掲載日:2025年9月8日
2024年、フランスはパリオリンピック・パラリンピックに熱狂しました。大会を経験した在フランス日本国大使館の小久保智史一等書記官が、教育、スポーツ、文化分野でますます深まる日本とフランスの交流について紹介します。
In 2024, France was enthralled by the Paris Olympic and Paralympic Games. Mr. Satoshi Kokubo, the First Secretary at the Embassy of Japan in France, who experienced the Games, will talk about the growing exchange between Japan and France in the fields of education, sports, and culture.
Bonjour à tous(みなさんこんにちは)!
在フランス日本国大使館の小久保智史です。私は2006年に入省し、これまで教育や学術、スポーツなどの仕事に携わり、2024年夏から外交官としてパリで働いています。
2024年夏にはパリオリンピック・パラリンピックが開催され、多くの日本人選手の活躍を覚えている方も多いと思います。
大会では、セーヌ川を会場とした開会式の実施、エッフェル塔・ヴェルサイユ宮殿・コンコルド広場などの名所も競技会場に様変わりするなど、街全体を会場とする「広く開かれた大会」「スポーツ文化の融合」の場となりました。
私は、大会関係者やフランス政府関係者との連絡調整を行い、日本の要人による大会行事出席、選手村や日本選手のサポート施設等の視察、フランス政府要人との面会などに対応し、世界的なイベントの舞台裏を経験しました。
大規模な交通規制やセキュリティチェックの中で、円滑な対応を進めるため、文字通り、体当たりで走り回った1ヶ月間でしたが、大会関係者から、東京大会を開催した日本への敬意が示されたり、国内で日仏の直接対決となった競技が大きく取り上げたりするなど、スポーツを通じた両国の交流の深まりに携わることができました。
フランスと日本との交流はあらゆる分野で古くから発展しており、私が担当する教育・スポーツ分野でも、フランス国内での日本に対する関心の高さを感じます。
例えば、パリ大会でも大きな盛り上がりを見せた柔道。実は、フランスの柔道人口は50万人を超え、日本の約4倍とされています。パリ大会前後には、フランス各地で交流イベントが開催され、私も多くの方と交流を進めています。柔道を含めた日本武道は、特にその教育的意義が高く評価され、幅広い年代の方が取り組んでいます。
また、日本のポップカルチャーや伝統文化への関心は極めて高く、街のスーパーに日本の漫画が並んだり、各地で日本紹介イベントが開催されたりしています。漫画やアニメなどをきっかけとして日本語に関心を持つ人は多く、日本語学習者数はヨーロッパでは最多の約3万人です。日本への留学生もヨーロッパでは最多です(2000人前後)。私は、様々な大学で日本への留学について紹介したり、教師の研修会に出席したり、フランス政府と今後の日本語教育振興策について議論を行ったりしています。
社会各所で活躍する元留学生や、日本人以上に日本に詳しいフランス人研究者などとも多くの出会いがある中で、日本への理解を深めていただき、交流に携わる人々を増やすことは、まさに現在のみならず未来を見据えた外交の一側面であると感じます。
日本にとってフランスは古くからのパートナーである一方、日本からの距離や言語の課題などもあり、両者の関係発展に関するのびしろは依然として大きいと思います。2028年には日本とフランスの交流170周年を迎えますが、残りの赴任期間を通じて、未来に向けた発展の基盤となる教育分野をはじめ、文部科学分野の交流拡大に貢献していきたいと思います。
日本へ短期留学する高校生への研修会での挨拶(中央:筆者)
盛山文部科学大臣(当時)の選手村視察
パラテコンドー会場に様変わりしたグラン・パレ(文化施設)
盛山文部科学大臣(当時)とニコル・ベルベ国民教育・青少年大臣(当時)との会談
フランス柔道連盟の国際交流イベントに大使とともに参加(後列左から4番目が筆者)
大学の日本語学科にて日本留学等に関する説明会を実施
文部科学省大臣官房総務課広報室