「独立行政法人理化学研究所の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性」における指摘事項等を踏まえた見直し内容

平成25年1月28日
文部科学省

 独立行政法人理化学研究所(以下「理化学研究所」という。)の事務及び事業については、「勧告の方向性」を踏まえ、以下の方向で見直しを行うこととする。なお、この見直しの考え方に従い、平成25年3月までの間に、理化学研究所が「科学技術基本計画」(平成23年8月19日閣議決定)の中核的実施機関として、科学技術とイノベーションを一体的に推進することにより、成長につなげる新たな価値の創造に貢献するとの考え方に立つとともに、独創的な基礎研究によるシーズ創出はもとより、イノベーションの創出に向け、研究分野の融合、組織の再編等を進める観点に立って、具体的な検討を行い、次期中期目標・中期計画の策定等を行うこととする。
 また、独立行政法人の的確な評価のためには、目標が明瞭性・客観性を備えていることが不可欠であり、中期目標の策定に当たっては、研究開発の特性に配慮しつつ、達成すべき内容や水準等を可能な限り具体的かつ定量的に示すとともに、定性的な目標とせざるを得ない場合であっても、目標の到達度について第三者が検証可能なものとなるよう努めることとする。

第1 事務及び事業の見直し

1 科学技術政策全体の中での理化学研究所の位置付け

 理化学研究所については、今までに培った人材・設備等の研究資源や財政資源を効率的かつ効果的に活用し、政府全体として研究開発の成果の最大化を図る観点から、理化学研究所の使命とともに達成すべき目標の明確化を図り、科学技術政策全体の中での役割に留意し、国家的・社会的ニーズを踏まえた課題達成型研究開発を戦略的に進めることとする。また、「科学技術基本計画」の中で推進するとされたグリーンイノベーション及びライフイノベーションについては、他の研究開発型の独立行政法人、大学及び民間との役割分担・連携を図り、理化学研究所が達成すべき水準を次期中期目標に明記することとする。

2 研究成果の社会還元の明確化

 理化学研究所の実施する研究については、課題達成のために科学技術を戦略的に活用し、その成果の社会への還元を一層促進するとした「科学技術基本計画」の趣旨を踏まえ、これまで以上に研究の成果が社会へ還元されるよう、産学官連携の下、社会的ニーズの更なる把握に努め、研究内容へ反映させることとする。また、研究成果の具体的な還元内容を国民に分かりやすい形で明らかにすることとする。

3 戦略的な知的財産の取得、活用の活性化及び効率的管理の推進

 理化学研究所の保有する知的財産については、特許の出願・維持に係る費用による支出の必要性を考慮して保有後の特許の実施化率も改善に向け不断の努力を図ることが重要であるが、理化学研究所の使命に鑑みれば、必ずしも収支の観点のみにとらわれず、我が国の技術競争力の向上等に係る特許は戦略的に取得・保持していくことが必要である。例えば、出願時においては、国内外の動向も踏まえて、価値の見極め等その必要性を厳格に検討し、特許の取得後においては、将来的な知的財産の活用の可能性の検証とともに、事業化に向けて他機関との連携にも積極的に取り組む。加えて、戦略的保持の必要性が低い特許については、特許の再評価による削減を計画的かつ継続的に行うこととする。

4 施設の外部利用の推進

 理化学研究所が保有する研究施設の外部利用については、大型放射光施設SPring-8を始めとする大型研究施設を中心として実施されている。研究施設の有効活用による我が国全体としての研究開発能力の向上の観点から、外部からの利用ニーズの更なる把握に努め、利用しやすい施設として外部利用の一層の推進を図る。また、産業界の幅広い活用の促進にも留意しつつ、同時に自己収入の拡大の観点にも留意して進める。さらに、外部からの利用ニーズに応じて可能な限り多くの研究施設へ展開していくこととする。

第2 業務実施体制の見直し

 管理部門の職員数については、研究所ごとの全職員数に占める比率にばらつきが見られるため、職員配置の更なる適正化を図る必要がある。今後、人事データベースシステムは平成24年度に、財務会計システムは平成26年度までに、それぞれシステム更改が予定されていることから、次期中期目標又は中期計画においてシステムの活用効果を具体的かつ定量的に明らかにした上で、更改されたシステムを十分に活用することにより、職員の再配置を進めるとともに、人員やコストの削減を図ることとする。

第3 業務全般に関する見直し

 上記第1及び第2に加え、業務全般について以下の取組を行うこととする。
1 内部統制については、更に充実・強化を図ることとする。その際、総務省の「独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会」が平成22年3月に公表した報告書(「独立行政法人における内部統制と評価について」)、及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会から独立行政法人等の業務実績に関する評価の結果等の意見として各府省独立行政法人評価委員会等に通知した事項を参考にすることとする。
2 毎年の運営費交付金額の算定については、運営費交付金債務残高の発生状況にも留意した上で、厳格に行うこととする。
3 1及び2のほか、既往の閣議決定等に示された政府方針に基づく取組について、着実に実施することとする。

お問合せ先

独立行政法人理化学研究所の見直し内容について

研究振興局基礎研究振興課

(大臣官房総務課行政改革推進室)

-- 登録:平成25年04月 --