外国人学校の保健衛生環境に係る有識者会議(第7回)議事録

1. 日時

令和3年11月24日(水曜日) 11時00分~12時30分

2. 場所

Web 会議システム(Zoom)

3. 議題

(1)有識者ヒアリング
(2)外国人学校の保健衛生環境に関する追加調査の結果報告について
(3)最終とりまとめ(素案)について
(4)その他

4. 議事録

【佐藤座長】  
 皆さん,おはようございます。
 お忙しい中お集まりいただきまして,ありがとうございます。
 定刻となりましたので,第7回専ら外国人の子供の教育を目的としている施設,いわゆる外国人学校の保健衛生環境に係る有識者会議を開催いたします。どうぞよろしくお願いします。
 なお,今回,オチャンテ委員及び鈴木委員が所用により欠席でございます。
 事務局から議事と配付資料の確認をお願いします。
 
【事務局】
 事務局から失礼いたします。
 本日の議事は議事次第にございますとおり,1,有識者ヒアリング,2,外国人の保健衛生に関する追加調査の結果報告,3,最終取りまとめ(素案)について,4,その他となっております。
 議題1の有識者ヒアリングでは,ダニエル・レイノルズ委員からお話を頂きます。
 議題2の追加調査の結果報告では,10月以降実施してまいりましたインタビュー調査結果の概要について,事務局より御説明いたします。
 また,議題3の最終取りまとめ(素案)では,これまでの有識者会議で委員の皆様から頂いた御意見等を踏まえて,最終取りまとめ(素案)について事務局より説明させていただいた後,委員の先生の方に御議論いただきます。
 配付資料は資料1,ダニエル・レイノルズ委員の有識者提供資料,資料2,外国人学校の保健衛生環境に関する追加調査(インタビュー調査)の結果について,資料3-1,外国人学校の保健衛生環境に係る有識者会議最終取りまとめ(素案),そして資料3-2,最終取りまとめ(素案)の概要となっております。
 参考資料については議事次第のとおりでございます。不足等ございましたら,挙手にて事務局までお申しつけください。
 以上です。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございました。それでは,議題1,有識者ヒアリングに入ります。
 本日は,東京インターナショナルスクールの校長を務めていらっしゃるダニエル委員から,同校における保健衛生の取組等についてお話を伺います。
 それでは,ダニエル委員からお願いいたします。よろしくお願いします。
 
【ダニエル委員】
 おはようございます。画面を共有します。よろしければ通訳を利用できますので,御活用ください。
 前回,私からは,東京インターナショナルスクールで行っている,学校における児童生徒の手洗いなどの衛生面の対策についてお話ししました。本日は,日本インターナショナルスクール協議会(JCIS)が,グループとしてどのような存在であるかについて少しお話しいたします。
 まず,我々が新型コロナウイルス感染症のために行ってきたことについてお話しします。私が代表しているのは,JCISという28のインターナショナルスクールのグループであり,日本全国の外国人学校の約200校を代表しているわけではありません。JCISは28校の小さなグループであり,私はそのグループの代表を務めております。JCISに加盟している学校はすべて英語系の学校で,お互いに非常に緊密に協力し合っており,グループとしての保健衛生のガイドラインを作成しています。
 そのガイドラインを更新するたびに,それを各学校に伝え,28校の全ての学校が新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインを同様に活用できるようにしています。また,JCISの大半の各学校にはスクールナースが配置されており,JCIS内のスクールナースによるグループが,我々が厚生労働省のガイドラインや文部科学省のガイドラインを遵守し,それに沿った活動をしているかどうかの確認等の役割を担っています。それによって,我々JCISでは,文部科学省や厚生労働省の指示等に従うことができています。
 更にJCISでは,幸運なことに医療の専門家を雇用することができました。東京メディカルアンドサージカルクリニックの院長であるトム=ロマックス先生と月に一度ミーティングを実施し,新型コロナウイルス感染症に関する世界的な動向等について助言を頂いています。彼はイギリス人の医師ですが,日本で10年以上働いており,新型コロナウイルス感染症に関して世界で何が起こっているのか,そして日本では何が起こっているのか,そして,私たちが何をすべきかについて,ガイドラインや推奨事項を提供していただいています。
 そのほか,ロマックス先生とは毎週金曜日に報告を受けており,いつ頃から修学旅行が再開できるのかなどについて話し合っているところです。我々はロマックス先生からガイドラインをいただいている一方で,地域のガイドラインにも従っています。東京インターナショナルスクールから港区の保健所に連絡し,行政のガイドラインをもらうと同時に,ロマックス先生からもアイデアをもらうことがあります。ロマックス先生からは,基本的に毎週,新型コロナウイルス感染症が日本でどのようになっているか,症例や傾向はどうかといった報告を受け,それを各学校で共有することで,情報収集を行っています。
次に,JCISが文部科学省に何を期待するかという点についてです。我々は,この2年間の文部科学省との関係に大変感謝しています。私は日本に20年住んでいますが,この2年間で,文部科学省との関係は非常に強化されたと感じています。例えば,文部科学省が関係資料を英語で発出していることにも感謝しており,今後も文部科学省が引き続きそのような活動を続けていただければ有り難く思います。また,文部科学省がこのような有識者会議にJCISからの代表者の参加を認めていただいたことにも感謝しています。私は会議終了後に,会議のトピック等をJCIS内で報告しています。JCISの学校にとっても,私がこの会議に参加し,その内容を報告するということは非常に有益なものとなっています。
 現在の28校によるJCISのグループは,これ以上大きくなっても効果的ではないと考えています。一方で,これは文部科学省が協力できるかどうかはわかりませんが,例えば文科省のサポートのもとで,他の外国人学校においても,JCISと同じようなグループを作るのは有効かもしれません。ブラジル学校には既にそういったネットワークがあるかと思いますが,そのような,お互いに密接に協力し合える学校のネットワークを作るのも効果的だと考えています。我々JCISは,新型コロナウイルス感染症に関して,グループ一体となって対応してきましたが,これはとても貴重な機会でした。JCISというグループによる働きは,各学校がそれぞれ働く場合よりもはるかに優れていると考えます。
 また,JCISとしては,今後もし新型コロナウイルス感染症の5歳から12歳までのワクチンが開始された場合には,予防接種センターになりたいと考えています。ロマックス先生も,自分のクリニックを子供用の予防接種センターにしたいと申し出ています。我々の学校にはスクールナースがおり,また地域の医療専門家も数名おりますので,子供たちがワクチンを接種できるようにサポートすることができます。子供たちのために,学校を開放してワクチン接種のお手伝いができれば,我々としても大変うれしく思います。
 先ほど申し上げたように,日本に来て20年,日本の教育やインターナショナルスクールに関わってきましたが,これからも文部科学省と一緒に仕事をしていきたいと思っています。このような会議を通じて,文部科学省とより密接に連携するようになったことを大変うれしく思います。
 以上です。ありがとうございます。
 
【佐藤座長】 
 ダニエル委員,ありがとうございました。
 委員の皆様から,今の御発表について御質問,御意見等ございましたら,どうぞお願いいたします。
 田中委員,お願いします。
 
【田中委員】 
 ありがとうございます。聞き逃しがあったかもしれないのですが,医療機関と連携を行っているということで,それはネットワークの中で実施をされているのでしょうか。幾つかの団体に対して,一つの医療機関が情報提供や保健衛生についての関与を行っているということでしょうか。もしそういった,ある意味で広域での医療関係との連携を行っている場合に,窓口の在り方ですとか,あるいは費用負担などについても教えていただけるようであれば,御教示いただければと思います。
 
【佐藤座長】 
 よろしくお願いします。
 
【ダニエル委員】
 医療機関の先生とは,基本的には月に一度会っています。それに加えて,毎週,日本で何が起きているのか,世界で何が起きているのかの報告を頂いています。そして,世界で何が起こっているのかといった傾向等に基づいて助言を頂いています。各学校が教職員からの質問等を事前にまとめておき,医療関係者に毎週その質問に答えていただいています。先生からは我々の質問にすべて答えていただき,非常に有益な助言を頂いています。我々は,幸運なことに港区の保健所とも良好な関係を築いており,密接に協力することができていますが,政府以外の外部の声があることは,私たちにとって非常に役に立っています。また,ロマックス先生は東京で自分のクリニックを経営しているので,常に新型コロナウイルス感染症の患者を診察しているため,彼は外国人コミュニティで起こっていることを理解しています。彼は東京における外国人コミュニティのメインドクターとなっており,外国人コミュニティにおいて何が起こっているかについて知見があるので,我々としても非常に助かっています。
 
【佐藤座長】 
 田中委員,お願いします。
 
【田中委員】 
 ありがとうございます。ネットワークで定期的にミーティングを持っているということで,医療機関へ何か支払のようなものが,ネットワークから発生しているのでしょうか。
 
【ダニエル委員】 
 JCISはとても恵まれている状況で,我々の学校は,比較的高額な授業料を頂いており,我々にとってお金は大きな問題ではありません。医療関係者への支払は,JCISのネットワークを通じて行っています。我々は学校でスクールナースを雇用する余裕があり,専門家を雇ってアドバイスを頂く余裕があります。他の外国人学校やNPOとは立場が異なるかと思いますが,このようなことができるリソースを持っていることは非常に幸運なことだと思っています。
 
【田中委員】 
 ありがとうございます。すばらしい取組だと思います。それをほかの学校にも広げていくということを考えた場合に,例えば養護教諭の方ですとか,看護師の方ですとか,専門性のある方のいない学校さんなどが,そのネットワークのように医療機関とつながって,ミーティングを持つ場合に,何か必要なことなどについて,アドバイスなどがあればお願いします。
 
【ダニエル委員】 
 何をアドバイスしたらよいかわかりませんが,先ほどお伝えしましたとおり,JCISの加盟校の中にスクールナースがいない学校はありません。そしてその全てのスクールナースが日本語に堪能で,日本の看護師の資格を所有しています。
 そのJCISのスクールナースのネットワークに対して,学校の外で情報や知見を共有したり手助けをしたりするといった活動が何かできないか聞いてみたいと思います。もちろん,スクールナースたちも学校内でとても忙しい状況ではありますが,我々のスクールナースのネットワークに,できる範囲で他の学校の方々に何か手助けすることができないか聞いてみたいと思います。
 
【田中委員】 
 ありがとうございました。
 
【佐藤座長】 
 ほかにいかがでしょうか。
 私からも一つ質問させていただきます。港区との連携という話が出ましたけれども,JCISに加盟しているほかのインターナショナルスクールと地元の自治体との連携について伺います。その点はいかがでしょうか。
 
【ダニエル委員】 
 我々のスクールナースは,全員が日本語を母国語としており,日本で看護師の資格を持っているため,各学校がそれぞれの地域の医療機関や政府機関と密接な関係を持っています。
 新型コロナウイルス感染症の感染例は,2件ありましたが,すぐに港区の保健所に電話をすると,次に何をすべきか指導していただきました。他のJCISの加盟校からも,スクールナースが日本語を話せるため,地元の保健所と非常に密接な関係を持つことができていると聞いています。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございました。ほかはよろしいですか。
 それでは,ダニエル先生ありがとうございました。
 
【ダニエル委員】
 ありがとうございます。
 
【佐藤座長】 
 それでは,議題2の外国人学校の保健衛生環境に関する追加調査の結果報告及び議題3の最終取りまとめの素案について,事務局より説明を頂いた後に,まとめて議論の時間とさせていただきます。
 では,事務局より説明をお願いいたします。
 
【事務局】 
 事務局でございます。
 追加調査の結果及び最終取りまとめ(素案)について簡単に御説明をさせていただきます。
 まず,追加調査について,資料2を御覧ください。全体で27ページの資料になっております。1ページ目,全体の構成といたしましては,趣旨,調査方法,調査対象,次のページで調査対象の概要,更にインタビュー調査の結果概要が3ページから7ページ目まで,7ページ目からは一部現地視察を行いましたので,その結果の概要を載せております。それぞれの外国人学校等の調査の結果については9ページ目から参考1として,調査項目については参考2として27ページにまとめて記載をさせていただいております。
 資料2の趣旨といたしましては,外国人学校の保健衛生環境を取り巻く課題を改善する必要があるということで,今年の4月から5月にかけて調査票を配布いたしまして,まず実態調査としてアンケート調査を行いました。
 また,6月から御議論いただき,8月の時点での中間取りまとめとして,現状と課題の整理を行っていただいたところでございます。
 先般行いましたアンケート調査の回答率が5割程度にとどまっているということで,さらに具体的な課題やニーズを調査していく必要がある,あるいは地域との連携等,更に実態の調査や把握が必要だという御意見を頂きましたので,外国人学校,地方自治体,支援団体等につきまして,追加調査を実施したところでございます。
 1ページ目の2ポツの調査方法ですけれども,10月から11月初旬頃にかけて,オンラインなどを通じたインタビュー調査をさせていただいたところでございます。一部は現地調査を行っております。
 調査対象については,回答率が高くないところや,あるいは外国人が集中しているような地域の外国人学校,地方自治体,支援団体等に対して,インタビュー調査を行いました。
 4ポツの調査対象の概要ですけれども,外国人学校7校,地方自治体4自治体,支援団体2団体で,現地調査,オンライン,あるいは電話を通じて行いました。地域としては,愛知県,兵庫県,群馬県,岐阜県を中心に実施しております。
 2ページ目,外国人学校,地方自治体,支援団体等の概要について,例えば外国人学校であれば認可外の施設が3校と,各種学校の認可を受けている学校が4校ございまして,設置過程等についても記載をさせていただいております。
 地方自治体につきましては,例えば人口のうちどのくらい外国籍の人数がいるかといった情報や,支援団体につきましては,設置形態等を記載してございます。
 3ページ以降がインタビュー調査の結果概要になります。
 外国人学校については,5項目を聞いてございまして,各学校の概要,また,参考1も御参照いただければと思いますが,概要としましては,一つ目の項目の児童生徒・教職員の保健衛生の確保のために普段行っている取組として,この有識者会議でも御意見頂いた健康診断については,やっているところ,やっていないところ,様々な回答があったところでございます。健康診断を実施していない場合の理由としましては,やはり費用面での課題が挙げられるところです。
 また,保健衛生対策につきましては,手洗いやマスクの着用の推奨などもされておりますが,実施に当たっては,文化的な背景について起因する課題を感じているというところがございました。
 二つ目の保健衛生対策の実施体制及びその責任者・担当者ですが,保健室の整備について,各種学校認可を受けた学校では整備されていましたが,一方で保健室を設けてないような施設としましては,認可外施設が多かったというところでございます。
 また,保健衛生の専門家の配置については,学校医や常勤のヘルスオフィサーのような役職を配置しているようなところだと,独自の保健衛生に関する基準を設けている学校もございました。一方で,そういった専門家がいない場合でも,校長先生や事務局長,日本語を話すことのできる教職員等が,保健衛生対策の責任者として担当している場合も見受けられました。
 三つ目の項目,政府・地方自治体・NPO等の支援団体との関わりや連携につきまして,やはり地方の保健所や地方自治体と連携をして,保健衛生対策に取り組んでいる学校が多数見られました。また,NPO等の支援団体からの支援状況についても,地域の医療機関をはじめといたしまして,様々な団体から支援を受けているということでした。その内容として,医療通訳の派遣,衛生用品の購入のための寄附,あるいは衛生用品の支給等が挙げられております。また,学校間の連携として,先ほどダニエル先生からも御紹介を頂きましたけれども,日本インターナショナルスクール協議会(JCIS)及び在日ブラジル学校協議会(AEBJ)を通じた情報交換が行われているといった回答がございました。
 四つ目の項目,外国人学校において保健衛生対策を講じる際の課題については,保健室の設置や健康診断が実施できていないというところが課題として挙げられております。また,保健室の設置以前の課題として,そもそも十分な教室のスペースがないですとか,あるいは運動場や体育館等の運動施設がなく,子供たちが体を動かすスペースが確保できないといった課題が挙げられておりました。は健康保険の加入や,多言語対応や情報発信の方法について改善を望むという意見もございました。多言語対応が可能な医療機関の情報が不足をしているということで,相談窓口などがあればといったこともございました。
 五つ目の保健衛生に関して政府や地方自治体に実施を希望する項目といたしまして,まずは無料の健康診断の実施や学校医による支援が受けられるようにしてほしいという希望がございました。外国人学校の教職員向けの保健衛生についての研修を行うことも有効ではないかといった意見や,あるいは外国人学校向けの基準やガイドラインを設けるということも有効ではあるものの,様々な外国人学校がございますので,実情に合わせて活用可能な内容にすることも必要なのではないかといった回答がございました。
 地方自治体についても5項目について,インタビュー調査を行いました。一つ目が,認可外施設を含む外国人学校やそこに通う児童生徒に関する実態の把握についてです。実態の把握というのは中間取りまとめでも重要だと言われているところでございます。
 都道府県二つ,それから市町村二つに調査をさせていただいたところですが,都道府県では,やはり調査の実施や,市町村からの情報提供,ネット上の情報などを用いて把握に努めているということがございましたけれども,特に認可外施設については実態把握をするための手段は限られるという回答がございました。一方で市町村になりますと,認可外施設も含む外国人学校の実態把握に積極的に取り組んでいる,コミュニティへの関与に取り組んでいるというような事例も見られているところでございます。
 二つ目の外国人学校やその他外国人コミュニティに対する情報提供について,都道府県ですと,地域の国際交流協会や大使館・総領事館を通じた情報発信,あるいは複数の部局が連携した情報提供を行っているところです。一方で市町村になりますと,更に地域に密着をしているというところもございますので,キーパーソンや教会,あるいは企業など,より地域に密着した多様な方法で情報提供を行っている事例もございました。
 三つ目の項目,外国人学校の保健衛生対策の支援に対する取組について,それぞれ各自治体の取組を簡潔に記載しているところでございますけれども,特に市町村,群馬県大泉町や岐阜県美濃加茂市では,健康診断を実施しているということでございます。更に美濃加茂市では,動画や啓発チラシを作成して普及啓発を図っているという回答を頂いてございます。
 四つ目の項目として,外国人学校の保健衛生対策の支援に関する課題といたしましては,地域間の格差が生じないように,全国的な保健衛生のガイドラインや方向性を示す必要性や,あるいは様々な部局が関わりますので,どの部局が主導して取り組んでいくかという課題,母国の文化的な背景などによって感染症対策ないしは保健衛生対策についての必要性が外国人学校によって異なる場合があるといった指摘があったところでございます。
 五つ目の外国人学校の保健衛生の確保に向けたほかの機関との連携について,市町村であれば都道府県に,あるいは都道府県であれば市町村に,それぞれ協力,連携をしているというところでございました。あるいは都道府県ですと,国際交流協会との連携や,一方で市町村ですと,県内の他の外国人集住都市の外国人支援団体ですとか国際交流協会とも連携をしているという回答があったところでございます。
 支援団体等については,二つのNPO法人に調査をしたところ,4項目ございます。まず一つ目,外国人学校の保健衛生対策等の支援に関する取組について,二つの団体とも外国人学校における健康診断の実施については支援を行っているということでした。美濃加茂市の国際交流協会では,かかりつけ医の紹介や,多言語に対応した健康診断を実施するというところがございました。外国人医療センターにおきましては,多言語対応可能な医療機関の紹介や,健康相談会を実施しているという回答があったところでございます。
 二つ目の認可外施設を含む外国人学校の把握・情報提供につきまして,いずれもSNSを活用しているという回答があったところです。美濃加茂国際交流協会では,認可外の保育施設の設立支援を通じて子供たちの状況把握をしているとか,あるいは市の担当者と情報共有を行っているというような回答がございました。
 三つ目の外国人学校への保健衛生の支援に関する課題につきまして,母国の文化的な背景があって,保健衛生への認識や状況が大きく異なるとか,あるいは活動を継続していくため,リソースに限界があるという課題があるというような回答を頂いております。
 最後に,外国人の保健衛生の確保に向けた他の機関との連携というところで,美濃加茂国際交流協会においては,自治体と日頃から密接に情報共有を行っているということでした。外国人医療センターにつきましては,その地域の保健医協会ですとか医師会と連携をしながら行っているといった回答があったところでございます。
 現地視察の概要というところで,10月12日に,大泉町のジェンテ・ミウダ校と日伯学園について,両方とも認可外の施設ですが,現地視察を行いました。大泉町の全体の状況ですけれども,製造業及び食品業を中心に外国人労働者を雇用する企業が多数存在しています。また,ブラジル人が経営する店舗も多く見られるようなところでございました。また,駅や市の施設には外国人向けの多言語での表示や資料が多く整備されている状況でございました。
 また,ジェンテ・ミウダ校については,簡素な造りの1階建ての建物2棟と2階建て建物1棟があり,そこに幼稚園から高校生までの子供が学んでいます。保健室,運動場,体育館等の施設設備はなく,子供が体を動かす機会の確保に課題があり,日本語でのコミュニケーションについて,コミュニケーションを取れる教職員も数名はいるけれども,自治体の担当者とはポルトガル語の通訳の方を通してコミュニケーションを取っているという回答がありました。日伯学園についても,2階建ての建物が2棟と,1階建ての建物が1棟あり,そこに幼稚園から高校生までの子供が学んでいます。保健室はないけれども運動場はあるということでした。また,日本語教育に力を入れていて,例えば手洗い用のポスターなどは両言語を併記してポスターを掲示しているとか,日本人の経営者が積極的に自治体の担当者ともコミュニケーションを取っているということでした。現地視察の様子については,25ページに写真を載せているので適宜御参照いただければと思います。
 また,参考1からが,それぞれの調査対象についての概要や,インタビュー調査のそれぞれの回答について記載をさせていただいております。
 9ページからですが,まずは外国人学校ということで7つございます。それぞれ5つのインタビュー項目がございまして,学校の概要とインタビュー調査項目への回答,その他意見や,現地視察を行っている場合には,その概要も記載させていただいております。
 18ページからが地方自治体ということで,5項目のインタビュー調査をいたしまして,それぞれの地方自治体の基礎データやインタビュー調査項目への回答,その他の意見について記載をさせていただいております。
 また,22ページからが支援団体等についてですが,同様に,調査項目と各団体等の概要,インタビュー調査への回答,その他の意見等について記載をさせていただいております。
 先ほども申し上げましたとおり,25ページに,現地視察の様子として写真を幾つか掲載してございます。参考2がインタビュー調査項目のリストでございます。
 まず,追加調査の結果については,以上となります。
 引き続き,中間取りまとめ(素案)について説明をさせていただきます。素案につきましては,資料の3-1の本体と3-2の概要がございますけども,本体の,資料3-1に基づいて説明をさせていただきます。
 まず,最終取りまとめの素案ですけれども,8月の中間取りまとめを踏まえて,更に第5回,第6回,先ほど説明させていただいた追加調査の結果等を踏まえまして,記載の追加,修正をしているところでございます。
 目次を見ていただくと,大きく構成として追加した部分といたしましては,2ポツの現状の(5)で,追加調査について記載をさせていただいているところでございます。
 3ポツの課題については,構成上大きくは変わってございません。
 4ポツの今後の方向性につきましては,中間取りまとめでは,これから更に調査が必要という方向性が記載されておりましたが,その項目は,先ほど追加調査を行いましたので,外国人学校の現状を踏まえた取組の促進を記載させていただいているところです。また,中長期の項目につきましては,様々御指摘いただいた中で,二つの項目に分けて記載をしております。そのほか,別紙1,別紙2が追加されております。
 2ページ目の「はじめに」ですけども,これは最後の段落を追記したところでございます。最終とりまとめの活用について書いてございます。
 3ページ目の現状について,これも大きな変更はないところではございますけれども,外国人学校の数等について,新しいデータが出てきましたので,時点更新をさせていただいてございます。
 5ページ目,実態調査については前回と変わらずに記載をさせていただいておりますが,実態調査に加えまして,11ページ以降,先ほど説明をさせていただきました追加調査の結果の概要につきましても,記載をさせていただいているところでございます。ただし,中身は先ほど御説明させていただいたところとそれほど変わりませんので,内容を割愛させていただきます。
 3ポツの課題ですけれども,5回目の会議以降の御意見を踏まえて,反映しております。例えば19ページの(2)外国人学校において保健衛生対策を講じる際に生じる課題の1外国人学校の状況・体制について,家庭内の状況や言語の問題等の様々な事情により,外国人学校に通う子供たちの健康上のリスクが比較的高い可能性があるという御指摘や,外国人学校において現実的な体制をどのように構築していくかということを示す必要があると御指摘を頂いているところでございます。
 そのほか,教職員が保健衛生対策等の必要な情報を入手し,専門知識を身につけるための教職員向けの研修を行うことも重要であること,外国人学校は財政面での限界があり,保健室の設置や保健衛生の専門職の配置等を義務づけることは負担が大きいこと,各種学校認可における税制優遇措置が十分に活用され,また,企業等からの寄附を得られやすくなるよう,制度や内容,手続についてより周知をしていく必要があること,といった追記をしてございます。
 また,2外国人学校における保健衛生環境基準等の考え方につきましては,20ページ目の最後の部分で,外国人学校の保健衛生に関するガイドラインを策定することが望ましいですとか,あるいは広報,啓発,研修を行うことも有効であるというような御意見を頂いているところでございます。
 3適切な情報の入手・活用については,様々御指摘いただいたので,二つの項目に分けまして,情報の入手についてと情報の活用についてという形にしてございます。情報の入手についての新しい部分といたしまして,外国人学校向けの保健衛生対策に関する情報が集約された多言語プラットフォームの有効性について追記させていただいております。情報の活用としては,例えば最後のところに,文書の重要度の明示や,やさしい日本語の活用等を通じて,外国人学校にとって分かりやすい資料を作成することが望ましいといった御指摘を頂いてございます。また,4の心のケアの課題につきましては,外国人学校に通学している子供たちは,日本での生活を続けていくことや将来の進路について不安を抱えており,ロールモデルとなる先輩の外国人の話を聞く機会を設けることも有効であるというような御指摘を頂いてございます。
 22ページの新型コロナウイルス感染症については,将来に備えて,外国人学校における平時からの感染症対策の取組を考える必要があるという御指摘を頂いているところでございます。
 (3)外国人学校において保健衛生環境対策を講じる際の支援体制に関する課題における自治体との関係については, 23ページに,地方自治体における外国人学校に関連する部署は多岐にわたり,外国人学校からの相談に対して迅速な対応が困難な場合があり,このため外国人学校の保健衛生対策に関する窓口を担う担当部署を,各地方自治体において明確化すべきであるという御指摘を頂いているところでございます。
 2外国人学校に対する広域的支援の観点につきましては,養護教諭等の専門職を広域で配置し,外国人学校の保健衛生対策について巡回指導を行うなどの支援方法ですとか,あるいはオンライン等を通じた遠隔での対応も有効ではないかというような御指摘を頂いておるところでございます。また,外国人の患者を受入れ可能な地域の医療機関について,日頃から情報共有することも重要であるとご指摘を頂いているところでございます。
 24ページ,その他ですけれども,健康に対する価値観はそれぞれの国において異なること,あるいは三つ目のポツ,外国人学校における学校への巡回診断等を実施するためには,地域の医師会や医療機関に外国人学校の保健衛生の現状や対策の必要性について,理解をしてもらう必要があるという御指摘を頂いているところでございます。
 25ページ,今後の方向性につきまして,構成自体はそれほど大きく変わっておりませんが,頂いた意見を踏まえまして,内容を追記しているところでございます。まず,適切な情報発信の中では,課題にもありましたけれども,多言語のプラットフォームを整備するということについて記載をさせていただいております。また,これも課題の中にございましたけども,情報発信に当たって,資料の重要度を明示することや易しい日本語を活用するべきではないかということを記載しております。
 26ページの2きめ細やかで効果的な支援の中では,後ろの二つのポツが追記したところでございます。外国人学校に対して一体的な対応を行うため,外国人学校の保健衛生対策に関する窓口を担う担当部署を各自治体によって明確化すべきではないかということ,外国人学校における保健衛生や感染症対策を進める上で,外国人の患者を受入れ可能な医療機関と関係性を構築することが有効であること,地域における医療機関に関する情報共有を行われるよう促進することが重要であるということを追記してございます。
 3の外国人学校の現状を踏まえた取組の促進というのが,新たに設けた小項目でございまして,保健衛生の専門家による個別相談や,教職員に対する研修について記載させていただいております。
 二つ目は外国人学校の教職員に対する啓発ですとか,三つ目は各種学校や寄附に関する制度について周知をし,その活用を促すというところを記載させていただいてございます。
 27ページ,中長期的に取り組むべき項目についても,二つの項目に分けて記載させていただいているところです。
 一つ目が,外国人学校の保健衛生対策に係る方向性の提示でございます。例えば,地域医療や医療機関と連携し取り組んでいくことが不可欠ということ,そのためにも地方自治体において外国人学校の現状や支援策等について医療関係者にも理解・協力してもらえるよう,地方自治体の保健部局等と連携しながら,保健衛生対策について横断的に検討することが必要であること,あるいは将来に備えた継続的な保健衛生対策につなげられるように検討を続けていくべきであるということを記載させていただいております。
 2の外国人学校における保健衛生に係る対応力の向上の項目につきましては,養護教諭等の保健衛生の専門職の配置や活動を促進するとともに,各学校の取組事例を収集しつつ,現実的な体制整備を行うということが必要であること,あるいは地方自治体,NPO,民間企業,医師会等の連携の下に,外国人学校において健康診断等の実施が可能になるような体制について検討すべきであること,保健教育等を通じて,外国人学校の子供の自発的な取組を促すことも重要であることといった記載をさせていただいております。
 最後に,多言語のプラットフォームや地方自治体の取組について,そこで得られた知見を,全国で展開を図っていくということも重要であると記載させていただいております。
 また,追加調査を踏まえまして,別紙1,別紙2を追加しているところでございます。
 以上でございます。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございました。
 今,報告を頂きましたように,追加調査の結果,最終取りまとめの素案が出てまいりましたので,皆様から御意見,御質問がございましたら,いただければと思います。40分ほど時間が取れると思いますので,どなたからでも結構ですので,お願いします。今日,5人出席されていますので,是非皆様お一人お一人から,御意見いただければと思いますので,お願いいたします。
 倉橋委員,お願いします。
 
【倉橋委員】 
 ブラジル学校の立場から申し上げますけれども,いろいろ受け手側,学校側の実情に合わせてという言葉があったというところ,それは現地に来ていただいて,いわゆる保健衛生のところまで手も頭もお金も回らないという現状を理解していただいた上での御発言と理解をしております。
 その限られた中でも進めていかなければいけないということは了解しておりますが,実際にここに載っているのは現場と調整しながら進めていこうとか,情報発信をしようとかというところで,未来のことなので,当然まだできてないことについてあれこれ言うのは難しいと思いますけれども,それがもう一歩踏み込んで,私たちに何を求めますかというところが,まだ明確ではないのかなと感じました。子供たちの保健衛生状況を一定以上の基準に引き上げるというところは,私としては非常に賛成ですし,子供たちの健康や安全というのは学校として当然守るべきものだと思っておりますけれども,ブラジル学校の現状を見た上で,何をするのか,何ができるのかについて,また今後,この提言を基に個別の話合いはされると思いますけれども,現在は個別の具体的な内容について,話を聞きたいと思っております。
 以上です。ありがとうございました。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございます。一通り御質問,御意見を伺いたいと思いますが,いかがですか。
 田中委員,どうぞお願いします。
 
【田中委員】 
 倉橋委員の御意見に非常に強く共感します。負担できないからやらなくていいというようなことにならないように,自治体,政府,外国人学校,地域に関わる医療機関等が最低限ここまではやる必要があるというようなことを,互いに合意をして双方に推進ができるような枠組みをつくっていく必要性を感じました。
 各自治体において,窓口を明確化すべきであるとの記載は非常に心強く感じますが,明確化した上で,自治体がどのようなことを行うべきなのかというところも一歩踏み込んで記載をしていくことで,外国人学校が自治体に足を運ぶ前に,自治体側から外国人学校に向けてアクションを起こしていけるような,そうした関係づくりになっていくと,取組がなかなかできていないところまでやらなくてはという方向に動けるのかなと感じました。
 以上です。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございました。
 安田委員,お願いします。
 
【安田委員】 
 ありがとうございます。
 私からは,外国人学校向けの保健衛生に関するガイドラインの策定についてなんですが,このガイドラインの性格,位置づけ,例えば内容のイメージですけれども,既に保健衛生マニュアルというものを,新型コロナ感染症の関係では策定されております。そうしますと,保健衛生マニュアルとの違いや,外国人学校向け保健衛生に関するガイドラインの特徴といいますか,どういったところに独自性が出てくるのでしょうか。また,策定した先の,遵守の実効性確保,あるいは遵守のインセンティブと言った方がいいのかもしれませんけれども,そういったところをどのように明示していくのか,もう少し,方向性ー概略でも結構ですが,できるだけ具体的なイメージを共有できるような表現がどこまでできるか,検討の余地がまだ少し残っているのかなと思います。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございます。
 ダニエル委員,お願いします。
 
【ダニエル委員】 
 JCISの立場から,ガイドラインについては異論ありません。我々が抱えていた課題の一つは,以前にもお話ししましたが,日本に住む外国人の方々にワクチンを接種してもらうことでした。日本語を話せない人にとっては,本当に苦労します。保健衛生に関して,私たちはどうやってそれを支援することができるのかと考えているところです。5歳から12歳までの子供たちにワクチンを接種するとなった場合,日本語を話せない多くの家族が苦労すると思います。ガイドラインを活用し,そういった外国人の方々へのサポートができればと考えています。ありがとうございます。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございました。
 北垣委員,お願いします。
 
【北垣委員】 
 先ほど安田委員から,今後のガイドラインのつくり方について御意見を頂きましたが,前々回,私から少し御説明させていただいたように,新型コロナ感染症に対する対策は,非常事態若しくは緊急事態に対するガイドラインであり,当然,今の段階では極めて有効であり重要であると思うのですが,前々回お話しさせていただいたように,緊急時の対応ではなく平時において,どのようなガイドラインをつくっていくべきなのかの議論が大切であると考えます。その上で,外国人学校における子供たちに対するガイドラインとすれば,学校保健安全法がやはり中心となるべきだと考えます。また,前々回には,お話ししなかったのですが,事業所という観点から考えれば,大規模な学校であれば建築物衛生法という法律もございますし,働いている職員という考え方からすれば,労働安全衛生法の事務所衛生基準規則等もありますので,このような日本における環境衛生管理,保健衛生管理に関する法令等を中心にガイドラインを考えていくということが必要になってくるのかなと個人的には考えております。
 以上です。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございました。
 浅野委員,どうぞお願いします。浅野委員の声が,入っていないようですが,皆さん,大丈夫でしょうか。それでは,また,接続できたら,お話を伺いたいと思います。
 今,幾つかお話を伺いましたけれども,どのようにして何をなしていくべきなのか,個別にどうしたらいいのかということと,ガイドラインの議論が出ました。何か事務局からここまでで,回答することはございますか。
 
【事務局】 
 貴重な御意見を頂きまして,ありがとうございます。次回に向けて,可能な限り反映をしていきたいと思います。
 まず,倉橋先生からブラジル人学校の実情をきちんと踏まえてというところですけれども,倉橋先生の学校の状況も見せていただいたところでございます。また,ほかにも先ほどの追加調査で現地を見せていただいて,外国人学校でもいろいろな状況があるというところを拝見しました。これまでの議論で保健室の整備というところがあったのですけれども,学校によっては,そもそも保健室の整備の前に,教室のスペースが十分に取れていないとか,あるいは運動場がないとか,そういうところもある一方で,先ほどダニエル委員から発表もあったとおり,かなり整備をされているというような学校もあり,外国人学校でも様々な状況がございます。この会議や追加調査でも,ガイドラインや基準を外国人学校に対してつくることは有効だと御意見を頂いていますが,その中身がどうなるのか,多様な外国人学校に対してどのようなものをつくっていくのかというのは,これから手探りになってくると思います。ただ,それがあまりにも低いもの,あるいは高いものを求め過ぎて,有効でないということにならないように,うまくつくっていかなければいけないと思います。
 それに関連して,安田委員から実効性をどのように担保するのか,つくったはいいけれども,それをどのように守ってもらうのかという御意見を頂きました。その一つとしては,守れるようなものをつくるというのはあるのですが,それだけではなくて,例えばガイドラインをつくりっ放しにするのではなく,広報や情報提供をしていく,あるいはガイドラインをつくるときに,どのように使っていくのかについて,研修等も必要になると感じたところでございます。ただ,ほかにも有効な手はあるのかもしれないので,そういう部分は考えていかなければいけないと思います。
 田中委員からは,自治体の窓口や取組についての御指摘を頂いたところでございます。この会議の中でも,あるいは追加調査の中でも,本当に様々な部局が関係をしており,外国人,あるいは多文化共生部局が関係するところもあれば,保健衛生の部局が関係をする,学校部局が関係をするというところで,複数の部局が関係をすると,どこがイニシアチブを取っていくのかが重要な一つの論点だと考えております。ただ,自治体も,一つにまとめていくというところは苦慮しているところでございまして,これから自治体の事業を開始することができれば,その中でどう自治体が課題に対処していくのか,何かモデルケースのようなものをつくることができれば,それを全国に広めていけるのではないかと考えています。ただ自治体にやれといっても,それだけでは広がっていかないものですので,いい例を一つでも二つでもつくって,こうすればワークするということを示していくことが必要なのかなと思いました。
 ダニエル委員からは今後の接種についてということで頂きましたが,直近の課題の可能性もあると思っておりまして,今後そういう話があった場合には,その点にも留意をしながら,取り組んでいきたいと考えております。
 北垣先生からも平時のガイドラインが必要だというところで,事業所という性質から,どちらかというと厚生労働省の方でしょうか,そういう法律,法令も適用され,そういうところにも目配せをしていかなければいけないというコメントを頂いているところです。そこはある程度最初から予見された課題でございまして,国の中でも,例えば保健衛生については,学校という意味では文科省もございますけども,地域医療という部分では厚労省がございまして,労働衛生等の部分について,どう取り組んでいくかについては,今後,国全体でも検討課題と考えております。
 以上でございます。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございました。
 浅野委員,音声大丈夫でしょうか。浅野委員,このままもし音声がつながらないようであれば,後ほどメールででも御意見をいただければと思いますが,こちら,音声は聞こえておりますか。
 今,事務局からも回答いただきましたけれども,この会議は,次回が最終回になります。今日皆様に,この後御意見を頂きたいのは,最終取りまとめの素案についてです。調査結果はこのまま載せていくということになると思います。取りまとめの素案の課題については,先ほど事務局からの説明にもありましたように,これまで委員の皆さまから頂いた意見をここに反映していると理解しております。私も事前に読みましたが,かなり取り入れてられていると思います。その後の「今後の方向性」ということで,25ページから28ページまで,具体的に書かれています。
 この部分について,具体的に御意見を伺いたいと思います。次回が最終回になりますので,皆様の御意見が反映できるところは反映して,最終の取りまとめをしていきたいと思います。いかがでしょうか。
 例えば,先ほどガイドラインという話がありましたけれども,ガイドラインの運用等については,詳細な議論が必要ですので,別の会で議論する必要があると思います。ここでは,ガイドラインが必要なこと,国としてある一定の基準を示すことが必要であることを提案するというように書き方になっています。
 そういうことも踏まえながら,特に25ページから28ページについて,皆さん,御意見いただければと思いますが,いかがでしょうか。
 何なりと結構です。あるいはこれが足らないのではないかとか,課題としてはあがっているが,その課題に対して今後の方向性が対応していないということでも結構です。御意見をいただければと思いますが,いかがでしょうか。
 北垣議員,どうぞお願いします。
 
【北垣委員】 
 先ほどガイドラインの話をさせていただいたので,今,通しのページで言えば53ページ,報告書案のページとすれば20ページのところ,3の適切な情報の入手・活用のところに,「1条校と同じ基準を外国人学校が」という文章で始まっていて,こちらのガイドラインについて,子供たちのことを考えると,学校保健安全法に即したようなガイドラインの作成が望ましいということになりますし,事業者としての外国人学校で働かれている職員の方に向けて考えるのであれば労働安全衛生法,なおかつ,そちらの学校の方の規模が大きければ,建築物衛生法という関連の法律を踏まえて,ガイドラインの作成等を進めることが望ましいという感じになります。アンカーそういう趣旨のものをここに入れるのがよろしいのではないかと考えました。
 以上です。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございました。
 報告書の20ページのガイドラインの具体的な中身をもう少し明示化するために,どのような法律に基づくかをこのガイドラインの課題のところに載せたらどうかという御意見だと思います。
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 安田委員,お願いします。
 
【安田委員】 
 私もガイドラインに関する意見ですけれども,今後の方向性というところでは,27ページ,ガイドライン等の具体的な在り方についてという記述がございます。外国人学校向けとなっておりますが,恐らく先ほど指摘させていただいたように,どのようにガイドラインを守っていただくかという,それぞれの関係機関や自治体に対して,一定の責務というとちょっときついかも分かりませんが,ガイドラインの中で関係機関がどこまで関わるのか,関わるべきなのかというところまでを視野に入れたガイドラインを,検討していくべきではないかなと考えております。そういったことまで書くのかどうかというところもあり,全てこのガイドラインの在り方という表現に含まれていると思いますけれども,どこまで書くか,誰を名宛て人にするのかというところを,少し共有できればと思います。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございました。
 27ページの1(2)1のところ,外国人学校向けの保健衛生環境基準やガイドラインについては,自治体等向けのガイドラインについての記述が必要なのではないかという御意見だったと思います。大変重要な指摘だと思いますので,この辺はどういう文言にするか,また事務局と相談させていただきます。どうもありがとうございました。
 倉橋委員,どうぞお願いします。
 
【倉橋委員】 
 すいません。お話に水を差すようで申し訳ないのですが,ガイドラインをつくるということで,それで果たしていいのかというのが少し疑問です。もちろんつくればつくれると思います。つくることに大変な困難を伴うとは思いますけれども,各法律等々に基づいてつくることができると思いますし,それを,「これを守ってね」ということもできると思います。ただ,先ほど安田先生の方からもお話があったように,どうやって守らせるのかということと,私が常々申し上げていたように,何か頂いても「ああ,何か来たね」で終わっちゃったら,もったいないと思います。情報発信も「情報発信したよ」,「ガイドラインをつくったよ」,「ああ,すごいね」で終わってしまうともったいないかなというのは,懸念するところです。
 学校に見に来ていただいて,事務局の方からもお話があったように,多種多様というか非常に難しいところではあるのですけれども,その中で,国としてこれは守らせたい,これを守らせたいから,こう制度をつくり変えるというところまで踏み込めると,実際に有効性はあるのかなと思います。そもそもガイドラインをつくるというのが,それでよいのですかというのが,つくらなくてはならないかも分からないのですが,違和感があります。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございました。
 ガイドラインそのものをつくる,情報提供するということは当然必要かもしれないけれども,それをどう具体的に外国人学校の中に下ろしていくのか,それをどう実現していくのかというお話だったと思います。財政支援だとか,あるいはこの運用のための連携の在り方といったようなところも含めて,もう少し書きぶりを考えてほしいということだと思います。これも重要な指摘だと思いますので,何らかの形で反映できればと思います。
 ありがとうございます。ほかにいかがですか。
 田中委員,お願いします。
 
【田中委員】 
 ありがとうございました。
 課題で言及されている心のケアについて,取組の部分がかなり少ないなという印象があります。今,心のケアに関わる取組については,外国人学校の教職員に対して啓発をしていくというところですけれども,課題の部分で,やはり関与する人材としては養護教諭や臨床心理士といった専門家が挙げられています。もちろん専門家の育成には時間がかかるというところで,中長期の取組にはなってはいるものの,速やかにできることとして,養護教諭や臨床心理士の方々に向けても,研修を実施するとか,理解を促進していくような取組というのは十分可能と考えます。
 外国人学校ができていないので,支援を提供するというのは,一方通行のような印象を受ける部分でもありましたので,双方向性というところで,日本国内の様々なアクターに向けても,何らか必要な取組を速やかに実施していくというところが,ここで記述されるとよいかなと考えました。
 以上です。
 
【佐藤座長】 
 最終取りまとめの26ページに,心のケアの促進に向けて,3のところにその記述がありますけれども,更にもう少し,より積極的な施策を提案するという理解でよろしいですか。
 
【田中委員】 
 日本の関係者向けにも研修等を実施していくことというのは,比較的容易に速やかに取り組めることかと思いますので,そうした方策も可能であれば盛り込んでいっていただきたいというところです。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございました。
 課題のところで,関係者向けの研修が必要だという記述はありますが,外国人学校の保健衛生環境に関する取組の一環として,私もより具体性を持った提案が必要なのではないかと思います。一つ案としては,例えばアドバイザー制度をつくり,専門家がアドバイザーになり,保健衛生環境に関する相談に応じるとか,研修を行っていくといったようなことが実現できればいいなと個人的には思っています。速やかに対応すべき項目の中に,こうした研修の実施について具体的に入れたらどうかという御意見だと思います。
 ほかいかがでしょうか。もう少し時間がございます。
 倉橋委員,お願いします。
 
【倉橋委員】 
 日本として,私たちの国が外国の学校に求めるものは何だろうというのは,すごく悩んでいて,特にブラジルの学校も,以前の出稼ぎの子のための学校から,だんだんと日本に定住する可能性の高い子供たちも受け入れるようになってきています。そうなると,将来,私たちの国に対してプラスの働きをしてほしい,地域に貢献をしてほしい,当然,母国にも私たちの国にも貢献してほしい人をつくっていきたいと考える中で,一番初めに問題になっていたのが,外国人に対する義務教育や学籍簿がないといったところで,いわゆる外国にルーツを持つ子供たちに対して,どう私たちの国は彼らを見ていくのだろうというところは気になっているので,その後,また制度が変わっていくのかなとも思っています。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございました。
 外国人学校は,日本社会の市民を構成する一員を育てる学校でもあるということは間違いありません。そのためにこういう専門家会議が開かれており,外国人学校の子供の命を守る必要があると思います。非常に貴重な御意見だと思います。ありがとうございます。
 もう1名ぐらい御意見承りますが,いかがでしょうか。安田委員,お願いします。
 
【安田委員】 
 今後の方向性の中で,大きく速やかに対応すべき項目と,中長期的に取り組むべき項目がございまして,特に速やかに対応すべき項目という点では,まだ新型コロナウイルスが収束してない段階という現状を踏まえますと,何らか新型コロナウイルス対策に関する記述を入れないと,少し何か不自然,違和感を覚えるところがあります。少し抽象的ながらも,何か記述を加えた方がいいのではないかという印象を持ちました。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございます。貴重な御意見だと思います。新型コロナウイルスに関しては最初のアンケート調査にも載っていますので,この速やかに対応すべき項目のところで,情報発信なり効果的な支援,先ほどダニエル委員の方からも出ましたけれども,すぐに対応すべき支援策として,新型コロナウイルス感染症対策の記述を入れたらどうかということです。速やかに対応すべき項目というのは,どちらかというと一,二年の間に実現可能なものというようなイメージを持ちますので,確かにそのとおり,新型コロナウイルス感染症対策を入れ込む必要があると思いました。ありがとうございます。
 この後,来月の次回で終わりです。今日,オチャンテ委員と鈴木委員が欠席でございますので,事務局の方からオチャンテ委員,鈴木委員,それから浅野委員の音声が聞こえませんでしたので,是非メール等で御意見を聴取していただければと思います。
 後ほど,その期日等については,事務局からお話しいただければと思いますが,今日は時間でございますので,これで閉会としたいと思いますけれども,この後,今日の御意見,それから,今日御欠席のお二人と浅野委員の御意見も踏まえて,最終取りまとめの作業を進めていくこととしたいと思います。
 それでは,最後に,議題4,その他について,事務局から今後のスケジュールの説明をお願いします。
 
【事務局】 
 事務局から失礼いたします。
 次回の第8回の会議は,来月,12月22日水曜日,11時から12時30分で開催する予定です。
 次回の会議では,今回の会議での御意見を反映した最終取りまとめ案について,最終的な御議論を頂きたいと思っております。
 今日御欠席いただいたオチャンテ委員と鈴木委員,浅野委員には,メールで,今月中をめどに,もし追加の意見があればいただければと考えております。欠席の委員にも,その旨はお伝えして,意見を頂こうと思っております。それでよろしいでしょうか。
 
【佐藤座長】 
 ありがとうございます。
 ほかの委員,今日御出席の委員も,もし御意見等があれば,今日言い足りなかったもの,あるいは後で気づいたことがあれば,今月末までメールで事務局の方にお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは,最終取りまとめに向けて,事務局の方とも,また相談をさせていただきながら進めたいと思います。
 本日の会議を閉会といたします。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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