文部科学省における環境保全施策等の点検結果 1環境保全にかかる施策 施策目標(2)

施策目標(2)原子力の利用に関する研究開発の推進

1.政策名 1.環境保全に係る施策の推進
2.施策名 施策目標 (2)原子力の利用に関する研究開発の推進
3.主管課及び関係課(課長名)
(主管課) 研究開発局原子力計画課 (課長:山野智寛)
(関係課) 科学技術・学術政策局原子力安全課 (課長:野家彰)
研究振興局基礎基盤研究課量子放射線研究推進室 (室長:木村直人)
研究開発局開発企画課立地地域対策室 (室長:岡部真明)
研究開発局原子力研究開発課 (課長:中村雅人)
研究開発局研究開発戦略官 (研究開発戦略官:松尾泰樹)
4.基本目標及び達成目標 基本目標(2)(基準年度:平成12年度)(達成年度:平成17年度)
 原子力発電は、発電の過程で二酸化炭素を排出しないため温室効果ガス削減につながり地球環境保全に寄与するとともに、資源に乏しい我が国において長期的なエネルギー安定供給に資するものである。また、原子力の利用に関する研究開発の推進は、知的フロンティアの開拓、新産業の創出及び国民生活の質の向上にも貢献する。原子力のこのような意義を踏まえて、原子力を社会が受容できるよう安全に制御、管理する技術及び社会的制度を確立しながら、原子力の多様な可能性を引き出す研究開発を行う。

達成目標(2)‐1(基準年度:平成11年度)(達成年度:平成17年度)
 長期的なエネルギー安定供給を実現するとともに、地球環境保全に寄与することを目的として、平成17年度に高速増殖炉サイクルの炉・再処理・燃料製造の実用化候補の明確化を行う。同時に、高速増殖炉サイクル技術の実用化に向け、「もんじゅ」の運転再開に向けた準備を進める。

達成目標(2)‐2(基準年度:平成13年度)(達成年度:平成28年度)
 長期的なエネルギー安定供給を実現するとともに、地球環境保全に寄与することを目的として、核融合エネルギー研究の推進に不可欠なITER(イーター)(国際熱核融合実験炉)を国際協力によって平成28年度までに建設する。また、ITER(イーター)と並行して、先進的核融合研究開発プロジェクトである幅広いアプローチを日欧協力により実施する。
5.現状の分析と今後の課題 各達成目標の達成度合い 達成目標(2)‐1
 高速増殖炉サイクル技術の適切な実用化像とそこに至るための研究開発計画を提示することを目的として、電気事業者等と連携した「高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究」を平成11年から実施し、平成18年3月、実用化候補技術の明確化や研究開発計画の提示を行うフェーズ2(平成13~17年度)の最終報告書をとりまとめた。その中では、総合的に最も優れた概念として酸化物燃料を用いたナトリウム冷却炉、先進湿式法再処理及び簡素化ペレット法燃料製造の組み合わせを主概念とすることが望ましいとされた。
 高速増殖原型炉「もんじゅ」の運転再開に向けた準備については、国の安全審査等において改造工事の安全性が確認され、平成17年2月に改造工事着手への地元自治体の了解も得られたことから、同年3月から改造工事に向けた準備工事を、同年9月から本体工事を開始し、順調に進めている。

達成目標(2)‐2
 平成17年6月の閣僚級会合において、ITER(イーター)の建設地が欧州に決定されるとともに、幅広いアプローチを日本で実施することが決定された。ITER(イーター)建設・運転主体となる国際機関の設立に関する協定(ITER(イーター)協定)の締結に向けた交渉が進められた。また、ITER(イーター)計画参加各極による国際チームにおいて、建設開始に向けた準備活動が進められた。
 幅広いアプローチについては、平成17年10月に実施プロジェクトが決定されるとともに、日欧間で実施協定(幅広いアプローチ協定)締結に向けた交渉が進められた。
 なお、平成18年11月に、ITER(イーター)協定に署名するとともに、幅広いアプローチ協定案に仮署名している。
基本目標達成に向けての進捗状況  原子力の研究開発利用の推進にあたっては、安全確保に万全を期すとともに国民の原子力に対する理解を深めることが重要。しかしながら現在国民の原子力に対する信頼は、「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故、ウラン加工工場臨界事故、原子力発電施設の自主点検記録の不正記載問題等一連の事故・不祥事によって、十分とは言えない状況である。その一方で、近年の原油価格の高騰等を背景に、対応策として、原子力エネルギーの役割りが重視されつつある。

 日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構は、原子力基本法によって位置付けられた原子力の研究開発機関として、我が国の原子力研究開発利用の進展に大きく寄与してきた一方、特殊法人の形態により長期にわたって公的資金や人材を投入してきた両法人の事業について、硬直化や肥大化、非効率化、目標達成の遅延といった問題点が指摘されてきた。

 こうした状況を踏まえて、より高い安全意識に基づく安全管理体制を確立し、国民の視点に立った情報提供等を行うと同時に、一層効率化、重点化を図った最良の原子力研究開発体制の構築を目指して、平成17年10月には二法人を統合し、独立行政法人日本原子力研究開発機構を発足させた。

 ITER(イーター)計画については、ITER(イーター)協定及び幅広いアプローチ協定の発効に向けた取り組みが着実に進捗している。

 以上の状況及び各達成目標の達成度合いについて、概ね順調に進捗していることから、平成17年度の基本目標の達成度合いについては、概ね十分と判断。
今後の課題  原子力を巡る状況は非常に厳しいが、供給安定性、地球環境保全に優れたエネルギー源であるとともに、知的フロンティアの開拓と新産業の創出等に貢献し、また、国民の生活の向上に資する原子力分野の研究開発について、国民の理解を得つつ推進することが必要である。

(2)‐1
 高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究については、平成17年度末のフェーズ2の最終取りまとめを踏まえて策定した国としての研究開発方針に沿って、実用化に向けた研究開発を民間事業者との協力の下進めていくことが必要。また、高速増殖原型炉「もんじゅ」については、「発電プラントとしての信頼性実証」と「ナトリウム取扱技術の確立」という初期の目的の達成に向け、改造工事を着実に進め、早期の運転再開を目指す。

(2)‐2
 ITER(イーター)及び幅広いアプローチの成功に向けて、国際的に合意された工程に従い、両プロジェクトを着実に推進していく必要がある。
備考

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大臣官房政策課

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