Vol.4 在エジプト日本国大使館 川島志月二等書記官「誰もが生涯に一度は訪れたい国「エジプト」での若手職員の奮闘」

掲載日:2025年11月28日

  今年11月1日、ピラミッド近くに位置する大エジプト博物館(GEM:Grand Egyptian Museum)が全面開館を迎えました。今回は、在エジプト日本国大使館で教育、科学技術、文化(考古)を担当する川島志月二等書記官が日本とエジプトの協力関係について紹介します。
  On November 1st this year, the GEM (Grand Egyptian Museum), located near the pyramids, fully opened. Mr. KAWASHIMA Shizuki, the second secretary in charge of education, science and technology, and culture (archaeology) at the Embassy of Japan in Egypt, will introduce the cooperative relationship between Japan and Egypt.

َلسَّلَامُ عَلَيْكُمْ (アッサラーム・アレイコム、こんにちは!)
  在エジプト日本国大使館の川島志月です。私は2018年に入省し、教育や新型コロナウイルス感染症関係の仕事に携わり、2024年夏から外交官としてエジプトで働いています。

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(筆者/2025年3月6日ギザの大ピラミッド前にて)

  皆さんは「エジプト」と聞いたとき何を思い浮かべますか?
  エジプト勤務の打診を受けたとき、「ピラミッド」「スフィンクス」「アラビア語(蛇のような文字?)」が頭に浮かび、教育、文化(考古)関係をはじめとした日本との協力関係があることは思いもよりませんでした。
  昨年、両国は開発協力70周年を迎え、協力関係は教育、文化(考古)、農業、保健、地下鉄をはじめとしたインフラ整備など多岐にわたります。中でも教育とGEMはエル・シーシ大統領から象徴的な協力分野と言及されました。今回は私が担当する教育、GEMに関する業務の紹介をします。

【GEM:(Grand Egyptian Museum)】
  中東情勢、新型コロナ等の影響で延期されていたGEMが全面開館しました。日本は2006年から博物館の建設、ツタンカーメン関連をはじめとした展示物の保存・修復、エジプト人研究者の育成、「第二の太陽の船」の復元、博物館運営などの技術協力を行ってきました。
  開館式典には、三笠宮彬子女王殿下をはじめ日本からの要人がご臨席されました。

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(2025年11月1日 開館式典における各国代表団の集合写真 於:大エジプト博物館)

  私は式典関連では要人対応業務を主に行い、日々の業務はGEM関連の多岐にわたるプロジェクトを担当しています。式典での大統領スピーチでは、日本が唯一国名を挙げられ、「GEM開館には友好国の「日本」の協力があったことを忘れてはならない」と謝意が表明され、担当として誇らしく、改めて全面開館を迎えられたことをうれしく思いました。

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(2025年11月1日 開館式典の様子 於:大エジプト博物館)

【教育】
  両国の教育分野における協力は世界で唯一、就学前教育から高等教育まで段階問わず行われています。エジプトの教育大臣は今年3度訪日しており、今年5月にはあべ大臣(当時)も訪問し協力関係は日々強固になっています。

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(2025年5月4日あべ大臣と教育大臣の面会後の写真 於:エジプト教育・技術教育省(左から2番目が筆者))

  就学前教育では、エジプトに保育士制度がないため保育の質を担保する研修や啓発、行政からのモニタリングが可能なシステム構築をエジプト政府、JICAと協力して行っています。
  小中学校段階では、日本式の特別活動(Tokkatsu)を実施するエジプト日本学校(EJS)が69校あり、2万人を超える児童生徒が在籍しています。EJSに限らず一般の公立校での日本式教育の普及にも取り組み、推計約75万人の児童生徒が日本式教育を受けています。最近では、日本企業による算数・数学、ICT科目のカリキュラムがエジプトの公立校に浸透しはじめ、民間企業の進出の協力も私の業務の1つです。

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(2025年11月3日 彬子女王殿下EJS訪問時の集合写真 於:EJS(2列目右から2番目が筆者)

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(2025年9月23日 教育・技術教育大臣との面会 於:教育省(左が筆者))

  高校段階では、今年9月エジプト・日本高専(EJ-KOSEN)が開校し、49名が入学しました。日本の高専とも協力しカリキュラム開発や教員研修を行い、今後は両国の産業界との連携も一層推進する予定です。

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(2025年9月21日EJ-KOSEN開校式 於:EJ-KOSEN(最後列右から10番目が筆者)

  高等教育段階では、エジプト日本科学技術大学(E-JUST)が開校15年を迎え、3年連続で英誌THEの世界大学ランキングで国内トップの評価を受けるなど、中東・アフリカ地域の教育・研究のハブとしての発展が期待されます。

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(2025年9月1日教育関係3大臣及び関係者とのレセプション 於:公邸(最前列右から3番目が筆者)

  そのほか、教育、保健関係の実務家を日本の大学等に派遣し、自国の同分野の発展に活かしてもらう取組を行っています。

  私生活では、留学や旅行を含め海外経験が無かった私ですが、エジプトには約800名の邦人がおり、多様な背景を持つ方々とスポーツをはじめ多くの交流機会があります。
  着任当初から通っている語学学校も、あと数か月で全てのコースを修了予定で、会議の挨拶もアラビア語でできるようになりました。新たな趣味として自炊をはじめ、人生30年目で初めて鶏肉を切りました。

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(9月14日吉村作治教授のサッカラ遺跡発掘現場の視察 於:サッカラ遺跡(後列左から2番目が筆者)

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(アラビア語学校の修了証)

  変化も激しく刺激的なエジプトで仕事、生活ができる幸せをかみしめながら両国の一層の発展に向けて日々の業務に邁進したいと思います。

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文部科学省大臣官房総務課広報室

(文部科学省大臣官房総務課広報室)