外国人学校の保健衛生環境に係る有識者会議(第4回)議事録

1. 日時

年8月5日(木曜日) 10時00分~11時30分

2. 場所

Web 会議システム(Zoom)

3. 議題

(1)中間とりまとめ(案)について
(2)その他

4. 議事録

【佐藤座長】 
 おはようございます。お忙しい中お集まりいただきまして,ありがとうございます。定刻となりましたので,ただいまより第4回専ら外国人の子供の教育を目的としている施設(いわゆる外国人学校)の保健衛生環境に係る有識者会議を開催いたします。どうぞよろしくお願いします。
最初に事務局から議事と配付資料の確認をお願いします。

【事務局】
 本日はよろしくお願いいたします。
本日の議事は,議事次第にございますとおり,中間取りまとめ(案)について,その他の2点でございます。
配付資料は,議事次第のとおりです。資料1-1,中間取りまとめ案,資料1-2,中間取りまとめ案の概要,資料2,新型コロナウイルス感染症対策の進捗状況の3点でございます。また,その他参考資料が4点ございます。不足等ございましたら,事務局までお申し付けいただければと思います。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。それでは,早速,議題1,中間取りまとめ案について,事務局から説明をお願いいたします。

【事務局】
 本日は,中間取りまとめ案の変更した部分の大きな視点でのお話をさせていただいた後,今まで先生方から頂いた御意見がどのように反映されているかを御説明したいと思います。
まず,前回も非常に貴重な御意見をいろいろ頂きまして,本当にありがとうございます。御議論いただいた骨子案から変更点が幾つかございます。
 一つは,11ページに,外国人学校に対する実態調査を行った記載がございます。今まではその調査結果だけが出ておりましたが,この調査から何が課題として明らかになったかということを一つ項目として付け加えさせていただいております。
 次に,12ページ以降です。12ページから16ページまでを通じて,後で詳しくお伝えいたしますが,日本語でのコミュニケーションや自治体と外国人学校の関係性など,前回,委員の皆様から頂いた御指摘を加えさせていただいております。
 17ページから18ページは,これは大きな項目として,今回,中間まとめということで,今後の方向性や今後取り組むことを追記させていただいております。その中でも,直ちに対応すべき事柄と,直ちに対応すべき事柄を実施してから,少しそれを踏まえて取り組まないと難しい事柄を付け加えさせていただいております。
 今回,先生方から頂いた御意見を追記するに当たって,私どもとして留意したこととして,一つは,この衛生環境を議論するに当たっての一番大きな課題は,背景として,どうしても外国人学校や子供たちの把握自体が非常に難しく,そこができていないということがございます。この問題はとても重要ではありますが,今回の会議自体は保健衛生環境に関する会議ということでございますので,そういう意味ではフォーカスが保健環境に行くように,就学の問題や学齢簿の問題といったことは文科省でも別途取り組むことにしておりますので,別途書きたいと考えております。
 もう一つ,最後に今回新しく加えさせていただいた今後の取組の方向性のところでございます。この会議自体は年末まで先生方の御協力を頂くことになっております。今回で終わりということではございませんので,もっとブラッシュアップしていく必要があるとは思っております。
 ただ,まず率直なところ,今回,行政として来年度の概算要求というのもございますので少し粗く書かせていただいておりますが,一気には難しいですけれども,できることからとにかく手をつけていきたいと考えています。その際に,先生方からも御意見いただいておりますけれども,本当に多様な学校が対象になっておりますので,そういう意味では文化の違いや規模,学校の体制,そういったことをあまり無理がないように,上からの押しつけにならないような形で進めていかなければいけないと思っております。そういったことを心がけて今回修正させていただきました。
 また,これからも意見をいただけたらと思っております。ここから,具体的な修正点を御説明したいと思います。

【事務局】
 事務局でございます。資料1-1として中間取りまとめ案の本体と,資料1-2として中間取りまとめ案の概要を配付させていただいております。資料1-1に基づきまして,簡単に前回からの変更点を中心に御説明をさせていただきたいと思います。
 まず,資料1-1の1ページ目です。先ほども触れさせていただきましたけれども,目次の2,4ポツの今後の方向性について,これまでの議論を踏まえて記載をさせていただいております。
 2ページ目でございます。こちらにつきましては,前回の議論を踏まえさせていただき,三つ目の段落に,国内の動向といたしまして,令和3年6月に決定された外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策について記載をさせていただくとともに,四つ目の段落に,国際的な動向としてSDGs―持続可能な開発目標について追記をさせていただいております。また,外国人学校について,外国人学校「等」にすべきではないかという御指摘も前回頂いているところですが,既に外国人学校には様々な主体がございまして,更に「等」をつけてしまうと何でも読み込めるような状態になってしまい,外国人学校の保健衛生対策を議論している本会議の対象が広く拡散してしまうというところもございます。かえって有効な議論がなし得なくなる可能性もございますので,まずは原案のとおり,今は「外国人学校」と記載をさせていただいております。
 3ページになります。こちらにつきましては,前回の議論で,認可を受けていない施設について「認可外施設」と記載するべきではないかという御指摘について反映をさせていただいております。また,3ページ目の最後の項目になりますけれども,日本国内の外国人の子供の人数と就学していない可能性があること等の外国人の子供の数について,昨年3月に取りまとめられた外国人の子供の就学状況調査の結果を記載してございます。
 11ページを御覧ください。11ページの調査結果のところですけれども,この項目名について,(5)本調査から明らかとなった主な課題とさせていただきまして,外国人学校と地方自治体との協働の重要性や,養護教諭や学校医の配置状況などについて追記をさせていただいております。前回御議論いただいた中で,保健室,養護教諭,学校医に関する記載につきまして,二つの項目に分けるべきではないかという御議論がございました。これについては二つの項目に分けましたが,このうち,そういうものの設置が難しい場合の対応につきましては,一般的な課題になると考えており,11ページではなく,課題に入ってしまいますが,13ページの(2)の①の最後の項目に記載をさせていただいております。
 12ページに移ります。12ページは課題になるところでございます。まず,(1)の外国人学校及び外国人学校に通う子供たちの把握に関する課題ですけれども,前回の議論を踏まえて,認可外施設の把握や言語,文化的背景についての記載を追記しております。学齢簿についても,前回御指摘を頂きましたが,御議論いただいております保健衛生環境だけには収まらない論点であることから,今の中間取りまとめの案には追記はしてございませんが,やはり重要な観点でございますので,脚注等で何らか記載をすることも検討させていただきたいと思っております。
 13ページになりますが,これは(2)外国人学校において保健衛生対策を講じる際に生じる課題といたしまして,②の適切な情報の入手に関しまして,前回の御議論を踏まえ,外国人学校における日本語でのコミュニケーションの問題点について追記をさせていただいております。
 次の14ページについて,個別の観点というところになりますけれども,前回の御議論を踏まえ,心のケアや心身に係る問題の早期発見等に関する養護教諭の役割や臨床心理士の役割の重要性について追記をするとともに,新型コロナウイルス感染症に対する風評被害に対する啓発等の自治体の取組についても追記してございます。
 (3)外国人学校において保健衛生環境対策を講じる際の支援体制に関する課題ということで,15ページ以降を見ていただければと思いますが,この中で①と②,地方自治体と外国人学校との関係,外国人学校に対する広域的支援の観点の中におきまして,前回頂いた御議論を踏まえ,かかりつけ医の整備・促進のための自治体の取組について追記をさせていただいたところでございます。また,③のその他の中において,これも前回の御議論を踏まえまして,外国人学校と地方自治体との関係の在り方や外国人学校における平時の保健衛生の重要性についても追記してございます。
 17ページから18ページに今後の方向性ということで記載をさせていただいております。今後の方向性については,これまでの議論や,中間取りまとめでも記載をさせていただいております調査結果,頂いた課題等を踏まえて記載しているところでございます。今後の方向性につきましては,(1)直ちに対応すべき課題と(2)今後検討すべき課題の二つに分けて記載してございます。特に(2)については,今後の有識者会議でも引き続き御議論を頂きたいと考えております。
 まず,(1)の直ちに対応すべき課題ですけれども,①さらなる実態の把握に向けた調査については,これまでの調査ですとか,先ほどの課題の(1)を踏まえたものでございます。今後ですけれども,外国人学校や自治体等への個別の調査等も行っていきたいと考えております。
 次に,②の適切な情報発信につきましては,これは課題(1)の②を踏まえたものでございます。これにつきまして,全国的な情報発信窓口の設置や多言語翻訳の促進等も必要であると考えております。
 18ページになりますけれども,③のきめ細やかで効率的な支援については,これは課題3を踏まえたものでございます。自治体と外国人学校との関係構築や良好事例の全国展開,ノウハウの蓄積の必要性などについて記載してございます。
 次の(2)今後検討すべき項目につきましては,課題でもいろいろとこれまで対応させていただいているところですが,上記の項目に加えて,外国人学校の多様性の観点から,画一的な対応は必ずしも適当ではない課題については丁寧な議論が必要とされると考えていることから,今後検討すべき項目とさせていただいております。今後議論を進めていく中で,また,関連する取組を行っていく中で徐々に具体化をしていくことになると考えております。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。今日の目的は,この資料1-1,中間取りまとめの案が出てきておりますので,これについて議論を重ねて,意見を出していただくということです。委員の皆さまから積極的に御意見,あるいは御質問いただければと思います。
 皆さまのお手元に事前に届いていたと思いますけれども,あるいは今目を通していただきながらでも結構ですので,自由な議論をお願いします。安田委員,お願いします。

【安田委員】
  あえての問題提起的な発言になるかもしれませんけれども,まず,中間取りまとめ,非常に的確に取りまとめいただき,関係者の皆様ありがとうございます。
 その中で,最後の今後の方向性のところに関係してくると思うのですが,文部科学省のアプローチとしては,当然,所管の学校保健安全法に基づく学校保健という視点からアプローチを考えていくということになります。私ども行政の立場から申し上げますと,やはり厚生労働省の所管の地域保健法を中心とした様々な地域保健に関連する法体系がございます。学校保健というアプローチと,それから地域保健というアプローチ,特にこの在住外国人の皆さんの学ぶ場所に関しては,認可外施設も含めますと,かなりインクルーシブなアプローチといいますか,保健活動一つ取ってもアウトリーチ的な展開がやはり必要になるのではないかと考えております。
 そういったところで,これは在住外国人の方,外国人学校に関する問題だけではなくて,浅野先生にも御教示いただければと思いますが,学校保健と地域保健の実際の連携状況といったところの実態について,もし在住外国人の方へのアプローチの中でコミュニティーというのがキーワードになるということになると,地域保健の視点も外せないと思いますので,その辺りで少し浅野先生の方から何か御教示いただければ幸いに存じます。

【佐藤座長】
 浅野委員,学校保健と地域保健という非常に大事な視点ですけど,それが関連付けられるのかどうか,少しお話しいただければという御依頼ですけども,いかがでしょうか。

【浅野委員】
 そのことについては,やはり全国,県,市町村,いろんなところで一律にこのように行っていますということは,この場で私から言えることではありませんが,ただ,やはり一人のお子さんを小さいときから学齢期,そして将来に向けて,一連の流れの中で情報を共有したり,逆に学校から保健センターなり保健所なりに情報を求めたり,今までどのように支援をしていて,今後もしていったらいいのかということを情報共有,そして支援の仕方をお互いに考えていくことが重要です。そして,一人のお子さんをそうやって小さいときからつなげて,よりいい支援が行えるようにということは常時行っていることですので,きちんと体制が取られているということよりも,必然的に日常で行われているということが大きいかと思います。
 ですから,このような体制を取っている地域も全国にはあると思いますが,必然的に,子供たちをよくしていこう,よりいい支援をしていこうというところであれば,もうつながらざるを得ないといいますか,情報共有や支援はきちんとしているというのが全国的な取組かと私は思います。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。安田委員,今の御指摘踏まえて,続けて質疑等ございますか。

【安田委員】
 浅野先生,ありがとうございました。
今回の中間取りまとめ,3ページのところに追記いただいたように,学齢期の子供たちの約16%が不修了の可能性があるという実態,それから,13ページの「学校保健安全法の枠組みとは別に」という記載との関連で今ほど発言させていただいたというのが趣旨でございます。事務局に要望ですけど,もし今後,何かこのテーマで関係者の方がスピーチされる御予定であれば,例えば保健センターや保健所の保健師さんによる保健活動の中で,在住外国人の方たちに対する保健活動の実態等も御紹介いただきたいというのは要望として申し上げておきたいと思います。

【佐藤座長】
   ありがとうございます。事務局,お願いします。

【事務局】
 今の安田委員の御意見について,是非考えたいと思います。私自身も,ちょうど佐賀県で健康福祉部を担当しておりましたので御指摘の点はよく分かります。
 もちろん浅野委員がおっしゃったように一律には言えないかもしれませんけれども,現実に自治体でどのようになっているか,その現実の連携の中で,逆に教育委員会側や学校側がやらないといけないこと,アウトリーチのために求めないといけないことについても検討していきたいと思います。
いずれにしても,今度ヒアリングでそういった方に出席いただけるように検討したいと思います。ありがとうございます。

【佐藤座長】
 とても大事な指摘だと思います。外国人学校の所管,あるいは情報の入手先は,市町村が多いこと,しかも教育委員会では必ずしもないということが挙げられています。また外国人の方たち,生活者として地域の中で生活しているわけですから,学校だけでは当然対応できません。地域保健全体の体制という議論とどう接点を見つけ出していくかというのが,安田委員の指摘だと思います。是非今後ヒアリングも行いつつ,どのようにしたら接点が求められるのか検討していきたいと思います。
 外国人の子供たちは,日本人対外国人という二分法ではもう行かなくなっているわけですので,全体の枠の中にどう入れ込んでいくのかという議論が必要です。そのためにも,今後検討すべき項目の中で是非取り上げていければと思います。議事録に是非残していただいて,12月までこれは続くということで,重要な指摘ですので,継続的に,しかも何か具体的な提案ができればと思っている次第です。ありがとうございます。
 北垣委員,お願いします。

【北垣委員】
 私の方から,少し細かくなってしまうのですが,13ページ(2)の①の外国人学校の状況を踏まえた保健衛生環境基準等の考え方というところに少し御意見させていただきます。まず,1ポツのところに関しましては,目指すところとすれば,どの学校であっても,どの子供たちに対しても学校保健安全法に準じたような保健衛生管理をしていくことが一番望ましい状況だというのが私の考え方の根底にありました。
 ただ,外国人学校に関しましては,設置者が違う,若しくは規模が全く異なるということなので,やはり一律的に準用を強制的にやっていくことは難しいであろうと思います。ただ,目指すところに関しましては,学校保健安全法を準用していく方向性で今後取り組んでいく,理想形を追い求めていく,というニュアンスは残していただいた方がいいのかなと思います。この1ポツのところの「外国人学校に一律に学校保健安全法を準用することは難しい」だけであれば,ここで止まってしまうので,それを更に改善をしていくというニュアンスが入ってくることが望ましいのではないかというのが一つ目の意見です。
  次の意見が,2ポツ,若しくは4ポツのところに関係していくと思うのですけれど,学校保健に関しましては,最初の1回目のときに御説明をさせていただいたのですが,やはり人的な管理,人の健康管理という部分と環境の管理という二大柱になっています。1ポツのところになると,健康診断という人の健康管理,人的な管理のところを中心に書かれていて,3ポツのところに関しても保健室,養護教諭,学校医という形で,ここも人的な管理,健康管理を中心に書かれているように見受けられます。
 学校保健の二大要素の一つである環境に関する部分のニュアンスが少し落ちていると感じますので,例えば4ポツのところで,保健室,養護教諭,学校医のみではなくて,学校医,学校歯科医,学校薬剤師,若しくは学校三師というような形を取っていただくと,もう少し環境に対しても配慮が必要だというニュアンスが出てくるのではないかと考えました。

【佐藤座長】
 13ページについて,御指摘を頂きました。1ポツのところ,「難しい」にとどめずに,その理想形に向かってどういうような改善が必要なのかという視点を入れてほしいということと,4ポツのところに環境管理の部分についても付け足したらどうかという御指摘でした。ありがとうございます。
 1番目は非常に大事な点ですので,難しいというのは重々分かっているわけですけれども,その難しさをどう課題として克服していくのかという視点を是非付け足すべきだという意見については同意したいと思います。書きぶりについて,また検討させていただければと思います。
 倉橋委員,お願いします。

【倉橋委員】
 この会議は新型コロナウイルスの対策に向けた話合いが一番に優先されていると思っていましたが,その認識は修正した方がよいでしょうか。

【佐藤座長】
 事務局からお願いします。

【事務局】
 コロナウイルス感染症についてですけれども,本検討会議は,タイトルにもありますとおり,保健衛生環境に係る有識者会議というものでございます。もともとコロナウイルス感染症の対応で,外国人学校における保健衛生環境の課題が顕在化をしてきたというところがございます。もちろんスコープの中にコロナウイルス感染症の対応は入りますけれども,それにはとどまらず,一般的な学校における保健衛生環境,保健衛生対策について御議論をいただければと考えております。
 この中間取りまとめの記述を見ていただいても,必ずしもコロナウイルス対策に限らない記載もございますので,幅広く,一般的な保健衛生も含めて,是非御議論いただければと思います。

【倉橋委員】
 ありがとうございました。となると,保健室をつくることや,学校医,学校歯科医,学校薬剤師等を入れて年に1回若しくは2回の定期的な健康診断を行っていくというのが目指すところと理解しておりますれども,その方向性としては間違ってないでしょうか。

【事務局】
 御指摘ありがとうございます。それにつきましては,この中間取りまとめ内でも記載をさせていただいているところではございますけれども,外国人学校という形態は本当に様々なものがあると考えております。把握をできているところもあれば把握をできていないところもありまして,全体像がまだ分からない中で,どのような形で保健衛生対策を講じていくのがいいのかというところを検討していかなければいけないと考えております。そうした場合に,今,御指摘いただいたような形のものが最終的なゴールになるのか,もう少し多様性を踏まえて別のところになるのかというのは,また今後の御議論や調査,ほかにも取組を進めていく中で,どういうものがいいのかということを考えていきたいと思います。

【倉橋委員】
  分かりました。外国人学校,私は自分の学校以外についてはそれほど詳細には分かりませんけれども,幼稚園年齢の子から高校生年齢の子まで通っています。幼稚園に対する施策と小学校に必要とされることというのは多分異なると思いますけれども,そうした外国人学校の特殊性として,小さい子供から大きい子供までいるということと,それぞれの学年に所属する子供たちがそれほど多くないということがございます。各学年複数クラス,4クラス,5クラス,日本の高校みたいに10クラスあるわけではないので,そういう規模の違いというのも念頭に置かなければいけないということがございます。
  一般的な保健衛生の中で心のケアの問題,体のケアだけではなくて心のケアの問題というのも一つ大きな柱というか,対応すべきところという理解でよいでしょうか。

【事務局】
  ありがとうございます。心のケアについても当然スコープに入っていると考えており,御指摘も頂いてございますので,3ポツの課題の③のところで,心のケアというところで一つ項目を立てさせていただいております。心のケアについても,どのようにしていくのかということも含めて引き続き御議論いただければと考えております。

【倉橋委員】
  ありがとうございます。外国人学校を経営している身からすると,日本の学校で何をやっているのかというのは分かりません。何か基準があると,うちは足りてないとか,うちはもっとやっているといった比較が可能になるので,その基準があると明確かなと感じます。
  心のケアについて,日本の学校ではスクールカウンセラーがいるぐらいのことしか分からないのですけれども,それ以上のものはあるのでしょうか。

【事務局】
  御指摘ありがとうございます。心のケアについて,おっしゃるとおり,こちらもあまり情報を有していないところではあるのですが,やはり重要な課題であるということを考えれば,一条校においてどのような取組をされているのかというのは大切な参照例にはなると思いまして,調べてみたいと思います。

【倉橋委員】
  分かりました。体と心はそれぞれ同程度な価値を持って並び立つものという理解でよろしいでしょうか。

【事務局】
  両方とも大切なテーマであると思っております。

【倉橋委員】
  分かりました。一通り読みましたが,外国人学校として私たちに求められていることというのがあまり見えないかなと思っています。調査しますとか,連携します,議論しますということが多いという印象と,地方自治者の方とも確かに連携が強い外国人学校は多いと思いますけれども,いろいろな市や町があるのはここでも書いてあることではあるのですが,多分できる人,できない人が出てくるなというのが正直な印象です。
  以上です。ありがとうございます。

【佐藤座長】
  ありがとうございました。冒頭の幾つか御質問の中で,この会議の狙いについて,私自身も,コロナ感染症だけではなくて,それを窓口にして,それを切り口にして外国人学校全体の子供たちの命をどう守るかというところが趣旨だろうと思います。
  ただ,喫緊の課題として,新型コロナウイルス感染症が非常に重要ですので,中間まとめのところはそこを中心に記述していただいています。しかしながら,外国人を別枠で扱うということではなくて,日本人も外国人も共に健康をいかに守っていくのかが非常に大事な点です。今までその視点がなかったから,こういう形で有識者会議が立ち上がっているのだろうと理解しています。
  先ほども安田委員からありましたけども,学校保健法だけで外国人学校が果たして良いのかどうか,地域保健との接点をどうつくっていくのか,それが現実的だろうと思います。その辺のところも併せて議論する必要があるということと,それから,倉橋委員から指摘があった幼稚園から高校生までいるということは非常に重要な視点だと思います。この点について少し検討する余地があるかなと思いました。
  この有識者会議は,基本的には国なり地方自治体がきちっと何かの責任を持ってやるということを前提にしているものと思います。その上で,外国人学校に何を期待しているかというのも併せて議論するということだと思います。国なり地方自治体がこれからすべきことを明言していく必要があります。それが曖昧ですと,何をやっているか分からなくなってきてしまいますので,その上で外国人学校にはこんなことをお願いしたいというのが出てくるというのが筋だろうと思います。
  心のケアの問題についても,重要な問題を指摘していただきましたので,一度,事務局の方で,9月以降の会議でも,施策について,どういうことが行われているのか,実態というよりは,国として,どういうことが日本の学校で行われているのかということについて,調べていただいて,御報告いただければと思います。
  オチャンテ委員,お願いします。

【オチャンテ委員】
  ありがとうございます。一つ確認ですが,11ページの本調査から明らかになった主な課題を,後ろの今後の課題に持っていくということで間違いないでしょうか。
要望のヒアリングの話が出ていたのですが,ほかのところでも幾つかそういうお話が出たのでしょうか。ここでも外国人学校の約3割にとどまっているという情報が,どこかでもそういった話に結びつけるのかなと思って,もっと何か当てはまる部分があるのではないかなと思った次第です。

【佐藤座長】
  まず御質問はこの11ページの記述のところと課題のところ,12ページ以降のところの関連ということでしょうか。事務局からお願いします。

【事務局】
  まず,11ページの(5)の本調査から明らかとなった主な課題について,5項目ございますけれども,この5項目については,この案で記載させていただいているとおり,この場所に記載しておこうと思っております。調査から明らかとなった課題ですので,調査と一体として記載をさせていただいております。

【オチャンテ委員】
  分かりました。前回の会議でも予防の役割というのは非常に大きく出てきているので重要な点かと思い,そこをどこにどうされるのかなと思っておりました。ありがとうございます。
もう一つ,12ページの課題の中で,外国人学校及び外国人学校に通う子供たちの把握に関する課題について,これは別途で検討されていく課題ということも書いてあったと思いますけど,それをどこかではっきりと記入した方がいいのではないかと思います。
  注目されている点でもありますし,全く関係ないところでもないかと思います。特に,一つの例として,ブラジル人学校だと,様々な地域の子供たちが在籍しており,一つの地域ではありません。特にこういったコロナの中では,やはりその子供たちがどこに生活しているのかということを把握するのは必要になってきます。この点について,関係ないところではないと思うので,むしろ実態をきちんと把握して,万が一何か起こったときには,直ちに対応が進められるのではないかと思いました。
  また,これを自治体で行ってくださいとお願いしたとしても,どういう形で行ったらいいのか分からないところも出てくると思うので,何かモデルケース,例えばこういった自治体ではこういった連携が整っていてうまくいっていますとか,そういったものを幾つか上げていくことによって,私たちもこういうやり方ならできるといった方向性が見えてくるのではないかと思いました。

【佐藤座長】
  ありがとうございました。何か事務局からよろしいでしょうか。

【事務局】
  ありがとうございます。外国人学校の子供たちのことをきちんと把握をして,そうすることによって適切な対応ができていくというところは,おっしゃるとおりかと思います。そういうことも分かるように,少し記載ぶりについては工夫をしていきたいと思います。
  もう一つ,モデルケースをきちんと示して,そういうものを幾つか積み上げて広めていくということは,確かにおっしゃるとおり,非常に有効であると思っております。ただ,岐阜県や浜松市等が良い取組をされていると思うのですが,それ以外でまだこちらとしても蓄積されていないところがございます。例えば,18ページの③のきめ細やかで効率的な支援の中に,「外国人学校と一定の協働体制が取られている都道府県や市町村が存在することから,これらの取組を支援して全国展開をすることにより」という記載をさせていただいております。これは,よい取組を集めて,それを全国に紹介をしていくという趣旨でございますので,おっしゃっていただいたことと整合しているものと考えております。

【佐藤座長】 
  ありがとうございました。
  この最初の質問については,昨年の7月に文科省から外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針というのが出されていますので,この中で具体的に,どのように把握したらいいのか,学齢簿の編成と併せて就学実態を把握すること,自治体でもNPOなどと連携することといった必要性などもうたっております。先ほど冒頭で事務局から説明がありましたけれども,そのようにしっかりと把握していくということを,記述していきたいと思います。オチャンテ委員がおっしゃるように,実態が把握できて初めてこれが可能になると思いますので,そこは是非お願いしたいと思います。
  確かにオチャンテ委員のおっしゃることもよく理解できて,モデルケースと同時に,自治体で何をしたらいいのかというのは指針がないとなかなか分かりにくいということがあるかと思います。モデルケースを示していくのか,何かある種の一定の指針みたいなものが出せるのかどうか,指針までは難しいかもしれませんけれども,是非9月以降に検討していければと思います。
ただ,モデルケースについては,報告書の18ページに記載されているように進めていきましょうということですので,これはカバーしているのではないかと思いました。
  続いて,田中委員お願いします。

【田中委員】
  2点ありまして,1点目は多分表記ミスだと思いますが,5ページの⑧のところ「無認可施設」という表現が残っていますので,7から上と同様に「認可外」とすべきところなのかなと思いました。
もう一点は,NPOに関してなんですけれども,地域保健という表現がありましたが,NPOの中にも,外国人学校運営主体としてのNPO以外に,保健や医療,あるいは子供の貧困といった各分野で新型コロナ対策を含めて活動をしている様々なNPOがあります。
  保健医療の分野では,地域で毎月,相談会を多言語で開いたりするところもありますし,栄養という観点からは,コロナ禍で貧困状態に陥っている外国人保護者が多い中で,食料の配布というようなことを,もともと日本人を対象にしていたものが,コロナ禍でそうも言っていられないという現状から,外国人にも対応しますというNPOも急増しています。
  そうしたNPOの力を外国人学校等の子供たちの保健衛生環境の体制整備や新型コロナに対する緊急的な支援に対しても活用できるのではないかと思っていまして,自治体がもともと持っているネットワークがきっとあると思います。NPO等とのネットワークも活用をすることを報告書の中で提案してはどうかと考えています。
   NPOで外国人支援を主に担っているような団体であれば,外国人のお子さんが地域移動をした後もつながることができたりですとか,あるいは外国人学校を経済的な状況で離脱せざるを得なかったお子さんの受皿になったりですとか,そういった役割を担っている可能性もあります。そうした部分も含めてNPO等の役割についても記載をしていくと,外国人の方々に対しても私たちがふだんやっている保健のケアや新型コロナの緊急支援が役立つというメッセージとして受け取っていただけるかなと思います。
  そういう部分も含めて地域の力を外国人学校等の子供たちの環境整備に使っていくような視点も入っていく,あるいは今後検討されていくとよいのかと思います。加えて,外国人の方を多数雇用していらっしゃる企業さんの情報の窓口としても,従業員のお子さんとのつながりを把握する上でも重要な役割を担う部分も大きいかと思いますので,外国人雇用企業の役割についても何らか言及があるといいのかなと考えました。

【佐藤座長】
  ありがとうございました。1番目の話は,修正がされてなかったということで,これは修正していただければと思います。
今,田中委員のお話,とても大事なところなので,是非この課題のところにでも入れましょう。(3)の支援体制に関する課題のところで,NPOであるとか企業という視点が抜けています。虹の架け橋教室事業でも,このNPOの役割が極めて大事で,特に日本の公教育の枠から外れている子供たちに対する支援としては非常に適切・的確だったという報告書も出されています。田中委員からお話のあった,自治体,国,NPO,それから企業も含めて,全ての子供たちの命を守る取組をいろんなネットワークやシステムの中で行っていくというのはとても大事な視点だと思いますので,是非これは入れておきたいです。
  そして,検討すべき課題のところでも,NPOに対する支援が行われればいいのではないかという視点が書き込まれれば,すごくいいと思いました。貴重な意見ありがとうございました。
  鈴木委員いかがでしょうか。

【鈴木委員】
  ありがとうございます。安田委員のおっしゃった地域保健との連携と,それから田中委員がおっしゃったNPOや企業との連携,これは現場で今コロナウイルスの感染対策をしている上で非常に実感する問題です。
  14ページの個別の視点の(イ)新型コロナの感染症について1ポツ目にありますが,やはり適切に感染対策を実施するには,外国人学校による対応だけでは限界があるということを本当に実感しております。今,コロナウイルスに対する連絡者会議で,人材派遣会社とももう5,6回,会議を進めておりますし,ある意味,学校も情報から隔離されるおそれがありますが,実は学校側としては,学校で感染症対策を完璧に行っても,保護者の方が情報から隔離されている状況がございます。最近起こったものとして,ホームパーティーで感染したということがあり,それが学校に持ち込まれてしまうという逆の流れがございますので,保護者への教育指導というのも一つあると思います。
  それ以外につきましては,ここ2,3回の浜松市としての自治体の私の発言,要所に入れていただいておりますので結構だと思います。ただ,今おっしゃった地域連携とか,あるいは多様なステークホルダーとの連携に関して,もう少し深掘りして記述していただければと思います。

【佐藤座長】
  ありがとうございました。保護者というのも確かに必要です。この観点も何か,どこかに入る必要があるなと思いますので,課題に是非入れていきましょう。
それから,「多様なステークホルダー」という言葉を今発言いただいたのですが,NPO,企業,保護者,いろんなステークホルダーがあるかもしれませんけれども,少なからずNPO,企業とか保護者については是非この課題にところに入れていただければと思います。入れるということは,次の今後の検討すべき項目の中にも当然入り込んでくるということですので,是非入れていく方向で検討できればと思います。
  北垣委員,お願いできますでしょうか。

【北垣委員】
  先ほど倉橋委員の方から,心のケアについて,一条校は何をやっているのかという御発言がありましたが,この委員会の当初,私も新型コロナウイルス対策が中心かなと考えた部分がございまして,そこで戸惑っていて,今は,今後の外国人学校に所属する子供たち保健衛生全般としてどのようにサポートしていくのかということも重要だという方向性で話が進んできているかと思います。
  心のケアに関しても,まずコロナウイルス関係で疎外感を抱くとか,若しくは孤立を感じている子供たちをどうするのかというところから意見が出てきたのだと思います。一条校の心のケアのやり方というのは,やはり教職員全員が子供たちの心の課題に関して,いち早く気づくことが重要だと考えられていて,学校における児童生徒等の心のケアに関するマニュアル等もできていて,それは学校保健安全法の中の,例えば健康観察であるとか保健指導,健康相談という三本柱になっています。
  そのようなマニュアルが幾つか出てきていますので,そういうものを活用していただくが望ましいと考えています。それらは文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課で作られております。また,例えば,健康診断であれば健康診断マニュアルが文部科学省だけではなくて,公益財団法人学校保健会というところと協働しながら作っており,そのような資料がたくさんあります。
  保健衛生という観点から考えると,管理の部分だけ今後取り扱っていくのか,もし,もっと幅を広げていくということであれば,健康教育ということも入ってくるかと思います。関連資料も文部科学省,日本学校保健会等でもたくさん作られています。そうすると,全てを翻訳し多言語化して紹介をしていくことが望ましいと思うのですが,それも恐らく不可能になるので,今,外国人学校が保健衛生として,例えばどういう情報が欲しいのかということを調査するとか,若しくは倉橋委員のように現場等で,外国人の子供たちを預かられている方々が管理者として一条校が持っているどういう情報を取り入れていけばよりよいことになるのかということを今後検討していくということはいかがでしょうか。

【佐藤座長】
  ありがとうございます。重要な指摘ですけれども,何か事務局からございますか。

【事務局】
  どうもありがとうございます。大変貴重な御指摘を頂いてありがとうございました。学校保健について,様々な資料があるということをお伺いしましたので,それについても併せて調べたいと思います。また,御指摘について,この中間取りまとめの中にも書き加えたいと思います。

【佐藤座長】
  文部科学省が作っている「かすたねっと」の中には,保健衛生に関わる多言語情報がかなりあります。ただ,それが学校保健法に関するものかどうか,私は把握しておりませんけれども,例えば子供たちの健康管理に関わるようなものであるとか,保護者へのお知らせに関してはかなり多言語化されていて,使えるものがかなりあります。しかし,そうした情報がうまく伝えられていないということかもしれませんので,外国人学校等に対してそういう情報提供をしていくことも可能かと思います。
 これは日本の公立学校にいる外国人の子供,あるいはその子供を対象に教育をしている先生方を対象にしているものですが,外国人学校でも使えるものがあるかもしれません。それを整理していくというのも一つだろうと思います。今の北垣委員のお話と同時に,使えるものを積極的に使っていく,情報提供していくということがよろしいと思います。公立学校でも,医療・保健に関しては困難,問題を抱えていますので,そういう情報を提供するために多言語で出していこう,更に分かりやすく発信していこうということが行われつつあります。そうした情報はかなり使えるのではないかと思います。
 スクールカウンセラーも,日本の学校のスクールカウンセラーと同じというわけにいきません。インターナショナルスクールや外国人学校ですから多言語に対応できる,あるいは母語に対応できるスクールカウンセラーとなると,この前,田中委員から養護教諭の話等でも出ていましたが,果たして人材がいるのかどうかという問題が出てきます。提案したものが絵に描いた餅に終わってしまうのではなくて,スクールカウンセラーを提案するのであれば,人材養成であるとか,そうした点も踏まえて議論をしないと,非常に高い目標になり到達する道が全く見えない提案になってしまいます。そこを整理して,9月以降に皆さんと議論を重ねていきたいと思います。
 亀井先生お願いします。

【亀井(東京インターナショナルスクール)】
 私,今,東京インターナショナルスクールが3校目になりますが,以前は横浜のサンモール・インターナショナルスクールと横浜インターナショナルスクールで勤務しておりました。その2校は幼稚園から高校生まで800人近くいました。今の学校は幼稚園から中学3年生までの学校になります。
 現状としてお伝えしたいのが,今,日本国内のインターナショナルスクールのナースたちでコミュニティーをつくっています。というのも,コロナが始まる前,私が最初の学校にいたときに,全くもって日本の学校と違うというところと,情報交換できる場がなかったので,日本にあるインターナショナルスクールの学校宛てに「スクールナースはいますか。いたらつながりましょう」といってコミュニティーをつくっています。今現在38校が加盟しています。
 私が今12年やってきて分かっていることは,日本のインターナショナルスクールの保健室の多くは養護教諭ではありません。実際に英語が話せる,そして初期手当てができるということで,英語が話せる正看護師が雇用されていることがほとんどです。都内13校,JCISというグループでつくっている学校は,ほぼ日本人の正看護師が勤めています。その中で,学校の方から性教育とかのクラスを持ってほしいと求められますが,我々は養護教諭ではないので教育ということを行っていません。
 各公共の区役所や保健所とのつながりに関してですが,保健所に,例えば水ぼうそうがはやって,何人になったら学級閉鎖にしますかと聞いたところ,「インターナショナルスクールであって,日本の学校保健下ではないので独自にお決めください」と言われたのが現状です。では,「水ぼうそうが学校に10人出ても100人出ても,保健所に報告する義務はないですね」と極端に聞いたのですが,「我々は関与する場所ではありません」と言われました。それで,学級閉鎖の目安が分からないので,私は横浜にいたとき,すぐ隣に雙葉学園さんがあったので,雙葉学園さんの保健室に行って聞いてきました。そういった形で,地域の保健所からの連携が全くなされていないのがインターの実情です。それは12年たった今でも保健所にコロナの関係でいろいろ質問していますが,どうぞ独自で決めてくださいの一点張りです。
 その現状をお伝えしたくて,また,今回この文部科学省の会議に参加させていただいたことを私たちは光栄に思っていて,インターのナースのグループで毎回情報を共有しています。こういったことがスタートしたことが初めの第一歩だということで,そこに視点を当てていただいたことに非常に感謝をしています。
 昨年,一昨年ぐらい前から,文部科学省さんからインターナショナルスクール向けのメールマガジンを頂いていて,やっと日本の学校と同じぐらいの情報をいただけるようになってきたというのが現状で,このメールマガジンが私たちの本当に唯一の手掛かりです。もう少し保健所との連携が取れたらいいなと思っているのと,私たちも,約60名近いメンバーがいますので,少し日本の保健所とか文部科学省の方に働きかけをしていこうというのが今の目標となっています。

【佐藤座長】
 亀井先生,ありがとうございました。とても貴重な意見を出していただきました。まず,インターでは養護教諭ではなくて英語が話せる正看護師さんたちが多いということ,それから地域医療との,地域保健との関係で言うと,なかなか連携が取れていないという現状を指摘していただきました。文部科学省からのメールマガジンについては大変貴重なものだというお褒めの言葉を頂いていますので,このメールマガジンの更なる質の充実を図っていただければと思います。とても貴重な意見ありがとうございました。
 倉橋委員,お願いします。

【倉橋委員】
 私の方から2点あります。
 一つ目が,前回の会議の中で日本語の重要性ということについて少し言及をしました。迂言(うげん)なやり方かもしれませんがという断りつきで発表したのですが,今回も報告書には全くそこについては触れられていません。外国人学校に対する日本語教育というのも,回り道かもしれませんが,情報の共有が必要な中では重要なことかもしれません。実際に外国人学校のことが分からないから調査しようというのが今回の報告書だと思いますので,私としては日本語のことも入れてほしいと思います。
 もう一つが心のケアについて,大事なのであれば,母国での資格を認めるなりの何らかの方策があると助かります。日本人のスクールカウンセラーに来てもらっても,用語が専門的過ぎて普通の通訳では対応できません。発達検査でも,母国の人が取る数字と違っている等,いろいろ問題がありますので,市とか県でできるのかどうか分かりませんけれども,ひとつ御検討いただけたらうれしいです。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。一つは日本語の問題ですね。外国人学校における日本語教育というのは,この会議でどこまで取り上げられるかは別ですけれども,日本語の重要性という観点については何らかの形で入れてほしいという御意見でした。
 それから,二つ目は心のケアでいうと,母国での資格の問題,これは大きな話で,国家資格の問題ですので,この場でうまく議論ができるかどうか分かりません。例えば,日本人学校とか補習授業が世界各地にあります。補習授業校のカウンセラーは日本の資格では対応できません。やはり所在国の資格を持ってないとカウンセラーとして仕事に従事できないという問題もあって,これはほかの省庁の有識者会議でも議論をし始めているのですが,海外で得た資格をどういう形で認めることができるのか。国家資格ですから,なかなか難しい問題もございます。
 ただ,母語で対応できるような心のケアが必要だという重要な指摘だと思いますので,是非検討できればと思います。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。8月はこれで最後で,あとは9月以降になるという理解でよろしいでしょうか。

【事務局】
 そのとおりでございます。

【佐藤座長】
 ということは,今日皆さんから頂いている意見を踏まえて,この中間取りまとめをしたいということです。今日,重要な取り上げるべき提案も頂いていますので,そのほか更に入れていく必要があるのではないかということについて御意見があれば頂きたいのですが,いかがでしょうか。
 ダニエル委員,お願いします。

【ダニエル委員】
 文部科学省と関係性を築くことで,日本インターナショナルスクール協議会が新型コロナ感染症対策についての情報を更新するのに役に立っています。日本インターナショナルスクールのネットワークには28校あり,密に連携をとっていますが,現在の主な関心事項は,いかにして教職員のワクチン接種を完了させられるかという点です。保護者のコミュニティーに対して,ワクチンの情報を提供したいと考えていますが,日本語を話せない保護者の方も多く,新型コロナウイルス感染症対策について,彼らに対してどのようにサポートできるのかということが,日本インターナショナルスクール協議会と東京インターナショナルスクールの抱える課題です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。確かに通訳とか翻訳の難しさというのは当然あるわけですので,これをどうするかというのは非常に重要な問題だろうと思います。
 以前から議論されているように,希釈といった,非常に難しい日本語をどうしていくのか。コロナウイルス感染症でも,医学の言葉というのは普通の人ではなかなか分からないと思います。先ほど倉橋委員の方からも,日本のスクールカウンセラーが来ても,専門用語が翻訳できない,通訳できないという問題もありますので,これはやはり母語でしか対応できないのかもしれません。
 亀井先生,どうぞお願いします。

【亀井(東京インターナショナルスクール)】
 今回頂いている参考資料の中で,学校のクラブ活動に関して質問ですが,いろいろプロトコルに従ってやれば学校の部活動は中止しなくていいと私は理解したのですけれども,この緊急事態宣言の下であっても学校の部活動というのは継続してよろしいものでしょうか。

【事務局】
 そのことについては,個別に回答させていただきたいと思います。

【佐藤座長】
 それでは,よろしいでしょうか。今日頂きました御意見を基に,座長と事務局で修正して,改めて委員の皆さんに御報告をさせていただきたいと思います。文言等についても座長に一任いただけますでしょうか。ありがとうございます。
 皆さんから貴重な意見,幾つか頂いておりますので,是非それを生かしていきたいと思っております。課題について,今後検討すべき項目の中で,できるところは積極的にできるようにしていきたいと思います。いろいろと制約もありますので,できないものはできない,しかしながら,できるところについてはきちっと書き込んでいくというやり方を取っていきますので,また9月以降の議論で深めていただきたいと思っています。
 それでは,議題2,その他に入ります。事務局から資料2の説明をお願いします。

【事務局】
 資料2ですけれども,基本的には,前回説明させていただいた新型コロナウイルス感染症対策の進捗状況と変わりはないのですが,最後の項目,認可外施設を含む外国人学校に対する抗原簡易キットの配布に係る状況です。調査結果を踏まえて,今般キットの配付自体を開始したところでございますので,その部分を追記させていただいております。

【佐藤座長】
 ありがとうございます。こちらについて御質問等はございますか。今新型コロナウイルス感染症対策の進捗状況についてお話しいただきました。
 田中委員,お願いします。

【田中委員】
 ありがとうございます。抗原キットの配布というのは,何件ぐらいを対象に行われているのでしょうか。

【事務局】
 現在配付をしているのは30校ほどの,配付の希望のあった学校に対して行っているものでございます。

【田中委員】
 私たちのようなNPO立のところも対象になるような取組なのでしょうか。

【事務局】
 基本的には,大学,高校などを中心として配布される中で外国人学校も入っていたものでございまして,本件については企業から寄附を頂いたものについて配布をさせていただくということで行われているものでございました。

【田中委員】
 例えば,これからそういう外国人の子供たちが昼間学んでいるような公益活動団体から申請があった場合は配布していただけるものなのでしょうか。

【事務局】
 今回のキットは,企業様から一定の量を頂いたものですから,それを大学や専門学校,それから高校などに配布するというものです。非常に有り難い話ですけれども,その中で少し外国人学校に対しても配布できるということでございましたので,希望を伺って配付しました。
 なので,次回そういう機会があれば,またどのように配布するかという検討はございますが,基本的には恐らく学校単位というような形になるのではないかと思っております。

【田中委員】
 承知しました。ありがとうございます。

【佐藤座長】
 それでは最後に,事務局から今後のスケジュールについて説明をお願いします。

【事務局】
 本日も活発な御意見ありがとうございました。9月以降も月1回程度の頻度で有識者会議を開催させていただければと考えております。今後,外国人学校の保健衛生に関する追加調査や,有識者からのヒアリング等を行いまして,12月中をめどに最終取りまとめを行っていただきたいと考えております。以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。それでは,本日の会議を閉会といたします。また9月以降,月に1回ずつ,画面越しではありますけど,お目にかかれると思いますので,引き続きよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

―― 了 ――

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