文部科学省における環境保全施策等の点検結果[1-(3)]


1政策名 1 環境保全に係る施策の推進
2施策名 施策目標 (3)新エネルギー、省エネルギーに関する研究開発の推進
3主管課及び関係課
(課長名)
(主管課) 科学技術・学術政策局計画官 (計画官:内丸 幸喜)
(関係課) 研究振興局基礎基盤研究課 (課長:米倉 実)
研究開発局海洋地球課 (課長:佐藤 洋)
4基本目標及び達成目標 基本目標(3)(基準年度:平成13年度)(達成年度:平成19年度)
 新エネルギー、省エネルギーは、地球温暖化対策やエネルギーの安定供給の確保に資するが、コストが高いことなど経済的、技術的課題がある。こうした課題を解決し導入・普及の促進を図るため、バイオマスエネルギー等の新エネルギーや先進的な省エネルギー技術の研究開発を積極的に推進する。

達成目標(3)-1(基準年度:平成15年度)(達成年度:平成19年度)
 「持続型経済社会」の実現に向けて,都市・地域から排出される廃棄物・バイオマスを無害化処理と再資源化(原料化・燃料化)に関する技術開発を行うとともに,その実用化と普及を目指して、要素技術、影響・安全性評価及び経済・社会システム設計に関する研究開発を産学官の連携・協力により行う。

達成目標(3)-2(基準年度:平成13年度)(達成年度:平成17年度)
  シー オー ツー排出削減を目的として、発電ガスタービンやジェットエンジンの高効率化に必要な超耐熱材料(耐用温度1100ドニッケル基超合金、耐用温度1500ドのセラミック材料、耐用温度1800ドの高融点超合金)を開発し、タービンシミュレーションや既存タービンによる実機試験を行い、有用性を実証する。

達成目標(3)-3(基準年度:平成13年度)(達成年度:平成17年度)
 実験室規模サンプルでの耐候性鋼の結晶粒微細化による強度2倍化、耐熱鋼のクリープ寿命の大幅拡大を図り、高効率火力発電プラントの設計・製作に提供可能な耐熱超鉄鋼技術を開発することにより、シー オー ツー排出削減と電気エネルギーの安定供給に資する。

達成目標(3)-4(基準年度:平成15年度)(達成年度:平成19年度)
 高効率でクリーンな次世代エネルギーシステムとして大きな役割を担うものと期待されている燃料電池の性能・経済性を向上し、実用化・普及を図るため、新素材等の開発を推進する。
5現状の分析と今後の課題 各達成目標の達成度合い 達成目標(3)-1
 リーディングプロジェクト「一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト」として,平成16年度には,前年度に実施した各研究機関等における研究開発のための設備・機器等の構築及びシステムの基本的な設計等をもちいて、システム開発導入を行うとともに実証実験を本格的に開始。高効率ガス化・エネルギー変換に関するプロセス技術開発では,目標としたエネルギー変換効率:従来方式比1.1倍を達成した。また平成17年3月には平成16年度研究成果報告会を開催し進捗状況の講評を行ったところであり,全体的に研究開発は概ね順調に進捗しているとの評価を得た。
以上の状況を踏まえ、同プロジェクトは順調に進捗している。

達成目標(3)-2
  ニッケル基超合金については第4世代単結晶超合金(耐用温度1083ド)さらに第5世代合金(耐用温度1100ド)を開発し合金としての耐用温度目標を達成した。セラミック材料も1500ドの目標を達成、高融点超合金については1750ドに到達した。なお、ニッケル基超合金については、試験用ジェットエンジンを用いた評価試験を行い良好な結果を得ている。
また、仮想タービンシミュレーションにより、開発材料を用いることで熱効率56パーセント以上のコンバインドサイクル発電が可能になると推測されたことを受けて、1700ド高効率ガスタービン用部材開発等実用化のための要素研究を開始したところであり、研究開発は概ね順調に進捗している。

達成目標(3)-3
 高強度耐食鋼では、超微細粒(粒径1ミクロン以下)で高強度化し、リサイクル容易な化学成分(アルミニウムシリコンをそれぞれ0.8パーセント添加)で耐候性を確保した開発鋼について、懸念されていた溶接部の強度、靭性の改善に成功した。また、新橋梁体の設計に必要な基礎データを取得するために、試作した1800メガパスカル級超高力ボルト(試験用に10ファイに減径)および新溶接法による接合材の諸特性の評価に着手した。さらに耐熱鋼ではB添加の開発鋼の溶接材のクリープ特性が母材に比べてほとんど低下しないこと、さらにシリコン添加と予備酸化処理により高温水蒸気酸化を効果的に抑制できることを見出すなど、研究開発は順調に進捗している。

達成目標(3)-4
 平成15年度から経済活性化のための研究開発プロジェクト(リーディングプロジェクト)のひとつとして「次世代型燃料電池プロジェクト」を推進。平成16年度は、15年度に引き続き、高性能、低コストの高温運転型次世代燃料電池を実現するための高分子膜、電極触媒等の革新的な新材料の開発を推進し、概ね計画どおり進捗している。
基本目標達成に向けての進捗状況  大学、所管の研究機関を中心に、バイオマスエネルギー、燃料電池などの新エネルギーや省エネルギー分野における中長期的観点から推進すべき基礎的、基盤的研究開発が着実に実施されていることから、概ね順調に進捗していると判断。
今後の課題  今後とも将来の新エネルギー、省エネルギー関連技術の基礎、基盤となるような研究開発を着実に進めていくことが必要。

達成目標(3)-1
 引き続き研究開発を推進するとともに、平成17年度において、研究計画・評価分科会地球環境科学技術委員会において、プロジェクトの進捗について中間評価を実施する。

達成目標(3)-2
 開発したニッケル基超合金については、引き続き民間企業と協力して、1700ド高効率ガスタービン開発のための要素研究としてのタービン部材開発と、高効率コジェネレーション用小型ガスタービン部材開発・実用化のための研究を行う必要がある。また、ジェットエンジンに関しては、経産省エコエンジンや海外のエンジン開発プロジェクトとも連携して開発材料の実用化を図り、シー オー ツー削減に寄与する必要がある。

達成目標(3)-3
 軽量で耐震性に優れ、高い耐食性によりメンテナンスコストが低減できる橋梁構造体等の実現のため、超鉄鋼による部材等の将来の実用化を目標に、超鉄鋼の応用のための研究開発を今後強化しなくてはならない。具体的には、ユーザサイド(産学独)との連携において、実用化に有利・有用な点をより明確にすると共に、実用においてネックとなる技術課題を抽出する取り組みを強化する必要がある。

達成目標(3)-4
 「次世代型燃料電池プロジェクト」については、高性能・低コスト高温運転型次世代燃料電池を実現する高分子膜、電極触媒等の革新的材料開発に概ね目途がたったことから、引き続き更なる高性能化・低コスト化を追求するとともに、平成20年以降の商品化を睨んだ実証試験を強力に推進する必要がある。
備考
達成目標(3)-2及び達成目標(3)-3について
 物質・材料研究機構の主要な事務及び事業については、第1期中期目標期間終了(平成13年~平成17年)に伴い「独立行政法人物質・材料研究機構の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性」における指摘事項を踏まえ、物質・材料科学技術に関する基礎研究及び基盤的研究開発を基幹事業とする独立行政法人として真に担うべき事務及び事業に特化・重点化することとしている。このことを踏まえ、事務及び事業の見直しを行うため達成年度を平成17年度と修正した。


 

-- 登録:平成21年以前 --