スーパーグローバルハイスクール(SGH)事業の検証に関する有識者会議(第2回) 議事要旨

第2回

1 日時

平成30年3月13日(火曜日)15時~17時

2 場所

国立大学法人筑波大学文京キャンパス 4階 432会議室

3 出席者

帯野久美子委員、萱島信子委員、河村小百合委員、永井裕久委員、二宮皓委員、松本茂委員
長尾篤志視学官、小幡泰弘国際教育課長、鈴木慰人課長補佐、矢田裕美係長

4 議題

(1)SGH事業の成果の把握に関する現状と課題について

(2)ヒアリング(4管理機関)

  • 長崎県教育委員会 <地域の特性を生かした取組等>
  • 京都府教育委員会 <企業連携等の取組等>
  • 学校法人創価学園 <探究型総合学習や海外大学連携等の取組等>
  • 国立大学法人筑波大学 <海外フィールドワークやインドネシア語講座、特徴ある取組等>

(3)自由討議

5 議事録

○事務局より、本有識者会議の公開について、議事概要・配付資料を原則公開することの確認が行われた。

○座長より、第1回スーパーグローバルハイスクール(SGH)事業の検証に関する有識者会議の議事要旨について確認が行われ、委員により承認された。

○事務局より、資料1「論点メモ」について説明が行われ、政府委員として行政事業レビューを担当した河村委員より、資料2「平成29年度秋の年次公開検証等(秋のレビュー)の取りまとめ」、資料3「秋の年次公開検証等の指摘事項に対するフォローアップ」、参考資料4「行政事業レビューシート」に基づいて説明が行われた。

○資料3「ヒアリング対象管理機関資料」に基づき各指定校管理機関より説明が行われた後、質疑応答を経て、以下のとおり意見交換が行われた。


【委員からの主な意見】

○グローバルリーダーという言葉は考えた方がよい。グローバルリーダーという言葉からイメージするのはトップのエリート校ということになり、首都圏、関西圏というふうにイメージしがちで、地方におけるグローバルな視点で考えられる人材とどうしても結び付かない。世界を牽引する人材育成か全体の底上げかという議論にも重なるかもしれないが、グローバルリーダーという求める人材を今後どうするのか。

○国際的に将来活躍できるグローバルリーダーを高等学校段階から育成するという目的の下にできた事業である。次に向けてグローバルリーダーという言葉は、トップレベルで世界中で活躍し引っ張っていくような人物だけなのか、もしくはその地域でグローバルな視点をもって地域を引っ張っていくリーダー、または農業や観光など様々な分野でのリーダーという考え方もあるのではないかということも、この会議の中で議論し整理していただきたい。

○アウトカムもアウトプットの指標も、初年度の指定校平均値という形で目標値を定めているので、やはり国としてこの事業の結果として、どこまで目指すべきかということもしっかり考えていかなければいけないのではないかということも、この会議の中でご指摘いただきたい。

○SGH事業で重要なのは学校が開くということだと思う。SGH大会実施、他校との連携、中学校への出前、企業との連携など、今までクローズだった高校が開いたということがSGHの成果として重要だと思っている。もう1つは、専門学科をつくるというようなカリキュラムをつくっていくということが成果として挙がっている。「学校が変わった」ということについて評価してもらわなくてはならない。

○グローバルリーダーか、それとも幅広い底上げかという点については、二項対立的に選ぶものではなくて、両方とも必要、もしくは関係していることではないかという気はずっとしている。ほぼ全ての子どもたちが高校に行くわけだから、地域社会の中で生きていく高校も重要。さらにいえば、今、地方でも大変グローバル化が進んでいて、労働力でも海外の人がたくさん生活しているし、難民をどう引き受けていくかといった問題も国民が考えなくてはいけない。そういう意味では誰かだけがグローバル化すればいいという世の中ではなくなっている。

○非常に優秀な学校は世界で戦っていける、日本を引っ張っていけるグローバルリーダーを育てていただきたいけれども、地域社会でしっかりとした人材を育てていくような高校もやはりグローバルな視点を取り込んでいかないといけないのではないか。この事業についてどちらかだけを目指すというやり方もあるかもしれないが、それに該当しないところは別の手だてを講じるのかどうか。そこはある程度両方あってもいいのではないか。

○この事業で2通りあってもいいのかもしれないのが、そうすると指定の仕方が違ってくる。徹底的にこのリーダーというものを引っ張るなら特定の学校に継続的にお金を投入していくことになるだろうし、全体としてやっていくということであれば、特定の学校だけではなくある程度回すとか、あと特定の学校を指定するとしてもその特定の学校が他の高校にも効果を広げるような形の取り組みができるか否かなど、そういうことを考えていかなくてはいけなくなるのではないか。やはり目的に則して指定の仕方とか、成果をどこで見るかなどは違ってきてしかるべきではないか。

○経済におけるグローバルリーダー、グローバル人材というのは決して現地の人たちをリードして仕事をするような管理者だけではなく、例えばインドネシア人のボスの下でどう働くか、韓国の企業でどう働くか、グローバル人材というのはそういうもの。グローバル人材というのは決してリーダーだけではないということを認識しておかなければいけない。地方創生とグローバルのところで葛藤がある。グローバルリーダーという定義の方が非常に厳しいのではないか。

○高校の場合はグローバルリーダーシップ教育あるいはシチズンシップ、そういう教育の方が合っている。この改革は先生の再教育プログラムでもあり、先生たちが海外へ出ていくとかいろいろな企業との付き合いが始まったなど、普通の先生では体験できないことをやっている、そういう先生のダイナミックさというか、その教育成果を見せなくてはいけない。

○高等学校においては、学年を進める毎に対象生徒を絞っていくカリキュラムになっているところもある。それぞれ進路もお互い違うので、そういう意味では上手に絞っていっている。その辺りをSGHとしてはどのように考えるべきかという、SGHの本当のターゲットについてはもう少し議論しないといけない。

○国の税金を使ってやるべきことはいったい何なのか。グローバルなマインドやグローバルなことへの、あるいはイシューに関する知識、理解をきちんと深めた子どもたちを育てようということは学習指導要領の範囲内でできる。しかし今、それをあえてカリキュラムの枠を外し、補助金を使って開発している。国費を投じることについてもこの会議において、整理整頓してもらいながら意味を探っていただきたい。

○高校が社会に開かれた形になっていかないと駄目。企業とのつながりができる、海外とのつながりができる、その後押しをする。それで国費の投入は一切駄目ということはないと思うが、秋のレビューの主計局との議論でも言われるようにずっとエンドレスで同じところに出し続けるというのはなかなか難しい。

○事業継続のため各指定校がいろいろ工夫しているという話があるが、例えば地元の経済界の方の協力や青年海外協力隊のOBの活用など、学校を後押しする機運を盛り上げていくことが大事。同窓会の力などを駆使している学校を、国全体が応援する機運をどう盛り上げていくか、そういう設計のところもできれば議論して盛り込みたい。

○青年海外協力隊にも現職教員の参加制度があり、帰ってきた人たちの教員採用等についても役所等も相談しながら行われているが、高校が開かれたものになるため、色々な仕組みなども活用しながら手助けするというのは、誰がどういうふうにやるかという点は考える必要があるが、重要な視点だろう。

○社会に開かれたという点で、企業連携にしても地域の特性もあるため、広域的に一つの高校が挙げた成果を共有する方法に関しても、例を探り、訴えられれば非常に有意義なことだ。

○大学版でグローバル人材育成を最初にやっている経済社会の発展を牽引するグローバル人材の育成事業はちょうど5年たっている。そのときに最初に何の条件をお願いしようかという中で多摩大学の学長の寺島実郞先生が、特定の大学が採択されるわけだけれども、他の大学の学生も参加できるような条件をきちんとお願いしたらどうかと言われたのを思い出した。あるSGH校の海外研修に他のSGH校の生徒が参加できるというようなモデルづくりについても、議論に入れてほしい。

○事業検証の基準で大きく3つ重要なことがある。1つは、これまでのプログラム開発を通して蓄積してきたノウハウをどういうふうな形で形式化するかということで、長崎東高校の国際科や鳥羽高校のグローバル科という学科開設は一つのシステムではないかと考える。2つ目は、前回の有識者会議でも発言したが、各学校のSGHの特徴的な取組により、新入生の質的な変化というのが1つのアウトカムかと思う。3点目は、持続性、継続性ということからすると、国からの支援だけではなくて、やはり自助努力、自走できるようなプログラムをつくるというのが大事。

○最後に、事務局より今後の開催スケジュールについて説明があり、閉会した。


以上

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