ここからサイトの主なメニューです

宇宙開発利用

(4)日本の実験棟 「きぼう」(JEM)

第五章 日本の有人宇宙技術の発展 > 2.国際宇宙ステーション計画

1)「きぼう」の開発・利用・運用

 国際宇宙ステーション(ISS)計画の我が国の担当部分である構成要素は当初、日本実験棟(JEM:Japanese Experiment Module)と称していたが、その後、1999年(平成11年)4月、公募により「きぼう:KIBO」という愛称がつけられた。「きぼう」は、スペース・シャトルで3回に分けて打ち上げられ、ISSのロボットアーム、搭乗員の船外活動等によって軌道上でISS本体に組み立てられる有人軌道上研究所である。「きぼう」は外径4.4m、長さ11.2mの船内実験室に船内保管室、船外実験プラットフォーム、ロボットアームおよび船外パレットが付属しており、総重量は約27tになる(船外パレットはペイロードの輸送キャリアでありスペース・シャトルで地上に回収する)。

1.開発

 「きぼう」の開発は三段階で実施された。
 まず「開発基礎試験」として重要な構造・電子回路の機能検討、基本的な設計仕様の妥当性確認のための実物大模型(モックアップ)やブレッドボードモデル(BBM)の製作によるデータ取得などが実施された。
 続いて「エンジニアリングモデル(EM)製作試験」段階ではフライトモデルに近い技術試験モデルを製作し、機械的・電気的な設計仕様、試験方法、製造工程を確立するために必要なデータの取得が行われた。
 最後に「プロトフライトモデル(PFM)製作試験」段階においてはISSに取り付けられる実機モデルがEM製作試験で確立された設計仕様・製造方法で製作される。このPFMにより、材料及び製造上の欠陥がないことを確認するため、実際に運用される条件の下に、各種の試験が行われた。

2.利用

 「きぼう」の船内実験室には10か所の実験ラック設置スペースがあり、うち5か所に日本の実験ラックが、残りは米国の実験ラックが設置される予定になっている。このうち日本の実験ラックとしてはすでに流体実験ラックと細胞実験ラックが取り付けられており、2010年度には勾配炉ラックが宇宙ステーション補給機(HTV)を利用して打ち上げられる予定である。

3.運用

 「きぼう」の「システム運用」と「実験運用」は米国のデータ中継衛星(TDRS)を経由して筑波宇宙センターが実施している。また、大量の実験データなどを地上に送信する場合などに、日本のデータ中継技術衛星「こだま」(DRTS)を経由する方法も実施している。
 このうち「システム運用」は、フライトディレクターと運用管制員から成る「きぼう」運用管制チームが実施するもので、「きぼう」の熱制御・電力・通信・空調/熱制御・生命維持・ロボティクスなどの各システムを正常に保ち、火災・減圧・空気汚染が発生した際の、ISS滞在クルーへの指示などを担当する。
 一方、「実験運用」は「きぼう」における実験計画の実施に関するもので、「きぼう」実験運用管制チームが実施する。実験計画は筑波宇宙センターでとりまとめ、マーシャル宇宙飛行センターでの調整を経て、ジョンソン宇宙センターがまとめるISS全体の運用計画の一環として実施される。

2)「きぼう」の構成

 「きぼう」は、主に「船内実験室」「船外実験プラットフォーム」という2つの実験スペース、「船内保管室」及び「船外パレット」、実験や作業に使用する「ロボットアーム」などの要素から成り立っている。
 「きぼう」の運用に必要な空気、電力、熱、通信のリソースはISS本体から供給され、「きぼう」内へ分配される。なお、スペース・シャトルの打上げからISSと結合するまでの間、温度低下による冷却水の凍結防止や機器の保存温度を維持するために、スペース・シャトルから電力の供給を受ける。

1.船内実験室

 船内実験室は、「きぼう」の中心となる実験スペースで、1気圧、常温の空気で満たされており、宇宙飛行士が「きぼう」全体の制御や実験を行うことが出来る。主に微小重力環境を利用した実験を行う。内部には、「きぼう」のシステムを管理・制御する装置や実験装置などを備えた23個のラックが設置できる。また、船内実験室と船外実験プラットフォームとの間で、実験装置や実験試料などを出し入れするときに使用するエアロックが設置されている。

2.船内保管室

 船内保管室は、実験装置や試料、消耗品などを保管する倉庫の役割をもつスペースである。船内実験室と同じ1気圧、常温の空気で満たされており、宇宙飛行士が船内実験室と行き来できる。ISSの実験モジュールのうち、専用の保管室を持っているのは「きぼう」だけである。
 船内保管室は、打上げ時に実験ラックなどを運ぶために使用され、打上げ後は、保管室として使用される。「きぼう」のメンテナンスに使用されるツール、実験に使用する資料、予備品などが保管されている。外径4.4m、内径4.2m、長さ4.2m、質量4.2tとなっている。

3.船外実験プラットフォーム

 船外実験プラットフォームは、ISS外部で、高真空、微小重力である宇宙の曝露環境を利用した実験、観測などを行うためのスペースである。室内ではなく、宇宙環境をそのまま実験に使用できるのは、ISSでも船外実験プラットフォームとトラスだけである。
 船外実験プラットフォームには12か所の実験装置取り付け箇所があり、船外実験装置などの交換は、主に船内実験室から宇宙飛行士がロボットアームを操作して実施することができる。
 軌道上交換ユニット(ORU)、船外実験プラットフォーム結合機構(EFBM)、船外実験プラットフォーム視覚装置、船外実験プラットフォーム装置交換機構(EEU)などで構成されている。質量は4.1tとなっている。

4.船外パレット

 船外パレットは、実験装置や試料などをスペース・シャトルでISSへ運び、材料などを積んで再び戻る、輸送手段としての機能も持つとともに、船外実験プラットフォームの先端に取り付き、船外実験プラットフォームで使用する船外実験装置や試料などを保管する機能(実験装置は3個保管可能)を併せもつ。
 装置交換機構(PIU)、船外実験装置取付け機構(PAM)などにより構成される。質量は1.2トンとなっている。

5.ロボットアーム

 ロボットアームは、船外実験プラットフォームでの実験で、船外パレット上の機器の交換、メンテナンス作業などを船外活動の代わりに実施するための「腕」となる部分で、「親アーム」とその先端に取り付けられる「子アーム」で構成されている。それぞれ6個の関節をもち、宇宙飛行士が船内実験室のロボットアーム操作卓を使って操作を行う。本体の「親アーム」は船外実験装置の交換など、先端の「子アーム」は細かい作業を行うときに使用する。親アームに取り付けられたテレビカメラにより、船内実験室内から作業の様子を確認することができる。

6.衛星間通信システム

 衛星間通信システム(ICS : Inter-orbit Communication System)は、日本独自で地上との双方向通信を行うシステムである。JAXAのデータ中継技術衛星を介して「きぼう」の実験データや画像や音声などを地上に伝送し、また地上からのコマンドや音声データなどを受信する。
 ICSは、船内実験室に搭載され管理制御やデータ処理を行う与圧系サブシステム(ICS-PM)と、船外実験プラットフォームに取り付けられデータ中継衛星と通信するアンテナなどからなる曝露系サブシステム(ICS-EF)から構成されている。
 衛星間通信システムは、「きぼう」の運用を効率的に行うため、データ中継技術衛星「こだま」(DRTS)を経由して、筑波宇宙センターとの間でデータ、画像、音声などの双方向通信を行うためのシステムである。

お問合せ先

研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付

(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)

-- 登録:平成23年02月 --