国際バカロレアを中心としたグローバル人材育成を考える有識者会議第3回会合 議事録

1.日時

平成29年4月17日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.出席者

(委員)

長谷川壽一(座長)、今泉典彦、荻野勉、加計役、佐藤正光、渋谷真樹、田原誠、田村壮児、坪谷ニュウエル郁子、矢野裕俊

(外部有識者)

札幌市教育委員会 小林高等学校プロジェクト担当係長、東京学芸大学 田保橋国際課長、つくばインターナショナルスクール シェイニー校長

(文部科学省(事務局))

川端国際統括官、里見国際課長、原田国際協力企画室長、村越国際課外国人教育政策係長、鈴木国際教育課長補佐

4.議事

【長谷川座長】

それでは、定刻になりましたので、会議を始めたいと思います。本日はお忙しいところ、第3回国際バカロレアを中心としたグローバル人材育成を考える有識者会議にお集まりいただき、ありがとうございます。

 前回御欠席でした田村委員、どうぞよろしくお願いいたします。

【田村委員】

よろしくお願いします。済みません。2回欠席しましたけど、どうぞよろしくお願いします。

【長谷川座長】

また、本日は島田委員が御欠席となります。

 また、事務局に人事異動があったとのことですので、御報告をお願いいたします。

【原田国際協力企画室長】

それでは、前回の有識者会議以降に事務局に人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。

 まず国際統括官の川端でございます。

【川端国際統括官】

川端です。よろしくお願いします。

【原田国際協力企画室長】

大臣官房国際課長の里見でございます。

【里見国際課長】

里見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【原田国際協力企画室長】

以上でございます。

【長谷川座長】

ありがとうございました。

 また、本日は外部有識者を講演者としてお招きしておりますので、御紹介いたします。

 札幌市教育委員会より、小林高等学校プロジェクト担当係長においでいただいております。

【札幌市教育委員会(小林係長)】

よろしくお願いします。

【長谷川座長】

日本語DPの導入に関心を持つ高等学校等や教育委員会等のオブザーバーからなる日本語DP連絡協議会を代表して、東京学芸大学の田保橋国際課長。

【東京学芸大学(田保橋課長)】

田保橋でございます。よろしくお願いいたします。

【長谷川座長】

並びに、赤羽教授にお越しいただいております。

 また、日本のIB認定校、候補校等で構成されるIBAJを代表して、つくばインターナショナルスクールのシェイニー校長にもおいでいただいております。

【つくばインターナショナルスクール(シェイニー校長)】

よろしくお願いします。

【長谷川座長】

ありがとうございます。

 それでは、早速、議題に入っていきたいと思います。まずは(1)でございます。国際バカロレアアジア太平洋地区年次研究大会について、坪谷委員から御説明お願いいたします。

【坪谷委員】

坪谷でございます。国際バカロレアアジア太平洋地区年次研究大会につきまして、御報告させていただきます。

 去る3月29日から31日までの3日間、パシフィコ横浜におきまして、年次研究大会が開かれました。参加人数は、IBの職員、ブース出展の皆さんなども含めて、実に1,500名となりました。今までのアジア太平洋地区での大会としては最大の人数となったことで、成功のうちに終わったということになろうかと思います。

 また、御来賓といたしましては、秋篠宮殿下、妃殿下におなりいただき、ほかにも黒岩神奈川県知事、樋口文部科学政務官にも御挨拶を頂きました。

 基調講演といたしましては、「ロボットは東大に入れるか」のプロジェクトでリーダーをなさってらっしゃいます国立情報学研究所教授の新井先生にお願いしたところでございます。先生の基調講演も大変大きな反響を呼びました。

 さらに、文部科学省より、森本前国際統括官より、日本の教育について、皆様へプレゼンテーションいただきました。日本の初等中等教育における基礎学力の高さ、PISAにおいても非常に高い成績を残していること。また、世界でも例を見ない掃除や給食の配給など、特別活動の紹介。また、世界では地域の習い事ということで位置付けされているクラブ活動を学校で提供している点など、日本の教育におけることを発表させていただき、日本の高い教育水準と多様な活動について、参加者から非常に高い興味関心を集めました。

 また、同セッションでは、この会の委員も務められておられます渋谷奈良教育大学教授から、IB導入事例の研究成果、東京学芸大学付属国際中等教育学校の先生から現場の学校での取組についても御紹介いただきました。

 私は、ジョージ理事長の隣に座っておりましたが、日本の教育事情というのがよく分かった。また、シヴァ事務局長は、IB生と、ほかのプログラムの生徒の間、これの協調が大事だという問題意識を強く感じておられました。

 また、この大会を通しまして、ジョージ・ルップ国際バカロレア機構運営理事会理事長、及び、シヴァ・クマリ国際バカロレア運営理事会事務局長との面談を行いました。その面談におきましては、日本における国際バカロレアの更なる推進に向けて、より一層の協力を強化していく、これを互いに確認いたしました。

 今回のこの会では、多数の日本の大学がブース展示を出展していただき、及びプレゼンテーションを行いました。世界の国際バカロレア認定校に向けて、日本の大学に学部から入学することを推し進めていこう、大学における受け入れを積極的にアピールしようということでやりました。日本の大学もこうやって門が開いているんだということで、大変関心を持たれたことを報告いたします。

 以上、私からの報告、これで終わります。ありがとうございました。

【長谷川座長】

ありがとうございました。委員の皆様、御意見、御質問等ございましたら、挙手にて御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、ありがとうございました。

 引き続き、議題2のマル1でございます。地方自治体における国際バカロレア導入の取組について。札幌市教育委員会、小林係長から御説明をお願いいたします。

【札幌市教育委員会(小林係長)】

それでは、ただいま御紹介いただきました札幌市教育委員会の高等学校プロジェクト担当係長の小林と申します。本日は、この3月に市立札幌開成中等教育学校におきまして、MYPの認定取得を得ることができました。その学校のこれまでの取組やIBの導入の意義だとか、あと、課題などについて御紹介させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、開成中等教育学校の設置と、同校でIBの教育プログラムを導入するに至った経緯についてお話しさせていただきます。資料2ページになります。

 中高一貫教育の設置につきましては、今から10年以上前、2003年に策定しました札幌市立高校教育改革推進計画の事業として位置付けられましたが、なかなか議論が進まない中、その後、2007年に当時の小学校2年生、5年生、中学校2年生を対象とした市民アンケート調査を実施しまして、中高一貫教育の必要性等のニーズ調査をさせていただきました。そのアンケートの結果、市民ニーズでは必要であるというところを踏まえまして、それを受けて、2008年に中高一貫教育の検討の設置委員会を設置しまして、2009年に必要であるとの答申を受けまして、その後、2011年3月に開成中等教育学校の基本構想を立ち上げました。

 資料をおめくりいただきまして、3ページと4ページになります。基本構想においては、これからの変化の激しい社会に対応して生きていくためには、「生涯にわたって学び続ける力」が大切であると。育てたい生徒像としまして、「自立した札幌人」というものを掲げております。この言葉は新設する開成中等教育学校のみならず、札幌市全体の教育目標として用いられているものでありまして、札幌市全体としての将来を見据えた場合、やはり「自立」はキーワードとなりました。

 札幌市全体におけるこうした風潮は、中等教育学校を新設する上で追い風になったと思います。教育委員会においても、この学校では、中高一貫という6年間の連続した教育の特徴を生かしまして、既存の学校ではできないことを積極的に取り組もうという姿勢になりました。そう考えると、やはり多くの教員の若者の中には、これまでの従来型の教育ではなくて、何か別のものをやらなければいけないという危機感があったのだと思います。

 自立ということを考えますと、知識は常に更新されなければならないものであり、それによって、未知の武器を手に入れなければならない。当然ながら学校教育というものは、学校でとどまることなく、人生でずっとやっていかなければならないものであります。その基本構想の中でIBを取り入れるということがあったかというと、実際のところ、正直、その時点ではIBというものを考えていたわけではありませんでした。決まっていたことは、課題探究的な学習を取り入れるというところだけが決まっていたもので、そのためにどのようにやっていくかということを考えていきました。

 しかし、具体的な手段を考えたときに、どのように取り組んでいけばいいのか。特に高校の先生方は従来型の授業をやっていたわけですから、いわゆるチョーク・アンド・トークと言われるような授業を実施している。そのような中、実際にどのようなことをやっていこうかと。一から作り上げる上では難しいというような危機感があったわけです。

 そんな中、全国のいろいろな中等教育学校の視察なども行いましたが、国立大学など、研究体制が整っている部分だとかそういったところではしっかりとした教育が行われていたんですが、我々公立の学校が取り入れる上では、なかなかどのように行っていけばいいのかというのが試行錯誤の中、検討を進めていたところです。そのようなところで、何か決まったプログラムのようなものがあれば、いい学校ができるのではないかというところで、そこで出てきたのがIBというものでした。

 しかしながら、その時点では、IBというものがどのようなもので、どのように導入していくのかというものがなかなか分からない中、文部科学省に、ここに問い合わせてみようというところで問い合わせたところ、文科省の方からは、この話はどこで知ったんですかというようなリアクションがありまして、近々大きな動きがあるかもしれませんというような反応がありまして、その直後ぐらいに、2018年までにIB校、200校を目指すというところが示されたというところで、この動きと、私たち札幌市の動きが同じような方向を向いているというところでは大変驚いたところでした。その後、文部科学省さんの御協力を得ながら、ここまでのIBの取組を進めてきたところです。

 続きまして、中等教育学校にとってのIB教育の利点についてお話しさせていただきたいと思います。今から振り返って整理しますと、大きく3つあると思っております。

 まず1つ目は、現在の世の中に対する認識と、これからの社会に対する認識において、どのような力が求められ、それを得るためにどのような学習が必要かという、その疑問の答えとして、探究的な概念学習を掲げているところです。

 2つ目は、評価のシステムや具体的な学習方法が示されているというところです。これを活用すれば、一から作らずに、それを活用することができたのです。

 そして、3つ目は、どうしても抽象的な言葉になってしまう教育理念に対し、それを明確にするための10の学習者像があるということです。これによって教育理念が見える化され、国際バカロレアを導入する意味を説得力を持って市民などに説明することができました。

 IBについては、当初、部分的に活用することを考えていましたが、議論を進めるにつれて、丸ごとやって、初めて期待どおりの効果が得られるのではないかであるとか、そういった意見が出てきました。そして、IBのプログラムを導入し、まずはMYPから認定校を目指すという流れになりました。

 資料7ページを御覧ください。当初、周囲のリアクションとしては、「札幌でバカロレアを?」という反応がほとんどでした。そのため、まずはIBの存在を周知することからスタートしました。そのため、IB市民フォーラムを開催するなど、市民の皆様への周知を図っていきました。そうした活動を含め、全てが初めての経験であり、開校に至る過程には確かに苦労もありました。ある意味、子供たちに求めている課題探究的な学習と同じで、自分たちの学習を見つけ、一つずつ解決しながら前に進むしかありませんでした。答えが分からない問題の答えを探し続けるといった状況でしたし、そうした状況は開校して2年が経過した現在も変わりません。走り続け、その中で答えを見つけようという感覚でした。ただ、それによって少しずつ前に進んでいるという実感は確かにあります。2015年の夏には、開成をホスト校としてIBのワークショップを開催するなど、そこには海外のIB校で教壇に立たれている先生も参加されるなど、少し前では想像すらできなかったようなことが実現しております。

 様々な不安を抱え、手探りのような状態で進んできたわけですが、歩みを止めずに前進してきたことが先月のMYPの認定取得につながったものと思います。校長先生をはじめ、先生方の日々の努力には頭の下がる思いであります。今後は2018年末までのDPの認定取得を目指し、引き続き取組を進めていくことになります。

 ここからは公立学校でIBを導入する上での課題などについてお話しさせていただきます。資料では9ページと10ページになります。課題としては大きく2つあると思います。

 まず1つ目は、人材の確保です。IBを導入するためには、IBコーディネーターの配置や少人数指導に対する教員の増加配置。ネイティブなど英語で授業をできる人材の配置など、専門性を有する人材の活用が欠かせません。そのような人材を見つけ、学校に来てもらう。特に地方の場合はこれが大きなところになるんですが、そういったことはなかなか大変なことであります。また、公立学校は、法律で教員定数が定められており、それを超える部分の教員の配置については、もちろん自治体の自己負担という形になります。

 続いて、2つ目の課題になります。これは人材の確保ともつながっておりますが、財源の問題です。IB校を目指すためには、一般的な中学校、高校を作るよりも多くの資金を必要とします。多額の公共財源を特定の学校に投入することに対し、不平等ではないかという見方をする方もいらっしゃいます。開成中等教育学校に通例以上の予算を投じていることは間違いありません。もちろん学校に通う生徒のためだけに予算を使ってしまっては、税金の使い方としては適切ではないかもしれません。だからこそ、この学校を運営する中で見えてくる成果や課題、そういったものを見える化することがとても大切であると考えております。

 資料11ページを御覧ください。札幌市では、開成中等教育学校へのIB導入の効果をこの学校だけにするものではなく、「課題探究的な学習モデル研究事業」という札幌市全体のまちづくり計画の事業の一つに位置付けまして、課題探究的な学習モデルの実践研究を行っています。この事業の実践により、課題探究的な学習の成果と課題を明らかにし、検証した上で、それらを市立学校全体で共有し、札幌市全体の教育レベルの向上を目指しています。このような形で市民の皆さんに還元することができれば、開成中等教育学校に多額の予算を投じる意味は間違いなくあると考えています。

 開成中等教育学校では、入学者の選考検査は行いますが、入学段階で特別、成績が優秀な子供を集めているわけではなく、また、英語が話せる子供を優先的にとっているわけでもありません。つまり、家庭環境を問わず、ごく一般的な子供たちが通う学校です。そういった子供たちがIBの教育を受けたことでどのような変化や成長を見せるのか。それが成果として見えてくれば、IBの教育は、地域の公立学校でも意欲さえあれば、効果的なプログラムとして行うことができると考えております。まだ開校して2年を経過したばかりで、その成果をお示しするような段階ではございませんが、ほかの公立学校に先駆けて挑戦している本市にとって、今後、生徒の変化や成長を成果として示していくことが重要なミッションだと考えています。

 東京オリンピックが開催される2020年には、開校時に入学した1期生が卒業することになります。生徒の多くは一般の高校に通う生徒と同じように、進路のことを考えなければなりません。課題探究的な学習の仕上げとして、5年生、6年生では、DPの資格取得を目指す生徒もいると思いますが、恐らく多くの生徒は一般的な大学受験に目を向けることになると思います。その際、IBの教育が日本の受験制度にマッチするのかという不安は、保護者を皆さんをはじめ、多くの方々が抱いていると思います。ただ、私たちは、そのときこそ、この学校で学んできた課題探究的な学習が生かされると思っています。

 IBの教育によって、本当の力が付けば、受験そのものを課題として認識し、必要な情報をみずから収集し、ある意味で先生をうまく使って、みずからの進路や受験に対する取組を見つめてくれるのだと思っております。学校としては、課題探究的な学習の仕上げとしてDP資格を取得することを理想としますが、DPの試験は決して簡単なものではありません。受験生としての勉強と両立することは、もしかしたらできないかもしれません。しかし、DPを選択しなかったからといって、従来型の勉強スタイルに戻ることは余りにもったいない気がします。たとえDPを選択しなくても、そのときにどのように学ぶか。そこに本当の意味でIBを導入したことの意味が問われるのではないかと思っています。

 ここからは若干要望のようなことになりますが、特に各大学の皆様のということになろうかと思います。開成中等教育学校ではDPを選択しなかった生徒も全員、TOKなどの一部科目を受講することとしており、このようにフルDPではなくても一部の科目を受講することは、大学、また、その先の社会が求める思考力や判断力、表現力などを有していると判断する材料となり得るのではないでしょうか。是非一部科目の受講についても、大学のAO入試や推薦入試の際に評価していただけるような仕組みができれば大変ありがたいと考えております。

 IBの教育は、みずからの力で状況を切り開く力が身に付くものであると訴えていかなければいけないと思っています。IBの教育は遠回りに見えて、実は近道であるということを示すことができれば、ほかの公立学校にもスムーズな形で導入することができるのではないかと考えています。IBを活用した課題探究的な学習を開成中等教育学校はもちろん、札幌の学校で進めていきたいと考えています。

 最後になりますが、文部科学省をはじめ、これまで開成中等教育学校の取組に御協力を頂きました多くの皆様にこの場をおかりして感謝申し上げるとともに、今後も御支援、どうぞよろしくお願いします。

 以上で私からの発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。

【長谷川座長】

小林さん、ありがとうございます。地方、かつ、公立ということで、非常に先駆的、意欲的な取組を御紹介いただきました。

 委員の皆様、御質問、御意見等ございましたら挙手でお願いいたします。はい。

【田村委員】

高知県も公立の中学、高校でバカロレアのMYPとDPを目指そうということで、これから取り組もうとしておりますので、先行された開成中等教育学校の取組というのは本当に参考にさせていただきたいと思っているんですけれども、一つ、基本的なことでお聞きしたいんですけれども、中等教育学校なので、高校段階で外進生というのはそんなにいないということで考えているんでしょうか。

【札幌市教育委員会(小林係長)】

いないということで。はい。

【田村委員】

いないということですか。それと、中学校の入学適性検査ですね。これについては、どういった内容でやられているのか。もうちょっと教えていただいてもいいですか。

【札幌市教育委員会(小林係長)】

開成の課題探究的な学習にやっぱり向く、向かない生徒というのはおりますので、まずは課題に気付く力、あとはしっかり表現する。文字に書く部分もそうですし、そういった表現力、あとはここの学校が大変大事にしている多様性と価値観を共有できるというところで、コミュニケーション能力ですとかそういったものを見る検査を実施しております。

【田村委員】

面接もやられて。

【札幌市教育委員会(小林係長)】

グループワークというか、そういったグループ学習形式でのものを面接の代わりに行っています。

【田村委員】

なるほど。分かりました。あと、MYPは基本的に全員が対象になるということですよね。

【札幌市教育委員会(小林係長)】

はい。

【田村委員】

その中からDPは一定の限られたということですが、まだ分からないでしょうけれども、見通しとしてはどのぐらいの割合というのか、あるいはそもそも受け入れる側の学校の体制の問題もあると思うんですけれども、そもそもMYPで何人入って、DPでどのぐらい想定されているのか。

【札幌市教育委員会(小林係長)】

MYP、最初の入学は160人で採っておりまして、今のところ想定としては、その中の多くて30人ぐらいではないかというところで、学校と調整というか、話しているところです。

【田村委員】

ありがとうございました。

【長谷川座長】

ありがとうございます。もうお一方ぐらいいかがでございましょう。渋谷委員。

【渋谷委員】

大変興味深い取組と伺いました。とりわけDP以外の生徒さんもTOKなど一部を必修とするというところがおもしろいなと思ったんですけど、その場合、この160人ぐらいの生徒さんはどのようにTOKを受講させるのでしょうか。公立高なので、教師の数にも定数があるというふうにおっしゃっていましたが、どういう見込みでしょうか。

【札幌市教育委員会(小林係長)】

そこは現在の教員の配置の中で、学校の中で調整するということで、これは校長先生からも可能だということでは聞いておりますので、その学校の工夫の中で授業の実施をやっていくというような形になると思います。

【渋谷委員】

多分DP以外の先生も含めて、全体でも指導していくという予定なんですよね。

【札幌市教育委員会(小林係長)】

はい。

【渋谷委員】

ありがとうございます。

【長谷川座長】

ありがとうございます。それでは、時間も限られておりますので、小林係長、どうもありがとうございました。

 続きまして、議題2のマル2のプレゼンテーションをお願いいたします。東京学芸大学、田保橋国際課長から、国際バカロレア・デュアルランゲージ・ディプロマ連絡協議会の取組について、プレゼンをお願いいたします。

【東京学芸大学(田保橋課長)】

東京学芸大学の国際課長の田保橋と申します。この4月に千葉大学より赴任してまいりました。よろしくお願いいたします。

 私の方からは、国際バカロレア・デュアルランゲージ・ディプロマ連絡協議会の動向といいますか、最近の状況、それから、トピックス等をここで発表させていただきます。

 この国際バカロレア・デュアルランゲージ・ディプロマ連絡協議会、非常に長うございますので、ここの席では単純に協議会と略させていただきます。

 お手元の資料3にございます、続きのページになっておりますけど、4種類ございます。最初に協議会の設置要綱、それから、色刷りになっております協議会の参加校の一覧。7ページにこの協議会のIBに関するニュース、それから、トピックスの一覧、最後に9ページに連絡協議会に関するニュース&トピックスということで、こちらは全てこの協議会のホームページの中にも公表してございます。その資料でございます。

 資料2につきまして、6ページの最後の方に凡例として色分けをした理由がございます。2013、2014、2015、2016、2017ということで、その年ごとに、こちらの協議会に参加をされた学校、又は教育委員会等の方々を色分けしてございます。ここに構成員とございますのはIBの認定校ですね。オブザーバーとありますのは、そのIBに関して関心を持って、今まで導入はしていないけれども、関心を持っている。関心校と呼んでおりますけれども、そういった区分けになってございます。

 一部、5ページの大阪府のところで、ちょうどオレンジ色に塗ってございます国立の大阪大学となってございますが、こちら、参加年度が2段書きになっておりまして、2014と2017となってございます。こちらはオブザーバーとして2014年に参加し、構成員として2017年に認定を受けたという形になってございます。

 次がIBに関するトピックスで、新しい順になっておりまして、ここでいろいろな情報共有をするために情報発信をしているというところでございます。IBに関するニュース、それから、連絡協議会に関するニュース、こちらをホームページ上で公表しているということでございます。

 活動と申し上げますと、今御説明いたしましたホームページにて、このIBの関連情報、それから、ワークショップ等の開催情報を発信して、そこに御参集いただくというような形をしています。ワークショップに合わせて年1回、連絡協議会の総会を開催してございます。昨年度は8月4日、ちょうどワークショップが3、4、5の3日間ございまして、その中日、4日に連絡協議会の総会を開催いたしました。内容といたしましては、IBO、国際バカロレア機構からの動向等についての報告、説明、それから、文科省の歴代の国際協力企画室長から施策を説明していただいているということ。それから、参加校からの事例紹介等、最近の動向についてフリートーキングというような形で進めさせていただき、3日間にわたり、無料でのワークショップを開催しているということです。

 構成員、アドバイザーからの相談、対応ということで、こちらはこの総会に限らず、ホームページ上等で受け付けておりますが、この授業の実践に関することにつきましては、この3月いっぱいまで学芸大の国際中等教育学校の副校長をしておりました本学教職大学院の赤羽教授が担当しておりました。導入の手続に関することにつきましては、こちらもこの3月いっぱいまで国際中等の副校長でおられた星野先生、4月から玉川大学の方に教授として転出されましたが、星野先生の方で、この手続に関することの質問等を受けて、お答えをしていたというような状況でございます。

 予算措置をしていただきましたのが26年から28年、昨年度いっぱいでございました。今後、その成果として、日本語DP、協議会の授業の実践事例集を発行しようという動きがございます。協議会の設置要綱の中にも、活動内容にもございます課題の分析がこれに当たるのではないかというふうに考えておりまして、日本語DPの授業の実践事例集、まだ仮称ではございますけれども、こちらを紙媒体、若しくは電子媒体、あるいは両方にまとめて発行して、とりあえずはこの参加校にお配りしようかというふうに考えております。

 なお、事例集につきましては、認定校の方々には大変参考になるんですが、関心校、まだ導入されていない機関にも参考になるように、星野先生が対応していただいておりました導入に関する手続についてのFAQといったものを巻末に掲載し、既に認定校で授業を行っている機関、又はこれから導入を考えている、関心を持っている機関両方に参考になるような形でこの事例集を作ろうというふうに考えております。

 以上です。

【長谷川座長】

ありがとうございました。委員の皆様、御質問、御意見等ございましたら御発言お願いいたします。ございませんか。

 じゃ、赤羽先生にお伺いするのがよろしいのかもしれませんけれども、実際に相談内容で多い、よくある相談内容というのはどのようなところでございましょう。

【東京学芸大学(赤羽教授)】

相談内容の多いのは、やはり学校を、IB校の認定を受けるためにどのような手続が必要なのか。また、IB校になって、実際にどういうところが子供たちのよい面が見られるのかというところを、本校に実際訪問していただいて見ていただき、お話をするという形で進めてまいりました。

【長谷川座長】

ありがとうございます。

 ほかにいかがですか。では、ないようでしたら、どうもありがとうございました。

 続きまして、議題2のマル3でございます。International Baccalaureate Association of Japanについて、つくばインターナショナルスクール、シェイニー校長先生から御説明をお願いいたします。日本語で御説明いただけるとのことでございます。

【つくばインターナショナルスクール(シェイニー校長)】

よろしくお願いします。とても緊張しています。済みません。つくばインターナショナルスクールの校長のシェイニーと申します。これからIB Association of Japan、省略して、IBAJについて発表したいと思います。

 まず私の自己紹介として、つくばインターナショナルスクールはもちろん筑波にあって、PYPの認定校は2011年になって、MYPは2014年、DPは候補校になって、実は先週、DP認定訪問がありまして、私たちがすごく小さな学校、195人の生徒しかいない学校でIBをやろうとしていて、私たちもいろいろ一条校と同じように苦労はしていますので、それは私の自己紹介として、3ページを見ていただければ。

 IB Association of Japanは、実は私が代表ではなく、その一員になっていますけど、代表がきょう出れなくて、私が代理に出ています。IB Association of Japanというのは2014年に成立されて、その前はJapan Association of IB School Headsみたいな、正式な団体でもない、校長先生が集まるような団体がありましたけど、IB機構が日本にそういうアソシエーションが必要だと言って、私たち校長レベルでの組織を、こういうInternational Baccalaureate Association of Japanをそれで作りました。

 次のページを見ていただければ、日本だけではなく、いろんな国とか州にこういうアソシエーションがあります。これはIBが認定する団体みたいな立場になっていますので、私たちがIBの認定校とか候補校の意見を正式に言ってもいいような権利になるかと思います。法律的にそういうような役割を果たしているというふうに解釈してもいいと思います。

 あと、言い忘れましたけど、日本に今、44の認定校と31の候補校がありますから、その75校の代表になりたいと考えています。まだまだこの組織が若いから、2014年からできていて、私たちはどういうふうに役に立つかというのを今考えているから、まだまだ全員が入っていて、全員で動いているわけでもなく、これから期待できるかと思います。

 5ページを見ていただければ、objectives and activitiesが書いてありますけど、主に私たちがネットワークを作って、例えば校長のネットワークとかPYPのネットワーク、MYPのネットワーク、DPのネットワーク、もう既にあったネットワークの中で協力し合って、もっといい学校とかもっといいプログラム、学校でいいプログラムができるように協力したいと思っています。それを果たすためには、コミュニケーションをよくさせる。PYPの学校の中でのコミュニケーションとか、校長の中でのコミュニケーションをよくさせるとか、あと、こういうような会議に出て、学校がどういうふうに困っているかというのを説明するのが目的というふうに考えてもいいと思います。

 次のページを見ていただければ、私たちはどちらかというと、上から見るとか、どこをコントロールするかというのではなく、やっぱり私たちは学校の校長ですから、その学校の立場から見て、いろいろ改善できるんじゃないかなというふうに思ってできている仕組みなので、PYPネットワークを潰して、私たちがメーンでやるというような感じではなく、あと例えば、このページ、A3ページを見ていただければ、IB in Japanというふうに説明しようとすると、かなり大変なことになります。なぜかというと、認定校があって、候補校があって、さっきの東京学芸さんの方から連絡協議会というのがあって、あと、この会議があって、IB Association of Japanというのがあって、PYPネットワーク、MYPネットワーク、DPネットワークというのもあって、いろいろ複雑。かなり複雑になっていますから、私たちがこれをコントロールするとかではなく、みんな協力し合って、もっと日本でいいIBプログラムを提供することができるというのが目的になっています。

 IB Association of Japanというのは年に2回やることになっています。春と秋です。実は春の会議があしたです。この会議があと2日間ぐらい遅ければ、その発表もできたんですけど、それができなくて済みません。

 実はインターナショナルスクールの校長と一条校の校長が一緒になって、co-chairになって、このIB Association of Japanを運営していることになっていますから、なるべくインターナショナルスクールから見る視点と、一条校から日本の普通の学校から見る視点を入れて、行動するというふうに考えています。

 次のところがこれなんですね。実は私は1か月ぐらいを掛けて、1か月かな。もっと短かったかもしれないんですけど、アンケートをとって、学校でどういうふうに困っているかというのを調べて、それは例えば学校が困っていて、IB Association of Japanが手伝うようなことがあれば教えてくださいみたいなふうにできたアンケートなんですけど、そんなに科学的じゃないアンケートだから、そんなに難しく考えない方がいいんですけど、9ページを見ていただければ、その結果が書いてあります。

 例えば一番トップに出てきたのがやっぱり研修です。IBのワークショップはインターナショナルスクールにとっても非常に高くて、例えば私たちの学校みたいな小さな学校が教員を海外に送って研修を受ける力がないから、それをやっぱり日本でそういうコストを下げてできるようなやり方があれば、すごく助かるというふうに私たちは思っています。

 それと、ほかのIB認定校とのコミュニケーションとかネットワーク作りとか、あと、困ったときに誰に聞けば。やっぱりこの地図を見て。ごめんなさい。説明しなかったけど、これは私が考えた地図なので、これは正式なIBAJの資料ではなく、私の頭を紙に出して、書いたものですから、これが完全にこういうふうになっているわけでもないんだけど、でも、すごく複雑というのは皆さんが分かると思いますので、何か困ったときに誰に聞けばいいかというのは、例えばIBAJが役に立っているかもしれないんですね。

 時間がないので、次のページを飛ばしますけど、11ページを見ていただければ、日本の全てのIB学校が困っている点を幾つか言うと、まずさっき言ったみたいに、どこに何を聞けばいい。例えばStandards and Practicesというのがあって、それを私たちみたいに小さな学校でやるとすると、大きな学校がやるのとは違うことをやらないといけなくなるケースが多い。それと、インターナショナルスクールでやると、これはこれでいいかもしれないんだけど、一条校でやると、そうではない。そううまくいかないから、それをどういうふうにしたらいいかというのもみんな困っていると思いますから、これが一つの課題としてなっています。さっき言ったみたいに、研修、ワークショップとかを、みんな困っていると思います。日本の学校だけではなく、インターナショナルスクールもどういうふうに、非常にタイムリーなワークショップを教員に受けさせるのが非常に大きな問題になっているかと思います。

 それに3つ目の課題としては、インターナショナル、国際バカロレアのディプロマを日本の大学が積極的に受け入れるのが非常に課題として残っていると思います。

 次のページを見ていただければ、一条校の課題。私たちから見て、これは連絡協議会の方が詳しいかと思いますけど、私たちから見て、日本の一条校の課題が、まずはやっぱり教育、指導要領のすり合わせが非常に難しいということを一条校から聞いています。例えばMath StudiesとかMath SLがどういうような単位になるかというようなすり合わせとか、あと、例えば大学に申請をするときに、IBのアセスメントは全く違うから、それをどういうふうに考えたらいいかという問題があります。

 それと、外国人の先生を雇うのには非常に苦労している学校があります。これは例えば県によって、ルールは同じかもしれないんだけど、解釈が違うとか。よく私は分かりませんけど、ある県では、外国人の先生を雇おうとすると、その先生が日本語でインタビューを受けないといけないです。だから、それは絶対無理ですね。普通の外国から来た日本語ができない方だと、日本語のインタビューは受けられないし、それは教員免許を取るためにという意味ですね。日本の教員免許を取らせないといけない。そうじゃないと日本の学校で働けないから、その教員免許を取るためには日本語で面接を受けないといけないのと、長い契約を学校と結ばないといけないのが非常に障害になっているというふうに学校が言っています。

 それと、ある県だと、10人までの外国人の教員を認めるけど、それ以上は認めないというふうになっているところもあります。そうすると、13人とか15人の外国人の先生が必要になった場合は、日本人の先生を雇って、ATみたいな感じで外国人の先生を付けるとかというような複雑なことをやらないといけないという話がありますから、それは非常にIBをやるためには一条校が困っているというふうに考えてもいいと思います。

 13ページには、やっぱり皆さん御存じのように、IBの資料はみんな英語ですから、みんな英語なんですけど、最近、日本語版も出ているは出ているんですけど、その日本語になったからといって分かるということではないですね。英語の資料でも、私が読んでいて分からない部分もありますから、非常にそれが、言葉の面ではすごく難しい。その解釈がすごく難しいから、みんなそれですごく困っています。翻訳があったとしても、困っているというふうに理解してもいいと思います。

 次の方は、これは一条校の問題としては、よく一条校だと、つまり、DPとかが、その学校の一部しかならないから、全体的にプログラムを提供しているわけではないから、それでいろんな問題が出てくるというふうに課題があります。

 次のページを見ていただければ、14ページだと、IB Association of Japanとして何を、例えば文部科学省にお願いしたいかというと、まずは日本の大学が積極的にIBディプロマを受け入れるのが、インターナショナルスクールでも一条校でも非常に大切な問題です。これはやっぱり、よく一条校でやろうとしているのは、日本の単位を全部取らせて、IBのことも全てをやるというのはよく聞きますけど、それは1960年代でIBDPができたときに、あるスイスの学校でアメリカ人とフランス人とドイツ人がいた学校では、これ全部、その人たちを自分の国に送るために、その国の単位を生徒に取らせないといけない状態になったから、このDPができたから、全ての単位を取らせるとなってしまうと、生徒たちがすごい苦労する。アメリカ人にアメリカの単位を取らせて、フランス人にフランスのバカロレアを取らせないといけないという状態から、国際バカロレアのDPができたから、そのディプロマプログラムの意味は、みんな国が作っている高校の資格と同じように考えると、そういう複雑なことをやらなくても済むという意味からできているから、そうすると、日本の大学が積極的に、筑波大学みたいにどんな分野でも受け入れているIB入試になっているかと思いますけど、そういうふうに全ての学校、大学ができるとすごく、もちろん助かりますので、それをまず文部科学省が大学に働き掛けたいということですね。

 それと2番目は、それができるまで多分そういうふうにしないといけないので、日本の単位を取らないといけない場合だと、そのすり合わせがまだまだ皆さんが分からないという。分からないというか、できていないから、まだまだこの面では頑張ってほしいのと、あと、さっき言ったみたいに、外国人の先生を雇うようにその制度を変えたり、緩和させたりするのが必要じゃないかなというふうに思っていますので、最後に、私たちIBAJともっと連携を作って、いろいろそれでできるのではないかと思いますので、それも文部科学省にお願いしたいと思っています。

 最後になりますけど、15ページと16ページなんですけど、今まではいろんなインターナショナルスクールと第一世代の加藤学園、玉川学園、東京学芸がIBのプログラムを導入しまして、それにPYP、MYP、DPネットワークができた。それに最近になっていろんな一条校とかが、こういうデュアルランゲージ、DPとかを導入しようとしていて、それにこのIBAJが最近設立されたというのがIB in Japan 2.0というふうに考えてもいいかと思いますけど、これから私たちがみんなでこれからのIBAJを考える、描くというふうに考えれば、私たちがガラパゴス学校にならないのが大事だと思います。今までは一条校があって、この島に一条校があって、この島にインターナショナルスクールがあって、あんまり交流も実はないです。なので、それをこれからはみんなになって、みんなで考えようというふうにしないといけないと私たちは思います。

 最後のページになりますけど、IBのミッション・ステートメントには、「help to create a better and more peaceful world through intercultural understanding and respect」というのが書いてありますけど、これは私たちが、違いがあっても、インターナショナルスクールとか一条校でも、大きい学校、小さい学校、公立、私立というようないろんな違いがあるのにも関わらず、私たちみんなはIBをやろうとしていますから、みんな手をつないでやるのが一番いいというふうに私は思いますので、Help us help you。

 以上です。

【長谷川座長】

ありがとうございました。非常に貴重な意見、たくさん頂きました。委員の皆様から御質問、御意見ございますでしょうか。

 じゃ、佐藤委員から。

【佐藤委員】

先ほどのA3のプリントの先生の頭の中の図なんですけれども、オレンジ色がIBAJで、ピンク色の下にある44と書いてあるのが認定校のことでよろしいんでしょうか。

【つくばインターナショナルスクール(シェイニー校長)】

そうです。オレンジのところがあって、Heads Networkがあって、そのところですか。

【佐藤委員】

はい。IB World Schoolと。

【つくばインターナショナルスクール(シェイニー校長)】

IB World Schoolが44の認定校があるということです。

【佐藤委員】

その上の段の黄色、赤、青と紫ですか。

【つくばインターナショナルスクール(シェイニー校長)】

これはPYPの認定校、MYPの認定校、DPの認定校です。

【佐藤委員】

はい。ですから、それは同じものということですよね。

【つくばインターナショナルスクール(シェイニー校長)】

はい。同じものです。

【佐藤委員】

それで、Heads Networkというのが校長のネットワークということですか。

【つくばインターナショナルスクール(シェイニー校長)】

そうです。校長のネットワークなんですけど、IB Association of Japanと今は実は重なっている。IB Association of Japanが独立した組織ではなく、もともとあった校長の団体がIB Association of Japanになりましたので、これがこれからの課題です。私たちがどういうふうに考えたらいいかというのを考えないといけないんですけど、主にそういうふうに今は考えてもいいかと思います。

【佐藤委員】

はい。この会議でも、プラットフォームが必要だということは何回も出ているんですが、そういうふうな相談の機関というか、お互いに情報をシェアするような機関としてやっていきたいというふうにお考えですか。

【つくばインターナショナルスクール(シェイニー校長)】

そうです。なるべく一条校でもインターナショナルスクールでも、私たちに聞いて、私たちがこういう組織が頭の中にあって、じゃ、これだったらこの人に聞けばいいとか、あと、このことだったらこの学校がすごくよくやっているから紹介したりするというような活動をして、既にもうしていますけど、これからもそうしたいというふうに考えています。

【佐藤委員】

はい。ありがとうございました。

【長谷川座長】

ありがとうございました。どうぞ。

【荻野委員】

ありがとうございます。日本における校長の一つの集合するプラットフォームである、このIBAJは私も非常に期待をしております。実は私もあす初めて参加をさせていただくことになっております。

【つくばインターナショナルスクール(シェイニー校長)】

ありがとうございます。助かります。

【荻野委員】

私は、理念とかこの組織の在り方、これはとても重要だと思って、何とかして、これを成功させなきゃいけないという思いは非常に強いんですね。ただ、実際問題として、言葉の問題であるとか、英語と日本語、それから、日本のIBスクールまた、候補校におきましても、様々な段階ですかね。段階が様々であって、関心も様々である。今ずっと拡大をしていく中で、そこに集める校長の関心も、言葉のバリア以外に様々な状態である。非常に難しい状況が目の前にある。その中で当事者の皆様方、本当に踏ん張っていただいているというところで、何とか応援したいと思っているんですけれども、ただ、その困難を解決していく手だてが、実はどのぐらいあるのかなという点ではちょっと不安な点もございます。これについてはIBAJということだけでなくて、行政的な支援も含めて様々なことが今後考えられると思うんですけれども、今、IBAJの中におられるシェイニーさんからして、先ほど要望もあったんですけれども、今一番大きな困難で、なかなか自分たちではできないなというところをもう一度話をしていただけるとありがたいんですけど。

【つくばインターナショナルスクール(シェイニー校長)】

この前の横浜で行ったカンファレンスでも話にもなりましたけど、これからはIB機構として、各学校にリエゾンオフィサーみたいなのを付けるという話がありましたよね。その理由としては、小さな学校とか大きい学校。国の学校とかインターナショナルスクールというような違いが余りにもいっぱいあり過ぎて、こういう大きな団体では対応できないというふうにIBでも考えていると思いますので、私たちがまだまだ若い団体なので、これからそういうのを考えないといけなくて、多分このIBAJの中でいろんなネットワークを作らないといけないと思います。でも、なるべく共通点を考えた上でのネットワークを作らないといけないと思います。ただ単にインターナショナルスクールと一条校ではなく、例えば少人数でやるとすると、こういうネットワークがあるというふうに、そのニーズに頼ったネットワークを幾つか作らないといけないというふうには私は思います。やっぱりその違いがあんまりあり過ぎて、私たちが全部対応しようとすると、それは無理に決まっているので、その声が出てくるような基盤をこれから考えないといけないというふうに私は個人的に思います。

【長谷川座長】

よろしいでしょうか。シェイニーさん、どうもありがとうございました。

【つくばインターナショナルスクール(シェイニー校長)】

ありがとうございました。

【長谷川座長】

それでは、次に、議題3に移りたいと思います。(3)中間取りまとめの骨子について、これを文科省の原田国際協力企画室長から御説明をお願いいたします。資料5-1をお手元に置いてください。よろしくお願いします。

【原田国際協力企画室長】

ありがとうございます。資料5-1と5-2を御覧いただければと思います。5-2の方が本日お示ししたいと考えております中間取りまとめのたたき台のイメージでございます。また、資料5-1が本体の構成案及び骨子たたき台の案となっております。これまで1回、2回目の議論であるとか、あるいは御指摘を踏まえさせていただきまして、本日、事務局のたたき台として御準備させていただいたものとなります。

 12ページを御覧いただいてよろしいでしょうか。これまでの概要としまして、第1回目の方で、3月9日に第1回の会議をさせていただきました。事務局から、本会議の趣旨及び運営につきましてお話をさせていただき、各有識者の先生から御意見をいただいたところでございます。

 また、第2回目でも、3月23日に開催させていただきまして、それぞれバカロレア導入校であるとか、大学からのバカロレアの活用の視点についてのお話を頂いたところでございます。ここで、3ポツで誤記がございます。田原先生の御指摘は、大学におけるバカロレアの活用、期待感を述べられたものでございますので、訂正させていただきたいと思っております。

 早速ですが、表紙をめくっていただいて、目次を御覧いただければと思います。大きな構成としまして、柱書きとして、まず大きなローマ数字の1として、「はじめに」というところと、次に、ローマ数字の2で、国際バカロレア推進の在り方について。そして、ローマ数字の3で、今後の国際バカロレアの具体的な推進方策について記載させていただいております。

 とりわけローマ数字2の方を、これまでの議論、文部科学省の取組、また、基本的な課題や今後の推進における基本的な考え方をこれまでの議論をベースに整理させていただいたものでございます。

 早速でございますが、1ページ目の「はじめに」でございますが、国際バカロレアは、国際的な教育プログラムでございまして、特色的なカリキュラムを有し、双方向、また、協働型の授業を通じたグローバル化に対応した素養・能力を育成することが期待されております。

 現在、IBは世界140以上の国・地域、4,819校で実施されているところでございます。我が国では、現在、IB認定校等を2018年までに200校へ大幅に増加させることを目指す閣議決定を設定し、推進しているところでございます。

 このため、文部科学省及び国際バカロレア機構の協力に基づきまして、平成26年4月には、国際バカロレア日本アドバイザリー委員会を開催してその、提言を頂き、それに基づきまして、IB導入の拡大に向けた各種の取組を行ってまいりました。

 このようなIBの導入に向けた各種取組を行う一方で、さらにグローバル化の進展であるとか、技術革新などが更に著しく進んでいるところでございます。また、昨今の我が国の教育政策におきましても、現下の予測困難な時代を見据えまして、学習指導要領の改訂などの方向性が示されるなど、大きな転換期を迎えているところでございます。

 本会議におきましては、IBの役割を再確認させていただくとともに、日本語DPをはじめとする現在の取組の意義と課題を再整理させていただくとともに、関係施策との連携を含む今後の必要な方策の検討を行っていただいております。この中間取りまとめのたたき台としましては、こうした議論の結果を中間的に整理して取りまとめたいと考えさせていただいております。

 2ページ目の方を御覧ください。ローマ数字の大きな2で、国際バカロレア推進の在り方についてとなります。1ポツの方でございますけれども、「21世紀の日本社会で求められる人材」と題しておりますが、中教審の昨年の12月に取りまとめた答申におきましては、21世紀の社会が知識基盤社会であるといった認識に立ちまして、近年の情報化やグローバル化といった社会的変化が、人間の予測を超えて加速度的に進展するようになっていることなどが指摘されておるところでございます。

 2つ目の丸となりますけれども、このような予測困難な時代におきましては、こちらの学習指導要領等の方向性のキーワードでございますが、「学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性の涵養」であるといったところの力の育成が重要とされているところでございます。

 本会議におきましても、同様の認識に立つとともに、これらの考え方が、地域・産業界の求める人材像にも通じるものであるといったことを確認させていただいております。

 具体的な事例としましては、高知県からもご紹介を頂戴させていただいておりますけれども、少子化における生徒減少が進む中で、高等学校の教育の質の向上に向けた取組の一環としてのIB導入、こういったものが地域に根付いたグローバル人材の育成につながるといった御指摘を頂いております。また、企業活動におきましてもグローバル化が進み、新興国等の競争の激化であるとか、様々な新たな技術の革新が進む中で、産業界としても課題解決型、また、分野横断的な視野、情報活用能力といった柔軟な考え方が必要になるといったところの御指摘を頂いているところでございます。

 このようにIBによって育成される人材は、21世紀の教育政策において求められるような人材像と合致するのみならず、地域の活性化、また、我が国の産業競争力の強化にとっても重要なものであると考えられると思われます。

 3ページでございます。2ポツでございますけれども、国際バカロレア推進の成果及び課題としまして、これまでの国における主な取組としましては、昭和54年に高等学校を卒業した者と同等以上の学力があるというような形で国際バカロレアの資格を認定させていただいております。

 平成25年からは、国際バカロレア機構と協力の下、DPの科目の一部を日本語でも実施可能とする「日本語DP」の開発・導入に着手させていただいております。

 平成25年の5月からは、東京学芸大学を中心に、関心を有する高等学校等による「国際バカロレア・デュアルランゲージ・ディプロマ連絡協議会」が設立、運営されています。また、その後、国際バカロレア日本アドバイザリー委員会におきましては、平成26年4月に、今後の対応方策についての提言を頂いたところでございます。

 文部科学省におきましては、IB導入の拡大に向けまして、必要な教員の確保に向けた取組、また、DPの導入を促進するための教育課程の特例措置の新設、「バカロレア認定のための手引き」の作成・普及、大学入学者選抜におけるIBの活用促進、IBに関する情報提供・発信、さらに、全国て無料で参加可能なワークショップの実施などの支援をさせていただいているところでございます。

 4ページでございます。(2)でございますけれども、このような取組を踏まえて、我が国における国際バカロレアの普及状況と成果としましては、小さなローマ数字の1でございますけれども、認定校の状況として、着実にその数が増加しているところでございます。今年の4月現在におきまして、認定校数は45校となっており、候補校等を含む実績は105校となっているところです。

 学校教育法第一条に定める「学校」、いわゆる「一条校」の認定校は、現在時点におきまして20校となっておりまして、平成26年4月の7校と比べても大幅に増加しているところでございます。

 国立学校としましては、東京学芸大学の国際中等教育学校が平成22年からMYPの認定校となっており、平成27年にはDPに関しても認定校となっていらっしゃいます。また、公立学校につきましても、平成27年3月に東京都立の国際中等教育学校がDP認定校、また、今年の3月に札幌開成中等教育学校がMYPの認定校となっていらっしゃいます。

 日本語DPの導入校は現在8校となっておりまして、今年の3月に初の日本語DPの修了生が出ている状況でございます。各地の教育委員会におきましても、IB導入の検討が進められているところでございます。

 こちらの方、この資料の15ページに参考4がございまして、国際バカロレア導入に関する教育委員会の主な認定・検討状況がございますので、御参照をいただければと思います。

 前後しますが、5ページにお戻りいただければと思います。小さなローマ数字の2でございますけれども、大学における活用状況としまして、国内においては、37の大学で現在、IBを活用した入試が導入されています。うち15の大学において、全学部が導入しているといった状況でございます。

 小さなローマ数字の3でございますが、IB教員養成等の状況としましては、IB教員になるためのワークショップ等について、日本語でのワークショップが始められるとともに、平成26年度以降は文部科学省による受講支援も行われております。

 26年4月からは、玉川大学大学院でIBの教員養成課程が初めて国内で開設されております。今年の4月からは、岡山理科大学、都留文科大学、また、筑波大学大学院においても開設されておりまして、国内におけるIB専門の教員養成の環境が整備されているところでございます。

 小さなローマ数字4でございますが、このようなIB導入の成果といいますか、効果としましては、分野横断的な、対話的な課程を通じた生徒の物の見方といったものが多面的になっていること、いろんな様々な課題の答えが一つではないといった考え方の定着であるとか、学習に関する時間管理の感覚が身に付くようになるといった御指摘を頂いておるところでございます。

 6ページでございますが、これまで頂いた議論における課題点として指摘されたものを、事務局の方で整理させていただいたものとなります。

 小さなローマ数字の1でございますけれども、IB教育の推進に向けた考え方に関するものとしまして、IB推進の意義の再確認としまして、目指すべきグローバル人材像であるとか、グローバル人材育成に向けたIBの意義、英語学習以外の側面を含むIBの意義といった指摘がございました。

 また、日本国内でIBを推進するに当たっての留意点としまして、日本の教育の強みの自覚をすることと、また、それを適切に継承していくこと、さらに、同じ高校におけるIB生と、IB生以外の生徒との連帯感の育成といった課題が示されました。

 次に、IB教育の推進の基本的施策に関するものとしまして、「国際バカロレア」と「国際バカロレアを模した教育」について、それぞれの推進の必要性の明確化といったことが必要ではないかとの考え方が示されました。また、国内でIBの推進を継続するに当たって、一条校を中心とした教育効果の検証といったものもしていくのではないかといった御指摘を頂いております。また、IBを通じた日本型教育の海外発信といったこともあろうかというふうに御指摘を頂いております。主に想定されるのは特別活動などが考えられようかと御指摘を頂いております。

 次に、幼稚園、小学校、中学校、高校の一貫した教育体制の構築(PYP、MYPの支援体制)といった御指摘もございました。

 次の小さいローマ数字の3でございますが、IB導入主体に関するもの。つまり、主に学校に関するものとしまして、国内におけるIBプログラム(特に日本語DP)に関する導入や実施に関する課題であるとか、導入事例、また、採用情報等が、それを必要とする学校や、また、それを必要とする教員によって適切に共有される体制の構築、また、基盤の整備といったことの御指摘を頂きました。

 次に、IB認定校における教育課程の特例措置の周知であるとか、具体的事例の収集など、柔軟なIBカリキュラムの履修、特に日本語DPの履修科目数について、ここでは英語を想定されますが、そういったものの緩和が必要なのではないか、また、IBの導入及び実施に係る負担への支援に関することや地方を含むIBに関するワークショップ等の充実といった御指摘を頂いております。

 次に、本日、札幌市や、あるいはIBAJの方からも御指摘を頂いたところでございますが、大学に関するものとしまして、大学入学者選抜におけるIB活用の促進に向けた適切な情報共有、IBスコアに関する客観的な情報が大学において共有されること、また、それが適切に使われることが重要ではないかといった御指摘を頂いております。

 また、IB教育を活用した高大連携、大学における科目単位での履修の評価についても記述しております。

 7ページに移らせていただきますが、大学における受入れ体制の整備について、IB生は通常の課程で入学する生徒等とは学習の内容、質が異なっておりますので、そういったものを踏まえたカリキュラムの構築といったものがあろうかというふうに御指摘を頂いております。

 次に、5でございますが、教員の確保に関するものとしまして、こちらの方も本日、札幌市からも御指摘を頂いたところでございますけれども、国内におけるIB教員養成体制の充実について、また、日本語DPをはじめとする国内における指導法の開発として、本日、シェイニー先生からも御指摘を頂いております外国人教員の適切な処遇、確保といったところの御指摘を頂いております。

 最後に、IBに対する社会的理解向上に関するものとして、IBそのものに対する社会的な普及啓発活動を続けていくこと、将来の就業という観点を考えますと、企業におけるIB教育に関する理解醸成とその評価といったものが必要になろうかと考えられます。

 8ページになりますけれども、3ポツでございますが、国際バカロレアの意義の確認としまして、改めて確認事項として、(1)でございますが、我が国の教育政策全体の動向を踏まえた国際バカロレアの意義としまして、国際バカロレアが初等中等教育を通じたグローバル人材育成に資する教育カリキュラムと認識されておりますが、専ら国際的な大学の入学資格であることに注目されておりまして、高校段階のDPを中心に推進されてきております。

 今般、教育政策全般としては、学習指導要領の改訂の基本的な方向性が示されておりますし、3つ目にありますが、高大接続改革における「学力の3要素」と呼ばれる評価の推進、また、第3期教育振興基本計画においても、国際的な視野を持ち、グローバルに活躍できる人材の育成といったものが指摘されているところでございます。国際バカロレアがグローバル人材育成の側面に加えて、今後の我が国の初等中等教育における好事例となることが期待されていると考えられております。

 9ページでございますが、(2)の日本語DPの意義としまして、日本語DPは、グローバル化に対応した我が国の教育を牽引する学校群を国内に形成するといったことのために、一条校を含めてIBの普及を推進するための施策として平成25年より開発・導入を進めてきたところでございます。

 我が国の教育政策が主体的・対話的で深い学びなどを重視する傾向にあることといったことを考えますと、グローバル化に対応した学校ということだけではなく、国内における初等中等教育段階における、主体的な学び、他者との協働といった観点におきまして、先駆的な学校となるといったことの観点からも有効ではないかと考えられます。

 とりわけIB教育は、国際的な経験が蓄積されておりまして、日本語DPの導入校が他の国内の初等中等教育における主体的な学びについての参考事例になるといったことも期待されるのではないかというふうに考えられます。

 留意事項としまして、IB教育の推進に当たっては、日本の教育の強みを継承していくこととともに、また、国民の形成という観点からも日本を構成する一員としての連帯感の醸成といったところにも配慮することが必要であると考えられます。

 最後となりますが、日本語DPを通じて、母語にも重点を置くとともに、学習指導要領との親和性を高めたIB教育といったものの普及ということが期待されるのではないかと、意義を確認させていただいております。

 10ページでございますが、今後の国際バカロレアの推進の基本的な考え方として、主な観点として4つ示させていただいております。

 (1)でございますが、今後の初等中等教育における好事例の形成ということで、国際バカロレアによる一貫した教育環境を我が国で実現するとともに、これらの国際バカロレア校が、今般進めております主体的・対話的で深い学びの実現等の好事例として参考となることを目指していきたいと考えております。

 また、このために、DPに加えて、PYP、MYPも含む国際バカロレアの普及体制を構築するといったこととともに、また、それらの効果についても継続的に検証を行うといったことが必要ではないかと考えております。また、好事例を波及させることで国内の初等中等教育の発展に資するよう、IB校以外の学校を含めた教育効果の情報共有・交流体制の構築が必要ではないかと記載させていただいております。

 2つ目でございますが、国際バカロレアとの相互発展を通じた日本型教育の展開としまして、日本語DPの推進を通じて、我が国の教育の持つ長い歴史や、あるいは高い教育効果といったものを継承しつつ、IBの持つ国際的な経験に基づくような主体的な学習の教授方法、学校運営に関する知見を生かしたような学校の整備を推進していくといったところがあるのではないかというふうに記載させていただいております。

 また、我が国とIBの双方のよさを兼ね備えた学校の事例といったものを、IBの持つネットワークを通じて発信し、日本型教育の海外展開であるとか、IBプログラムそのものの発展、相互に発展していくことを目指していくことを書かせていただいています。

 3つ目でございますが、変化する社会に対応したグローバル人材育成の実現としまして、世界のあらゆる場所で活躍するグローバルリーダーであるとか、あるいは地域の課題に対応するグローカルなリーダーといったところでございますけれども、これらの実社会で求められるような、産業界、地域社会でも活躍するようなそういった人材がこれからの人材として求められていくのではないかと記載させていただいております。

 次でございますけれども、IBを中核的フレームワークとしつつ、スーパーグローバルハイスクールなどの他のグローバル人材育成施策を通じた発展的かつ特色のある活動を支援することで、より深まりのある多様なグローバル人材育成の施策の体系を目指していきたいと記載させていただいております。

 4つ目でございますが、これら(1)、(3)の前提、基礎となるものとしまして、そもそもIBが持続可能な推進体制として、持続可能なものとして推進されていく体制の構築が必要と書かせていただいております。IBが持続可能な形態で、国内において普及・拡大するよう、IB教員養成の充実、大学入学者選抜におけるIB入試の活用促進、また、民間企業を含むIBに対する理解増進などを継続していくと書かせていただいております。

 このために、国、地方公共団体が産業界とも連携しつつ、IB政策の意義を不断に検討しつつ、必要な環境整備であるとか、あるいは情報発信などを継続すること、さらに、各学校においても適切な学校運営、また、地域の保護者・子供への正確な情報提供を継続していくことが必要ではないかというように、基本的な考え方として記載させていただいております。

 最後に大きなローマ数字の3でございますが、こちらの方はまだ項目を羅列させていただくことに留めておりますけれども、今後の国際バカロレアの推進のための具体的な取組としまして、1ポツでございますが、こちらは先ほどの課題とほぼ同一でございますけれども、1ポツの方、IB導入校に対する支援としまして、我が国の国内における課題や事例等の情報共有体制の構築、これについては先ほど来、あるいは前回からの会議でもプラットフォームといった言葉を頂いておりますけれども、そういったものの推進が必要ではないか。また、(2)としましては、IB教育の効果を適切に検証していくこと。(3)につきましては、国際バカロレアの導入及び実施に係る負担への適切な支援、また、(4)としましては、地方を含むワークショップ等の充実といったものが考えられます。

 また、2ポツとしまして、国内の大学入学者選抜におけるIBの活用としまして、大学入学者選抜における活用の促進に向けた適切な情報共有、(2)として、IB教育を活用した高大連携、(3)として、科目単位での履修の評価、(4)として、大学における受入体制の整備を提示しています。

 また、3ポツとしまして、IB教員の確保に向けた取組として、IB教員養成体制の充実、また、日本語DPをはじめとする国内における指導法の開発、そして、これまで御指摘を頂いております外国人教員の適切な処遇と確保といった課題があろうかと認識しております。

 4ポツでございますが、グローバル人材育成施策との連携としまして、(1)としまして、スーパーグローバルハイスクールとの連携、その他があることを記載しております。

 5ポツでございますけれども、IBに関する適切な情報提供・発信としまして、IBに関する普及啓発活動の継続。また、企業等によるIB教育に関する理解醸成と評価といったものが必要であろうかと指摘いただいています。

 これらが今後の具体的な施策として想定させていただいているところでございます。

 こちらの方、構成案及び骨子のたたき台としまして、本日の御議論を頂きまして、また、次の議論のたたき台として御提示させていただいたものとなりますので、御議論をいただければと思います。よろしくお願いします。

【長谷川座長】

御説明ありがとうございました。それでは、残りの時間、35分ぐらい残っておりますけれども、この骨子案につきまして、御意見、御質問を頂けましたら幸いでございます。この骨子案を中間取りまとめとしてまとめていくに当たって、意見の補足であるとか、こういうところが足りないんじゃないかとか、そのようなことをどんどん御発言いただければと思います。それぞれのお立場からいろんな御意見があろうかと思いますけれども、とりあえずは御意見のある方から挙手をお願いいたします。いかがでございましょうか。

【矢野委員】

今までの議論をこのようにまとめていただいて、確かにこの議論がきちんと踏まえられているなというふうに思ったところですが、きょうの札幌市の小林係長さんや、あるいはつくばインターナショナルスクールのシェイニーさんのお話も聞いていて、それから、前回の岡山大学の田原先生のお話なども思い浮かべますと、やはり一つの、日本の教育にIBを、あるいはIB的な考え方をどう根付かせていくのかという観点で、これからを考えていくとすれば、何かもうちょっと踏み込んだものが要るのかなという気はしております。

 その踏み込んだというのは、そのポイントは何かというと、大学の問題ですね。そして、この大学についても、国内大学入学者選抜におけるIBの活用という形で項目をきちんと入れていただいているんですが、果たして我々がこのIBを、いわゆるグローバル人材育成を日本の教育において考えるという点からIBを見るときに、これは日本の国内大学の入学者選抜においてIBをもっと認知するというだけでよいのかどうかということですね。

 この議論、大体IBについては、文科省の方でも初中局を中心にこれまで問題意識として持ってこられたと思うんですが、この有識者会議が大臣官房という、初中局でもなく、高等教育局でもない、そういうところが所轄で始められたということは一つの新しい展開かなというふうに私は思っているわけで、ところが、高等教育局の方がこの場にいらっしゃるのかどうかは私も分かりませんけれど、これはグローバル人材というのを日本の教育で考えていくなら、それは初中局の枠組みを超えて、高等教育局の管轄の、いわゆる小中高、それから、大学を連続したものとして考えていくということは不可欠だと思うんですね。

 ところが、IB一つの導入に関しましても、日本の大学の入学者選抜というところでの認知度というか、そこが結構大きなバリアに依然としてなっているということが現実かと思うんですが、その入学者選抜にとどまらず、前回のお話にもあったように、例えばIBのディプロマプログラムはヨーロッパ生まれ、スイス生まれですけれど、バカロレアや、それから、イギリスのAレベルとか、そういういろいろなそれぞれの国で作られてきた中等教育の修了の要件、あるいは大学入学の要件をうまく折衷したというような性格を持っているかと思いますけれど、その内容は、やはり日本の、例えば高等学校の学習指導要領で示された内容を超えているところもあると思うんですね。そうしますと、日本の大学の教育が抱えて、直面している課題とも通じる内容をディプロマプログラムは持っているとすれば、もうちょっと入学者選抜というだけではなしに、ディプロマプログラムを大学教育の一部に位置付けていくというようなこともあり得るというふうな、そういう観点も必要かなと思うんですね。

 だから、まとめ方としては、私の意見ですけれども、国内大学の入学者選抜における活用というだけではなくて、国内大学教育におけるIBの活用というような、もうちょっと広げた視点を設定して、その中で入学者選抜の問題は非常に重要だと位置付けるという、そんな形でまとめていただくと、もうちょっとインパクトが出てくるかなと思っています。

 以上です。

【長谷川座長】

ありがとうございます。この点に、今、矢野委員から御指摘があった点に関して、本日、机上に、「知の理論をひもとく」というのと、「ワークショップ 知の理論をひもとく」というのがございますので、これに関して岡山大の方から御説明いただけますでしょうか。

【田原委員】

資料を配らさせていただきました。先日、前回ですね。岡山大学の教育の取組ということで、1つは、入試でどういう対応をしているかということと、もう1つは、大学教育にいかに、どういうふうに活用するかという2点についてお話しさせていただきました。そのうちの2点目の大学教育にいかに活用していくかという一つのキーといいますかね。鍵としまして、TOKというのはもう御存じのように、国際バカロレアの中心となるような考え方を養成していくような、そういうカリキュラムであります。

 岡山大学は比較的早くから国際バカロレアというのに注目していまして、その中で、やはりこのTOKというのはすごく重要であろうということで取り組んできています。その考えは、受験勉強を一生懸命頑張ってこられた学生さんというのは、多様な答えを考えることをやっていませんので、一つの答えを探すということで一生懸命やっていきますので、なかなか検証的に考えるとか、広く考えることができていないと思います。そのためにやっぱりバカロレアということの中には、こういう検証的に考える。そういうトレーニングを徹底してやっていますので、そういうのは大学の教育の中でも使わせていただければどうかなということでやってきております。

 それ以外に、前回ちょっと申し上げたのは、例えばCASに近いような活動とか、そういうことも大学の中で今やっている活動というのを見てみますと、結局、CASでやっているようなことも今は大学の教育の中で取り上げてやってきていますということがありましたので、報告させていただきました。よろしいでしょうか。

【長谷川座長】

はい。ありがとうございます。矢野委員からの御意見に対して、既に先駆的な取組をなさっているのが岡山大学ということでございます。このような取組が日本の各大学に広がっていくと、高大接続という観点からも非常に望ましい方向ではないかというふうに私も考えております。

【荻野委員】

学校の現場におりますと、大学のことをいろいろ考えるわけですけれども、文科省の方でいろいろIBのディプロマ科目、いわゆるナショナルプログラムを読み替えていただいていて、大変ありがたく思っております。学校の負担がぐっと軽減しているんですけれども、読み替え方がちょっと、IBのことを十分に御存じない大学の方から見て、「えっ、これ、例えば化学基礎なの?」と、そういう、名は体を表すような読み替えになっていないといいますかね。というと、これはやむを得ないのかもしれませんけれども、先ほどからIBに関する普及啓発という問題が出ていますけれども、この辺のところは、いわゆるナショナルカリキュラムの制約上、あるものに読み替えなければならないということは、これは十分承知して、また、ありがたくも思っているわけですけれども、いわゆる名が体を表していないという実態も一方ではあるんだということは、特に大学の方に承知しておいていただけた方がいいんじゃないかなと、高校現場をあずかる者として感じております。

 それから、話し始めました関係で、瑣末なことで指摘させていただきますが、4ページの丸、3つ目の本校に関する部分なんですけれども、私の方でこれは十分に指摘を申し上げたらよかったんですが、間違いがありましたので。正確には15ページの参考4に書かれたものが正確でございます。27年5月に東京都立国際高等学校ということでしてございますので、御訂正いただければと思います。

 以上です。

【長谷川座長】

訂正も含めて御意見を承りたいと思います。

 ほかにいかがでございましょうか。加計委員。

【加計委員】

失礼します。前回、前々回と、この会議に出させていただいて、いろんな委員の先生方のいろんな御意見をお聞きしている中で、先ほど矢野委員からもありましたように、そもそもIB認定校、2018年度までに200校に増やしていくという、国の大きな目標を達成していくためには、やはりもうちょっと踏み込んだ、本質的な対策をしていかないといけないのではないかと。

 例えばなんですけど、いろんな御意見の中で、国内における課題や事例等であったり、就職先の紹介であったり、そういった情報共有体制の構築というような課題が一つの例として挙げられていますけれども、先ほどのIBAJの存在であったり、ディプロマ協議会の存在もあろうかとは思いますけれども、やはり私はもうちょっと、日本といえど、本当に広い国でございますので、例えば東北であったり、関東であったり、近畿であったり、九州、中国、四国。それとブロックに、世界で大きく言えばIB校は、アメリカ、ヨーロッパ、アジア太平洋地区というふうに分けると。同じようなイメージなんですけど、もうちょっと細分化して分けて、そこのある学校が、その学校はもうここにおられる先生方がなられたらいいと思うんですけど、そういった学校がモデル校となって、いろんな相談に乗ったり、実際に学校に見学に来てもらったり、いろいろ情報共有したり、そういったものを構築していくと、非常にやりやすくなっていくのではないかというふうに思います。

 また、先ほどといいますか、前々回、私のプレゼンの中でも申し上げましたけど、やはりまだまだIBに対する認知度というものが非常に低い中で、そういったことも、そういったものを作ることによって対応ができていくのではないかなというふうに私は感じておりますが、是非皆さんの御意見を頂けたらありがたいなと思います。

【長谷川座長】

加計委員からの御指摘でございます。何かこの点に関しては御意見いかがですか。

 ブロック化してモデル校を作ることのメリットはもちろんあると思いますけれども、現状では、全国的な規模での連携、コラボレーションということも課題がございますので、そのバランスを見ながらということになろうかと思いますが、何かいかがでございましょうか。よろしいですか。

 じゃ、それに限らず、御意見を頂ければと思います。渋谷委員。

【渋谷委員】

IB教員の確保に向けた取組ということが11ページの3に挙げられていますけれども、これに関連したことで、もう少し踏み込んだ提言をということにも関連してくると思います。今、IB教員養成をする機関が幾つか出てきているわけですけれども、それと、それ以外の教員養成が連続していく必要があるという意見です。

 と申しますのは、今はIB的な教育ができる教員が非常に限られていますので、実は非常に先生方の取り合いになっているという現状があると思います。教員の異動も非常にたくさんあるんですね。公立と私立とインターナショナルスクール、垣根を超えて、ある意味、IB的な教育ができる先生は非常に今、異動しているんですけれども、こういう状況というのは、私の知る限り、これまでの日本の教育界にはなかったと。このように頻繁に教員が異動する状況。やっぱりある程度安定的に、特に公立学校において、必ずしも労働条件をどんどん上げていくというわけにはいかない学校においても、安定的に優秀な教員がい続けられるという状況は必要で、そうであった場合に、IB的な教員養成をするところとそうでないところが分かれていると、断絶が生じてしまうと思うんです。

 ですから、一般的な教員養成に対しても、例えば双方向型の授業であるとか探究型の学習ということがプランできるような力を付けていく。そういう仕組みができていくような提言ができた方がいいのではないかというのが私の意見です。

【長谷川座長】

ありがとうございます。ごもっともな御意見だと思います。

【田村委員】

今の御意見に関連してですが、やはり公立の学校ということになると、教員の異動の問題もございます。ということで、安定的にIB校を維持しようとすると、異動してもきちんとIBの教えられる先生が異動でやってくるというような状況が必要になってくると思うんです。そういう意味で言うと、このIB校だけじゃなくて、IB校以外の教員についても、IB教員としての資格を得られるようなワークショップを是非やっていただきたいということでございます。

 今年、8月16日から高知県でも地方でのIBのワークショップをやっていただくことになっています。しかも、それは無料で開催していただけるということで、大変ありがたいと思っております。このようなワークショップを是非広げていただくということと、それを受講できる教員について、少し幅広に認めていただくことをお願いできたらと思っております。

 それから、ちょっと別な話になりますけれども、この2月と3月に、来年の30年から将来的にMYPを目指す高知国際中学校が開校するんですけれども、その開校に向けての学校説明会をやらせていただきました。坪谷委員に講師をお願いして、開催いたしました。高知県の場合は、1学年で、全部で5,000人ぐらいしか生徒がおりません。その中で、1,500人ぐらいの保護者や学校関係者が併せて、学校説明会に来ていただきました。実際その中学校に通えるエリアの生徒数というのは多分3,000人以内ぐらいだと思うんですが、そういう中で、1,500人もの、学校関係者や保護者の方が来ていただいたということで、すごくこのIBの取組ということに期待が高まっています。

 ただ、まだかなりボヤッとした、十分分かった上での期待なのかどうかというところはあるんですが、それにしても、これからの教育の方向性ということについては、何となく今の若いお父さんや、お母さん方はすごく期待を持たれているんじゃないかなというふうに思っております。ただし、DPのプログラムを提供できるというのは、今、高知県が計画しているのは、最終的には20人の規模です。

 先ほど札幌の開成中等教育学校の方で30人ということがお話ありました。直接DPを提供できるというのは、それだけ1,500人の方の期待の中で、1学年では30人という話になってしまうので、そのDPを直接提供すること以外に、DPを先導的に、DP的な教育を周りに広げるというようなことも非常に大事じゃないかなと思っております。そういう意味で、例えば大学での科目単位での履修を評価して、入学を許可するということも大いに考えていただいたら幸いです。

 今考えていますのは、DPプログラムのコース以外は何らかの形でバカロレアの、例えばTOKであったり、そのような科目を導入もしたいというふうに思っております。そういうことを大学の試の中で評価をしていただけたら、もうちょっと広がっていくのではないかと思います。

【長谷川座長】

ありがとうございました。大学入学者選抜において、フルDPではなく、部分的な履修に関しても評価してほしいということでございます。

 ほかにいかがでございましょうか。今泉委員、お願いいたします。

【今泉委員】

お疲れさまです。普及啓発活動について、経団連の立場から物を申し上げたいと思います。経団連としても、これまでIBの認定校の視察であるとか、経団連が事務局を務めるUWC、ユナイテッド・ワールド・カレッジの日本協会において、バカロレア・プログラムに基づく教育を実施している世界17ヶ国のUWCのカレッジに奨学金を支給して、日本人の高校生を派遣するといったバカロレア教育の認知向上の取組などを行っております。これに加えまして、採用側へのアピールというのができないかと考えております。

 具体的には、企業の人事の採用担当者に対しまして、国際バカロレアプログラムの概要であるとか、メリットである。こういったものを伝えるセミナーとか懇談会も実施して、これは経団連の組織にあるんですけど、教育問題委員会、こういう会合の場などで開催を検討できればというふうに今考えております。

 以上です。

【長谷川座長】

大変力強い経済界からの御意見を頂きました。やはり教育、啓発。啓発というのは非常に重要だということは繰り返し御指摘されているところでございますけれども、バカロレアの認知度を高めていく。それによって、よりよい人材を、グローバル人材を供給しているんだということをもっともっと知らしめることが重要だということだと思います。

 ほかにいかがでございましょう。佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】

今の御発言に関連してなんですけれども、もともとこの200校ということが日本再興戦略から出てきているということもあって、経済界からの応援というのがとても重要だと思うんですが、それは何度もお金の面の問題というのが出ているとおりで、先ほどの11ページのところにも、一番上の白丸のところにそういったことが書いてありますけれども、一番我々の現場の立場で弱いのは、やはり中学、高校だと、直接経済界とか企業とかに寄附や献金をお願いするということが難しいですね。その辺のところも含めて応援してくださると、大変ありがたいし、特に地方公共団体は、先ほどもありましたが、特定の学校にだけ多くのお金を出して、学校運営をするということは非常に難しいと。そこがネックになっているということ。国立の場合もそうなんですね。ほかの附属に対して、うちの学校だけがそのお金を多く使うということに対しての抵抗感というのは非常にありますので、その辺の応援を企業側としてしっかりやっていただければ人材育成という意味では大きな力になってくると思います。

 あともう一つ、ちょっとお願いしたい。お願いというか、11ページの4番のところに、スーパーグローバルハイスクールが挙げられておりまして、とてもいいことだと思うんですけれども、IB教育は、社会面だけがすぐれているわけではなくて、理科、理数系の教科に関してもいろいろな意味があると思いますので、スーパーサイエンスの方もそういった連携に入ってくるといいのではないかと思います。

【長谷川座長】

スーパーグローバルハイスクールのみならず……。何でしたっけ。

【佐藤委員】

スーパーサイエンス。

【長谷川座長】

スーパーサイエンスハイスクールですね。そちらも連携ができるのではないかという、高校の現場からの御意見でございます。

 ほかにいかがでございましょうか。

【荻野委員】

授業のことについてお話をしたいんですけれども、8ページの2つ目の丸のところに、アクティブ・ラーニングという視点が出ていまして、非常にIBの教育と大きく重なる部分がありまして、私は現行の学習指導要領におきましても、この探究型の授業というのは、これはやることになっているんですけど、必ずしも学校現場で、高校現場で進まないのはどうしてなんだろうと、これは常々考えるんですけれども、一つはやはり入試の問題もあってね。随分変わってきて、また高大接続改革の中で今後変わっていくということで、これはある意味では大学側に期待しているところではあるんですけれども、やはりクラスサイズの問題であるとか、あるいは今、本校のIBの探究型、批評型、双方向型の授業がうまくいっているこの基盤と言うんですかね。これを見ますと、やはりこれは第1回目から様々出ております、いわゆるプラットフォームの共通化と言うんですかね。プラットフォームを少し整えるというところが非常にIBの教育がしっかりしていると思います。

 例えば、いわゆる反転学習ですね。ALで言う反転学習を可能にするようなシステム。これはマネージバックというシステムがありまして、それで、授業の内容についてをあらかじめ知ることができると。それを授業中は板書することに気を取られずに、うちへ帰って、マネージバックを開けば見れる。そして、レポートを提出できると。そういう、いわゆるプラットフォームが非常にしっかりしている。あるいは例えば学問的誠実さ。アカデミックオネスティなども、例えばあるソフトに掛けますと、それがいわゆるコピペをしたものなのか、そうでないのかということも、これは一瞬にして分かると。ある一定以上、例えば20%以上そういったものがあると、これは生徒指導の対象になるというので、生徒や保護者を呼び出して、学校の方でしっかりと指導するわけです。

 そういった、いわゆる探究型の授業を可能たらしめる、そういうプラットフォームが非常にしっかりしているなということがございます。今後日本でこういった種類の教育が広がっていくに従って、広がっていくようにするためにはやっぱりそういった、第1回目からよくいろんなところで出ておりますプラットフォームの充実というところは、かつ、日本じゅうを挙げてということであれば、日本語でと。IBを模したといいましても、どの程度模せるのかという、これは各校、あるいは各都道府県、その程度が様々だと思うんですよね。ですから、そういったプラットフォーム化できるところは十分にプラットフォーム化しておくということが私は必要なのではないかなというふうに感じております。

 まさに、今、私たちに求められているのはオンリーワンの授業を作ることだと思うんですよね。学校のミッションとか、あるいは生徒の実態を踏まえながら、生徒が一つの答えに流し込むのではなくて、まさにオンリーワンの授業を作ることなので、そういったもののプラットフォームをしっかり整備するということが重要なのではないかなと。そうしますと、ここで様々出ております、もう一つ踏み込んだというのが私の中で、この部分でもう少し踏み込まないと、なかなかこの国民各層の期待には応えられないのではないかなというのが、ざっくばらんな印象でございます。

 以上です。

【長谷川座長】

ありがとうございます。本日はあくまで骨子でございまして、まさに踏み込んでいただくための材料でございますので、本日頂いている御意見は非常にありがたいと思っています。

 まだ多少時間ございますので、いかがでしょうか。はい、どうぞ。

【田原委員】

大学入試全般についてコメントする立場にはありませんが、大学進学者全体から見てみると、国際バカロレアが普及して200校になったとしても、ディプロマを取得して卒業する生徒さんは5000人程度です。大学の学生数全体から見ると少ないのが現状です。大学としては,そういう中で、国際バカロレアのカリキュラムを終えられた方、あるいは国際バカロレアの教育を受けられた方を受け入れるということを、大学の中で取り入れていくということを目指していくというのが一つの大学としての方向であるのではないかなと思っています。

 それで、そういう視点で入試制度といいますか、大学の教育の在り方、入試の在り方ということを考えていくという、そういう方向というのはこれからの大学入試、教育の一つの方向ではないかなと思っています。かなり個人的な見解に近いところですけれども、今の大学の入試の中でやはり7割は、8割近くは、国立大学は特に、いわゆる一般入試というセンター試験を受けて、個別試験を受けて、入試に入ってくるという形になっていますので、そういうフレームというのはまだまだ残るんですけれども、もっともっと多様な人を受け入れる。もっともっと多様な人を受け入れて教育をするという方向にどんどん変わっていくんじゃないかなと思っています。

 以上です。

【長谷川座長】

ありがとうございます。私も大学人ですけれども、是非、岡山大の先行事例ですね。IBの修了者を受け入れたら、こんなにいい人材が入って、入学者の中に含まれていたというようなことを発信していただけると、うちの大学なんかでも説得力が増しますので、是非よろしくお願いいたします。

 ほか、いかがでございましょうか。あと3分ほどというふうに、今、掲示が出ましたので、いかがでございましょうか。

 まだ発言されていないのは。きょうは坪谷さんは。

【坪谷委員】

各委員の先生方、及び、きょうのゲストの皆さんのお話を聞きまして、ちょっとだけ意見を言わさせていただきたいと思います。入学者選抜において、大学の教育において、各大学でもIBを活用していったらいいのではないかということのお話でございましたが、IBDPは、19歳まで2年掛けてやるという認定校でありますので、各大学で、TOK、EE、CASなど、これを利用したものを大学の1年の教育課程の中で入れていくというのは大変有効なんじゃないかと私も思っている次第です。

 また、IBの中で、インター、私立、公立、一条校ですね。みんなで協力し合ってやっていこうというのは本来のある姿勢だと思うんですが、初回のときに申し上げましたとおりに、IB機構の方は、インターナショナルスクールと私立の一条校及び公立の一条校はちょっとニーズが違うよねといったところで、これから地区的なマネジメントをするのではなく、その在り方によってマネジメントを変えていこうかという動きがあることをお伝えしておきます。

 また、加計委員からの地区ごとにブロック化してという、モデル校を作るという御意見ですけれども、これは非常に有効的だと思いますが、それと同時に全国規模でやっていく、プラットフォームを作っていくところのバランスが大切なのかなと思います。

 IB教員の確保に関してなんですけれども、これはIBのワークショップを受けなければIBを教えられないというふうに誤解されているところだと思いますが、そういったことではなく、主任の先生が受けて、その先生がほかの先生に習ったことを教えるといったことで、IBは別にワークショップを受けなければ、それが教えることができないといった種類のものではないんですね。ですから、お金が掛かるワークショップには、主任の先生が受け、その主任の先生が受けたことに関して、皆さんがそれを学ぶといった形式も考えられるのかなと思います。

 あと、大学入学者選抜に関して、TOKの部分的な履修ですけれども、米国はまさにそれをやっておりまして、ほとんどの学校が部分的な履修ということで、大学に入っているということを付け加えておきます。

 経団連の方での教育問題の会の方で国際バカロレアに対しての認知度を高めてくださるということは、大変ありがたいということで思っておりますので、是非ともよろしくお願いいたします。

 そして、中高は、大学と違って、経済的な支援ということで地方自治体とか公立の皆さんからのお話もありましたので、是非ここら辺も文科省の方とともに一緒に考えていただけたらと思います。

 また、スーパーグローバルだけじゃなく、スーパーサイエンスとの連携ということですが、実を言いますと、国際バカロレアの卒業生の一番行く学部は医学部、2番目が工学部という、理数系の学生の方が実は学部として選んでいる生徒が多いんですね。したがいまして、矢野先生もはじめ、是非、国際教育課長の補佐の方もスーパーグローバルだけではなく、スーパーサイエンスの方との連携というのも考えていただけたらと思います。

 以上でございます。

【長谷川座長】

本日の総まとめのようなことを発言していただいて、大変ありがたく思っております。

【田原委員】

一言だけ。

【長谷川座長】

じゃ、一言。

【田原委員】

まだ20人ほどしか入っていませんけど、特定の学部といいますかね。特に医学部医学科のIB生に対する評価というのは非常に高いです。医学部医学科というのは、実は教育改革を徹底してやっています。プロの医者を作らないとだめだという意味があって、すごく教育改革を進めているんですけれども、そういうところでは非常に評価が高いです。こういう状況ではあります。ですので、そういうところからどんどん認識が高まってくれば、バカロレアの修了生の方の受け入れというのは進んでくるのかなとは思いますけれども。うちの大学だけの特徴かもしれません。一般的な特徴ではないかもしれませんけれども、一言申し上げます。

【長谷川座長】

医学科入試というのは、ある意味、大学入試、日本の国内入試のトップのところがありまして、そこが変わると、ほかのところにもいろいろ波及していくんじゃないかなと期待しております。

 それでは、本日頂いた御意見については、事務局の方で整理をお願いいたします。

 これで本日の議題は終了いたしますが、最後に今後のスケジュール等について事務局の方から御説明をお願いいたします。

【村越外国人教育政策係長】

本日頂いた御意見については、また、事務局で整理させていただき、委員の皆様にもお示しさせていただきたいと思います。

 次回なんですけれども、4月28日10時からを予定しておりますが、詳細については、再度調整して、事務局から御連絡させていただきたいと思います。

 以上になります。

【長谷川座長】

本日、時間が足りなくて、まだ御発言したかった方、いらっしゃると思います。メール等でも結構でございますので、中間取りまとめに向けての御意見を事務局にお寄せいただければと思います。

 それでは、本日の会議はこれで終了いたします。大変御苦労さまでございました。

―― 了 ――

お問合せ先

文部科学省大臣官房国際課国際協力企画室

電話番号:03-5253-4111(内線:3222)
メールアドレス:mext-ibtantou@mext.go.jp

(文部科学省大臣官房国際課国際協力企画室)