薬物乱用防止教育の充実について(通知)(平成30年12月19日)

事務連絡
平成30年12月19日


各都道府県・指定都市教育委員会学校保健主管課
各都道府県教育委員会専修学校各種学校主管課
各都道府県私立学校主管部課
各国公私立大学事務局
各国公私立高等専門学校事務局
大学を設置する各学校設置会社の学校担当事務局        御中
独立行政法人国立高等専門学校機構事務局
小中高等学校を設置する学校設置会社を所轄する
構造改革特別区域法第12 条第1項の認定を
受けた各地方公共団体の学校設置会社担当課


                                                              文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課



薬物乱用防止教育の充実について(通知)


 
 我が国の児童生徒等の薬物乱用防止対策は、「第四次薬物乱用防止五か年戦略(平成25年8月7日薬物乱用対策推進会議決定)」及び「危険ドラッグの乱用の根絶のための緊急対策(平成26年7月18日薬物乱用対策推進会議決定)」を踏まえ、薬物乱用防止に資する教育及び啓発の一層の充実を図るようお願いしているところです。
 「第四次薬物乱用防止五か年戦略」の期間中に深刻な社会問題となった危険ドラッグについては、政府一丸となって徹底的な対策を講じた結果、平成27年7月には危険ドラッグ販売店舗は全滅し、危険ドラッグ事犯検挙人員は減少傾向にあります。
 一方、覚醒剤事犯検挙人員は若干減少傾向にあるものの、平成29年においても依然として1万人を超える数値で推移しています。また、大麻事犯検挙人員は、近年増加傾向にあり、過去最多となった平成29年の検挙人員3,218人の約半数は未成年及び20歳代の若者が占めるなど、青少年を中心に大麻の乱用の裾野が拡大していることが指摘されています。特に、大麻については、「有害性はない」等の誤った情報が氾濫しており、青少年の大麻乱用の拡大につながっていると推察されます。
 さらに、近年、スマートフォンの普及等により、手軽にインターネットを利用できる環境になったことで、密売・購入方法の潜在化や巧妙化が一層進んでいます。
 このような状況を踏まえ、平成30年8月3日に策定された「第五次薬物乱用防止五か年戦略」においては、児童生徒等の薬物乱用の根絶に向けた規範意識の向上を図るため、「青少年を中心とした広報・啓発を通じた国民全体の規範意識の向上による薬物乱用未然防止」を目標の一つに掲げ、引き続き小学校、中学校及び高等学校における薬物乱用防止に関する指導の徹底、教育内容の充実を図るとともに、大学等における学生に対する啓発を推進するなど、学校における薬物乱用防止教育を一層推進することを求めています。
 「第五次薬物乱用防止五か年戦略」は、策定後、厚生労働省ホームページに掲載するとともに、各種会議や研修会等において周知をしてきたところであり、これまでも適切に対応いただいているところですが、冬季休業期間中は児童生徒等の日々の生活が不規則となり、生活習慣の乱れや問題行動等を起こしやすい時期でもあることから、下記事項に留意いただき、薬物乱用防止に関するより一層の指導の徹底について特段の御配慮をお願いします。
 なお、貴職におかれては、域内の市区町村教育委員会、管下の学校等の関係機関に対して本内容の周知を図られますようお願いします。




○「第五次薬物乱用防止五か年戦略」における留意事項

  1.  学校における薬物乱用防止教育は、小学校の体育科、中学校及び高等学校の保健体育科、特別活動の時間はもとより、道徳、総合的な学習の時間等の学校の教育活動全体を通じて指導を行うこと。
  2.  児童生徒が、薬物乱用の危険性・有害性のみならず、薬物乱用は、好奇心、投げやりな気持ち、過度のストレスなどの心理状態、断りにくい人間関係、宣伝・広告や入手しやすさなどの社会環境などによって助長されること、また、それらに適切に対処する必要があることを理解できるようにするため、指導方法の工夫を行うこと。その際、都道府県教育委員会等においては、教職員に対する研修機会の拡充を図ること。
  3.  薬物乱用防止教室は、学校保健計画に位置付け、すべての中学校及び高等学校において年1回は開催するとともに、地域の実情に応じて小学校においても開催に努めること。その際、都道府県教育委員会においては、私立学校主管部課等と十分な連携を取り、私立学校主管部課等においては所管する私立学校において薬物乱用防止教室の開催を促進すること。
  4.  薬物等に関する専門知識を有する警察職員、麻薬取締官、学校薬剤師、矯正施設職員、保健所職員、税関職員等と連携し、学校等における薬物乱用防止教室の充実強化を図ること。なお、薬物乱用防止教室は、外部専門家による指導が望ましいものの、国や都道府県教育委員会等が開催する研修会等において研修を受けた薬物乱用防止教育に造けいの深い指導的な教員の活用も考えられること。
  5.  学校警察連絡協議会、研修、講演等を通じて、地域における青少年の薬物乱用について情報交換を行うなど、学校と警察等の関係機関との連携を一層強化すること。
  6.  都道府県等が開催する薬物乱用防止教室指導者研修会等は、教員以外の指導者による効果的な指導に必要な薬物乱用に関する最新の知見のみならず、児童生徒の発達段階、学校における指導状況等への理解を深めるよう、内容を充実すること。その際、公益財団法人日本学校保健会が作成・配布している「薬物乱用防止教室マニュアル」を参考にしつつ、外部専門家の参加を得るため、関係機関等との連携の充実を図ること。
  7.  大学等の学生に対して、薬物乱用防止に関する啓発を推進するため、大学等においては、入学時のガイダンスなど様々な機会を通じ学生に対して薬物乱用防止に係る啓発及び指導の徹底に努めること。その際、文部科学省が作成・配布している「薬物のない学生生活のために」が活用できること。

お問合せ先

初等中等教育局健康教育・食育課

保健管理係
電話番号:(内2976)

(初等中等教育局健康教育・食育課)