外国人学校の保健衛生環境に係る有識者会議(第1回)議事録

1. 日時

令和3年6月2日(水曜日) 11時00分~12時30分

2. 場所

Web 会議システム(WEBEX)

3. 議題

  1. 運営規則の決定について
  2. 外国人学校の現状について
  3. 今後の検討事項等について
  4. その他

4. 議事録

【事務局】
 本日はお忙しい中,御参集いただきありがとうございます。定刻となりましたので,ただいまより,第1回「外国人学校の保健衛生環境に係る有識者会議」を開催いたします。本会議の開会にあたり,文部科学省大臣官房国際課長の氷見谷より,皆様に御挨拶申し上げます。

【氷見谷国際課長】
 このたびは皆さまお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。文部科学省大臣官房国際課長の氷見谷でございます。今般の新型コロナウイルス感染症が外国人学校においても様々な影響を与えている状況の中で,外国人学校における保健衛生環境について検討するための会議を立ち上げさせていただいた次第です。新型コロナ感染症の状況も踏まえ,第1回会議はオンラインでの開催となりましたが,6月にもう1度,7月以降にも月に1回程度集まっていただき,その過程において,例えば,中間的な取りまとめを行うことができれば有り難いと考えているところでございます。この検討会の議論の中で出てきたことについて,特に新型コロナ感染症対策に関連するもの,速やかに取り組めるものについては,すぐにでも取り組んでいきたいと考えております。
 ただ,後ほど説明させていただきますけども,行政として新型コロナ感染症対策を行っていくことや,子供たちの健康環境等について取組を行う中で,特に無認可の学校に対して,私どもは何がどこまでできるのかというところを,非常に難しく感じております。御案内の通り,憲法上の制約もございます。そういった中で,非常に難しいところもあるのですが,何ができて何ができないのか,また,学校の規模も非常に様々ございます。特に経営リソースが少ない規模の小さい学校におかれては,その限られた中で何を優先して取り組んでいただくのが子供たちにとって健康環境を守っていく中で大事になるのか,そういったことについて忌たんのない意見を頂き,子供たちの環境が着実に前に進めるように私どもとしても取り組んで参りたいと思っております。皆さまには本当にコロナ禍で忙しい中で御協力を賜りまして恐縮ではございますが,活発な御議論をいただければ大変有り難いと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。

【佐藤座長】
 ありがとうございます。それでは早速議題の1「運営規則の決定について」から入っていきたいと思います。事務局からまずは資料の1と2について,説明をお願いします。

【事務局】
 まず資料1について,有識者会議の開催について定めているところでございます。有識者会議の趣旨でございますが,我が国に在留する外国人の子供は増加傾向にあり,その中には,専ら外国人の子供の教育を目的としている施設(以下「外国人学校」という。)に通う子供たちも存在し,このような状況において,新型コロナウイルス感染症に対する対応を含め,我が国に在留する全ての子供の健康を確保するという観点から,子供の集団生活を前提とした外国人学校における保健衛生の確保の在り方について検討を行う有識者会議(以下「有識者会議」という。)を開催することとさせていただいております。
 また,検討事項についてですが,外国人学校における保健衛生面での課題とその改善に向けた方策について検討いただくことを考えております。実施方法につきましては,先ほど御紹介させていただきましたが,こちらに掲げる委員をもって構成することとし,必要に応じて,委員以外の協力を得ることができることとさせていただいております。その他の点は事務的な内容でございます。
 資料2については,今回の議事において決定いただくものとして案とさせていただいておりますが,「運営規則について」でございます。まず会議の公開については,第1条に規定しておりますが,会議は,公開して行うものとし,ただし,個人情報を含む事項を扱う場合その他正当な理由により非公開とすることが適当と認める場合は,会議の合意を得て非公開とすることができるとさせていただいております。
 また,会議の傍聴については第2条に規定されておるとおり,事務局の定める手続により登録を受けなければならないこと,会議の合意を得て退場を命ずる等適当な措置をとることができること等を定めております。第3条は会議資料の公開についてですが,会議において配付した資料は,公開するものとしております。ただし,個人情報を含む事項を含む場合その他正当な理由により非公開とすることが適当と認める場合は,資料の全部又は一部を非公開とすることができるとさせていただいております。第4条は,議事録の公開についてであり,会議の議事録を作成し,公開するものとさせていただいております。公開することにより公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認める場合等には,事務局は,会議の合意を得て当該議事録の全部又は一部を非公開とすることができるとさせていただいております。その他は雑則として定めております。以上でございます。

【佐藤座長】
 資料2は運営規則として,公開について定められておりますが,何か御質問等ありますか。よろしいでしょうか。それでは運営規則については案の通り決定したいと思います。運営規則のとおり会議は公開で実施しますので,ここから先は傍聴者も御覧いただけます。事務局は,会議の配信を開始してください。

【佐藤座長】
 それでは,議題2の「外国人学校の現状について」に移ります。事務局から資料3の説明をお願いします。

【氷見谷国際課長】
 それでは,氷見谷から資料3の説明をさせていただければと思います。外国人学校の現状についてということ,併せて新型コロナ感染症対策の取組につきましても御説明させていただきたいと思っております。
使います資料は,資料3と,併せて参考資料の1,2,3,4,5も適宜使用して進めさせていただきますので,御用意いただければ大変有り難いと思います。それでは,まず資料3に基づきまして,こちらを中心に御説明させていただきたいと思います。
 資料3,専ら外国人の子供の教育を目的としている施設につきましては,概要にございますように,外国人のお子様で,現在日本に滞在されているお子様には,日本のいわゆる学校教育法1条に定める学校に日本人のお子様と同様に通っていらっしゃるお子様もいらっしゃいます。これが10万人ぐらいいらっしゃることになろうかと思いますけれども,そら以外に,専ら外国人の子供の教育を目的としている施設で教育を受けている者も存在しているというところでございます。
この専ら外国人の子供の教育を目的としている施設の類型としましては,一つはそういった学校教育法1条に定める1条校の学校がございます。また,各種学校として知事認可を受けている学校もございます。また,それら以外に,無認可で実際にそういった子供たちのための教育をしていらっしゃる施設も存在するというところでございます。
 そのうち各種学校の認可を受けた外国人の学校というのが128校,下のグラフでいうと赤い方です。赤いところのグラフにあります128校で,2万7,000名弱の方が令和2年5月の段階ではいらっしゃったというところでございます。これらは学校法人立,準学校法人立のものが多いのですけれども,株式会社立ですとか,その他公益財団法人ですとか社団法人等が設立されている例もございます。
 無認可のところにつきましては,ここが私どもとして非常に課題意識が強いところですけども,基本的には無認可ですので,行政にあまり情報がないというところがございまして,私立学校実態調査により都道府県で何らかの把握をしていただいている学校というのが約30校あるということでございます。それ以外に国際的な評価機関の認定を受けている学校が約26校あるというのも分かっております。ブラジル大使館等々との連携の中において,各種学校認可を受けてないものの中でも,ブラジル政府認可の学校が6校ございます。
 また,こちらは後で御説明させていただきますが,我々がメルマガを昨年の秋から配信しておりまして,このメルマガに登録のあったところが6施設あります。ただ,この6施設については,メルマガに登録いただいているというだけであって,それ以上の情報は我々としては持ってないというところでございます。
それら以外にも多分あるのであろうというお話は伺ってはいるのですけれども,我々としてはそれがどのくらいの規模なのか,どのくらいいらっしゃるのか等については,把握できてないところがございます。これが,いわゆる施設側に着目した概要となります。
 こういった学校に対しまして,文部科学省として,特に支援という観点から,新型コロナ感染症にも絡みますので若干御説明させていただきますと,3ページの左下にございますように,法人税や所得税について,各種学校認可を受けているところについては対象となり,非課税処置がございますし,また,設置においても,弾力的に学校の認可においては取り扱ってほしいという形でのお願いをさせていただいています。
新型コロナウイルス感染症対策のための取組という観点から申しますと,この資料3の右側の取組というところになります。これは参考資料1にあります在留外国人支援策,政府全体の支援策を取りまとめた資料でございます。この政府全体の支援策は,参考資料1にあります全体の施策に沿った形で,取組をさせていただいているところでございます。
 参考までに,政府全体の取組につきましては,参考資料1の2ページ目にありますように,例えばホームページで多言語による様々な情報の発信をしています。これは教育に限らない話ですけども,様々な形で在留外国人の皆様に対して情報の発信をしっかりやっていくというのが政府全体としての大きな流れでございます。
 こういった流れも受け,私どもとしての取組ということで,公立学校に配らせていただいております通知につきまして,それを各種学校の方々には都道府県を通じて出させていただいています。これを通じて,各種学校の方々につきましては通知等もしっかり出させていただいております。また,各種学校の認可を受けたところにつきましては,感染症対策の保健衛生用品の購入についても補助を,例えば消毒液や体温計といったものについては購入の支援もさせていただいております。
ただ,特に,先ほど申し上げたように,無認可のところにつきましては,都道府県を通じた情報の提供もなかなか届きにくいというところもございます。また,必ずしも日本語等で行政文書等をそのまま出していてもなかなか理解が進まないこともあるのではないかというところもございまして,外国人学校向けに感染症の情報を提供する,やさしい日本語でのホームページを,まずは昨年の秋に開設させていただきました。
 それと同時に,外国人学校で情報提供を望まれるところにつきましてはメールマガジンを,参考資料5にありますような形で,日英両言語で今のところ発出させていただいております。皆様のコロナ対策等々に役立ちそうな情報について適宜発出させていただいています。
そういった中で,学校向けの衛生管理マニュアルについても,参考資料2にございますとおり,英語やポルトガル語など多言語化をさせていただいて,これをメールマガジンでも配信し,ホームページからも提供するという形で学校の現場に届けるという,情報の提供を中心に取組をさせていただいております。
 ただ,我々としては現実として保健衛生環境の実態についてなかなか把握ができていないというところがございまして,資料3の2ページにございますように,今現在それぞれの学校の衛生環境の実態について,私どもには当然権限がございませんので,任意ということでございますけれども,調査をさせていただいております。日本語,英語,ポルトガル語で,私どもが何らかの把握ができた学校につきまして,自治体の御協力も頂きながら,現在調査票の回収を進めている状況でございます。
調査の結果につきましては,できれば第2回にはその御報告をしっかりさせていただけるように,鋭意回収と取りまとめをさせていただいている状況でございます。
 具体的な調査項目としましては,新型コロナウイルス感染症に係る対策,どういったことをどういった状況で何をされたのかというようなこと,あわせて,一般的な保健衛生等における状況,例えば保健室があるのかですとか,健康診断をされているかというようなこと,他にも,各学校での取組事例というようなものについても併せて聞かせていただいているというところでございます。そういった中で少しでも把握につながればと思っております。
 資料3の説明は以上でございます。

【佐藤座長】
 氷見谷課長,ありがとうございました。それでは,資料3に基づき説明を頂きましたが,皆様から御質問,御意見等はございますか。何なりと結構ですのでお願いします。ではここまでよろしいでしょうか。
 1番目の外国人学校の状況,概要についてお話しいただいて,次に新型コロナウイルス感染症対策の取組が如何に行われているのか,そして資料3の2枚目に記載されている実態調査が5月24日までということですので,次回までにはこの結果が上がってくるということです。次回にはこの結果の報告を頂きながらの議論が行われますが,取りあえずこういう調査をしているということを御報告いただきました。
委員の皆様には,事務局から事前にお願いされたかと思いますが,議題3「今後の検討事項について」御意見を頂く予定にしています。御意見を踏まえて全体的な議論をしていければと思いますので,次に移らせていただきます。
 それでは,議題3の主な検討事項に移ります。
 まず,事務局から資料4について説明をお願いします。その後,各委員から,お一人3分程度で御発言いただければと思います。私の方から名簿に沿って指名させていただきますのでお願いします。それでは,まず事務局から資料4について説明をお願いします。

【氷見谷国際課長】
 それでは,氷見谷から資料4につきまして御説明させていただけたらと思います。主な検討事項ということで,取りあえずの案を示させていただいておるものでございます。これは現段階のものということで,まずはお示しさせていただきました。必ずしもこれだけをやるというわけでもなく,これに沿ってやるということでもなく,こういったことで如何かということで,現段階での我々の課題を踏まえて案として作成させていただいたところです。今後の皆様の御議論によって,様々検討事項については追加や変更もあろうかと思いますけれども,私どもとしては,今ここに挙げさせていただいたことについて御議論いただけると大変有り難いと思っておるところでございます。
 検討事項としましては,全体としては6項目挙げさせていただいております。1つ目の大くくりとしましては,保健衛生に係る現状についてでございます。この現状については,現状把握の方法について,正直全てのところにまで届いてないのだろうなということを日々悩みながらやらせていただいているところがあり,この項目をまずは置かせていただいています。私どもとしましては,少しでも多くの学校の保健衛生の現状について,特に無認可の学校について,どうやったら把握できるだろうかというのが,非常に悩みながら行っているというところがあって挙げさせていただいています。
 2つ目が,今回は概況的なところを調査させていただきましたけれども,必ずしも専門家の方々から見て項目が十分ではないというところがあるかと思っております。また,この調査につきまして,今年,今回初めてやらせていただきましたけれども,場合によっては定期的にやってもいいのかもしれないと思っており,その際にはどういったことを聞かなければいけないのかということですとか,こういった調査について負担に思われるところもあるかもしれませんので,そういったところも念頭に置きながら,何をどう把握していく必要があるのか,また,調査結果を皆様方に共有させていただく中で,調査結果の分析というところについてもしっかり御議論いただけると大変有り難いと思っております。
 3番目が,現状の把握につながる話としまして,現在の情報提供のルートについては,先ほど申し上げたように,各種学校におきましては知事部局が基本的には情報の窓口になっていただいているというところがあります。また,大使館に我々はアクセスが比較的容易にできますので,大使館の御協力いただける範囲で情報等を頂いているというところがございます。ただ,それ以外について,こちらの想像というところもございますけれども,いろんな関わり方,情報を持ってらっしゃる方がいらっしゃるのだろうなと思っておりまして,そちらとどういった形で私どもとして連携が取れるのか。また逆に,学校が自身の保健衛生を考えるに当たって,どういった形で地域において,行政を含めたネットワーク化というのが望ましいのかというところでございます。
 皆様御案内のとおり,各種学校につきましては,市町村は設置認可権限等の関係で,必ずしも権限があるわけではないのですけども,結局例えばクラスターが起きるということになりますと,どうしても市町村の保健所がそこの学校に対しての指導等を実際にはやっていくことになります。事業所という観点からすると,どうしても市町村が関わらざるを得ません。また,クラスター等が発生すれば,当然御迷惑がかかるのはその市町村の近隣の方々で,住民との関係というのもございます。そういった中で,市町村なり身近な行政主体との関係性をどのように考えていったらいいのか。権限関係がある中で難しいところもございますけれども,できる限り,何ができるのか,できないのかという整理につながるというところもございまして,その現状把握を手掛かりに何か考えていけないかというのが3番目でございます。
 それを踏まえた上で,2番目でございます。私どもが情報提供を先ほどさせていただきましたが,何か重要な情報等があった場合については速やかに情報提供できるようにということで,職員が夜遅くまでメルマガを書いて情報提供をさせていただいているという状況がございますけども,それがどの程度,現場の方々からは有効なのかというようなこと。また,今,私どもがさせていただいている以外にどういった支援策というのが考えられるのか,状況の改善につながるようなことがあるのかというようなこと。また,それをやるに際しても,やはり行政とその学校だけという関連性の中だけでは難しいと思います。その学校の健康安全環境を期待していく上で,サステナブルにやっていくためには,どのようにステークホルダーの方々と連携していくことが望ましいのかと。これはお願いベースの話になると思いますので,なかなか難しいところもございますけども,どういったことが望ましいのかというようなことについて御議論いただき,また,そういったことを提示する中で,グッドプラクティスということで取り組んでいただく学校が増え,また我々もそれについて取り組んでいくということになれば,1校でも1人でも,環境の改善につながるのかなという思いもございまして,挙げさせていただいております。
資料4につきましては以上でございます。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。資料4で大きく6つの論点が挙がっています。これに沿いながら,あるいはまた,今,氷見谷課長から別の論点を出していただきたいというお話も頂きましたし,今日お集まりの委員の方々,多様な専門性をバックにしていますので,いろんな立場から御意見をお願いします。
それでは最初に,浅野委員からお願いできますか。よろしくお願いします。

【浅野委員】
 浅野でございます。学校において学校保健の中核を担っております養護教諭の立場から参加させていただいております。
新型コロナウイルス感染症については,文部科学省から出されております学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルにのっとって対策を進めております。刻々と変化する現状に応じて,新しいバージョンがタイムリーに届くことに大変感謝しております。ただ,外国人学校において,そういう情報が届いているのか,存在すら知らない学校等があるのではないかということを心配しておりました。外国語に変換されるなど様々な工夫がされているということを聞いて安心しましたが,やはりそれでも無認可の学校等に届いているかなど,まだまだ情報提供の仕方に工夫が必要なのではないかということで,そういったこともここで皆さんとお話合いをさせていただければと思っております。
 次に,その情報を受け取って,その後具現化するためには,養護教諭が専門性を発揮して中心になり,管理職のリーダーシップの下,関係機関と連携を取りながら対応しておりますが,そういった体制も取られていない学校等があるのではないかと懸念しております。
 また,保護者の協力・連携ということも大切ですが,いろいろな文化の違いもあるでしょうから,そういったことも心配されますし,衛生管理だけでなく,心のケア,子供たちや保護者の不安,誹謗中傷などもありますので,そういったこともやはりここには含まれてくるのではないかと思っております。
 最後に,対策には資金が必要ということで,国からは予算措置をしていただいて,大変現場では助かっておりますし,引き続きお願いしたいと思っております。そういったことがどのようにされているのか,そこが難しい問題ではないかと思っております。まずは実態を把握する意味で,調査結果が待たれるところです。
以上です。よろしくお願いいたします。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。情報提供の仕方,実際に具現化するための体制づくり,心のケアの問題,それから財政措置といった問題を提起していただきました。特に心のケアの問題は非常に大事ですよね。これは是非取り上げていきたいと思います。どうもありがとうございました。
続きまして,オチャンテ委員,お願いできますか。

【オチャンテ委員】
 オチャンテです。私は三重県の伊賀市というところに住んでいるのですが,私の周りにいるお母さんたち,ブラジル人学校に子供たちが通っているお母さんたちに簡単アンケートをとりました。その中で皆さんが多く挙げたのは,いろいろな課題がございますが,例えば特別支援が必要とされている子供たちの支援・指導ことと,あともう一つ大きく挙げられたのは,やはり距離で,通うのにすごく時間がかかるという点です。
 三重県の伊賀市にいるのですが,伊賀市にはブラジル人学校はありません。そうすると,そこから一番近いところは鈴鹿になるので,車で1時間ぐらいの距離を毎日子供たちが通うことになります。そうすると,やはり移動をする,市が違うところに行ったりする。この自粛期間には移動はあまりしないようにということも言われているのですけど,やはり特にブラジル人学校の一つの特徴として,周辺の様々な地域から子供たちが集まります。また,ケースによっては県をまたいでの移動というようなこともある。多分それが一つの大きな特徴だと思います。
 子供たちは遊びに行っているわけではなく,学びに行っているわけです。学びにほかの遠いところに行かなければならないというのは,お母さんたちとしての一つの大きな不安が挙げられています。ブラジル人学校に通う子供たちの中には,なかなか日本の学校に適応できず,ブラジル人学校は彼らにとっての居場所としての役割が大きく挙げられている。適応できない子供たちにとってある意味では一つの逃げ場,逃げ場所として大きな役割を果たしています。
 ですので,コロナ禍で保健室がないとか,いろいろ課題がある中で,こういういろいろな調査をきっかけにして,今後ブラジル人学校とか外国人学校との連携を取って,今まで言われてきた各種学校の子供たちの実態にも多分つながる部分もたくさんあると思います。やっぱりそういう認可されてない学校に通っている子供たちもたくさんいると思うので,そういう子供たちを,地域の住民として,自治体,市の教育委員会が把握すると,こういうクラスターになったとしても,どこどこの子供たちがどこどこの学校に通っている,どこどこの地域に行っているというようなことが分かると思います。だから,多分それが一番大きな課題となるのではないかなと思います。これが文部科学省や教育委員会とそれぞれのブラジル人学校との連携をもっともっとつなげていくような一つの大きなきっかけにはなるのではないかなと思います。
 やはりそれぞれの学校によって本当に状況が変わります。小さな学校もあれば,古い校舎を借りて,そこで授業を受けるとか,本当にその学校一つ一つで状況が変わるので,それぞれの学校の特徴の調査を,地域によっても県によっても学校が変わると思うので,そういうところも把握しながら実態について調べていかなければならないかなと思います。以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。普通の小学校・中学校と違って,市区町村をまたがって移動するというのは,広域行政の視点が必要なのでしょう。ありがとうございます。
それでは次に,北垣委員からお願いします。

【北垣委員】
 
東京薬科大学の北垣です。私からは,学校の環境の管理の仕方について,少し皆さんに情報共有をさせていただければと思っております。
 学校に関しましては,今,学校と言われるものが学校教育法の第1条校に定めるものと,それ以外の外国人学校,無認可のものを含めてということになっているのですが,学校保健安全法という,保健衛生の管理を定めている法律の中で,保健衛生に関しては,人的な管理という健康診断に代表されるものと,環境の管理という二つに分かれます。
 この法律の対象となるのが,学校教育法の第1条校ということになりますので,幼稚園,小学校,中学校,高等学校,大学,あとは高等専門学校ということになります。この法律が準用されるものとして,先ほどからお話が出ている各種学校は対象外になるのですけれど,幼保連携型の認定こども園や高等専修学校に関しては準用するということになっているのですが,この法律の範ちゅうであったとしても各種学校は対象外ということになるので,今回の課題というのは,外国人学校を含めていろんなバリエーションがある中に,そこにどういう形で情報提供をしていくかということが一番重要になるかと思います。
 第1条校を対象とした理想形と言われるものに関して御説明をさせていただくと,学校保健安全法の第5条に,学校においては環境衛生に関して計画を立てて管理をしていくということが定められております。何を管理するのかというのが,文部科学大臣が児童生徒と職員の健康保持をするために望ましい基準を定めているということになっています。この管理の基準というのが,空気,水,あとは騒音とか,いろんな活動も含めたものまで規定をしているので,かなり細かくなっています。こちらを管理していこうとすれば,専門家の導入ということも必要になりますし,予算も必要になってくるということなので,理想形になって,これらを全て外国人学校に当てはめていくというのは難しいであろうと考えているのですが,機会がありましたら学校環境衛生基準というものを見ていただいて,皆さんに共有ができればと思っております。
 今回のターゲットというのが,原則としては新型コロナウイルス感染症の拡大をいかに食い止めて,子供たちが安全安心を確保できるのかということになりますと,浅野先生の方から御紹介がありました学校における新しい生活様式で,新型コロナウイルス感染症の対策を講ずるための衛生管理基準というものが文部科学省から出ておりますので,これを活用していくということになるかと思います。ここで大きな問題というのが,やはり外国人学校の把握というのがかなり難しいという点です。各種学校は把握できているというお話があったのですけれど,各種学校ですら学校環境衛生基準とか学校保健安全法の準用の公的な義務というものがないので,日本の学校ですらなかなか準用できていないという状況がある中に,外国人学校が入ってきて,また無認可の学校になってくると,文部科学省等の行政とのアクセスが難しいという状況が目に見えますので,こちらの方にどういう形で情報提供をしていくのか,ましてや書かれている情報の重要性を理解していただいて,預かっている子供たちの健康をいかに保持していくのかというツールを考えていくことが一番重要になるのかなと思いました。
 今回,文部科学省で学校の新しい生活様式の英語とポルトガル語バージョン等を作っているということで見せていただきました。もともとの新しい生活様式の内容についても,学校側若しくは管理者側が困ったときにどうしたらいいですかというところになると,設置者にまずコンタクトを取りましょうと,設置者と協議をして地域なりの合意を取っていきましょうという流れになっていくと思いますが,ここで国若しくは地域で,外国人学校がどのような形で運営されているのかというのを把握できていないと,助けが欲しいのだけど助けを求められない学校が多々存在するのではないかということが容易に想像できるので,まずは把握が必要です。なおかつ,助けを求める場所が,英語ではboard of educationと書いてありましたので教育委員会はやはり想定されていると思うのですが,教育委員会の窓口で本当にいいのか。保健所の方がいいのかもしれないですし,若しくは地区の保健衛生を担当しているところがいいのかとかいうことも御協議に入れていただくことが必要なのではないかなと思いました。
 私の方からは,今回,学校環境衛生について御提案をできるというところに関して,一番重要なのは換気であり,なおかつ手指消毒,手洗いをはじめとした手指消毒と,あとは子供たちが触るようなところをいかに消毒するのかということになるのですが,これに関しても全てを紹介するというのが難しいかと思います。具体的なところに関して,一般論のところは英訳,外国語訳をされているのですが,例えば消毒薬を作るのに原液をどういうふうに希釈したらいいのかということも,日本語バージョンでは出ていて,この製品をこれぐらいで希釈したらいいですよとかいうのが出ているのですが,具体的なところを多分もっと現場のところは知りたいと思うので,そういうふうな日頃使えるような情報をいかに効率的に,なおかつ分かっていただけるように情報提供するのかというのが課題かなと感じました。以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。大変分かりやすく御説明いただきました。情報が提供されていても,本当にそれがうまく伝わっているのかどうか。伝わるためにはどうすればいいのかという話でした。確かに消毒薬の希釈の仕方といっても,希釈という言葉自体も分からないかもしれませんし,難しいですね。この辺のところは後でまた議論をしていければと思います。どうもありがとうございました。
 次に,倉橋委員,お願いいたします。

【倉橋委員】
 倉橋です。よろしくお願いします。主な検討事項(案)というところで,どのように外国人学校を網羅的に把握するのかということで,私はブラジル学校を経営している身からしますと,うちは各種学校なので,学校基本調査というのは毎年5月1日にやります。これには一応人数とかは書くのですが,子供の情報は人数と性別ぐらいで,もちろん年齢も入りますけど,その程度です。誰がどこに住んでいるのかという名簿というのは出していません。ただ,自治体によってはいわゆる運営費補助とかもありますので,そういうところには,この市に誰が住んでいるとか,この県に誰が住んでいるというリストは出すと思うのですが,そうすると大抵義務教育年齢になってしまいますので,高校生とか幼稚園の子供たちは対象外になってしまうのかなと思います。
 なので,各種学校といえども,どんな子が,どこに住んでいる誰々さんが何年生にいるよという情報を,多分私たちは自治体若しくは認可庁に出していないと思いますので,そうなると誰がいるのかという情報をしっかりとつくった方がいいのかなと思います。
 また,どうしても各種学校になると,制度上,大体県が認可する,認可しないというのを持っているものですから,主に県と話し,付き合うことが多いです。自治体によっては,その学校のある自治体の国際課とか,いろんな課が対応していただけるのですけれども,大体担当者が代わるとそれまでの付き合いが切れるというパターンが非常に多いので,継続して,例えば市と連携を取っていくというのが非常に今まで難しかったというのが実感です。
 先ほどちょっと話題にもなったのですけれども,三重県の鈴鹿市にある学校,私たちも三重県の鈴鹿市に学校を持っているので,確かに伊賀市からはバスで1時間かかります。新型コロナのこともあって,バスの窓は全開で,マスクをして走らせてはいたのですが,やはりそれでもリスクはあるなというのは感じていました。休校もしましたし,遠隔授 業も取り組みましたけれども,なかなか難しいなというのが正直なところです。
 もう一つ,先ほど学校保健安全法の適用が各種学校にはされていないというところで,もちろんこういう法律があるので,これを守ってやってくれたらうれしいよというのは言われるのですけれども,じゃあ実際にそれを適用します,やりなさい,安全計画つくりなさい,内科医,歯科医,そして薬剤師を入れて,年に2回,年に1回等々,検査等をしていきなさいというところまでは命令が出せないというのはおっしゃるとおりですし,多分命令が出されても,こちらもいろいろな意味でできないと思います。ですので,各種学校であったとしても,各種学校ではない無認可校であったとしても,なかなか対応については難しいなと思うのが正直なところです。
 また,各種学校以外のところは,ブラジル政府の認可校はブラジルのホームページに載っていますけれども,それ以外の,全く本当に存在が日本人の目からは見られない学校も実は数多くあります。それが例えばまず幼稚園だけ始めました,託児を通して始めました,それがいつの間にか子供が大きくなってきて,小学生まで,中学生まで面倒見るようになりましたというところもありますし,その逆もありますので,確かに実態把握は非常に難しいと思うのですけれども,でも誰がどこにいるかというのは分からないと,この先いけないのかなというのは正直思います。
 もう一つが,今まで軽く触れられていたと思うのですが,こういう決まりがあります,こういうふうにやってくださいとなったときに,それが実際機能するのか,できるのかという,そういった問題もあるかと思います。言葉の壁でもそうですし,文化的な背景という意味でもそうですし,資金面でいう意味でもそうです。
 新型コロナの拡大を止めるというのは非常に,特に今ブラジルは,ブラジルの母国は今,本当に毎日ニュースでワクチンがどうだとか,何人亡くなったとか,新型コロナウイルスの猛威というのが出ています。ですので,ブラジルの方々だって非常に関心は高いです。私たちは私たちで,各施設でできることはやっていますけれども,もうちょっとやりたいなという気持ちは正直ありますし,自分たちだけだと一生懸命やっているけれども限度はあるというのも分かっています。取り留めのない話で申し訳ないですが,以上で終わります。よろしくお願いします。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。実際にブラジル人学校の運営に携わっている視点から,御発言いただきました。いろんな課題を出していただいて,それをどう克服できるか,どう支援したらいいのかについて議論をしていきたいと思います。今のような課題,問題点も出していただき,どのように解決できるかという議論ができると思います。ありがとうございました。
 続きまして,鈴木委員からお願いできますでしょうか。

【鈴木委員】
 
浜松市国際課の鈴木です。よろしくお願いします。
浜松市では,ブラジル認可の学校が1校と,ブラジル認可を受けて県の認可も受けている各種学校に位置づけられる2校の3校がございまして,全体で500名ぐらいの子供たちが学んでいます。それ以外の1条校,いわゆる公立の小中には1,800名ぐらいが今学んでいます。
 文科省の補助金にもお世話になっていますが,不就学をゼロにする就学促進のモデル事業をやっておりますので,我々の関係は非常に密接です。情報もかなり把握しておりますので,連携は取れております。
 コロナの発生は,昨年も1,2件ございまして,今年もつい最近2件ぐらい出ましたが,今年5月以降の急激な変異株の流行で浜松市も増えておりまして,今フォーマットを作り,その3校からは,感染したときに情報を我々と浜松市国際交流協会に頂くようにお願いができました。それから,昨日ちょうどその1校に私がヒアリングに行ってまいりまして,感染の対策の状況をお聞きしましたら,今,倉橋委員がおっしゃっているとおり,我々が想像する以上にきちんとやっていただいています。
 感染の状況を考えますと,実は学校の中の感染ではないものでした。むしろプライベートの誕生パーティーやバーベキューなどです。公立の小学校でも一部感染が出ているのですけれども,私は,学校側はかなりやっているなという認識があります。1校だけ日本人経営者でないところがちょっと心配ですけれども,基本的には県の通知も出ておりますし,我々も国際交流協会を通じてかなりの情報を回していますので,その辺で情報の共有,情報弱者にはなり切ってないなというのは,学校側は感じております。ただ,外国人の市民の皆様をめぐる生活スタイルの中で,学校の現場だけ,それ以外の場で感染していることが多いです。ですから,その通達も学校側はしているようです。
 我々は,この5月25日にコロナウイルス対策を,外国人コミュニティとのコロナウイルス感染症対策連絡者会議を立ち上げまして,外国人の市民の皆さんの様々な生活支援,例えば就労であるとか,あるいはコミュニティであるとか,教育,あるいは場合によっては宗教のキリスト教の教会であるとか,そういう様々なシーンで生活しているわけですが,そこのポイントとなる方々,お世話する方々に集まっていただきまして,この対策を打とうと今始めたところでございます。
 5月25日は人材派遣会社の方々にお集まりいただきましたが,非常に危機感を持たれております。従業員の方500名に対して,書面でこういう行動は危険であるということをお伝えするなどもされているようです。次に私たちは,外国人学校,あるいはNPOのそういうグループを集めたコミュニティの関係者の連絡者会議を6月に行う予定です。
 それはこれまでも情報発信していたからいいではないかということもあるのですが,N501Yの感染力の強さ,それから若年層がかかる,それから外で飲食していればかからないだろうという思い込みが私もあったのですけど,それも通用しないということで,コロナ感染症の状況を取り巻く状況が刻一刻と変わっております。その情報をやはりマスな情報で,プッシュ型で流しているだけでは,それでもコミュニティを狙って流しているのですが,それだけでは足りないということで,リアルにフェース・ツー・フェースの連絡者会議を今立ち上げようとしております。
 一つ一つの見方ですけども,学校側での対策だけではコロナ感染は防げない可能性があります。ですから,その生活全般に対して,特に保護者の方がキーになるのですけれども,その理解をどう強めるのか。やはり日系の方,ブラジル,南米系の方が浜松は多いのですけれども,やはり日本のテレビを見ないので情報が入手できません。その場合の入手の方法としては,やはり横のネットワークということになります。ですから,そうしたネットワークを見つけて,そのネットワークのキーパーソン,あるいはそのポイントに,結節者にどう情報を流すかということを,議論の中で我々としてお示しできることだと思っております。以上です。

【佐藤座長】
 
ありがとうございました。浜松の事例を大変的確に御紹介いただきました。今出てきた論点についてまた議論をしていければと思います。ありがとうございました。
続きまして,田中委員,お願いします。

【田中委員】
 NPO法人青少年自立援助センターの田中です。よろしくお願いします。
 フリースクールのような場を運営しているとお伝えしましたが,年間200日間以上,朝9時台から夜7時台まで,年150名前後ぐらいの子供たちが,通所,あるいはオンラインで全国各地から学んでいます。その中で特に昼間,学校の代わりに在籍している子供たちが半数ぐらいいるのですけれども,特にまだ就学の手続をしていない不就学の学齢期のお子さんや,15歳以上の学齢超過あるいは既卒の子供たちで,これから高校に入りたいという子供たちが中心になっています。
 不登校のお子さんについては在籍校がありますので,学籍があれば在籍校の健康診断等は学校から情報を得て行かせるようにしていますが,そうではない,学校とつながっていない状況のお子さんたちについては,コロナ対策は現在,学習塾向けのマニュアルを参考にしています。これまでどこからも資金提供はないので,自前の資金ですとかを手探りで実施しているという状況です。
 オンラインでの授業を実施しているので,昨年の一斉休校のときには,先生方も生徒たちも,すぐ近くに住んでいる子でもオンラインからフルリモートで授業を受けるというような形式に移行して,今でも分散オンライン登校等を含めて,手探りで状況を何とか判断しながら運営をしているというところです。
 今回この会議に参画をさせていただくに当たって,「あ,私たちのような場も外国人学校等に含まれるのか」ということに実は初めて気づきまして,じゃあ外国人学校,専ら外国人の子供の教育を主目的に行っている機関とはどこからどこまでなのかというのをまず明確にしていきたいなと思っています。私たち委員の皆様方の間でもそれが共通しているのかどうかというのも,今のところ私自身は把握ができていないところで,これまでのお話を伺っていると,私たちのところは無認可の学校というふうに位置づけられると思いますが,私たちのようなNPO立だけでなく,チャーチスクール等の宗教関係の施設が運営をしているところ,託児所の中に学齢期の子供が含まれているところですとか,任意団体さんが頑張って助成金等で毎日運営しているところまで,どこまでを含むのか,専らとは何か,オンラインで支援をしている場合は対象に入るのかどうかですとか,そうした土台となる「外国人学校とは」というところを,まずこの会議に関してはどこまでという部分を明確にした方が,その先どうやってそれを把握するのか等を含めて進めやすいのではないかなというふうに思います。
 例えば運営日数ですとか運営形態,対象の子供も,私たちのところだと15歳以上もかなり多いので,それは含まれるのかどうかなどというところかと思います。そうしたところが明確にされないと,どのような情報を発信しても,私たちのような外国人学校等の中に含まれるという運営主体自体が自己認識を持てない場合に,外国人学校に向けて発信された情報を受け取るというアクションにつながらないかなと思いまして,そこをまず皆様と議論,確認できたらと思っています。
 各ブラジル学校等と同じく,私たちのところも県をまたいで,自治体をまたいで,広域から子供たちが通所,オンラインで利用している関係上,特定の自治体とだけ何か関係を持つというのが結構具体的に難しいのかなと感じている部分もありまして,広域での対応というのが必要ではないかと考えています。以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。基本的に外国人学校をどう捉えるのかということですけども,これは後で,事務局からも御意見があれば伺いたいと思います。要は外国人の子供の安全をいかに守るかというのが趣旨だと思いますので,そのために外国人学校という枠をもとにして,支援のための情報提供をしようということだと思いますけれども,この点について氷見谷課長の方から御意見があれば伺えたらと思います。
 それでは,安田委員,お願いできますか。

【安田委員】
 私の方からは一般的な保健衛生面というより,冒頭御挨拶で申し上げましたように,岐阜県では各種学校認可校ブラジル人学校2校と,それから朝鮮学校1校がございます。そのうちのブラジル人学校で,昨年11月にクラスターが発生いたしまして,そのクラスターへの対応を通じて整理した課題,気づいた課題を簡単にお話しさせていただきます。
 複数の委員の先生からも御指摘がありましたように,外国人学校の一つの特徴が広域通学というものがあります。通常スクールバスを運行しまして,長時間にわたって複数の自治体を回りながら,児童生徒を学校へ届けるということですけれども,まさに岐阜県で発生したクラスターが,このスクールバスの運転手さんが集団感染の起点になったという事例でございました。やはり同乗している児童生徒の中にも複数感染者が出たということがございました。今,学校の方では,スクールバスの対策も非常にきちんと取られており,乗車前の健康チェックですとか,換気しながら走行するといった基本的な対策はされているのですけれども,例えば今,梅雨の時期を迎えて,なかなか換気がしづらい,あるいは今後猛暑の時期を迎えますと,また換気が難しいという,そういった時期の対策が一つの課題かなと思っております。
 このスクールバスというのは私立学校共通の課題でございまして,特に幼稚園などは,大半がスクールバスを活用しております。こういった私立学校共通の課題と捉えて,このスクールバスの対策について考えていきたいと思っています。
 もう一つ外国人学校の特徴としてありますのは,現状で言いますと,先ほどの浜松市の鈴木課長が指摘されたように,やはり家族由来の感染事案が学校に多いということです。例えば職場クラスター,あるいはコミュニティのクラスター,家族クラスターという形で発生したものが,外国人学校の場合は兄妹で通学しているというケースが多いものですから,家族クラスターがそのまま学校クラスターに発展するという感染リスクがあるのではないかなと考えております。
 私どもでクラスター対応をする中で,特に目の前のニーズに一つずつ対応してきたという中では,やはり一つは地域との連携という中で,地域の特に医療機関とどのように連携していただくかということで,外国人学校に情報提供させていただいているのは,外国語対応ができる医療機関リストを私どもの保健医療所管部局で作成しておりましたので,そういったものをまず提供させていただきました。もう一つは,学校としてかかりつけ医といいますか,学校医というほどではないのですけども,かかりつけ医を指定していただいて相談しやすい体制づくりをお願いしたということです。
 もう一つ,保健所との連携です。これは学校内で集団感染が発生した場合に,実際私どもで保健所も学校に入ったわけですけれども,なかなか接触者の特定作業も難航した面がありました。と言いますのは,名簿を見せていただいても,なかなか接触者の特定作業がはかどらないということで,ポルトガル語で作成されている名簿に日本語の仮名表記をしていただいて,保健所と連携しやすいような名簿整備というものもやっていただきました。
 それから,家庭との連携という意味では,健康チェックカード,これは月別のカレンダー形式の,例えば検温したら体温を記入して,あるいは風邪症状等があるかないかも記録していただくものですけれども,そういったものもポルトガル語訳をしたものを提供して,各家庭に配付いただいて,家庭と学校が連携した感染防止対策にも取り組んでいただきました。
 それからもう一つは,やはり浜松市の鈴木課長が御指摘されたように,コミュニティとの連携が必要ではないかなと思っています。現在岐阜県内で外国人の方が関連したクラスターも,教会ですとか,それから職場,やはり家族クラスターというものが多発しております。外国人集住都市で見ますと,新規感染者の3割から4割は外国人の方が占めているという状況もございまして,やはりコミュニティを通じて各家庭に,そういった感染防止の思想の普及といいますか,対策の普及につなげていく必要があるのではないかなということを実感しております。 私からは以上でございます。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。皆様からそれぞれのお立場で有益な御発言を頂いて,今後どういう話合いをしていくか少しずつ見えてきたように思います。
 私も座長という立場ではなく,一人の委員として発言させていただきます。今日の論点で,外国人学校の実態把握をどうしていくかということと,保健衛生環境に関わって情報提供をどうするかということについて,皆さんの意見も参考にして発言をさせていただきます。
 外国人学校の実態把握ですが,これは大きく2通りあると思います。一つは,今日文科省からもお話があったように,学校単位で把握する方法です。もう一つは,子供の就学実態把握から外国人学校等を把握する方法があります。
 去年の7月,外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針が出されましたが,これはとてもいい指針だと思います。その中に,外国人学校等も含めた就学状況を把握することとなっています。特に入管庁の外国人の出入国記録の照会の手段を活用するといったことの他,ハローワーク,地域の国際交流協会やNPOなど様々な機関との連携をしながら子供の就学実態を把握してくださいという提案があります。そうすると,どの子供たちがどういうところに就学しているかがわかり,そこから外国人学校等を把握していくことが可能だと思います。
 今,田中委員から大変重要な発言をしていただきました。今回,外国人学校の調査ではなく,外国人の子供たちがどういうところに就学しているかを把握し,そしてその子供たちに対する安全,健康をどうやって保障していくかが大事だと思います。そういう観点で言うと,学校単位というよりも子供の就学実態の把握を通して,子供たちが一体どういうところに就学しているのか,あるいは就学していないのかということをきちんと把握する必要があると思います。
 これは文科省の国際教育課を中心に行っていますので,文科省内で連携して就学実態の把握から外国人の子供の就学状況を把握していくということが重要だと思います。
 それから二つ目は,情報が本当に的確に届いているのか,そして,その情報に基づいて実際に対応しているのかということが次の論点になります。今日皆さんからのお話がとても参考になりました。情報が届いてないというのは,実際に届いてないのか,あるいは情報は来ているけども理解できなかったり,そのままスルーしてしまったりしているのかという点を把握する必要があります。やさしい日本語や多言語化はもちろんアクセシビリティーとして重要だと思います。しかし,外国人の場合,鈴木委員や,安田委員から話がありましたが,学校などの情報は口コミやエスニックコミュニティなどから得ることが多いということも分かっています。そうすると,学校以外の有力なところ,コミュニティや,先ほど教会という話も出ましたけれども,そうしたところへの情報提供が必要だと思います。
 そして,これは浅野委員からもお話しいただきましたけれども,実際に情報が伝わって,行動変容につなげていくには,文化差だとか習慣の差を考慮する必要があると思います。保健衛生については国によってかなり大きな違いがあって,検査の方法なども全く理解できないこともあるわけで,その情報をいかに咀嚼するか,あるいはそれを媒介する人材も必要です。その際NPOなどの役割が大きいと思います。ですから,NPOなどへの情報提供が必要になってくると思います。
 最後に支援策ですが,新型コロナ対策は緊急です。直接,健康,命に関わるものですので,これまでの外国人は別枠という発想では対応できないことは明らかです。別枠ではなく全体の保健医療の支援体制の中に組み込むことが必要です。また,日本の学校に通っている子供たちは,学校保健法や災害共済給付の対象です。外国人学校に通っている子供がその対象になっていませんが,少なからず外国人の子供たちへの健康診断や予防接種などは,しっかり対応していくべきだと考えています。
 先ほど倉橋委員から大事な話が出てきましたが,理想形を出すというのは大事だが,本当にそれが実行可能なのかどうか,逆に言えば,それがどうすれば実行していけるかどうかを検討していく必要があります。国でできることと自治体ができること,民間でできること,この辺のところをしっかりと区分けをしながら,支援の手を差し伸べていくことが重要だと思います。最初でしたので,皆さんの御意見を伺いましたけれども,2回目以降,調査結果も出てまいりますので,しっかりとした議論をして,実質的な支援策を検討していきたいと思っております。
私からは以上でございます。この会議は12時半までです。まだ御意見を伺いたいところですが,もし意見があればメール等で事務局の方にお出しください。この点について事務局の方から,いつまでということを示していただければと思います。 最後に今後の進め方について,資料5に基づいて事務局から説明をお願いします。

【氷見谷課長】
 
佐藤座長,ありがとうございました。また,各委員の先生方,本当に貴重な御意見,また情報を賜り,本当にありがとうございました。
 資料5につきまして,今後のスケジュールを御説明させていただきたいと思います。
 本日第1回ということで,第2回は,皆様方の御都合が一番つく日が6月23日でございますので,その日の午前中を予定させていただき,先ほど申し上げました保健衛生環境の調査についての御報告をできればと思っております。また,有識者の方のヒアリングも併せてできないかと思っておるところでございます。
第3回としましては,7月12日に予定し,8月5日に第4回ということで,夏の段階で何かしらの取りまとめができないかと私どもとしては考えており,また,その過程において有識者ヒアリングも併せてやっていけないかと思っております。それ以降,9月以降につきましては,月1回程度ということで,また皆様方の御予定を伺いながら,本年の12月中を目途に最終的な取りまとめということを考えております。
ただ,先ほど佐藤座長からも御指摘がありましたように,今,新型コロナ感染症対策で緊急で取り組むべきこともあろうというところもございます。また,先ほど北垣先生からお話しいただきましたように,私どもの情報提供としてマニュアルについて十分訳し足りないところもあるという御指摘もございました。そういったところにつきましては,私どもとしてはここで頂いた御意見等を踏まえながら速やかに,取りまとめ等を待つことなく,できるものについては早急に取り組んでいきたいと思っております。
 1点,田中委員から御指摘のありました学校の定義の部分につきまして,実はどこまでをというところについては,私どももどういった形態で外国人の方々が学んでらっしゃるかというのがいま一つ把握できてないというところもございまして,まず情報を頂きながら考えていくのかなと考えております。ただ,文部科学省として,法律で定めた権限等もございますので,そういった中においてどこまでできるのか,できないのか,皆様方との御議論を踏まえながら考えさせていただけると大変有り難いと思っており,そういった情報を是非いただけると幸いです。 事務局としては以上でございます。

【佐藤座長】
 
ありがとうございました。

【氷見谷課長】
 
第2回会議は6月23日でございますので,本日また御意見等ございましたら,11日金曜日までに取りあえずの御意見を,それに遅れたからといってどうということはございませんので,11日目途でまずいただければ大変有り難いというところでございます。

【佐藤座長】
 
ありがとうございました。では意見は6月11日までということと,それから今,田中委員の質問に対して氷見谷課長からお答えいただきました。最初に枠を作ってしまうと,そこから抜けてしまう子供も出てきます。就学実態を把握しながら全ての子供に実質的支援をしていくのは何がベストなのかを考えていく必要があると思います。是非いろいろな意見をお寄せください。
 それでは,ちょうど時間でございますので,本日の会議は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。また次回よろしくお願いします。
 ―― 了 ――

 

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