文部科学省における国際戦略(提言) はじめに

 今日の経済・社会のグローバル化の進展の中で、我が国が今後とも世界から「品格ある国家」として認識され、信頼を得つつ発展するとともに、知的存在感を保持しながら成長を遂げていくためには、我が国の20年、30年先の長期的将来を見据えた国家ビジョンを確立する必要がある。そして、そのような国家ビジョンを確立していく過程においては、人材の育成こそ国家の根幹であり、それを通して国際社会の中で経済力などのハード・パワーを発展・充実させるとともに、科学技術や学術研究、芸術文化・文化財、生活文化や生活様式といった日本文化の魅力などのいわゆるソフト・パワーをいかに増強していくかを考えることが肝要である。このような観点から、我が国のソフト・パワーの源泉ともいうべき、教育及び科学技術、学術、文化、スポーツを所管する文部科学省が国際戦略を明確にすることが重要である。

 文部科学省における国際的業務は、ともすれば各部局の所管する分野ごとに個別に決定された方策に基づき行われる傾向にあり、文部科学省としての統一的な国際戦略を欠いている。このような認識のもと、「文部科学省における国際戦略検討会」を発足させ、有識者の委員から、我が国のあるべき国家ビジョンを確立するという視点も含めて幅広く貴重なご意見をいただいたところである。ここに、これらのご意見をとりまとめ、文部科学省における国際戦略としてとりまとめた次第である。

 この国際戦略においては、グローバル化時代を迎えて世界が21世紀の新しいパラダイムを求めている、かつ、世界大競争時代の中において、我が国の国際競争力を強化するためには、どうあるべきかに視点を置いている。この国際競争力を強化するためには、その担い手となる国家の根幹たる一流の人材の育成及び確保が不可欠である。また、我が国のハード・パワーである経済力を強化する一方で、ソフト・パワーの増強に努めることにも視点を置いている。さらに、地球温暖化などの世界的課題を解決するために我が国が国際社会において果たすべき役割、並びに我が国とアジア諸国とのパートナーシップの強化という観点も取り入れている。

 今後、この国際戦略が文部科学省の国際業務の指針として、幅広く活用されることを期待するものである。

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