標の一層の工夫によって、この事業の究極の目的である治療法の確立とか、あるいは創薬プロセスの技術の確立についても、どれだけ成果が上がったかを具体的に示す必要があると、こういったような指摘がなされております。
評価の分布ですけれども、「廃止」はなくて、Bの「事業全体の抜本的改善」が1名、Cの「事業内容の一部改善」が4名、「現状どおり」が1名ということであります。
大体、どの委員の意見も、改善すべき点はあるという指摘でありますので、本委員会としてはCの「事業内容の一部改善」という結論にして、取りまとめコメントとしましても、今述べたやつの要約になって恐縮でありますけれども、「事業内容の整理を適切に行って、一層整合性のとれた事業とすること」、それから「事業の透明化をきちんと図って、説明責任を果たすこと」、それから「本事業の効果が確保できるように一層の工夫をすること」というような形でまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。
【岩瀬政策評価審議官】
ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、分子イメージング研究戦略推進プログラムの公開プロセスについては終了させていただきます。
これをもちまして、文部科学省公開プロセスの全日程を終了いたします。外部有識者の皆様におかれましては、検証作業に御協力いただき、貴重な御意見を賜り心より御礼申し上げます。
また、インターネットで傍聴された国民の皆様にも検証作業に御参加いただきましたことを厚く御礼申し上げます。
2日間、誠にありがとうございました。

── 了 ──

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-- 登録:平成26年07月 --