スーパーグローバルハイスクール(SGH)事業の検証に関する有識者会議(第9回)議事要旨

第9回

1  日時

平成30年8月30日(木曜日) 16時~17時

2  場所

文部科学省5階 5F1会議室

3  出席者

帯野久美子委員,河村小百合委員,田代桂子委員,永井裕久委員,二宮皓委員,松本茂委員 
長尾篤志視学官,小幡泰弘国際教育課長,佐藤由郎室長補佐,矢田裕美係長

4  議題

(1)討議
  ・スーパーグローバルハイスクール(SGH)事業検証 事後評価について

5  議事録

○平成31年度概算要求資料をもとに事務局より説明がなされた。
○スーパーグローバルハイスクール(SGH)事業検証について,検証機関より説明が行われ,それをもとに意見交換が行われた。
○スーパーグローバルハイスクール(SGH)事業検証の事後評価について,資料をもとに意見交換が行われた。


【委員等からの主な意見】
○指定3年目の評価の審査項目については,アウトプットとアウトカムの区別が非常に大事だと思っている。最初に計画を出していただく際に,3年目に少なくとも「何をやったか」というアウトプットについてはきちんと確認ができなければいけない。アウトカムはもちろん3年目の段階でも把握できるように努めることが必要だと思うが,できれば,卒業生などに時間をかけてインタビューをするといったような形できちんと把握をしていかなければならないと思う。
 アウトカムについては,この事業の指定を受けたことで,入学者の層が変わってくるということはもちろんあると思うが,それではただ看板を国費で貸しているだけで,少し足りないのではないか。新しいプログラムがある学校に入って,教育の機会を受けることでどのように伸びていったかということも把握していく必要がある。

○主役は生徒だと思うので,非常に難しいかもしれないが,生徒に対する変化を捉える評価法があると,フィードバックにもなると思う。大人が良かろうと思ってやったことが実は違うということもあると思うので,生徒へのインタビューは重要なのではないか。

○1年目にインタビューをしておくことも重要だ。入学したら,自分の学校がたまたま指定されていたという生徒も実は多いのではないか。そんな中でも,やはり最初の心構えを持っているのと持っていないのとでは,同じインプットをしても最終結果が全然違うと思う。

○海外の大学への進学者だけで成果を捉えるのは違うと思う。この国が今,必要としていることとは,ちょっと違うのではないか。海外への大学進学や,海外で働くことをアウトカム的に捉えるのは一つの見方ではあると思うが,それで全て評価ができると考えるのはちょっとおかしいのではないか。

○われわれ大人の頭で固定的に考えているグローバル人材を,生徒から見るともっと多様性があって,もっと柔軟なもので,新しい生き方がグローバル人材像として描かれる,というイメージか。少し広げて人材像をしっかりと見ていくことが,深みのある日本の人材育成になる。

○SGHの事業は,「広い多様なグローバル人材像を育ててやってください」と言いつつ,他方で「海外へ,海外へ」と,それを奨励する傾向を持っていた。その中で,例えば国立の専門学科の高等学校等は,苦労をしていろいろ人材像を考えてきたというところがあると思う。だから新しくリージョナル型というのを設定されたことの意味は,非常に大きいと思う。
 ただそこで,何が一つの事業の締めくくりになるのかということだが,これが5年間の事業期間の成果ということだけで終わっていたら,「この事業が終わった。支援がなくなった。学校の人も替わった。昔はこんなに頑張ったのだけれど。」という思い出の物語になってしまうかもしれない。やはり,持続可能性をどう担保するのか,一つの事業の終わりの成果として,ぜひ示してほしいと思う。
 そのときに何が大事かというと,管理機関の役割だ。管理機関の役割についても,この事業の中では評価の対象にはなっているが,費用の使い方が適正であるかどうかとか,ややちまちましたところに関心が行っている。やはり学校は日常の教育活動で一生懸命で,なかなか5年後や10年後のことを戦略的に考えるだけの時間的・精神的余裕も資源もない。管理機関はやはり,そういう学校に地域の戦略的な期待をかけることができるのだ。管理機関がそういった事業で育っていった成果を,どう継続させていくのか,あるいは発展させていくのかという,そこでの責任が非常に大きいと思う。だからそういう点で,戦略的な発想なり視野を持って,自分の県のSGHの学校に関わっているのかどうかという点はかなり大きなことなのはないか。

○一点やはり忘れてはいけないのは,教員の意識の変化をどう見るかということだ。教員に対する研修や新しいことをやるわけなので,アクティブラーニングの在り方とか,教員が実際に参加するモチベーションとか,教員がこれに参加することによってどういうふうに意識が変化したかというところを,やはりもう少し丁寧に見ていってほしいということを,こちらから伝える必要があるのではないか。

○SGHの学校に行って一番聞くのは,担当している先生が学校の中の先生をどうまとめていくのかということだ。そうすると一番知りたいのは,始めやる気のなかった先生がこれをやることでどう変わったのか。つまり,モチベーションが上がっていった先生がどれぐらいいるのか。また,それはどういうことをきっかけにして,どういうふうにモチベーションが上がったのか。そこはすごく知りたい。
 もう一つは生徒についてだが,一つは評価方法で,学校の発表会等を見ると,各学校の取り組み方,生徒の成長,もちろん質的な面,レベル的な面といろいろあるが,違いがすごくよく分かる。やはりいい探求をやっている生徒は,自分の体験を自分の言葉でしっかり語っていく。そういうことができる生徒とそれができない生徒との差は,はっきりしている。その発表会,あるいは卒業生のインタビュー等で,自分がどのような体験をしたのかということを自分の言葉で語れるような,きちんと残っていくものがあるかどうかというところが非常に成果として大きいのではないかと思う。

○このSGHの取り組みとが,本当に全国の高校に大きな変化をもたらしたというのを実感している。全国の高校とつながらせていただいていて,SGHが牽引したもの,私が特に注目していたのは探究的な学びということだ。今度の新学習指導要領でも,総合的な探究の時間という形,それからいろいろな科目の中に何々探求というような場を生み出して,そのリーダーシップを取っていったのがSGHだったと,どこの県でも結構認識されている。その中で,その学校が地域にもたらした影響力。もちろん県教委等の頑張りもあるのだが,日本の高校生全体が上がっていくということにどう貢献してきたのかということも,成果と言えるのではないかと思う。

○教員と生徒の変化に関して,授業がどう変化したかということも見たいと思う。例えば,子どもたちにどのように考えさせるような授業をさせたか。その中で,答えが一つではなく,自分たちでその答えを考えて解決していくような授業をやらせたかどうか。先生たちが授業の変化を意識して子供たちが変化した。だから,自分たちはこういうふうにできるようになった。そこの変化を一番見たいと思う。ただ,これは評価が主観的にはなるだろうが,数多く集めることによって客観性を持たせて変化を見たい。

○SGHの成果の波及については,決まったパターンとして,ホームページとかいろいろなことがあるが,もっと具体的に効果があるのではないか。例えば地域の高校が中心になって,そこに関連する中学校に訪問して成果発表をしたりするということは,広がりという意味では,とても大きな影響があると思う。これをもっともっと推奨したら良かったのではないか,さらにそれを中学校だけではなくて小学校まで足を伸ばしたら,もっとこの効果は大きいのではないかと思うので,事後の評価に組み入れられたらいいのではないか。

○授業を変えることが実際にできたのかどうか,といった時に,できましたという成果は目に見えた数字で出てくると思う。しかし,「できなかった。かなり困難だった。辛かった。」という声が,恐らく成果という話だけになると,絶対に出てこないと思う。「どこが困難だったのですか」「どういうところに問題点がありましたか」「これはどこら辺までしか行きませんでした」「その要因は何だと思いますか」とか,そういうようなところまでやらないと,「ああ,よくできましたね」「数値としていい数字ができましたね」と言って終わりそうな感じがする。全国の高校の先生は,やはり苦労をしてやっていると思うので,その苦労も拾ってあげてほしいと思う。

○最後に、事務局より今後の開催スケジュールについて説明があり、閉会した。

以上

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