教育交流のためのソウル宣言(仮訳)

日中韓教育協力のためのソウル宣言(仮訳)

我々、大韓民国・日本・中華人民共和国の教育大臣は、2016年1月30日、第1回日中韓教育大臣会合に参加するため、韓国・ソウルに集まった。

日中韓教育大臣会合は、2015年11月1日に韓国・ソウルで行われた第6回日中韓サミットの際、3か国の首脳が、3か国の相互理解と共栄の促進における教育の重要性を再認識する中、立ち上げが決定されたものである。

日本国文部科学大臣及び中華人民共和国教育部長は、議長国である大韓民国の副総理兼教育部長官による本会合の立ち上げ及び主催への尽力に感謝した。

我々は、3か国が教育分野での協力を深める事が、近しい隣国としてコミュニティの精神を共有する中で、地球規模の平和と繁栄に貢献する創造的人材を育むために必須であるという共通認識に達した。

以上を念頭に、我々は以下の事項を決定した。

1. 日中韓の教育分野の一層の協力に向けた基盤構築

1-1. 我々は、日中韓の教育分野における協力を発展させるための方策を探るため、日中韓教育大臣会合を毎年開催することを決定した。

1-2.  我々は、日中韓三国協力事務局(TCS)が日中韓教育大臣会合に参画することを歓迎し、3か国の教育協力のために、TCSと密に協働していく。

2.  創造的人材の育成に向けた教育分野の協力の拡大

2-1.  我々は、それぞれの国の異なる文化や生活様式を体験する機会を提供することにより、3か国の若い世代の人々の間で相互理解を促進することの重要性を再認識した。これを念頭に、我々は3か国の官民で行われる若い世代の交流を拡大・振興することを決定した。

2-2.  我々は3か国の初等中等教育段階の児童・生徒間の交流を促進し、「1000 School Hands Together among Korea, China, and Japan(日中韓の1000の学校が共に手を取り合おう)」のスローガンの下、一層の協力に向けて交流を支援していくことを決定した。

2-3.  我々は、3か国の大学生に対し、人権の尊重、貧困の根絶、環境保護、文化財や持続可能な発展の促進といった世界規模課題に対する共同の責任を認識する機会を提供する目的で、3か国の大学生による交流プログラムを創設することを決定し、スキーム、内容及び持ち回り開催等プログラムの詳細については、今後さらに協議をしていくことで合意した。

2-4. 共栄と密接な協力の基盤としての相互理解の重要性を認識し、我々は、3か国間の互いの言語を学ぶことの重要性について共通認識に達した。

2-5. 我々は、3か国の経済発展を推進する将来の人材を輩出するために、職業教育及び起業家教育の分野における更なる協力の可能性を追求する。

3.  「キャンパス・アジア」プログラムの拡大を通じたアジア高等教育圏確立の促進

3-1. 2010年の日中韓サミットのフォローアップで2011年よりパイロット的に実施されており、3か国の学者・学生の交流、ダブル・ディグリープログラム及び共同コースを拡大してきた「キャンパス・アジア」プログラムを賞賛し、我々は、2016年9月に本格実施が開始される本プログラムに対し、財政支援を拡大していく意思を表明した。

3-2.  我々は、3か国の大学生が交流しやすい環境のために法的、組織的、手続的な基盤整備のための協力を継続するとともに、3か国の高等教育における質の保証についてより重視し、協力を強化する。

3-3.  長期的展望として「キャンパス・アジア」プログラムがアジア地域一帯に広がることを願い、我々は、その実現可能性についてさらに議論をしていく。

3-4.  キャンパス・アジアの枠組に加え、我々は3か国の大学間のネットワーク作りの機会及び協力強化のための中核的な協議メカニズムとして、日中韓学長会議の設立を歓迎し、開催時期及びホスト大学等の詳細については大学間で今後協議されるが、2016年に韓国が主導して第1回の会議を主催して、様々なテーマの下にこの集いを継続的に促進することに合意した

4.  世界の教育の向上に向けた日中韓の協力の強化

4-1.  人類及び世界の持続可能な発展にとっての教育の重要性を再確認し、我々は2014年11月のESDに関するユネスコ世界会議における「あいち・なごや宣言」、2015年5月のユネスコ世界教育フォーラムにおける仁川宣言をはじめとした「Education 2030フレームワーク・アクション」、2015年9月の国連持続可能な開発サミットにおける「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の採択を歓迎する。

4-2.  地域及び世界の教育の発展における日中韓の教育協力の重要な役割を認識し、我々は、特にASEAN+3、EAS、そしてASEMを通じた多国間パートナーシップへのコミットメントの強化を確認した。

4-3.  我々は、韓国にて開催予定の2017年ASEM教育大臣会合の成功のため、密接に協力していく。

我々は、第2回の日中韓教育大臣会合が2017年に日本で開催される事を歓迎した。

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-- 登録:平成28年02月 --